説明

フェムトセル無線基地局、通信制御方法およびプログラム

【課題】複数の利用場面に応じた通信サービスを提供可能なフェムトセル無線基地局、通信制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】通信端末と無線通信を行うフェムトセル無線基地局は、電力を供給する電力供給装置と接続された際に電力供給装置から電力を受け付ける複数の端子と、複数の端子のうち電力供給装置と接続された接続端子が受け付けた電力の総和を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に応じて、通信端末との無線通信を制御する制御手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムトセル無線基地局、通信制御方法およびプログラムに関し、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブル経由で電力を受け付けるフェムトセル無線基地局、通信制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、USBケーブル経由で他の電子機器から供給された電力で動作する電子機器が記載されている。また、USBケーブル経由で他の電子機器から供給された電力で動作するフェムトセル無線基地局(以下「USB電源供給方式を用いたフェムトセル無線基地局」と称する)も知られている。
【0003】
USB電源供給方式を用いたフェムトセル無線基地局では、フェムトセル無線基地局が提供する通信サービス(例えば、通信可能な通信端末数、無線送信電力または通信速度)が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−280771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フェムトセル無線基地局の利用場面は、常に一定ではない。例えば、一名のユーザが一台の通信端末を使用してフェムトセル無線基地局の通信サービスを占有する場面と、複数のユーザの各々が通信端末を使用してフェムトセル無線基地局の通信サービスを共有する場面が想定される。
【0006】
しかしながら、USB電源供給方式を用いたフェムトセル無線基地局のように通信サービスが固定されたフェムトセル無線基地局では、通信サービスを変更することができない。このため、ユーザは、通信サービスの異なる複数のフェムトセル無線基地局を、フェムトセル無線基地局の利用場面に応じて使い分けなければならないという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決可能なフェムトセル無線基地局、通信制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフェムトセル無線基地局は、通信端末と無線通信を行うフェムトセル無線基地局であって、電力を供給する電力供給装置と接続された際に前記電力供給装置から電力を受け付ける複数の端子と、前記複数の端子のうち前記電力供給装置と接続された接続端子が受け付けた電力の総和を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果に応じて、前記通信端末との無線通信を制御する制御手段と、を含む。
【0009】
本発明の通信制御方法は、電力を供給する電力供給装置と接続された際に電力供給装置から電力を受け付ける複数の端子を含むフェムトセル無線基地局での通信制御方法であって、前記複数の端子のうち前記電力供給装置と接続された接続端子が受け付けた電力の総和を測定する測定ステップと、前記測定の結果に応じて、通信端末との無線通信を制御する制御ステップと、を含む。
【0010】
本発明のプログラムは、電力を供給する電力供給装置と接続された際に電力供給装置から電力を受け付ける複数の端子と接続されたコンピュータに、前記複数の端子のうち前記電力供給装置と接続された接続端子が受け付けた電力の総和を測定する測定手順と、前記測定の結果に応じて、通信端末との無線通信を制御する制御手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1台のフェムトセル無線基地局で、複数の利用場面に応じた通信サービスを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のフェムトセル無線基地局1を説明するためのブロック図である。
【図2】サービス記憶部15a内のサービス情報15a1の一例を示した図である。
【図3】フェムトセル無線基地局1の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図4】USB端子11および12と供給電力測定部14と制御部15からなるフェムトセル無線基地局を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態のフェムトセル無線基地局を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態のフェムトセル無線基地局1を説明するためのブロック図である。
【0015】
図1において、フェムトセル無線基地局1は、USB電源供給装置2から電力を受け付け、1台または複数台の移動端末3と無線通信を行う。USB電源供給装置2は、電力供給装置の一例であり、USB端子21および22を備える。移動端末3は通信端末の一例である。
【0016】
フェムトセル無線基地局1は、USB端子11および12を備えるUSBケーブル13と、供給電力測定部14と、制御部15と、を含む。制御部15は、サービス記憶部15aと、処理部15bと、を含む。処理部15bは、通信制御部15b1と、送受信部/信号処理部(以下「通信部」と称する)15b2と、アンテナ15b3と、を含む。
【0017】
USB端子11および12は、一般的に複数の端子と呼ぶことができる。
【0018】
USB端子11および12は、それぞれ、電力を供給するUSB電源供給装置2のUSB端子21または22と接続された際にUSB電源供給装置2から電力を受け付ける。
【0019】
USBケーブル13は、USB端子11および12のうち、USB電源供給装置2と接続されたUSB端子(以下「接続端子」と称する)が受け付けた電力の総和を、供給電力測定部14に供給する。
【0020】
供給電力測定部14は、一般的に測定手段と呼ぶことができる。
【0021】
供給電力測定部14は、USBケーブル13から供給された電力の総和、つまり、接続端子が受け付けた電力の総和を測定する。
【0022】
また、供給電力測定部14は、電力測定値(測定結果)を制御部15(さらに言えば、通信制御部15b1)に通知する機能を備えている。
【0023】
供給電力測定部14は、例えば、ユーザがUSBケーブル13をUSB端子21および22のいずれか一方(例えば、端子21)とのみ接続した状況では、ひとつのUSB端子の供給電力量の最大値Aを、電力測定値として制御部15に通知する。
【0024】
また、供給電力測定部14は、例えば、ユーザがUSBケーブル13をUSB端子21および22の両方に接続した状況では、ふたつのUSB端子の供給電力量の最大値の合計値Bを、電力測定値として制御部15に通知する。
【0025】
また、供給電力測定部14は、USBケーブル13から供給された電力をフェムトセル無線基地局1内の各部に供給して各部を動作させる。
【0026】
制御部15は、一般的に制御手段と呼ぶことができる。
【0027】
制御部15は、供給電力測定部14からの電力測定値に応じて、移動端末3との無線通信を制御する。
【0028】
サービス記憶部15aは、一般的に記憶手段と呼ぶことができる。
【0029】
サービス記憶部15aは、サービス情報を保持する。サービス情報は、フェムトセル無線基地局1が行う移動端末3との無線通信に関する通信サービスを表す。
【0030】
サービス情報は、供給電力量に応じた通信可能な移動端末数の上限値と、供給電力量に応じた無線送信電力と、供給電力量に応じた通信速度と、無線通信中の移動端末3の数を減らすための通信切断手法と、を表す。
【0031】
図2は、サービス記憶部15a内のサービス情報15a1の一例を示した図である。
【0032】
サービス情報15a1は、供給電力量15a1aと、供給電力量15a1aに関連づけられた通信制御情報15a1bと、通信切断手法15a1cと、を表す。
【0033】
供給電力量15a1aは、ひとつのUSB端子の供給電力量の最大値Aと、ふたつのUSB端子の供給電力量の最大値の合計値Bと、を表す。
【0034】
通信制御情報15a1bは、フェムトセル無線基地局1が提供する通信サービスに関する情報である。
【0035】
通信制御情報15a1bのうち、最大値Aと関連づけられた通信制御情報15a1bAは、移動端末3の上限数:n(但し、n>0)と、無線通信電力:s(但し、s>0)と、通信速度:u(但し、u>0)と、を表す。
【0036】
通信制御情報15a1bのうち、合計値Bと関連づけられた通信制御情報15a1bBは、移動端末3の上限数:m(但し、m>n)と、無線通信電力:t(但し、t≧s)と、通信速度:v(但し、u≧v)と、を表す。
【0037】
なお、図2に示した通信制御情報15a1bでは、移動端末の上限数と無線通信電力と通信速度とが、供給電力量に応じて変更するが、例えば、移動端末の上限数と無線通信電力と通信速度とのうちの少なくとも1つが供給電力量に応じて変更してもよい。
【0038】
通信切断手法15a1cは、無線通信中の移動端末3の数を減らすための通信切断手法である。
【0039】
通信切断手法としては、例えば、無線通信中のすべての移動端末3との通信を一旦全て切断する方法(第1手法)と、無線通信中の移動端末3のうち特定の移動端末以外の移動端末3との通信を切断する方法(第2手法)と、処理部15bが予め定められた自立的な判定手法で無線通信中の移動端末3の中から通信を切断する切断通信端末を選択しその切断通信端末との通信を切断する方法(第3手法)、という3つの選択肢がある。
【0040】
いずれの選択肢をサービス記憶部15aに保持するかは、ユーザによって選択可能である。
【0041】
図2では、通信切断手法15a1cとして第1手法が用いられている。
【0042】
なお、第3手法における自立的な判定手法としては、例えば、無線通信中の移動端末3のうち、フェムトセル無線基地局1からの距離が最も長い移動端末3を切断通信端末として選択するという判定手法が用いられる。なお、処理部15bは、フェムトセル無線基地局1からの距離が長い移動端末3ほど、移動端末3との通信に用いる送信電力を大きくする。このため、この判定手法が用いられた場合、処理部15bは、無線通信中の移動端末3のうち、通信に用いる送信電力が最も大きい移動端末3を、切断通信端末として選択する。
【0043】
処理部15bは、一般的に処理手段と呼ぶことができる。
【0044】
処理部15bは、供給電力測定部14からの電力測定値を記憶する。処理部15bは、サービス記憶部15aを参照して、供給電力測定部14からの今回の電力測定値に応じた通信制御情報15a1b(通信可能な移動端末数、無線送信電力および通信速度)を特定し、その特定された通信制御情報15a1bが示す通信サービスを実行する。
【0045】
また、処理部15bは、供給電力測定部14からの今回の電力測定値が、前回の電力測定値よりも小さい電力を示す場合に、サービス記憶部15aに記憶されている通信切断手法15a1cに従って、無線通信中の移動端末3の数を減らす。
【0046】
本実施形態では、処理部15bは、供給電力測定部14からの今回の電力測定値が前回の電力測定値よりも小さい電力を示し、かつ、無線通信中の移動端末3の数が、今回の電力測定値に応じた移動端末3の上限数よりも大きい場合に、サービス記憶部15aに記憶されている通信切断手法15a1cに従って、無線通信中の移動端末3の数を、今回の電力測定値に応じた移動端末3の上限数まで減らす。
【0047】
通信制御部15b1は、供給電力測定部14から電力測定値を受け付けるごとに、その電力測定値を記憶し、かつ、記憶されている電力測定値のうち、前回の電力測定値よりも前のタイミングで記憶された電力測定値を削除する。なお、通信制御部15b1は、供給電力測定部14からの電力の供給が断たれると、記憶しているすべての電力測定値を削除する。
【0048】
通信制御部15b1は、供給電力測定部14からの電力測定値に基づき、サービス記憶部15aに対してサービス情報の問合せを行う。通信制御部15b1は、サービス記憶部15aから、問合せの回答情報として、電力測定値に応じた通信制御情報15a1b、または、電力測定値に応じた通信制御情報15a1bと通信切断手法15a1cとを受け取ると、その回答情報を示す制御信号を生成し、その制御信号を通信部15b2に出力する。
【0049】
通信部15b2は、通信制御部15b1からの制御信号に基づいて、アンテナ15b3を介して1台または複数の移動端末3と無線通信する。
【0050】
次に、動作を説明する。
【0051】
図3は、フェムトセル無線基地局1の動作を説明するためのシーケンス図である。
【0052】
まず、ユーザ4が、USB電源供給装置2とフェムトセル無線基地局1が接続されていない状況(この状況では、通信制御部15b1には以前の電力測定値は記憶されていない)で、USBケーブル13を用いて、USB電源供給装置2のUSB端子21とフェムトセル無線基地局1を接続したとする(ステップA1)。
【0053】
USBケーブル13の1つのUSB端子(USB端子11または12)がUSB電源供給装置2のUSB端子21と接続すると、供給電力測定部14は、USB電源供給装置2のUSB端子21からUSBケーブル13を介して受給する電力を測定し、電力測定値を通信制御部15b1に通知する(ステップA2)。この場合、電力測定値として、最大値Aが通知される。
【0054】
通信制御部15b1は、以前の電力測定値を記憶していない状況で、電力測定値(最大値A)を受け付けると、その電力測定値(今回の電力測定値)を記憶し、今回の電力測定値に基づいて、サービス記憶部15aに対してサービス情報の問い合わせを行う(ステップA3)。
【0055】
本実施形態では、通信制御部15b1は、今回の電力測定値である最大値Aをサービス情報の問合せとしてサービス記憶部15aに出力する。サービス記憶部15aは、電力測定値(最大値A)を受け付けると、電力測定値(最大値A)に関連づけられた通信制御情報15a1bA(図2参照)を、問合せの回答情報として通信制御部15b1に出力する。
【0056】
通信制御部15b1は、問合せの回答情報(通信制御情報15a1bA)を受け付けると、通信制御情報15a1bAを示す制御信号を生成し、その制御信号で通信部15b2を制御する(ステップA4)。
【0057】
通信部15b2は、通信制御部15b1からの制御信号に基づいて、アンテナ15b3を用いて、移動端末3の上限数をnとし無線通信電力をsとし通信速度をuとする通信サービスを実行し、最大n台の移動端末3と無線通信する(ステップA5)。
【0058】
その後、ユーザ4が、フェムトセル無線基地局1の利用場面に応じて、USBケーブル13を用いて、USB電源供給装置2のUSB端子22とフェムトセル無線基地局1を追加接続したとする(ステップA6)。
【0059】
USBケーブル13のUSB端子11および12がUSB電源供給装置2のUSB端子21および22とそれぞれ接続すると、供給電力測定部14は、USB電源供給装置2のUSB端子21および22からUSBケーブル13を介して受給する電力を測定し、電力測定値(この場合、合計値B)を通信制御部15b1に通知する(ステップA7)。
【0060】
通信制御部15b1は、電力測定値(合計値B)を受け付けると、今回の電力測定値(合計値B)を記憶し、今回の電力測定値(合計値B)に基づいて、サービス記憶部15aに対してサービス情報の問い合わせを行う(ステップA8)。
【0061】
本実施形態では、通信制御部15b1は、今回の電力測定値である合計値Bをサービス情報の問合せとしてサービス記憶部15aに出力する。サービス記憶部15aは、電力測定値(合計値B)を受け付けると、電力測定値(合計値B)に関連づけられた通信制御情報15a1bB(図2参照)を、問合せの回答情報として通信制御部15b1に出力する。
【0062】
通信制御部15b1は、問合せの回答情報(通信制御情報15a1bB)を受け付けると、通信制御情報15a1bBを示す制御信号を生成し、その制御信号で通信部15b2を制御する(ステップA9)。
【0063】
通信部15b2は、通信制御部15b1からの制御信号に基づいて、アンテナ15b3を用いて、移動端末3の上限数をmとし無線通信電力をtとし通信速度をvとする通信サービスを実行し、最大m台の移動端末3と無線通信する(ステップA10)。
【0064】
その後、ユーザ4が、フェムトセル無線基地局1の利用場面に応じて、USBケーブル13の1つのUSB端子(USB端子11または12)をUSB電源供給装置2のUSB端子22から外したとする(ステップA11)。
【0065】
USBケーブル13の1つのUSB端子がUSB電源供給装置2のUSB端子22から外されると、供給電力測定部14は、USB電源供給装置2のUSB端子21からUSBケーブル13を介して受給する電力を測定し、電力測定値を通信制御部15b1に通知する(ステップA12)。この場合、電力測定値として、最大値Aが通知される。
【0066】
通信制御部15b1は、前回の電力測定値(合計値B)と前々回の電力測定値とを記憶している状況で、今回の電力測定値(最大値A)を受け付けると、今回の電力測定値(最大値A)を記憶すると共に、前々回の電力測定値を削除する。そして、通信制御部15b1は、今回の電力測定値(最大値A)が前回の電力測定値(合計値B)よりも小さくなっているため、通信切断手法15a1cを読み出す旨の読み出し要求を生成し、読み出し要求と今回の電力測定値(最大値A)とに基づいて、サービス記憶部15aに対してサービス情報の問い合わせを行う(ステップA13)。
【0067】
本実施形態では、通信制御部15b1は、今回の電力測定値である最大値Aと読み出し要求とを、サービス情報の問合せとして、サービス記憶部15aに出力する。サービス記憶部15aは、電力測定値(最大値A)と読み出し要求とを受け付けると、電力測定値(最大値A)に関連づけられた通信制御情報15a1bA(図2参照)と、通信切断手法15a1cとを、問合せの回答情報として通信制御部15b1に出力する。
【0068】
通信制御部15b1は、問合せの回答情報(通信制御情報15a1bAおよび通信切断手法15a1c)を受け付けると、通信制御情報15a1bAおよび通信切断手法15a1cを示す制御信号を生成し、その制御信号で通信部15b2を制御する(ステップA14)。
【0069】
通信部15b2は、通信制御部15b1からの制御信号に基づいて、アンテナ15b3を用いて、移動端末3の上限数をnとし無線通信電力をsとし通信速度をuとする通信サービスを実行し、最大n台の移動端末3と無線通信する(ステップA15)。この際、通信部15b2は、無線通信中の移動端末3の数が、今回の電力測定値に応じた移動端末3の上限数nよりも大きい場合に、制御信号に示された通信切断手法15a1cに従って、無線通信中の移動端末3の数を、今回の電力測定値に応じた移動端末3の上限数nまで減らす。
【0070】
本実施形態によれば、供給電力測定部14は、USBケーブル13のUSB端子11および12のうち、USB電源供給装置2と接続された接続端子が受け付けた電力の総和を測定する。制御部15は、供給電力測定部14の測定結果に応じて、移動端末3との無線通信を制御する。
【0071】
このため、USB電源供給装置2から電力供給を受けるフェムトセル無線基地局1において、USB電源供給装置2から供給される電力量に応じて、フェムトセル無線基地局1における移動端末3との無線通信を変更することが可能になる。よって、USB電源供給装置2から供給される電力量に応じて、移動端末3との通信に関するサービスを変更することが可能になり、単一のフェムトセル無線基地局1によって、ユーザの利用場面に応じたサービスの提供をすることが可能になる。なお、この効果は、USB端子11および12と供給電力測定部14と制御部15からなるフェムトセル無線基地局でも奏する。図4は、USB端子11および12と供給電力測定部14と制御部15からなるフェムトセル無線基地局を示したブロック図である。
【0072】
また、本実施形態では、制御部15は、供給電力測定部14の測定結果に応じて、無線通信可能な移動端末3の上限数、無線通信電力および通信速度のうち、少なくとも1つを制御する。この場合、例えば、通信の品質を維持しつつ動的に通信可能な移動端末数、無線送信電力または通信速度を変動させることが可能になる。
【0073】
また、本実施形態では、サービス記憶部15aは、無線通信中の移動端末3の数を減らすための通信切断手法15a1cを記憶する。処理部15bは、供給電力測定部14の測定結果が、前回の測定結果よりも小さい電力を示す場合に、サービス記憶部15aに記憶されている通信切断手法15a1cに従って、無線通信中の移動端末3の数を減らす。この場合、無線通信中の移動端末3の数を減らす必要があるときに、その減らし方を設定することが可能になる。
【0074】
また、本実施形態では、サービス記憶部15aは、通信切断手法として、無線通信中のすべての移動端末3との通信を切断する第1手法と、無線通信中の移動端末3のうち特定通信端末以外の移動端末3との通信を切断する第2手法と、処理部15bが予め定められた手法で無線通信中の移動端末3の中から通信を切断する切断通信端末を選択しその切断通信端末との通信を切断する第3手法と、のいずれかを記憶する。この場合、通信切断手法を複数の手法の中から選択することが可能になる。
【0075】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0076】
第1の効果は、ユーザの利用場面に応じたサービスが提供できるという事である。このため、単一のフェムトセル無線基地局を、ユーザが1名で1台の移動端末を使用しサービスを占有する場面と、複数のユーザが複数台の移動端末を使用しサービスを共有する場面、それぞれの場面で活用できる。その理由は、供給電力量に基づいてサービス上限を動的に変動させる構成としているためである。
【0077】
第2の効果は、ユーザによる特殊な操作が不要であるということである。このため、幅広い層のユーザが個々の利用場面に合わせてフェムトセル無線基地局を活用できる。その理由は、サービス上限をUSBケーブルの抜き差しといった容易な操作により変更できるためである。
【0078】
第3の効果は、不必要な電力使用が防止できるということである。このため、USB電源供給装置がバッテリーを内蔵した携帯用コンピュータ装置などである場合、バッテリーの消費を軽減し省電力に貢献できる。その理由は、ひとつのUSB端子からの供給電力でもサービスが利用できる構成としているためである。
【0079】
第4の効果は、USB電源供給装置の端子数に制限がある場合でも最低限のサービスが利用できるという事である。この為、USB電源供給装置側にUSB端子がひとつしか確保できない場合でも、ユーザによるサービス利用が可能である。その理由は、ひとつのUSB端子からの供給電力でもサービスが利用できる構成としているためである。
【0080】
なお、フェムトセル無線基地局1は、USBケーブル13が接続されたコンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能なCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)のような記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、供給電力測定部14、サービス記憶部15aおよび処理部15bとして機能する。記録媒体は、CD−ROMに限らず適宜変更可能である。
【0081】
以上説明した実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 フェムトセル無線基地局
11、12 USB端子
13 USBケーブル
14 供給電力測定部
15 制御部
15a サービス記憶部
15b 処理部
15b1 通信制御部
15b2 送受信部/信号処理部(通信部)
15b3 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と無線通信を行うフェムトセル無線基地局であって、
電力を供給する電力供給装置と接続された際に前記電力供給装置から電力を受け付ける複数の端子と、
前記複数の端子のうち前記電力供給装置と接続された接続端子が受け付けた電力の総和を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に応じて、前記通信端末との無線通信を制御する制御手段と、を含むフェムトセル無線基地局。
【請求項2】
請求項1に記載のフェムトセル無線基地局において、
前記制御手段は、前記測定手段の測定結果に応じて、無線通信可能な前記通信端末の上限数、無線通信電力および通信速度のうち、少なくとも1つを制御する、フェムトセル無線基地局。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフェムトセル無線基地局において、
前記制御手段は、
無線通信中の前記通信端末の数を減らすための通信切断手法を記憶した記憶手段と、
前記測定手段の測定結果が、前記測定手段の前回の測定結果よりも小さい電力を示す場合に、前記記憶手段に記憶されている通信切断手法に従って、前記無線通信中の通信端末の数を減らす処理手段と、を含む、フェムトセル無線基地局。
【請求項4】
請求項3に記載のフェムトセル無線基地局において、
前記記憶手段は、前記通信切断手法として、前記無線通信中のすべての通信端末との通信を切断する第1手法と、前記無線通信中の通信端末のうち特定通信端末以外の通信端末との通信を切断する第2手法と、前記処理手段が予め定められた手法で前記無線通信中の通信端末の中から通信を切断する切断通信端末を選択し当該切断通信端末との通信を切断する第3手法と、のいずれかを記憶する、フェムトセル無線基地局。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のフェムトセル無線基地局において、
前記端子は、USB端子である、フェムトセル無線基地局。
【請求項6】
電力を供給する電力供給装置と接続された際に電力供給装置から電力を受け付ける複数の端子を含むフェムトセル無線基地局での通信制御方法であって、
前記複数の端子のうち前記電力供給装置と接続された接続端子が受け付けた電力の総和を測定する測定ステップと、
前記測定の結果に応じて、通信端末との無線通信を制御する制御ステップと、を含む通信制御方法。
【請求項7】
電力を供給する電力供給装置と接続された際に電力供給装置から電力を受け付ける複数の端子と接続されたコンピュータに、
前記複数の端子のうち前記電力供給装置と接続された接続端子が受け付けた電力の総和を測定する測定手順と、
前記測定の結果に応じて、通信端末との無線通信を制御する制御手順と、を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−5078(P2013−5078A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132050(P2011−132050)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】