説明

フェンス

【課題】 支柱の真上位置に設けた笠木と、支柱間に設けた胴縁とを有するフェンスにおいて、傾斜地にフェンスを設置する際に、胴縁の長さを調節することなく、笠木の傾斜角度に合わせて笠木と平行に胴縁を取付けることができるフェンスを提供する。
【解決手段】 平行に立設した支柱2に、笠木3と胴縁4を平行に架設したフェンスであって、支柱2の真上位置に笠木3を配設し、支柱2の上端と笠木3を連結軸6を介して回動自在に連結し、隣接して対向する支柱2の側面部間に胴縁4を配設し、支柱2の側面に胴縁連結ブラケット5を上下位置調整自在として取付け、胴縁4の端部と胴縁連結ブラケット5を連結軸8を介して回動自在に連結し、胴縁4の端部と胴縁連結ブラケット5の何れか一方に形成した長孔52に連結軸8を挿通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、傾斜地に設置するフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱の上部に笠木を配設し、隣接する支柱の間に胴縁を配設したフェンスが知られている。このようなフェンスを傾斜地に設置する場合、隣接する支柱は所定の間隔を置いて立設し、支柱間に配設される胴縁は設置場所の傾斜角度に合わせて寸法を調整する必要があった。
通常、設置場所の傾斜角度が大きくなるにつれて、胴縁の寸法を短くしなければならず、また傾斜角度によって支柱と胴縁のなす角度も変化するので、胴縁の寸法と端部の傾斜角度を切断加工によって調整しなければならず、フェンスの設計施工が甚だ煩雑なものであった。
【0003】
特許文献1には、横桟などの支柱間部材の両端に目板を取付けて支柱間ユニットを形成し、支柱間ユニットの目板を支柱に設けた目板溝に挿嵌して支柱間ユニットを隣接する支柱の間に配設したフェンスの組立方法が開示されている。
特許文献1によれば、支柱間ユニットを工場等で予め作製しておくことにより、設置場所でのフェンスの組立、施工工数を削減することができるものである。
【0004】
しかしながら、設置場所での施工工数が削減できるものの、支柱間ユニットは設置場所の傾斜角度に合わせて、横桟の長さ、横桟と目板のなす角度を調整しなければならないので、相変わらず工場内では横桟の加工に手間を要するものであった。
【0005】
特許文献2には、傾斜地に支柱を立設し、支柱の上部に固定した笠木連結体と、笠木連結体間に取付けた傾斜笠木と、支柱間に取付けた傾斜部材とを備え、笠木連結体は第一連結部と第二連結部とを備え、傾斜部材は左右に支柱に軸着するジョイントを固定し、ジョイント軸を中心に上下回動自在となり、第一連結部が水平で、第二連結部が上下に傾斜する時、第二連結部の連結軸をジョイント軸の上方に位置させたフェンスが開示されている。
特許文献2によれば、笠木連結体の連結軸が、傾斜笠木側に偏っており、第一連結部が水平で第二連結部が上下に傾斜する時、傾斜部材のジョイント軸の上方に位置するので、傾斜地の支柱間に傾斜笠木を取付ける際、傾斜笠木を傾斜部材に合わせ易く、フェンスの外観が向上するものである。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されたフェンスは、第一連結部が水平で、第二連結部が上下に傾斜する場合という限られた状況において、傾斜笠木を傾斜部材に合わせ易いというものである。笠木が連続して傾斜する場合、笠木の回動中心となる固定軸と、傾斜部材の回動中心となるジョイント軸は上下方向で一致しておらず、傾斜部材の長さ調整が必要となる。
特許文献2においては、傾斜部材の回動中心(ジョイント軸の位置)をなるべく支柱の中心に配置することによって、傾斜笠木と傾斜部材を略平行状とするものである。即ち、ジョイント軸を支柱の中心位置に配置するため、支柱に凹部を設け、その凹部内で傾斜部材を連結しなければならず、フェンスの組立て作業に手間を要するものであった。
【0007】
特許文献3には、平行に立設した中空の支柱の上部に回動可能な笠木受けを設け、この笠木受けに笠木を固定し、笠木の下部に胴縁を設けたフェンスにおいて、支柱の内部中央にブラケットの一端を回動可能に支持し、このブラケットに胴縁連結用のジョイナーを固定し、ジョイナーの両側部分を支柱の両側に形成した貫通口から外部に露出し、露出したジョイナーの端部に支柱の両側に設けた胴縁の端部を固定し、笠木の回動支点と笠木の中心軸との距離と、ジョイナーの回動支点とジョイナーの中心軸との距離を等しく形成したフェンスの胴縁の連結構造が開示されている。
特許文献3によれば、笠木と胴縁を平行に配置することができ、傾斜地において笠木と胴縁が夫々直線状に連なった外観を呈することができるものである。
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載されたフェンスは、支柱を中空状とし、ジョイナーが露出する貫通口を支柱の両側に設けなければならず、支柱の構造が複雑化すると共に、支柱自体の強度低下を招くものであった。
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第2524867号公報
【特許文献2】特開平11−293965号公報
【特許文献3】特許第3129984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、支柱の真上位置に設けた笠木と、支柱間に設けた胴縁とを有するフェンスにおいて、傾斜地にフェンスを設置する際に、胴縁の長さを調節することなく、笠木の傾斜角度に合わせて笠木と平行に胴縁を取付けることができ、支柱に凹部、貫通口等を設ける必要のないフェンスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、このような事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、平行に立設した支柱に、笠木と胴縁を平行に架設したフェンスであって、支柱の真上位置に笠木を配設し、支柱の上端と笠木を連結軸を介して回動自在に連結し、隣接して対向する支柱の側面部間に胴縁を配設し、支柱の側面に胴縁連結ブラケットを上下位置調整自在として取付け、胴縁の端部と胴縁連結ブラケットを連結軸を介して回動自在に連結し、胴縁の端部と胴縁連結ブラケットの何れか一方に形成した長孔に連結軸を挿通したことによって、所期の目的を達成したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき説明する。
図1乃至6は本発明フェンスの実施例であり、図中1はフェンスを表わし、フェンス1は設置場所に平行に立設した複数の支柱2と、支柱2の真上位置に配設した笠木3と、隣接する支柱2の間で且つ笠木3の下方に設けた胴縁4と、支柱2の側面に胴縁4を連結する胴縁連結ブラケット5とから構成されている。
【0013】
設置場所に立設される支柱2は、隣接する支柱の芯間距離が2000mmとなるように設置している。なお、本実施例では支柱の芯間距離を2000mmとしたが、フェンスの強度、材質に合わせて適宜変更できるものである。
各支柱2の上端には、笠木取付ブラケット21が固定され、笠木取付ブラケット21の上端には連結軸挿通孔211が形成されている。
笠木3は支柱の間隔と同じ2000mmの長さに形成され、突き合わされた笠木3の端部同士が、笠木3の下面に形成した凹部31内に設けた連結金具32を介して連結されている。
【0014】
連結金具32の下面には凹部321が形成され、凹部321に笠木取付ブラケット21の上端が嵌入する。連結金具32の立面322に透孔323が形成され、笠木取付ブラケット21の連結軸挿通孔211と連結金具32の透孔323を合致して、ボルト軸によって形成された連結軸6を挿通し、連結軸6を回動中心として、支柱2の上端に笠木3が回動自在に取付けられている。
【0015】
胴縁4は支柱2の間に配設され、笠木3と胴縁4の間には複数本の縦桟7が平行に配設されている。縦桟7は、笠木3と胴縁4に対して回動自在に連結されており、傾斜角度に合わせて縦桟7と笠木3、胴縁4のなす角度が変化する。なお、本実施例において胴縁4は支柱2の下方位置に一本だけ設けたが、支柱2の上下位置に対状に設け、上下の胴縁間に縦桟を配設した構成でも構わない。
【0016】
胴縁4の両端部は、支柱2の側面に取付けた胴縁連結ブラケット5に連結している。胴縁4の両端には先端が二股状となった支柱連結ブラケット41が設けられ、支柱連結ブラケット41の二股状部411内に、胴縁連結ブラケット5の連結板部51が嵌入している。支柱連結ブラケット41の二股状部411には透孔412が形成され、胴縁連結ブラケット5の連結板部51には、対向する支柱に向けて水平方向に長孔52が形成されている。そして、透孔412と長孔52を挿通する連結軸8によって、胴縁4が胴縁連結ブラケット5に対し、上下方向回動自在に連結されている。なお、連結軸8はボルト軸であり、先端に螺合するナットによって支柱連結ブラケット41と胴縁連結ブラケット5を締着する。
【0017】
支柱2の側面には、上下方向にわたって蟻溝22が形成され、胴縁連結ブラケット5の基部53が蟻溝22内に嵌め込まれており、胴縁連結ブラケット5は蟻溝22に沿って上下位置調整自在である。胴縁連結ブラケット5の上下位置は位置固定螺子54によって固定される。
【0018】
以上の本発明フェンスの設置状態について説明する。先ず、支柱2は設置場所において垂直に立設される。設置場所が平地である場合、笠木3と胴縁4は水平となり、図2Bに示したとおり、支柱2と胴縁4を連結する連結軸8は、胴縁連結ブラケット5の長孔52内における支柱2から最も離れた場所に位置している。
次に図3に示すとおり、設置場所が傾斜地である場合、笠木3は支柱2の上端に設けた笠木取付ブラケット21と、連結金具32を回動自在に連結する連結軸6を中心に回動し、設置場所の傾斜角度に応じて笠木3は傾斜する。
この時、胴縁4も胴縁連結ブラケット5に挿通した連結軸8を中心に回動するが、支柱2と笠木3を連結する連結軸6と、支柱2と胴縁4を連結する連結軸8の上下位置が異なっているので、そのまま胴縁4を回動したのでは、笠木3と胴縁4が平行状とはならない。
【0019】
笠木3と胴縁4の平行状態を保つには、図4Cに示したとおり胴縁4の中心軸42と連結軸6の上下位置と一致する支柱2の中心軸23とが交差する位置Pを中心として、胴縁4を回動する必要がある。
胴縁連結ブラケット5は、支柱2に沿って上下位置調整自在であり、胴縁連結ブラケット5の長孔52に胴縁4と連結する連結軸8を挿通しているので、点Pを中心とした胴縁4の回動を可能とし、笠木3と平行状態を保った状態で胴縁4を傾斜することができる。長孔52内における連結軸8の位置は、傾斜角度が大きくなるに連れて、支柱2に近い位置となる。
【0020】
上記実施例においては、支柱連結ブラケット41の二股状部411に嵌入する胴縁連結ブラケット5の連結板部51に長孔52を形成することにより、支柱連結ブラケット41によって長孔52が目視されず、外観の悪化を招かない構成としたが、これとは逆に、支柱連結ブラケット41の透孔412を胴縁4の長手方向に沿った長孔とし、胴縁連結ブラケット5の長孔52を単なる透孔としても構わない。
さらに、胴縁連結ブラケット5の連結板部51を二股状とし、この二股状部内に支柱連結ブラケット41の先端を嵌入する構成でも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明フェンスを平地に設置した場合の正面図
【図2】図1におけるA、B部分の拡大図
【図3】本発明フェンスを傾斜地に設置した場合の正面図
【図4】図3におけるC、D部分の拡大図
【図5】支柱と笠木の連結部分を表す要部拡大図
【図6】支柱と胴縁の連結部分を表す要部拡大図
【符号の説明】
【0022】
1 フェンス
2 支柱
3 笠木
4 胴縁
5 胴縁連結ブラケット
6 連結軸
8 連結軸
52 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に立設した支柱に、笠木と胴縁を平行に架設したフェンスであって、支柱の真上位置に笠木を配設し、支柱の上端と笠木を連結軸を介して回動自在に連結し、隣接して対向する支柱の側面部間に胴縁を配設し、支柱の側面に胴縁連結ブラケットを上下位置調整自在として取付け、胴縁の端部と胴縁連結ブラケットを連結軸を介して回動自在に連結し、胴縁の端部と胴縁連結ブラケットの何れか一方に形成した長孔に連結軸を挿通したことを特徴とするフェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−240409(P2008−240409A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83964(P2007−83964)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【出願人】(000126207)シコク景材関東株式会社 (5)
【Fターム(参考)】