説明

フェンス

【課題】支柱のがたつきを防止すると共に、支柱の中や下端部で生じた錆等がベースプレート上に流れにくくなされたフェンスを提供する。
【解決手段】間隔をおいて設置されたベースプレート3の上に支柱1がそれぞれ立設され、前記支柱1の間にパネル体2が取付けられたフェンスPであって、前記ベースプレート3は、該上面部に形成された凹部32と、前記凹部32を挟んで対向配置され且つベースプレート3から上方に立ち上がる二個一対の立上り片33とを備え、この二個の立上り片33の間で支柱1の下端部11が支持されると共に、下端部先端11aが凹部32の内部に挿入されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、工場、公園等の敷地境界部や隣地境界部に沿って取付けられるフェンスに関し、特にフェンス用支柱がベースプレートを介して立設されたフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅、工場、公園等の敷地境界部や隣地境界部に沿って取付けられるフェンスにおいて、そのフェンス用支柱を設置する場合は、コンクリート基礎を用いて埋設する方法や、打ち込み装置等を用いて支柱を土面に直接打設する方法や、コンクリート面等の上にベースプレートを設置し、その上に支柱を立設させる方法等が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基板上に起立して対向一対の対向側壁と該一対の対向側壁間側部開口を八字状に閉塞する一対のカバー壁とによって区画形成した上方口狭にして下方拡開の支柱挿入空間を具備した支柱ホルダーと、該支柱ホルダーの上記一対の対向側壁及び支柱挿入空間内支柱下端間に配設した支柱傾斜角度調整自在の支柱固定手段とを備えた支柱立設装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−200662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記の支柱立設装置は、支柱の下端縁と基板との間に隙間が生じた状態で固定されるため、対向側壁の間で支柱を挟着したとしても、支柱の下端部先端は固定されていないため、支柱の傾斜角度方向には位置ずれやがたつき等の不具合が生じやすいという問題があった。又、一般的に用いられる金属製の支柱においては、支柱の下端部先端と基板との間から雨水等が浸入し、支柱の下端部先端や内部が腐食して錆等が発生して基板上に流れ出るため、その流れた跡によって外観を損ねる場合があった。
【0006】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、支柱のがたつきを防止すると共に、支柱の中や下端部先端で生じた錆等がベースプレート上に流れにくくなされたフェンスを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
【0008】
すなわちこの発明に係るフェンスは、間隔をおいて設置されたベースプレート上に支柱がそれぞれ立設され、前記支柱間にパネル体が取付けられたフェンスであって、前記ベースプレートは、該上面部に形成された凹部と、前記凹部を挟んで対向配置され且つ該ベースプレートから上方に立ち上がる二個一対の立上り片とを備え、この二個の立上り片間で支柱の下端部が支持されると共に、下端部先端が凹部内に挿入されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るフェンスにおいて、前記ベースプレートの凹部を有底とすると共に、前記底部に該ベースプレートの下面に通じる貫通孔を形成した構成としてもよい。
【0010】
又、本発明に係るフェンスにおいて、ベースプレートに上下に貫通して形成された矩形孔を、前記二個一対の立上り片と該立上り片の下部どうしを接続する接続部とを備えた略コ字状を呈するコ字金具の前記接続部によって塞ぐと共に、前記接続部の上面を前記凹部の底面となるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベースプレートの二個の立上り片間で支柱の下端部が支持されると共に、下端部先端がベースプレートの上面部に形成された凹部内に挿入されているので、支柱を強固に固定することができて、しかも、支柱の下端部先端や内部に錆等が発生した場合も、錆等は凹部の中に留まり、ベースプレート上には流れ出しにくくなる。
【0012】
本発明に係るフェンスにおいて、前記ベースプレートの凹部を有底とすると共に、前記底部に該ベースプレートの下面に通じる貫通孔を形成した構成とすれば、支柱の内部に浸入した水分や、支柱と凹部との間から浸入する雨水等は、凹部の内部に滞留せずにベースプレートの下部から流れ出るので、支柱やベースプレートの腐食を防ぐことができる。
【0013】
又本発明に係るフェンスにおいて、本発明に係るフェンスにおいて、ベースプレートに上下に貫通して形成された矩形孔を、前記二個一対の立上り片と該立上り片の下部どうしを接続する接続部とを備えた略コ字状を呈するコ字金具の前記接続部によって塞ぐと共に、前記接続部の上面を前記凹部の底面となるように構成すれば、ベースプレートの上面部に凹部を形成することが容易となり好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るフェンスにおいて実施の一形態を示す正面図である。
【図2】図1の主要部の拡大図である。
【図3】図1のベースプレートの説明図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図3の分解説明図である。
【図7】図2の分解説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0016】
図1において、1は立設された支柱、2は支柱1に取付けられるパネル体、3は支柱1が立設されるベースプレートであり、本発明に係るフェンスPは、これら支柱1、パネル体2、及びベースプレート3から構成されている。支柱1は、本実施形態では強度的に安定しておりコストの安い角パイプ状の鋼管が用いられているが、丸パイプ状の鋼管でもよく、断面H字状やT字状の鋼材等からなる支柱でもよい。又ステンレス合金やアルミニウム合金等の他の金属から形成されたものでもよい。かかる支柱1は、間隔をおいて立設されると共に、支柱1の間にパネル体2が取付けられている。
【0017】
パネル体2は、一般には、正面視矩形状の面部を有する金属板や格子状のパネル等が支柱1の間に取付けられて、パネル体2の前後で敷地境界部等を明示して、その境界部を容易に乗り越えて侵入できないものであればよい。
【0018】
かかるパネル体2は、本実施形態では、多数の縦線材21と横線材22とが格子状に配置されると共に、縦線材21と横線材22とが交叉する交叉部23において熔接により接合されたものである。縦線材21及び横線材22は、強度的に安定しておりコストの安い鋼線が好適に用いられるが、ステンレス合金アルミニウム合金などの他の金属からなる線材を用いてもよい。又、縦線材21及び横線材22の耐食性や耐候性を高めるために金属めっきや塗装が施されてもよい。
【0019】
図2は、図1において支柱1とパネル体2との取付構造を示しており、(a)は拡大正面図、(b)は拡大側面図である。パネル体2を支柱1に取付けるための取付金具4は、本実施形態では、先端に折返し部41が形成されたJ字状のボルトが使用され、支柱1の横線材22を折返し部41に係止すると共に、支柱1の前後面を貫通した棒状の螺子部42にナットN1を締め付けることによって、折返し部41と支柱1との間に前記横線材22が固定される。取付金具4は、本形態に限定されるものではなく、例えば、支柱1の前面に上方に向けて開口する縦断面U字状を呈するフック等の係止部材を取付けた形態を挙げることができる。
【0020】
又図2は、コンクリート地覆等の基礎部にベースプレート3が設置され、このベースプレート3の上に立設された支柱1を示しており、図3は前記ベースプレート3の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。ベースプレート3は、薄板状を呈し、上下方向に貫通するアンカー孔31にアンカーボルトB1が挿入され、固定ナットN2により基礎部上に固定されている。アンカーボルトB1は一般には基礎部に予め設置されているため、ベースプレート3の固定時の取付位置を調整するために長孔となされている。アンカー孔31はベースプレート3の四隅に設けられているが、ベースプレート3を基礎部に強固に固定できれば、アンカー孔31の設置数は特に限定されるものではない。
【0021】
図4は図3のA−A断面図、図5は図3のB−B断面図であり、図2〜5に示すように、ベースプレート3の上面部には、凹部32が形成されている。そして、前記凹部32を挟んで対向配置されると共に該上面部から立ち上がる二個一対の立上り片33が設けられている。
【0022】
この立上り片33の間に支柱1の下端部11が支持されると共に、前記下端部先端11aが前記凹部32内に挿入されている。これにより、支柱1を強固に支持することが可能となり、加えて、下端部先端11aがベースプレート3の上面より下方に位置するため、該凹部32に浸入した水分によって支柱1の内部や下端部11の下端縁11aで錆等が発生しても、ベースプレート3上には容易には流れ出さず、ベースプレート上に錆水の跡等が生じることを防ぎ、景観を損なうことがない。
【0023】
かかる凹部32は、本実施形態では、有底となされると共に、該底面34の上に支柱1の下端部先端11aが載置される。これにより、凹部32がベースプレート3の下面に通じ下端部先端11aがコンクリート基礎部等の上に直接載置される場合に比べて、コンクリート基礎部等に由来するアルカリ成分により下端部先端11aが腐食することを防ぐことができ、又、載置面を水平に形成しやすいので支柱1の傾き等を防ぐことができる。
【0024】
図6は、本実施形態に係るベースプレート3の組立構造を示す説明図であり、(a)は部分平面図、(b)は部分分解正面図、(c)は部分分解断面図、(d)は組立後の断面図である。(a)に示すように、ベースプレート3には、中央部に上下に貫通する矩形孔35が設けられている。又(b)、(c)に示すように、二個の立上り片33と、これらの下部どうしを接続する接続部36とからなる略コ字状を呈するコ字金具37において、前記接続部36が前記矩形孔35内に挿入され、矩形孔35の下部が塞がれると共に、接続部36の上面がベースプレート3の凹部32の底面34となされ、該下面はベースプレート3の下面と略面一となされている。
【0025】
そして、接続部36には、上下に貫通してベースプレート3の下面に通じる貫通孔36aが設けられている。これにより、支柱1の下端部先端11aをベースプレート3の凹部32に挿入して取付けた際、支柱1の内部に浸入した水分や、支柱1と凹部32との間から浸入する雨水等は、凹部32の内部に滞留せずに貫通孔36aを通ってベースプレート3の下面側から外部に流れ出るので、支柱1やベースプレート3の錆等の腐食を防ぐことができる。
【0026】
更に、(b)に示すように、コ字金具37の幅K1と、矩形孔35の幅H1とが略一致しており、(d)に示すように、コ字金具37を矩形孔35に挿入し、コ字金具37の立上り片33の外側面と矩形孔35の上端縁部とを熔接等により接合した接合部Sを設けることによって矩形孔35内にコ字金具37を固定する。これにより、ベースプレート3の凹部32を塞ぐ作業と、ベースプレート3の上面部に立上り片33を設ける作業を一緒にできるので、組立作業の効率化を図ることができる。
尚、矩形孔35に挿入したコ字金具37を接合する方法は、上記形態に限られるものではなく、例えば、コ字金具37の立上り片33の外側面に係止孔(図示せず)を設け、前記立上り片33に対向する矩形孔35の内周壁部に前記係止孔に係止する係合突起(図示せず)を設け、コ字金具37を矩形孔35内に圧入係止させることによって矩形孔35内にコ字金具37を固定する形態でもよい。
【0027】
又、コ字金具37は、1個の板部材をコ字状に折曲して形成されると共に、コ字金具37の内側の折曲部はほぼ直角に形成されていると、ベースプレート3にコ字金具37を接合するときは、前記の通りベースプレート3の上端縁部と対向するコ字金具37の立上り片33の外側面とを接合すればよく、コ字金具37の内側である立上り片33と接続部36は接合する必要はないので、熔接工程が少なくてすむ。併せて、支柱1の下端部先端11aをベースプレート3の凹部32のより底部側に差し込むことが可能となり、ベースプレート3の上に支柱1をより安定的に立設させることができる。
【0028】
尚、コ字金具37は、2個以上の板部材を組み合わせて形成したものでもよいが、コ字金具37の内側において、二個の立上り片33と接続部36とが接続箇所に形成される角部は、同様な形状の方が好ましい。これにより、支柱1の下端部先端11aを凹部32に挿入したときに、前後左右方向の支柱1のがたつきを抑えることができる。
【0029】
コ字金具37の奥行K2は、ベースプレート3の矩形孔35の奥行H2と同寸法となされている。これにより、矩形孔35に対するコ字金具37の挿入位置を容易に定めることができるので好ましいが、凹部32の底面34の上で支柱1の下端部先端11aを安定的に載置できれば、K2をH2より短くしてもよい。この場合は、コ字金具と矩形孔35との間に隙間が形成されるので、凹部32に流れこんだ雨水等をベースプレート3の下面からより容易に排出させることができる。
【0030】
図7は、ベースプレート3に対する支柱1の立設構造を示す説明図であり、(a)、(b)は部分分解正面図、(c)は部分分解側面図である。(a)に示すように、断面矩形状の支柱1の下端部11を、ベースプレート3の二個の立上り片33の間を通して、下端部先端11aをベースプレート3の上面より下方になるように凹部32に挿入させる。そして、(c)に示すように、一方の立上り片33に形成されたボルト孔33aから支柱1の下端部11を通って他方の立上り片33のボルト孔33aに固定ボルトB2を通して、固定ナットN2で締結することによって、立上り片33の間に支柱1の下端部31を挟持させて支持させる。本実施形態では、固定ボルトBは立上り片33の上下に2箇所取付けられているが、支柱1を安定的に支持させることができれば、1個のみでもよく、3個以上の複数でもよい。
【0031】
これにより、支柱1を立上り片3の間に通した際、支柱1によって立上り片33どうしを互いに押し広げる方向に生じる押圧力の一部は、矩形孔35の内周面に対する押圧力に分散されるため、前記押圧力による立上り片33への負荷を軽減させ、立上り片33の変形や、それに伴う支柱1のがたつきをより効果的に抑えることができる。
【0032】
ベースプレート3の凹部32の形状は、支柱1の下端部先端11aをがたつきなく挿入できる形状が好ましいが、図7の(b)に示すように、支柱1の前後方向には、立上り片33が存在しないので、少なくとも支柱1の奥行L1と凹部32の奥行H2は略一致させた方が好ましい。
【0033】
支柱1の形状は、本実施形態では断面矩形状であるが、多角形状でもよく、円形状、楕円形状等でもよく、支柱1の下端部11の形状に応じて、立上り片33の形状やベースプレート3の凹部32の形状を設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
支柱のがたつきを防止すると共に、支柱の中に入った水分がベースプレート上に流れにくくなされたなのでフェンスの支柱として好適に用いられると共に、門扉で用いられる門柱や、防護柵等の縦格子パネルや横ビープ等を支持する支柱にも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 支柱
11 下端部
11a 下端部先端
2 パネル体
3 ベースプレート
32 凹部
33 立上り片
34 底面
35 矩形孔
36 接続部
36a 貫通孔
37 コ字金具
4 取付金具
B 固定ボルト
N 固定ナット
P フェンス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて設置されたベースプレート上に支柱がそれぞれ立設され、前記支柱間にパネル体が取付けられたフェンスであって、前記ベースプレートは、該上面部に形成された凹部と、前記凹部を挟んで対向配置され且つ該ベースプレートから上方に立ち上がる二個一対の立上り片とを備え、この二個の立上り片間で支柱の下端部が支持されると共に、下端部先端が凹部内に挿入されていることを特徴とするフェンス。
【請求項2】
前記ベースプレートの凹部は有底となされると共に、前記底部には、該ベースプレートの下面に通じる貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフェンス。
【請求項3】
ベースプレートに上下に貫通して形成された矩形孔が、前記二個一対の立上り片と該立上り片の下部どうしを接続する接続部とを備えた略コ字状を呈するコ字金具の前記接続部によって塞がれると共に、前記接続部の上面が前記凹部の底面となされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェンス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−248791(P2010−248791A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99471(P2009−99471)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】