説明

フェンダパネルの取付構造

【課題】フロントフェンダの上端縁の下面とフードリッジの上面との間において、これら両者相互を連結するブラケットが、上部のフロントフェンダから衝撃荷重を受けて潰れる空間を減少させつつ、衝撃吸収力の減少を抑制する。
【解決手段】フードリッジ3の上面3uに設けた開口3eを橋渡すように棒状の支持部材15を設け、この支持部材15上に固定したブラケット5を介してフロントフェンダ1の取付フランジ1aを固定する。支持部材15の開口3eに対応する位置の二箇所には切欠15aを設ける。車両に衝突した障害物が、上部のフロントフェンダ1に落下して下方に向けて衝撃荷重を付与すると、ブラケット5が、下方に押されて下部の支持部材15が切欠15aを基点として破断し、フードリッジ3内の閉断面空間13に落下して衝撃を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンダパネルの上部を、該フェンダパネルの車体内側に配置されるフードリッジ上に、ブラケットを介して取り付けるフェンダパネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のフロントフェンダの上部を、衝撃吸収部材となるブラケットを介して、車体内側に位置するフードリッジの上部に固定する構造が知られている(例えば下記特許文献1参照)。この場合のブラケットは、正面視でハット形状を呈してその側壁部を鉛直方向に対して傾斜させることで、障害物がフロントフェンダ上部に衝突したときの衝撃荷重を安定して吸収し、かつ通常時に人がフロントフェンダに触ったときのしっかり感、いわゆる手付き剛性も確保するようにしている。
【特許文献1】特開2005−14763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した従来の構造では、衝撃吸収用のブラケットをフロントフェンダの上端縁の下面とフードリッジの上面との間に設けてこれら両者相互を連結固定しており、衝撃吸収時は、ブラケットが上記した両者相互間において潰れ変形する必要がある。
【0004】
このため、充分な衝撃吸収を得るためには、ブラケットが潰れる充分な空間を、フロントフェンダの上端縁の下面とフードリッジの上面との間に確保しなければならず、これはフロントフェンダ部分の車体の高さ(フード高さ)が高くなって車体の大型化を招く結果となる。
【0005】
そこで、本発明は、フェンダパネルの上端縁の下面とフードリッジの上面との間において、これら両者相互を連結するブラケットが、上部のフェンダパネルから衝撃荷重を受けて潰れる空間を減少させつつ、衝撃吸収力の減少を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フェンダパネルの上部を、該フェンダパネルの車体内側に配置されるフードリッジ上に、ブラケットを介して取り付けるフェンダパネルの取付構造において、前記フェンダパネルが衝撃荷重を受け、該衝撃荷重が前記ブラケットを介して前記フードリッジに入力されたときに、前記ブラケットを、前記フードリッジの上面より下方に位置する空間に向けて移動させることを許容するブラケット移動許容手段を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上方からブラケットを介してフードリッジに向けて衝撃荷重を受けたときに、ブラケットが、ブラケット移動許容手段の作用によって、フードリッジの上面より下方に位置する空間側に移動するので、フェンダパネルの上端縁の下面とフードリッジの上面との間において、ブラケットが潰れる空間を減少させつつ、衝撃吸収力の減少を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるフェンダパネルの取付構造を示す、車体前後方向から見た車体前部の断面図である。フェンダパネルを構成するフロントフェンダ1の車体内側には、フードリッジ3を配置しており、このフードリッジ3の上部とフロントフェンダ1の上部とを、衝撃吸収用のブラケット5を介して互いに連結している。なお、図1中で符号7にて示すものは、エンジンルーム9を上方から覆うフードである。
【0010】
フロントフェンダ1は、上端部を車体内側のフードリッジ3に向けて屈曲する取付フランジ1aを備え、この取付フランジ1aを前記したブラケット5の上面にボルト11およびナット12を用いて固定する。
【0011】
一方、フードリッジ3は、ブラケット取付面となる上面3uより下方位置に、空間としての閉断面空間13を備えている。すなわち、フードリッジ3は、上面3uを有する上壁部3aと、該上壁部3aの車幅方向外側(図1中で右側)から下方に延びる外縦壁部3bと、車幅方向内側(図1中で左側)からさらに内側方向斜め下方に延びる内側斜壁部3cと、上壁部3aの下方に位置する底壁部3dとによって、前記した閉断面空間13を形成している。
【0012】
図2は、フードリッジ3上に固定した状態のブラケット5を示す斜視図である。なお、この図2では、フロントフェンダ1を省略している。
【0013】
フードリッジ3の上壁部3aには、前記した閉断面空間13に連通する矩形状の開口3eを設け、この開口3eに対し車幅方向に橋渡すようにして、ブラケット移動許容手段となる2本の棒状の支持部材15を設けている。
【0014】
ブラケット5は、上面のフェンダ取付面5uを有するフェンダ取付壁部5aと、フェンダ取付壁部5aの車体前後方向両端部から下方に向けて互いに離れるように広がり形成される一対の傾斜壁部5bと、傾斜壁部5bの下端から車体前後方向に向けて水平に延びるフランジ部5cとを備えている。このフランジ部5cを支持部材15上に固定する。また、前記したフェンダ取付壁部5aには、前記図1に示したボルト11が挿入されるボルト挿入孔5dを設けてある。
【0015】
ブラケット5は、平面視で、フードリッジ3の上面3uに設けた開口3eより充分小さく形成してあり、ブラケット5より車幅方向外側でかつ開口3e内に対応する位置の、支持部材15の下面には、脆弱部としての切欠15aを設けている。
【0016】
上記のようなフェンダパネルの取付構造において、車両の例えば車体前後方向に障害物が衝突し、衝突後フロントフェンダ1に対して上方から再度衝突して衝撃荷重が作用すると、この衝撃荷重は、フロントフェンダ1の取付フランジ1aからブラケット5を介して
支持部材15に達する。
【0017】
このとき、支持部材15は、上記した衝撃荷重を受けることで、下面に設けてある切欠15aを起点として確実に破断し、支持部材15上のブラケット5は、図3に示すように、下方の閉断面空間13に開口3eを通して確実に落下移動する。
【0018】
上記のように、ブラケット5が閉断面空間13に落下移動することで、フロントフェンダ1の上方からの障害物の衝撃荷重を吸収することができる。
【0019】
なお、図3では、閉断面空間13に落下移動したブラケット5に、支持部材15の長手方向中央の一部15Aが取り付き、フードリッジ3の上面3uに、支持部材15の両端の一部15Bが取り付いた状態を示している。
【0020】
ここで、本実施形態では、上記した衝撃荷重を吸収する際に、ブラケット5の潰れ変形を主として利用するのではなく、ブラケット5をフードリッジ3の上面3uより下方に位置する閉断面空間13内に落とし込むようにしている。このため、フロントフェンダ1の上端縁の取付フランジ1aの下面とフードリッジ3の上面3uとの間において、ブラケット5が潰れる空間を減少させつつ、衝撃吸収力の減少を抑制することができる。換言すれば、フロントフェンダ1を設けた部分の車体の高さ(フード高さ)を低くした車両であっても、衝撃吸収力を得ることができる。
【0021】
また、フロントフェンダ1は、ブラケット5を介してフードリッジ3に連結固定しているので、通常使用時、例えば自動車のユーザなどがフロントフェンダ1の上部に手を付いて触れるなどの、いわゆるフェンダ部手付き剛性や、工場での組み付け工程での作業に必要な剛性をも確保することができる。
【0022】
図4は、本発明の第2の実施形態として、図2の変形例を示すもので、図2における棒状の支持部材15に代えて、板状の支持部材17を使用している。この支持部材17の下面には、脆弱部としての切欠17aを車体前後方向に沿って設けている。
【0023】
そして、この切欠17aは、前記図2に示した切欠15aと同様に、ブラケット5より車幅方向外側でかつ開口3e内に対応する位置に設けている。ここでのブラケット5自体の形状は、図2のものと同様であり、図4では、図2に対して平面視で90°回転させた状態としているが、図2と同様の配置としてもよい。
【0024】
また、第3の実施形態として、図5に示すように、支持部材15もしくは支持部材17とフードリッジ3の底壁部3dとの間に、弾性手段としての圧縮コイルスプリング19を設ける。
【0025】
圧縮コイルスプリング19を設けることで、フロントフェンダ1の上方からの障害物の衝撃荷重に対する反力特性を、適宜調整することが可能となり、より汎用性の高いフェンダパネルの取付構造とすることができる。すなわち、この圧縮コイルスプリング19は、フードリッジ3に作用する衝撃荷重に対する反力を調整する反力調整手段を構成している。
【0026】
図6は、本発明の第4の実施形態を示す、前記図1に対応する断面図である。この実施形態は、図4と同様の配置構成としたブラケット5を、支持部材17を介してフードリッジ3の上面3uに連結固定したものに対し、図5の圧縮コイルスプリング19に代わる、加圧手段としての油圧シリンダなどのアクチュエータ21を設けている。
【0027】
アクチュエータ21は、アクチュエータ本体21aをフードリッジ3の底壁部3d上に設置固定し、アクチュエータ本体21aから上方に延びるピストンロッド21bの先端を支持部材17の下面に所定の加圧力で加圧接触させた状態とする。なお、この場合加圧力零で、ピストンロッド21bの先端を支持部材17の下面に単に接触させた状態としてもよい。
【0028】
図7は、上記した第4の実施形態において、車両前部に障害物が衝突してから(ステップS1)、該障害物がフロントフェンダ1の上部に再度衝突する(ステップS6)までの時間ΔTと、車両前部に障害物が衝突してから(ステップS1)、アクチュエータ21の動作が完了する(ステップS5)までの時間ΔTaとの関係を示すとともに、この時間ΔT,ΔTaの間の動作を示すフローチャートである。
【0029】
ここで、アクチュエータ21は、車両前部に障害物が衝突してから、フロントフェンダ1が上方から衝撃荷重を受ける前に動作が完了するようにしており、したがって、上記の時間ΔTと時間ΔTaとの間には、ΔT>ΔTaの関係がある。
【0030】
図7において、車両に障害物が衝突したときに(ステップS1)、この衝突発生を図示しないセンサなどによって検知し(ステップS2)、その後車両速度などからブラケット5の最適反力特性を図示しない演算手段によって算出し(ステップS3)、この算出した最適反力特性となるような動作指示を、図示しない制御手段からアクチュエータ21に出力する(ステップS4)。その後、障害物がフロントフェンダ1の上部に衝突する前に、アクチュエータ21の動作が完了する(ステップS6)。
【0031】
例えば、反力特性を高める場合には、アクチュエータ21はピストンロッド21bを前進移動させる方向に作動して加圧し、逆に反力特性を低くする場合には、アクチュエータ21はピストンロッド21bを後退移動させる方向に作動して加圧力を弱める。加圧力を弱める場合には、ピストンロッド21bを支持部材15から完全に離反させてもよい。
【0032】
そして、アクチュエータ21の動作が完了した状態、つまり、ブラケット5が、車両衝突時の衝撃に対応した最適な反力特性を持った状態で、障害物がフロントフェンダ1に対して上方から衝撃荷重を付与すると、支持部材17が、前記各実施形態と同様にして切欠17aを基点として破断し、ブラケット5が閉断面空間13内に入り込んで衝撃を吸収する。
【0033】
このように、第4の実施形態においては、車両衝突時の衝撃力に応じてブラケット5の反力特性を調整できるので、より的確な衝撃吸収を実施することができる。
【0034】
なお、上記した第4の実施形態において、支持部材17に代えて、前記図1,図2に示したような支持部材15を使用してもよく、この場合には、2本の支持部材15に対応してアクチュエータ21を設置することが望ましい。
【0035】
また、第4の実施形態では、アクチュエータ21の支持部材17に対する加圧力を、車両衝突時の衝撃力に応じて調整するようにしているが、ピストンロッド21bの先端を支持部材17の下面に単に接触させた状態とし、図7のステップS6におけるフロントフェンダ1に障害物が衝突する前に、ピストンロッド21bを後退移動させ支持部材17から離反させた状態となるようにしてもよい。
【0036】
これにより、前記図2,図4の実施形態に比較して、通常使用時では、アクチュエータ21でブラケット5を支持しているので、反力特性を高めた状態とすることができる。
【0037】
図8は、第5の実施形態として、図6の変形例を示すもので、前記図6に示した第4の実施形態における縦方向に配置したアクチュエータ21に代えて、横方向に寝かせて配置するアクチュエータ23を使用している。このアクチュエータ23は、アクチュエータ本体23aを、フードリッジ3の上壁部3aの下面における図8中で開口3eの左側部分に固定し、アクチュエータ本体23aから右方向に延びるピストンロッド23bの上部側の側面を、支持部材17の下面に固定した連結部材25の下面に対し移動可能に接触させた状態とする。
【0038】
上記したアクチュエータ23は、図8に示すピストンロッド23bの前進限状態と、ピストンロッド23bが後退移動して連結部材25から離反した後退限状態との間を移動可能である。
【0039】
なお、上記した連結部材25は、支持部材17に設けてある左右二つの切欠17aの相互間に位置するよう設けている。また、アクチュエータ23は、横置き配置していることから、アクチュエータ本体23aの後端部をフードリッジ3の閉断面空間13内から外部に突出させている。
【0040】
上記図8に示す第5の実施形態におけるアクチュエータ23の動作は、前記図6に示した第4の実施形態におけるアクチュエータ21のピストンロッド21bの先端を支持部材17の下面に単に接触させた状態とした場合と同様である。
【0041】
すなわち、アクチュエータ23のピストンロッド23bを、図8に示す前進限状態として連結部材25に接触させた状態で、前記図7のステップS6におけるフロントフェンダ1に障害物が衝突する前に、ピストンロッド23bを後退移動させ支持部材17から離反させた状態とする。
【0042】
これにより、通常使用時では、アクチュエータ23でブラケット5を支持しているので、前記図2,図4の実施形態に比較して、反力特性を高めた状態とすることができる。一方、フロントフェンダ1に障害物が衝突して衝撃荷重を受ける際には、反力特性を下げて支持部材17の破断に伴うブラケット5の下方への移動により衝撃吸収を実施することができる。
【0043】
図9は、本発明の第6の実施形態を示す、前記図2に対応する斜視図である。第6の実施形態は、フードリッジ3の上面3uに、凹部としての貫通孔3fを設け、この貫通孔3f内に、ブラケット50を配置している。
【0044】
ここでのブラケット50は、前記した第1〜第5の各実施形態におけるブラケット5とは異なり、図9では図示していないフロントフェンダ1からの上方から入力によって潰れ変形して、衝撃を吸収するものである。
【0045】
上記したブラケット50の全体の形状としては、ブラケット5とほぼ同様であり、上面のフェンダ取付面50uを有するフェンダ取付壁部50aと、フェンダ取付壁部50aから下方に向けて互いに離れるように広がり形成される一対の傾斜壁部50bと、傾斜壁部50bの下端から車体前後方向に延びるフランジ部50cとを備えている。また、フェンダ取付壁部50aには、前記図1に示したボルト11が挿入されるボルト挿入孔50dを設けてある。
【0046】
そして、ここでのブラケット50は、傾斜壁部50bおよびフランジ部50cを車体前後方向に向けて配置し、上部側の一部をフードリッジ3の貫通孔3fから上方に突出させた状態で、下部の取付部となるフランジ50cを、フードリッジ3の底壁部3d上に溶接などにより固定する。
【0047】
すなわち、ブラケット50は、上面のフェンダ取付面50uを、フードリッジ3の上面3uよりも上方に位置させる一方、下部の取付部であるフランジ部50cをフードリッジ3の上面3uよりも下方に位置させていることになる。
【0048】
上記のようなフェンダパネルの取付構造において、前記図1に示した実施形態と同様に、車両の例えば車体前後方向に障害物が衝突し、衝突後フロントフェンダ1に対して上方から再度衝突して衝撃荷重が作用すると、この衝撃荷重は、フロントフェンダ1の取付フランジ1aからブラケット50に達する。
【0049】
このときブラケット50は、上記衝撃荷重を受けることで、フードリッジ3内の閉断面空間13内に入り込むようにして潰れ変形し、フロントフェンダ1の上方からの障害物の衝撃荷重を吸収する。
【0050】
このように第6の実施形態においては、上記した衝撃荷重を吸収する際に、ブラケット50がフードリッジ3内の閉断面空間13内に入り込むようにして潰れ変形するので、前記図1に示した第1の実施形態と同様に、フロントフェンダ1の上端縁の取付フランジ1aと、フードリッジ3の上面3uとの間において、ブラケット50が潰れる空間を減少させつつ、衝撃吸収力の減少を抑制することができる。換言すれば、フロントフェンダ1部分の車体の高さの低い車両であっても、反力特性を下げて衝撃吸収力を高めることができる。
【0051】
また、フロントフェンダ1は、ブラケット50を介してフードリッジ3に連結固定しているので、通常使用時、例えば自動車のユーザなどがフロントフェンダ1の上部に手を付いて触れるなどの、いわゆるフェンダ部手付き剛性や、工場での組み付け工程での作業に必要な剛性をも確保することができる。
【0052】
図10は、本発明の第7の実施形態を示す、前記図9に対応する斜視図である。第7の実施形態は、前記図9に示した第6の実施形態における貫通孔3fに代えて、フードリッジ3の上面3uに、凹部3gを設け、この凹部3gの底面3h上に、図9よりも傾斜壁部50bの長さが短いブラケット50を取り付けている。
【0053】
すなわち、このブラケット50においても、上面のフェンダ取付面50uを、フードリッジ3の上面3uよりも上方に位置させる一方、下部の取付部であるフランジ部50cをフードリッジ3の上面3uよりも下方に位置させて、該フランジ部50cを凹部3gの底面3hに溶接などにより固定している。
【0054】
上記図10に示した第7の実施形態においても、フロントフェンダ1の上方からの障害物の衝撃荷重を吸収する際に、ブラケット50がフードリッジ3の凹部3g内に入り込むようにして潰れ変形するので、前記図1に示した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
ところで、前記した各実施形態(図10の第7の実施形態は除く)では、フードリッジ3の上面(ブラケット取付面)3aに、開口3eや貫通孔3fを設けているが、これら開口3eや貫通孔3fを設定した部位付近に対する補強構造として、図11〜図13に模式的に示すようなものが考えられる。
【0056】
図11(a)は、開口3eや貫通孔3fの車体前後方向両側に、隔壁27を設けており、図11(b)は、開口3eや貫通孔3fの下方の閉断面空間13に対して周囲六方、すなわち、開口3eや貫通孔3fを除く部分の上下方向と、車幅方向両側方と、車体前後方向の周囲六方を囲む箱状のレインフォース29を設けている。
【0057】
図12は、フードリッジ3の上面3uに対し、図12(a)のように、開口3eや貫通孔3fを形成するための開口領域に対角線状に切込31を入れ、図12(b)に示すように、この切込31によって分断された周囲四方における三角形状の切込片33を、閉断面空間13内に向けて折り込み、折り込んだ先端をフードリッジ3の底壁部3dに溶接などにより接合固定する。
【0058】
なお、開口3eや貫通孔3fが図12のように長方形の場合には、四つの切込片33のうち、車体前後方向のものと、車幅方向のものとでは、図12(b)のように折り込んだ状態で車体上下方向の長さが異なるが、例えば、フードリッジ3の閉断面空間13内の上下高さよりも切込片33が長い場合には先端を折り曲げ、また逆に短い場合には、切込片33の先端と底壁部3dとの間に別部材を設けるなどで対応する。
【0059】
図13は、フードリッジ3の上面3uに対し、図13(a)のように、開口3eや貫通孔3fを形成するための開口領域に切込35を入れるが、この切込35は、車体前後方向に延びる中央の中央切込35aと、中央切込35aの両端から開口3eや貫通孔3fとなる開口領域の四方の角部に延びる周囲切込35bとからなる。
【0060】
そして、図13(b)に示すように、この切込35によって分断された車体前後方向における三角形状の二つの切込片37および、車幅方向における台形状の二つの切込片39を、閉断面空間13内に向けて折り込み、折り込んだ先端37a,39aをフードリッジ3の底壁部3dに溶接などにより接合固定する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わるフェンダパネルの取付構造を示す、車体前後方向から見た車体前部の断面図である。
【図2】図1のフェンダパネルの取付構造におけるフードリッジに固定した状態のブラケットを示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態におけるブラケットが衝撃荷重を受けてフードリッジ内の空間に落下した状態を示す作用説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す、図2に対応する斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す、図1に対応する断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態を示す、図1に対応する断面図である。
【図7】第4の実施形態において、車両前部に障害物が衝突してから、該障害物がフロントフェンダの上部に衝突するまでと、車両前部に障害物が衝突してから、アクチュエータの動作が完了するまでの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第5の実施形態を示す、図6に対応する断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態を示す、図2に対応する斜視図である。
【図10】本発明の第7の実施形態を示す、図9に対応する斜視図である。
【図11】フードリッジの上面に開口などを設けたことに対する補強構造を示す斜視図である。
【図12】フードリッジの上面の開口などを設けたことに対する補強構造の製作例を示す斜視図である。
【図13】フードリッジの上面の開口などを設けたことに対する補強構造の製作例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 フロントフェンダ(フェンダパネル)
3 フードリッジ
3e 開口
3f 貫通孔(凹部)
3g 凹部
3h 凹部の底面
3u フードリッジの上面
5 ブラケット
13 閉断面空間(フードリッジの上面より下方に位置する空間)
15,17 支持部材(ブラケット移動許容手段)
15a,17a 切欠(脆弱部)
19 圧縮コイルスプリング(弾性手段,反力調整手段)
21 アクチュエータ(加圧手段,反力調整手段)
50 フェンダパネルからの入力によって潰れ変形するブラケット
50c ブラケットの取付部
50u フェンダ取付面(ブラケットの上面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンダパネルの上部を、該フェンダパネルの車体内側に配置されるフードリッジ上に、ブラケットを介して取り付けるフェンダパネルの取付構造において、前記フェンダパネルが衝撃荷重を受け、該衝撃荷重が前記ブラケットを介して前記フードリッジに入力されたときに、前記ブラケットを、前記フードリッジの上面より下方に位置する空間に向けて移動させることを許容するブラケット移動許容手段を設けたことを特徴とするフェンダパネルの取付構造。
【請求項2】
前記ブラケットが取り付けられる前記フードリッジの上面に、該上面より下方に位置する前記空間に連通する開口を設け、この開口に対応して前記ブラケット移動許容手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のフェンダパネルの取付構造。
【請求項3】
前記ブラケット移動許容手段は、前記フードリッジ上に設けられて前記ブラケットを支持固定する支持部材で構成され、この支持部材に脆弱部を設けたことを特徴とする請求項2に記載のフェンダパネルの取付構造。
【請求項4】
前記支持部材と該支持部材の下方の車体本体側との間に、前記フェンダパネルから前記ブラケットを介して前記フードリッジに作用する衝撃荷重に対する反力を調整する反力調整手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載のフェンダパネルの取付構造。
【請求項5】
前記反力調整手段は、弾性手段で構成されていることを特徴とする請求項4に記載のフェンダパネルの取付構造。
【請求項6】
前記反力調整手段は、前記支持部材に対する下方からの加圧力を調整可能な加圧手段で構成されていることを特徴とする請求項4に記載のフェンダパネルの取付構造。
【請求項7】
フェンダパネルの上部を、該フェンダパネルの車体内側に配置されるフードリッジ上に、上方の前記フェンダパネルからの衝撃荷重によって潰れ変形するブラケットを介して取り付けるフェンダパネルの取付構造において、前記フードリッジの上面に凹部を設け、この凹部内に前記ブラケットを配置し、該ブラケットは、上面を前記フードリッジの上面よりも上方に位置させる一方、下部の取付部を前記フードリッジの上面よりも下方に位置させることを特徴とするフェンダパネルの取付構造。
【請求項8】
前記フードリッジの上面に、その下方に形成した空間に連通する貫通孔を設けて前記凹部を構成し、この凹部の底面に前記ブラケットの取付部を取り付けたことを特徴とする請求項7に記載のフェンダパネルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−94318(P2008−94318A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280360(P2006−280360)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】