説明

フォーカス係数計測用治具およびフォーカス係数計測方法

【課題】 計測環境等によって結果が左右されにくく、精度良くフォーカス係数を計測することのできる、フォーカス係数計測用治具およびフォーカス係数計測方法を提供する。
【解決手段】 第一反射面2aと、第一反射面2aよりもピックアップ16との距離が長くなるように段違いに形成された第二反射面2bとが設けられたフォーカス係数計測用治具Aをレーザー光の照射経路上に配置するステップと、ピックアップ16を第一反射面2aとの対向位置に位置させてフォーカスサーチを行った際の第一フォーカス制御値V1を計測するステップと、ピックアップ16を第二反射面2bとの対向位置に位置させてフォーカスサーチを行った際の第二フォーカス制御値V2を計測するステップと、第一および第二反射面2a,2b間の垂線方向の距離Lと、第二フォーカス制御値V2と第一フォーカス制御値V1との差Vとの比から、フォーカス係数を算出するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置においてピックアップの対物レンズをフォーカス方向に移動させる制御を行うためのフォーカス制御値の変化量と、該フォーカス制御値の変化量に対応する対物レンズの移動距離との比であるフォーカス係数を求めるのに用いられるフォーカス係数計測用治具、および、そのフォーカス係数計測用治具を用いたフォーカス係数計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置においてピックアップから光ディスクの記録面にレーザー光を照射してデータを読み書きする際、レーザー光のフォーカスが常に記録面に合うように、ピックアップの対物レンズを光ディスク面に対して接離動させるフォーカス制御がなされている。
対物レンズは、フォーカス制御値としての、ピックアップに設けられたフォーカスコイルに印加される電圧の値(FDO信号)に応じて、光ディスクに対して接離動(フォーカス方向に移動)するよう設けられている。
そして、前記フォーカス制御は、レーザー光の記録面からの反射光をピックアップにより受光し、受光した光の光強度信号を変換して得た電気信号からFE信号を抽出し、このFE信号を元に、対物レンズと記録面との距離が一定に保たれるよう、フォーカスコイルに印加する電圧(FDO信号)を制御して対物レンズを移動制御することで行われる。
【0003】
ところで、近年、光ディスクの記録密度の高度化に伴い、光ディスク装置には、より高精度な読み書き性能が要求されている。例えば、従来の光ディスクの読み書きにおいては問題とならなかった程度の光ディスクのわずかな反りや歪みに対しても、より高精度な対物レンズのチルト制御等の補正制御が要求されるようになってきている。
【0004】
光ディスクの反りや歪みに対して高精度なチルト制御等の補正制御を行うためには、光ディスクの反りを正確に計測する必要がある。
ここで、前記フォーカス制御により、対物レンズは、光ディスクの記録面との距離が常に一定に保たれるよう制御されているから、対物レンズの移動状態を計測すれば、光ディスクの反りや歪みを正確に把握することができる。対物レンズの移動状態は、フォーカスコイルに印加される電圧(FDO信号)の値に対応している。したがって、フォーカス制御値である、フォーカスコイルに印加される電圧値を計測することで、対物レンズのフォーカス方向の移動距離を算出することができる。
【0005】
さて、ここで、フォーカスコイルに印加される電圧の変化量を、対物レンズのフォーカス方向の移動距離に換算する必要が生じる。これには、フォーカスコイルに印加する電圧値(フォーカス制御値)の変化量と、そのフォーカス制御値の変化量に対応する対物レンズの移動距離との比であるフォーカス係数が用いられる。例えば、対物レンズをある単位距離だけ移動させるのに必要な、フォーカスコイルに印加する電圧値の変化量を、フォーカス係数として採用することができる。
フォーカス係数を用いれば、印加電圧の変化量を、対物レンズの移動距離に換算することができ、光ディスクの反りまたは歪み量を計測することができる。
【0006】
光ディスク装置において、フォーカス係数を用いて対物レンズの移動距離を算出するためには、工場出荷時以前に、フォーカス係数を光ディスク装置のフラッシュROM等の不揮発性メモリに記憶させておく必要がある。
なお、各光ディスク装置が互いに同一機種であったとしても、ピックアップ、対物レンズ、およびフォーカスコイル等のメカ要素の特性のバラツキにより、フォーカス係数は、個々の光ディスク装置間で必ずしも一致しないため、個々の装置毎に個別に計測して、不揮発性メモリに記憶させておくことが望ましい。
【0007】
ここで、フォーカス係数の従来の計測および算出方法を説明する。
まず、フォーカス方向に面ブレを起こす光ディスクを予め用意する。この光ディスクのフォーカス方向の面ブレ幅は、他の測定装置等により予め測定しておく。
この光ディスクを計測対象の光ディスク装置に挿入し、光ディスクを回転制御した状態で、ピックアップから光ディスクの記録面にレーザー光を照射してフォーカス制御(フォーカスサーチ)を行う。
【0008】
そして、回転する前記光ディスクに対してフォーカス制御を行った際のFDO信号の振幅、すなわち変化量は、光ディスクの面ブレに追随する対物レンズのフォーカス方向の移動距離に対応する。したがって、このFDO信号の振幅(フォーカスコイルに印加する電圧の変化量)を計測し、それと光ディスクの前記面ブレ幅との比をとることで、前記フォーカス係数が求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のフォーカス係数の計測方法では、例えば光ディスクの温度の相違、光ディスクの回転速度のバラツキ、および、光ディスクの保持状態のバラツキ等の要因により、光ディスクの前記面ブレ幅にバラツキが生じ、正確なフォーカス係数の計測が困難であるという課題がある。
フォーカス係数が正確でないと、例えば光ディスクの反りや歪みの正確な計測が行えないため、チルト制御といった補正制御等が高精度に行えず、光ディスクの読み書き性能にも悪影響が生じる恐れがある。
【0010】
本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、計測環境等によって結果が左右されにくく、精度良くフォーカス係数を計測することのできる、フォーカス係数計測用治具およびフォーカス係数計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者は、上記課題を解決するために、回転時に面ブレを起こす光ディスクに替えて、環境等に影響を受けない治具を用いることに想到し、その治具と治具を用いたフォーカス係数計測方法との構成を精査研究し工夫した結果、本願発明を完成させた。
【0012】
本発明に係るフォーカス係数計測用治具は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、光ディスク装置においてピックアップの対物レンズをフォーカス方向に移動させる制御を行うためのフォーカス制御値の変化量と、該フォーカス制御値の変化量に対応する対物レンズの移動距離との比であるフォーカス係数を求めるのに用いられるフォーカス係数計測用治具であって、光ディスクの径方向に往復移動可能な前記ピックアップから照射されるレーザー光の照射経路上に配置可能に設けられ、前記ピックアップから照射されたレーザー光を反射する第一反射面と、該第一反射面に対し前記往復移動方向に並んで、第一反射面と平行、かつ第一反射面よりも前記ピックアップとの距離が長くなるように段違いに形成された、ピックアップから照射されたレーザー光を反射する第二反射面とが設けられていることを特徴とする。
これによれば、フォーカス係数計測用治具の第一反射面と第二反射面との距離を利用してフォーカス係数を計測できるため、面ブレを起こす光ディスクを利用する従来方法のように計測環境等によって面ブレ幅のバラツキの影響を受けることがなく、精度良くフォーカス係数を計測することができる。
【0013】
さらに、前記ピックアップの前記径方向の移動を案内する案内部上に載置することで、前記照射経路上に配置可能であることを特徴とする。
さらに、前記案内部に端面が当接する脚部が設けられていることを特徴とする。
また、前記案内部は、ガイドシャフトであることを特徴とする。
これによれば、当該フォーカス係数計測用治具を、ピックアップの移動経路に正確に沿うよう配置することができる。
【0014】
また、光ディスク装置の光ディスクを保持する保持部を避ける、切り欠き部が形成されていることを特徴とする。
これによれば、当該フォーカス係数計測用治具を、保持部が邪魔となって、ピックアップの近くに配置できなくなったり、前記照射系路上に配置しにくくなったりすることがなく、簡単に配置をすることができる。
【0015】
また、本発明に係るフォーカス係数計測方法は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のフォーカス係数計測用治具を用いたフォーカス係数計測方法であって、前記フォーカス係数計測用治具を前記照射経路上に配置するステップと、前記ピックアップを前記第一反射面との対向位置である第一対向位置に位置させ、ピックアップから第一反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第一フォーカス制御値を計測するステップと、前記ピックアップを前記第二反射面との対向位置である第二対向位置に位置させ、ピックアップから第二反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第二フォーカス制御値を計測するステップと、前記第一反射面に対するフォーカスサーチと前記第二反射面に対するフォーカスサーチとの間の前記対物レンズの移動距離を表す、第一および第二反射面間の垂線方向の距離と、前記第二フォーカス制御値と前記第一フォーカス制御値との差との比から、前記フォーカス係数を算出するステップとを含むことを特徴とする。
これによれば、フォーカス係数計測用治具の第一反射面と第二反射面との距離を利用してフォーカス係数を計測するため、面ブレを起こす光ディスクを利用する従来方法のように計測環境等によって面ブレ幅のバラツキの影響を受けることがなく、精度良くフォーカス係数を計測することができる。
【0016】
また、請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のフォーカス係数計測用治具を用いたフォーカス係数計測方法であって、前記フォーカス係数計測用治具を前記照射経路上に配置するステップと、前記ピックアップを前記第一反射面との対向位置である第一対向位置に位置させ、ピックアップから第一反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第一フォーカス制御値を計測するステップと、前記ピックアップを前記第二反射面との対向位置である第二対向位置に位置させ、ピックアップから第二反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第二フォーカス制御値を計測するステップと、前記ピックアップを、前記第一反射面との対向位置であって前記第一対向位置よりも前記第二反射面寄りの第三対向位置に位置させ、ピックアップから第一反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第三フォーカス制御値を計測するステップと、前記第一および第二反射面間の垂線方向の距離と、前記第一、第二および第三対向位置間の距離と、前記第一、第二および第三フォーカス制御値とから、前記フォーカス係数を算出するステップとを含むことを特徴とする。
さらに、前記第一および第二反射面間の垂線方向の距離をL、前記第一対向位置と前記第三対向位置との間の距離をD1、前記第二対向位置と第三対向位置との距離をD2、前記第一フォーカス制御値をV1、前記第二フォーカス制御値をV2、前記第三フォーカス制御値をV3、前記フォーカス係数をk、第三フォーカス制御値V3と第一フォーカス制御値V1との差(V3−V1)をδ1、第二フォーカス制御値V2と第三フォーカス制御値V3との差(V2−V3)をδ2、{δ2−(D2/D1)δ1}をVで、それぞれ表した場合、前記フォーカス係数を算出するステップは、前記フォーカス係数kを、
【数3】

の式により算出することを特徴とする。
また、請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のフォーカス係数計測用治具を用いたフォーカス係数計測方法であって、前記フォーカス係数計測用治具を前記照射経路上に配置するステップと、前記ピックアップを前記第一反射面との対向位置である第一対向位置に位置させ、ピックアップから第一反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第一フォーカス制御値を計測するステップと、前記ピックアップを前記第二反射面との対向位置である第二対向位置に位置させ、ピックアップから第二反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第二フォーカス制御値を計測するステップと、前記ピックアップを、前記第二反射面との対向位置であって前記第二対向位置よりも前記第一反射面から離間した第三対向位置に位置させ、ピックアップから第二反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第三フォーカス制御値を計測するステップと、前記第一および第二反射面間の垂線方向の距離と、前記第一、第二および第三対向位置間の距離と、前記第一、第二および第三フォーカス制御値とから、前記フォーカス係数を算出するステップとを含むことを特徴とする。
さらに、前記第一および第二反射面間の垂線方向の距離をL、前記第一対向位置と前記第二対向位置との間の距離をD1、第二対向位置と前記第三対向位置との距離をD2、前記第一フォーカス制御値をV1、前記第二フォーカス制御値をV2、前記第三フォーカス制御値をV3、前記フォーカス係数をk、第二フォーカス制御値V2と第一フォーカス制御値V1との差(V2−V1)をδ1、第三フォーカス制御値V3と第二フォーカス制御値V2との差(V3−V2)をδ2、{δ1−(D2/D1)δ2}をVで、それぞれ表した場合、前記フォーカス係数を算出するステップは、前記フォーカス係数kを、
【数4】

の式により算出することを特徴とする。
これによれば、第一〜第三対向位置の三箇所において第一および第二反射面に対するフォーカス制御値を計測するため、ピックアップの往復移動方向に対して第一および第二反射面が傾斜して(平行でなく)配置された場合であっても、フォーカス係数を正確に計測することができる。
【0017】
また、前記フォーカス制御値は、前記対物レンズをフォーカス方向に移動させるためのフォーカスコイルに印加される電圧値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、計測環境等によって結果が左右されにくく、精度良くフォーカス係数を計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係るフォーカス係数計測用治具、およびそれを用いたフォーカス係数計測方法の好適な実施の形態について以下に説明する。
【0020】
(フォーカス係数計測用治具)
図1は、本発明の実施の形態に係るフォーカス係数計測用治具Aの斜視説明図である。図2(a)は、フォーカス係数計測用治具Aの、図1のX方向からの側面図であり、図2(b)は、フォーカス係数計測用治具Aの底面図である。
フォーカス係数計測用治具Aは、ステンレス等の金属の削り出しにより一体に成形され、板状部2と、板状部2から、板状部2の板面に対してほぼ垂直に延びる三つの脚部4a,4b,4cとを備える。
【0021】
板状部2の、脚部4a,4b,4cが形成されている一面側には、平面状の第一反射面2aと、第一反射面2aに並んで、第一反射面2aと平行、かつ第一反射面とは段違いに形成された第二反射面2bとが設けられている。図2(a)に示すように、第一反射面2aと第二反射面2bとはそれらの垂線方向に所定の距離をもって段違いに形成されている。
第一および第二反射面2a,2bは、高精度な平坦面研磨によって鏡面状に仕上げられ、レーザー光を好適に反射するよう構成される。
【0022】
また、板状部2は、板面がほぼ長方形状に形成されるが、一隅に第一切り欠き部2cが形成される。切り欠き部2cは、図1および図2に示すように、板状部2の側面に対して滑らかに連続するよう形成される。
【0023】
また、板状部2の一縁部には、光ディスク装置の、光ディスクを保持する保持部を避けるための、第二切り欠き部2dが形成されている。第二切り欠き部2dは、板状部2の第一および第二反射面2a,2b側の面の一部に凹状の段差部を設けて肉薄に形成することで設けられている。
【0024】
フォーカス係数計測用治具Aは、図3に示すように、光ディスク装置Dのピックアップの上方に覆いかぶせられるようにして、レーザー光照射経路上に配置される。この際、フォーカス係数計測用治具Aは、各脚部4a,4b,4cの端面(下面)が、光ディスク装置のガイドシャフト12上に当接して支持されるよう配置される。
【0025】
ガイドシャフト12は、光ディスクの径方向のピックアップの往復移動を案内する案内部である。本実施の形態においては、ガイドシャフト12は、光ディスクのほぼ径方向に、光ディスク面に対し平行に延びる円柱状に形成される。ガイドシャフト12は、ピックアップを挟むように2本設けられ、互いに平行に配設されている。また、2本のガイドシャフト12は、2本のガイドシャフト12の軸線を含む平面が光ディスク面と平行となるように、光ディスク面に対して同じ高さに配設されている。ガイドシャフト12は、ピックアップが搭載された台座18に挿通され、台座18を光ディスクの径方向に移動可能に案内している。
台座18はさらに、ガイドシャフト12に平行に設けられたスクリュー軸20に係合され、スクリュー軸20の回転によりガイドシャフト12に沿って移動される。スクリュー軸20は、モータ22により回転制御される。
【0026】
図1および図2に示すように、脚部4a,4b,4cは、一隅に切り欠き部2cが形成されたほぼ長方形状の板状部2の、残りの三つの隅のそれぞれに一つずつ形成される。
図3に示すように、各脚部4a,4b,4cは、フォーカス係数計測用治具Aが前記照射経路上に配置される際に、脚部4a,4bが2本のガイドシャフト12のうちの一方の上に当接し、脚部4cが他方のガイドシャフト12の上に当接するよう、ガイドシャフト12の配置に合わせて形成されている。
各脚部4a,4b,4cは、ガイドシャフト12と第一および第二反射面2a,2bとの平行度を高精度に保持するために、互いの長さが等しくなるよう、その寸法が高精度に形成されている。
【0027】
また、各脚部4a,4b,4cは、なるべくガイドシャフト12の端部寄りに当接するよう配設する。これは、ガイドシャフト12上の各脚部4a,4b,4cがピックアップの移動をできるだけ妨げないようにする目的と、フォーカス係数計測用治具Aの重量によるガイドシャフト12の撓みを小さくする目的とからである。
【0028】
フォーカス係数計測用治具Aがガイドシャフト12上に載置されて配置されることで、第一反射面2aと第二反射面2bとが、ピックアップに対向して、ガイドシャフト12の軸線方向、すなわち光ディスクの径方向に並ぶ。このとき、第一反射面2aと第二反射面2bとの前記段差により、第二反射面2bは、第一反射面2aよりもピックアップとの距離が長くなる。
【0029】
また、第二切り欠き部2dにより、図3に示すように、フォーカス係数計測用治具Aを光ディスク装置Dのピックアップのレーザー光照射経路上に配置した際に、光ディスクの保持部14にフォーカス係数計測用治具Aが当接してしまうことがない。
なお、第二切り欠き部のフォーカス係数計測用治具上の形成位置は、フォーカス係数の測定の対象となる光ディスク装置の保持部の配置構成に合わせて適宜変更してよい。
【0030】
(フォーカス係数計測方法)
次に、本フォーカス係数計測用治具Aを用いたフォーカス係数計測方法の実施の形態について説明する。
【0031】
フォーカス係数の計測、および、その求められたフォーカス係数の光ディスク装置の不揮発性メモリ等への記憶を行う工程は、光ディスク装置の工場において、各光ディスク装置の組み立て後、光ディスク装置を工場から出荷する前に行う。この際、出荷時の設定および検査を行うための専用のホストコンピュータに光ディスク装置を接続し、ホストコンピュータと光ディスク装置との間で、出荷時の設定および検査用の各種コマンドや情報をやり取りして、光ディスク装置に、フォーカス係数の記憶等の必要な設定や検査を行う。
【0032】
本実施の形態に係るフォーカス係数計測方法において、光ディスク装置Dのピックアップ等を制御したり、FDO信号の電圧値(第一フォーカス制御値)を取得したりするなどの制御は、前記ホストコンピュータから送信されたピックアップの移動およびレーザー光照射を命令するコマンドや、前記電圧値の計測を命令するコマンド等に基づいて、光ディスク装置Dの制御部が実行する。また、計測された電圧値等に基づく計算処理を行うステップは、光ディスク装置からホストコンピュータに送信されたデータに基づいて、ホストコンピュータの制御部が実行する。
なお、もちろん本願発明はこれに限定されるものではなく、ホストコンピュータを介さずに、光ディスク装置D内のマイコン制御部のみによって、ピックアップの移動およびレーザー光照射制御や、計算処理等を実行するよう構成してもよい。
【0033】
以下に説明するフォーカス係数計測方法においては、説明の簡単のため、ホストコンピュータの制御部と光ディスク装置D内のマイコン制御部とを総称して「制御部」と表現する。
【実施例1】
【0034】
フォーカス係数計測方法の実施例1を説明する。
まず、フォーカス係数計測用治具Aを、図3のように、ガイドシャフト12上に載置して、ピックアップのレーザー光照射経路上に配置する。
【0035】
次に、図4に示すように、制御部は、ピックアップ16を第一反射面2aとの対向位置である第一対向位置に移動させる。そして、ピックアップ16から第一反射面2aにレーザー光を照射してフォーカスサーチを行い、第一反射面2aにフォーカスが合った状態での、フォーカスコイルに印加されたFDO信号の電圧値(第一フォーカス制御値)V1を計測し、RAM等の記憶手段に記憶する。
なお、図4において、黒塗り矢印は電圧を表し、線矢印は距離を表している。
【0036】
次に、図4に示すように、制御部は、ピックアップ16を第二反射面2bとの対向位置である第二対向位置に移動させる。そして、同様にピックアップ16から第二反射面2bにレーザー光を照射してフォーカスサーチを行い、第二反射面2bにフォーカスが合った状態での、フォーカスコイルに印加されたFDO信号の電圧値(第二フォーカス制御値)V2を計測し、RAM等の記憶手段に記憶する。
なお、第一対向位置における第一フォーカス制御値の計測と、第二対向位置における第二フォーカス制御値の測定との各ステップの順番は入れ替えても差し支えない。
【0037】
ここで、第一反射面2aに対するフォーカスサーチ時の対物レンズの位置と、第二反射面2bに対するフォーカスサーチ時の対物レンズの位置とは、フォーカス方向に、第一反射面2aと第二反射面2bとの垂線方向の距離Lだけずれていることになる。
そこで、制御部は、第一反射面2aと第二反射面2bとの垂線方向の距離L(既知の定数)と、第二フォーカス制御値V2と第一フォーカス制御値V1との差との比から、フォーカス係数kを算出する。
すなわち、第二フォーカス制御値V2と第一フォーカス制御値V1との差(V2−V1)をVで表すと、制御部は、フォーカス係数kを、
k=(V/L)
の式で算出する。
【実施例2】
【0038】
フォーカス係数計測用治具Aは、従来の面ブレ光ディスクに比較して、環境の影響を受けにくいものであるが、何らかの要因(例えばフォーカス係数計測用治具Aの脚部4a,4b,4cとガイドシャフト12との間に塵等が挟まるなど)により、図5に示すようにフォーカス係数計測用治具Aが傾斜してしまうことが起こりうる。この場合、前記実施例1のフォーカス係数計測方法では、第一対向位置における第一反射面2aと、第二対向位置における第二反射面2bとの間の、ピックアップ16に対するそれぞれの距離の差が、前記Lと等しくならないため、正確なフォーカス係数が求められない。
以下に説明する実施例2は、実施例1のこの問題を解決したフォーカス係数計測方法であり、フォーカス係数計測用治具Aが傾斜して配置された場合でも、正確なフォーカス係数を求められるものである。
【0039】
まず、フォーカス係数計測用治具Aを、図3のように、ガイドシャフト12上に載置して、ピックアップのレーザー光照射経路上に配置する。
この際、図5に示すように、フォーカス係数計測用治具Aが角度θだけ傾斜したものとする。
【0040】
図5に示すように、制御部は、ピックアップ16を第一反射面2aとの対向位置である第一対向位置に移動させる。そして、ピックアップ16から第一反射面2aにレーザー光を照射してフォーカスサーチを行い、第一反射面2aにフォーカスが合った状態での、フォーカスコイルに印加されたFDO信号の電圧値(第一フォーカス制御値)V1を計測し、RAM等の記憶手段に記憶する。
なお、図5において、黒塗り矢印は電圧を表し、線矢印は距離を表している。
【0041】
次に、制御部は、ピックアップ16を第二反射面2bとの対向位置である第二対向位置に移動させる。そして、同様にピックアップ16から第二反射面2bにレーザー光を照射してフォーカスサーチを行い、第二反射面2bにフォーカスが合った状態での、フォーカスコイルに印加されたFDO信号の電圧値(第二フォーカス制御値)V2を計測し、RAM等の記憶手段に記憶する。
【0042】
次に、制御部は、ピックアップ16を、第一反射面2aとの対向位置であって第一対向位置よりも第二反射面2b寄りの第三対向位置に位置させる。第三対向位置は、第一対向位置から距離D1、第二対向位置から距離D2だけそれぞれ離れた位置である。
そして、同様にピックアップ16から第一反射面2aにレーザー光を照射してフォーカスサーチを行い、第一反射面2aにフォーカスが合った状態での、フォーカスコイルに印加されたFDO信号の電圧値(第三フォーカス制御値)V3を計測し、RAM等の記憶手段に記憶する。
なお、第一対向位置における第一フォーカス制御値の計測と、第二対向位置における第二フォーカス制御値の測定と、第三対向位置における第三フォーカス制御値の測定との各ステップの順番は任意に入れ替えても差し支えない。
【0043】
次に、制御部は、フォーカス係数kを算出する。
ここで、式の形式的な表現を簡単にするため、第三フォーカス制御値V3と第一フォーカス制御値V1との差をδ1,第二フォーカス制御値V2と第三フォーカス制御値V3との差をδ2で表現する。また、第一反射面2aと第二反射面2bとの、レーザー光の進行方向の距離に対応する、FDO信号の電圧値をVで表現する。即ち、δ1,δ2,Vは、以下の式で表される(図5参照)。
δ1=(V3−V2
δ2=(V2−V3
V={δ2−(D2/D1)δ1
そして、δ1,δ1,Vを上記のように定義した場合、制御部は、フォーカス係数kを、
【数5】

の式で算出する。
【0044】
次に、上記式の導出過程の一例を説明する。なお、これは本願発明の理論的裏づけを示すものであって、本願方法発明が示す技術的範囲を限定するものではない。
0は、第一反射面2aと第二反射面2bとの垂線方向の距離Lに対応するFDO信号の電圧値を示す。
図5より、
【数6】

【数7】

三角関数の関係式より
【数8】

数8に数6と数7を代入
【数9】

【数10】

数9に数10を代入してkについて解くと
【数11】

となる。
【実施例3】
【0045】
実施例3は、実施例2と同様、フォーカス係数計測用治具Aが傾斜して配置された場合でも、正確なフォーカス係数を求めることができるフォーカス係数計測方法である。
実施例2と実施例3との相違点は、実施例2では、第一反射面2aに対して、第一および第三対向位置の2箇所において、フォーカス制御値(FDO信号の電圧値)の計測を行ったが、実施例3では、反射面2bに対して、2箇所の対向位置においてフォーカス制御の計測を行う。
【0046】
まず、フォーカス係数計測用治具Aを、図3のように、ガイドシャフト12上に載置して、ピックアップのレーザー光照射経路上に配置する。
この際、図6に示すように、フォーカス係数計測用治具Aが角度θだけ傾斜したものとする。
【0047】
図6に示すように、制御部は、ピックアップ16を第一反射面2aとの対向位置である第一対向位置に移動させる。そして、ピックアップ16から第一反射面2aにレーザー光を照射してフォーカスサーチを行い、第一反射面2aにフォーカスが合った状態での、フォーカスコイルに印加されたFDO信号の電圧値(第一フォーカス制御値)V1を計測し、RAM等の記憶手段に記憶する。
なお、図5において、黒塗り矢印は電圧を表し、線矢印は距離を表している。
【0048】
次に、制御部は、ピックアップ16を第二反射面2bとの対向位置である第二対向位置に移動させる。第二対向位置は、第一対向位置から距離D1だけ離れた位置である。
そして、同様にピックアップ16から第二反射面2bにレーザー光を照射してフォーカスサーチを行い、第二反射面2bにフォーカスが合った状態での、フォーカスコイルに印加されたFDO信号の電圧値(第二フォーカス制御値)V2を計測し、RAM等の記憶手段に記憶する。
【0049】
次に、制御部は、ピックアップ16を、第二反射面2bとの対向位置であって前記第二対向位置よりも第一反射面2aから離間した第三対向位置に位置させる。第三対向位置は、第二対向一から距離D2だけ離れた位置である。
そして、同様にピックアップ16から第二反射面2aにレーザー光を照射してフォーカスサーチを行い、第二反射面2aにフォーカスが合った状態での、フォーカスコイルに印加されたFDO信号の電圧値(第三フォーカス制御値)V3を計測し、RAM等の記憶手段に記憶する。
なお、第一対向位置における第一フォーカス制御値の計測と、第二対向位置における第二フォーカス制御値の測定と、第三対向位置における第三フォーカス制御値の測定との各ステップの順番は任意に入れ替えても差し支えない。
【0050】
次に、制御部は、フォーカス係数kを算出する。
ここで、式の形式的な表現を簡単にするため、第二フォーカス制御値V2と第一フォーカス制御値V1との差をδ1,第三フォーカス制御値V3と第二フォーカス制御値V2との差をδ2で表現する。また、第一反射面2aと第二反射面2bとの、レーザー光の進行方向の距離に対応する、FDO信号の電圧値をVで表現する。即ち、δ1,δ2,Vは、以下の式で表される(図5参照)。
δ1=(V2−V1
δ2=(V3−V2
V={δ1−(D2/D1)δ2
そして、δ1,δ2,Vを上記のように定義した場合、制御部は、フォーカス係数kを、
【数12】

の式で算出する。
【0051】
次に、上記式の導出過程の一例を説明する。なお、これは本願発明の理論的裏づけを示すものであって、本願方法発明が示す技術的範囲を限定するものではない。
0は、第一反射面2aと第二反射面2bとの垂線方向の距離Lに対応するFDO信号の電圧値を示す。
図6より、
【数13】

【数14】

三角関数の関係式より
【数15】

数15に数13と数14を代入
【数16】

【数17】

数16に数17を代入してkについて解くと
【数18】

となる。
【0052】
なお、実施例2,3のフォーカス係数計測方法は、フォーカス係数計測用治具Aが傾斜していない場合(θが0°の場合)であっても採用することができる。この場合、実施例2におけるδ1、実施例3におけるδ2の値はそれぞれ0となるため、kは(V/L)で表され、実施例1における算出結果と一致する。
【0053】
なお、実施例1〜3で示した各式の示す技術的範囲は、式の形式的な表現に限定されるものではなく、上記式と同値な式や、制御部に同値な計算を行わせるコンピュータプログラムも含むことは言うまでもない。
【0054】
本実施の形態に係るフォーカス係数計測用治具Aおよびフォーカス係数計測方法によれば、金属等の剛体からなるフォーカス係数計測用治具Aの第一反射面2aと第二反射面2bとの距離を利用してフォーカス係数を計測できるため、面ブレを起こす光ディスクを利用する従来方法のように計測環境等によって面ブレ幅のバラツキの影響を受けることがなく、精度良くフォーカス係数を計測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係るフォーカス係数計測用治具およびフォーカス係数計測方法により計測されたフォーカス係数は、チルト制御等の補正制御に用いるに限らず、対物レンズに対するあらゆるフォーカス方向の移動制御およびフォーカス制御値の算出に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るフォーカス係数計測用治具の斜視説明図である。
【図2】本発明に係るフォーカス係数計測用治具の説明図であり、(a)は側面図であり、(b)は底面図である。
【図3】本発明に係るフォーカス係数計測用治具を、光ディスク装置のレーザー光の照射経路上に配置した状態を示す説明図である。
【図4】本発明に係るフォーカス係数計測方法の実施例1を示す説明図である。
【図5】本発明に係るフォーカス係数計測方法の実施例2を示す説明図である。
【図6】本発明に係るフォーカス係数計測方法の実施例3を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
A フォーカス係数計測用治具
D 光ディスク装置
2 板状部
2a 第一反射面
2b 第二反射面
2d 切り欠き部
4a,4b,4c 脚部
12 ガイドシャフト(案内部)
14 保持部
16 ピックアップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク装置においてピックアップの対物レンズをフォーカス方向に移動させる制御を行うためのフォーカス制御値の変化量と、該フォーカス制御値の変化量に対応する対物レンズの移動距離との比であるフォーカス係数を求めるのに用いられるフォーカス係数計測用治具であって、
光ディスクの径方向に往復移動可能な前記ピックアップから照射されるレーザー光の照射経路上に配置可能に設けられ、
前記ピックアップから照射されたレーザー光を反射する第一反射面と、
該第一反射面に対し前記往復移動方向に並んで、第一反射面と平行、かつ第一反射面よりも前記ピックアップとの距離が長くなるように段違いに形成された、ピックアップから照射されたレーザー光を反射する第二反射面とが設けられていることを特徴とするフォーカス係数計測用治具。
【請求項2】
前記ピックアップの前記径方向の移動を案内する案内部上に載置することで、前記照射経路上に配置可能であることを特徴とする請求項1記載のフォーカス係数計測用治具。
【請求項3】
前記案内部に端面が当接する脚部が設けられていることを特徴とする請求項2記載のフォーカス係数計測用治具。
【請求項4】
前記案内部は、ガイドシャフトであることを特徴とする請求項2または3記載のフォーカス係数計測用治具。
【請求項5】
光ディスク装置の光ディスクを保持する保持部を避ける、切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のフォーカス係数計測用治具。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のフォーカス係数計測用治具を用いたフォーカス係数計測方法であって、
前記フォーカス係数計測用治具を前記照射経路上に配置するステップと、
前記ピックアップを前記第一反射面との対向位置である第一対向位置に位置させ、ピックアップから第一反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第一フォーカス制御値を計測するステップと、
前記ピックアップを前記第二反射面との対向位置である第二対向位置に位置させ、ピックアップから第二反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第二フォーカス制御値を計測するステップと、
前記第一反射面に対するフォーカスサーチと前記第二反射面に対するフォーカスサーチとの間の前記対物レンズの移動距離を表す、第一および第二反射面間の垂線方向の距離と、前記第二フォーカス制御値と前記第一フォーカス制御値との差との比から、前記フォーカス係数を算出するステップとを含むことを特徴とするフォーカス係数計測方法。
【請求項7】
請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のフォーカス係数計測用治具を用いたフォーカス係数計測方法であって、
前記フォーカス係数計測用治具を前記照射経路上に配置するステップと、
前記ピックアップを前記第一反射面との対向位置である第一対向位置に位置させ、ピックアップから第一反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第一フォーカス制御値を計測するステップと、
前記ピックアップを前記第二反射面との対向位置である第二対向位置に位置させ、ピックアップから第二反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第二フォーカス制御値を計測するステップと、
前記ピックアップを、前記第一反射面との対向位置であって前記第一対向位置よりも前記第二反射面寄りの第三対向位置に位置させ、ピックアップから第一反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第三フォーカス制御値を計測するステップと、
前記第一および第二反射面間の垂線方向の距離と、前記第一、第二および第三対向位置間の距離と、前記第一、第二および第三フォーカス制御値とから、前記フォーカス係数を算出するステップとを含むことを特徴とするフォーカス係数計測方法。
【請求項8】
前記第一および第二反射面間の垂線方向の距離をL、前記第一対向位置と前記第三対向位置との間の距離をD1、前記第二対向位置と第三対向位置との距離をD2、前記第一フォーカス制御値をV1、前記第二フォーカス制御値をV2、前記第三フォーカス制御値をV3、前記フォーカス係数をk、第三フォーカス制御値V3と第一フォーカス制御値V1との差(V3−V1)をδ1、第二フォーカス制御値V2と第三フォーカス制御値V3との差(V2−V3)をδ2、{δ2−(D2/D1)δ1}をVで、それぞれ表した場合、
前記フォーカス係数を算出するステップは、前記フォーカス係数kを、
【数1】

の式により算出することを特徴とする請求項7記載のフォーカス係数計測方法。
【請求項9】
請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のフォーカス係数計測用治具を用いたフォーカス係数計測方法であって、
前記フォーカス係数計測用治具を前記照射経路上に配置するステップと、
前記ピックアップを前記第一反射面との対向位置である第一対向位置に位置させ、ピックアップから第一反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第一フォーカス制御値を計測するステップと、
前記ピックアップを前記第二反射面との対向位置である第二対向位置に位置させ、ピックアップから第二反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第二フォーカス制御値を計測するステップと、
前記ピックアップを、前記第二反射面との対向位置であって前記第二対向位置よりも前記第一反射面から離間した第三対向位置に位置させ、ピックアップから第二反射面にレーザー光を照射してフォーカスサーチを行った際のフォーカス制御値である第三フォーカス制御値を計測するステップと、
前記第一および第二反射面間の垂線方向の距離と、前記第一、第二および第三対向位置間の距離と、前記第一、第二および第三フォーカス制御値とから、前記フォーカス係数を算出するステップとを含むことを特徴とするフォーカス係数計測方法。
【請求項10】
前記第一および第二反射面間の垂線方向の距離をL、前記第一対向位置と前記第二対向位置との間の距離をD1、第二対向位置と前記第三対向位置との距離をD2、前記第一フォーカス制御値をV1、前記第二フォーカス制御値をV2、前記第三フォーカス制御値をV3、前記フォーカス係数をk、第二フォーカス制御値V2と第一フォーカス制御値V1との差(V2−V1)をδ1、第三フォーカス制御値V3と第二フォーカス制御値V2との差(V3−V2)をδ2、{δ1−(D2/D1)δ2}をVで、それぞれ表した場合、
前記フォーカス係数を算出するステップは、前記フォーカス係数kを、
【数2】

の式により算出することを特徴とする請求項9記載のフォーカス係数計測方法。
【請求項11】
前記フォーカス制御値は、前記対物レンズをフォーカス方向に移動させるためのフォーカスコイルに印加される電圧値であることを特徴とする請求項6〜10のうちのいずれか一項記載のフォーカス係数計測方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−73056(P2006−73056A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252874(P2004−252874)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】