説明

フォーカルプレーンシャッター、撮像装置

【課題】 撮像素子を駆動する機能を備えても、適切な撮像画像が得られるフォーカルプレーンシャッターを備えた撮像装置及びフォーカルプレーンシャッターを提供する。
【解決手段】 シャッター地板1094の開口1094aのサイズは、振れ補正時の駆動量を考慮して設定し、X軸方向及びY軸方向のそれぞれの方向において、ローパスフィルター108のサイズとローパスフィルター108の最大移動量との加算値以上の長さに設定した。つまり、ローパスフィルター108のX軸方向及びY軸方向の長さをX,Yとし、ローパスフィルター108のX軸方向におけるセンタリング位置からの最大移動量Δx、Y軸方向におけるセンタリング位置からの最大移動量Δy、シャッター地板1094の開口1094aのうちX軸方向の長さをLx、Y軸方向の長さをLyとすると、長さLx,Lyを、Lx≧X+2Δx,Ly≧Y+2Δyに設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手振れ等を補正する振れ補正機構が搭載されたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置、及び該撮像装置に搭載されるフォーカルプレーンシャッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォーカルプレーンシャッターと撮像素子とを備えたカメラにおいて、該フォーカルプレーンシャッター及び撮像素子は、通常、次のように構成されている。図9(a)は、前記撮像機構の構成を、図略の撮像光学系の光軸を通る平面で切断して見た断面図であり、図9(b)は、図9(a)の矢印Eの方向からみた平面図である。なお、図9(a),(b)は、撮像素子の撮像面にローパスフィルターが設置されたものを示しており、以下、撮像素子及びローパスフィルターを撮像ユニットというものとする。
【0003】
図9(a),(b)に示すように、フォーカルプレーンシャッター2000及び撮像ユニット2001は、図略の撮像光学系の光軸L上に配置されている。撮像素子2002及びローパスフィルター2003の受光面が光軸Lと直交するように配置されている。
【0004】
一方、フォーカルプレーンシャッター2000は、撮像ユニット2001より光軸方向被写体側において光軸Lに直交する平面に沿って配置されており、シャッター台板2004と、シャッター地板2005と、シャッター羽根群2006とを有してなる。
【0005】
シャッター台板2004及びシャッター地板2005には、それぞれ開口2004a,2005aが形成されており、撮像光学系を透過した光は、この開口2004a,2005aを介して撮像ユニット2001に導かれる。
【0006】
そして、従来のフォーカルプレーンシャッター2000にあっては、通常、シャッター地板2005の開口2005aが、有効受光領域(撮像画像を構成する画素信号を出力する領域)と略同等のサイズに形成されており、また、シャッター台板2004の開口2004aが、シャッター地板2005の開口2005aと同一サイズ、もしくはそれより大きいサイズに形成されている。
【0007】
一方、デジタルカメラに発生するカメラ振れによって撮像画像の振れを解消又は抑制する技術として、撮像素子を駆動(揺動)してぶれ補正を行う技術が知られている(例えば下記特許文献1参照)。特許文献1には、撮像光学系の結像面上の直交する2つの方向に撮像素子をそれぞれ駆動するアクチュエータを備え、検出した振れ量及び振れ方向に応じて、該アクチュエータにより前記撮像素子を結像面上の直交する2つの方向に駆動することにより、カメラ振れによる撮像画像の振れを防止又は抑制するようにしたものが開示されている。
【特許文献1】特開2003−222923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、カメラは、その携帯性を向上するためにコンパクト化が要求されているが、カメラの厚み(光軸方向の長さ)を薄型化するための一手段として、前述のフォーカルプレーンシャッター2000と撮像ユニット2001との配置(光軸方向の位置関係)を工夫することが考えられる。
【0009】
また、フォーカルプレーンシャッターを備えたカメラに、前述のような撮像素子2002の駆動により振れ補正を行う技術を搭載しようとする場合に、前述したように、シャッター地板2005の開口2005aが、有効受光領域(撮像画像を構成する画素信号を出力する領域)と略同等のサイズに形成されていると、撮像ユニット2001(撮像素子2002)が前記結像面上の直交する2つの方向に駆動されたときに、ローパスフィルター2003の受光面への光がシャッター地板2005により遮られることがある。このとき、撮像画像の一部が欠け、適切な撮像画像が得られないこととなる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コンパクト化を図れると共に、撮像素子を駆動する機能を備えても、適切な撮像画像が得られるフォーカルプレーンシャッターを備えた撮像装置及びフォーカルプレーンシャッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、被写体の光像を取り込む撮像光学系と前記撮像光学系からの光を受光する受光部との間の光路上に配置され、前記撮像光学系から前記受光部への光の遮断動作を行うフォーカルプレーンシャッターであって、複数枚の羽根部材と、前記羽根部材を一方向に所定の順序で駆動する駆動部材と、前記撮像光学系からの光が通過するための開口をそれぞれ有し、前記羽根部材を挟んで前記撮像光学系側及び前記受光部側に互いに略平行に配置されたシャッター台板及びシャッター地板とを備えてなり、前記シャッター地板の開口は、前記シャッター台板の開口及び前記受光部より大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、シャッター地板の開口を、受光部より大きく形成したので、フォーカルプレーンシャッターを備えた撮像装置に、受光部を撮像光学系の光軸と垂直な面上で駆動する機能を搭載する場合でも、受光部の受光領域への光がシャッター地板により遮られるのを回避または抑制することが可能となる。
【0013】
また、シャッター地板の開口を、前記シャッター台板の開口より大きく形成したので、従来利用されているフォーカルプレーンシャッターに対して、シャッター台板の開口より大きく形成するだけで済み、コストアップの抑制を図ることができる。
【0014】
なお、シャッター台板及びシャッター地板は、前記シャッター台板の法線方向からみて、シャッター台板の開口全体がシャッター地板の開口と重畳するように配置することで、シャッター台板の開口を通過した光がシャッター地板によって遮られることなく受光部に導かれる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフォーカルプレーンシャッターと、受光面が前記フォーカルプレーンシャッターと略平行となるように配置され、前記フォーカルプレーンシャッターを介して導かれた光を受光する受光部とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
この発明によれば、撮像装置において、請求項1に記載の発明の作用が得られる。また、本発明においては、シャッター台板より受光部側に配置されるシャッター地板の開口を、前記受光部の受光面より大きく形成することで、受光部を光軸方向フォーカルプレーンシャッター側に寄せて配置することができるため、撮像装置の光軸方向の厚みを従来に比して薄くすることができ、撮像装置をコンパクト化することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の撮像装置において、前記受光部に被写体の光像を結像する撮像光学系と、前記撮像光学系の結像面上の互いに直交する2つの方向に前記受光部を駆動する駆動部とを備え、前記受光部は、前記法線方向からみて、その受光面が前記シャッター台板の開口の領域内で移動するように駆動されることを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、受光部は、前記法線方向からみて、その受光面がシャッター台板の開口の領域内で移動するように駆動されるので、受光部の受光面への光がシャッター台板により遮られるのを回避または抑制することが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の撮像装置において、前記シャッター地板は、前記法線方向からみて、その開口が前記受光部の受光面の移動可能範囲より大きく形成されているものであり、その開口の中心位置を前記移動可能範囲の中心位置から所定の方向にオフセットさせて配置されていることを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、シャッター地板の開口の中心位置を移動可能範囲の中心位置から所定の方向にオフセットさせて前記シャッター地板を配置したので、シャッター地板の開口の中心位置を移動可能範囲の中心位置に一致させる場合に比して、前記所定の方向と反対側の方向にスペース(空間)を形成することができる。したがって、このスペースに他の部材等を配置することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の撮像装置において、当該撮像装置に発生する装置振れを検出し、検出した装置振れを振れ検出信号として出力する振れ検出部と、前記振れ検出部から出力される振れ検出信号を用いて、前記振れを補正するための振れ補正量及び振れ補正方向を導出する振れ補正制御部とを備え、前記駆動部は、前記振れ補正制御部により導出された振れ補正量及び振れ補正方向に基づいて、前記受光部を駆動することを特徴とするものである。
【0022】
この発明によれば、受光部を用いて振れ補正動作を行う撮像装置において、前記請求項1ないし5のいずれかに記載の発明の作用が得られる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の撮像装置において、前記受光部は、前記撮像光学系により導かれた光を受光して光電変換を行う撮像素子を備えることを特徴とするものである。
【0024】
この発明によれば、撮像素子を備えた撮像装置において、請求項2ないし5のいずれかに記載の発明の作用が得られる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の撮像装置において、前記受光部は、前記撮像光学系により導かれた光のうち所定の周波数より低い周波数の光のみを透過させて前記撮像素子に導くローパスフィルターを更に備えることを特徴とするものである。
【0026】
この発明によれば、ローパスフィルターと撮像素子とを備えた撮像装置において、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明の作用が得られる。なお、この場合、シャッター地板の開口を、ローパスフィルターの受光面より大きく形成することで、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の作用が得られる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、フォーカルプレーンシャッターを備えた撮像装置に、振れ補正機能を搭載する場合において、適切な撮像画像を得ながら、撮像装置のコンパクト化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラの実施形態について説明する。図1は、本実施形態のデジタルカメラ10の外観構造を説明する図であり、図1(a)は、デジタルカメラ10の正面外観図、図1(b)は、デジタルカメラ10の背面外観図をそれぞれ示している。
【0029】
図1(a)に示すように、このデジタルカメラ10は、カメラ本体1と、このカメラ本体1の正面略中央に着脱可能(交換可能)に装着される撮影レンズ2(交換レンズ)とを備えた一眼レフレックス型デジタルスチルカメラである。
【0030】
図1(a)において、カメラ本体1は、正面略中央に撮影レンズ2が装着されるマウント部3と、正面左端部において突設され、ユーザが片手又は両手により確実に把持(保持)可能とするためのグリップ部4と、正面右上部に制御値を設定するための制御値設定ダイアル5と、正面左上部に撮影モードを切り換えるためのモード設定ダイアル6と、グリップ部4の上面に撮影動作(露光)の開始及び/又は終了を指示するためのレリーズボタン7とを備えている。
【0031】
撮影レンズ2は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該光をカメラ本体1の内部に配置されている後述の撮像素子101やファインダ部102へ導くための撮影レンズ系を構成するものである。撮影レンズ2は、マニュアル操作或いは自動的に各レンズ位置を移動させて焦点調整を行うことが可能に構成されている。
【0032】
なお、マウント部3の近傍には、撮影レンズ2を着脱するための着脱ボタン31と、装着された撮影レンズ2との電気的接続を行うための複数個の電気的接点(図示省略)と、機械的接続を行うための複数個のカプラ(図示省略)とが設けられている。この電気的接点は、撮影レンズ2に内蔵されたレンズROM(リードオンリメモリ)から当該レンズに関する固有の情報(開放F値や焦点距離等の情報)をカメラ本体1内の図略の全体制御部に送出したり、撮影レンズ2内のフォーカスレンズの位置やズームレンズの位置の情報を前記全体制御部に送出したりするためのものである。カプラは、カメラ本体1内に設けられたフォーカスレンズ駆動用モータ及びズームレンズ駆動用モータの各駆動力を撮影レンズ2内の各レンズに伝達するためのものである。
【0033】
モード設定ダイアル6は、自動露出(AE)制御モードや自動焦点(AF;オートフォーカス)制御モード、或いは静止画を撮影する静止画撮影モードや動画を撮影する動画撮影モード(連続撮影モード)、フラッシュモード等の各種撮影モードを設定するためのものである。
【0034】
レリーズボタン7は、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。静止画撮影モードにおいてレリーズボタン7が半押しされると、被写体の静止画を撮影するための準備動作(露出制御値の設定や焦点調節等の準備動作)が実行され、レリーズボタン7が全押しされると、撮影動作(後述するカラー撮像素子を露光し、その露光によって得られた画像信号に所定の画像処理を施してメモリカードに記録する一連の動作)が実行される。また、動画撮影モードにおいてレリーズボタン7が全押しされると、撮影動作(上記と同様の撮像素子の露光、露光で得られた画像信号への画像処理、及びこの画像処理された画像データのメモリカード等の記録部への記録という一連の動作)が開始され、再度レリーズボタン7が全押しされると撮影動作が終了される。
【0035】
図1(b)において、カメラ本体1の背面略中央上部には、ファインダ窓11(接眼部)が設けられている。ファインダ窓11には、撮影レンズ2からの被写体像が導かれており、ユーザ(撮影者)は、このファインダ窓11を覗くことにより被写体を視認することができる。カメラ本体1の背面の略中央には、外部表示部12(LCD;液晶モニター)が設けられている。外部表示部12は、本実施形態では例えば画素数が400(X方向)×300(Y方向)=120000のカラー液晶表示素子からなり、上記動画像を表示するとともに、AE制御やAF制御に関するモード、撮影シーンに関するモード或いは撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示したり、再生モードにおいてメモリカードに記録された撮影画像を再生表示したりするものである。
【0036】
外部表示部12の左上部には電源スイッチ13が設けられている。電源スイッチ13は例えば2接点式のスライドスイッチからなり、接点を左方の「OFF」位置に設定すると電源がオフになり、接点を右方の「ON」位置に設定すると電源がオンになる。外部表示部12の右側には方向選択キー14及び手振れ補正スイッチ15が設けられている。方向選択キー14は円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向、及び右上、左上、右下及び左下の4方向の押圧操作がそれぞれ検出されるようになっている。方向選択キー14は多機能化されており、例えば外部表示部12に表示される撮影シーン設定のためのメニュー画面において選択された項目を変更するための操作スイッチとして機能し、複数のサムネイル画像が配列表示されるインデックス画面において選択された再生対象のコマを変更するための操作スイッチとして機能する。また、方向選択キー14は、撮影レンズ2のズームレンズの焦点距離を変更するためのズームスイッチとして機能させることもできる。
【0037】
手振れ補正スイッチ15は、手持ち撮影や望遠撮影、暗部での(長時間露光が必要な)撮影時において、手振れ等の「振れ」が発生する虞のある場合に対して確実な撮影を可能とするための振れ補正モードを設定するものである。この手振れ補正スイッチ15は、電源スイッチ13と同様に2接点式のスライドスイッチとしてもよい。
【0038】
外部表示部12の左側には、外部表示部12の表示や表示内容に関する操作を行うためのスイッチとして、取消スイッチ16、確定スイッチ17、メニュー表示スイッチ18及び外部表示切換スイッチ19等が設けられている。取消スイッチ16はメニュー画面で選択された内容を取り消すためのスイッチ、確定スイッチ17はメニュー画面で選択された内容を確定するためのスイッチである。メニュー表示スイッチ18は外部表示部12にメニュー画面を表示させたり、メニュー画面の内容(例えば撮影シーン設定画面や露出制御に関するモード設定画面など)を切り換えたりするためのスイッチであり、メニュー表示スイッチ18の押圧ごとにメニュー画面が切り換わる。外部表示切換スイッチ19は、外部表示部12への表示のオン/オフを切り換えるためのスイッチで、外部表示切換スイッチ19の押圧ごとに外部表示部12の表示と非表示とが交互に行われる。なお、カメラ本体1の適所には、上記各スイッチ以外にズームスイッチ、露出補正スイッチ、AEロックスイッチ等のプッシュ式あるいはダイヤル式の各種スイッチを備えることも想定できる。
【0039】
次に、デジタルカメラ10の内部構成について説明する。
【0040】
図2は、デジタルカメラ10の正面透視図、図3は、該デジタルカメラ10の背面透視図、図4は、同じくデジタルカメラ10の上面断面図である。但し、図2,図4は、それぞれ撮影レンズ2を取り外した状態での透視図及び断面図である。
【0041】
図2〜図4に示すように、撮影レンズ2に対向するカメラ本体1内、すなわちカメラ本体1に撮影レンズ2が装着された場合の当該撮影レンズ2に備えられているレンズ群21の光軸L(図3参照)上におけるカメラ本体1内の適所には、光軸Lに対して垂直となる方向に四方形状の撮像素子101が配設されている。
【0042】
撮像素子101は、被写体輝度を検出(被写体光を撮像)する、すなわち、撮像素子101は、撮影レンズ2により結像された被写体光像の光量に応じて、R、G、B各成分の画像信号に光電変換して制御基板140(画像処理回路141)へ出力するものである。具体的には、撮像素子101は、CCD(Charge Coupled Device)が2次元的に配置されたエリアセンサの各CCDの表面に、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが市松模様状に貼り付けられた、所謂ベイヤー方式と呼ばれる単板式カラーエリアセンサで構成されており、例えば1600(X方向)×1200(Y方向)=1920000個の画素を有するカラー撮像素子である。なお、撮像素子101としては、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、VMISイメージセンサ等が採用可能である。
【0043】
上記光軸L上において、被写体光をファインダ部102(ファインダ光学系)へ向けて反射させる位置には、ミラー部103(反射板)が配置されている。撮影レンズ2を通過した被写体光は、ミラー部103(後述の主ミラー1031)によって上方へ反射され、焦点板104(ピントグラス)に結像される。撮影レンズ2を通過した被写体光の一部はこのミラー部103を透過する。
【0044】
ファインダ部102は、ペンタプリズム105、接眼レンズ106及び上記ファインダ窓11を備えている。ペンタプリズム105は、断面が五角形をしており下面から入射された被写体光像を内部での反射によって当該像の天地左右を入れ替えて正立像にするためのプリズムである。接眼レンズ106は、ペンタプリズム105により正立像にされた被写体像をファインダ窓11の外側に導く。このような構成により、ファインダ部102は、撮影待機時において被写界を確認するための光学ファインダとして機能する。
【0045】
ミラー部103は、主ミラー1031及びサブミラー1032から構成されており、主ミラー1031の背面側において、サブミラー1032が主ミラー1031の背面に向けて傾倒するように回動可能に設けられている。主ミラー1031を透過した被写体光の一部はサブミラー1032によって反射され、この反射された被写体光は焦点検出部107に入射される。焦点検出部107は、被写体のピント情報を検出する測距素子等からなる所謂AFセンサーである。
【0046】
上記ミラー部103は、所謂クイックリターンミラーであり、露光時には回転軸1033を回動支点として矢印Aで示す上方へ向けて跳ね上がり、焦点板104の下方位置で停止する。この際、サブミラー1032は、主ミラー1031の背面に対して矢印Bで示す方向に回転軸1034を支点として回動し、上記ミラー部103が焦点板104の下方位置で停止したときには、主ミラー1031と略平行となるように折り畳まれた状態となる。これにより、撮像レンズ12からの被写体光がミラー部103によって遮られることなく撮像素子101上に届き、該撮像素子101が露光される。露光が終了すると、ミラー部103は元の位置(図3に示す位置)に復帰する。
【0047】
撮像素子101の光軸方向直前には、疑似カラーや色モアレの発生を防止するためのローパスフィルター108(光学フィルタ)が配置されており、さらにローパスフィルター108の直前には、シャッター部109が配置されている。シャッター部109は、露光時に開閉制御が行われるものであり、縦走りフォーカルプレーンシャッターである。シャッター部109は、その前方側が枠体120の後端部に当接された状態とされ、一方、その後方側がシャッター押さえ板1091にて押圧された状態とされている。シャッター押さえ板1091は、枠体120に対して図略のビスで固定されており、これにより、シャッター部109は枠体120に固着される。なお、撮像素子101の後部には、撮像素子101面と平行に、側面シャーシ183を挟んで外部表示部12が配設されている。
【0048】
撮像素子101は、後述のスライダ202やアクチュエータ(ヨー方向アクチュエータ205、ピッチ方向アクチュエータ206)とともに、後述のジャイロユニット170により検出された振れ情報に基づき当該アクチュエータを駆動させることにより、撮像素子101を上下左右方向にスライドさせて振れ補正を行う振れ補正ユニット200(手振れ機構)を構成している。振れ補正ユニット200の構造及び動作の詳細については後述する。ジャイロユニット170は、特許請求の範囲における振れ検出部の一例である。
【0049】
図2において、マウント部3の後部におけるカメラ本体1の略中央部には、枠体120(前枠)が配置されている(図3、図4における斜線部参照)。この枠体120は、該枠体120の前後面部及び上記ペンタプリズム105(焦点板104)と対向する上面部が開口とされた正面視略四角形状の角筒体であり、歪み等に対する強度を有した金属製の剛体である。枠体120の前面は、マウント部3の形状に合わせて円筒状のマウント受け部121が形成されており、このマウント受け部121にマウント部3が嵌合された状態で、符号122の矢印(図4参照)で示す前面側から複数のビス123によってビス止めされている。枠体120は、その内部にミラー部103が配置されており、当該ミラー部103の保持部材を兼ねたものとなっている。
【0050】
枠体120の左側(グリップ部4の内部)には電池室131(バッテリーチャンバー)が配置されている。電池室131は、例えばプラスチック等の樹脂からなり、その内部には、デジタルカメラ10の動作電源として例えば所定数の単3形乾電池が収納される。電池室131の背後には、カード収納部132が設けられている。カード収納部132には、撮影画像の画像データを記録するための記録媒体、例えばメモリカードが着脱自在に収納されるようになっており。グリップ部4の例えば符号133に示す側面位置のカードスロット蓋を開いて当該メモリカードを収納する構成とされている。なお、電池室131及びカード収納部132からなる構造体を、以降、バッテリーユニット130と称する。
【0051】
バッテリーユニット130(カード収納部132)の背面部には制御基板140が配置されている。制御基板140には、画像データに対する所定の信号処理(画像処理)を行う画像処理回路141(例えば画像処理用ASIC)や後述の振れ補正駆動を制御する振れ補正回路142(例えば振れ補正用ASIC)等の電子部品がマウントされており、後述の主制御部100をなす基板体である。制御基板140は、振れ補正ユニット200と略同一平面方向に隣接配置されており、後述の側面シャーシ183に対して接続部143にて固定されたバッテリーユニット130にマウントされる態様で、ネジ部144,145によって取り付けられている。制御基板140と撮像素子101とは、第1フレキシブル配線146により電気的に接続されている。なお、振れ補正回路142は、特許請求の範囲における振れ補正制御部に相当する。
【0052】
枠体120の右側の隣接位置には、ミラー部103及びシャッター部109を駆動するための駆動ユニット150が配置されている。駆動ユニット150は、具体的には、シャッター部109の開閉駆動を行うシャッター駆動部151と、ミラー部103の駆動を行うミラー駆動部152とを備えて構成されている。なお、ミラー駆動部152は、シャッタ駆動を行うためのシャッタ駆動部を一部内包して構成されている。駆動ユニット150のさらに右側(外側)には、リモート端子やUSB端子等のホルダー或いはAC電源のジャック等を備えた構造体としての、例えばプラスチック等の樹脂からなるコネクタ部160が配置されている。なお、シャッター駆動部151は、特許請求の範囲における駆動部材に相当する。
【0053】
バッテリーユニット130の所定位置、例えば電池室131の前方の側壁部には、ジャイロユニット170が設けられている。ジャイロユニット170は、ジャイロ部171、ジャイロ基板172、緩衝材173及びジャイロ用フレキシブル配線基板174等からなり、測定対象部(本実施形態では、デジタルカメラ10;カメラ本体1)の振れ方向や振れ量などの振れ情報を検出するためのものである。ジャイロユニット170において検出された振れ情報は、振れ補正ユニット200による振れ補正駆動の制御に用いられる。ジャイロ部171は、ヨー(Yaw)方向におけるデジタルカメラ10の振れの角速度に基づく振れ量を検出するヨー方向ジャイロ171aと、ピッチ(Pitch)方向におけるデジタルカメラ10の振れの角速度に基づく振れ量を検出するピッチ方向ジャイロ171bとを備えている。このようなジャイロとしては、例えば圧電素子に電圧を印加して振動状態とし、該圧電素子に回転運動による角速度が加わったときに生じるコリオリ力に起因する歪みを、電気信号として取り出すことで角速度を検出するタイプのものが使用できる。ジャイロ部171は、ジャイロ基板172上にマウントされており、このジャイロ基板172(即ちジャイロユニット170)は、バッテリーユニット130の側壁部に形成された平板状のジャイロ取付部134に、緩衝材173を介して取り付けられている。
【0054】
緩衝材173は、ミラー部103の動作振動が伝播してジャイロ部171がこの振動を誤検出することを防止するためのものであり、例えば両面に接着層を備えるプチルゴム等のゴム材からなるシート状(板状)の部材を用いることができる。なお、ジャイロ用フレキシブル配線基板174は、ジャイロ部171(ヨー方向ジャイロ171a及びピッチ方向ジャイロ171b)と制御基板140とを電気的に接続するためのものである。
【0055】
デジタルカメラ10の上記各部は、例えば鉄などの金属材料からなるシャーシ部180によって互いに連結(固定)されている。本実施形態では、シャーシ部180は、前面シャーシ181,182、側面シャーシ183(バックシャーシ)及び底面シャーシ184(底板)から構成されている。
【0056】
次に、図3,図4とともに図5を用いて振れ補正ユニット200の構成について説明する。図5は、振れ補正ユニット200の構成を概略的に示した斜視図である。振れ補正ユニット200は、カメラ本体1にユーザの手振れ等による振れが与えられて前記光軸Lにずれが生じた場合に、撮像素子101をその振れに応じて適宜移動(揺動)させることで光軸Lのずれを補正するためのものである。
【0057】
振れ補正ユニット200は、撮像素子101及びローパスフィルター108と、撮像素子101とともにローパスフィルター108を保持する撮像素子ホルダ201と、撮像素子ホルダ201を保持するスライダ202と、撮像素子101の後面に配設された放熱板203と、放熱板203の後面に配設された撮像素子基板204と、ヨー方向アクチュエータ205と、ピッチ方向アクチュエータ206と、振れ台板207とを備えて構成されている。
【0058】
撮像素子基板204は、撮像素子101がマウントされる略長方形状の基板(ここではCCD基板)である。ただし当該マウントは、撮像素子101と撮像素子基板204との間に放熱板203が介在された状態で行われる。放熱板203は、所定の金属材料からなる板状体であり、撮像素子101の駆動(光電変換)により発生した熱を逃がすためのものである。撮像素子ホルダ201は、断面略長方形状の前後が開口された枠体であり、この枠体の前方部にはローパスフィルター108が取り付けられ、このローパスフィルター108の後方部に撮像素子101が配設されている。撮像素子101は、撮像素子基板204により放熱板203とともに撮像素子ホルダ201に対して押圧された状態で、当該撮像素子基板204が撮像素子ホルダ201に対して図略のビスにより固定して取り付けられている。
【0059】
撮像素子ホルダ201の左右方向における一端辺部(ここでは左辺部)には、ピッチ方向アクチュエータ206が設けられており、撮像素子ホルダ201は、当該ピッチ方向アクチュエータ206を介し、スライダ202に対してピッチ方向(図5の矢印Cで示す上下方向)にスライド可能に取り付けられている。スライダ202は、その略中央部に撮像素子基板204よりも大きな長方形状の開口部2021が形成された略平板状の枠体である。スライダ202のピッチ方向アクチュエータ206に対向する位置には、上記スライド移動を可能とするべく、ピッチ方向アクチュエータ206(後述の軸部2061)に対して摺動自在に嵌合されるV溝が形成された軸受け部2022が固設されている。また、スライダ202の下部には、ヨー方向アクチュエータ205に対応する上記軸受け部2022と同様に構成された軸受け部2023が固設されている。なお、軸受け部2022(2023)に対する軸部2051(2061)の嵌合(摩擦結合)は、図略のばね体等の付勢部材による付勢力により、押さえ板(ヨー用押さえ板、ピッチ用押さえ板)と軸受け部2022(2023)との間に軸部2051(2061)を挟持する形で行われる。
【0060】
振れ台板207は、撮像素子ホルダ201が保持された状態のスライダ202を保持するための振れ補正ユニット200における所謂基台をなすものであり、その略中央部に、スライダ202の開口部2021と同程度のサイズを有する開口部2071が形成された枠体である。この振れ台板207の上下方向の一端辺部(ここでは下辺部)には、ヨー方向アクチュエータ205が固設されており、スライダ202の軸受け部2023が当該ヨー方向アクチュエータ205(後述の軸部2051)に対して摺動自在に嵌合された状態でヨー方向(図5の矢印Dで示す左右方向)にスライド可能となるよう、振れ台板207に対してスライダ202が取り付けられている。
【0061】
また、振れ台板207は、右上の角部2072において、撮像素子ホルダ201の角部を、該角部の裏表面2011に遊嵌されたボール体を挟みこんだ状態で、スライダ202の角部2024を角部2072へ向けて押し付けるように、ばね体等の付勢部材により付勢した状態で角部2024と連結されている。これにより、スライダ202(撮像素子ホルダ201)のヨー方向へのスライド移動及び撮像素子ホルダ201のピッチ方向へのスライド移動を可能とした状態で、撮像素子ホルダ201とともにスライダ202を振れ台板207へ押し付け、これらが振れ台板207から外れることのないよう確実に保持している。
【0062】
ヨー方向アクチュエータ205及びピッチ方向アクチュエータ206は、所謂超音波駆動が行われるインパクト形のリニアアクチュエータ(圧電アクチュエータ)である。これらのアクチュエータは、それぞれ軸部2051,2061、圧電素子部2052,2062及び錘部2053,2063等を備えて構成されている。軸部2051,2061は、それぞれ圧電素子部2052,2062によって振動駆動される所定の断面形状(例えば円形)を有した棒状の駆動軸であり、上記軸受け部2023,2022に対して摩擦結合されるものである。
【0063】
圧電素子部2052,2062は、セラミックなどから構成され、印加される電圧に応じて伸縮され、この伸縮に応じて軸部2051,2061を振動させるものである。圧電素子部2052,2062による当該伸縮においては、高速伸長と低速縮小とが、若しくは低速伸長と高速縮小とが、又は伸長速度及び縮小速度が同じである等速伸長と等速縮小とが交互に繰り返される。この圧電素子部2052,2062は、例えば積層型圧電素子からなり、軸部2051,2061の一端において、分極方向が当該軸部2051,2061の軸方向と一致した状態で固着されている。
【0064】
圧電素子部2052,2062の電極部には、制御基板140(振れ補正回路142)からの信号線が接続されており、制御基板140からの駆動信号に応じて圧電素子部2052,2062が充電又は放電(逆方向充電)されることで、上記伸縮が行われる。圧電素子部2052,2062がこのように伸縮を繰り返すことにより、軸受け部2023即ちスライダ202が軸部2051に対して(軸部2061が軸受け部2022即ちスライダ202に対して)相対的に正方向又は逆方向に移動したり、或いはその場に停止した状態となる。なお、軸部2051,2061における圧電素子部2052,2062と反対側の端部には、圧電素子部2052,2062によって発生した振動が軸部2051,2061に効率よく伝達されるようにするための錘部2053,2063即ちウェイトが固設されている。
【0065】
このようにヨー方向アクチュエータ205の駆動に応じて、振れ台板207に対して左右方向にスライダ202と撮像素子ホルダ201とが一体的にスライド移動することで撮像素子101のヨー方向(矢印D方向)の振れが補正され、ピッチ方向アクチュエータ206の駆動に応じて、スライダ202に対して撮像素子ホルダ201が上下方向にスライドすることで、撮像素子101のピッチ方向(矢印C方向)の振れが補正される。
【0066】
次に、本実施形態の特徴部分について説明する。図6(a)は、シャッター部109、撮像素子101、ローパスフィルター108及びシャッター駆動部151をレンズ群21側から見た斜視図、図6(b)は、図6(a)において後述のシャッター台板と羽根部材とを取り外した状態を示す斜視図、図6(c)は、図6(a)に示すシャッター部109等を反対側から見た斜視図である。また、図7(a)は、図6(c)と同じ側からシャッター部109等を見たときの正面図、図7(b)は、図7(a)において、シャッター台板及び羽根部材を取り除いた状態で矢印F方向から見た図である。なお、図6,図7においては、スライダ202や振れ台板207等の部材の図示は省略している。
【0067】
図6,図7に示すように、ローパスフィルター108は、その中心を撮像素子101の中心と一致させた状態で、撮像素子101の撮像面上に取り付けられている。撮像素子ホルダ201及び撮像素子基板204は、図3に示す撮像素子ホルダ201及び撮像素子基板204に相当するものである。また、撮像素子101及びローパスフィルター108は、その中心がレンズ群21の光軸Lを通る位置を中心(初期位置)として、振れ補正のための駆動が行われるようになっている。以下、この位置をセンタリング位置という。図7は、撮像素子101及びローパスフィルター108がセンタリング位置にあるときの状態を示している。
【0068】
シャッター部109は、図3等に示すシャッター部109に相当するものであり、ローパスフィルター108の前面側(レンズ群21側)において光軸Lと直交する平面に沿って配置されている。
【0069】
シャッター部109は、シャッター台板1093と、シャッター地板1094と、複数のシャッター羽根群1095とを有して構成されており、シャッター台板1093及びシャッター地板1094は、この順にレンズ群21側から配置されているとともに、シャッター羽根群1095は、シャッター台板1093とシャッター地板1094との間に設置されている。シャッター台板1093及びシャッター地板1094は、前記シャッター羽根群1095を駆動する前記シャッター駆動部151を支持するとともに、シャッター羽根群1095の移動をガイドする機能を有する。なお、前記シャッター駆動部151は、シャッター台板1093の板面のうちレンズ群21側の板面の適所に取り付けられている。なお、シャッター台板1093及びシャッター地板1094は、特許請求の範囲におけるシャッター台板及びシャッター地板に相当する。
【0070】
シャッター台板1093及びシャッター地板1094には、それぞれ開口1093a,1094aが形成されており、開口1093a,1094aは、光軸方向からみて、シャッター台板1093の開口1093a全体がシャッター地板1094の開口1094a内に位置的に含まれるように配置されている。これにより、シャッター部109が開放しているとき、レンズ群21を透過した光は、この開口1093a,1094aを介してローパスフィルター108に導かれる。なお、開口1093a,1094aは、特許請求の範囲における開口に相当する。
【0071】
さらに、本実施形態においては、シャッター地板1094の開口1094aは、ローパスフィルター108の受光面より大きく形成されている。
【0072】
すなわち、前述したように、撮像素子101及びローパスフィルター108は、振れ補正時には、X軸方向及びY軸方向に駆動される。図8は、撮像素子101及びローパスフィルター108が図7に示すセンタリング位置からX軸方向左側及びY軸方向上側に駆動された状態を示している。
【0073】
本実施形態では、シャッター地板1094の開口1094aは、この振れ補正時の駆動量を考慮して設定されており、X軸方向及びY軸方向のそれぞれの方向において、ローパスフィルター108のサイズとローパスフィルター108の最大移動量との加算値以上の長さに設定されている。つまり、ローパスフィルター108のX軸方向及びY軸方向の長さをX,Yとし、ローパスフィルター108のX軸方向におけるセンタリング位置からの最大移動量Δx、Y軸方向におけるセンタリング位置からの最大移動量Δyとすると、シャッター地板1094の開口1094aのうちX軸方向の長さLx、Y軸方向の長さLyは、
Lx≧X+2Δx
Ly≧Y+2Δy
に設定されている。
【0074】
これにより、振れ補正動作を行うべく撮像素子101及びローパスフィルター108を駆動した場合でも、ローパスフィルター108とシャッター地板1094との機械的な干渉(衝突)を防止することができる。なお、従来の図9に示す構成との比較においては、前述のようにシャッター地板1094の開口1094aのサイズを設定することは、その開口1094aを、シャッター台板1093の開口1093aより大きく形成したことを意味するものである。
【0075】
また、このようにシャッター地板1094の開口サイズを設定したことで、従来では、ローパスフィルター108等をシャッター部109から光軸方向に所定の距離だけ離間して配置していところ、本実施形態では、ローパスフィルター108等をシャッター部109側に寄せて配置することができる。
【0076】
すなわち、図7に示すように、図9に示す従来の構成に対して、ローパスフィルター108の受光面がシャッター地板1094の板面上に位置するまで、ローパスフィルター108等をシャッター部109側に長さrだけ寄せて配置している。この場合、従来に比して、デジタルカメラ10の厚み(光軸方向の長さ)をその長さrだけ薄くすることができる。
【0077】
ところで、シャッター地板1094の開口1094aのサイズに関する前述の条件を満たすシャッター地板1094として、従来の銀塩カメラに用いられるシャッター地板1094があり、本実施形態では、このシャッター地板1094を利用している。これにより、新たにシャッター地板1094を設計する必要がなくなり、その分、コストの低減化を図ることができる。
【0078】
さらに、シャッター地板1094の開口1094aがローパスフィルター108の受光面より(X軸方向に)長いことを利用して、シャッター地板1094の開口1094aの中心位置O’を、センタリング位置におけるローパスフィルター108の中心位置Oからコネクタ部160側(図4の右側)にオフセットさせた状態でシャッター地板1094を配置している。
【0079】
すなわち、シャッター地板1094の開口の中心位置O’と、センタリング位置におけるローパスフィルター108の中心位置Oとを一致させる場合に比して、図4の矢印Sに示す部位に空間を生じさせ、フレキシブル配線146を適度に撓ませるためのスペースを確保している。
【0080】
以上の構成により、フォーカルプレーンシャッター及び撮像素子101を備えたデジタルカメラに、該撮像素子101を駆動することで振れ補正を行う機能を搭載する場合に、撮像画像が欠落することなく適切な撮像画像を得ながら、デジタルカメラ1のコンパクト化を達成することができる。
【0081】
なお、本発明は、前記実施形態に加えて、あるいは前記実施形態に代えて次の形態(1)〜(3)に説明する変形形態も採用可能である。
【0082】
(1)前記実施形態では、ローパスフィルター108を備えているので、シャッター地板1094の開口1094aのサイズを、ローパスフィルター108の受光面より大きく形成したが、このローパスフィルター108を備えていない場合には、開口1094aのサイズを、撮像素子101の撮像面より大きく形成すると、前記実施形態と同様の作用が得られる。
【0083】
(2)ぶれ補正以外の目的で撮像素子101を駆動する構成をデジタルカメラ1に備える場合であっても、前述のように開口サイズ等を設定することで、前記実施形態と同様の作用が得られる。
【0084】
(3)本発明は、デジタルカメラに限らず、例えばデジタルビデオカメラ等、撮像素子とフォーカルプレーンシャッターを備えた撮像装置が適用対象である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラの外観構造を説明する図であり、(a)は、デジタルカメラの正面外観図、(b)は、デジタルカメラの背面外観図である。
【図2】デジタルカメラの正面透視図である。
【図3】デジタルカメラの側面断面図である。
【図4】デジタルカメラの上面断面図である。
【図5】デジタルカメラの背面透視図である。
【図6】(a)は、シャッター部、撮像素子、ローパスフィルター及びシャッター駆動部をレンズ側から見た斜視図、(b)は、(a)においてシャッター台板と羽根部材とを取り外した状態を示す斜視図、(c)は、(a)に示すシャッター部等を反対側から見た斜視図である。
【図7】(a)は、図6(c)と同じ側からシャッター部等を見たときの正面図、(b)は、(a)において、シャッター台板及び羽根部材を取り除いた状態で矢印F方向から見た図である。
【図8】図7に示す状態からローパスフィルター等が駆動した状態を示す図である。
【図9】従来のシャッター部、撮像素子、ローパスフィルターの配置を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
101 撮像素子
108 ローパスフィルター
109 シャッター部
1093 シャッター台板
1094 シャッター地板
1095 シャッター羽根群
1093a,1094a 開口
146 フレキシブル配線
160 コネクタ部
201 撮像素子ホルダ
204 撮像素子基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光像を取り込む撮像光学系と前記撮像光学系からの光を受光する受光部との間の光路上に配置され、前記撮像光学系から前記受光部への光の遮断動作を行うフォーカルプレーンシャッターであって、
複数枚の羽根部材と、
前記羽根部材を一方向に所定の順序で駆動する駆動部材と、
前記撮像光学系からの光が通過するための開口をそれぞれ有し、前記羽根部材を挟んで前記撮像光学系側及び前記受光部側に互いに略平行に配置されたシャッター台板及びシャッター地板とを備えてなり、
前記シャッター地板の開口は、前記シャッター台板の開口及び前記受光部より大きく形成されていることを特徴とするフォーカルプレーンシャッター。
【請求項2】
請求項1に記載のフォーカルプレーンシャッターと、受光面が前記フォーカルプレーンシャッターと略平行となるように配置され、前記フォーカルプレーンシャッターを介して導かれた光を受光する受光部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記受光部に被写体の光像を結像する撮像光学系と、前記撮像光学系の結像面上の互いに直交する2つの方向に前記受光部を駆動する駆動部とを備え、前記受光部は、前記法線方向からみて、その受光面が前記シャッター台板の開口の領域内で移動するように駆動されることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記シャッター地板は、前記法線方向からみて、その開口が前記受光部の受光面の移動可能範囲より大きく形成されているものであり、その開口の中心位置を前記移動可能範囲の中心位置から所定の方向にオフセットさせて配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の撮像装置。
【請求項5】
当該撮像装置に発生する装置振れを検出し、検出した装置振れを振れ検出信号として出力する振れ検出部と、前記振れ検出部から出力される振れ検出信号を用いて、前記振れを補正するための振れ補正量及び振れ補正方向を導出する振れ補正制御部とを備え、前記駆動部は、前記振れ補正制御部により導出された振れ補正量及び振れ補正方向に基づいて、前記受光部を駆動することを特徴とする請求項3または4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記受光部は、前記撮像光学系により導かれた光を受光して光電変換を行う撮像素子を備えることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記受光部は、前記撮像光学系により導かれた光のうち所定の周波数より低い周波数の光のみを透過させて前記撮像素子に導くローパスフィルターを更に備えることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−79009(P2006−79009A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265907(P2004−265907)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】