説明

フグI型コラーゲン抽出物の医学的且つ保険的使用及び当該抽出物の製造方法

本発明は、次に疾患の予防と処置のための医薬と保健食品の製造における有効な成分としてのフグI型コラーゲン抽出物の使用に関し、ここでフグI型コラーゲン抽出物の主要な化学成分及び薬理活性成分は天然のフグI型コラーゲン又は変性フグI型コラーゲン及びその部分加水分解産物である。本発明はさらに、前記フグI型コラーゲン抽出物を製造する方法、前記抽出物の免疫的分析方法、及び治療と保健における有効成分としての前記抽出物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下で述べる疾患の予防と処置のための医薬及び保健食品の製造における有効な成分としてのフグI型コラーゲン抽出物であって、フグI型コラーゲン抽出物の主な化学成分及び活性成分が天然のフグI型コラーゲン又は変性フグI型コラーゲン抽出物及びその部分的加水分解産物であるフグI型コラーゲン抽出物の使用に関する。本発明はさらに、前記フグI型コラーゲン抽出物の製造方法、前記抽出物の免疫学的分析方法、及び医療と保健における有効な成分としての前記抽出物の使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
魚類の分類学によれば、本発明で使用する“フグ”は、硬骨魚綱、Tetrodontiformes, Tetrodontidae、に属する。フグはまた、Swellfish, Balloonfish, fugu又はBlowfishとも呼ばれる。現在まで、中国における歴史的及び慣習的な理由によりフグはしばしば、Cetacea, Platanistidaeに属する水生哺乳類であるカワイルカ(river dolphin)、と誤って呼ばれる。
【0003】
テトロドトキシンの源及びフグの毒性について
フグは有毒であるが、テトロドトキシンはフグ自体によって産生されるものではない、すなわち、フグはテトロドトキシンを合成しない。フグは移動性の魚であり、毎年4月から6月までの産卵期には大洋から内陸の河川へ移動し、産卵後大洋に戻り、若いフグも同じ年に大洋へ移動する。実は、テトロドトキシンは、河川や湖などの淡水環境に存在しないフグの体に寄生するいくつかの海洋微生物によって産生される。これらの海洋微生物は、フグに寄生した後にテトロドトキシンを合成して分泌し、それがフグの体に蓄積され貯蔵される。他の実験でも、テトロドトキシンハフグに食べられるテトロドトキシン産生海洋生物に由来するということが確認されている。イギリスと日本のいくつかの研究所がこの点について多くの研究を行っており、毒素を産生する海洋生物を含まない人工海水又は天然海水で繁殖され飼育されたフグはテトロドトキシンを含まないことが見出された。別の研究も、フグのゲノムと細胞はテトロドトキシンの生合成のために必要な遺伝子ファミリーと合成酵素(シンターゼ)を含まないことを確認した。
【0004】
コラーゲンの生理学、生化学、及び薬理学について
現在、20以上のコラーゲンが開示されており、それらはすべて三本鎖ヘリックス構造又は部分的な三本鎖ヘリックス構造を有する。それらは細胞外マトリックスの主成分であり、支持、結合、保護、及び構成などの作用を及ぼすと一般に考えられている。それらは人体において含有量が最も高い蛋白質であり、ほとんどすべての器官と組織に分布している。しかし、コラーゲンの数は多く、常に大きな分子量と複雑な構造を有するので、コラーゲンの生理学、生化学、生物的機能、及び病理学はまだ十分に分かっていない。
【0005】
コラーゲン
コラーゲンは、化学的な性質としては蛋白質であり、コラーゲン分子は、ある順序で配列された10種以上のアミノ酸から成るコラーゲン・サブユニット(α-及びβ-ペプチド鎖など)から構成される。コラーゲン分子は三つの組み合わされたらせん状のペプチド鎖から成る。前記ペプチド鎖のそれぞれは約1000のアミノ酸残基から成る。ペプチド鎖は互いに水素結合及び安定性を高めるための少数の共有結合によってリンクされている。コラーゲンは水に不溶であるが、それはこのコンパクトな硬い三本鎖ノヘリックス構造によって決定される。コラーゲンが熱によって変性されると、又は加水分解されると、この三本鎖ノヘリックス構造がゆるんで、ランダムで不規則なコイル構造を有し、水に対する溶解度が大きく高められたゼラチンを形成する。
【0006】
ゼラチン:
コラーゲンを不可逆的に変性させ、部分的に劣化させ、分解して生ずる生成物はゼラチンと呼ばれる。すなわち、ゼラチンはコラーゲンの変性及び部分分解産物であり、下の空間的構造を失った無秩序なコラーゲン・サブユニットとその部分的加水分解産物であるコラーゲン・ペプチドで構成される。しかし、コラーゲン生成物とゼラチン生成物は主要な化学的成分は同一である、すなわち、それらはコラーゲン性蛋白質である。
【0007】
I型コラーゲン
多くの文献が、皮膚と骨の蛋白質の大部分がコラーゲンであると確証している。皮膚は主にI型コラーゲンとわずかなIII型コラーゲンを含み、皮膚のすべての蛋白質を基準として約90%を占める。III型コラーゲンは、主に胚の皮膚に存在し。皮膚におけるその含有量は出生後徐々に減少して最終的に非常に低いレベルに達する。皮膚におけるIII型コラーゲンの増加は、主に局所的な瘢痕組織に見られる。骨は主にI型コラーゲンを含むが、軟骨は主にII型コラーゲンを含み、それらが骨の全蛋白質の90%以上を占める。皮膚と骨は多数の源から容易に入手できるので、I型コラーゲンの抽出物と製造のための最良の原料である。このことは当業者には周知であり、広く利用されており、また本発明の主要な理論的根拠である(□:Miller, E.J. et al., in: Methods in Enzymol., vol. 82, Academic Press; □Ven der Rest, M., et al., Collagen family of proteins, FASEB J., 1991, 5: 2814-2823)。日本では、Nagai, T., et al., (Collagen of the skin of ocellate pufferfish-----Takifugu rubripes. Food Chemistry, 2002, 78: 173-177)も、Fugu Ocellatusの皮膚の主なコラーゲンはI型コラーゲンであり、[α1(I)]2α2(I)という三重サブユニットを有することを指摘した。
【0008】
動物ゼラチン(donkey-hideにかわ、カメの腹甲のにかわ、colla piscisにかわ)の経口投与によって、体の免疫機能を調節し強化し、体の抵抗力を高めることができることは中国の民衆によく知られている。しかし、薬理的な作用メカニズムはまだ分かっていない。これらの動物ゼラチンは、化学的性質としては変性コラーゲン及びその部分下垂分解産物である。
【0009】
医療と保健におけるもう一つの重要なコラーゲン製剤はサメの軟骨コラーゲンである(II型コラーゲン)。WO 95/32722とWO 96/23512はサメ軟骨コラーゲン抽出物の製造方法とその医療的利用を開示しており、サメ軟骨コラーゲン抽出物の抗マトリックスメタロプロテイナーゼ活性、抗血管新生活性、及び抗腫瘍活性に関する。
【0010】
このように、コラーゲンは、支持、結合、保護、及び構成という効果の他に、いくつかの重要な機能と効果を有する。
【0011】
フグのにかわ及びゼラチンの製造方法と利用について
フグにかわ(すなわち、フグ皮膚のゼラチン)を含むゼラチンを製造する工業的方法は、主に酸方法、塩基方法、及び酵素方法があり、その製造手順は一般に次のような主要ステップを含む:(1)原料を前処理するステップ、これは以下のステップを含む(a)プレ検査、分類、洗浄、切断、及び油脂除去、を含む前処理;(b)不純物除去、柔軟化、及び拡張、これには主に次の三つの方法がある:酸、塩基(石灰クリームへの浸漬)、及び酵素方法、である;(2)ゼラチンの抽出、これは、にかわの煮沸、すなわち、ゼラチンを生成するために沸騰する水によって原料からゼラチンを抽出するステップを含む;及び(3)にかわ液体の処理、これは、濾過、濃縮、防腐処理、乾燥、及び成形して最終的にゼラチンをシート、粉末、又は顆粒の形で得るステップを含む。
【0012】
多くの文献は、分離と精製によってI型コラーゲンを生産する実験室での方法を開示しているが、これらの方法は通常長い複雑な方法を用い、収率が比較的低く、厳密な条件下で(10℃以下)行われ、残留する反応物質を含み、薬理的及び生物的活性が不明確で安全性が保証されず、大規模工業生産には適さない(Colowick, S.P., Kaplan, N.O., Methods in Enzymol., vol 82 and vol 144, Academic Press Inc.)。前記のNagai et al., の日本における文献はFugu ocellatusの皮膚からのI型コラーゲンの抽出方法を開示しており、それは、まずフグ皮膚を4℃で0.1 mol/L NaOHで処理して非コラーゲン蛋白質と色素を除去するステップ、凍結乾燥するステップ、10% n-ブタノールを2日間用いて油脂を去去するステップ、再び凍結乾燥するステップ、次に0.5 mol/L酢酸を3日間用いて抽出するステップ、抽出物を20,000 x gで1時間遠心分離するステップ、遠心分離での上澄みを0.7 mol/L NaClを用いて塩析(salting-out)するステップ、pH 7.5という条件下で最終塩析濃度2.5 mol/Lに達するまで連続的にNaClを加えるステップ、遠心分離するステップ、透析して塩を除去するステップ、凍結乾燥して酸に可溶なコラーゲン(ASC)を得るステップ、ここでASCの収率は原料の乾燥重量に対して10.7%である;遠心分離するステップ、0.5 mol/L酢酸中で沈澱を再分散させ、大量のペプシン(酵素の量は重量対体積の比、w/v、で10%)で48時間消化するステップ、遠心分離するステップ、遠心分離での上澄みを3日間透析するステップ、再び遠心分離するステップ、0.5 mol/L酢酸中に再び溶解するステップ、次に0.7 mol/L NaClを用いて塩析するステップ、遠心分離するステップ、pH 7.5という条件下で最終塩析濃度2.2 mol/Lに達するまでNaClを加えるステップ、遠心分離するステップ、0.5 mol/L酢酸中で沈澱を再溶解するステップ、透析して塩を除去するステップ、凍結乾燥してペプシンに可溶なコラーゲン(PSC)を得るステップ、ここでPSCの収率は原料の乾燥重量に対して44.7%である;そしてイオン交換カラムCM-Toyopearl 650Mを用いて生成物を精製するステップ、を含み、SDS-ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動の結果は、ASCもPSCもFugu ocellatusのI型コラーゲンであることを示し、上記の抽出ステップはすべて4℃で行われる。この方法は非常に複雑であり、多くのステップと装置を含み、非常に時間がかかり、全方法を遂行するには20日を超える期間が必要であることが分かる。
【0013】
フグの皮膚(骨)は有毒であり、普通は食べられない(天然のフグの皮膚と骨は中程度のレベルのテトロドトキシンを含む)。それは一般に医療及び工業用のゼラチンを作ったり、皮作業などに使用する、例えば止血スポンジ、吸収される縫合糸、化粧品、等である。しかし、本発明で述べるような医療及び保健における利用は開示されていない。
【0014】
関連疾患の病理学、生理学、及び薬理学
胃潰瘍は発病率が人口の8-10%で、普通に頻繁に起こる慢性疾患である。消化性胃潰瘍の病理メカニズムは十分に分かっていないが、現在は次の三つの主な病因が知られている:(1)胃壁細胞から分泌される過剰な塩酸;(2)損傷した又は不十分な胃粘膜の防衛;及び(3)ヘリコバクター・ピロリへの感染。それに対応して、病院での消化性胃潰瘍の治療のために主な三つの薬があるが、これらの薬は単一の効果しかなく、多くの有害な作用もある。したがって、胃潰瘍を高い成績、迅速な効果、持続する作用、及び少ない副作用で治療できる薬を開発することは多くの製薬会社にとって非常に重要なプロジェクトであり重要な目的である。
【0015】
世界中で第一の薬物乱用は、アルコールの乱用(暴飲と大酒)であり、これは非常に深刻な結果を引き起こし、ほとんどコントロールできない。アルコール乱用は、アルコール性胃潰瘍、胃出血、アルコール性肝線維症(進行すると肝硬変になる)、等の主な病因である。エタノール及び多くの薬や化学物質は肝線維症又は肝硬変を誘発し、肝硬変はさらに進行して肝臓癌になることがある。したがって、アルコール性疾患の予防と処置(飲む前及び後の)のための高い成績、速い薬効、及び低い毒性の薬を開発することが必要である。
【0016】
現在の研究は、関節リウマチ、リウマチ性関節炎、及びエリストマトーデスが体の免疫機能の乱れと障害によって引き起こされ、(II型)コラーゲンの代謝と関連していることを示唆している。
【0017】
臨床的化学療法における最も重要な問題の一つは、化学療法後の副作用(深刻な胃腸反応、体重減少、免疫低下、白血球減少症、等)であり、それは通常、患者に大きな生理的及び心理的なダメージを与え、そのダメージは腫瘍それ自体によるダメージよりも大きいことさえある。したがって、白血球の数を増やし、体の免疫を高め、胃腸機能を強化する薬及び保健製品を用いることは、化学療法の副作用を克服し化学療法の効果を高めるための有効な方法である。
【0018】
本発明は正にそのような根拠と必要に基づいて生み出されたものである。
【0019】
発明の要約
本発明の目的は、以下の疾患の予防と処置のための医薬及び保健食品の製造における有効な成分としてフグI型コラーゲン抽出物であって、フグI型コラーゲン抽出物の主たる化学的成分及び活性成分が天然フグI型コラーゲン又は変性フグI型コラーゲン抽出物及びその部分加水分解産物であるフグI型コラーゲン抽出物を提供することである。本発明はさらに、前記フグI型コラーゲン抽出物の製造方法、前記抽出物の免疫的分析方法、及び前記抽出物の治療及び保健における利用、に関する。
【0020】
本発明のフグI型コラーゲン抽出物の薬理的効果
我々は、本発明のフグI型コラーゲン抽出物の薬理ダイナミックスと薬理学を調べるために動物研究を行って、フグI型コラーゲン抽出物が多くの薬利敵効果と生物活性を有することを見出した。いくつかのテストの結果は次の通りであり、本発明のフグI型コラーゲン抽出物の薬理的効果と薬理ダイナミックスについて次のような重要な結論が得られた。
【0021】
(1)フグI型コラーゲン抽出物は、無水エタノールによって誘発されるラットの胃潰瘍及び胃粘膜損傷に対して用量依存的に非常に有意な保護効果を示す。
【0022】
(2)フグI型コラーゲン抽出物は、Shayラットの胃潰瘍に対して用量依存的に非常に有意な予防効果を示し、このことは、それが消化性胃潰瘍に対して有意な予防及び処置効果を有することを示す。
【0023】
(3)フグI型コラーゲン抽出物は、酢酸による火傷(burn)で誘発されるラット胃潰瘍に対して用量依存的に非常に有意な処置効果を示し、このことは、フグI型コラーゲン抽出物が慢性胃潰瘍に対して処置効果を有し、潰瘍部位の治癒を有意に促進できることを示す。
【0024】
(4)フグI型コラーゲン抽出物は、レセルピンによって誘発されるマウス胃潰瘍に対して用量依存的に非常に有意な予防効果を示し、このことは、それが脾臓無力症によって起こる胃潰瘍に有意な予防及び処置効果を有することを示す。
【0025】
(5)フグI型コラーゲン抽出物は、インドメタシンで誘発されるラット胃潰瘍に対して用量依存的に非常に有意な保護効果を示し、このことは、それが非ステロイド効炎症薬によって誘発される胃潰瘍及び胃粘膜損傷に対して有意な予防及び処置効果を有することを示す。
【0026】
(6)フグI型コラーゲン抽出物は、四塩化メタンと無水エタノールによって誘発される急性ラット肝臓傷害によって引き起こされる血漿トランスアミナーゼ活性上昇に用量依存的に非常に有意な減少効果を示す。
【0027】
(7)フグI型コラーゲン抽出物は、2,4,6-トリニトロベンゼン・スルホン酸(TNBS)と酢酸によって誘発されるラット結腸炎、及びそれによって引き起こされる下痢、に用量依存的に有意な処置効果を示し、結腸炎によって引き起こされる体重減少の治療に用いることができる。
【0028】
(8)フグI型コラーゲン抽出物は、シクロホスファミドによって減少するマウスの白血球と血小板の数を用量依存的に増加させ、このことは、それが体の免疫を高め化学療法の副作用を減少させることができることを示す。
【0029】
(9)フグI型コラーゲン抽出物は、ラットのアルコール性脂肪肝と胃壁のコラーゲン含有量の病理的な増加を用量依存的に抑制し、このことは、フグI型コラーゲン抽出物が肝臓と胃におけるコラーゲンの病理的合成を抑制し、肝線維症を予防し治療できることを示す。
【0030】
(10)フグI型コラーゲン抽出物は、投与から30分後に最大薬剤作用の96.81%に達し、このことは、フグI型コラーゲン抽出物が速やかな効果をもたらすことを意味する;また、それは投与から18時間後に最大薬剤作用の77.78%を維持し、このことは、フグI型コラーゲン抽出物が長く続く作用を有することを意味する。
【0031】
(11)フグI型コラーゲン抽出物は、マウス胃排出能及び臭化ピリドスチグミンによって促進される胃排出能に対して用量依存的に非常に有意な抑制効果を示し、このことは、フグI型コラーゲン抽出物がアセチルコリンの作用をブロックし、アセチルコリンの収縮刺激を抑制し、胃痙攣を抑制し、胃腸管における食物の保持時間を長びかせ食物の消化と吸収を促進することができることを示す。
【0032】
(12)フグI型コラーゲン抽出物は、インドメタシンによって減少する胃粘膜のプロスタグランジンE2(PGE2)及びプロスタサイクリン-6-Kのレベルを有意に増加させることができ、このことは、フグI型コラーゲン抽出物が、潰瘍の治療と胃粘膜細胞の保護のための最も重要なメカニズムの一つである胃粘膜のPGE2と胃粘膜の血流を保護し維持することができるということを示す。フグI型コラーゲン抽出物は、さらに、胃粘膜の分泌(粘液)を有意に改善できる。
【0033】
(13)フグI型コラーゲン抽出物は、ヒスタミン及びアセチルコリンによって刺激されるラット胃酸分泌に対して用量依存的に非常に有意な抑制効果を示し、基礎胃酸分泌を有意に抑制する。このことは、フグI型コラーゲン抽出物が、ヒスタミン及びアセチルコリンに及ぼすブロッキング効果が消化性胃潰瘍の治療の重要なメカニズムの一つであることを示す。
【0034】
(14)ビーグル犬による毒性テストは、フグI型コラーゲン抽出物がきわめて安全であり、長期間にわたって安全に経口投与できることを示している。大用量のフグI型コラーゲン抽出物の投与は体重を増加させ、免疫器官の重量を増加させ、体の免疫を高めることができる。
【0035】
(15)フグI型コラーゲン抽出物は、システアミン、酢酸、又は塩かヒスタミン/インドメタシンによって、それぞれ、誘発される十二脂腸潰瘍に対して用量依存的に非常に有意な予防及び処置効果を示す。
【0036】
(16)フグI型コラーゲン抽出物は、Shayラット血清におけるガストリン・レベルの増加に対して用量依存的に非常に有意な抑制効果を示し、このことは、フグI型コラーゲン抽出物がガストリンによって刺激される胃酸分泌を抑制でき、それが消化性胃潰瘍の治療の重要なメカニズムの一つであることを示す。
【0037】
(17)一方において、フグI型コラーゲン抽出物は、エタノールによって傷つけられたラット胃粘膜における窒素酸化物(NO)レベル、iNOS活性、及びiNOS遺伝子発現に対して用量依存的に非常に有意な抑制効果を示し、NO含有量及びiNOS活性を正常レベルより低いレベルに非常に有意に減少させる。他方において、フグI型コラーゲン抽出物は、エタノールの誘導によって減少するcNOS遺伝子発現を非常に有意に増加させ、それを正常レベルに回復する。これらのことは、フグI型コラーゲン抽出物が胃粘膜におけるNOレベル、iNOS活性、iNOS及びcNOS遺伝子発現を区別して調節することができ、それが胃粘膜の保護、血管拡張、胃粘膜の血流の改善、及び胃潰瘍の予防と処置の重要なメカニズムの一つであることを示す。
【0038】
(18)フグI型コラーゲン抽出物は、ニワトリ胚の血管新生を有意に抑制することができる。
【0039】
(19)フグI型コラーゲン抽出物は、in vitroでのプロトロンビン時間(PT)、血漿トロンビン時間(TT)、血漿活性部分トロンボプラスチン時間(APTT)を有意に減少させる。
【0040】
(20)フグI型コラーゲン抽出物は、in vitroでのブタ及びウサギのH+、K+-ATPaseに対して一定の抑制効果を示す。
【0041】
本発明では、上記の発見に基づいて次のような結論が得られている:フグI型コラーゲン抽出物は有効な成分として次の疾患の予防と処置のために用いることができる:胃腸疾患、例えば胃潰瘍、アルコール−及び薬物−で誘発される胃潰瘍と胃出血、アルコール−及び薬物−で誘発される胃粘膜傷害、ストレス性胃潰瘍、急性及び慢性胃炎、表在及びびらん性胃炎、胃痙攣、胃痛、胆汁逆流胃潰瘍、十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、結腸炎、胃腸障害、胃運動障害、消化不良と吸収不良、及び体重減少、それによる腹部膨満と下痢;肝細胞損傷と増殖疾患、例えばアルコール性肝傷害及びそれによる肝線維症と肝硬変、肝線維症、肝硬変、薬物に誘発される肝傷害及びそれによる肝線維症と肝硬変、腎線維症、心筋線維症;免疫疾患、例えば免疫機能障害及び低下、白血球減少症、関節リウマチ、リウマチ性関節炎、エリテマトーデス;腫瘍、例えば悪性胃腫瘍、胃癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、の発生、進行、及び転移、並びに他の固形悪性腫瘍、の発生、進行、及び転移、並びに新生血管関連疾患。
【0042】
これまで、中国、その他の国でも、本発明で述べるような医療及び保健用途における生物活性、薬理的効果及びメカニズム、を有するフグにかわ、フグI型コラーゲンの動物試験と臨床的応用に関する報告は何もない。本発明の発明者たちが、フグI型コラーゲンがこれらの薬理的活性を有することを初めて開示して本発明を完成させたものである。
【0043】
本発明はさらに、フグ皮膚及び/又はひれを含むフグ骨を用いてフグI型コラーゲン抽出物を製造する方法を提供する。この方法は次のステップを含む:
【0044】
(1)原料を前処理するステップ:
(a)天然フグ皮膚及び骨原料を前処理して毒素を除去するステップ:原料を0から50℃までで酸溶液又はアルカリ溶液で4から48時間処理し、十分に水で洗浄し、このステップを4から6回繰り返す;
【0045】
ここで、毒素を除去するためにアルカリ溶液を用いる場合、好ましい条件は:常圧、アルカリ溶液の最終濃度0.01〜0.1 mol/L、20〜30℃、6から24時間の毒素の除去、及び4から5回の繰り返し;毒素を除去するために酸溶液を用いる場合、好ましい条件は:常圧、酸溶液の最終濃度0.1〜0.2 mol/L、0〜20℃、6から24時間の毒素の除去、及び4から5回の繰り返し;
【0046】
(b)淡水で人工飼育されたフグの皮膚と骨、又は天然フグの毒素除去された皮膚と骨水で透明に洗浄するステップ、直ちに用いない場合は-20℃以下で貯蔵して待機させる;
【0047】
(2)次の三つの方法のいずれかに従って抽出するステップ:
(a)前処理されたフグの皮膚及び骨原料に水又は酸溶液を任意の比率で加え、0から125℃までの温度、常圧から3気圧までの圧力で、60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を取り、0から6回繰り返し、濾液を合わせ、水を残渣に加え、又は濾液を残渣に合体し、ホモジナイズしてホモジネートを集め、抽出溶媒としての酸溶液によって得られたホモジネートは20℃以下で12〜48時間静置する;水を抽出溶媒として得られたホモジネートは直接次のステップで使用する;
【0048】
ここで、酸溶液を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、0から10℃、最終酸溶液反応濃度0.1から0.5 mol/L、48〜72時間の抽出、2から4回の繰り返し、ホモジナイズ;及び、常圧、40から80℃、最終酸溶液反応濃度0.01〜0.2 mol/L、4〜8時間抽出、3から5回の繰り返し、ホモジナイズ;
【0049】
ここで、水を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、90から100℃、3〜8時間の抽出、1から3回の繰り返し、ホモジナイズ;
【0050】
(b)前処理されたフグ骨原料に水又は酸溶液を加える、0から125℃までの温度、常圧から3気圧までの圧力で、60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を取り、0から6回繰り返し、濾液を合わせ、残渣を捨て、濾液を元の体積の100%から10%までに濃縮し、ある量のフグ皮膚原料を加え、0から125℃までの温度、常圧から3気圧までの圧力で、60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を取り、水又は酸溶液を加え、0から6回繰り返し、濾液を合わせ、濾液と残渣を合体し、ホモジナイズしてホモジネートを得て、酸溶液を抽出溶媒として得られたホモジネートを20℃以下で12〜48時間静置する;水を抽出溶媒として得られたホモジネートは直接次のステップで使用する;
【0051】
ここで、酸溶液を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、0から10℃、最終酸溶液反応濃度0.1から0.5 mol/L、48〜72時の間抽出、2から4回の繰り返し、ホモジナイズ;及び、常圧、40から80℃、最終酸溶液反応濃度0.01から0.2 mol/L、4〜8時間の抽出、3から5回の繰り返し、ホモジナイズ;
【0052】
ここで、水を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、90から100℃、3〜8時間の抽出、1から3回の繰り返し、ホモジナイズ;
【0053】
(c)I型コラーゲン及びゼラチンを抽出するための従来技術の常用の方法又は改良方法によって、本発明のフグI型コラーゲン抽出物を得る;例えば、前処理されたフグ皮膚及び骨の原料を任意の比率で、希塩基、希酸、又はプロテイナーゼによって24時間以上処理して他の蛋白質不純物を除去し、水で洗浄し、油脂を除去し、10℃以下で0.1-0.5 mol/Lの酢酸又は塩酸などの希酸で繰り返し抽出し、ホモジナイズし、遠心分離し、遠心分離の上澄みと希酸抽出物を中和し又は中和せず、0.7-4.4 mol/Lの中性塩、例えば塩化ナトリウム、を用いて段階的に繰り返し塩析してI型コラーゲンの沈澱を得る;又は塩化ナトリウムなどの中性塩の希溶液を用いて10℃以下で繰り返し抽出し、遠心分離又は濾過によってI型コラーゲンの抽出物を得る;ペプシンなどのプロテアーゼによって抽出された残渣を加水分解し、上記の塩析ステップを再び行ってフグI型コラーゲンを得る;I型コラーゲン抽出物溶液をDEAE-又はCM-イオン交換装置で精製して他の蛋白質不純物を除去してフグI型コラーゲンを得る(しかし、従来技術におけるフグI型コラーゲンの抽出方法(Nagai, T. の文献を参照のこと)を用いて本発明のフグI型コラーゲン抽出物を得る場合、製造期間は長く、エネルギー消費は大きく、前記方法は産業での大規模生産に不適当であり、生成物の薬理活性は低くなり、条件で左右され、さらに前記方法は汚染した廃棄物を発生する);
【0054】
(3)濾過し濃縮するステップ:
ホモジネートを遠心分離又は濾過して残渣を除去し、任意に濾液を元の体積の100%から10%に濃縮して濃縮されたフグI型コラーゲン抽出物を得る;
【0055】
ここで、抽出が酸溶液を用いて低温で行われる場合、残渣を除去するのに好ましい方法は、低温での高速遠心分離である;他方、抽出が水又は酸溶液を用いて高温で行われる場合、残渣を除去するのに好ましい方法は濾過である;
【0056】
抽出が酸溶液を用いて低温で行われる場合、好ましい濃縮方法は孔径が100から200 Kdaの限外濾過膜を用いる限外濾過による濃縮である;抽出が水又は酸溶液を用いて高温で行われる場合、好ましい濃縮方法は真空濃縮である;
【0057】
好ましい簡単な製造方法は、次のステップを含む:前記抽出が遠心分離又は濾過されて残渣が除去された後、それを直接(限外濾過)濃縮及び(凍結、スプレー)乾燥してフグI型コラーゲン抽出物を得る;
【0058】
(4)任意に、乾燥及び粉砕するステップ:
抽出又は濃縮された抽出物を乾燥し(スプレー乾燥、凍結乾燥、又はマイクロ波乾燥、ベーキング乾燥、遮光乾燥、好ましくは凍結乾燥又はスプレー乾燥)、粉砕して80メッシュシーブを通過可能なフグI型コラーゲン抽出物の、淡黄色又は白色の粉末生成物を得る;
【0059】
ここで、酸溶液は有機酸又は無機酸である;アルカリ溶液は無機塩基である;抽出ステップにおける最終濃度は0.001から1.0 mol/Lである;毒を除去するステップにおける最終濃度は0.01〜0.5 mol/Lである;使用する酸の例は次のようなものである:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸;使用するアルカリの例は次のようなものである:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム(石灰水)、炭酸ナトリウム;使用する酵素の例は次のようなものである:トリプシン、パンクレアチン、ペプシン、パパイン、キモトリプシン、ブロメライン、ディスパーゼ、プロナーゼ、フィブリン、ゼラチナーゼ、II型コラゲナーゼ、III型コラゲナーゼ、プロテイナーゼK、並びに他の動物、植物、及び微生物由来の種々のプロテイナーゼ。
【0060】
ある好ましい実施形態では、濾過と濃縮のステップの後、次の二つの方法に従って制御可能な部分加水分解が行われる:
(1)次の条件下でプロテイナーゼを用いて加水分解する:反応系中のプロテイナーゼ濃度は1-100 mg/100 mg湿重量組織、好ましくは10-50 mg/100 mg湿重量組織、攪拌、温度20-65℃、好ましくは30-37℃、時間は3-100時間、好ましくは3-48時間、100℃に5-10分間熱して酵素分解後の酵素活性を停止;
【0061】
(2)次の条件下で有機酸及び/又は無機酸を用いて加水分解する:反応系中で酸濃度は0.001-1.0 mol/L、好ましくは0.05-0.50 mol/L、攪拌、温度0-100℃、好ましくは25-75℃、時間は60分から72時間、好ましくは3-24時間、中和又は酸を真空で除去;
【0062】
ここで、使用する酸の例は次のようなものである:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸;使用するアルカリの例は次のようなものである:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム(石灰水)、炭酸ナトリウム;使用する酵素の例は次のようなものである:トリプシン、パンクレアチン、ペプシン、パパイン、キモトリプシン、ブロメライン、ディスパーゼ、プロナーゼ、フィブリン、ゼラチナーゼ、II型コラゲナーゼ、III型コラゲナーゼ、プロテイナーゼK、並びに他の動物、植物、及び微生物由来の種々のプロテイナーゼ;好ましい酵素は、III型コラゲナーゼ、トリプシン、ペプシン;好ましい酸は酢酸、塩酸、である。
【0063】
任意に、加水分解産物は元の体積の100%から10%に濃縮され、濃縮された加水分解産物を乾燥させて、又は沈澱させ乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る。
【0064】
別の好ましい実施形態では、濃縮のステップのあとに次の二つの方法に従って沈澱ステップを実施する:
(1)濃縮された抽出物に、濃縮された抽出物の体積の8から15倍、好ましくは10から12倍の体積を有する冷たいアセトンを加え、10℃以下で24〜48時間沈澱させ、遠心分離又は濾過して沈澱を集め、残留する有機溶媒を沈澱から揮発させ、乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る;
(2)濃縮された抽出物に、冷たいエタノールを、最終エタノール濃度が55-90%、好ましくは75-90%に達するまで加え、10℃以下で24〜48時間沈澱させ、遠心分離又は濾過して沈澱を集め、残留する有機溶媒を沈澱から揮発させ、任意に乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る;
【0065】
好ましくは、得られた沈澱を1.0-2.2 mol/LのNaClを含む中性バッファー(pH 7.5)で、又は1.0-2.2 mol/LのNaCl溶液で直接、繰り返し抽出し、抽出物の塩を除去し、任意に乾燥させて比較的高い純度のフグI型コラーゲン抽出物を得る;
【0066】
さらに好ましくは、上記ステップで得られた抽出物をDEAE-及び/又はCM-イオン交換法によって精製して蛋白質不純物を除去し、イオン交換溶出液体を脱塩脂、乾燥させて高純度のフグI型コラーゲン抽出物を得る;
【0067】
本発明のフグI型コラーゲン抽出物を製造する方法を以下のようにさらに詳しく説明する:
(1)原料を前処理するステップ:
(a)天然フグ皮膚及び骨原料を前処理して毒素を除去するステップ:原料を0から50℃で酸溶液又はアルカリ溶液で4から48時間処理し、十分に水で洗浄し、このステップを4から6回繰り返す;
【0068】
ここで、毒素を除去するためにアルカリ溶液を用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、アルカリ溶液の最終濃度0.01〜0.1 mol/L、20〜30℃、8から24時間の毒素の除去、そして4から5回の繰り返し;そして、毒素を除去するために酸溶液を用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、酸溶液の最終濃度0.1〜0.2 mol/L、0〜20℃、6から24時間の毒素の除去、そして4から5回の繰り返し;
【0069】
(b)淡水で人工飼育されたフグの皮膚と骨、又は天然フグの毒素除去された皮膚と骨水で透明に洗浄するステップ、直ちに用いない場合は-20℃以下で貯蔵して待機させる;
【0070】
(2)次の三つの方法のいずれかに従って抽出するステップ:
(a)前処理されたフグの皮膚及び骨原料に水又は酸溶液を任意の比率で加え、0から125℃までの温度、常圧から3気圧までの圧力で、60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を取り、0から6回繰り返し、濾液を合わせ、水を残渣に加え、又は濾液を残渣に合体し、ホモジナイズしてホモジネートを得て、抽出溶媒としての酸溶液によって得られたホモジネートは20℃以下で12〜48時間静置する;水を抽出溶媒として得られたホモジネートは直接次のステップで使用する;
【0071】
ここで、酸溶液を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、0から10℃、最終酸溶液反応濃度0.1から0.5 mol/L、48〜72時間の抽出、2から4回の繰り返し、ホモジナイズ;そして、常圧、40から80℃、最終酸溶液反応濃度0.01から0.2 mol/L、4〜8時間の抽出、3から5回の繰り返し、ホモジナイズ;
【0072】
ここで、水を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、90から100℃、3〜8時間の抽出、1から3回の繰り返し、ホモジナイズ;
【0073】
(b)前処理されたフグ骨原料に水又は酸溶液を加える、0から125℃までの温度、常圧から3気圧までの圧力で、60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を取り、0から6回繰り返し、濾液を合わせ、残渣を捨て、濾液を元の体積の100%から10%までに濃縮し、ある量のフグ皮膚原料を加え、0から125℃までの温度、常圧から3気圧までの圧力で、60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を取り、水又は酸溶液を加え、0から6回繰り返し、濾液を合わせ、濾液と残渣を合体し、ホモジナイズしてホモジネートを得て、酸溶液を抽出溶媒として得られたホモジネートを20℃以下で12〜48時間静置する;水を抽出溶媒として得られたホモジネートは直接次のステップで使用する;
【0074】
ここで、酸溶液を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、0から10℃、最終酸溶液反応濃度0.1から0.5 mol/L、48〜72時間の抽出、2から4回繰り返し、ホモジナイズ;及び、常圧、40から80℃、最終酸溶液反応濃度0.01から0.2 mol/L、4〜8時間の抽出、3から5回の繰り返し、ホモジナイズ;
【0075】
ここで、水を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、90から100℃、3〜8時間の抽出、1から3回の繰り返し、ホモジナイズ;
【0076】
このステップにより、任意の比率の前処理されたフグ皮膚と骨(ひれ)の混合物からフグI型コラーゲン抽出物が直接得られ、又は最初にフグ骨(ひれ)から抽出物が得られ、次に最初に得られた抽出物を抽出溶媒として用いてフグ皮膚からフグI型コラーゲン抽出物が得られる。このステップは、主に、原料中のI型コラーゲンが水又は希酸溶液を用いて比較的高温で直接抽出され、I型コラーゲンがホモジナイズした後12から48時間で完全に抽出される;あるいは、原料が希弱酸溶液で低温で抽出され、次にI型コラーゲンが12から48時間で完全に抽出されるということを特徴とし、これによって本発明の方法の短い製造期間と高い効率が保証される。これが本発明の抽出方法の進歩性である。前記抽出方法は、I型コラーゲンと他の蛋白質の間にある次のような溶解度の二つの重要な違いを利用している:(1)I型コラーゲンは希酸溶液に可溶であり、特に希酸溶液の温度が40℃より高いときにI型コラーゲンは非常に高い溶解度を有し、ほぼ完全に酸溶液に溶解するが、他の蛋白質はほとんどがこの温度では溶解度が低くなり、不溶な変性した蛋白質沈澱を形成するので、これらの蛋白質はI型コラーゲンから分離され、それによって遠心分離又は濾過による除去が容易になること;及び(2)熱変性したI型コラーゲンは熱湯に可溶であるが、他の熱変性した蛋白質は沈澱を生じ、I型コラーゲンから完全に分離されること;他方、本発明では、フグI型コラーゲン抽出物の薬理活性は、100℃以下の温度の水溶液中で、又は80℃以下の温度の希酸溶液中で数時間熱せられた後も非常に安定している;これはI型コラーゲン抽出物を製造する本発明の方法の新しいユニークな特徴であり、高い性能でフグI型コラーゲン抽出物を製造するための本発明の理論的根拠である;これに対して、従来技術の方法は低温で希酸を用いて長時間の抽出を行うだけであり、大量のペプシンを加水分解と抽出のために使用する(それは同時に外部から他の蛋白質不純物を導入する)、又は長時間のアルカリ溶液による処理を用いて他の蛋白質不純物を除去し、次に沸騰する水によって繰り返し抽出する。したがって、従来技術の方法には、長い時間、高いエネルギー消費、高コスト、三つの廃棄物の発生、及び生成物の活性の変化、などの欠点があった。
【0077】
(c)I型コラーゲン及びゼラチンを抽出するための従来技術の常用の方法又は改良方法によって、本発明のフグI型コラーゲン抽出物を得る[Nagai, T. et al.: Collagen of the skin of ocellate pufferfish (Takifugu rubripes). Food Chemistry, 2002, 78:173-177];例えば、前処理されたフグ皮膚及び骨の原料を任意の比率で、希塩基、希酸、又はプロテイナーゼによって処理して他の蛋白質不純物を除去し、水で洗浄し、油脂を除去し、10℃以下で0.1-0.5 mol/Lの酢酸又は塩酸などの希酸で繰り返し抽出し、ホモジナイズし、遠心分離し、遠心分離の上澄みと希酸抽出物を中和し又は中和せず、0.7-4.4 mol/Lの中性塩、例えば塩化ナトリウム、を用いて段階的に繰り返し塩析してI型コラーゲンの沈澱を得る;又は塩化ナトリウムなどの中性塩の希溶液を用いて10℃以下で繰り返し抽出し、遠心分離又は濾過によってI型コラーゲンの抽出物を得る;ペプシンなどのプロテアーゼによって抽出された残渣を加水分解し、上記の塩析ステップを再び行ってフグI型コラーゲンを得る;I型コラーゲン抽出物溶液をDEAE-又はCM-イオン交換装置で精製して他の蛋白質不純物を除去してフグI型コラーゲンを得る(しかし、上で述べたような従来技術におけるフグI型コラーゲンの抽出方法を用いて本発明のフグI型コラーゲン抽出物を得る場合、製造期間は長く、エネルギー消費は大きく、コストが高くなり、汚染した廃棄物を発生し、生成物の薬理活性が条件で左右される);
【0078】
(3)濾過し濃縮するステップ:
ホモジネートを遠心分離又は濾過して残渣を除去し、濾液を元の体積の100%から10%に濃縮して濃縮されたフグI型コラーゲン抽出物を得る;
【0079】
ここで、抽出が酸溶液を用いて低温で行われる場合、残渣を除去するのに好ましい方法は、低温での高速遠心分離である;他方、抽出が水又は酸溶液を用いて高温で行われる場合、残渣を除去するのに好ましい方法は濾過である;
【0080】
抽出が酸溶液を用いて低温で行われる場合、好ましい濃縮方法は孔径が100から200 Kdaの限外濾過膜を用いる限外濾過による濃縮である;抽出が水又は酸溶液を用いて高温で行われる場合、好ましい濃縮方法は真空濃縮である;
【0081】
(4)任意に、乾燥及び粉砕するステップ:
抽出又は濃縮された抽出物をスプレー乾燥、凍結乾燥、又はベーキング乾燥、遮光乾燥、によって乾燥し、粉砕して80メッシュシーブを通過可能なフグI型コラーゲン抽出物の、淡黄色又は白色の粉末生成物を得る、これは主に、フグI型コラーゲン又は変性したフグI型コラーゲン及び部分加水分解されたフグI型コラーゲンであり、好ましい乾燥方法はスプレー乾燥又は凍結乾燥である;
【0082】
ここで、酸溶液は有機酸又は無機酸デアル;アルカリ溶液は無機塩基である;抽出ステップにおける最終濃度は0.001から1.0 mol/Lである;毒を除去するステップにおける最終濃度は0.01から0.5 mol/Lである;使用する酸の例は次のようなものである:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸;使用するアルカリの例は次のようなものである:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム(石灰水)、炭酸ナトリウム;使用する酵素の例は次のようなものである:トリプシン、パンクレアチン、ペプシン、パパイン、キモトリプシン、ブロメライン、ディスパーゼ、プロナーゼ、フィブリン、ゼラチナーゼ、II型コラゲナーゼ、III型コラゲナーゼ、プロテイナーゼK、並びに他の動物、植物、及び微生物由来の種々のプロテイナーゼ。
【0083】
抽出ステップはフグI型コラーゲンに対する選択性を有し、原料は主にI型コラーゲンを含むので、フグI型コラーゲン抽出物は上記抽出物を遠心分離又は濾過して残渣を除去し、直接(限外濾過)遠心分離し、(凍結、スプレー)乾燥して得られる。こうして、フグI型コラーゲン抽出物を製造するための簡単で好適な方法が確立された。これが本発明の進歩性の一つであり、従来技術におけるフグにかわの製造方法では見出されないものである。
【0084】
上述の濾過と濃縮のステップの後、次の二つの方法に従って制御可能な部分加水分解が行われる:
【0085】
(1)次の条件下でプロテイナーゼを用いて加水分解する:反応系中のプロテイナーゼ濃度は1-100 mg/100 mg湿重量組織、好ましくは10-50 mg/100 mg湿重量組織、攪拌、温度20-65℃、好ましくは30-37℃、時間は3-100時間、好ましくは3-48時間、5-10分間100℃に加熱して酵素分解後の酵素活性を停止;
【0086】
(2)次の条件下で有機酸及び/又は無機酸を用いて加水分解する:反応系中で酸濃度は0.001-1.0 mol/L、好ましくは0.05-0.50 mol/L、攪拌、温度0-100℃、好ましくは25-75℃、時間は60分から72時間、好ましくは3-24時間、中和又は酸を真空で除去;ここで、好ましい酵素はIII型コラゲナーゼ、トリプシン、ペプシンである;好ましい酸は酢酸、塩酸である。従来技術におけるフグにかわの製造はこの加水分解ステップを含まないが、フグI型コラーゲン抽出物の制御可能な加水分解は、高い薬理活性を有する製品の製造に非常に重要である。これが本発明の方法のもう一つの特徴である。
【0087】
加水分解産物は元の体積の100%から10%という体積に濃縮され、濃縮された加水分解産物を(スプレー、凍結)乾燥させて、又は次の二つの沈澱方法のいずれかに従って沈澱させてフグI型コラーゲン抽出物を得る。沈澱を乾燥させて、主にフグI型コラーゲン又は変性フグI型コラーゲン及びその部分加水分解産物から成るフグI型コラーゲン抽出物を得る。
【0088】
上述の濃縮ステップの後、次の二つの方法に従って沈澱が行われる:
(1)濃縮された抽出物に、濃縮された抽出物の体積の8から15倍、好ましくは10から12倍の体積を有する冷たいアセトンを加え、10℃以下で24〜48時間沈澱させ、遠心分離又は濾過して沈澱を集め、残留する有機溶媒を沈澱から揮発させ、乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る;
【0089】
(2)濃縮された抽出物に、冷たいエタノールを、最終エタノール濃度が55-90%、好ましくは75-90%に達するまで加え、10℃以下で24〜48時間沈澱させ、遠心分離又は濾過して沈澱を集め、残留する有機溶媒を沈澱から揮発させ、任意に乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る;フグI型コラーゲン抽出物を抽出するための従来技術によるすべての方法は、沈澱を処理するために冷たいアセトン又はエタノールを用いていないが、この沈澱方法は容易に工業化でき、沈澱効率が高く、アセトンとエタノールを回収して再利用でき、生成物中の残留反応物質を容易に除去できる。反対に、NaCl塩析の沈澱効率は低く、大量のNaClと一部の他の蛋白質不純物が生成物と一緒に沈澱し、それらを除去するためのステップがさらに必要になる。この沈澱ステップが本発明の別の特徴である。
【0090】
本発明では、前記沈澱ステップから得られる沈澱は、1.0-2.2 mol/LのNaClを含む中性バッファー(pH 7.5)によって、又は1.0-2.2 mol/LのNaCl溶液によって直接、逆方向の仕方で繰り返し抽出し、抽出物を脱塩し、乾燥させて比較的高純度のフグI型コラーゲン抽出物を得ることができる。従来技術によるフグにかわ又はフグI型コラーゲンの抽出と製造箱のステップを含んでいない。これは本発明の別の特徴である。
【0091】
フグI型コラーゲン抽出物は蛋白質生成物であるから、それは特異的な免疫法によって、例えば免疫拡散法、向流免疫電気泳動法、免疫比濁分析法、固相酵素結合免疫スポット法(ELISPOT)、ELISA、及びRIAなどによって、高感度で検出できる。本発明はフグI型コラーゲン抽出物のいろいろな免疫分析方法を初めて開示している。
【0092】
本発明の方法におけるフグI型コラーゲン抽出物は次のような特徴を有する:
(1)フグI型コラーゲン抽出物はフグ皮膚及び/又は骨(ひれ)を原料として用いて調製され、主な化学成分及び薬理活性成分としてフグI型コラーゲン又は変性I型コラーゲン及びその部分加水分解産物を含み、請求項1に述べられているような薬理的及び生物的活性と、(魚)I型コラーゲンの典型的な物理的/化学的性質を有する(図1から4まで、表1−3及び5、を参照のこと);
【0093】
(2)フグI型コラーゲン抽出物中のフグI型コラーゲン又は変性I型コラーゲン及びその部分加水分解産物の含有量は、50%よりも多く,全蛋白質含有量は70%よりも多い;
【0094】
(3)フグI型コラーゲン・トリマー[α1(I)]2α2(I)の分子量は300〜420 KDaであり、変性フグI型コラーゲン(α1(I)モノマー、α2(I)モノマー、α1(I)2ダイマー、及びα1(I) α2(I)ダイマーを含む)及びその部分加水分解産物の分子量は60〜300 KDaである;フグI型コラーゲン蛋白質の二つのサブユニットの別々の等電点はα1(I):4.85±0.5及びα2(I):6.71±0.5であるが(図1を参照のこと)、フグI型コラーゲンの二つのサブユニットの等電点はフグの種によって変動する;
【0095】
(4)紫外吸収スキャンニングの結果は、0.2 mol/L酢酸を溶媒として用いて得られた0.3 mg/mlのフグI型コラーゲン抽出物溶液の紫外吸収の最大波長は226±3 nmであり;0.1 mol/L塩酸を溶媒として用いて得られた0.1 mg/mlのフグI型コラーゲン抽出物溶液の紫外吸収の最大波長は203±3 nmであり;さらに、260から280 nmまでの範囲に吸収ピークがなく、前記波長範囲における吸収の値が比較的低いことを示している;
【0096】
(5)Kivirikkoの方法及び自動アミノ酸分析計の測定によると、フグI型コラーゲン抽出物は、ヒドロキシプロリンの重量パーセンテージ含有量が4.5%より大きく、他の魚コラーゲンと同様である;魚コラーゲンのヒドロキシプロリンの重量パーセンテージ含有量は、通常、10%よりも低く、陸生動物のコラーゲンのヒドロキシプロリン含有量(14%)よりも有意に低い;本発明の方法によって得られたフグI型コラーゲン抽出物のアミノ酸成分は表1,2,3及び5に示している;フグI型コラーゲン抽出物は糖蛋白質であり、蛋白質に結合した炭水化物含有量が0.5から1.9%である;データの差は、原料の違いと抽出条件の違いによって生じたとして理解できるが、主な化学成分及び薬理活性成分としてのフグI型コラーゲンに基づいて測定されたものである;
【0097】
(6)フグI型コラーゲン抽出物は水及び希酸溶液に可溶であり、水溶液は熱的に安定であり、95から100℃で数時間加熱された後も薬理活性を保持する;フグI型コラーゲン抽出物の弱い希酸溶液(0.5 mol/L未満)は、-20℃から室温までの温度に長期間置かれた後も実質的に安定な医薬活性を保持する;しかし、フグI型コラーゲン抽出物はアルカリに対してきわめて敏感であり、弱いアルカリ溶液中では室温で数時間置かれただけでもその薬理活性を完全に失うことがある;他方、フグ皮膚及び骨組織中のフグI型コラーゲン抽出物は低温で比較的安定である;フグI型コラーゲン抽出物は、III型コラゲナーゼに対して敏感でないが、I型コラゲナーゼに対しては敏感である;フグI型コラーゲン抽出物をI型コラゲナーゼによって加水分解した後、その薬理活性は急速に低下する。
【0098】
フグI型コラーゲン抽出物を製造する本発明の方法で使用する酸溶液は有機酸又は無機酸である;アルカリ溶液は無機アルカリである;本発明で用いることができる多くの酸、塩基、及びプロテイナーゼがある。使用する酸の例は次のようなものである:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸;使用するアルカリの例は次のようなものである:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム(石灰水)、炭酸ナトリウム;使用する酵素の例は次のようなものである:トリプシン、パンクレアチン、ペプシン、パパイン、キモトリプシン、ブロメライン、ディスパーゼ、プロナーゼ、フィブリン、ゼラチナーゼ、II型コラゲナーゼ、III型コラゲナーゼ、プロテイナーゼK、並びに他の動物、植物、及び微生物由来の種々のプロテイナーゼ。
【0099】
本発明であげるフグは、Fugu, Tetradontidaeに属するすべてのフグから選択される:すなわち、Fugu obscurus, Fugu rubripes, Fugu pseudommus, Fugu xanthopterus, Fugu flavidus, Fugu basilewskianus, Fugu reticularis, Fugu porphyreus, Fugu vermicularis, Fugu bimaculatus, Fugu pardalis, Fugu niphobles, Fugu albopumbeus, Fugu oblongus, Fugu ocellatus, Fugu orbimaculatus, Fugu coronoidus,などのfugus;Arothron stellatus, Arothron hispidus, Arothron nigropuentutus,などのArothrons;及び次のようなフグ。例えばLiosaccus cutaneus, Ostracion tuberculatus, Mola mola, Masturus lanceolatus, Triacunthus brevirostris, Triacunthus strigilfera, Alutera monoceros, Diodon novemaculatus, Diodon holacanthus, Diodon hystix, Chilimycterus affinis, Gastrophysus gloveri, Gastrophysus lunarisなどである。これらのフグは、天然の海、川、湖、からのもの、又は淡水で人工的に飼育されたフグ(若いFugu obscurusを含む)である。
【0100】
フグI型コラーゲン抽出物は、当業者に周知の方法によって、医薬又は保健食品に加工していろいろな経口剤を作ることができる。具体的な製剤の例としては次のようなものがある:錠剤(コーティングされた錠剤、プレーン錠剤、胃懸濁錠剤、バッカル錠剤、発泡錠剤、及びチュワブル錠剤、など)、カプセル(ソフト・カプセル、マイクロカプセル、など)、顆粒、灌流用の粉末製剤、発泡顆粒、粉末(凍結乾燥された粉末、など)、ピル(点滴ピル)、制御放出錠剤(腸溶丸剤、持続放出錠剤、など)、制御放出カプセル(腸溶カプセル、持続放出錠剤、など)、フルーツ風味製剤、チュワブル・ブロック、経口溶液、シロップ、経口崩壊製剤、懸濁液、スプレー製剤、溶液(肉汁、など)、ゲル、エマルジョン、スラリー、ドロップ、等。
【0101】
本発明の方法に従って調製されたフグI型コラーゲン抽出物波、次のような10の有益な効果又は特徴を有する:
【0102】
(1)本発明のフグI型コラーゲン抽出物の主な化学成分及び薬理活性成分は、フグ皮膚と骨(ひれ)の天然I型コラーゲン又は変性フグI型コラーゲン蛋白質とその部分加水分解産物であり、これらは多くの予期されない生物活性を有し、したがって、フグI型コラーゲン抽出物は有望であり、医療と保健の用途で多くの価値を有する。
【0103】
(2)特に、本発明のフグI型コラーゲン抽出物の主要な特徴は、胃腸の潰瘍及び炎症、例えばアルコール性胃潰瘍、アルコール性胃粘膜傷害、アルコール性胃出血、アルコール性中毒、薬物誘発胃潰瘍、薬物誘発胃粘膜傷害、薬物誘発胃出血、十二指腸潰瘍、腸過敏性症候群、結腸炎、急性及び慢性胃炎、表在性胃炎、びらん性胃炎、胃痙攣、胃痛、などの予防、治療及び保健における非常に有意な効果にある。
【0104】
フグI型コラーゲン抽出物は、モデル動物のガストリン、胃酸、及びペプシンの分泌を非常に有意に抑制する。このことは、フグI型コラーゲン抽出物が、消化性胃潰瘍及び胃酸過多症に対して予防及び処置効果を有し、胃酸分泌を抑えるきわめて効果的な物質であることを示す。
【0105】
フグI型コラーゲン抽出物は、胃粘膜のプロスタグランジンE2 (PGE2)及びプロスタサイクリン-6-Kのレベルを非常に有意に増加させ、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)活性及びその遺伝子発現を非常に有意に抑制し、cNOS活性及びその遺伝子発現を有意に促進し、胃粘膜においてiNOSによって発生されるNOレベルの病理的増加を抑制し、cNOSによって発生される有益なNOを増加させる。このことは、フグI型コラーゲン抽出物が、胃粘膜を保護し、血管を弛緩させ、胃粘膜の血流を改善し、虚血性胃粘膜傷害と壊死を治療し、PGs及びNO/NOS経路によって炎症と胃腸の腫瘍を阻止することができると言うことを示す。したがって、フグI型コラーゲン抽出物はきわめて有効な胃粘膜保護物質である。
【0106】
(3)他方、本発明のフグI型コラーゲン抽出物の別の主要な特徴は、それが肝臓と胃におけるコラーゲンの病理的な蓄積を抑制でき、血管新生を有意に抑制できる(CAMテスト)ことにある、ということが特に指摘される。このことは、フグI型コラーゲン抽出物が、組織におけるコラーゲンの異常な合成を抑制でき、アルコール性肝傷害、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝硬変、アルコール性肝線維症、肺及び腎組織の線維症、コラーゲン増加に関連した疾患、血管新生に関連した疾患、並びに固形腫瘍の発生、拡大、及び転移、の予防と処置のために利用できること、さらに、フグI型コラーゲン抽出物が、エタノールと薬によって引き起こされる肝臓組織の急性傷害を抑える効果を有することを示す。すなわち、フグI型コラーゲン抽出物は、肝臓に高い保護効果を有する。
【0107】
(4)他方、本発明のフグI型コラーゲン抽出物の別の主要な特徴は、それが化学療法によって減少した白血球と血小板の数を非常に有意に増加させ、免疫器官胸部腺の重量を増加させ、体重を増加させることができることにある、と特に指摘される。このことは、フグI型コラーゲン抽出物が、体の免疫機能を調節し高め、消化吸収を改善し、体質を強化し、化学療法の薬の副作用を減じることができるということを示す。すなわち、フグI型コラーゲン抽出物は、免疫の調節と保健に高い効果を有する。
【0108】
(5)本発明のフグI型コラーゲン抽出物は、多くの非常に有意な薬理活性と保健効果を有し、薬理的に速やかに作用し、その薬理的効果を長期間維持する、すなわち、本発明のフグI型コラーゲン抽出物は高い効能、速やかな効果、持続する作用、及び多くの機能を有する。
【0109】
(6)本発明のフグI型コラーゲン抽出物は、胃腸管の消化機能を有意に改善し、胃のダイナミックスを調節し、消化と吸収を促進し、正常な消化機能を維持し、それによって成長期の動物の体重を有意に増加させてその成長を促進する。さらに、それは胃の排出を有意に抑制し、それによって胃痙攣、腹痛、下痢を防止することができる。フグI型コラーゲン抽出物のこれらの薬理活性及び保健効果は新たに開示されたものであって、これまでどんな文献にも報告されたことがない。
【0110】
(7)フグI型コラーゲン抽出物の製造のための本発明の方法全体は、従来技術に属する請求項4のステップ2)の方法c)を除き、フグI型コラーゲン抽出物の抽出に新たに用いられたものであり、どんな文献にも報告されたことがなく、フグにかわ及びフグ・コラーゲンの製造のための従来技術におけるすべての方法と異なる。さらに、請求項4のステップ2)の方法c)は従来技術のテクノロジーであるけれども、フグI型コラーゲン抽出物の抽出にはほとんど応用されていない。
【0111】
(8)フグI型コラーゲン抽出物の製造のための本発明の方法は、製造サイクルが比較的短く(通常、2から4日)、薬理活性が高く、低コストであり、容易に実行できるので、簡単で、高性能で、実現可能、かつ大規模な工業生産に適している。本発明の発明者たちは、本発明の方法によるフグI型コラーゲン抽出物を製造するための3つのパイロット規模の実験を完了した。
【0112】
(9)本発明のフグI型コラーゲン抽出物は、テトロドトキシン及びその他の毒素を含まず、高度の安全性を有し、長期間にわたって経口投与することができる。
【0113】
(10)フグI型コラーゲン抽出物を製造するための本発明の方法は、汚染された廃棄物を実質的に何も発生しない。
【0114】
このように、フグI型コラーゲン抽出物(天然のフグI型コラーゲン抽出物又は変性フグI型コラーゲン抽出物及びその部分加水分解産物)を製造するための本発明の最適方法は、新しく、どんな文献にも開示されておらず、工業規模で容易に実行できる。
【0115】
本発明で使用する“有意”及び“非常に有意”という用語は、適当な統計テスト、例えばt-テスト、における統計的な意味に従って定義されるものであり、P-値が0.01又は0.001よりも小さなものである。
【0116】
発明の実施形態
テトロドトキシンはアルカリ性条件下で速やかに壊れて毒性を失うので、フグI型コラーゲン抽出物の製造のために原料のヒフ、骨、及びひれを無毒化するのに最適な方法はアルカリ液による処理である。フグI型コラーゲン抽出物は、コラーゲン及び/又は変性したコラーゲン・ポリペプチドであるから、最良の抽出溶媒は水又は希酸溶液であり、最良の乾燥方法は凍結乾燥であり、最良の加水分解方法は制御可能な酵素加水分解又は酸加水分解であり、最良の沈澱方法はアセトン沈澱法である。経口投与されるフグI型コラーゲン抽出物の最良の用途は、消化管疾患(いろいろな胃潰瘍、胃出血、アルコール及び薬で誘発される肝傷害、肝線維症、十二指腸潰瘍、急性/慢性胃炎、胃痙攣、胃痛、腸過敏性症候群、結腸炎、胃腸機能障害、胃運動障害、消化不良、及び吸収不良)、免疫機能障害及び低下、白血球減少症、の処置と予防である。
【0117】
以下は本発明の具体的な実施例であるが、本発明はこれらの実施例によって制限されない。特に説明されない場合、以下の実施例で使用するフグの皮膚、骨(ひれ)は淡水で人工飼育されたフグからのものである。
【実施例】
【0118】
実施例1
100 gのフグ皮膚に500 mlの水が加えられ、100℃に加熱され、抽出が8時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは高速遠心分離によって透明にされ、NaClが上澄みに最終濃度が0.2 mol/Lに達するまで加えられた。次に、上澄みはDEAE-セファロースファストフロー・カラムに装填され、0.2 mol/L NaCl溶液で溶出され、溶出液は脱塩され、限外濾過によって濃縮され、濃縮された溶液はスプレー乾燥されて淡黄色のフグI型コラーゲン抽出物の粉末が得られた。フグI型コラーゲン蛋白質の二つのサブユニットの等電点は、等電点ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動法で測定して別々に、α1(I):4.85±0.5及びα2(I):6.71±0.5であった(図1を参照のこと)。フグI型コラーゲン抽出物のプロテイン結合炭水化物は、トリフルオロ酢酸加水分解後にo-トルイジン法によって1.16%であった。
【0119】
実施例2
500 gのフグ骨(ひれ)に1500 mlの水が加えられ、100℃に加熱され、抽出が10時間行われた。濾過後、濾液は200 mlに真空濃縮され、HClが最終濃度が0.2 mol/Lに達するまで加えられ、加水分解が60℃で2時間行われた。加水分解溶液が濃縮され、脱酸され、遠心分離で透明にされた。遠心分離の上澄みが、pH値が7.4になるように調整され、NaClが0.18 mol/Lの濃度になるまで加えられた。次に、上澄みがDEAE-セルロース・カラムに装填され、0.2 mol/L NaCl溶液によって溶出され、溶出液は脱塩され、限外濾過によって濃縮され、スプレー乾燥されて47.2 gの淡黄色の乾燥フグI型コラーゲン抽出物粉末が得られた。
【0120】
実施例3
100gのフグ皮膚に1000 mlの水が加えられ、加熱され、抽出が110℃、2気圧で60分間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは150 mlに真空濃縮され、氷酢酸が最終濃度0.8 mol/Lに達するように加えられ、加水分解が45℃で4時間行われた。次に、加水分解溶液が遠心分離によって透明にされ、スプレー乾燥されて23 gの淡黄色のフグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末が得られた。そのコラーゲン含有量はKivirikko法で75.92%であり、全蛋白質含有量はKjeldahl測定法で86.22%であった。
【0121】
実施例4
500 gのフグ骨(ひれ)と100 gのフグ皮膚に2000 mlの水が加えられ、抽出が125℃及び3気圧で2時間行われた。濾過後、濾液は貯蔵して待機させ、1000 mlの水がフィルター残渣に加えられ、同じ抽出が再び行われ、このステップが3回繰り返された。すべての濾液を合体させ、200 mlに真空濃縮され、HClが濃縮された溶液に、最終濃度が0.01 mol/Lに達するまで加えられ、加水分解が75℃で8時間行われた。加水分解溶液が遠心分離によって透明にされ、遠心分離の上澄みがスプレー乾燥によって乾燥され、46gの淡黄色のフグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末が得られた。
【0122】
実施例5
100 gのフグ皮膚に500 mlの水が加えられ、抽出が100℃で5時間行われた。濾過後、濾液は貯蔵して待機させ、250 mlの水がフィルター残渣に加えられ、同じ抽出が再び行われ、このステップが2回繰り返された。すべての濾液が合体サレ、フィルター残渣をホモジナイズするのに用いられ、ホモジネートは遠心分離によって透明にされ、0.2 mol/L NaClの存在下でDEAE-52セルロース・カラムに装填された。溶出物は限外濾過によって脱塩され、150 mlに濃縮され、10倍の体積のアセトンが加えられ、一晩4℃で沈澱が行われた。濾過後、灰色のフグI型コラーゲン抽出物の沈澱が得られ、乾燥して21.5 gの生成物が得られた。前記生成物の蛋白質結合した炭水化物含有量は1.12%であった。
【0123】
実施例6
500 gの天然フグ皮膚(有毒)に5000 mlの0.01 mol/LのNaOHが加えられ、浸漬が4℃で24時間行われた。浸漬後、アルカリ溶液は捨てられ、NaOHが再び加えられ、浸漬が5回繰り返された。残留アルカリ溶液は、蒸留水で完全に洗い流された。3500 mlの0.1 mol/L塩酸が加えられ、浸漬が48時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは遠心分離され、遠心分離の上澄みは凍結乾燥されて106.6 gの淡白色のフグI型コラーゲン抽出物の凍結乾燥粉末が得られた。
【0124】
実施例7
120 gのフグ皮膚に1000 mlの0.05 mol/Lの塩酸が加えられた。フグ皮膚が50℃で12時間浸漬された後、酸溶液は370 gのフグ骨(ひれ)と共に容器に注がれ、浸漬が50℃で48時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは遠心分離され、遠心分離の上澄みが塩酸に浸漬されていたフグ皮膚に加えられた。ホモジナイズした後、ホモジネートは真空濃縮され、70℃で脱酸された。濃縮された溶液は遠心分離され、遠心分離の上澄みはpH値が7.4に調整され、NaClが0.18 mol/Lの濃度に達するように加えられた。上澄みがDEAE-セルロース・カラムに装填され、0.2 mol/NaCl溶液で溶出された。溶出物は脱塩され、限外濾過によって濃縮され、スプレー乾燥されて53.5 gの淡白色のフグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末が得られた。
【0125】
実施例8
50 gのフグに600 mlの0.5 mol/L酢酸が加えられ、浸漬が10℃以下で72時間行われ、表面層の色素が浸漬の間に除去された。ホモジナイズした後、ホモジネートが遠心分離され、遠心分離の上澄みが凍結乾燥されて、表1に示しているようなアミノ酸成分を有する11 gの淡白色のフグI型コラーゲン抽出物の乾燥粉末が得られた。
【0126】
【表1】

【0127】
実施例9
500 gの天然フグ皮膚(有毒)に2000 mlの0.1 mol/LのNaOHが加えられ、浸漬が4℃で12時間行われた。浸漬後、アルカリ溶液は捨てられ、NaOHが再び加えられ、同じ浸漬が4回繰り返された。残留アルカリ溶液は、蒸留水で完全に洗い流された。7500 mlの0.5 mol/L酢酸が加えられ、浸漬が48時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは遠心分離され、遠心分離の上澄みはpHが7.5になるように調整された。NaClが、2.5 mol/Lという最終濃度に達するように加えられた。10℃以下で36時間沈澱させた後、沈澱が遠心分離によって集められた。沈澱は0.1 mol/L酢酸に再び溶解され、限外濾過によって脱塩され、凍結乾燥されて119.5 gの白色のフグI型コラーゲン抽出物粉末が得られた。
生成物の3.5% SDS-ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動スペクトルは、それが典型的なI型コラーゲンであることを示した(図2を参照のこと)。このフグI型コラーゲン抽出物は、Kjeldahl測定とLowry法による全蛋白質含有量が92%であり、Kivirikko法によるコラーゲン蛋白質含有量が83%であった。
【0128】
実施例10
100 gのフグ皮膚に800 mlの0.1 mol/Lの塩酸が加えられ、浸漬が0℃で48時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは遠心分離され、遠心分離の上澄みにNaClが1.0 mol/Lという最終濃度に達するように加えられ、上澄みは4℃で24時間放置沈澱が行われた。11,000 x gの遠心分離の後、沈澱は0.2 mol/Lの酢酸に再溶解され、pHが7.5の0.2 mol/L NaCl溶液によって完全に透析され、DEAE-Sepharoseファストフロー・カラムに装填され、0.2 mol/L NaCl溶液によって溶出された。230 nmに吸収を有する溶出液が脱塩され、凍結乾燥されて119.5 gの白色のフグI型コラーゲン抽出物凍結乾燥粉末が得られた。自動アミノ酸分析計によって分析して、前記フグI型コラーゲン抽出物のアミノ酸成分が表2に示しているように得られた。生成物のコラーゲン蛋白質含有量は66.7%であり、これは魚コラーゲンのヒドロキシプロリンの重量パーセンテージ上限が10%であるということに基づいて計算された。
【0129】
【表2】

【0130】
実施例11
500 gのフグ骨(ひれ)と200 gのフグ皮膚に2500 mlの脱イオン水が加えられ、抽出が95℃で2時間行われた。濾過後、濾液を貯蔵して待機させ、フィルター残渣が2500 moの水によって同じ仕方で抽出され、これらのステップが4回繰り返された。すべての濾液を一緒にし、350 mlに真空濃縮し、濃縮た溶液にHClが最終濃度で0.1 mol/Lに達するように加えられた。55℃で2時間加水分解した後、10倍の体積のアセトンが加水分解溶液に攪拌しながらゆっくりと加えられ、4℃に48時間置いて、フグI型コラーゲン抽出物の沈澱が濾過して得られた。沈澱を乾燥させ、粉砕して、図3に示すような紫外吸収走査スペクトルを有する89.1 gの淡黄色のフグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末が得られた。
【0131】
実施例12
100 gのフグ皮膚に1200 mlの0.5 mol/Lの酢酸が加えられ、浸漬が10℃以下で48時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは24時間放置され、その後遠心分離され、遠心分離の上澄みはpH値が7.4になるように調整され、NaClが0.2 mol/Lに達するように加えられた。上澄みがDEAE-Sepharoseセルロース・カラムに装填され、0.2 mol/LのNaCl溶液で溶出され、溶出物にNaClが最終濃度2.4 mol/Lに達するように加えられた。4℃で48時間沈澱が行われ、遠心分離によって沈澱が集められた。沈澱は0.5 mol/Lの酢酸に再溶解され、限外濾過によって脱塩され、凍結乾燥されて、18.4 gの白色のフグI型コラーゲン抽出物凍結乾燥粉末が得られた。そのアミノ酸成分が自動アミノ酸分析計によって分析され、結果を表3に示した。
【0132】
【表3】

【0133】
前記フグI型コラーゲン抽出物凍結乾燥粉末のある分量が0.01 mol/Lの酢酸に再溶解され、溶液はpHが7.4になるように調整され、3つの部分に分けられた。第一の部分は37℃で3時間、I型コラゲナーゼによって0.2 mol/L NaClと0.01 mol/L CaCl2の存在下で加水分解され、酵素は100℃で3分間加熱することによって不活性化され、溶液は貯蔵して待機させた。第二の部分も同じ仕方で処理されたが、I型コラゲナーゼと0.01 mol/LのEDTAが加えられ、0.2 mol/L NaClと0.01 mol/L CaCl2は加えられなかった(EDTAはI型コラゲナーゼの活性を阻害することができる)。第三の部分も同じ仕方で処理されたが、何も試薬を加えなかった。40匹のSDラットを4群に分け、エタノールで誘発されるラットの胃粘膜傷害に処理された抽出物が及ぼす保護効果を、“Collection of Guidelines for Preclinical Studies of New Drugs (Western Medicines)”、中国保健省編、の方法に従って観測した。結果は、フグI型コラーゲン抽出物がエタノールで誘発されるラットの胃粘膜傷害に対して完全な保護効果を及ぼすことを示しているが、その保護効果はI型コラゲナーゼによって急速に減少し、I型コラゲナーゼ活性の阻害はこの減少をなくすことができた。結果を表4に示した。
【0134】
【表4】

【0135】
実施例13
500 gのフグ骨(ひれ)に2500 mlの脱イオン水が加えられ、抽出が100℃で10時間行われた。濾過後、フィルター残渣は捨てられ、200 gのフグ皮膚が濾液に加えられ、抽出が100℃で8時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは300 mlに濃縮され、pHが7.4になるように調整され、III型コラゲナーゼが10 mg/100 mgの湿潤皮膚にまで加えられ、NaClが0.2 mol/Lまで加えられ、CaCl2が0.01 mol/Lという最終濃度に達するまで加えられた。37℃で6時間加水分解した後、酵素は100℃に加熱することによって不活性化された。加水分解溶液は200 mlに真空濃縮され、スプレー乾燥されて87.5 gの淡黄色のフグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末が得られた。
【0136】
実施例14
150 gの天然フグ皮膚(有毒)に1500 mlの0.05 mol/L塩酸が加えられ、室温で6時間処理され、浸漬液を流し、皮膚は水で洗浄され、これらのステップが4回繰り返され、全部で5回行われた。残った酸溶液は水で完全に洗い流し、2000 mlの0.5 mol/L酢酸が加えられた。ホモジナイズした後、ホモジネートは遠心分離され、遠心分離の上澄みがスプレー乾燥されて33.2 gの白色のフグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末が得られた。
【0137】
実施例15
100 gのフグ皮膚に1200 mlの0.5 mol/L酢酸が加えられ、浸漬が10℃以下で48時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートは10℃以下に24時間置かれ、遠心分離された。遠心分離の上澄みがCM-セルロース・カラムに装填され、0.02 mol/L NaCl溶液によって勾配方式で溶出され、230 nmに吸収を有する溶出物が集められた。溶出物は脱塩され、限外濾過によって濃縮され、10倍の体積のアセトンが加えられ、沈澱が10℃以下で24時間行われた。濾過によって沈澱が得られ、乾燥して24 gの淡白色のフグI型コラーゲン抽出物が得られた。
【0138】
実施例16
500 gのフグ骨(ひれ)に2000 mlの脱イオン水が加えられ、抽出が100℃で10時間行われた。濾過後、濾液は600 mlに真空濃縮された。濃縮された溶液に120 gのフグ皮膚が加えられ、抽出が100℃で8時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートに酢酸が最終濃度0.5 mol/Lに達するように加えられた。加水分解が60℃で6時間行われた。加水分解溶液は遠心分離され、遠心分離の上澄みが200 m;に真空濃縮され、スプレー乾燥されてフグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末が得られた。フグI型コラーゲン抽出物の電気泳動バンドは、5% SDS-PAGE電気泳動テストによって典型的なI型コラーゲンの特徴を示した(図4を参照のこと)。前記フグI型コラーゲン抽出物のアミノ酸成分分析の結果を表5に示す。フグI型コラーゲン抽出物は、蛋白質結合炭水化物含有量がトリフルオロ酢酸加水分解の後o-トルイジン法によって1.8%であり、全蛋白質含有量はKjeldahl測定法によれば80.5%であり、コラーゲン蛋白質含有量は55.9%であった。
【0139】
【表5】

【0140】
実施例17
500 gのフグ骨(ひれ)に2500 mlの脱イオン水が加えられ、抽出が100℃で5時間行われた。濾過後、濾液は貯蔵して待機させ、2500 mlの脱イオン水がフィルター残渣に加えられ、同じ仕方で抽出が行われ、これらのステップが全部で3回繰り返された。すべての濾液を一緒にし、1500 mlに真空濃縮された。200 gのフグ皮膚が濃縮された溶液に加えられ、抽出が95℃で5時間行われた。ホモジナイズした後、ホモジネートに濃塩酸が最終濃度0.05 mol/Lに達するように加えられ、加水分解が50℃で24時間封止条件下で行われた。濾過後、濾液は200 mlに真空濃縮され、遠心分離された。遠心分離の上澄みが、pH値7.4に調整され、NaClが0.2 mol/Lに達するように加えられた。上澄みはDEAE-セルロース・カラムに装填され、0.2 mol/L NaClによって溶出された。230 nmに吸収を有する溶出物が集められた。溶出物は脱塩され、限外濾過によって濃縮され、スプレー乾燥されて82.3 gの淡黄色のフグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末が得られた。
【0141】
実施例18
250 gのフグ皮膚に3000 mlの脱イオン水が加えられ、抽出が95℃で10時間行われた。濾過後、濾液は貯蔵して待機させ、2000 mlの脱イオン水がフィルター残渣に加えられ、同じ仕方で抽出が10時間行われた。抽出物と残渣はホモジナイズされ、ホモジネートは遠心分離され、濾過された。すべての濾液を一緒にし、80℃で450 mlに真空濃縮した。塩酸が濃縮された溶液にpHが3に達するように加えられ、ペプシンが50 mg/100 gの湿潤皮膚に達するように加えられた。加水分解が35℃で48時間封止条件下で行われ、酵素は100℃で5分間加熱することによって不活性化された。遠心分離の後、遠心分離の上澄みがpH値7.4に調整され、NaClが0.2 mol/Lに達するように加えられた。上澄みはDEAE-セルロース・カラムに装填され、0.2 mol/L NaCl溶液によって溶出された。溶出物は限外濾過によって脱塩され、スプレー乾燥されて53.3 gの淡黄色の生成物が得られた。
【0142】
実施例19:無水エタノールによって誘発される胃粘膜損傷に対するフグI型コラーゲン抽出物の保護効果
雌雄同数の60匹のSDSラットがNanjing医科大学の実験動物センターによって用意され、テストは“Collection of Guidelines for Preclinical Studies of New Drugs (Western Medicines)”、中国保健省編、の方法に従って行われた。結果を表6に示した。
【0143】
【表6】

【0144】
結果は、実施例8のように調製されたフグI型コラーゲン抽出物が無水エタノールによって誘発されるラット胃粘膜損傷に対する非常に有意な保護効果を有することを示した。
【0145】
実施例20:Shayラット胃潰瘍に対するフグI型コラーゲン抽出物の効果
体重が180から200 gまでの雌雄同数のSDラット50匹がNanjing医科大学の実験動物センターによって用意され、テストは“Collection of Guidelines for Preclinical Studies of New Drugs (Western Medicines)”、中国保健省編、の方法に従って行われた。
【0146】
【表7】

【0147】
結果は、実施例11のように調製されたフグI型コラーゲン抽出物がShayラット胃潰瘍に対して用量依存的に非常に有意な予防効果を有することを示し、このことは、それが消化性胃潰瘍に対して有意な予防及び処置効果を有することを示す。
【0148】
実施例21:アルコール性脂肪肝に対するフグI型コラーゲン抽出物の効果
体重が150から200 gまでのSDラット40匹がNanjing医科大学の実験動物センターによって用意され、テストは“Drug discovery and Evaluation - Pharmacological Assay” (H. G. Vogel, W. H. Vogel. Chinese Version, Du Guanhua訳、Science Publishing House刊)、及び関連文献の方法に従って行われた。結果を表8に示した。
【0149】
【表8】

【0150】
結果は、実施例11のように調製されたフグI型コラーゲン抽出物がアルコール性脂肪肝のラットの肝臓及び胃壁コラーゲン含有量の病理的増加を用量依存的に抑制することを示し、このことは、フグI型コラーゲン抽出物が肝臓と胃組織におけるコラーゲンの病理的合成を抑制できることを示す。
【0151】
実施例22:フグI型コラーゲン抽出物がラットにおける酢酸火傷で誘発される胃潰瘍に対する効果
体重が180から200 gまでの雌雄同数のSDラット50匹がNanjing医科大学の実験動物センターによって用意され、テストは“Collection of Guidelines for Preclinical Studies of New Drugs (Western Medicines)”、中国保健省編、の方法に従って行われた。
【0152】
【表9】

【0153】
結果は、フグI型コラーゲン抽出物がラットにおける酢酸火傷で誘発される胃潰瘍に対して用量依存的に非常に有意な処置効果を有することを示し、このことは、それが慢性胃潰瘍に対して処置効果を有し、潰瘍部分の治癒を有意に促進できる可能性があることを示す。
【0154】
実施例23:フグI型コラーゲン抽出物がシクロホスファミドで誘発されるマウスの白血球減少症に及ぼす効果
体重が18から22 gまでの雌雄同数のKunmingマウス75匹が用いられ、テストは“Collection of Guidelines for Preclinical Studies of New Drugs (Western Medicines)”、中国保健省編、の方法に従って行われた。
【0155】
【表10】

【0156】
結果は、フグI型コラーゲン抽出物がシクロホスファミドによって減少したマウス白血球(WBC)数を用量依存的に増加させることを示し、このことは、それが免疫を高め、化学療法薬の副作用を減らすことができるということを示す。
【0157】
実施例24:フグI型コラーゲン抽出物がインドメタシンで誘発されるラット胃粘膜のPGE2含有量に及ぼす効果
体重が180から200 gまでの雌雄同数のSDラット60匹が用いられ、インドメタシンはSigma社から商業的に入手した。PGE2含有量は放射免疫分析によって測定された。テストは、“Drug discovery and Evaluation - Pharmacological Assay” (H. G. Vogel, W. H. Vogel. Chinese Version, Du Guanhua訳、Science Publishing House刊)、及び関連文献の方法に従って行われた。結果を表11に示した。
【0158】
【表11】

【0159】
結果は、フグI型コラーゲン抽出物がPGE2含有量を用量依存的に増加させることを示し、このことはフグI型コラーゲン抽出物が胃粘膜を保護しPGE2レベルと血流を維持できること、それが潰瘍の治療と粘膜細胞の保護のメカニズムの一つであることを示す。
【0160】
実施例25:ラットの体内でのフグI型コラーゲン抽出物の時間−薬理ダイナミックス・テスト
雌雄同数のSDラット50匹が用いられた。エタノールで誘発される潰瘍を有するラットの体内におけるこの薬の時間−薬理ダイナミックスが観測された。結果は、フグI型コラーゲン抽出物の投与から30分後に最大の薬理ダイナミックスに達したことを示したが、このことはフグI型コラーゲン抽出物が速やかな効果を有することを示す;他方、投与から18時間後にも最大の薬理ダイナミックスの77.78%が維持されており、このことはフグI型コラーゲン抽出物が長続きする作用を有することを示した。
【0161】
実施例26:フグI型コラーゲン抽出物ラットの十二指腸潰瘍に及ぼす効果
体重が250から300 gまでの雄のSDラット50匹が用いられ、システアミンはSigma社から商業的に入手された。テストは、“Drug discovery and Evaluation - Pharmacological Assay” (H. G. Vogel, W. H. Vogel. Chinese Version, Du Guanhua訳、Science Publishing House刊)、の方法に従って行われた。
【0162】
結果を表12に示し、フグI型コラーゲン抽出物がシステアミンによって誘発されるラットの十二指腸潰瘍に非常に有意な予防効果を有することを示した。
【0163】
【表12】

【0164】
実施例27:エタノールで誘発された胃潰瘍のラット胃粘膜におけるNO含有量、iNOS活性、及びiNOS及びcNOS遺伝子の発現レベルに及ぼす効果
エタノールで誘発される胃潰瘍を有するラットのテストは、“Collection of Guidelines for Preclinical Studies of New Drugs (Western Medicines)”、中国保健省編、の方法に従って行われた。フグI型コラーゲン抽出物がラット胃粘膜のNO含有量、iNOS活性、及びiNOS及びcNOS遺伝子の発現レベルに及ぼす効果が観測された。NOSs mRNAはTrizolキットによって抽出され、RT-PCRによって増幅された。結果は、一方において、フグI型コラーゲン抽出物が、用量と無関係にエタノールで誘発された胃潰瘍のラット胃粘膜におけるNOレベル、iNOS活性、及びiNOS及びcNOS遺伝子の発現レベルを非常に有意に減少させ、NO含有量とiNOS活性を非常に有意に減少させた;他方、フグI型コラーゲン抽出物はエタノールで減少したcNOS遺伝子の発現レベルを非常に有意に増加させて、cNOS遺伝子の発現は正常レベルまでリバウンドした。これらのことは、フグI型コラーゲン抽出物が胃粘膜のNOレベル、iNOS活性、及びiNOS及びcNOS遺伝子の発現を差動的に調節できることを示し、これは、胃粘膜の保護、虚血で誘発される胃粘膜の傷害と壊死の治療、胃腸の腫瘍の予防と処置、胃潰瘍の予防と処置、の重要なメカニズムの一つであった。
【0165】
実施例28:フグI型コラーゲン抽出物の長期毒性テスト
フグI型コラーゲン抽出物のBeagle犬長期毒性テストが、中国薬品及び食品局から出された“Technologic Requirements for Pharmacological and Toxicological Studies on New Drugs”及び関連したICHの方法に従って行われた。結果は、高及び中用量のフグI型コラーゲン抽出物が、3ヶ月の長期毒性テストの間、テスト犬の体重を有意に増加させることを示した。高、中、及び低用量のフグI型コラーゲン抽出物は、テスト犬の血漿生化学指標及び血液のルーチン検査指標に有意に影響を及ぼさなかった。フグI型コラーゲン抽出物は、テスト動物の胸部腺指標を増加サセタガ、テスト動物の他の器官の指標は正常だった。結果は、フグI型コラーゲン抽出物が長期間にわたって安全にかつ効果的に投与できることを示した。高用量のフグI型コラーゲン抽出物はテスト動物の体重を増加させることができ、免疫を高めることができた。
【0166】
実施例29:フグI型コラーゲン抽出物によるニワトリ胚の血管形成の阻害のテスト(CAM)
ニワトリ胚の正常な成長は卵黄膜における外側血管システムの形成及び卵黄膜を介した卵黄からの栄養輸送を含む。フグI型コラーゲン抽出物が卵黄膜に塗布されたとき、抽出物中の血管形成を阻害する活性を有する物質が卵黄膜における新しい血管の形成を抑制することができた。
【0167】
異なる量のフグI型コラーゲン抽出物とコントロール薬を含むメチルセルロース・ディスク(不活性固体透明基板)を、血管形成が起こる卵黄膜血管の周辺の外側辺縁の置いた。ポジティブコントロールは1.5 mg/mlの2-メトキシエストラジオールを含むメチルセルロース・ディスクであった。コントロールディスクとフグI型コラーゲン抽出物ディスクが、生後3日の胚の卵黄膜に置かれた。その部位では、メインの血管だけが卵黄へ成長した。他方、ネガティブコントロール又はある量のフグI型コラーゲン抽出物を含むメチルセルロース・ディスクが同じ胚の卵黄膜に置かれた。二つのディスクは、胚の頭と尾に関して軸対称な形で配置され、フグI型コラーゲン抽出物とネガティブコントロールの効果を評価するときに個体差が小さくなるようにした。ディスクを24時間置いた後、血管形成が評価され、結果は血管形成が影響を受けた胚のパーセンテージで表された。フグI型コラーゲン抽出物をネガティブコントロールと比較するとき(多くの微細血管が形成されたとき)、血管形成のルートは曲がって細くなり、ディスクの下の血管の成長が見られない時には血管形成が阻害されたと見なされた。結果は、フグI型コラーゲン抽出物がニワトリの胚における新しい血管の形成を有意にブロックすることを示した。
【0168】
実施例30:淡水で人工繁殖させたフグのテトロドトキシンの毒性の決定
体重が50 gから1250 gまでにわたり、異なる成長期(6ヶ月から2年までに対応する)にある、淡水で人工繁殖されたフグ(Fugu obscurus, Fugu rubripes, 及びFugu flavidus)が解剖され、卵巣、精嚢、肝臓、皮膚、血液、骨、肉、心臓、眼球、その他の内臓器官が別々に切り取られ、0.2 mol/L酢酸と1:3 (w/v)の比でホモジナイズされ、ホモジネートが室温で6時間置いて時々攪拌され、1 mol/L炭酸ナトリウムでpHが6-7に達するように調整された。マウスにいろいろな器官のホモジネートが0.8 ml/20 g/8時間に一回、全部で3回投与された(60 kgの人で24時間以内に2.4 kgに相当する)。各器官ホモジネートを用いて5匹のマウスの胃内に投与した。結果は、すべてのマウスが生き残り、淡水で人工的に繁殖させたフグがいろいろな成長期に無毒であることを示した。
【0169】
実施例31:フグI型コラーゲン抽出物の向流免疫電気泳動及び免疫拡散
実施例2のように調製されたフグI型コラーゲン抽出物がDEAE-Sepharoseファストフロー装置によって精製され、フグI型コラーゲン抽出物のウサギ抗血清を得るためにウサギを免疫するのに用いられた。向流免疫電気泳動と免疫拡散が通常の方法によって行われた。フグI型コラーゲン抽出物の免疫沈降ラインが観測され、それが図5と図6に示している。図5の拡散環のサイズはサンプル中のフグI型コラーゲン抽出物の濃度と正に相関していた。このテストはまた、フグI型コラーゲン抽出物中の効果的成分の含有量を決定する定量方法としても利用できる。図6の下半分における白色バンドはフグI型コラーゲン抽出物とそのウサギ抗血清の電気泳動後に形成される特異的免疫沈降ラインであるが、コントロールコラーゲン又は変性コラーゲン、例えばいろいろな非フグ皮膚、colla piscis、骨、Sigmaゼラチン、ろば皮にかわ、ブタ皮膚、等の電気泳動領域である上半分では何も免疫沈降ラインが形成されなかった。このことは、この識別方法に特異性があることを示す。
【0170】
実施例32:フグI型コラーゲン抽出物の錠剤を製造する方法
この方法は、粗ドラッグとしてのフグI型コラーゲン抽出物を微結晶セルロース及びスターチと一定の比で均質に混合するステップ、ワンステップで顆粒化するステップ、乾燥させるステップ、ある量のスターチとタルク粉末を加えるステップ、均質に混合するステップ、及び錠剤に成形するステップを含む。
【0171】
実施例33:フグI型コラーゲン抽出物のカプセル及び腸溶カプセルを製造する方法
この方法は、粗ドラッグとしてのフグI型コラーゲン抽出物をスターチ及びヒドロキシプロピルセルロースと一定の比で均質に混合するステップ、顆粒化するステップ、乾燥させるステップ、ステアリン酸マグネシウムを加えるステップ、均質に混合するステップ、3#カプセル又は腸溶カプセルにパッキングするステップ、を含む。
【0172】
実施例34:フグI型コラーゲン抽出物のチュワブル錠剤を製造する方法
この方法は、粗ドラッグとしてのフグI型コラーゲン抽出物をマンニトールと一定の比で均質に混合するステップ、ワンステップで顆粒化するステップ、フグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末の重量の0.01〜0.02倍の量のステアリン酸マグネシウムを芳香剤とブレンドするステップ、このブレンドを顆粒に加えるステップ、均質に混合するステップ、及び錠剤に成形するステップを含む。
【0173】
実施例35:フグI型コラーゲン抽出物を溶解して医薬を製造する方法
この方法は、砂糖粉末とデキストリンをフグI型コラーゲン抽出物の濃縮溶液に加えてソフトな材料を形成するステップ、顆粒化するステップ、乾燥させるステップ、及びサブパッケージングのステップ、を含む。
【0174】
実施例36:フグI型コラーゲン抽出物のドロップ丸剤を製造する方法
この方法は、ある量のポリエチレン・グリコール−6000とエチルパラベンをフグI型コラーゲン抽出物の濃縮溶液に加えるステップ、90から100℃に加熱するステップ、封止して温度を80から90℃に保つステップ、バルブを調節して液滴をコントロールするステップ、液体パラフィン中に落下させるステップ、及び乾燥させるステップ、を含む。
【0175】
実施例37:フグI型コラーゲン抽出物のにかわ製剤を製造する方法
この方法は、ある量のイエローワイン、氷砂糖、及びエチルパラベンを実施例8のように調製されたフグI型コラーゲン抽出物の濃縮溶液に加えるステップ、連続的に濃縮して軟膏を得るステップ、冷却するステップ、切断するステップ、及び真空パッキングするステップ、を含む。
【0176】
実施例38:フグI型コラーゲン抽出物の急性毒性のテスト
テストは、中国薬品及び食品局から出された“Technologic Requirements for Pharmacological and Toxicological Studies on New Drugs”及び関連したICHの方法に従って行われた。予備テストの結果は、実施例8,9,11,12,及び16のように調製されたフグI型コラーゲン抽出物を最大濃度で最大用量でマウスの胃内に投与した場合、急性毒性パラメーターLD50は測定不可能であることを示した。
【0177】
テストの結果は、投与後の7日間に一匹も死ななかったことを示したが、これはフグI型コラーゲン抽出物がきわめて安全であることを意味する。
【0178】
実施例39:胃排出に対するフグI型コラーゲン抽出物の効果
体重が20から25 gの雌雄同数のKunmingマウス105匹が用いられた。テストは、“Collection of Guidelines for Preclinical Studies of New Drugs (Western Medicines)”、中国保健省編、の方法、及びフェノールレッド法(Shi, G., et al., Gut, 41: 612-618, 1997)に従って行われた。結果を表13に示した。結果は、フグI型コラーゲン抽出物がマウスの胃排出及び臭化ピリドスチグミンによって促進される胃排出に対して用量依存的に非常に有意な抑制効果を及ぼすことを示した。このことは、フグI型コラーゲン抽出物が、アセチルコリンの作用をブロックし、アセチルコリンによって刺激される胃平滑筋の収縮を抑制し、胃腸管における食物の保持時間を延ばし、食物の消化と吸収を促進することができるということを意味する。
【0179】
【表13】

【0180】
実施例40:フグI型コラーゲン抽出物の発泡錠剤の製造方法
この方法は、マイクロカプセルの製造のためのスプレー乾燥吸収法を用い、フグI型コラーゲン抽出物乾燥粉末を含むコーティング・ポット中に重炭酸ナトリウムを含むポリエチレン・グリコール-6000をスプレーするステップ、篩にかけて顆粒を得るステップ、クエン酸とアスパルテームを篩にかけるステップ、フグI型コラーゲン抽出物及びフマル酸微粉末を均質に混合するステップ、及び入口で赤外光によって照射しながら錠剤にするステップを含む。この方法は、マイクロカプセルの製造のための方法によって重炭酸ナトリウムがポリエチレン・グリコール-6000でコーティングされる;フマル酸が発泡剤及び水溶性の潤滑剤として働く;そして、入口での赤外光によって照射することで顆粒を適当な温度にコントロールでき、ソフトで湿っている状態を高め、さらに、錠剤が型に付着しないようにすることを特徴とする。
【0181】
実施例41:フグI型コラーゲン抽出物がエタノールで誘発されるラットの急性肝障害に及ぼす保護効果
体重が180から200 gまでの雌雄同数のSDラット50匹が用いられ、テストは“Collection of Guidelines for Preclinical Studies of New Drugs (Western Medicines)”、中国保健省編、の方法に従って行われた。血清のグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼとグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼの活性が自動生化学アナライザーによって決定された。結果を表5に示した。
【0182】
【表14】

【0183】
結果は、フグI型コラーゲン抽出物がエタノールで誘発されるラットの急性肝障害に対して用量依存的に非常に有意な保護効果を有することを示した。
【0184】
実施例41:フグI型コラーゲン抽出物が酢酸で誘発されるラットの結腸炎に及ぼす処置効果
このテストは、文献(Ritzpatrick, R. et al., Agents Actions. 1990, 30: 393-402)にある方法に従って行われた。モデルが作られた後4日目から、ラットの胃内に4日間投与された。結果を表14と15に示した。
【0185】
【表15】

【0186】
【表16】

【0187】
結果は、高及び中用量のフグI型コラーゲン抽出物が10%酢酸で誘発される潰瘍性結腸炎に対して有意な処置効果を有するが、正常レベルには達しないということを示した。高用量のフグI型コラーゲン抽出物は酢酸で誘発される潰瘍性結腸炎のラットの腸重量の体重に対する比に有意な保護効果を示した。
【0188】
実施例43:フグI型コラーゲン抽出物がトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で誘発されるラット結腸炎に及ぼす処置効果
テストは、文献(Morris, C.P. et al., Gastroenterology, 1989, 96: 795-803)の方法に従って行われた。TNBSはSigma社から商業的に入手した。SDラットに100 mg/kgのTNBSを直腸から注入して結腸炎のモデルを作った。各群には10匹のラットが含まれた。モデルが作られてから14日後から、ラットに7日間胃内に投与した。ラットは頚を引いて殺し、解剖し、その結腸切片が組織病理的に調べられた。一部の結果を表16に示した。
【0189】
【表17】

【0190】
結果は、フグI型コラーゲン抽出物がTNBSで誘発される結腸炎のラットの体重を有意に増加させ、体重が正常レベルに達したことを示した。結腸切片の検査結果は、フグI型コラーゲン抽出物がTNBSで誘発されるラット結腸炎に対して有意な処置効果を有することを示した。
【0191】
本発明は上で説明されている。十分な能力と知識を有する当業者は、従来技術の類似した又は同様の方法によって本発明の一部を置き換えて本発明の教示から逸脱することなく同じ目的を達成することができることは言うまでもない。したがって、このような変更は明らかに本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】フグI型コラーゲンの二つのサブユニットα1(I)とα2(I)(図1では、マーカー方式によってα1とα2で表されている)の蛋白質バンド。ここでフグI型コラーゲン抽出物は、DEAE-Sepharoseファストフロー・クロマトグラフィーによって精製され、等電点ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動を行い、クーマシーブリリアントブルーR250で染色され、前記二つのバンドは、フグI型コラーゲン抽出物のα1(I)サブユニットはα2(I)サブユニットの2倍であり、その染色強度によって容易に識別できる。同時に電気泳動が行われた平行ゲルのpH勾配の測定値によって、フグI型コラーゲン抽出物の二つのサブユニット、α1(I)とα2(I)、の等電点は、それぞれ、4.85±0.5及び6.71±0.5と計算された(実施例1を参照のこと)。
【図2】DEAE-Sepharoseファストフロー・クロマトグラフィーによって精製されたフグI型コラーゲン抽出物の3.5% SDS-ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動スペクトル。ここで、電気泳動スペクトルは、この生成物が典型的なフグI型コラーゲンであることを示す(実施例10を参照のこと)。I型コラーゲン蛋白質の電気泳動バンドの国際マーカー方式によって、α1とα2は別々にI型コラーゲン蛋白質の二つのサブユニットα1(I)とα2(I)のバンドを表し、β(β1とβ2)はα1(I)2ダイマーとα1(I)α2(I)ダイマーのバンドを表し、γは[α1(I)] 2α2(I)トリマーのバンドを表す。SDS-ポリアクリルアミド・ゲルにおけるI型コラーゲンの電気泳動順序スペクトルは:α2、α1、βそしてγである。γバンドは分子量が大きいので(通常>300KDa)ゲル原点の近くに位置し、βバンドは通常一つの電気泳動バンドしか示さず、α1は量と強度がα2の2倍であり、α1とα2は同じような分子量なので電気泳動位置が隣接しているが、α2がα1の前に位置する。
【図3】0.1 mol/Lの塩酸中の0.1 mg/ml のフグI型コラーゲン抽出物の紫外吸収走査スペクトル。最大吸収波長は203±3 nmであり、260 nmから280 nmまでの範囲には吸収ピークはなく、この波長範囲における吸収値は比較的小さいことが認められる(実施例12を参照のこと)。
【図4】制御可能な部分加水分解が行われたフグI型コラーゲン抽出物の5%-SDSポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(PAGE)スペクトル。ここで電気泳動バンドは典型的なI型コラーゲンの電気泳動スペクトルの特徴を示す(実施例18を参照のこと)。
【図5】通常の単純免疫拡散法によるフグI型コラーゲン抽出物の同定の結果。ここでフグI型コラーゲンの濃度と沈降の環は正に相関し、白色の環はフグI型コラーゲンとそのウサギ抗血清を拡散させて形成される特異的な免疫沈降の環である。コントロールのコラーゲン又は変性コラーゲン、例えばいろいろな非フグ皮膚とcolla piscis、ゼラチン、ブタ皮膚、等は、前記テストでこのような免疫沈降の環を形成しない、このことは前記同定テストが特異性を有することを示す(実施例31を参照のこと)。
【図6】通常の向流免疫電気泳動法によるフグI型コラーゲンの免疫沈降ラインの結果。ここで、図の下半分における白色バンドはフグI型コラーゲン徒そのウサギ抗血清の電気泳動後に形成される特異的な免疫沈降ラインであるが、コントロールコラーゲン又は変性コラーゲン、例えばいろいろな非フグ皮膚とcolla piscis、ゼラチン、ブタ皮膚、等、の電気泳動領域である上半分には免疫沈降ラインは何も形成されない。このことはこの同定テストが特異性を有することを示す(実施例31を参照のこと)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の疾患:胃腸疾患、例えば胃潰瘍、アルコール−及び薬物−で誘発される胃潰瘍と胃出血、アルコール−及び薬物−で誘発される胃粘膜傷害、ストレス性胃潰瘍、急性及び慢性胃炎、表在性及びびらん性胃炎、胃痙攣、胃痛、胆汁逆流胃潰瘍、十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、結腸炎、胃腸障害、胃運動障害、消化不良と吸収不良、及び体重減少、それによる腹部膨満と下痢、など;肝細胞損傷とコラーゲン増殖疾患、例えばアルコール性肝損傷及びそれによる肝線維症と肝硬変、肝線維症、肝硬変、薬物に誘発される肝損傷及びそれによる肝線維症と肝硬変、腎線維症、心筋線維症、など;免疫疾患、例えば免疫機能障害及び低下、白血球減少症、関節リウマチ、リウマチ性関節炎、エリテマトーデス、など;腫瘍、例えば悪性胃腫瘍、胃癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、の発生、進行、及び転移、並びに他の固形悪性腫瘍、の発生、進行、及び転移、並びに新生血管関連疾患、など;
の疾患の処置と予防のための医薬と保健食品の製造における有効成分としてのフグI型コラーゲン抽出物の使用。
【請求項2】
前記医薬及び保健食品が経口剤の形態であることを特徴とする請求項1に記載の医薬と保健食品の製造における有効成分としてのフグI型コラーゲン抽出物の使用。
【請求項3】
前記フグI型コラーゲン抽出物がフグ皮膚及び/又はひれを含むフグ骨から調製されることを特徴とする請求項1に記載の医薬と保健食品の製造における有効成分としてのフグI型コラーゲン抽出物の使用。
【請求項4】
フグ皮膚及び/又はひれを含むフグ骨からのフグI型コラーゲン抽出物を製造する方法であって、次のステップ:
1)原料を前処理するステップ:
(a)天然フグ皮膚及び骨原料を前処理して毒素を除去するステップ:原料を0〜50℃で酸溶液又はアルカリ溶液で4〜48時間処理し、十分に水で洗浄し、このステップを4〜6回繰り返す;ここで、毒素を除去するためにアルカリ溶液を用いる場合、好ましい条件は:常圧、アルカリ溶液の最終濃度0.01〜0.1 mol/L、20〜30℃、8〜24時間の毒素の除去、及び4〜5回の繰り返し;毒素を除去するために酸溶液を用いる場合、好ましい条件は:常圧、酸溶液の最終濃度0.1〜0.2 mol/L、0〜20℃、6〜24時間の毒素の除去、及び4〜5回繰り返し;
(b)淡水で人工繁殖されたフグの皮膚と骨、又は天然フグの毒素除去された皮膚と骨を水で透明に洗浄し、直ちに用いない場合は-20℃以下で貯蔵して待機させるステップ;
2)次の三つの方法のいずれかに従って抽出するステップ:
(a)前処理されたフグの皮膚及び骨原料に水又は酸溶液を任意の比率で加え、0〜125℃の温度、常圧〜3気圧の圧力で60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を集め、0〜6回繰り返し、濾液を合わせ、水を残渣に加え、又は濾液を残渣と一緒にし、ホモジナイズしてホモジネートを集め、抽出溶媒としての酸溶液によって得られたホモジネートは20℃以下で12〜48時間静置する;水を抽出溶媒として得られたホモジネートは直接次のステップで使用する;
ここで、酸溶液を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、0〜10℃、最終酸溶液反応濃度0.1〜0.5 mol/L、48〜72時間の抽出、2〜4回の繰り返し、ホモジナイズ;及び、常圧、40〜80℃、最終酸溶液反応濃度0.01〜0.2 mol/L、4〜8時間の抽出、3〜5回の繰り返し、ホモジナイズ;
ここで、水を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、90〜100℃、3〜8時間の抽出、1〜3回の繰り返し、ホモジナイズ;
(b)前処理されたフグ骨原料に水又は酸溶液を加え、0〜125℃の温度、常圧〜3気圧の圧力で、60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を集め、0〜6回繰り返し、濾液を合わせ、残渣を捨て、濾液を元の体積の100%〜10%に濃縮し、ある量のフグ皮膚原料を加え、0〜125℃の温度、常圧〜3気圧の圧力で、60分〜100時間抽出し、濾過して液体部分を集め、水又は同じ酸溶液を抽出のために加え、0〜6回繰り返し、濾液を合わせ、濾液を残渣と一緒にし、ホモジナイズしてホモジネートを得て、酸溶液を抽出溶媒として得られたホモジネートを20℃以下で12〜48時間静置する;水を抽出溶媒として得られたホモジネートは直接次のステップで使用する;
ここで、酸溶液を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、0〜10℃、最終酸溶液反応濃度0.1から0.5 mol/L、48〜72時間の抽出、2〜4回の繰り返し、ホモジナイズ;そして、常圧、40〜80℃、最終酸溶液反応濃度0.01から0.2 mol/L、4〜8時間の抽出、3〜5回の繰り返し、ホモジナイズ;
ここで、水を抽出に用いる場合、好ましい条件は次の通りである:常圧、90〜100℃、3〜8時間の抽出、1〜3回の繰り返し、ホモジナイズ;
(c)I型コラーゲン及びゼラチンを抽出するための従来技術の常用の方法又は改良方法によって、本発明のフグI型コラーゲン抽出物を得る;
3)濾過し濃縮するステップ:
ホモジネートを遠心分離又は濾過して残渣を除去し、任意に濾液を元の体積の100%〜10%に濃縮し、濃縮されたフグI型コラーゲン抽出物を得る;
ここで、抽出が酸溶液を用いて低温で行われる場合、残渣を除去するのに好ましい方法は、低温での高速遠心分離である;他方、抽出が水又は酸溶液を用いて高温で行われる場合、残渣を除去するのに好ましい方法は濾過である;
抽出が酸溶液を用いて低温で行われる場合、好ましい濃縮方法は孔径が100〜200 Kdaの限外濾過膜を用いる限外濾過による濃縮である;抽出が水又は酸溶液を用いて高温で行われる場合、好ましい濃縮方法は真空濃縮である;
好ましい簡単な製造方法は、次のステップを含む:前記抽出が遠心分離又は濾過されて残渣が除去された後、それを直接(限外濾過)濃縮及び(凍結、スプレー)乾燥してフグI型コラーゲン抽出物を得る;
4)任意に、乾燥及び粉砕するステップ:
抽出又は濃縮された抽出物を乾燥し(スプレー乾燥、凍結乾燥、又はマイクロ波乾燥、ベーキング乾燥、遮光乾燥、好ましくは凍結乾燥又はスプレー乾燥)、粉砕して80メッシュシーブを通過可能なフグI型コラーゲン抽出物の、淡黄色又は白色の粉末生成物を得る;
ここで、酸溶液は有機酸又は無機酸である;アルカリ溶液は無機塩基である;抽出ステップにおける最終濃度は0.001〜1.0 mol/Lである;毒を除去するステップにおける最終濃度は0.01〜0.5 mol/Lである;使用する酸の例は次のようなものである:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、酪酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸;使用するアルカリの例は次のようなものである:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム(石灰水)、炭酸ナトリウム;使用する酵素の例は次のようなものである:トリプシン、パンクレアチン、ペプシン、パパイン、キモトリプシン、ブロメライン、ディスパーゼ、プロナーゼ、フィブリン、ゼラチナーゼ、II型コラゲナーゼ、III型コラゲナーゼ、プロテイナーゼK、並びに他の動物、植物、及び微生物由来の種々のプロテイナーゼ;
を含む方法。
【請求項5】
濾過と濃縮のステップの後、次の二つの方法:
1)次の条件下でプロテイナーゼを用いて加水分解する:反応系中のプロテイナーゼ濃度1-100 mg/100 mg湿重量組織、好ましくは10-50 mg/100 mg湿重量組織、攪拌、温度20-65℃、好ましくは30-37℃、3-100時間、好ましくは3-48時間の時間、酵素による分解の後に100℃で5-10分間加熱することによる酵素の不活性化;
2)次の条件下で有機酸及び/又は無機酸を用いて加水分解する:反応系中での酸濃は0.001-1.0 mol/L、好ましくは0.05-0.50 mol/L、攪拌、温度0-100℃、好ましくは25-75℃、60分〜72時間、好ましくは3〜24時間の時間、中和又は真空での酸の除去;
のいずれかに従って制御可能な部分加水分解ステップを実施し、任意に、加水分解溶液が元の体積の100%から10%に濃縮し、濃縮した加水分解溶液を乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る、又は沈澱させ乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る;
ここで、使用する酸と酵素は請求項4に記載されたものであり、好ましい酵素はIII型コラゲナーゼ、トリプシン、ペプシンであり;好ましい酸は酢酸と塩酸である;ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
濃縮ステップの後、次の二つの方法:
1)濃縮された抽出物に、濃縮された抽出物の体積の8から15倍、好ましくは10から12倍の体積を有する冷たいアセトンを加え、10℃以下で24〜48時間沈澱させ、遠心分離又は濾過して沈澱を集め、残留する有機溶媒を沈澱から揮発させ、乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る;
2)濃縮された抽出物に、冷たいエタノールを、最終エタノール濃度が55-90%、好ましくは75-90%に達するまで加え、10℃以下で24〜48時間沈澱させ、遠心分離又は濾過して沈澱を集め、残留する有機溶媒を沈澱から揮発させ、任意に乾燥させてフグI型コラーゲン抽出物を得る;
のいずれかに従って沈澱ステップを実施することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
得られた沈澱が、1.0〜2.2 mol/L NaClの中性バッファー(pH 7.5)によって、又は1.0〜2.2 mol/L NaCl溶液によって直接、繰り返し抽出され、抽出溶液が脱塩され、任意に乾燥されて、比較的高い純度の精製されたフグI型コラーゲン抽出物が得られることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項4のステップ3)で得られる濃縮された溶液、請求項5の加水分解溶液、請求項6の沈澱を再溶解した溶液、及び請求項7の抽出溶液が、中和され、濾過され、脱塩され、その後DEAE-及び/又はCM-イオン交換クロマトグラフィー法によって他の蛋白質不純物を除去するように精製され、溶出物がイオン交換によって脱塩されて高純度のフグI型コラーゲン抽出物が得られることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法によって調製されるフグI型コラーゲン抽出物。
【請求項10】
前記フグI型コラーゲン抽出物の主要な化学成分及び薬理的に活性な成分が、天然のフグI型コラーゲン又は変性フグI型コラーゲン及びその部分加水分解産物であり、該フグI型コラーゲン抽出物が以下の特徴:
a)該フグI型コラーゲン抽出物が、フグ皮膚及び/又は骨(ひれ)を原料として用いて調製され、主要な化学成分及び薬理的に活性な成分として天然のフグI型コラーゲン又は変性フグI型コラーゲン及びその部分加水分解産物を含み、典型的な(魚の)I型コラーゲンの物理的/化学的性質を有する;
b)該フグI型コラーゲン抽出物中のフグI型コラーゲン又は変性フグI型コラーゲン及びその部分加水分解産物の含有量が50%よりも大きく、全蛋白質含有量が70%より大きい;
c)フグI型コラーゲン抽出物トリマー[α1(I)]2α2(I)]の分子量が300〜420 KDaであり、変性フグI型コラーゲン蛋白質(α1(I)モノマー、α2(I)モノマー、α1(I)2ダイマー及びα1(I)α2(I)ダイマーを含んで成る)及びその部分加水分解産物の分子量が60〜300 KDaであり;フグI型コラーゲン蛋白質の二つのサブユニットの等電点が別々に、等電点ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動法によると、α1(I):4.85±0.5及びα2(I):6.71±0.5(図1を参照のこと)であるが、フグI型コラーゲン蛋白質の二つのサブユニットの等電点はフグの種によって異なることがある;
d)Perkin Elmer Lambda 2 UV-Vis Spectrometerを用いる紫外吸収走査の結果は、溶媒として0.2 mol/L酢酸を用いて得られる0.3 mg/mlのフグI型コラーゲン抽出物溶液の紫外吸収の最大波長が226±3 nmであり;他方、溶媒として0.1 mol/L塩酸を用いて得られる0.1 mg/mlのフグI型コラーゲン抽出物溶液の紫外吸収の最大波長が203±3 nmであり;さらに、260から280 nmまでの範囲に吸収ピークがなく、前記波長範囲における吸収値が比較的低いことを示す(図3を参照のこと);
e)Kivirikko法及び自動アミノ酸分析計の測定によると、該フグI型コラーゲン抽出物は、ヒドロキシプロリンの重量パーセンテージ含有量が4.5%で他の魚のコラーゲンと同様であり、魚のコラーゲンのヒドロキシプロリンの重量パーセンテージ含有量は通常10%よりも低く、これは陸生動物のコラーゲンにおけるヒドロキシプロリン含有量(14%)よりも有意に低い;請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法によって得られるフグI型コラーゲン抽出物のアミノ酸成分は表1,2,3,及び5に示している;該フグI型コラーゲン抽出物は糖蛋白質であり、蛋白質に結合した炭水化物の含有量は0.5〜1.9%である;データの差は異なる原料及び異なる抽出条件によって生じたものであるが、主要な化学成分及び薬理的活性成分としてのフグI型コラーゲンに基づいて測定されたとして理解できる;
f)該フグI型コラーゲン抽出物は水及び希酸溶液に可溶であり、水溶液は熱的に安定であり、95から100℃で数時間加熱された後も薬理活性を保持する;フグI型コラーゲン抽出物の弱い希酸溶液(0.5 mol/L未満)は、-20℃から室温までの温度に長期間置かれた後も実質的に安定な医薬活性を保持する;しかし、フグI型コラーゲン抽出物はアルカリに対してきわめて敏感であり、弱いアルカリ溶液中に室温で数時間置かれただけでもその薬理活性を完全に失うことがある;フグI型コラーゲン抽出物は、III型コラゲナーゼに対して敏感でないが、I型コラゲナーゼに対しては敏感である;フグI型コラーゲン抽出物がI型コラゲナーゼによって加水分解された後、その薬理活性及び生物学的活性は急速に低下する;
こと、を有することを特徴とする請求項9に記載のフグI型コラーゲン抽出物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−504100(P2007−504100A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524205(P2006−524205)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000996
【国際公開番号】WO2005/039607
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506068106)
【Fターム(参考)】