フザニンA、B、C及びD
【課題】新規な化学物質を資源として提供すること。
【解決手段】下記式で示される化合物とする。
【解決手段】下記式で示される化合物とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物であるフザニンA、B、C及びDに関し、更には、これらを用いた薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の我々の生活において、天然の動植物、微生物等の体内に含まれる化学物質(以下「天然物」という。)として見出されたもののうち人体に有用な効果をもたらすものは生薬、医薬品の有効成分として使用されている。また、このようなものは更に有用な医薬品を開発するための研究材料としても様々な役割を有しており、非常に重要なものとなっている。
【0003】
このように、人体に有益な効果をもたらす天然物の探索に関する報告としては、例えば下記非特許文献1に、変形菌からビスインドール化合物、ナフトキノン化合物、グリセリド化合物等を抽出した報告がある。
【0004】
【非特許文献1】石橋正己、“未利用菌類の資源化:変形菌からの天然物探索”、有機合成化学協会誌、2003年、第61巻、第2号、152〜163頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら一方で、天然物の探索が多数の者によって行なわれているにもかかわらず、探索の材料として検討、調査されたものは、地球上の全生物種の中で10%にも満たないといわれている。
【0006】
本発明は、新規な化学物質を資源として提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一手段に係るフザニンAは、下記式で示される。
【化1】
【0008】
また、本発明の他の一手段に係るフザニンBは、下記式で示される。
【化2】
【0009】
また、本発明の他の一手段に係るフザニンCは、下記式で示される。
【化3】
【0010】
また、本発明の他の一手段に係るフザニンDは、下記式で示される。
【化4】
【0011】
また、本発明の他の一手段に係る薬剤は、下記式で示されるフザニンA及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する。
【化5】
【0012】
また、本発明の他の一手段に係る薬剤は、下記式で示されるフザニンB及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する。
【化6】
【0013】
また、本発明の他の一手段に係る薬剤は、下記式で示されるフザニンC及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する。
【化7】
【0014】
また、本発明の他の一手段に係る薬剤は、下記式で示されるフザニンD及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する。
【化8】
【0015】
なお、上記の薬剤は、限定されるわけではないが、癌の治療薬として有用であることが期待される。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、新規な化学物質を資源として提供することができる。特に、本発明に係る化学物質は、癌細胞に対し細胞増殖抑制作用を発揮するため、例えば癌の治療薬として利用が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態についての記載にのみ狭く解釈されるものではない。
【0018】
本発明の一形態に係るフザニンA、B、C及びDは、下記にそれぞれ示される。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0019】
本実施形態に係るフザニンA、B、C及びDは、後述の実施例から明らかなように、放線菌Kitasatospora、好ましくは放線菌Kitasatospora sp.IFM 10917株から抽出することができるが、これに限定されず、合成することも可能である。
【0020】
本実施形態に係るフザニンA、B、C及びDは、癌細胞に対し細胞増殖抑制作用を発揮するため、薬剤、例えば癌の治療薬として利用が期待される。なおフザニンA、B、C及びDを癌の治療薬として利用する場合、フザニンA、B、C及びD並びにこれらの塩のうち少なくともいずれかを有効成分として含有しておくことが好ましい。
【0021】
また、本実施形態に係る癌の治療薬は、上記フザニンA、B、C及びD並びにこれらの塩のうち少なくともいずれかの他、薬学的に許容しうる通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤(例えば蒸留水)、pH緩衝剤(例えばリン酸緩衝生理食塩水)、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤等の各種調剤用配合成分を含有させることができる。
【0022】
またこの癌の治療薬は、患者の性別、体重、症状に見合った適切な投与量を経口的又は非経口的に投与することができる。経口的な投与としては、通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁液、油剤、乳化剤等の投与形態を採用することができる。また、非経口的な投与としては、通常用いられる投与形態、例えば上記の液剤、懸濁液等にしたものを直接患部に投与する方法、注射等により投与する形態を採用することができる。
【実施例】
【0023】
本実施例では、放線菌Kitasatospora sp.IFM 10917株からフザニンA、B、C及びDを抽出し、検討した結果を示す。図1に、フザニンA、B、C及びDの単離についてのスキームの概略を示しておく。
【0024】
まず、富山県富山市の土壌から放線菌Kitasatospora sp.IFM 10917株を分離し、ワックスマン寒天培地(グルコース2%、ペプトン0.5%、肉エキス0.5%、酵母エキス0.3%、塩化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.3%、寒天1.5%)へ播種し、28℃で1週間培養した。そしてコロニー及び胞子の形成を確認した後、これらをかきとり坂口フラスコ中のワックスマン液体培地(グルコース2%、ペプトン0.5%、肉エキス0.5%、酵母エキス0.3%、塩化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.3%)に播種し、28℃で3日間振盪培養を行なった。その後、菌株を大量に培養するため、新たに調整したワックスマン液体培地(グルコース2%、ペプトン0.5%、肉エキス0.5%、酵母エキス0.3%、塩化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.3%)に上記の前培養した培養液を播種し、カブ型フラスコを用い28℃で5日間振盪培養を行なった。培養後、得られた培養液3Lを遠心分離し、菌体と上清に分けた。そして菌体はメタノールで抽出を行い、菌体メタノール抽出物を得た。また上清は酢酸エチル及びブタノールを用いて溶媒分配し、各可溶部を得た。
【0025】
次に、得られた酢酸エチル可溶部について、Sephadex LH−20を担体とするカラム(φ20×290mm)に付し、メタノールを用いて溶出し、溶出順に1Aから1Fの各画分を得た。また、上記溶出した1C(463.9mg)についてSilicagel 60Nを担体とするカラム(φ30×160mm)に付し、ヘキサン−酢酸エチル混合溶液及びメタノールを用いて溶出し、溶出順に2Aから2Iの各画分を得た。更に、上記溶出した2D(74.2mg)について下記表1に示すHPLC条件(1)を用いてHPLCによる分画を行い、フザニンA(14.5mg)、B(23.2mg)、C(1.5mg)及びD(1.8mg)をそれぞれ単離した。
【表1】
【0026】
(フザニンA)
フザニンAは油状物質として単離された。フザニンAに対して高分解能FABMSを行い、[M+K]+と推測されるm/z304.0976のピークを観測した。この結果、分子式をC14H19NO4と決定した。
【0027】
また、フザニンAに対して赤外吸収測定(以下「IR測定」という。)を行い、赤外吸収スペクトル(以下「IRスペクトル」という。)を得た。この結果、3369、1733cm−1にそれぞれヒドロキシ基、カルボニル基に由来する吸収をそれぞれ観測した。
【0028】
また、フザニンAに対して紫外吸収測定(以下「UV測定」という。)を行い、紫外吸収スペクトル(以下「UVスペクトル」という。)を得た。この紫外吸収測定は、メタノールを溶媒として濃度を0.1mol/l、セル長を1cmとして行なった。この結果、232nmに吸収ピークを有しており、芳香族化合物又は共役二重結合化合物であることが推定できた。図2に、フザニンAにおけるUVスペクトルを示しておく。
【0029】
また、フザニンAに対し、旋光角[α]Dの測定を行った。この結果、旋光角は+30.0度であり、光学活性を有することが確認できた。なお下記表2に、旋光角、高分解FABMS、UV測定、IR測定の結果を示しておく。
【表2】
【0030】
また、フザニンAに対し、1H NMR及び13C NMRの測定も行った。この結果を表3、図3及び図4に示す。1H NMRでは2つのメチル基と約15Hzの結合定数を有する4つのトランスオレフィン水素のシグナルを観測することができ、13C NMRでは2個のメチル基、6個のオレフィン炭素を含む14本のシグナルを観測することができた。なお、カルボニル炭素のシグナルがδc155.9ppmと通常より高磁場側に観測されたこと及びHRFABMSの結果より、本化合物は分子内にカルボニル炭素に窒素原子、酸素原子が隣接したカルバメート構造を有することが推定された。
【表3】
【0031】
また、フザニンAに対し、HMQC、HMBC、1H−1H COSYも求めた。このスペクトルを図5乃至図7に示す。この結果、本化合物は共役ジエンを有する直鎖構造及びカルバメート基を含む五員環と3−メチルテトラヒドロピリジン環の縮合関縮合環構造を有することが判明した。本化合物の立体化学については、NOE実験より2α位の水素と3位の水素、6位の水素と2β位の水素、6位の水素と7位の水素の間にNOE相関が観察されたことから、縮合環部分の相対立体配置を決定した。また絶対立体配置については、本化合物のビス(S)−MTPAエステル及びビス(R)−MTPAエステルを調整し、改良Mosher法による検討及びNOE相関データを総合して、本化合物の3位、6位、7位及び12位の絶対立体配置を3R、6S、7R、12Rと決定した。
【0032】
以上の結果より、フザニンAの構造を上記式で示すように決定した。
【0033】
(フザニンB)
フザニンBは油状物質として単離された。フザニンBに対して高分解能FABMSを行い、[M+H]+と推測されるm/z266.1403のピークを観測した。この結果、分子式をC14H19NO4と決定した。
【0034】
また、フザニンBに対してIR測定を行い、IRスペクトルを得た。この結果は非常に上記フザニンAに類似しており、3369、1733cm−1にそれぞれヒドロキシ基、カルボニル基に由来する吸収をそれぞれ観測した。
【0035】
また、フザニンBに対してUV測定を行い、UVスペクトルを得た。このUV測定は、メタノールを溶媒として濃度を0.2mol/l、セル長を1cmとして行なった。この結果は上記フザニンAに類似していた。すなわち232nmに吸収ピークを有しており、芳香族化合物又は共役二重結合化合物であることが推定できた。図8に、フザニンAにおけるUVスペクトルを示しておく。
【0036】
また、フザニンAに対し、旋光角[α]Dの測定を行った。この結果、旋光角は−19.0度であり、光学活性を有することが確認できた。なお下記表4に、旋光角、高分解FABMS、UV測定、IR測定の結果を示しておく。
【表4】
【0037】
また、フザニンBに対し、1H NMR及び13C NMRの測定も行った。この結果を表5、図9及び図10に示す。なお1H NMRスペクトルも上記フザニンAと類似していたが、6位、7位、8位の水素の化学シフト値が、フザニンAのそれと比較して0.3〜0.5ppm異なることが確認された。
【表5】
【0038】
また、フザニンBに対し、HMQC、HMBC、1H−1H COSYも求めた。このスペクトルを図11乃至図13に示す。この結果フザニンBは上記フザニンAと同一の平面構造を有することが判明した。またここで本化合物の立体構造を明らかにするため、まずNOE実験による検討を行った。この結果、2α位の水素と3位の水素、6位の水素と2β位の水素、6位の水素と8位の水素の間にNOE相関が観察されたことから、本化合物はフザニンAと比較し7位の早退相対立体配置が異なることが判明した。また、絶対立体配置については、本化合物のビス(S)−MTPAエステル及びビス(R)−MTPAエステルを調整し、改良Mosher法による検討及びNOE相関データを総合して、本化合物の3位、6位、7位及び12位の絶対立体配置を3R、6S、7S、12Sと決定した。
【0039】
以上の結果より、フザニンBの構造を上記式で示すように決定した。
【0040】
(フザニンC)
フザニンCは油状物質として単離された。フザニンCに対してHREIMSを行い、[M+]と推測されるm/z219.1293のピークを観測した。この結果、分子式をC13H17NO2と決定した。
【0041】
また、フザニンCに対してIR測定を行い、IRスペクトルを得た。この結果、3350cm−1にヒドロキシ基に由来する吸収を観測した。
【0042】
また、フザニンCに対しUV測定を行い、UVスペクトルを得た。この紫外吸収測定は、CHCl3を溶媒として濃度を0.05mol/l、セル長を1cmとして行なった。この結果、314.0nm、269nmにそれぞれ吸収ピークを有しており、芳香族化合物又は共役二重結合化合物であることが推定できた。図14に、フザニンCにおけるUVスペクトルを示しておく。
【0043】
また、フザニンCに対し、旋光角[α]Dの測定を行った。この結果、旋光角は+34.5度であり、光学活性を有することが確認できた。なお下記表6に、旋光角、高分解FABMS、UV測定、IR測定の結果を示しておく。
【表6】
【0044】
また、フザニンCに対し、1H NMR及び13C NMRの測定も行った。この結果を表7、図15及び図16に示す。1H NMRスペクトルでは、2つのメチル基、15Hz前後の結合定数を有するトランス配置の4個のオレフィン水素のシグナル(δH6.00、6.57、6.82、7.40−7.45overlapped)が観測された。また13C NMRスペクトルでは、2つのメチル基120〜155ppmに4つのオレフィン炭素と5つの芳香族炭素のシグナルが観測された。また本化合物の1H NMRスペクトルでは2位水素の化学シフト値がδH8.41と低磁場に観測されたことから、複素環はピリジンであり、窒素原子が2位に隣接していると推定された。
【表7】
【0045】
また、フザニンCに対し、HMQC、HMBC、1H−1H COSYも求めた。HMBCのスペクトルを図17に示す。本化合物はHMBCスペクトルの詳細な解析により、3−メチルピリジン環の2位にトランス配置の共役ジエンと隣接ジオール構造を有する側鎖が結合した構造を有することが判明した。11位及び12位の立体化学については、トランス配置の二重結合に隣接したジオール構造を有する化合物の結合乗数定数と11位と12位の水素間の結合定数の比較により決定した。すなわち、トランス配置の二重結合に隣接したジオール構造を有する化合物において、1,2−ジオールのヒドロキシ基がanti配置のとき、それぞれのヒドロキシ基と同じ炭素に結合している水素間の結合乗数定数は3Hz、synは一配置のときは6.2Hzであることが分かっている。本化合物の11位、12位の水素間の結合定数は6.5Hzであったため、11位、12位のヒドロキシ基はsyn配置であることが示唆され、11位、12位の相対立体配置をそれぞれ11R*、12R*と決定した。
【0046】
以上の結果より、フザニンCの構造を上記式で示すように決定した。
【0047】
(フザニンD)
フザニンDは油状物質として単離された。フザニンCに対してHREIMSを行い、[M+]と推測されるm/z219.1242のピークを観測した。この結果、分子式をC13H17NO2と決定した。
【0048】
また、フザニンCに対してIR測定、UV測定を行い、IRスペクトル、UVスペクトルを得た。この結果はフザニンAとほぼ同様であった。図18に、フザニンDにおけるUVスペクトルを示しておく。
【0049】
また、フザニンDに対し、旋光角[α]Dの測定を行った。この結果、旋光角は−32.9度であり、光学活性を有することが確認できた。なお下記表8に、旋光角、HREIBMS、UV測定、IR測定の結果を示しておく。
【表8】
【0050】
また、フザニンDに対し、1H NMR及び13C NMRの測定も行った。この結果を表9、図19に示す。1H NMRスペクトルはフザニンCとよく類似していたが、11位(δH4.22、J=6.7Hz)及び12位(δH3.92、J=6.5Hz)の化学シフト値がフザニンCと比較して低磁場側へ移行し、これらの結合定数も異なっていた。
【表9】
【0051】
また、フザニンDに対し、HMQC、HMBC、1H−1H COSYも求めた。このスペクトルを図20乃至図22に示す。本化合物はHMBCスペクトルの詳細な解析により、フザニンACと同様の平面構造であると決定した。また本化合物の立体化学については、フザニンCと同様にトランス配置の二重結合に隣接したジオール構造を有する化合物の結合定数と11位と12位の水素間の結合定数は3.8Hzであったため、11位、12位のヒドロキシ基はanti配置であることが示唆され、11位及び12位の相対立体配置をそれぞれ11S*、12R*と決定した。
【0052】
以上の結果より、フザニンCDの構造を上記式で示すように決定した。
【0053】
(細胞増殖阻害活性)
次に、上記単離したフザニンDについて、ヒト大腸がん細胞株(HCT116、DLD1)及びヒトた胃がん細胞株AGSに対する細胞増殖阻害活性を検討した。この結果を下記表10に示す。この結果、フザニンDはDLD1に対して細胞増殖阻害活性を示し、そのIC50値は41.2μMであった。一方、フザニンDは正常細胞株である293Tには細胞増殖阻害活性を有しておらず選択性を有していることが確認できた。
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は新規化合物を有効成分とし、薬剤として産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例におけるフザニンA、B、C及びDの単離スキームの概略を示す図である。
【図2】実施例におけるフザニンAのUVスペクトルである。
【図3】実施例におけるフザニンAの1H NMRスペクトルである。
【図4】実施例におけるフザニンAの13C NMRスペクトルである。
【図5】実施例におけるフザニンAに関するHMQCスペクトルである。
【図6】実施例におけるフザニンAに関するHMBCスペクトルである。
【図7】実施例におけるフザニンAに関する1H−1H COSYスペクトルである。
【図8】実施例におけるフザニンBのUVスペクトルである。
【図9】実施例におけるフザニンBの1H NMRスペクトルである。
【図10】実施例におけるフザニンBの13C NMRスペクトルである。
【図11】実施例におけるフザニンBに関するHMQCスペクトルである。
【図12】実施例におけるフザニンBに関するHMBCスペクトルである。
【図13】実施例におけるフザニンBに関する1H−1H COSYスペクトルである。
【図14】実施例におけるフザニンCのUVスペクトルである。
【図15】実施例におけるフザニンCの1H NMRスペクトルである。
【図16】実施例におけるフザニンCの13C NMRスペクトルである。
【図17】実施例におけるフザニンCに関するHMBCスペクトルである。
【図18】実施例におけるフザニンDのUVスペクトルである。
【図19】実施例におけるフザニンDの1H NMRスペクトルである。
【図20】実施例におけるフザニンDに関するHMQCスペクトルである。
【図21】実施例におけるフザニンDに関するHMBCスペクトルである。
【図22】実施例におけるフザニンDに関する1H−1H COSYスペクトルである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物であるフザニンA、B、C及びDに関し、更には、これらを用いた薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の我々の生活において、天然の動植物、微生物等の体内に含まれる化学物質(以下「天然物」という。)として見出されたもののうち人体に有用な効果をもたらすものは生薬、医薬品の有効成分として使用されている。また、このようなものは更に有用な医薬品を開発するための研究材料としても様々な役割を有しており、非常に重要なものとなっている。
【0003】
このように、人体に有益な効果をもたらす天然物の探索に関する報告としては、例えば下記非特許文献1に、変形菌からビスインドール化合物、ナフトキノン化合物、グリセリド化合物等を抽出した報告がある。
【0004】
【非特許文献1】石橋正己、“未利用菌類の資源化:変形菌からの天然物探索”、有機合成化学協会誌、2003年、第61巻、第2号、152〜163頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら一方で、天然物の探索が多数の者によって行なわれているにもかかわらず、探索の材料として検討、調査されたものは、地球上の全生物種の中で10%にも満たないといわれている。
【0006】
本発明は、新規な化学物質を資源として提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一手段に係るフザニンAは、下記式で示される。
【化1】
【0008】
また、本発明の他の一手段に係るフザニンBは、下記式で示される。
【化2】
【0009】
また、本発明の他の一手段に係るフザニンCは、下記式で示される。
【化3】
【0010】
また、本発明の他の一手段に係るフザニンDは、下記式で示される。
【化4】
【0011】
また、本発明の他の一手段に係る薬剤は、下記式で示されるフザニンA及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する。
【化5】
【0012】
また、本発明の他の一手段に係る薬剤は、下記式で示されるフザニンB及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する。
【化6】
【0013】
また、本発明の他の一手段に係る薬剤は、下記式で示されるフザニンC及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する。
【化7】
【0014】
また、本発明の他の一手段に係る薬剤は、下記式で示されるフザニンD及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する。
【化8】
【0015】
なお、上記の薬剤は、限定されるわけではないが、癌の治療薬として有用であることが期待される。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、新規な化学物質を資源として提供することができる。特に、本発明に係る化学物質は、癌細胞に対し細胞増殖抑制作用を発揮するため、例えば癌の治療薬として利用が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態についての記載にのみ狭く解釈されるものではない。
【0018】
本発明の一形態に係るフザニンA、B、C及びDは、下記にそれぞれ示される。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0019】
本実施形態に係るフザニンA、B、C及びDは、後述の実施例から明らかなように、放線菌Kitasatospora、好ましくは放線菌Kitasatospora sp.IFM 10917株から抽出することができるが、これに限定されず、合成することも可能である。
【0020】
本実施形態に係るフザニンA、B、C及びDは、癌細胞に対し細胞増殖抑制作用を発揮するため、薬剤、例えば癌の治療薬として利用が期待される。なおフザニンA、B、C及びDを癌の治療薬として利用する場合、フザニンA、B、C及びD並びにこれらの塩のうち少なくともいずれかを有効成分として含有しておくことが好ましい。
【0021】
また、本実施形態に係る癌の治療薬は、上記フザニンA、B、C及びD並びにこれらの塩のうち少なくともいずれかの他、薬学的に許容しうる通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤(例えば蒸留水)、pH緩衝剤(例えばリン酸緩衝生理食塩水)、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤等の各種調剤用配合成分を含有させることができる。
【0022】
またこの癌の治療薬は、患者の性別、体重、症状に見合った適切な投与量を経口的又は非経口的に投与することができる。経口的な投与としては、通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁液、油剤、乳化剤等の投与形態を採用することができる。また、非経口的な投与としては、通常用いられる投与形態、例えば上記の液剤、懸濁液等にしたものを直接患部に投与する方法、注射等により投与する形態を採用することができる。
【実施例】
【0023】
本実施例では、放線菌Kitasatospora sp.IFM 10917株からフザニンA、B、C及びDを抽出し、検討した結果を示す。図1に、フザニンA、B、C及びDの単離についてのスキームの概略を示しておく。
【0024】
まず、富山県富山市の土壌から放線菌Kitasatospora sp.IFM 10917株を分離し、ワックスマン寒天培地(グルコース2%、ペプトン0.5%、肉エキス0.5%、酵母エキス0.3%、塩化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.3%、寒天1.5%)へ播種し、28℃で1週間培養した。そしてコロニー及び胞子の形成を確認した後、これらをかきとり坂口フラスコ中のワックスマン液体培地(グルコース2%、ペプトン0.5%、肉エキス0.5%、酵母エキス0.3%、塩化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.3%)に播種し、28℃で3日間振盪培養を行なった。その後、菌株を大量に培養するため、新たに調整したワックスマン液体培地(グルコース2%、ペプトン0.5%、肉エキス0.5%、酵母エキス0.3%、塩化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.3%)に上記の前培養した培養液を播種し、カブ型フラスコを用い28℃で5日間振盪培養を行なった。培養後、得られた培養液3Lを遠心分離し、菌体と上清に分けた。そして菌体はメタノールで抽出を行い、菌体メタノール抽出物を得た。また上清は酢酸エチル及びブタノールを用いて溶媒分配し、各可溶部を得た。
【0025】
次に、得られた酢酸エチル可溶部について、Sephadex LH−20を担体とするカラム(φ20×290mm)に付し、メタノールを用いて溶出し、溶出順に1Aから1Fの各画分を得た。また、上記溶出した1C(463.9mg)についてSilicagel 60Nを担体とするカラム(φ30×160mm)に付し、ヘキサン−酢酸エチル混合溶液及びメタノールを用いて溶出し、溶出順に2Aから2Iの各画分を得た。更に、上記溶出した2D(74.2mg)について下記表1に示すHPLC条件(1)を用いてHPLCによる分画を行い、フザニンA(14.5mg)、B(23.2mg)、C(1.5mg)及びD(1.8mg)をそれぞれ単離した。
【表1】
【0026】
(フザニンA)
フザニンAは油状物質として単離された。フザニンAに対して高分解能FABMSを行い、[M+K]+と推測されるm/z304.0976のピークを観測した。この結果、分子式をC14H19NO4と決定した。
【0027】
また、フザニンAに対して赤外吸収測定(以下「IR測定」という。)を行い、赤外吸収スペクトル(以下「IRスペクトル」という。)を得た。この結果、3369、1733cm−1にそれぞれヒドロキシ基、カルボニル基に由来する吸収をそれぞれ観測した。
【0028】
また、フザニンAに対して紫外吸収測定(以下「UV測定」という。)を行い、紫外吸収スペクトル(以下「UVスペクトル」という。)を得た。この紫外吸収測定は、メタノールを溶媒として濃度を0.1mol/l、セル長を1cmとして行なった。この結果、232nmに吸収ピークを有しており、芳香族化合物又は共役二重結合化合物であることが推定できた。図2に、フザニンAにおけるUVスペクトルを示しておく。
【0029】
また、フザニンAに対し、旋光角[α]Dの測定を行った。この結果、旋光角は+30.0度であり、光学活性を有することが確認できた。なお下記表2に、旋光角、高分解FABMS、UV測定、IR測定の結果を示しておく。
【表2】
【0030】
また、フザニンAに対し、1H NMR及び13C NMRの測定も行った。この結果を表3、図3及び図4に示す。1H NMRでは2つのメチル基と約15Hzの結合定数を有する4つのトランスオレフィン水素のシグナルを観測することができ、13C NMRでは2個のメチル基、6個のオレフィン炭素を含む14本のシグナルを観測することができた。なお、カルボニル炭素のシグナルがδc155.9ppmと通常より高磁場側に観測されたこと及びHRFABMSの結果より、本化合物は分子内にカルボニル炭素に窒素原子、酸素原子が隣接したカルバメート構造を有することが推定された。
【表3】
【0031】
また、フザニンAに対し、HMQC、HMBC、1H−1H COSYも求めた。このスペクトルを図5乃至図7に示す。この結果、本化合物は共役ジエンを有する直鎖構造及びカルバメート基を含む五員環と3−メチルテトラヒドロピリジン環の縮合関縮合環構造を有することが判明した。本化合物の立体化学については、NOE実験より2α位の水素と3位の水素、6位の水素と2β位の水素、6位の水素と7位の水素の間にNOE相関が観察されたことから、縮合環部分の相対立体配置を決定した。また絶対立体配置については、本化合物のビス(S)−MTPAエステル及びビス(R)−MTPAエステルを調整し、改良Mosher法による検討及びNOE相関データを総合して、本化合物の3位、6位、7位及び12位の絶対立体配置を3R、6S、7R、12Rと決定した。
【0032】
以上の結果より、フザニンAの構造を上記式で示すように決定した。
【0033】
(フザニンB)
フザニンBは油状物質として単離された。フザニンBに対して高分解能FABMSを行い、[M+H]+と推測されるm/z266.1403のピークを観測した。この結果、分子式をC14H19NO4と決定した。
【0034】
また、フザニンBに対してIR測定を行い、IRスペクトルを得た。この結果は非常に上記フザニンAに類似しており、3369、1733cm−1にそれぞれヒドロキシ基、カルボニル基に由来する吸収をそれぞれ観測した。
【0035】
また、フザニンBに対してUV測定を行い、UVスペクトルを得た。このUV測定は、メタノールを溶媒として濃度を0.2mol/l、セル長を1cmとして行なった。この結果は上記フザニンAに類似していた。すなわち232nmに吸収ピークを有しており、芳香族化合物又は共役二重結合化合物であることが推定できた。図8に、フザニンAにおけるUVスペクトルを示しておく。
【0036】
また、フザニンAに対し、旋光角[α]Dの測定を行った。この結果、旋光角は−19.0度であり、光学活性を有することが確認できた。なお下記表4に、旋光角、高分解FABMS、UV測定、IR測定の結果を示しておく。
【表4】
【0037】
また、フザニンBに対し、1H NMR及び13C NMRの測定も行った。この結果を表5、図9及び図10に示す。なお1H NMRスペクトルも上記フザニンAと類似していたが、6位、7位、8位の水素の化学シフト値が、フザニンAのそれと比較して0.3〜0.5ppm異なることが確認された。
【表5】
【0038】
また、フザニンBに対し、HMQC、HMBC、1H−1H COSYも求めた。このスペクトルを図11乃至図13に示す。この結果フザニンBは上記フザニンAと同一の平面構造を有することが判明した。またここで本化合物の立体構造を明らかにするため、まずNOE実験による検討を行った。この結果、2α位の水素と3位の水素、6位の水素と2β位の水素、6位の水素と8位の水素の間にNOE相関が観察されたことから、本化合物はフザニンAと比較し7位の早退相対立体配置が異なることが判明した。また、絶対立体配置については、本化合物のビス(S)−MTPAエステル及びビス(R)−MTPAエステルを調整し、改良Mosher法による検討及びNOE相関データを総合して、本化合物の3位、6位、7位及び12位の絶対立体配置を3R、6S、7S、12Sと決定した。
【0039】
以上の結果より、フザニンBの構造を上記式で示すように決定した。
【0040】
(フザニンC)
フザニンCは油状物質として単離された。フザニンCに対してHREIMSを行い、[M+]と推測されるm/z219.1293のピークを観測した。この結果、分子式をC13H17NO2と決定した。
【0041】
また、フザニンCに対してIR測定を行い、IRスペクトルを得た。この結果、3350cm−1にヒドロキシ基に由来する吸収を観測した。
【0042】
また、フザニンCに対しUV測定を行い、UVスペクトルを得た。この紫外吸収測定は、CHCl3を溶媒として濃度を0.05mol/l、セル長を1cmとして行なった。この結果、314.0nm、269nmにそれぞれ吸収ピークを有しており、芳香族化合物又は共役二重結合化合物であることが推定できた。図14に、フザニンCにおけるUVスペクトルを示しておく。
【0043】
また、フザニンCに対し、旋光角[α]Dの測定を行った。この結果、旋光角は+34.5度であり、光学活性を有することが確認できた。なお下記表6に、旋光角、高分解FABMS、UV測定、IR測定の結果を示しておく。
【表6】
【0044】
また、フザニンCに対し、1H NMR及び13C NMRの測定も行った。この結果を表7、図15及び図16に示す。1H NMRスペクトルでは、2つのメチル基、15Hz前後の結合定数を有するトランス配置の4個のオレフィン水素のシグナル(δH6.00、6.57、6.82、7.40−7.45overlapped)が観測された。また13C NMRスペクトルでは、2つのメチル基120〜155ppmに4つのオレフィン炭素と5つの芳香族炭素のシグナルが観測された。また本化合物の1H NMRスペクトルでは2位水素の化学シフト値がδH8.41と低磁場に観測されたことから、複素環はピリジンであり、窒素原子が2位に隣接していると推定された。
【表7】
【0045】
また、フザニンCに対し、HMQC、HMBC、1H−1H COSYも求めた。HMBCのスペクトルを図17に示す。本化合物はHMBCスペクトルの詳細な解析により、3−メチルピリジン環の2位にトランス配置の共役ジエンと隣接ジオール構造を有する側鎖が結合した構造を有することが判明した。11位及び12位の立体化学については、トランス配置の二重結合に隣接したジオール構造を有する化合物の結合乗数定数と11位と12位の水素間の結合定数の比較により決定した。すなわち、トランス配置の二重結合に隣接したジオール構造を有する化合物において、1,2−ジオールのヒドロキシ基がanti配置のとき、それぞれのヒドロキシ基と同じ炭素に結合している水素間の結合乗数定数は3Hz、synは一配置のときは6.2Hzであることが分かっている。本化合物の11位、12位の水素間の結合定数は6.5Hzであったため、11位、12位のヒドロキシ基はsyn配置であることが示唆され、11位、12位の相対立体配置をそれぞれ11R*、12R*と決定した。
【0046】
以上の結果より、フザニンCの構造を上記式で示すように決定した。
【0047】
(フザニンD)
フザニンDは油状物質として単離された。フザニンCに対してHREIMSを行い、[M+]と推測されるm/z219.1242のピークを観測した。この結果、分子式をC13H17NO2と決定した。
【0048】
また、フザニンCに対してIR測定、UV測定を行い、IRスペクトル、UVスペクトルを得た。この結果はフザニンAとほぼ同様であった。図18に、フザニンDにおけるUVスペクトルを示しておく。
【0049】
また、フザニンDに対し、旋光角[α]Dの測定を行った。この結果、旋光角は−32.9度であり、光学活性を有することが確認できた。なお下記表8に、旋光角、HREIBMS、UV測定、IR測定の結果を示しておく。
【表8】
【0050】
また、フザニンDに対し、1H NMR及び13C NMRの測定も行った。この結果を表9、図19に示す。1H NMRスペクトルはフザニンCとよく類似していたが、11位(δH4.22、J=6.7Hz)及び12位(δH3.92、J=6.5Hz)の化学シフト値がフザニンCと比較して低磁場側へ移行し、これらの結合定数も異なっていた。
【表9】
【0051】
また、フザニンDに対し、HMQC、HMBC、1H−1H COSYも求めた。このスペクトルを図20乃至図22に示す。本化合物はHMBCスペクトルの詳細な解析により、フザニンACと同様の平面構造であると決定した。また本化合物の立体化学については、フザニンCと同様にトランス配置の二重結合に隣接したジオール構造を有する化合物の結合定数と11位と12位の水素間の結合定数は3.8Hzであったため、11位、12位のヒドロキシ基はanti配置であることが示唆され、11位及び12位の相対立体配置をそれぞれ11S*、12R*と決定した。
【0052】
以上の結果より、フザニンCDの構造を上記式で示すように決定した。
【0053】
(細胞増殖阻害活性)
次に、上記単離したフザニンDについて、ヒト大腸がん細胞株(HCT116、DLD1)及びヒトた胃がん細胞株AGSに対する細胞増殖阻害活性を検討した。この結果を下記表10に示す。この結果、フザニンDはDLD1に対して細胞増殖阻害活性を示し、そのIC50値は41.2μMであった。一方、フザニンDは正常細胞株である293Tには細胞増殖阻害活性を有しておらず選択性を有していることが確認できた。
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は新規化合物を有効成分とし、薬剤として産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例におけるフザニンA、B、C及びDの単離スキームの概略を示す図である。
【図2】実施例におけるフザニンAのUVスペクトルである。
【図3】実施例におけるフザニンAの1H NMRスペクトルである。
【図4】実施例におけるフザニンAの13C NMRスペクトルである。
【図5】実施例におけるフザニンAに関するHMQCスペクトルである。
【図6】実施例におけるフザニンAに関するHMBCスペクトルである。
【図7】実施例におけるフザニンAに関する1H−1H COSYスペクトルである。
【図8】実施例におけるフザニンBのUVスペクトルである。
【図9】実施例におけるフザニンBの1H NMRスペクトルである。
【図10】実施例におけるフザニンBの13C NMRスペクトルである。
【図11】実施例におけるフザニンBに関するHMQCスペクトルである。
【図12】実施例におけるフザニンBに関するHMBCスペクトルである。
【図13】実施例におけるフザニンBに関する1H−1H COSYスペクトルである。
【図14】実施例におけるフザニンCのUVスペクトルである。
【図15】実施例におけるフザニンCの1H NMRスペクトルである。
【図16】実施例におけるフザニンCの13C NMRスペクトルである。
【図17】実施例におけるフザニンCに関するHMBCスペクトルである。
【図18】実施例におけるフザニンDのUVスペクトルである。
【図19】実施例におけるフザニンDの1H NMRスペクトルである。
【図20】実施例におけるフザニンDに関するHMQCスペクトルである。
【図21】実施例におけるフザニンDに関するHMBCスペクトルである。
【図22】実施例におけるフザニンDに関する1H−1H COSYスペクトルである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式で示されるフザニンA。
【化1】
【請求項2】
下記式で示されるフザニンB。
【化2】
【請求項3】
下記式で示されるフザニンC。
【化3】
【請求項4】
下記式で示されるフザニンD。
【化4】
【請求項5】
下記式で示されるフザニンA及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する薬剤。
【化5】
【請求項6】
下記式で示されるフザニンB及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する薬剤。
【化6】
【請求項7】
下記式で示されるフザニンC及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する薬剤。
【化7】
【請求項8】
下記式で示されるフザニンD及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する薬剤。
【化8】
【請求項9】
癌の治療薬である請求項4、5、6又は7記載の薬剤。
【請求項1】
下記式で示されるフザニンA。
【化1】
【請求項2】
下記式で示されるフザニンB。
【化2】
【請求項3】
下記式で示されるフザニンC。
【化3】
【請求項4】
下記式で示されるフザニンD。
【化4】
【請求項5】
下記式で示されるフザニンA及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する薬剤。
【化5】
【請求項6】
下記式で示されるフザニンB及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する薬剤。
【化6】
【請求項7】
下記式で示されるフザニンC及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する薬剤。
【化7】
【請求項8】
下記式で示されるフザニンD及びその塩の少なくともいずれかを有効成分として含有する薬剤。
【化8】
【請求項9】
癌の治療薬である請求項4、5、6又は7記載の薬剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−242266(P2009−242266A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88760(P2008−88760)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】
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