説明

フッ化炭素カソード物質の混合物を有する非水セル

本開示は概ね、フッ化炭素物質の混合物を含む非水電気化学セルにおいて使用するのに適したカソード物質、そしてより一層詳しくは、3つのフッ化炭素物質の混合物を含み、それらの各々が(互いから)異なる放電プロファイル(たとえば、異なった電圧および容量)を有するそのようなセルに関する。加えて本開示は、かかるカソード物質を含む非水電気化学セルに関し、そして特に、リチウム系のそのような非水電気化学セル(すなわち、リチウム、またはリチウムイオンの、非水電気化学セル)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照 本出願は、2009年12月4日付け出願のアメリカ合衆国仮出願第61/266,628号の利益を主張し、ここに参照することによってそれを全体として組み込む。
【0002】
開示の分野 本開示は概して、フッ化炭素物質の混合物を含む非水電気化学セルにおいて使用するのに適したカソード物質、そしてより一層詳しくは、3つのフッ化炭素物質の混合物を含み、それらの各々が(互いから)異なる放電プロファイル(たとえば、異なった電圧および容量)を有するそのようなセルに関する。加えて本開示は、かかるカソード物質を含む非水電気化学セルに関し、そして特に、リチウム系のそのような非水電気化学セル(すなわち、リチウム、またはリチウムイオンの、非水電気化学セル)に関する。
【背景技術】
【0003】
開示の背景 リチウム電気化学セルは、より一層普通に、バッテリー(電池)と称され、様々な軍事および消費者製品に広く用いられる。これらの製品の多くは、高エネルギーおよび高出力バッテリーを利用する。携帯用の電子デバイスの小型化のためもあって、上昇したパワー能力および耐用年数を有する更により一層小さなリチウムバッテリーを開発することが望まれている。上昇したパワー能力を有するより一層小さなバッテリーを開発する一つの方法は、より一層高いエネルギーのカソード物質を開発することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高エネルギーカソード物質の1つの例はフッ化炭素(すなわち、CF)である。現在まで、Liアノード/CFカソードのセルが、たとえば、軍事、航空宇宙、電子工学、医療の分野を含め、低いか、または中間の出力デバイスにおいて使用されている(放電率は通常、たとえば、およそ0.1W/cc(すなわち、およそC/10)からおよそ2×10-5 W/cc(すなわち、およそC/50,000)までにわたる)。医療分野において、Liアノード/CFカソードのセルが、現在、低いか、または中間の出力条件を有する埋め込み可能な医療装置を動かすのに用いられる。しかし、その高いエネルギー密度および優れた安定性にもかかわらず、カソードマトリクスの高い電気抵抗から生じる低い作動電圧および限られたパワー能力のために、Li/CFカソードセルは、埋め込み可能な細動除去器(またはICDs)のような高速アプリケーションでは使われていない。
【0005】
したがって、高速パルス放電アプリケーション、そしてより一層詳しくは、さらに高エネルギー密度によって特徴付けられるそのようなカソード物質を含めた、高電圧アプリケーションのために適したカソード物質についての必要性が存在し続ける。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の概略 したがって、簡潔には、本開示は、非水電気化学セルを対象とし、それには、(i)アノード、(ii)第1フッ化炭素カソード物質、第2フッ化炭素カソード物質、および第3フッ化炭素カソード物質を含むハイブリッドカソードであり、(a)第1フッ化炭素カソード物質または第3フッ化炭素カソード物質は第2フッ化炭素カソード物質と異なる平均フッ素化度を有し、および(b)第1フッ化炭素カソード物質は石油コークスに由来し、その一方で第3フッ化炭素カソード物質は石油ピッチに由来し、(iii)アノードおよびカソードの間に配置されるセパレーター、および(iv)アノード、カソードおよびセパレーターに流体連通する非水電解質が含まれる。随意に、第2フッ化炭素カソード物質は石油コークスに由来し、その上、および/または第1フッ化炭素カソード物質および第3フッ化炭素カソード物質はおよそ同じ平均フッ素化度を有する。
【0007】
本開示は、追加的に、または代わりに、(i)アノード、(ii)第1フッ化炭素カソード物質、第2フッ化炭素カソード物質、および第3フッ化炭素カソード物質を含むハイブリッドカソードであり、(a)第1フッ化炭素カソード物質、第2フッ化炭素カソード物質および第3フッ化炭素カソード物質は各々他の2つと異なる約2.5ボルトの、またはそれよりも高い放電電圧を示し、および(b)約1.5ボルトに放電されると、第1フッ化炭素カソード物質は約800mAh/g〜約870mAh/gの放電能力を有し、第2フッ化炭素カソード物質は約680mAh/g〜約800mAh/gの放電能力を有し、そして第3フッ化炭素カソード物質は約825mAh/g〜約875mAh/gの放電能力を有し、(iii)アノードおよびカソードの間に配置されるセパレーター、および(iv)アノード、カソードおよびセパレーターに流体連通する非水電解質を含む非水電気化学セルに指向する。随意に、第1フッ化炭素カソード物質および第2フッ化炭素カソード物質は石油コークスに由来し、および/または第3フッ化炭素カソード物質は石油ピッチに由来する。
【0008】
本開示はまたさらに、そのような非水電気化学セルを含む種々の電子デバイスに指向する。
【0009】
以下に詳細に説明する1またはそれよりも多く追加の特長は、本開示の範囲から離れることなく、1またはそれよりも多くの上記に述べた実施形態に組み込むことができることに注目される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】フッ素化前の石油ピッチ由来ビーズ形状活性化炭素の図面代用写真である。
【図2】カソード物質として有用なフッ化炭素粒子のマイクロフォトである。
【図3】石油コークス由来フッ化炭素(CF1)およびビーズ様(beaded)石油ピッチ由来フッ化炭素のX線回折パターンのグラフによる説明図である。
【図4】石油コークス由来フッ化炭素(CF1)の粒子表面のX線光電子スペクトル(F1s)である。
【図5】石油コークス由来フッ化炭素(CF1)の粒子表面のX線光電子スペクトル(C1s)である。
【図6】ビーズ様石油ピッチ由来フッ化炭素の粒子表面のX線光電子スペクトル(F1s)である。
【図7】ビーズ様石油ピッチ由来フッ化炭素の粒子表面のX線光電子スペクトル(C1s)である。
【図8】室温で20mA/gの放電率を用いる石油コークス由来フッ化炭素(CF1)の放電プロファイルのグラフによる説明図である。
【図9】室温で20mA/gの放電率を用いる石油コークス由来フッ化炭素(CF0.6)の放電プロファイルのグラフによる説明図である。
【図10】室温で20mA/gの放電率を用いるビーズ様石油ピッチ由来フッ化炭素の放電プロファイルのグラフによる説明図である。
【図11】室温で20mA/gの放電率を用いて図8〜10のデータを生じさせるのに用いたフッ化炭素を含む本開示の1具体化のハイブリッドカソードの放電プロファイルのグラフによる説明図である。
【図12】50Jパルスを用いる先行技術のLi/CF電気化学セルおよび本開示の具体化のハイブリッドカソードを含むLi/CF非水電気化学セルの放電プロファイルのグラフによる説明図である。
【図13】50Jパルスを用いる本開示の具体化のビーズ様石油ピッチ由来フッ化炭素およびハイブリッドカソードを含む電気化学セルの放電プロファイルのグラフによる説明図である。
【図14】80Jパルスを用いる本開示の具体化のビーズ様石油ピッチ由来フッ化炭素およびハイブリッドカソードを含む電気化学セルの放電プロファイルのグラフによる説明図である。
【図15】ビーズ様石油ピッチ由来フッ化炭素を含む電気化学セルおよび石油コークス由来フッ化炭素(CF1)を含むセルの放電の間に生じる熱のグラフによる説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の詳細な記載 本開示は、多数の異なったカソード物質および、より一層詳しくは、3つの明確に異なるフッ化炭素(CF)カソード物質を含むハイブリッド(複合型)カソードをその対象とする。フッ化炭素カソード物質は、各々が異なった放電プロファイルを示すこと〔すなわち、およそ2.5ボルト、またはそれより高い異なった放電電圧、およびおよそ1.5ボルトまで放電されるとき、異なった放電能力(放電容量)〕、および/または1またはそれよりも多く(1以上)が異なる炭素源(たとえば、石油コークスまたは石油ピッチ)に由来することで相異なる。より一層詳しくは、3つの異なったフッ素化炭素カソード物質は、以下の点、すなわち、1具体化において、(a)第1または第3のフッ化炭素カソード物質は第2フッ化炭素カソード物質とは異なる平均フッ素化度を有すること、そして(b)第1フッ化炭素カソード物質が石油コークスから導き出される一方、第3フッ化炭素カソード物質は石油ピッチから導き出されることによって特徴付けることができる。追加的に、第1および第3のフッ化炭素物質は、ほぼ同じ平均フッ素化度を有することができる。
【0012】
この具体化、および代わりの具体化では、3つの異なるフッ化炭素カソード物質は、(a)第1、第2および第3のフッ化炭素カソード物質が、各々他の2つと異なる約2.5ボルトの、またはそれよりも高い放電電圧を示し、および(b)約1.5ボルトに放電されると、第1フッ化炭素カソード物質が約800mAh/g〜約870mAh/gの放電能力を有し、第2フッ化炭素カソード物質が約680mAh/g〜約800mAh/gの放電能力を有し、そして第3フッ化炭素カソード物質が約825mAh/g〜約875mAh/gの放電能力を有することによって特徴付けることができる。
【0013】
本開示はさらに、そのようなカソード物質を含む非水電気化学セル、とりわけ、リチウム系のセル(すなわち、リチウム、またはリチウムイオンの、非水電気化学セル)に指向する。本開示の3つの別個のカソード物質の各々は、性能特性を重要部分とする非水電気化学セルの性能特性に有利に寄与し、およびそれらを高めるか、または改善するのにはたらく。たとえば、1つの特定の具体化で、3つのカソード物質は、全体の作動電圧および/またはエネルギー密度が重要部分である非水電気化学セルのそれらを改善するか、または高めるのにはたらき、高い作動電圧(たとえば、およそ2.5ボルトよりも高い電圧)および/または高いエネルギー密度の達成を可能にする。
【0014】
この関連で、ここで用いるように「非水」は、添加された水を含まない電解質、すなわち、分けられたか、または別個の成分として、水が電解質に添加されず、しかしそれでも、微量または内在する成分、またはそれを調製するために用いる有機溶媒(群)の混入物質として存在してもよい電解質を含むか、または利用した電気化学セルに言及する。たとえば、本開示の1またはそれよりも多く(1以上)の非制限的具体化において、電解質は典型的に、およそ1000ppm未満、およそ750ppm未満、およそ500ppm未満、およそ250ppm未満、およそ100ppm未満、およそ50ppm未満、およそ25ppm未満、またはさらに少ない水分しか有さないことがある。
【0015】
この関連で、さらに、「電気化学セル」はここでは別に、バッテリー、キャパシター(コンデンサー)、セル、電気化学的デバイス(電気化学装置)、またはその種の他のものと称する場合があることに注目される。これらの引用が制限的でないことを理解すべきで、そして、電極および電解質の間で電子移動を含む任意のセルも、本開示の範囲内であると考えられる。
【0016】
この関連で、まださらに、「改善された」か、または「高められた」性能特性が、概して、本開示の非水電気化学セルの特定のエネルギー、エネルギー密度、作動電圧および/または速度能力において、たとえば、同じように調製され、または設計されるが、しかし、ここに詳述される2またはそれよりも多く(2つ以上)の別個のフッ化炭素カソード物質を含まない非水電気化学セルと比較した改善または向上に言及することに注目される。
1.カソード物質組成およびセル構成要素
【0017】
本開示に従い、以下でここにさらに詳細に説明するように、3つの別個のフッ化炭素物質を含有するカソードの使用(すなわち、「ハイブリッドカソード」を用いること)によって、非水電気化学セルの1以上の性能特性を改善し、または高めることができる。この関連で、3つの別個のフッ化炭素物質の組合せが、高い作動電圧および高いエネルギー密度を有する非水電気化学セルをもたらすことを見出したことに注目される。
【0018】
本開示に従い、第1フッ化炭素カソード物質は概して、式CFxによって表すことができ、式中、xは約0.9〜約1.2、または約0.95〜約1.15を超える平均値を有し、そして1つの特定の具体化では約1である。第2フッ化炭素カソード物質は概して、式CFyによって表され、式中、yは約0.4〜約0.9未満、または約0.5〜約0.7の平均値を有し、そして1つの特定の具体化では約0.6である。第3フッ化炭素カソード物質は概して、式CFzによって表され、式中、zは約0.8〜約1.2、または約0.9〜約1.1の平均値を有し、1つの特定の具体化では約1である。この関連で、1以上の特定の具体化では、x、yおよびzは互いに異なる記載の範囲内の平均値を有することに注目すべきである。ただし、1以上の代わりの具体化では、xおよびzはほぼ同じ記載の範囲内の平均値を有することができるが、それはyとは異なる。
【0019】
この関連で、さらに、種々の具体化において、フッ化炭素カソード物質の第1、第2および/または第3の成分は、以下により一層十分に説明した炭素の同じ供給源(たとえば、石油コークスまたはピッチ)または別の供給源に由来することができることに注目される。しかし、1つの特定の具体化では、第1フッ化炭素カソード物質、および随意に第2フッ化炭素カソード物質は、石油コークスに由来し、その一方、第3フッ化炭素カソード物質は石油ピッチに由来する。
【0020】
式CFxで、式中、xは約0.9よりも高く〜約1.2の平均値を有するフッ化炭素カソード物質の合計量は、約20重量%〜約70重量%であることができ、そしてより一層典型的には、約25重量%〜約65重量%または約30重量%〜約60重量%であることができ(ここで、「重量%」は、カソードに存在するフッ化炭素物質の合計重量に関しての、および随意に、フッ化炭素以外の物質がカソードでプリセットされていない場合、活性カソード物質の合計重量の重量に対しての第1フッ化炭素カソード物質の重量に言及する)。加えて、または代わりに、式CFyで、式中、yが約0.4〜約0.9未満までの平均値を有するフッ化炭素カソード物質の量は、約2重量%〜約35重量%であることができ、およびより一層典型的に、約4重量%〜約30重量%または約5重量%〜約25重量%であることができる。追加的に、または代わりに、式CFzで、式中、zが約0.8〜約1.2の平均値を有するフッ化炭素カソード物質の量は、約10重量%〜約90重量%であることができ、およびより一層典型的には、約15重量%〜約85重量%または約20重量%〜約80重量%であることができる。しかし、これに関連し、カソード内に存在するこれらのフッ化炭素物質のそれぞれの濃度は一般にこの技術で既知の手段によって、所定の適用または使用のために最適化することができることを理解するべきであり、結果として、上述の第1、第2および第3のフッ化炭素物質の濃度は、本開示の範囲から離れることなく、本明細書に記載以外の量で存在することがある。
【0021】
本開示のフッ化炭素物質は概して、この技術の通常の知識を有する者に一般的に知られる方法または技術を使用して調製することができる。たとえば、そのような材料は大抵、炭素源にフッ素含有ガスを接触させることによって調製することができる。しかし、物質が、同じか、または同様な程度のフッ素化を有するときでさえ、炭素源が非水電気化学セルの放電特性に影響を及ぼしうることが見出された。例として、石油コークスに由来する約1:1の炭素対フッ素のモル比を有するフッ化炭素(図8)は、同程度のモル比を有するが、しかし、ビーズ様石油ピッチに由来するフッ化炭素とは異なる放電プロファイルを有する(図10)。本開示の具体化に従って、炭素物質は、石油コークス、ビーズ様石油ピッチ(活性化されても、または活性化されなくてもよい)(図1および2)、他の活性炭(たとえば、木炭)、および黒鉛(グラファイト)材料で、たとえば、天然および合成黒鉛およびグラフェン、グラファイトナノプレートレット(黒鉛ナノ小板)、膨張黒鉛、カーボンナノファイバーおよびカーボンナノチューブを含むそれらの派生物のすべてから導き出されうる。石油コークスは、特にカソード物質として用いるのに適当であることが見出された。また、ビーズ様石油ピッチは、その小さい、および狭い分散された粒度(粒径分布)、流動性、高純度で、および高い強度および耐摩耗性の結果として使用に適する。
【0022】
本開示のカソードは、カソード物質が導き出される炭素源において異なる2以上のフッ化炭素カソード物質を含みうる。模範的な具体化において、カソードは、石油コークスに由来するフッ化炭素物質およびビーズ様および活性化石油ピッチに由来するフッ化炭素物質の双方を含む。この関連で、石油コークスに由来するフッ化炭素カソード物質の合計量は、カソード中に存在するフッ化炭素物質の合計量の重量によって、約20%〜約80%であることができる(たとえば、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%および約30%未満、約40%未満、約50%未満、約60%未満または約70%未満)。加えて、ビーズ様石油ピッチに由来するフッ化炭素カソード物質の量は、カソードにおいて存在するフッ化炭素物質の合計量の重さによって、約30%〜約80%であることができる(たとえば、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%および約40%未満、約50%未満、約60%未満または約70%未満)。
【0023】
種々の具体化において、石油コークスに由来するフッ化炭素は、たとえば、約120cm2/g〜約450cm2/g、または約180cm2/g〜約250cm2/gの平均BET表面積を有することができる。石油ピッチに由来するフッ化炭素は、典型的に、たとえば、約250cm2/g〜約750cm2/g、または約350cm2/g〜約650cm2/gのわずかにより一層高いBET表面積を有する。この関連では、しかし、フッ化炭素カソード物質の表面積は任意の上記の(noted)範囲の中にも入ることができ、またはあるいは、本開示の範囲から離れることなく、それらが導き出された供給源に関係なく、任意の上記の範囲からでも外れることがあることに注目される。
【0024】
上述した第1フッ化炭素カソード物質(例は、CF1、たとえば、コークス源に由来する)は、たとえば、ロデスター社(Lodestar)(ニュージャージー州)からPC-10 CF1として商業的に得ることができる。上述の第2フッ化炭素カソード物質(例は、CF0.6、また、たとえば、コークス源に由来する)は、たとえば、ロデスター社からPC-51として、商業的に入手することができる。上記の第3フッ化炭素カソード物質(例は、CF0.9-1.1、たとえば、ピッチに由来する)は、たとえば、アドバンスト・リサーチ・ケミカル社(Advanced Research Chemical)〔Tulsa(タルサ)、オクラホマ州〕からP5000として、商業的に得ることができる。しかし、この関連では、他の物質を、本開示の範囲から離れることなく使用することができることが注目される。
【0025】
カソードは、たとえば、米国特許出願第12/614,667号で、米国特許出願公開第2010/0221616(2009年11月9日出願)として公開された明細書において記載され、銅マンガン混合酸化物のような1以上の他のカソード物質を含むことができると理解すべきであり、それをすべての関連した一貫する目的のために参照することにより本明細書に組み込む。例として、種々の具体化において、カソードは、式CuaMnbOcまたはCuaMnbOc・nH2O(式中、「nH2O」は、カソード物質において存在する構造的水および/または表面水を表す)によって表される銅マンガン酸化物カソード物質の若干の量を含むことができる。このカソード物質では、銅は約+1および約+3の間の酸化状態を有することができ、およびマンガンは約+2および約+7の間の酸化状態を有することができる。加えて、a、bおよびcはそれぞれ独立に0よりも大きな値を有し、そしてさらに(i)a+bの合計は、約1〜約3の範囲内であることができ、その一方で(ii)cは、実験的に決定することができ、およびa、bの値そして銅およびマンガンの酸化状態と一致しする値を有し、および1以上の具体化では、銅が近似的に2またはそれよりも高い酸化状態を有するような値である。銅マンガン酸化物物質は、形式上、アモルファス、またはあるいは半結晶性でありうる。
【0026】
この関連において、1つの特定の具体化では、第1、第2および第3フッ化炭素物質の合計は、非水電気化学セルのカソードに存在するカソード物質の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、またはさらに約100%(そこに存在するカソード物質の合計重量に基づいて)で占められることに注目される。様々な代わりの具体化において、フッ化炭素物質の濃度は約100%未満であり、カソード内に存在する1以上の追加のカソード物質(例は、銅マンガン酸化物)の濃度は、一般的にこの技術で既知の手段によって、所定のアプリケーションまたは使用のために最適化することができる。しかし、1つの特定の具体化において、本開示のカソード混合物は、重量によって、フッ化炭素の約60%〜約95%を含有することができ、そして若干の例では、フッ化炭素の重量(すなわち、3つの異なるフッ化炭素物質の合計濃度)によって、約65%〜約90%、または約70%〜約85%の間で含めることができる。加えて、カソード混合物は、重量によって、約5%〜約40%の間からの銅マンガン酸化物を含むことができ、そしていくつかの例では重量によって、約10%〜約35%または約15%〜約30%の銅マンガン酸化物を含むことができる。しかし、この関連で、そのような濃度が制限される意味と見られるべきではないことに注目される。たとえば、代わりの具体化では、銅マンガン酸化物は(むしろたとえば、フッ化炭素よりも)、カソード物質の主要な成分であってよい。
【0027】
ここに記述するフッ化炭素物質に加え、非水電気化学セルの他の構成要素は、この技術で一般に既知のものの中から選ぶことができる。たとえば、本開示の種々の具体化によれば、カソードはまたバインダー、たとえば、天然または合成の重合体バインダーで、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、スチレンブタジエンゴム、セルロース、ポリアクリレートゴムおよびアクリル酸の共重合体またはアクリラートエステル類のようなものを含むことができる。カソードは〔カソード活物質、バインダーおよび導電性フィラー(以下に記す)の重さによって〕、約15%までのバインダー(たとえば、約1%〜約15%)およびより一層典型的には、約9%までのバインダー(たとえば、約1%〜約9%)を含むことができる。
【0028】
バインダーに加えて、フッ化炭素物質は、導電性添加剤またはフィラー(充填剤)と混合されうる。適切な添加剤には、カーボンブラック〔たとえば、ティムカル社(Timcal)から、スーパーP(Super P)〕、天然および合成の黒鉛、ならびにそれらの種々の誘導体〔グラフェン、黒鉛ナノ小板、膨張黒鉛−たとえば、ティムカル社からの、KS4のようなものを含む〕、カーボンナノファイバー(ナノ繊維)およびナノチューブ、そして炭素の非黒鉛形態で、コークス、木炭または活性炭のようなものが含まれる。種々の金属、特に粉体形態のものもまた、カソードにおいて、導電性フィラーとして用いることができ、そして若干の具体化において、リチウムに対して3.0Vを超える電圧で酸化されない金属が用いられる。そのような金属の例には、銀、金、アルミニウム、チタンおよびそれらの混合物が含まれる。
【0029】
カソードは(カソード活物質、バインダーおよび導電性フィラーの重量によって)、約15重量%までの導電性添加剤(例は、約1重量%〜約15重量%)を含むことができる。しかし、より一層典型的には、カソードは最高で約10重量%までの導電性添加剤(例は、約1重量%〜約10重量%)を含むことができる。この関連において、フッ化炭素(CF)が放電の結果として導電性になる前に、より一層低い抵抗性または高い電導率によって、カソードが耐用期間の初まりでより一層高い出力を提供可能であることが意味されることに注目すべきである。
【0030】
若干の具体化において、カソードは、バインダーおよび導電性フィラーの双方としてはたらくポリマー物質を含む。そのような物質は、共役ポリマー(すなわち、共役n-系ポリマー)、たとえば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびそれらの混合物のようなものであってよい。このような具体化において、導電性ポリマーは、典型的に、フッ化炭素(CF)活物質と混合され、または最小限の可能なカソード抵抗を提供するために、それに適用される。
【0031】
また、本開示の種々の具体化の中でも、カソード物質が非リチウム化される具体化が含まれることにも注目される。言い方を変えるなら、カソード物質は、少なくとも最初に(すなわち、使用に先立って)、基本的にその中にリチウムまたはリチウムイオンを含まないように調製される(すなわち、リチウムまたはリチウムイオンは調製の間にカソード物質の構成要素として意図的に加えられない)。1つの特定の具体化において、カソードは、フッ化炭素と、随意に、バインダー物質および/または導電性希釈剤とから基本的になる(両方とも本明細書の他のところでさらに詳述される)。しかし、そのようなカソード物質は、一次(非充電式)または二次(充電式)バッテリーのために、リチウム(Li)アノードを有する非水電気化学セルにおいて利用することができる。結果として、使用の際、リチウムまたはリチウムイオンは、そのようなカソード材料中に存在することができる。したがって、そのような使用の際のリチウムまたはリチウムイオンの存在は制限する意味に見るべきではない。
【0032】
加えて、本開示の非水電気化学セルは、アノードを有し、それは非水電気化学セルの使用に適する任意のアノード材料を含むことができる。しかし、アノードは、典型的に、たとえば、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどを含む、元素の周期律表のグループIAまたはグループIIAから選ばれる金属、および、たとえば、Li-Mg、Li-Al、Li-Al-Mg、Li-Si、Li-BおよびLi-Si-Bの合金および金属間化合物を含むそれらの合金および金属間化合物を含む。アノードの形態は変えうるが、典型的には、それはアノード金属の薄いホイル(薄箔)として作成され、そして電流コレクタ(集電装置)が拡張タブまたはアノードホイルに付着されたリードを有する。アノード容量は、カソード容量とおよそ同等〜カソードのそれより約35%大きくてよい。
【0033】
前述したように、本開示の非水電気化学セルはさらに、非水性の、イオン伝導性電解質を含み、それはセルの電気化学反応の間にアノードおよびカソード電極間のイオンの移動のための経路としてはたらく。電解質は、液体状態または固体状態、またはそれらの双方であることができる。電極での電気化学反応は、アノードからカソードへ移動する原子または分子の形態でのイオンの変換を伴う。したがって、本開示に適した非水電解質は、アノードおよびカソード物質に対して実質化学的に不活性である。さらに、液体状態での適切な電解質は、イオン輸送のために有益であるそれらの物理的性質を示す(たとえば、低粘度、低表面張力、および/または良好な湿潤性である)。
【0034】
電解質の種々の構成要素はこの技術において一般的に既知なものの中から選ぶことができ、それらは、本明細書の他のところで詳述するカソード物質と組み合わせて用いるのに適する。しかし、好ましくは、本開示に従う使用に適切な電解質は、非水溶媒(または溶媒の混合物が使われるときには溶媒システム)において溶解された無機の、イオン伝導性の塩を有する。より一層好ましくは、電解質には、非プロトン性有機溶媒または低粘性溶媒および高誘電率溶媒を含む溶媒の混合物において溶解されるイオン化するアルカリ金属塩が含まれる。どんな特定の理論にでもとらわれないが、無機の、イオン伝導性の塩は、カソード活物質と反応するようにアノードイオンの移動のための伝達手段(ビークル)として役立つと信じられる。したがって、イオン形成性アルカリ金属塩は、アルカリ金属含有アノードと類似することができる。
【0035】
本開示の1つの特定の具体化において、イオン伝導性の塩は、一般式MM'F6またはMM'F4を有し、式中、Mは、アノードにおいて少なくとも1種の金属と同じアルカリ金属であり、およびM'は、リン、ヒ素、アンチモンおよびホウ素からなる群より選ばれる元素である。式M'F6を得るのに適した塩類には、たとえば、ヘキサフルオロホスファート(PF6)、ヘキサフルオロアルセナート(AsF6)およびヘキサフルオロアンチモナート(SbF6)が含まれ、その一方、式M'F4を得るのに適した塩類には、たとえば、テトラフルオロボラート(BF)が含まれる。あるいはまた、対応するナトリウムまたはカリウム塩類も用いることができる。このように、リチウムアノードのために、電解質のアルカリ金属塩は、随意に、たとえば、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6およびLiBF4、ならびにそれらの混合物から選ぶことができる。リチウムアノードで役立つ他の塩類には、たとえば、LiClO4、LiAlCl4、LiGaCl4、LiC(SO2CF3)3、LiB(C6H4O2)2、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiB(C2O4)2およびLi(CF3SO3)、ならびにそれらの混合が含まれる。
【0036】
非水電気化学セルにおいて本開示に従い使用に適しうる低粘性溶媒には、たとえば、種々のラクトン類、エステル類、カーボナート類、スルホナート類、スルフィット類、ニトリル類、およびエーテル類が含まれる。しかし、より一層詳しくは、たとえば、溶媒は、ジメチルカーボナート(DMC)、ジエチルカーボナート、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルアセタート(MA)、ジグリム、トリジルム(trigylme)、テトラジルム(tetragylme)、エチルメチルカーボナート、ビニレンカーボナート、ジオキソラン、ジオキサン、ジメトキシエタンおよび、たとえば、サイクリック(環状)カーボナート類、サイクリックエステル類およびサイクリックアミド類(プロピレンカーボナート(PC)、エチレンカーボナート(EC)、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、およびN-メチルピロリジノン(NMP)のようなもの)を含む高誘電率溶媒、ならびにそれらの種々の混合物または組合せから選ぶことができる。
【0037】
本開示の非水電気化学セルの1以上の物理的特性および/または性能特性を最適化するために、電解質において用いる溶媒のタイプおよび組成、および/またはその中に存在する塩のタイプおよび濃度を選ぶことができる。たとえば、本開示の1以上の具体化において、電解質中の塩の濃度は、およそ0.3Mからおよそ2.5Mまで、またはおよそ0.4Mからおよそ2Mまで、またはおよそ0.5Mからおよそ1.6Mまでの範囲にあることができる。本開示のこれらのまたは他の具体化では、混合された溶媒システムが採用され、その比率(容量)は、第1の溶媒(例は、カーボナート溶媒、たとえば、プロピレンカーボナートのようなもの)および第2の溶媒〔例は、置換されたアルカン溶媒で、たとえば、1,2-ジメトキシルエタン(dimethoxylethane)のようなもの〕のおよそ1:9およびおよそ9:1の間から変動することができ、つまり、溶媒システムは、およそ10容量%からおよそ90容量%まで、またはおよそ20容量%からおよそ80容量%まで、またはおよそ30容量%からおよそ70容量%までの第1の溶媒を含むことができ、すべてまたは実質すべての残りが第2の溶媒である。しかし、1具体化において、アノードはリチウム金属であり、そして好ましい電解質は、混合したPC/DME溶媒システムにおいての、およそ1M〜およそ1.8M、またはおよそ1.2M〜およそ1.6MのLiBF4である(溶媒システムの濃度がおよそ10容量% PC/90容量% DME〜およそ70容量% PC/30容量%DMEである)。セルにおいて含まれる電解質の重量による量は、セルに添加されるカソード活物質(例は、フッ化炭素物質)の量のおよそ40%からおよそ120%まで、またはさらに50%からおよそ100%までであることができる。
【0038】
本開示の非水電気化学セルは、さらに、内部短絡状態を防止するために、グループIA(IA族)またはグループIIAのアノード/アノード物質からカソード/カソード物質を分けるために選定される適切なセパレーター材料が含まれる。セパレーターは典型的に、電気的に絶縁性で(そして時々イオン伝導性であり)、アノードおよびカソード活物質と化学的に非反応性で、および電解質と化学的に非反応性でかつその中で不溶性の両方であるように当該分野で既知の物質から選ばれる。さらに、セパレーター材料は、電解質が、セルの電気化学反応中にそれを通って流れるようにするために十分な多孔性の程度を有するように選ばれる。セルは、セパレーターが、アノードおよびカソードの間であるか、またはアノードおよびカソードの一方または双方のまわりをヒートシールするように作製することができる。セパレーター材料は、たとえば、およそ15μmからおよそ75μmまで、またはおよそ10μmからおよそ50μmまでに及ぶ厚さを有するように選ぶことができる。若干の具体化では、セパレーターは、上に挙げた量に及ぶセパレーターの合計厚さを有する2以上の層状積層材料である。
【0039】
したがって、適切なセパレーター材料には、典型的に、多孔質または非多孔性ポリマー膜で、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド(例は、ナイロン)、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、および類似の材料、およびそれらの組合せ(例は、三層膜で、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの三層膜のようなもの)、ならびにたとえばポリビニリジンフルオライド(polyvinylidine fluoride)(ポリフッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリビニリジン(polyvinylidine)フルオライド-コヒドロフルオルプロピレン(cohydrofluorpropylene)(PVDF-HFP)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(PETFE)、クロロトリフルオロエチレン-エチレン共重合体を含めたフッ素重合体(fluoropolymeric)繊維から織られた織物、およびそれらの組合せのようなものが含まれ、またはそれらから選ぶことができる。これらのフッ素重合体繊維から織られた織物は、単独使用し、または微多孔フィルム(例は、フッ素重合体微多孔膜)にラミネートすることができる。
【0040】
本開示の非水電気化学セルの形態または構成は、通常、この技術で知られたものから選ぶことができる。たとえば、セルを、ゼリーロール、平行プレートカソードを有するZ折りアノードまたは平行マルチプレート(アノードおよびカソードの双方のための)構成を含めた種々の構成で形成することができる。それらの間で散在した1または2層のセパレーターを有するアノードで、カソードを上塗り(オーバーレイ)することができる。アノード容量(能力)は、典型的に、カソード容量のものにほぼ等しいものから、カソード容量よりもおよそ15%、およそ25%、またはおよそ35%大きいものまでもの範囲内にある。
【0041】
しかし、1つの特定の具体化において、非水電気化学セルの形態または構成は、ケースネガティブデザインであり、そこでは、カソード/アノード/セパレーター/電解質成分は、ケースニュートラル(ケース中立)のデザインも適切であるが、ケーシングがケースネガティブ構成においてアノード集電装置に接続するように導電性金属ケーシングに入れられる。ケーシングのための好ましい物質には、チタン、ステンレス鋼、ニッケルおよびアルミニウムが含まれる。ケーシングヘッダーは、カソード電極用のガラス対金属シール/ターミナルピンフィードスルーに対応するために十分な数の開口を有する金属製ふたを含む。好ましくは、アノード電極はケースに接続する。付加的な開口を電解質充填用に提供する。ケーシングヘッダーは、非水電気化学セルの他の構成要素との適合性を有する要素を含み、そして腐食に抵抗性であることができる。セルは、その後、先に記述した電解質溶液を充填され、典型的に、電解質の重さは、フッ化炭素の重さのおよそ40%〜およそ120%、またはおよそ60%〜およそ110%であり、次いでたとえば、フィルホール上へのステンレス鋼プラグを溶接することによって密閉される。しかしながら、この関連で、本開示のセルが代わりにケースポジティブのデザインにおいて構成することができることに注目される。したがって、ここに提供する説明は制限的な意味に見てはならない。ケーシングの形状は、絶対的なものではなく、ボタン、柱筒形または矩形または他の方法であってよい。
【0042】
この関連で、非水電気化学セルの他の構成要素(例は、集電装置など)が、この技術で通常知られるそれらの構成要素の中から、本開示の範囲から離れることなく選ぶことができることにさらに注目される。集電装置は、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼または炭素鋼の構築物でよく、そしてホイル、化学的にエッチングされたスクリーン、エキスパンディッドメタル、パンチドスクリーンまたは穿孔ホイルとして構成されてよい。集電装置は、炭素、貴金属またはカーバイドタイプコーティングで被覆されてよい。コーティング(被膜)は、活性なフッ化炭素物質を有する集電装置の電気化学的インターフェースで、安定な抵抗体を提供する。乾燥フッ化炭素はまた、独立したシートを形成し、その後好きなサイズにパンチし、加圧することによって集電装置に適用するために、非拘束基材上へ押出加工されるか、またはそれを被覆することができる。あるいは、カソード混合物はスラリー(泥漿)またはペーストの形態でよく、ホイルまたは穿孔ホイルに適用し、そして次いで乾燥されうる。調製の方法にかかわらず、カソードは、細胞のパワー能力に有害な影響を及ぼすことなく、最小限の厚さに圧縮されるか、またはカレンダー仕上されうる。集電装置に適用されたカソード物質の合計量は、およそ7mg/cm2〜およそ150mg/cm2またはおよそ7mg/cm2〜およそ80mg/cm2であることができる。
【0043】
カソード物質は、一旦活性カソード成分(例は、フッ化炭素)、バインダーおよび導電性添加物を混合することによって調製され、カソード物質は、単一の、実質均質な混合物の形態でカソード集電装置上に堆積させることができる(たとえば、そこでは個々のフッ化炭素カソード物質はブレンドされ、すなわち、物質が均一に互いに全体に分散されるように混合され、そして次いでこの混合物は、カソード集電装置上に単一層の形態で堆積される)。しかし、代わりに、個々のフッ化炭素物質は、(i)集電装置の同じ側に(例は、式CFxを有し、xがおよそ0.9よりも大きくおよびおよそ1.2の間である、コークスから導き出されたフッ化炭素を、第1層として集電装置の表面上に堆積し、次いで式CFzを有し、zがおよそ0.8およびおよそ1.2の間である、石油ピッチから導き出されたフッ化炭素を、第2層として、第1層上に堆積し、および式CFyを有し、yがおよそ0.4およびおよそ0.9未満の間を有する、コークスから導き出されたフッ化炭素を、第3層として第2層上に堆積し、またはこれらの任意の組み合わせ)、または(ii)集電装置の反対側に(例は、第3のシステムにおけるように、そこでは2つの層を1つの側に、および単層をその他の上に堆積し、または2つの成分がブレンドされ、およびブレンドされた材料が1つの側に単層として堆積され、そして第3物質が集電装置の他の側上に堆積されるとき)、層の形態で堆積することができる。これらの、および種々の他の具体化において、集電装置の表面上へのカソード物質の負荷は、典型的におよそ5〜およそ35mg/cm2(片側あたり)、またはおよそ6〜およそ30mg/cm2であることができ、そして好適には、およそ7〜およそ21mg/cm2でありうる。
【0044】
1つの模範的な具体化では、カソードを、集電装置上、およそ82〜およそ94重量パーセントのフッ化炭素活物質の乾燥混合物と、およそ15重量パーセントまでの導電性希釈剤、そしておよそ2〜およそ9重量パーセントの重合体バインダーとを接触することによって調製する。集電装置は、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼または炭素で作成され、そしてホイル、化学的にエッチングされたスクリーン、エキスパンディッドメタル、パンチドスクリーン、穿孔ホイルの形態である。集電装置は、好ましくは炭素、貴金属またはカーバイドタイプコーティングで被覆される。これにより、フッ化炭素(CF)を有する集電装置の電気化学的インターフェースで安定な抵抗性を提供する。乾燥CF混合物はまた、その後好みのサイズにパンチされ、そして加圧することによって集電装置に適用される独立したシートを形成するために、非拘束性基材上へ押し出され、または被覆されることもできる。あるいはまた、カソード混合物は、スラリーまたはペーストの形態で、ホイルまたは穿孔ホイルに適用され、そして次いでカソードは乾燥される。調製の方法に関係なく、カソードは、セルのパワー能力に有害に影響を及ぼすことなく最小限の厚みに圧縮されるか、またはカレンダー仕上される。カソード物質の量は、典型的に、およそ7mg/cm2からおよそ150mg/cm2までである。
【0045】
特に明記しない限り、種々の濃度、濃度範囲、包含パーセント(percent inclusions)、比率およびここに規定する同様の他のものを、単に例示のためだけに提供し、そして従って制限する意味でとらえてはならないことに注目すべきである。追加的に、組成物、濃度、包含パーセント比、成分および同様の他のもののすべての種々の組合せおよび入れ替えは、本開示の範囲内であり、そして本開示によって裏付けられることを意図する。
2.カソード物質調製
【0046】
フッ化炭素物質は、概してこの技術における熟練者(当業者)に知られる方法により、たとえば、炭素の供給源を(例は、コークスで、たとえば、石油コークスのようなもの、活性化ビーズ様石油ピッチ、ビーズ形状の(bead-shaped)活性炭(BAC)、活性炭、木炭、および黒鉛材料))、反応容器で、フッ素を含有するガス〔例は、不活性搬送ガス(キャリヤガス)であり、窒素またはアルゴンまたはそれらの混合物のようなもので希釈されたフッ素ガス〕と連続的に接触させることによるようなものによって調製することができる。使用したフッ素含有ガスは反応容器から連続的に取り出すことができる。概して、フッ素化反応は、およそ室温からおよそ550℃にわたる温度で起こることができるが、典型的におよそ300℃からおよそ450℃までの範囲での温度で起こる。追加的に、反応は大気圧で起こりえ、またはあるいは高められた圧力(すなわち、大気圧より高い圧力)で起こることができる。フッ素化の望ましい程度が達成されるまで(この技術で知られる手段によって決定されるように)、炭素粒子はフッ素を含有するガスと接触され、しかし、反応システム変数(たとえば、反応構成要素、フッ素含有ガスの濃度および流量、フッ素化、動作温度、圧力などの望ましい程度のようなもの)によるが、適切な反応時間は、たとえば、およそ1時間からおよそ40時間まで、またはおよそ4からおよそ35時間まで、またはおよそ6からおよそ30時間までであることができる。プロセスで使われるフッ素の量、および/またはガスにおける濃度は変動しうるが、過剰なフッ素がガス状生成物の形成および炭素固体の対応する破壊を招く場合があるので、フッ素の量を、過剰なフッ素を制限するためにコントロールするのが好ましいことに注目される。
【0047】
次に図1を参照し、1つの特定の具体化において、ビーズ形状の活性炭(BAC)が、フッ化炭素カソード物質を調製するのに用いられる。BACは、その原料物質として石油ピッチを用いた高度に球状な活性炭である。BACは、活性炭の吸収性能を本質的に有することに加え、種々の特長を有し、たとえば以下が含まれる。すなわち、小粒度、高充填能力、高流動性、高純度、低ダスト含量、高強度、高耐摩耗性、および狭い粒度分布である。その上、BACは原料物質ピッチからの統合された生産を通して安定な上質の生成物を届ける。さらに、BACは、ハイグレードピッチの使用、バインダを使わないビーズ形成、および均質な不溶性化(uniform infusibilization)および流れている間の活性化から由来する優れた特長を有する。一般的なBAC生産プロセスは、次のステップを含む。すなわち、

【0048】
前述したように、炭素物質は、フッ化の所望の平均程度が3つの異なるタイプについて達成され、またはフッ化炭素の形態が達成されるまで(すなわち、上に提供した式においてx、yおよび/またはzが所望の平均値に到達するまで)、フッ素化することができる。しかし、大まかに言えば、適切なフッ化炭素物質が得られるまで、フッ素化を実行することができる。そのような物質は、概しておよそ1:0.1〜およそ1:1.9、またはおよそ1:0.4〜およそ1:1.2の炭素対フッ素のモル比によって特徴付けることができ、別の言い方をすれば、適切なフッ化炭素は、一般的に式CFqによって特徴付けることができ、式中、qはおよそ0.1〜およそ1.9、またはおよそ0.4〜およそ1.2である(式CFqはこのように広く式CFx、CFy、およびCFzで表される3つのフッ化炭素物質を包含する)。
【0049】
カソードで利用されるフッ化炭素の粒度は、本開示の範囲から離れないで変えることができる。例として、石油ピッチ(例は、ビーズ様石油ピッチ)に由来するフッ化炭素(例は、CFz)の平均粒度(例は、公称直径)は、およそ100μmからおよそ1200μmまで、またはおよそ150μmからおよそ1000μmまでであることができる。しかし、一定の好適な具体化において、そのようなフッ化炭素の平均寸法は、およそ500μmからおよそ700μmまでである。対照的に、石油コークスに由来するフッ化炭素(例は、CFx)の平均粒度(例は、公称直径)は、およそ0.1μmからおよそ300μmまででよく、そして典型的に、およそ0.5μmからおよそ100μmまでである。
【0050】
この関連で、前述の粒度が直接、または、粒度縮小(微粉化)(通常、この技術で知られる手段を使用する)によって達成されうることに注目される。たとえば、一旦調製されれば、結果として生じるフッ化炭素物質は、ミリング(粉にする)か、またはグライディング(挽くこと)によって大きさにおいて随意に縮小されうる。したがって、適切な物質は、およそ0.1からおよそ300μmまで(例は、およそ0.1μmからおよそ200μmまで、またはおよそ0.5μmからおよそ50μmまで)の粒度を有し、カソードでの使用のために随意に得られる(直接、または微粉化によって)。
【0051】
規定された範囲内の粒度は、増加した表面積のために粒子のより一層良好な分散およびより一層高い容量出力を導くことが見出された。微粉化は、粒子の液体懸濁物(すなわち、スラリー)をミリングすること(たとえば、ボールミリングまたはジェットミリングのようなもの)によって適切に達成しうる。スラリーは、固形物重量でおよそ30%からおよそ80重量%まで(例は、およそ40%〜およそ70%、またはおよそ45%〜およそ60%)を適切に含みうる。スラリーの粘性は、およそ400cPからおよそ2500cPまででよく、そして典型的にはおよそ600cPからおよそ1600cPまでであることができる。
3.電気化学セル用途および性能特性
【0052】
任意の特定の理論にとらわれることなく、3つ(またはそれよりも多く)の別個の、または異なるフッ化炭素カソード物質の組合せが、少なくともある程度、これらの物質の組合せによって、別個のフッ化炭素物質の1つだけを含有するカソードの個々のパワー(電力)および速度容量に基づいて、予想以上に驚くほど高いパワーおよび/または速度能力を有する物質を生成するため、特に有利であると考えられることに注目される。さらに以下に示すように、言い方を換えれば、ここに詳述するようなハイブリッドカソード(またはカソード物質)を含む非水電気化学セルのパワーは、唯一の個々のフッ化炭素カソード物質を単独で含む同様に調製したセルの個々のパワー能力の合計よりも高いことが観察された。
【0053】
本開示のカソードに含まれる個々のフッ化炭素は、追加的に、または代わりにそれらの放電プロファイルによって特徴付けることができ、それらのそれぞれはハイブリッドセルの全体的な放電プロファイルに関与する。したがって、一般的に言えば、本開示は、追加的に、または代わりに、関連部分で、第1のフッ化炭素カソード物質、第2のフッ化炭素カソード物質、および第3のフッ化炭素カソード物質を含む非水電気化学セルに指向し、第1、第2および第3のフッ化炭素カソード物質のそれぞれは、他2つとは別の2.5ボルトでの、またはそれよりも高い放電電圧を見せる。
【0054】
本開示の1つの特定の具体化において、第1のフッ化炭素は、およそ2.3V〜およそ2.7V、そしてより一層特に、およそ2.4V〜およそ2.6Vの初期放電電圧、および第1のフッ化炭素カソード物質がおよそ1.5Vまで放出されるとき、およそ800mAh/g〜およそ870mAh/gの放電能力を有することができる(例は、図8参照)。第2のフッ化炭素カソード物質は、およそ2.7V〜およそ3.1V、そしてより一層特に、およそ2.8V〜およそ3.0Vの初期放電電圧、および第2のフッ化炭素カソード物質がおよそ1.5Vまで放出されるとき、およそ680mAh/g〜およそ800mAh/gの放電能力を有することができる(例は、図9参照)。第2のフッ化炭素カソード物質は、さらに、または随意に、およそ2.9V〜およそ2.6Vで100mAh/gにつき少なくともおよそ0.1V、またはおよそ2.9V〜およそ2.6Vで100mAh/gにつき少なくともおよそ0.2Vの傾斜放電電圧によって特徴付ることができる。第3のフッ化炭素カソード物質は、およそ2.6V〜およそ3.0V、そしてより一層特におよそ2.7Vからおよそ2.9Vの初期放電電圧を有し、および第3のフッ化炭素カソード物質がおよそ1.5Vに放電されるとき、およそ825mAh/g〜およそ875mAh/gの放電能力を有することができる(例は、図10参照)。第3のフッ化炭素カソード物質は、さらに、または随意に、およそ2.8V〜およそ2.6Vで100mAh/gにつき少なくともおよそ0.03V、またはおよそ2.8V〜およそ2.6Vで100mAh/gにつき少なくともおよそ0.05Vの傾斜放電電圧を有する。
【0055】
この関連で、放電プロファイル、または放電曲線の形状または傾斜は、フッ化炭素カソード物質の1以上について、変化し、またはたとえば、放電速度の関数として変わることがあり、そして従って、制限的な意味に見てはならないことに注目される。
【0056】
適切に、第1、第2および第3のフッ化炭素カソード物質は、高められたパワーおよび速度能力を有するハイブリッドカソードを生産するために組み合わせることができる。個々のカソード物質の各々は、ハイブリッドカソードの放電電圧プロファイルに(図11に図示されるように)関与する。適切な具体化において、ハイブリッドカソードは、およそ2.6V〜およそ3.0V、そしてより一層特に、およそ2.7V〜およそ2.9Vの初期放電電圧を有し、およびカソードがおよそ1.5Vまで放電されるとき、およそ825mAh/g〜およそ875mAh/gの放電能力を有する(例は、図11参照)。図8-11および特に図10を参照すると、ピッチ由来のフッ化炭素成分(または第3のフッ化炭素成分、CFz)は、たとえば、それはP5000であってよく、それがおよそ2.5Vまで最初に放電することを見ることができる。この後、コークスに由来する構成要素(または第1および第2のフッ化炭素成分、CFxおよびCFy、それぞれ)は、放電プロファイルの主要な誘因である。最後に、およそ1.5Vに近づいて、すべての3つの物質は放電プロファイルに関与する。
【0057】
フッ化炭素カソード物質の正確な組成が、所望の性能特性についてそれを、および/またはそれを含む非水電気化学セルの所望の最終用途の適用を最適化するために選ぶことができることに注目される。本開示のカソード物質は概して、基本的にこの技術で既知の任意の非水電気化学セル、特に高いパルス電流を届けるように設計されたものにおいて〔「高い」パルス電流は典型的に0.5Cまたはそれよりも高く、ここでCはアンペア時間での公称能力(rated capacity)である〕の使用に適している。
【0058】
これに関連し、ここで用いるように、「パルス」という語が、パルスの直前のプレパルス電流のそれよりも著しく大きな振幅の電流の短いバーストに言及することにさらに注目される。「パルス列(パルストレイン)」は電流の少なくとも1つのパルスを含む。パルス列が1つよりも多くののパルスを含む場合、それらはパルスの間に開回路レストを有する比較的短いサクセションにおいて届けられる。模範的パルス列は、各々のパルスの間で15秒のレストを有する4つの10秒のパルスを含むことができる。典型的に、10秒のパルスは、医療上の埋め込み型アプリケーションに適切である。しかし、それは特定のセルの設計および化学に従って著しくより一層短いか、またはより一層長いことができる。
【0059】
追加的に、本開示のそのような非水電気化学セルは、注目したカソード物質を含み、概して、多数の知られた適用(アプリケーション)または装置で、たとえば以下を含めて適切であり、それらは、他の知られた適用および装置の中でも、医療装置(たとえば、ペースメーカー、除細動器、心臓モニター、薬物送達システム、痛み管理システムなどのようなもの)、携帯用の軍電子装置(たとえば、ラジオ、トランスポンダー、武器視野などのようなもの)、海洋装置(たとえば、ソノブイ、魚雷などのようなもの)、航空宇宙装置(たとえば、深宇宙探査機、コマンド破壊システム、バックアップ電力システムなどのようなもの)、軍用そして商業上のセンサー、遠隔データ収集システムである。そのようなカソード物質は、特に中間レートおよび/または高レートの電気化学セルにおける使用に特に適することができ、それは神経刺激器、ペースメーカー、埋め込み型除細動器、およびうっ血性心不全装置のような装置で同様に用いることができる(すなわち、中間レート装置の場合、ミリアンペアレベルの電気パルスを、および高レート装置の場合、痛み、筋肉運動、神経障害、徐脈、頻脈および心臓再同期療法をコントロールするか、または処置するために、アンペアレベルの電気パルスを提供する電源を使う装置)。
【0060】
1つの特定の具体化において、本開示の非水電気化学セルは、予備バッテリーまたはセルとして構成することができ、それによって非水電解質は、電極とは別に維持され、広い温度範囲にわたり、バッテリーの役に立つ貯蔵期間を増やす。必要なとき、非水電解質および電極は自動的に接触させることができ、バッテリーが通常の方法で機能するのが可能になる。
【0061】
本開示のカソード物質、およびそれらを含む非水電気化学セルは、追加的に1以上の他の性能特性を所有することができ、それらの特性は一般的にこの技術で知られる他の物質およびセルに類似し、そうでないにしてもそれに比べて改善され、または高められる。たとえば、種々の具体化において、混合されたCFカソード物質を含有するカソードを含む非水電気化学セルまたはバッテリーは、たとえば、CFの単一源を含有するもののような、現在使われている他の高いエネルギーカソードに著しく類似し、そうでないにしてもそれよりも高いパワーおよび/またはレートを見せることが観察された。しかしながら、他の種々の具体化において、本開示のカソード物質を含む非水電気化学セルは、たとえば3つ以上のフッ化炭素(CF)カソード物質を含まないカソード物質を用いる従来の非水電気化学セルと比較されるように、向上させたか、または高められた比エネルギー、エネルギー密度または容量を見せることができる。追加的に、または代わりに、本開示の非水電気化学セルは、たとえば、慣習的なフッ化炭素カソード物質を含む、同じように構成され、または調製された非水電気化学セルと比較されるように(たとえば、ここでの例5でさらに詳述するように)、使用に際し、およそ5%、およそ10%、またはさらにおよそ15%より少ない熱しか有利には発生させないことができる。
−−−−−
【0062】
本開示を上記で詳細に説明したが、添付の請求の範囲において定められる開示の範囲から離れることなく、修飾および変形が可能であることは明らかである。
【0063】
さらに本開示の種々の詳細および実施形態を例示するために、以下の非制限的な例を提供する。
【実施例】
【0064】
例1:コークス由来フッ化炭素(CF1)およびピッチ由来フッ化炭素(CF1)の物理的および化学的特徴付け
【0065】
コークス由来のフッ化炭素(すなわち、CFx、CF1として商業上販売されたが、以下の表2に与えたように解析的にCF0.9に近いと決定された)、およびピッチ由来のフッ化炭素(すなわち、CFz、この場合に、以下の表2に与えたように、CF1であった)のX線回折パターンを、CF物質の性能および物理的な構造を特徴付けるために定めた(図3)。図3は、これら2つのCF物質間にXRD痕跡にわずかに相違があることを示す。
【0066】
物質の結晶サイズは、以下の式によって計算した。
Lc=(Kλ)/(L cosθ)、
式中、Lcは結晶サイズであり、Kは計器定数(典型的に1)であり、λはX線の波長(1.54Å)であり、Lは半値全幅(FWHM)であり、そしてθは回折角である。コークス由来フッ化炭素物質の結晶サイズ(Lc)は2.99nmであったが、その一方ピッチ由来炭素はわずかにより一層大きい4.5nmの結晶サイズを有する。
【0067】
物質の表面の化学性質を、X線光子分光法(XPS)を使って研究した。XPSサーベイ(図4-7)のスキャンは、物質の表面上で、炭素およびフッ素元素を示す。炭素およびフッ素およびそれらのピークのさらに詳細なスキャンを、図4-7に示す。
【0068】
フッ素ピークは、両方の物質において688.3eVに現れた1つの主要なピークだけを有した。このことにより、物質中のすべてのフッ素が炭素に共有結合し、そしてC-F結合を形成していることが示される。炭素の詳細な分析を、括弧内に示す物質について、結合の各タイプのパーセンテージと共に、下記の表1に示す。石油ピッチ由来の物質は、C-FおよびC-F2結合を意味する288.7eV(電子ボルト)および290.6eVで、それぞれ、2つのピークを有した。C-F2結合がCF物質の縁部で高い確率で起こると考えられる。
【0069】
フッ化炭素コークス物質の場合、詳細な炭素分析は、289eV(C-F)、290.3eV(C-F2)、288.6eV(-C10F8-)nおよび287.3eV(-C4F-)nでいくつかのピークを示した。288.6eVおよび287.3eVの2つのさらなるピークは、より一層低いフッ素化のレベルを表す。データは、ピッチ由来のフッ化炭素が大部分CF1である一方、コークス由来フッ化炭素がCF1と混合されたより一層低いフッ化炭素の少ないパーセンテージを有することを示す。したがって、ピッチ由来物質は、300mVより高い初期放電電圧をもたらすことができる炭素モノフッ化物から大部分が作られたより一層望ましい構造を有すると考えられる。
【0070】
【表1】

表1:ピッチに由来するフッ化炭素およびコークスに由来するフッ化炭素の炭素およびフッ素のピークを詳述するX線光子分光学データ
【0071】
ピッチ由来フッ化炭素(CF1)およびコークス由来フッ化炭素(CF1)の物理的な特徴を表2において示す。表2で示すように、ピッチ由来物質のフッ素濃度は、コークス由来物質よりもわずかに高い。ピッチ由来物質はまた、コークス由来物質よりもおよそ40倍大きい粒度(微粒化の前)を有し、そしておよそ50%大きい表面積を有した。より一層大きな表面積は、より一層多くの内部の孔をもたらすピッチ由来フッ化炭素カソード物質のより小さな結晶サイズによって説明することができる。ピッチ由来物質の走査型電子顕微鏡イメージ(図2)は、粒子の表面が粗であり、より一層大きな表面積に導くであろうことを証明する。
【0072】
【表2】

表2:ピッチに由来したフッ化炭素およびコークスに由来したフッ化炭素の物理的な特性
【0073】
例2:先行技術のセルおよび本開示のハイブリッドカソードを含むセルの放電プロファイル(50Jパルス)の決定
【0074】
2つの2.5AhのLi/CFセルを密封されたアルミニウムバッグにおいて構成した。1つのセルには、3つのCF物質の混合物:40重量%の式CF1のコークス由来フッ化炭素、10重量%の式CF0.6のコークス由来フッ化炭素、および50重量%の式CF1のピッチ由来フッ化炭素を含有するハイブリッドカソードが含まれた。第2のセルは、先行技術のLi/CFセルであった。ハイブリッドカソードはまた、導電性充填剤としてカーボン〔KS-4黒鉛、カソードの6重量%、およびスーパーP(Super P)カーボンブラック、カソードの4重量%、双方ともティムカル社(TIMCAL)から〕およびバインダー(結合剤)としてポリフッ化ビニリデン(polyvinylidine fluoride)(PVDF)を含有した。物質を混合し、そして炭素被覆したアルミニウム集電装置上に広げた。およそ5対のカソードセパレーターおよびアノードを、積み重ね、そしてバッグセルを形成した。
【0075】
試験プロトコルは、50Jパルスからなり、すなわち、50Jパルスを双方のセルに適用した(図12)。セルに適用されるパルス列は、電流の4つのパルス(50J)を含んだ。パルスは、パルス間の15秒の開回路レストと共に短いサクセションにおいて届けた。二つのサクセッシブトレインの間に4時間の開回路レストが存在した。
【0076】
図12に示すように、ハイブリッドカソードを含むセルは、潜在的にピッチ由来のフッ化炭素を包含するため、先行技術のセルよりも高いパルス最小電圧を有した(以下の例3を参照)。より一層詳しくは、図12に例示するように、製品寿命の初期に、P5000を含むハイブリッドカソードは、先行技術のカソード物質よりも500mV高いパルス最小電圧を有する。これにより、ハイブリッドカソードが高パワー放電プロトコルの下でより一層多くの電気エネルギーを届けることができる。
【0077】
「DOD」として説明した図12〜14のx軸が、セルの放電深度であり、それが理論容量に対する放電容量(delivered capacity)の比である(100倍)ことに注目すべきである。
【0078】
例3:ピッチ由来フッ化炭素カソードを含むセルの放電プロファイル(50Jパルス)の決定
【0079】
例2に対する比較の目的から、ピッチに由来したフッ化カソード(CF1またはP5000)を有するセルを、例2のプロセスに従って製造した。セルは、例2と同じ50Jパルスプロトコルを受けさせた(図13)。図13から分かるように、寿命の初期のパルス最小電圧は、およそ2.5Vと同じくらい高かった。図13はまた、2.4Vと同じくらい高い最小電圧を有する例2のハイブリッドセルを含むセルのプロファイルを示す。
【0080】
例4:本開示のハイブリッドカソードを含むセルおよびピッチ由来フッ化炭素カソードを含むセルの放電プロファイル(80Jパルス)の決定
【0081】
例2のハイブリッドカソードと同じフッ化炭素成分の組成のハイブリッドカソードを含むセルおよびピッチ由来のフッ化炭素カソード(CF1またはP5000)を有するセルに、例2のものに類似した80J放電プロトコルを受けさせた(図14)。ハイブリッドカソードを含むセルの寿命の初期のパルス最小電圧は、およそ2.3Vと同じくらい高く、ピッチに由来したフッ化炭素を含有するセルのそれと類似していた(2.4V)。
【0082】
例5:コークス由来フッ化炭素カソードを含むセルおよびピッチ由来フッ化炭素カソードを含むセルによって生成した熱の比較
【0083】
コークスに由来したフッ化炭素カソード(CF1)を含むD-サイズのセルおよびピッチに由来したフッ化炭素カソード(P5000)を有するD-サイズのセルの20℃での定常状態放電の間に発生する熱を定めた(図15)。熱生成は、ミリ熱量計〔カララス社(Calarus Corp.、テンピー、AZ)で測定した。これらのテストは、コークスに由来した物質がピッチに由来した物質のそれよりもほぼ10%少ない熱を発生させたことを証明する。
−−−−−
【0084】
本開示の要素またはそれらの好適例(群)を導入するとき、冠詞「ある(a)」、「an」、「その(the)」および「前記(said)」は、1またはそれよりも多くの要素が存在する意味をもつよう意図する。用語「備える」、「含む」および「有する」は、含められることを意図し、示した要素以外の追加の要素が存在しうることを意味する。
【0085】
種々の修正を、本開示の範囲から離れることなく、上述の具体化(例は、カソード物質組成、非水電気化学セル成分および構成、その他)において行うことができるので、上述の説明に含まれ、および添付の図に示されるすべての事項が、例示として解釈されるべきであり、そして制限する意味でないと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、
第1フッ化炭素カソード物質、第2フッ化炭素カソード物質、および第3フッ化炭素カソード物質を含むハイブリッドカソードであり、(a)第1フッ化炭素カソード物質または第3フッ化炭素カソード物質は第2フッ化炭素カソード物質と異なる平均フッ素化度を有し、および(b)第1フッ化炭素カソード物質は石油コークスに由来し、その一方で第3フッ化炭素カソード物質は石油ピッチに由来し、
アノードおよびカソードの間に配置されるセパレーター、および
アノード、カソードおよびセパレーターに流体連通する非水電解質
を含む、非水電気化学セル。
【請求項2】
アノード、
第1フッ化炭素カソード物質、第2フッ化炭素カソード物質、および第3フッ化炭素カソード物質を含むハイブリッドカソードであり、(a)第1フッ化炭素カソード物質、第2フッ化炭素カソード物質および第3フッ化炭素カソード物質は各々他の2つと異なる約2.5ボルトの、またはそれよりも高い放電電圧を示し、および(b)約1.5ボルトに放電されると、第1フッ化炭素カソード物質は約800mAh/g〜約870mAh/gの放電能力を有し、第2フッ化炭素カソード物質は約680mAh/g約800mAh/gの放電能力を有し、そして第3フッ化炭素カソード物質は約825mAh/g〜約875mAh/gの放電能力を有し、
アノードおよびカソードの間に配置されるセパレーター、および
アノード、カソードおよびセパレーターに流体連通する非水電解質
を含む、非水電気化学セル。
【請求項3】
第1フッ化炭素カソード物質は式CFを有し、第2フッ化炭素カソード物質は式CFを有し、および第3フッ化炭素カソード物質は式CFを有し、xは約0.9および約1.2の間の平均値を有し、yは約0.4〜約0.9の間の平均値を有し、およびzは約0.8および約1.2の間の平均値を有する、請求項1または請求項2の非水電気化学セル。
【請求項4】
x、yおよびzの平均値は異なる、請求項3の非水電気化学セル。
【請求項5】
第1フッ化炭素カソード物質および第2フッ化炭素カソード物質はフッ化石油コークスに由来する、請求項1〜4のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項6】
第3フッ化炭素カソード物質はピッチに由来する、請求項1〜5のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項7】
ピッチはビーズ様石油ピッチである、請求項6の非水電気化学セル。
【請求項8】
第1フッ化炭素カソード物質はCFであり、第2フッ化炭素カソード物質はCF0.6であり、および第3フッ化炭素カソード物質はCFである、請求項1〜7のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項9】
ハイブリッドカソードは、フッ化炭素物質の合計量の重量で、約30%〜約60%の第1フッ化炭素カソード物質を含む、請求項1〜8のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項10】
ハイブリッドカソードは、フッ化炭素物質の合計量の重量で、約5%〜約25%の第2フッ化炭素カソード物質を含む、請求項1〜9のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項11】
ハイブリッドカソードは、フッ化炭素物質の合計量の重量で、約20%〜約80%の第3フッ化炭素カソード物質を含む、請求項3〜10のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項12】
第1フッ化炭素カソード物質は、約2.3V〜約2.7Vの初期放電電圧を有し、および第1フッ化炭素カソード物質が約1.5Vに放電されるとき、約800mAh/g〜約870mAh/gの放電能力を有する、請求項1の非水電気化学セル。
【請求項13】
第2フッ化炭素カソード物質は、約2.7V〜約3.1Vの初期放電電圧を有し、および第2フッ化炭素カソード物質が約1.5Vに放電されるとき、約680mAh/g〜約800mAh/gの放電能力を有する、請求項1および12のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項14】
第3フッ化炭素カソード物質は、約2.6V〜約3.0Vの初期放電電圧を有し、および第3フッ化炭素カソード物質が約1.5Vに放電されるとき、約825mAh/g〜約875mAh/gの放電能力を有する、請求項1、12および13のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項15】
ハイブリッドカソードは、約2.6V〜約3.0Vの初期放電電圧を有し、およびカソードが約1.5Vに放電されるとき、約825mAh/g〜約875mAh/gの放電能力を有する、請求項1〜14のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項16】
ハイブリッドカソードは、合計活性カソード物質の重量で、約30%〜約60%の第1フッ化炭素カソード物質、約5%〜約25%の第2フッ化炭素カソード物質、および約20%〜約80%の第3フッ化炭素カソード物質を含む、請求項15の非水電気化学セル。
【請求項17】
非水電解質は、ジメチルカーボナート(DMC)、ジエチルカーボナート、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸メチル(MA)、ジグリム、トリジルム、テトラジルム、プロピレンカーボナート(PC)、エチレンカーボナート(EC)、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ガンマブチロラクトン(GBL)、N−メチルピロリジノン(NMP)、エチルメチルカーボナート、ビニレンカーボナート、ジオキソラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、またはそれらの混合からなる群より選ばれる有機溶媒を含む、請求項1〜16のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項18】
非水電解質は、式MM’FまたはMM’Fを有する塩を含み、式中、Mはアノードでの金属の少なくとも1種と同じアルカリ金属であり、およびM’は、リン、ヒ素、アンチモンおよびホウ素からなる群より選ばれる元素である、請求項17の非水電気化学セル。
【請求項19】
非水電解質は、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiClO、LiAlCl、LiGaCl、LiC(SOCF、LiB(C、LiN(SOCF、LiN(SO、LiB(C、Li(SOCF)およびそれらの混合からなる群より選ばれる塩を含む、請求項17の非水電気化学セル。
【請求項20】
有機溶媒中の塩の濃度は約0.5Mからおよび約1.6Mである、請求項18または請求項19の非水電気化学セル。
【請求項21】
非水電解質は、1,2−ジメトキシエタン、プロピレンカーボナートおよびLiBF塩を含む、請求項1〜16のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項22】
アノードは、元素の周期表のグループIAまたはグループIIAから選ばれる金属を含む、請求項1〜21のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項23】
アノードは、リチウム、マグネシウム、ナトリウムおよびカリウムからなる群より選ばれる金属を含む、請求項22の非水電気化学セル。
【請求項24】
アノードは、Li−Mg、Li−Al、Li−Al−Mg、Li−Si、Li−BおよびLi−Si−Bからなる群より選ばれる合金または金属間化合物を含む、請求項23の非水電気化学セル。
【請求項25】
セパレーターは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニリジンフルオライド(PVDF)、ポリビニリジンフルオライド−コヒドロフルオルプロピレン(PVDF-HFP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PETFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体およびそれらの混合を含む、請求項1〜24のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項26】
カソードは導電性添加剤を含む、請求項1〜25のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項27】
導電性添加剤は、カーボンブラック、天然または合成の黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、コークス、炭、活性炭、銀、金、アルミニウム、チタンおよびそれらの混合からなる群より選ばれる、請求項26の非水電気化学セル。
【請求項28】
カソードはバインダーを含む、請求項1〜27のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項29】
バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、スチレンブタジエンゴム、セルロース、ポリアクリラートゴム、アクリル酸の共重合体またはアクリラートエステルから選ばれる、請求項28の非水電気化学セル。
【請求項30】
電気化学セルは、バインダーとして重合体および導電性添加剤を含み、重合体は、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびそれらの混合からなる群より選ばれる、請求項1〜29のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項31】
第1フッ化炭素カソード物質および第2フッ化炭素カソード物質は、約120cm/g〜約450cm/gの平均BET表面積を有する、請求項1〜29のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項32】
第1フッ化炭素カソード物質および第2フッ化炭素カソード物質は、約180cm/g〜約250cm/gの平均BET表面積を有する、請求項1〜29のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項33】
第3フッ化炭素カソード物質は、約250cm/g〜約750cm/gの平均BET表面積を有する、請求項3〜32のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項34】
第3フッ化炭素カソード物質は、約350cm/g〜約560cm/gの平均BET表面積を有する、請求項3〜32のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項35】
第1フッ化炭素カソード物質および第2フッ化炭素カソード物質の平均粒度は、約0.1μm〜約800μmである、請求項1〜34のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項36】
第1フッ化炭素カソード物質および第2フッ化炭素カソード物質の平均粒度は、約1μm〜約200μmである、請求項1〜34のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項37】
第3フッ化炭素カソード物質の平均粒度は、約100μm〜約1200μmである、請求項3〜36のいずれか一項の非水電気化学セル。
【請求項38】
第3フッ化炭素カソード物質の平均粒度は、約150μm〜約1000μmである、請求項3〜36のいずれか一項の非水電気化学セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−513207(P2013−513207A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542145(P2012−542145)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/058489
【国際公開番号】WO2011/068825
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(510238959)イーグルピッチャー テクノロジーズ,エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】