説明

フッ化2,6−ジアルキル−3,5−ジシアノ−4−(1H−インダゾール−5−イル)−1,4−ジヒドロピリジン類およびそれらの使用方法

本発明は、タンパク質チロシンキナーゼ阻害活性を有する新規フッ化2,6−ジアルキル−3,5−ジシアノ−4−(1H−インダゾール−5−イル)−1,4−ジヒドロピリジン誘導体、それらの製造方法、並びに、c−Metに媒介される疾患またはc−Metに媒介される症状、特に癌および他の増殖性障害の処置のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質チロシンキナーゼ阻害活性を有する新規フッ化2,6−ジアルキル−3,5−ジシアノ−4−(1H−インダゾール−5−イル)−1,4−ジヒドロピリジン誘導体、それらの製造方法、並びに、c−Metに媒介される疾患またはc−Metに媒介される症状、特に癌および他の増殖性障害の処置のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、最も一般的な広まった疾患の1つである。2002年には、世界中で440万人を超える人々が、乳癌、大腸癌、卵巣癌、肺癌または前立腺癌と診断され、250万人を超える人々がこれらの破壊的な疾患により死亡した(Globocan 2002 Report; http://www-dep.iarc.fr/globocan/downloads.htm)。2005年には、合衆国単独で、125万を超える新たな症例および500000を超える癌による死亡数が予測された。これらの新たな症例の大多数は、大腸(〜100000)、肺(〜170000)、乳房(〜210000)および前立腺(〜230000)の癌であると予測された。癌の発病率および罹患率は、1.4%の平均増加率を反映して、両方とも今後10年にわたって約15%増加すると予測されている(American Cancer Society, Cancer Facts and Figures 2005; http://www.cancer.org/docroot/STT/content/STT_ 1x_Cancer_Facts_Figures_2007.asp)。
【0003】
癌が発生し得る道筋は多数存在し、これが、それらの治療が困難である理由の1つである。1つの道筋は、腫瘍性タンパク質による細胞の形質転換であり、これは、正常な細胞タンパク質から、これらのタンパク質の非生理的活性化をもたらす遺伝子の突然変異により生じる。数々の腫瘍性タンパク質が派生するタンパク質の1つのファミリーは、チロシンキナーゼ(例えば、srcキナーゼ)、および、特に、受容体チロシンキナーゼ(RTK)である。過去20年間に、多数の研究手段により、哺乳動物細胞の増殖制御における、受容体チロシンキナーゼ(RTK)に媒介されるシグナル伝達の重要性が立証されてきた。最近、抗腫瘍性物質としてチロシンキナーゼの選択的低分子阻害剤を用いて、臨床で成果が得られた。
【0004】
c−Met受容体も、受容体チロシンキナーゼである。その発癌能力は1980年代の初期に同定され、そのとき、突然変異したMetが化学的に誘導されたヒト骨肉腫細胞株から単離され、それは、そのN末端の二量体化ドメインに融合したMet遺伝子のキナーゼドメインを含んでいた[C.S. Cooper et al., Nature 311: 29-33 (1984)]。
【0005】
細胞のMetタンパク質は、一本鎖の190kdの前駆体として合成されるヘテロ二量体の膜貫通タンパク質である[G.A. Rodrigues et al., Mol. Cell Biol. 11: 2962-70 (1991)]。この前駆体は、細胞内でアミノ酸残渣307の後で切断され、ジスルフィド架橋により結合した50kdのα鎖および145kdのβ鎖を形成する。α鎖は完全に細胞外にあるのに対し、β鎖は細胞膜を貫通する。β鎖はN末端のセマ(sema)ドメインを含み、それは、α鎖と共にリガンド結合を媒介する。β鎖の外部ドメインの残りの部分は、システインに富むドメインおよび4個の免疫グロブリンドメインを含み、続いて膜貫通領域および細胞内ドメインを含む。細胞内ドメインは、ジャクスタメンブレンドメイン、キナーゼドメインおよびC末端ドメインを含有し、それは、下流のシグナル伝達を媒介する。リガンドが結合すると、受容体の二量体化が誘導され、ジャクスタメンブレン領域(Y1003)、キナーゼの活性化ループ(Y1234およびY1235)およびカルボキシ末端ドメイン(Y1349およびY1356)のチロシン自己リン酸化段階のカスケードによりキナーゼドメインが活性化される。リン酸化されたY1349およびY1356は、下流のc−Metシグナル伝達に必要なアダプタータンパク質を結合するための多基質の結合部位を含む [C. Ponzetto et al., Cell 77: 261-71 (1994)]。c−Metシグナル伝達に最も重要な基質の一つは、足場となるアダプタータンパク質のGab1であり、それは、Y1349またはY1356のいずれかに、変わったホスホチロシン結合部位(mbs:met結合部位と呼ばれる)を介して結合し、それは、独特の長い細胞内シグナルを引き起こす。もう1つの重要な基質は、アダプタータンパク質のGrb2である。細胞の中身に応じて、これらのアダプターは、ERK/MAPK、PI3K/Akt、Ras、JNK、STAT、NFκBおよびβ−カテニンを介してシグナル伝達するものなどの様々な細胞内シグナル伝達経路の活性化を媒介する。
【0006】
c−Metは、散乱因子としても知られている肝細胞増殖因子(HGF)およびそのスプライスバリアントによりユニークに活性化され、それは、その唯一の既知の生物学的に活性なリガンドである[L. Naldini et al., Oncogene 6: 501-4 (1991)]。HGFは、プラスミノーゲンファミリーのプロテイナーゼとの類似性を示す明瞭な構造を有する。それは、アミノ末端ドメイン、続いて4個のクリングルドメイン、および、酵素的に活性ではないセリンプロテアーゼ相同ドメインを含む。c−Metと同様に、HGFは、不活性な一本鎖前駆体(pro−HGF)として合成され、それは、セリンプロテアーゼ(例えば、プラスミノーゲンの活性化因子および凝固因子)により細胞外で切断され、ジスルフィド結合した活性のあるαおよびβ鎖のヘテロ二量体に変換される。HGFは、ヘパラン硫酸プロテオグリカンに高い親和性で結合し、それは、HGFを主に細胞外マトリックスと結合させ続け、その拡散を制限する。結晶構造分析は、HGFが二量体を形成し、c−Metへの結合の際に、受容体の二量体化を誘導することを示す。
【0007】
HGFは、間葉系細胞により発現され、特に上皮細胞で広く発現されるc−MetへのHGFの結合は、上皮、内皮、神経および造血細胞を含む様々な組織で多面的な作用をもたらす。その作用は、一般的に、以下の現象の1つまたは全てを含む:i)有糸分裂誘発の刺激;HGFは、肝細胞に対する分裂促進活性により同定された;ii)浸潤および遊走の刺激;独立した実験アプローチにおいて、HGFは、細胞運動(「散乱」)の誘導に基づき、散乱因子として同定された;および、iii)形態形成(管形成)の刺激。HGFは、コラーゲンマトリックス中でイヌの腎臓細胞から分岐した細管の形成を誘導する。さらに、遺伝子改変マウスおよび細胞培養実験からの証拠は、c−Metが生存受容体として作用し、細胞をアポトーシスから保護することを示す[N. Tomita et al., Circulation 107: 1411-1417 (2003); S. Ding et al., Blood 101: 4816-4822 (2003); Q. Zeng et al., J. Biol. Chem. 277: 25203-25208 (2002); N. Horiguchi et al., Oncogene 21: 1791-1799 (2002); A. Bardelli et al., Embo J. 15: 6205-6212 (1996); P. Longati et al., Cell Death Differ. 3: 23-28 (1996); E.M. Rosen, Symp. Soc. Exp. Biol. 47: 227-234 (1993)]。HGFによるこれらの生物学的過程の調和した実行は、「浸潤性増殖」と呼ばれる特異的な遺伝子的プログラムをもたらす。
【0008】
正常な状態では、c−MetおよびHGFは、マウスの胚発生に、特に胎盤および肝臓の発生に、そして、四肢の体節からの筋芽細胞の方向性のある遊走に必須である。c−MetまたはHGF遺伝子の遺伝子的破壊は、同一の現象をもたらし、このことは、それらの独特の相互作用を示す。成体の生物におけるc−Met/HGFの生理的役割はあまり理解されていないが、実験的証拠は、それらが創傷治癒、組織再生、造血および組織の恒常性維持に関与することを示唆する。
【0009】
腫瘍性タンパク質TPR−METの同定は、c−Metが腫瘍形成において役割を果たし得ることの最初のヒントであった。さらなる実質的な証拠は、数々の異なる実験アプローチに由来する。ヒトおよびマウス細胞株におけるc−MetまたはHGFの過剰発現は、ヌードマウスで発現されると、腫瘍形成能および転移性形質を誘導する。遺伝子導入によるc−MetまたはHGFの過剰発現は、マウスで腫瘍形成を誘導する。
【0010】
最も興味深いことに、c−Metのミスセンス変異または受容体を活性化する突然変異が、孤発性および遺伝性乳頭状腎癌(HPRC)、並びに、肺、胃、肝臓、頭頸部、卵巣および脳の癌などの他の癌のタイプにおいて同定された。重要なことに、HPRCの家系における特異的c−Met突然変異は疾患と共に分離しており、c−Met活性化とヒトの癌の因果関係を形成している[L. Schmidt et al., Nat. Genet. 16: 68-73 (1997); B. Zbar et al., Adv. Cancer Res. 75: 163-201 (1998)]。最強の形質転換活性を有する活性化突然変異は、活性化ループ(D1228N/HおよびY1230H/D/C)および隣接するP+1ループ(M1250T)に位置する。それより弱いさらなる突然変異が、触媒ループ近傍およびキナーゼドメインのAローブ内に見出された。さらに、c−Metのジャクスタメンブレンドメインのいくつかの突然変異が肺の腫瘍で観察され、それは、キナーゼを直接活性化しないが、ユビキチン化および後続の分解に対する耐性を与えることにより、タンパク質を安定化する[M. Kong-Beltran et al., Cancer Res. 66: 283-9 (2006); T.E. Taher et al., J. Immunol. 169: 3793-800 (2002); P. Peschard et al., Mol. Cell 8: 995-1004 (2001)]。興味深いことに、c−Metの体細胞突然変異は、様々な癌における攻撃性の増加および広範な転移と関連する。生殖系および体細胞突然変異の頻度は低いが(5%未満)、パラ分泌または自己分泌メカニズムによる、突然変異なしでc−Metシグナル伝達の調節解除を導く他の主要なメカニズムが観察された。骨肉腫または横紋筋肉腫などの生理的にHGFを産生する間葉系細胞に由来する腫瘍において、そして、外胚葉由来の神経膠芽腫および乳癌において、パラ分泌の活性化が観察された。
【0011】
しかしながら、最も頻繁な症例は、大腸、膵臓、胃、乳房、前立腺、卵巣および肝臓の癌腫で観察されるように、c−Metが過剰発現される癌腫である。過剰発現は、例えば、胃および肺の腫瘍細胞株で観察されるように、遺伝子の増幅により生じ得る。ごく最近、c−Metの過剰発現が、EGF受容体阻害への耐性を獲得した肺腫瘍細胞株で検出された[J.A. Engelmann et al., Science 316: 1039-1043 (2007)]。c−Metを過剰発現するいくつかの上皮腫瘍は、HGFも共発現し、自己分泌のc−Met/HGF刺激ループをもたらし、それにより間質性細胞に由来するHGFの必要性を回避する。
【0012】
一般に、ヒトの癌におけるc−Metの異常な活性化は、特定のメカニズムに拘わらず、典型的には予後不良と関連することが見出された[J.G. Christensen et al., Cancer Lett. 225: 1-26 (2005)]。
【0013】
まとめると、c−Metを重要な癌の標的として実証する多数のインビトロおよびインビボの研究が行われ、総合的なリストを http://www.vai.org/met で見ることができる[C. Birchmeier et al., Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 4: 915-25 (2003)]。ヒトの腫瘍における異常なMetシグナル伝達を弱めるためのいくつかの戦略が続き、それには、とりわけ、HGFアンタゴニストおよび低分子阻害剤が含まれる。ARQ−197(Arqule)、フェレチニブ(foretinib)(XL−880、Exelixis/GSK)およびPH−2341066(Pfizer)などの数々の低分子阻害剤が現在臨床開発中である;それらは、最近論評された[J.J. Cui, Expert Opin. Ther. Patents 17: 1035-45 (2007)]。
【0014】
WO2006/066011−A2では、アリールまたはヘテロアリール基を4位に有するハロアルキル置換3−シアノ−1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、ステロイド受容体およびカルシウムチャネルの活性の両方のモジュレーターとして記載され、従って、心血管疾患の処置に特に有用である。4−フェニル−1,4−ジヒドロピリジン誘導体を使用するアルツハイマー病の処置方法は、WO2006/074419−A2で特許請求された。
【0015】
c−Metキナーゼ阻害活性を有する様々に置換された3−シアノ−4−ヘテロアリール−1,4−ジヒドロピリジン類が、最近WO2008/071451−A1で開示された。しかしながら、このc−Met阻害剤の新規構造クラスのさらなる研究中に、候補化合物は不満足な経口バイオアベイラビリティーにより頻繁に損なわれることが明らかになり、それは、ラットの血液クリアランス測定から最初に予測されたものよりも有意に低いと判明した。経口バイオアベイラビリティーはどのくらい良好に化合物が吸収されるかにも依存するので、これらの化合物の薬物動態および物理化学的プロフィールを前提に、低い溶解性および/または胃腸管の不適切な透過性がこのような吸収の限定を導き得るという仮説が立てられた。
【発明の概要】
【0016】
従って、本発明によって解決されるべき技術的課題は、溶解性および/または透過性の増加を示し、続いてこれらの化合物の経口投与後に吸収される割合の増加を導く、強力なc−Metキナーゼ阻害活性を有する代替的化合物を同定することにあると思われる。
【0017】
驚くべきことに、この度、ある種の2位および6位のアルキル基の1つが特異的にジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル基であるフッ化3,5−ジシアノ−4−(1H−インダゾール−5−イル)−2,6−ジアルキル−1,4−ジヒドロピリジン誘導体が、十分に確立された腸細胞アッセイで評価して、インビトロで有意に改善された透過特性を示すことが見出された。
【0018】
従って、ある態様では、本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
は、水素またはフルオロであり、
は、5個までのフッ素原子により置換されていることもある(C−C)−アルキルであり、
は、水素またはフルオロであり、
は、水素または(C−C)−アルキルであり、
は、水素またはメチルである]
のフッ化2,6−ジアルキル−3,5−ジシアノ−4−(1H−インダゾール−5−イル)−1,4−ジヒドロピリジン誘導体に関する。
【0019】
本発明による化合物は、また、それらの塩、水和物および/または溶媒和物の形態でも存在できる。
本発明の目的上、は、好ましくは本発明による化合物の医薬的に許容し得る塩である(例えば、S. M. Berge et al., "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19参照)。
【0020】
本発明の化合物またはそれらの塩の水和物は、水と化合物または塩の化学量論組成物、例えば、半、一または二水和物である。
本発明の化合物またはそれらの塩の溶媒和物は、溶媒と化合物または塩の化学量論組成物である。
【0021】
(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、本発明に関して、1個ないし5個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基を表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基が好ましい。非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびneo−ペンチルが含まれる。
【0022】
本発明の化合物は、不斉中心の性質または回転の制限により、異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)の形態で存在し得る。不斉中心が(R)−、(S)−または(R,S)−立体配置である異性体が存在し得る。
【0023】
また、本発明の化合物に2つまたはそれ以上の不斉中心が存在するとき、例示した構造のいくつかのジアステレオマーおよびエナンチオマーがしばしば可能であり、純粋なジアステレオマーおよび純粋なエナンチオマーは好ましい実施態様を表すと認められる。
【0024】
本発明の化合物の異性体は全て、分離されているか、純粋であるか、部分的に純粋であるか、または、ジアステレオマーもしくはラセミ混合物のいずれであろうと、本発明の範囲内に包含される。該異性体の精製および該異性体混合物の分離は、当分野で知られている標準的技法により達成し得る。例えば、ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィー処理または結晶化により個々の異性体に分離され得、ラセミ体は、キラル相でのクロマトグラフィー処理または分割により、各々のエナンチオマーに分離できる。
さらに、上記の化合物のすべての可能な互変異性体も、本発明に従って包含される。
【0025】
好ましい実施態様では、本発明は、式中、
が、水素またはフルオロであり、
が、3個のフッ素原子により置換されていることもある(C−C)−アルキルであり、
が、水素またはフルオロであり、
が、水素、メチルまたはエチルであり、
が、水素である、
式(I)の化合物に関する。
【0026】
特に好ましい実施態様では、本発明は、式中、
が、水素またはフルオロであり、
が、メチル、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルまたは2−メチルプロピルであり、
が、水素またはフルオロであり、
が、水素またはメチルであり、
が、水素である、
式(I)の化合物に関する。
【0027】
他の実施態様では、本発明は、一般式(I)の化合物の製造方法に関し、それは、式(II)
【化2】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有する)
のインダゾリルアルデヒドを、式(III)
【化3】

のケトニトリルまたはそのナトリウムエノラート(Rは上記の意味を有する)と、酸、酸/塩基の組合せおよび/または脱水剤の存在下で反応させ、式(IV)
【化4】

(式中、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、
【0028】
次いで、後者を、式(V)
【化5】

(式中、Rは、上記の意味を有する)
のエナミノニトリルと縮合し、式(I−A)
【化6】

(式中、R、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、場合により、続いて、式(VI)
CH−X (VI)
(式中、Xは、ハロゲン、メシレート、トリフレート、トシレートまたはサルフェートなどの脱離基を表す)
の化合物を用いて、塩基の存在下でジヒドロピリジンN−メチル化を行い、式(I−B)
【化7】

(式中、R、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、場合により、続いて、必要に応じて、(i)好ましくはクロマトグラフィーの方法を使用して、化合物(I−A)および(I−B)をそれらの各々のエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離する、および/または、(ii)対応する溶媒での処理により、化合物(I−A)および(I−B)をそれらの各々の水和物または溶媒和物に変換することを特徴とする。
【0029】
連続工程(II)+(III)→(IV)、(IV)+(V)→(I−A)は、上記の通り2つの別個の段階で、または、ワンポットの手順を使用して、即ち、中間体化合物(IV)を明確に単離せずに、実施し得る;いくつかの場合では、個々の反応成分の反応性に依存して、化合物(II)、(III)および(V)の1フラスコ/3成分の縮合反応を実施することも可能であり得る[一般的な1,4−ジヒドロピリジン類の合成には、例えば、D.M. Stout, A.I. Meyers, Chem. Rev. 1982, 82, 223-243; H. Meier et al., Liebigs Ann. Chem. 1977, 1888; H. Meier et al., ibid. 1977, 1895; H. Meier et al., ibid. 1976, 1762; F. Bossert et al., Angew. Chem. 1981, 93, 755 参照]。
工程(II)+(III)→(IV)および(IV)+(V)→(I−A)は、一般的に、不活性溶媒中、+20℃ないし溶媒の沸点の範囲の温度で、大気圧下で実施する。
【0030】
この目的に適する溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールまたはn−ペンタノールなどのアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンまたはクロロトルエンなどのハロ炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンまたは1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、または、アセトニトリルまたは酢酸などの他の溶媒である。これらの溶媒の混合物を使用することも可能である。反応(II)+(III)→(IV)は、好ましくは、ジクロロメタン、トルエン、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはn−ペンタノール中、各々の還流温度で、大気圧下で実施し、反応(IV)+(V)→(I−A)は、好ましくは、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、キシレンまたは酢酸中、こちらも還流温度で、大気圧下で実施する。
【0031】
反応(II)+(III)→(IV)は、酸、酸/塩基の組合せおよび/または脱水剤、例えば、モレキュラー・シーブの存在下で、有利に実施し得る。適する酸の例は、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸である;適する塩基は、特に、ピペリジンまたはピリジンである。成分の反応性に依存して、変換(IV)+(V)→(I−A)は、さらなる補助物質なしで実施し得るか、または、好ましくは酢酸を使用して、酸触媒作用により補助されることができる。
【0032】
メチル化反応(I−A)+(VI)→(I−B)用の不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンまたは1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンまたはクロロトルエンなどのハロ炭化水素類、または、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N−メチルピロリジノン(NMP)またはピリジンなどの他の溶媒である。これらの溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましくは、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはこれらの混合物を用いる。
【0033】
工程(I−A)+(VI)→(I−B)に適する塩基は、特に、炭酸リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはセシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、水素化ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属水素化物、ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドなどの立体障害のあるアルカリアルコキシド類、リチウム、ナトリウムまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどの立体障害のあるアルカリアミド類、または、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンなどの有機アミン類である。炭酸カリウム、炭酸セシウムまたは水素化ナトリウムを好ましくは使用する。
反応(I−A)+(VI)→(I−B)は、一般的に、大気圧下、−20℃ないし+100℃、好ましくは0℃ないし+50℃の温度範囲で実施する。
【0034】
式(II)、(III)、(V)および(VI)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献に記載の標準的方法の適用により、容易に入手できる出発物質から製造できる(さらなる参考のために、下記の実験のセクションを参照)。
【0035】
本発明の化合物の製造は、下記の合成スキームを用いて例示説明できる。より詳細な手順は、実施例を記載する実験のセクションで後述する。
スキーム1
【化8】

【0036】
使用方法
本発明の化合物は、受容体チロシンキナーゼ類、特にc−Met受容体チロシンキナーゼの活性または発現の強力な阻害剤である。さらに、本発明の化合物は、腸上皮細胞における高い透過性を特徴とし、経口投与後のこれらの化合物の胃腸管からの吸収を助長する。従って、式(I)の化合物は、治療剤として価値あるものであると期待される。
【0037】
従って、別の実施態様において、本発明は、上記の式(I)の化合物の有効量を患者に投与することを含む、処置を必要としている患者におけるc−Metキナーゼ活性に関連するか、またはそれにより媒介される障害の処置方法を提供する。ある種の実施態様では、c−Metキナーゼ活性に関連する障害は、細胞増殖性障害、特に癌である。
【0038】
本文書全体で述べられる用語「処置する」または「処置」は、慣用的に使用されており、例えば、疾患または障害、例えば癌腫の症状と戦うか、それを緩和、縮小、軽減、改善することを目的とする対象の管理またはケアである。
【0039】
「対象」または「患者」の用語は、細胞増殖性障害に罹患し得るか、またはその他の方法で本発明の化合物の投与から利益を得ることができる生物、例えばヒトおよびヒト以外の動物を包含する。好ましいヒトには、本明細書に記載の細胞増殖性障害または関連状態に罹患しているかまたは罹患し易いヒトの患者が含まれる。用語「ヒト以外の動物」には、脊椎動物、例えば哺乳動物、例えばヒト以外の霊長類、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコおよび齧歯類、例えばマウス、および、非哺乳動物、例えばニワトリ、両生類、爬虫類などが含まれる。
【0040】
用語「c−Metに関連するか、またはそれにより媒介される障害」は、c−Met活性と関連または関係する疾患、例えば、c−Metの機能亢進、および、これらの疾患に伴う症状を含む。「c−Metに関連するか、またはそれにより媒介される障害」の例には、異常に多量のc−Metまたはc−Metの突然変異によるc−Metの過剰刺激に起因する障害、または、異常に多量のc−Metまたはc−Metの突然変異による異常に多量のc−Met活性に起因する障害が含まれる。
【0041】
用語「c−Metの機能亢進」は、通常はc−Metを発現しない細胞におけるc−Met発現、または、通常は活性なc−Metを持たない細胞によるc−Met活性、または、望まれない細胞増殖を導くc−Met発現の増加、または、c−Metの構成的活性化を導く突然変異を表す。
【0042】
用語「細胞増殖性障害」は、細胞の望ましくないか、または制御されない増殖を伴う障害を含む。本発明の化合物は、細胞増殖および/または細胞分裂の防止、阻害、遮断、縮小、低減、制御等、および/または、アポトーシスの誘発に利用できる。この方法は、本発明の化合物またはその医薬的に許容し得る塩、異性体、多形、代謝物、水和物または溶媒和物の、障害の処置または予防に有効な量を、ヒトを含む哺乳動物を含む、それを必要としている対象に投与することを含む。
【0043】
本発明に関して、細胞増殖性または過増殖性障害には、例えば乾癬、ケロイドおよび他の皮膚を侵す過形成、骨格障害、血管新生または血管増殖性障害、肺高血圧、線維性障害、メサンギウム細胞増殖性障害、結腸ポリープ、多のう胞性腎疾患、良性前立腺肥大症(BPH)および固形腫瘍、例えば乳房、呼吸器、脳、生殖器官、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺の癌、およびそれらの遠隔転移が含まれるが、これらに限定されない。また、これらの障害には、リンパ腫、肉腫および白血病も含まれる。
【0044】
乳癌の例には、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌および非浸潤性小葉癌が含まれるが、これらに限定されない。
呼吸器の癌の例には、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、並びに気管支腺腫および胸膜肺芽腫が含まれるが、これらに限定されない。
脳の癌の例には、脳幹および視床下部(hypophtalmic)のグリオーマ、小脳および大脳の星状細胞腫、膠芽腫、髄芽腫、上衣腫、並びに、神経外胚葉および松果体の腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
雄性生殖器の腫瘍には、前立腺および精巣の癌が含まれるが、これらに限定されない。雌性生殖器の腫瘍には、子宮内膜、子宮頸、卵巣、膣および外陰部の癌、並びに、子宮の肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
消化器の腫瘍には、肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸および唾液腺の癌が含まれるが、これらに限定されない。
泌尿器の腫瘍には、膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、尿管、尿道、並びに、遺伝性および孤発性乳頭状腎癌が含まれるが、これらに限定されない。
眼の癌には、眼球内黒色腫および網膜芽細胞腫が含まれるが、これらに限定されない。
肝臓癌の例には、肝細胞癌(線維層状の変化(fibrolamellar variant)が有る、または無い、肝細胞癌腫)、胆管癌(肝臓内の胆管の癌腫)および混合型の肝細胞性胆管癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
皮膚癌には、扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌および非黒色腫皮膚癌が含まれるが、これらに限定されない。
頭頸部の癌には、喉頭、下咽頭、鼻咽頭、口咽頭の癌、口唇および口腔の癌および扁平上皮癌が含まれるが、これらに限定されない。
リンパ腫には、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキン病および中枢神経系のリンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。
肉腫には、軟部組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
白血病には、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病および有毛細胞白血病が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の化合物および方法で処置され得る線維性増殖障害、即ち、細胞外マトリックスの異常形成には、肺線維症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、肝硬変およびメサンギウム細胞増殖性障害が含まれ、糸球体腎炎、糖尿病性ネフロパシー、悪性腎硬化症、血栓性微小血管疾患症候群、移植拒絶および糸球体症などの腎疾患が含まれる。
【0048】
本発明の化合物の投与により処置され得るヒトまたは他の哺乳動物における他の症状には、腫瘍増大、網膜症(糖尿病性網膜症、虚血性網膜静脈閉塞、未熟児網膜症および加齢性黄斑変性を含む)、関節リウマチ、乾癬、および、表皮下水疱形成を伴う水疱性疾患(類天疱瘡、多形性紅斑および疱疹状皮膚炎を含む)が含まれる。
【0049】
本発明の化合物はまた、気道および肺の疾患、消化管の疾患並びに膀胱および胆管の疾患の予防および処置に使用され得る。
【0050】
上記の障害は、ヒトでは十分に特徴付けられているが、哺乳動物を含む他の動物においても類似の病因で存在し、本発明の医薬組成物を投与することにより処置され得る。
【0051】
式(I)の化合物は、単一の医薬物質として、または、1種またはそれ以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与され得、ここで、その組合せは許容し得ない有害作用を引き起こさない。この併用療法には、式(I)の化合物および1種またはそれ以上のさらなる治療剤を含む単一の医薬投与製剤の投与、並びに、式(I)の化合物およびさらなる治療剤の各々の個別医薬投与製剤での投与が含まれる。例えば、式(I)の化合物および治療剤は、錠剤またはカプセル剤などの単一の経口投与組成物で一体となって患者に投与され得るか、または、各物質は個別の投与製剤で投与され得る。
【0052】
個別投与製剤を使用する場合、式(I)の化合物および1種またはそれ以上のさらなる治療剤は、本質的に同じ時間に(例えば、同時に)、または、少しずつ時間をずらして(例えば、連続的に)投与され得る。
【0053】
特に、本発明の化合物は、他の抗腫瘍剤、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物由来の抗腫瘍剤、ホルモン療法剤、トポイソメラーゼ阻害剤、カンプトテシン誘導体、キナーゼ阻害剤、標的化された薬剤、抗体、インターフェロンおよび/または生物応答修飾剤、抗血管新生化合物および他の抗腫瘍剤との固定または分離した組み合わせとして使用され得る。これに関して、以下のものは、本発明の化合物と組み合わせて使用し得る第2の物質の例の非限定的なリストである:
【0054】
・アルキル化剤には、限定されるわけではないが、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、イフォスファミド、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド、アルトレタミン、アパジコン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、カルムスチン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、マフォスファミド、ベンダムスチンおよびミトラクトールがある;白金が配位したアルキル化化合物には、限定されるわけではないが、シスプラチン、カルボプラチン、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチンおよびサトラプラチンが含まれる;
【0055】
・代謝拮抗物質には、限定されるわけではないが、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル単独またはロイコボリンとの組み合わせ、テガフール、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、ゲムシタビン、フルダラビン、5−アザシチジン、カペシタビン、クラドリビン、クロファラビン、デシタビン、エフロルニチン、エチニルシチジン、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、メルファラン、ネララビン、ノラトレキセド、オクフォスファイト、ペメトレキセド(premetrexed)二ナトリウム、ペントスタチン、ペリトレキソール、ラルチトレキセド、トリアピン、トリメトレキサート、ビダラビン、ビンクリスチンおよびビノレルビンが含まれる;
【0056】
・ホルモン療法剤には、限定されるわけではないが、エキセメスタン、ルプロン(Lupron)、アナストロゾール、ドキセルカルシフェロール、ファドロゾール、ホルメスタン、11−ベータヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤、17−アルファヒドロキシラーゼ/17,20リアーゼ阻害剤、例えば酢酸アビラテロン、5−アルファレダクターゼ阻害剤、例えばフィナステリドおよびエプリステリド、抗エストロゲン類、例えばクエン酸タモキシフェンおよびフルベストラント、トレルスター(Trelstar)、トレミフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、レトロゾール、抗アンドロゲン類、例えばビカルタミド、フルタミド、ミフェプリストン、ニルタミド、カソデックス(Casodex)、および抗プロゲステロン類およびそれらの組み合わせが含まれる;
【0057】
・植物由来の抗腫瘍物質には、例えば有糸分裂阻害剤から選択されるもの、例えばエポチロン類、例えばサゴピロン、イキサベピロンおよびエポチロンB、ビンブラスチン、ビンフルニン、ドセタキセルおよびパクリタキセルが含まれる;
【0058】
・細胞傷害性トポイソメラーゼ阻害剤には、限定されるわけではないが、アクラルビシン、ドキソルビシン、アモナフィド、ベロテカン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、ジフロモテカン、イリノテカン、トポテカン、エドテカリン、エピムビシン、エトポシド、エキサテカン、ギマテカン、ルルトテカン、ミトキサントロン、ピラムビシン、ピキサントロン、ルビテカン、ソブゾキサン、タフルポシドおよびそれらの組み合わせが含まれる;
【0059】
・免疫学的作用物質には、インターフェロン、例えばインターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−1aおよびインターフェロンガンマ−n1、および、他の免疫促進剤、例えばL19−IL2および他のIL2誘導体、フィルグラスチム、レンチナン、シゾフィラン、セラシス(TheraCys)、ウベニメクス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、BAM−002、ダカルバジン、ダクリズマブ、デニロイキン、ゲムツズマブ、オゾガミシン、イブリツモマブ、イミキモド、レノグラスチム、レンチナン、黒色腫ワクチン(Corixa)、モルグラモスチム、サルグラモスチム、タソネルミン、テクロイキン、チマラシン、トシツモマブ、ビムリジン(Vimlizin)、エプラツズマブ、ミツモマブ、オレゴボマブ、ペムツモマブおよびプロベンジ(Provenge)が含まれる;
【0060】
・生物応答修飾剤は、生物の防御機構または生物学的応答、例えば、組織細胞の生存、増殖または分化を改変し、それらが抗腫瘍活性を有するように導く物質である;そのような物質には、例えばクレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニル、プロムン(ProMune)およびウベニメクスが含まれる;
【0061】
・抗血管新生化合物には、限定されるわけではないが、アシトレチン、アフリベルセプト、アンギオスタチン、アプリジン、アセンタール、アキシチニブ、ベバシズマブ、ブリバニブ・アラニナト、シレングチド、コンブレタスタチン、エンドスタチン、フェンレチニド、ハロフギノン、パゾパニブ、ラニビズマブ、レビマスタット、レセンチン、レゴラフェニブ(regorafenib)、レモバブ、レブリミド、ソラフェニブ、スクアラミン、スニチニブ、テラチニブ、サリドマイド、ウクライン、バタラニブおよびビタキシンが含まれる;
【0062】
・抗体には、限定されるわけではないが、トラスツズマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ、イピリムマブ、ルミリキシマブ、カツマキソマブ、アタシセプト、オレゴボマブおよびアレムツズマブが含まれる;
【0063】
・VEGF阻害剤、例えば、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、ベバシズマブ、スニチニブ、レセンチン、アキシチニブ、アフリベルセプト、テラチニブ、ブリバニブ・アラニネート、バタラニブ、パゾパニブおよびラニビズマブ;
・EGFR(HER1)阻害剤、例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、ベクチビクス、ゲフィチニブ、エルロチニブおよびザクチマ(Zactima);
・HER2阻害剤、例えば、ラパチニブ、トラスツズマブ(tratuzumab)およびペルツズマブ;
・mTOR阻害剤、例えば、テムシロリムス、シロリムス/ラパマイシンおよびエベロリムス;
【0064】
・cMet阻害剤;
・PI3KおよびAKT阻害剤;
・CDK阻害剤、例えばレスコビチンおよびフラボピリドール;
・紡錘体形成チェックポイント阻害剤および標的化された有糸分裂阻害剤、例えば、PLK阻害剤、オーロラ阻害剤(例えば、ヘスペラジン(Hesperadin))、チェックポイントキナーゼ阻害剤およびKSP阻害剤;
【0065】
・HDAC阻害剤、例えば、パノビノスタット、ボリノスタット、MS275、ベリノスタットおよびLBH589;
・HSP90およびHSP70阻害剤;
・プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブおよびカーフィルゾミブ;
・MEK阻害剤およびRaf阻害剤を含むセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、例えばソラフェニブ;
・ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばチピファルニブ;
【0066】
・チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ダサチニブ、ニロチニブ(nilotibib)、レゴラフェニブ、ボスチニブ、ソラフェニブ、ベバシズマブ、スニチニブ、セジラニブ、アキシチニブ、アフリベルセプト、テラチニブ、イマチニブメシレート、ブリバニブ・アラニネート、パゾパニブ、ラニビズマブ、バタラニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ベクチビックス、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、トラスツズマブ(tratuzumab)、ペルツズマブおよびc−Kit阻害剤;
【0067】
・ビタミンD受容体アゴニスト;
・Bcl−2タンパク質阻害剤、例えば、オバトクラクス、オブリメルセンナトリウムおよびゴシポール;
・分化抗原群20受容体アンタゴニスト、例えばリツキシマブ;
・リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、例えばゲムシタビン;
・腫瘍壊死アポトーシス誘導リガンド受容体1アゴニスト、例えばマパツムマブ;
【0068】
・5−ヒドロキシトリプタミン受容体拮抗物質、例えば、rEV598、キサリプロド、塩酸パロノセトロン、グラニセトロン、Zindol およびAB−1001;
・アルファ5−ベータ1インテグリン阻害剤を含むインテグリン阻害剤、例えば、E7820、JSM6425、ボロシキシマブおよびエンドスタチン;
【0069】
・アンドロゲン受容体拮抗物質、例えば、ナンドロロンデカノエート、フルオキシメステロン、アンドロイド(Android)、プロスト−エイド(Prost-aid)、アンドロムスチン、ビカルタミド、フルタミド、アポ−シプロテロン、アポ−フルタミド、酢酸クロルマジノン、アンドロクール(Androcur)、タビ(Tabi)、酢酸シプロテロンおよびニルタミド;
・アロマターゼ阻害剤、例えば、アナストロゾール、レトロゾール、テストラクトン、エキセメスタン、アミノグルテチミドおよびホルメスタン;
【0070】
・マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;
・他の抗癌剤、例えば、アリトレチノイン、アンプリゲン、アトラセンタン・ベキサロテン、ボルテゾミブ、ボセンタン、カルシトリオール、エキシスリンド、フォテムスチン、イバンドロン酸、ミルテフォシン、ミトキサントロン、I−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、タザロテン、ベルケード、硝酸ガリウム、カンフォスファミド、ダリナパルシンおよびトレチノイン。
【0071】
好ましい実施態様では、本発明の化合物は、化学療法(即ち、細胞傷害剤)、抗ホルモン剤、および/または、他のキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤)、mTOR阻害剤および血管新生阻害剤などの標的化療法と組み合わせて使用され得る。
【0072】
また、本発明の化合物は放射線療法および/または外科的介入と併せて、癌の処置において用いられ得る。
さらに、式(I)の化合物は、それ自体または組成物として、研究および診断で、または、分析基準の標準物質としてなど利用され得、これは当分野で周知である。
【0073】
医薬組成物および処置方法
別の態様では、本発明は、上記の式(I)の化合物を、医薬的に許容し得る担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0074】
さらに別の態様において、本発明は、医薬組成物の製造方法を提供する。その方法は、少なくとも1種の上記の式(I)の化合物を少なくとも1種の医薬的に許容し得る担体と組み合わせ、得られる組合せを適する投与形にすることを含む工程を含む。
【0075】
式(I)の活性化合物は、全身的および/または局所的に作用し得る。この目的で、それは、適する方法で、例えば経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、経皮で、結膜に、耳に、または、インプラントもしくはステントとして、適用され得る。
これらの投与経路のために、式(I)の活性化合物を適する投与形で投与し得る。
【0076】
有用な経口適用形には、活性成分を迅速に、かつ/または、改変された形態で放出する投与形、例えば、錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば腸溶性被覆によるもの)、カプセル剤、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、液剤およびエーロゾルが含まれる。
【0077】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内)、または、吸収を含めて(筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)実施され得る。有用な非経腸投与形には、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤および滅菌粉末剤の形態の注射および点滴製剤が含まれる。
【0078】
他の投与経路に適する形態には、例えば、吸入医薬形態(粉末吸入器、噴霧器を含む)、点鼻薬、液またはスプレー、舌、舌下または頬側に投与される錠剤またはカプセル剤、坐剤、耳および眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、ミルク、ペースト、散布用粉末剤(dusting powders)、インプラントまたはステントが含まれる。
【0079】
好ましい実施態様では、上記の式(I)の化合物を含む医薬組成物は、経口投与に適する形態で提供される。別の好ましい実施態様では、上記の式(I)の化合物を含む医薬組成物は、静脈内投与に適する形態で提供される。
【0080】
式(I)の活性成分は、それ自体公知の方法で、列挙した投与形に変換できる。これは、不活性で非毒性の医薬的に適する補助剤を使用して実施する。これらには、とりわけ、担体(例えば結晶セルロース)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、分散剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然生体高分子(例えばアルブミン)、安定剤(例えば酸化防止剤、例えばアスコルビン酸)、着色剤(例えば無機色素、例えば酸化鉄)または風味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0081】
別の実施態様では、本発明は、上記の式(I)の化合物の有効量を患者に投与することを含む、処置を必要としている患者における細胞増殖性障害の処置方法を提供する。ある実施態様では、細胞増殖性障害は癌である。
【0082】
さらに別の態様では、本発明は、細胞増殖性障害の処置または予防用の医薬組成物を製造するための、上記の式(I)の化合物の使用を提供する。ある実施態様では、細胞増殖性障害は癌である。
【0083】
本発明の化合物を医薬としてヒトおよび動物に投与するとき、それらは、それ自体で、または、医薬的に許容し得る担体と組み合わせて、例えば0.1ないし99.5%(より好ましくは、0.5ないし90%)の有効成分を含有する医薬組成物として、与えられ得る。
【0084】
選択された投与経路とは関係なく、適する水和形態で使用され得る本発明の化合物、および/または本発明の医薬組成物は、当業者に知られている常套の方法により、医薬的に許容し得る投与形に製剤化される。
【0085】
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の投薬レベルおよび投与時間経過を変えて、患者に毒性ではなく、特定の患者、組成物および投与様式について所望の治療応答を達成するのに有効な、有効成分の量を得ることが可能である。例示的な用量範囲は、1日当たり0.01ないし100mg/kgまたは1日当たり0.1ないし150mg/kgである。
【0086】
ある実施態様では、本発明の化合物は、常套の癌化学療法剤との併用療法で使用できる。白血病および他の腫瘍についての常套の治療計画は、放射線、薬物または両者の組み合わせを含む。
【0087】
本発明の化合物の治療的に有効な抗増殖量または予防的に有効な抗増殖量の決定は、当業者としての医師または獣医師(「担当医」)により、既知技術の使用および類似環境下で得られる結果の観察により、容易になされ得る。投薬量は、担当医の判断における患者の要求、処置されている症状の重症度および用いられている特定の化合物により異なり得る。治療的に有効な抗増殖量または用量、および、予防的に有効な抗増殖量または用量の決定において、数々の要因が担当医により考慮され、これには、関与する特定の細胞増殖性障害、特定の物質の薬物動態的特徴およびその投与様式および経路、所望の処置の時間経過、哺乳動物の種、その大きさ、年齢および全般的健康状態、関与する特定の疾患、関与の程度または疾患の重症度、個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与方式、投与される製剤のバイオアベイラビリティーの特徴、選択された投薬計画、同時処置の種類(即ち、他の同時投与される治療剤と本発明の化合物との相互作用)および他の関連する状況が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0088】
処置は、化合物の最適用量より少ない、少量から開始され得る。その後、環境下で最適な効果に達するまで、投薬量を少量ずつ漸増させ得る。便宜上、所望により総一日量を分割し、1日の間に分けて投与し得る。本発明の化合物の治療的に有効な抗増殖量および予防的に有効な抗増殖量は、1日に体重1kgにつき約0.01mg(mg/kg/日)ないし約100mg/kg/日の範囲で変動すると予測され得る。
【0089】
本発明の場合、本発明の化合物の好ましい用量は、患者が耐容し得、深刻な副作用を起こさない最大量である。実例として、本発明の化合物は、約0.01mg/体重kgないし約100mg/体重kg、約0.01mg/体重kgないし約10mg/体重kg、または、約0.1mg/体重kgないし約10mg/体重kgの用量で投与される。上記で列挙した値の間の範囲も本発明の一部であると企図する。
【0090】
断りのない限り、下記の試験および実施例における百分率は、重量に基づく;部は重量部である。液体/液体溶液について報告する溶媒比、希釈率および濃度は、各々体積に基づく。
【実施例】
【0091】
A. 実施例
略語および頭字語:
【表1】

【0092】
LC−MSおよびGC−MSの方法:
方法1(LC−MS):
装置:HPLC Waters Alliance 2795 を備えた Micromass ZQ;カラム:Phenomenex Synergi 2.5μ MAX-RP 100A Mercury, 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1L+50%ギ酸0.5mL、溶離剤B:アセトニトリル1L+50%ギ酸0.5mL;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2mL/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0093】
方法2(LC−MS):
装置:HPLC Waters UPLC Acquity を備えた Micromass Quattro Premier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ, 50 mm x 1 mm;溶離剤A:水1L+50%ギ酸0.5mL、溶離剤B:アセトニトリル1L+50%ギ酸0.5mL;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→1.5分10%A→2.2分10%A;オーブン:50℃;流速:0.33mL/分;UV検出:210nm。
【0094】
方法3(LC−MS):
装置:HPLC Agilent 1100 Series を備えた Micromass Quattro Micro;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ, 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1L+50%ギ酸0.5mL、溶離剤B:アセトニトリル1L+50%ギ酸0.5mL;グラジエント:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.01分100%A(流速2.5mL/分)→5.00分100%A;オーブン:50℃;流速:2mL/分;UV検出:210nm。
【0095】
方法4(LC−MS):
装置:Waters Acquity SQD UPLC System;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ, 50 mm x 1 mm;溶離剤A:水1L+99%ギ酸0.25mL、溶離剤B:アセトニトリル1L+0.25mL99%ギ酸;グラジエント:0.0分90%A→1.2分5%A→2.0分5%A;オーブン:50℃;流速:0.40mL/分;UV検出:210−400nm。
【0096】
方法5(GC−MS):
装置:Micromass GCT, GC 6890;カラム:Restek RTX-35, 15 m x 200 μm x 0.33 μm;ヘリウムの一定流速:0.88mL/分;オーブン:70℃;入口:250℃;グラジエント:70℃、30℃/分→310℃(3分間維持)。
【0097】
出発物質および中間体:
実施例1A
3−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド
【化9】

テトラヒドロフラン(600ml)を、アルゴン雰囲気下で−78℃に冷却した。この温度で、n−ペンタン中の1.7M tert−ブチルリチウム溶液(200ml)を滴下して添加した。−78℃で15分後、THF(300ml)中の5−ブロモ−3−メチル−1H−インダゾール22.4g(106.1mmol)の溶液を、溶液の温度が−70℃を超えない速度で滴下して添加した。混合物を30分間撹拌し、その後、N,N−ジメチルホルムアミド(24.5ml)を滴下して添加した。20分後、冷却浴を除去し、撹拌を1時間継続し、水(250ml)を注意深く添加した。混合物を酢酸エチル(500ml)で数回抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗製の3−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド18.5gを得、これをさらに精製せずに次の段階で使用した。
1H-NMR (DMSO-d6): δ = 13.13 (br. s, 1H), 10.01 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 7.58 (d, 1H), 2.56 (s, 3H) ppm.
【0098】
実施例2A
(2E)−2−[(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)メチリデン]−3−オキソブタンニトリル
【化10】

4Åモレキュラー・シーブを含む乾燥ジクロロメタン(250ml)中の3−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(実施例1A)5.0g(31.2mmol)、ナトリウム(1Z)−1−シアノプロプ−1−エン−2−オラート3.61g(34.3mmol)、酢酸2.23ml(39mmol)およびピペリジン0.31ml(3.12mmol)の混合物を、還流下で12時間撹拌した。冷却すると、沈殿が形成され、それを濾過により回収し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄した。固体をエタノールに溶解し、モレキュラー・シーブを濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチルおよび飽和炭酸ナトリウム水溶液で処理した。有機層を水で洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮し、表題化合物(3.5g、理論値の50%)を、淡黄色固体として得、これをさらに精製せずに次の段階で使用した。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.32 分; MS (ESIpos): m/z = 226 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.18 (br. s, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.19 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 2.55 (br. m, 6H) ppm.
【0099】
実施例3A
6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド
【化11】

THF(525ml)中の5−ブロモ−6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール[WO2005/085227−A1、実施例104c)に記載の製造;購入することもできる。CASReg.−No.864773−66−0]の30g(131mmol)の溶液を、−45℃に冷却した。THF(3M;50.2ml、151mmol)中のメチルマグネシウムクロリドの溶液を−45℃で滴下して添加し、得られた溶液を40分間この温度で撹拌した。投入ポンプ(dosing pump)を使用して、温度が−40℃を超えないように2−ブチルリチウム溶液(1.4M、シクロヘキサン中)253ml(354mmol)を添加した。得られた混合物を30分間−40℃で撹拌し、次いで、温度を−40℃に維持しながら、N,N−ジメチルホルムアミド30.2ml(393mmol)を滴下して添加した。得られた混合物を30分間−40℃で撹拌し、次いで室温に温まらせ、5℃に冷却(氷水浴)した2N塩酸2.8Lにゆっくりと注いだ。混合物を酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:ペンタン/酢酸エチル6:4v/v)により精製し、表題化合物19.6g(理論値の78%)を淡黄色固体として得た。
MS (ESIpos): m/z = 179 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.14 (s, 1H), 10.17 (s, 1H), 8.33 (d, 1H), 7.37 (d, 1H), 2.54 (s, 3H) ppm.
【0100】
実施例4A
(2E)−2−[(6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)メチリデン]−3−オキソブタンニトリル
【化12】

実施例2Aについて記載した手順に従い表題化合物を製造し、6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(実施例3A)2.74g(15.5mmol)およびナトリウム(1Z)−1−シアノプロプ−1−エン−2−オラート2.6g(24.8mmol)を使用して、粗生成物1.6g(理論値の42%)を得、これをさらに精製せずに次の段階で使用した。
LC-MS (方法 4): Rt = 0.83 分; MS (ESIpos): m/z = 244 (M+H)+.
【0101】
実施例5A
1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1−プロパノール
【化13】

ジエチルエーテル(100ml)中の5−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒド15g(73.9mmol)の溶液を、0℃で、エチルマグネシウムブロミド溶液(3M、ジエチルエーテル中)27.1ml(81.3mmol)にゆっくりと添加した。0℃で3時間撹拌した後、水(20ml)を注意深く添加し、その際、白色沈殿が形成された。固体を濾過し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。合わせた濾液を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。かくして得られた粗製の表題化合物(16.1g、理論値の93%)を、さらに精製せずに次の段階で使用した。
GC-MS (方法 5): Rt = 4.54 分; MS (EIpos): m/z = 232 (M)+.
【0102】
実施例6A
1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1−プロパノン
【化14】

ジクロロメタン(100ml)中の1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1−プロパノール(実施例5A)10g(42.9mmol)、中性酸化アルミニウム8.75g(85.8mmol)およびピリジニウムクロロクロメート18.5g(85.8mmol)の混合物を、室温で4時間撹拌した。次いで、混合物をシリカゲル(0.06−0.2mm、200g)で濾過し、それを徹底的にジクロロメタン(1000ml)で洗浄した。合わせた濾液を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。かくして得られた粗製の表題化合物(8.6g、理論値の87%)を、さらに精製せずに次の段階で使用した。
GC-MS (方法 5): Rt = 4.30 分; MS (EIpos): m/z = 230 (M)+.
【0103】
実施例7A
5−ブロモ−3−エチル−1H−インダゾール
【化15】

1−メチル−2−ピロリジノン(NMP;100ml)中の1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1−プロパノン(実施例6A)7.50g(32.5mmol)の溶液を、ヒドラジン水和物3.25g(3.16ml、64.9mmol)で処理し、還流温度で16時間撹拌した。冷却の際に、混合物を氷と水の混合物に注いだ。沈殿を濾過により回収し、水で徹底的に洗浄し、表題化合物4.56g(理論値の62%)をベージュ色の固体として得た。
LC-MS (方法 4): Rt = 1.00 分; MS (ESIpos): m/z = 225 (M+H)+.
【0104】
実施例8A
3−エチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド
【化16】

THF(300ml)中の5−ブロモ−3−エチル−1H−インダゾール(実施例7A)6.90g(30.7mmol)の溶液を、−78℃に冷却した。この温度で、tert−ブチルリチウム溶液(1.7M、n−ペンタン中)63.1ml(107mmol)をゆっくりと添加した。混合物を−78℃で30分間撹拌し、その後、N,N−ジメチルホルムアミド(80.0ml)をゆっくりと添加した。冷却浴を除去し、室温に達するまで撹拌を継続した。次いで、水(250ml)を注意深く添加した。混合物を酢酸エチル(500ml)で数回抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗製の表題化合物4.5g(理論値の84%)を得、これをさらに精製せずに次の段階で使用した。
LC-MS (方法 4): Rt = 0.73 分; MS (ESIpos): m/z = 175 (M+H)+.
【0105】
実施例9A
(2E)−2−[(3−エチル−1H−インダゾール−5−イル)メチリデン]−3−オキソブタンニトリル
【化17】

4Åモレキュラー・シーブを含む乾燥ジクロロメタン(25ml)中の3−エチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(実施例8A)0.50g(2.87mmol)、ナトリウム(1Z)−1−シアノプロプ−1−エン−2−オラート0.33g(3.16mmol)、酢酸0.21ml(3.6mmol)およびピペリジン0.028ml(0.29mmol)の混合物を、還流下で16時間撹拌した。冷却の際に、沈殿が形成され、それを濾過により回収し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄した。固体をエタノールに溶解し、モレキュラー・シーブを濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチルおよび飽和炭酸ナトリウム水溶液で処理した。有機層を水で洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮し、表題化合物(0.60g、理論値の88%)を淡黄色固体として得、これをさらに精製せずに後続の段階で使用した。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.50 分; MS (ESIpos): m/z = 240 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.17 (br. s, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 8.17 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 2.97 (q, 2H), 2.55 (br. m, 3H), 1.36 (t, 3H) ppm.
【0106】
実施例10A
(2E)−2−(1H−インダゾール−5−イルメチリデン)−3−オキソブタンニトリル
【化18】

乾燥ジクロロメタン(500ml)中の1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド[製造はUS2005/0227968−A1(中間体1)に記載]10g(68.4mmol)、7.91g(75.2mmol)ナトリウム(1Z)−1−シアノプロプ−1−エン−2−オラート、酢酸4.89ml(85.5mmol)およびピペリジン0.68ml(6.84mmol)を、逆水分離装置(inverse water separator)を使用して、還流温度で7時間撹拌した。冷却すると沈殿が形成され、それを濾過により回収し、ジクロロメタンで洗浄した。固体を真空で乾燥させ、粗製の表題化合物(19g、LC−MSにより純度75%、理論値の96%)を得、これをさらに精製せずに後続の段階で使用した。
LC-MS (方法 2): Rt = 0.82 分; MS (ESIpos): m/z = 212 (M+H)+.
【0107】
実施例11A
6−メチル−3−オキソヘプタンニトリル
【化19】

テトラヒドロフラン(35ml)を不活性ガス雰囲気下で−70℃に冷却した。この温度で、n−ブチルリチウム溶液(2.5M、ヘキサン中)4.44ml(11.1mmol)、および、次いで、アセトニトリル0.51ml(9.71mmol)を滴下して添加した。−70℃で3分間の後、溶液の温度が−66℃を超えない速度でエチル4−メチルペンタノエート1.15ml(6.93mmol)を滴下して添加した。混合物を2時間−45℃で撹拌し、その後、1N塩酸22.2mlを滴下して添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をジエチルエーテルと混合した。シリカゲルで濾過した後、濾液を減圧下で蒸発させ、粗製の表題化合物1.05gを得、それをさらに精製せずに次の段階で使用した。
GC-MS (方法 5): Rt = 3.23 分; MS (EIpos): m/z = 138 (M-H)+
1H-NMR (DMSO-d6): δ = 4.03 (s, 2H), 2.51 (t, 2H), 1.50 (sext, 1H), 1.38 (q, 2H), 1.35 (d, 6H) ppm.
【0108】
以下の化合物は、対応するエステルおよびアセトニトリルから、実施例11Aに記載の手順と同様に製造した:
【表2】

【0109】
製造実施例:
実施例1
2−(3−メチルブチル)−4−(3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−6−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化20】

1−ペンタノール(1.6ml)中の3−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(実施例1A)250mg(1.56mmol)、3−アミノ−4,4,4−トリフルオロブト−2−エンニトリル[製造: A.W. Lutz, US Patent 3,635,977; C.G. Krespan, J. Org. Chem. 34, 42 (1969)]850mg(6.24mmol)、6−メチル−3−オキソヘプタンニトリル(実施例11A)346mg(2.19mmol)および粉末状4Åモレキュラー・シーブ75mgの懸濁液を105℃に終夜加熱した。冷却後、反応混合物をアセトニトリルで希釈し、濾過し、濾液を分取RP−HPLC(アセトニトリル/水+0.1%TFAグラジエント)により直接精製し、ラセミの表題化合物161mg(理論値の26%)を得た。
LC-MS (方法 4): Rt = 1.06 分; MS (ESIpos): m/z = 400 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.78 (br. s, 1H), 10.72 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 4.78 (s, 1H), 2.52-2.39 (m, 5H), 1.65-1.40 (m, 3H), 0.90 (dd, 6H) ppm.
【0110】
以下の化合物は、実施例1Aから、実施例1について記載した手順と同様に製造した;精製は、分取RP−HPLCにより、アセトニトリル/水+0.05%TFAグラジエントを使用して実施した。
【表3】

【0111】
【表4】

【0112】
【表5】

【0113】
実施例7
4−(6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−2−(トリフルオロメチル)−6−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化21】

1−ペンタノール(0.85ml)中の6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(実施例3A)151mg(0.85mmol)、3−アミノ−4,4,4−トリフルオロブト−2−エンニトリル[製造: A.W. Lutz, US Patent 3,635,977; C.G. Krespan, J. Org. Chem. 34, 42 (1969)]346mg(2.54mmol)、6,6,6−トリフルオロ−3−オキソヘキサンニトリル(実施例12A)200mg(0.85mmol、純度約70%)および粉末状4Åモレキュラー・シーブ41mgを105℃に終夜加熱した。冷却後、反応混合物をTHFで希釈し、濾過し、濾液を分取RP−HPLC(アセトニトリル/水+0.1%TFAグラジエント)により直接精製し、ラセミの表題化合物99mg(理論値の25%)を得た。
LC-MS (方法 4): Rt = 1.00 分; MS (ESIpos): m/z = 444 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.82 (br. s, 1H), 10.47 (s, 1H), 7.72 (d, 1H), 7.35 (d, 1H), 5.04 (s, 1H), 2.75-2.55 (m, 4H), 2.49 (s, 3H) ppm.
【0114】
実施例8および実施例9
4−(6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−2−(トリフルオロメチル)−6−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボニトリル(エナンチオマー1および2)
【化22】

実施例7(70mg)由来のラセミの化合物を、キラル相のHPLCクロマトグラフィー[カラム:セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−tert−ブチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相(EP0379917、EP0780408参照)、10μm、400mmx30mm;溶離剤:イソヘキサン/酢酸エチル20:80→0:100v/vグラジエント;流速:50ml/分;温度:24℃;UV検出:265nm]によりエナンチオマーに分離した:
【0115】
実施例8(エナンチオマー1):
収量:37mg(99%ee)
=2.13分[カラム:セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−tert−ブチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相、10μm、250mmx4.6mm;溶離剤:イソヘキサン/酢酸エチル1:1v/v;流速:2ml/分;UV検出:265nm]。
この物質を分取RP−HPLC(メタノール/水+0.1%TFAグラジエント)によりさらに精製し、表題エナンチオマー11mgを得た。
【0116】
実施例9(エナンチオマー2):
収量:25mg(>98%ee)
=2.92分[カラム:セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−tert−ブチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相、10μm、250mmx4.6mm;溶離剤:イソヘキサン/酢酸エチル1:1v/v;流速:2ml/分;UV検出:265nm]。
この物質を分取RP−HPLC(メタノール/水+0.1%TFAグラジエント)によりさらに精製し、表題エナンチオマー17mgを得た。
【0117】
実施例10
2−(ジフルオロメチル)−4−(6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−6−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化23】

1−ペンタノール(1.3ml)中の6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−カルボアルデヒド(実施例3A)227mg(1.27mmol)、3−アミノ−4,4−ジフルオロブト−2−エンニトリル[アセトニトリルと2,2−ジフルオロアセトニトリルのソープ反応により入手可能、Org. React. 15, 1 (1967), ibid. 31, 1 (1984)参照]150mg(1.27mmol)、6,6,6−トリフルオロ−3−オキソヘキサンニトリル(実施例12A)300mg(1.27mmol、純度約70%)および粉末状4Åモレキュラー・シーブ61mgの混合物を、105℃に終夜加熱した。冷却後、反応混合物をTHFで希釈し、濾過し、濾液を分取RP−HPLC(アセトニトリル/水+0.1%TFAグラジエント)により直接精製し、ラセミの表題化合物248mg(理論値の43%)を得た。
LC-MS (方法 2): Rt = 1.07 分; MS (ESIpos): m/z = 426 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.82 (br. s, 1H), 10.20 (s, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.31 (d, 1H), 6.82 (t, 1H), 4.96 (s, 1H), 2.72-2.55 (m, 4H), 2.49 (s, 3H) ppm.
【0118】
実施例11および実施例12
2−(ジフルオロメチル)−4−(6−フルオロ−3−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−6−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボニトリル(エナンチオマー1および2)
【化24】

実施例10(225mg)のラセミの化合物を、キラル相のHPLCクロマトグラフィー[カラム:セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−tert−ブチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相(EP0379917、EP0780408参照)、10μm、680mmx40mm;溶離剤:イソヘキサン/酢酸エチル20:80v/v;流速:80ml/分;温度:24℃;UV検出:265nm]によりエナンチオマーに分離した:
【0119】
実施例11(エナンチオマー1):
収量:40mg(>97%ee)
=2.10分[カラム:セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−tert−ブチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相、10μm、250mmx4.6mm;溶離剤:酢酸エチル;流速:2ml/分;UV検出:265nm]。
【0120】
実施例12(エナンチオマー2):
収量:45mg(>97%ee)
=2.47分[カラム:セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−tert−ブチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相、10μm、250mmx4.6mm;溶離剤:酢酸エチル;流速:2ml/分;UV検出:265nm]。
【0121】
以下の化合物は、実施例1Aから、実施例10について記載した手順と同様に製造した;精製は、分取RP−HPLCにより、アセトニトリル/水+0.1%TFAグラジエントを使用して実施した。
【表6】

【0122】
1)分取RP−HPLC[カラム:Sunfire C18 OBD, 5 μm, 19 mm x 150 mm;溶離剤:水/メタノール80:20→0:100v/vグラジエント;流速:25ml/分;温度:40℃;UV検出:254nm]によるさらなる精製後。
2)まず分取RP−HPLC[カラム:Sunfire C18 OBD, 5 μm, 19 mm x 150 mm;溶離剤:水/メタノール80:20→0:100v/vグラジエント;流速:25ml/分;温度:40℃;UV検出:254nm]による、続いてシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:トルエン/ジクロロメタン/メタノール10:10:1v/v/v)による、さらなる精製後。
【0123】
以下の化合物は、実施例1Aから、実施例7について記載した手順と同様に製造した;精製は、分取RP−HPLCにより、メタノール/水+0.05%TFAグラジエントを使用して実施した。
【表7】

【0124】
3)分取RP−HPLC[カラム:Sunfire C18, 5 μm, 19 mm x 150 mm;溶離剤:水/アセトニトリル60:40v/v;流速:25ml/分;温度:40℃;UV検出:210nm]によるさらなる精製後。
【0125】
B. 生物活性の評価
本発明の化合物の活性の立証は、当分野で周知のインビトロ、エクスビボおよびインビボのアッセイを通して達成され得る。例えば、本発明の化合物の活性を立証するために、以下のアッセイを使用し得る。
【0126】
c−Met受容体チロシンキナーゼ活性のアッセイ(NADH読み取り):
組換えヒトc−Metタンパク質(Invitrogen, Carlsbad, California, USA)を使用する。キナーゼ反応の基質として、ペプチドKKKSPGEYVNIEFG(JPT, Germany)を使用する。アッセイのために、51倍に濃縮したDMSO中の試験化合物の溶液1μLを、白色384ウェルマイクロタイタープレートにピペットで加える (Greiner Bio-One, Frickenhausen, Germany)。アッセイバッファー[3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、50mM、pH7;MgCl、10mM;ウシ血清アルブミン(BSA)、0.01%;Triton X 100、0.01%;DTT、2mM]中のc−Met(最終濃度30nM)およびピルビン酸キナーゼ/乳酸デヒドロゲナーゼ(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany;最終濃度8mg/L)の溶液25μLを添加し、混合物を5分間室温でインキュベートする。次いで、アッセイバッファー中のアデノシン三リン酸(ATP、最終濃度30μM)、基質(最終濃度100μM)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH、最終濃度50μM)およびジチオスレイトール(DTT、最終濃度2mM)の溶液25μLの添加によりキナーゼ反応を開始させ、得られる混合物を、100分間の反応時間にわたり、32℃でインキュベートする。
【0127】
続いて、リン酸化された基質の量を、NADH蛍光の減少の測定により評価する。従って、340nmでの励起後の465nmでの蛍光の放出を蛍光リーダー、例えば、Tecan Ultra (Tecan, Maennedorf, Switzerland)で測定する。データを標準化する(阻害剤なしの酵素反応=0%阻害;全ての他のアッセイ成分であるが、酵素はない=100%阻害)。通常、試験化合物を同じマイクロタイタープレートで、10μMないし1nMの範囲の9つの異なる濃度(10μM、3.1μM、1.0μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、0.001μM;アッセイ前に、51倍濃縮した原液のレベルで、連続1:3希釈により調製した連続希釈物)で、各濃度につきデュプリケート(duplicate)で試験し、自社のソフトウェアを使用して、IC50値を算出する。
【0128】
いくつかの代表的IC50値を、先行技術の構造的に関連する非フッ化化合物(WO2008/071451参照)についての対応するデータと共に、下記の表1に挙げる:
表1
【表8】

【0129】
c−Met受容体チロシンキナーゼの均一時間分解蛍光法(代替的フォーマット):
ヒトc−MetのN末端にHis6−タグを有する組換えキナーゼドメイン(アミノ酸960−1390)を、昆虫細胞(SF21)で発現させ、Ni−NTA親和性クロマトグラフィーにより精製し、連続的サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200)を使用する。あるいは、購入できるc−Met(Millipore)を使用できる。キナーゼ反応の基質として、ビオチン化ポリ−Glu,Tyr(4:1)コポリマー(# 61GT0BLC, Cis Biointernational, Marcoule, France) を使用する。
【0130】
アッセイのために、DMSO中の試験化合物の100倍濃縮溶液50nLを、黒色低容積384ウェルマイクロタイタープレート(Greiner Bio-One, Frickenhausen, Germany)にピペットで加える。アッセイバッファー[25mM Hepes/NaOH、pH7.5;5mM MgCl;5mM MnCl;2mMジチオスレイトール;0.1%(v/v)Tween 20 (Sigma);0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン]中のc−Metの溶液2μLを添加し、混合物を15分間22℃でインキュベートし、キナーゼ反応の開始前に試験化合物を酵素に予め結合させる。次いで、アッセイバッファー中のアデノシン三リン酸(ATP、16.7μM;アッセイ体積5μL中の最終濃度は10μMである)および基質(2.27μg/mL、アッセイ体積5μL中の最終濃度は、1.36μg/mL〜30nMである)の溶液3μLの添加により、キナーゼ反応を開始させ、得られる混合物を、30分間の反応時間にわたり、22℃でインキュベートする。アッセイ中のc−Metの濃度を酵素ロットの活性に応じて調節し、アッセイが線形の範囲にあるように適当に選択する;典型的な酵素濃度は、約0.03nM(アッセイ体積5μL中の最終濃度)の範囲にある。水性EDTA溶液[100mM EDTA、0.2%(w/v)ウシ血清アルブミン、50mM HEPES/NaOH中、pH7.5]中のHTRF検出試薬[40nMストレプトアビジン−XLentおよび2.4nM PT66−Eu−キレート(ユーロピウムキレートで標識された抗ホスホチロシン抗体(Perkin-Elmer)]の溶液5μLの添加により、反応を停止させる。
【0131】
得られる混合物を、1時間22℃でインキュベートし、ビオチン化されたリン酸化ペプチドのストレプトアビジン−XLentおよびPT66−Eu−キレートへの結合を可能にする。続いて、リン酸化基質の量を、PT66−Eu−キレートからストレプトアビジン−XLentへの共鳴エネルギー移動の測定により評価する。従って、350nmでの励起後の620nmおよび665nmでの蛍光の放出を、HTRFリーダー、例えば、Rubystar(BMG Labtechnologies, Offenburg, Germany)または Viewlux(Perkin-Elmer)で測定する。665nmおよび622nmでの発光の比を、リン酸化基質の量の尺度として取る。データを標準化する(阻害剤なしの酵素反応=0%阻害;全ての他のアッセイ成分であるが、酵素はない=100%阻害)。通常、試験化合物を同じマイクロタイタープレートで、20μMないし1nMの範囲の10個の異なる濃度(20μM、6.7μM、2.2μM、0.74μM、0.25μM、82nM、27nM、9.2nM、3.1nMおよび1nM;アッセイ前に、100倍濃縮した原液のレベルで、連続1:3希釈により調製した連続希釈物)で、各濃度につきデュプリケートで試験し、自社のソフトウェアを使用して、4パラメーターフィットによりIC50値を算出する。
【0132】
いくつかの代表的IC50値を、先行技術の構造的に関連する非フッ化化合物(WO2008/071451参照)についての対応するデータと共に、下記の表2に挙げる:
表2
【表9】

【0133】
ホスホ−c−Metアッセイ:
これは、MKN−45腫瘍細胞(胃癌、ATCCから購入)を増殖因子で刺激せずに使用する、細胞をベースとするELISA様アッセイ[Meso Scale Discovery (MSD), Gaithersburg, MD, USA]である。1日目に、細胞を96ウェルプレート中の完全増殖培地に播く(10000細胞/ウェル)。2日目に、無血清培地中での2時間の薬物処理の後、細胞を洗浄し、次いで溶解させ(60μl/ウェル、MSD推奨の溶解バッファーを使用する)、−80℃で凍結させる。また、2日目に、MSDホスホ−Metプレートの非特異的抗体結合部位を MSD Blocking Solution A で、終夜4℃でブロックする。3日目に、凍結した溶解物を氷上で融かし、溶解物25μlをMSDホスホ−Metプレートに移し、1時間振盪し、その後Tris−緩衝塩水+0.05% Tween 20(TBST)で1回洗浄する。非結合タンパク質を除去した後、MSDの Sulfa-TAG 抗Met抗体を、抗体希釈バッファー(MSDのプロトコールに従う)中の最終濃度5nMでプレートに添加し、1時間振盪する。次いで、プレートをTBSTバッファーで3回洗浄し、その後 1x MSD Read Buffer を加える。次いで、プレートを MSD Discovery Workstation 装置で読む。参照化合物10μMのウェル(最小のシグナル)および薬物処理を行わないDMSOのウェル(最大のシグナル)を含む未加工のデータを、IC50値の決定のために Analyze 5 プログラムに入力する。
【0134】
細胞のホスホ−c−Metアッセイ:
384−ウェルのマイクロタイタープレートに播いたヒト胃腺腫細胞(MKN45、ATCCから購入)(9000細胞/ウェル)を、完全増殖培地25μl中、24時間、37℃で、5%COでインキュベートする。2日目に、0.1%FCSを含有する低血清培地中、2時間の薬物処理の後、細胞を洗浄し、溶解させる。溶解物を、予め結合したc−Met捕捉抗体[Mesoscale Discovery (MSD), Gaithersburg, MD, USAから購入]を有するBSAでブロックしたプレートに移し、1時間震盪し、その後Tris緩衝塩水+0.05% Tween 20(TBST)で1回洗浄する。MSDのプロトコールに従い、Sulfa-TAG抗ホスホ-c-Met検出抗体を抗体希釈バッファー中の最終濃度5nMでプレートに添加し、1時間室温で振盪する。ウェルをTrisバッファーで洗浄した後、1xリーディングバッファーを添加し、プレートを Sector Imager 6000 (Mesoscale から購入) で測定する。Marquardt-Levenberg-Fit を使用して、用量応答曲線からIC50値を算出する。
【0135】
インビトロの腫瘍細胞増殖アッセイ:
本発明の化合物を試験するのに使用する接着性の腫瘍細胞増殖アッセイは、Promega により開発された Cell Titre-Glo と呼ばれる読み取りを含む [B.A. Cunningham, "A Growing Issue: Cell Proliferation Assays. Modern kits ease quantification of cell growth", The Scientist 2001, 15 (13), 26; S.P. Crouch et al., "The use of ATP bioluminescence as a measure of cell proliferation and cytotoxicity", Journal of Immunological Methods 1993, 160, 81-88]。発光シグナルの生成は、存在するATPの量に対応し、それは、代謝的に活性な(増殖している)細胞の数に直接比例する。
【0136】
H460細胞(肺癌、ATCCから購入)を、96ウェルプレートに、3000細胞/ウェルで、10%ウシ胎仔血清を含む完全培地中に播き、24時間37℃でインキュベートする。播種の24時間後、試験化合物を連続希釈の10nMないし20μMの最終濃度範囲で、最終DMSO濃度0.2%で添加する。試験化合物の添加後、細胞を72時間37℃で、完全増殖培地中でインキュベートする。4日目に、Promega Cell Titre-Glo Luminescent(登録商標)アッセイキットを使用して、細胞を溶解させ、基質/バッファー混合物100μlを各ウェルに添加し、混合し、室温で8分間インキュベートする。サンプルをルミノメーターで読み、各ウェルの細胞溶解物中に存在するATPの量を測定し、それは、そのウェル中の生存可能な細胞の数に対応する。24時間のインキュベーションで読まれた値を、0日目として差し引く。IC50値の測定に、線形回帰分析を使用して、このアッセイフォーマットを使用する細胞増殖の50%阻害をもたらす薬物濃度を判定することができる。このプロトコールを、CAKI−1、MNK−45、GTL−16、HCC2998、K562、H441、K812、MEG01、SUP15およびHCT116を含むがこれらに限定されない様々な関心のある細胞株に適用できる。
【0137】
Caco−2透過性アッセイ:
Caco−2細胞単層を通過する試験化合物のインビトロ透過は、胃腸管からの透過性を予測するための十分に確立されたアッセイ系である [P. Artursson and J. Karlsson: Correlation between oral drug absorption in humans and apparent drug permeability coefficients in human intestinal epithelial (Caco-2) cells, Biochem. Biophys. 175 (3), 880-885 (1991)参照]。そのようなCaco−2細胞での本発明の化合物の透過性を、下記の通りに測定した:
【0138】
ヒトCaco−2細胞(ACC No. 169, DSMZ, German Collection of Microorganisms and Cell Cultures, Braunschweig, Germany)を、24ウェルの挿入プレートに播き、14−16日間増殖させる。透過性の研究のために、試験化合物をDMSOに溶解し、輸送バッファー[ハンクス緩衝塩溶液、Gibco/ Invitrogen、さらにグルコース(最終濃度19.9mM)およびHEPES(最終濃度9.8mM)を添加]で2μMの最終試験濃度に希釈する。頂端側から基底側への透過性(PappA−B)を測定するために、試験化合物溶液を細胞単層の頂端側に添加し、輸送バッファーを単層の基底側に添加する;基底側から頂端側への透過性(PappB−A)を測定するために、試験化合物溶液を細胞単層の基底側に添加し、輸送バッファーを単層の頂端側に添加する。実験開始時にサンプルをドナー区画から取り、質量平衡を確かめる。2時間37℃でインキュベートした後、サンプルを両方の区画から取る。サンプルをLC−MS/MSにより分析し、明確な透過率を算出する。ルシファーイエローの透過性を各細胞単層についてアッセイし、細胞単層の完全性を保証し、品質管理として各バッチのアテノロール(低透過性マーカー)およびスルファサラジン(能動的排出のマーカー)の透過性を測定する。
【0139】
このアッセイの代表的な結果を、先行技術の構造的に関連する非フッ化化合物(WO2008/071451参照)についての対応するデータと共に、下記の表3に挙げる:
表3
【表10】

【0140】
本発明を特定の実施態様を参照して開示したが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施態様および変形が他の当業者により考案され得ることは明白である。特許請求の範囲は、全てのそのような実施態様および等価の変形も包含すると解釈されることを企図している。
【0141】
C. 医薬組成物に関する実施例
本発明による医薬組成物は以下の通りに例示説明できる:
滅菌i.v.液剤:
本発明の所望の化合物の5mg/ml溶液を、注射可能滅菌水を使用して調製でき、必要であればpHを調節する。投与用に溶液を滅菌5%デキストロースで1〜2mg/mlに希釈し、約60分間にわたってi.v.注入液として投与する。
【0142】
i.v.投与用凍結乾燥粉末剤:
滅菌調製物を、(i)凍結乾燥粉末としての本発明の所望の化合物100〜1000mg、(ii)クエン酸ナトリウム32〜327mg/ml、および(iii)300〜3000mgのデキストラン40により製造できる。この製剤を滅菌注射可能食塩水または5%デキストロースにより10ないし20mg/mlの濃度に再構成し、さらにこれを食塩水または5%デキストロースで0.2ないし0.4mg/mlに希釈し、i.v.ボーラスとして、または15〜60分間にわたるi.v.注入により投与する。
【0143】
筋肉内懸濁剤:
次の液剤または懸濁剤を、筋肉内注射用に調製できる:
所望の水不溶性の本発明の化合物50mg/ml、カルボキシメチルセルロースナトリウム5mg/ml、4mg/mLのTWEEN80、9mg/mlの塩化ナトリウム、9mg/mlのベンジルアルコール。
【0144】
ハードシェルカプセル剤:
粉末状有効成分100mg、乳糖150mg、セルロース50mgおよびステアリン酸マグネシウム6mgでそれぞれ標準的な2ピースのハードゼラチンカプセルを充填することにより、多数の単位カプセル剤を製造する。
【0145】
ソフトゼラチンカプセル剤:
大豆油、綿実油またはオリーブ油などの食用油中の有効成分の混合物を調製し、溶解ゼラチンへ容積移送式ポンプによって注入し、有効成分100mgを含むソフトゼラチンカプセルを形成する。カプセルを洗浄し、乾燥させる。有効成分をポリエチレングリコール、グリセリンおよびソルビトールの混合物に溶解し、水混和性医薬ミックスを調製できる。
【0146】
錠剤:
単位用量が、有効成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、結晶セルロース275mg、澱粉11mgおよび乳糖98.8mgであるように、常套の方法により多数の錠剤を製造する。適切な水性および非水性被覆を適用し、嗜好性を高めるか、美しさ(elegance)と安定性を改善するか、または吸収を遅延させ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、水素またはフルオロであり、
は、5個までのフッ素原子により置換されていることもある(C−C)−アルキルであり、
は、水素またはフルオロであり、
は、水素または(C−C)−アルキルであり、
は、水素またはメチルである]
の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項2】
式中、
が、水素またはフルオロであり、
が、3個のフッ素原子により置換されていることもある(C−C)−アルキルであり、
が、水素またはフルオロであり、
が、水素、メチルまたはエチルであり、
が、水素である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項3】
式中、
が、水素またはフルオロであり、
が、メチル、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルまたは2−メチルプロピルであり、
が、水素またはフルオロであり、
が、水素またはメチルであり、
が、水素である、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化2】

(式中、RおよびRは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
のインダゾリルアルデヒドを、式(III)
【化3】

のケトニトリルまたはそのナトリウムエノラート(Rは請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)と、酸、酸/塩基の組合せおよび/または脱水剤の存在下で反応させ、式(IV)
【化4】

(式中、R、RおよびRは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得、次いで、後者を、式(V)
【化5】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
のエナミノニトリルと縮合し、式(I−A)
【化6】

(式中、R、R、RおよびRは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得、場合により、続いて、式(VI)
CH−X (VI)
(式中、Xは、ハロゲン、メシレート、トリフレート、トシレートまたはサルフェートなどの脱離基を表す)
の化合物を用いて、塩基の存在下でジヒドロピリジンN−メチル化を行い、式(I−B)
【化7】

(式中、R、R、RおよびRは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得、続いて、場合により、必要に応じて、(i)好ましくはクロマトグラフィーの方法を使用して、化合物(I−A)および(I−B)をそれらの各々のエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離する、および/または、(ii)対応する溶媒での処理により、化合物(I−A)および(I−B)をそれらの各々の水和物または溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項5】
疾患の処置または予防のための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
細胞増殖性障害の処置または予防用の医薬組成物を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項7】
細胞増殖性障害が癌である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容し得る水和物もしくは溶媒和物、および、医薬的に許容し得る補助剤を含む、医薬組成物。
【請求項9】
1種またはそれ以上のさらなる治療剤をさらに含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
さらなる治療剤が抗腫瘍剤である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
細胞増殖性障害の処置または予防のための、請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
哺乳動物の細胞増殖性障害の処置または予防方法であって、それを必要としている哺乳動物に、治療的に有効な量の1種またはそれ以上の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物、または、請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項13】
細胞増殖性障害が癌である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
癌が、乳房、呼吸器、脳、生殖器官、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺の癌、または、固形腫瘍の遠隔転移である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物、または、請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の医薬組成物が、外科手術または放射線療法と併せて投与される、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2013−506698(P2013−506698A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532549(P2012−532549)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064645
【国際公開番号】WO2011/042367
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】