説明

フッ素含有樹脂組成物及び硬化皮膜

【課題】表面滑り性及び撥水、撥油性に優れた皮膜を形成し得る新たなフッ素含有樹脂組成物、及びその硬化皮膜を提供する。
【解決手段】少なくとも片末端に重合性不飽和基を有しもう片末端に基材表面で配向性をを発現できるフッ素含有基を持つ特定のフッ素系ケイ素化合物、さらにフッ素系珪素化合物と重合可能な基を有する組成物からなる紫外線硬化型表面処理剤を形成し、その表面処理剤から撥水、撥油性に優れた硬化皮膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた表面滑り性を有するフッ素含有樹脂組成物及びその硬化皮膜、硬化皮膜を有する成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルやプラズマディスプレイ等の表示機器の基材、インストルメントパネル、プラスチックレンズ、光ディスクなどの基材として、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ジアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等、種々のプラスチック樹脂基材が用いられている。
【0003】
しかしながら、これらのプラスチック樹脂製品は表面硬度が低いため傷付きやすく、特にポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートのような透明な樹脂においては、その樹脂が持つ本来の透明性あるいは外観が著しく損なわれるという欠点があるため、防汚性に加えて、耐擦傷性や耐摩耗性が必要とされている。このため、優れた塗工性を有し、且つ各種基材の表面に、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、表面滑り性、密着性、透明性、耐薬品性及び塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る樹脂組成物が要求されている。
【0004】
このような要求を満たすため、種々の組成物が提案されている。
表面滑り性を付与する方法として、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、活性エネルギー線重合開始剤、無機粒子及び末端反応性ポリジメチルシロキサンからなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、活性エネルギー線硬化型の樹脂組成物として用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしこのような組成物を用いた硬化物は、表面滑り性に一定の改良が認められるものの、表面滑り性の経時変化が大きく、硬度及び耐擦傷性については必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0005】
また、(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサンを配合することにより表面滑り性を改善した硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)が、防汚性の観点からは満足のいくものではない。
【特許文献1】特開平11−124514号公報
【特許文献2】特開2005−36018号公報
【特許文献3】特開2006−348196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、表面滑り性に優れ、且つ撥水、撥油性にも優れた皮膜を形成し得る新たなフッ素含有樹脂組成物、及びその硬化皮膜、硬化皮膜を有する成形体を提供することを課題とする。
【0007】
また、本発明は、優れた塗工性を有し、かつ各種基材表面に、高硬度及び耐擦傷性を有し、透明性に優れ、表面滑り性及び撥水、撥油性並びにこれらの持続性にも優れた皮膜を形成し得る新たなフッ素含有樹脂組成物、及びその硬化皮膜、硬化皮膜を有する成形体を提供することをさらなる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の観点から鋭意研究した結果、表面滑り性及び撥水、撥油性に寄与するフッ素系ケイ素化合物を樹脂表面上で固定化させ、フッ素系ケイ素化合物のフッ素アルキル基を基材表面で配向させることで、フッ素を有しないケイ素化合物よりも優れた滑り性をもたらすことを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は以下に示されるフッ素含有樹脂組成物等に関する。
【0010】
[1] 下記式(I)で表されるフッ素系ケイ素化合物と、硬化性樹脂、及びこの樹脂を構成するモノマーから選ばれる少なくとも一種を含む樹脂材料とを含有することを特徴とするフッ素含有樹脂組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
式(I)において、Rfは、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素若しくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;又は前記フルオロアリールとアルキレンとからなる炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを表し、nは0〜1,000の整数を表し、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して、水素;炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル;炭素数が6〜30の置換若しくは非置換のアリール;又は前記アリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成される、炭素数が7〜30のアリールアルキル;を表し、A1は下記式(II)、(III)又は(IV)を表す。
【0013】
【化2】

【0014】
式(II)において、Y1が炭素数2〜10のアルキレンを表し、R7が水素、又は炭素数1〜5のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表す。また、式(III)において、R8は水素、又は炭素数1〜5のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、X1は炭素数が2〜20のアルキレンを表し、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、又は−OCH2CH(CH3)−を表し、pは0〜3の整数を表す。また、式(IV)において、Y2は単結合又は炭素数1〜10のアルキレンを表す。
【0015】
[2] Rfが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフル
オロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、又はα,α,α−トリフルオロメチルフェニルであり、R3及びR4は、それぞれ独立してメチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであり、R1、R2、R5、及びR6は、それぞれメチル又はフェニルであることを特徴とする[1]に記載のフッ素含有樹脂組成物。
【0016】
[3] Rfが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであることを特徴とする[2]に記載のフッ素含有樹脂組成物。
【0017】
[4] 式(II)において、Y1が炭素数2〜6のアルキレンであり、R7が水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、式(III)において、X1は−CH2CH2CH2−であり、Yは−OCH2CH2−であり、pは0又は1であり、R8が水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、式(IV)において、Y2が単結合、メチレン又はエチレンであることを特徴とする[3]に記載のフッ素含有樹脂組成物。
【0018】
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載のフッ素含有樹脂組成物を含有する表面処理剤。
【0019】
[6] [5]に記載の表面処理剤から得られる硬化皮膜。
【0020】
[7] [6]に記載の硬化皮膜を有する成形体。
【発明の効果】
【0021】
本発明のフッ素系ケイ素化合物を含むフッ素含有樹脂組成物は、表面滑り性及び撥水、撥油性に優れた表面処理剤、硬化皮膜、及び硬化皮膜を有するシートやフィルムといった成形体に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のフッ素含有樹脂組成物は、片末端に重合性不飽和基を有し、且つ、もう片方の末端に基材表面で配向性を発現することのできるフッ素含有基を持つフッ素系ケイ素化合物、さらにフッ素系ケイ素化合物と重合可能な基を有する樹脂材料を含有する。
【0023】
また、本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの総称であり、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称であり、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0024】
さらに、本発明において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の光エネルギー線が挙げられる。
【0025】
<フッ素系ケイ素化合物>
本発明のフッ素含有樹脂組成物に含有されるフッ素系ケイ素化合物は、下記式(I)で表される。
【0026】
【化3】

【0027】
前記式(I)において、Rfは、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素若しくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;又は前記フルオロアリールとアルキレンとからなる炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを表す。
【0028】
前記Rfは、その先端の炭素にフッ素を有することが好ましい。このようなRfとしては、例えばトリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、ノナフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロヘキシル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、及びα,α,α−トリフルオロメチルフェニルが挙げられる。
【0029】
fは、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、又はα,α,α−トリフルオロメチルフェニルであることが、本発明のフッ素含有樹脂組成物を含有する表面処理剤から得られる硬化皮膜における撥液性及び滑り性の観点から好ましく、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであることがより好ましい。
【0030】
前記式(I)において、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して、水素;炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル;炭素数が6〜30の置換若しくは非置換のアリール;又は前記アリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成される、炭素数が7〜30のアリールアルキル;を表す。
【0031】
炭素数が6〜30の非置換のアリールとしては、フェニル、ナフチルが挙げられる。炭素数が6〜30の置換のアリールとしては、ペンタフルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−ブロモフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−ペンチルフェニル、4−ヘプチルフェニル、4−オクチルフェニル、4−ノニルフェニル、4−デシルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、4−(1−メチルエチル)フェニル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニル、4−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、4−プロポキシフェニル、4−ブトキシフェニル、4−ペンチルオキシフェニル、4−ヘプチルオキシフェニル、4−デシルオキシフェニル、4−オクタデシルオキシフェニル、4−(1−メチルエトキシ)フェニル、4−(2−メチルプロポキシ)フェニル、4−(1,1−ジメチルエトキシ)フェニル、4−エテニルフェニル、4−(1−メチルエテニル)フェニル、4−(3−ブテニル)フェニル等が挙げられる。
【0032】
前記式(I)におけるR1、R2、R5、及びR6は、それぞれ炭素数が1〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキル;炭素数が6〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール、又は炭素数が7〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリールアルキルであることが好ましく、それぞれメチル又はフェニルであることがより好ましい。
【0033】
前記式(I)におけるR3及びR4は、それぞれ独立して、水素、フェニル、又は炭素数が1〜10で任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキルであることが好ましく、それぞれ独立して、メチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであることがより好ましい。
【0034】
さらに、前記式(I)におけるR1〜R6は、全てメチルであることが好ましい。
【0035】
前記式(I)において、A1は下記式(II)、(III)又は(IV)で表される基を表す。A1は、本発明のフッ素含有樹脂組成物から得られる硬化皮膜の表面の特性の安定性、特に表面滑り性の経時安定性に寄与していると考えられる。
【0036】
【化4】

【0037】
式(II)において、Y1は炭素数2〜10のアルキレンを表し、R7は水素、炭素数1〜5のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表す。また式(III)において、R8は水素、炭素数1〜5のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、X1は炭素数が2〜20のアルキレンを表し、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、又は−OCH2CH(CH3)−を表し、pは0〜3の整数を表す。さらに式(IV)において、Y
2は単結合、炭素数1〜10のアルキレンを表す。
【0038】
より具体的には、前記式(II)で表される基には、Y1が炭素数2〜6のアルキレンであり、R7が水素又は炭素数1〜3のアルキル、特にメチルである基が挙げられる。また式(III)で表される基には、X1は−CH2CH2CH2−であり、Yは−OCH2CH2−であり、pは0又は1であり、R8が水素又は炭素数1〜3のアルキルである基が挙げられる。さらに式(IV)で表される基には、Y2が単結合又はメチレン若しくはエチレンである基が挙げられる。より具体的には、R8のアルキルはメチルである。
【0039】
このようなA1には、例えばメタクリロキシプロピルが挙げられる。
【0040】
前記式(I)において、nは0〜1,000の整数を表す。nは、例えば本発明の表面処理剤で用いられてもよい溶剤への前記フッ素系ケイ素化合物の溶解性に応じて適宜決めることができる。このような観点によれば、nは、0〜500であることが好ましく、0〜200であることがより好ましい。
【0041】
前記フッ素系ケイ素化合物は、例えば特許第2655683号公報に開示されているように、含フッ素炭化水素基を有するシラノールとヘキサメチルシクロトリシロキサンとを重合させ、重合性不飽和基を有するクロロシランを反応させて重合を停止することによって得ることができる。前記フッ素系ケイ素化合物には、好ましくは下記式(I−1)及び(I−2)(いずれもnは0〜500を表し、R9は水素又はメチルを表す)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化5】

【0043】
【化6】

【0044】
本発明のフッ素含有樹脂組成物におけるフッ素系ケイ素化合物の含有量は、硬化皮膜としたときの表面の滑り性及び撥水、撥油性を発現させる観点から、フッ素含有樹脂組成物全体を100重量%として0.01重量%以上であることが好ましい。またフッ素系ケイ素化合物の含有量は、その使用による費用対効果の観点から、10重量%以下であることが好ましい。
【0045】
<樹脂材料>
本発明のフッ素含有樹脂組成物に含有される樹脂材料は、フッ素系ケイ素化合物の重合性官能基を固定化させるものであって、本発明のフッ素含有樹脂組成物から得られる硬化皮膜を構成する物質である。前記樹脂材料は、前記皮膜を構成する樹脂そのものであってもよいし、硬化皮膜の形成条件で反応して前記樹脂を構成する物質であってもよいし、これらの両方を含有する組成物であってもよい。
【0046】
本発明に用いられる樹脂材料としては、熱や活性エネルギー線照射によってラジカル硬化が起こる硬化性樹脂、該樹脂を構成するモノマー、及び該樹脂を形成するオリゴマーが挙げられる。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂が利用できる。これらの樹脂材料は一種類のみであってもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0047】
樹脂材料としては、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、等の、ラジカル重合が可能な不飽和結合を有する樹脂が挙げられる。
【0048】
前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。例えば、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、シルセスキオキサン骨格を有する化合物で、官能基に(メタ)アクリレート基を有する化合物も挙げられる。
【0049】
前記不飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸(及び必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、この不飽和ポリエステルに対して架橋し得るビニルモノマー等の重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
【0050】
前記不飽和ポリエステルとしては、無水マレイン酸などの不飽和酸とエチレングリコールなどのジオールとを重縮合させて製造できる。具体的には、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和結合を有する多塩基酸又はその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の多価アルコールをアルコール成分として反応させ、また、必要に応じてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の重合性不飽和結合を有していない多塩基酸又はその無水物も酸成分として加えて製造されるものが挙げられる。
【0051】
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、(1)飽和多塩基酸及び/又は不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸及び/又は不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸及び/又は不飽和多塩基酸と多価アルコール
から得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の重合性不飽和結合を有していない多塩基酸又はその無水物とフマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和多塩基酸又はその無水物が挙げられる。多価アルコール成分は、前記不飽和ポリエステルと同様である。
【0053】
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の製造に用いるグリシジル基(エポキシ基)を有するα、β−不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタクリレートが代表例として挙げられる。
【0054】
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、アクリル酸等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和結合を持った化合物(ビニルエステル)が挙げられる。
【0055】
前記ビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0056】
また、各種エポキシ樹脂をビスフェノール(例えばA型)又はアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸(ハリダイマー270S:ハリマ化成(株))等の二塩基酸で反応させ、可撓性を付与してもよい。
【0057】
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0058】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物又は多価アルコール類とを反応させた後、更に水酸基含有(メタ)アクリル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。
【0059】
前記ポリイソシアネートとしては、具体的には2,4−トリレンジイソシアネート及びその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バノックD−750、クリスボンNK(商品名;大日本インキ化学工業(株)製)、デスモジュールL(商品名;住友バイエルウレタン(株)製)、コロネートL(商品名;日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートD102(商品名;三井武田ケミカル(株)製)、イソネート143L(商品名;三菱化学(株)製)等が挙げられる。
【0060】
前記ポリヒドロキシ化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられ、具体的にはグリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオキシ
ド付加物、ジペンタエスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペンタエスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペンタエスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0061】
前記多価アルコール類としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等が挙げられる。
【0062】
前記水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌルサンノジ(メタ)アクリレート、ペンタエスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0063】
前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、市販品を用いることもできる。このような樹脂材料としては、例えば、多官能アクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物である新中村化学工業(株)製 NKハード B100が挙げられる。
【0064】
<表面処理剤>
本発明の表面処理剤は、前述した本発明のフッ素含有樹脂組成物を含有する。本発明の表面処理剤は、フッ素含有樹脂組成物の濃度や表面処理剤の諸物性を調整する観点、及びその後の硬化皮膜形成時にフッ素含有樹脂組成物を硬化させる観点から、本発明のフッ素含有樹脂組成物以外の他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分には、例えば重合開始剤や溶媒が挙げられる。
【0065】
前記重合開始剤は、前記樹脂材料が重合性不飽和基を有する場合に、フッ素含有樹脂組成物の硬化を促進させる目的で用いることができる。このような重合開始剤としては、熱、又は活性エネルギー線でラジカルを発生する開始剤が好ましい。
【0066】
熱でラジカルを発生させる開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート等の過酸化物;及びテトラエチルチウラムジスルフィド等のジチオカルバメート;等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
【0067】
活性エネルギー線でラジカルを発生させる開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサン
トン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
【0068】
本発明の表面処理剤における重合開始剤の量は、特に限定されないが、前記フッ素含有樹脂組成物全体100重量部に対して約0.01〜30重量部であることが好ましく、0.1〜20重量部であることがより好ましい。
【0069】
前記溶媒には、炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン等)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン
等)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶媒(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶媒(炭素数2〜4、5及び6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶媒(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶媒(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶媒(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶媒(α,α,α−トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)、及び水等が挙げられる。前記溶媒には、これらのような溶媒を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0070】
本発明の表面処理剤における溶媒の含有量は、特に限定されないが、表面処理剤における前記フッ素含有樹脂組成物の含有量が約1〜50重量%となることが好ましい。
【0071】
本発明の表面処理剤には、前記フッ素含有樹脂組成物による表面滑り性や撥水、撥油性に悪影響を及ぼさない範囲において、活性エネルギー線増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、フィラー等、任意の成分をさらに含有させてもよい。
【0072】
前記樹脂材料が重合性不飽和基を有する場合に、本発明の表面処理剤に含有させられる、フッ素含有樹脂組成物の硬化性の向上及び基材への密着性を向上させる硬化助剤としては、例えば、1分子中にチオールを2個以上有する化合物が挙げられる。より具体的には、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコネート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(商品名:カレンズMT BD1、昭和電工株式会社製)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMT PE1、昭和電工株式会社製)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン―2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名:カレンズMT NR1、昭和電工株式会社製)等が挙げられる。
【0073】
<硬化皮膜及び成形体>
本発明の硬化皮膜、及び硬化皮膜を有する成形体は、前述した本発明の表面処理剤から得られる。より具体的には、本発明の硬化皮膜は、本発明の表面処理剤の膜を形成する工程と、この膜を硬化させる工程とによって得られる。膜の形成は、例えば塗布によって行うことができ、膜の硬化は、通常は乾燥、加熱、及び活性エネルギー線照射の一又は二以上によって行うことができる。
【0074】
本発明の表面処理剤を基板に塗布する方法は特に制限されず、このような方法には、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法等が挙
げられる。
【0075】
塗布される基板の例には、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板;ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、トリアセテート、ジアセテート等の合成樹脂製シート、フィルム;ノルボルネン系樹脂を含むシクロオレフィン系樹脂、メタクリルスチレン、ポリサルフォン、脂環式アクリル樹脂、ポリアリレート等の光学用途に用いる透明樹脂基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板;各種ブレードで使用されるウレタンゴム、スチレンゴム等が挙げられる。
【0076】
これらの基板は前処理をされていてもよい。このような前処理には、シランカップリング剤等による薬品処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理、紫外線処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等が挙げられる。
【0077】
表面処理剤の膜又は形成された硬化皮膜の乾燥は、10〜約200℃の環境下で行うことができる。
【0078】
前記表面処理剤が活性エネルギー線重合開始剤を含有する場合には、塗布乾燥後に、活性エネルギー線を照射することによって、表面処理剤の膜を硬化させることができる。
【0079】
活性エネルギー線源としては特に制限はないが、用いる活性エネルギー線重合開始剤の性質に応じて、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、気体レーザー、固体レーザー、電子線照射装置等が挙げられる。
【0080】
本発明の硬化皮膜は、表面滑り性及び撥水、撥油性に優れる。このような本発明の硬化皮膜の用途としては、剥離紙・剥離フィルム用コーティング膜、撥水・撥油コーティング膜、汚れ防止コーティング膜、摺動コーティング膜、反射防止コーティング膜及び絶縁コーティング膜等が挙げられる。
【0081】
特に前記フッ素含有樹脂組成物における樹脂材料が重合性不飽和基を有する場合では、硬化皮膜を形成する際に重合性不飽和基を有する樹脂材料が架橋結合され、その結果、力学物性、表面・界面特性、相溶性に優れた硬化皮膜を得ることができる。このような硬化皮膜は、より一層高い表面滑り性を有する。また、硬化皮膜を有する成形体の例としては、各種フィルム上に本発明の硬化皮膜を形成させてなる剥離フィルムや防汚フィルム、金型やガラス等の異形材料への本発明の表面処理剤の塗工品、射出成形されたプラスチック製品への本発明の表面処理剤の塗工品等が挙げられる。
【実施例】
【0082】
[実施例1]
コーティング液及びコーティング膜の調製
フッ素系ケイ素化合物として、下記式(I−3)で示されるフッ素系ケイ素化合物(a−1)(分子量約6,000)を用い、樹脂材料として、新中村化学工業(株)製 NKハード B100を用い、溶媒としてメチルエチルケトンを用いて、下記組成で混合溶解し、コーティング液(表面処理剤)を得た。コーティング液中の固形分濃度は、20重量%である。
化合物(a−1) 0.016g
NKハード B100 10.0g
メチルエチルケトン 30.1g
【0083】
【化7】

【0084】
なお、フッ素系ケイ素化合物(a−1)は、特許第2655683号公報に準じて、以下に示す合成方法により得た。
【0085】
含フッ素炭化水素基を有するシラノールの合成
還流冷却器、温度計を取り付けた内容積500mLの三つ口フラスコに、イオン交換水(33.33g)、THF(140.52g)、トリエチルアミン(28.07g)を仕込み、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで撹拌しながら、氷浴で0〜10℃に冷却する。次いでヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルジメチルクロロシラン(商品名;SIH5840.4、Gelest社製)(100.00g)を滴下漏斗にて、発熱に注意しながら4時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けた後、酢酸(16.66g)、イオン交換水(200mL)を加えて水層と有機層を分離させた。水層をヘキサン(600mL)で抽出し、イオン交換水純水で3回水洗した後、ヘキサン層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過により硫酸マグネシウムを除去した。濾液をロータリーエバポレーターで固体が析出するまで減圧留去し、その後、ヘキサン(430mL)を加えて加熱溶解後、冷蔵庫にて一晩静置し、再結晶化させた。析出した結晶を濾別後、減圧乾燥機にて室温、6時間乾燥を行い、84.61gの無色の針状結晶を得た。得られた結晶の1H−NMR測定を行い、下記式の構造を有している化合物(A−1)であることを確認した。
【0086】
【化8】

【0087】
フッ素系ケイ素化合物(I−3)の合成
還流冷却器、温度計、セプタムキャップを取り付けた内容積300mLの三つ口フラスコに、上記化合物(A−1)(8.74g)、乾燥トルエン(8.74g)を仕込み、アルゴン雰囲気下、室温にて、マグネチックスターラーで撹拌する。ガラス製シリンジにて、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(関東化学、1.6mol/L)(10.5mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(6.13g)を順に添加した後、35℃で3時間撹拌した。その後、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(90.00g)/乾燥トルエン(72.00g)混合溶液を添加し、15℃で3時間重合させた。次に、トリエチルアミン(0.85g)、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(4.14g)を加え10時間撹拌し重合を停止させた。合成物を分液ロートに移し、生成した塩化リチウムを水洗により除去した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。こうして得られた反応物の低沸分を110℃/1.3kPaの条件で2時間かけて留去し、釜残に69.96gの無色透明液を得た。得られた透明液の1H−NMR測定を行い、前記式の構造を有している化合物(I−3)であることが分かった。GPC分析(ゲルパ−ミエーションクロマトグラフィー法)により求めた重量平均分子量は6,000、分子量分布は1.12であった。
【0088】
得られたコーティング液を、コーティングロッド(#9、R.D.スペシャリティーズ
社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:125μm 銘柄名:ルミラー125−T60、東レ株式会社製)上に塗布した。コーティングロッド(#9)を使用した時のウェット膜厚(R.D.スペシャリティーズ社カタログ記載値)は20μmである。
【0089】
得られた塗膜を、70℃の高温チャンバーで1分間乾燥させ、高圧水銀ランプ(H08−L41、定格 160W/cm、岩崎電気(株)製)が付属したコンベア式UV照射装置を用いて、照度80mW/cm2、露光量500mJ/cm2で紫外線を照射し、理論膜厚4μmの透明なコーティング膜(硬化皮膜)を得た。露光量は、照度計(UVPF−A1/PD−365、岩崎電気(株)製)で測定した。理論膜厚は下記の式に従い、コーティングロッド(#9)を使用した時のウェット膜厚とコーティング液中の樹脂固形分より算出した。
理論膜厚(μm)=(コーティングロッドを使用した時のウェット膜厚)×(コーティング液中の固形分濃度(重量%))/100
【0090】
[比較例1]
コーティング液及びコーティング膜の調製
フッ素系ケイ素化合物(a−1)に代えて、下記式(V)で表される片末端メタクリロキシプロピル基変性ジメチルシリコーン(b−1)(商品名;サイラプレーン FM−0721、チッソ(株)製、分子量約6,000)を用いた以外は、実施例1と同様にコーティング液を調製し、コーティング膜を得た。
化合物(b−1) 0.016g
NKハード B100 10.0g
メチルエチルケトン 30.1g
【0091】
【化9】

【0092】
[試験1]
実施例1及び比較例1で得られたコーティング膜の物性値を下記の方法にて測定した。
【0093】
摩擦抵抗試験(ASTM平面圧子)
表面性試験機 HEIDON Type:14W(新東科学株式会社製)を用いて、ASTM D1894に準じて測定を行った。
【0094】
引掻抵抗試験(引掻針)
前記表面性試験機 HEIDON Type:14W (新東科学株式会社製)にサファイヤ引掻針(R=0.3、先端角60°)を取り付け、100gの垂直荷重で引っ張り速度120mm/minで引っ張ったときの応力から塗膜表面の摩擦係数を算出した。
【0095】
表1に、得られたコーティング膜の物性値を示す。
【0096】
【表1】

【0097】
[実施例2]
コーティング液及びコーティング膜の調製
フッ素系ケイ素化合物として、得られたフッ素系ケイ素化合物(a−1)(分子量約6,000)を用い、樹脂材料として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業(株)製 NKエステル A−DPH)及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(丸善石油化学(株)製 4TP−5)を用い、溶媒としてメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを用い、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製 V−65)を用いて、下記組成で混合溶解し、コーティング液(表面処理剤)を得た。コーティング液中の固形分濃度は、40重量%である。
化合物(a−1) 0.02g
NKエステル A−DPH 12.0g
4TP−5 8.0g
メチルエチルケトン 6.0g
メチルイソブチルケトン 24.0g
V−65 2.0g
【0098】
得られたコーティング液を、コーティングロッド(#6、R.D.スペシャリティーズ社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:188μm 銘柄名:ルミラー188−T60、東レ株式会社製)上に塗布した。コーティングロッド(#6)を使用した時のウェット膜厚(R.D.スペシャリティーズ社カタログ記載値)は13.7μmである。
【0099】
得られた塗膜を、150℃の高温チャンバーで1分間乾燥させ、理論膜厚5.4μmの透明なコーティング膜(硬化皮膜)を得た。理論膜厚は下記の式に従い、コーティングロッド(#6)を使用した時のウェット膜厚とコーティング液中の樹脂固形分より算出した。
理論膜厚(μm)=(コーティングロッドを使用した時のウェット膜厚)×(コーティング液中の固形分濃度(重量%))/100
【0100】
[比較例2]
コーティング液及びコーティング膜の調製
フッ素系ケイ素化合物(a−1)に代えて、前記式(V)で表される片末端メタクリロキシプロピル基変性ジメチルシリコーン(b−1)(分子量約6,000)(商品名;サイラプレーン FM−0721、チッソ(株)製、分子量約6,000)を用いた以外は、実施例2と同様にコーティング液を調製し、コーティング膜を得た。
化合物(b−1) 0.02g
NKエステル A−DPH 12.0g
4TP−5 8.0g
メチルエチルケトン 6.0g
メチルイソブチルケトン 24.0g
V−65 2.0g
【0101】
[試験2]
実施例2及び比較例2で得られたコーティング膜を用いて前記試験1と同様に摩擦抵抗試験を行った。得られたコーティング膜の摩擦係数を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
(実施例等の評価結果の考察)
紫外線硬化型樹脂組成物である新中村化学工業(株)製 NKハード B100にて樹脂膜を作製した場合、実施例1と比較例1を摩擦抵抗試験で比較すると、フッ素系ケイ素化合物を導入した実施例1の方が静摩擦係数及び動摩擦係数が低下している。滑り性の経時変化を確認した引掻抵抗試験でも同様に、フッ素系ケイ素化合物を導入した実施例1の方が動摩擦係数の数値が低く抑えられており、フッ素含有効果により、スリップ性(滑り性)が向上していることがわかる。
【0104】
熱硬化型樹脂組成物であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートにて樹脂膜を作製した場合においても、実施例2と比較例2を摩擦抵抗試験で比較すると、フッ素系ケイ素化合物を導入した実施例2の方が静摩擦係数及び動摩擦係数が低下しており、フッ素含有効果により、スリップ性(滑り性)が向上していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の表面処理剤は、硬化皮膜の表面におけるスリップ性(滑り性)、撥水・撥油性の向上に効果があり、プラスチック、金属、ガラス等の各種基材表面の傷付き防止、汚れ防止のための表面改質剤として利用することが可能である。また、トナー粒子の表面を表面処理剤でコーティングした場合には、トナー粒子同士の固着防止やトナー粒子を負帯電化させるための帯電強化に効果があり、また、定着ローラー、マグローラー、ゴムローラー等への非粘着機能の付与、感光体ドラムや剥離爪、クリーニングブレードへの摺動機能、防汚機能の付与等、電子複写機部材への表面改質剤として利用することが可能である。また、汚れ防止目的の自動車用のトップコート、ハードコート用の表面改質剤、レンズ等に用いられる光学用途樹脂の防汚処理剤、防曇処理剤、壁材、床材等の建築部材の防汚処理剤、ナノインプリンティングに用いられる鋳型の離型処理剤、レジスト材料の改質剤、プリント基板用の撥水・防水処理剤、ディスプレイに用いられるプロテクトフィルム、保護フィルムの防汚処理剤、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ表面やタッチパネルの汚れ防止、指紋付着防止、傷付き防止のための表面改質剤、ポリエステル等のフィルムへ剥離機能を付与するための離型処理剤等に利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるフッ素系ケイ素化合物と、
硬化性樹脂、及びこの樹脂を構成するモノマーから選ばれる少なくとも一種を含む樹脂材料と、を含有することを特徴とするフッ素含有樹脂組成物。
【化1】

(式(I)において、
fは、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素若しくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;又は前記フルオロアリールとアルキレンとからなる炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを表し、
nは0〜1,000の整数を表し、
1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して、水素;炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル;炭素数が6〜30の置換若しくは非置換のアリール;又は前記アリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成される、炭素数が7〜30のアリールアルキル;を表し、
1は下記式(II)、(III)又は(IV)を表す。
【化2】

式(II)において、Y1が炭素数2〜10のアルキレンを表し、R7が水素、又は炭素数1〜5のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、
式(III)において、R8は水素、炭素数1〜5のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、X1は炭素数が2〜20のアルキレンを表し、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、又は−OCH2CH(CH3)−を表し、pは0〜3の整数を表し、
式(IV)において、Y2は単結合、炭素数1〜10のアルキレンを表す。)
【請求項2】
fが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、又はα,α,α−トリフルオロメチルフェニルであり、
3及びR4は、それぞれ独立してメチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであり、
1、R2、R5、及びR6は、それぞれメチル又はフェニルであることを特徴とする請求項1に記載のフッ素含有樹脂組成物。
【請求項3】
fが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであることを特徴とする請求項2に記載のフッ素含有樹脂組成物。
【請求項4】
式(II)において、Y1が炭素数2〜6のアルキレンであり、R7が水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、
式(III)において、X1は−CH2CH2CH2−であり、Yは−OCH2CH2−であり、pは0又は1であり、R8が水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、
式(IV)において、Y2が単結合、メチレン又はエチレンであることを特徴とする請求項3に記載のフッ素含有樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフッ素含有樹脂組成物を含有する表面処理剤。
【請求項6】
請求項5に記載の表面処理剤から得られる硬化皮膜。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化皮膜を有する成形体。

【公開番号】特開2009−84436(P2009−84436A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256157(P2007−256157)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】