説明

フライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法

【課題】フライアッシュ中に含まれる未燃カーボンを安定的かつ経済的に除去する。
【解決手段】ハイブリッドミキサ2において、フライアッシュと水と捕集剤を混合しつつ撹拌して剪断力を付与することにより未燃カーボンの表面改質を行ったスラリーを短時間に生成し、起泡剤を添加した後に浮選機11において未燃カーボンを浮選分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法に関し、特に石炭火力発電所などから排出されるフライアッシュに含まれる未燃カーボンの除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭は確認可採埋蔵量が200年を超えるなどエネルギー源として長期的に安定して利用できるため、石炭火力発電の構成比率は年々増加する傾向にあり、石炭灰(以下、「フライアッシュ」という。)の発生量は今後さらに増大するものと予想されている。
【0003】
このような状況下においては、環境保全や資源の有効利用の点から、フライアッシュを大量に有効利用する必要がある。
【0004】
現在、フライアッシュは未燃カーボンを除去された後にセメント混和材として使用されているが、この未燃カーボンの除去率を高めてフライアッシュの品質を向上させることにより、その使用量を拡大することができる。
【0005】
そのため本出願人は、図8に示すように、混合槽62においてフライアッシュ61に水を加えてスラリーを生成し、液中撹拌装置63により高剪断力を付与して、浮選機67によりフライアッシュ中の未燃カーボンを効率的に除去する方法を発明した。(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特許第3613347号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に記載の方法では、フライアッシュに水を加えてスラリー化する工程において、フライアッシュが供給配管内や混合槽内に付着して、所要の供給量が出せないこと、更には配管内の閉塞により運転を停止せざるを得ないといった懸念があった。
【0007】
具体的には、図9に示す混合槽62において、フライアッシュ87と水88を撹拌してスラリー89を生成しようとすると、撹拌羽根82の回転軸81の周囲にフライアッシュ87が付着して十分に混合しなくなり、また混合槽52内の水または水蒸気によりフライアッシュ87が濡れてフライアッシュ供給管84を閉塞させてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、フライアッシュ中の未燃カーボンを効率的かつ簡易的に除去する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ハイブリッドミキサにおいてフライアッシュと水とを混合してスラリーを調整し、前記スラリーに捕集剤を添加しつつ剪断力を付与し、前記剪断力を付与されたスラリーに起泡剤を添加して空気を供給しつつ撹拌することにより前記フライアッシュ中の未燃カーボンを浮選分離することを特徴とするフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法である。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、ハイブリッドミキサにおいてフライアッシュと水とを混合してスラリーを調整し、前記スラリーに捕集剤と起泡剤とを添加しつつ剪断力を付与し、前記剪断力を付与されたスラリーを空気を供給しつつ撹拌することにより前記フライアッシュ中の未燃カーボンを浮選分離することを特徴とするフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法である。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記ハイブリッドミキサを、横型円筒状の混合機本体と、前記混合機本体の一端部と連通した筒状体と、前記筒状体と連通して立設する定量供給機とからなり、前記混合機本体は、複数の撹拌翼が間隔をおいて取り付けられた回転軸と、前記撹拌翼の間に位置するように前記混合機本体の内面に設置された邪魔板と、前記混合機本体内に水及び捕集剤をそれぞれ供給する供給口と、他端部に排気口及び排出口とを備え、前記筒状体は前記回転軸に連結したスクリューフィーダを備え、前記定量供給機によりフライアッシュを前記筒状体へ供給し、前記供給されたフライアッシュを前記スクリューフィーダにより前記混合機本体内へ移送し、前記移送されたフライアッシュに前記水と前記捕集剤とを加えて前記撹拌翼と前記邪魔板との間で混合及び撹拌して前記排出口から排出するハイブリッドミキサとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法である。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記定量供給機を、フライアッシュを受け入れるホッパと、前記ホッパから前記フライアッシュを所定の量だけ切り出すロータリバルブとからなるものであることを特徴とする請求項3に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法である。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記定量供給機は、前記筒状体に立設したスクリューフィーダとしたことを特徴とする請求項3に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法である。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記筒状体が、前記回転軸に連結した第1のスクリューフィーダと、前記スクリューフィーダに並列して設置され前記混合機本体との連通部を終端とする第2のスクリューフィーダとを備えたものであることを特徴とする請求項3に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法である。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記筒状体が前記回転軸とは異なる駆動手段により回転するスクリューフィーダを備えたものであることを特徴とする請求項3に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法によれば、フライアッシュが配管内や混合槽内に付着したり、更には配管内を閉塞したりする可能性がない。
【0017】
しかも、スラリーの調整と剪断力の付与とを1台で行うことができるため、安定した運転を持続できると同時に、設備コストや設置面積の低減による経済性に優れたフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る実施の形態について図1に基づいて説明する。図1は、本発明を実施するためのプラントシステムの系統図を示したものである。
【0019】
本システムは主に、フライアッシュと水からなるスラリーを調整するとともに捕集剤を添加して高剪断力を付与するハイブリッドミキサ2と、前記ハイブリッドミキサ2により生成されたスラリーに起泡剤を添加して気泡を発生させ、フライアッシュ中の未燃カーボンを付着させて浮上させることにより分離する浮選機11と、前記浮選機11で分離された沈殿物からフライアッシュを分離回収する固液分離器14と、同じく前記浮選機11で分離された浮上物を脱水して未燃カーボンを回収するための脱水機20から構成される。
【0020】
システムを構成する装置について、以下に詳しく説明する。
フライアッシュタンク1は、図示しない石炭火力発電所から排出されたフライアッシュを貯蔵・供給するものであり、当該フライアッシュには石炭火力発電所のボイラでの燃焼の際に、未燃の状態で残ったカーボン分が付着若しくは含有されている。
【0021】
捕集剤タンク5は、捕集剤を貯蔵・供給するものであり、供給は捕集剤用ポンプ6を介して行われる。なお、捕集剤としては、灯油、軽油又は重油のいずれでもよい。
【0022】
ハイブリッドミキサ2は、フライアッシュタンク1から定量供給機3を介して供給されたフライアッシュと水供給装置4から供給された水を混合してスラリーを調整するとともに、捕集剤タンク5から供給された捕集剤を当該スラリーに添加して、撹拌することにより高剪断力を付与して未燃カーボンの表面を改質するものである。
【0023】
ハイブリッドミキサ2に係る第1の実施形態を図2に示す。図2は、第1の実施形態に係るハイブリッドミキサ2の構造を示す断面図であるが、定量供給装置3も合わせて示している。
【0024】
ハイブリッドミキサ2は、横置きされた円筒状の混合機本体30と、この混合機本体30の一端部において連通する筒状体31と、当該筒状体31の上部に設けられたホッパ50及びロータリバルブ51からなる定量供給機3から構成される。
【0025】
混合機本体30は、フライアッシュと水を混合してスラリーを調整するとともに、当該スラリーに捕集剤を添加して、回転翼で混合・撹拌することにより高剪断力を付与するものである。そのため、中心に設置された回転軸34には、一定の間隔をおいて複数の撹拌翼33が径方向外向きに立設されており、また混合機本体30の内面には、隣接する撹拌翼33の間に位置するように邪魔板38が径方向内向きに立設されている。
【0026】
撹拌翼33の形状は種々のものが考えられるが、例えば図3に示すように、表面にタービンブレード37を設けた円板状にすることにより、混合・撹拌効率を高めることができる。
【0027】
筒状体31は、混合体本体30にフライアッシュを供給するためのものであり、回転軸34に連結した横型スクリューフィーダ32を内部に有している。
【0028】
筒状体31及び混合機本体30の軸方向の延長上には、回転軸34を回転させるための駆動手段である電動機35と減速機36が設けられている。
【0029】
定量供給装置3を構成するホッパ50とロータリーバルブ51は、筒状体31の上部にほぼ垂直に立設している。
【0030】
本実施形態に係るハイブリッドミキサ2の動作を以下に説明する。
フライアッシュタンク1から供給されたフライアッシュAはホッパ50により受け入れられ、ロータリバルブ51により所定の量が切り出されて筒状体31内の横型スクリューフィーダ32に受け渡される。電動機35による横型スクリューフィーダ32の回転に伴い、フライアッシュは混合機本体30の内部へ徐々に供給され、媒体液供給口39を通じて水供給装置4から供給された水Bと混合されてスラリー40を生成する。
【0031】
生成したスラリー40には、捕集剤供給口44を通じて捕集剤タンク5から供給された捕集剤Cが添加されるとともに撹拌翼33で激しく混合・撹拌されることにより高剪断力が付加される。このとき、回転軸34の遠心力により、スラリー40は混合機本体30の内面に押しつけられて回転軸34の周りには空隙部41が生じるため、フライアッシュが回転軸34に付着することはない。
【0032】
スラリー40は撹拌翼33と邪魔板38との間で混合・撹拌されつつ、邪魔板38によりショートパスを妨げられながら徐々に下流に向かって移動し、最終的には排出口43からスラリーDとして外部へ排出される。なお、フライアッシュに同伴される空気などの気体成分は、排気口42から外部へ放出されることになる。
【0033】
このような構造を有しているため、混合機本体30へ供給される前のフライアッシュは、横型スクリューフィーダ32により水や水蒸気を含んだ空気とは分離されるため、フライアッシュが濡れてロータリバルブ51や筒状体31等を閉塞してしまう可能性は小さい。また、上記で説明したように、回転軸34にフライアッシュが付着して、スラリー40の生成量が不足するようなことはない。
【0034】
ハイブリッドミキサ2に係る第2の実施形態を図4に示す。図4は、第2の実施形態に係るハイブリッドミキサ2の構造を示す断面図であり、図2と共通する部分には同じ符号を付している。
【0035】
本実施形態においては、固体供給口52を上部に有する傾斜スクリューフィーダ53により定量供給機3を構成する点が、図2に示す第1の実施形態に係るハイブリッドミキサ2と相違する。
【0036】
傾斜スクリューフィーダ53は、筒状体31上に傾斜を持たせて、又はほぼ垂直に立設されており、その最上部には傾斜スクリューフィーダ53を回転させるための電動機54が設置されている。
【0037】
混合機本体30内における動作は第1の実施形態と同様であるため、混合機本体30へのフライアッシュの供給方法について以下に説明する。
【0038】
フライアッシュタンク1からのフライアッシュAは、固体供給口52を通じて傾斜スクリューフィーダ53に供給され、その回転に伴い下部の筒状体31へ移送される。そして、筒状体31内において横型スクリューフィーダ32に受け渡され、その回転に伴い混合機本体30の内部へ徐々に供給される。
【0039】
本実施形態のハイブリッドミキサ2においては、2台のスクリューフィーダ32、53を用いることにより、内壁にフライアッシュが堆積することなく、着実に混合機本体30へ供給することができる。
【0040】
ハイブリッドミキサ2に係る第3の実施形態を図5に示す。図5は、第3の実施形態に係るハイブリッドミキサ2の構造を示す断面図であり、側面からの断面を図5(a)に、上面からの断面を図5(b)に示している。なお、図2と共通する部分には同じ符号を付すとともに、構造の一部を省略している。
【0041】
本実施形態のハイブリッドミキサ2においては、図5(a)から分かるように側面からの断面は図2に示す第1の実施形態と同じであるが、図5(b)に示すように筒状体31の内部に横型スクリューフィーダ32に並行して水平方向に第2の横型スクリューフィーダ45を設けている点が異なっている。
【0042】
この第2の横型スクリューフィーダ45は、筒状体31の端部から混合機本体30の入口付近まで延びており、横型スクリューフィーダ32と連動するように回転軸34とギア46により連結されている。なお、連結方法はベルトによるものでもよい。
【0043】
また、ホッパ50からロータリバルブ51を介して供給されるフライアッシュは、2台の横型スクリューフィーダ32、45の間に投入されるようになっている。
【0044】
このような構造により、例えばフライアッシュが濡れて横型スクリューフィーダ34に付着して閉塞させてしまうような場合でも、ホッパ50から供給されるフライアッシュを第2の横型スクリューフィーダ45により混合機本体30へ確実に供給することができる。
【0045】
ハイブリッドミキサ2に係る第4の実施形態を図6に示す。図6は、第4の実施形態に係るハイブリッドミキサ2の構造を示す断面図であり、図2と共通する部分は同じ符号を付している。
【0046】
本実施形態のハイブリッドミキサ2においては、筒状体31内の横型スクリューフィーダ32は混合機本体30内の撹拌翼33が設置されている回転軸34とは連結しておらず、それぞれ電動機35及び電動機49により別々に回転する点が特徴となっている。
【0047】
このような構造により、ホッパー50へのフライアッシュAの供給量に係わらず、混合機本体30においてスラリー40を調整することができるため、剪断力を付与されたスラリーDを処理する下流側のプラント設備の運転状況に合わせたスラリーの量や濃度の調整が容易にできるため、プラントの運転合理化に寄与することができる。
【0048】
調整槽7は、ハイブリッドミキサ2から排出されたスラリーに、起泡剤タンク8からポンプ9を介して供給された起泡剤を添加して撹拌羽根により混合するものであり、これによりスラリーは気泡を発生させやすい状態になる。
【0049】
浮選機11は、ポンプ10を介して送られてきたスラリーを撹拌しながら大気中の空気を吸い込ませることにより、発生した気泡に未燃カーボンを付着させ浮上させて分離するものである。また、大気中の空気とは別に浮選機11の底部から空気供給設備12からの空気を吹き込むことにより、気泡の発生量を調整することができる。
【0050】
浮選機11における浮上物として分離された未燃カーボンは配管19を通じて脱水機20へ送られる。また、浮選機11の沈殿物として回収される未燃カーボンを分離後のスラリーは、ポンプ13により固液分離器14へ送られる。
【0051】
固液分離器14は、送られてきたスラリーをフライアッシュと水に分離するものであり、分離されたフライアッシュはケーキとして乾燥機15に送られる。また、分離された水は循環用配管24を通じてポンプ23によりハイブリッドミキサ2へ戻されてスラリー生成用の水として再利用される。
【0052】
乾燥機15は、ケーキとしてのフライアッシュを、熱風炉18で発生する熱風により乾燥させるものであり、乾燥後のフライアッシュは未燃カーボンが分離された製品としてのフライアッシュ17となり、セメントの混合材などに使用される。
【0053】
バグフィルタ16は、乾燥機15での乾燥過程で発生したフライアッシュの微粉をろ過集じんすることにより回収するものであり、回収されたフライアッシュも製品としてのフライアッシュ17となる。
【0054】
脱水機20は、浮選機11において浮上物として分離された未燃カーボンを脱水するものである。この脱水機20としては、例えばフィルタープレスなどがあり、その場合には浮上物はフィルターで圧搾することにより脱水されることになる。
【0055】
脱水後の未燃カーボン22は燃料として使用することができ、その一部は熱風炉18に燃料として供給され、乾燥機15への熱風を発生するために使用される。
【0056】
なお、フライアッシュの要求乾燥度によっては、乾燥機15以降は省略することも可能である。
【0057】
脱水機20で分離された水は循環用配管24へ送られ、前出の固液分離装置14から分離された水と同じくハイブリッドミキサ2において再利用される。
【0058】
次に、上記のシステムを用いたフライアッシュからの未燃カーボンの分離方法について図1及び図2を参照して説明する。
【0059】
フライアッシュタンク1からフライアッシュAを定量供給機3のホッパ50に投入し、ロータリバルブ51を操作して所定の量のフライアッシュを切り出して筒状体31へ供給する。そして、横型スクリューフィーダ32により混合機本体30へフライアッシュを供給する。
【0060】
水供給装置4からの水Bを媒体液供給口39から混合機本体30へ供給して、撹拌翼33で混合することによりスラリー40を調整する。このときのスラリー濃度は、10〜40重量%の範囲となるようにすることが好ましい。
【0061】
そして、捕集剤タンク5からの捕集剤Cを捕集剤供給口44からスラリー40に添加する。捕集剤の添加量は、捕集剤として灯油を用いた場合には、スラリー中の固形分の0.01〜3.0重量%程度となるようにすることが好ましい。
【0062】
そして、撹拌翼33により十分に混合・撹拌することによりスラリー40に高剪断力を付与する。この高剪断力により固液混合物中に含まれる未燃カーボンの表面が改質されて捕集剤との親和性が高まり、後の工程である浮選機11における浮選浮遊性が向上することになる。
【0063】
スラリーの効率的な混合・撹拌を行うためには、フライアッシュ、水、及び捕集剤の合計容積が混合機本体30の内容積の40〜90%の範囲内であることが望ましい。
【0064】
このようにして高剪断力を付与されたスラリーDを調整槽7に送り、起泡剤を添加して混合することにより気泡を発生しやすい状態とする。そして浮選機11において撹拌しながら空気を吸い込ませ、フライアッシュ中に含まれる未燃カーボンを捕集剤とともに気泡に付着させ浮上させて分離する。
【0065】
このようにして浮上物として分離された未燃カーボンは水分を多く含むので、燃料用として使用するために脱水機20において脱水する。
【0066】
また、未燃カーボンが分離されたスラリーを沈殿物として回収し、固液分離器14において水を分離した後に、乾燥機15において乾燥させて製品としてのフライアッシュ17を得る。また、乾燥機15の中で微粉となっているフライアッシュをバグフィルター16で回収することにより、製品としてのフライアッシュ17の収率を高めることができる。
【0067】
なお、固液分離器14及び脱水機20において分離された水は、循環用配管24を通じてハイブリッドミキサ2に送られて、スラリーを生成するための水として再利用する。
【0068】
本発明にかかる別の実施の形態を図7に示す。図7は、本発明の別の実施の形態に係るプラントシステムの系統図を示したものであり、図1と共通する機器等には同じ符号を付している。
【0069】
本実施の形態においては、起泡剤をハイブリッドミキサ2において添加することにより、図1における調整槽7を不要なものとしている。
【0070】
本実施の形態におけるハイブリッドミキサ2の構造の一例を図8に示す。図8は、本実施の形態に係るハイブリッドミキサ2の構造を示す断面図であり、図2と共通する部分には同じ符号を付している。
【0071】
このハイブリッドミキサ2は、基本的な構造は図2に示すハイブリッドミキサ2と同じであるが、起泡剤タンク8から供給される起泡剤を添加できるように混合機本体30に起泡剤供給口49が設けられている点が異なっている。なお、ここでは基本構造を図2に示す第1の実施形態のハイブリッドミキサ2としているが、図4乃至図6に示す第2乃至第4の実施形態に係るハイブリッドミキサ2においても同様に起泡剤供給口49を設けることができるのはいうまでもない。
【0072】
このような構造のハイブリッドミキサ2を用いることにより、起泡剤の添加及び混合をハイブリッドミキサ2において行うことができるため、調整槽7が不要となり、プラント機器の更なる合理化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係るプラントシステムの系統図である。
【図2】図1におけるハイブリッドミキサに係る第1の実施形態の構造を示す断面図である。
【図3】ハイブリッドミキサの撹拌翼の一例を示す平面図である。
【図4】図1におけるハイブリッドミキサに係る第2の実施形態の構造を示す断面図である。
【図5】図1におけるハイブリッドミキサに係る第3の実施形態の構造を示す断面図である。
【図6】図1におけるハイブリッドミキサに係る第4の形態の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係るプラントシステムの系統図である。
【図8】図7におけるハイブリッドミキサの構造を示す断面図である。
【図9】従来のプラントシステムの系統図である。
【図10】従来のシステムにおける混合槽の断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 フライアッシュタンク 2 ハイブリッドミキサ 3 定量供給機
4 水供給装置 5 捕集剤タンク 6 捕集剤用ポンプ
7 調整槽 8 起泡剤タンク 9 起泡剤用ポンプ
10 スラリー用ポンプ 11 浮選機 12 空気供給設備
13 沈殿物用ポンプ 14 固液分離器 15 乾燥機
16 バグフィルタ 17 製品フライアッシュ 18 熱風炉
19 浮上物用配管 20 脱水機 21 移送経路
22 未燃カーボン 23 循環水用ポンプ 24 循環用配管
30 混合機本体 31 筒状体
32 横型スクリューフィーダ
33 撹拌翼 34 回転軸 35 電動機
36 減速機 37 タービンブレード 38 邪魔板
39 媒体液供給口 40 スラリー 41 空隙部
42 排気口 43 排出口 44 捕集剤供給口
45 第2横型スクリューフィーダ
46 ギア 47 第2電動機
48 第2減速機 49 起泡剤供給口 50 ホッパ
51 ロータリバルブ 52 固体供給口
53 傾斜スクリューフィーダ
54 電動機 61 フライアッシュ 62 混合槽
63 液中撹拌装置 64 灯油タンク 65 調整槽
66 起泡剤タンク 67 浮選機 68 固液分離器
69 乾燥機 70 バグフィルタ 71 熱風炉
72 フィルタープレス 81 回転軸 82 撹拌翼
83 電動機 84 フライアッシュ供給管 85 水供給管
86 スラリー排出管 87 フライアッシュ 88 水
89 スラリー
A フライアッシュ B 水 C 捕集剤
D 剪断力を付与されたスラリー E 起泡剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドミキサにおいてフライアッシュと水とを混合してスラリーを調整し、前記スラリーに捕集剤を添加しつつ剪断力を付与し、
前記剪断力を付与されたスラリーに起泡剤を添加して空気を供給しつつ撹拌することにより前記フライアッシュ中の未燃カーボンを浮選分離することを特徴とするフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法。
【請求項2】
ハイブリッドミキサにおいてフライアッシュと水とを混合してスラリーを調整し、前記スラリーに捕集剤と起泡剤とを添加しつつ剪断力を付与し、
前記剪断力を付与されたスラリーを空気を供給しつつ撹拌することにより前記フライアッシュ中の未燃カーボンを浮選分離することを特徴とするフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法。
【請求項3】
前記ハイブリッドミキサは、横型円筒状の混合機本体と、前記混合機本体の一端部と連通した筒状体と、前記筒状体と連通して立設する定量供給機とからなり、
前記混合機本体は、
複数の撹拌翼が間隔をおいて取り付けられた回転軸と、
前記撹拌翼の間に位置するように前記混合機本体の内面に設置された邪魔板と、
前記混合機本体内に水及び捕集剤をそれぞれ供給する供給口と、
他端部に排気口及び排出口とを備え、
前記筒状体は前記回転軸に連結したスクリューフィーダを備え、
前記定量供給機によりフライアッシュを前記筒状体へ供給し、前記供給されたフライアッシュを前記スクリューフィーダにより前記混合機本体内へ移送し、前記移送されたフライアッシュに前記水と前記捕集剤とを加えて前記撹拌翼と前記邪魔板との間で混合及び撹拌して前記排出口から排出するハイブリッドミキサであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法。
【請求項4】
前記定量供給機は、フライアッシュを受け入れるホッパと、前記ホッパから前記フライアッシュを所定の量だけ切り出すロータリバルブとからなることを特徴とする請求項3に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法。
【請求項5】
前記定量供給機は、前記筒状体に立設したスクリューフィーダであることを特徴とする請求項3に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法。
【請求項6】
前記筒状体は、
前記回転軸に連結した第1のスクリューフィーダと、
前記スクリューフィーダに並列して設置され前記混合機本体との連通部を終端とする第2のスクリューフィーダとを備えることを特徴とする請求項3に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法。
【請求項7】
前記筒状体は前記回転軸とは異なる駆動手段により回転するスクリューフィーダを備えることを特徴とする請求項3に記載のフライアッシュ中の未燃カーボンの除去方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−167787(P2007−167787A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370461(P2005−370461)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】