説明

フライス結合システム

切削装置を工作機械に取り付けるための、切削装置とアダプタを有する結合システム。切削装置は、中心穴または中心ボスのいずれか一方を有する第一の取付フランジを有する。アダプタは、中心穴または中心ボスのもう一方を有する第二の取付フランジを有する。切削装置がアダプタに連結されたとき、取付フランジの一方の中心ボスはもう一方の取付フランジの中心穴とつがい係合部を形成して、2つの取付フランジを共通の中心で整列させる。これに加えて、各取付フランジは、取付フランジの外周と中心穴または中心ボスとの間に位置付けられたポストまたは溝の少なくとも1つを有していてもよい。切削装置がアダプタに連結されたとき、ポストの少なくとも1つは、対応する溝とつがい係合部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転工具をアダプタに連結するための結合システムに関する。アダプタはその後、工作機械に連結される。より詳しくは、本発明は、それぞれ切削装置とアダプタに一体的に形成される第一と第二の取付フランジを備える結合システムに関する。取付フランジ間の複数のつがい係合部により、フランジ間に自動中心合わせ式(self-centering)の、安定性の高い連結が確立される。
【背景技術】
【0002】
回転工具、たとえばエンドミル等の切削装置を取り付けるための、先行技術の一般的な結合システムは、アダプタのシャンクの中に半径方向に延びて工具のシャフトと係合するキービスを利用して、工具をアダプタに固定し、トルクを伝え、工具とアダプタの間の相対的回転を防止する。しかしながら、キーが回転工具のシャフトと係合する際、キーは工具を圧迫して、工具がアダプタの中心軸からずれた状態となり、それによってアダプタの穴と回転工具のシャフトとの嵌り合いに誤差が生じる。これに加えて、このようなシステムでは、工具とアダプタの間の係合面積が小さい。嵌り合いの誤差と小さい係合面積によって、工具の動作安定性が低下し、それが切削または加工作業中の不均一性と、工具に固定された回転工具および/または切削チップの早期摩耗の原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、業界では、回転工具を、工具を工作機械に取り付けるためのアダプタに装着することができ、工具とアダプタの間の係合部の中心合わせの精度が高く、回転工具の動作安定性を高めるような結合システムが一般的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、切削装置を工作機械に取り付けるための結合システムが提供される。この結合システムは、切削装置とアダプタを備える。切削装置は本体を備え、本体は第一の端に、本体の第二の端まで延びる切削部と一体の第一の取付フランジを備える。第一の取付フランジは、少なくとも部分的にフランジの中へと延びる中心穴か、または第一の端に配置されそこから延びる中心ボスのいずれか一方を備える。複数の取付穴が、第一の取付フランジの中に延びる。
【0005】
アダプタは本体を備え、本体は、本体の第二の端まで延びるシャンクと一体の第二の取付フランジを備える。第二の取付フランジは、少なくとも部分的にフランジの中へと延びる中心穴か、または第一の端に配置されそこから延びる中心ボスのうちのもう一方を備える。複数の取付穴が、少なくとも部分的に第二の取付フランジの中へと延びる。
【0006】
切削装置がアダプタに連結されたとき、取付フランジの一方にある中心穴はもう一方の取付フランジの中心穴とつがい係合部(嵌め合い係合部:mating engagement)を形成して、2つの取付フランジは共通の中心で整列する。第一の取付フランジの取付穴を通って第二の取付フランジの取付穴の中へと延びる複数の固定手段を使って、この連結が行われる。
【0007】
これに加えて、各取付フランジは、取付フランジの外周と中心穴または中心ボスとの間に位置付けられたポストまたは溝の少なくとも1ついずれかを有する。切削装置がアダプタに連結されたとき、ポストの少なくとも1つは、対応する溝とつがい係合部を形成する。
【0008】
本発明の上記以外の詳細と利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことによって明らかとなるであろう。全図を通して、同様の部品は同様の参照番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のある実施形態によるフライス結合システムの分解斜視図である。
【図2】図1に描かれた図とは逆の角度から見たフライス結合システムの分解斜視図である。
【図3】組立後のフライス結合システムの斜視図である。
【図4A】フライス結合システムの各種のサイズのアダプタアセンブリの斜視図である。
【図4B】フライス結合システムの各種のサイズのアダプタアセンブリの斜視図である。
【図4C】フライス結合システムの各種のサイズのアダプタアセンブリの斜視図である。
【図4D】フライス結合システムの各種のサイズのアダプタアセンブリの斜視図である。
【図5A】フライス結合システムの各種のサイズの切削装置の斜視図である。
【図5B】フライス結合システムの各種のサイズの切削装置の斜視図である。
【図5C】フライス結合システムの各種のサイズの切削装置の斜視図である。
【図5D】フライス結合システムの各種のサイズの切削装置の斜視図である。
【図6A】各種のサイズの組立後のフライス結合システムの斜視図である。
【図6B】各種のサイズの組立後のフライス結合システムの斜視図である。
【図6C】各種のサイズの組立後のフライス結合システムの斜視図である。
【図6D】各種のサイズの組立後のフライス結合システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明の解釈において、空間的方位を示す用語が使用されている場合、これは添付の図面に描かれている、あるいはその他、以下の詳細な説明の中に記載されている方位での、参照のための実施形態に関するものとする。しかしながら、理解すべき点として、以下に説明する実施形態は、他の多くの変化形や実施形態をとってもよい。同じく理解すべき点として、添付の図面に描かれ、本明細書で説明されている具体的な機器は単に例にすぎず、限定するものとして解釈するべきではない。
【0011】
図1と図2を参照すると、本発明のある実施形態による、切削装置20を工作機械(図示せず)に取り付けるための結合システムが示されている。図中、エンドミルとして示されている切削装置20は、本体19を有し、これは第一の端26において、本体19の第二の端24まで延びる切削部23と一体の第一の取付フランジ25を持つ。切削部23は、切削部23の長さに沿って走る複数の螺旋チャネル22を有する。複数のポケットが各螺旋チャネル22に沿って配置されている。ポケットは、加工対象物に対して切削作業を実施するための、多数のカーバイドまたはセラミック製切削チップ21を保持する。図ではエンドミルとして描かれているが、認識されるべき点として、切削装置20は着脱自在のアダプタによって工作機械に取り付けられるように設計された、どのようなタイプの回転工具であってもよく、たとえばフライスまたはドリル等がある。
【0012】
図2に示されるように、第一の取付フランジ25は、少なくとも部分的に第一の取付フランジ25の中へと延びる中心穴27と、第一の取付フランジ25の外周から中心穴27へと延びる複数の溝28、特に3本の溝28と、第一の取付フランジ25の中へと延び、中心穴27を中心として第一の取付フランジ25の周辺に同心円状に配置された複数の取付穴29を有する。第一の取付フランジ25は、切削装置20の端面33を画定し、端面33は第一の取付フランジ25の外周から中心穴27まで延びる。
【0013】
別の実施形態によれば、溝28は、端面33の、第一の取付フランジ25の外周から中心穴27までの幅全体にわたって延びてもよく、あるいは図5Dに示されるように、中間地点で終結してもよい。
【0014】
結合システムはまた、工作機械の取付システム(図示せず)と係合するアダプタ40を有する。アダプタ40は、図1と図2に示されるように、工作機械と係合するようになされたテーパ付シャンク41と、アダプタ40の自動搬送のための中間フランジ42を有する。アダプタ40を工作機械に取り付けるための取付用造作部、たとえばねじ切り穴(図示せず)をテーパ付シャンク41の中に配置してもよい。さらに、アダプタ40は、工作機械から切削装置20へと冷却剤を流すための、アダプタ40の内部に延びる穴を有していてもよい。図のように、アダプタ40はケナメタル社(Kennametal Inc.)製のCV型アダプタである。認識されるべき点として、アダプタ40は、回転工具を工作機械に取り付けるのに適しているものとして当業者の間で周知のどのようなタイプであってもよく、たとえばケナメタル社製のDV、BTもしくはKM型アダプタ、CAPTO(Coromont)型アダプタまたはHSK型アダプタ等がある。
【0015】
図1に示すように、アダプタ40は、アダプタ40の第一の端44において一体的に形成された第二の取付フランジ43を有する。第二の取付フランジ43は、アダプタ40の端面45を画定する。第二の取付フランジ43は、端面45に配置され、そこから延びる中心ボス46と、端面45に配置され、そこから延び、中心ボス46を中心として同心円状に配置される複数のポスト47、48と、少なくとも部分的に第二の取付フランジ43の中へと延び、中心ボス46を中心として同心円状に配置される複数の取付穴50を有する。複数のポスト47、48は2つのポスト47、48を3組含み、各組が中心ボス46から第二の取付フランジ43の外周に向かって延びる共通の半径方向の線Rに沿って配列される。半径方向に最も外側のポスト48は、半径方向に最も内側のポスト47よりサイズが大きく、その目的を以下に説明する。
【0016】
図1と図2を参照すると、第二の取付フランジ43の中心ボス46は、第一の取付フランジ25の中心穴27とつがい係合部(嵌め合い係合部)を形成する。同様に、ポスト47、48の各組のうちの少なくとも1つのポスト、特に半径方向に最も外側のポスト48は、第一の取付フランジ25のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成する。このように、図2に示されるように、結合システムが組み立てられると、中心ボス46と中心穴47およびポスト47、48とそれぞれの溝28とのつがい係合部によって、切削装置20の第一の取付フランジ25とアダプタ40の第二の取付フランジ43とが結合システムの中心軸Cに沿った共通の中心において整列する(図3)。
【0017】
図2に戻ると、結合システムが組み立てられると、切削装置20の端面33がアダプタ40の端面45と、結合システムの中心軸Cに垂直な同一平面で係合して、切削装置20の切削部23が工作機械に関して同軸となることが好ましい。そのために、第一の取付フランジ25の中心穴27は、切削装置20の端面33から内側に延びる内部傾斜面34を有していてもよく、この面によって、それぞれの端面33、45の間の係合部にギャップが生じる原因となる、第二の取付フランジ43の中心ボス46との干渉が避けられる。認識されるべき点として、中心ボス46と中心穴27は逆に、中心ボス46が第一の取付フランジ25に形成され、中心穴27が第二の取付フランジ43に形成されてもよい。
【0018】
第一の取付フランジ25の中へと延びる複数の取付穴29は、中心穴27を中心に同心円状のパターンとして配列される。これに対応して、第二の取付フランジ43に形成された複数の取付穴50の少なくとも一部は、中心ボス46を中心とした同心円状のパターンで配列される。対応する同心円状パターンは、中心穴46が中心穴27とつがい係合部を形成し、第二の取付フランジ43のポスト47、48が第一の取付フランジ25のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成すると整列する。図1に示されるように、第二の取付フランジ43はまた、以下に述べる目的のために、取付穴50の内側同心円状パターンを有する。
【0019】
複数の固定手段60は、第一の取付フランジ25の複数の取付穴29を通って第二の取付フランジ43の複数の取付穴50の中に延びて、第一の取付フランジ25が第二の取付フランジ43に装着されるようになっている。図のように、複数の固定手段60は、第二の取付フランジ43の取付穴50の、対応するネジ穴と螺合する六角穴付きボルト(Allen screw)であってもよいが、認識されるべき点として、固定手段60は当業者の間で適当であると知られているどのような種類のものでもよい。
【0020】
認識されるべき点として、中心ボス46と中心穴27および複数のポスト47、48とそれぞれの溝28の、対応する係合部と、複数の取付穴29、50の整列とそれぞれの端面33、45の表面対表面の係合により、切削装置20をアダプタ40に装着する取付表面がはるかに大きくなり、取付精度と切削装置20の動作安定性が大幅に改善される。さらに、第二の取付フランジ43の複数のポスト47、48は、第一の取付フランジ25のそれぞれの溝28と、ポスト47、48が工作機械によって生成されたトルクを切削装置20に伝えることができるような方法でつがい係合部を形成する。これに加えて、ポスト47、48とそれぞれ溝28のつがい係合部によって、切削装置20と第一の取付フランジ25のアダプタ40と第二の取付フランジ43に関する相対的回転が防止され、切削装置20とアダプタ40の間の位置合わせ状態が維持され、工作機械の動作中の複数の固定手段60へのせん断ひずみが軽減される。
【0021】
本発明のある実施形態によれば、ポスト47、48は、その片面から延びる突出部(図示せず)を有するように形成される。突出部は、第二の取付フランジ43の端面45に開けられた穴と締りばめの状態で係合し、ポスト47、48が第二の取付フランジ43に装着されるようになっている。別の実施形態によれば、ポスト47、48と溝28は結合システムに含まれず、複数の固定手段60およびそれぞれの端面33、45の間の摩擦係合が、トルクを工作機械からアダプタ40を介して切削装置20に伝える。
【0022】
図4〜図6は、本発明のある実施形態による4種類のサイズの結合システムを示す。図4A、図5Aおよび図6Aは、4インチ径エンドミル切削装置20と対応するアダプタ40のための結合システムを示す。図4B、図5Bおよび図6Bは、3インチ径エンドミル切削装置20と対応するアダプタ40のための結合システムを示す。図4C、図5Cおよび図6Cは、2インチ径ロング形エンドミル切削装置と対応するアダプタ40のための結合システムを示す。図4D、図5Dおよび図6Dは、2インチ径レギュラーエンドミル切削装置20と対応するアダプタ40のための結合システムを示す。認識されるべき点として、図4〜図6に示す各種の結合システムは、図1〜図3に関して上で説明した原理によって作製されており、各種のサイズの結合システムの間に以下に説明するような、ある相違点がある。
【0023】
各種のサイズのアダプタ40の取付構造は、同じタイプとサイズの工作機械の受け部に取り付けることができるように、同じタイプとサイズである。同様に、第一と第二の取付フランジ25、43の厚さ、中心ボス46の直径と厚さおよび中心穴27の大きさと構造は、図の結合システム10のすべてを通じて同じであってもよい。しかしながら、必ずしも同じでなくてもよい。
【0024】
図4A、図5Aおよび図6Aを参照すると、4インチ径エンドミル切削装置20のための結合システムは、図5Aに示される4インチ径エンドミル切削装置20のための第一の取付フランジ25の直径と同じ直径の第二の取付フランジ43を有する図4Aに示されるアダプタ40を有する。第二の取付フランジ43は、中心ボス46を中心として3つの同心円状パターン51、52、53として配列された複数の取付穴50を有する。最も外側のパターン53は、図5Aに示される4インチ径エンドミル切削装置20のための第一の取付フランジ25の取付穴29の同心円状パターン32に対応する。中間のパターン52は、図5Bに示される3インチ径エンドミル切削装置20および図5Cに示される長さ2インチ径エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の取付穴29の同心円状パターン31に対応する。最も内側のパターン51は、図5Dに示される2インチ径エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の取付穴29の同心円状パターン30に対応する。
【0025】
図4Aに示される第二の取付フランジ43はまた、3つのポスト47、48、49を3組として配列された複数のポスト47、48、49を有する。各組のポストは、中心ボス46から第二の取付フランジ43の外周に向かって延びる半径方向の線R(図1に示す)に沿って配列される。その結果、第二の取付フランジ43は、図5Aから図5Dに示される切削装置20のいずれの第一のフランジ25でも受けることができる。
【0026】
特に、半径方向に最も外側のポスト49は、半径方向に中間のポスト48と半径方向の最も内側のポスト47より大きく、サイズにおいて、図5Aに示される4インチ径エンドミル切削装置20のための第一の取付フランジ25の複数の溝28に対応し、最も外側のポスト49が4インチ径エンドミル切削装置20のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成するようになっている。半径方向に中間のポスト48は、半径方向に最も内側のポスト47より大きく、サイズにおいて、図5Bに示される3インチ径エンドミル切削装置20と図5Cに示される2インチ径ロング形エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の複数の溝28に対応して、中間ポスト48が3インチ径エンドミル切削装置20と2インチ径ロング形エンドミル切削装置20のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成するようになっている。半径方向に最も内側のポスト47は、サイズにおいて、図5Dに示される2インチ径エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の複数の溝28に対応し、最も内側のポスト47が2インチ径エンドミル切削装置20のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成するようになっている。
【0027】
このように、認識されるべき点として、図4Aに示されるアダプタ40には、アダプタ40の第二の取付フランジ43と同じまたはそれより小さな直径の第一の取付フランジ25を有する切削装置20を取り付けることができる。そのために、第二の取付フランジ43は、3種類のサイズの第一の取付フランジ25の取付穴29のそれぞれのパターン30、31、32に対応する取付穴50の3つの同心円状パターン51、52、53と、3種類のサイズの第一の一体的フランジ25のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成する少なくとも3つのポスト47、48、49を備える。
【0028】
図4B、図5Bおよび図6Bを参照すると、3インチ径エンドミル切削装置20のための結合システムは、図5Bに示される3インチ径エンドミル切削装置20のための第一の取付フランジ25の直径と同じ直径の第二の取付フランジ43を有する図4Bに示されるアダプタ40を有する。第二の取付フランジ43は、中心ボス46を中心として2つの同心円状パターン51、52として配列された複数の取付穴50を有する。最も外側のパターン52は、図5Bに示される3インチ径エンドミル切削装置20および図5Cに示される長さ2インチ径エンドミル切削装置20のための第一の取付フランジ25の取付穴29の同心円状パターン31に対応する。最も内側のパターン51は、図5Dに示される2インチ径エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の取付穴29の同心円状パターン30に対応する。
【0029】
図4Bに示される第二の取付フランジ43はまた、2つのポスト47、48を2組として配列された複数のポスト47、48を有する。各組のポストは、中心ボス46から第二の取付フランジ43の外周に向かって延びる半径方向の線R(図1に示す)に沿って配列される。半径方向に最も外側のポスト48は、半径方向に最も内側のポスト47より大きく、サイズにおいて、図5Bに示される3インチ径エンドミル切削装置20と図5Cに示される2インチ径ロング形エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の複数の溝28に対応して、最も外側のポスト48が3インチ径エンドミル切削装置20と2インチ径ロング形エンドミル切削装置20のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成するようになっている。半径方向に最も内側のポスト47は、サイズにおいて、図5Dに示される2インチ径エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の複数の溝28に対応し、最も内側のポスト47が2インチ径エンドミル切削装置20のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成するようになっている。
【0030】
このように、認識されるべき点として、図4Bに示されるアダプタ40には、アダプタ40の第二の取付フランジ43と同じまたはそれより小さな直径の第一の取付フランジ25を有する切削装置20を取り付けることができる。そのために、第二の取付フランジ43は、2種類のサイズの第一の取付フランジ25の取付穴29のそれぞれのパターン30、31に対応する取付穴50の2つの同心円状パターン51、52と、2種類のサイズの第一の一体的フランジ25のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成する少なくとも2つのポスト47、48を備える。
【0031】
図4C、図5Cおよび図6Cを参照すると、図4Cに示されるアダプタ40は、図1から図3に関して上で説明したアダプタ40と同じであり、前述の、図4Bに示されるアダプタ40と同一である。同様に、図5Cに示される2インチ径ロング形エンドミル切削装置20と図6Cに示されるアダプタは、図1から図3に関して上で説明したものと同じである。2インチ径ロング形エンドミル切削装置20には、より大きな第一の取付フランジ25が設けられ、より大きな第二の取付フランジ43を有するアダプタ40に取り付けられ、切削装置20の動作安定性が改善される。
【0032】
図4D、図5Dおよび図6Dを参照すると、2インチ径エンドミル切削装置20は、図5Dに示される2インチ径エンドミル切削装置20のための第一の取付フランジ25の直径と同じ直径の第二の取付フランジ43を有する、図4Dに示されるアダプタ40を有する。第二の取付フランジ43は、中心ボス46を中心とした単独の同心円状パターン51として配列された複数の取付穴50を有する。パターン51は、図5Dに示される2インチ径エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の取付穴29の同心円状パターン30に対応する。
【0033】
図4Dに示される第二の取付フランジ43はまた、中心ボス46を中心として同心円状に配列された複数のポスト47を有する。ポスト47は、サイズにおいて、図5Dに示される2インチ径エンドミル切削装置20の第一の取付フランジ25の複数の溝28に対応し、ポスト47が2インチ径エンドミル切削装置20のそれぞれの溝28とつがい係合部を形成するようになっている。
【0034】
図5Aから図5Dに示されるように、4インチ径エンドミル切削装置20は9個の固定手段60によってアダプタ40に連結され、3インチ径エンドミル切削装置20と2インチ径ロング形エンドミル切削装置は6個の固定手段60によってアダプタ40に連結され、2インチ径エンドミル切削措置20は、3個の固定手段60によってアダプタ40に連結される。
【0035】
本発明のある実施形態によれば、切削装置20とアダプタ40は一体の部品として、当業者の間で周知のいくつの機械加工技術によって鋼から機械加工されてもよい。切削装置20の第一の取付フランジ25は、切削部23と同じ加工対象物から機械加工してもよい。同様に、アダプタ40の第二の取付フランジ43および中心ボス46は、テーパ付シャンク41と中間フランジ42と同じ加工対象物から機械加工してもよい。
【0036】
上記の詳細な説明の中では、フライス結合システムのいくつかの実施形態を説明したが、当業者は、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、これらの実施形態に改良や変更を加えてもよい。したがって、上記の説明は、限定ではなく例示のためのものである。上で説明した本発明は、付属の特許請求範囲で定義され、特許請求範囲と同等物の意味と範囲内に入る、本発明への変更はすべて、その範囲内に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に固定される予定のアダプタに切削装置を取り付けるための結合システムであって、
本体を有する切削装置であって、第一の端において、前記本体の第二の端まで延びる切削部と一体の第一の取付フランジを備え、前記第一の取付フランジが少なくとも部分的に前記第一の取付フランジの中へと延びる中心穴か、または前記第一の端に配置されそこから延びる中心ボスのいずれか一方と、前記第一の取付フランジの中へと延びる複数の取付穴を備える切削装置と、
本体を有する前記アダプタであって、前記本体の第二の端まで延びるシャンクと一体の第二の取付フランジを備え、前記第二の取付フランジは、少なくとも部分的に前記第二の取付フランジの中へと延びる中心穴か、または前記第一の端に配置されそこから延びる中心ボスのうちのもう一方と、少なくとも部分的に前記第二の取付フランジの中へと延びる複数の取付穴を備えるアダプタと、
を備え、
前記取付フランジの一方の中心ボスは、前記他方の取付フランジの中心穴とつがい係合部を形成して、前記第一の取付フランジと前記第二の取付フランジが共通の中心で整列するようになっており、
複数の固定手段が、前記第一の取付フランジの前記複数の取付穴を通って前記第二の取付フランジの前記複数の取付穴の中へと延び、前記第一の取付フランジが前記第二の取付フランジに装着されるようになっている結合システム。
【請求項2】
前記第一の取付フランジは中心穴を備え、前記第二の取付フランジは中心ボスを備える、請求項1に記載の結合システム。
【請求項3】
前記取付穴は前記中心軸を中心として同心円状である、請求項1に記載の結合システム。
【請求項4】
前記第一の取付フランジと前記第二の取付フランジの直径は同じである、請求項1に記載の結合システム。
【請求項5】
一方の取付フランジの直径はもう一方の取付フランジの直径より小さい、請求項1に記載の結合システム。
【請求項6】
少なくとも一方の取付フランジは、その中心軸を中心として配置された取付穴を2組以上備え、取付穴の第一の組は前記取付フランジの周辺付近に位置付けられ、取付穴のその他の各組は、第一の組より前記取付フランジの前記中心軸に近づけて位置づけられる、請求項1に記載の結合システム。
【請求項7】
少なくとも一方の取付フランジは、その中心軸を中心として同心円状に位置付けられた取付穴を2組以上備え、取付穴の第一の組は、前記取付フランジの周辺の付近に位置付けられ、取付穴のその他の各組は、前記第一の組より前記取付フランジの前記中心軸に近づけて位置づけられる、請求項1に記載の結合システム。
【請求項8】
各取付フランジは、前記第一の取付フランジが前記第二の取付フランジに装着されたときに、前記取付フランジの外周から前記中心軸または中心ボスとの間に位置付けられたポストまたは溝の少なくとも1つが、対応する溝とつがい係合部を形成する、請求項1に記載の結合システム。
【請求項9】
前記第一の取付フランジは、前記溝と中心穴を備え、前記第二の取付フランジは前記ポストと中心ボスを備える、請求項8に記載の結合システム。
【請求項10】
前記取付穴は前記中心軸を中心として同心円状である、請求項8に記載の結合システム。
【請求項11】
前記第一の取付フランジと前記第二の取付フランジの直径は同じである、請求項8に記載の結合システム。
【請求項12】
一方の取付フランジの直径は、前記もう一方の取付フランジの直径より小さい、請求項8に記載の結合システム。
【請求項13】
少なくとも一方の取付フランジは、その中心軸を中心として位置付けられた取付穴を2組以上備え、取付穴の第一の組は前記取付フランジの前記周辺の付近に位置付けられ、取付穴のその他の各組は、前記第一の組より前記取付フランジの前記中心軸に近づけて位置付けられる、請求項8に記載の結合システム。
【請求項14】
少なくとも一方の取付フランジは、その中心軸を中心として同心円状に位置付けられた取付穴を2組以上備え、取付穴の第一の組は、前記取付フランジの前記周辺の付近に位置付けられ、取付穴のその他の各組は、前記第一の組より前記取付フランジの中心軸に近づけて位置づけられる、請求項8に記載の結合システム。
【請求項15】
前記取付フランジのいずれかが2つ以上のポストを備え、前記ポストは、前記フランジの前記中心軸から前記フランジの前記外周へと延びる共通の半径方向の線に沿って配置される、請求項8に記載の結合システム。
【請求項16】
各半径方向の線に沿った前記ポストはサイズが異なり、異なるサイズのそれぞれの溝とつがい係合部を形成する、請求項15に記載の結合システム。
【請求項17】
前記最も外側のポストは、前記最も内側のポストより大きい、請求項16に記載の結合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A−4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2012−510376(P2012−510376A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538709(P2011−538709)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/066066
【国際公開番号】WO2010/065440
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(399031078)ケンナメタル インコーポレイテッド (182)
【氏名又は名称原語表記】Kennametal Inc.
【住所又は居所原語表記】1600 Technology Way Latrobe PA 15650−0231, USA
【Fターム(参考)】