説明

フラバノン類を含んでいる皮膚、毛髪及び外皮の健康を改善するための組成物

本発明は、炎症反応、環境因子、加齢又は癌により影響を受けるような皮膚及び毛髪/外皮の損傷を防止、軽減及び/又は治療するための組成物に関する。特に、本発明はヒト又はペット動物の皮膚及び外皮状態改善用の栄養、美容又は医薬組成物中でのフラバノン類化合物又はそれらの誘導体類の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症反応、外界の因子群、加齢又はガンで影響を受けるような皮膚及び毛髪/外皮の障害又は損傷を防止、低減及び/又は治療する組成物に関する。特に、本発明はヒト又はペット動物の皮膚及び外皮状態を改善するための栄養、美容又は医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
生き物における最も重要な上皮組織は皮膚で、皮膚は生物の中で最も大きな組織であるといえる。表皮、真皮及び角質層を含む皮膚外皮の系は内部器官の系と相関関係を有するとともに外界と相互に作用している。環境及び生物の間の接触面でありながら、当該皮膚は外部因子群とともに、生物内部系の種々なパラメーター群に非常に影響を受ける。当該皮膚の調節機構はそれ故に、皮膚外皮の形態及び働きに関する通常の病的事象を保守するために必要な全身的変化を誘導するために常に活動的である必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当該皮膚の必要に応じたエネルギッシュで柔軟的な物質の増大した豊富さを適度に消費することを保証する多くの工程が、皮膚構造の形態的及び機能的な安定性を確かなものとする。そこで外皮の状態が、バリヤー機能、弾性、張り、保湿性、色素沈着などのような健常皮膚特性を導く皮膚細胞の存続と活動に必要な代謝工程の実現を決定する。
【0004】
生き物の一生を通じて、加齢の特徴である異なる兆候が皮膚又は毛髪に現れ、主なる臨床的症状には小ジワ及び年とともに増加又は目立つ深い皺、毛髪の減少、毛髪密度の低下、つや、色、脂性、繊維直径などの外観がある。
【0005】
これらの加齢の兆候は、例えばUV照射、汚染物質、フリーラジカル又は化学物質群のような外界の影響に皮膚や毛髪が曝されることで更に一層加速される。
【0006】
皮膚上皮細胞群への環境又は加齢の有害な作用を防ぐために技術的に幾つかの手段が提案されてきた。例えば、皮膚の変質又は加齢を防ぐ手段にはフリーラジカル群を消去する化合物群が提供されている。この点でEP0761214はアニリン誘導体群及びジフルフリルアミン誘導体を含んでいる一重項酸素消去剤を開示しており、それらは当該皮膚への酸化的ストレスを低減すると報告されている。
【0007】
皮膚及び毛髪又は外皮の健康を改善するための活性化合物群は非常に多様であるが、技術的にはこれからも新規活性化合物を提供する必要性が存在する。特に、本発明の目的はヒトやペットが長期間使用することができ、そして例えば栄養組成物のような栄養補助食品の形態で提供されやすい組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(本発明の概要)
第1の態様では、本発明はヒト又はペットのための栄養、美容又は医薬組成物に関し、それらは少なくとも活性化合物として、1種のフラバノン化合物又はその誘導体群或いはそれらの混合物を、皮膚、毛髪及び/又は外皮の不調を防止又は治療及び皮膚、毛髪及び外皮の健康を改善するのに十分な量を含有する。
【0009】
他の態様では、本発明は皮膚、毛髪及び/又は外皮の不調を防止又は処置してヒト又はペットにおける皮膚の健康を改善する栄養、美容又は医薬組成物の調製における活性化合物として、少なくとも1種のフラバノン又はその誘導体群或いはそれらの混合物を使用する。
【0010】
本発明記載の組成物は完全栄養処方、ヒト又は動物に経口投与される栄養補助食品又は医薬的使用の複合物の形態であってよい。
【0011】
上述した食品組成物をヒト又はペット動物に投与すると、例えば光防護、保湿、乾燥、硬さ、厚さ、弾力性、脂性、正常な色素生成、免疫について皮膚の健康の改善、又は毛髪及び外皮のツヤ、毛髪密度、色、脂性の改善、毛髪繊維の直径、皮脂産生、ツヤの改善及び毛髪と外皮損失の防止などの結果を生じる。同様に、本発明記載の組成物はヒト又は動物に投与して抗酸化状態、バリヤー機能を改善して酸化状態、皮脂の産生又は組成を防止又は調節したり、加齢の兆候を軽減したりする。同様にガン又は炎症の危険性を低下させるのに役に立つ。
【0012】
(本発明の詳細な説明)
第1の目的によれば、当該発明はヒト又はペットに経口投与するための栄養、美容又は医薬組成物を提供することで、これは活性化合物、少なくとも1種のフラバノン化合物又はその誘導体或いはそれらの混合物を皮膚、毛髪及び/又は外皮の不調或いは損傷を軽減する効果量を含有しており、これにより皮膚、毛髪及び外皮の健康を改善する。
【0013】
関心のあるフラバノン化合物は、例えばオレンジ、レモン、ダイダイ、グレープフルーツのような柑橘属が主で、又はそれより少ないが他の野菜類に見出すことができる天然グリコシド類である。当該成分は果実の果皮に主として存在するが、同じように果肉及び柑橘類果実のジュースにも多量に存在する。本発明記載の化合物群は例えばイソサクラネチン、ナリンジン、ヘスペリジン又はエリオジクチオール、ポンシリン、ネオエリオシトリン及びそれらのアグリコン型、カルコン型、グリコシル化型又はメチル化型から選ばれる誘導体がよい。同じように、血液中の代謝生成物として見出されるそれらのサルフェート化型又はグルクロン酸抱合型も使用される。
【0014】
最後の態様では、誘導体群は酵素的処理のような当該技術分野で知られている幾つかの製法で得ることができる。例えば、グルコース‐7‐ヘスペレチンはラムノシダーゼ又はヘスペリジナーゼ処理で調製される。
【0015】
本発明記載のフラバノン化合物又は誘導体群は個体に当該物質を投与するのに適したいずれかの組成物、特に食品組成物、美容組成物又は医薬組成物中に含有されていてよい。
【0016】
好ましい実施形態では、ヒト消費用の食品組成物を調製する。この組成物は栄養的完全処方、乳製品、冷蔵又は棚置き飲料、スープ、栄養補助食品、中食及び栄養バー又は菓子類でありうる。当該組成物は乳又は、例えばヨーグルト、カード、チーズ、乳に基づく発酵製品類、アイスクリーム類、乳に基づく粉末、特殊調製粉乳、シリアル製品及び発酵シリアルに基づく製品のような発酵乳製品、清涼飲料水、ミネラルウォーター、チョコレート又は少なくともフラバノン化合物又はその誘導体の1種を含有するペット食品からなる群より選ぶことができる。当該経口投与用の栄養補助食品はカプセル類、ソフトカプセル類、錠剤類、ペースト類又はトローチ類、ガム類又は飲用溶液或いは飲用乳液であってもよい。それらの調製法は周知のものである。
【0017】
上記の如く、フラバノン類化合物は柑橘類果実中、特にオレンジ類、レモン類及びグループフルツ、それらの果皮又は果肉に自然に見出せるものである。従って最初の態様では当該栄養組成物は当該果実のジュースの形又は濃縮物の形であってよい。そこで、当該栄養的組成物はいずれの食品製品、特にいずれの清涼飲料、柑橘類ジュース又は柑橘系果実の果皮又は果肉からの他のいずれの抽出物であってよい。
【0018】
他の実施形態では、通常製品は、好ましくは柑橘類抽出物の形態でフラバノン類を豊富に含むことができる。例えば、発酵乳、ヨーグルト、生チーズ、レンネット処理乳、菓子類バー、朝食用シリアルフレーク類又はバー類、飲み物類、粉乳、大豆ベース製品類、非乳系発酵製品類又は臨床栄養用の栄養補助食品類である。特にフラボノン類、特にヘスペリジンをオレンジ及びレモンから豊富に含んだ抽出物を調製する製法は米国特許第2,400,693号及び米国特許第2,442,110号にそれぞれ記載されている。
【0019】
更なる態様によれば、当該明細書に含まれるフラバノン化合物類は合成的に生産されてもよい。
【0020】
本発明記載の栄養組成物はフラバノン化合物類、その誘導体類又はそれらの混合物を毎日経口投与に適合する量で、フラバノン化合物のアグリコン当量で約0.01mgから1g、好ましくは約0.1mgから800mg、より好ましくは10mgから800mgを含む。
【0021】
本発明記載のフラバノン類は単独或いは、ビタミンC、ビタミンE(トコフェロール類及びトコトリエノール類)、カロテノイド類(カロテン類、リコピン、ルテイン、ゼアキサチン、ベータ‐クリプトキサンチンなど)、ユビキノン類(例えばCoQ10)、カテキン類(例えば、エピガロカテキンガレート)、ポリフェノール類及び/又はジテルペン類(例えばカフェオール及びカフェストール)含有のコーヒーエキス、チコリーの抽出物、イチョウの葉エキス、ブドウ又はプロアントシアニジン類に富むブドウ種子エキス、香辛料エキス(例えば、ローズマリー)、イソフラボン類及び類縁フィトエストローゲン類含有ダイズエキス類並びに抗酸化活性を有する他のフラボノイド源、例えばn‐3の脂肪酸などの脂肪酸類、プレバイオティック繊維、プロバイオティック微生物類、タウリン、レスベラトロール、アミノ酸類、セレン及びグルタチオンの前駆体類のような他の活性化合物類と組合せて使用してもよい。
【0022】
他の実施形態では、医薬組成物を予防的及び/又は治療的処置のために投与できる。治療的適用では、組成物は以下の本明細書に記載されているように既に疾患で悩んでいる患者に治療又は少なくとも部分的に当該疾患及びその合併症の徴候を阻むのに十分な量を投与する。これを達成するのに適当な量を“治療的効果投与量”と規定する。これに効果的な量は当該疾病の重度及び当該患者の体重と症状に依存する。
【0023】
予防的応用では、本発明記載の組成物は特定の疾病に感染しやすい、又はそうしなければ危険性のある患者に投与される。当該量は“予防的効果量”と規定される。この使用において、当該正確な量は同様に患者の健康状態及び体重に依存する。好ましくは、ヒトにとって本発明記載の医薬組成物は上記のようなフラバノン化合物類、その誘導体類又はそれらの混合物を、一日の投与量として約0.01mgから500mgの量を含む。ペット類に投与するときは、当該組成物はフラバノン化合物類をアグリコン当量で1mgから500mgを含むことができる。
【0024】
本発明の化合物類は好ましくは薬学的に許容される担体、性質が例えば非経口、静脈注射、経口及び局所(眼科用を含む)経路など投与の方法で異なる当該担体とともに投与される。
【0025】
当事者であれば、それ自身の知識に基づいて注射、局所塗布、経鼻投与、埋め込みによる投与又は経皮徐放性放出系などの手段による投与経路を考慮しながら活性化合物を皮膚又は毛髪を標的として適切な成分及び生薬を選ぶであろうことは理解されるであろう。
【0026】
目的の物質はローション類、シャンプー類、クリーム類、サンスクリーン類、アフターサンクリーム類、サンブロッカー、抗加齢用クリーム類及び/又は軟膏類のような化粧品にも処方できる。当該化粧品類は当事者には既知である異なる成分の混合物を含有し、目的物質を皮膚へと素早く浸透させ、保存中それらの分解を防止するようにしているのは理解されるであろう。
【0027】
本発明の概念は現在使用されている薬物治療を補助するアジュバント療法として同様に応用されることは理解されるであろう。本発明の化合物群は食品材料とともに容易に投与できるので、当該目的物質を大量に含有している特別病床食事に応用できる。本明細書とともに添付請求項を読めば、当事者であれば本明細書で言及した特定の実施形態に代わる様々なものを想定するであろうことは明らかである。
【0028】
原則として本発明記載の化合物群は、例えば科学的、生物的又は物理的ストレスのようなストレス状態、例えばオキシダント又は発ガン性物質への曝露、微生物、ウイルス、真菌、周辺の細胞及び/又は微生物群由来の脂質又はUV照射への曝露で起こる皮膚における損傷を治癒及び/又は防止するのに使用できる。
【0029】
結果として、本発明記載の物質群及び組成物群は当該皮膚の、特に乾燥、光線性角化症、不規則な色素沈着(特にソバカス、ホクロ、滴状低メラニン症及び持続性色素沈着過度を含む)、シワ(特に小ジワ及び深いシワを含む)、星状偽瘢痕、弾性繊維症、弾性欠如、毛細血管拡張、静脈凹窩、紫斑病、コメド、皮脂過生成、先端線維性軟疣、チェリー血管腫(cherry angiogema)、脂漏性角化症、ソバカス、基底細胞癌腫と角化細胞癌腫、日焼け及び/又は水疱形成、表皮肥厚、炎症、免疫抑制、及び例えば非メラノーマ及びメラノーマ皮膚癌のような癌の如き損傷を処置及び/また防止するために使用できる。これらは毛髪及び外皮に対しても、毛髪又は外皮の改善された密度、毛髪太さ、色、脂質、ツヤ、脂質産生などに特段の有用性、及び毛髪又は外皮損失を防ぐ手助けをする。
【0030】
本発明記載のフラボノン類又はその誘導体群の栄養補足のヒト又はペット皮膚への効果は、最小紅斑量(MED)、測色、経皮水分蒸散量、DNA修復(e.g.p.53)、インターロイキン類及びプロテオグリカン類産生の測定又はコラゲナーゼ活性、バリヤー機能又は細胞再生を含む従来法を用いて測定できる。
【0031】
以下の実施例は本発明をより詳細に示しているが、本発明をそれに限定してはいない。
【実施例1】
【0032】
実施例1:フラバノンを補充したミネラルウォーター
平均消費量が1日当たり1リットルと推定して、ミネラルウォーターにヘスペリジンをリットル当たり0.01mgから200mgを加えて調製した。
【実施例2】
【0033】
実施例2:経口投与用の美容製品
硬カプセルの形態である組成物は以下の処方を有する:
【表1】

【実施例3】
【0034】
実施例3:缶詰めのペットフード及び補助食品
トリ肉、ブタ肺及びウシ肝臓(挽肉)を73%、小麦粉16%、水7%、染料2%、香味、ビタミン類及び無機塩類から混合物を調製する。この混合物を12℃で乳化し、腸詰の形態に押出して、これをその後90℃で調理する。これを30℃に冷却し、厚切りにする。厚切り45%を、水98%、染料1%及びグアガム1%で調製したソース55%と混合する。ブリキ缶に充填し、125°で40分間滅菌する。
【0035】
供する前にペットフードと混合する補充物として、ヘスペレチン当量50mgを伴う子袋形態の追加用包装を柑橘類エキスの形で用意する。これを当該缶に取り外し可能な付録物として取り付けて給餌取扱書とともに提供する。
【実施例4】
【0036】
実施例4:機能性食品
栄養補助食品をフラクトオリゴサッカライドとイヌリンにつき、重量で約70%のフラクトオリゴサッカライド及び約30%のイヌリンの比率とし、ヘスペレチン当量で500mgを加えて混合するか混和して調製した。得られたプレバイオティック混合物はいずれかの適切な担体、例えば発酵乳、ヨーグルト、生チーズ、レンネット処理乳、菓子バー、朝食用シリアルフレーク類又はバー類、飲料、粉乳、大豆を基にした製品、非乳発酵製品或いは臨床栄養用の栄養補助食品に混合又は混和することができる。
【実施例5】
【0037】
材料及び方法
細胞毒評価
ヒト不死化ケラチノサイト(HaCaT)を10μMヘスペレチン、10μMヘスペレチン‐7‐O‐グルクロナイド或いは陰性対照としてDMSOの等量とともに16時間、誘発の1時間前まで培養した。細胞群はその後、細胞内で反応性酸素種を生成する生物異物である100μMのメナジオンで処理した。非メナジオン処理細胞群を陽性対照として使用した。5時間後当該上澄液につき細胞死に関する尺度として乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性をCytoTox96非放射性細胞毒性評価法(Promega,米国)を用いて分析した。
【0038】
皮膚検体
ラットの皮膚生検をヘスペリジンでの成長試行(図2)から採取した。真皮を切り取り、一部分を4%PFAで固定してパラフィン包埋し、一部分は凍結保存し、他の部分を直ちに液体窒素中で凍結した。
【0039】
組織診断
パラフィン切片
ラット皮膚を切断し、4%のパラアルデヒドPBS液(pH7.4)中に4日間固定し、Leica Microsysteme包埋装置を用いてパラフィン中に包埋した。当該組織をPBS及び生理食塩水(0.9%NaCl)で洗浄し、増加するエタノール濃度を伴う生理食塩水:30%、50%、70%、90%、99%、100%各々に30分間及び100%に更に1時間通過させて脱水した。組織試料をキシレン中で2回30分温置し、次いで2〜3時間及び3時間60℃でパラフィン蝋中に温置した。Leica Microtomeを用いて6μm厚さの切片に切断した。切片群をキシレン中で5分間脱蝋し、増加するエタノール濃度:100%、96%、90%、80%、70%及び50%エタノール各々に1分間通過させて脱水した。最終的に、切片群は蒸留水中に移し、染色した。
【0040】
ヘマトキシリン/エオシン染色
再水和した切片をメイヤーのヘマトキシリン溶液中で45秒間染色し、以下の一連の溶液:蒸留水、水道水、蒸留水及び70%エタノールで各々1分間洗浄した。エオシン溶液(90%エタノール中で1%(容量/容量))中で10秒間染色した後、切片群を90%及び100%エタノール中で洗浄した。キシレン中で2回10分間温置した後、Eukitとともにカバーガラスを載せ、室温で2時間空気乾燥した。
【0041】
RNA法
RNAを扱う実験に関する一般的方法
RNAに関する実験では、滅菌プラスチック又は熱処理ガラス容器(180℃で少なくとも8時間)を用いた。ピペットマンを含む全ての表面は使用前にRNase ZAPで清浄化し、Aerosol resistant tipsのみを使用した。
【0042】
装置
ABI PRISM(登録商標)7000HT Sequence Detection System,Applied Biosystems,USA
ABI PRISM(登録商標)7000RT‐PCR software,Applied Biosystems,USA
PCRサイクラー(Cycler),例えばPTC‐100 Programmable Thermal Controller,MJ Research Inc.,USA
Agilent 2100 bioanalyzer,Agilent Technologies,USA
蛍光プレートリーダー(Fluorescence Plate Reader),例えばSpectra Flour Plus F129005,Tecan,USA
Multifuge 3S,Heraeus with special buckets for MFC centrifugation,Kendro Laboratory Products,Switzerland
冷却遠心分離機(Cooling Centrifuge),例えばCentrifuge 5417R,Eppendorf,Germany
【0043】
試薬類
Totally RNA Kit(Art.No.1910),Ambion,USA
Lysing Matrix D(Art.No.6913‐100)、Q BIOgene,France
RNA 6000 Nano Assay(Art.No.5065‐4475 and 5065‐4476)、Agilent Technologies,USA
Assays‐on‐demand(20x stock,Applied Biosystems,USA)
RNase ZAP(Art.No.9780),Ambion,USA
ヌクレアーゼフリー水(Nuclease‐free water)(ddHO,Art.No.9939),Ambion,USA
Milli‐Qろ過水(filtered water)(0.22μM,ddHO)
エタノール,分析用(Art.No.02860),Fluka
ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS,Art.No.D8537),Sigma
β‐メルカプトエタノール(Art.No.M7522),Sigma,USA
RiboGreen RNA Quantitation Kit(Art.No.R‐11490),Molecular Probes,USA
SUPERase‐In RNase阻害剤(Inhibitor)(20U/μl,Art.No.2694),Ambion,USA
SuperScript II RNase H逆転写酵素(reverse transcriptase)(200U/μl,Art.No.18064−014),Invitrogen,USA
First‐strand緩衝液(buffer)(5x):250mM NaCl,0.1mM EDTA,1mM DTT,0.1%(v/v)NP‐40,50%(v/v)グリセロール,SuperScriptII RNaseH逆転移酵素を含む
ジチオスレイトール(DTT,1mM),SuperScriptII RNase H逆転移酵素を含む
2’‐デオキシアデノシン‐5’‐トリホスフェート(dATP,100mM,Art,No.272050)、Amersham Biosciences,England
2’‐デオキシシチジン‐5’‐トリホスフェート(dCTP,100mM,Art,No.272060)、Amersham Biosciences,England
2’‐デオキシグアノシン‐5’‐トリホスフェート(dGTP,100mM,Art,No.272070)、Amersham Biosciences,England
2’‐デオキシチミジン‐5’‐トリホスフェート(dTTP,100mM,Art,No.272080)、Amersham Biosciences,England
pd(N)ランダム6量体(Random hexamer)(Art.No.27‐2166‐01),Amersham Biosciences,England
TaqMan Universal PCR Master Mix(Art.No.PN4304437),Applied Biosystems,USA
【0044】
【表2】

【0045】
RNA抽出
皮膚検体をLysing Matrix Dにてホモジナイズし、製造業者の使用説明書に従って全RNAをTotally RNA Kitを用いて抽出した。RNAはヌクレアーゼフリーの水40μlで溶出した。
【0046】
RNA定量
当該定量は96穴プレートにてRibogreen(登録商標)RNA定量キット及び手動による蛍光マイクロプレートリーダーを用いて行った。当該検体群は最終容量100μl 1xTE緩衝液中に1:680又は1:3400のいずれかに希釈した。1、0.5、0.1、0.02、0μg/mlの濃度のリボソームRNA希釈液を標準として使用した。RNA 6000 Nano Assayを用いて1μlのRNAの完全性を調整した。
【0047】
逆転写
全ての操作は氷上で行った。2μlのpd(N)6ランダム6量体及び1μlのdNTP(10mM)を最終容量12μlのヌクレアーゼフリー水中のRNA2μgに添加した。65℃で5分間温置した後、検体を氷上に置いて、素早く遠心分離した。その後、4μlの5Xファーストストランドバッファー、2μlのジチオスレイトール、1μlのRNase阻害剤及び1μlの逆転写酵素のSuperScript II RNase Hを加えた(最終容量20μl)。当該逆転写反応は以下の温度プログラムを用いてPCRサイクラー中で実施した:当該酵素の阻害:25℃で10分間;逆転写反応:42℃で60分間;当該酵素の阻害:70℃で20分間。その後当該検体は20℃の冷蔵庫中にて使用するまで保存した。
【0048】
実時間ポリメラーゼ鎖反応
当該実時間PCRをTaqMan(登録商標)法により96穴プレート(96WP)においてAssay‐on‐demandプライヤー及びプローブを用いて実施した。分析は43.7μlのTaqMan(登録商標)2x Universal PCRマスターミックス、4.4μlのAssay‐on‐demandプライヤー及びプローブ、21.9μlのヌクレアーゼフリー水及び17.5μlのcDNA(87.5ng=複製当たり25ng)を含有するマスターミックス(3.5x)を用いて3回行った。3通りの25μlのマスターミックスを96穴のABI Prism反応プレートに負荷し、透明なOptical adhesive coverで蓋をして3回2000rpmで1分間遠心分離或いは全ての空気泡が除かれるまで遠心分離した。当該PCR反応はその後以下の温度プログラムを用いてABI Prism(登録商標)7000 Sequence Detection Systemにおいて実施した:当該酵素の活性化を:50℃で2分間;変性を:95℃で10分間、及び40循環の標的増幅を:95℃で15分間のアニーリングと60℃で1分間延長。当該増幅プロットの分析はABI PRISM(登録商標)ソフトウェアーを用いて行った。ベースラインの調整は個々に行ったが(Il6:15〜25、Cd1d1:10〜20、Pcna:15〜25;Gapd:6〜15)、閾値は手動で全てのプライマーにつき0.2とした。当該得られたCtは更に分析するためにMicrosoft Excelに移した。
【0049】
統計分析
データはANOVAで分析した。
【0050】
結果と検討
固定化ケラチノサイト(HaCat)を用いた生体外実験では、ヘスペレチン(hp)及びヘスペレチン‐7‐O‐グルクロニド(hp‐7‐O‐gluc)による処理は通常の培養条件下で細胞死を低減させる。hp及びhp‐7‐O‐glucの保護効果は反応性酸素種(ROS)の細胞内レベルを増加させる生体異物であるメナジオンで攻撃された細胞にてより顕著であった。更に、血液中でヘスペリジンの主な代謝物であるhp‐7‐O‐gluはそのアグリコンであるhpと比べてより強力である(図1)。
【0051】
ヘスペリジンの保護効果を更に成長期雌ウイスターラットを用いた動物での介入試験で検討した。離乳後、ラット群を各12匹を無作為に3群に分け、対照食餌又は異なる2用量(0.1%及び0.5%)を用いたヘスペリジン補充食餌の何れかで補った。12週齢でラットを屠殺し、皮膚を皮膚組織診断及びmRNA分析(図2)に使用した。当該皮膚の病理組織分析はヒスペリジン食餌で飼育した動物群にて炎症細胞数の減少が見られた。代表的画像を図3に示す(3A+D(対照)対3B+E(0.1%ヘスペリジン)対3C+F(ヘスペリジン))。これらの組織的観察はmRNAレベルで確認できた。0.5%ヘスペリジンで飼育したラットは炎症性サイトカインであるIL‐6が顕著に低減したレベルを示した(図4A+C)。更にCD1d1 mRNAレベルはヘスペリジンで補充した両群において顕著に減少した(図4B+C)。
【0052】
これらのデータは明らかにヘスペリジン経口投与の皮膚に関して細胞保護性及び抗炎症性の特性を示している。
【0053】
当該図の簡単な説明を実施例に先立って行う。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1:HaCat細胞を10μMヘスペレチン(hp,赤の棒)又は10μMヘスペレチン‐7‐O‐グルクロニド(hp‐7‐O‐glu,黄の棒)或いは対照としてDMSOの同量(青の棒)とともに培養し、メナジオンとともに或いはなしで引き続き5時間処理する。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性につき当該上澄液を分析し、結果を分析前にトリトン‐X100で溶解させた細胞(100%死菌)との比較で表した。
【図2】図2:ヘスペリジンでの成長試験の実験の設定を示している図表。
【図3】図3:ヘスペリジンで補充されたラット皮膚の組織病理学的分析。6μmの切片を脱蝋し、ヘマトキシリン/エオシンで染色して標本にした。代表的な画像を対照群(A及びD)及びヘスペリジンで補充した群(0.1%:BとE、0.5%CとF)につき2種の倍率で示す。
【図4】図4:CD1d1及びインターロイキン6(IL‐6)の発現について、対照食餌(ctrl)又はヘスペリジン補充食餌(0.1%Hp、0.5%Hp)のいずれかで育てたラットの皮膚から採取した全RNAの実時間PCR分析。検体は各4匹のラットを含む3集団につき分析し、得られたCt値をAではCD1d1につき、BではIL‐6につき示す。点は試行3回の平均を表し、棒は群当たりの全平均を表す。対照食餌と比較した当該補充の比発現及びハウスキーピング遺伝子との比較における倍変化(fold changes)をCにて示す。当該対照食餌を1倍とし、太い線で示す。信頼区間はANOVAを用いて計算した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として、少なくとも1種のフラバノン化合物又はその誘導体類或いはそれらの混合物を皮膚、毛髪及び/又は外皮の傷害を防止、緩和又は治療するのに十分な量を含有する、経口投与用の栄養、美容又は医薬組成物。
【請求項2】
当該フラバノン化合物群がイソサクラネチン、ナリンジン、ヘスペリジン、エリオジクチオール、ポンシリン、ネオエリオシトリンである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
当該誘導体群は当該アグリコン、カルコン、当該フラバノンのグルコシル化型又はメチル化型及び血液中におけるそれらの代謝生成物であるサルフェート化型及びグルクロン酸抱合型である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
当該誘導体は酵素処理で得られるか又は合成的に作られる、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
当該フラバノン化合物はオレンジ、レモン、ダイダイ又はグレープフルーツなどの柑橘類果実の果肉又は果皮から抽出されるものである、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
更にビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類、ユビキノン類、カテキン類、ポリフェノール類及び/又はジテルペン類を含有しているコーヒーエキス類、チコリーの抽出物類、イチョウ葉エキス類、プロアントシアニジン類に富むブドウ又はブドウ種子エキス類、スパイスエキス類、大豆エキス類、抗酸化活性を持つフラボノイド類の他の源、脂肪酸類、プレバイオティック繊維、プロバイオティック微生物、タウリン、レスベラトロール、アミノ酸類、セレン又はグルタチオンの前駆体のような他の活性化合物群を含有する、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、乳に基づく発酵製品、アイスクリーム類、乳に基づく粉末類、特別調整粉乳、シリアル製品群、発酵シリアルに基づく製品群、ミネラルウォーター、チョコレート又はペットフード、栄養補助食品、錠剤或いは美容用製品である、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
皮膚、毛髪及び/又は外皮の障害或いは損傷を防止、緩和又は治療することを意図する組成物の調製用の活性成分として、少なくとも1種のフラバノン化合物又はその誘導体或いはそれらの混合物の使用。
【請求項9】
ヒト又はペット動物に投与して皮膚、毛髪及び/又は外皮の状態の改善を意図する組成物の調製用の活性成分として、少なくとも1種のフラバノン化合物又はその誘導体或いはそれらの混合物の使用。
【請求項10】
当該フラバノン化合物群が、イソサクラネチン、ナリンジン、ヘスペリジン、エリオジクチオール、ポンシリン、ネオエリオシトリンであるか、或いはそれらのアグリコン、カルコン、グリコシレート化若しくはメチル化型、又はそれらの血液中での代謝生成物であるサルフェート化及びグルクロン酸抱合型から選択される誘導体である、請求項8又は9記載の使用。
【請求項11】
当該フラバノン化合物は、オレンジ、レモン、ダイダイ又はグレープフルーツのような柑橘類果実の果肉又は果皮から抽出したものである、請求項8から10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
当該組成物が美容、栄養又は医薬組成物である、請求項8から11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
当該フラバノン化合物類、その誘導体類又はそれらの混合物が当該フラバノン化合物のアグリコン当量で0.01mgから1g、好ましくは0.1mgから800mgが存在する、請求項8から12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
皮膚の障害又は損傷が、加齢又は化学的、生物的又は物理的ストレスのようなストレス状態、オキシダント又は発癌物質、細菌類、ウイルス類、真菌類、周辺細胞及び/又は微生物由来の脂質への曝露、又はUV照射への曝露により生じるものである、請求項8から13のいずれか記載の使用。
【請求項15】
当該組成物は皮膚の光防護、水和、乾燥、硬さ、弾性、脂性、厚さ、正常な色素沈着、バリヤー機能、皮膚弾性を改善し、酸化状態、癌の危険性、炎症を防ぎ、或いは皮脂産生又は皮脂組成を調整し、及び/又は加齢の兆候を軽減することを意図するものである、請求項8から14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
当該組成物は毛髪及び外皮の光沢、毛髪の密度、色、脂性を改善し、毛髪繊維の直径、皮脂産生を改良し、そして毛髪及び外皮の損失を防ぐことを意図する、請求項8から14のいずれかに記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−514695(P2007−514695A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544359(P2006−544359)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014416
【国際公開番号】WO2005/058255
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】