説明

フランジ部材、感光体ドラム、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

【課題】スリーブ部材への圧入時に軸穴が変形したり移動したりすることを、より確実に抑制することができるフランジ部材、並びに、このフランジ部材を備えた感光体ドラム、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体スリーブに圧入される圧入部312と、軸穴313が設けられた軸穴部314と、連結部315とを有し、圧入時に感光体スリーブから受ける応力を吸収し、応力が連結部315を介して軸穴部314に伝わることを抑制する応力吸収穴316を連結部315に備えるフランジ部材35において、連結部315を含む軸方向に直交する仮想平面315fに対して圧入外周面312fを軸方向に沿って投影させた仮想投影円312cの円周上から軸穴部314まで引いた任意の仮想線分318上に、少なくとも一つの応力吸収穴316を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置が備える感光体ドラムに用いることができるフランジ部材、並びに、このフランジ部材を備えた感光体ドラム、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
また、フランジ部材を備えた感光体ドラムを用いた画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては高画質化の要求が高まっている。特にフルカラー印刷などの用途においては、多色の画像のずれが問題とされていれる。
画像形成に使用される電子写真用の感光体ドラムは、周囲に配置された各種ユニットにより、回転しながら帯電、潜像形成、現像、転写、クリーニング等の処理がなされる。高画質化のためには、感光体ドラムに対して表面全域が均一に帯電され、均一な現像条件で現像がなされる必要がある。感光体ドラムは回転しながら用いられるため、高い振れ精度(回転中心から感光体ドラム周面までの距離の均一性の精度)が要求される。一般に電子写真感光体は、アルミニウム等の金属からなる筒状の基体の外周面に感光層を有し、筒状の基体に感光層を設けたスリーブ部材の軸方向端部の端部開口部にフランジ部材が装着されている。
【0003】
感光体ドラムの装置本体に対する支持及び回転は、フランジ部材とフランジ部材に設けられた軸穴に係合する軸部材とを介してなされる。よってフランジ部材は正確かつ強固にスリーブ部材の端部開口部に装着されねばならず、感光体ドラムの円滑かつ狂いのない回転のために、フランジ部材の軸穴は常にスリーブ部材の中心軸に位置することが求められる。また、感光体ドラムの円滑かつ狂いのない回転のためには、スリーブ部材に対するフランジ部材の空転や抜けがあってはならない。このため、スリーブ部材とフランジ部材との組立は、多くの場合圧入(必要に応じて接着併用)により行われている。
【0004】
スリーブ部材の基体とフランジ部材との剛性を比較すると、一般にフランジ部材の方が剛性が低く、圧入時のフランジ部材の変形により軸穴が変形したり移動したりしてしまうという問題があった。これは以下の理由による。
すなわち、フランジ部材は、スリーブ部材の端部開口部に圧入される圧入部と、軸穴が設けられた軸穴部と、圧入されたときにスリーブ部材の円形断面に平行となる方向に延在し、圧入部に軸穴部を連結する連結部とを有する。そして、圧入部がスリーブ部材の端部開口部に圧入されたときにスリーブ部材の端部開口部における内周面に接触する圧入部の外周面がスリーブ部材の内周面から応力を受ける。この応力が連結部を介して圧入部から軸穴部に伝わり、軸穴部に設けられた軸穴が変形したり移動したりしてしまう。
軸穴が変形したり移動したりしてしまうと、スリーブ部材の中心軸に対するフランジ部材の軸穴の位置がずれ、振れ精度が低下する。このため、振れ精度が高い感光体ドラムを安定して生産することが困難であった。
【0005】
特許文献1には、弾性形状を有するフランジ部材が開示されている。しかし特許文献1に記載の弾性形状では応力吸収能力が低く、軸穴が変形したり移動したりして、要求される振れ精度を達成できないという問題があった。さらに、特許文献1に記載の構成では、スリーブ部材とフランジ部材とが密着していない部分があり、空転や抜けが生じるという問題があった。
【0006】
特許文献2及び特許文献3には、連結部の圧入部に接続している部分と軸穴部との間を直線状のリブで連結し、連結部の圧入部に接続している部分と軸穴部との間のリブ以外の部分を穴部とした構成が記載されている。穴部を設けることで、スリーブ部材の内周面から圧入部の外周面が応力を受けたときに、穴部周辺の連結部が変形することで応力を吸収し、応力が軸穴部に加わり軸穴が変形したり移動したりしてしまうことを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2及び上記特許文献3は、連結部の圧入部に接続している部分と軸穴部とを連結するリブが直線状である。このため、リブの直線に沿う方向の応力がリブに加わると、圧入時に受ける応力が穴部に吸収されることなく、直接、軸穴部に伝わり、軸穴が変形したり移動したりして、振れ精度の悪化が生じるという問題がある。
このような問題は、感光体ドラム用のスリーブ部材に取り付けるフランジ部材の場合に限らず、円筒状のスリーブ部材の軸方向の端部開口部に圧入されるフランジ部材であれば生じ得る問題である。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、第一の目的は、スリーブ部材への圧入時に軸穴が変形したり移動したりすることを、より確実に抑制することができるフランジ部材、並びに、このフランジ部材を備えた感光体ドラム、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
また、第二の目的は、スリーブ部材への圧入時に軸穴が変形したり移動したりすることを、より確実に抑制することができるフランジ部材を備えた感光体ドラムを用いた画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、中空円筒形のスリーブ部材の軸方向の端部の端部開口部に圧入される圧入部と、該圧入部が該端部開口部に圧入された状態で該スリーブ部材の中心軸となる位置に軸部材が挿入される軸穴が設けられた軸穴部と、圧入された状態で該スリーブ部材の円形断面に平行な方向に延在し、該圧入部に該軸穴部を連結する連結部とを有し、該圧入部が該端部開口部に圧入されたときに該スリーブ部材の該端部開口部における内周面に接触する該圧入部の外周面が該スリーブ部材の内周面から受ける応力を吸収し、この応力が該連結部を介して該軸穴部に伝わることを抑制する応力吸収穴を該連結部に備えるフランジ部材において、上記連結部を含む上記軸方向に直交する仮想平面に対して上記圧入部の上記外周面を該軸方向に沿って投影させた仮想投影円の円周上から上記軸穴部まで引いた任意の仮想線分上に、少なくとも一つの上記応力吸収穴を備えることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のフランジ部材において、上記応力吸収穴が、上記スリーブ部材に圧入された状態で上記円形断面の径方向に延在する仮想線分と垂直に交わる実質的に直線状の一辺を有することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のフランジ部材において、上記スリーブ部材に圧入された状態で上記円形断面の径方向となる方向についての上記軸穴の中心位置からの距離が同じ位置となる同一円周上に配置された上記応力吸収穴の数が、2以上180以下であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフランジ部材において、上記軸穴の中心位置から上記仮想投影円の円周上に引いた一本の仮想線分と交わる上記応力吸収穴の数が2以上33以下であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフランジ部材において、上記スリーブ部材に圧入された状態で上記円形断面の径方向となる方向についての上記軸穴の中心位置からの距離が同じ位置となる同一円周上に配置された複数の上記応力吸収穴同士の間隔が、1[mm]以上、280[mm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフランジ部材において、上記軸穴の中心位置から上記仮想投影円の円周上に引いた一本の仮想線分と交わる複数の上記応力吸収穴同士の間隔が、1[mm]以上、130[mm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、外周面に感光層を有する中空円筒形のスリーブ部材と、該スリーブ部材の中心軸に位置する軸部材が挿入される軸穴を備え、該スリーブ部材の軸方向の端部の端部開口部に圧入されるフランジ部材とを有する感光体ドラムにおいて、上記フランジ部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフランジ部材を用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、該帯電手段によって帯電させられた該感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、潜像形成手段によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像手段と、現像手段よって形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写手段と、転写後に該感光体の表面に残留したトナーを該感光体の表面から除去するクリーニング手段とを備える画像形成装置本体に対して、少なくとも上記感光体と他の手段とを一体的に支持し、着脱可能としたプロセスカートリッジにおいて、上記感光体として請求項7の感光体ドラムを用いることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、該帯電手段によって帯電させられた該感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、潜像形成手段によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像手段と、現像手段よって形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写手段と、転写後に該感光体の表面に残留したトナーを該感光体の表面から除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、上記感光体として請求項7の感光体ドラムを用いることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、表面移動する感光体の表面を一様帯電し、帯電した該感光体の表面に静電潜像を形成し、該感光体の表面上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成し、該感光体の表面上に形成された該トナー像を被転写体に転写し、最終的な被転写媒体である記録媒体上に該トナー像を転写することで該記録媒体の表面上に画像を形成する画像形成方法において、上記感光体として請求項7の感光体ドラムを用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、連結部を含む軸方向に直交する仮想平面に対して圧入部の外周面を軸方向に沿って投影させた仮想投影円の円周上から軸穴部までどのような仮想線分を引いても、その仮想線分は応力吸収穴と交差することとなる。このため、圧入部の外周面に対して応力がどの方向から加わっても、いずれかの応力吸収穴によって応力が吸収される作用が働き、圧入部の外周面が受けた応力が直接、軸穴部に伝わることを防止し、軸穴が変形したり移動したりすることを抑制することができる。よって、フランジ部材のスリーブ部材への圧入時に軸穴が変形したり移動したりすることを、より確実に抑制することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のフランジ部材の説明図、(a)は、軸方向に直交する断面の説明図、(b)は、軸方向に平行な断面の説明図。
【図2】実施形態1に係る複写機の概略構成図。
【図3】実施形態1の作像装置の拡大説明図。
【図4】感光体ドラムの側面図。
【図5】感光体スリーブからフランジ部材を取外した状態の感光体ドラムの説明図。
【図6】フランジ部材が備える駆動伝達ギヤの説明図、(a)は、フランジ部材の側面図、(b)は、フランジ部材の断面図。
【図7】実施形態2のプリンタの概略構成図。
【図8】帯電ローラの近接帯電機構の説明図。
【図9】実施形態2のプリンタに適用可能なプロセスカートリッジの概略構成図。
【図10】実施例2のフランジ部材の説明図。
【図11】実施例3のフランジ部材の説明図。
【図12】実施例4のフランジ部材の説明図。
【図13】実施例5のフランジ部材の説明図。
【図14】実施例6のフランジ部材の説明図。
【図15】実施例7のフランジ部材の説明図。
【図16】実施例8のフランジ部材の説明図。
【図17】実施例9のフランジ部材の説明図。
【図18】実施例10のフランジ部材の説明図。
【図19】実施例11のフランジ部材の説明図。
【図20】実施例12のフランジ部材の説明図。
【図21】実施例13のフランジ部材の説明図。
【図22】実施例14のフランジ部材の説明図。
【図23】実施例15のフランジ部材の説明図。
【図24】実施例16のフランジ部材の説明図。
【図25】実施例17のフランジ部材の説明図。
【図26】実施例18のフランジ部材の説明図。
【図27】実施例19のフランジ部材の説明図。
【図28】実施例20のフランジ部材の説明図。
【図29】実施例21のフランジ部材の説明図。
【図30】実施例22のフランジ部材の説明図。
【図31】比較例のフランジ部材の説明図、(a)は、軸方向に直交する断面の説明図、(b)は、軸方向に平行な断面の説明図。
【図32】感光体ドラムの振れの測定に用いた装置の概略説明図、(a)は上面図、(b)は側面図。
【図33】フランジ試験装置の説明図。
【図34】フランジ試験装置に対する感光体ドラムの取り付け手順の説明図。
【図35】耐久評価時のトルクデータのグラフ。
【図36】実験2で用いたフランジ部材の組合せの説明図、(a)は、駆動伝達側のフランジ部材、(b)は、アース側のフランジ部材。
【図37】実験3におけるフランジ部材に対してトルクをかける方法の説明図。
【図38】実験4における本発明の特徴部を備えたフランジ部材の説明図。
【図39】実験4における特許文献3の図2に示された応力吸収構造を備えたフランジ部の説明図、(a)は、軸方向外側となる側から見た斜視図、(b)は、圧入部側から見た斜視図。
【図40】実験4における特許文献3の図1に示された応力吸収構造を備えたフランジ部の説明図、(a)は、軸方向外側となる側から見た斜視図、(b)は、圧入部側から見た斜視図。
【図41】実験4における特許文献3の図3に示された応力吸収構造を備えたフランジ部の説明図。
【図42】実験4における特許文献3の図6に示された応力吸収構造を備えたフランジ部の説明図。
【図43】実験4における各フランジ部材の軸穴の移動量を示すグラフ、(a)は図38のフランジ部材、(b)は図39のフランジ部材、(c)は図40のフランジ部材、(d)は図41のフランジ部材、(e)は図42のフランジ部材。
【図44】実験5における応力吸収穴が逆アーチ形のフランジ部材の説明図。
【図45】実験5における応力吸収穴がアーチ形のフランジ部材の説明図。
【図46】実験5における応力吸収穴が長方形のフランジ部材の説明図。
【図47】実験5における各フランジ部材の軸穴の移動量を示すグラフ、(a)は図44のフランジ部材、(b)は図45のフランジ部材、(c)は図46のフランジ部材。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明を適用可能な画像形成装置の一つ目の実施形態(以下、実施形態1と呼ぶ)について説明する。
図2は、実施形態1にかかる画像形成装置としてのタンデム型のカラー複写機(以下、複写機500という)の概略構成図である。複写機500は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)、プリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部300という)、スキャナ部300上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)(以下、原稿搬送部400という)からなっている。また、複写機500内の各装置の動作を制御する不図示の制御部も備えている。
【0013】
プリンタ部100は、その中央に中間転写体としての中間転写ベルト10を備えている。中間転写ベルト10は、第一支持ローラ14、第二支持ローラ15及び第三支持ローラ16に掛け回され、図中時計回りに表面移動可能となっている。そして、中間転写ベルト10に対向するように、表面にブラック・マゼンタ・シアン・イエローのうちの1色のトナー像をそれぞれ担持する潜像担持体としての4つの感光体ドラム3(K,M,C,Y)を備えている。
感光体ドラム3(K,M,C,Y)のまわりには、感光体ドラム3(K,M,C,Y)の表面を一様に帯電する帯電手段である帯電装置4(K,M,C,Y)や、トナー像を形成するための現像手段である現像装置5(K,M,C,Y)を備えている。更に、一次転写後の感光体ドラム3(K,M,C,Y)表面に残留している転写残トナーを除去する感光体クリーニング装置6(K,M,C,Y)も備えている。この感光体クリーニング装置6(K,M,C,Y)は、感光体ドラム3(K,M,C,Y)表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給機構と、供給された潤滑剤を均す潤滑剤均しブレードとを備えている。
そして、感光体ドラム3(K,M,C,Y)、現像装置5(K,M,C,Y)、帯電装置4(K,M,C,Y)、及び、感光体クリーニング装置6(K,M,C,Y)からなる画像形成ユニットである作像装置1(K,M,C,Y)を構成している。また、4つの作像装置1(K,M,C,Y)を横に並べて配置してタンデム画像形成ユニット20が構成する。
なお、実施形態1の帯電装置4(K,M,C,Y)は、非接触のローラ形状をした帯電ローラを用いたものであり、AC(交流電圧)+DC(直流電圧)を印加して各感光体ドラム3(K,M,C,Y)を一様に帯電するものである。帯電装置4としては非接触の帯電ローラを用いたものに限らず、例えば、非接触の帯電チャージャや接触型の帯電ローラを用いた構成であってもよい。
第二支持ローラ15と中間転写ベルト10を挟んで対向するように、トナー像を記録媒体としての転写紙上に転写した後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を備えている。また、プリンタ部100は、タンデム画像形成ユニット20の上方に露光装置21を備えている。
【0014】
中間転写ベルト10の内側で各感光体ドラム3(K,M,C,Y)と中間転写ベルト10を挟んで対向する位置には、一次転写ローラ8(K,M,C,Y)を備えている。一次転写ローラ8(K,M,C,Y)は中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム3(K,M,C,Y)に押し当てて設けられ、一次転写部を形成している。
【0015】
一方、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成ユニット20と反対の側には、二次転写装置29を備える。二次転写装置29は、二次転写ローラ22と二次転写ベルト張架ローラ23との間に、二次転写ベルト24を掛け渡して構成している。二次転写装置29は、二次転写ローラ22が支持する位置で、二次転写ベルト24が中間転写ベルト10を介して第三支持ローラ16に押し当てられている。そして、二次転写ベルト24と中間転写ベルト10との間で二次転写部としての二次転写ニップ部を形成するように配置されている。
【0016】
二次転写装置29の図中左側には、転写紙上の転写画像を定着する定着装置25を備えている。定着装置25は、内部に熱源を備えた加熱ローラ26aと定着ローラ26bとによって張架された無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。また、上述した二次転写装置29には、二次転写ニップ部でトナー像の転写を受けた転写紙を定着装置25へと搬送する転写紙搬送機能も備えてなる。なお、二次転写装置29として、転写ローラや非接触のチャージャーを配置してもよく、そのような場合は、二次転写装置29が転写紙搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0017】
二次転写装置29および定着装置25の下には、上述したタンデム画像形成ユニット20と平行に、転写紙の両面に画像を記録すべく転写紙を反転する転写紙反転装置28を備えている。これによって、転写紙の片面に画像定着後に、切換爪55で転写紙の進路を転写紙反転装置28側に切り換え、そこで反転させて再び二次転写ニップ部に転写紙を搬送し、トナー像を転写させた後、排紙トレイ57上に排紙させることができる。
【0018】
スキャナ部300は、コンタクトガラス132上に載置された原稿の画像情報を読取センサ136で読み取り、読み取った画像情報を上記不図示の制御部に送る。
【0019】
不図示の制御部は、スキャナ部300から受け取った上記画像情報に基づき、プリンタ部100の露光装置21内に配設された図示しないレーザーやLED等を制御して感光体ドラム3に向けてレーザー光Lを照射させる。この照射により、感光体ドラム3の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0020】
給紙部200は、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44、給紙カセット44から転写紙を繰り出す給紙ローラ42、繰り出した転写紙を分離して給紙路46に送り出す分離ローラ45、プリンタ部100のプリンタ部内給紙路48に転写紙を搬送する搬送ローラ47等を備えている。
【0021】
実施形態1の複写機500では、給紙部200以外に、手差し給紙も可能となっており、手差しのための手差しトレイ51、手差しトレイ51上の転写紙を手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する手差し分離ローラ52等を装置側面に備えている。
【0022】
レジストローラ対49は、給紙カセット44又は手差しトレイ51にそれぞれ載置されている転写紙が搬送されて突き当たる。レジストローラ対49は一回の回転動作で転写紙を1枚だけ排出し、中間転写ベルト10と二次転写装置29の二次転写ベルト24との間に位置する二次転写ニップ部に転写紙を送る。
【0023】
実施形態1の複写機500において、カラー画像のコピーをとるときは、原稿搬送部400の原稿台130上に原稿をセットするか、又は原稿搬送部400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス132上に原稿をセットして原稿搬送部400を閉じることで原稿を押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿搬送部400に原稿をセットしたときは原稿をコンタクトガラス132上へと搬送した後に、また、コンタクトガラス132上に原稿をセットしたときは直ちに、スキャナ部300を駆動し、第一走行体133及び第二走行体134を走行する。そして、第一走行体133で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体134に向け、第二走行体134のミラーで反射して結像レンズ135を通して読取センサ136に入れ、原稿の画像情報を読み取る。
【0024】
帯電装置4(K,M,C,Y)によって感光体ドラム3(K,M,C,Y)の表面が一様に帯電され、スキャナ部300で読み取られた画像情報を色分解して、露光装置21によって各色毎に感光体ドラム3(K,M,C,Y)にレーザー書き込みがなされる。これにより、感光体ドラム3(K,M,C,Y)表面上に静電潜像を形成され、各色の単色のトナー像が形成される。
一例として、Y(イエロー)の画像形成について説明する。イエロー用の作像装置1Yでは、露光装置21のレーザー書き込みによって感光体ドラム3Yの表面に静電潜像が形成され、現像装置5Yによって潜像に合わせてトナーを用いた現像がなされ、感光体ドラム3Y上にイエロー単色のトナー像が形成される。同様にして、順次C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)の順で各作像装置1(C,M,K)でも感光体ドラム3(C,M,K)上に各色の単色のトナー像を形成する。
このように、各感光体ドラム3上にトナー像を形成させるとともに、上記画像情報に応じたサイズの転写紙を給紙させるべく、4つの給紙ローラ(図中の42または50)のうちの1つを作動させる。
また、これと同時に、不図示の駆動モータで第一支持ローラ14、第二支持ローラ15または第三支持ローラ16のうちの1つを回転駆動して他の二つの支持ローラを従動回転させて、中間転写ベルト10を図2中の時計回り方向に表面移動させる。そして、中間転写ベルト10の表面移動とともに、感光体ドラム3(Y,C,M,K)上の単色のトナー像を順次、一次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0025】
一方、給紙部200では給紙ローラ42の1つを選択回転し、給紙カセット44の1つから転写紙を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で複写機500本体であるプリンタ部100内のプリンタ部内給紙路48に導き、この転写紙をレジストローラ対49に突き当てて止める。または、手差し給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の転写紙を繰り出し、手差し分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ対49に突き当てて止める。なお、手差しトレイ51上の転写紙を用いる場合は、手差し給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の転写紙を繰り出し、手差し分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ対49に突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対49を回転し、中間転写ベルト10と二次転写ローラ22との当接部である二次転写ニップ部に転写紙を送り込み、ニップに形成されている転写用電界や当接圧力などの影響によってカラー画像を二次転写して転写紙上にカラー画像を記録する。
【0026】
二次転写ニップ部でカラー画像の転写を受けた後の転写紙は、二次転写装置29の二次転写ベルト24で定着装置25へと送り込まれる。定着装置25では、加圧ローラ27と定着ベルト26とによって形成される定着ニップでの加圧力と熱との付与によって転写紙にカラー画像が定着される。その後、カラー画像が定着された転写紙は、排出ローラ56で装置外に排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。また、両面に画像形成される転写紙は、カラー画像を定着された後、切換爪55で搬送方向が切り換えられて転写紙反転装置28に搬送され、そこで反転されて再び二次転写ニップ部へと導かれ、裏面にも画像を記録された後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出される。
一方、二次転写ニップ部で転写紙にカラー画像を転写した後の中間転写ベルト10の表面は、残留する残留トナーがベルトクリーニング装置17によって除去され、タンデム画像形成ユニット20による再度の画像形成に備える。
また、中間転写ベルト10上に転写した後の感光体ドラム3は、後述するクリーニング前除電ランプ7によって除電された後、感光体クリーニング装置6で転写残トナーを除去する。そして、再び帯電装置4で一様に帯電される動作を繰り返すように、再度の画像形成に備える。また、感光体クリーニング装置6で転写残トナーを除去した後の感光体ドラム3上を除電する不図示のクリーニング後除電ランプを設けても良い。
【0027】
図3は、実施形態1の作像装置1のうちの一つの拡大説明図である。
図3に示すように、作像装置1は、ユニット枠体2に感光体ドラム3と、プロセス手段として帯電装置4、現像装置5、感光体クリーニング装置6などを一体的に備えて、プロセスカートリッジとして複写機500本体から着脱可能となっている。実施形態1では、プロセスカートリッジとしての作像装置1そのものを交換するようになっているが、感光体ドラム3、帯電装置4、現像装置5、感光体クリーニング装置6のような単位で新しいものと交換するような構成でもよい。
【0028】
次に、各作像装置1(K,M,C,Y)の共通する構成についてより詳しく説明する。
それぞれの作像装置1は、潜像担持体である感光体ドラム3と、感光体ドラム3の表面を帯電する帯電手段である帯電装置4とを備える。また、作像装置1は、帯電装置4によって帯電された感光体ドラム3の表面上に潜像を形成する潜像形成手段である露光装置21によって形成された潜像にトナーを供給して現像する現像手段である現像装置5を備える。さらに、作像装置1は、現像装置5によって形成されたトナー像を転写体である中間転写ベルト10に転写する転写手段である一次転写ローラ8によって転写がなされたあとの感光体ドラム3表面に残留する転写残トナーを除去するトナー除去手段である感光体クリーニング装置6を有する。また、感光体クリーニング装置6は、感光体ドラム3の表面移動方向上流側から順に、クリーニング前除電ランプ7、回転ブラシであるファーブラシ63、クリーニングブレード61、塗布ブラシ62及び均しブレード66を備える。感光体クリーニング装置6では、ファーブラシ63とクリーニングブレード61とによってトナー除去手段を構成する。また、塗布ブラシ62と、ブラケットに保持された固形状のステアリン酸亜鉛64が潤滑剤加圧スプリング68により塗布ブラシ62に加圧される構成とによって潤滑剤供給機構を構成する。
【0029】
感光体ドラム3と一次転写ローラ8との対向部である一次転写部でトナー像を中間転写ベルト10に転写した感光体ドラム3の表面はクリーニング前除電ランプ7によって除電がなされ、ファーブラシ63によって転写残トナーが掻き乱される。これにより、感光体ドラム3の表面移動方向下流側のクリーニングブレード61によってトナーが除去され易くなる。ファーブラシ63上に付着したトナーはフリッカー65によってフリッキングされ、弾き飛ばされたトナーが搬送スクリュ67で感光体クリーニング装置6の外に搬送されるようになっている。
【0030】
ファーブラシ63は感光体ドラム3の表面移動方向に対して図3中の矢印で示すように連れまわり方向に回転している。クリーニングブレード61は図示しない回転自在に保持されたホルダに固定されており、感光体ドラム3の表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体ドラム3の表面に当接するように支持されている。また、クリーニングブレード61は、不図示の加圧スプリングにより感光体ドラム3に対して加圧するように当接してトナー除去するようになっている。
【0031】
クリーニングブレード61によってトナーが除去された感光体ドラム3表面は、塗布ブラシ62によって潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を塗布される。ステアリン酸亜鉛の塗布はブラケットに保持された固形状のステアリン酸亜鉛64が潤滑剤加圧スプリング68により塗布ブラシ62に加圧され、塗布ブラシ62がステアリン酸亜鉛64を削って感光体ドラム3の表面上に塗布している。
塗布ブラシ62は感光体ドラム3の表面移動方向に対してカウンタ方向に回転するようにしている。塗布ブラシ62によってステアリン酸亜鉛64から削られて感光体ドラム3の表面上に塗布された潤滑剤は、感光体ドラム3の表面移動方向に対してカウンタ方向に感光体ドラム3表面に当接するように支持された固定加圧方式の均しブレード66で更に感光体ドラム3上に緻密に塗布される。
各作像装置1では、このようにして感光体ドラム3上の転写残トナーを除去し、潤滑剤の塗布を行い、帯電装置4による一様帯電から始まる次の作像に備える。
【0032】
次に、本発明の感光体ドラム3について説明する。
図4は、感光体ドラム3の側面図である。感光体ドラム3は、空円筒形の基体32の外周面に感光層31を有する感光体スリーブ30と、感光体スリーブ30の軸方向の端部に配置されたフランジ部材35とを有する。
図5は、感光体スリーブ30からフランジ部材35を取外した状態の説明図である。図5中の矢印Cに示すように、感光体スリーブ30の軸方向の両端部の端部開口部34にフランジ部材35の圧入部312が圧入されることで、図4に示す感光体ドラム3と成る。
フランジ部材35の材質は特に問わないが、ポリカーボネートなどの樹脂であれば、低コストで作製でき、また軽量化の面で好ましい。
【0033】
図1は、本発明のフランジ部材35の説明図である。図1(a)は、図5に示すフランジ部材35のA−A断面の説明図であり、図1(b)は、図5に示すフランジ部材35のB−B断面の説明図である。
フランジ部材35は、圧入部312、軸穴部314、連結部315及び外縁部319を備える。圧入部312は、感光体スリーブ30の端部開口部34に圧入することで、その外周面である圧入外周面312fが感光体スリーブ30の基体32の内周面と接触する。軸穴部314は、不図示の軸部材が挿入される軸穴313が設けられ、軸穴313を形成する部分である。外縁部319は、フランジ部材35の半径方向の最外周部である外縁319fを形成する。連結部315は、軸穴部314と圧入部312及び外縁部319とを連結する部分である。
そして連結部315には、図1中の316a〜316cで示す複数の応力吸収穴316を備える。また、軸穴部314とは、軸中心から一番近い第一吸収穴316aとの距離を半径とする円317の内側であって、軸穴313以外の部分のことである。
【0034】
本発明のフランジ部材35は軸穴部314から外縁部319に向かってに引いた任意の仮想線分318上に少なくとも一つの応力吸収穴316を有することを特徴とする。任意の仮想線分の例として318a、318b及び318cを図1(b)中に示した。318a上には応力吸収穴316を3つ、318b上には応力吸収穴316を2つ、318c上には応力吸収穴316を1つ、備える。仮想線分318は、連結部315を含む軸方向に直交する仮想平面315fに対して圧入部312の圧入外周面312fを軸方向(図1(a)中の左右方向)に沿って投影させた仮想投影円312cの円周上から軸穴部314まで引いた任意の仮想線分である。
図1に示すフランジ部材35では、圧入外周面312fが軸方向に平行に形成されているが、圧入外周面312fが軸方向に対して傾斜している場合は、圧入部312の根元における圧入外周面312fの位置(図1(a)中の「312a」)を基準に仮想投影円312cの円周の位置が決まる。
【0035】
このような本発明のフランジ部材35であれば、圧入部312を感光体スリーブ30に圧入したときに、圧入部312が感光体スリーブ30の基体32からの応力を受けても、応力吸収穴316が圧入による応力を吸収し、応力吸収穴316を備えない構成に比べて、軸穴313が変形したり移動したりすることを抑制することができる。
また、軸穴部314から外縁部319に向かってに引いた任意の仮想線分318上に少なくとも一つの応力吸収穴316を有する。このため、圧入部312が基体32から何れの方向の応力を受けても、いずれかの応力吸収穴316が圧入による応力が吸収する作用が働く。これにより、圧入部312の圧入外周面312fが受けた応力が直接、軸穴部314に伝わることを防止し、軸穴313が変形したり移動したりすることが抑制できる。
【0036】
感光体ドラム3の軸方向端部のうち、一方の端部は装置本体から駆動が入力される駆動伝達側端部であり、他方の端部は、装置本体に対して感光体ドラム3が回転可能に支持される従動側端部である。そして、駆動伝達側端部に配置されるフランジ部材35には駆動伝達ギヤが設けられている。
図6は、駆動伝達側端部に配置されるフランジ部材35が備える駆動伝達ギヤの説明図である。
図6(a)は、フランジ部材35の側面図であり、図6(b)は、フランジ部材35の断面図である。図6(a)に示すように、フランジ部材35の外縁部319の外縁319fには、外縁ギヤ319gが設けられており、軸穴部314の軸穴313には、駆動入力ギヤ319hが設けられている。
複写機500の装置本体側に設けられた不図示の駆動モータからの回転駆動を伝達する不図示の軸部材に設けられた不図示の駆動入力ギヤが駆動入力ギヤ319hと係合する。また、外縁319fは、作像装置1の不図示の作像部ギヤ列と係合する構成である。
このような構成により、装置本体側に設けられた駆動モータからの回転駆動が、駆動入力ギヤ319hからフランジ部材35に入力され、感光体ドラム3が回転駆動する。さらに、感光体ドラム3が回転することで、外縁ギヤ319gから作像部ギヤ列に駆動が伝達され、現像装置5等の作像装置1を構成する他のユニットに回転駆動が伝達される。
【0037】
次に、感光体スリーブ30の基体32について説明する。
感光体スリーブ30の基体32は、体積抵抗1010[Ω・cm]以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属製の管が使用できる。
また円筒状のプラスチックも使用できる。基体32に用いるプラスチックとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが使用できる。
なお体積抵抗1010[Ω・cm]以下の導電性を示すように金属などを蒸着したり、導電性粉体を含有させたりすることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)などの金属酸化物粉体などが挙げられる。
【0038】
次に、感光体スリーブ30の感光層31について説明する。
感光層31は必要に応じて中間層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層を有していてもよい。
【0039】
<中間層について>
本発明の感光体スリーブ30では、基体32上に中間層を設けることができる。中間層はバインダー樹脂に顔料が分散された構成のもの、酸化被膜などが用いられる。
バインダー樹脂は、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
顔料は、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物などが挙げられる。これらの顔料は表面処理されていてもよい。また、中間層の膜厚は0〜5[μm]が適当である。
【0040】
<電荷発生層、電荷輸送層について>
電荷発生層、電荷輸送層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成でもよいし、電荷発生層と電荷輸送層がわかれた積層型でもよい。説明の都合上、積層型から先に述べる。
【0041】
<電荷発生層について>
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生物質としては、特に限定はなく、フタロシアニンやアゾなど公知の材料を用いることができる。電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にビーズミル、超音波などを用いて分散し、塗布・乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100[重量部]に対し0〜500[重量部]、好ましくは10〜300[重量部]が適当である。
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5[μm]程度が適当であり、好ましくは0.1〜2[μm]である。
【0042】
<電荷輸送層について>
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0043】
結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0044】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100[重量部]に対し、20〜300[重量部]、好ましくは40〜150[重量部]が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100[μm]程度とすることが好ましい。
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
また、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、電荷輸送層としての機能を十分に発現することが可能となる。電荷輸送能を有するモノマーとしては、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3―109406号公報、特開2000―206723号公報、特開2001―34001号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。
【0045】
上述の説明では、感光層31が電荷発生層と電荷輸送層とでわかれた積層型について説明した。本発明の感光体ドラム3に用いる感光体スリーブ30では単層構成でも構わない。単層構成とするためには、少なくとも上述の電荷発生物質とバインダー樹脂を含有する単一層を設けることで構成され、バインダー樹脂としては、上述の電荷発生層や電荷輸送層の説明で記載したものが良好に使用される。また、電荷輸送物質を併用することで、高い光感度、高いキャリア輸送特性、低い残留電位が発現され、良好に使用できる。この際、使用する電荷輸送物質は、感光体ドラム3表面に帯電させる極性に応じて、正孔輸送物質、電子輸送物質の何れかが選択される。更に、上述した高分子電荷輸送物質もバインダー樹脂と電荷輸送物質の機能を併せ持つため、単層感光層には良好に使用される。
【0046】
<保護層について>
感光体スリーブ30には、耐久性を向上させるために保護層を設けてもよい。
保護層は、樹脂膜、好ましくは架橋型樹脂が用いられる。
架橋型樹脂の例としてはラジカル重合性モノマーを硬化することによるものが挙げられる。
例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独または2種類以上を併用しても差し支えない。
【0047】
さらに保護層にフィラーを含有させることにより耐久性を向上させることもできる。保護層に用いられるフィラーとしては、シリコーン樹脂微粒子、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、DLC、非結晶カーボン微粒子、フラーレン微粒子、コロイダルシリカ、導電性粒子(酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ、アンチモンをドープした酸化ジルコニウム)が挙げられる。
上述のような電荷輸送性物質を含有させることにより、良好な電気特性を得ることもできる。
なお保護層の膜厚は2〜15[μm]程度が適当である。
【0048】
<フランジ装着について>
感光体スリーブ30の軸方向の両端部の端部開口部34に、装置本体に対する保持及び回転駆動のためのフランジ部材35が装着されて感光体ドラム3となる。感光体スリーブ30に対するフランジ部材35の装着は、感光体スリーブ30の基体32に感光層31を設ける前でも設けた後でもよい。フランジ部材35の全振れは20[μm]以下が好ましく、さらに好ましくは10[μm]以下である。
【0049】
〔実施形態2〕
次に、本発明を適用可能な画像形成装置の二つ目の実施形態(以下、実施形態2と呼ぶ)について説明する。
図7は、実施形態2にかかる画像形成装置としてのモノクロプリンタ(以下、プリンタ600という)の概略構成図である。実施形態2のプリンタ600で用いる感光体ドラム3としては、図1,図4〜図6を用いて説明した実施形態1の感光体ドラム3と同様のものを用いることがで、感光体ドラム3は筒状の基体の表面上に少なくとも感光層が設けられている。
【0050】
図7に示すプリンタ600では、感光体ドラム3の周囲に、帯電ローラからなる帯電装置4、現像装置5、転写前チャージャ40、転写チャージャ70、分離チャージャ71、分離爪72、クリーニング前チャージャ73、感光体クリーニング装置6及び除電ランプ41等を備える。
【0051】
プリンタ600では、帯電装置4によって一様帯電された感光体ドラム3の表面に画像情報に基づいて不図示の露光装置からレーザー光Lが照射されることで、感光体ドラム3の表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム3の表面上に形成された静電潜像は、現像装置5によって現像され、トナー像となる。
感光体ドラム3の表面上に形成されたトナー像は、感光体ドラム3の表面移動によって転写チャージャ70との対向部である転写部に到達する。
一方、不図示の給紙装置より送り出された転写紙Pは、その先端がレジストローラ対49に突き当たって停止する。そして、感光体ドラム3の表面上のトナー像にタイミングを合わせてレジストローラ対49を回転し、転写部に転写紙Pを送り込む。感光体ドラム3の表面上のトナー像は、転写部に形成されている転写用電界などの影響によって感光体ドラム3の表面上から転写紙Pに転写し、転写紙P上にモノクロ画像を記録する。
【0052】
トナー像が転写された転写紙Pは、分離爪72によって感光体ドラム3の表面上から分離され、プリンタ600の装置外に排出される。一方、トナー像を転写紙Pに転写した感光体ドラム3の表面は感光体クリーニング装置6によって表面のクリーニングが成され、除電ランプ41によって残留する電位を除去され、再び、帯電装置4による帯電から始まる画像形成が行われる。
【0053】
感光体ドラム3の表面に電荷を付与する各装置(帯電装置4、転写前チャージャ40、転写チャージャ70、分離チャージャ71、クリーニング前チャージャ73)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
【0054】
これらの帯電方式のうち、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式が望ましい。接触帯電方式においては帯電効率が高くオゾン発生量が少ない等のメリットを有する。ここでいう接触方式の帯電部材とは、電子写真感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラ、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。中でも帯電ローラや帯電ブラシが良好に使用される。
また、近接配置した帯電部材とは、電子写真感光体表面と帯電部材表面の間に200[μm]以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知の帯電器とは区別されるものである。本発明に適用可能な近接配置された帯電部材は、感光体ドラム3表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。
例えば、電子写真感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを電子写真感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは電子写真感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。特に特開2002−148904号公報、特開2002−148905号公報に記載された方法は良好に使用できる。
【0055】
帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図8に示す。
図8に示す近接帯電機構では、感光体ドラム3と対向して配置する帯電ローラ4cの回転軸である金属シャフト4bの軸方向についての帯電ローラ4cの両端に、ギャップ形成部材4aが設けられている。このギャップ形成部材4aが、感光体ドラム3の軸方向両端の非画像形成領域3Bと接触することで、感光体ドラム3の画像形成領域3Aと帯電ローラ4cの表面との距離を一定に保ことが出来る。
図8に示す近接帯電機構を用いることにより、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、さらに、トナー等による汚れが生じない、接触による機械的摩耗が発生しない等の利点を有していることから良好に使用される。さらに帯電部材への電圧の印加方式としては、交流重畳を用いることでより帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、良好に使用できる。
このような接触方式の帯電部材あるいは非接触帯電方式の帯電部材を用いた場合、振れ精度が悪いと、接触状態またはギャップが均一にならない。しかし、本発明の特徴部を備えた感光体ドラム3は、振れ精度がよいため、接触状態またはギャップが均一になるという効果がある。
【0056】
また、レーザー光Lを照射する不図示の露光手段には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度を確保できる光源が使用される。
除電ランプ41等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0057】
プリンタ600では、現像装置5により感光体ドラム3上に形成されたトナー像は、転写紙Pに転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体ドラム3上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、感光体クリーニング装置6のファーブラシ63やクリーニングブレード61によって、感光体ドラム3の表面上より除去される。感光体クリーニング装置6としては、クリーニングブラシだけで行なわれるものもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0058】
感光体ドラム3の表面に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体ドラム3の表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0059】
図7に示す実施形態2のプリンタ600の各部材は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込ませてもよい。プロセスカートリッジとは、電子写真感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ一つのユニットであって、画像形成装置本体から各部材を一体的に着脱可能とするものである。
図9は、実施形態2のプリンタ600に適用可能なプロセスカートリッジ700の概略構成図である。図9に示すプロセスカートリッジ700は、感光体ドラム3と、現像装置5、画像露光部21aを形成する枠体、帯電チャージャ4d及び感光体クリーニング装置6を一体的に支持して、画像形成装置本体から着脱可能とした構成例である。
【0060】
本発明を適用可能な画像形成装置は、図2に示す実施形態1の複数の感光体を備えたタンデム型の画像形成装置や、図7に示す実施形態2の一つの感光体上に形成された単色画像を感光体から直接に記録媒体に転写する画像形成装置に限るものではない。例えば、一つの感光体に複数の現像装置が対向し、感光体上で複数色のトナー像を形成し、最終的に記録媒体に転写する画像形成装置にも適用可能である。
【0061】
〔実験1〕
次に、本発明の構成を備えたフランジ部材35の応力吸収穴316の配置や個数、外径を異ならせた複数の実施例について、感光体ドラム3に配置したときの振れや、その感光体ドラム3を用いた画像形成装置における色再現性を確認した実験1について説明する。
本発明のフランジ部材35としては以下に示す実施例の構成に限定されるものではない。また、「部」は、すべて重量部を表わす。
【0062】
<実施例1>
外径60[mm]のアルミニウム製の基体32上に下記組成の中間層用塗工液を用いて塗布後、130[℃]で20[分間]の乾燥を行ない、約3.5[μm]の中間層を形成した。続いて下記組成の電荷発生層用塗工液を用いて塗布後、130[℃]で20[分間]の乾燥を行ない、約0.2[μm]の電荷発生層を形成した。さらに、下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて塗布後、130[℃]で20[分間]の乾燥を行ない、約30[μm]の電荷輸送層を形成した。これにより、基体32の外周面上に感光層31を形成し、感光体スリーブ30を作成した。そして、作成した感光体スリーブ30の端部開口部34に図1に示すフランジ部材35を圧入して実施例1の感光体ドラム3を作成した。
【0063】
ここで、上記中間層用塗工液の組成を以下に示す。
・酸化チタンCR−EL(石原産業社製):50部
・アルキッド樹脂ベッコライトM6401−50(固形分50[重量%]、大日本インキ化学工業社製):15部
・メラミン樹脂L−145−60(固形分60[重量%]、大日本インキ化学工業社製):8部
・2−ブタノン:120部
【0064】
次に、上記電荷発生層用塗工液の組成を以下に示す。
・化1で示す構造式で表される非対称ビスアゾ顔料:2.5部
・ポリビニルブチラール(「XYHL」UCC製):0.5部
・メチルエチルケトン:110部
シクロヘキサノン:260部
【0065】
【化1】

【0066】
次に、上記電荷輸送層用塗工液の組成を以下に示す。
・ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製):10部
・化2で示す構造式で表される電荷輸送性化合物:7部
・テトラヒドロフラン:80部
・シリコーンオイル(KF50−100cs、信越化学工業社製):0.002部
【0067】
【化2】

【0068】
<実施例2>
外径300[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図10に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
また、図10は、図5中の矢印D方向からフランジ部材35を見た説明図であり、仮想投影円312cの円周の位置は、外縁部319の内周面の位置とほぼ一致するため、図示は省略する。
これらのフランジ部材35の向きと仮想投影円312cの図示を省略する点とについては、以下で説明する図11〜図30で示す実施例3〜実施例22についても同様である。
【0069】
<実施例3>
外径300[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図11に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例4>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図12に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例5>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図13に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例6>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図14に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例7>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図15に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例8>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図16に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例9>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図17に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例10>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図18に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例11>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図19に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例12>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図20に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例13>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図21に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例14>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図22に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例15>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図23に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例16>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図24に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例17>
外径30[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図25に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例18>
外径300[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図26に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例19>
外径300[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図27に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例20>
外径300[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図28に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例21>
外径300[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図29に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<実施例22>
外径300[mm]のアルミニウム製の管状部材を基体32に用いた点及び図30に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。
<比較例>
図31に示す形状のフランジ部材35を使用した点以外は、実施例1と同様にして感光体ドラム3を作成した。図31に示す形状のフランジ部材35は、応力吸収穴316を備えない構成であり、図31(a)は、図5に示すフランジ部材35であればA−A断面の説明図であり、図31(b)は、B−B断面の説明図である。
【0070】
上記各実施例及び比較例のフランジ部材35の寸法及び実験結果を表1に示す。
【表1】

【0071】
表1に示す「円周方向最大数」は、フランジ部材35の中心からの距離が等しい点の集合でできる仮想円327のうち、交差する応力吸収穴316の数が最大となる仮想円327と交差する応力吸収穴316の数である。
また、「半径方向最大数」は、フランジ部材35の中心から外縁部319に引いた任意の半径329のうち、交差する応力吸収穴316の数が最大となる半径329と交差する応力吸収穴316の数である。
「円周方向間隔」は、仮想円327上で隣り合う応力吸収穴316同士の間隔であり、図中のW1で示す間隔である。
また、「半径方向間隔」は、任意の半径329上で隣り合う応力吸収穴316同士の間隔であり、図中のW2で示す間隔である。
表1中の「振れ」は、感光体ドラム3を回転軸を中心に回転させたときの感光体ドラム3の表面に対向する固定された基準位置から感光体ドラム3表面までの距離の変位幅であり、感光体ドラム3が一回転する間の基準位置から感光体ドラム3表面までの距離の最大値から最小値を引いた値であり、「全振れ」の値である。この「振れ」の値は、組み立てた感光体の左右の軸中心を合わせ、把持し、回転させる機構を備えた設備と、レーザー測定器(KEYENCE社製、型番:LS−7030)とを使用し、感光体ドラム3の回転時に測定した基準位置からの感光体ドラム3表面までの距離の値の変位幅である。
図32は、感光体ドラム3の振れの測定に用いた装置の概略説明図であり、図32(a)は上面図、図32(b)は側面図である。
図32(b)に示すように、レーザー測定器は、感光体ドラムの下端と基準位置との間の隙間に対して上下方向の幅が十分に広い照射光Laを投光側から照射する。この照射光Laのうち、感光体ドラムの下端と基準位置との間の隙間を通過した通過光Lbが受光側で受光され、この通過光Lbの上下方向の幅(以下、上下幅Gと呼ぶ)を測定することで感光体ドラム3表面までの距離の値を検出することができる。さらに、上下幅Gの感光体ドラム一周分の値を7台のレーザー測定器でそれぞれ測定し、全ての上下幅Gの値のうちの最大値と最小値との差が表1中の「振れ」の値となる。
【0072】
この「振れ」の値が大きくなると、感光体ドラム3の表面に近接する部材と感光体ドラム3表面とのギャップのムラが生じ、帯電ムラや現像ムラによって濃度ムラが生じる。
また、表1中の「色再現性」は、各実施例及び比較例の感光体ドラム3を画像形成装置に搭載し、ISO/JIS−SCID画像N1(ポートレート)を出力して、カラー色の再現性について評価した結果である。
感光体ドラム3を搭載する画像形成装置としては基体外径が30[mm]の感光体ドラム3を評価する際には(株)リコー製のimagio Neo C325を使用し、基体外径が60[mm]の感光体ドラム3を評価する際には(株)リコー製のIMAGIO MP C6000を使用する。また、基体外径が300[mm]の感光体ドラム3を評価する際には図7に示す実施形態2の画像形成装置を使用した。
色再現性評価は5段階で行い、各ランクの評価基準を以下に示す。なお、評価基準は、同一の画像を色別に重ねて、転写紙Pに出力した際の、出力された画像のズレである。
・ランク1:画像のズレが100[μm]以上
・ランク2:画像のズレが70[μm]以上、100[μm]未満
・ランク3:画像のズレが50[μm]以上、70[μm]未満
・ランク4:画像のズレが30[μm]以上、50[μm]未満
・ランク5:画像のズレが30[μm]未満
【0073】
本発明のフランジ部材35では、応力吸収穴316が半径329と交わる一辺を有することにより、効率よく圧入時の応力を吸収することができるため、さらに軸穴313の変形・移動が小さくなる。
また、応力吸収穴316の円周方向の最大数は2以上180以下であれば、さらに軸穴313の変形・移動が小さくなる。ここで円周とはフランジの中心から距離が等しい点の集合でできる円の線上をいい、図中では仮想円327として示している。
【0074】
感光体ドラム3用の基体32の内径がφ40[mm]以下の場合、応力吸収穴316の円周方向の最大数は2以上30以下が好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより3以上12以下であればさらに好ましい。
また、感光体ドラム3用の基体32の内径がφ40[mm]以上、φ150[mm]以下の場合、応力吸収穴316の円周方向の最大数は、2以上100以下が好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより12以上24以下であればさらに好ましい。
さらに、感光体ドラム3用の基体32の内径がφ150[mm]より大きいの場合、応力吸収穴316の円周方向の最大数は、2以上180以下が好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより24以上48以下であればさらに好ましい。
【0075】
応力吸収穴316の任意の半径329上の最大数は2以上33以下であれば、さらに軸穴の変形・移動が小さくなる。ここで、半径329とは中心から円周上の1点を結んだ線分をいう。本発明のフランジ部材35は、軸穴部314から仮想投影円312cに任意の仮想線分318上に少なくとも一つの応力吸収穴316を有する構造であるため、半径方向の吸収穴の数は必ず1以上になる。
感光体ドラム3用の基体32の内径がφ40[mm]以下の場合、応力吸収穴316の半径方向の最大数は2以上5以下が好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより3以上5以下であればさらに好ましい。
また、感光体ドラム3用の基体32の内径がφ40[mm]以上、φ150[mm]以下の場合、応力吸収穴316の半径方向の最大数は、2以上20以下が好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより4以上10以下であればさらに好ましい。
さらに、感光体ドラム3用の基体32の内径がφ150[mm]より大きいの場合、応力吸収穴316の半径方向の最大数は、2以上33以下が好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより6以上20以下であればさらに好ましい。
【0076】
円周方向に隣接する応力吸収穴316の間隔が1[mm]以上、280[mm]以下であれば、さらに軸穴313の変形・移動が小さくなる。円周方向に隣接する応力吸収穴316同士の間隔とは、図1や各実施例の説明図で示す円周方向間隔W1の値であり円周方向に隣接する複数の応力吸収穴316同士の最短距離をいう。図28で示す実施例20のフランジ部材35では、円周方向間隔は存在しないこととなる。
感光体ドラム3用の基体32の内径がφ40[mm]以下の場合、円周方向間隔W1は、1[mm]以上、30[mm]以下であることが好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより、1[mm]以上10[mm]以下であればさらに好ましい。
また、感光体ドラム3用の基体32の内径がφ40[mm]以上、φ150[mm]以下の場合、円周方向間隔W1は、1[mm]以上、50[mm]以下であることが好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより、1[mm]以上、30[mm]以下であればさらに好ましい。
さらに、感光体ドラム3用の基体32の内径がφ150[mm]より大きいの場合、円周方向間隔W1は、1[mm]以上、280[mm]以下が好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより、1[mm]以上、50[mm]以下であればさらに好ましい。
【0077】
半径方向に隣接する応力吸収穴316の間隔が1[mm]以上、130[mm]以下であれば、さらに軸穴313の変形・移動が小さくなる。半径方向に隣接する応力吸収穴316同士の間隔とは図1や各実施例の説明図で示す半径方向間隔W2の値であり半径方向に隣接する応力吸収穴316の最短距離をいう。
感光体ドラム3用の基体32の内径がφ40[mm]以下の場合、半径方向間隔W2は、1[mm]以上、10[mm]以下であることが好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより、1[mm]以上5[mm]以下であればさらに好ましい。
また、感光体ドラム3用の基体32の内径がφ40[mm]以上、φ150[mm]以下の場合、半径方向間隔W2は、1[mm]以上、70[mm]以下であることが好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより、1[mm]以上、30[mm]以下であればさらに好ましい。
さらに、感光体ドラム3用の基体32の内径がφ150[mm]より大きいの場合、半径方向間隔W2は、1[mm]以上、130[mm]以下が好ましい。軸穴313の変形・移動防止と作製困難性のバランスより、1[mm]以上、80[mm]以下であればさらに好ましい。
【0078】
〔実験2〕
本発明のフランジ部材35は、連結部315に応力吸収穴316を設けているため、部材の耐久性の低下が懸念される。そこで、実験2として本発明のフランジ部材35の耐久性を確認する実験を行った。
以下、実験2について説明する。
実験2は、フランジ部材の耐久性試験である。
図33に、実験2で用いたフランジ試験装置の説明図である。
図33に示すフランジ試験装置は、高精度のフランジ部材35の、マシン使用時の耐久性を確認するために、フランジ部材35を取り付けた感光体ドラム3に対し、マシン使用時と同等のトルクを与え、繰り返しの起動・停止を行うものであり、その時のトルクを計測記録する。
実験2では、フランジ部材35を取り付けた感光体ドラム3の寸法を精密測定した後、図33に示すフランジ試験装置によって、感光体ドラム3に繰り返し回転停止負荷を与えた後、フランジ試験装置から感光体ドラム3を取り外して、再度精密測定して、寸法変化を測定する。
【0079】
図34は、図33に示すフランジ試験装置に対する感光体ドラム3を取り付けるときの手順の説明図である。
先ず、図34(a)に示すように、バネ固定ネジを外し、従動側押さえを退避位置に動かす。つぎに、図34(b)に示すように、感光体ドラム3を駆動側にセットする。次に、図34(c)に示すように、従動側押さえを感光体ドラム3のフランジ部材35に合わせる。最後に、図34(d)に示すように、バネ固定ネジを固定する。
【0080】
図33に示すフランジ試験装置のモータは瞬時起動可能な回転数可変リバーシブルモータである。この回転数と、回転→停止→逆回転→停止のシーケンスをコントローラが制御し、累計繰り返し回数を表示する。この表示装置は、電源が切れても値が残る電磁メカニカル方式である。従動側に電源を接続していないモータを取り付けダミーの回転負荷とする。トルク測定値はトルク演算表示装置で表示し、その累計履歴は、パーソナルコンピュータに表示保存する。
・回転数調整範囲:0.3〜4.6[回転/秒] (モータ回転数:90〜1400[rpm]、減速比:5)
・トルク測定範囲:0〜5[N・m]
・回転負荷:希望の回転負荷になるようにモータを選定する。
次に、繰り返し回数の試算について説明する。
回転→停止→逆回転→停止の1サイクルを3秒とすると、1分で20回、1時間で1200回、24時間で28800回行うことができる。このため、1週間(7日)で約20万回である。
120Kのサイクルは、120000÷28800=4.1なので、連続運転した場合約4日である。
【0081】
実験2では、起動時及び停止時の力で最大2[N]のトルクをかけ、寿命1200K(24[P/J])を想定して、4800回の駆動・停止を実施した。
耐久評価時のトルクデータを図35に示す。
実験2では感光体ドラム3の代わりに表面に感光層を備えないアルミニウムの素管を用いた。
【0082】
図36は、実験2で用いたフランジ部材35の組合せの説明図である。図36(a)は、駆動が入力される駆動伝達側のフランジ部材35の説明図であり、図36(b)は、駆動伝達側とは反対側であり設置されたアース側のフランジ部材35の説明図である。図36に示すように、このフランジ部材35の組合せでは、駆動伝達側のフランジ部材35及びアース側のフランジ部材35がともに応力吸収穴316を備えている。
図36に示す2つののフランジ部材35は、シミュレーションによって保形性と強度とを併せもった最適形状となるように、リブ幅を決めた。また、図36(a)に示す駆動伝達側のフランジ部材35及び図36(b)に示すアース側のフランジ部材35は、ともに勘合部厚みの値が、1.5[mm]である。
また、図36に示す2つのフランジ部材35と組み合わせる素管としては、外径が60[mm]、肉厚が2[mm]、インロー有り、長さが380[mm]である。また、素管内径はインロー有りで56.5[mm]である。
図35及び図36に示すフランジ部材35の素管に対する圧入条件は、0.3[MPa]である。
【0083】
耐久評価後は、フランジ部材35は応力吸収穴316の周辺の連結部315に白化や破断は確認されなかった。よって、品質も評価前後で変化がないと判断する。
【0084】
〔実験3〕
上記実験2で述べたように、本発明のフランジ部材35は、連結部315に応力吸収穴316を設けているため、部材の耐久性の低下が懸念される。そこで、本発明のフランジ部材35単体の強度を確認する実験3を行った。
図37は、実験3におけるフランジ部材35に対してトルクをかける方法の説明図である。
評価内容としては、フランジ部材35に一定以上のトルクを与え、白化や破断、空転が発生しなければ合格という判定方法である。
詳しくは、図37に示すように、フランジ部材35と感光体スリーブ30とを組み付け、感光体ドラム3を作成する。そして、不図示のトルクメーター(ハイオス社製、型番:HDP−50)に図37中のトルク測定用冶具35aの図中左側を装着する。一方、トルク測定用冶具35aの図37中の右側端部は二股に分かれており、フランジ部材35の応力吸収穴316に差し込む形状となっている。フランジ部材35としては、実験2で用いた図36に示すフランジ部材35を使用し、トルク測定用冶具35aの右側端部は、図36に示すフランジ部材35の最も外側にある8つの応力吸収穴316のうち、中心を挟んで対向する2つの応力吸収穴316に差し込む。そして、トルクメーターと感光体ドラム3とをそれぞれ手で持ち、感光体ドラム3を固定した状態で、感光体回転方向にトルクメーターから力を与え、トルクメーターが所定の値となった状態で、フランジ部材35に白化や破断、空転などの不具合が発生するか否かを確認した。
【0085】
高精度感光体の耐トルク規格値は、アース側で0.5[N・m]以上、駆動伝達側で2.0[N・m]以上である。
実験3では、トルクメーターの数値が2[N]以上となっても、フランジ部材35に白化や破断、空転などの不具合は発生せず、フランジ部材35単体の強度が実機の使用に耐えうる強度であることが確認された。
【0086】
〔実験4〕
感光体スリーブに圧入されたときに受ける応力を軸穴部に伝達し難くするフランジ部材として、上記特許文献3に記載のフランジ部材がある。特許文献3に記載のフランジ部材は、圧入部と軸穴部とを連結する連結部に応力吸収構造を備えている。実験4では、特許文献3に記載の応力吸収構造を備えたフランジ部材と、本発明の特徴部を備えたフランジ部材とで、軸穴の変形や変位を比較するシミュレーションを行った。
【0087】
図38〜図42は、実験4のシミュレーションで用いたフランジ部材35のデータを斜視図で示した説明図である。
図38は、本発明の特徴部を備えたフランジ部材35の説明図である。
図39は、特許文献3の図2に示された応力吸収構造を備えたフランジ部材35の説明図であり、図39(a)は、軸方向外側となる側から見た斜視図であり、図39(b)は、圧入部側から見た斜視図である。
図40は、特許文献3の図1に示された応力吸収構造を備えたフランジ部材35の説明図であり、図40(a)は、軸方向外側となる側から見た斜視図であり、図40(b)は、圧入部側から見た斜視図である。
図41は、特許文献3の図3に示された応力吸収構造を備えたフランジ部材35の説明図であり、図42は、特許文献3の図6に示された応力吸収構造を備えたフランジ部材35の説明図である。
【0088】
実験4では、圧入部312の圧入外周面312fの全域に中心方向に向かう力を均等に加え、この圧入外周面312fの一点に他よりも大きな力を加える条件でシミュレーションを行った。この一点のみ他よりも大きな力を加える条件は、実物のフランジ部材35と感光体スリーブ30との間に生じる誤差を加味した条件である。
この条件で、図38〜図42に示す各フランジ部材35でシミュレーションを行ったときの軸穴313の移動量を図43のグラフに示す。
【0089】
図43(a)は、図38に示した本発明の特徴部を備えたフランジ部材35のデータを用いたシミュレーションの結果を示すグラフである。
図43(b)は、図39に示した特許文献3の図2に示された応力吸収構造を備えたフランジ部材35のデータを用いたシミュレーションの結果を示すグラフである。
図43(c)は、図40に示した特許文献3の図1に示された応力吸収構造を備えたフランジ部材35のデータを用いたシミュレーションの結果を示すグラフである。
図43(d)は、図41に示した特許文献3の図3に示された応力吸収構造を備えたフランジ部材35のデータを用いたシミュレーションの結果を示すグラフである。
図43(e)は、図42に示した特許文献3の図6に示された応力吸収構造を備えたフランジ部材35のデータを用いたシミュレーションの結果を示すグラフである。
【0090】
図43に示すグラフの横軸の「測定点」とは、シミュレーションを行うときにフランジ部材35の形状を細分化したメッシュで表現したときの軸穴313を形成する部分のメッシュの交点である。例えば、図43(a)の測定点は1〜16であるため、図38のフランジ部材35の軸穴313の縁は、16マスのメッシュにより表現されることを示している。
また、縦軸の「変形量」とは、圧入外周面312fに上述した条件の力を加える前の各測定点の中心軸に直交する平面(X−Y平面とする)上の位置を「0」としたときに、圧入外周面312fに上述した条件の力を加えたときの各測定点の位置を位置を示したものである。図43のグラフ中の実線が各測定点のX方向の移動量であり、破線がY方向の移動量である。例えば、図43(d)では、測定点1がX方向に0.00032[mm]、Y方向に0.00086[mm]、移動し、測定点2がX方向に−0.00038[mm]、Y方向に0.00087[mm]、移動している。
図43の(a)〜(e)のグラフより、図43(a)に示す本発明を適用したフランジ部材35が軸穴313の変形や変位が少ないことが分かる。
【0091】
〔実験5〕
上記実験1の表1に示すように、本発明の特徴部を備え、且つ、径が同じフランジ部材35であっても、応力吸収穴316の個数や配置によって振れの大きさ、すなわち、軸穴313の変形や変位の量が異なる。
実験5では、本発明の特徴部を備え、且つ、応力吸収穴316の形状が異なる三種類のフランジ部材35で、軸穴313の変形や変位を比較するシミュレーションを行った。
なお、応力吸収穴316の大きさや個数による影響を押さえるために、応力吸収穴316の数は24とし、フランジ部材35の連結部315における応力吸収穴316の割合が同じとなる三種類のフランジ部材35のデータを用いた。
【0092】
図44〜図46は、実験5のシミュレーションで用いたフランジ部材35のデータを正面図で示した説明図である。
図44は、応力吸収穴316の形状がフランジ部材35の外周に沿う方向とは逆方向に反った「逆アーチ形」のフランジ部材35の説明図である。
図45は、応力吸収穴316の形状がフランジ部材35の外周に沿う方向に反った「アーチ形」のフランジ部材35の説明図である。
図46は、応力吸収穴316の形状が「長方形」のフランジ部材35の説明図である。
【0093】
上記実験4と同じ条件で、図44〜図46に示す各フランジ部材35でシミュレーションを行ったときの軸穴313の移動量を図47のグラフに示す。
図47(a)は、図44に示した応力吸収穴316の形状が「逆アーチ形」のフランジ部材35のデータを用いたシミュレーションの結果を示すグラフである。
図47(b)は、図45に示した応力吸収穴316の形状が「アーチ形」のフランジ部材35のデータを用いたシミュレーションの結果を示すグラフである。
図47(c)は、図46に示した応力吸収穴316の形状が「長方形」のフランジ部材35のデータを用いたシミュレーションの結果を示すグラフである。
【0094】
図47のグラフより、「逆アーチ形」のフランジ部材35に比べて、「アーチ形」や「長方形」のフランジ部材35の方が、変形量が小さいことがわかる。
また、「アーチ形」と「長方形」とでは変形量には大きな差はないが、「アーチ形」のフランジ部材35では変形がマイナス方向に偏っているのに対して、「長方形」のフランジ部材35は、プラス方向及びマイナス方向の両方に変形が生じている。「アーチ形」のフランジ部材35のように各測定点の変形がマイナスに偏ると、軸穴313の中心位置もマイナスに移動するため、振れが生じやすい。一方、「長方形」のフランジ部材35のように各測定点の変形がプラスとマイナスとの両方向に生じると、軸穴313に変形は生じるものの、中心位置の移動が生じ難く、さらに振れの発生を抑制することができる。
【0095】
以上、本実施形態のフランジ部材35は、中空円筒形のスリーブ部材である感光体スリーブ30の軸方向の端部の端部開口部34に圧入される圧入部312と、圧入部312が端部開口部34に圧入された状態で感光体スリーブ30の中心軸となる位置に軸部材が挿入される軸穴313が設けられた軸穴部314と、圧入された状態で感光体スリーブ30の円形断面に平行な方向に延在し、圧入部312に軸穴部314を連結する連結部315とを有する。また、圧入部312が端部開口部34に圧入されたときに感光体スリーブ30の端部開口部34における内周面に接触する圧入部312の外周面である圧入外周面312fが感光体スリーブ30の内周面から受ける応力を吸収し、この応力が連結部315を介して軸穴部314に伝わることを抑制する応力吸収穴316を連結部315に備える。さらに、フランジ部材35は、連結部315を含む軸方向に直交する仮想平面315fに対して圧入外周面312fを軸方向に沿って投影させた仮想投影円312cの円周上から軸穴部314まで引いた任意の仮想線分318上に、少なくとも一つの応力吸収穴316を備える。このような構成により、連結部315を含む軸方向に直交する仮想平面315fに対して圧入外周面312fを軸方向に沿って投影させた仮想投影円312cの円周上から軸穴部314までどのような仮想線分318を引いても、その仮想線分318は応力吸収穴316と交差することとなる。このため、圧入外周面312fに対して応力がどの方向から加わっても、いずれかの応力吸収穴316によって応力が吸収される作用が働き、圧入外周面312fが受けた応力が直接、軸穴部314に伝わることを防止し、軸穴313が変形したり移動したりすることを抑制することができる。よって、フランジ部材35の感光体スリーブ30への圧入時に軸穴313が変形したり移動したりすることを、より確実に抑制することができる。
【0096】
また、フランジ部材35は、図46を用いて説明したフランジ部材35のように、応力吸収穴316が長方形の構成では、応力吸収穴36が、感光体スリーブ30に圧入された状態で円形断面の径方向に延在する仮想線分318と垂直に交わる実質的に直線状の一辺を有する。このような形状により、仮想線分318に沿う方向に応力が加わったときに、応力吸収穴36の近傍の連結部315が変形しやすく、より確実に、応力が軸穴部314に伝わることを抑制できる。
【0097】
また、フランジ部材35は、感光体スリーブ30に圧入された状態で円形断面の径方向となる方向についての軸穴313の中心位置からの距離が同じ位置となる同一円周上に配置された応力吸収穴316の数が、2以上180以下であることが望ましい。実験1において、円周方向の応力吸収穴316の数がこの範囲であれば、比較例に比して振れを抑制できることが確認できている。
【0098】
また、フランジ部材35は、軸穴313の中心位置から仮想投影円312cの円周上に引いた一本の仮想線分である半径329と交わる応力吸収穴316の数が2以上33以下であることことが望ましい。実験1において、半径方向の応力吸収穴316の数がこの範囲であれば、比較例に比して振れを抑制できることが確認できている。
【0099】
また、フランジ部材35は、感光体スリーブ30に圧入された状態で円形断面の径方向となる方向についての軸穴313の中心位置からの距離が同じ位置となる仮想円327の同一円周上に配置された複数の応力吸収穴316同士の間隔である円周方向間隔W1が、1[mm]以上、280[mm]以下であることことが望ましい。実験1において、円周方向間隔W1の値がこの範囲であれば、比較例に比して振れを抑制できることが確認できている。
【0100】
また、フランジ部材35は、軸穴313の中心位置から仮想投影円312cの円周上に引いた一本の仮想線分である半径329と交わる複数の応力吸収穴316同士の間隔である半径方向間隔W2が、1[mm]以上、130[mm]以下であることが望ましい。実験1において、半径方向間隔W2の値がこの範囲であれば、比較例に比して振れを抑制できることが確認できている。
【0101】
また、本実施形態の感光体ドラム3は、外周面に感光層31を有する中空円筒形のスリーブ部材である感光体スリーブ30と、感光体スリーブ30の中心軸に位置する軸部材が挿入される軸穴313を備え、感光体スリーブ30の軸方向の端部の端部開口部34に圧入されるフランジ部材とを有する感光体ドラムである。このような感光体ドラム3のフランジ部材として、本発明の特徴部を備えたフランジ部材35を用いることにより、フランジ部材35における軸穴313の位置ずれが少ないため、全振れを抑制し、振れ精度の高い感光体ドラム3を実現することができる。
【0102】
また、実施形態1の作像装置1や実施形態2のプロセスカートリッジ700は、感光体ドラム3と、感光体ドラム3を帯電させる帯電手段である帯電装置4と、帯電装置4によって帯電させられた感光体ドラム3の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、潜像形成手段によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像手段である現像装置5と、現像手段よって形成されたトナー像を被転写体である中間転写ベルト10または転写紙Pに転写させる転写手段と、転写後に感光体ドラム3の表面に残留したトナーを感光体ドラム3の表面から除去するクリーニング手段である感光体クリーニング装置6とを備える画像形成装置本体である複写機500またはプリンタ600に対して、感光体ドラム3と、帯電装置4、現像装置5及び感光体クリーニング装置6とを一体的に支持し、着脱可能としたプロセスカートリッジである。このようなプロセスカートリッジの感光体ドラム3として、本発明の特徴部を備えたフランジ部材35を有する感光体ドラム3を用いることにより、感光体ドラム3の振れ精度が高いため、感光体ドラム3の表面と、帯電装置4や現像装置5との距離にムラが生じることを防止でき、帯電ムラや現像ムラに起因する濃度ムラを防止することができる。
【0103】
また、実施形態1の複写機500は、感光体ドラム3と、感光体ドラム3を帯電させる帯電手段である帯電装置4と、帯電装置4によって帯電させられた感光体ドラム3の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段である露光装置21と、露光装置21によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像手段である現像装置5と、現像装置5よって形成されたトナー像を被転写体である中間転写ベルト10に転写させる転写手段である一次転写ローラ8と、転写後に感光体ドラム3の表面に残留したトナーを感光体ドラム3の表面から除去するクリーニング手段である感光体クリーニング装置6とを有する画像形成装置である。このような複写機500が備える感光体ドラム3として、本発明の特徴部を備えたフランジ部材35を有する感光体ドラム3を用いることにより、感光体ドラム3の振れ精度が高いため、感光体ドラム3の表面と、帯電装置4や現像装置5との距離にムラが生じることを防止でき、帯電ムラや現像ムラに起因する濃度ムラを防止することができる。さらに、図2に示すタンデム型の画像形成装置では、各色感光体ドラム3において、感光体ドラム3の振れに起因するトナー像が形成される位置の位置ずれも防止できるため、多色の画像のずれを極小化することができ、高画質な画像を提供することができる。
【0104】
また、実施形態2のプリンタ600は、感光体ドラム3と、感光体ドラム3を帯電させる帯電手段である帯電装置4と、帯電装置4によって帯電させられた感光体ドラム3の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段である不図示の露光装置と、露光装置によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像手段である現像装置5と、現像装置5よって形成されたトナー像を被転写体である転写紙Pに転写させる転写手段である転写チャージャ70と、転写後に感光体ドラム3の表面に残留したトナーを感光体ドラム3の表面から除去するクリーニング手段である感光体クリーニング装置6とを有する画像形成装置である。このようなプリンタ600が備える感光体ドラム3として、本発明の特徴部を備えたフランジ部材35を有する感光体ドラム3を用いることにより、感光体ドラム3の振れ精度が高いため、感光体ドラム3の表面と、帯電装置4や現像装置5との距離にムラが生じることを防止でき、帯電ムラや現像ムラに起因する濃度ムラを防止することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 作像装置
3 感光体ドラム
4 帯電装置
5 現像装置
6 感光体クリーニング装置
8 一次転写ローラ
10 中間転写ベルト
21 露光装置
21a 画像露光部
22 二次転写ローラ
23 二次転写ベルト張架ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
30 感光体スリーブ
31 感光層
32 基体
34 端部開口部
35 フランジ部材
36 応力吸収穴
43 ペーパーバンク
49 レジストローラ対
100 プリンタ部
200 給紙部
300 スキャナ部
312 圧入部
312c 仮想投影円
312f 圧入外周面
313 軸穴
314 軸穴部
315 連結部
315f 仮想平面
316 応力吸収穴
317 円
318 仮想線分
319 外縁部
319f 外縁
327 仮想円
329 半径
500 複写機
600 プリンタ
700 プロセスカートリッジ
P 転写紙
W1 円周方向間隔
W2 半径方向間隔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】実開平01−136959号公報
【特許文献2】特開平08−123251号公報
【特許文献3】特開平10−288917号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒形のスリーブ部材の軸方向の端部の端部開口部に圧入される圧入部と、
該圧入部が該端部開口部に圧入された状態で該スリーブ部材の中心軸となる位置に軸部材が挿入される軸穴が設けられた軸穴部と、
圧入された状態で該スリーブ部材の円形断面に平行な方向に延在し、該圧入部に該軸穴部を連結する連結部とを有し、
該圧入部が該端部開口部に圧入されたときに該スリーブ部材の該端部開口部における内周面に接触する該圧入部の外周面が該スリーブ部材の内周面から受ける応力を吸収し、この応力が該連結部を介して該軸穴部に伝わることを抑制する応力吸収穴を該連結部に備えるフランジ部材において、
上記連結部を含む上記軸方向に直交する仮想平面に対して上記圧入部の上記外周面を該軸方向に沿って投影させた仮想投影円の円周上から上記軸穴部まで引いた任意の仮想線分上に、少なくとも一つの上記応力吸収穴を備えることを特徴とするフランジ部材。
【請求項2】
請求項1のフランジ部材において、
上記応力吸収穴が、上記スリーブ部材に圧入された状態で上記円形断面の径方向に延在する仮想線分と垂直に交わる実質的に直線状の一辺を有することを特徴とするフランジ部材。
【請求項3】
請求項1または2のフランジ部材において、
上記スリーブ部材に圧入された状態で上記円形断面の径方向となる方向についての上記軸穴の中心位置からの距離が同じ位置となる同一円周上に配置された上記応力吸収穴の数が、2以上180以下であることを特徴とするフランジ部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフランジ部材において、
上記軸穴の中心位置から上記仮想投影円の円周上に引いた一本の仮想線分と交わる上記応力吸収穴の数が2以上33以下であることを特徴とするフランジ部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフランジ部材において、
上記スリーブ部材に圧入された状態で上記円形断面の径方向となる方向についての上記軸穴の中心位置からの距離が同じ位置となる同一円周上に配置された複数の上記応力吸収穴同士の間隔が、1[mm]以上、280[mm]以下であることを特徴とするフランジ部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフランジ部材において、
上記軸穴の中心位置から上記仮想投影円の円周上に引いた一本の仮想線分と交わる複数の上記応力吸収穴同士の間隔が、1[mm]以上、130[mm]以下であることを特徴とするフランジ部材。
【請求項7】
外周面に感光層を有する中空円筒形のスリーブ部材と、
該スリーブ部材の中心軸に位置する軸部材が挿入される軸穴を備え、該スリーブ部材の軸方向の端部の端部開口部に圧入されるフランジ部材とを有する感光体ドラムにおいて、
上記フランジ部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフランジ部材を用いることを特徴とする感光体ドラム。
【請求項8】
感光体と、
該感光体を帯電させる帯電手段と、
該帯電手段によって帯電させられた該感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
潜像形成手段によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像手段と、
現像手段よって形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写手段と、
転写後に該感光体の表面に残留したトナーを該感光体の表面から除去するクリーニング手段とを備える画像形成装置本体に対して、少なくとも上記感光体と他の手段とを一体的に支持し、着脱可能としたプロセスカートリッジにおいて、
上記感光体として請求項7の感光体ドラムを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
感光体と、
該感光体を帯電させる帯電手段と、
該帯電手段によって帯電させられた該感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
潜像形成手段によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像手段と、
現像手段よって形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写手段と、
転写後に該感光体の表面に残留したトナーを該感光体の表面から除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、
上記感光体として請求項7の感光体ドラムを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
表面移動する感光体の表面を一様帯電し、
帯電した該感光体の表面に静電潜像を形成し、
該感光体の表面上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成し、
該感光体の表面上に形成された該トナー像を被転写体に転写し、最終的な被転写媒体である記録媒体上に該トナー像を転写することで該記録媒体の表面上に画像を形成する画像形成方法において、
上記感光体として請求項7の感光体ドラムを用いることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2012−103627(P2012−103627A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254183(P2010−254183)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】