説明

フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブとその製造方法、およびそれを用いた撥水性被膜被覆物

【課題】表面がフルオロアルキル基で機能化された、内部が空洞となったフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブと、それを簡便に作製する方法を提供すること。また、これを用いた撥水性被覆物を提供すること。
【解決手段】本発明は、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブと、その製造方法を提供することにある。金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属キレートおよび金属アシレート類からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属化合物と、フルオロアルキル基を有する金属化合物、フルオロアルキル基を有するゲル化剤とを溶媒に溶解し重合反応させることにより、内壁または外壁がフルオロアルキル基で機能化された金属酸化物チューブが作製できる。また、得られたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを基材表面に固定化することで得られる撥水性被覆物を提供することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空形状を有する金属酸化物の表面にフルオロアルキル基が結合している、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブとその製造方法、およびそれを用いた撥水性被膜被覆物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノスケールのチューブ構造を有する材料は、カーボンナノチューブをはじめとして、シリカナノチューブ、チタニアナノチューブ等が合成されており、例えばシリカナノチューブは、直鎖ポリエチレンイミンポリマー水溶液から結晶性ポリマーフィラメントを析出させ、該ポリマーフィラメントとアルコキシシランとを接触させることにより複合体を形成させた後、複合体中のポリマーフィラメントを除去する方法で得られる(特許文献1)。このような材料は、そのチューブ形状に由来する担持性や高い比表面積などから、電子材料、光学材料、触媒担体、添加剤など種々の分野への応用が検討されている。
【0003】
また、これらのチューブ状材料はその表面を化学修飾することによる機能化が図られている。例を挙げると、精製前の分子構造的に欠陥を有したカーボンナノチューブを酸素存在下600〜1800℃に加熱することで得られる表面が酸無水物で修飾された反応性カーボンナノチューブを調製し、さらに酸無水物部位に活性水素基を有する高分子を反応させて表面に高分子鎖を結合させる方法(特許文献2)や、非対称性の分子構造を有する多層カーボンナノチューブに次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤の存在下、マイクロ波を照射することで表面をカルボキシル基で修飾する方法(特許文献3)などがある。
【0004】
しかしながら、これら表面機能化はいったん得られたチューブを加工する必要があり、高温での加熱や、マイクロ波等の特殊な装置が必要になるという問題があった。そのため、係る課題の解決が望まれていた。また、表面改質は主にカーボンナノチューブに多く、シリカナノチューブ等の金属酸化物ナノチューブを表面機能化したものは知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開2006−199523号公報
【特許文献2】特開2006−240901号公報
【特許文献3】特開2007−55863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の背景技術を鑑みて、より簡便な方法で、表面にフルオロアルキル基が結合したフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フルオロアルキル基が他の分子と排他的に相互作用して凝集しあうという点に着目し、フルオロアルキル基がその表面に結合しているナノスケールのフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブが容易に得られることを見出し本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、外径が100μm以下の中空形状を有する金属酸化物の表面にフルオロアルキル基が化学的に結合している、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを提供することにある。
【0009】
フルオロアルキル基は、炭素数2〜12のフルオロアルキル基とすることが好ましい。こうすれば、フルオロアルキル基同士の凝集力を利用でき、前記フルオロアルキル基金属酸化物チューブを容易に製造することができるためである。
【0010】
金属酸化物はSi,Ti,Al,Zrから選ばれる、少なくとも一種の酸化物からなることが好ましい。これらの金属はアルコキシド、キレートなどを原料として容易に重合させることができるからである。
【0011】
本発明のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは以下のようにして製造することができる。
すなわち、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属キレートおよび金属アシレート類からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属化合物と、フルオロアルキル基を有する金属化合物とを、フルオロアルキル基を有するゲル化剤の存在下で重合反応させることで、前記フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを得ることができる。
【0012】
本発明のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの製造方法によれば、外径が1μm以下のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを容易に製造することができる。
【0013】
ゲル化剤は、炭素数4〜12のフルオロアルキル基を有することが好ましい。こうであれば、フルオロアルキル基同士の凝集力を利用でき、前記フルオロアルキル基金属酸化物チューブを容易に製造することができるためである。
【0014】
本発明の撥水性被膜被覆物は、本発明のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブが有機基材表面又は無機基材表面に固定化されてなる。発明者らは、この撥水性被膜被覆物が極めて良好な撥水性を有することを確認している。
【0015】
本発明のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは、金属アルコキシド、フルオロアルキル基を有する金属アルコキシド、フルオロアルキル基を有するゲル化剤の存在下で溶媒に溶解し、適宜触媒・添加剤等を加え該溶液を静置してゲル化させると、フルオロアルキル金属アルコキシド中のフルオロアルキル基がゲルの繊維状網目構造中のフルオロアルキル基成分を認識することにより、該繊維状網目構造をテンプレートとして金属アルコキシドが重合するために得られる。
【0016】
本発明により製造される金属酸化物は、中空のチューブ状構造で、高いアスペクト比を有しており、内部に他の成分を担持させることが可能であり、また外壁および内壁部分にフルオロアルキル基を含有していることから、フルオロアルキル基に特有の撥水・撥油性、電気絶縁性などの機能を持たせることが可能である。
【0017】
また、フルオロアルキル基以外の官能基を有する金属アルコキシド、ハロゲン化金属、金属キレートおよび金属アシレートなどの金属化合物を同時に混合することで、フルオロアルキル基と官能基の両方を含有したフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを容易に得ることが可能である。
【0018】
さらに、チューブ構造のため、高い比表面積を有することから、単なる粒子形状のものと比較して、樹脂等に添加した際に樹脂との接触面積が増大し、耐熱性や強度を向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る、フルオロアルキル基を含有するフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは新規物質であり、撥水性、電気絶縁性、物質担持性などの機能を有し、撥水・撥油剤、電子デバイス、触媒担体、顔料、塗料、化粧料、樹脂強化添加剤材料などとして有用なものである。その製造方法は、フルオロアルキル基含有ゲル化剤をテンプレートにすることにより、フルオロアルキル基やその他官能基で機能化されたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを極めて簡便に得ることができる、新規の方法である。
【0020】
また、前記製造方法で得られたナノスケールのフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを、ガラス、樹脂等の無機・有機基板上に固定化することで、表面を撥水化した被覆物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属キレートおよび金属アシレート類からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物と、フルオロアルキル基を有する金属化合物、分子内にフルオロアルキル基を有するゲル化剤を溶媒に溶解させた溶液を静置することで得ることができる。
【0022】
つまり、この溶液においてゲル化が起こり、その際に形成される繊維状会合体がチューブ形状のテンプレートとして働いて、繊維状会合体中の該ゲル化剤由来のフルオロアルキル基と、フルオロアルキル金属化合物由来のフルオロアルキル基が凝集する。さらにその周辺で金属化合物が加水分解・縮合反応を経て金属酸化物を形成する。これにより、前記フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを得ることができる。
【0023】
最後に、ゲル化剤を除去すれば、内部が空洞となったフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブが得られる。なお、ゲル化剤を除去する必要がなければ必ずしも必要ではない。回収したゲル化剤はテンプレートとして再利用できる。
【0024】
このようにしてできたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは、外径が1μm以下であり、好ましくは外径が50〜200nmの範囲、内径が10〜80nmの範囲にすることができる。また内部にはナノスケールの空洞を有することから、該空洞部に各種の機能性物質等を担持させることも可能である。
【0025】
[金属化合物]
本発明で、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを作成するための出発物質として用いる金属化合物は、加水分解・縮合反応を経て金属酸化物となるようなものであればよく、単独または混合して使用できる。つまり、金属化合物が水との反応により水酸化物に変換されるようなもの、例えば、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属キレートや金属アシレート、各種金属塩などが用いることが可能であるが、加水分解反応速度や取り扱いの容易さなどの観点から、金属アルコキシドや金属キレートなどを用いることが好ましい。
【0026】
金属化合物の金属がケイ素である金属化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、四塩化ケイ素など、従来公知の化合物が使用できる。
【0027】
金属化合物の金属がチタンである金属化合物としては、例えば、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、iso−プロポキシビス(エチルアセテート)チタンなどのほか、チタンキレート化合物、チタンアシレート化合物など、従来公知の化合物が使用できる。
【0028】
金属化合物の金属がアルミニウムやジルコニウムである例としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウム−iso−プロポキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−ブトキシド、アルミニウムグリシネート、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、ジアセチルアセトントリブトキシジルコニウムなどの、アルコキシアルミニウム化合物、アルコキシジルコニウム化合物など、従来公知の化合物が使用できる。
【0029】
本発明で得られるフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの出発物質としては、上述した金属以外にもより具体的には、Sn、W、Mo、Co、In、Sb、As、Si、Ti、Co、Al、Zr、Ga、Yb、Sr、Thなどの金属を含むアルコキシド、アセテート、アシレート、ハロゲン化物、金属塩、金属石鹸など、これまで知られた有機金属化合物または金属化合物を、適宜単独、または混合物として使用できる。
【0030】
[フルオロアルキル金属化合物]
本発明において使用するフルオロアルキル基を有する金属化合物としては、ゲル化剤中のフルオロアルキル基と凝集しあうようなフルオロアルキル基を有する金属化合物であればよく、適宜単体、または混合して使用できる。化合物例としては、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルジメチルクロロシラン、ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)メチルジクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘネイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル)ジメチルクロロシラン、(ヘネイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル)メチルジクロロシラン、(ヘネイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル)トリクロロシラン、(ヘネイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル)トリメトキシシラン、(ヘネイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル)トリエトキシシランなど、従来公知の化合物が使用できる。加水分解反応速度や取り扱いの容易さなどの観点からアルコキシド型のものが好ましく、さらにフルオロアルキル基の相互作用のし易さからフルオロアルキル単位が6以上のものが好ましい。
【0031】
[ゲル化剤]
本発明において使用するゲル化剤とは、分子内にフルオロアルキル基を有するもので、特定の溶媒を10wt%以下の添加でゲル化および増粘させることができるものであればよい。このようなフルオロアルキル基を有するゲル化剤を挙げると、フルオロアルキルアルカン(Rabolt et al.Macromolecules、1984年、17巻、2786頁)、含フッ素酸エステル化合物(Weiss et al.J.Am.Chem.Soc.、2003年、125巻、10275頁)、含フッ素エステル化合物(特開平11−323308号公報)および含フッ素酸アミド化合物(特開2005−068198号公報)、含フッ素エーテル化合物(特開平10−175901号公報)、含フッ素アルキルジエステル化合物および含フッ素アルキルエステルアミド化合物(特開2007−070289号公報)などがある。最終的にゲル化剤を除去する観点からは、より少量で溶媒をゲル化できる含フッ素アルキルジエステル化合物が好ましい。
【0032】
[溶媒]
本発明に用いる溶媒は、ゲル化剤によってゲル化される溶媒であって、前記金属化合物、フルオロアルキル基を有する金属化合物および触媒等を溶解できるものであればよく、単体または混合して利用できる。例としては、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、2−ブタノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、メチルベンゾエートなどのエステル系溶媒、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、イソプロピルエーテル、アニソールなどのエーテル系溶媒、ジメチルシリコーン油、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシリコーン系溶媒、スクワラン、植物油などのエステル油系溶媒など、公知の溶媒が使用できる。製造過程におけるコストの観点からは、少量のゲル化剤添加でゲル化可能で、減圧留去しやすいアルコール類が特に好ましい。
【0033】
[溶解工程]
本発明における金属酸化物の加水分解・縮合反応とは、系中に微量に存在する水分と金属化合物との接触によって引き起こされる。また、該反応の速度や様式は、溶液の酸性度・塩基性度、金属化合物の安定性などによって異なることが知られている。
【0034】
そのため、金属化合物の加水分解・縮合反応を制御するため、適宜触媒・添加剤等の添加ができる。触媒・添加剤等とは、具体的には金属化合物の加水分解・縮合反応の進行速度を制御せしめるものであって、該反応の進行速度を促進および抑制するものである。つまり、促進剤や安定剤などのことをいい、使用する金属化合物の種類によって適宜単体もしくは混合して使用できる。反応速度を促進する化合物の例を挙げると、水の他、アンモニア、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの塩基類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの酸類のような公知の化合物が触媒として使用できる。反応速度を抑制する化合物の例を挙げると、アセチルアセトン、メチルアセトアセテート、ジメチル−1,3−アセトンジカルボキシレート、マロン酸、マロン酸エステル類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど、金属化合物とキレート錯体を形成するような成分を有する公知の化合物が安定剤として使用できる。
【0035】
本実施形態では、フルオロアルキル基を有するゲル化剤を用いて得られる金属酸化物の三次元構造を制御する。原料となる金属化合物に合わせて、該ゲル化剤の種類・濃度または溶媒量を選択することにより、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの形状、直径、内径、厚み、アスペクト比および収量を、目的とする金属酸化物を得るのに好ましい状態に設定できる。
【0036】
前記ゲル化剤の濃度は、溶液をゲル化できる濃度であればよいが、作業の容易さや材料コストの点から、用いるゲル化剤の溶媒に対してゲル化を示す最も低い濃度からその10倍程度の濃度で使用するのが好ましい。
【0037】
なお、前記ゲル化剤は予め溶媒に溶かしておくことができる。また製造過程において、環境温度などにより溶媒をゲル化することがあるため、その他の原料を混合する際には一度加熱溶解または超音波照射などにより、溶液を均一状態としたうえで加えることが好ましい。
【0038】
前記ゲル化剤混合溶液に、適宜水、アミンなどの触媒・添加剤等を加え、さらに金属化合物およびフルオロアルキル基を有する金属化合物を加えて溶解する。その後、溶液をゲル化させることで、チューブ状酸化物のテンプレートとなる三次元網目状繊維構造を有したゲル繊維が形成される。
【0039】
金属化合物およびフルオロアルキル基を有する金属化合物の量比は特に限定されないが、副生成物の少ないフルオロアルキル基修飾チューブ状金属酸化物を得るためは、ゲル化剤重量に対して1〜20倍程度が好ましく、金属化合物/フルオロアルキル基を有する金属化合物のモル比が0.5〜50の範囲であることが好ましい。
【0040】
溶液をゲル化させる際、一度加熱・冷却などが必要となる場合があるが、加熱温度が高すぎると金属化合物の加水分解・縮合反応が加速され、溶液がゲル化状態になる以前に金属酸化物の形成が起こってしまう。このことから、通常は80℃以下でゲル化させることが好ましい。
【0041】
また、活性の高い金属化合物を混合する際には、前もって金属化合物と安定剤を混合して加水分解を抑制した状態で、溶液と混合することが好ましい。
【0042】
[フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの形成]
フルオロアルキル基は高い電気陰性度や低い分極率に起因する分子間力の低さから、他の分子との相互作用が小さい。そのため、排他的にフルオロアルキル基を含む化合物同士で集合することが知られている。よって、本発明において使用するフルオロアルキル成分を有する化合物もお互いに凝集しあう傾向がある。
【0043】
本発明では、このようなフルオロアルキル基の特性を利用することで、該ゲル繊維の構造を金属酸化物のテンプレートとして使用できる。フルオロアルキル金属化合物がテンプレート上に凝集した状態で、他の金属化合物成分と加水分解を経て縮合反応することで重合し、ゲル繊維の表面が金属酸化物で覆われ、チューブ形状の金属酸化物が形成される。
【0044】
この加水分解・縮合反応の進行速度は溶液の酸・塩基性の他、温度等により促進・抑制される。溶液のゲル化状態は温度により可逆的に変化することと、反応速度が速すぎると得られる金属酸化物がチューブ形状を形成しにくいことから、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ形成の際の温度は室温以下が好ましく、10〜30℃の範囲であることが特に好ましい。また、静置時間は5〜20日間の範囲が望ましい。
【0045】
前記工程により金属化合物の重合反応を経て、内部にゲル化剤が残った状態のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブが得られる。チューブ中のゲル化剤は、得られたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブをゲル化剤の良溶媒でチューブから抽出するか、加熱によって溶出または分解することで除くことができる。ただし、加熱温度が400℃を超えるとチューブ上のフルオロアルキル基成分の分解が起こるので好ましくない。抽出および溶出して回収したゲル化剤は再びテンプレートとして使用することができる。また、このフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブをゲル化剤が残ったまま使用することもできる。
【0046】
このようにして、目的とするフルオロアルキル基を含有するフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを製造することができる。得られたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは内部にナノサイズの空洞を有することから、該空洞部に各種の機能性物質等を担持させることが可能である。また、表面にフルオロアルキル基を有することから、フッ素に特有な撥水性、撥油性、電気絶縁性、摺動性、物質担持性などの機能が期待でき、撥水・撥油剤、電子デバイス、触媒担体、顔料、塗料、化粧料、樹脂強化添加剤材料などとして利用できる。
【0047】
[撥水表面の作製]
本発明により得られたフルオロアルキル基含有フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは、その特徴を活かして、有機・無機材表面に固定化することで、撥水表面を形成させることが可能である。
【0048】
本発明に用いるフルオロアルキル基含有フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは、フルオロアルキル基を有していれば特に限定されないが、直径200nm以下が好ましい。さらに、分散性を向上させるため、高速回転分散機、媒体攪拌型分散機(ボールミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、ロールミル分散機、高圧分散機等、従来公知の分散機を使用することができる。
【0049】
基材としては特に限定されないが、例えば有機材では合成樹脂、無機材ではガラス、金属、セラミック等が上げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリアミド樹脂(PA)、アラミド樹脂( 芳香族系ポリアミド樹脂) 、ポリイミド樹脂(PI)、アクリルブタジエンスチレン共重合体(ABS) 樹脂、アセタール樹脂、メチルペンテン樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル硬化樹脂、エボナイトなどの熱硬化性樹脂、ブタジエン−スチレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどのゴムが挙げられる。
【0050】
基材表面へのフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの固定化には、塗布や吹き付けなど使用できる。例えば、分散溶液として、刷毛塗りによる塗布、キャスト法、スピンコーティング法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、フローコート法等、従来公知の方法でコーティングできる。
【0051】
また、密着性をより向上させるために、基材にアルキルアルコキシシラン類や、フルオロアルキルアルコキシシラン類、上記樹脂類などを下地、中間層、上層にコーティングして固定化することが好ましい。
【実施例】
【0052】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
[フルオロアルキル基を有するゲル化剤の合成]
(合成例1)
含フッ素アルキルジエステル化合物および含フッ素アルキルエステルアミド化合物(特開2007−070289号公報)を参考にして、下記式で表されるゲル化剤(1)を製造した。
【化1】

【0054】
(化合物1aの合成)
2−(パーフルオロデシル)エタノール(8.29g、14.7mol)、無水コハク酸(1.77g、17.6mol)、トリエチルアミン(2.5mL、18mol)をジクロロメタン(40mL)に加え、6時間還流攪拌した。ジクロロメタンをエバポレーターで留去し、洗浄、再結晶で精製して化合物1a(9.14g,94%)を得た。
【0055】
(化合物1bの合成)
化合物1a(9.14g)をジクロロメタン(30mL)に加え、窒素気流下、塩化チオニル(5.0mL)を少量ずつ滴下し、室温で10時間攪拌した。反応溶液を手早く蒸留水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して化合物7b(6.12g,65%)を得た。
【0056】
(化合物1の合成)
化合物1b(1.01g、1.48mol)、ベヘニルアルコール(0.44g、1.35mol)をジクロロメタン(5mL)に加え攪拌した。反応溶液に脱水ピリジン(0.11mL、1.5mol)を滴下し、室温で10時間攪拌した。反応溶液を1N塩酸、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して目的のゲル化剤1(1.12g,85%)を得た。
【0057】
(合成例2)
含フッ素アルキルジエステル化合物および含フッ素アルキルエステルアミド化合物(特開2007−070289号公報)を参考にして、下記式で表されるゲル化剤(2)を製造した。
【化2】

【0058】
化合物1b(1.09g、1.59mol)、コレステロール(0.52g、1.35mol)をジクロロメタン(5mL)に加え攪拌した。反応溶液に脱水ピリジン(0.11mL、1.5mol)を滴下し、室温で10時間攪拌した。反応溶液を1N塩酸、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液を濃縮して目的のゲル化剤2(1.27g,91%)を得た。
【0059】
(合成例3)
含フッ素エステル化合物(特開平11−323308号公報)を参考にして、下記式で表されるゲル化剤(3)を製造した。
【化3】

【0060】
2−(パーフルオロデシル)エタノール(0.849g、1.50mol)、ベヘン酸メチル(1.01g、2.84mol)を脱水トルエン(30mL)に加え攪拌した。反応溶液にテトラ−n−ブトキシチタン(0.1mL)を滴下し、10時間還流した。エバポレーターでトルエンを留去し、イソプロピルエーテル(30mL)を加えた溶液を、1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別、ろ液を濃縮し、クロロホルムで再結晶して目的のゲル化剤3(0.674g,51%)を得た。
【0061】
[フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの作製]
(実施例1)
上記で得られたゲル化剤1(10.1mg)を熱エタノール(3mL)に溶解させ、水(30μL)、プロピルアミン(30μL)を添加し、加温しながら均一溶液になるように混合した。混合溶液を60℃以下に保った状態で、テトラエトキシシラン(11μL)、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン(7.0μL)を加え、すばやく攪拌などで均一溶液となるように攪拌し、20℃の恒温槽でゲル化させ、7日間静置した。ゲル化溶液にクロロホルム(10mL)を加えよく攪拌してゲル化剤を抽出し、遠心分離器(10000rpm、5分)で固体成分を沈殿させ、上澄みをデカンテーションで分離し、同様の操作を3回行い、ゲル化剤を取り除いた。固体成分を真空ポンプで乾燥して、目的のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ(7.4mg)が得られた。得られたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの走査電子顕微鏡写真(JEOL社:JSM−6300)を図1に示した。
【0062】
(実施例2)
ゲル化剤に2を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ(5.4mg)を得た。電子顕微鏡写真は図2に示す。
【0063】
(実施例3)
ゲル化剤に3を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ(5.5mg)を得た。電子顕微鏡写真は図3に示す。
【0064】
(実施例4)
金属化合物にテトラエトキシシラン(12.4μL)、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン(17.3μL)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ(12.3mg)を得た。電子顕微鏡写真は図4に示す。
【0065】
(比較例1)
金属化合物にトリエトキシシラン(12.8μL)とオクタデシルトリエトキシシラン(9.2μL)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属酸化物(0.5mg)を得た。電子顕微鏡写真は図5に示す。
【0066】
(比較例2)
金属化合物にトリエトキシシラン(13.9μL)とドデシルトリエトキシシラン(8.0μL)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属酸化物(2.3mg)を得た。電子顕微鏡写真は図6に示す。
【0067】
(比較例3)
ゲル化剤を用いないこと以外は、実施例1と同様の操作を行ったところ、固形の重合物は得られなかった。
【0068】
(比較例4)
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランを用いないこと以外は、実施例1と同様の操作を行ったところ、固形の重合物は得られなかった。
【0069】
[撥水膜の作製]
(実施例5)
上記実施例1で得られたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブをメノウ擂鉢ですりつぶし、片面をガラス板に接着した両面テープのもう一方の面にコーティングした。コーティングされた表面の水の接触角を光学式接触角計(ERMA社:G−1)で測定したところ、150度以上の接触角を示した。
【0070】
(実施例6)
上記実施例1で得られたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ(5mg)と酢酸ビニル樹脂(5mg)を酢酸エチル0.5mLに分散・溶解させ、その溶液をガラス板(タテ10mm×ヨコ20mm)の上にキャストした。キャストしてから1日後に水の接触角を測定したところ、150度以上の接触角を示した。
【0071】
(比較例5)
上記実施例1で得られたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを450℃で30分焼成してフルオロアルキル成分を除去した後、メノウ擂鉢ですりつぶし、片面をガラス板に接着した両面テープのもう一方の面にコーティングした。コーティングされた表面の水の接触角を測定したところ、接触角は90度以下であった。
【0072】
上記実施例、比較例において示したとおり、本発明の表面がフルオロアルキル基で覆われたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブは、フルオロアルキル基同士の凝集を利用することによって得られる。表面がフルオロアルキル基で覆われたフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、表面をフルオロアルキル基で機能化した新規フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブおよび、それを基材表面に固定化した撥水性被膜被覆物が提供でき、これらの材料は撥水・撥油剤、電子デバイス、触媒担体、顔料、塗料、化粧料、樹脂強化添加剤材料などとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】ゲル化剤1をテンプレートに作製したフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの電子顕微鏡写真(倍率5万倍)
【図2】ゲル化剤2をテンプレートに作製したフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの電子顕微鏡写真(倍率1万5000倍)
【図3】ゲル化剤3をテンプレートに作製したフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの電子顕微鏡写真(倍率1万5000倍)
【図4】フルオロアルキル基を有する金属化合物に(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシランを用いて作製したフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの電子顕微鏡写真(倍率1万5000倍)
【図5】フルオロアルキル基を有する金属化合物の代わりにフルオロアルキル基を含まない成分を用いて作製した金属酸化物の電子顕微鏡写真(倍率1万5000倍)
【図6】フルオロアルキル基を有する金属化合物の代わりにフルオロアルキル基を含まない成分を用いて作製した金属酸化物の電子顕微鏡写真(倍率1万5000倍)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径が100μm以下の中空形状を有する金属酸化物の表面にフルオロアルキル基が化学的に結合している、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ。
【請求項2】
フルオロアルキル基が炭素数2〜12のフルオロアルキル基である、請求項1に記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ。
【請求項3】
金属酸化物はSi,Ti,Al,Zrから選ばれる少なくとも一種の酸化物からなる、請求項1又は2に記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ。
【請求項4】
フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの外径が1μm以下である、請求項1乃至3に記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブ。
【請求項5】
金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属キレートおよび金属アシレート類からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属化合物と、フルオロアルキル基を有する金属化合物とを、フルオロアルキル基を有するゲル化剤の存在下で溶媒に溶解し重合反応させて、請求項1乃至4に記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブを得る、フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの製造方法。
【請求項6】
フルオロアルキル基が、炭素数2〜12のフルオロアルキル基である請求項5に記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの製造方法。
【請求項7】
金属酸化物はSi,Ti,Al,Zrから選ばれる少なくとも一種の酸化物からなる、請求項5又は6に記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの製造方法。
【請求項8】
フルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの外径が1μm以下である請求項5乃至7に記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの製造方法。
【請求項9】
ゲル化剤は、炭素数4〜12のフルオロアルキル基を有する請求項5乃至8に記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれかに記載のフルオロアルキル基修飾金属酸化物チューブが、有機基材表面又は無機基材表面に固定化された撥水性被膜被覆物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−51691(P2009−51691A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219267(P2007−219267)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【Fターム(参考)】