説明

フルオロポリマー−シリコーン複合材料及び製造方法

I)熱可塑加工なフルオロポリマーと、II)一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサン/ポリ尿素/ポリウレタン−ブロックポリマーとの複合材料、ここで、Rは、炭素原子1〜20個を有する、非置換又はフッ素又は塩素により置換された一価の炭化水素基を表し、Xは炭素原子1〜20個を有するアルキレン基を表し、前記基中で互いに隣接していないメチレン単位は基−O−により置き換えられていてよく、Aは酸素原子又はアミノ基−NR′−を表し、Zは酸素原子又はアミノ基−NR′−を表し、R′は水素を表すか又は炭素原子1〜10個を有するアルキル基を表し、Yは、炭素原子1〜20個を有する、非置換又はフッ素又は塩素により置換された二価の炭化水素基を表し、Dは、炭素原子1〜700個を有する、非置換又はフッ素、塩素、C1〜C6−アルキルエステル又はC1〜C6−アルキルエステルにより置換されたアルキレン基を表し、前記基中で互いに隣接していないメチレン単位は基−O−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−により置き換えられていてよく、Bは、水素であるか又は官能性又は非官能性の有機基又は有機ケイ素基を表し、nは、1〜160の数を表し、aは、少なくとも1の数を表し、bは、0〜40の数を表し、cは、0〜30の数を表し、かつdは、0よりも大きい数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料(Verbund)及び複合材料の製造方法に関する。
【0002】
熱可塑性フルオロポリマーは、通常の熱可塑的な方法、例えばキャスト押出し及び吹込み押出し、射出成形、深絞り、吹込み成形等を用いて加工されることができる。これらは、低い気体透過性、耐媒体性(Medienbestaendigkeit)、低い引火性、低い表面エネルギー及び低い摩擦係数のような典型的な性質を有する。故に、それらの使用目的は、建築シートから、医療機器を経て、とりわけ化学装置工学用の管及び管路にまで達する。しかし、これらのフルオロポリマーにとって不利であるのは、化学的に異なる物質、例えば鉱物、例えば大理石、金属、例えば鋼又はポリマー、例えばポリプロピレンへのそれらの低い付着である。この不足している付着は、前処理、例えばプラズマ法又は化学エッチング又はプライマーにより改善されることができるが、しかしながらこれは通例、高められたコストと結び付いている。
【0003】
国際公開(WO)第07/079028号には、目下、熱可塑性フルオロポリマーを前処理しないでシリコーン−オルガノコポリマーをベースとする接着剤及びMQ樹脂を有する熱可塑性のフルオロエラストマーからなる積層品が記載されている。これらの物品もしくは方法にとって不利であるのは、前記物品の一方の面が目下永続的に接着性であることであり、このことは、特にフィルム製品又はロール製品の場合に、例えばこれが設けられたシート(Folien)は、ロール剥離挙動(Abrollverhalten)の形で極めて不都合に現れる。すなわち、前記接着剤が設けられたフルオロポリマーのロールが、極めて困難にロール剥離できるだけではなく、接着すべき表面上での配置は接着特性のために大きな表面積の場合にまさに極めて費用もかかる。この挙動の回避のために、そしてまた費用をかけて別の剥離ライナーが添加されなければならず、これはそしてまた増加されるコスト及びまた廃棄物量をまねく。
【0004】
さらに、シリコーン−オルガノ−コポリマーからなるPSA層の透明度は、MQ樹脂の使用により低下されている。故に、熱可塑性フルオロポリマーに、まさしく挙げられた欠点を有しない付着層を単純に設ける可能性が探し求められていた。
【0005】
意外なことに、国際公開(WO)第2007/079028号において使用されるMQ樹脂を放棄した場合にかつオルガノ−シリコーン−コポリマーの同時の化学修飾により、多くの使用目的のために明らかに改善された材料が得られることができることが見出された。
【0006】
こうして、有機含分を増加させることにより、すなわちシリコーンジアミンの連鎖長を低下させることにより、フルオロポリマーへの改善された付着が、このためにMQ樹脂を使用する必要なく得られることができ、このことはさらに本発明による材料の場合に、改善された透明度又はヘーズのような光学的性質をもたらす。
【0007】
こうして、一種のホットメルト接着剤が設けられている熱可塑性フルオロポリマーが得られ、すなわち、付着層の接着作用が潜在的にのみ存在しており、かつ熱作用を通じてのみ活性化される。これは、もちろん、潜在的に接着性にすぎない材料での取り扱いを桁外れに改善する。
【0008】
故に、本発明の対象は、
I)熱可塑加工なフルオロポリマーと、
II)一般式(1)
【化1】

で示されるオルガノポリシロキサン/ポリ尿素/ポリウレタン−ブロックコポリマーとの複合材料であり、
ここで、
Rは、炭素原子1〜20個を有する、非置換又はフッ素又は塩素により置換された一価の炭化水素基を表し、
Xは、炭素原子1〜20個を有するアルキレン基を表し、前記基中で、互いに隣接していないメチレン単位は基−O−により置き換えられていてよく、
Aは、酸素原子又はアミノ基−NR′−を表し、
Zは、酸素原子又はアミノ基−NR′−を表し、
R′は、水素を表すか又は炭素原子1〜10個を有するアルキル基を表し、
Yは、炭素原子1〜20個を有する、非置換又はフッ素又は塩素により置換された二価の炭化水素基を表し、
Dは、炭素原子1〜700個を有する、非置換又はフッ素、塩素、C1〜C6−アルキルエステル又はC1〜C6−アルキルエステルにより置換されたアルキレン基を表し、前記基中で、互いに隣接していないメチレン単位は、基−O−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−により置き換えられていてよく、
Bは、水素であるか又は官能性又は非官能性の有機基又は有機ケイ素基を表し、
nは、1〜160の数を表し、
aは、少なくとも1の数を表し、
bは、0〜40の数を表し、
cは、0〜30の数を表し、かつ
dは、0よりも大きい数を表す。
【0009】
好ましくは、Rは、特に置換されていない、炭素原子1〜6個を有する一価の炭化水素基を表す。特に好ましい基Rは、メチル、エチル、ビニル及びフェニルである。
【0010】
好ましくは、Xは、炭素原子1〜10個を有するアルキレン基を表す。好ましくは、アルキレン基Xは中断されていない。
【0011】
好ましくは、AはNH基を表す。
【0012】
好ましくは、Zは酸素原子又はNH基を表す。
【0013】
好ましくは、Yは、好ましくは置換されていない、炭素原子3〜14個を有する炭化水素基を表す。好ましくは、Yは、アラルキレン基、線状又は環状のアルキレン基を表す。極めて特に好ましくは、Yは、飽和アルキレン基を表す。
【0014】
好ましくは、Dは、炭素原子少なくとも2個、特に少なくとも4個及び炭素原子多くとも12個を有するアルキレン基を表す。
同様に好ましくは、Dは、炭素原子を少なくとも20個、特に少なくとも100個及び炭素原子を多くとも800個、特に多くとも200個有する、ポリオキシアルキレン基、特にポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基を表す。
好ましくは、基Dは、置換されていない。
【0015】
nは、好ましくは少なくとも3、特に少なくとも25及び好ましくは多くとも140、特に多くとも100、特に好ましくは多くとも60の数を表す。
【0016】
好ましくは、aは多くとも50の数を表す。
【0017】
bが0ではない場合には、bは好ましくは多くとも50、特に多くとも25の数を表す。
【0018】
cは、好ましくは多くとも10、特に多くとも5の数を表す。
【0019】
とりわけ、尿素基に加えてジヒドロキシ化合物又は水のような鎖長延長剤の使用により、機械的性質の明らかな改善が達成されることができる。こうして、機械的性質が従来のシリコーンゴムに全体的に匹敵するが、しかしながら、高められた透明度を有し、かつ十分な接着性を保証するために追加的な活性充填剤、例えばMQ樹脂が配合される必要のない材料が得られることができる。
【0020】
好ましくは、鎖長延長剤は、一般式(6)
HZ−D−ZH
を有し、ここで、D及びZは、前記の意味を有する。ZがOの意味を有する場合には、一般式(6)の鎖長延長剤は、前駆物質中の反応の前にも一般式(5)
OCN−Y−NCO
のジイソシアナートと反応されることができ、ここで、
Yは、炭素原子1〜20個を有する、非置換又はフッ素又は塩素により置換された二価の炭化水素基を表す。
【0021】
好ましくは、一般式(1)のコポリマー中に、ウレタン基及び尿素基の総和を基準として、尿素基が少なくとも50mol%、特に少なくとも75mol%含まれている。
【0022】
一般式(5)の使用すべきジイソシアナートの例は、好ましくは脂肪族化合物、例えばイソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアナート及びメチレンジシクロヘキシル−4,4′−ジイソシアナート又は芳香族化合物、例えばメチレンジフェニル−4,4′−ジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、2,5−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、m−フェニレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、テトラメチル−m−キシレンジイソシアナート又はこれらのイソシアナートの混合物である。商業的に入手可能な化合物の例は、Bayer AG、独国のDESMODUR(登録商標)シリーズ(H、I、M、T、W)のジイソシアナートである。Yが飽和アルキレン基である脂肪族ジイソシアナートが好ましい、それというのも、これらは改善されたUV安定性を示す材料をもたらすからであり、このことは、前記ポリマーの屋外用途の場合に有利である。一般式(6)のα,ω−OHを末端基とするアルキレンは、好ましくはポリアルキレン又はポリオキシアルキレンである。これらは好ましくは、一官能性、三官能性又はより高官能性のポリオキシアルキレンからなる汚染物を大体において含まない。この場合に、好ましくはポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンジオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンジオール、しかしまたポリ酢酸ビニルをベースとするα,ω−OHを末端基とするポリアルキレン、ポリ酢酸ビニルエチレンコポリマー、ポリ塩化ビニルコポリマー、ポリイソブチルジオールが使用されることができる。好ましくは、その際にポリオキシアルキレン、特に好ましくはポリプロピレングリコールが使用される。この種の化合物はポリウレタン軟質フォーム用及びコーティング用途用の基本材料として、とりわけ商業的に10 000超までの分子質量Mnを有して入手可能である。これらの例は、Bayer AG、独国のBAYCOLL(登録商標)ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール又はLyondell Inc.、米国のAcclaim(登録商標)ポリエーテルポリオールである。モノマーα,ω−アルキレンジオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール又はヘキサンジオールも使用されることができる。さらに、本発明の意味でのジヒドロキシ化合物は同様に、例えば、Goldschmidt社から名称Tegomer H-Si 2111、2311及び2711で販売されているような、ビスヒドロキシアルキルシリコーンであると理解されるべきである。
【0023】
一般式(1)のポリジオルガノシロキサン−尿素−コポリマーは、良好な機械的性質で高い分子量及び良好な加工特性を示す。
【0024】
熱可塑加工可能なフルオロポリマーは、下部構造として構造−CH2−CFX′の1つ又はそれ以上の単位を有し、ここで、X′は、H、Cl、F又は過フッ素化された有機基であってよい。その際に、それぞれの下部構造は、ポリマーの繰返し単位と同じ意味を有していてよい。フルオロポリマーは、完全にフッ素化されていてよく、例えばPFAポリマー、MFAポリマー又はFEPポリマーであってよいか、又は部分フッ素化されてよく、例えばETFEポリマー;HTEポリマー;EFEPポリマー、PVDFポリマー、PVFポリマー、ETFEポリマー、ECTFEポリマー又はTHV−ポリマーのいずれかであってよい。本発明によるフルオロポリマーの例は、ポリフッ化ビニリデン(DuPont(登録商標)の商標とりわけTEDLAR(登録商標)、ARKEMA(登録商標)のKYNAR(登録商標))、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−エチレン−コポリマー(例えばDYNEON社、BurgkirchenのET 6210J、ET 6235、ET 6240)、ヘキサフルオロプロペン−フッ化ビニリデン−コポリマー(例えばDAIKINのDAIEL T-530)及び国際公開(WO)第2007/079028号に挙げられたその他の製品である。
【0025】
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−コポリマー(FEP)又はまたエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−コポリマー(EFEP又はHTE)又はテトラフルオロエチレン−エチレン−コポリマー(ETFE)が特に好ましい。熱可塑性フルオロポリマーのフッ素含量は、好ましくは少なくとも15質量%であるべきである。
【0026】
熱可塑加工可能なフルオロポリマーの厚さは、好ましくは1〜2000μm、特に好ましくは10〜500μm及び極めて特に好ましくは25〜150μmである。
【0027】
オルガノ−シロキサン−コポリマーの厚さは、好ましくは1〜2000μm、特に好ましくは20〜1000μm及び極めて特に好ましくは100〜800μmである。シート複合材料の透明度は、好ましくは80%よりも大きく、特に好ましくは85%よりも大きく、かつ極めて特に好ましくは90%よりも大きい。(その際に、反射損失に基づく測定の際の最大限達成可能な透明度は、92%でありうる)。
【0028】
熱可塑性フルオロポリマーからなる層は、ポリマー、異なるフルオロポリマーのポリマーブレンド又はまた異なるフルオロポリマーの複数の層のいずれかからなっていてよい。
【0029】
シロキサン−尿素−ウレタン−コポリマーからなる層は、ポリマー、異なるシロキサン−尿素−ウレタン−コポリマーのポリマーブレンド又はまた異なるシロキサン−尿素−ウレタン−コポリマーの複数の層のいずれかからなっていてよい。
【0030】
本発明による熱可塑性材料中に、さらに、好ましくは熱安定剤、UV安定剤、染料又はHALS添加剤が配合されることができる。
【0031】
一般式(1)の前記のシリコーンコポリマーの製造は、溶液中で並びに固体物質中で、連続的に又は不連続に、独国特許(DE)第10137855号明細書又は欧州特許(EP)第250248号明細書に従い、行われることができる。その際に、選択されるポリマー混合物のために、反応条件下に成分の最適かつ均質な混合が行われ、かつ相の不相溶性が場合により可溶化剤により防止されることが本質的である。製造は、その際に使用される溶剤に依存する。ウレタン単位又は尿素単位のような硬質セグメントの割合が大きい場合には、場合により、高い溶解度パラメーターを有する溶剤、例えばジメチルアセトアミドが選択されなければならない。たいていの合成のためには、THFが十分に好適であることが判明している。
【0032】
好ましくは、全ての成分は、不活性溶剤中に溶解される。溶剤なしでの合成が特に好ましい。
【0033】
溶剤なしでの反応のためには、混合物の均質化は、反応の際に決定的に重要である。さらに、重合は、段階的合成の際の反応順序の選択によっても制御されることができる。
【0034】
製造は、より良好な再現性のために一般的に好ましくは湿分の遮断下にかつ保護ガス、通常、窒素又はアルゴン下に行われるべきである。
【0035】
反応は、好ましくは触媒なしで行われるが、しかしまた、ポリウレタンの製造の際に通常であるように、触媒の添加により行われることもできる。製造に適した触媒は、好ましくはジアルキルスズ化合物、例えばジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、又は第三級アミン、例えばN,N−ジメチルシクロヘキサンアミン、2−ジメチルアミノエタノール、4−ジメチルアミノピリジンである。
【0036】
熱可塑性フルオロポリマーの製造は、公知の方法により行われることができる。
【0037】
さらなる対象は、複合材料の製造であり、その際に複合化は、多層ノズル中でのI及びIIの同時押出しにより実施される。
【0038】
フィルム複合材料の製造は、熱可塑性フルオロポリマーの1つ又はそれ以上のフィルムと本発明によるシリコーン−オルガノ−コポリマーの1つ又はそれ以上のフィルムとの熱積層により行われることができるか、又は1つ又はそれ以上の熱可塑性フルオロポリマーのメルトと本発明によるシリコーン−オルガノ−コポリマーの1つ又はそれ以上のメルトとの同時押出しにより行われることができ、その際に、ポリマーメルトは、ポリマーペレットの溶融により得られることができるか、又は適した反応器中での直接的な反応押出しにより得られることができる。
【0039】
引き続き、熱可塑性プラスチックのメルトは、適したノズル中で層状に合一され、かつついで前記ノズルから出た後に冷却され、かつ技術水準によりさらに処理される(切断される、表面構造化される等)。
【0040】
好ましくは、いわゆるフィードブロックノズル又は多層ノズル又は双方のノズルタイプの組合せ中でのポリマーメルトの同時押出しが実施される。極めて特に好ましくは、多層ノズル中での同時押出しが実施される。
【0041】
選択的に、本発明による複合材料の製造は、既に前もって製造されたフルオロポリマーフィルム上へのシリコーン−オルガノ−コポリマーの押出しによっても行われることができ、その際に、ポリマーメルトは、ポリマーペレットの溶融により得られるか又は適した反応器中での直接的な反応押出しにより得られるかのいずれかである。同じように、前記複合材料の製造は、既に前もって製造されたシリコーン−オルガノ−コポリマーフィルム上へのフルオロポリマーの押出しによっても行われることができる。
【0042】
さらなる対象は、本発明による複合材料を含有する複合体である。
【0043】
本発明による複合体は、好ましくは−40℃未満のガラス転移温度(Tg)及び好ましくは80%よりも大きい、より好ましくは85%よりも大きい及び特に好ましくは90%よりも大きい透明度を有する。
【0044】
高い透明度に基づいて、本発明による複合材料は、光伝導体材料(Lichtleitermaterialen)、例えば光伝導体繊維としても使用されることができる。
【0045】
本発明によるシート複合体は、コーティング材料として、腐食性金属(鋼)のため、建築分野において、鉱物、例えば大理石又は花こう岩のカバーのため又はしかしソーラーモジュールのカバーのために使用されることができる。
【0046】
本発明による複合体は、4As/(Vm)未満、好ましくは3As/(Vm)未満の比誘電率を有するので、電気的又は電子的な用途における積層品の使用が特に好ましい。
【0047】
前記の式の前記の全ての符号は、それらの意味をそれぞれ互いに独立して有する。
【0048】
以下の例において、それぞれ他に記載されない限り、全ての量及びパーセントの記載は質量に基づいており、全ての圧力は0.10MPa (abs)である。全ての粘度は20℃で測定した。分子質量を、GPCを用いてトルエン(0.5ml/min)中で23℃で測定した(カラム:PLgel Mixed C + PLgel 100 A、検出器:RI ERC7515)。
【0049】
使用された材料:
イソシアナート1:メチレン−ビス−(4−イソシアナトシクロヘキサン)、Bayer社のDesmodur W
イソシアナート2:イソホロンジイソシアナート、Bayer社のDesmodur I
シリコーン油3:Wacker Silicones社のビスアミノプロピルを末端基とするポリジメチルシロキサン(2900g/mol)(FLUID NH 40 D)
フルオロポリマーフィルム4:Nowoflon社のET-6235(200μm)(エチレン−テトラフルオロエチレン−コポリマー、ETFE)
フルオロポリマーフィルム5:Nowoflon社のEFEP-RP 5000(200μm)(エチレン−ヘキサフルオロプロペン−コポリマー、EFEP)
フルオロポリマーフィルム6:Norton社のFEP CT1S(100μm)(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン−コポリマー、FEP)
フルオロポリマーフィルム7:Isovolta社のIsoclar 0711(290μm)(ポリフッ化ビニリデン、PVF)
フルオロポリマーフィルム8:Isovolta社のIsoclar T2754(100μm)(エチレン−テトラフルオロエチレン−コポリマー、ETFE)。
【0050】
例1:
6つの加熱帯域を有するCollin社、Ebersbergの二軸ニーダー中で、窒素雰囲気下に第一加熱帯域中にジイソシアナートを、及び第二加熱帯域中にアミノプロピルを末端基とするシリコーン油を、計量供給した。加熱帯域の温度プロフィールを次のようにプログラミングした:帯域1 30℃、帯域2 140℃、帯域3 160℃、帯域4 185℃、帯域5 185℃、帯域6 180℃。回転数は150rpmであった。ジイソシアナート(メチレン−ビス−(4−イソシアナトシクロヘキサン))を、帯域1中に1330mg/minで計量供給し、アミン油(2900g/mol)を、帯域2中に15g/minで計量供給した。前記押出機のノズルのそばで、82,000g/molの分子量及び63のMVR値(21.6kg、180℃)を有するポリジメチルシロキサン−ポリ尿素−ブロックコポリマーを得ることができ、これを引き続き造粒した。
【0051】
例2:
6つの加熱帯域を有するCollin社、Ebersbergの二軸ニーダー中で、窒素雰囲気下に第一加熱帯域中にジイソシアナートを、及び第二加熱帯域中にアミノプロピルを末端基とするシリコーン油を、計量供給した。加熱帯域の温度プロフィールを次のようにプログラミングした:帯域1 30℃、帯域2 140℃、帯域3 160℃、帯域4 175℃、帯域5 180℃、帯域6 170℃。回転数は150rpmであった。ジイソシアナート(イソホロンジイソシアナート)を、帯域1中に1150mg/minで計量供給し、アミン油(2900g/mol)を、帯域2中に15g/minで計量供給した。前記押出機のノズルのそばで、156,000g/molの分子量及び178のMVR値(21.6kg、180℃)を有するポリジメチルシロキサン−ポリ尿素−ブロックコポリマーを得ることができ、これを引き続き造粒した。
【0052】
例3〜6:
例1及び2において製造された顆粒から、Collin社/Ebersbergのシート押出機上で、60mmの幅を有し、かつそれぞれ約250μm又は500μmの厚さを有するシートを製造した。
【0053】
【表1】

【0054】
例7〜20
シロキサン−オルガノ−コポリマーの例3〜6において製造されたシートを、異なる熱可塑性フルオロシートと共に多様な温度及び圧力で積層した。引き続き、付着を、180゜ピール試験を用いて測定した。
フルオロポリマーフィルム4:Nowoflon社のET-6235(200μm)(ETFE)
フルオロポリマーフィルム5:Nowoflon社のEFEP-RP 5000(200μm)
フルオロポリマーフィルム6:Norton社のFEP CT1S(100μm)(FEP)
フルオロポリマーフィルム7:Isovolta社のIsoclar 0711(290μm)(PVF)
フルオロポリマーフィルム8:Isovolta社のIsoclar T2754(100μm)(ETFE)
【0055】
【表2】

【0056】
例21:
Dr. Collin社/Ebersbergの平面シート同時押出し設備上で、Daikin社のETFE EP 7000及び例1からのポリマー顆粒を、別個の一軸スクリュー押出機上で溶融させ、多層ノズルを用いて同時押出物に合一し、冷却し、巻き取った。フルオロポリマーの層厚は、その際に93μmであり、かつ例1からのシリコーン−オルガノ−コポリマーの層厚は323μmであった。
フルオロポリマー上のシリコーン層の180゜ピール付着は、その際に14.3N/cmであった。
【0057】
例22:
多様なシート積層品上で、誘電率及び透明度を測定した。
【0058】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
I)熱可塑加工なフルオロポリマーと、
II)一般式(1)
【化1】

[式中、
Rは、炭素原子1〜20個を有する、非置換又はフッ素又は塩素により置換された一価の炭化水素基を表し、
Xは、炭素原子1〜20個を有するアルキレン基を表し、前記基中で、互いに隣接していないメチレン単位は基−O−により置き換えられていてよく、
Aは、酸素原子又はアミノ基−NR′−を表し、
Zは、酸素原子又はアミノ基−NR′−を表し、
R′は、水素を表すか又は炭素原子1〜10個を有するアルキル基を表し、
Yは、炭素原子1〜20個を有する、非置換又はフッ素又は塩素により置換された二価の炭化水素基を表し、
Dは、炭素原子1〜700個を有する、非置換又はフッ素、塩素、C1〜C6−アルキルエステル又はC1〜C6−アルキルエステルにより置換されたアルキレン基を表し、前記基中で、互いに隣接していないメチレン単位は、基−O−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−により置き換えられていてよく、
Bは、水素であるか又は官能性又は非官能性の有機基又は有機ケイ素基を表し、
nは、1〜160の数を表し、
aは、少なくとも1の数を表し、
bは、0〜40の数を表し、
cは、0〜30の数を表し、かつ
dは、0よりも大きい数を表す]で示されるオルガノポリシロキサン/ポリ尿素/ポリウレタン−ブロックコポリマーとの
複合材料。
【請求項2】
一般式(1)のポリジオルガノシロキサン−尿素−コポリマーが、ジアミン、イソシアナートブロックトヒドロキシ化合物、ジヒドロキシ化合物又はそれらの混合物から選択される鎖長延長剤を有する、請求項1記載の複合材料。
【請求項3】
多層ノズル中でのI及びIIの同時押出しによる複合化を実施することを特徴とする、請求項1又は2記載の複合材料の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項記載の複合材料を有することを特徴とする、複合体。
【請求項5】
ガラス転移温度(Tg)が−40℃未満であり、かつ透明度が80%よりも大きい、請求項4記載の複合体。
【請求項6】
比誘電率が4AS/(Vm)よりも小さい、請求項4又は5記載の複合体。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか1項記載の複合材料を有することを特徴とする、光伝導体。

【公表番号】特表2011−504942(P2011−504942A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530404(P2010−530404)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063954
【国際公開番号】WO2009/053304
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】