説明

フルオロポリマーの製造方法

本発明は、(ペル)フルオロポリマーの製造方法に関し、前記方法は多相媒体の存在下で1つ以上のフッ素化モノマーを重合するステップを含み、前記媒体が、(A)水相[相(W)]と;(B)R−(OCFCFk−1−O−CF−COOX(I)という式(I)を有する少なくとも1つのフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)](式中、Rは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−Cペルフルオロアルキル基であり、kは2または3であり、Xは一価金属と式NRN4のアンモニウム基から選択され、この式中各出現において等しいまたは異なるRは、水素原子またはC−Cアルキル基である)と;(C)少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1つの非官能性(ペル)フルオロポリエーテル(非官能性PFPE)と、少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]を含み、かつ少なくとも1000の数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する少なくとも1つの官能性(ペル)フルオロポリエーテル(官能性PFPE)と、を含む油相[相(O)]と;を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全内容があらゆる目的のために参照により本明細書に援用されている2009年12月18日出願の欧州特許出願第09179997.3号明細書に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、フルオロポリマーの製造方法、それに由来するフルオロポリマー類ならびに前記方法において有用である多相媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
ペルフルオロポリエーテル類をベースとするマイクロエマルジョンは長い間知られてきており、詳細には潤滑油中の添加剤の分散を安定化させるためまたはフッ素化モノマーの重合プロセスにおける添加剤として、複数の利用分野で使用されてきた。
【0004】
こうして、(特許文献1)(AUSIMONT S.P.A.)05.02.1991、(特許文献2)(AUSIMONT S.P.A.)12.08.1997、(特許文献3)(AUSIMONT S.P.A.)23.09.1997、(特許文献4)(AUSIMONT S.P.A.)16.12.1997および(特許文献5)(AUSIMONT S.P.A.)10.03.1998は、水性媒体、400〜3000の範囲の平均分子量を典型的に有するペルフルオロポリエーテル、およびフッ素化界面活性剤を含み、界面活性剤が典型的にC−C11ペルフルオロカルボン酸類およびその塩類から選択されているマイクロエマルジョンと、フッ素化モノマーの重合プロセスにおける添加剤としてのその使用について開示している。
【0005】
近年、8個以上の炭素原子を有するペルフルオロアルカン酸が、環境問題を提起した。したがって、現在、このような化合物を段階的に廃止するための努力が行なわれており、より有利な毒性プロファイルを有する代替的界面活性剤を用いた水性重合手順によりフルオロポリマー製品を製造するための方法が開発されてきている。
【0006】
−(OCFCFk−1−O−CF−COONHという一般式を有し(式中、Rは典型的にC−Cペルフルオロアルキル基でありkは典型的に2または3である)、詳細にはCFCFOCFCFOCFCOONHであり、8個以上の炭素原子を有するペルフルオロアルカン酸のものよりも典型的に低い生体内蓄積プロファイルが付与されているものとして知られるフッ素化界面活性剤が、(特許文献6)(旭硝子株式会社)30.11.2006、(特許文献7)(旭硝子株式会社)01.11.2007、(特許文献8)(旭硝子株式会社)06.11.2008、(特許文献9)(旭硝子株式会社)13.05.2009中で開示されているように、フッ素化モノマーの水性エマルジョン重合における重合乳化剤としてとりわけ使用されている。それでも、これらの中で開示されているエマルジョン重合プロセスは、小型のポリマー分散粒子および高い重合速度を提供することができていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4990283号明細書
【特許文献2】米国特許第5656201号明細書
【特許文献3】米国特許第5670088号明細書
【特許文献4】米国特許第5698138号明細書
【特許文献5】米国特許第5725802号明細書
【特許文献6】特開2006−321797号公報
【特許文献7】特開2007−283224号公報
【特許文献8】国際公開第2008/132959号
【特許文献9】欧州特許出願公開第2058291A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、従来のフッ素化界面活性剤を用いたフッ素化モノマーの水性重合において、一般的に使用される設備を使用し速い反応速度を通して便利で費用効果的な形でフルオロポリマーを製造するための代替的手段を発見することが所望されると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の目的は、(ペル)フルオロポリマーの製造方法において、多相媒体の存在下で1つ以上のフッ素化モノマーを重合するステップを含む方法であって、前記媒体が、
(A)水相[相(W)]と;
(B)R−(OCFCFk−1−O−CF−COOX(I)
という式(I)を有する少なくとも1つのフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)](式中、Rは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−Cペルフルオロアルキル基であり、kは2または3であり、Xは一価金属と式NRのアンモニウム基から選択され、この式中各出現において等しいまたは異なるRは、水素原子またはC−Cアルキル基である)と;
(C)− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1つの非官能性(ペル)フルオロポリエーテル(非官能性PFPE)と;
− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]を含み、かつ少なくとも1000の数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する少なくとも1つの官能性(ペル)フルオロポリエーテル(官能性PFPE)と;
を含む油相[相(O)]と;
を含んでいる、方法にある。
【0010】
出願人は意外にも、本発明の方法を用いると有利な形でナノサイズのフルオロポリマー分散粒子を高い反応速度で首尾よく得ることができ、同時に従来のペルフルオロカルボキシレート界面活性剤の毒物学的および環境的影響を有意に低下させることもできるということを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の重合プロセスは、好ましくは水性エマルジョン重合プロセスであり、フッ素化界面活性剤分子[界面活性剤(FS)]の界面薄膜によって安定化された水相[相(W)]と油相[相(O)]などの2つの不混和相の、室温で動力学的に安定し光学的に透明な等方分散中の均質に分散したナノサイズの液滴を、有利にも生成する。
【0012】
本発明の方法のフッ素化モノマーは、典型的には、気体フッ素化モノマーである。「気体フッ素化モノマー」とは、重合条件下で気体として存在するモノマーを意味する。
【0013】
それでも、重合条件下の液体フッ素化モノマー類も、本発明の重合プロセスにおいて使用してよい。
【0014】
適切なフッ素化モノマー類の代表例としては、とりわけ、部分的および完全にフッ素化されたモノマー類、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VDF)、CF=CF−O−Rという式(式中、Rは任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−C12ペルフルオロアルキル基を表す)を有するペルフルオロアルキル−またはペルフルオロアルコキシ−ビニルエーテル類、およびそれらの混合物が含まれる。
【0015】
重合にはさらに、非フッ素化モノマー類、例えばエチレンおよびプロピレンが関与してよい。
【0016】
さらには、重合には、少なくとも1つの官能基、例えば過酸化物硬化反応に参与することのできる基を有するコモノマー類が関与するかもしれない。このような官能基には、とりわけ、ハロゲン原子、例えば臭素またはヨウ素原子ならびにニトリル基が含まれる。
【0017】
本発明の一実施形態によると、多相媒体は、1つ以上のフッ素化モノマー類を付加する前に反応装置系内に補給される。
【0018】
多相媒体の水相[相(W)]は、典型的に、水性緩衝溶液などの水溶性成分を含む。
【0019】
多相媒体の式(I)を有するフッ素化界面活性剤[(FS)]は、好ましくは、
’O−CFCF−O−CF−COOX’(II)
という式(II)に適合しており、式中
− R’はC−Cペルフルオロアルキル基であり;
− X’はLi、Na、K、NHおよびNRN’から選択され、式中RN’はC−Cアルキル基である。
【0020】
多相媒体の式(I)を有するフッ素化界面活性剤[(FS)]は、より好ましくは、
CFCFO−CFCF−O−CF−COOX’(III)
という式(III)に適合しており、式中、X’は、上に定義したものと同じ意味を有する。
【0021】
上述の式(I)を有する2つ以上の界面活性剤(FS)の混合物も同様に、多相媒体中で使用されてよい。
【0022】
本発明の方法において使用される上述の式(I)を有する1つまたは複数の界面活性剤(FS)の総量は典型的に、重合プロセス内の水の総重量との関係において、0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜1重量%の範囲内である。
【0023】
多相媒体の油相[相(O)]の非官能性PFPEの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]は、典型的に、−(CJJ’)−CKK’−O−という一般式を有する1つ以上の繰り返し単位R’を含み、ここで互いに等しいかまたは異なるJおよびJ’は、独立してフッ素原子またはC−C(ペル)フルオロ(オキシ)アルキル基を表わし、互いに等しいかまたは異なるKおよびK’は、独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子またはC−C(ペル)フルオロ(オキシ)アルキル基を表わし、jは0〜3の間に含まれる整数であり、前記繰り返し単位は一般に、(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている。
【0024】
多相媒体の相(O)の非官能性PFPEは、典型的に官能性末端基を含まない。
【0025】
多相媒体の相(O)の非官能性PFPEは、好ましくは以下のものから選択される:
(1)T−O−[CF(CF)CFO]b1’(CFYO)b2’−T1’
式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT1’は、−CF、−Cおよび−C基から独立して選択され;
− 各出現において等しいかまたは異なるYは、フッ素原子および−CF基から選択され;
− 互いに等しいかまたは異なるb1’およびb2’は、比b1’/b2’が20〜1000の間に含まれ、和(b1’+b2’)が5〜250の間に含まれるように、独立して0以上の整数であり、b1’およびb2’が両方共ゼロでない場合には、一般に、異なる繰り返し単位はペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている。
前記生成物は、加国特許第786877号明細書(MONTEDISON S.P.A.)04.06.1968中に記載のCの光酸化および英国特許第1226566号明細書(MONTECATINI EDISON S.P.A)31.03.1971中に記載の末端基の後続する転換によって得ることができる。
(2)T−O−[CF(CF)CFO]c1’(CO)c2’(CFYO)c3’−T
式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT1’は上に定義されたものと同じ意味を有し;
− 各出現において等しいかまたは異なるYは、上に定義されたものと同じ意味を有し;
− 互いに等しいかまたは異なるc1’、c2’およびc3’は、和(c1’+c2’+c3’)が5〜250の間に含まれるような形で独立して0以上の整数であり;c1’、c2’およびc3’のうちの少なくとも2つがゼロでない場合には、一般に、異なる繰り返し単位はペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている。
前記生成物は米国特許第3665041号明細書(MONTECATINI EDISON S.P.A.)23.05.1972中に記載のCとCの光酸化と後続するフッ素処理により製造可能である。
(3)T−O−(CO)d1’(CFO)d2’−T
式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT1’は上に定義されたものと同じ意味を有し;
− 互いに等しいかまたは異なるd1’およびd2’は、比d1’/d2’が0.1〜5の間に含まれ、かつ和(d1’+d2’)が5〜250の間に含まれるような形で独立して0以上の整数であり;d1’とd2’が両方共ゼロでない場合には、一般に、異なる繰り返し単位はペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている。
前記生成物は、米国特許第3715378号明細書(MONTECATINI EDISON S.P.A.)06.02.1973中に報告されているCの光酸化および、米国特許第3665041号明細書(MONTECATINI EDISON S.P.A.)23.05.1972に記載の後続するフッ素処理によって生成可能である。
(4)T−O−[CF(CF)CFO]e’−T
式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT2’は、−Cおよび−C基から独立して選択されており;
− e’は5〜250の間に含まれる整数である。
前記生成物は、米国特許第3242218号明細書(E.I.DU PONT DE NEMOURS AND CO.)22.03.1966中に記載のイオンヘキサフルオロプロピレンエポキシドオリゴマー化と後続するフッ素処理によって生成可能である。
(5)T−O−(CFCFO)f’−T
式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT2’は、上に定義されたものと同じ意味を有し;
− f’は5〜250の間に含まれる整数である。
前記生成物は、米国特許第4523039号明細書(THE UNIVERSITY OF TEXAS)11.06.1985中で報告されている、ポリエチレンオキシドを例えば元素フッ素でフッ素化するステップと、任意によりこのようにして得たフッ素化ポリエチレンオキシドを熱により断片化するステップを含む方法によって得ることができる。
(6)T−O−(CFCFC(Hal’)O)g1’−(CFCFCHO)g2’−(CFCFCH(Hal’)O)g3’−T1’
式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT1’は、上に定義されたものと同じ意味を有し;
− 各出現において等しいかまたは異なるHal’は、フッ素および塩素原子から選択されたハロゲン、好ましくはフッ素原子であり;
− 互いに等しいかまたは異なるg1’、g2’およびg3’は、和(g1’+g2’+g3’)が5〜250の間に含まれるような形で独立して0以上の整数であり;g1’、g2’およびg3’のうちの少なくとも2つがゼロでない場合には、一般に、異なる繰り返し単位は(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている。
前記生成物は、欧州特許第148482B号明細書(DAIKIN INDUSTRIES LTD.)25.03.1992中に詳述されている通り、重合開始剤の存在下で2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンを開環重合して−CHCFCFO−という式の繰り返し単位を含むポリエーテルを得、任意により前記ポリエーテルをフッ素化および/または塩素化処理することにより調製されてよい。
(7)R−{C(CF−O−[C(Rj1’C(R−O}j2’−R
式中、
− 各出現において等しいかまたは異なるRは、C−Cペルフルオロアルキル基であり;
− 各出現において等しいかまたは異なるRは、フッ素原子およびC−Cペルフルオロアルキル基から選択されており;
− j1’は1または2に等しく;
− j2’は5〜250の間に含まれた整数である。
前記生成物は、国際公開第87/00538号パンフレット(LAGOW ET AL.)29.01.1987中に詳述されているように、酸化エチレン、酸化プロピレン、エポキシ−ブタンおよび/またはトリメチレンオキシド(オキセタン)またはその置換誘導体から選択された酸素含有環状コモノマーとヘキサフルオロアセトンの共重合および、結果として得たコポリマーの後続する過フッ素化によって生成可能である。
【0026】
多相媒体の相(O)の非官能性PFPEは、より好ましくは、以下のものから選択される:
(i)GALDEN(登録商標)およびFOMBLIN(登録商標)の商標名でSolvay Solexis S.p.Aから市販されている非官能性PFPE。このPFPEは一般に、
CF−[(OCFCF−(OCF]OCF
m+n=40−180;m/n=0.5−2
CF−[(OCF(CF)CF−(OCF]−OCF
p+q=8−45;p/q=20−1000
という式に適合する少なくとも1つのPFPEを含む。
(ii)デムナム(登録商標)の商標名でダイキン工業株式会社から市販されている非官能性PFPE。このPFPEは一般に、
F−(CFCFCFO)−(CFCFCHO)−CFCF
j=ゼロまたはゼロ超の整数;n+j=10−150
という式に適合する少なくとも1つのPFPEを含む。
(iii)KRYTOX(登録商標)という商標名でDu Pont de Nemoursから市販されている非官能性PFPE。このPFPEは一般に、
F−(CF(CF)CFO)−CFCF
n=10−60
という式に適合する少なくとも1つの低分子量のフッ素でエンドキャップされたヘキサフルオロプロピレンエポキシドホモポリマーを含む。
【0027】
多相媒体の好ましい相(O)は、上に記載のGALDEN(登録商標)およびFOMBLIN(登録商標)の商標名でSolvay Solexis S.p.Aから市販されている少なくとも1つの非官能性PFPEを含む。
【0028】
多相媒体のより好ましい相(O)は、400〜1500、好ましくは500〜1000、より好ましくは600〜800の範囲内の数平均分子量を典型的に有する、上に記載のGALDEL(登録商標)の商標名でSolvay Solexis S.p.Aから市販されている少なくとも1つの非官能性PFPEを含む。
【0029】
上に定義された2つ以上の非官能性PFPEの混合物を、多相媒体の相(O)中で使用してもよい。
【0030】
多相媒体の油相[相(O)]の官能性PFPEの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]は、典型的に−(CF−CFZO−という一般式を有する1つ以上の繰り返し単位R’’を含み、式中Zはフッ素原子およびC−C(ペル)フルオロ(オキシ)アルキル基から選択され、jは0〜3の間に含まれる整数であり、繰り返し単位は、一般に、(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている。
【0031】
多相媒体の相(O)の官能性PFPEは、少なくとも1300、より好ましくは少なくとも1500の数平均分子量を有する。
【0032】
「数平均分子量」は、本明細書では、
【数1】

という式で表現され、式中、Nは平均分子量Mを有する分子の数を表わす。
【0033】
多相媒体の相(O)の官能性PFPEは、25℃の水中で好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.1重量%未満の溶解度を有する。
【0034】
多相媒体の相(O)の官能性PFPEは、典型的に少なくとも1つの官能性末端基を含む。
【0035】
多相媒体の相(O)の官能性PFPEは、好ましくは、カルボン酸、ホスホン酸およびスルホン酸基から選択された少なくとも1つの官能性末端基を含む。
【0036】
多相媒体の相(O)の官能性PFPEは、より好ましくは、
−(CFWp1−O−R−(CFWp2−T(IV)
という式(IV)に適合しており、式中
− Rは、官能性PFPEの数平均分子量が少なくとも1000、好ましくは少なくとも1300、より好ましくは少なくとも1500となるような上に定義された(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]であり;
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびTは、TおよびTの少なくとも1つが上に定義された官能性末端基であることを条件として、
i)カルボン酸、ホスホン酸およびスルホン酸基から選択された官能性末端基および
ii)フッ素原子、塩素原子および任意により1つ以上の塩素原子を含むC−C(ペル)フルオロアルキル基から選択された非官能性末端基、から選択されており;
− 互いに等しいかまたは異なるWおよびWは独立してフッ素原子または−CF基を表わしており;
− 互いに等しいかまたは異なるpおよびpは、独立して1〜3の間に含まれる整数であり、好ましくは、Wおよび/またはWが−CF基である場合、1に等しい。
【0037】
多相媒体の好ましい相(O)は、上に記載の式(IV)に適合する少なくとも1つの官能性PFPEを含み、ここで、TとTは両方共上に定義した官能性末端基(二官能性PFPE)である。
【0038】
適切な二官能性PFPEの非限定的な例としては、とりわけ、
HOOC−CFW−O−R−CFW−COOH(V)
という式(V)に適合するものが含まれ、式中、
− Rは、二官能性PFPEの数平均分子量が少なくとも1000、好ましくは少なくとも1300、より好ましくは少なくとも1500となるような、上に定義した(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]であり;
− 互いに等しいかまたは異なるWおよびWは、上に定義したものと同じ意味を有する。
【0039】
多相媒体のより好ましい相(O)は、
HOOC−CF−O−(CFn’(CFCFO)m’−CF−COOH(VI)
という式(VI)に適合する少なくとも1つの二官能性PFPEを含み、式中、n’とm’は、二官能性PFPEの数平均分子量が少なくとも1000、好ましくは少なくとも1300、より好ましくは少なくとも1500となるように独立して0超の整数であり、繰り返し単位は、一般に、ペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている。
【0040】
上に定義された2つ以上の官能性PFPEの混合物も同様に、多相媒体の相(O)中で使用されてよい。
【0041】
多相媒体のさらに一層好ましい相(O)は本質的に、上に定義された少なくとも1つの非官能性PFPEと上に定義された少なくとも1つの官能性PFPEで構成されている。
【0042】
出願人は、意外にも、少なくとも1000の数平均分子量と25℃の水中で1%未満の溶解度を有する官能性PFPEが、有利にも、上述式(I)を有する界面活性剤(FS)の存在下で上述の2つの不混和層、水相[相(W)]および油相[相(O)]の安定化を可能にし、そのため、希釈した場合でさえ動力学的に安定している多相媒体を首尾よく得ることそして高い反応速度をもつナノサイズのフルオロポリマー分散粒子を生み出すための重合媒体として使用可能であることを発見した。
【0043】
上述の式(I)を有する少なくとも1つの界面活性剤(FS)と上に定義された少なくとも1つの官能性PFPEを1:0.1〜1:1の範囲内の重量比で含む多相媒体が存在する場合に、優れた結果が得られた。
【0044】
上述の式(I)を有する少なくとも1つの界面活性剤(FS)と上に定義された少なくとも1つの官能性PFPEを1:0.3〜1:0.9の範囲内の重量比で含む多相媒体が存在する場合に、非常に優れた結果が得られた。
【0045】
本発明の重合プロセスは、典型的には10℃〜150℃、好ましくは20℃〜130℃、より好ましくは40℃〜100℃の温度で実施される。
【0046】
重合プロセスは、典型的に2〜50バール、好ましくは5〜40バールの範囲内の圧力で実施される。
【0047】
本発明の重合プロセスは典型的に、開始剤によって開始される。適切な開始剤としては、フッ素化モノマーのフリーラジカル重合を開始するための公知の開始剤のいずれかが含まれる。
【0048】
適切な開始剤の非限定的例としては、とりわけ、無機開始剤および過酸化物開始剤が含まれる。
【0049】
無機開始剤の代表的例としては、とりわけ、過硫酸塩または(過)マンガン酸のアンモニウム、アルカリまたはアルカリ土類塩が含まれる。過硫酸塩開始剤、例えば過硫酸アンモニウムは、単独でまたは還元剤と組合せて使用されてよい。適切な還元剤としては、亜硫酸水素塩、例えば亜硫酸水素アンモニウムまたはメタ亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸塩類、例えばチオ硫酸アンモニウム、カリウムまたはナトリウム、ヒドラジン類、アゾジカルボキシレート類およびアゾジカルボキシルジアミドが含まれる。使用されてよいさらなる還元剤としては、米国特許第5285002号明細書(MINNESOTA MINING AND MANUFACTURING CO.)08.02.1994中に開示されているホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(Rongalite)またはスルフィン酸フルオロアルキル類が含まれる。還元剤は典型的に、過硫酸塩開始剤の半減期を削減する。さらに、銅、鉄または銀塩などの金属塩触媒も添加されてよい。
【0050】
過酸化物開始剤の代表例としては、とりわけ、過酸化水素、過酸化ナトリウムまたはバリウム、ジアシルペルオキシド類、例えばジアセチルペルオキシド、過酸化ジスクシニル、ジプロピオニルペルオキシド、ジブチリルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ベンゾイルアセチルペルオキシド、過酸化ジグルタル酸およびジラウリルペルオキシド、およびそのさらなる過酸類および塩類、例えばアンモニウム、ナトリウムまたはカリウム塩が含まれる。過酸の具体例としては、とりわけ、過酢酸が含まれる。過酸のエステル類も使用可能であり、その例としては、tert−ブチルペルオキシアセテートおよびtert−ブチルペルオキシピバレートが含まれる。
【0051】
開始剤の量は、典型的には、生産すべき(ペル)フルオロポリマー固体の重量との関係において0.01重量%〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲内にある。
【0052】
重合プロセスは、とりわけ連鎖移動剤および架橋剤などの他の材料の存在下で実施されてよい。
【0053】
本発明の方法の目的に適した連鎖移動剤の非限定的例としては、とりわけ、R(I)(Br)という式の化合物(式中、RはC−C(ペル)フルオロ(クロロ)アルキル基であり、xとyは独立して0〜2の間の整数であり、和(x+y)は1〜2の間に含まれる)、例えば1,4−ジヨードペルフルオロブタンが含まれる。
【0054】
使用してよいさらなる連鎖移動剤としては、とりわけ、C−Cアルカン類、例えばエタン、プロパンおよびn−ペンタン、ハロゲン化炭化水素類、例えばCCl、CHCl、CHCl、フッ化炭化水素化合物、例えばCHF−CF(R134a)、エーテル類、例えばジメチルエーテルおよびメチルtert−ブチルエーテルおよびエステル類、例えば酢酸エチルおよびマロン酸エステル類が含まれる。
【0055】
本発明の方法の目的に適した架橋剤の非限定的例としては、とりわけ、
【化1】

という式を有するビス−オレフィン類が含まれ、ここで式中:
− 互いに等しいかまたは異なるR、R、R、R、RおよびRは、独立して水素原子または直鎖または分岐C−Cアルキル基であり;
− Yは、任意により好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された酸素原子を含む直鎖または分岐C−C18アルキレンまたはシクロアルキレン基、あるいは(ペル)フルオロポリオキシアルキレン基である。
使用してよいさらなる架橋剤としては、とりわけ、欧州特許第860436B号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A)06.05.2004中に記載のトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサンおよびトリアジン類が含まれる。
【0056】
本発明の重合プロセスは、典型的に水中の(ペル)フルオロポリマーのラテックスを結果としてもたらし、このラテックスはさらに、上述の式(I)を有する少なくとも1つの界面活性剤(FS)と上に定義された油相[相(O)]を含む。
【0057】
典型的に重合プロセスの結果としてもたらされるラテックス中の(ペル)フルオロポリマーの量は、一般に5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%の範囲内にある。
【0058】
(ペル)フルオロポリマーは、ISO13321に準じて測定されるように、好ましくは100nm未満、より好ましくは90nm未満、さらに一層好ましくは80nm未満の平均サイズを有する粒子の形でラテックス中に分散させられる。
【0059】
(ペル)フルオロポリマーは、ISO13321に準じて測定されるように、好ましくは1nm超、より好ましくは3nm超、さらに一層好ましくは5nm超の平均サイズを有する粒子の形でラテックス中に分散されている。
【0060】
典型的に重合プロセスの結果として得られるラテックス中の上述の式(I)を有する1つまたは複数の界面活性剤(FS)の総量は、一般に、ラテックス中の(ペル)フルオロポリマーの重量との関係において0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.01重量%〜2重量%の範囲内である。
【0061】
固体形態のポリマーが所望される場合、上述の式(I)を有する少なくとも1つの界面活性剤(FS)を含む(ペル)フルオロポリマー組成物を、凝固によりラテックスから単離してよい。同様に、(ペル)フルオロポリマーを使用する予定の利用分野の要件に応じて、(ペル)フルオロポリマーを後フッ素化して熱不安定な末端基を全て安定した−CF末端基へと転換させてよい。
【0062】
重合プロセスは、完全にフッ素化された主鎖を有するペルフルオロポリマー類ならびに部分的にフッ素化されたフルオロポリマー類を含めたさまざまな(ペル)フルオロポリマー類を生産するために使用されてよい。同様に、重合プロセスは、溶融加工可能な(ペル)フルオロポリマー類ならびに溶融加工不可能な(ペル)フルオロポリマー類、例えばポリテトラフルオロエチレンおよびいわゆる修飾ポリテトラフルオロエチレンを結果としてもたらすかもしれない。重合プロセスはさらに、(ペル)フルオロエラストマー類ならびに(ペル)フルオロサーモプラスチック類を作るために硬化可能な(ペル)フルオロポリマー類を生成できる。(ペル)フルオロサーモプラスチック類は一般に、典型的に60℃〜320℃または100℃〜320℃の範囲内の全く異なる顕著な融点を有する(ペル)フルオロポリマー類である。したがって、これらは実質的な結晶相を有する。
(ペル)フルオロエラストマー類を製造するために使用される(ペル)フルオロポリマー類は、典型的に非晶質でありかつ/または無視できるほどの量の結晶化度しか有さず、したがってこれらの(ペル)フルオロポリマー類については融点が全くまたはほとんど識別できない。
【0063】
コーティングの利用分野のためには、(ペル)フルオロポリマーの水性分散が所望され、したがって、(ペル)フルオロポリマーをラテックスから分離または凝固させる必要はない。例えば織物の含浸または例えば調理器具を製造するための金属基材のコーティングなどのコーティングの利用分野において使用するのに適した(ペル)フルオロポリマー分散を得るためには、一般に、安定化用界面活性剤を添加することおよび/または(ペル)フルオロポリマー固形分をさらに増大させることが所望される。適切な安定化用界面活性剤には、とりわけ非イオン性の安定化用界面活性剤が含まれる。非イオン性の安定化用界面活性剤は、(ペル)フルオロポリマー固形分の重量との関係において1重量%〜12重量%の量で典型的に添加される。適切な非イオン性界面活性剤の非限定的な例には、とりわけ、一般式R−O−[CHCHO]−[RO]−R(NS)を有するものが含まれ、式中、RはC−C18芳香族または脂肪族炭化水素基を表わし、Rは3つの炭素原子を有するアルキレンを表わし、Rは水素またはC−Cアルキル基を表わし、nとmは独立して0〜40の値を有し、和(n+m)は少なくとも2である。上述の一般式(NS)においては、nとmの指数付きの単位は、ブロックとして現われてよく、あるいは交互またはランダム形態で存在してもよい、ということが理解される。上述の式(NS)に適合する非イオン性界面活性剤の例としては、とりわけ、アルキルフェノールオキシエチレート類、例えばTRITON(登録商標)のブランド名で市販されているエトキシル化p−イソオクチルフェノール、例えばエトキシ単位数が約10であるTRITON(登録商標)X100またはエトキシ単位数が約7〜8であるTRITON(登録商標)X114が含まれる。さらなる例としては、とりわけ、上記一般式(NS)のRがC−C20アルキル基を表わし、mが0であり、Rが水素原子であるものが含まれる。その一例としてはClariant GmbHからGENAPOL(登録商標)X080の商標名で市販されている約8個のエトキシ基でエトキシル化されたイソトリデカノールがある。親水性部分がエトキシ基とプロポキシ基のブロックコポリマーを含んでいる上述の式(NS)に適合する非イオン性界面活性剤も同様に使用されてよい。このような非イオン性界面活性剤は、Clariant GmbHからGENAPOL(登録商標)PF40およびGENAPOL(登録商標)PF80の商標名で市販されている。
【0064】
水性分散中の(ペル)フルオロポリマー固形分の量は、必要な場合または所望される場合、40重量%〜70重量%の量まで濃縮させてよい。限外濾過および熱による濃縮を含め、公知のあらゆる濃縮技術を使用してよい。
【0065】
本発明の別の目的は、
(A)組成物の総重量との関係において50重量%未満、好ましくは40重量%未満の水相[相(W)]と;
(B)組成物の総重量との関係において60重量%未満、好ましくは50重量%未満の、R−(OCFCFk−1−O−CF−COOX(I)、という式(I)を有する少なくとも1つのフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)]
(式中、Rは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−Cペルフルオロアルキル基であり、kは2または3であり、Xは一価金属と式NRのアンモニウム基から選択され、この式中各出現において等しいまたは異なるRは、水素原子またはC−Cアルキル基である)と;
(C)− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1つの非官能性(ペル)フルオロポリエーテル(非官能性PFPE)を組成物の総重量との関係において30重量%未満、好ましくは20重量%未満;および
− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]を含み、かつ少なくとも1000の数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する少なくとも1つの官能性(ペル)フルオロポリエーテル(官能性PFPE)を組成物の総重量との関係において40重量%未満、好ましくは30重量%未満、含む油相[相(O)]と;
を含む多相組成物にある。
【0066】
本発明の多相組成物は、好ましくは、
(A)組成物の総重量との関係において0.01重量%から50重量%未満、好ましくは0.01重量%から40重量%未満の水相[相(W)]と;
(B)組成物の総重量との関係において0.01重量%から60重量%未満、好ましくは0.01重量%から50重量%未満の、R−(OCFCFk−1−O−CF−COOX(I)、という式(I)を有する少なくとも1つのフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)](式中、Rは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−Cペルフルオロアルキル基であり、kは2または3であり、Xは一価金属と式NRのアンモニウム基から選択され、この式中各出現において等しいまたは異なるRは、水素原子またはC−Cアルキル基である)と;
(C)− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1つの非官能性(ペル)フルオロポリエーテル(非官能性PFPE)を組成物の総重量との関係において0.01重量%から30重量%未満、好ましくは0.01重量%から20重量%未満;および
− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]を含み、かつ少なくとも1000の数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する少なくとも1つの官能性(ペル)フルオロポリエーテル(官能性PFPE)を組成物の総重量との関係において0.01重量%から40重量%未満、好ましくは0.01重量%から30重量%未満、含む油相[相(O)]と;
を含む。
【0067】
出願人は意外なことに、重合系中に分散されたナノサイズの液滴の表面積対体積比が高いために非常に高い反応速度を通してナノサイズのフルオロポリマー分散粒子を首尾よく得る目的で、本発明の方法においてすなわち1つ以上のフッ素化モノマーの水性重合において有利に使用されるように、本発明に係る多相組成物を水で首尾よく希釈させ得るということを発見した。
【0068】
本発明の多相組成物は、好ましくはマイクロエマルジョンである。「マイクロエマルジョン」という用語は、100nm未満の平均サイズを有する液滴が中に均質に分散している、フッ素化された界面活性剤分子[界面活性剤(FS)]の界面薄膜によって安定化された、水相[相(W)]と油相[相(O)]などの2つの不混和相の室温において熱力学的に安定でかつ光学的に透明な等方分散を意味する。
【0069】
組成に応じて以下の2つのタイプの多相組成物が形成される確率が最も高い:
− 連続水相中に油滴が分散している水中油(O/W)型多相組成物;
− 連続油相中に水滴が分散している油中水(W/O)型多相組成物;
2つのタイプの多相組成物全てにおいて、水中油(O/W)型または油中水(W/O)型界面は、フッ素化界面活性剤分子[界面活性剤(FS)]により安定化される。
【0070】
本発明の多相組成物の相(W)、相(O)および界面活性剤(FS)は上述の通り定義される。
【0071】
多くの場合において、本発明の多相組成物は同様に、溶媒などの他の材料も含んでいてよい。
【0072】
出願人は意外にも、少なくとも1000という数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する上に定義した官能性PFPEが、有利には上に定義された式(I)を有する界面活性剤(FS)の存在下で、上に定義された水相[相(W)]および油相[相(O)]という2つの不混和相の安定化を可能にし、こうして上に定義された熱力学的に安定した多相組成物を首尾よく得ることができるということを発見した。
【0073】
出願人は同様に、好ましくは50nm未満、より好ましくは20nm未満の平均サイズを有する液滴が中に均質に分散した上に定義された熱力学的に安定した多相組成物は、上述の式(I)を有する少なくとも1つの界面活性剤(FS)対上に定義された少なくとも1つの官能性PFPEの重量比が1:0.1〜1:1、より好ましくは1:0.3〜1:0.9の範囲内にある場合に、室温で首尾よく得られるかもしれないということも発見した。
【0074】
同様に、本発明の別の目的は、上述の式(I)を有する少なくとも1つの界面活性剤(FS)と上に定義された少なくとも1つの官能性PFPEを、それを含む(ペル)フルオロポリマーラテックスから回収するための方法にある。この方法は好ましくは、(ペル)フルオロポリマーラテックスを固体吸着性材料、典型的にはイオン交換樹脂、好ましくはアニオン交換樹脂と接触させるステップを含む。すなわち上に定義された界面活性剤(FS)および官能性PFPEは、有利には固体吸着材料上に(少なくとも部分的に)吸着される。上に定義された界面活性剤(FS)および官能性PFPEは、溶離、熱脱離などを含む標準的技術により、固体吸着材料から効率良く回収可能である。溶離、特にアニオン交換樹脂からの溶離の場合、上に定義された界面活性剤(FS)および官能性PFPEは、酸性溶液での溶出により回収可能である。典型的には、この目的で、酸および水混和性有機溶媒を含む水性媒体を使用することができる。無機酸とアルコールの水中混合物が特に有効である。上に定義された界面活性剤(FS)および官能性PFPEは、とりわけ結晶化、蒸留(例えばエステル形態での)などを含めた標準的方法によりこのような液相から顕著に回収可能である。
【0075】
参照により本明細書に援用されているいずれかの特許、特許出願および特許公開の開示が、用語の意味が不明瞭になる程度まで本出願の記載と矛盾する場合には、本明細書が優先されるものとする。
【0076】
本発明について、ここで以下の実施例を参照しながらより詳細に説明するが、これらの実施例は単に本発明の範囲を例示するものであってそれを限定するものではない。
【0077】
原料
GALDEN(登録商標)D02は、式CFO−(CF(CF)CFO)(CFO)−CFを有する非官能性PFPEであり、式中nとmは、数平均分子量が約740となるような整数である。
FLUOROLINK(登録商標)C10は、式HOOC−CFO(CFCFO)n’(CFO)m’CF−COOHを有する官能性PFPEであり、式中n’とm’は、数平均分子量が約1800となるような整数である。
FLUOROLINK(登録商標)C07は、式HOOC−CFO(CFCFO)n’(CFO)m’CF−COOHを有する官能性PFPEであり、n’とm’は、数平均分子量が約800となるような整数である。
FLUOROLINK(登録商標)7850は、式Cl(CO)(CO)CFCOOHを有する官能性PFPEであり、ここでnは、数平均分子量が約600となるようなものである。
【0078】
機械的安定性試験
(ペル)フルオロポリマーラテックス(300ml)を、1リットル入りの三角フラスコ内に導入し、280ml/分の補給流量でホースタイプのポンプ(6.4mmの内径を有するシリコーンチューブL/S24)を通して再循環させた。再循環時間は120分であった。百分率損失を評価した。
【0079】
実施例1
多相組成物(1)の製造
撹拌器を備えたガラスフラスコ内で、式CFCFOCFCFOCFCOOHを有する化合物15.00g、10重量%のアンモニア水溶液8.02gおよび脱塩水6.98g、FLUOROLINK(登録商標)C10官能性PFPE11.25gそしてGALDEN(登録商標)D02非官能性PFPE4.08gを撹拌しながら混合した。pHを約2.2に調整した。室温で自然発生的に多相組成物が得られ、これは33.1重量%の水と9.0重量%のGALDEN(登録商標)D02非官能性PFPEと33.1重量%の式CFCFOCFCFOCFCOONHを有するフッ素化界面活性剤と24.8重量%のFLUOROLINK(登録商標)C10官能性PFPEを含む透明で熱力学的に安定した溶液として現われ、CFCFOCFCFOCFCOONH対FLUOROLINK(登録商標)C10官能性PFPEの重量比は1/0.75であった[多相組成物(1)]。
均質に分散した液滴の平均サイズは、ISO13321にしたがって測定した場合、9.5nmであることが判明した。
【0080】
実施例2
多相組成物(2)の製造
撹拌器を備えたガラスフラスコ内で、式CFCFOCFCFOCFCOOHを有する化合物26.49g、10重量%のアンモニア水溶液14.17gおよび脱塩水0.09g、FLUOROLINK(登録商標)C10官能性PFPE13.25gそしてGALDEN(登録商標)D02非官能性PFPE6.00gを撹拌しながら混合した。pHを約2.0に調整した。室温で自然発生的に多相組成物が得られ、これは23.8重量%の水と10.0重量%のGALDEN(登録商標)D02非官能性PFPEと44.1重量%の式CFCFOCFCFOCFCOONHを有するフッ素化界面活性剤と22.1重量%のFLUOROLINK(登録商標)C10官能性PFPEを含む透明で熱力学的に安定した溶液として現われ、CFCFOCFCFOCFCOONH対FLUOROLINK(登録商標)C10官能性PFPEの重量比は1/0.5であった[多相組成物(2)]。
均質に分散した液滴の平均サイズは、ISO13321にしたがって測定した場合、13.5nmであることが判明した。
【0081】
本発明の実施例1および2の多相組成物(1)および(2)を室温で水により首尾よく希釈して、本発明の方法において適切に使用されるナノサイズの液滴の動力学的に安定し光学的に透明な等方分散を生成することができた。
【0082】
実施例3(比較例)
ISO13321に準じて測定した場合の液滴の平均サイズが100nm超である水相と油相の熱力学的に安定した多相組成物を、式CFCFOCFCFOCFCOONHを有するフッ素化界面活性剤の添加によって室温で得た(下表1を参照のこと)。
【0083】
【表1】

【0084】
本発明の実施例1および2の多相組成物と比較して、官能性PFPEが欠如したこれらの組成物は、水で希釈された場合に、より大きなサイズへの液滴の急速な凝集をもたらすことがわかった。その結果として、これらの組成物は、重合用媒体として使用された場合、ナノサイズの(ペル)フルオロポリマー分散粒子を得るのに適していないことがわかった。
【0085】
実施例4(比較例)
33.5重量%の水と8.0重量%のGALDEN(登録商標)D02非官能性PFPEと33.4重量%の式CFCFOCFCFOCFCOONHを有するフッ素化界面活性剤と25.1重量%のFLUOROLINK(登録商標)C07官能性PFPEを含む多相組成物が室温で得られ、ここでCFCFOCFCFOCFCOONH対FLUOROLINK(登録商標)C07官能性PFPEの重量比は1/0.75であった。
均質に分散した液滴の平均サイズは、ISO13321にしたがって測定した場合、26nmであることが判明した。
【0086】
実施例5(比較例)
33.6重量%の水と7.5重量%のGALDEN(登録商標)D02非官能性PFPEと33.6重量%の式CFCFOCFCFOCFCOONHを有するフッ素化界面活性剤と25.2重量%の式HOOC−CFO(CFCFO)n’(CFO)m’CF−COOHを有する官能性PFPEを含む多相組成物が室温で得られ、ここでn’とm’は数平均分子量が約460となるような整数であり、CFCFOCFCFOCFCOONH対官能性PFPEの重量比は1/0.75であった。
【0087】
本発明の実施例1および2の多相組成物と比較した場合、より低い数平均分子量の官能性PFPEを含む比較例4および5の組成物は、室温で首尾よく水で希釈されてナノサイズの液滴の動力学的に安定し光学的に透明な等方分散を生成することができなかった。結果として、これらの組成物を、高い反応速度をもつナノサイズの(ペル)フルオロポリマー分散粒子を得るための重合用媒体として使用することはできなかった。
【0088】
実施例6(比較例)
25℃の水中での溶解度が1重量%を大幅に上回るFLUOROLINK(登録商標)C10官能性PFPEのアンモニウム塩を用いて、実施例1および2で詳述したものと同じ手順にしたがった。
【0089】
本発明の実施例1および2の多相組成物と比較した場合、このように得られた組成物には安定性が欠如していることがわかった。すなわち混合時点で、より大きなサイズへの急速な液滴の凝集が観察された。その結果、これらの組成物は、ナノサイズの(ペル)フルオロポリマー分散粒子を得るための重合用媒体として使用するのに適していないことがわかった。
【0090】
実施例7
テトラフルオロエチレン(TFE)およびペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)の重合
機械式撹拌器(470rpm)が備わった内部容積5リットルの反応装置に、脱塩水3リットルと、実施例1の通りに調製した多相組成物(1)33gを投入した。反応装置を75℃まで加熱し、数分間通気した。
次に反応装置に50gのPPVEを投入し、エタンで250mbarの圧力まで加圧し、最終的にTFEで20バールの設定点圧力まで加圧した。
過硫酸アンモニウムを添加することによって重合を開始した(最初に0.3gを導入し、合計80gとなるまでPPVEのさらなる添加と組合せて7分量でさらに0.84gを注入した)。
147分後1500gの全体的モノマー消費に達するまで重合を続行し、その後、反応装置を減圧し、通気し、冷却した。
(ASTMD1238に準じて測定した372℃/5kgで)13g/10分のメルトフローインデックス、DSC分析により測定した300.5℃の融点およびASTMD3418に準じて測定した−28.5J/gの結晶熱を有するTFE/PPVEコポリマー(PPVE:コポリマーの5.2重量%)の、ISO13321に準じて測定した77nmという平均サイズを有する粒子を含む、34重量%の固形分含有量を有するラテックスを得た。
【0091】
実施例8
TFE、フッ化ビニリデン(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)の重合
3.5リットルの脱塩水および実施例1の通りに調製した多相組成物(1)35mlを反応装置に投入して、実施例7で詳述したものと同じ手順にしたがった。
反応装置を80℃まで加熱した。
その後、反応装置をHFPで8.56バールの圧力まで加圧し、最終的にVDF(70モル%)、HFP(19モル%)およびTFE(11モル%)のフィードガス混合物で26バールの設定点圧力まで加圧した。その後反応装置に0.66mlの1,4−ジヨードペルフルオロブタンと0.23mlのHC=CH−(CF−CH=CHを投入した。
過硫酸アンモニウムの添加により重合を開始した(最初に0.36gを導入し、合計4.13mlまでの1,4−ジヨードペルフルオロブタンと合計3.38mlまでのHC=CH−(CF−CH=CHのさらなる添加に組合せて20重量%のモノマー転換の後にさらに0.17gを注入した)。
97分後1500gの全体的モノマー消費に達するまで重合を続行した。
ISO13321に準じて測定した57nmという平均サイズを有するVDF/HFP/TFEコポリマー(VDF:HFP:TFE70.6:17.7:11.7モル%)の粒子を含む、30.8重量%の固形分含有量を有するラテックスを得た。
【0092】
実施例9
TFE、VDFおよびHFPの重合
実施例2の通りに調製した多相組成物(2)35mlを反応装置に投入し、100分後に1500gの全体的モノマー消費に達するまで重合を続行して、実施例8で詳述したものと同じ手順にしたがった。
ISO13321に準じて測定した57nmという平均サイズを有するVDF/HFP/TFEコポリマー(VDF:HFP:TFE70.6:17.7:11.7モル%)の粒子を含む、31.5重量%の固形分含有量を有するラテックスを得た。
【0093】
実施例10(比較例)
TFE、VDFおよびHFPの重合
50.0重量%のアンモニア水溶液、20.0重量%のGALDEN(登録商標)D02非官能性PFPEおよび30.0重量%のFLUOROLINK(登録商標)7850フッ素化界面活性剤を混合して調製された35mlの多相組成物を反応装置に投入して、実施例8で詳述したものと同じ手順にしたがい、ここで均質に分散した液滴の平均サイズは、ISO13321に準じて測定した場合10nmであることがわかり、pHは約8.5に調整された。
ISO13321に準じて測定した79nmという平均サイズを有するVDF/HFP/TFEコポリマー(VDF:HFP:TFE70.6:17.8:11.6モル%)の、粒子を含む29.3重量%の固形分含有量を有するラテックスを得た。
【0094】
再循環試験は、より低い数平均分子量を有するFLUOROLINK(登録商標)7850フッ素化界面活性剤によって安定化された多相媒体の存在下で作業しながら、このようにして得たラテックスとの関係において本発明の実施例8および9で詳述した通りに調製されたラテックスの機械的安定性が改善されることを示した(下表2参照)。
【0095】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ペル)フルオロポリマーの製造方法において、多相媒体の存在下で1つ以上のフッ素化モノマーを重合するステップを含む方法であって、前記媒体が、
(A)水相[相(W)]と;
(B)R−(OCFCFk−1−O−CF−COOX(I)
という式(I)を有する少なくとも1つのフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)](式中、Rは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−Cペルフルオロアルキル基であり、kは2または3であり、Xは一価金属と式NRのアンモニウム基から選択され、この式中各出現において等しいまたは異なるRは、水素原子またはC−Cアルキル基である)と;
(C)− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1つの非官能性(ペル)フルオロポリエーテル(非官能性PFPE)と;
− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]を含み、かつ少なくとも1000の数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する少なくとも1つの官能性(ペル)フルオロポリエーテル(官能性PFPE)と、を含む油相[相(O)]と;
を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記界面活性剤(FS)が、
’O−CFCF−O−CF−COOX’(II)
という式(II)に適合しており、式中
− R’はC−Cペルフルオロアルキル基であり;
− X’はLi、Na、K、NHおよびNRN’から選択され、式中RN’はC−Cアルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記界面活性剤(FS)が、
CFCFO−CFCF−O−CF−COOX’(III)
という式(III)に適合しており、式中、X’は、請求項2に記載のものと同じ意味を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記非官能性PFPEが、
(1)T−O−[CF(CF)CFO]b1’(CFYO)b2’−T1’
(式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT1’は、−CF、−Cおよび−C基から独立して選択され;
− 各出現において等しいかまたは異なるYは、フッ素原子および−CF基から選択され;
− 互いに等しいかまたは異なるb1’およびb2’は、比b1’/b2’が20〜1000の間に含まれ、和(b1’+b2’)が5〜250の間に含まれるような、独立して0以上の整数であり、b1’およびb2’が両方共ゼロでない場合には、一般に、異なる繰り返し単位はペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている)と;
(2)T−O−[CF(CF)CFO]c1’(CO)c2’(CFYO)c3’−T1’
(式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT1’は上に定義されたものと同じ意味を有し;
− 各出現において等しいかまたは異なるYは、上に定義されたものと同じ意味を有し;
− 互いに等しいかまたは異なるc1’、c2’およびc3’は、和(c1’+c2’+c3’)が5〜250の間に含まれるような独立して0以上の整数であり;c1’、c2’およびc3’のうちの少なくとも2つがゼロと異なる場合には、一般に、異なる繰り返し単位はペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている)と;
(3)T−O−(CO)d1’(CFO)d2’−T1’
(式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT1’は上に定義されたものと同じ意味を有し;
− 互いに等しいかまたは異なるd1’およびd2’は、比d1’/d2’が0.1〜5の間に含まれ、かつ和(d1’+d2’)が5〜250の間に含まれるような独立して0以上の整数であり;d1’とd2’が両方共ゼロでない場合には、一般に、異なる繰り返し単位はペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている)と;
(4)T−O−[CF(CF)CFO]e’−T2’
(式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT2’は、−Cおよび−C基から独立して選択されており;
− e’は5〜250の間に含まれる整数である)と;
(5)T−O−(CFCFO)f’−T2’
(式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT2’は、上に定義されたものと同じ意味を有し;
− f’は5〜250の間に含まれる整数である)と;
(6)T−O−(CFCFC(Hal’)O)g1’−(CFCFCHO)g2’−(CFCFCH(Hal’)O)g3’−T1’
(式中、
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびT1’は、上に定義されたものと同じ意味を有し;
− 各出現において等しいかまたは異なるHal’は、フッ素および塩素原子から選択されたハロゲン、好ましくはフッ素原子であり;
− 互いに等しいかまたは異なるg1’、g2’およびg3’は、和(g1’+g2’+g3’)が5〜250の間に含まれるような形で独立して0以上の整数であり;g1’、g2’およびg3’のうちの少なくとも2つがゼロでない場合には、一般に、前記異なる繰り返し単位は前記ペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている)と;
(7)R−{C(CF−O−[C(Rj1’C(R−O}j2’−R
(式中、
− 各出現において等しいかまたは異なるRはC−Cペルフルオロアルキル基であり;
− 各出現において等しいかまたは異なるRは、フッ素原子およびC−Cペルフルオロアルキル基から選択されており;
− j1’は1または2に等しく;
− j2’は5〜250の間に含まれる整数である)と;
から選択されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記官能性PFPEが、カルボン酸、ホスホン酸およびスルホン酸基から選択された少なくとも1つの官能性末端基を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記官能性PFPEが、
−(CFWp1−O−R−(CFWp2−T(IV)
という式(IV)に適合しており、式中
− Rは、前記官能性PFPEの前記数平均分子量が少なくとも1000、好ましくは少なくとも1300、より好ましくは少なくとも1500となるような(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖(鎖R’)であり;
− 互いに等しいかまたは異なるTおよびTは、TおよびTの少なくとも1つが上に定義された官能性末端基であることを条件として、
i)カルボン酸、ホスホン酸およびスルホン酸基から選択された官能性末端基および;
ii)フッ素原子、塩素原子および任意により1つ以上の塩素原子を含むC−C(ペル)フルオロアルキル基から選択された非官能性末端基から選択されており;
− 互いに等しいかまたは異なるWおよびWは独立してフッ素原子または−CF基を表わしており;
− 互いに等しいかまたは異なるpおよびpは、独立して1〜3の間に含まれる整数であり、好ましくは、Wおよび/またはWが−CF基である場合、1に等しい;
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記官能性PFPEが、
HOOC−CF−O−(CFn’(CFCFO)m’−CF−COOH(VI)
という式(VI)に適合する二官能性PFPEであり、式中、n’とm’は、二官能性PFPEの前記数平均分子量が少なくとも1000、好ましくは少なくとも1300、より好ましくは少なくとも1500となるように独立して0超の整数であり、繰り返し単位は、一般に、ペルフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の式(I)を有する少なくとも1つの界面活性剤(FS)と請求項1で定義されている少なくとも1つの官能性PFPEの重量比が、1:0.3〜1:0.9の範囲内である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(A)組成物の総重量との関係において50重量%未満、好ましくは40重量%未満の水相[相(W)]と;
(B)前記組成物の総重量との関係において60重量%未満、好ましくは50重量%未満の、
−(OCFCFk−1−O−CF−COOX(I)
という式(I)を有する少なくとも1つのフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)](式中、Rは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−Cペルフルオロアルキル基であり、kは2または3であり、Xは一価金属と式NRのアンモニウム基から選択され、この式中各出現において等しいまたは異なるRは、水素原子またはC−Cアルキル基である)と;
(C)− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R)]を含む少なくとも1つの非官能性(ペル)フルオロポリエーテル(非官能性PFPE)を前記組成物の総重量との関係において30重量%未満、好ましくは20重量%未満;および
− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]を含み、かつ少なくとも1000の数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する少なくとも1つの官能性(ペル)フルオロポリエーテル(官能性PFPE)を前記組成物の総重量との関係において40重量%未満、好ましくは30重量%未満、含む油相[相(O)]と;
を含む多相組成物。
【請求項10】
(ペル)フルオロポリマーラテックスにおいて、
− R−(OCFCFk−1−O−CF−COOX(I)
という式(I)を有する少なくとも1つのフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)](式中、Rは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−Cペルフルオロアルキル基であり、kは2または3であり、Xは一価金属と式NRのアンモニウム基から選択され、この式中各出現において等しいまたは異なるRは、水素原子またはC−Cアルキル基である)と;
− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]を含み、かつ少なくとも1000の数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する少なくとも1つの官能性PFPEと;
を含む(ペル)フルオロポリマーラテックス。
【請求項11】
− R−(OCFCFk−1−O−CF−COOX(I)
という式(I)を有する少なくとも1つのフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)](式中、Rは、任意により1つ以上のエーテル酸素原子を含むC−Cペルフルオロアルキル基であり、kは2または3であり、Xは一価金属と式NRのアンモニウム基から選択され、この式中各出現において等しいまたは異なるRは、水素原子またはC−Cアルキル基である)と;
− 少なくとも1つの(ペル)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R’)]を含み、かつ少なくとも1000の数平均分子量および25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有する少なくとも1つの官能性PFPEと;
を、請求項10に記載の(ペル)フルオロポリマーラテックスから回収する方法において、前記(ペル)フルオロポリマーラテックスを固体吸着材料と接触させるステップを含む方法。

【公表番号】特表2013−514413(P2013−514413A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543761(P2012−543761)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069955
【国際公開番号】WO2011/073337
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(508305960)ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア (53)
【Fターム(参考)】