説明

フルオロポリマー組成物および使用方法

次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:(a)式(I):
f−(CH2CF2q(CH2CH2r−Z−C(O)−C(R)=CH2
(I)
(式中、
qおよびrは、それぞれ独立して1〜3の整数であり、
fは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Zは、−O−、−NR1−、又は−S−であり、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
1は、水素、又はC1〜C4アルキルである)
のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%、および(b)(i)炭素数6〜18の直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は(ii)式(II):
(R22N−R3−O−C(O)−C(R)=CH2
(II)
(式中、
Rは、上記の定義通りであり、
各R2は、独立してC1〜C4アルキルであり、
3は、2価の直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキレンであり、
窒素は、約40%〜100%塩様になっている)
のモノマー、又は(iii)これらの混合物の少なくとも1つ約5%〜約80%、
を含む組成物であって、接触する基材に撥油性、撥水性および耐汚染性を付与する組成物;および、このようなコポリマー組成物で基材を処理する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイル、硬質表面および紙に撥油性、撥水性、および耐汚染性を付与するのに有用なフッ素化コポリマーを含む組成物に関する。コポリマーは、フッ素化(メタ)アクリレートおよび他のコモノマーを含むモノマーの共重合により誘導される。
【背景技術】
【0002】
様々な組成物が、基材に表面効果を付与する処理剤として有用であることが知られている。表面効果としては、水分、油、および染みをはじく性質(repellency)などが挙げられ、これらはテキスタイル基材および硬質表面などの他の基材に特に有用である。このような処理剤の多くはフッ素化ポリマー又はコポリマーである。
【0003】
基材にはじく性質を付与する処理剤として有用なほとんどの市販のフッ素化ポリマーは、所望のはじく性質を付与するため、パーフルオロアルキル鎖の炭素数が主に8以上である。Hondaらは、Macromolecules, 2005, 38, 5699−5705で、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル鎖では、パーフルオロアルキル基の配向が平行な配置に維持されるが、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル鎖では再配向が起こることを示している。このような再配向は、後退接触角などの表面特性を低下させる。従って、より短鎖のパーフルオロアルキルは、従来、商業的に成功しなかった。
【0004】
米国特許第3,890,376号明細書は、フッ化ビニリデンに結合した炭素数6以上のパーフルオロアルキル基とエチレン連結基を有するフルオロアルコールから誘導される(メタ)アクリレートモノマーの調製を開示している。モノマーおよびそれから誘導されるポリマーは、テキスタイル用表面処理剤として有用な可能性があると考えられたが、ポリマーは調製されず、有用な特性は実証されなかった。更に、このようなモノマーから誘導されるホモポリマーは、通常、好結果が得られる市販の表面処理剤を製造するのに必要なエマルション安定性、加工性および費用便益を有することが期待されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テキスタイル基材および硬質表面基材に顕著な撥水性、撥油性、および耐汚染性を付与し、パーフルオロアルキル基の炭素数が6以下であるコポリマー組成物が必要とされている。本発明は、このような組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:
(a)式(I):
f−(CH2CF2q(CH2CH2r−Z−C(O)−C(R)=CH2
(I)
(式中、
qおよびrは、それぞれ独立して1〜3の整数であり、
fは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Zは、−O−、−NR1−、又は−S−であり、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
1は、水素、又はC1〜C4アルキルである)
のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%、
(b)
(i)炭素数6〜18の直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は
(ii)式(II):
(R22N−R3−O−C(O)−C(R)=CH2
(II)
(式中、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
各R2は、独立してC1〜C4アルキルであり、
3は、2価の直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキレンであり、
窒素は、約40%〜100%塩様になっている(salinized))
のモノマー、又は
(iii)これらの混合物、
の少なくとも1つ約5%〜約80%、
を含むコポリマー組成物を含み、
前記組成物は、接触する基材に撥油性、撥水性および耐汚染性を付与する。
【0007】
本発明は、更に、基材を上記に開示された本発明のコポリマー組成物と接触させる工程を含む、撥油性、撥水性および耐汚染性を付与するための基材の処理方法を含む。
【0008】
本発明は、更に、前述の本発明のコポリマー組成物を接触させた基材を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、商標は全て大文字で示される。本明細書に引用される特許は全て、これによって参照により組み込まれる。
【0010】
「(メタ)アクリレート」の用語は、特に他の記載がない限り、メタクリル酸とアクリル酸のエステルを包含する。例えば、ヘキシル(メタ)アクリレートは、ヘキシルアクリレートとヘキシルメタクリレートの両方を包含する。「(メタ)アクリルアミド」の用語は、特に他の記載がない限り、メタクリル酸とアクリル酸のアミドを包含する。
【0011】
本明細書では、「(1種類以上の)フッ素化アクリレート」、「(1種類以上の)フッ素化チオアクリレート」および「(1種類以上の)フッ素化アクリルアミド」の用語は、特に他に定義されない限り、式(I)(式中、Rは、H、Cl、FおよびCH3からなる群から選択される)の化合物を指す。
【0012】
本発明は、処理される基材に顕著な撥水性、撥油性および耐汚染性を付与するコポリマー組成物を含み、ここで、コポリマーは炭素数6以上のパーフルオロアルキル基を含有する。コポリマーは、前述の式(I)の成分(a)、および前述の少なくとも1つの(b)(i)、(b)(ii)、又はこれらの混合物を含む。コポリマーは、任意に、別の実施形態で後述される少なくとも1つの追加のモノマー(c)、モノマー(d)、モノマー(e)、又はこのような追加のモノマーの任意の混合物を更に含む。
【0013】
方法、組成物、前記方法によって提供される基材、および前記組成物を接触させた基材を含む本発明の全ての実施形態では、好ましいコポリマーは、式(I)(式中、Zは−O−であり、qは1又は2であり、rは1であり、Rは水素又はCH3であり、Rfは炭素数2〜6である)のモノマーを含む。より好ましいのは、Rfが炭素数4〜6である式(I)のモノマーを含むコポリマーであり、最も好ましいのは、RがCH3であり、Rfの炭素数が6であるコポリマーである。
【0014】
本発明の一実施形態は、次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:式(I):
f−(CH2CF2q(CH2CH2r−Z−C(O)−C(R)=CH2
(I)
(式中、
qおよびrは、それぞれ独立して1〜3の整数であり、
fは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Zは、−O−、−NR1−、又は−S−であり、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
1は、水素、又はC1〜C4アルキルである)
のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%、好ましくは約40%〜約95%からなる成分(a);および
炭素数約6〜約18の直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの1つ以上のモノマー約5%〜約80%、好ましくは約5%〜約60%からなる成分(b)(i)、
を含む、撥油性、撥水性および耐汚染性を付与するコポリマー組成物である。より好ましくは、コポリマー組成物は、成分(a)、即ち、式(I)のモノマーを約50%〜約85%、より好ましくは約60%〜約85%含む。好ましくは、成分(b)(i)、アルキル(メタ)アクリレートの割合は、約15重量%〜約30重量%である。好ましいアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物が挙げられる。前述のうち、ステアリル(メタ)アクリレートと2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが最も好ましい。
【0015】
本発明の別の実施形態は、次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:前述の式(I)のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%、好ましくは約40%〜約95%からなる成分(a);および、式(II):
(R22N−R3−O−C(O)−C(R)=CH2
(II)
(式中、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
2は、C1〜C4アルキルであり、
3は、2価の直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキレンであり、
窒素は、約40%〜100%塩様になっている)
の1つ以上のモノマー約5%〜約80%、好ましくは約5%〜約60%からなる成分(b)(ii)、
を含む、撥油性、撥水性および耐汚染性を付与するコポリマー組成物である。好ましくは、成分(a)は、約50%〜約85%存在し、成分(b)(ii)は約10%〜約40%存在する。式(II)の好ましいモノマーとしては、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、および3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0016】
「窒素は、約40%〜100%塩様になっている(salinized)」の用語は、モノマー(II)の窒素原子がプロトン化された若しくはアルキル化された形態で、又は、部分的にプロトン化された若しくは部分的にアルキル化された形態で存在することを意味する。これは、モノマーの重合前、重合中、又は重合後に達成することができる。式(II)の窒素が塩様になること(salinization)によって、それから誘導されるポリマーに有用な水分散性が付与される。部分的に又は完全に塩様になっている式(II)のモノマーを含むコポリマーを提供する簡便且つ好ましい手法は、重合させてコポリマー組成物を提供した後、酸水溶液でコポリマーを分散させることを含む。このような酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、又は乳酸がある。好ましくは酢酸を使用し、好ましくは窒素を完全に塩様にする。コポリマー中に存在するモノマー(II)の当量を基準にして約1〜約2当量の酸を使用することによって、完全に塩様にすることができる。
【0017】
本発明の別の実施形態は、次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:前述の式(I)のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%、好ましくは約40%〜約95%からなる成分(a);および、それぞれ前述した(b)(i)アルキル(メタ)アクリレートと(b)(ii)式(II)のモノマーの混合物約5%〜約80%、好ましくは約5%〜約60%からなる成分(b)を含むコポリマー組成物である。
【0018】
本発明の別の実施形態は、前述の成分(a)、前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物を含み、且つ次の重量パーセンテージで共重合した少なくとも1つの追加のモノマー:
(c)塩化ビニリデン、塩化ビニル、又は酢酸ビニル、又はこれらの混合物約1%〜約35%、又は
(d)スチレン、メチル置換スチレン、クロロメチル置換スチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、C1〜C5アルキル(メタ)アクリレート、および式(III):
4(OCH2CH2mO−C(O)−C(R)=CH2
(III)
(式中、
mは、2〜約10であり、
4は、水素、C1〜C4アルキル、又はCH2=C(R)C(O)−O−であり、
各Rは水素、Cl、F又はCH3である)
の化合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマー約0.5%〜約25%、又は
(e)式(IVa)、(IVb)、又は(IVc):
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、
各Rは、独立して水素、Cl、F、又はCH3であり、
5は、直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキルであり、
1は、2価の直鎖又は分岐鎖C2〜C4アルキレンであり、
2は、共有結合又は2価の直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキレンであり、
Zは、−O−、−NR1−、又は−S−であり、R1は、水素、又はC1〜C4アルキルである)
の少なくとも1つのモノマー約0.5%〜約10%、又は
(f)これらの任意の組み合わせ、
を更に含む、コポリマー組成物を含む。
【0021】
従って、モノマー(a)および(b)は、1)モノマー(c)、2)モノマー(d)、3)モノマー(e)、4)モノマー(c)および(d)、5)モノマー(d)および(e)、6)モノマー(c)および(e)、又は7)モノマー(c)、(d)および(e)と共重合している。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、前述の成分(a)、および前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物を含み、共重合した追加のモノマーが塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル、又はこれらの混合物約1重量%〜約35重量%として定義される成分(c)である、コポリマー組成物を含む。好ましい組成物は、成分(a)、成分(b)(i)、および成分(c)約10%〜約30%を含み、最も好ましくはモノマー(c)は塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル、又はこれらの混合物である。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態は、前述の成分(a)、前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物を含み、追加のモノマーがスチレン、メチル置換スチレン、クロロメチル置換スチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、C1〜C5アルキル(メタ)アクリレート、および式(III):
4(OCH2CH2mO−C(O)−C(R)=CH2
(III)
(式中、
mは、2〜約10であり、
4は、水素、C1〜C4アルキル、又はCH2=C(R)C(O)−O−であり、
各Rは独立して水素、Cl、F又はCH3である)
の化合物からなる群から選択される1つ以上のモノマー約0.5重量%〜約25重量%として定義される成分(d)であるコポリマー組成物を含む。前述のうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、および式(III)の化合物(式中、mは4〜10であり、R5は水素である)が最も好ましい。好ましくは成分(d)は、重量を基準にして、コポリマー配合物の約3%〜約10%を構成する。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態は、前述の成分(a)、前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物を含み、追加のモノマーがそれぞれ前述した成分(c)および成分(d)であるコポリマー組成物を含む。好ましい組成物は、成分(a)、成分(b)(i)、成分(c)、および成分(d)を含む。成分(d)について前述したのと同じ選択がこの実施形態でも適用可能である。
【0025】
本発明の別の実施形態は、前述の成分(a)、前述の成分(b)(i)又は(b)(ii)又はこれらの混合物、任意に前述の成分(c)を含み、前述の式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)の1つ以上のモノマー約0.5%〜約10%である成分(e)を更に含むコポリマー組成物を含む。好ましくは成分(e)は、重量を基準にして、コポリマー配合物の約0.5%〜約3%を構成する。
【0026】
本発明の実施形態の全てにおいて、共重合してコポリマーを形成するモノマーの重量パーセンテージは、1)それぞれの重量パーセンテージが上記に開示された範囲内にあり、2)モノマーの重量パーセンテージの合計が100%になるように選択される。従って、任意のモノマー(c)、(d)および/又は(e)が存在するとき、モノマー(a)および/又は(b)の量(重量パーセント)は、任意のモノマーの存在に適応するようにそれぞれについて記載された範囲内で調整されなければならない。例えば、モノマー(c)が1重量%存在する場合、モノマー(a)プラス(b)プラス(c)の合計が100%となるように、存在するモノマー(a)およびモノマー(b)の量は合計が99%以下となるように選択される。別の例では、モノマー(c)が5%存在し、モノマー(d)が18%存在し、モノマー(e)が7%存在する場合、モノマー(a)プラス(b)プラス(c)プラス(d)プラス(e)の合計が100%となるように、モノマー(a)とモノマー(b)の量は、合計が[100%−(5%+18%+7%)]=70%となるように選択される。当業者は、合計が100%になるように、前述の範囲内で各モノマーの重量パーセンテージを容易に選択することができる。
【0027】
乳化重合を使用して、本発明のコポリマー組成物を調製することができる。攪拌機と、仕込んだものを加熱および冷却するための外部手段とを取り付けた反応器内で重合を行う。5重量%〜50重量%のエマルション濃度が得られるように、一緒に重合するモノマーを、好適な界面活性剤および任意に有機溶媒を含有する水溶液中に乳化させる。典型的には、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどの揮発性モノマーは、反応器に直接添加され、予備乳化されない。温度を約40℃〜約70℃まで上昇させて、添加される触媒の存在下で重合を行う。好適な触媒は、一般に知られているエチレン性不飽和化合物の重合開始剤のいずれかである。このような一般に使用される開始剤としては、2,2’−アゾジ−イソブチルアミジン二塩酸塩、2,2’−アゾジイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩および2,2’アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が挙げられる。添加される開始剤の濃度は、通常、重合するモノマーの重量を基準にして、0.1〜約2重量%である。得られるポリマーの分子量を制御するために、重合中、任意に、炭素数4〜約18のアルキルチオールなどの連鎖移動剤が少量存在する。
【0028】
本発明に使用される界面活性剤は、水性エマルションの調製に一般に使用されるカチオン性、アニオン性、および非イオン性界面活性剤のいずれかである。好適なカチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、およびエトキシ化アルキルアミン塩などが挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤の好ましい例は、Akzo Nobel(Chicago, Ill)から入手可能なETHOQUAD18/25などの15モルのエチレンオキサイドを有する炭素数18のアルキルアミンなどのエトキシ化アルキルアミン塩のメチルクロライド塩である。本明細書で使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキサイドと炭素数12〜18の脂肪アルコール、炭素数12〜18の脂肪酸、アルキル基の炭素数が8〜18のアルキルフェノール、炭素数12〜18のアルキルチオール、および炭素数12〜18のアルキルアミンの縮合物が挙げられる。カチオン性界面活性剤と組み合わせて使用する場合、好適な非イオン性界面活性剤の好ましい例は、Stepan Company(Northfield, Ill)から入手可能なMERPOL SEなどのエトキシ化トリデシルアルコール界面活性剤である。本明細書で使用される好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルカルボン酸およびその塩、アルキル水素サルフェートおよびその塩、アルキルスルホン酸およびその塩、アルキルエトキシサルフェートおよびその塩、αオレフィンスルホネート、およびアルキルアミドアルキレンスルホネートなどが挙げられる。アルキル基の炭素数が8〜18のものが一般に好ましい。Witco Corporation(Greenwich, CN)から入手可能なSUPRALATE WAQE界面活性剤などの、アルキル基の炭素数が平均約12であるアルキル硫酸ナトリウム塩がとりわけ好ましい。
【0029】
あるいは、好適な有機溶媒中での溶液重合を使用して本発明のコポリマー組成物を調製することができる。重合に使用できる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)およびメチルイソブチルケトン(MIBK)などケトン;例えば、イソプロパノールなどのアルコール;例えば、酢酸ブチルなどのエステル;および、例えば、メチルt−ブチルエーテルなどのエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。一緒に重合するモノマーを溶媒と一緒に前述の反応器に仕込む。典型的には、有機溶媒又は有機溶媒の混合物中の総モノマー濃度は約20重量%〜約70重量%であってもよい。温度を約60℃〜約90℃まで上昇させて、モノマーの総重量に対して0.1〜2.0%の割合で使用される少なくとも1つの開始剤の存在下で重合を行う。溶液中で重合を行うのに有用な開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイドおよびラウリルパーオキサイドなどの過酸化物;並びに、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。分子量を制御するために、任意に、前述のアルキルチオールなどの連鎖移動剤を使用することができる。
【0030】
本発明の組成物を形成するのに有用な、式(I)のフッ素化アクリレートおよびフッ素化チオアクリレートは、米国特許第3,282,905号明細書および欧州特許第1632542A1号明細書に記載の手順を使用して、対応するフッ素化アルコールおよびフッ素化チオールから、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロアクリル酸、又は2−フルオロアクリル酸と一緒にエステル化することによって調製される。あるいは、式(I)のアクリレートおよびメタクリレートエステルは、米国特許第3,890,376号明細書に開示される手順に従って、対応する硝酸エステルから製造することができる。
【0031】
本発明の組成物を形成するのに有用な、式(I)(式中、Zは−NH−である)の(1種類以上の)フッ素化アクリルアミドは、例えば、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、対応するフッ素化アミンから、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、2−クロロアクリル酸クロライド、又は2−フルオロアクリル酸クロライドと一緒に縮合することによって調製される。典型的には、縮合には、トルエン若しくはキシレンなどの非ヒドロキシ炭化水素溶媒、又はジクロロメタンなどのハロカーボン溶媒が使用される。
【0032】
式(II)のアルキル(メタ)アクリレートおよびアミノ(メタ)アクリレートは、Aldrich Chemical Company(Milwaukee, WI)から市販されている。
【0033】
本発明に有用なフッ素化アクリレートを形成するのに有用なフッ素化アルコールとしては、式(V):
f−(CH2CF2q(CH2CH2r−OH
(V)
(式中、Rfは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基である)
のフッ素化テロマーアルコールが挙げられる。これらのテロマーアルコールは、スキーム1による合成によって得ることができる。
【0034】
【化2】

【0035】
フッ化ビニリデンと直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキルアイオダイドのテロメリゼーションにより、構造式Rf(CH2CF2qI(式中、qは1以上であり、RfはC2〜C6パーフルオロアルキル基である)の化合物が生成する。例えば、Balague, et al,“Synthesis of fluorinated telomers, Part 1, Telomerization of vinylidene fluoride with perfluoroalkyl iodides”, J.Fluorine Chem.(1995), 70(2), 215−23を参照されたい。特定のテロマーアイオダイドは、分留によって単離される。米国特許第3,979,469号明細書に記載の手順により、テロマーアイオダイドをエチレンで処理し、テロマーエチレンアイオダイド(VI)(式中、rは1〜3又はそれより大きい)を得る。国際公開第95/11877号パンフレットに開示されている手順に従って、テロマーエチレンアイオダイド(VI)をオレウムで処理し、加水分解して、対応するテロマーアルコール(V)を得る。あるいは、テロマーエチレンアイオダイド(VI)をN−メチルホルムアミドで処理した後、エチルアルコール/酸で加水分解してもよい。
【0036】
アルコール(V)の対応するチオールは、テロマーエチレンアイオダイド(VI)から、J.Fluorine Chemistry, 104,2 173−183(2000)に記載の手順に従って、様々な試薬で処理することによって得ることができる。一例は、次のスキームに示すように、テロマーエチレンアイオダイドをチオ酢酸ナトリウムと反応させた後、加水分解することである。
【0037】
【化3】

【0038】
フッ化ビニリデンとエチレンのテロメリゼーションから誘導され、本発明に有用なフッ素化アクリレートを形成するのに有用な具体的なフッ素化テロマーアルコール(V)としては、表1Aに記載されるものが挙げられる。表1Aおよび1Bの、並びに本明細書の実施例の具体的なアルコールのリストに記載されているC49基およびC613基は、特に他の記載がない限り、直鎖パーフルオロアルキル基を指す。
【0039】
【表1】

【0040】
フッ化ビニリデンとエチレンのテロメリゼーションにより誘導され、本発明に有用な具体的なフッ素化テロマーチオールを表1Bに記載する。
【0041】
【表2】

【0042】
本発明は、更に、基材を前述の本発明のコポリマー組成物と接触させる工程を含む、撥油性、撥水性、および耐汚染性を付与するための基材の処理方法を含む。本発明の組成物は、基材に直接塗布される。組成物は単独で塗布されるか、又は、希薄な非フッ素化ポリマーと、又は他の処理剤若しくは仕上げ剤と混合して塗付される。組成物は、製造施設で、小売業者のところで、又は、取り付けおよび使用の前に、又は消費者のところで塗布することができる。
【0043】
基材の製造中に、本発明のコポリマー組成物を添加剤として使用することができる。それは製造中の任意の好適な時点で添加される。例えば、紙の場合、コポリマーは、サイズプレスで製紙用パルプに添加される。好ましくは、本発明の組成物を、組成物の乾燥固形分と乾燥紙繊維を基準にして、約0.3重量%〜約0.5重量%、製紙用パルプに添加する。
【0044】
本発明の組成物は、一般に、刷毛、スプレー、ローラー、ドクターブレード、ワイプ、液浸、浸漬法、発泡、液体注入、およびキャスティングを含む従来の手段で基材を組成物と接触させることによって硬質表面基材に塗付されるが、これらに限定されない。任意に、2つ以上の被膜を特に多孔質表面に塗布することができる。本発明の組成物は、石、タイル、および他の硬質表面に使用されるとき、固形分を基準にして組成物を約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1.0重量%〜約10重量%、最も好ましくは約2.0重量%〜約5.0重量%有する塗布溶液が得られるように、典型的には水で希釈される。基材に塗布される時の塗布量は、半多孔質基材(例えば、石灰石)では一平方メートル当たり塗布溶液約100g(g/m2)であり、多孔質基材(例えば、サルティヨ(Saltillo))では約200g/m2である。好ましくは、塗布の結果、固形分約0.1g/m2〜約2.0g/m2が表面に塗布される。
【0045】
本発明の組成物は、一般に、不織布、布帛、および布帛ブレンドなどの繊維基材に水性エマルション、分散体、又は溶液として、スプレー、浸漬、パディング、又は他の周知の方法で塗付される。本発明のコポリマーは、一般に、完全に配合されたエマルションの重量を基準にして、約5g/L〜約100g/L、好ましくは約10g/L〜約50g/Lの濃度になるように水で希釈される。例えば、スクイズロールで余分な液体を除去した後、処置された布帛を乾燥させ、次いで、例えば、110℃〜190℃に、少なくとも30秒間、典型的には約60〜約180秒間、加熱することによって硬化させる。このように硬化させることによって、はじく性質と耐久性が向上する。これらの硬化条件は典型的なものであり、特有の設計特徴のため、市販の装置にはこれらの範囲外で運転されるものがある。
【0046】
本発明は、更に、前述の本発明の組成物を接触させた基材を含む。本発明の方法に有用な基材としては、硬質表面基材と繊維基材が挙げられる。本発明の組成物を接触させた好ましい基材のフッ素含有量は、約0.05重量%〜約0.5重量%である。
【0047】
硬質表面基材としては、ガラス、石、メーソンリー、コンクリート、非施釉タイル、レンガ、多孔質粘土、および表面多孔性を有する他の様々な基材などの多孔質および非多孔質の鉱物表面が挙げられる。このような基材の具体例としては、非施釉コンクリート、レンガ、タイル、石(花こう岩、石灰石、および大理石を含む)、グラウト、モルタル、彫像用材、モニュメント、テラゾーなどの複合材料、および、石膏ボードで製造されたものを含む壁および天井パネルが挙げられる。
【0048】
繊維基材としては、テキスタイル、不織布、布帛、布帛ブレンド、カーペット、木材、紙、および皮革が挙げられる。テキスタイルおよび布帛は、以下に限定されないが、ポリアミド−6,6(PA−66)、ポリアミド−6(PA−6)、およびポリアミド−6,10(PA−610)を含むポリアミド;以下に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むポリエステル;レーヨン;木綿;ウール;シルク;麻;およびこれらの組み合わせを含む。不織材料は、ガラス、紙、酢酸セルロースおよび硝酸セルロース、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン(結合したポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)を含む)、およびこれらの組み合わせの繊維を含む。具体的な不織布としては、例えば、TYVEK(フラッシュ紡糸PE繊維)、SONTARA(ポリエステル不織布)およびXAVAN(PP不織布)などのPEおよびPPを含むポリオレフィン、SUPREL、米国特許第6,548,431号明細書、米国特許第6,797,655号明細書および米国特許第6,831,025号明細書に記載されているものなどの、芯鞘2成分溶融紡糸繊維およびサイドバイサイド2成分メルトブロー繊維の複数の層を含むスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド(SMS)不織布複合シート(全て本件特許出願人の商標品である);米国特許第5,885,909号明細書に記載されているものなどの芯鞘2成分溶融紡糸繊維を含む不織布複合シート;PPスパンボンド−PPメルトブロー−PPスパンボンド積層体などの、当該技術分野で既知の他の多層SMS不織布;当該技術分野で既知の、および米国特許第3,338,825号明細書、米国特許第3,253,978号明細書、およびその中に引用されている参考文献に記載されているガラス繊維不織布媒体;並びにKorea Vilene(Seoul, South Korea)の商標品であるKOLON(スパンボンドポリエステル)が挙げられる。不織布材料としては、乾式(カード又はエアレイ)、湿式、スパンボンド、およびメルトブローを含むウェブ形成処理で形成されたものが挙げられる。不織ウェブは、樹脂で結合されていても、熱融着、溶剤接着、ニードルパンチ、スパンレース、又はステッチボンドが施されていてもよい。前述の2成分溶融紡糸繊維は、PEの鞘とポリエステルの芯を有してもよい。多層からなる複合シートを使用する場合、2成分メルトブロー繊維はポリエチレン成分とポリエステル成分を有し、その長さに沿ってサイドバイサイド配列されていてもよい。典型的には、サイドバイサイドおよび芯鞘2成分繊維は、多層配置中の別々の層である。
【0049】
本発明の方法を実施するのに好ましい繊維基材としては、木綿、レーヨン、シルク、ウール、麻、ポリエステル、スパンデックス、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリアミド、アラミド、およびこれらのブレンド又は組み合わせからなる群から選択される1つ以上の材料が挙げられる。好ましい不織布は、紙、酢酸セルロースおよび硝酸セルロース、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、およびこれらの組み合わせを含む。最も好ましい不織布は、結合したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの組み合わせである。
【0050】
本発明の組成物および方法は、処理される基材に優れた撥水性、撥油性、および耐汚染性の1つ以上を付与するのに有用である。従来の市販の表面処理製品は、典型的には8以上のフッ素化された炭素原子を有するが、本発明の組成物は、6以下のフッ素化された炭素原子を含有する、より短いフルオロアルキル基の使用を可能にする。
【0051】
材料および試験方法
本明細書の実施例では、次の材料および試験方法を使用した。
【0052】
試験方法1−織布の撥油性および撥水性試験
A.布帛処理
使用した織布は、Textile Innovators Corporation(100 Forest Street, Windsor, NC27983)から入手可能な100%木綿;および、Burlington Mills, Burlington Industries,Inc.(Hurt, VA, 24563)から入手可能な100%ナイロンおよび100%ポリエステルであった。表8および9に示すフッ素重量%になるように、浴中に3重量%の試験される最終コポリマーエマルションを有する浴が得られるように、調製された本発明のポリマーエマルションの濃縮分散体を脱イオン水で希釈した。この浴に布帛を浸漬し、そこに10秒間保持し、取り出した。布帛を室温(RT)で一晩乾燥させ、約160℃で3分間硬化させ、室温まで冷却した。
【0053】
B.撥水性試験
AATCC標準試験方法第193−2004、およびTEFLON Global Specifications and Quality Control Tests information packetに概要が記載されているDuPont Technical Laboratory Methodに従って、織布基材の撥水性を測定した。この試験は、水性液体による濡れに対する処理された基材の耐性を決定する。様々な表面張力を有する水−アルコール混合物の液滴を基材につけて、表面の濡れの程度を視覚的に決定する。撥水性評価が高いほど、水をベースにする物質に対する完成した布帛の撥水性は良好である。撥水性試験液の組成を表2に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
C.撥油性試験
下記の表3に示す一連の有機液体を布帛サンプルに1滴ずつつけた。最も小さい番号の試験液(撥油性評価番号1)で始めて、3つの場所にそれぞれ1滴(直径約5mm又は体積0.05mL)、少なくとも5mm離してつけた。液滴を30秒間観察した。この時間の終わりに、3滴のうち2滴がまだ球状の形状であり、液滴の周囲でウィッキングが起こっていなかった場合、次の最も大きい番号の液体を3滴、隣接する部位につけ、同様に30秒間観察した。試験液の1つで3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持できないという結果になるまで、又は濡れ若しくはウィッキングが起こるまで、この手順を続けた。
【0056】
布帛の撥油性評価は、3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持し、30秒間ウィッキングが起こらない最も大きい番号の試験液であった。一般に、5以上の評価を有する処理された布帛は、良〜優とみなされた。1以上の評価を有する布帛は、ある一定の用途に使用できる。
【0057】
【表4】

【0058】
aNUJOLは、38℃で360/390のSaybolt粘度と、15℃で0.880/0.900の比重を有する鉱油に対する、Plough, Inc.の商標である。
【0059】
試験方法2−不織布のはじく性質
A.布帛処理
使用した不織布は、DuPont(Nashville, TN)製のSONTARAポリエステル−セルロース不織布、(74g/m2);および、Kimberly−Clark(Roswell, GA)によって製造された100%スパンボンド−メルトブロー−スパンボンドポリプロピレン不織布(SMS PP、39g/m2)であった。パッド浸漬プロセスを使用して、実施例11〜15に記載のように不織布を処理した。SONTARA布帛のウェットピックアップ%は、約92%であった。分散体の塗布後、処理されたSONTARA布帛を、布帛が250°F(120℃)に到達し、その温度で3分間維持されるまで、オーブン内で乾燥および硬化させた。SMS PP不織布のウェットピックアップ%は、約142%であった。パッド塗布後、処理されたSMS PP布帛を、布帛が220°F(105℃)に到達し、その温度で3分間維持されるまで、オーブン内で乾燥および硬化させた。処理および硬化後に、処理された布帛を「放置(rest)」した。ASTM D1776に従って、試験前に最低4時間、処理された布帛を調整した。
【0060】
B.不織布の撥アルコール性
不織布の撥アルコール性に関するINDA標準試験方法80.6−92を使用して、処理された不織布の撥アルコール性を試験した。表3Aに記載する一連の水/アルコール溶液からなる標準試験液の液滴を試験材料につけて、浸透又は濡れを観察した。最も小さい番号の試験液(撥アルコール性評価番号0)で始めて、試験試料の少なくとも3つの場所に、直径約5mm又は体積0.05mLの小滴をつけた。5分後に試料の浸透を観察した。液滴が球状で、接触角が大きく、ひっくり返したときに試料の反対側が暗色化していなかったため、液滴が浸透していないことが分かった。試験試料の浸透が起こらなかった場合、次に大きい番号の試験液の液滴を試料の異なる部位につけ、5分後に再び浸透を観察した。アルコール評価は、布帛に浸透しなかった最も大きい番号の試験液であった。
【0061】
【表5】

【0062】
C.不織布の水による浸透(スプレー衝撃試験)
不織布の水による浸透のためのINDA標準試験方法(スプレー衝撃試験)80.3−92を使用して、処理された不織布の水による浸透を試験した。この方法は、衝撃による水の浸透に対する不織布の耐性を測定し、それを使用して、不織布の推定防雨性(probable rain penetration resistance)を予測することができる。サンプルは、予め重量を測定した1枚の吸収性吸取紙を被覆する保護バリアとして使用された(US Federal Specification NNN−P−035に適合、AATCC(Research Triangle Park, NC27709)から入手可能)。スプレーノズルを通して、スプレーノズルの24インチ(60.7cm)下に中心に配置された45度傾斜したサンプルに規定量のDI水(500mL、27±1℃)を重力供給し;再度、吸取紙の重量を測定した。この2つの重量の差は、不織布バリアを通過する水の量の尺度であった。差が大きいほど、多くの水が通過する、即ち、布帛の撥水性が小さい。従って、数が大きいほど撥水性が低いことを示す。
【0063】
試験方法3−硬質表面上での撥水性および撥油性の決定
この試験方法は、石灰石、コンクリート、花こう岩およびサルティヨsaltillo)を含む硬質表面基材上での撥水性を試験する手順を記載する。サンプルの石灰石(Euro Beige)と花こう岩(White cashmere)の12インチ四方(30.5cm2)の正方形のタイルを4インチ(10.2cm)×12インチ(30.5cm)の試料に切断した。切断後、試料を洗浄して塵埃や汚れを取り除き、完全に、典型的には少なくとも24時間乾燥させた。本発明の組成物と溶媒を混合し、混合しつつ、フッ素0.8重量%のフッ素濃度にすることによって浸透溶液を調製した。1/2インチ(1.3cm)の塗料刷毛を使用して溶液を各基材表面の試料に塗布した。次いで、表面を15分間乾燥させた。必要に応じて、処理液中に浸漬した布で表面を拭き、余剰を取り除いた。処理した基材を一晩乾燥させた後、脱イオン水3滴とキャノーラ油3滴を各基材につけて、5分間放置した。視覚的接触角測定を使用して撥水性と撥油性を決定した。次の評価チャートを使用し、以下に示すように0〜5のスケールを使用して接触角を決定した:
撥水撥油性評価5(優れている):接触角100〜120°
撥水撥油性評価4(非常に良好):接触角75〜90°
撥水撥油性評価3(良好):接触角45〜75°
撥水撥油性評価2(可):接触角25〜45°
撥水撥油性評価1(不良):接触角10〜25°
撥水撥油性評価0(浸透):接触角<10°
【0064】
数字が大きいほど、撥水撥油性が大きいことを示し、2〜5の評価が許容可能である。データを水玉形成(water beading)および油玉形成(oil beading)として表に報告する。
【0065】
試験方法4−耐汚染性の決定
この方法を使用して石灰石基材、コンクリート基材、およびSaltillo基材上での耐汚染性を決定した。石灰石(Euro Beige)試料の12インチ四方(30.5cm2)の正方形のタイルを、4インチ(10.2cm)×12インチ(30.5cm)の試料に切断した。切断後、試料を洗浄して埃塵や汚れを取り除き、完全に、典型的には少なくとも24時間乾燥させた。本発明の組成物と溶媒を混合し、フッ素0.8重量%の濃度にすることによって浸透溶液を調製した。1/2インチ(1.3cm)の塗料刷毛を使用して溶液を各基材表面の試料に塗布した。次いで、表面を15分間乾燥させた。必要に応じて、処理液中に浸漬した布で表面を拭き、余剰を取り除いた。処理した基材を一晩乾燥させた後、次の食物の染み:1)熱いベーコンの油脂、2)コーラ、3)ブラックコーヒー、4)グレープジュース、5)イタリアンサラダドレッシング、6)ケチャップ、7)レモンジュース、8)マスタード、9)キャノーラ油、および10)モーター油を基材の表面に間隔を空けてつけた。24時間後、食物の染みを基材表面から吸取紙で吸い取った又は軽く擦り取った。基材の表面を水および1%の石鹸溶液で洗浄し、硬い剛毛ブラシを使用して表面を10サイクル前後に擦った。次いで、基材を水で洗浄し、評価する前に24時間乾燥させた。
【0066】
清浄にした後にタイル表面に残存する染みを次のように0〜4のスケールにより視覚的に評価した:0=染みなし;1=非常に薄い染み;2=薄い染み;3=中程度の染み;および4=濃い染み。各基材タイプについての評価を各染みについて合計し、各タイプについて複合評価を得た。1つの基材についての最大合計スコアは、10個の染み×最大スコア4=40である。スコアが低いほど防汚性(stain protection)が良好であり、20以下のスコアが許容可能であり、ゼロは染みが存在しない最良の防汚性を示す。
【0067】
試験方法5−接触角測定
A.W.AdamsonによってThe Physical Chemistry of Surfaces, Fifth Edition, Wiley & Sons, New York, NY, 1990に記載されている液滴法で接触角を測定する。接触角を測定するための装置および手順についての更なる情報は、R.H.Dettreらによって“Wettability”, Ed.by J.C.Berg, Mercel Dekker, New York, NY, 1993に記載されている。
【0068】
サンプル表面における水とヘキサデカンの接触角を決定するための接触角(CA)測定は、DROPIMAGE標準ソフトウェアを採用し、自動分配システムを装備したRame−Hart Standard Automated Goniometer(型番200、Rame−Hart Inc.(43 Bloomfield Ave., Mountain Lakes, NJ)から入手可能)を使用して行った。サンプル上での試験液の接触角を決定するため、液適法を使用した。調製されたエマルションをMYLARフィルム基材上に1000rpmで30秒間スピンコートすることによって、皮膜を調製した。皮膜を160℃のオーブンで5分間熱アニールした後、24時間空気乾燥させた。較正された量の試験液を分配するため、自動分配ポンプを使用して、試験液約1滴をサンプル上に分配した。水の測定では脱イオン水を使用し、油の測定ではヘキサデカンを好適に使用した。前進角は、3つの相線が表面を前進する接触角である。同じ製造業者製の伸縮型ゴニオメータ(telescoping goniometer)を用いて、所定の温度で接触角を測定した。試験液を1滴、ポリエステルフィルム基材につけて、液滴と表面の接触点で正接を正確に決定した。液体の液滴のサイズを大きくすることによって前進角を決定し、液体の液滴のサイズを小さくすることによって後退角を決定した。データは、典型的には前進および後退接触面として表される。
【0069】
水と有機液体の接触角の関係、並びに表面の清浄性および汚れの保持性は、前述のA.W.Adamsonによって記載されている。一般に、ヘキサデカン接触角が大きいほど、表面は汚れ(dirt)や汚れ(soil)をはじく性質が大きく、表面を容易に清浄化できることを示す。
【0070】
試験方法6−紙の撥油性
TAPPI557方法に従い、異なる濃度のひまし油、トルエン、およびn−ヘプタンを有するキット試験の16の溶液を使用して、本発明のコポリマー組成物で処理された紙の撥油性を試験した。溶液は様々な撥油性処理レベルに区別され、従って、それを使用して各キット試験値を対応付けることができるが、これは本質的に表面張力の関数であり、溶液1の34.5ダイン/cmから溶液12の22ダイン/cmまで、溶液16の20.3ダイン/cmまでの範囲である。動物性油脂又は植物性油脂の表面張力は24ダイン/cm以上であり、キット試験値約7に相当する。
【0071】
次の手順で、キット試験値を処理された紙に対応付けた。紙サンプルを清浄で平坦な黒色の表面に配置し、22mmの高さから溶液1を1滴そこに落下させる。液滴を15秒間、紙と接触させた後、清浄な吸取紙で除去し、液滴下の表面を検査した。液滴下の表面が暗色に見えない場合、例えば、輪がない場合、暗色の輪の存在が観察されるまで、表面張力のより小さい溶液を使用して試験を繰り返した。試験値が大きいほど、紙サンプルの撥油性が大きいことを示す。
【0072】
材料
表4は実施例で使用される材料のリストであり、略称又は商標を記載している。
【0073】
【表6】

【0074】
化合物A1〜A15は、表1Aに記載されているフルオロアルコールを指し、次のように調製された。
【0075】
化合物A6
49CH2CF2CH2CH2OH
49CH2CF2I(217g)およびd−(+)−リモネン(1g)を仕込んだオートクレーブにエチレン(25g)を導入し、反応器を240℃で12時間加熱した。減圧蒸留により生成物を単離し、C49CH2CF2CH2CH2Iを得た。C49CH2CF2CH2CH2I50gに発煙硫酸(70mL)をゆっくりと添加し、混合物を60℃で1.5時間攪拌した。1.5重量%の氷冷Na2SO3水溶液で反応を急冷し、95℃で0.5時間加熱した。下層を分離し、10重量%酢酸ナトリウム水溶液で洗浄し、蒸留してC49CH2CF2CH2CH2OH(化合物A6):2mmHg(267パスカル)で沸点54〜57℃を得た。
【0076】
化合物A6−アクリレート
49CH2CF2CH2CH2O−C(O)−CH=CH2
Dean Starkトラップを備えたフラスコ内でp−トルエンスルホン酸(p−TSA、2.82g、0.0148mol)、メチルヒドロキノン(MEHQ、420mg)、化合物A6(120g)およびシクロヘキサン(121mL)を合わせた。反応混合物を85℃に加熱し、アクリル酸(31.3mL)を添加し、24時間加熱し続けた。Dean Starkトラップをショートパス蒸留塔と取り替え、脱イオン(DI)水を反応混合物に添加した後、シクロヘキサンを蒸留した。反応混合物を約50℃に冷却した。下層を分液漏斗に入れ、10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、化合物A6−アクリレート(134g、収率95%):1H NMR(CDCl3、400MHz)6.42(1H、d−d、J1=17.3Hz、J2=1.4Hz)、6.1(1H、d−d、J1=17.3Hz、J2=10.5Hz)、5.87(1H、d−d、J1=10.5Hz、J2=1.4Hz)、4.41(2H、t、J=6.4Hz)、2.86〜2.48(2H、m)、2.42(2H、t−t、J1=16.7Hz、J2=6.0Hz);MS:383(M++1)を得た。
【0077】
化合物A6−メタクリレート
49CH2CF2CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2
化合物A6アクリレートの生成について前述したのと同様に、化合物A6をメタクリル酸で処理し、化合物A6−メタクリレート:(130g、収率89%):0.4mmHg(53パスカル)で沸点47〜50℃;1H NMR(CDCl3、400MHz):6.10(1H、m)、5.59(1H、m)、4.39(2H、t、J=6.0Hz)、2.85〜2.69(2H、m)、2.43(2H、t−t、J1=16.5Hz、J2=6Hz)、1.94(3H、m);MS:397(M++1)を得た。
【0078】
化合物A7
49(CH2CF22CH2CH2OH
49(CH2CF22I(714g)およびd−(+)−リモネン(3.2g)を仕込んだオートクレーブにエチレン(56g)を導入し、反応器を240℃で12時間加熱した。減圧蒸留により生成物を単離し、C49(CH2CF22CH2CH2Iを得た。C49(CH2CF22CH2CH2I(10g、0.02mol)とN−メチルホルムアミド(8.9mL、0.15mol)の混合物を150℃まで26時間加熱した。混合物を100℃まで冷却した後、水を添加して粗エステルを分離した。エチルアルコール(3mL)とp−トルエンスルホン酸(0.09g)を添加し、混合物を70℃で0.25時間攪拌した。蟻酸エチルとエチルアルコールを留去して粗生成物を得た。粗生成物をエーテルに溶解させ、10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液、水、および食塩水で順番に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。蒸留により、生成物(6.5g、収率83%):2mmHg(266パスカル)で沸点94〜95℃を得た。
【0079】
化合物A7アクリレート
49(CH2CF22CH2CH2O−C(O)−CH=CH2
Dean Starkトラップを備えたフラスコ内のシクロヘキサン(12.5mL)中のp−トルエンスルホン酸(0.29g)、メチルヒドロキノン(0.043g)、およびC49(CH2CF22CH2CH2OH(15g、0.038mol)の混合物を85℃まで加熱した後、アクリル酸(3.3mL、0.048mol)を添加した。24時間後、Dean Starkトラップをショートパス蒸留塔と取り替えた。脱イオン水(15mL)を反応混合物に添加した後、シクロヘキサンを蒸留した。反応混合物を約50℃まで冷却した。下層を分液漏斗に入れ、10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、化合物A7アクリレート(15g、収率90%):1H NMR(CDCl3、400MHz):6.44(1H、d−d、J1=17.3Hz、J2=1.4Hz)、6.11(1H、d−d、J1=17.3Hz、J2=10.5Hz)、5.86(1H、d−d、J1=10.5Hz、J2=1.4Hz)、4.40(2H、t、J=6.4Hz)、2.94〜2.65(4H、m)、2.38(2H、t−t、J1=16.7Hz、J2=6.0Hz);MS:447(M++1)を得た。
【0080】
化合物A7メタクリレート
49(CH2CF22CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2
化合物A7−アクリレートの生成について前述したのと同様に、化合物A7をメタクリル酸で処理し、化合物A7−メタクリレート(16g、収率94%):1H NMR(CDCl3、400MHz):6.12〜6.11(1H、m)、5.60〜5.59(1H、m)、4.38(2H、t、J=6.0Hz)、2.94〜2.66(4H、m)、2.38(2H、t−t、J1=16.5Hz、J2=6Hz)、1.95〜1.94(3H、m);MS:461(M++1)を得た。
【0081】
化合物A11
613CH2CF2CH2CH2OH
613CH2CF2I(170g)およびd−(+)−リモネン(1g)を仕込んだオートクレーブにエチレン(15g)を導入した後、反応器を240℃で12時間加熱した。減圧蒸留により生成物を単離し、C613CH2CF2CH2CH2Iを得た。C613CH2CF2CH2CH2I(112g)に発煙硫酸(129mL)をゆっくりと添加した。混合物を60℃で1.5時間攪拌した。次いで、1.5重量%の氷冷Na2SO3水溶液で反応を急冷し、95℃で0.5時間加熱した。下層を分離し、10重量%酢酸ナトリウム水溶液で洗浄し、蒸留して化合物A11:融点38℃を得た。
【0082】
化合物A11−アクリレート
613CH2CF2CH2CH2O−C(O)−CH=CH2
Dean Starkトラップを備えたフラスコ内でp−トルエンスルホン酸(1.07g、0.0056mol)、メチルヒドロキノン(160mg)、化合物A11(60g、0.14mol)およびシクロヘキサン(46mL)を合わせた。反応混合物を85℃まで加熱し、アクリル酸(12mL)を添加し、24時間加熱し続けた。Dean Starkトラップをショートパス蒸留塔と取り替え、脱イオン水を添加し、シクロヘキサンを蒸留した。反応混合物を約50℃まで冷却し、分液漏斗に移し、10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濃縮して、化合物A11−アクリレート(64g、収率95%):0.2mmHg(26.6パスカル)で沸点55〜57℃;1H NMR(CDCl3、400MHz):6.42(1H、d−d、J1=17.3Hz、J2=1.4Hz)、6.1(1H、d−d、J1=17.3Hz、J2=10.5Hz)、5.87(1H、d−d、J1=10.5Hz、J2=1.4Hz)、4.40(2H、t、J=6.4Hz)、2.86〜2.48(2H、m)、2.42(2H、t−t、J1=16.7Hz、J2=6.0Hz);MS:483(M++1)を得た。
【0083】
化合物A11−メタクリレート
613CH2CF2CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2
化合物A11−アクリレートの生成について前述したのと同様に、化合物A11をメタクリル酸で処理し、化合物A11−メタクリレート(62g、収率89%)を得た。
【0084】
化合物A12
613(CH2CF22CH2CH2OH
613(CH2CF22I(714g)およびd−(+)−リモネン(3.2g)を仕込んだオートクレーブにエチレン(56g)を導入し、反応器を240℃で12時間加熱した。減圧蒸留により生成物を単離し、C613(CH2CF22CH2CH2Iを得た。C613(CH2CF22CH2CH2I(111g)とN−メチルホルムアミド(81mL)を150℃まで26時間加熱した。反応を100℃まで冷却した後、水を添加して粗エステルを分離した。エチルアルコール(21mL)とp−トルエンスルホン酸(0.7g)を粗エステルに添加し、反応を70℃で15分間攪拌した。蟻酸エチルとエチルアルコールを留去し、得られた粗アルコールをエーテルに溶解させ、亜硫酸ナトリウム水溶液、水、および食塩水で順番に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下で生成物を蒸留し、化合物A12:融点42℃を得た。
【0085】
化合物A12−アクリレート
613(CH2CF22CH2CH2O−C(O)−CH=CH2
Dean Starkトラップを備えたフラスコ内でp−トルエンスルホン酸(0.29g)、メチルヒドロキノン(0.043g)、化合物A12(15g、0.031mol)およびシクロヘキサン(10mL)を合わせた。反応混合物を85℃まで加熱し、アクリル酸(2.6mL、0.038mol)を添加し、24時間加熱し続けた。Dean Starkトラップをショートパス蒸留塔と取り替えた。脱イオン水を添加し、シクロヘキサンを蒸留した。反応混合物を約50℃まで冷却し、下層を分液漏斗に移し、10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濃縮して、化合物A12−アクリレート(15.5g、収率93%)を得た。
【0086】
化合物A12−メタクリレート
613(CH2CF22CH2CH2O−C(O)−C(CH3)=CH2
化合物A12−アクリレートの生成について前述したのと同様に、化合物A12をメタクリル酸で処理し、化合物A12−メタクリレート(15.5g、収率91%)を得た。
【実施例】
【0087】
実施例1〜8
表5に記載する様々なフッ素化モノマーを使用して、実施例1〜8を調製した。実施例1〜8では様々なフッ素化モノマーを一定重量使用して、ポリマーエマルションを得た。エマルションの組成を表6および7に記載する。
【0088】
【表7】

【0089】
【表8】

【0090】
【表9】

【0091】
各エマルション組成物を約3分間超音波処理し、エマルションを得た。エマルションを反応器に移し、窒素パージし、65℃まで加熱した。水(2.5mL)中のVAZO 56 WSP(0.75g)を各エマルションに添加し、エマルションを3時間65℃で攪拌した。エマルションを室温まで冷却し、ポリマーエマルション(固形分30重量%)を得た。ナイロンおよび木綿布帛上で様々なポリマーエマルションの撥油性および撥水性を試験した。
【0092】
比較例A
フルオロケミカルとして、式F(CF2bCH2CH2OC(O)−C(H)=CH2(式中、bは6〜16の範囲であり、主に8および10である)のアクリレートの混合物を使用したこと以外、実施例1の手順を使用した。典型的な混合物は次の通りであった:b=6が3%、b=8が54%、b=10が29%、b=12が12%、b=14が3%、およびb=16が1%。
【0093】
比較例B
フルオロケミカルとして、式F(CF2bCH2CH2OC(O)−C(CH3)=CH2(式中、bは4〜12の範囲であり、主に6および8である)のメタクリレートの混合物を使用したこと以外、実施例1の手順を使用した。典型的な混合物は次の通りであった:b=4が0.2%、b=6が32.6%、b=8が35%、b=10が18.6%、およびb=12が12.7%。
【0094】
実施例1〜8の試験
試験方法1に従って、ナイロンおよび木綿布帛上で実施例1〜8の様々なポリマーエマルションの撥油性および撥水性を試験した。結果を表8および9に記載し、未処理の基材を対照として記載する。
【0095】
【表10】

【0096】
【表11】

【0097】
データから、実施例1〜8のコポリマー組成物で処理された布帛は良好な撥水性と撥油性を示したことが分かる。炭素数6のパーフルオロアルキル基を有する実施例7および8は、ほぼ同じフッ素レベルで、主に炭素数8および10のパーフルオロアルキル基を有する比較例Bに匹敵する又は比較例Bより良好な撥水性および撥油性を示した。
【0098】
更に、実施例1〜8のコポリマー組成物は、前述の試験方法5に従ったポリエステルフィルム基材上での接触角を特徴とした。各実施例1〜8、未処理の対照、および比較例AおよびBについて水とヘキサデカンの前進接触角を測定した。表10に記載の結果から、処理された全ての基材の接触角は、未処理のMYLAR対照のものより著しく大きいことが分かった。より顕著には、実施例3、4、7および8のエマルションでは、炭素数8以上のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートの大きいフラクションを含む従来の比較例AおよびBに匹敵する又は比較例AおよびBより大きい、水およびヘキサデカン接触角が得られた。
【0099】
【表12】

【0100】
実施例9
冷却器と攪拌機を備えた250mLのフラスコに、塩化ナトリウム(0.025g)、イソプロピルアルコール(11.24g)、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(1.76g)、グリシジルメタクリレート(0.29g)、A11−アクリレート(8.20g)およびドデシルメルカプタン(0.02g)を仕込んだ。イソプロピルアルコール(2.5g)に溶解させたVAZO67(0.033g)の溶液をフラスコに1滴ずつ添加した。混合物を攪拌し、1時間、28℃で窒素パージした。次いで、温度を68℃まで16時間上昇させた。次いで、混合物を65℃まで冷却した。酢酸(0.6g)と水(100g)の混合物を添加し、ポリマーを均質な分散体に転化させた。分散段階中、酢酸/水混合物を攪拌しながら約65℃に維持した。次いで、イソプロピルアルコールを留去し、ポリマー分散体を得た(固形分13.91%)。
【0101】
紙の撥油性
デンプン(Penford GUM 280コーンスターチ)約4重量部と水約94重量部を含有する浴を調製した。浴を90〜100℃まで0.75時間加熱して、デンプンを溶解させ、約85℃まで冷却し、実施例9の分散体2.5重量部を添加して、2.49重量%の溶液を得た。次いで、高温の溶液を実験室用の製紙サイズプレスのパッド浴(pad bath)に移した。次いで、約70℃で約79%のウェットピックアップを有する紙(38ポンドの標準厚手)に浴を塗布した。次いで、処理された紙を235F(112℃)の実験室用ドラム乾燥機で25秒間、乾燥させた。次いで、試験方法6−紙の撥油性を使用して、乾燥した紙の撥油性を評価した。表11に記載した結果から、実施例9のポリマー分散体で処理された紙は顕著な撥油性を示すことが分かった。
【0102】
【表13】

【0103】
実施例10
MIBK(0.47g)に溶解させたVAZO 67(0.047g)を、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(3.2g)、A11−メタクリレート(6.25g)およびMIBK(7.69g)の混合物に35℃で添加し、混合物を70℃で一晩加熱した。水(19g)と酢酸(1.37g)を添加し、混合物を70℃で0.5時間攪拌した。MIBKを減圧下で除去し、ポリマー分散体(固形分30.88%)を得た。石およびタイル基材上で分散体の撥水・撥油性と耐汚染性を試験した。
【0104】
実施例10の分散体(1.01g)を脱イオン水14.0gに添加し、0.8%Fの分散体を得ることによって、処理溶液を調製した。前述の試験方法3および4に従って、石灰石の処理では基材1つ当たり約0.40gで又は約100g/m2で;花こう岩基材の処理では基材1つ当たり0.44gで0.8%Fの分散体を塗布した。対照は未処理の基材であった。結果を表12および13に記載する。試験方法4に記載したように、汚染評価(staining rating)が低いほど耐汚染性が高いことを示す。実施例10のポリマー分散体は、処理された基材に改善された撥油性および撥水性、並びに改善された耐汚染性を付与した。
【0105】
【表14】

【0106】
【表15】

【0107】
実施例11〜13
表14に記載の様々なフッ素化モノマーを使用して、実施例11〜13を調製した。一定重量のフッ素化モノマー(11.6g)を使用して、ポリマーエマルションを得た。エマルションの組成を表15に記載する。
【0108】
【表16】

【0109】
【表17】

【0110】
塩化ビニリデンを含まないエマルション混合物を55℃まで加熱し、ソニケーター中で2分間乳化させて、均一な乳白色のエマルションを得た。窒素ブランケット、冷却器、オーバーヘッドスターラー、および温度プローブを備えたフラスコにエマルションを仕込み、窒素の吹き込みを開始し、170rpmで攪拌した。温度が約30℃未満まで低下したとき、フラスコを窒素ブランケットに切り換えて、塩化ビニリデンを添加した。エマルションを0.25時間攪拌した後、脱イオン水(0.16mL)中のVAZO−56開始剤(0.08g)を添加した。次いで、混合物を50℃まで0.5時間にわたって加熱し、8時間50℃で攪拌した。次いで、溶液を乳剤フィルタ(milk filter)に通してエマルションコポリマー(固形分10.5%)を得た。
【0111】
実施例11〜13のコポリマー分散体をSONTARAポリエステル−セルロース不織布(74g/m2)にパッド浴(浸漬)プロセスを使用して塗布した。布帛上でのフッ素レベルが、重量で布帛1グラム当たりフッ素約0.25mgとなるように、パッド浴に使用されるフッ素化コポリマー分散体の量を計算した。それぞれ実施例11(1.72g)、実施例12(1.86g)および実施例13(1.80g)の分散体;並びに、脱イオン水280グラム、10重量%塩化ナトリウム水溶液10.8グラム、およびFREEPEL 1225乳化ワックス7.5グラムを用いて、3つの別々のパッド浴を調製した。SONTARA布帛のウェットピックアップ%は、約92%であった。分散体をパッド塗布した後、処理されたSONTARA布帛を、布帛が250°F(120℃)に到達し、その温度で3分間維持されるまで、オーブン内で乾燥および硬化させた。処理および硬化後、布帛を「放置(rest)」した。前述のように、試験方法2Bを使用しイソプロピルアルコール(IPA)を使用して、処理された布帛の撥アルコール性を試験し、試験方法2Cに従って布帛の水による浸透(スプレー衝撃)を試験した。未処理のサンプルを対照として使用した。得られたデータを表16に記載する。
【0112】
比較例C
比較例Cは、フッ素化モノマーとして式F(CF2bCH2CH2OC(O)−C(CH3)=CH2(式中、bは4〜12の範囲であり、主に6および8である)のメタクリレートの混合物を使用したこと以外、実施例11に類似の手順を使用して調製されたフルオロケミカル表面処理剤で処理されたSONTARA不織布であった。典型的な混合物は次の通りであった:b=4が0.2%、b=6が32.6%、b=8が35%、b=10が18.6%、およびb=12が12.7%。実施例11〜13と比較例Cのフッ素含有量は同等であった。実施例11〜13におけるのと同様に比較例CでSONTARAを処理し、前述のように、試験方法2Bを使用しイソプロピルアルコール(IPA)を使用して、撥アルコール性を試験し、試験方法2Cに従って、水による浸透(スプレー衝撃)を試験した。結果を表16に記載する。
【0113】
【表18】

【0114】
表16に記載の結果から、実施例11〜13のコポリマーで処理された不織布サンプルは、市販の比較例C(パーフルオロアルキル基の炭素数が6より大きい)にほぼ匹敵する顕著な撥アルコール性、および未処理の対照のものよりずっと大きい撥アルコール性を示したことが分かる。更に、INDAスプレー衝撃試験では、吸収される水が少ないほど布帛の撥水性が高いことを示すが、試験から、実施例11〜13のコポリマーで処理された不織布サンプルが、市販の比較例Cに匹敵し、未処理の対照よりずっと優れた顕著な撥水性を示したことが分かる。
【0115】
実施例14および15
表17に記載のエマルション組成物を使用して、実施例14を調製した。塩化ビニリデンを含まないエマルション成分を混合して55℃まで加熱し、均一な乳白色のエマルションが得られるまで、ソニケーター中で2分間乳化させた。窒素ブランケット、冷却器、オーバーヘッドスターラー、および温度プローブを備えたフラスコにエマルションを仕込み、窒素の吹き込みを開始し、170rpmで攪拌した。温度が約30℃未満まで低下したとき、フラスコを窒素ブランケットに切り換えて、塩化ビニリデン(1.5g)、および脱イオン水(25.0g)を添加した。溶液を0.25時間攪拌した後、脱イオン水(25.0g)中のVAZO−56開始剤(0.08g)を添加した。混合物を50℃まで0.5時間にわたって加熱し、8時間50℃で攪拌した。エマルションを室温まで冷却し、ヘキシレングリコール(10.0g)と脱イオン水(80.0mL)を添加した後、0.5時間攪拌した。エマルションを乳剤フィルタに通して、固形分3.0重量%およびフッ素0.75重量%のエマルションコポリマーを得た。
【0116】
表17に記載の成分を使用して、実施例14と同様に実施例15を調製し、固形分3.2重量%およびフッ素0.80重量%のエマルションコポリマーを得た。
【0117】
【表19】

【0118】
Kimberly−Clark(Roswell, GA)によって製造された布帛重量39g/m2の100%スパンボンド−メルトブロー−スパンボンドポリプロピレン不織布(SMS PP)に、パッド浴(浸漬)プロセスを使用して実施例14および15のコポリマー分散体を塗布した。布帛上でのフッ素レベルが布帛1グラム当たりフッ素約1.20mgとなるように、パッド浴に使用されるフッ素化コポリマー分散体の量を計算した。実施例14のエマルション(33.5g)、ZELEC TY R帯電防止剤(本件特許出願人(Wilmington, DE))0.15重量%、n−ヘキサノール0.6%、および水を合わせて300gの浴にすることによってパッド浴(300g)を調製した。実施例15のエマルション(31.4g)、ZELEC TY R帯電防止剤0.15重量%、n−ヘキサノール0.6%、および水を合わせて300gの浴にすることによって第2のパッド浴を調製した。SMS PP不織布のウェットピックアップ%は、約142%であった。パッド塗布後、処理されたSMS PP布帛を、布帛が220°F(105℃)に到達し、その温度で3分間維持されるまで、オーブン内で乾燥および硬化させた。処理および硬化後、布帛を「放置(rest)」した。前述の試験方法2Bを使用してSMS PP不織布の撥アルコール性を試験した。未処理のSMS PP不織布を対照として使用した。表18に記載の結果から、実施例14および15のエマルションコポリマーがSMS PP不織布に優れた撥アルコール性を付与することが分かった。
【0119】
比較例D
パーフルオロアルキル基の炭素数が6より大きいフルオロケミカル表面処理剤でSMS PP不織布を処理した。比較例Dは、フッ素化モノマーとして式F(CF2bCH2CH2OC(O)−C(H)=CH2(式中、bは6〜16の範囲であり、主に8および10である)のアクリレートの混合物を使用したこと以外、実施例14に類似の手順を使用して調製された。典型的な混合物は次の通りであった:b=6が3%、b=8が54%、b=10が29%、b=12が12%、b=14が3%、およびb=16が1%。実施例14および15並びに比較例Dのフッ素含有量は同等であった。実施例14および15について前述したように、比較例DでSMS PP不織布を処理し、前述の試験方法2Bを使用して撥アルコール性を試験した。結果を表18に記載する。
【0120】
【表20】

【0121】
表18に記載のデータから、実施例14〜15のコポリマーで処理された不織布サンプルが市販の比較例C(パーフルオロアルキル基の炭素数が6より大きい)に匹敵する顕著な撥アルコール性、および未処理の対照のものよりずっと高い撥アルコール性を示したことが分かる。
【0122】
実施例16
酢酸ブチル(24.17g)、ステアリルメタクリレート(10.84g)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(8.66g)、およびA11アクリレート(24.16g)の溶液を調製した。酢酸ブチル(15.34g)中のVAZO64(0.42g)(2,21−アゾビスイソブチロニトリル)の溶液を調製した。還流冷却器(water cooled condenser)、熱電対(100℃に設定)、攪拌機、隔膜、および窒素スパージ(nitrogen sparge)を備えた反応器に酢酸ブチル(27.85g)を仕込んだ。溶媒を100℃まで加熱し、20分間窒素を吹き込んだ。上記のモノマー(5mL)溶液と開始剤(1mL)溶液を反応器にシリンジで15分毎に4時間添加した。更に6時間加熱した後、反応器を室温まで冷却した。反応器に酢酸ブチル(55.77g)を添加し、混合物を30分間攪拌して、ポリマー溶液(159.55g、固形分24%)を得た。石およびタイル基材上で溶液の撥水・撥油性および耐汚染性を試験した。
【0123】
酢酸ブチル(11.0g)に実施例16の生成物(1.00g)を添加し、固形分2%の溶液を得ることによって処理溶液を調製した。試験方法3および4に従って、花こう岩の処理では基材1つ当たり約0.78g又は約200g/m2で;サルティヨ基材の処理では基材1つ当たり1.5gで溶液を塗布した。対照は、未処理の基材であった。得られたデータを表19および20に記載する。
【0124】
比較例E
比較例Eは、フッ素化モノマーとして式F(CF2bCH2CH2OC(O)−C(H)=CH2(式中、bは6〜16の範囲であり、主に8および10である)のアクリレートの混合物を使用したこと以外、実施例16に類似の手順を使用して調製された薬剤(パーフルオロアルキル基の炭素数が6より大きい)であった。典型的な混合物は次の通りであった:b=6が3%、b=8が54%、b=10が29%、b=12が12%、b=14が3%、およびb=16が1%。それを実施例16と同様に花こう岩およびサルティヨに塗布し、試験方法3および4を使用して試験した。結果を表19および20に記載する。
【0125】
【表21】

【0126】
【表22】

【0127】
表19および20のデータから、実施例16のポリマー分散体が、処理された基材に改善された撥油性および撥水性、並びに、パーフルオロアルキル基の炭素数がより多い市販の比較例Eに匹敵し、対照より優れた耐汚染性を付与することが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:
(a)式(I):
f−(CH2CF2q(CH2CH2r−Z−C(O)−C(R)=CH2
(I)
(式中、
qおよびrは、それぞれ独立して1〜3の整数であり、
fは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Zは、−O−、−NR1−、又は−S−であり、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
1は、水素、又はC1〜C4アルキルである)
のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%と、
(b)
(i)炭素数6〜18の直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は
(ii)式(II):
(R22N−R3−O−C(O)−C(R)=CH2
(II)
(式中、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
各R2は、独立してC1〜C4アルキルであり、
3は、2価の直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキレンであり、
窒素は、約40%〜100%塩様になっている)
のモノマー、又は、
(iii)これらの混合物、
の少なくとも1つ約5%〜約80%と、
を含むコポリマー組成物であって、
接触する基材に撥油性、撥水性および耐汚染性を付与する組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のコポリマー組成物であって、
次の重量パーセンテージで共重合した少なくとも1つの追加のモノマー:
(c)塩化ビニリデン、塩化ビニル、又は酢酸ビニル、又はこれらの混合物約1%〜約35%、又は
(d)スチレン、メチル置換スチレン、クロロメチル置換スチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、C1〜C5アルキル(メタ)アクリレート、および式(III):
4(OCH2CH2mO−C(O)−C(R)=CH2
(III)
(式中、
mは、2〜約10であり、
4は、水素、C1〜C4アルキル、又はCH2=C(R)C(O)−O−であり、
各Rは水素、Cl、F又はCH3である)
の化合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマー約0.5%〜約25%、又は、
(e)式(IVa)、(IVb)、又は(IVc):
【化1】

(式中、
各Rは、独立して水素、Cl、F、又はCH3であり、
5は、直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキルであり、
1は、2価の直鎖又は分岐鎖C2〜C4アルキレンであり、
2は、共有結合又は2価の直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキレンであり、
Zは、−O−、−NR1−、又は−S−であり、R1は、水素、又はC1〜C4アルキルである)
の少なくとも1つのモノマー約0.5%〜約10%、又は
(f)これらの任意の組み合わせ、
を更に含む、コポリマー組成物。
【請求項3】
Zが−O−であり、qが1又は2であり、rが1であり、Rが水素又はCH3であり、Rfの炭素数が6である、請求項1に記載のコポリマー組成物。
【請求項4】
請求項2に記載のコポリマー組成物であって、
前記追加のモノマーが、
(c)塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル約1%〜約35%と、
(d)スチレン、メチル置換スチレン、クロロメチル置換スチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、C1〜C5アルキル(メタ)アクリレート、および式(III):
4(OCH2CH2mO−C(O)−C(R)=CH2
(III)
(式中、
mは、2〜約10であり、
4は、水素、C1〜C4アルキル、又はCH2=C(R)C(O)−O−であり、
各Rは水素、Cl、F又はCH3である)
の化合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマー約0.5%〜約25%、
の組み合わせである、コポリマー組成物。
【請求項5】
撥油性、撥水性および耐汚染性を付与するための基材の処理方法であって、
次の重量パーセンテージで共重合したモノマー:
(a)式(I):
f−(CH2CF2q(CH2CH2r−Z−C(O)−C(R)=CH2
(I)
(式中、
qおよびrは、それぞれ独立して1〜3の整数であり、
fは、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Zは、−O−、−NR1−、又は−S−であり、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
1は、水素、又はC1〜C4アルキルである)
のモノマー又はモノマーの混合物約20%〜約95%と、
(b)
(i)炭素数6〜18の直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、又は
(ii)式(II):
(R22N−R3−O−C(O)−C(R)=CH2
(II)
(式中、
Rは、水素、Cl、F又はCH3であり、
各R2は、独立してC1〜C4アルキルであり、
3は、2価の直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキレンであり、
窒素は、約40%〜100%塩様になっている)
のモノマー、又は、
これらの混合物、
の少なくとも1つ約5%〜約80%と、
を含むコポリマー組成物と基材を接触させる工程を含む処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記コポリマー組成物が、次の重量パーセンテージで共重合した少なくとも1つの追加のモノマー:
(c)塩化ビニリデン、塩化ビニル、又は酢酸ビニル、又はこれらの混合物約1%〜約35%、又は
(d)スチレン、メチル置換スチレン、クロロメチル置換スチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、N−メチロイル(メタ)アクリルアミド、C1〜C5アルキル(メタ)アクリレート、および式(III):
4(OCH2CH2mO−C(O)−C(R)=CH2
(III)
(式中、
mは、2〜約10であり、
4は、水素、C1〜C4アルキル、又はCH2=C(R)C(O)−O−であり、
各Rは水素、Cl、F又はCH3である)
の化合物からなる群から選択される1つ以上のモノマー約0.5%〜約25%、又は
(e)式(IVa)、(IVb)、又は(IVc):
【化2】

(式中、
各Rは、独立して水素、Cl、F、又はCH3であり、
5は、直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキルであり、
1は、2価の直鎖又は分岐鎖C2〜C4アルキレンであり、
2は、共有結合又は2価の直鎖又は分岐鎖C1〜C4アルキレンであり、
Zは、−O−、−NR1−、又は−S−であり、R1は、水素、又はC1〜C4アルキルである)
の1つ以上のモノマー約0.5%〜約10%、又は、
(f)これらの任意の組み合わせ、
を更に含む、方法。
【請求項7】
Zが−O−であり、qが1又は2であり、rが1であり、Rが水素又はCH3であり、Rfの炭素数が6である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記基材が、木綿、レーヨン、シルク、ウール、紙、麻、ポリエステル、スパンデックス、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリアミド、アラミド、不織布、木材、紙および皮革からなる群から選択される繊維基材である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記基材が、紙、酢酸セルロースおよび硝酸セルロース、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される不織布である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基材が、石、ガラス、メーソンリー、コンクリート、非施釉タイル、レンガ、多孔質粘土、花こう岩、石灰石、グラウト、モルタル、大理石、石膏ボード、テラゾーおよび複合材料からなる群から選択される硬質表面基材である、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載のポリマーを接触させた基材。

【公表番号】特表2010−521541(P2010−521541A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552000(P2009−552000)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/002665
【国際公開番号】WO2008/106209
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】