説明

フルオロポリマー

様々なフルオロポリマーが撥油性および撥水性を皮革に付与するために提案されてきた。普通、これらのフルオロポリマーは両親媒性である;すなわち、それらは、疎水性である少なくとも1種のモノマーと親水性である少なくとも1種のモノマーとから製造される。本発明は、撥油性および撥水性を皮革に付与する両親媒性フルオロポリマーの能力に関連する欠点を特定し、改善するものである。ここで、従来型の考え方に反して、フルオロポリマーへの親水性基の組み込みは耐水性を皮革に付与するその能力を望ましくないほど低下させることが発見された。それに対応して、より少ない親水性基を組み込んだかまたは親水性基を全く組み込んでいないフルオロポリマーはより多くの親水性基を組み込んだフルオロポリマーと比較したときに優れた撥油性および撥水性を皮革に付与することがまた発見された。それ故、本発明は、低下したレベルの親水性基を組み込むフルオロポリマーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロポリマー、その製造、ならびに撥油性および撥水性を皮革基材に付与するためのその使用に関する。特に、本発明のフルオロポリマーは、非常に少ない親水性基を有するかまたは親水性基を全く有さないモノマーから製造される。
【背景技術】
【0002】
様々なフルオロポリマーが撥油性および撥水性を皮革に付与するために提案されてきた。普通、これらのフルオロポリマーは両親媒性である;すなわち、それらは、疎水性である少なくとも1種のモノマーと親水性である少なくとも1種のモノマーとから製造される。本発明は、撥油性および撥水性を皮革に付与する両親媒性フルオロポリマーの能力に関連する欠点を特定し、改善するものである。
【0003】
撥油性および撥水性を付与するための両親媒性フルオロポリマーの提案は、本明細書にまとめられ、皮革の強度、性質および耐水性を向上させるための両親媒性コポリマーを開示している特許文献1を含む。両親媒性コポリマーは、主要量の少なくとも1種の疎水性モノマーと少量の少なくとも1種の共重合性の親水性モノマーとから形成される。特許文献2は、エチレン系不飽和ジカルボン酸無水物、長鎖オレフィンおよびフルオロオレフィンを含むコポリマーを開示している。特許文献3は、(a)アルキルメタクリレート、カルボン酸のビニルエステルまたはそれらの混合物と(b)モノエチレン系不飽和カルボン酸、モノエチレン系不飽和ジカルボン酸無水物、モノエチレン系不飽和ジカルボン酸のモノエステルまたはモノアミド、モノカルボン酸のアミドとから重合させたコポリマーを開示している。特許文献4は、(a)脂肪族クロトン酸エステル;(b)ラジカル共重合性、親水性のエチレン系不飽和酸および/またはそれらの酸無水物;ならびに場合により(c)少量の他の共重合性コモノマーを含有する水分散性および/または水乳化性コオリゴマーを開示している。
【0004】
前述の両親媒性コポリマーの使用は、これらのコポリマーの親水性部分(典型的にはカルボン酸基)が耐水性を皮革に付与するために必要であるという考えに基づいているように思われる。この従来型の考え方の表現は、「カルボン酸含有率が低い場合、コポリマーは皮革構造に十分に浸透しない可能性があるおよび/または皮革に十分に結び付かない可能性がある」と報告している特許文献5に見いだすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,316,860号明細書
【特許文献2】米国特許第5,534,604号明細書
【特許文献3】米国特許第5,124,181号明細書
【特許文献4】米国特許第5,741,434号明細書
【特許文献5】米国特許第6,294,103号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで、従来型の考え方に反して、フルオロポリマーへの親水性基の組み込みは耐水性を皮革に付与するその能力を望ましくないほど低下させることが発見された。それに対応して、より少ない親水性基を組み込んだかまたは親水性基を全く組み込んでいないフルオロポリマーはより多くの親水性基を組み込んだフルオロポリマーと比較したときに優れた撥油性および撥水性を皮革に付与することがまた発見された。
【0007】
それ故、本発明は、低下したレベルの親水性基を組み込むフルオロポリマーを提供する。好ましくは、本発明のフルオロポリマーは、疎水性モノマーと5重量パーセント以下、好ましくは3.5重量パーセント以下、より好ましくは1重量パーセント以下の任意の親水性モノマーとを含むモノマーから製造される。最も好ましくは、本発明のフルオロポリマーは、疎水性モノマーのみを含み、いかなる親水性モノマーも存在しないモノマーから製造される。
【0008】
本発明のフルオロポリマーは、少なくとも1種の疎水性フッ素化アクリレートと、アルキルアクリレート、アクリルアミド、またはスチレンなどの少なくとも1種の疎水性ビニル化合物とを含むモノマーから製造される。本明細書で用いられるとき、用語「アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを含んでもよい。本明細書で用いられるとき、用語「アクリルアミド」は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを含んでもよい。好ましくは、フルオロポリマーは、存在する任意の他の疎水性モノマーの量が20重量パーセント未満、より好ましくは10重量パーセント未満、さらにより好ましくは5重量パーセント未満、もっとさらにより好ましくは1重量パーセント未満であるフッ素化アクリレートとビニル化合物とを主に含むモノマー混合物から製造される。最も好ましくは、フルオロポリマーは、フッ素化アクリレートモノマー、ビニル化合物モノマーを含むモノマー混合物から製造され、いかなる他の疎水性モノマーも存在しない。モノマー混合物中のフッ素化アクリレートモノマーの量は、好ましくは少なくとも20重量パーセント、より好ましくは少なくとも30重量パーセント、最も好ましくは少なくとも40重量パーセントである。モノマー混合物中のビニル化合物の好ましい量は、少なくとも20重量パーセント、より好ましくは少なくとも30重量パーセント、最も好ましくは少なくとも35重量パーセントである。
【0009】
本発明におけるフルオロポリマーを製造するために使用されるアクリレートモノマーは次式:
【化1】

(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは6個以下の炭素原子を有する、酸素によって任意選択的に介在された、パーフッ素化アルキル基を表し;各Rは独立して、C〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC〜C、より好ましくは線状、さらにより好ましくはエチルから選択され;Rは、C〜C20ヒドロカルビルまたは水素、好ましくはC〜C、好ましくは線状、より好ましくは水素またはメチルから選択され;Rは、水素、フッ素、またはC〜Cアルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり;mは0または1、好ましくは1である)
で表される。
【0010】
本発明におけるフルオロポリマーを製造するために使用されるビニル化合物モノマーは次式:
【化2】

(式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子を有する線状もしくは分岐炭化水素基を表し;各Zは二価であり、独立して、−OC(O)−、−HNC(O)−、および−C−からなる群、好ましくは−OC(O)−から選択され;Rは独立して、水素またはC〜Cアルキル基から選択され、好ましくは水素またはメチルである)
で表される。
【0011】
前述のフッ素化アクリレート(I)とビニル化合物(II)とを含むモノマー混合物を使用する付加重合(例えば、フリーラジカル重合)は、本発明のフルオロポリマーを製造するための条件下に行われる。本発明の重合法は、その両方ともいなかるフッ素原子も好ましくは存在しないフリーラジカル開始剤および任意の連鎖移動剤で可能にすることができる。重合は、疎水性フッ素化アクリル単位、疎水性ビニル単位、および任意選択的に他のモノマー単位を含む本発明のフルオロポリマーであって、次式:
【化3】

(式中、xは、疎水性フッ素化アクリル単位の数を意味する非ゼロの正の整数であり;yは、疎水性ビニル単位の数を意味する非ゼロの正の整数であり;x:yの比は好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3、最も好ましくは4:6〜6:4であり;xとyとの合計は少なくとも21であり;各Rは独立して、少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは6個以下の炭素原子を有する、酸素によって任意選択的に介在された、パーフッ素化アルキル基を表し;各Rは独立して、C〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC〜C、より好ましくは線状、さらにより好ましくはエチルから選択され;各Rは独立して、C〜C20ヒドロカルビルまたは水素、好ましくはC〜C、好ましくは線状、より好ましくは水素またはメチルから選択され;各Rは独立して、水素、フッ素、またはC〜Cアルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり;各mは独立して0または1、好ましくは1であり;各Rは独立して、少なくとも4個の炭素原子を有する線状もしくは分岐炭化水素基を表し;各Zは二価であり、独立して、−OC(O)−、−HNC(O)−、および−C−からなる群、好ましくは−OC(O)−から選択され;各Rは独立して、水素またはC〜Cアルキル基から選択され、好ましくは水素またはメチルである)
で表されるフルオロポリマーをもたらす均一または不均一媒体中で行われてもよい。
【0012】
式IIIについて言及すると、本発明のフルオロポリマーは、5重量パーセント以下、好ましくは3.5重量パーセント以下、より好ましくは1重量パーセント以下の、親水性である任意のモノマー単位を含む。最も好ましくは、本発明のフルオロポリマーは、親水性であるモノマー単位を全く含まない。フッ素化アクリル単位およびビニル単位以外に、本発明のフルオロポリマーは、好ましくは10重量パーセント以下、より好ましくは5重量パーセント以下、さらにより好ましくは1重量パーセント以下の、疎水性である任意のモノマー単位を含む。好ましくは、本発明のフルオロポリマーの少なくとも20重量パーセント、より好ましくは少なくとも30重量パーセント、最も好ましくは少なくとも40重量パーセントはフッ素化アクリル単位からなる。好ましくは、本発明のフルオロポリマーの少なくとも20重量パーセント、より好ましくは少なくとも30重量パーセント、最も好ましくは少なくとも35重量パーセントはビニル単位からなる。
【0013】
皮革に塗布されたとき、本発明のフルオロポリマーは、より高い量の親水性基を組み込んだフルオロポリマーと比較して優れた撥油性および撥水性を提供する。皮革への塗布は、コア(ドラム塗布)または表面(スプレー塗布)処理によって行うことができる。
【0014】
本発明の別の利点は、6個以下の炭素原子を有するパーフルオロアルキル鎖(R)を組み込むフルオロポリマーに関する。フルオロポリマーへのより高いレベルのフッ素組み込みはより高い撥水性を付与すると考えられ、それは、なぜ従来型フルオロポリマーがそれらのパーフルオロアルキル鎖中に8個以上の炭素原子を典型的に有するかを説明するかもしれない。本発明におけるR鎖の長さの減少は、フッ素組み込みの費用の低下に起因する経済的節約を表す。本発明のフルオロポリマーは組み込まれたフッ素のより低いレベルを有するが、それらはそれでもやはり十分なまたは優れた撥水性を付与することができ、それによってより低いコストで同じまたはより良好な性能、すなわち、より良好な「フッ素効率」を達成する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のフルオロポリマーは、次のような式(I)のフッ素化アクリレートモノマーと式(II)のビニル化合物:
【化4】

(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは6個以下の炭素原子を有する、酸素によって任意選択的に介在された、パーフッ素化アルキル基を表し;各Rは独立して、C〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC〜C、より好ましくは線状、さらにより好ましくはエチルから選択され;Rは、C〜C20ヒドロカルビルまたは水素、好ましくはC〜C、好ましくは線状、より好ましくは水素またはメチルから選択され;Rは、水素、フッ素、またはC〜Cアルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり;mは0または1、好ましくは1であり;Rは、少なくとも4個の炭素原子を有する線状もしくは分岐炭化水素基を表し;各Zは二価であり、独立して、−OC(O)−、−HNC(O)−、および−C−からなる群、好ましくは−OC(O)−から選択され;Rは、水素またはC〜Cアルキル基から選択され、好ましくは水素またはメチルである)
とを含む疎水性モノマーを使用するフリーラジカル重合を行うことによって製造される。
【0016】
s=0である式(I)の好適なフッ素化アクリレートモノマーの例は、それらの全てが適用法令によって許される程度に参照により本明細書によって援用される、米国特許第4,174,851号明細書、同第2,642,416号明細書、同第3,384,627号明細書、同第3,392,046号明細書、同第3,282,905号明細書、同第3,532,659号明細書、同第3,102,103号明細書に開示されている。s=0である式(I)の好適なフッ素化アクリレートモノマーの具体的な例には、パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、パーフルオロブチルエチルメタクリレート、およびパーフルオロヘキシルエチルメタクリレートが挙げられる。s=1である式(I)の好適なフッ素化アクリレートの例は、適用法令によって許される程度に参照により本明細書によって援用される米国特許第5,439,998号明細書に開示されている。s=1である式(I)の好適なフッ素化アクリレートモノマーの具体的な例には、2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート;2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート;2−[メチル[(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート;2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルメタクリレート;[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)スルホニル]アミノ]エチルメタクリレート;および2−[メチル[(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)スルホニル]アミノ]エチルメタクリレートが挙げられる。
【0017】
Zが−OC(O)−である本発明に有用な式(II)の好適なビニル化合物の例は、長鎖C〜C40アルキルアクリレート、C〜C40アルキルメタクリレート、およびそれらの混合物を含むアクリレートである。このタイプの好適な化合物の例は、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、イソトリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、C16〜C18タロー脂肪アルコールアクリレート、オクタデシルアクリレート、パルミチルアクリレート、n−アイコシルアクリレート、およびそれらの混合物である。長鎖アルキルアクリレートの混合物もまた好適である。好ましいアクリレートは、4〜28個の炭素原子のアルコールから誘導されるアクリルおよびメタクリルエステルである。Zが−HNC(O)−である本発明に有用な式(II)の好適なビニル化合物の例は、N−デシル−2−プロペンアミド、N−オクタデシル−2−プロペンアミド、N−ドデシル−2−プロペンアミド、N−ヘキサデシルメタアクリルアミド、N−デシルメタクリルアミド、N−ステアリルメタクリルアミド、およびN−ドデシルメタクリルアミド、ならびにそれらの混合物を含むアクリルアミドである。Zが−C−である本発明に有用な式(II)の好適なビニル化合物の例は、p−ドデシルスチレン、4−オクチルスチレン、p−ペンチルスチレン、およびp−デシルスチレン、ならびにそれらの混合物を含むスチレン系化合物である。
【0018】
好ましくは、フルオロポリマーは、存在する任意の他の疎水性モノマーが20重量パーセント未満、より好ましくは10重量パーセント未満、さらにより好ましくは5重量パーセント未満、もっとさらにより好ましくは1重量パーセント未満である、前述のフッ素化アクリレートとビニル化合物とを主に含むモノマーから製造される。
【0019】
いかなる特定の理論によっても制約されることを望まないが、本発明のフルオロポリマーが向上した撥油性および撥水性を付与する能力は、式(I)の組み込まれるフッ素化アクリレートモノマーが保有する末端パーフッ素化R鎖を有するモノマーで構成されることに少なくともある程度起因すると考えられる。従って、それから製造されたフルオロポリマーが許容される耐水性および耐油性を皮革に付与するほどに十分な量のフッ素化アクリレートモノマーが存在するべきである。フルオロポリマーを製造するために使用されるモノマー中のフッ素化アクリレートモノマーの量は、好ましくは少なくとも20重量パーセント、好ましくは少なくとも30重量パーセント、最も好ましくは少なくとも40重量パーセントである。
【0020】
ビニル化合物モノマーの使用は、潤滑にし、それによって許容される柔軟性を皮革に付与する能力をそれらから製造されたフルオロポリマーに与えるために必要である。いかなる特定の理論によっても制約されることを望まないが、本発明のフルオロポリマーが潤滑性および柔軟性を付与する能力は、式(II)のビニル化合物が保有する末端パーフッ素化R鎖を有するモノマーの組み込みに少なくともある程度起因すると考えられ、ここで、R鎖はなめし中に、塗布された化学薬品を含む皮革基材とのLondon分散力相互作用を受ける。従って、それから製造されたフルオロポリマーが許容される潤滑性および柔軟性を皮革に付与するほどに十分な量のビニル化合物が存在するべきである。フルオロポリマーを製造するために使用されるモノマー混合物中のビニル化合物の好ましい量は、少なくとも20重量パーセント、好ましくは少なくとも30重量パーセント、最も好ましくは少なくとも35重量パーセントである。
【0021】
ここで、フルオロポリマーへの余りにも多くの親水性基の組み込みは耐水性および耐油性を皮革に付与するその能力を望ましくないほど低下させることが発見されたので、本発明のフルオロポリマーを製造するために使用されるモノマーは、2.5重量パーセント以下、好ましくは1重量パーセント以下、より好ましくは0.5重量パーセント以下の任意の親水性モノマーを含むべきである。最も好ましくは、本発明のフルオロポリマーは、いかなる親水性モノマーも存在しない疎水性モノマーのみを含むモノマーから製造される。疎水性モノマーは、水と水素結合を形成する能力を有さない、かつ、容易に水に溶解しないかまたは水を吸収しない化合物と一般に定義される。最小限にされるかまたは本発明のフルオロポリマーを製造するために使用されるモノマーに存在しないようにすべきである親水性モノマーは、米国特許第5,316,860号明細書、同第5,534,604号明細書、同第5,124,181号明細書、同第5,741,434号明細書、および同第6,294,103号明細書に例示されている。親水性モノマーの具体的な例には、酸無水物、カルボン酸、アルコール、およびそれらの塩が挙げられる。
【0022】
フリーラジカル開始剤および任意の連鎖移動剤からの残基が本発明のフルオロポリマー中に組み込まれ得ることが指摘されるべきである。本明細書に用いられる用語「モノマー」または「モノマー単位」はフリーラジカル開始剤、任意の連鎖移動剤またはそれらからの残基を含まないことが理解されるべきである。
【0023】
本発明のフルオロポリマーは、疎水性フッ素化アクリル単位、疎水性ビニル単位、および任意選択的に他のモノマー単位を含み、前記フルオロポリマーは次式:
【化5】

(式中、xは、疎水性フッ素化アクリル単位の数を意味する非ゼロの正の整数であり;yは、疎水性ビニル単位の数を意味する非ゼロの正の整数であり;xとyとの合計は少なくとも21であり;各Rは独立して、少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは6個以下の炭素原子を有する、酸素によって任意選択的に介在された、パーフッ素化アルキル基を表し;各Rは独立して、C〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC〜C、より好ましくは線状、さらにより好ましくはエチルから選択され;各Rは独立して、C〜C20ヒドロカルビルまたは水素、好ましくはC〜C、好ましくは線状、より好ましくは水素またはメチルから選択され;各Rは独立して、水素、フッ素、またはC〜Cアルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり;各mは独立して0または1、好ましくは1であり;各Rは独立して、少なくとも4個の炭素原子を有する線状もしくは分岐炭化水素基を表し;各Zは二価であり、独立して、−OC(O)−、−HNC(O)−、および−C−からなる群、好ましくは−OC(O)−から選択され;各Rは独立して、水素またはC〜Cアルキル基から選択され、好ましくは水素またはメチルである)
で表される。
【0024】
x:yの比は、末端R基によって提供されると考えられる耐水性および耐油性を、末端R基によって提供されると考えられる潤滑性および柔軟性とバランスさせることによって決定されてもよい。従って、x:yの比は、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3、最も好ましくは4:6〜6:4である。
【0025】
式IIIについて言及すると、本発明のフルオロポリマーは、5重量パーセント以下、好ましくは3.5重量パーセント以下、より好ましくは1重量パーセント以下の、親水性である任意のモノマー単位を含む。高い量の親水性モノマー単位の組み込みは、撥油性および撥水性を付与する生成フルオロポリマーの能力に悪影響を及ぼすことが発見された。
【0026】
従って、本発明のフルオロポリマーは最も好ましくは、親水性であるモノマー単位を全く含まない。親水性であるモノマー単位の例には、次の基:酸無水物、カルボン酸、アルコール、およびそれらの塩を有するものが挙げられる。フッ素化アクリル単位およびビニル単位以外に、本発明のフルオロポリマーは、好ましくは10重量パーセント以下、より好ましくは5重量パーセント以下、もっとより好ましくは1重量パーセント以下の、疎水性である任意のモノマー単位を含む。
【0027】
上述したように、フッ素化アクリル単位中の末端R鎖は、撥油性および撥水性を付与するフルオロポリマーの能力を向上させると考えられる。従って、本発明のフルオロポリマーの少なくとも20重量パーセント、より好ましくは少なくとも30重量パーセント、最も好ましくは少なくとも40重量パーセントは好ましくはフッ素化アクリル単位からなる。上述したように、ビニル単位中の末端R鎖は、潤滑性および柔軟性を皮革に付与するフルオロポリマーの能力を向上させると考えられる。従って、本発明のフルオロポリマーの少なくとも20重量パーセント、より好ましくは少なくとも30重量パーセント、最も好ましくは少なくとも35重量パーセントは好ましくはビニル単位からなる。
【0028】
本明細書に記載されるように、本発明のフルオロポリマーの分子量は、連鎖移動剤の使用によって制御することができ、好ましくは少なくとも10,000グラム/モルである。分子量は、フルオロポリマーの最終使用に依存して選択することができる。フルオロポリマーが、スプレー塗布での使用を意図される有機溶媒で供給される場合、例えば、約50,000グラム/モルより大きい、高分子量が選択される。スプレーまたはドラム塗布での使用を意図される水性分散系またはエマルジョンで供給される場合、例えば、約10,000〜約50,000グラム/モルの、中程度の分子量が選択される。
【0029】
皮革の処理のために本発明のフルオロポリマーを使用する一利点は、それらの増加したフッ素効率である;すなわち、本発明のフルオロポリマーは、より少ないフッ素を組み込みながら撥水性および撥油性を付与することができる。従来型のフルオロポリマーは、撥水性および撥油性を皮革に付与する十分な能力を達成するために8個以上の炭素原子を有するパーフルオロアルキル鎖を典型的に必要とする。有利にも対照的に、本発明のフルオロポリマーは、撥水性および撥油性を皮革に付与する十分な能力を達成するために6個以下の炭素原子を有するパーフルオロアルキル鎖(式IおよびIIIでRとして示される)を必要とするにすぎない。短いRパーフッ素化アルキル鎖は、高価なフッ素のより低い組み込みレベルをもたらす。短いR鎖にもかかわらず、本発明のフルオロポリマーは、撥水性および撥油性を皮革に効果的に付与する。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)のフッ素化アクリレートモノマーと式(II)のビニル化合物とを含むモノマーの混合物は有機溶媒に溶解させられ、それによって溶液重合(任意選択的にその後の水への分散)または乳化重合に使用されるモノマー混合物を生成する。
【0031】
溶液重合中、式(I)のフッ素化アクリレートと式(II)のビニル化合物とを含むモノマーのフリーラジカル重合は、モノマー、フリーラジカル開始剤、および連鎖移動剤を有機溶媒に溶解させることによって行われる。溶液は次に加熱され、約40〜100℃、より好ましくは約55〜90℃に維持され、不活性条件下に少なくとも95パーセント収率のポリマーを得るための期間反応させられる。ポリマー収率は、ガスクロマトグラフィーによって残存モノマーの量を測定することによって決定されてもよい。有機溶媒中のモノマーの濃度は好ましくは30〜70重量パーセントである。開始剤は好ましくは、全モノマーの0.01〜2モル百分率の量で加えられる。連鎖移動剤は、望ましい目標分子量のポリマーをもたらすような量で加えることができ、この目標分子量は、グラム単位でのモノマーの重量を合計し、この合計を使用された連鎖移動剤の全モルで割り、次にこの商に使用された連鎖移動剤の分子量の加重平均を加えることによって決定することができる。
【0032】
溶液重合中に有用なフリーラジカル開始剤の例には、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾ−2−シアノ吉草酸などの、アゾ化合物;クメン、t−ブチルおよびt−アミルヒドロペルオキシドなどの、ヒドロペルオキシド;ジ−t−ブチルおよびジクミルペルオキシドなどの、ジアルキルペルオキシド;過安息香酸t−ブチルおよび過フタル酸ジ−t−ブチルなどの、過酸エステル;ならびにベンゾイルペルオキシドおよびラウリルペルオキシドなどの、ジアシルペルオキシドが挙げられる。
【0033】
溶液重合中に有用な連鎖移動剤の例には、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、ステアリルメルカプタン、第三ドデシルメルカプタン、トリクロロメタン、ジエチルホスフェート、メタノール、およびそれらの混合物が挙げられる。好適な有機溶媒の例には、酢酸エチル、酢酸ブチル、および酢酸イソプロピルなどの、酢酸エステル;2−メチルプロパン−2−オール、イソプロパノール、2−メトキシプロパン−2−オールなどの、アルコール;アセトン、メチルイソブチルケトン、およびメチルエチルケトンなどの、ケトン;N−メチル−2−ピロリドン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
本発明に記載される溶液重合法を用いることによって、スプレー塗布で皮革基材を処理するために有用であるフルオロポリマーの有機溶液が得られる。本発明のフルオロポリマーはまた、水、少なくとも1種の界面活性剤、および前述の溶液重合法によって製造されたフルオロポリマーの有機溶液を(例えば、ホモジナイザーで)機械的に混合することによって製造することができる水性フルオロポリマー分散系の形態をとることもできる。本発明の水性フルオロポリマー分散系は、皮革基材をスプレーおよびドラム塗布によって処理するために有用である。
【0035】
本発明の水性フルオロポリマー分散系を製造するための他の方法は、式(I)のフッ素化アクリレートモノマーと式(II)のビニル化合物とを含むモノマーのフリーラジカル重合がこれらのモノマー、フリーラジカル開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒、および水を含む混合物を反応させることによって行われる乳化重合を含む。本発明の好ましい実施形態では、乳化重合は、3つの容器:モノマー準備容器、開始剤準備容器、および反応容器を用いて行われる。モノマー準備容器で、モノマー混合物は、水、水溶性有機溶媒、pH緩衝剤、界面活性剤(好ましくは非フッ素化)、式(I)のフッ素化アクリレートモノマー、連鎖移動剤および式(II)のビニル化合物を含む原料を混合することによって調製される。供給されるとき、フッ素化アクリレートモノマーは、アセトンおよび/またはアルコールなどの有機溶媒に典型的には溶解している。開始剤準備容器で、開始剤混合物は、水を水溶性フリーラジカル開始剤と混合することによって調製される。モノマー混合物が反応容器に導入され、反応温度(典型的には40〜90℃)に加熱され;その後、開始剤混合物が導入され、重合が行われる。本発明の乳化重合法は、上記のようなモノマー混合物の単一添加および開始剤混合物の単一添加を含むことができるが、モノマー混合物および開始剤混合物の逐次または連続添加が好ましい。
【0036】
本発明の乳化重合法での使用のための好適な水溶性開始剤には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、および過硫酸アンモニウムなどの、過硫酸の無機塩;過硫酸塩−亜硫酸水素塩カップル、過硫酸塩−ハイドロサルファイトカップルなどの、レドックス開始剤;過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシドなどのペルオキシド;ならびに4,4’−アゾビス(シアノ−4−ペンタン酸)などの、アゾ化合物が含まれる。本発明の乳化重合法での使用のための好適な連鎖移動剤には、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、ステアリルメルカプタン、第三ドデシルメルカプタン、トリクロロメタンなど、およびそれらの混合物が含まれる。好適な有機共溶媒の例には、酢酸エチル、酢酸ブチル、および酢酸イソプロピルなどの、酢酸エステル;2−メチルプロパン−2−オール、イソプロパノール、2−メトキシプロパン−2−オールなどの、アルコール;アセトン、メチルイソブチルケトン、およびメチルエチルケトンなどの、ケトン;およびN−メチル−2−ピロリドン等々、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
上述の連鎖移動剤の代替案として、本発明のフルオロポリマーは、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ヨウ素移動重合(ITP)、可逆ヨウ素移動重合(RITP)、ザンテート交換による高分子設計(MADIX)、およびニトロキシド媒介重合(NMP)を含む制御重合の任意の公知方法によって製造することができる。これらの機構のうちで、RAFTおよびITPが本発明での使用のために好ましい。具体的には、RAFT機構は、フリーラジカル開始剤として、1−(エトキシカルボニル)−1−エチルジチオベンゾエートなどの、ジチオエステル基含有化合物を用い、適用法令によって許される程度に参照により本明細書によって援用される、米国特許第6,642,318号明細書に記載されている。ITP機構は、パーフルオロヘキシルヨウ素などの、ヨード含有連鎖移動剤を用い、両方とも適用法令によって許される程度に参照により本明細書によって援用される、米国特許第4,158,678号明細書および同第5,231,154号明細書に記載されている。
【0038】
本発明のフルオロポリマーは、よく知られた技法によって皮革に塗布することができる。塗布の好ましい方法には、コア(ドラム塗布)または表面(スプレー塗布)処理が含まれる。
【0039】
ドラム塗布では、皮革は、シール可能なドア付きの軸に取り付けられた円筒形構造から典型的になる「ドラム」中に入れられる。軸は中空であることができ、それによって皮革の処理のための液体の導入および除去を可能にする。本発明に従って、皮革はドラム中に入れられ、所定の液体処理剤と接触させられる。ドラムはシールされ、次に、所定の処理を完了させるために好適な長さの時間、前後にかき混ぜられるおよび/または洗濯機のように回転される。ドラムは、浸透性を向上させるのを助けるために内部棚、ペグ、および/または櫂を備えてもよい。
【実施例】
【0040】
実施例の全てにおいて、使用されるフッ素化アクリレートモノマーは、アセトン中の80.4重量%溶液として使用される、2−プロペン酸の2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルスルホニル]アミノ]エチルエステルであった。実施例の全てにおいて、使用されるビニル化合物モノマーはラウリルアクリレートであった。下記のある種の原料について言及するとき、用語「CASRN」は、Chemical Abstracts Serviceによって、それらの指定データベース、CAS Registry(CAS登録)に含めるために特定される独特の新規物質に順次順番に割り当てられるChemical Abstract Service Registry Number(ケミカルアブストラクトサービス登録番号)に対する頭字語として用いられる。塗布手順および撥性試験を以下に記載する。
【0041】
ドラム塗布手順番号1
この手順に使用される基材は、1.8〜2.0mmの厚さのウシ・ヌバック(bovine nubuck)であった。基材をドラム中に入れ、下の表1による処理手順にかけ、その後、1)生じた処理基材を室温で7日間乾燥させる;2)次に処理基材を60℃で4時間乾燥させる;および3)次に処理基材を室温に冷却する。
【0042】
【表1】

【0043】
ドラム塗布手順番号2
この手順に使用される基材は、1.8〜2.0mmの厚さのクロムなめし(wet blue)からのウシ・フルグレイン(bovine full grain)であった。基材をドラム中に入れ、下の表2による処理手順にかけ、その後、1)生じた処理基材を室温で7日間乾燥させる;2)次に処理基材を60℃で4時間乾燥させる;および3)次に処理基材を室温に冷却する。
【0044】
【表2】

【0045】
ドラム塗布手順番号3
この手順に使用される基材は、1.8〜2.0mmの厚さのステイン(stain)からの子羊の皮であった。基材をドラム中に入れ、下の表3による処理手順にかけ、その後、1)生じた処理基材を室温で7日間乾燥させる;2)次に処理基材を60℃で4時間乾燥させる;および3)次に処理基材を室温に冷却する。
【0046】
【表3】

【0047】
ドラム塗布手順番号4
この手順に使用される基材は、1.8〜2.0mmの厚さのクロムなめしからの子羊毛皮であった。基材をドラム中に入れ、下の表4による処理手順にかけ、その後、1)生じた処理基材を室温で7日間乾燥させる;2)次に処理基材を60℃で4時間乾燥させる;および3)次に処理基材を室温に冷却する。
【0048】
【表4】

【0049】
ドラム塗布手順番号5
この手順に使用される基材は、0.6〜0.8mmの厚さのクロムなめしからのブタ・スエード(pig suede)であった。基材をドラム中に入れ、下の表5による処理手順にかけ、その後、1)生じた処理基材を室温で7日間乾燥させる;2)次に処理基材を60℃で4時間乾燥させる;および3)次に処理基材を室温に冷却する。
【0050】
【表5】

【0051】
スプレー塗布手順番号1
この手順に使用される基材は、1.8〜2.0mmの厚さのステインからの子羊の皮であった。(下の実施例に明記するように)水に希釈したフルオロポリマーを含む処理溶液を基材上へスプレーした。基材上に塗布された沈着物は(約20g/mの誤差ありで)150g/mであった。処理基材を次に室温で24時間乾燥させ、次に60℃で2時間乾燥させた。
【0052】
スプレー塗布手順番号2
この手順に使用される基材は、1.8〜2.0mmの厚さのステインからの子羊の皮であった。(下の実施例に明記するように)イソプロピルアルコールまたは酢酸エチル水に希釈したフルオロポリマーを含む処理溶液を基材上へスプレーした。基材上に塗布された沈着物は(約10g/mの誤差ありで)100g/mであった。処理基材を次に室温で24時間乾燥させた。
【0053】
撥水性試験
撥水性は、より高い撥水性を測定する試験溶液9〜12が下の表6に示されるように追加されたことを除いて、AATCC Test Method(試験方法)193−2005に従って測定した。より高い試験液番号は増加した撥水性を示唆する。
【0054】
【表6】

【0055】
撥油性試験
撥油性は、AATCC Test Method 118−2002に従って測定した。撥油性等級は0〜8である。より高い値は増加した撥油性を示唆する。
【0056】
実施例1
二重ジャケット付き1リットル反応器に、撹拌しながらビニル化合物モノマー(32.5g、0.136モル)、フッ素化アクリレートモノマー(40.1g、0.059モル)、t−ブタノール(130.0g、1.76モル)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.63g、3.1ミリモル)を加えた。温度を75℃に上げた。酸素を30分の窒素流れによって反応器から除去した。アゾビスイソブチロニトリル(0.52g、3.16ミリモル)を溶液に加えた。温度を窒素下に20時間維持した。最終溶液の固形分は36.0重量%(理論値:35.9重量%)であった。この溶液を、70℃および350〜20ミリバール減圧(35〜2kPa)でt−ブタノールを除去するための蒸留によって乾燥させた。酢酸エチルを45.05重量%の固形分の有機溶液を得るために加えた。
【0057】
100mLフラスコに、撹拌しながら室温で水(28.2g)、プロピレングリコール(3.18g)、SULFRAMIN酸B(アルキルベンゼンスルホン酸、C10〜C13異性体の混合物、CASRN 85536−14−7、Akzo Nobel、0.38g)、およびNOURACID CZ80(ヒマシ油脂肪酸、CASRN 61789−44−4、Akzo Nobel、0.13g)を加えた。酢酸エチル中のポリマーの溶液を、高剪断(ULTRATURAX T2、IKA、8000rpm)下にこの水性溶液に滴加し、剪断下に3分間維持した。得られた分散系を超音波(Vibracell、Sonics&Material)下に3分間放置した。酢酸エチルを350〜180ミリバール減圧(35〜18kPa)下に70℃での蒸留によって除去した。分散系の固形分は45.4重量%であり、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は22.8重量%であった。
【0058】
実施例2
パーフルオロヘキシルヨウ素(CASRN 355−43−1、PFHI、DuPont、1.47g、3.1ミリモル)をn−ドデシルメルカプタンの代わりに使用することを除いて実施例1を繰り返した。実施例2によって製造された生成物は31.3重量%の固形分を有し、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は21.8重量%であった。
【0059】
実施例3
n−ドデシルメルカプタンの代わりに1−(エトキシカルボニル)−1−エチルジチオベンゾエート(0.79g)を使用することを除いて実施例1を繰り返した。1−(エトキシカルボニル)−1−エチルジチオベンゾエートの合成は次の参考文献:適用法令によって許される程度に参照により本明細書によって援用される、Severac R.、Lacroix−Desmazes P.、Boutevin B.、Polymer International、51(2005)、1117−1122ページに記載されている。実施例3によって製造された生成物は37.6重量%の固形分を有し、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は23.0重量%であった。
【0060】
撥性評価番号1:実施例1〜3
3つの試験片をウシ・ヌバックの同じサンプルからカットし、ウシ・ヌバック番号1、ウシ・ヌバック番号2、およびウシ・ヌバック番号3と識別した。
【0061】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号1に従ってウシ・ヌバック番号1に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.33重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表7に示す。
【0062】
実施例2によって製造された生成物をドラム塗布手順番号1に従ってウシ・ヌバック番号2に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例2の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.33重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表7に示す。
【0063】
実施例3によって製造された生成物をドラム塗布手順番号1に従ってウシ・ヌバック番号3に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例3の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.33重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表7に示す。
【0064】
【表7】

【0065】
表7は、おおよそ同じフッ素組み込みと撥性を付与する同じ能力とを有する本発明のフルオロポリマーを製造するために様々な連鎖移動剤を使用できることを示す。
【0066】
比較例A
二重ジャケット付き1リットル反応器に、撹拌しながらビニル化合物モノマー(22.6g、0.0923モル)、フッ素化アクリレートモノマー(28.2g、0.042モル)、アクリル酸(19.41g、0.269モル)、t−ブタノール(120.0g、1.62モル)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.63g、3.1ミリモル)を加えた。温度を75℃に上げた。酸素を30分の窒素流れによって反応器から除去した。アゾビスイソブチロニトリル(0.52g、3.11ミリモル)を溶液に加えた。温度を窒素下に20時間維持した。最終溶液の固形分は35.6重量%(理論値:35.9重量%)であった。この溶液を、70℃および350〜20ミリバール減圧(35〜2kPa)でt−ブタノールを除去するための蒸留によって乾燥させた。酢酸エチルを44.9重量%の固形分の有機溶液を得るために加えた。
【0067】
100mLフラスコに、撹拌しながら室温で水(28.2g)、プロピレングリコール(3.18g)、SULFRAMIN酸B(アルキルベンゼンスルホン酸、C10〜C13異性体の混合物、CASRN 85536−14−7、Akzo Nobel、0.38g)、およびNOURACID CZ80(ヒマシ油脂肪酸、CASRN 61789−44−4、Akzo Nobel、0.13g)を加えた。酢酸エチル中のポリマーの溶液を、高剪断(ULTRATURAX T2、IKA、8000rpm)下にこの水性溶液に滴加し、剪断下に3分間維持した。得られた分散系を超音波(Vibracell、Sonics&Material)下に3分間放置した。酢酸エチルを350〜180ミリバール減圧(35〜18kPa)下に70℃での蒸留によって除去した。分散系の固形分は45.2重量%であり、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は16.0重量%であった。
【0068】
撥性評価番号2:実施例1対比較例A
2つの試験片をウシ・ヌバックの同じサンプルからカットし、ウシ・ヌバック番号4およびウシ・ヌバック番号5と識別した。撥性評価番号2に使用されるウシ・ヌバックのサンプルは、撥性評価番号1に使用されたウシ・ヌバックのサンプルとは異なったことが指摘されるべきである。
【0069】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号1に従ってウシ・ヌバック番号4に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.33重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表8に示す。
【0070】
比較例Aによって製造された生成物をドラム塗布手順番号1に従ってウシ・ヌバック番号5に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、比較例Aの生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.33重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表8に示す。
【0071】
2つの試験片をクロムなめしからのウシ・フルグレインの同じサンプルからカットし、ウシ・フルグレイン番号1およびウシ・フルグレイン番号2と識別した。
【0072】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号1に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表8に示す。
【0073】
比較例Aによって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号2に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、比較例Aの生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表8に示す。
【0074】
2つの試験片をクロムなめしからの子羊毛皮の同じサンプルからカットし、子羊ブルー番号1および子羊ブルー番号2と識別した。
【0075】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号4に従って子羊ブルー番号1に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.22重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表8に示す。
【0076】
比較例Aによって製造された生成物をドラム塗布手順番号4に従って子羊ブルー番号2に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、比較例Aの生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.22重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表8に示す。
【0077】
2つの試験片をクロムなめしからのブタ・スエードの同じサンプルからカットし、ブタ・スエード番号1およびブタ・スエード番号2と識別した。
【0078】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号5に従ってブタ・スエード番号1に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表8に示す。
【0079】
比較例Aによって製造された生成物をドラム塗布手順番号5に従ってブタ・スエード番号2に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、比較例Aの生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表8に示す。
【0080】
【表8】

【0081】
表8は、親水性モノマー(アクリル酸)の組み込みが撥性を付与するフルオロポリマーの能力に悪影響を及ぼすことを実証する。1)実施例1、アクリル酸の組み込みなしのフルオロポリマーで処理された基材;対2)比較例A、アクリル酸を組み込んだフルオロポリマーで処理された基材について比較を行う。この比較は、同じプロセスで処理された基材が、親水性モノマー(アクリル酸)の組み込みなしのフルオロポリマーで処理されたときに著しくより良好な撥油性および撥水性を有したことを示す。
【0082】
実施例4
二重ジャケット付き1リットル反応器に、撹拌しながらビニル化合物モノマー(18.8g、78.1ミリモル)、フッ素化アクリレートモノマー(35.1g、52.4ミリモル)、t−ブタノール(110.2g、1.49モル)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.47g、2.32ミリモル)を加えた。温度を75℃に上げた。酸素を30分の窒素流れによって反応器から除去した。アゾビスイソブチロニトリル(0.35g、2.15ミリモル)を溶液に加えた。温度を窒素下に20時間維持した。最終溶液の固形分は29.2重量%(理論値:28.7重量%)であった。この溶液を、70℃および350〜20ミリバール減圧(35〜2kPa)でt−ブタノールを除去するための蒸留によって乾燥させた。酢酸エチルを45.05重量%の固形分の有機溶液を得るために加えた。
【0083】
100mLフラスコに、撹拌しながら室温で水(20.4g)、プロピレングリコール(2.30g)、SULFRAMIN酸B(アルキルベンゼンスルホン酸、C10〜C13異性体の混合物、CASRN 85536−14−7、Akzo Nobel、0.27g)、およびNOURACID CZ80(ヒマシ油脂肪酸、CASRN 61789−44−4、Akzo Nobel、0.09g)を加えた。酢酸エチル中のポリマーの溶液を、高剪断(ULTRATURAX T2、IKA、8000rpm)下にこの水性溶液に滴加し、剪断下に3分間維持した。得られた分散系を超音波(Vibracell、Sonics&Material)下に3分間放置した。酢酸エチルを350〜180ミリバール減圧(35〜18kPa)下に70℃での蒸留によって除去した。分散系の固形分は39.1重量%であり、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は27.5重量%であった。
【0084】
撥性評価番号3:実施例1および4
2つの試験片をウシ・ヌバックの同じサンプルからカットし、ウシ・ヌバック番号6およびウシ・ヌバック番号7と識別した。撥性評価番号3に使用されるウシ・ヌバックのサンプルは、撥性評価番号1に使用されたウシ・ヌバックのサンプル;および撥性評価番号2に使用されたウシ・ヌバックのサンプルの両方とは異なったことが指摘されるべきである。
【0085】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号1に従ってウシ・ヌバック番号6に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.33重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0086】
実施例4によって製造された生成物をドラム塗布手順番号1に従ってウシ・ヌバック番号7に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例4の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.33重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0087】
2つの試験片をクロムなめしからのウシ・フルグレインの同じサンプルからカットし、ウシ・フルグレイン番号3およびウシ・フルグレイン番号4と識別した。撥性評価番号3に使用されるクロムなめしからのウシ・フルグレインのサンプルは、撥性評価番号2に使用されたクロムなめしからのウシ・フルグレインのサンプルとは異なったことが指摘されるべきである。
【0088】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号3に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0089】
実施例4によって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号4に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例4の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0090】
2つの試験片をステインからの子羊の皮の同じサンプルからカットし、子羊ステイン番号1および子羊ステイン番号2と識別した。
【0091】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号3に従って子羊ステイン番号1に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0092】
実施例4によって製造された生成物をドラム塗布手順番号3に従って子羊ステイン番号2に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例4の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0093】
2つの試験片をクロムなめしからの子羊毛皮の同じサンプルからカットし、子羊ブルー番号3および子羊ブルー番号4と識別した。撥性評価番号3に使用されるクロムなめしからの子羊毛皮のサンプルは、撥性評価番号2に使用されたクロムなめしからの子羊毛皮のサンプルとは異なったことが指摘されるべきである。
【0094】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号4に従って子羊ブルー番号3に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.22重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0095】
実施例4によって製造された生成物をドラム塗布手順番号4に従って子羊ブルー番号4に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例4の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.22重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0096】
2つの試験片をクロムなめしからのブタ・スエードの同じサンプルからカットし、ブタ・スエード番号3およびブタ・スエード番号4と識別した。
【0097】
実施例1によって製造された生成物をドラム塗布手順番号5に従ってブタ・スエード番号3に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0098】
実施例4によって製造された生成物をドラム塗布手順番号5に従ってブタ・スエード番号4に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例4の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表9に示す。
【0099】
【表9】

【0100】
この表は、異なる重量比のモノマーから製造された本発明のフルオロポリマーがおおよそ同じ撥性性能をもたらすことを示す。実施例1のフッ素化アクリレートモノマー対ビニル化合物モノマーの重量比は、実施例4の60:40と比較して50:50である。表9に見られるように、より高い割合のフッ素化アクリレートモノマーはより高い撥水性格付けをもたらす。
【0101】
実施例5
二重ジャケット付き1リットル反応器(反応容器)に、撹拌しながら水(96.4g)、1−メトキシプロパン−2−オール(5.76g、6.17×10−2モル)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.78g、3.85×10−3モル)を加えた。第2の二重ジャケット付き1リットル反応器(モノマー準備容器)に、撹拌しながらビニル化合物モノマー(56.5g、2.35×10−1モル)、フッ素化アクリレートモノマー(99.5g、1.48×10−1モル)、水(165.4g)、プロパン−2−オール(37.8g、6.29×10−1モル)、四ホウ酸二ナトリウム(0.51g、2.53×10−3モル)、1,2−ビス(トリデシルオキシカルボニル)エタンスルホン酸ナトリウム(4.07g、6.96×10−3モル)、1−メトキシプロパン−2−オール(37.58、4.17×10−1モル)を加えた。次にモノマー準備容器の内容物の25重量%を反応容器へロードした。温度が85℃で安定した後、0.78gのn−ドデシルメルカプタン(3.85×10−3モル)を反応容器に加えた。水(17.9g)中の過硫酸カリウム(0.28g、1.04×10−3モル)の溶液を25mL注射器(開始剤容器)に装填した。酸素を30分の窒素流れによって反応器から除去した。重合を開始させるために、水(4.48g)中の過硫酸カリウム(0.07g、2.59×10−4モル)の溶液を開始剤容器から反応容器へ加えた。数分後に、モノマー準備容器および開始剤準備容器の残りの内容物を120分の間に供給し、次に、温度を150分間にわたって85℃に維持した。溶媒を減圧蒸留によって除去した(反応容器圧力:0.5バール[50kPa]、反応容器温度65℃〜80℃)。反応容器を30℃に冷却した。14.53gの水を30.0重量%の固形分の450.4gの生成物を得るために反応容器に加え、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は27.1重量%であった。本実施例で製造されるポリマーの目標の分子量は17,800グラム/モルであった。
【0102】
撥性評価番号4:実施例4および5
7つの試験片をクロムなめしからのウシ・フルグレインの同じサンプルからカットし、ウシ・フルグレイン番号5、ウシ・フルグレイン番号6、ウシ・フルグレイン番号7、ウシ・フルグレイン番号8、ウシ・フルグレイン番号9、ウシ・フルグレイン番号10、およびウシ・フルグレイン番号11と識別した。撥性評価番号4に使用されるクロムなめしからのウシ・フルグレインのサンプルは、撥性評価番号2に使用されたクロムなめしからのウシ・フルグレインのサンプル;および撥性評価番号3に使用されたクロムなめしからのウシ・フルグレインのサンプルの両方とは異なったことが指摘されるべきである。
【0103】
実施例4によって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号5に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例4の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表10に示す。
【0104】
実施例5によって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号6に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例5の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表10および表11に示す。
【0105】
【表10】

【0106】
表10は、2つの異なるプロセス:実施例4、有機溶媒中での溶液重合、その後の水への分散;および実施例5、乳化重合によって製造された本発明のフルオロポリマー組成物を比較する。表10は、本発明のフルオロポリマー組成物が、フッ素の組み込み、撥油性、および撥水性を含む実質的に同じ特性をそれでもやはり達成しながら、異なるプロセスによって製造できることを示す。
【0107】
実施例6
1)反応容器に加えるドデシルメルカプタンの量を0.65g(3.21×10−3モル)に下げ、かつ、2)モノマー準備容器に加えるドデシルメルカプタンの量を0.65g(3.21×10−3モル)に下げることを除いて実施例5を繰り返した。実施例6によって製造された生成物は30.0重量%の固形分を有し、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は27.3重量%であった。本実施例で製造されるポリマーの目標の分子量は21,400グラム/モルであった。
【0108】
実施例7
1)反応容器に加えるドデシルメルカプタンの量を0.91g(4.50×10−3モル)に上げ、かつ、2)モノマー準備容器に加えるドデシルメルカプタンの量を0.91g(4.50×10−3モル)に上げることを除いて実施例5を繰り返した。実施例7によって製造された生成物は30.0重量%の固形分を有し、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は27.3重量%であった。本実施例で製造されるポリマーの目標の分子量は15,300グラム/モルであった。
【0109】
実施例8
1)反応容器に加えるドデシルメルカプタンの量を0.06g(3.21×10−4モル)に下げ、かつ、2)モノマー準備容器に加えるドデシルメルカプタンの量を0.06g(3.21×10−4モル)に下げることを除いて実施例5を繰り返した。実施例8によって製造された生成物は30.0重量%の固形分を有し、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は27.5重量%であった。本実施例で製造されるポリマーの目標の分子量は106,500グラム/モルであった。
【0110】
撥性評価番号5:実施例5〜8
実施例5の撥性評価は、撥性評価番号4で行った。
【0111】
実施例6によって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号7(撥性評価番号4を参照されたい)に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例6の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表11および表12に示す。
【0112】
実施例7によって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号8(撥性評価番号4を参照されたい)に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例7の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表11に示す。
【0113】
実施例8によって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号9(撥性評価番号4を参照されたい)に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、実施例8の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表11および表12に示す。
【0114】
【表11】

【0115】
表11は、本発明のフルオロポリマーが分子量で変わり、それでもやはり類似の撥性格付けをもたらし得ることを示す。表11はまた、ドラム塗布について、(実施例10〜13などの)より低い分子量のポリマーが(実施例14などの)より高い分子量のポリマーよりも向上した撥性格付けをもたらすことを示す。
【0116】
比較例B
5.08g(2.41×10−2モル)のN−ヒドロキシメチルアクリルアミド(CASRN 924−42−5)をまたモノマー準備容器に加えることを除いて実施例6を繰り返した。本比較例で製造されるポリマーの目標の分子量は22,200グラム/モルであった。本比較例の生成物は30.0重量%の固形分を有し、その中のフルオロポリマーは27.3重量%のフッ素含有率を有した。
【0117】
比較例C
1)反応容器に加えるドデシルメルカプタンの量を0.06g(2.96×10−4モル)に下げ、かつ、2)モノマー準備容器に加えるドデシルメルカプタンの量を0.06g(2.96×10−4モル)に下げることを除いて比較例Bを繰り返した。本比較例で製造されるポリマーの目標の分子量は239,300グラム/モルであった。本比較例の生成物は30.0重量%の固形分を有し、その中のフルオロポリマーは27.0重量%のフッ素含有率を有した。
【0118】
撥性評価番号6:実施例6および8;比較例BおよびC
実施例6および8の撥性評価は、撥性評価番号5で行った。
【0119】
比較例Bによって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号10(撥性評価番号4を参照されたい)に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、比較例Bの生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表12に示す。
【0120】
比較例Cによって製造された生成物をドラム塗布手順番号2に従ってウシ・フルグレイン番号11(撥性評価番号4を参照されたい)に塗布し、ここで、フルオロポリマー導入工程のための処理溶液は、比較例Cの生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表12に示す。
【0121】
【表12】

【0122】
表12は、親水性モノマー(N−ヒドロキシメチルアクリルアミド)の組み込みが撥性を付与するフルオロポリマーの能力に悪影響を及ぼすことを実証する。第1の比較は、より低い分子量のフルオロポリマー:1)実施例6、N−ヒドロキシメチルアクリルアミドの組み込みなしのフルオロポリマーで処理された基材;対2)比較例B、N−ヒドロキシメチルアクリルアミドを組み込んだフルオロポリマーで処理された基材について行う。第2の比較は、より高い分子量のフルオロポリマー:1)実施例8、N−ヒドロキシメチルアクリルアミドの組み込みなしのフルオロポリマーで処理された基材;対2)比較例C、N−ヒドロキシメチルアクリルアミドを組み込んだフルオロポリマーで処理された基材について行う。第1および第2の比較の両方とも、分子量にかかわりなく、同じプロセスで処理された基材は、親水性モノマー(N−ヒドロキシメチルアクリルアミド)の組み込みなしのフルオロポリマーで処理したときに著しくより良好な撥油性および撥水性を有したことを示す。
【0123】
実施例9
二重ジャケット付き1リットル反応器に、撹拌しながらビニル化合物モノマー(82.5g、0.337モル)、フッ素化アクリレートモノマー(101.1g、0.150モル)、t−ブタノール(271.0g、3.66モル)を加えた。温度を75℃に上げた。酸素を30分の窒素流れによって反応器から除去した。アゾビスイソブチロニトリル(1.34g、8.03ミリモル)を溶液に加えた。温度を窒素下に20時間維持した。最終溶液の固形分は39.2重量%(理論値:38.6重量%)であった。この溶液を、70℃および350〜20ミリバール減圧(35〜2kPa)でt−ブタノールを除去するための蒸留によって乾燥させた。酢酸エチルを45.1重量%の固形分の有機溶液を得るために加えた。
【0124】
100mLフラスコに、撹拌しながら室温で水(71.6g)、プロピレングリコール(8.07g)、SULFRAMIN酸B(アルキルベンゼンスルホン酸、C10〜C13異性体の混合物、CASRN 85536−14−7、Akzo Nobel、0.96g)、およびNOURACID CZ80(ヒマシ油脂肪酸、CASRN 61789−44−4、Akzo Nobel、0.33g)を加えた。酢酸エチル中のポリマーの溶液を、高剪断(ULTRATURAX T2、IKA、8000rpm)下にこの水性溶液に滴加し、剪断下に3分間維持した。得られた分散系を超音波(Vibracell、Sonics&Material)下に3分間放置した。酢酸エチルを350〜180ミリバール減圧(35〜18kPa)下に70℃での蒸留によって除去した。分散系の固形分は45.0重量%であり、その中のフルオロポリマーのフッ素含有率は22.8重量%であった。
【0125】
撥性評価番号7:実施例1、6、および9;比較例A
4つの試験片をクロムなめしからの子羊毛皮の同じサンプルからカットし、子羊ブルー番号5、子羊ブルー番号6、子羊ブルー番号7、および子羊ブルー番号8と識別した。
【0126】
実施例1によって製造された生成物をスプレー塗布手順番号1に従って子羊ブルー番号5に塗布し、ここで、処理溶液は、実施例1の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表13に示す。
【0127】
実施例6によって製造された生成物をスプレー塗布手順番号1に従って子羊ブルー番号6に塗布し、ここで、処理溶液は、実施例6の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表13に示す。
【0128】
実施例9によって製造された生成物をスプレー塗布手順番号1に従って子羊ブルー番号7に塗布し、ここで、処理液は、実施例9の生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表13に示す。
【0129】
比較例Aによって製造された生成物をスプレー塗布手順番号1に従って子羊ブルー番号8に塗布し、ここで、処理液は、比較例Aの生成物からのアリコートを水に希釈し、それによって0.17重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表13に示す。
【0130】
【表13】

【0131】
表13は、親水性モノマー(アクリル酸)の組み込みが撥性を付与するフルオロポリマーの能力に悪影響を及ぼすことを実証する。著しくより高い撥油性および撥水性は、親水性モノマー(アクリル酸)を組み込んだフルオロポリマーで処理された基材と比較したときに、親水性モノマーを組み込んでいないフルオロポリマー(実施例1、6、および9)で処理された基材について見られる。
【0132】
実施例10
二重ジャケット付き2リットル反応器に、撹拌しながらビニル化合物モノマー(298.5g、1.24モル)、フッ素化アクリレートモノマー(411.9g、0.6モル)、t−ブタノール(1081.0g、12.3モル)を加えた。温度を75℃に上げた。酸素を30分の窒素流れによって反応器から除去した。アゾビスイソブチロニトリル(4.96g、29.7ミリモル)を溶液に加えた。温度を窒素下に20時間維持した。最終溶液の固形分は35.7重量%(理論値:34.9重量%)であった。この溶液を、70℃および350〜20ミリバール減圧(35〜2kPa)でt−ブタノールを除去するための蒸留によって乾燥させた。酢酸エチルを45.10重量%の固形分の有機溶液を得るために加えた。本実施例のフルオロポリマーは22.8重量%のフッ素含有率を有した。
【0133】
実施例11
二重ジャケット付き1リットル反応器に、撹拌しながらビニル化合物モノマー(32.5g、0.136モル)、フッ素化アクリレートモノマー(40.1g、0.059モル)、t−ブタノール(130.0g、1.76モル)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.63g、3.1ミリモル)を加えた。温度を75℃に上げた。酸素を30分の窒素流れによって反応器から除去した。アゾビスイソブチロニトリル(0.52g、3.16ミリモル)を溶液に加えた。温度を窒素下に20時間維持した。最終溶液の固形分は36.0重量%(理論値:35.9重量%)であった。この溶液を、70℃および350〜20ミリバール減圧(35〜2kPa)でt−ブタノールを除去するための蒸留によって乾燥させた。酢酸エチルを45.05重量%の固形分の有機溶液を得るために加えた。本実施例の目標の分子量は21,100グラム/モルであった。本実施例のフルオロポリマーは22.8重量%のフッ素含有率を有した。
【0134】
比較例D
二重ジャケット付き1リットル反応器に、撹拌しながらビニル化合物モノマー(22.6g、0.0923モル)、フッ素化アクリレートモノマー(28.2g、0.419モル)、アクリル酸(19.41g、0.269モル)、t−ブタノール(120.0g、1.62モル)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.63g、3.1ミリモル)を加えた。温度を75℃に上げた。酸素を30分の窒素流れによって反応器から除去した。アゾビスイソブチロニトリル(0.52g、3.11ミリモル)を溶液に加えた。温度を窒素下に20時間維持した。最終溶液の固形分は35.6重量%(理論値:35.9重量%)であった。この溶液を、70℃および350〜20ミリバール減圧(35〜2kPa)でt−ブタノールを除去するための蒸留によって乾燥させた。酢酸エチルを44.9重量%の固形分の有機溶液を得るために加えた。本実施例の目標の分子量は14,800グラム/モルであった。本実施例のフルオロポリマーは16.0重量%のフッ素含有率を有した。
【0135】
撥性評価番号8:実施例10および11;比較例D
3つの試験片をクロムなめしからの子羊毛皮の同じサンプルからカットし、子羊ブルー番号9、子羊ブルー番号10、および子羊ブルー番号11と識別した。
【0136】
実施例10によって製造された生成物をスプレー塗布手順番号2に従って子羊ブルー番号9に塗布し、ここで、処理溶液は、実施例10の生成物からのアリコートをイソプロピルアルコールに希釈し、それによって0.09重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表14に示す。
【0137】
実施例11によって製造された生成物をスプレー塗布手順番号2に従って子羊ブルー番号10に塗布し、ここで、処理溶液は、実施例11の生成物からのアリコートをイソプロピルアルコールに希釈し、それによって0.09重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表14に示す。
【0138】
比較例Dによって製造された生成物をスプレー塗布手順番号2に従って子羊ブルー番号11に塗布し、ここで、処理溶液は、比較例Dの生成物からのアリコートをイソプロピルアルコールに希釈し、それによって0.09重量%のフッ素含有率の処理溶液をもたらすことによって製造した。生じた処理皮革基材を撥水性および撥油性試験にかけた。それらの結果を表14に示す。
【0139】
【表14】

【0140】
表14は、親水性モノマー(アクリル酸)の組み込みが撥性を付与するフルオロポリマーの能力に悪影響を及ぼすことを実証する。著しくより高い撥油性および撥水性は、親水性モノマー(アクリル酸)を組み込んだフルオロポリマーで処理された基材と比較したときに、親水性モノマーを組み込んでいないフルオロポリマー(実施例10および11)で処理された基材について見られる。実施例10対実施例11の比較は、連鎖移動剤なしで製造されたフルオロポリマーが均一な有機媒体でスプレーされたときにより高い撥油性および撥水性を付与することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性フッ素化アクリル単位、疎水性ビニル単位、任意選択的に他のモノマー単位、および5質量パーセント以下の親水性である任意のモノマー単位を含むフルオロポリマーであって、次式:
【化1】

(式中、xは、疎水性フッ素化アクリル単位の数を意味する非ゼロの正の整数であり;yは、疎水性ビニル単位の数を意味する非ゼロの正の整数であり;xとyとの合計は少なくとも21であり;各Rは独立して、少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは6個以下の炭素原子を有する、場合によっては酸素が介在する、パーフッ素化アルキル基を表し;各Rは独立して、C〜C20ヒドロカルビレンから選択され;各Rは独立して、C〜C20ヒドロカルビルまたは水素から選択され;各Rは独立して、水素、フッ素、またはC〜Cアルキルから選択され;各mは独立して0または1であり;各Rは独立して、少なくとも4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基を表し;各Zは二価であり、独立して、−OC(O)−、−HNC(O)−、および−C−からなる群から選択され;各Rは独立して、水素またはC〜Cアルキル基から選択される)
で表されるフルオロポリマー。
【請求項2】
mが1である請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項3】
が直鎖C〜Cヒドロカルビレンであり;Rが直鎖C〜Cヒドロカルビルまたは水素から選択され;RおよびRが水素またはメチルから選択される請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項4】
Zが−OC(O)−である請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項5】
フッ素化アクリル単位およびビニル単位以外の疎水性である10質量パーセント以下の任意のモノマー単位をさらに含む請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項6】
フルオロポリマーの少なくとも20質量パーセントがフッ素化アクリル単位からなり;前記フルオロポリマーの少なくとも20質量パーセントがビニル単位からなる請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項7】
少なくとも10,000グラム/モルの分子量を有する請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項8】
有機溶媒、水性分散系、または水性エマルジョン中の請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項9】
基材を請求項1に記載のフルオロポリマーと接触させる工程を含む、基材への撥水性および/または撥油性の付与方法。
【請求項10】
基材が皮革である請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2011−511848(P2011−511848A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528083(P2010−528083)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/078289
【国際公開番号】WO2009/046016
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】