説明

フレキシブルプリント回路及びその製造方法

【課題】熱硬化型接着剤を層間接着剤として用い、ある特定の特性インピーダンスの配線基板をより細い回路幅にて低コストで実現し、高密度化が可能であり高周波特性に優れたフレキシブルプリント回路を実現する。
【解決手段】フレキシブルプリント回路100は、第1及び第2の単位基板1,2を、面11aと面21bとが対向するように配置し、間にエポキシ系の熱硬化型接着剤を塗布等して接着剤層30を形成した上で熱圧着して形成される。熱硬化型接着剤の硬化温度は、第1及び第2の絶縁層13,23の融点よりも低い温度に設定される。信号伝送回路12は内層側に配置され、外層側にある第1及び第2の導電層13,23に挟まれた構造を実現する。ある特定の特性インピーダンスを実現する場合、接着剤層30に液晶ポリマーを用いたものと比べて回路幅を細くして、高密度化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多層構造のフレキシブルプリント回路及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品等に広く用いられるフレキシブルプリント基板などの配線基板を用いたフレキシブルプリント回路として、高密度化に対応するために、多層構造としたものがある。また、近年の高速信号伝送の要求から、伝送損失がポリイミドよりも少ない液晶ポリマーをベース基板に用いたフレキシブルプリント回路も製品化されている。
【0003】
液晶ポリマーを使用した多層構造のフレキシブルプリント回路としては、例えば下記特許文献1の配線基板が知られている。この配線基板は、液晶ポリマーに導電層が形成された単位基板を、複数重ね合わせた構造からなる。そして、単位基板の少なくとも一方の面にプラズマ粗面化処理を施し、熱圧着を行って各単位基板を接着している。これにより、層間接着剤を不要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−219552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された配線基板では、誘電率が低い液晶ポリマーを用いているので、伝送損失が少ないという利点がある反面、ある特定の特性インピーダンスの配線基板を形成しようとした場合、従来のポリイミドを用いた配線基板と比べて回路幅が広くなってしまい、高密度化を図ることが困難である。
【0006】
また、熱圧着で各単位基板を接着する際に、例えば溶融開始温度250℃以上で液晶ポリマーを溶融させる場合、硬化温度が160℃程度の熱硬化型接着剤を用いることを前提とした既存の製造設備では、上記特許文献1に開示された配線基板を製造することはできない。このため、新たな設備投資などが必要となり、コストが増大してしまうという問題がある。これらの問題は、液晶ポリマーと同様にフッ素樹脂を用いた配線基板においても同様に生じることとなる。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、熱硬化型接着剤を層間接着剤として用いつつ、ある特定の特性インピーダンスの配線基板をより細い回路幅にて低コストで実現し、高密度化が可能であると共に高周波特性に優れたフレキシブルプリント回路及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフレキシブルプリント回路は、3層の導電層を含む多層構造のフレキシブルプリント回路基板であって、液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなる第1の絶縁層の一方の面に信号伝送回路が形成されると共に、他方の面に第1の導電層が形成された第1の単位基板と、液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなる第2の絶縁層の一方の面に第2の導電層が形成された第2の単位基板と、前記第1の単位基板と前記第2の単位基板とを前記第1の絶縁層の前記一方の面と前記第2の絶縁層の他方の面とを対向させて接着するエポキシ系の熱硬化型接着剤からなる接着剤層とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るフレキシブルプリント回路によれば、第1及び第2の単位基板の第1及び第2の絶縁層が低誘電率及び低誘電正接の液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなり、これらを液晶ポリマー又はフッ素樹脂よりも誘電率が高いエポキシ系の熱硬化型接着剤で接着しているので、ある特定の特性インピーダンスと同一の特性インピーダンスを従来よりもより細い回路幅の基板で実現できる構造となっている。このため、高周波特性に優れた基板の高密度化を図ることができる。
【0010】
また、160℃程度の硬化温度で熱硬化型接着剤を硬化させて第1及び第2の単位基板を接着することができるので、既存の製造設備を用いて製造することができ、低コストで高周波特性に優れた高密度のフレキシブルプリント回路を製造することができる。
【0011】
本発明の一つの実施形態においては、前記熱硬化型接着剤の硬化温度が、前記第1及び第2の絶縁層の融点よりも低いとされる。
【0012】
本発明の他の実施形態においては、前記第1及び第2の導電層が、基準電位が付与される。
【0013】
本発明の更に他の実施形態においては、前記第1の単位基板が、前記第1の絶縁層の前記一方の面の前記信号伝送回路の両側に隣接して形成され基準電位が付与される配線回路を有する。
【0014】
本発明の更に他の実施形態においては、前記信号伝送回路の主面から前記第2の絶縁層の前記他方の面までの距離が、2μm〜15μmの範囲に設定される。
【0015】
本発明に係るフレキシブルプリント回路の製造方法は、3層の導電層を含む多層構造のフレキシブルプリント回路の製造方法であって、液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなる第1の絶縁層の一方の面に信号伝送回路を構成する導電層を形成すると共に、他方の面に第1の導電層を形成して第1の単位基板を製造する工程と、液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなる第2の絶縁層の一方の面に第2の導電層を形成した第2の単位基板と、前記第1の単位基板とを、前記第1の絶縁層の前記一方の面と前記第2の絶縁層の他方の面とを対向させ、これらの間にエポキシ系の熱硬化型接着剤からなる接着剤層を介在させて、熱圧着する工程とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の一つの実施形態においては、前記熱圧着する工程で、前記接着剤層の硬化温度以上で且つ前記第1及び第2の絶縁層の融点未満の温度で熱圧着を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、熱硬化型接着剤を層間接着剤として用いつつ、ある特定の特性インピーダンスの配線基板をより細い回路幅にて低コストで実現し、高密度化が可能であると共に高周波特性に優れたフレキシブルプリント回路及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント回路の製造工程を示す断面図である。
【図2】同フレキシブルプリント回路の製造工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例に係るフレキシブルプリント回路を示す断面図である。
【図4】同実施例におけるフレキシブルプリント回路の各サンプルの詳細を示す図である。
【図5】同実施例におけるフレキシブルプリント回路の各サンプルの特性インピーダンスの測定結果を示す図である。
【図6】同実施例におけるフレキシブルプリント回路の各サンプルの特性インピーダンス50Ωとなる回路幅と接着剤層特定箇所の厚さとの関係を示す図である。
【図7】同実施例におけるフレキシブルプリント回路の各サンプルの伝送損失の測定結果を示す図である。
【図8】同実施例におけるフレキシブルプリント回路の各サンプルの伝送損失と接着層特定箇所の厚さとの関係を示す図である。
【図9】同実施例におけるフレキシブルプリント回路の各サンプルの伝送損失比と接着剤層特定箇所の厚さとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係るフレキシブルプリント回路及びその製造方法の実施の形態を説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント回路の製造方法による製造工程を示す断面図、図2は製造工程を示すフローチャートである。
【0021】
第1の実施形態に係るフレキシブルプリント回路(以下、「FPC」と呼ぶ。)100(図1(b)参照)は、次のように製造される。まず、図1(a)及び図2に示すように、第1の単位基板1を形成する(ステップS100)。第1の単位基板1は、例えば厚さ50μmの液晶ポリマー(LCP)やフッ素樹脂からなる第1の絶縁層11を備える。
【0022】
また、第1の単位基板1は、第1の絶縁層11の一方の面11a上に形成された信号伝送回路12と、他方の面11b上に形成された第1の導電層13とを備える。これら信号伝送回路12及び第1の導電層13は、例えば厚さ18μmの電解銅箔からなる。ステップS100では、両面に銅箔が設けられた銅張積層板の片面に信号伝送回路12を形成する。
【0023】
次に、図1(b)及び図2に示すように、第2の単位基板2を、第1の単位基板1に対して接着剤を介して熱圧着する(ステップS102)。第2の単位基板2は、第1の単位基板1と同様に、例えば厚さ50μmの液晶ポリマーやフッ素樹脂からなる第2の絶縁層21を備える。また、第2の単位基板2は、第2の絶縁層21の一方の面21a上に、第1の導電層13と同様に、例えば厚さ18μmの電解銅箔により形成された第2の導電層23を備える。
【0024】
接着剤層30を構成する接着剤は、エポキシ系の熱硬化型接着剤である。このステップS102においては、第1の単位基板1の面11aと第2の単位基板2の面21bとが対向するように配置し、これらの間にエポキシ系の熱硬化型接着剤を塗布或いは充填して接着剤層30を形成した上で熱圧着が行われる。
【0025】
この熱硬化型接着剤の硬化温度は、例えば160℃以上に設定されつつ、第1及び第2の単位基板1,2の第1及び第2の絶縁層13,23の融点(例えば、310℃)よりも低い温度に設定される。従って、ステップS102においては、接着剤層30の硬化温度以上で且つ第1及び第2の絶縁層13,23の融点未満の加熱温度(例えば、200℃)によって、熱圧着が行われる。
【0026】
これにより、第1の単位基板1の第1の絶縁層11と、第2の単位基板2の第2の絶縁層21との間に、信号伝送回路12が配置される。次に、ステップS102の後、第1の実施形態に係るFPC100では、図1(c)及び図2に示すように、第1及び第2の単位基板1,2を貫通すると共に、信号伝送回路12の両側に隣接するように第1の絶縁層11の主面に沿って形成された配線回路14を貫通するスルーホール31を形成する。
【0027】
そして、図1(d)及び図2に示すように、スルーホール31にめっき処理を施し、第1及び第2の導電層13,23と、配線回路14とを電気的に接続して層間導通を図り(ステップS104)、図示は省略するが、第1及び第2の導電層13,23に所定の回路を形成して(ステップS106)、FPC100が構成される。なお、これら第1及び第2の導電層13,23は、基準電位(電源電位、接地電位)が付与されているため、配線回路14も基準電位となる。
【0028】
このように構成されたFPC100は、信号伝送回路12がいわゆる内層側に配置され、この信号伝送回路12よりも外層側にある第1及び第2の導電層13,23に挟まれた構造を実現する。従って、EMC(Electromagnetic Compatibility:電磁的両立性)や、EMI(Electromagnetic Interference:電磁干渉)を防止することができる。
【0029】
なお、接着剤層30がエポキシ系の熱硬化型接着剤により構成されているため、従来技術で説明したようにこのままでは接着剤層30の誘電率や誘電正接が高いことがFPC100の伝送損失に繋がってしまうことが懸念される。しかし、本出願人は、接着剤層における特定箇所の厚さが、一定の範囲内にあれば、その影響が軽微であることを実験により見出した。
【実施例】
【0030】
以下、実施例によりFPC100について具体的に説明する。図3は、本発明の実施例に係るFPC100を示す断面図である。図3に示すように、接着剤層特定箇所の厚さは、第1の単位基板1の信号伝送回路12の主面と第2の単位基板2の他方の面21bとの間の距離により定義される。すなわち、接着剤層特定箇所の厚さは、信号伝送回路12と接着剤層30との界面と、第2の絶縁層21と接着剤層30との界面との間の距離のことをいう。本出願人が実施した実験によると、接着剤層特定箇所の厚さは2μm〜15μmの範囲で決定される。
【0031】
このような範囲内であれば、層間接着剤を用いずに液晶ポリマーで単位基板同士を接着した場合と比較して、伝送損失は1.3倍以下とすることができる。従って、本発明に係るFPC100のように、接着剤層30を介して第1及び第2の単位基板1,2を熱圧着した場合であっても、伝送損失の差異を小さくすることができる。
【0032】
本実施例においては、パナソニック電工株式会社製の高速伝送特性に優れた液晶ポリマーフレキシブル銅張積層板「FELIOS R−F705Z(商品名)」を用いて各サンプルとなるFPC100を試作した。これら各サンプルは、特性インピーダンス測定用と、損失測定用とを用意した。
【0033】
図4に示すように、サンプルNo.1−1〜1−7のものは、第1及び第2の単位基板1,2の第1及び第2の絶縁層(ベース材料)11,21の厚さをそれぞれ50μmとし、接着剤の種類をエポキシ系としたものである。また、接着剤層特定箇所の厚さを2,5,10,15,20,25,30μmと設定した。
【0034】
一方、サンプルNo.LCP−1〜LCP−7のものは、第1及び第2の単位基板1,2の第1及び第2の絶縁層の厚さは同じく50μmであるが、第1及び第2の絶縁層11,21に用いられる液晶ポリマーよりも30℃融点の低い液晶ポリマーを接着剤層30に適用したものである。これらの接着剤層特定箇所の厚さも2,5,10,15,20,25,30μmと設定した。
【0035】
そして、上記各サンプルにつき、回路幅が50μm〜100μmまで1μm毎に異なるものを51個ずつ用意し、まず、それぞれにつきTektronix製TDR(Time Domain Reflectometry)モジュール「80E04(商品名)」と、サンプリングオシロスコープ「DSA8200(商品名)」を用いて、特性インピーダンスの測定を行った。
【0036】
測定結果に基づき、各サンプルにおいて特性インピーダンスが50Ωになる回路幅を調査した結果をまとめると、図5及び図6に示すようなものとなった。なお、特性インピーダンスZoをZo=√L/Cとし、静電容量CをC=εr・εo・S/dとした場合、前提条件として特性インピーダンスZoを同じにするためには、静電容量Cを同じにすることが必要となる。
【0037】
図5に示すように、サンプルNo.1−1〜1−7及びLCP−1〜LCP−7において、接着剤層特定箇所の厚さが厚くなると、信号伝送回路12と例えば接地電位である第2の導電層23との距離が広がる。このため、特性インピーダンスZo=50Ω設計時の回路幅が広くなることとなる。このことは、d(距離)が広がった分だけS(回路幅)も広くすれば、静電容量Cを同じにすることができ、静電容量Cを同じにすれば特性インピーダンスZoも同じになることを示す上記前提条件からも明らかである。
【0038】
また、接着剤層30がエポキシ系の熱硬化型接着剤と液晶ポリマーとでは、誘電率の低い液晶ポリマーの方が特性インピーダンスZo=50Ω設計時の回路幅が広くなる。このことは、d(距離)が同じならば、比誘電率εrが低い分だけS(回路幅)を広くする必要があることを示す上記前提条件からも明らかである。
【0039】
そして、エポキシ系の熱硬化型接着剤を用いた場合は、接着剤層特定箇所の厚さ毎に、液晶ポリマーを用いた場合と比較して、図6に示すように、それぞれ5μm〜10μm程度特性インピーダンスZo=50Ω設計時の回路幅を細くすることができる。このことは、d(距離)が同じならば、比誘電率εrが高い分だけS(回路幅)を小さくする必要があることを示す上記前提条件からも明らかである。
【0040】
以上のように、特性インピーダンスZoについては、接着剤層30としてエポキシ系の熱硬化型接着剤を用いた場合と液晶ポリマーを用いた場合とで、同一の特性インピーダンスを実現しようとした場合、サンプルNo.1−1〜1−7で示す本発明に係るFPC100の方が回路幅を小さくすることが可能であることが判明した。これにより、より高密度化を図ることが可能となる。
【0041】
次に、上記各サンプルそれぞれについて、特性インピーダンスZo=50Ω設計時の回路の伝送損失を、アジレント製ベクトルネットワークアナライザ「PNA−L Network Analyzer N5230A(商品名)」を用いて測定した。その測定結果をまとめると、図7及び図8に示すようなものとなった。
【0042】
伝送損失については、接着剤層30としてエポキシ系の熱硬化型接着剤を用いた場合は、液晶ポリマーを用いた場合と比較して、接着剤層特定箇所の厚さが厚くなれば若干伝送損失が高めとなる傾向となった。しかし、接着剤層特定箇所の厚さがある程度薄い所定の範囲内である場合には、その影響が軽微であることが判明した。
【0043】
また、上記各サンプルそれぞれについて、接着剤層30にエポキシ系の熱硬化型接着剤を用いた場合と液晶ポリマーを用いた場合とで、接着剤層特定箇所の厚さが同じであるときの伝送損失を比較したら、図9に示すような結果となった。これによると、接着剤層特定箇所の厚さが2μm〜15μmの範囲内である場合は、両者の伝送損失の差は10%以下と小さいものとなった。
【0044】
従って、接着剤層特定箇所の厚さが上記範囲内にあれば、接着剤層30にエポキシ系の熱硬化型接着剤を用いたとしても、液晶ポリマーを用いた場合と同等の伝送特性を得ることが可能であることが判明した。よって、上述した実施形態に係るFPC100によれば、接着剤層30にエポキシ系の熱硬化型接着剤を用いても、接着剤層特定箇所の厚さを求められる特性インピーダンスに合わせて適宜設定することにより、液晶ポリマーを用いた場合と同等に伝送損失を抑えることが可能である。
【0045】
なお、例えばFPC100をアンテナ回路と送受信回路との間の伝送ケーブルとして用いた場合、一般的にはその伝送損失は3dB以内に抑えられることが望ましいとされている。このような場合にも、上記実施形態に係るFPC100において接着剤層特定箇所の厚さを適宜調整することにより、十分に要求される伝送損失を達成することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 第1の単位基板
2 第2の単位基板
11 第1の絶縁層
12 信号伝送回路
13 第1の導電層
14 配線回路
21 第2の絶縁層
23 第2の導電層
30 接着剤層
100 フレキシブルプリント回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層の導電層を含む多層構造のフレキシブルプリント回路であって、
液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなる第1の絶縁層の一方の面に信号伝送回路が形成されると共に、他方の面に第1の導電層が形成された第1の単位基板と、
液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなる第2の絶縁層の一方の面に第2の導電層が形成された第2の単位基板と、
前記第1の単位基板と前記第2の単位基板とを前記第1の絶縁層の前記一方の面と前記第2の絶縁層の他方の面とを対向させて接着するエポキシ系の熱硬化型接着剤からなる接着剤層とを備えた
ことを特徴とするフレキシブルプリント回路。
【請求項2】
前記熱硬化型接着剤の硬化温度は、前記第1及び第2の絶縁層の融点よりも低いことを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント回路。
【請求項3】
前記第1及び第2の導電層は、基準電位が付与されることを特徴とする請求項1又は2記載のフレキシブルプリント回路。
【請求項4】
前記第1の単位基板は、前記第1の絶縁層の前記一方の面の前記信号伝送回路の両側に隣接して形成され基準電位が付与される配線回路を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のフレキシブルプリント回路。
【請求項5】
前記信号伝送回路の主面から前記第2の絶縁層の前記他方の面までの距離は、2μm〜15μmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のフレキシブルプリント回路。
【請求項6】
3層の導電層を含む多層構造のフレキシブルプリント回路の製造方法であって、
液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなる第1の絶縁層の一方の面に信号伝送回路を形成すると共に、他方の面に第1の導電層を形成して第1の単位基板を製造する工程と、
液晶ポリマー又はフッ素樹脂からなる第2の絶縁層の一方の面に第2の導電層を形成した第2の単位基板と、前記第1の単位基板とを、前記第1の絶縁層の前記一方の面と前記第2の絶縁層の他方の面とを対向させ、これらの間にエポキシ系の熱硬化型接着剤からなる接着剤層を介在させて、熱圧着する工程とを備えた
ことを特徴とするフレキシブルプリント回路の製造方法。
【請求項7】
前記熱圧着する工程では、前記接着剤層の硬化温度以上で且つ前記第1及び第2の絶縁層の融点未満の温度で熱圧着を行うことを特徴とする請求項6記載のフレキシブルプリント回路の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−243923(P2012−243923A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112037(P2011−112037)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】