説明

フレキシブルプリント基板、超音波探触子および超音波探触子の製造方法

【課題】複数の配線パターンを有するフレキシブルプリント基板をカットすることにより、複数の配線パターンの間隔が所望の間隔となるフレキシブルプリント基板を提供する。
【解決手段】電気絶縁性のベースフィルム20の表面に複数の配線パターン30が延在するように形成されており、複数の配線パターン30それぞれは、互いの間隔がベースフィルム20の延在する方向に沿って狭まるように形成されている部分を含むように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板、超音波探触子および超音波探触子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント基板(以下FPCとも称する)は、電子機器の小型軽量化、薄型化の進展に伴い、機器の内部配線や部品搭載基板として使用されている。FPCは、複雑な回路を屈曲性のある電気絶縁フィルム上に形成したもので、曲げ、重ね、おりたたみ、巻き付け、ねじりなどができるため、スペースの有効利用や立体配線などが可能となり、ビデオカメラやカーステレオ、パソコンやプリンタのヘッド部などで使用されている。
【0003】
また、FPCは、医療機器の分野にも使用されている。たとえば、超音波診断装置における超音波を送受信する超音波探触子では、FPCにおける配線パターンを超音波振動子と接続し使用されている。FPCを使用することにより、上記と同様に省スペース化が図れ、また立体配線が可能となる。特に曲面上に超音波振動子を配列したカーブドアレイへの使用に適している。
【0004】
ここで、超音波診断装置で使用される超音波は、被検体の診断部位により適正な周波数が異なる。また、一般に超音波振動子の大きさが小さくなると送信することができる超音波の周波数は高くなる。したがって、超音波振動子から送信される超音波の周波数は超音波振動子の幅により異なる。そのため、超音波探触子において、様々な幅の超音波振動子が必要となる。たとえば、1つの超音波振動子の大きさは、およそ0.2〜0.6mm程度の大きさとなる(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
また、超音波探触子に使用されるFPCにおける複数の配線パターンは、それぞれ平行に形成されている。したがって、複数の超音波振動子それぞれの間隔に合わせて、複数の配線パターンをベースフィルムに形成する必要があった(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−330963号公報
【特許文献2】特開2006−20297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超音波探触子にFPCを使用する場合、FPCにおける複数の配線パターンは、複数の超音波振動子と接続される。したがって、複数の超音波振動子の幅に合わせて、複数の配線パターンをベースフィルムに形成する必要がある。しかし、超音波探触子の幅に合わせてFPCを製造するのは、手間とコストがかかってしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、複数の配線パターンを有するフレキシブルプリント基板をカットすることにより、複数の配線パターンの間隔が所望の間隔となるフレキシブルプリント基板、当該フレキシブルプリント基板を用いた超音波探触子の製造方法及び当該製造方法により製造された超音波探触子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の達成のために本発明のフレキシブルプリント基板は、電気絶縁性の基板の表面に複数の配線パターンが延在するように形成されているフレキシブルプリント基板であって、複数の前記配線パターンそれぞれは、互いの間隔が前記基板の延在する方向に沿って狭まるように形成されている部分を含む。
【0009】
上記目的の達成のために本発明の超音波探触子の製造方法は、配列されている複数の超音波振動子と、電気絶縁性の基板の表面に、複数の前記超音波振動子と接続される複数の配線パターンが、複数の超音波振動子の配列方向に沿って間隔を隔てて並べられているフレキシブルプリント基板とを有する超音波探触子の製造方法であって、前記フレキシブルプリント基板をカットするカットステップを有し、前記カットステップにおいて使用する前記フレキシブルプリント基板は、前記基板が前記超音波振動子の配列方向と異なる方向に延在しており、複数の前記配線パターンそれぞれの間隔が前記基板の延在方向に沿って狭まるように複数の前記配線パターンが延在している部分を含み、前記カットステップにおいて、複数の前記超音波振動子の配列位置と前記フレキシブルプリント基板における複数の前記配線パターンの位置とが対応するように、前記フレキシブルプリント基板をカットする。
【0010】
上記目的の達成のために本発明の超音波探触子は、配列されている複数の超音波振動子と、電気絶縁性の基板の表面に、複数の前記超音波振動子と接続される複数の配線パターンが、複数の超音波振動子の配列方向に沿って間隔を隔てて並べられているフレキシブルプリント基板とを有する超音波探触子であって、前記フレキシブルプリント基板は、前記基板が前記超音波振動子の配列方向と異なる方向に延在しており、複数の前記配線パターンそれぞれの間隔が前記基板の延在方向に沿って狭まるように複数の前記配線パターンが延在している部分を含み複数の前記超音波振動子の配列位置と前記フレキシブルプリント基板における複数の前記配線パターンの位置とが対応するように、前記フレキシブルプリント基板をカットすることにより製造される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の配線パターンを有するフレキシブルプリント基板をカットすることにより、複数の配線パターンの間隔が所望の間隔となるフレキシブルプリント基板、当該フレキシブルプリント基板を用いた超音波探触子の製造方法及び当該製造方法により製造された超音波探触子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下より、本発明にかかる本実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明にかかる本実施形態におけるフレキシブルプリント基板を用いて製造した超音波探触子の概略図である。図1(a)は、正面図であり、図1(b)は、斜視図である。
図2は、本発明にかかるフレキシブルプリント基板における配線パターンを示す図である。図2(a)は、本発明にかかる第1の実施形態におけるフレキシブルプリント基板を示す図である。図2(a)におけるA,Bは、複数の配線パターン30それぞれの間隔である。また位置Cは、複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配置位置と一致する位置である。
【0014】
以下より、各構成要素について、順次、説明する。
【0015】
図1(a)に示すように、本発明にかかる第1の実施形態における超音波探触子1は、FPC10と、バッキング材100と、ベタ電極200と、超音波振動子300と、整合層400と、音響レンズ500とカバー(図示なし)を有する。また、図2(a)に示すように、FPC10は、ベースフィルム20と、配線パターン30とを有する。
【0016】
ベースフィルム20は、FPC10のベースとなる電気絶縁性フィルムである。
ベースフィルム20は、たとえば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリイミド系等の屈曲性のある電気絶縁フィルムにより形成される。ベースフィルム20にエポキシ系、ウレタン系、ポリアクリロニトリル系、ポリエステル系等の屈曲性を有する接着性絶縁層を設け、接着性絶縁層の上に銅またはアルミニウム等の電気伝導性の高い金属により配線パターン30を形成する。その上に配線パターン30同士のショートや配線パターン30と他のものとのショートなどを防止するために屈曲性の電気絶縁フィルムを積層する。
【0017】
配線パターン30は、ベースフィルム20の表面に延在するように形成されている。配線パターン30は、たとえば、銅やアルミニウムなどの電気伝導性の高い金属により形成される。
また、配線パターン30は、たとえば、サブトラクト法、アディティブ法などによりベースフィルム上に形成される。
サブトラクト法は、ベースフィルム20の表面に銅またはアルミニウム等の金属箔を接着剤で接着し、配線パターン30を残し不要な部分を取り除く方法である。アディティブ法は、ベースフィルム20の表面に配線パターン30を形成していく方法である。
【0018】
図2(a)に示すように、本発明にかかる第1の実施形態における配線パターン30は、複数の配線パターン30のそれぞれの間隔が、FPC10の延在方向に沿って連続的に狭まるように形成されている。たとえば、図2(a)に示すように、間隔Aが連続的に狭くなり、間隔Bとなる。したがって、複数の超音波振動子300の配列位置とFPC10における複数の配線パターン30の位置とが一致する位置CでFPC10をカットすることにより、FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するFPC10を得ることができる。
【0019】
バッキング材100は、ベタ電極200の背面に設けられている。バッキング材100は、超音波振動子300を振動させて超音波を送信した後に超音波振動子300の自由震動を抑制する。これにより、超音波のパルス幅を短くすることができる。また、バッキング材100は、バッキング材100の後方への超音波の不必要な伝搬を抑制する。
バッキング材100は、超音波減衰の大きい材料が用いられ、たとえば、エポキシ樹脂やゴムにタングステンの粉体などを添加したものが挙げられる。また、本発明におけるバッキング材100の音響インピーダンスは、2×10g/(cm・sec)〜10×10g/(cm・sec)が好適である。
【0020】
ベタ電極200は、超音波振動子300とバッキング材100の間に、全面にわたって設けられている。ベタ電極200は、メッキ、スパッタあるいは蒸着などの方法により形成される。ベタ電極200は、たとえば、金、銀、銅などの電気伝導性の高い金属により形成される。
【0021】
超音波振動子300は、たとえば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックスなどの圧電材料により構成されている。超音波振動子300に電圧を印加して振動させることにより超音波を超音波振動子300から被検体(図示なし)に送信し、反射される超音波を受信する。
【0022】
整合層400は、被検体と超音波振動子300との中間の音響インピーダンスを有しており、被検体と超音波振動子300との間の音響インピーダンスの相違による超音波の反射を抑える。
音響レンズ500は、超音波の屈折を利用して、被検体に送信される超音波の焦点を設定する。
【0023】
図1に示すように、超音波探触子1は、FPC10を挟み込んだバッキング材100の前面(FPC10が延在していない面)にベタ電極200を積層している。そして、ベタ電極200の前面(バッキング材100と接していない面)に超音波振動子300、整合層400、音響レンズ500を順次積層している。
【0024】
以下より、本発明にかかる第1の実施形態における超音波探触子1の製造方法について説明する。
【0025】
図3は、本発明にかかる本実施形態におけるフレキシブルプリント基板を用いた超音波探触子の製造方法のフロー図である。
【0026】
まず、バッキング材100にFPC10を挟み込む(ST10)。
【0027】
複数の超音波振動子300の配列位置とFPC10における複数の配線パターン30の位置とが一致する配線パターン30の位置を含むようにバッキング材100に、FPC10を挟み込む。バッキング材100とFPC10との接着には、非導電性接着剤が用いられる。
【0028】
次に、FPC10とバッキング材100とをカットする(ST20)。
【0029】
FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するように、FPC10とバッキング材100とをカットする。バッキング材100にFPC10を挟み込んでからカットすることにより、カットした面においてバッキング材100とFPC10とを容易に面一にすることができる。面一とすることで、ステップST30において、容易にベタ電極200を形成することができる。
【0030】
FPC10とバッキング材100とをカットする際、予め、複数の配線パターン30の位置と複数の超音波振動子300の配列位置とが一致する位置C(図2(a)参照)における、複数の配線パターン30それぞれの間隔を測定する。そして、FPC10の端面における複数の配線パターン30それぞれの間隔を測定しながら、複数の配線パターン30それぞれの間隔が、位置Cにおける複数の配線パターン30それぞれの間隔となるようにFPC10をカットする。
【0031】
また、本発明にかかる第1の実施形態における超音波探触子1の製造方法において、ステップST10とステップST20の順序は逆であってもよい。換言すれば、複数の配線パターン30それぞれの間隔が所望の間隔となるようにFPC10をカットした後、当該FPC10をバッキング材100で挟み込んでもよい。
【0032】
次に、バッキング材100にベタ電極200を形成する(ST30)。
【0033】
バッキング材100の前面(FPC10とバッキング材100が面一の面)に、ベタ電極200を形成する。ベタ電極200は、たとえば、メッキ、スパッタあるいは蒸着などの方法によりバッキング材の全面に設けられる。ステップST20において、バッキング材とFPC10とが面一となっているため、容易にベタ電極200を形成することができる。
【0034】
次に、ベタ電極200に超音波振動子300などを積層する(ST40)。
【0035】
ベタ電極200の前面(バッキング材100と接合していない面)に超音波振動子300、整合層400、音響レンズ500を順々に積層する。ベタ電極200と超音波振動子300との接着には、導電性接着剤が用いられる。また、超音波振動子300と整合層400との接着および整合層400と音響レンズ500との接着には、非導電性接着剤が用いられる。
【0036】
次に、積層したものをダイシングする(ST50)。
【0037】
超音波振動子300が所望の幅になるように、ステップST40において積層したものをダイシング装置によりダイシングする。ダイシングする深さは、ベタ電極200が確実に分離する深さまで行う。
【0038】
以上のように、本実施形態において、まず、接着剤を用いてバッキング材100にFPC10を挟み込む。そして、複数の配線パターン30それぞれの間隔が所望の間隔となるように、バッキング材100にFPC10を挟み込んだものをカットする。そして、バッキング材100の前面(FPC10とバッキング材100が面一の面)にスパッタなどの方法によりベタ電極200を形成する。そして、接着剤を用いてベタ電極200の前面(バッキング材100と接合していない面)に超音波振動子300、整合層400、音響レンズ500を順々に積層する。そして、超音波振動子300が所望の幅になるように、積層したものをダイシング装置によりダイシングする。
【0039】
以上のステップにより、本発明における第1の実施形態におけるFPC10を用いることで、製造する超音波探触子1における超音波振動子300の幅に合わせて、ベースフィルム20に複数の配線パターン30を形成しなくても、複数の超音波振動子300の配列位置とFPC10における複数の配線パターン30の位置とが一致する位置CでFPC10をカットすることにより、FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するFPC10を得ることができるため、コストを抑え効率よく超音波探触子1を製造することができる。
【0040】
<第2の実施形態>
図2(b)は、本発明にかかる第2の実施形態におけるフレキシブルプリント基板を示す図である。図2(b)におけるA,Bは、複数の配線パターン30それぞれの間隔である。また位置Cは、複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配置位置と一致する位置である。またDは、複数の配線パターン30それぞれの間隔が変化しない部分である。第2の実施形態は、FPC10における複数の配線パターン30の形状以外は、第1の実施形態と同じである。そのため、重複する箇所については、記載を省略する。
【0041】
以下より、本発明にかかる第2の実施形態におけるFPC10について図面を参照して説明する。
【0042】
図2(b)に示すように、本発明にかかる第2の実施形態における複数の配線パターン30は、複数の配線パターン30のそれぞれの間隔が、FPC10の延在方向に沿って段階的に狭まるように形成されている。たとえば、図2(b)に示すように、間隔Aが段階的に狭くなり、間隔Bとなる。したがって、複数の超音波振動子300の配列位置とFPC10における複数の配線パターン30の位置とが一致する位置CでFPC10をカットすることにより、FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するFPC10を得ることができる。
【0043】
以下より、本発明にかかる第2の実施形態における超音波探触子1の製造方法について説明する。第2の実施形態における超音波探触子1の製造方法は、FPC10をカットするステップST20以外は、第1の実施形態と同じである。そのため、重複する箇所については、記載を省略する。
【0044】
FPC10とバッキング材100とをカットする(ST20)。
【0045】
FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するように、FPC10とバッキング材100とをカットする。バッキング材100にFPC10を挟み込んでからカットすることにより、カットした面においてバッキング材100とFPC10とを容易に面一にすることができる。
【0046】
FPC10とバッキング材100とをカットする際、予め、複数の配線パターン30の位置と複数の超音波振動子300の配列位置とが一致する位置Cにおける、複数の配線パターン30それぞれの間隔を測定する。そして、FPC10の端面における複数の配線パターン30それぞれの間隔を測定しながら、複数の配線パターン30それぞれの間隔が、位置Cにおける複数の配線パターン30それぞれの間隔となるようにFPC10をカットする。
【0047】
また、使用頻度の高い複数の配線パターン30それぞれの間隔を、図2(b)における複数の配線パターン30それぞれの間隔が変化しない部分Dに設けることにより、所望の間隔を得るのに微妙な調整が不要になるため、所望の間隔を容易に得ることができる。
【0048】
以上のように、本発明における第2の実施形態におけるFPC10を用いることで、第1の実施形態と同様に、製造する超音波探触子1における超音波振動子300の幅に合わせて、ベースフィルム20に複数の配線パターン30を形成しなくても、複数の超音波振動子300の配列位置とFPC10における複数の配線パターン30の位置とが一致する位置CでFPC10をカットすることにより、FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するFPC10を得ることができるため、コストを抑え効率よく超音波探触子1を製造することができる。
【0049】
<第3の実施形態>
図4は、本発明にかかるフレキシブルプリント基板の延在方向に沿ってフレキシブルプリント基板の表面に形成される目印を示す図である。当該目印は、たとえば、FPC10の延在方向の長さを示す目盛り、複数の配線パターン30のそれぞれの間隔を示す数字、FPC10の延在方向の長さを把握するための抵抗値を測定するための配線パターンなどである。
【0050】
図4(a)は、本発明にかかる第3の実施形態における、フレキシブルプリント基板の延在方向に沿って形成されているフレキシブルプリント基板の長さを示す目盛りを示す図である。図4(a)における位置Cは、複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配置位置と一致する位置である。
【0051】
図4(a)に示すように、第3の実施形態におけるFPC10は、ベースフィルム20と、配線パターン30と、目盛り50とを有する。第3の実施形態は、FPC10に形成されている目盛り50以外の構成は、第1の実施形態と同じである。そのため、重複する箇所については、記載を省略する。
【0052】
以下より、本発明にかかる第3の実施形態におけるFPC10について図面を参照して説明する。
【0053】
目盛り50は、FPC10の表面端部に形成されている。目盛り50は、FPC10の延在方向の長さを表す。また、FPC10の延在方向の長さは、複数の配線パターン30それぞれの間隔と対応している。したがって、目盛り50に基づいて、FPC10をカットすることにより、複数の配線パターン30それぞれの間隔が所望の間隔となるFPC10を得ることができる。
【0054】
以下より、本発明にかかる第3の実施形態における超音波探触子1の製造方法について説明する。第3の実施形態における超音波探触子1の製造方法は、FPC10をカットするステップST20以外は、第1の実施形態と同じである。そのため、重複する箇所については、記載を省略する。
【0055】
FPC10とバッキング材100とをカットする(ST20)。
【0056】
FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するように、FPC10とバッキング材100とをカットする。バッキング材100にFPC10を挟み込んでからカットすることにより、カットした面においてバッキング材100とFPC10とを容易に面一にすることができる。
【0057】
FPC10とバッキング材100とをカットする際、FPC10の端面における複数の配線パターン30それぞれの間隔を測定しながらFPC10をカットしても良いが、バッキング材100の影響で測定し難い場合でも、FPC10の延在する方向に沿ってFPC10の表面端部に形成されている目盛りに基づいて、FPC10をカットすることができる。ここで、FPC10の延在方向の長さは複数の配線パターン30のそれぞれの間隔と対応している。そのため、たとえば、予め複数の配線パターン30の間隔と目盛り50との対応表を作成する。そして、対応表から所望の配線パターン30の間隔に対応する目盛り50の値を読み取り、目盛り50において、対応表から読み取った値の位置でFPC10をカットことにより、図4(a)に示す、複数の超音波振動子300の配列位置とFPC10における複数の配線パターン30の位置とが一致する位置CでFPC10をカットすることができる。
【0058】
以上のように、本発明における第3の実施形態におけるFPC10を用いることで、第1の実施形態と同様に、製造する超音波探触子1における超音波振動子300の幅に合わせて、ベースフィルム20に複数の配線パターン30を形成しなくても、コストを抑え効率よく超音波探触子1を製造することができる。
【0059】
<第4の実施形態>
図4(b)は本発明にかかる第4の実施形態における、測定した抵抗値からフレキシブルプリント基板の延在方向の長さを把握するための配線パターンを示す図である。図4(b)におけるCは、複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配置位置と一致する位置である。
【0060】
図4(b)に示すように、第4の実施形態におけるFPC10は、ベースフィルム20と、配線パターン30と、抵抗値測定用配線パターン60とを有する。第4の実施形態は、抵抗値測定用配線パターン60以外の構成は、第2の実施形態と同じである。そのため、重複する箇所については、記載を省略する。
【0061】
抵抗値測定用配線パターン60は、FPC10の表面に延在するように形成されている。抵抗値測定用配線パターン60は、使用材料および形成方法は配線パターン30と同様である。
ここで、抵抗値R(Ω)は一般に、以下の数式(1)で表される。ρは、低効率(Ω・m)、lは、長さ(m)、Sは、断面積(m)である。
【0062】
(数1)
R=ρ×l/S ・・・・(1)
【0063】
数式(1)より、抵抗値Rは長さlに比例する。
したがって、抵抗値測定用配線パターン60の抵抗値を測定することにより、目盛り50と同様にFPC10の延在方向の長さを把握することができる。
したがって、第3の実施形態と同様に、抵抗値測定用配線パターン60の抵抗値に基づいて、FPC10をカットすることにより、複数の配線パターン30それぞれの間隔が所望の間隔となるFPC10を得ることができる。なお、抵抗値測定用配線パターン60を別途設けなくても、配線パターン30の抵抗値を測定することで上記と同様の効果が得られる。
【0064】
以下より、本発明にかかる第4の実施形態における超音波探触子1の製造方法について説明する。第4の実施形態における超音波探触子1の製造方法は、FPC10をカットするステップST20以外は、第1の実施形態と同じである。そのため、重複する箇所については、記載を省略する。
【0065】
FPC10とバッキング材100とをカットする(ST20)。
【0066】
FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するように、FPC10とバッキング材100とをカットする。バッキング材100にFPC10を挟み込んでからカットすることにより、カットした面においてバッキング材100とFPC10とを容易に面一にすることができる。面一とすることで、ステップST30において、容易にベタ電極200を形成することができる。
【0067】
FPC10とバッキング材100とをカットする際、FPC10の端面における複数の配線パターン30それぞれの間隔を測定しながらFPC10をカットしても良いが、バッキング材100の影響で測定し難い場合でも、FPC10の延在する方向に沿ってFPC10に形成されている抵抗値測定用配線パターン60の抵抗値を測定し、当該抵抗値に基づいて、FPC10をカットすることができる。
【0068】
一般に抵抗値は長さに比例するため、抵抗値測定用配線パターン60の抵抗値を測定することによりFPC10の長さを把握することができる。また、FPC10の延在方向の長さが複数の配線パターン30のそれぞれの間隔と対応している。そのため、たとえば、予め複数の配線パターン30の間隔と抵抗値測定用配線パターン60の抵抗値との対応表を作成し、対応表から所望の配線パターン30の間隔に対応する抵抗値測定用配線パターン60の抵抗値を読み取る。そして、抵抗値測定用配線パターン60の両端部に抵抗測定器の端子を当て、抵抗値測定用配線パターン60の両端部の抵抗値を測定し、読み取った抵抗値になるまでFPC10をカットすることにより、FPC10の端面における複数の配線パターン30の位置が、複数の超音波振動子300の配列位置と一致するFPC10を得ることができる。
【0069】
以上のように、本発明における第4の実施形態におけるFPC10を用いることで、第1の実施形態と同様に、製造する超音波探触子1における超音波振動子300の幅に合わせて、ベースフィルム20に複数の配線パターン30を形成しなくても、コストを抑え効率よく超音波探触子1を製造することができる。
【0070】
なお、上記の本実施形態における超音波探触子1は、本発明の超音波探触子に相当する。また、本実施形態のフレキシブルプリント基板10は、本発明のフレキシブルプリント基板に相当する。また、本実施形態のベースフィルム20は、本発明の電気絶縁性の基板に相当する。また、本実施形態の目盛り50は、本発明の目盛りに相当する。また、本実施形態の抵抗値測定用配線パターン60は、本発明の配線パターンに相当する。また、本実施形態のバッキング材100は、本発明のバッキング材に相当する。また、本実施形態の超音波振動子300は、本発明の超音波振動子に相当する。
【0071】
なお、本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【0072】
本発明の実施形態において、FPC10は、超音波探触子1の製造に用いられているが、これに限定されず、部品の種類によって、FPCにおける配線パターンの間隔が様々な間隔を必要とする電子機器の製造にも用いることができる。
本発明の実施形態における超音波探触子1の製造方法において、FPC10をバッキング材100に挟み込み、FPC10とバッキング材100とをカットした後、バッキング材100にベタ電極200を形成し、当該ベタ電極200に超音波振動子300を積層しているが、これに限定されず、たとえば、FPC10をカットして、当該FPC10を直接超音波振動子300に接着し、超音波振動子300とバッキング材100の間にFPC10を挟みこんでもよい。
本発明の実施形態における超音波探触子1の製造方法において、ステップ2において使用しているFPC10は第3の実施形態におけるFPC10であるが、これに限定されず、第1の実施形態におけるFPC10、第2の実施形態におけるFPC10、第3の実施形態におけるFPC10などを使用してもよい。
また、本発明の実施形態における超音波探触子1の製造方法において、FPC10をバッキング材100に挟み込んでからカットしているが、これに限定されず、FPC10をカットしてからバッキング材100に挟み込んでもよい。
また、本発明の第3の実施形態におけるFPC10を示す図4(a)において、複数の配線パターン30それぞれの間隔は、FPC10の延在方向に沿って連続的に狭まっているが、これには限定されず、段階的に狭まっていてもよい。
また、本発明の第4の実施形態におけるFPC10を示す図4(b)において、複数の配線パターン30それぞれの間隔は、FPC10の延在方向に沿って段階的に狭まっているが、これには限定されず、連続的に狭まっていてもよい。
また、本発明の第3の実施形態、第4の実施形態において、FPC10の延在方向に沿ってFPC10の表面に形成される目印は、FPC10の延在方向の長さを示す目盛り、FPC10の延在方向の長さを把握するための抵抗値を測定するための配線パターンであるが、これには限定されず、たとえば、複数の配線パターン30のそれぞれの間隔を示す数字であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明にかかる本実施形態におけるフレキシブルプリント基板を用いて製造した超音波探触子の概略図である。
【図2】図2は、本発明にかかるフレキシブルプリント基板の配線パターン形状を示す図であり、図2(a)は、本発明にかかる第1の実施形態におけるフレキシブルプリント基板を示す図であり、図2(b)は、本発明にかかる第2の実施形態におけるフレキシブルプリント基板を示す図である。
【図3】図3は、本発明にかかる本実施形態におけるフレキシブルプリント基板を用いた超音波探触子の製造方法のフロー図である。
【図4】図4は、本発明にかかるフレキシブルプリント基板の延在方向に沿ってフレキシブルプリント基板の表面に形成される目印を示す図であり、図4(a)は、本発明にかかる第3の実施形態における、フレキシブルプリント基板の延在方向に沿って形成されているフレキシブルプリント基板の長さを示す目盛りを示す図であり、図4(b)は本発明にかかる第4の実施形態における、測定した抵抗値からフレキシブルプリント基板の延在方向の長さを把握するための配線パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1:超音波探触子(超音波探触子)
10:フレキシブルプリント基板(フレキシブルプリント基板)
20:ベースフィルム(電気絶縁性の基板)
30:配線パターン(配線パターン)
50:目盛り(目盛り)
60:抵抗値測定用配線パターン(配線パターン)
100:バッキング材(バッキング材)
200:ベタ電極
300:超音波振動子(超音波振動子)
400:整合層
500:音響レンズ
A:配線パターンそれぞれの間隔
B:配線パターンそれぞれの間隔
C:複数の超音波振動子の位置と複数の配線パターンの位置とが対応する位置
D:配線パターンそれぞれの間隔が変化しない部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性の基板の表面に複数の配線パターンが延在するように形成されているフレキシブルプリント基板であって、
複数の前記配線パターンそれぞれは、互いの間隔が前記基板の延在する方向に沿って狭まるように形成されている部分を含む
フレキシブルプリント基板。
【請求項2】
前記配線パターンの間隔が連続的に狭まるように形成されている
請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項3】
前記配線パターンの間隔が段階的に狭まるように形成されている
請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項4】
前記基板は、前記基板の延在する方向に沿って目印を有する
請求項1から3のいずれかに記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項5】
前記目印が、前記基板の延在する方向の長さを表す目盛りである
請求項4に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項6】
前記基板は、さらに配線パターンが延在するように形成されている
請求項1から3のいずれかに記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項7】
バッキング材を有し、
前記バッキング材に前記基板を挟み込むことにより形成される
請求項1から6のいずれかに記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項8】
前記バッキング材の音響インピーダンスが2×10g/(cm・sec)〜10×10g/(cm・sec)である
請求項7に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項9】
配列されている複数の超音波振動子と、
電気絶縁性の基板の表面に、複数の前記超音波振動子と接続される複数の配線パターンが、複数の超音波振動子の配列方向に沿って間隔を隔てて並べられているフレキシブルプリント基板と
を有する超音波探触子の製造方法であって、
前記フレキシブルプリント基板をカットするカットステップを有し、
前記カットステップにおいて使用する前記フレキシブルプリント基板は、前記基板が前記超音波振動子の配列方向と異なる方向に延在しており、複数の前記配線パターンそれぞれの間隔が前記基板の延在方向に沿って狭まるように複数の前記配線パターンが延在している部分を含み
前記カットステップにおいて、複数の前記超音波振動子の配列位置と前記フレキシブルプリント基板における複数の前記配線パターンの位置とが対応するように、前記フレキシブルプリント基板をカットする
超音波探触子の製造方法。
【請求項10】
前記フレキシブルプリント基板における複数の前記配線パターンが、前記基板の延在する方向に沿って間隔が連続的に狭まるように延在している
請求項9に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項11】
前記フレキシブルプリント基板における複数の前記配線パターンが、前記基板の延在する方向に沿って、間隔が段階的に狭まるように延在している
請求項9に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項12】
前記フレキシブルプリント基板に沿って前記フレキシブルプリント基板に付された目印に基づいて、前記フレキシブルプリント基板をカットする
請求項9から11のいずれかに記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項13】
前記フレキシブル基板に延在するように形成された配線パターン抵抗値を測定し、当該抵抗値に基づいて、前記フレキシブルプリント基板をカットする
請求項9から11のいずれかに記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項14】
前記カットステップの前に、前記フレキシブルプリント基板における複数の前記超音波振動子の配列位置に対応する複数の前記配線パターンの位置を含むように、前記フレキシブルプリント基板をバッキング材で挟むステップを有し、
前記カットステップにおいて、前記フレキシブルプリント基板と前記フレキシブルプリント基板を挟んでいるバッキング材を同時にカットする
請求項9から13のいずれかに記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項15】
前記バッキング材の音響インピーダンスが2×10g/(cm・sec)〜10×10g/(cm・sec)である
請求項14に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項16】
配列されている複数の超音波振動子と、
電気絶縁性の基板の表面に、複数の前記超音波振動子と接続される複数の配線パターンが、複数の超音波振動子の配列方向に沿って間隔を隔てて並べられているフレキシブルプリント基板と
を有する超音波探触子であって、
前記フレキシブルプリント基板は、前記基板が前記超音波振動子の配列方向と異なる方向に延在しており、複数の前記配線パターンそれぞれの間隔が前記基板の延在方向に沿って狭まるように複数の前記配線パターンが延在している部分を含み
複数の前記超音波振動子の配列位置と前記フレキシブルプリント基板における複数の前記配線パターンの位置とが対応するように、前記フレキシブルプリント基板をカットすることにより製造される
超音波探触子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−6009(P2008−6009A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178705(P2006−178705)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】