説明

フレキシブルプリント基板の製造方法及びフレキシブルプリント基板

【課題】フレキシブルプリント基板の出力端子部にメッキリード配線を接続してメッキ蒸着処理を行う場合において、出力端子部に端子が設けられていない配線の端子に対してもメッキ蒸着を施す。
【解決手段】フレキシブルプリント基板10の製造方法は、絶縁フィルム101上に導体膜102をパターニングして入力端子部13及び出力端子部12に複数の端子を形成する第一工程と、導体膜102及び絶縁フィルム101上に絶縁材104を成膜する第二工程とを含み、第一工程において、出力端子部12に端子が設けられていないNC配線19等と、該NC配線等に接続されているグランド配線16と、を更に形成し、第二工程に次いで、出力端子部12から電流を流して入力端子部13及び出力端子部12等に配置された複数の端子をメッキ蒸着する第三工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板の製造方法及びフレキシブルプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の小型化に追随して、液晶表示装置に用いられるフレキシブルプリント基板の小型化が強く望まれている。そこでメインのフレキシブルプリント基板に外部機器出力端子部を形成し、これにバックライト装置やタッチパネル等を接続させることで、バックライト用又はタッチパネル用のフレキシブルプリント基板を省略している。かかる構成の場合、メインのフレキシブルプリント基板上に外部機器接続用の配線が引き回され、その端子が外部機器出力端子部及び入力端子部に配置される。この場合、入力端子部においては、元から配置されている端子に加えて外部機器接続用の配線の端子が配置されることとなる。このように、近年では、入力端子部に配置される端子数が増大する傾向にあるため、入力端子部においては、各端子を千鳥状に配置して、入力端子部の幅(複数の端子が配列された方向に沿った長さ)が出来るだけ増大しないようにしている。
【0003】
ここで、特許文献1には、基板の縁部に形成された端子部の先端にメッキリード配線を接続して基板上の端子にメッキを施す技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−18157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献に記載されているように、上記構成のフレキシブルプリント基板の入力端子部にメッキリード配線を接続してメッキ蒸着処理を行う場合、入力端子部の各端子は千鳥状に配置されているためメッキ蒸着完了後にメッキリード配線を直線状の切断線に沿って切除すると入力端子部に配置される幾つかの端子の先端にメッキ蒸着配線がバリとして残ってしまう。入力端子部にバリが残っていると、ドライバとの接続時に接続不良を引き起こす場合がある。
【0006】
したがってメッキリード配線を出力端子部に接続してメッキ蒸着処理を行う必要がある。出力端子部に配置される端子数は入力端子部に配置される端子数とは異なり、フレキシブルプリント基板を外部機器に接続したことによって端子数は増大することはない。このため、出力端子部においては各端子の接続をより確実なものとするため、千鳥状ではなく全ての端子が所定の直線上に配置されるように整列して設けられている。従って、メッキリード配線を直線状の切断線に沿って切除した際に、出力端子部に配置されている全ての端子が切断されたフレキシブルプリント基板の端辺において露出するようにメッキリード配線を切除することができ、バリが残らない。しかし、上記外部機器接続用配線は入力端子部から外部機器出力端子部まで引き回されているものであり、出力端子部には引き回されていない。したがって出力端子部にメッキリード配線を接続してメッキ蒸着処理を行っても、外部機器接続用配線の端子にはメッキを施すことができなかった。
【0007】
また、フレキシブルプリント基板上には、信号が入力されない配線又は利用されない信号が入力される配線(以下、NC配線)が設けられている場合がある。このNC配線は、入力端子部から引き回されているが、出力端子部や外部機器出力端子部には引き回されていない。したがってメッキリード配線を出力端子部に接続してメッキ蒸着を行う場合、上記外部機器接続用配線の場合と同様、NC配線の端子に対してもメッキを施すことができない。
【0008】
そこで本発明は、フレキシブルプリント基板の出力端子部にメッキリード配線を接続してメッキ蒸着処理を行う場合において、出力端子部に端子が設けられていない配線(外部機器接続配線やNC配線)の端子に対してもメッキ蒸着を施すことが可能なフレキシブルプリント基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
絶縁フィルム上に導体膜を成膜し、前記導体膜をパターニングすることで、ドライバが接続される入力端子部と、第一電子部材が接続される出力端子部と、に複数の端子を形成する第一工程と、
次いで前記導体膜及び前記絶縁フィルム上に絶縁材を成膜する第二工程と、を含むフレキシブルプリント基板の製造方法であって、
前記第一工程において更に、第二電子部材が接続される外部機器出力端子部に配置される複数の端子と、前記入力端子部に端子が設けられ前記出力端子部及び前記外部機器出力端子部には端子が設けられていないNC配線と、前記入力端子部及び前記外部機器出力端子部に端子が設けられ前記出力端子部には端子が設けられていない外部機器接続配線と、前記出力端子部及び前記入力端子部にそれぞれ端子が設けられ且つ基板本体部のメッキ用接続領域において前記NC配線及び前記外部機器接続配線が接続されているグランド配線と、を前記入力端子部及び前記出力端子部の形成と同時に形成し、
前記第二工程に次いで、前記出力端子部に形成された複数の端子を介して電流を流し、前記入力端子部、前記出力端子部及び前記外部機器出力端子部に配置された複数の端子をメッキ蒸着する第三工程を含むことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法が提供される。
【0010】
上記フレキシブルプリント基板の製造方法において、好ましくは、前記第三工程に次いで、前記基板本体部の前記メッキ用接続領域を各配線ごと切り抜き、前記グランド配線と前記NC配線と前記外部機器接続配線とを互いに開放する第四工程を含む。
上記フレキシブルプリント基板の製造方法において、好ましくは、前記第一工程において、前記メッキ用接続領域の縁部と前記NC配線とが交差する第一交差点と、前記メッキ用接続領域の縁部と前記外部機器接続配線とが交差する第三交差点との間の距離が、前記メッキ用接続領域の縁部と前記グランド配線とが交差する第二交差点と、前記第三交差点との間の距離よりも長くなるように、前記NC配線、前記グランド配線及び前記外部機器接続配線を形成する。
上記フレキシブルプリント基板の製造方法において、好ましくは、前記第四工程において、前記メッキ用接続領域の縁部と前記NC配線とが交差する第一交差点と、前記メッキ用接続領域の縁部と前記外部機器接続配線とが交差する第三交差点との間の距離が、前記メッキ用接続領域の縁部と前記グランド配線とが交差する第二交差点と、前記第三交差点との間の距離よりも長くなるように、前記基板本体部を各配線ごと切り抜く。
上記フレキシブルプリント基板の製造方法において、好ましくは、前記第一工程において、前記メッキ用接続領域の縁部に沿って、前記メッキ用接続領域の縁部と前記NC配線とが交差する第一交差点、前記メッキ用接続領域の縁部と前記グランド配線とが交差する第二交差点、前記メッキ用接続領域の縁部と前記外部機器接続配線とが交差する第三交差点、の順に配置されるように、前記NC配線、前記グランド配線及び前記外部機器接続配線を形成する。
上記フレキシブルプリント基板の製造方法において、好ましくは、前記第四工程において、前記メッキ用接続領域の縁部に沿って、前記メッキ用接続領域の縁部と前記NC配線とが交差する第一交差点、前記メッキ用接続領域の縁部と前記グランド配線とが交差する第二交差点、前記メッキ用接続領域の縁部と前記外部機器接続配線とが交差する第三交差点、の順に配置されるように、前記基板本体部を各配線ごと切り抜く。
上記フレキシブルプリント基板の製造方法において、好ましくは、前記第四工程において、前記メッキ用接続領域として前記基板本体部を楕円形状、円形状、矩形状、正方形状、三角形状及び多角形状のいずれかの形状に前記各配線ごと切り抜く。
上記フレキシブルプリント基板の製造方法において、好ましくは、前記第二電子部材はタッチパネル又はバックライト装置である。
上記フレキシブルプリント基板の製造方法において、好ましくは、前記第一電子部材は液晶表示パネルである。
【0011】
また、本発明の他の態様によれば、
基板本体部と、
前記基板本体部に形成され、ドライバが接続される入力端子部と、
前記基板本体部に形成され、第一電子部材が接続される出力端子部と、を有するフレキシブルプリント基板であって、
第二電子部材が接続される外部機器出力端子部と、
前記入力端子部に端子が設けられ、前記出力端子部及び前記外部機器出力端子部には端子が設けられていないNC配線と、
前記入力端子部及び前記外部機器出力端子部に端子が設けられ、前記出力端子部には端子が設けられていない外部機器接続配線と、を更に有し、
前記基板本体部のメッキ用接続領域において、前記出力端子部から前記入力端子部まで引き回されたグランド配線に前記NC配線と前記外部機器接続配線とが接続されていることを特徴とするフレキシブルプリント基板が提供される。
【0012】
上記フレキシブルプリント基板において、好ましくは、前記入力端子部には複数の端子が千鳥状に配置されている。
上記フレキシブルプリント基板において、好ましくは、前記入力端子部、前記出力端子部及び前記外部機器出力端子部に配置された複数の端子はメッキされ、
前記基板本体部の前記メッキ用接続領域は配線ごと切り抜かれ、前記グランド配線、前記NC配線及び前記外部機器接続配線が前記メッキ用接続領域の縁部で切断されていることにより、互いに非導通とされている。
上記フレキシブルプリント基板において、好ましくは、前記基板本体部の前記メッキ用接続領域の縁部において、前記NC配線の切断された第一端部と前記外部機器接続配線の切断された第三端部との間の直線距離が、前記グランド配線の切断された第二端部と前記第三端部との間の直線距離よりも長くなるように、前記NC配線、前記グランド配線及び前記外部機器接続配線が配置されている。
上記フレキシブルプリント基板において、好ましくは、前記基板本体部の前記メッキ用接続領域の縁部に沿って、前記NC配線の切断された第一端部、前記グランド配線の切断された第二端部、前記外部機器接続用配線の切断された第三端部の順に、前記第一端部、前記第二端部及び前記第三端部が配置されるように、前記NC配線、前記グランド配線及び前記外部機器接続配線が配置されている。
上記フレキシブルプリント基板において、好ましくは、前記第二電子部材はタッチパネル又はバックライト装置である。
上記フレキシブルプリント基板において、好ましくは、前記第一電子部材は液晶表示パネルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フレキシブルプリント基板の出力端子部にメッキリード配線を接続してメッキ蒸着処理を行う場合において、出力端子部に端子が設けられていない配線(外部機器接続配線やNC配線)の端子に対してもメッキ蒸着を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】液晶表示装置を示した分解斜視図である。
【図2】フレキシブルプリント基板を模式的に示した正面図である。
【図3】フレキシブルプリント基板の一部を模式的に示した拡大正面図である。
【図4】フレキシブルプリント基板の断面の一部を模式的に示した拡大断面図である。
【図5】フレキシブルプリント基板の第一の変形例であって、フレキシブルプリント基板の一部を模式的に示した拡大正面図である。
【図6】フレキシブルプリント基板の第二の変形例であって、フレキシブルプリント基板の一部を模式的に示した拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る表示装置100を示した分解斜視図であり、図2は、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板10を模式的に示した正面図であり、図3は、フレキシブルプリント基板10の一部であって、カットホール111の周辺を模式的に示した拡大正面図である。図1に示すように表示装置100は、液晶表示パネル1、バックライト装置2及びタッチパネル3等からなる。
【0017】
液晶表示パネル1は、アクティブマトリクス方式の液晶表示パネルであり、第一透明基板6と第二透明基板7が液晶層(図示省略)を介して対向配置されて構成されている。第一透明基板6と第二透明基板7の互いに向き合う内面には、第一と第二の透明電極(図示省略)が設けられている。第一と第二の透明電極は、電圧の印加により液晶層の液晶分子の配向状態を変化させて光の透過を制御する複数の画素をマトリクス状に形成している。また、第一透明基板6の後面には偏光板(図示省略)が貼り付けられ、第二透明基板7の前面には偏光板8が貼り付けられている。また、第一透明基板6には、第二透明基板7から張り出す張出部61が形成されている。張出部61には表示用駆動回路9が搭載されている。そして張出部61には、表示用駆動回路9にLCDドライバ(図示省略)からの制御信号を供給するためのフレキシブルプリント基板10が接続されている。
【0018】
フレキシブルプリント基板10は、図2に示すように、基板本体部11上に複数の配線及び端子が設けられて構成されている。基板本体部11の一端部側(張出部61に接続されている側)の縁部には出力端子部12が形成され、出力端子部12を介してフレキシブルプリント基板10の一端部が第一透明基板6の張出部61に接続されている。また、基板本体部11の他端部側の縁部には入力端子部13が形成され、入力端子部13を介してフレキシブルプリント基板10がLCDドライバに接続されている。更に、基板本体部11の中腹部分には外部機器出力端子部14が形成されており、これによりフレキシブルプリント基板10がバックライト装置2やタッチパネル3等と接続される。
【0019】
基板本体部11上には、通常配線15、グランド配線16、バックライト用配線(外部機器接続配線)17、タッチパネル用配線(外部機器接続配線)18及びNC配線19等がパターニングされている。通常配線15及びグランド配線16は、入力端子部13から出力端子部12まで引き回され、その入力端子151,161が入力端子部13に、出力端子152,162が出力端子部12に配置されている。バックライト用配線17及びタッチパネル用配線18は、外部機器出力端子部14を介してバックライト装置2及びタッチパネル3に制御信号を供給するための信号配線である。したがってバックライト用配線17及びタッチパネル用配線18は、入力端子部13から外部機器出力端子部14まで引き回され、その入力端子171,181が入力端子部13に、出力端子172,182が外部機器出力端子部14に配置されている。NC配線19は、入力端子部13から基板本体部11上の何れかの位置まで引き回され、その入力端子191が入力端子部13に配置されている。
このようにバックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19の端子は入力端子部13には設けられているが、出力端子部12には設けられていない。またNC配線19の端子は外部機器出力端子部14にも設けられていない。したがって入力端子部13に設けられている端子の数は出力端子部12よりも多く、入力端子部13では各端子が千鳥状に配置されることで入力端子部13の複数の端子が配列された方向に沿った幅が増大することが防止されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、基板本体部11にはカットホール111が設けられている。このカットホール111は、基板本体部11上のメッキ用接続領域112を、該領域上にパターニングされた配線ごと切り抜いて形成された楕円形状の孔である。このカットホール111及びメッキ用接続領域112は、基板本体部11上において各配線の邪魔にならないような位置に設けられている。
カットホール111が形成される前の段階においては、メッキ用接続領域112上にはグランド配線16がパターニングされており、該メッキ用接続領域112上においてバックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19がグランド配線16に接続されるように引き回されている。このように構成されていることにより、フレキシブルプリント基板10の製造時に、グランド配線16を介してバックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19の各端子に電流を流し、メッキを施すことができる。
【0021】
ところで、フレキシブルプリント基板の一部を配線ごと切り抜いてカットホールを形成する場合、カットホールの縁部において各種配線の切断部がバリとなって、人体又はケースからバックライトやタッチパネルに落ちた静電気がその配線の切断部でスパークすることがある。このスパークした静電気が隣接するNC配線に落ちた場合、NC配線及びその端子等を介してLCDドライバが破壊されてしまう場合がある。なお、バックライト用配線やタッチパネル用配線の各端子には静電気が落ちることを前提として静電気保護素子が設けられているため、バックライト用配線やタッチパネル用配線を介してLCDドライバ等が破壊されることは防止されている。また、NC配線の端子に静電気保護素子を設けることも考えられるが製造コストが増大する。
【0022】
図2及び図3に示すように、カットホール111のNC配線19の切断部をNC配線端部(第一端部)193、同じくグランド配線16の切断部をグランド配線端部(第二端部)163、バックライト用配線17の切断部をバックライト用配線端部(第三端部)173、タッチパネル用配線18の切断部をタッチパネル用配線端部(第三端部)183とすると、各配線16〜19は次のようにパターニングされている。すなわち、NC配線端部193と、複数のバックライト用配線端部173及びタッチパネル用配線端部183のうちNC配線端部193に最も近いものとの直線距離H1が、複数のグランド配線端部163のうちNC配線端部193に最も近いものと、複数のバックライト用配線端部173及びタッチパネル用配線端部183のうちNC配線端部193に最も近いものとの直線距離H2よりも長くなるように各種配線16〜19がパターニングされている(図3参照)。また、図3に示すように、カットホール111の縁部に沿って、NC配線端部193、グランド配線端部163、バックライト用配線端部173又はタッチパネル用配線端部183の順に配置するように各種配線16〜19がパターニングされている。
これにより、NC配線端部193が、バックライト用配線端部173やタッチパネル用配線端部183から離れて配置されるので、カットホール111においてスパークした静電気がNC配線19に落ちることを抑制することができる。また、NC配線端部193よりもグランド配線端部163の方がバックライト用配線端部173やタッチパネル用配線端部183の近くに配置されているので、カットホール111においてスパークした静電気はグランド配線16に落ち易く、NC配線19に落ちにくい。
なお、本実施形態では、メッキ用接続領域112を楕円形の形状に形成して、メッキ用接続領域112を、該領域上にパターニングされた配線ごと切り抜いているが、この他にもメッキ用接続領域112は種々の形状に形成してもよい。また、例えば、メッキ用接続領域112の形状を比較的単純な形状である、楕円形状、円形状、矩形状、正方形状、三角形状及びその他の多角形状などに形成した場合、基板本体部を切り抜くためのカッターの刃の形状を単純なものとすることができる。
【0023】
バックライト装置2は、図1に示すように、液晶表示パネル1の後面に対向して配置され、液晶表示パネル1に光を供給する光源装置である。バックライト装置2は、導光板21、拡散シート22、第一プリズムシート23、第二プリズムシート24、光源25及び光源用基板26等を有している。導光板21は液晶表示パネル1に対向し、一辺の側面には入射面27が設けられ、前面には出射面28が設けられている。該導光板21の前面上に、拡散シート22、第一プリズムシート23及び第二プリズムシート24が各一枚ずつ積層されている。拡散シート22は、導光板21の出射面28から射出された光を拡散して輝度を均一にする光学シートである。第一プリズムシート23及び第二プリズムシート24は、拡散シート22によって拡散された光を屈折させて、導光板21の法線方向における光の強度を高くする光学シートである。光源25は光源用基板26の後面に取り付けられ、導光板21の入射面27に対向して配置されている。光源用基板26は上記外部機器出力端子部14に配置された出力端子172に接続される。また、導光板21の後面側には導光板21の後面から漏れ出た光を導光板21に向けて反射する反射シート(図示省略)が設けられている。これにより、光源25から射出された光が導光板21の入射面27に入射して導光板21の出射面28から出射し、各光学シート23〜25を透過して液晶表示パネル1に光が供給される。
【0024】
タッチパネル3は、図1に示すように、矩形状の静電容量方式のタッチパネルであり、液晶表示パネル1の前面に対向して配置されている。タッチパネル3は、透明な絶縁基板の前面及び後面に導電膜からなる透明電極が形成され、これが透明樹脂に覆われて構成されている。タッチパネル3の一辺の側面にはタッチパネル用基板31が設けられている。タッチパネル用基板31は、上記外部機器出力端子部14に配置された出力端子182に接続される。
【0025】
ここで、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板10の製造方法について説明する。図4は、図2に示すフレキシブルプリント基板10のIV-IV切断線から見た拡大断面図である。なお、図4においては各部材間に設けられる接着層を省略して示す。
【0026】
まず絶縁フィルム101の両面に導体膜102,103を成膜する。この導体膜102,103をパターニングすることで、通常配線15、グランド配線16、バックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19等の各配線が形成されるとともに、出力端子部12、入力端子部13及び外部機器出力端子部14の各領域に複数の端子が形成される。このとき、グランド配線16がメッキ用接続領域112を通過して引き回されるようにパターニングする。また、バックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19がメッキ用接続領域112上まで引き回され、該メッキ用接続領域112上においてグランド配線16に接続されるようにパターニングする(第一工程)。なお、図4の導体膜102は外部機器出力端子部14の出力端子172とバックライト用配線17とを示している。
【0027】
ここで、NC配線19がメッキ用接続領域112の縁部と交差する箇所をNC配線交差点(第一交差点)119とし、同じくグランド配線16がメッキ用接続領域112の縁部と交差する箇所をグランド配線交差点(第二交差点)116とし、バックライト用配線17がメッキ用接続領域112の縁部と交差する箇所をバックライト用配線交差点(第三交差点)117とし、タッチパネル用配線18がメッキ用接続領域112の縁部と交差する点をタッチパネル用配線交差点(第三交差点)118とする。
上記第一工程において、NC配線交差点119と、複数のバックライト用配線交差点117及びタッチパネル用配線交差点118のうちNC配線交差点119に最も近いものとの距離が、複数のグランド配線交差点116のうちNC配線交差点119に最も近いものと、複数のバックライト用配線交差点117及びタッチパネル用配線交差点118のうちNC配線交差点119に最も近いものとの距離よりも長くなるように、各種配線16〜19をパターニングする。また、メッキ用接続領域112の縁部において、NC配線交差点119、グランド配線交差点116、バックライト用配線交差点117又はタッチパネル用配線交差点118の順に配置されるように各種配線16〜19をパターニングする。
【0028】
次いで絶縁フィルム101及び導体膜102,103上に、絶縁材104,105を成膜する。このとき、導体膜102,103のうち出力端子部12、入力端子部13及び外部機器出力端子部14上の各端子になる部分において、導体膜102,103が露出するように絶縁材104,105を設ける(第二工程)。
【0029】
そして出力端子部12にメッキリード配線を接続して電流を流し、各端子にメッキ蒸着を施す。バックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19の端子は出力端子部12に設けられていないが、グランド配線16に接続されているため、グランド配線16を介してこれらの配線17〜19の端子にもメッキが施される。したがって、出力端子部12、入力端子部13及び外部機器出力端子部14の各領域に設けられた全ての端子上にメッキ部106が形成される(第三工程)。なお、図4のメッキ部106は外部機器出力端子部14の出力端子172を覆うように形成されている。
【0030】
基板本体部11のメッキ用接続領域112を、メッキ用接続領域112上に引き回されたグランド配線16、バックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19ごと切り抜いて、カットホール111を形成する。これによりグランド配線16、バックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19が互いに開放される(第四工程)。以上のようにして、フレキシブルプリント基板10が製造される。
【0031】
ここで、図5及び図6を参照してフレキシブルプリント基板10の二つの変形例について説明する。
【0032】
図5は、第一の変形例に係るフレキシブルプリント基板10aの一部であって、カットホール111aの周辺を模式的に示した拡大正面図である。
カットホール111a形成前においては、バックライト用配線17a、タッチパネル用配線18a及びNC配線19aがメッキ用接続領域112aにおいてグランド配線16aに接続されている。そしてカットホール111aの周辺においてバックライト用配線17a、タッチパネル用配線18a及びNC配線19aは互いに隣接しておらず、各配線17a〜19aの両側にはグランド配線16aがパターニングされている。すなわちバックライト用配線17aとタッチパネル用配線18aとの間、タッチパネル用配線18aとNC配線19aとの間、NC配線19aとバックライト用配線17aとの間にそれぞれグランド配線16aが引き回されている。なお、グランド配線16aはバックライト用配線17a同士の間、タッチパネル用配線18a同士の間に、それぞれ1本おきに設けられていてもよい。
【0033】
第一の変形例によれば、カットホール111aにおいてバックライト用配線17aとタッチパネル用配線18aとがそれぞれグランド配線16aに隣接して配置されているため、カットホール111aでスパークが発生しても静電気がグランド配線16aに落ち易くなっている。これによりNC配線19aに静電気が落ちることを効果的に抑制でき、LCDドライバの破壊が抑制される。
【0034】
図6は、第二の変形例に係るフレキシブルプリント基板10bの一部であって、カットホール111bの周辺を模式的に示した拡大正面図である。
第二の変形例においては、グランド配線16b、バックライト用配線17b、タッチパネル用配線18b及びNC配線19bは上記第一の変形例と同じようにパターニングされている。ただし、カットホール111bの形状が第一の変形例の場合と異なり、NC配線19bをより多く切り抜いたような形状に形成されている。これによりカットホール111bのNC配線端部193bが、バックライト用配線端部173bやタッチパネル用配線端部183bから離れて配置されている。したがってカットホール111bで静電気がスパークしてもNC配線19に静電気が落ちにくく、LCDドライバの破壊も抑制される。
【0035】
以上、本実施形態によれば、フレキシブルプリント基板10のメッキ用接続領域112において、グランド配線16にバックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19が接続され、このメッキ用接続領域112が切り抜かれてカットホール111が形成されていることにより、出力端子部12にメッキリード配線を接続してバックライト用配線17、タッチパネル用配線18及びNC配線19の各端子にメッキを施すことができる。
【0036】
カットホール111において、NC配線端部193が、グランド配線端部163よりもバックライト用配線端部173及びタッチパネル用配線端部183から離れて配置されているので、カットホール111でスパークが発生してもその静電気がNC配線19に落ちにくく、グランド配線16に落ち易い。また、カットホール111において、NC配線端部193とバックライト用配線端部173やタッチパネル用配線端部183との間にグランド配線端部163が配置されているため、スパークした静電気がNC配線19に落ちにくくなっている。これによりフレキシブルプリント基板10に接続されたLCDドライバが破壊されることを抑制できる。
【0037】
更に、カットホール111においてバックライト用配線17の両側及びタッチパネル用配線18の両側にグランド配線16を配置することにより、カットホール111でスパークした静電気をグランド配線16に落ち易くすることができ、NC配線19に静電気を落ちにくくすることができる。また、NC配線19を大きく切り抜くようにしてカットホール111を形成することにより、バックライト用配線端部173やタッチパネル用配線端部183からNC配線端部193を離して配置することができる。これによりNC配線19に更に静電気が落ちにくくすることができる。
【0038】
なお、フレキシブルプリント基板10の各配線及び各端子の構成は図示例に限られるものではない。また、図示例においてグランド配線16は他の各種配線15,17〜19と同じ太さに形成されているが、グランド配線16はより太い方が好ましい。
また、表示装置100は液晶表示パネル1を備えるものであるが、液晶表示パネル1の代わりにEL(Electro Luminescence)表示パネル、PDP(Plasma Display Panel)表示パネル又はOLED(Organic light-Emitting Diode)表示パネル等を備えるものであってもよい。かかる場合には、バックライト装置2は設けられていなくてよい。
また、タッチパネル3は静電容量方式によるものとしたが、抵抗膜方式、光学方式、電磁誘導方式又は超音波方式の何れかの方式によるものであってもよい。更に、タッチパネル3は設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 液晶表示パネル
2 バックライト装置
3 タッチパネル
4 液晶表示素子
10 フレキシブルプリント基板
11 基板本体部
12 出力端子部
13 入力端子部
14 外部機器出力端子部
16 グランド配線
17 バックライト用配線(外部機器接続配線)
18 タッチパネル用配線(外部機器接続配線)
19 NC配線
100 表示装置
101 絶縁フィルム
102 導体膜
103 導体膜
104 絶縁材
105 絶縁材
112 メッキ用接続領域
116 グランド配線交差点(第二交差点)
117 バックライト用配線交差点(第三交差点)
118 タッチパネル用配線交差点(第三交差点)
119 NC配線交差点(第一交差点)
163 グランド配線端部(第二端部)
173 バックライト用配線端部(第三端部)
183 タッチパネル用配線端部(第三端部)
193 NC配線端部(第一端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルム上に導体膜を成膜し、前記導体膜をパターニングすることで、ドライバが接続される入力端子部と、第一電子部材が接続される出力端子部と、に複数の端子を形成する第一工程と、
次いで前記導体膜及び前記絶縁フィルム上に絶縁材を成膜する第二工程と、を含むフレキシブルプリント基板の製造方法であって、
前記第一工程において更に、第二電子部材が接続される外部機器出力端子部に配置される複数の端子と、前記入力端子部に端子が設けられ前記出力端子部及び前記外部機器出力端子部には端子が設けられていないNC配線と、前記入力端子部及び前記外部機器出力端子部に端子が設けられ前記出力端子部には端子が設けられていない外部機器接続配線と、前記出力端子部及び前記入力端子部にそれぞれ端子が設けられ且つ基板本体部のメッキ用接続領域において前記NC配線及び前記外部機器接続配線が接続されているグランド配線と、を前記入力端子部及び前記出力端子部の形成と同時に形成し、
前記第二工程に次いで、前記出力端子部に形成された複数の端子を介して電流を流し、前記入力端子部、前記出力端子部及び前記外部機器出力端子部に配置された複数の端子をメッキ蒸着する第三工程を含むことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項2】
前記第三工程に次いで、前記基板本体部の前記メッキ用接続領域を各配線ごと切り抜き、前記グランド配線と前記NC配線と前記外部機器接続配線とを互いに開放する第四工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項3】
前記第一工程において、前記メッキ用接続領域の縁部と前記NC配線とが交差する第一交差点と、前記メッキ用接続領域の縁部と前記外部機器接続配線とが交差する第三交差点との間の距離が、前記メッキ用接続領域の縁部と前記グランド配線とが交差する第二交差点と、前記第三交差点との間の距離よりも長くなるように、前記NC配線、前記グランド配線及び前記外部機器接続配線を形成することを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項4】
前記第四工程において、前記メッキ用接続領域の縁部と前記NC配線とが交差する第一交差点と、前記メッキ用接続領域の縁部と前記外部機器接続配線とが交差する第三交差点との間の距離が、前記メッキ用接続領域の縁部と前記グランド配線とが交差する第二交差点と、前記第三交差点との間の距離よりも長くなるように、前記基板本体部を各配線ごと切り抜くことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項5】
前記第一工程において、前記メッキ用接続領域の縁部に沿って、前記メッキ用接続領域の縁部と前記NC配線とが交差する第一交差点、前記メッキ用接続領域の縁部と前記グランド配線とが交差する第二交差点、前記メッキ用接続領域の縁部と前記外部機器接続配線とが交差する第三交差点、の順に配置されるように、前記NC配線、前記グランド配線及び前記外部機器接続配線を形成することを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項6】
前記第四工程において、前記メッキ用接続領域の縁部に沿って、前記メッキ用接続領域の縁部と前記NC配線とが交差する第一交差点、前記メッキ用接続領域の縁部と前記グランド配線とが交差する第二交差点、前記メッキ用接続領域の縁部と前記外部機器接続配線とが交差する第三交差点、の順に配置されるように、前記基板本体部を各配線ごと切り抜くことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項7】
前記第四工程において、前記メッキ用接続領域として前記基板本体部を楕円形状、円形状、矩形状、正方形状、三角形状及び多角形状のいずれかの形状に前記各配線ごと切り抜くことを特徴とする請求項2から6の何れか一項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項8】
前記第二電子部材はタッチパネル又はバックライト装置であることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項9】
前記第一電子部材は液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項10】
基板本体部と、
前記基板本体部に形成され、ドライバが接続される入力端子部と、
前記基板本体部に形成され、第一電子部材が接続される出力端子部と、を有するフレキシブルプリント基板であって、
第二電子部材が接続される外部機器出力端子部と、
前記入力端子部に端子が設けられ、前記出力端子部及び前記外部機器出力端子部には端子が設けられていないNC配線と、
前記入力端子部及び前記外部機器出力端子部に端子が設けられ、前記出力端子部には端子が設けられていない外部機器接続配線と、を更に有し、
前記基板本体部のメッキ用接続領域において、前記出力端子部から前記入力端子部まで引き回されたグランド配線に前記NC配線と前記外部機器接続配線とが接続されていることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項11】
前記入力端子部には複数の端子が千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項12】
前記入力端子部、前記出力端子部及び前記外部機器出力端子部に配置された複数の端子はメッキされ、
前記基板本体部の前記メッキ用接続領域は配線ごと切り抜かれ、前記グランド配線、前記NC配線及び前記外部機器接続配線が前記メッキ用接続領域の縁部で切断されていることにより、互いに非導通とされていることを特徴とする請求項10又は11に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項13】
前記基板本体部の前記メッキ用接続領域の縁部において、前記NC配線の切断された第一端部と前記外部機器接続配線の切断された第三端部との間の直線距離が、前記グランド配線の切断された第二端部と前記第三端部との間の直線距離よりも長くなるように、前記NC配線、前記グランド配線及び前記外部機器接続配線が配置されていることを特徴とする請求項12に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項14】
前記基板本体部の前記メッキ用接続領域の縁部に沿って、前記NC配線の切断された第一端部、前記グランド配線の切断された第二端部、前記外部機器接続用配線の切断された第三端部の順に、前記第一端部、前記第二端部及び前記第三端部が配置されるように、前記NC配線、前記グランド配線及び前記外部機器接続配線が配置されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項15】
前記第二電子部材はタッチパネル又はバックライト装置であることを特徴とする請求項10から14の何れか一項に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項16】
前記第一電子部材は液晶表示パネルであることを特徴とする請求項10から15の何れか一項に記載のフレキシブルプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−74583(P2012−74583A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218982(P2010−218982)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】