説明

フレキシブルプリント配線板の実装構造

【課題】 フレキシブルプリント配線板の実装構造において、省スペース化を図るとともにデザイン的価値を向上させる。
【解決手段】 フレキシブルプリント配線板13の一端部には接続部15が設けられ、他端部には部品実装部14が設けられている。折り曲げ部16においてフレキシブルプリント配線板13を折り曲げることにより、部品実装部14の第1の部品実装部17と第2の部品実装部18とが対向する。第1および第2の部品実装部17,18のそれぞれに搭載される高さの低い部品19,21を対向させ、外形の大きい部品20は折り曲げ部16に近接した位置に搭載する。フレキシブルプリント配線板13と直交するセンサ部23の中央部に配置されたタッチセンサ24Bと装置筺体の中央線G−Gとを合致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器内に実装されるフレキシブルプリント配線板の実装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板の可撓性を有する性質を利用して、当該フレキシブルプリント配線板を折り曲げて装置筺体内に実装することが行われている。図8は従来のフレキシブルプリント配線板の平面図である。同図において、13は矢印A−B方向に延在するフレキシブルプリント配線板であって、矢印B方向の端部には部品実装部14が設けられており、矢印A方向の端部には接続部15が設けられている。部品実装部14には、矢印C方向に延在するセンサ部23が一体に設けられており、このセンサ部23には三つのタッチセンサ24Aないし24Cが等間隔をおいて設けられている。このフレキシブルプリント配線板13は、接続部15を矢印B方向へ指向させるように折り曲げ部16において折り曲げ、接続部15が装置筺体内の端子に電気的に接続される。
【0003】
この従来のフレキシブルプリント配線板の実装構造においては、フレキシブルプリント配線板を装置筺体内に実装する際、装置筺体内にデッドスペースを設けないようにするため、折り曲げ部16を極力部品実装部14側に位置付ける必要がある。このため、部品実装部14の矢印A−B方向の寸法Lを長くするのに限界があり、必然的に幅方向(フレキシブルプリント配線板の平面方向)の寸法Wが長くなる。したがって、このフレキシブルプリント配線板を装置筐体に実装した場合に、装置筐体の幅方向の中心G−G線とセンサ部23の中央に位置するタッチセンサ24Bとが合致しなくなる場合があり、デザイン的に不利になるという問題があった。
【0004】
また、フレキシブルプリント配線板をU字状に折り曲げて第1層およびこれに平行な第2層ならびにこれに平行な第3層を形成し、第1層および第2層の間に部品を搭載させ、第2層および第3層に設けた接続部にケーブルを電気的に接続させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−14868号公報(段落〔0033〕および〔0034〕、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した後者の従来のフレキシブルプリント配線板の実装構造においても、第1層および第2層に分担して部品を搭載するようにしているものの、部品を対向させるように搭載していないため、依然としてフレキシブルプリント配線板の平面方向の寸法が大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、省スペース化を図るとともにデザイン的価値を向上させたフレキシブルプリント配線板の実装構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、一端部に部品実装部が設けられ他端部に電気的に接続される接続部が設けられたフレキシブルプリント配線板を前記部品実装部と前記接続部との間において折り曲げて実装するフレキシブルプリント配線板の実装構造であって、前記フレキシブルプリント配線板を折り曲げることにより前記部品実装部に互いに対向する第1および第2の部品実装部を設け、これら第1および第2の部品実装部に部品を互いに対向させて搭載する。
【0008】
本発明は、前記発明において、搭載する前記部品のうち相対的に外形の大きい部品を折り曲げ位置に近接させる。
【0009】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、搭載する前記部品のうち相対的に外形の小さい部品を互いに対向させる。
【0010】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記フレキシブルプリント配線板に、当該フレキシブルプリント配線板の延在方向と直交する方向に一列に配設された複数のタッチセンサを一体に設け、これら複数のタッチセンサの中心と、当該タッチセンサが実装される装置筐体の中央部とを一致させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1および第2の部品実装部に部品を互いに対向させて搭載することにより、フレキシブルプリント配線板の面方向における部品の搭載効率が向上するため省スペース化を図ることができる。
【0012】
前記発明のうちの一つの発明によれば、フレキシブルプリント配線板を折り曲げることによる部品に対する負荷を軽減することができる。
【0013】
前記発明のうちの一つの発明によれば、デザイン的価値を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係るフレキシブルプリント配線板の実装構造を採用した電子機器をリアー側から視た分解斜視図、図2は同じくフロント側から視た斜視図、図3は同じく平面図、図4はフレキシブルプリント配線板の平面図、図5はフレキシブルプリント配線板の斜視図、図6は図3におけるVI-VI 線断面図、図7は図6におけるVII 部の拡大図である。
【0015】
図1および図2に全体を符号1で示す電子機器は、底が浅いフロントケース2と略平板状に形成されたリアーケース3とによって筺体が形成されている。フロントケース2の前面側には、図2に示すように表示部5が設けられ、一端部にはタッチセンサスクリーン6が取り付けられる長方形の窓7が設けられている。また、フロントケース2の裏面側には、図1に示すように制御基板8が搭載されており、四隅にはスタッド9が一体に立設されている。
【0016】
リアーケース3の四隅には、ねじ10が挿通される挿通孔11が設けられている。このような構成において、リアーケース3をフロントケース2に載置し、挿通孔11に挿通させたねじ10をスタッド9に螺合させることにより、リアーケース3とフロントケース2とが接合されて筺体が形成される。
【0017】
図4に符号13で示すものは矢印A−B方向に延在するフレキシブルプリント配線板であって、矢印B方向の端部に部品実装部14が設けられ、矢印A方向側の端部に接続部15が設けられている。このフレキシブルプリント配線板13は、部品実装部14の中央部に設けた図中一点鎖線で示す折り曲げ部16において接続部15を矢印B方向に指向させるように折り曲げることにより、図1に示すように接続部15が制御基板8の端子部(図示せず)に電気的に接続される。
【0018】
部品実装部14には、折り曲げ部16を挟んで矢印B方向側に第1の部品実装部17が設けられ、矢印A方向側に第2の部品実装部18が設けられている。第1の部品実装部17には、相対的に外形寸法が小さくかつ相対的に高さ方向の寸法H1(図7参照)が小さい部品19が搭載されており、これら部品19は第1の部品実装部17において、折れ曲げ部16から相対的に離間した部位に搭載されている。
【0019】
第2の部品実装部18には、相対的に外形寸法が大きくかつ相対的に高さ方向の寸法H2が大きい部品20と、相対的に外形寸法が小さくかつ相対的に高さ方向の寸法H3が小さい部品21が搭載されている。このうち、部品20は部品21と比較して折れ曲げ部16に近接した位置に搭載され、図7に示すように第1の部品実装部17の部品20に対向する部位には部品が搭載されていない。一方、第1の部品実装部17には、部品21に対向するように部品19が搭載されている。
【0020】
図4において、23は第1の部品実装部17から矢印A−B方向と直交する方向である矢印C方向に延在しフレキシブルプリント配線板13と一体に形成されたセンサ部であって、三つのタッチセンサ24Aないし24Cが矢印C−D方向に互いに誤動作を起こさない程度に等間隔をおいて設けられている。このセンサ部23は、フロントケース2の窓7に臨むように、タッチセンサスクリーン6を介してフロントケース2に取り付けられる。
【0021】
このように、部品実装部14に第1および第2の部品実装部17,18をフレキシブルプリント配線板13の延在方向である矢印A−B方向に設け、フレキシブルプリント配線板13を折れ曲げ部16において折り曲げることにより、これら第1および第2の部品実装部17,18に搭載した部品19,21を対向させるようにしたため、フレキシブルプリント配線板13の平面方向における部品の搭載効率が向上する。
【0022】
このため、省スペース化を図ることができるとともに、部品実装部14の矢印C−D方向の寸法Wを短くすることができる。部品実装部14の矢印C−D方向の寸法Wを短くすることができることにより、センサ部23の矢印C−D方向における配置に自由度が増すため、図4に示すように装置筺体の矢印C−D方向の中心G−G線とセンサ部23の中央部のタッチセンサ24Bとの位置を合致させることが可能になり、合致させることによりデザイン的価値を向上させることができる。
【0023】
また、剥がれに対して相対的に強い外形寸法の大きい部品20を折れ曲げ部16に近接した位置に搭載し、剥がれに対して相対的に弱い外形寸法の小さい部品19,21を折れ曲げ部16から離間した位置に搭載したことにより、部品に対する負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るフレキシブルプリント配線板の実装構造を採用した電子機器をリアー側から視た分解斜視図である。
【図2】本発明に係るフレキシブルプリント配線板の実装構造を採用した電子機器をフロント側から視た斜視図である。
【図3】本発明に係るフレキシブルプリント配線板の実装構造を採用した電子機器の平面図である。
【図4】本発明に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【図5】本発明に係るフレキシブルプリント配線板の斜視図である。
【図6】図3におけるVI-VI 線断面図である。
【図7】図6におけるVII 部の拡大図である。
【図8】従来のフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…電子機器、2…フロントケース、3…リアーケース、13…フレキシブルプリント配線板、14…部品実装部、15…接続部、16…折れ曲げ部、17…第1の部品実装部、18…第2の部品実装部、19,20,21…部品、23…センサ部、24Aないし24C…タッチセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に部品実装部が設けられ他端部に電気的に接続される接続部が設けられたフレキシブルプリント配線板を前記部品実装部と前記接続部との間において折り曲げて実装するフレキシブルプリント配線板の実装構造であって、
前記フレキシブルプリント配線板を折り曲げることにより前記部品実装部に互いに対向する第1および第2の部品実装部を設け、これら第1および第2の部品実装部に部品を互いに対向させて搭載することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の実装構造。
【請求項2】
搭載する前記部品のうち相対的に外形の大きい部品を折り曲げ位置に近接させることを特徴とする請求項1記載のタッチセンサの実装構造。
【請求項3】
搭載する前記部品のうち相対的に外形の小さい部品を互いに対向させることを特徴とする請求項1または2記載のタッチセンサの実装構造。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント配線板に、当該フレキシブルプリント配線板の延在方向と直交する方向に一列に配設された複数のタッチセンサを一体に設け、これら複数のタッチセンサの中心と、当該タッチセンサが実装される装置筐体の中央部とを一致させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のフレキシブルプリント配線板の実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−147393(P2010−147393A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325467(P2008−325467)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】