フレキシブル基板用防水コネクタ
【課題】接続端子のバネ性を確保した状態で、かつコネクタ内の防水を図ったフレキシブル基板用防水コネクタの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のフレキシブル基板用防水コネクタは、絶縁フィルム上に導体パターンが形成されたフレキシブル基板と;フレキシブル基板の端末部にて導体パターンと接合された接続端子と;接続端子を内部に収容するハウジングと;上下一対の部材よりなり、その先端部分が導体パターンと接続端子との接続部を挾持し、その後端部分でフレキシブル基板を包囲するリテーナと;リテーナ内周のフレキシブル基板との非接合部分と、リテーナの外周とに配されフレキシブル基板とリテーナとを密着・固定するホットメルトと;リテーナの外周に配された係止手段と;ハウジングに配された被係止手段と;を備え、係止手段と被係止手段とが互いに係止されてリテーナとハウジングとが固定されている。
【解決手段】本発明のフレキシブル基板用防水コネクタは、絶縁フィルム上に導体パターンが形成されたフレキシブル基板と;フレキシブル基板の端末部にて導体パターンと接合された接続端子と;接続端子を内部に収容するハウジングと;上下一対の部材よりなり、その先端部分が導体パターンと接続端子との接続部を挾持し、その後端部分でフレキシブル基板を包囲するリテーナと;リテーナ内周のフレキシブル基板との非接合部分と、リテーナの外周とに配されフレキシブル基板とリテーナとを密着・固定するホットメルトと;リテーナの外周に配された係止手段と;ハウジングに配された被係止手段と;を備え、係止手段と被係止手段とが互いに係止されてリテーナとハウジングとが固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板の電気的接続に用いられるコネクタ関し、接続個所の防水を図ったフレキシブル基板用防水コネクタに関する。
本願は、2008年1月15日に、日本国に出願された特願2008−005663号と、2008年12月02日に、日本国に出願された特願2008−307445号とに基づき優先権を主張し、これらの内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブル基板を自動車へ応用することが多くなってきている。この際、フレキシブル基板とワイヤ導体とを一つの端子で相互接続することが要求されている。特に自動車等に応用する場合では、接続部分を防水構造にして保護し、信頼性の高い接続を維持することが重要である。そこで、フレキシブル基板とワイヤ導体とを相互接続する電気端子が、組立が容易なケースハウジングに収容され、効果的に防水されるフレキシブル基板用防水コネクタが要望されている。
【0003】
従来のフレキシブル基板用防水コネクタとしては、例えば図15に示すように、絶縁フィルム111上に導電パターン112が形成されたフレキシブル基板110と;このフレキシブル基板110の端末部にて導電パターン112と接合された板状の接合端部を有する金属製の接続端子120と;この接続端子120を内部に収容するハウジング130と;を備えたものが挙げられる。この従来のフレキシブル基板用防水コネクタ100では、フレキシブル基板110の端末部の導電パターン112と接続端子120の接合端部とが、例えば抵抗溶接(シリーズ溶接等)により接合されて、接続部が形成されている。この接続部は、第1の樹脂モールド部125により封止されている。更に、この接続部は、ハウジング130のコネクタ嵌合方向の基端側に形成された接続部収容孔131内に収容されている。そして、第2の樹脂モールド部126により、ハウジング130の基端部が密封されている。
このフレキシブル基板用防水コネクタ100は、接続端子120が形成されたフレキシブル基板110を、例えばポリアミド系のホットメルト樹脂からなる第1の樹脂モールド部125により接続部を封止し、ハウジング130の接続部収容孔131に収容した後、同様のホットメルト樹脂からなる第2の樹脂モールド部126によりハウジング130の基端部を密封することで得られる。そのため、同一設備(例えば、ホットメルト充填装置等)での一括作業により、防水加工を施したフレキシブル基板用防水コネクタ100を製造できる。ゆえに、加工費の増加を防止し、フレキシブル基板用防水コネクタの製造コストの上昇を抑えられる。また、例えば新たにワイヤーシール等をフレキシブル基板の端末部に取付けて防水処理を施す必要がない。そのため、材料費も削減できる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−170627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ100では、接続端子120のバネ性により、フレキシブル基板110と接続している接続端子120を使用する場合、その接続部をホットメルトで固めてしまうとバネ性を失ってしまう。その結果、接続安定性が得られないという欠点があった。また、ホットメルト部分(第2の樹脂モールド部126)がハウジング130の外部にむき出しとなっている。そのため、コネクタ100の取扱い上の際に加わる外力が、まずホットメルト部分(第2の樹脂モールド部126)に付加される。これにより、ホットメルト部分が欠けたり、傷ついたり、ハウジング130との密着性が弱くなり、固着力や防水性が低下するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、接続端子のバネ性を確保した状態で、かつコネクタ内の防水を図ったフレキシブル基板用防水コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を採用した。
(1)本発明のフレキシブル基板用防水コネクタは、絶縁フィルム上に導体パターンが形成されたフレキシブル基板と;前記フレキシブル基板の端末部にて前記導体パターンと接合された接続端子と;前記接続端子を内部に収容するハウジングと;上下一対の部材よりなり、その先端部分が前記導体パターンと前記接続端子との接続部を挾持し、かつその後端部分でフレキシブル基板を包囲するリテーナと;前記リテーナ内周のフレキシブル基板との非接合部分と、前記リテーナの外周とに配され、前記フレキシブル基板とリテーナとを密着・固定するホットメルトと;さらに前記リテーナの外周に配された係止手段と;前記ハウジングに配された被係止手段と;を備え、前記係止手段と前記被係止手段とが互いに係止されて、前記リテーナと前記ハウジングとが固定されている。
(2)前記リテーナの前記後端部分の互いに対向する面に、複数の小突起が配されているのが好ましい。
(3)前記接続部はバネ性を有し、前記リテーナの前記先端部分は、前記接続部のバネ性を阻害しないように、前記接続部を挾持しているのが好ましい。
(4)前記ホットメルトは、前記リテーナの前記後端部分の内部からはみでず、この後端部分で包囲された前記フレキシブル基板の周囲を取り囲むように配置されているのが好ましい。
(5)前記リテーナの外周に配された前記ホットメルトの外周に、更にシール部材を備えるのが好ましい。
(6)前記接続端子はメス端子であり、前記ハウジングはメスハウジングであり、このメスハウジングが嵌合されるオスハウジングを更に備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)に記載のフレキシブル基板用防水コネクタによれば、フレキシブル基板の端末部と接続端子との接合部分におけるバネ性を確保した状態で、ホットメルトによる固定を行える。またホットメルト部分に外部から加わる力を低減できるため、固着及び防水性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に関るフレキシブル基板用防水コネクタを示す分解斜視図である。
【図2】図2は、同実施形態における、フレキシブル基板とメス端子とをメスハウジングに収容した状態の斜視図である。
【図3】図3は、図2に示すメスハウジングをオスハウジングに嵌合させた状態の斜視図である。
【図4】図4は、同実施形態における、上側のリテーナを取付ける前のフレキシブル基板とメス端子の斜視図である。
【図5】図5は、同実施形態における、上側のリテーナを取付けた状態の斜視図である。
【図6】図6は、図5の半断面の斜視図である。
【図7】図7は、同実施形態におけるメスハウジングをオスハウジングに嵌合した状態の断面図である。
【図8】図8は、同実施形態におけるメス端子とリテーナの個所の拡大斜視図である。
【図9】図9は、図8の下方から見た斜視図である。
【図10】図10は、同実施形態におけるメス端子接続部の拡大斜視図である。
【図11】図11は、図10のA―A線断面図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態に関るフレキシブル基板用防水コネクタを示す分解斜視図である。
【図13】図13は、同実施形態のリテーナの展開斜視図である。
【図14】図14は、同実施形態のリテーナ近傍の断面斜視図である。
【図15】図15は、従来のフレキシブル基板用防水コネクタを模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好適な実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に関るフレキシブル基板用防水コネクタ11を、模式的に示した分解斜視図である。本実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタ11は、絶縁フィルム上に導体パターン(図示せず)が形成されたフレキシブル基板1と;このフレキシブル基板1の端末部にて導体パターンと電気的に接合された接続端子(メス端子)2と;この接続端子(メス端子)2を内部に収容するハウジング(メスハウジング)3と;を備えている。また、このメスハウジング3は、オスハウジング4に嵌入される。この際、接続端子2は、オスハウジング4に形成されたオス端子8と電気的に接続される。
【0012】
フレキシブル基板1の導体パターンと接合端子2との接続部αは、上下一対の第一部材5と第二部材6とからなるリテーナの先端部分によって、挾持されている。このリテーナの後端部分は、フレキシブル基板1を包囲している。さらに詳しくいうと、リテーナには、第一部材5と第二部材6とを重ね合わせた状態で、フレキシブル基板1と接続端子2とが接合された接続部αが配置されるスペースが形成されている。このスペースは、第一部材5に形成された第一凹部54と、第二部材6に形成された第二凹部64とからなる。
第一部材5に形成された孔50と、第二部材6に形成された孔60とから、リテーナの内部に液状のホットメルトを注入した際に、このスペース内にホットメルト7が浸入しないよう、第一部材5及び第二部材6には段差部53,63がそれぞれ形成されている。このスペースの直後(段差部53,63)にて、フレキシブル基板1は直接挾まれている。
【0013】
第一部材5及び第二部材6の、段差部51,61の後側には、ホットメルト7が充填される孔50,60が形成されている。この孔50,60を通じてホットメルト7がリテーナとフレキシブル基板1との間に充填される。この際、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の後端部分のフレキシブル基板1を包囲する内周の、フレキシブル基板との非接合部分55,65にも、ホットメルト7が充填される。このとき、ホットメルト7はリテーナ(第一部材5及び第二部材6)の内周から外へはみ出ない。
図4は、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の外周と内周(内部空間)とに充填されたホットメルト7を示す斜視図である。図4に示すように、非接触部分55,65に充填され、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の内周で固化したホットメルト7aにより、フレキシブル基板1の挿入口(リテーナの後端部分側)から接続端子2部分への浸水が防止される。
【0014】
ホットメルト7は、図5に示すように、リテーナの外周の少なくとも一部を覆い、第一部材5及び第二部材6を固定するように配されている。これにより、フレキシブル基板1とリテーナとが密着・固定される。この状態で第一部材5及び第二部材6は一体化し、ひとつのリテーナとして機能する。
第一部材5及び第二部材6は、後述する第二実施形態のように、その長手方向の一側面側をヒンジで連結し、第一部材5と第二部材6とをつなげたものとしてもよい。
【0015】
オスハウジング4には、接続端子(メス端子)2に嵌入し、この接続端子と電気的に接続されるオス端子8が設けてある。
メスハウジング3の先端側にはハウジングシール9が配されて、両ハウジング3、4の嵌合部分のシールを図っている。このハウジングシール9としては、例えば、オーリング、封止樹脂、オイル等が挙げられる。
【0016】
ホットメルト7の外周には、図6、図7に示すように、シーリング部材10が配されている。シーリング部材10は、メスハウジング3とホットメルト7の外周との間、ひいてはフレキシブル基板1のシールを図っている。このシーリング部材10としては、例えばゴムパッキン、オーリング、封止樹脂、オイル等が挙げられる。
シーリング部材10のメスハウジング3と接触する面には、溝が形成されている。これにより、シーリング部材10とメスハウジング3との密着性の向上を図っている。一方、シーリング部材10のホットメルト7と接触する面には、リング状の凸部が形成されている。これにより、シーリング部材10とホットメルト7とのずれを抑制し、密着性の向上を図っている。ゆえに、シーリング部材10とメスハウジング3との界面、及びシーリング部材10とホットメルト7との界面からの浸水を抑制できる。
【0017】
図2は、フレキシブル基板1をメスハウジング3へ収容した状態の斜視図である。リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の外周には、それぞれ係止手段(爪部5A、6A)が形成されている。一方、ハウジング(メスハウジング)3には、被係止手段(係止孔5B、6B)が形成されている。これらの係止手段(爪部5A、6A)と被係止手段(係止孔5B、6B)とを係止させて、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)とハウジング3とが固定されている。
【0018】
図3は、メスハウジング3をオスハウジング4に嵌合させた状態を示す斜視図である。メスハウジング3の外周には、バネ片30が形成されている。一方、オスハウジング4には、係合部40が形成されている。このバネ片30を係合部40に係止させて、メスハウジング3とオスハウジング4とが固定されている。
【0019】
図7は、メスハウジング3をオスハウジング4に嵌合させた状態の、孔50,60の個所を通る断面図である。リテーナ(第一部材5及び第二部材6)のそれぞれの爪部5Aが、メスハウジング3の係止孔5B、6B(図1参照)に係合している。また、メスハウジング3に形成されたバネ片30が、オスハウジング4の係合部40に係合している。
フレキシブル基板1はリテーナ(第一部材5及び第二部材6)とホットメルト7を介して接着され、爪部5A、6Aはメスハウジング3の係止孔5B、6Bに係合され、ホットメルト7はメスハウジング3の外部には配置されていない。そのため、図7において、フレキシブル基板1を右手方向に引っ張る力(コネクタ取扱い上の負荷)が作用したとき、接続部αに直接的に負荷はかからないようになっている。
また、フレキシブル基板1に対して、その周囲を取り囲むようにホットメルト7が配されている。これにより、フレキシブル基板1とホットメルト7との接着面積を大きくし、接着力を高めている。
メス端子2の、フレキシブル基板1との接続部αのバネ性は、この部分をホットメルト7で固めていないために確保されている。
【0020】
本実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタ11の浸水経路は、フレキシブル基板1とホットメルト7との界面(第1の浸水経路)、シーリング部材10とホットメルト7との界面(第2の浸水経路)、及びハウジングシール9とメスハウジング3との界面(第3の浸水経路)、の3ヶ所である。第1の浸水経路は、ホットメルト7がフレキシブル基板1に密着するために、その経路が遮断されている。第2の浸水経路は、シーリング部材10の圧縮により、その経路が遮断されている。第3の浸水経路は、ハウジングシール9の圧縮により、その経路が遮断されている。
【0021】
図8及び図9は、メス端子2とリテーナ(第一部材5及び第二部材6)の先端部分との関係を示す部分的な拡大斜視図である。本実施形態では、メス端子2とフレキシブル基板1との接続部αを、従来のようにホットメルト7で固めていない。そのため、メス端子2をメスハウジング3に挿入する際のサポートとして、第一部材5に端子支持突部50Aが形成されている。メス端子2の両側折曲端面2Aは、第一部材5の一対の端子支持突部50A間の先端壁で押されるようになっている。この端子支持突部50Aは、メス端子2の左右の傾きを防止する。
【0022】
フレキシブル基板1とメス端子2との接続構造の一例としては、図10及び図11に示すものが挙げられる。この例では、フレキシブル基板1に形成された孔1Aに、メス端子2の先端側上下の板のうち、下板2Bに形成されたバレル20が挿入されている。これらバレル20を内側へ折り曲げて上板2Cを抱きかかえるように、上板2Cを下板2B側に引き寄せてフレキシブル基板1にメス端子2が取付けられている。上板2Cと下板2Bとでフレキシブル基板1を挾んだ状態は、図11に示すようになる。図11は、図10のA−A断面図である。
上板2Cの中間には、幅方向に細長い突起部21が配されている。また、上板2Cの突起部21に隣り合う位置には、長手方向に細長く形成された突起部22、23が配されている。これらの突起部21〜23でフレキシブル基板1を下板2Bに押し付けている。
一方、下板2Bにも、これら突起部21〜23に対応した突起部24〜26が配されている。上板2Cと同様に、下板2Bの中間には、この下板2Bの長手方向に細長い突起部24が形成されている。また、下板2Bの突起部24の隣り合う位置には、下板2Bの幅方向に細長く形成された突起部25,26が配されている。突起部24〜26のうち、中間に位置する突起部24の突出高さが、他の突起部25、26よりも高くなっている。そのため、上板2Cの突起部21がフレキシブル基板1をバネ力により押さえつけることになる。ゆえに、突起部21、24によりフレキシブル基板1は波形に変形され、フレキシブル基板1は確実に挾持される。
【0023】
<第2実施形態>
図12は、本発明の第2実施形態に係るフレキシブル基板用防水コネクタ12を模式的に示した分解斜視図である。本実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタ12が、第1実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタ11と異なる点は、リテーナの後端部分の互いに対向する面5a,6aに、複数の小突起51,61が配されている点である。また、本実施形態では、リテーナは、第一部材5及び第二部材6の長手方向の一側面側をヒンジ56で連結し、第一部材5と第二部材6とをつなげたものを用いている。
【0024】
図13は、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)のヒンジ56を折り曲げる前の開いた状態を示す斜視図である。小突起51,61は、例えば図13に示すように、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の後端部分の互いに対向する面5a,6aに、それぞれ6個ずつ配されている。ホットメルト7の充填用の孔50、60を挾んでそれぞれ2ケ設けられた合計4ケの小突起の列と、この4ケの小突起のうち、内側の2ケと並んで設けられた2ケの小突起の列とをリテーナ(第一部材5及び第二部材6)が有している。第一部材5に配された小突起51と、第二部材6に配された小突起61とは、対向して配置されている。この小突起51,61は、フレキシブル基板1を両面から挟持する。
ホットメルト7を孔50,60から充填する際、あるいは第一部材5側の面と第二部材6側の面とでホットメルトの冷却・固化のスピード等が異なると、フレキシブル基板1に歪みが生じる虞がある。本実施形態では、小突起51,61を設けることで、フレキシブル基板が両面から挟持されている。そのため、ホットメルトを充填する際や、第一部材5側の面と第二部材6側の面とでホットメルト7の冷却・固化のスピードが異なったとしても、この小突起51,61により、フレキシブル基板1を水平に挟持できる。
また、急激な温度変化等が起きた場合、ホットメルト7とリテーナとの線膨張係数の違いにより、ホットメルト7とリテーナとの接着界面がずれる虞がある。本実施形態では、小突起51,61を複数で配置することにより、この接着界面のずれを抑制できる。その結果、ホットメルト7とリテーナ5,6との密着性を保持できる。
以上より、本実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタでは、第1実施形態よりも更に、防水効果を高められる。
【0025】
本実施形態のリテーナは、第一部材5と第二部材6とが、その長手方向の一側面側をヒンジ56で連結されている。第一部材5には2つの係合突起52が配されている。第二部材6には、係合突起52と係合する2つの係合穴62が配されている。ヒンジ56の個所を折り曲げて第一部材5と第二部材6とを重ねたとき、第一部材5に形成された2つの係合突起52が第二部材6に形成された2つの係合穴62に挿入される。これにより、リテーナは、第一部材5と第二部材6とを重ねた状態で保持される。ゆえに、ずれが生じ難いリテーナが得られる。
この際、係合突起52間のフレキシブル基板1の両面は、それぞれ第一部材5と第二部材6に密着し、フレキシブル基板1は、2つの係合突起52の間に配置されている。第一部材5と第二部材6の小突起51、61が存在するスペースでは、フレキシブル基板の両面側に密閉された空間(孔50、60と被接触部分55,65がないとしたときに密閉される空間)が形成される。この空間と、非接触部分55,65とにホットメルト7が充填される。
【0026】
図14は、フレキシブル基板1を、ホットメルト7を介してリテーナ5、6で固定し、冷却固化したホットメルト7の外周にシーリング部材10を装着した状態の、小突起51、61の個所を通る半断面の斜視図である。上述したように、小突起51,61により、フレキシブル基板1が水平に挟持されている。
【0027】
上述した第1〜第2実施形態では、接続端子2とリテーナとシール部材10とが配されたフレキシブル基板を、メスハウジングを介してオスハウジングに嵌合した場合を説明したが、接続端子2とリテーナとシール部材10とが配されたフレキシブル基板1を直接、車両等のドアに貫通あるいは挿入する場合も有用である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のフレキシブル基板用防水コネクタは、フレキシブル基板の端末部と接続端子との接合部分におけるバネ性を確保した状態で、ホットメルトによる固定を行える。またホットメルト部分に外部から加わる力を低減できるため、固着及び防水性能を維持できる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・フレキシブル基板、2・・・接続端子(メス端子)、3・・・ハウジング(メスハウジング)、4・・・オスハウジング、5・・・第一部材、6・・・第二部材、7・・・ホットメルト、10・・・シーリング部材、11、12・・・フレキシブル基板用防水コネクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板の電気的接続に用いられるコネクタ関し、接続個所の防水を図ったフレキシブル基板用防水コネクタに関する。
本願は、2008年1月15日に、日本国に出願された特願2008−005663号と、2008年12月02日に、日本国に出願された特願2008−307445号とに基づき優先権を主張し、これらの内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブル基板を自動車へ応用することが多くなってきている。この際、フレキシブル基板とワイヤ導体とを一つの端子で相互接続することが要求されている。特に自動車等に応用する場合では、接続部分を防水構造にして保護し、信頼性の高い接続を維持することが重要である。そこで、フレキシブル基板とワイヤ導体とを相互接続する電気端子が、組立が容易なケースハウジングに収容され、効果的に防水されるフレキシブル基板用防水コネクタが要望されている。
【0003】
従来のフレキシブル基板用防水コネクタとしては、例えば図15に示すように、絶縁フィルム111上に導電パターン112が形成されたフレキシブル基板110と;このフレキシブル基板110の端末部にて導電パターン112と接合された板状の接合端部を有する金属製の接続端子120と;この接続端子120を内部に収容するハウジング130と;を備えたものが挙げられる。この従来のフレキシブル基板用防水コネクタ100では、フレキシブル基板110の端末部の導電パターン112と接続端子120の接合端部とが、例えば抵抗溶接(シリーズ溶接等)により接合されて、接続部が形成されている。この接続部は、第1の樹脂モールド部125により封止されている。更に、この接続部は、ハウジング130のコネクタ嵌合方向の基端側に形成された接続部収容孔131内に収容されている。そして、第2の樹脂モールド部126により、ハウジング130の基端部が密封されている。
このフレキシブル基板用防水コネクタ100は、接続端子120が形成されたフレキシブル基板110を、例えばポリアミド系のホットメルト樹脂からなる第1の樹脂モールド部125により接続部を封止し、ハウジング130の接続部収容孔131に収容した後、同様のホットメルト樹脂からなる第2の樹脂モールド部126によりハウジング130の基端部を密封することで得られる。そのため、同一設備(例えば、ホットメルト充填装置等)での一括作業により、防水加工を施したフレキシブル基板用防水コネクタ100を製造できる。ゆえに、加工費の増加を防止し、フレキシブル基板用防水コネクタの製造コストの上昇を抑えられる。また、例えば新たにワイヤーシール等をフレキシブル基板の端末部に取付けて防水処理を施す必要がない。そのため、材料費も削減できる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−170627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ100では、接続端子120のバネ性により、フレキシブル基板110と接続している接続端子120を使用する場合、その接続部をホットメルトで固めてしまうとバネ性を失ってしまう。その結果、接続安定性が得られないという欠点があった。また、ホットメルト部分(第2の樹脂モールド部126)がハウジング130の外部にむき出しとなっている。そのため、コネクタ100の取扱い上の際に加わる外力が、まずホットメルト部分(第2の樹脂モールド部126)に付加される。これにより、ホットメルト部分が欠けたり、傷ついたり、ハウジング130との密着性が弱くなり、固着力や防水性が低下するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、接続端子のバネ性を確保した状態で、かつコネクタ内の防水を図ったフレキシブル基板用防水コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を採用した。
(1)本発明のフレキシブル基板用防水コネクタは、絶縁フィルム上に導体パターンが形成されたフレキシブル基板と;前記フレキシブル基板の端末部にて前記導体パターンと接合された接続端子と;前記接続端子を内部に収容するハウジングと;上下一対の部材よりなり、その先端部分が前記導体パターンと前記接続端子との接続部を挾持し、かつその後端部分でフレキシブル基板を包囲するリテーナと;前記リテーナ内周のフレキシブル基板との非接合部分と、前記リテーナの外周とに配され、前記フレキシブル基板とリテーナとを密着・固定するホットメルトと;さらに前記リテーナの外周に配された係止手段と;前記ハウジングに配された被係止手段と;を備え、前記係止手段と前記被係止手段とが互いに係止されて、前記リテーナと前記ハウジングとが固定されている。
(2)前記リテーナの前記後端部分の互いに対向する面に、複数の小突起が配されているのが好ましい。
(3)前記接続部はバネ性を有し、前記リテーナの前記先端部分は、前記接続部のバネ性を阻害しないように、前記接続部を挾持しているのが好ましい。
(4)前記ホットメルトは、前記リテーナの前記後端部分の内部からはみでず、この後端部分で包囲された前記フレキシブル基板の周囲を取り囲むように配置されているのが好ましい。
(5)前記リテーナの外周に配された前記ホットメルトの外周に、更にシール部材を備えるのが好ましい。
(6)前記接続端子はメス端子であり、前記ハウジングはメスハウジングであり、このメスハウジングが嵌合されるオスハウジングを更に備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)に記載のフレキシブル基板用防水コネクタによれば、フレキシブル基板の端末部と接続端子との接合部分におけるバネ性を確保した状態で、ホットメルトによる固定を行える。またホットメルト部分に外部から加わる力を低減できるため、固着及び防水性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に関るフレキシブル基板用防水コネクタを示す分解斜視図である。
【図2】図2は、同実施形態における、フレキシブル基板とメス端子とをメスハウジングに収容した状態の斜視図である。
【図3】図3は、図2に示すメスハウジングをオスハウジングに嵌合させた状態の斜視図である。
【図4】図4は、同実施形態における、上側のリテーナを取付ける前のフレキシブル基板とメス端子の斜視図である。
【図5】図5は、同実施形態における、上側のリテーナを取付けた状態の斜視図である。
【図6】図6は、図5の半断面の斜視図である。
【図7】図7は、同実施形態におけるメスハウジングをオスハウジングに嵌合した状態の断面図である。
【図8】図8は、同実施形態におけるメス端子とリテーナの個所の拡大斜視図である。
【図9】図9は、図8の下方から見た斜視図である。
【図10】図10は、同実施形態におけるメス端子接続部の拡大斜視図である。
【図11】図11は、図10のA―A線断面図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態に関るフレキシブル基板用防水コネクタを示す分解斜視図である。
【図13】図13は、同実施形態のリテーナの展開斜視図である。
【図14】図14は、同実施形態のリテーナ近傍の断面斜視図である。
【図15】図15は、従来のフレキシブル基板用防水コネクタを模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好適な実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に関るフレキシブル基板用防水コネクタ11を、模式的に示した分解斜視図である。本実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタ11は、絶縁フィルム上に導体パターン(図示せず)が形成されたフレキシブル基板1と;このフレキシブル基板1の端末部にて導体パターンと電気的に接合された接続端子(メス端子)2と;この接続端子(メス端子)2を内部に収容するハウジング(メスハウジング)3と;を備えている。また、このメスハウジング3は、オスハウジング4に嵌入される。この際、接続端子2は、オスハウジング4に形成されたオス端子8と電気的に接続される。
【0012】
フレキシブル基板1の導体パターンと接合端子2との接続部αは、上下一対の第一部材5と第二部材6とからなるリテーナの先端部分によって、挾持されている。このリテーナの後端部分は、フレキシブル基板1を包囲している。さらに詳しくいうと、リテーナには、第一部材5と第二部材6とを重ね合わせた状態で、フレキシブル基板1と接続端子2とが接合された接続部αが配置されるスペースが形成されている。このスペースは、第一部材5に形成された第一凹部54と、第二部材6に形成された第二凹部64とからなる。
第一部材5に形成された孔50と、第二部材6に形成された孔60とから、リテーナの内部に液状のホットメルトを注入した際に、このスペース内にホットメルト7が浸入しないよう、第一部材5及び第二部材6には段差部53,63がそれぞれ形成されている。このスペースの直後(段差部53,63)にて、フレキシブル基板1は直接挾まれている。
【0013】
第一部材5及び第二部材6の、段差部51,61の後側には、ホットメルト7が充填される孔50,60が形成されている。この孔50,60を通じてホットメルト7がリテーナとフレキシブル基板1との間に充填される。この際、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の後端部分のフレキシブル基板1を包囲する内周の、フレキシブル基板との非接合部分55,65にも、ホットメルト7が充填される。このとき、ホットメルト7はリテーナ(第一部材5及び第二部材6)の内周から外へはみ出ない。
図4は、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の外周と内周(内部空間)とに充填されたホットメルト7を示す斜視図である。図4に示すように、非接触部分55,65に充填され、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の内周で固化したホットメルト7aにより、フレキシブル基板1の挿入口(リテーナの後端部分側)から接続端子2部分への浸水が防止される。
【0014】
ホットメルト7は、図5に示すように、リテーナの外周の少なくとも一部を覆い、第一部材5及び第二部材6を固定するように配されている。これにより、フレキシブル基板1とリテーナとが密着・固定される。この状態で第一部材5及び第二部材6は一体化し、ひとつのリテーナとして機能する。
第一部材5及び第二部材6は、後述する第二実施形態のように、その長手方向の一側面側をヒンジで連結し、第一部材5と第二部材6とをつなげたものとしてもよい。
【0015】
オスハウジング4には、接続端子(メス端子)2に嵌入し、この接続端子と電気的に接続されるオス端子8が設けてある。
メスハウジング3の先端側にはハウジングシール9が配されて、両ハウジング3、4の嵌合部分のシールを図っている。このハウジングシール9としては、例えば、オーリング、封止樹脂、オイル等が挙げられる。
【0016】
ホットメルト7の外周には、図6、図7に示すように、シーリング部材10が配されている。シーリング部材10は、メスハウジング3とホットメルト7の外周との間、ひいてはフレキシブル基板1のシールを図っている。このシーリング部材10としては、例えばゴムパッキン、オーリング、封止樹脂、オイル等が挙げられる。
シーリング部材10のメスハウジング3と接触する面には、溝が形成されている。これにより、シーリング部材10とメスハウジング3との密着性の向上を図っている。一方、シーリング部材10のホットメルト7と接触する面には、リング状の凸部が形成されている。これにより、シーリング部材10とホットメルト7とのずれを抑制し、密着性の向上を図っている。ゆえに、シーリング部材10とメスハウジング3との界面、及びシーリング部材10とホットメルト7との界面からの浸水を抑制できる。
【0017】
図2は、フレキシブル基板1をメスハウジング3へ収容した状態の斜視図である。リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の外周には、それぞれ係止手段(爪部5A、6A)が形成されている。一方、ハウジング(メスハウジング)3には、被係止手段(係止孔5B、6B)が形成されている。これらの係止手段(爪部5A、6A)と被係止手段(係止孔5B、6B)とを係止させて、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)とハウジング3とが固定されている。
【0018】
図3は、メスハウジング3をオスハウジング4に嵌合させた状態を示す斜視図である。メスハウジング3の外周には、バネ片30が形成されている。一方、オスハウジング4には、係合部40が形成されている。このバネ片30を係合部40に係止させて、メスハウジング3とオスハウジング4とが固定されている。
【0019】
図7は、メスハウジング3をオスハウジング4に嵌合させた状態の、孔50,60の個所を通る断面図である。リテーナ(第一部材5及び第二部材6)のそれぞれの爪部5Aが、メスハウジング3の係止孔5B、6B(図1参照)に係合している。また、メスハウジング3に形成されたバネ片30が、オスハウジング4の係合部40に係合している。
フレキシブル基板1はリテーナ(第一部材5及び第二部材6)とホットメルト7を介して接着され、爪部5A、6Aはメスハウジング3の係止孔5B、6Bに係合され、ホットメルト7はメスハウジング3の外部には配置されていない。そのため、図7において、フレキシブル基板1を右手方向に引っ張る力(コネクタ取扱い上の負荷)が作用したとき、接続部αに直接的に負荷はかからないようになっている。
また、フレキシブル基板1に対して、その周囲を取り囲むようにホットメルト7が配されている。これにより、フレキシブル基板1とホットメルト7との接着面積を大きくし、接着力を高めている。
メス端子2の、フレキシブル基板1との接続部αのバネ性は、この部分をホットメルト7で固めていないために確保されている。
【0020】
本実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタ11の浸水経路は、フレキシブル基板1とホットメルト7との界面(第1の浸水経路)、シーリング部材10とホットメルト7との界面(第2の浸水経路)、及びハウジングシール9とメスハウジング3との界面(第3の浸水経路)、の3ヶ所である。第1の浸水経路は、ホットメルト7がフレキシブル基板1に密着するために、その経路が遮断されている。第2の浸水経路は、シーリング部材10の圧縮により、その経路が遮断されている。第3の浸水経路は、ハウジングシール9の圧縮により、その経路が遮断されている。
【0021】
図8及び図9は、メス端子2とリテーナ(第一部材5及び第二部材6)の先端部分との関係を示す部分的な拡大斜視図である。本実施形態では、メス端子2とフレキシブル基板1との接続部αを、従来のようにホットメルト7で固めていない。そのため、メス端子2をメスハウジング3に挿入する際のサポートとして、第一部材5に端子支持突部50Aが形成されている。メス端子2の両側折曲端面2Aは、第一部材5の一対の端子支持突部50A間の先端壁で押されるようになっている。この端子支持突部50Aは、メス端子2の左右の傾きを防止する。
【0022】
フレキシブル基板1とメス端子2との接続構造の一例としては、図10及び図11に示すものが挙げられる。この例では、フレキシブル基板1に形成された孔1Aに、メス端子2の先端側上下の板のうち、下板2Bに形成されたバレル20が挿入されている。これらバレル20を内側へ折り曲げて上板2Cを抱きかかえるように、上板2Cを下板2B側に引き寄せてフレキシブル基板1にメス端子2が取付けられている。上板2Cと下板2Bとでフレキシブル基板1を挾んだ状態は、図11に示すようになる。図11は、図10のA−A断面図である。
上板2Cの中間には、幅方向に細長い突起部21が配されている。また、上板2Cの突起部21に隣り合う位置には、長手方向に細長く形成された突起部22、23が配されている。これらの突起部21〜23でフレキシブル基板1を下板2Bに押し付けている。
一方、下板2Bにも、これら突起部21〜23に対応した突起部24〜26が配されている。上板2Cと同様に、下板2Bの中間には、この下板2Bの長手方向に細長い突起部24が形成されている。また、下板2Bの突起部24の隣り合う位置には、下板2Bの幅方向に細長く形成された突起部25,26が配されている。突起部24〜26のうち、中間に位置する突起部24の突出高さが、他の突起部25、26よりも高くなっている。そのため、上板2Cの突起部21がフレキシブル基板1をバネ力により押さえつけることになる。ゆえに、突起部21、24によりフレキシブル基板1は波形に変形され、フレキシブル基板1は確実に挾持される。
【0023】
<第2実施形態>
図12は、本発明の第2実施形態に係るフレキシブル基板用防水コネクタ12を模式的に示した分解斜視図である。本実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタ12が、第1実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタ11と異なる点は、リテーナの後端部分の互いに対向する面5a,6aに、複数の小突起51,61が配されている点である。また、本実施形態では、リテーナは、第一部材5及び第二部材6の長手方向の一側面側をヒンジ56で連結し、第一部材5と第二部材6とをつなげたものを用いている。
【0024】
図13は、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)のヒンジ56を折り曲げる前の開いた状態を示す斜視図である。小突起51,61は、例えば図13に示すように、リテーナ(第一部材5及び第二部材6)の後端部分の互いに対向する面5a,6aに、それぞれ6個ずつ配されている。ホットメルト7の充填用の孔50、60を挾んでそれぞれ2ケ設けられた合計4ケの小突起の列と、この4ケの小突起のうち、内側の2ケと並んで設けられた2ケの小突起の列とをリテーナ(第一部材5及び第二部材6)が有している。第一部材5に配された小突起51と、第二部材6に配された小突起61とは、対向して配置されている。この小突起51,61は、フレキシブル基板1を両面から挟持する。
ホットメルト7を孔50,60から充填する際、あるいは第一部材5側の面と第二部材6側の面とでホットメルトの冷却・固化のスピード等が異なると、フレキシブル基板1に歪みが生じる虞がある。本実施形態では、小突起51,61を設けることで、フレキシブル基板が両面から挟持されている。そのため、ホットメルトを充填する際や、第一部材5側の面と第二部材6側の面とでホットメルト7の冷却・固化のスピードが異なったとしても、この小突起51,61により、フレキシブル基板1を水平に挟持できる。
また、急激な温度変化等が起きた場合、ホットメルト7とリテーナとの線膨張係数の違いにより、ホットメルト7とリテーナとの接着界面がずれる虞がある。本実施形態では、小突起51,61を複数で配置することにより、この接着界面のずれを抑制できる。その結果、ホットメルト7とリテーナ5,6との密着性を保持できる。
以上より、本実施形態のフレキシブル基板用防水コネクタでは、第1実施形態よりも更に、防水効果を高められる。
【0025】
本実施形態のリテーナは、第一部材5と第二部材6とが、その長手方向の一側面側をヒンジ56で連結されている。第一部材5には2つの係合突起52が配されている。第二部材6には、係合突起52と係合する2つの係合穴62が配されている。ヒンジ56の個所を折り曲げて第一部材5と第二部材6とを重ねたとき、第一部材5に形成された2つの係合突起52が第二部材6に形成された2つの係合穴62に挿入される。これにより、リテーナは、第一部材5と第二部材6とを重ねた状態で保持される。ゆえに、ずれが生じ難いリテーナが得られる。
この際、係合突起52間のフレキシブル基板1の両面は、それぞれ第一部材5と第二部材6に密着し、フレキシブル基板1は、2つの係合突起52の間に配置されている。第一部材5と第二部材6の小突起51、61が存在するスペースでは、フレキシブル基板の両面側に密閉された空間(孔50、60と被接触部分55,65がないとしたときに密閉される空間)が形成される。この空間と、非接触部分55,65とにホットメルト7が充填される。
【0026】
図14は、フレキシブル基板1を、ホットメルト7を介してリテーナ5、6で固定し、冷却固化したホットメルト7の外周にシーリング部材10を装着した状態の、小突起51、61の個所を通る半断面の斜視図である。上述したように、小突起51,61により、フレキシブル基板1が水平に挟持されている。
【0027】
上述した第1〜第2実施形態では、接続端子2とリテーナとシール部材10とが配されたフレキシブル基板を、メスハウジングを介してオスハウジングに嵌合した場合を説明したが、接続端子2とリテーナとシール部材10とが配されたフレキシブル基板1を直接、車両等のドアに貫通あるいは挿入する場合も有用である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のフレキシブル基板用防水コネクタは、フレキシブル基板の端末部と接続端子との接合部分におけるバネ性を確保した状態で、ホットメルトによる固定を行える。またホットメルト部分に外部から加わる力を低減できるため、固着及び防水性能を維持できる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・フレキシブル基板、2・・・接続端子(メス端子)、3・・・ハウジング(メスハウジング)、4・・・オスハウジング、5・・・第一部材、6・・・第二部材、7・・・ホットメルト、10・・・シーリング部材、11、12・・・フレキシブル基板用防水コネクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルム上に導体パターンが形成されたフレキシブル基板と;
前記フレキシブル基板の端末部にて前記導体パターンと接合された接続端子と;
前記接続端子を内部に収容するハウジングと;
上下一対の部材よりなり、その先端部分が前記導体パターンと前記接続端子との接続部を挾持し、かつその後端部分で前記フレキシブル基板を包囲するリテーナと;
前記リテーナ内周の前記フレキシブル基板との非接合部分と、前記リテーナの外周とに配され、前記フレキシブル基板と前記リテーナとを密着・固定するホットメルトと;
前記リテーナの外周に配された係止手段と;
前記ハウジングに配された被係止手段と;
を備え、
前記係止手段と前記被係止手段とが互いに係止されて、前記リテーナと前記ハウジングとが固定されていることを特徴とするフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項2】
前記リテーナの前記後端部分の互いに対向する面に、複数の小突起が配されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項3】
前記接続部はバネ性を有し、
前記リテーナの前記先端部分は、前記接続部のバネ性を阻害しないように、前記接続部を挾持していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項4】
前記ホットメルトは、前記リテーナの前記後端部分の内部からはみでず、この後端部分で包囲された前記フレキシブル基板の周囲を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項5】
前記リテーナの外周に配された前記ホットメルトの外周に、更にシール部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項6】
前記接続端子はメス端子であり、
前記ハウジングはメスハウジングであり、
このメスハウジングが嵌合されるオスハウジングを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項1】
絶縁フィルム上に導体パターンが形成されたフレキシブル基板と;
前記フレキシブル基板の端末部にて前記導体パターンと接合された接続端子と;
前記接続端子を内部に収容するハウジングと;
上下一対の部材よりなり、その先端部分が前記導体パターンと前記接続端子との接続部を挾持し、かつその後端部分で前記フレキシブル基板を包囲するリテーナと;
前記リテーナ内周の前記フレキシブル基板との非接合部分と、前記リテーナの外周とに配され、前記フレキシブル基板と前記リテーナとを密着・固定するホットメルトと;
前記リテーナの外周に配された係止手段と;
前記ハウジングに配された被係止手段と;
を備え、
前記係止手段と前記被係止手段とが互いに係止されて、前記リテーナと前記ハウジングとが固定されていることを特徴とするフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項2】
前記リテーナの前記後端部分の互いに対向する面に、複数の小突起が配されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項3】
前記接続部はバネ性を有し、
前記リテーナの前記先端部分は、前記接続部のバネ性を阻害しないように、前記接続部を挾持していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項4】
前記ホットメルトは、前記リテーナの前記後端部分の内部からはみでず、この後端部分で包囲された前記フレキシブル基板の周囲を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項5】
前記リテーナの外周に配された前記ホットメルトの外周に、更にシール部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【請求項6】
前記接続端子はメス端子であり、
前記ハウジングはメスハウジングであり、
このメスハウジングが嵌合されるオスハウジングを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板用防水コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−210741(P2011−210741A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164347(P2011−164347)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2009−534786(P2009−534786)の分割
【原出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2009−534786(P2009−534786)の分割
【原出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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