フレキシブルLEDモジュール及び単体LEDモジュール
【課題】優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくく、かつ複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュールを提供すること。
【解決手段】フレキシブルLEDモジュール1は、内側面に第1導電膜31を形成した第1樹脂テープ21と、内側面に第2導電膜32を形成した第2樹脂テープ22と、これらの間に挟持された複数のLEDベアチップ4と、複数のLEDベアチップの配設領域の脇における第1導電膜上に形成された第1電源ライン51と、複数のLEDベアチップの配設領域の脇における第2導電膜上に形成された第2電源ライン52と、第1電源ライン及び第2電源ラインとそれぞれ連続した第1電極端子61及び第2電極端子62と、第1樹脂テープと第2樹脂テープとの間に配設された絶縁層7とを有する。第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、隣り合うLEDベアチップの間には形成されていない。
【解決手段】フレキシブルLEDモジュール1は、内側面に第1導電膜31を形成した第1樹脂テープ21と、内側面に第2導電膜32を形成した第2樹脂テープ22と、これらの間に挟持された複数のLEDベアチップ4と、複数のLEDベアチップの配設領域の脇における第1導電膜上に形成された第1電源ライン51と、複数のLEDベアチップの配設領域の脇における第2導電膜上に形成された第2電源ライン52と、第1電源ライン及び第2電源ラインとそれぞれ連続した第1電極端子61及び第2電極端子62と、第1樹脂テープと第2樹脂テープとの間に配設された絶縁層7とを有する。第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、隣り合うLEDベアチップの間には形成されていない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLEDを内蔵した柔軟性を有するテープ状のフレキシブルLEDモジュール及びこれを裁断して得られる単体LEDモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)を複数個、一対の樹脂テープの間に挟み込んでなるLEDテープがある(特許文献1等)。
かかるLEDテープは、例えば商業用ディスプレイなどに貼着して用いることにより、効果的な電飾を行うことができる。
【0003】
しかしながら、上記LEDテープは、一対の樹脂テープの間にチップLEDを配設してなるが、このチップLEDは、LEDベアチップをリードフレームに実装すると共に樹脂封止してなるものである。すなわち、LEDベアチップをリードフレーム上に搭載し、LEDベアチップの電極をワイヤーボンディングによってリードフレームに接続し、さらにこれを、リードフレームのリードのみが露出した状態でモールド樹脂によって封止してなる。そのため、上記チップLEDは、LEDベアチップに比べてその体格が大きい。
それゆえ、LEDを点灯していない時にもLEDテープが目立ってしまう。また、LEDテープの柔軟性にも限界が生じる。その結果、上記LEDテープの用途が限定されるという問題がある。
【0004】
このような問題点を解消すべく、透明電極を内側面に形成してなる一対の透明シートの間に、LEDベアチップを配設してなる面状発光ユニットが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−10982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記面状発光シートにおいては、LEDベアチップへ電流を供給する電源から各ベアチップまでの電流経路は、透明電極及び導電接着シートのみとなる。これらは、いずれも透明であるため、電気的抵抗が大きい。それゆえ、電源との接点からLEDベアチップまでの距離が大きくなると、LEDベアチップを充分に点灯させることが困難となる。それゆえ、LEDベアチップの配設個数にも限界が生じるし、面状発光シートの大きさにも限界が生じることとなる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくく、かつ、複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュール及び単体LEDモジュールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、内側面に第1導電膜を形成した柔軟性を有する第1樹脂テープと、
該第1樹脂テープに対向配置され、内側面に透明な第2導電膜を形成した柔軟性を有する透明な第2樹脂テープと、
上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に挟持されると共に一対の電極をそれぞれ上記第1導電膜及び上記第2導電膜に電気的に接続してなる複数のLEDベアチップと、
上記第1樹脂テープにおける上記複数のLEDベアチップの配設領域に沿って、その脇における上記第1導電膜上に連続的に形成された第1電源ラインと、
上記第2樹脂テープにおける上記複数のLEDベアチップの配設領域に沿って、上記第1電源ラインの反対側の脇における上記第2導電膜上に連続的に形成された第2電源ラインと、
上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインとそれぞれ連続すると共に、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間から露出した第1電極端子及び第2電極端子と、
上記複数のLEDベアチップの配設位置を少なくとも除いて、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に配設された透明な絶縁層とを有し、
上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、隣り合う上記LEDベアチップの間には形成されていないことを特徴とするフレキシブルLEDモジュールにある(請求項1)。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明にかかるフレキシブルLEDモジュールを隣り合う上記LEDベアチップの間において裁断することによって得られ、1個の上記LEDベアチップを備えてなることを特徴とする単体LEDモジュールにある(請求項8)。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明にかかる上記フレキシブルLEDモジュールは、発光体として、LEDベアチップを用いている。すなわち、リードフレームやモールド樹脂、更にはボンディングワイヤ等を伴わない、単体素子であるLEDベアチップが、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に配置してある。
そのため、フレキシブルLEDモジュールにおける発光体の体積(厚み、主面の面積)を小さくすることができる。その結果、非点灯時において、フレキシブルLEDモジュールを目立ちにくくすることができる。また、フレキシブルLEDモジュールの柔軟性を向上させることができる。
【0011】
また、上記フレキシブルLEDモジュールは、上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインを有するため、多数のLEDベアチップを搭載しても、それらに充分に電流を供給することができる。そして、上記第1導電膜や上記第2導電膜の電気的抵抗が多少大きくても、充分にLEDベアチップを点灯させることができる。これにより、上記第1導電膜及び上記第2導電膜の膜厚を小さくすることができ、フレキシブルLEDモジュールの柔軟性を充分に確保することができる。また、少なくとも第2導電膜の透明性を充分に確保することができる。
【0012】
また、上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、隣り合う上記LEDベアチップの間には形成されていないため、連続するLEDベアチップ(発光体)の間にこれらの電源ラインが見えるということがない。そのため、フレキシブルLEDモジュールの意匠性を向上させることができる。
【0013】
また、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間には、透明な絶縁層が配設されているため、LEDベアチップの光を妨げることなく、第1導電膜と第2導電膜との短絡、第1電源ラインと第2導電膜との短絡、或いは第1導電膜と第2電源ラインとの短絡を効果的に防止することができる。
【0014】
また、上記フレキシブルLEDモジュールにおいては、第1電源ラインと、上記第1導電膜と、上記LEDベアチップと、上記第2導電膜と、上記第2電源ラインとが、この順にて直列接続されている。そして、少なくとも第2導電膜は透明導電膜を用いているため、通常は抵抗値が大きい。それゆえ、仮に一つのLEDベアチップが劣化して短絡した場合でも、「そのLEDベアチップの抵抗が低くなって電流が集中して、他のLEDベアチップに加わる電圧が低くなり点灯し難くなる」という不具合を、未然に防ぐことができる。
【0015】
以上のごとく、本発明によれば、優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくく、かつ、複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュールを提供することができる。
【0016】
また、上記第2の発明にかかる単体LEDモジュールは、上記第1の発明のフレキシブルLEDモジュールを裁断して得られるものであるため、上記と同様に、優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくい。
また、第2の発明にかかる単体LEDモジュールは、上記第1の発明にかかるフレキシブルLEDモジュールを裁断することによって得ることができるため、その生産効率を極めて高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における、フレキシブルLEDモジュールの斜視図。
【図2】実施例1における、フレキシブルLEDモジュールの平面図。
【図3】図2のA−A線矢視断面図。
【図4】図2のB−B線矢視断面図。
【図5】実施例1における、絶縁層の内周角部とLEDベアチップの外周角部とを結ぶ直線LのLEDベアチップの端面に対する傾斜角θの説明図。
【図6】実施例1における、LEDベアチップの斜視図。
【図7】実施例1における、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図8】図7に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図9】図8に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図10】図9に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図11】図10に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図12】実験例における、絶縁層の厚みTと一対の絶縁層の間隔と傾斜角θとの関係を示すと共に試験結果を示すプロット図。
【図13】実施例2における、フレキシブルLEDモジュールの平面図。
【図14】図13のC−C線矢視断面図。
【図15】実施例3における、フレキシブルLEDモジュールの平面図。
【図16】実施例3における、フレキシブルLEDモジュールから切り出した発光体が一つのフィルム状の単体LEDモジュールの平面図。
【図17】実施例4における、フレキシブルLEDモジュールの斜視図。
【図18】実施例4における、フレキシブルLEDモジュールから切り出した発光体が一つの単体LEDモジュールの斜視図。
【図19】実施例5における、フレキシブルLEDモジュールの斜視図。
【図20】実施例5における、フレキシブルLEDモジュールの断面図。
【図21】実施例5における、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図22】図21に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図23】図22に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図24】図23に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図25】図24に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図26】実施例6における、フレキシブルLEDモジュールの断面図。
【図27】実施例7における、フレキシブルLEDモジュールの斜視図。
【図28】実施例7における、第1の中間品の斜視図。
【図29】実施例7における、第2の中間品の斜視図。
【図30】実施例8における、LEDベアチップの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明において、上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、それぞれ、上記第1導電膜及び上記第2導電膜よりも、電気的抵抗が小さいことが好ましい。
上記複数のLEDベアチップは、例えば、一直線上に配列されていてもよいし、曲線状に配列されていてもよい。また、上記複数のLEDベアチップは、一列に配列されていることが好ましいが、複数列に配列されていてもよい。
【0019】
また、上記第1樹脂テープ及び上記第1導電膜も透明であることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記フレキシブルLEDモジュールにおいて、LEDベアチップと第1電源ライン及び第2電源ラインを除く部分をすべて透明にすることができる。そのため、非点灯時において、上記フレキシブルLEDモジュールを極めて目立ちにくくすることができる。特に、第1電源ライン及び第2電源ラインは、上記のごとく、隣り合うLEDベアチップの間には形成されていないため、フレキシブルLEDモジュールを、被装飾体に配置する際に、第1電源ライン及び第2電源ラインをうまく隠したり背景と同化させたりすることによって、あたかも何もないところから突然、複数の高輝度の光が現れるといった効果を得ることもできる。
【0020】
また、上記第1導電膜及び上記第2導電膜が上記LEDベアチップと電気的に接続される一対の接続面の間の高さよりも、上記絶縁層の厚みが小さいことが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記第1導電膜と上記第2導電膜とを、上記LEDベアチップの一対の接続面に、確実に電気的に接続することができる。そのため、フレキシブルLEDモジュールを多少湾曲させたりしても、複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができる。
【0021】
また、上記絶縁層の上記LEDベアチップに最も近い位置における上記第2導電膜側の内周角部と、上記LEDベアチップの上記第2導電膜側の端面の外周角部とを結ぶ直線が、上記端面に対して1.3°以上傾斜していることが好ましい(請求項4)。
上記第1導電膜と上記第2導電膜とを、上記LEDベアチップの一対の接続面に、より確実に電気的に接続することができる。そのため、フレキシブルLEDモジュールを種々の態様で湾曲させたりしても、複数のLEDベアチップを、より確実に点灯させることができる。
【0022】
なお、上記直線の上記端面に対する傾斜角が1.3°未満の場合には、フレキシブルLEDモジュールを湾曲させたときに、端面と第2導電膜との接触不良が生じやすくなるおそれがある。
また、上記傾斜角は8°以下であることが好ましい。上記傾斜角が8°を超える場合には、第2導電膜に応力がかかり、場合によってはクラックが生じるおそれがあるためである。
【0023】
また、上記LEDベアチップは、上記第1導電膜に対して導電性接着材によって接合されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記LEDベアチップを、上記第1導電膜に電気的に確実に接続すると共に、フレキシブルLEDモジュールにおける所定の位置に確実に固定することができる。
【0024】
また、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、それぞれ複数個形成されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、一本のフレキシブルLEDモジュールを複数に切断して利用することもできる。これにより、例えば、長尺のフレキシブルLEDモジュールを製造しておき、必要な長さに切断して利用することができる。そのため、生産効率を向上させることができると共に、利用もしやすくなる。
また、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、フレキシブルLEDモジュールに搭載したLEDベアチップと同数配設することもできる。この場合には、LEDベアチップ一つ分に切り出すことにより、発光体が一つのフィルム状の単体LEDモジュールとして利用することもできる。
【0025】
また、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、それぞれ上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインの長手方向の全体にわたって連続的に形成されていてもよい(請求項7)。
この場合には、上記フレキシブルLEDモジュールを任意の位置において切断して複数の短いフレキシブルLEDモジュール或いは発光体が一つの単体LEDモジュールを得ることができる。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるフレキシブルLEDモジュールにつき、図1〜図11を用いて説明する。
本例のフレキシブルLEDモジュール1は、図1〜図4に示すごとく、下記の第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22と複数のLEDベアチップ4と第1電源ライン51と第2電源ライン52と第1電極端子61及び第2電極端子62と絶縁層7とを有する。
【0027】
第1樹脂テープ21は、内側面に透明な第1導電膜31を形成してなり、柔軟性を有すると共に透明である。
第2樹脂テープ22は、第1樹脂テープ21に対向配置され、内側面に透明な第2導電膜32を形成してなり、柔軟性を有すると共に透明である。
複数のLEDベアチップ4は、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に挟持されると共に一対の電極をそれぞれ第1導電膜31及び第2導電膜32に電気的に接続してなる。
【0028】
第1電源ライン51は、第1樹脂テープ21における複数のLEDベアチップ4の配設領域に沿って、その脇における第1導電膜31上に連続的に形成されている。
第2電源ライン52は、第2樹脂テープ22における複数のLEDベアチップ4の配設領域に沿って、第1電源ライン51の反対側の脇における第2導電膜32上に連続的に形成されている。
【0029】
第1電極端子61及び第2電極端子62は、第1電源ライン51及び第2電源ライン52とそれぞれ連続すると共に、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間から露出している。
絶縁層7は、複数のLEDベアチップ4の配設位置を少なくとも除いて、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に配設されており、透明である。
第1電源ライン51及び第2電源ライン52は、隣り合うLEDベアチップ4の間には形成されていない。
【0030】
第1樹脂テープ21及び第2樹脂テープ22は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる。
第1導電膜31及び第2導電膜32は、ITO(錫ドープ酸化インジウム)からなる。
第1電源ライン51及び第2電源ライン52、更にはこれらにそれぞれ連続した第1電極端子61及び第2電極端子62は、いずれもアルミニウムからなる。
絶縁層7は、樹脂の粘着シートからなり、これによって、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22とを、LEDベアチップ4及び第1電源ライン51及び第2電源ライン52を挟持させた状態で接合している。
【0031】
なお、本例では、第1電源ライン51及び第2電源ライン52にアルミニウムのフィルムを用いたが、銅のフィルムの他、銀の粒子を混入した導電ペースト(銀ペースト)をライン状に塗工印刷した後、フレキシブルLEDモジュール1の一端において第1電極端子61及び第2電極端子62をアルミニウムのフィルムによって設けることでも、製造可能である。
例えば、電気抵抗率1×10-4Ω・cmの銀ペーストを幅5mm、厚さ30μmにてITO膜上に塗工、100℃×30分にて乾燥させることで、第1電源ライン51及び第2電源ライン52を形成する。この場合、長さ30cmのフレキシブルLEDモジュール1の両端間の抵抗は4Ωであった。
【0032】
図1、図2に示すごとく、LEDベアチップ4は、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に、これらの幅方向の中央において、一直線上に8個、等間隔に配置されている。図3に示すごとく、LEDベアチップ4は、第1樹脂テープ21に成膜された第1導電膜31に、銀ペースト等の導電性接着材41によって接合されている。
この8個のLEDベアチップ4の配列領域の両脇に、絶縁層7が、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に配置されている。フレキシブルLEDモジュール1の幅方向において、絶縁層7とLEDベアチップ4との間には隙間が形成されおり、これらは互いに接触していない。
【0033】
なお、LEDベアチップ4は、リードフレームやモールド樹脂、更にはボンディングワイヤ等を伴わない、単体素子である。そして、LEDベアチップ4は、図6に示すごとく、例えば、300μm×300μm×200μmの直方体形状を有し、その厚み方向の両端面に一対の電極44を形成してなる。電極44は、LEDベアチップ4の両端面の一部に、金により形成された直径100μm、厚み1μmの円形状パッドからなる。なお、電極は、LEDベアチップ4の端面の全面に形成してもよい。
【0034】
絶縁層7は、上記のごとく第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22とを接合する役割を有すると同時に、これらの間の間隔を適切に保つためのスペーサとしての役割をも有する。
図5に示すごとく、第1導電膜31及び第2導電膜32がLEDベアチップ4と電気的に接続される一対の接続面の間の高さ、すなわち導電性接着材41を含めたLEDベアチップ4の高さHよりも、絶縁層7の厚みTは小さい。
【0035】
そして、図5に示すごとく、絶縁層7のLEDベアチップ4に隣り合う位置における第2導電膜32側の内周角部72と、LEDベアチップ4の第2導電膜32側の端面43の外周角部42とを結ぶ直線Lが、端面43に対して1.3°以上傾斜している。すなわち、図5に示す傾斜角θは1.3°以上である。なお、第2導電膜32の耐久性の観点から、この傾斜角θは8°以下であることが好ましい。
【0036】
図2に示すごとく、第1電極端子61及び第2電極端子62は、フレキシブルLEDモジュール1の長手方向の一端において、互いに幅方向の反対側に突出している。そして、第1電極端子61及び第2電極端子62は、その厚み方向に貫通する開口部を形成してなる。これにより、電源からの配線の接続端子と接続できるよう構成されている。
【0037】
次に、本例のフレキシブルLEDモジュール1の製造方法の一例につき、主に図7〜図11を用いて説明する。
まず、厚み125μmのPETフィルムの一方の面にスパッタリングによって透明なITO膜を形成する。このITO膜は、例えば、厚みが35nm、表面抵抗が80Ω/□となるようにする。このITO膜を設けたPETフィルムを、幅20mm、長さ20cmに裁断したものを2枚用意する。その一方が、第1導電膜31を設けた第1樹脂テープ21であり、他方が、第2導電膜32を設けた第2樹脂テープ22である。すなわち、上記PETフィルムが第1樹脂テープ21又は第2樹脂テープ22であり、上記ITO膜が第1導電膜31又は第2導電膜32である。
【0038】
ここで、第1樹脂テープ21及び第2樹脂テープ22として、PET以外にも、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)など、他の樹脂フィルムを用いることもできる。また、第1導電膜31及び第2導電膜32として、ITO以外にも、例えば、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、10nm以下の薄膜Ag金属など、他の透明導電膜を用いることもできる。
【0039】
また、ITOを特に第2導電膜32に用いる場合、結晶化したITOを用いるのも、クラックが入りにくい点で好ましい。もちろん、結晶化したITOを第1導電膜31に用いても、その効果はある。
この膜の製造方法としては、スパッタ成膜前のチャンバー内の真空度を高真空にすることによって、不純物の混入を避けて成膜したITO膜を、150℃×30分にてアニール処理を行うことで、結晶化を行うという方法がある。
【0040】
次いで、図7に示す第1導電膜31を設けた上記第1樹脂テープ21に対し、図8に示すごとく、その第1導電膜31側の面における幅方向の一端に、導電ノリを片面に塗工したアルミテープ510を、第1樹脂テープ21から幅方向にはみ出るように貼着する。このアルミテープ510が第1電源ライン51及び第1電極端子61となる。
なお、上記導電ノリは、例えばアクリル系粘着剤ではなく、ポリエーテル系粘着剤からなるものを用い、ITO膜に損傷を与えないように、酸を含まないものを利用する。
【0041】
次いで、図8に示すごとく、絶縁層7を構成する粘着シートを、第1電源ライン51の上面及び内側面を覆うように、第1導電膜31上における幅方向の一端に貼着すると共に、第1導電膜31における幅方向の他端にも設ける。
これによって、第1樹脂テープ21における第1導電膜31を設けた面における幅方向の両側に、第1樹脂テープ21の長手方向に沿った一対の絶縁層7が、間に一定の間隔(1.5mm)の溝部を設けた状態で形成される。
【0042】
次いで、図9に示すごとく、上記溝部における第1導電膜31の表面に、8個のLEDベアチップ4を等間隔(20mm間隔)に並べると共に、これらを銀ペーストからなる導電性接着剤41を用いて接合する。これにより、図9に示すような第1の中間品101を得る。
【0043】
一方、図10に示すごとく、第2導電膜32を設けた第2樹脂テープ22にも、その第2導電膜32側の面における幅方向の一端に、導電ノリを片面に塗工したアルミテープ520を、第2樹脂テープ22から幅方向にはみ出るように貼着する。このアルミテープ520が第2電源ライン52及び第2電極端子62となる。
そして、これにより、図10に示すような第2の中間品102を得る。
【0044】
次いで、図11に示すごとく、上記第1の中間品101(図9)と上記第2の中間品102(図10)とを、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22とが外側を向くように貼り合わせる。
次いで、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間からはみ出たアルミテープ510、520の一部を裁断除去することにより、図1に示すような、本例のフレキシブルLEDモジュール1を得る。
【0045】
本例のフレキシブルLEDモジュール1は、例えば、パチンコ台等の遊技機を始め、種々の立体物の表面に貼着するなどして用いることができる。そして、立体物の表面が3次元的な立体面である場合にも、フレキシブルLEDモジュール1をこれに追従させて貼り付けることができる。
【0046】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記フレキシブルLEDモジュール1は、発光体として、LEDベアチップ4を用いている。すなわち、リードフレームやモールド樹脂、更にはボンディングワイヤ等を伴わない、単体素子であるLEDベアチップ4が、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に配置してある。
そのため、フレキシブルLEDモジュール1における発光体の体積(厚み、主面の面積)を小さくすることができる。その結果、非点灯時において、フレキシブルLEDモジュール1を目立ちにくくすることができる。また、フレキシブルLEDモジュール1の柔軟性を向上させることができる。
【0047】
また、フレキシブルLEDモジュール1は、第1電源ライン51及び第2電源ライン52を有するため、多数のLEDベアチップ4を搭載しても、それらに充分に電流を供給することができる。そして、第1導電膜31や第2導電膜32の電気的抵抗が多少大きくても、充分にLEDベアチップ4を点灯させることができる。これにより、第1導電膜31及び第2導電膜32の膜厚を小さくすることができ、フレキシブルLEDモジュール1の柔軟性を充分に確保することができる。また、第1導電膜31及び第2導電膜32の透明性を充分に確保することができ、フレキシブルLEDモジュール1の透明性を確保することができる。
【0048】
また、図2に示すごとく、第1電源ライン及び第2電源ライン52は、隣り合うLEDベアチップ4の間には形成されていないため、連続するLEDベアチップ4(発光体)の間にこれらの電源ラインが見えるということがない。そのため、フレキシブルLEDモジュール1の意匠性を向上させることができる。
【0049】
また、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間には、透明な絶縁層7が配設されているため、LEDベアチップ4の光を妨げることなく、第1導電膜31と第2導電膜32との短絡、第1電源ライン51と第2導電膜32との短絡、或いは第1導電膜31と第2電源ライン52との短絡を効果的に防止することができる。
【0050】
また、第1樹脂テープ21、第2樹脂テープ22、第1導電膜31、第2導電膜32のすべてが透明であるため、フレキシブルLEDモジュール1において、LEDベアチップ4と第1電源ライン51及び第2電源ライン52を除く部分をすべて透明にすることができる。そのため、非点灯時において、フレキシブルLEDモジュール1を極めて目立ちにくくすることができる。特に、第1電源ライン51及び第2電源ライン52は、上記のごとく、隣り合うLEDベアチップ4の間には形成されていないため、フレキシブルLEDモジュール1を、被装飾体に配置する際に、第1電源ライン51及び第2電源ライン52をうまく隠したり背景と同化させたりすることによって、あたかも何もないところから突然、複数の高輝度の光が現れるといった効果を得ることもできる。
たとえば、本例のフレキシブルLEDモジュール1をパチンコ等の遊技機において用いた場合、上記のような効果は、遊技者に大きく新鮮な驚きを与えることができる。
【0051】
また、図5に示すごとく、導電性接着材41を含めたLEDベアチップ4の高さHよりも、絶縁層7の厚みTが小さいため、第2導電膜32を、LEDベアチップ4の端面(電極面)43に、確実に電気的に接続することができる。そのため、フレキシブルLEDモジュール1を多少湾曲させたりしても、複数のLEDベアチップ4を確実に点灯させることができる。
【0052】
また、図5に示すごとく、絶縁層7の内周角部72と、LEDベアチップ4の外周角部42とを結ぶ直線Lが、端面43に対して1.3°以上傾斜しているため、第2導電膜32とを、LEDベアチップ4の端面43に、より確実に電気的に接続することができる。そのため、フレキシブルLEDモジュール1を種々の態様で湾曲させたりしても、複数のLEDベアチップ4を、より確実に点灯させることができる。この点については、後述する実験例を参照されたい。
【0053】
また、LEDベアチップ4は、第1導電膜31に対して導電性接着材41によって接合されている。そのため、LEDベアチップ4を、第1導電膜31に電気的に確実に接続すると共に、フレキシブルLEDモジュール1における所定の位置に確実に固定することができる。
【0054】
以上のごとく、本例によれば、優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくく、かつ、複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュールを提供することができる。
【0055】
(実験例)
本例は、図5に示す、絶縁層7の内周角部72とLEDベアチップ4の外周角部42とを結ぶ直線LのLEDベアチップ4の端面43に対する傾斜角θと、フレキシブルLEDモジュール1の機能的信頼性との関係を調べた例である。
まず、実施例1に示した製造方法にて、フレキシブルLEDモジュール1を作製した。
ここで、表1に示すごとく、フレキシブルLEDモジュール1の幅方向の一対の絶縁層7の間隔を、2mm、3mm、4mmと変更し、絶縁層の厚みを0.15mm、0.10mm、0.05mmと変更しながら、それぞれの組み合わせのサンプルを各50個作製した。
【0056】
これらのサンプルについて、捻じれ試験を行った。すなわち、30cmの長さのサンプルの両端を、長手方向を軸に30°捻った状態で、各サンプル(フレキシブルLEDモジュール)に搭載した8個すべてのLEDベアチップ4が正常に点灯したものが、50本のサンプルのうち何本あったかを確認した。その結果を、表1に示す。表1において、「n/50」(nは自然数)との表示のnは、各水準における良品サンプルの数を表す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1から分かるように、絶縁層の厚みが0.15mmと厚い場合に、LEDベアチップ4が点灯しないサンプルが現れた。そして、一対の絶縁層7の間隔が広いほど、不良率が高い(良品率が低い)ことも分かる。
これは、上記傾斜角θが小さすぎると、LEDベアチップ4の端面(電極面)と第1導電膜31との接触が悪くなることを裏付けるものであると考えられる。
【0059】
そして、絶縁層7の厚みTと一対の絶縁層7の間隔S(図3)とに基づいて、傾斜角θが求まるため、その関係をグラフにプロットしたのが図12である。図12において、プロット◇、◆は、間隔Sが2mmのもの、プロット☆、★は間隔Sが3mmのもの、プロット○、●は、間隔Sが4mmのものを表す。そして、白抜き(◇、☆、○)が、上記試験においてすべて良品と判定された水準、黒塗り(◆、★、●)が、上記試験において不良品と判定されたサンプルがあった水準を示す。
【0060】
図12から分かるように、傾斜角θが1.3°以上であれば、不良の発生が全くない。
それゆえ、傾斜角θを1.3°以上とすることによって、多少のねじれが生じても、複数のLEDベアチップ4を確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュール1を得ることができることが分かる。
【0061】
(実施例2)
本例は、図13、図14に示すごとく、絶縁層7を、隣り合うLEDベアチップ4の間にも配設した例である。
すなわち、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間において、LEDベアチップ4の配設位置及びその周囲のみを残して、絶縁層7を配設してある。
その他は、実施例1と同様である。
【0062】
本例の場合には、第1導電膜31と第2導電膜32との間の絶縁をより確実に行うことができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0063】
(実施例3)
本例は、図15に示すごとく、第1電極端子61及び第2電極端子62を、それぞれ複数個形成した例である。
第1電極端子61及び第2電極端子62は、フレキシブルLEDモジュール1に搭載したLEDベアチップ4と同数配設してある。また、第1電極端子61及び第2電極端子62とLEDベアチップ4とは、フレキシブルLEDモジュール1の幅方向の一直線上に並ぶように形成されている。
その他は、実施例2と同様である。
【0064】
本例の場合には、一本のフレキシブルLEDモジュール1を複数に切断して利用することもできる。これにより、例えば、長尺のフレキシブルLEDモジュール1を製造しておき、必要な長さに切断して利用することができる。そのため、生産効率を向上させることができると共に、利用もしやすくなる。
【0065】
また、本例の場合には、図16に示すごとく、LEDベアチップ4、一つ分に切り出すことにより、発光体が一つのフィルム状の単体LEDモジュール10として利用することもできる。
その他、実施例2と同様の作用効果を有する。
【0066】
(実施例4)
本例は、図17、図18に示すごとく、LEDベアチップ4の配設位置に対応する第2樹脂テープ22の外側面に、レンズ12を取り付けた例である。
すなわち、実施例1において説明したフレキシブルLEDモジュール1の製造方法における図11に示した状態(アルミテープ510、520が長手方向の全体にわたって第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間からはみ出た状態)において、透明樹脂を各LEDベアチップ4の配設位置における第2樹脂テープ22の外側面に略半球状にモールドして、レンズ12とする。
【0067】
その後、図18に示すごとく、LEDベアチップ4、一つ分に切り出すことにより、発光体が一つのレンズ付きの単体LEDモジュール10として利用することもできる。
その他は、実施例1と同様である。
【0068】
本例の場合には、LEDベアチップ4の発光をより目立たせることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0069】
(実施例5)
本例は、図19〜図25に示すごとく、第1導電膜31と第1電源ライン51と第1電極端子61とを、アルミ箔111によって形成したフレキシブルLEDモジュール1の例である。
すなわち、本例においては、図21に示すように、あらかじめPETフィルム112とアルミ箔111とが熱融着された複合シート11を用いる。この複合シート11におけるPETフィルム112部分が第1樹脂テープ21となり、アルミ箔111の部分が第1導電膜31と第1電源ライン51と第1電極端子61とになる。
【0070】
本例のフレキシブルLEDモジュール1を製造するに当たっては、図22に示すごとく、複合シート11におけるアルミ箔111側の面に、絶縁層7となる2枚の粘着シートのうちの一方を、幅方向の一端に沿って貼り付けると共に、他方の粘着シート(絶縁層7)を、複合シート11に幅方向の他端を所定幅あけるようにして貼り付ける。このとき、一対の粘着シート(絶縁層7)の間には、実施例1と同様に一定の間隔(溝部)を設ける。
【0071】
次いで、一対の絶縁層7(粘着シート)の間の溝部における第1導電膜31の表面に、8個のLEDベアチップ4を等間隔に並べると共に、これらを銀ペーストからなる導電性接着剤41を用いて接合する。これにより、図23に示すような第1の中間品101を得る。
【0072】
一方、図24に示すごとく、第2導電膜32を設けた第2樹脂テープ22には、その第2導電膜32側の面における幅方向の一端に、導電ノリを片面に塗工したアルミテープ520を、第2樹脂テープ22から幅方向にはみ出るように貼着する。このアルミテープ520が第2電源ライン52及び第2電極端子62となる。
そして、これにより、図24に示すような第2の中間品102を得る。
【0073】
次いで、図25に示すごとく、上記第1の中間品101(図23)と上記第2の中間品102(図24)とを、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22とが外側を向くように貼り合わせる。
次いで、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間からはみ出たアルミテープ510、520の一部を裁断除去することにより、図19に示すような、本例のフレキシブルLEDモジュール1を得る。
その他は、実施例1と同様である。
【0074】
本例の場合には、第1導電膜31をアルミ箔111によって構成することができるため、高い導電性を確保することができる。また、第1導電膜31を反射板として利用することができるため、フレキシブルLEDモジュール1の光度を向上させることができる。
さらには、第1導電膜31において熱伝導性が向上するため、放熱性を高めることができる。
【0075】
また、あらかじめPETフィルム112とアルミ箔111とが熱融着された複合シート11によって、第1導電膜31と第1電源ライン51と第1電極端子61とを形成することができるため、製造工数を大幅に低減することができ、生産性に優れたフレキシブルLEDモジュール1を得ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0076】
(実施例6)
本例は、図26に示すごとく、アルミ箔111を第1樹脂テープ21の外側面に配設したフレキシブルLEDモジュール1の例である。
本例のフレキシブルLEDモジュール1を製造するに当たっては、上記実施例5において用いた複合シート11を用いることができる。そして、複合シート11におけるPETフィルム112側の面に、スパッタリングによってITOからなる第1導電膜31を形成する。
その他は、実施例1と同様である。
【0077】
本例の場合には、アルミ箔111を反射板として利用することができるため、フレキシブルLEDモジュール1の光度を向上させることができる。
さらには、アルミ箔111において熱伝導性が向上するため、フレキシブルLEDモジュール1の放熱性を高めることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0078】
なお、本例のフレキシブルLEDモジュール1において、上記アルミ箔111の外側面に更にPET等の樹脂層を設けることもできる(図示略)。この場合、例えば、該樹脂層と上記アルミ箔111と上記第1樹脂テープ21とを、予めアルミ箔の両面に一対のPETフィルムを設けてなる複合シートを利用して形成することもできる。
【0079】
(実施例7)
本例は、図27〜図29に示すごとく、隣り合うLEDベアチップ4を、互いに異なる色の素子とすると共に、互いの極性が正負逆向きとなるように配置した例である。
たとえば、赤色のLEDベアチップ4rの正極を第1導電膜31に接続し、黄色のLEDベアチップ4yの正極を第2導電膜32に接続すると共に、これらを交互に配置する。
【0080】
本例のフレキシブルLEDモジュール1を製造するに当たっては、実施例1に示した第1の中間品101(図9参照)において、図28に示すごとく、赤色のLEDベアチップ4rを、実施例1の場合の約2倍の配設間隔にて、第1導電膜31上に配置する。また、実施例1に示した第2の中間品102(図10参照)において、図29に示すごとく、黄色のLEDベアチップ4yを、実施例1の場合の約2倍の配設間隔にて、第2導電膜32上に配置する。
そして、第1の中間品101と第2の中間品102とを重ね合わせることにより、図27に示すごとく、赤色のLEDベアチップ4rと黄色のLEDベアチップ4yとが、長手方向に交互に並んだフレキシブルLEDモジュール1を得ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0081】
本例の場合には、第1電極端子61と第2電極端子62とに、正負逆向きの電圧を交互に印加することによって、赤色と黄色とを交互に点灯させることができる。
なお、LEDベアチップ4の色やその組み合わせ、配列を適宜変更することによって、種々の発光パターンを容易に実現することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0082】
(実施例8)
本例は、図30に示すごとく、LEDベアチップ4の電極44に半球状の突起部441を金ボールによって設けた例である。
該突起部441は、例えば直径が60μm程度である。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合には、第2導電膜32とLEDベアチップ4との電気的接触状態をより安定させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0083】
1 フレキシブルLEDモジュール
21 第1樹脂テープ
22 第2樹脂テープ
31 第1導電膜
32 第2導電膜
4 LEDベアチップ
51 第1電極ライン
52 第2導電ライン
61 第1電極端子
62 第2電極端子
7 絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLEDを内蔵した柔軟性を有するテープ状のフレキシブルLEDモジュール及びこれを裁断して得られる単体LEDモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)を複数個、一対の樹脂テープの間に挟み込んでなるLEDテープがある(特許文献1等)。
かかるLEDテープは、例えば商業用ディスプレイなどに貼着して用いることにより、効果的な電飾を行うことができる。
【0003】
しかしながら、上記LEDテープは、一対の樹脂テープの間にチップLEDを配設してなるが、このチップLEDは、LEDベアチップをリードフレームに実装すると共に樹脂封止してなるものである。すなわち、LEDベアチップをリードフレーム上に搭載し、LEDベアチップの電極をワイヤーボンディングによってリードフレームに接続し、さらにこれを、リードフレームのリードのみが露出した状態でモールド樹脂によって封止してなる。そのため、上記チップLEDは、LEDベアチップに比べてその体格が大きい。
それゆえ、LEDを点灯していない時にもLEDテープが目立ってしまう。また、LEDテープの柔軟性にも限界が生じる。その結果、上記LEDテープの用途が限定されるという問題がある。
【0004】
このような問題点を解消すべく、透明電極を内側面に形成してなる一対の透明シートの間に、LEDベアチップを配設してなる面状発光ユニットが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−10982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記面状発光シートにおいては、LEDベアチップへ電流を供給する電源から各ベアチップまでの電流経路は、透明電極及び導電接着シートのみとなる。これらは、いずれも透明であるため、電気的抵抗が大きい。それゆえ、電源との接点からLEDベアチップまでの距離が大きくなると、LEDベアチップを充分に点灯させることが困難となる。それゆえ、LEDベアチップの配設個数にも限界が生じるし、面状発光シートの大きさにも限界が生じることとなる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくく、かつ、複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュール及び単体LEDモジュールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、内側面に第1導電膜を形成した柔軟性を有する第1樹脂テープと、
該第1樹脂テープに対向配置され、内側面に透明な第2導電膜を形成した柔軟性を有する透明な第2樹脂テープと、
上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に挟持されると共に一対の電極をそれぞれ上記第1導電膜及び上記第2導電膜に電気的に接続してなる複数のLEDベアチップと、
上記第1樹脂テープにおける上記複数のLEDベアチップの配設領域に沿って、その脇における上記第1導電膜上に連続的に形成された第1電源ラインと、
上記第2樹脂テープにおける上記複数のLEDベアチップの配設領域に沿って、上記第1電源ラインの反対側の脇における上記第2導電膜上に連続的に形成された第2電源ラインと、
上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインとそれぞれ連続すると共に、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間から露出した第1電極端子及び第2電極端子と、
上記複数のLEDベアチップの配設位置を少なくとも除いて、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に配設された透明な絶縁層とを有し、
上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、隣り合う上記LEDベアチップの間には形成されていないことを特徴とするフレキシブルLEDモジュールにある(請求項1)。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明にかかるフレキシブルLEDモジュールを隣り合う上記LEDベアチップの間において裁断することによって得られ、1個の上記LEDベアチップを備えてなることを特徴とする単体LEDモジュールにある(請求項8)。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明にかかる上記フレキシブルLEDモジュールは、発光体として、LEDベアチップを用いている。すなわち、リードフレームやモールド樹脂、更にはボンディングワイヤ等を伴わない、単体素子であるLEDベアチップが、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に配置してある。
そのため、フレキシブルLEDモジュールにおける発光体の体積(厚み、主面の面積)を小さくすることができる。その結果、非点灯時において、フレキシブルLEDモジュールを目立ちにくくすることができる。また、フレキシブルLEDモジュールの柔軟性を向上させることができる。
【0011】
また、上記フレキシブルLEDモジュールは、上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインを有するため、多数のLEDベアチップを搭載しても、それらに充分に電流を供給することができる。そして、上記第1導電膜や上記第2導電膜の電気的抵抗が多少大きくても、充分にLEDベアチップを点灯させることができる。これにより、上記第1導電膜及び上記第2導電膜の膜厚を小さくすることができ、フレキシブルLEDモジュールの柔軟性を充分に確保することができる。また、少なくとも第2導電膜の透明性を充分に確保することができる。
【0012】
また、上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、隣り合う上記LEDベアチップの間には形成されていないため、連続するLEDベアチップ(発光体)の間にこれらの電源ラインが見えるということがない。そのため、フレキシブルLEDモジュールの意匠性を向上させることができる。
【0013】
また、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間には、透明な絶縁層が配設されているため、LEDベアチップの光を妨げることなく、第1導電膜と第2導電膜との短絡、第1電源ラインと第2導電膜との短絡、或いは第1導電膜と第2電源ラインとの短絡を効果的に防止することができる。
【0014】
また、上記フレキシブルLEDモジュールにおいては、第1電源ラインと、上記第1導電膜と、上記LEDベアチップと、上記第2導電膜と、上記第2電源ラインとが、この順にて直列接続されている。そして、少なくとも第2導電膜は透明導電膜を用いているため、通常は抵抗値が大きい。それゆえ、仮に一つのLEDベアチップが劣化して短絡した場合でも、「そのLEDベアチップの抵抗が低くなって電流が集中して、他のLEDベアチップに加わる電圧が低くなり点灯し難くなる」という不具合を、未然に防ぐことができる。
【0015】
以上のごとく、本発明によれば、優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくく、かつ、複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュールを提供することができる。
【0016】
また、上記第2の発明にかかる単体LEDモジュールは、上記第1の発明のフレキシブルLEDモジュールを裁断して得られるものであるため、上記と同様に、優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくい。
また、第2の発明にかかる単体LEDモジュールは、上記第1の発明にかかるフレキシブルLEDモジュールを裁断することによって得ることができるため、その生産効率を極めて高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における、フレキシブルLEDモジュールの斜視図。
【図2】実施例1における、フレキシブルLEDモジュールの平面図。
【図3】図2のA−A線矢視断面図。
【図4】図2のB−B線矢視断面図。
【図5】実施例1における、絶縁層の内周角部とLEDベアチップの外周角部とを結ぶ直線LのLEDベアチップの端面に対する傾斜角θの説明図。
【図6】実施例1における、LEDベアチップの斜視図。
【図7】実施例1における、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図8】図7に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図9】図8に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図10】図9に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図11】図10に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図12】実験例における、絶縁層の厚みTと一対の絶縁層の間隔と傾斜角θとの関係を示すと共に試験結果を示すプロット図。
【図13】実施例2における、フレキシブルLEDモジュールの平面図。
【図14】図13のC−C線矢視断面図。
【図15】実施例3における、フレキシブルLEDモジュールの平面図。
【図16】実施例3における、フレキシブルLEDモジュールから切り出した発光体が一つのフィルム状の単体LEDモジュールの平面図。
【図17】実施例4における、フレキシブルLEDモジュールの斜視図。
【図18】実施例4における、フレキシブルLEDモジュールから切り出した発光体が一つの単体LEDモジュールの斜視図。
【図19】実施例5における、フレキシブルLEDモジュールの斜視図。
【図20】実施例5における、フレキシブルLEDモジュールの断面図。
【図21】実施例5における、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図22】図21に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図23】図22に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図24】図23に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図25】図24に続く、フレキシブルLEDモジュールの製造方法を示す(A)斜視図、(B)断面図。
【図26】実施例6における、フレキシブルLEDモジュールの断面図。
【図27】実施例7における、フレキシブルLEDモジュールの斜視図。
【図28】実施例7における、第1の中間品の斜視図。
【図29】実施例7における、第2の中間品の斜視図。
【図30】実施例8における、LEDベアチップの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明において、上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、それぞれ、上記第1導電膜及び上記第2導電膜よりも、電気的抵抗が小さいことが好ましい。
上記複数のLEDベアチップは、例えば、一直線上に配列されていてもよいし、曲線状に配列されていてもよい。また、上記複数のLEDベアチップは、一列に配列されていることが好ましいが、複数列に配列されていてもよい。
【0019】
また、上記第1樹脂テープ及び上記第1導電膜も透明であることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記フレキシブルLEDモジュールにおいて、LEDベアチップと第1電源ライン及び第2電源ラインを除く部分をすべて透明にすることができる。そのため、非点灯時において、上記フレキシブルLEDモジュールを極めて目立ちにくくすることができる。特に、第1電源ライン及び第2電源ラインは、上記のごとく、隣り合うLEDベアチップの間には形成されていないため、フレキシブルLEDモジュールを、被装飾体に配置する際に、第1電源ライン及び第2電源ラインをうまく隠したり背景と同化させたりすることによって、あたかも何もないところから突然、複数の高輝度の光が現れるといった効果を得ることもできる。
【0020】
また、上記第1導電膜及び上記第2導電膜が上記LEDベアチップと電気的に接続される一対の接続面の間の高さよりも、上記絶縁層の厚みが小さいことが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記第1導電膜と上記第2導電膜とを、上記LEDベアチップの一対の接続面に、確実に電気的に接続することができる。そのため、フレキシブルLEDモジュールを多少湾曲させたりしても、複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができる。
【0021】
また、上記絶縁層の上記LEDベアチップに最も近い位置における上記第2導電膜側の内周角部と、上記LEDベアチップの上記第2導電膜側の端面の外周角部とを結ぶ直線が、上記端面に対して1.3°以上傾斜していることが好ましい(請求項4)。
上記第1導電膜と上記第2導電膜とを、上記LEDベアチップの一対の接続面に、より確実に電気的に接続することができる。そのため、フレキシブルLEDモジュールを種々の態様で湾曲させたりしても、複数のLEDベアチップを、より確実に点灯させることができる。
【0022】
なお、上記直線の上記端面に対する傾斜角が1.3°未満の場合には、フレキシブルLEDモジュールを湾曲させたときに、端面と第2導電膜との接触不良が生じやすくなるおそれがある。
また、上記傾斜角は8°以下であることが好ましい。上記傾斜角が8°を超える場合には、第2導電膜に応力がかかり、場合によってはクラックが生じるおそれがあるためである。
【0023】
また、上記LEDベアチップは、上記第1導電膜に対して導電性接着材によって接合されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記LEDベアチップを、上記第1導電膜に電気的に確実に接続すると共に、フレキシブルLEDモジュールにおける所定の位置に確実に固定することができる。
【0024】
また、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、それぞれ複数個形成されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、一本のフレキシブルLEDモジュールを複数に切断して利用することもできる。これにより、例えば、長尺のフレキシブルLEDモジュールを製造しておき、必要な長さに切断して利用することができる。そのため、生産効率を向上させることができると共に、利用もしやすくなる。
また、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、フレキシブルLEDモジュールに搭載したLEDベアチップと同数配設することもできる。この場合には、LEDベアチップ一つ分に切り出すことにより、発光体が一つのフィルム状の単体LEDモジュールとして利用することもできる。
【0025】
また、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、それぞれ上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインの長手方向の全体にわたって連続的に形成されていてもよい(請求項7)。
この場合には、上記フレキシブルLEDモジュールを任意の位置において切断して複数の短いフレキシブルLEDモジュール或いは発光体が一つの単体LEDモジュールを得ることができる。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるフレキシブルLEDモジュールにつき、図1〜図11を用いて説明する。
本例のフレキシブルLEDモジュール1は、図1〜図4に示すごとく、下記の第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22と複数のLEDベアチップ4と第1電源ライン51と第2電源ライン52と第1電極端子61及び第2電極端子62と絶縁層7とを有する。
【0027】
第1樹脂テープ21は、内側面に透明な第1導電膜31を形成してなり、柔軟性を有すると共に透明である。
第2樹脂テープ22は、第1樹脂テープ21に対向配置され、内側面に透明な第2導電膜32を形成してなり、柔軟性を有すると共に透明である。
複数のLEDベアチップ4は、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に挟持されると共に一対の電極をそれぞれ第1導電膜31及び第2導電膜32に電気的に接続してなる。
【0028】
第1電源ライン51は、第1樹脂テープ21における複数のLEDベアチップ4の配設領域に沿って、その脇における第1導電膜31上に連続的に形成されている。
第2電源ライン52は、第2樹脂テープ22における複数のLEDベアチップ4の配設領域に沿って、第1電源ライン51の反対側の脇における第2導電膜32上に連続的に形成されている。
【0029】
第1電極端子61及び第2電極端子62は、第1電源ライン51及び第2電源ライン52とそれぞれ連続すると共に、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間から露出している。
絶縁層7は、複数のLEDベアチップ4の配設位置を少なくとも除いて、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に配設されており、透明である。
第1電源ライン51及び第2電源ライン52は、隣り合うLEDベアチップ4の間には形成されていない。
【0030】
第1樹脂テープ21及び第2樹脂テープ22は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる。
第1導電膜31及び第2導電膜32は、ITO(錫ドープ酸化インジウム)からなる。
第1電源ライン51及び第2電源ライン52、更にはこれらにそれぞれ連続した第1電極端子61及び第2電極端子62は、いずれもアルミニウムからなる。
絶縁層7は、樹脂の粘着シートからなり、これによって、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22とを、LEDベアチップ4及び第1電源ライン51及び第2電源ライン52を挟持させた状態で接合している。
【0031】
なお、本例では、第1電源ライン51及び第2電源ライン52にアルミニウムのフィルムを用いたが、銅のフィルムの他、銀の粒子を混入した導電ペースト(銀ペースト)をライン状に塗工印刷した後、フレキシブルLEDモジュール1の一端において第1電極端子61及び第2電極端子62をアルミニウムのフィルムによって設けることでも、製造可能である。
例えば、電気抵抗率1×10-4Ω・cmの銀ペーストを幅5mm、厚さ30μmにてITO膜上に塗工、100℃×30分にて乾燥させることで、第1電源ライン51及び第2電源ライン52を形成する。この場合、長さ30cmのフレキシブルLEDモジュール1の両端間の抵抗は4Ωであった。
【0032】
図1、図2に示すごとく、LEDベアチップ4は、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に、これらの幅方向の中央において、一直線上に8個、等間隔に配置されている。図3に示すごとく、LEDベアチップ4は、第1樹脂テープ21に成膜された第1導電膜31に、銀ペースト等の導電性接着材41によって接合されている。
この8個のLEDベアチップ4の配列領域の両脇に、絶縁層7が、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に配置されている。フレキシブルLEDモジュール1の幅方向において、絶縁層7とLEDベアチップ4との間には隙間が形成されおり、これらは互いに接触していない。
【0033】
なお、LEDベアチップ4は、リードフレームやモールド樹脂、更にはボンディングワイヤ等を伴わない、単体素子である。そして、LEDベアチップ4は、図6に示すごとく、例えば、300μm×300μm×200μmの直方体形状を有し、その厚み方向の両端面に一対の電極44を形成してなる。電極44は、LEDベアチップ4の両端面の一部に、金により形成された直径100μm、厚み1μmの円形状パッドからなる。なお、電極は、LEDベアチップ4の端面の全面に形成してもよい。
【0034】
絶縁層7は、上記のごとく第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22とを接合する役割を有すると同時に、これらの間の間隔を適切に保つためのスペーサとしての役割をも有する。
図5に示すごとく、第1導電膜31及び第2導電膜32がLEDベアチップ4と電気的に接続される一対の接続面の間の高さ、すなわち導電性接着材41を含めたLEDベアチップ4の高さHよりも、絶縁層7の厚みTは小さい。
【0035】
そして、図5に示すごとく、絶縁層7のLEDベアチップ4に隣り合う位置における第2導電膜32側の内周角部72と、LEDベアチップ4の第2導電膜32側の端面43の外周角部42とを結ぶ直線Lが、端面43に対して1.3°以上傾斜している。すなわち、図5に示す傾斜角θは1.3°以上である。なお、第2導電膜32の耐久性の観点から、この傾斜角θは8°以下であることが好ましい。
【0036】
図2に示すごとく、第1電極端子61及び第2電極端子62は、フレキシブルLEDモジュール1の長手方向の一端において、互いに幅方向の反対側に突出している。そして、第1電極端子61及び第2電極端子62は、その厚み方向に貫通する開口部を形成してなる。これにより、電源からの配線の接続端子と接続できるよう構成されている。
【0037】
次に、本例のフレキシブルLEDモジュール1の製造方法の一例につき、主に図7〜図11を用いて説明する。
まず、厚み125μmのPETフィルムの一方の面にスパッタリングによって透明なITO膜を形成する。このITO膜は、例えば、厚みが35nm、表面抵抗が80Ω/□となるようにする。このITO膜を設けたPETフィルムを、幅20mm、長さ20cmに裁断したものを2枚用意する。その一方が、第1導電膜31を設けた第1樹脂テープ21であり、他方が、第2導電膜32を設けた第2樹脂テープ22である。すなわち、上記PETフィルムが第1樹脂テープ21又は第2樹脂テープ22であり、上記ITO膜が第1導電膜31又は第2導電膜32である。
【0038】
ここで、第1樹脂テープ21及び第2樹脂テープ22として、PET以外にも、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)など、他の樹脂フィルムを用いることもできる。また、第1導電膜31及び第2導電膜32として、ITO以外にも、例えば、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、10nm以下の薄膜Ag金属など、他の透明導電膜を用いることもできる。
【0039】
また、ITOを特に第2導電膜32に用いる場合、結晶化したITOを用いるのも、クラックが入りにくい点で好ましい。もちろん、結晶化したITOを第1導電膜31に用いても、その効果はある。
この膜の製造方法としては、スパッタ成膜前のチャンバー内の真空度を高真空にすることによって、不純物の混入を避けて成膜したITO膜を、150℃×30分にてアニール処理を行うことで、結晶化を行うという方法がある。
【0040】
次いで、図7に示す第1導電膜31を設けた上記第1樹脂テープ21に対し、図8に示すごとく、その第1導電膜31側の面における幅方向の一端に、導電ノリを片面に塗工したアルミテープ510を、第1樹脂テープ21から幅方向にはみ出るように貼着する。このアルミテープ510が第1電源ライン51及び第1電極端子61となる。
なお、上記導電ノリは、例えばアクリル系粘着剤ではなく、ポリエーテル系粘着剤からなるものを用い、ITO膜に損傷を与えないように、酸を含まないものを利用する。
【0041】
次いで、図8に示すごとく、絶縁層7を構成する粘着シートを、第1電源ライン51の上面及び内側面を覆うように、第1導電膜31上における幅方向の一端に貼着すると共に、第1導電膜31における幅方向の他端にも設ける。
これによって、第1樹脂テープ21における第1導電膜31を設けた面における幅方向の両側に、第1樹脂テープ21の長手方向に沿った一対の絶縁層7が、間に一定の間隔(1.5mm)の溝部を設けた状態で形成される。
【0042】
次いで、図9に示すごとく、上記溝部における第1導電膜31の表面に、8個のLEDベアチップ4を等間隔(20mm間隔)に並べると共に、これらを銀ペーストからなる導電性接着剤41を用いて接合する。これにより、図9に示すような第1の中間品101を得る。
【0043】
一方、図10に示すごとく、第2導電膜32を設けた第2樹脂テープ22にも、その第2導電膜32側の面における幅方向の一端に、導電ノリを片面に塗工したアルミテープ520を、第2樹脂テープ22から幅方向にはみ出るように貼着する。このアルミテープ520が第2電源ライン52及び第2電極端子62となる。
そして、これにより、図10に示すような第2の中間品102を得る。
【0044】
次いで、図11に示すごとく、上記第1の中間品101(図9)と上記第2の中間品102(図10)とを、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22とが外側を向くように貼り合わせる。
次いで、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間からはみ出たアルミテープ510、520の一部を裁断除去することにより、図1に示すような、本例のフレキシブルLEDモジュール1を得る。
【0045】
本例のフレキシブルLEDモジュール1は、例えば、パチンコ台等の遊技機を始め、種々の立体物の表面に貼着するなどして用いることができる。そして、立体物の表面が3次元的な立体面である場合にも、フレキシブルLEDモジュール1をこれに追従させて貼り付けることができる。
【0046】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記フレキシブルLEDモジュール1は、発光体として、LEDベアチップ4を用いている。すなわち、リードフレームやモールド樹脂、更にはボンディングワイヤ等を伴わない、単体素子であるLEDベアチップ4が、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間に配置してある。
そのため、フレキシブルLEDモジュール1における発光体の体積(厚み、主面の面積)を小さくすることができる。その結果、非点灯時において、フレキシブルLEDモジュール1を目立ちにくくすることができる。また、フレキシブルLEDモジュール1の柔軟性を向上させることができる。
【0047】
また、フレキシブルLEDモジュール1は、第1電源ライン51及び第2電源ライン52を有するため、多数のLEDベアチップ4を搭載しても、それらに充分に電流を供給することができる。そして、第1導電膜31や第2導電膜32の電気的抵抗が多少大きくても、充分にLEDベアチップ4を点灯させることができる。これにより、第1導電膜31及び第2導電膜32の膜厚を小さくすることができ、フレキシブルLEDモジュール1の柔軟性を充分に確保することができる。また、第1導電膜31及び第2導電膜32の透明性を充分に確保することができ、フレキシブルLEDモジュール1の透明性を確保することができる。
【0048】
また、図2に示すごとく、第1電源ライン及び第2電源ライン52は、隣り合うLEDベアチップ4の間には形成されていないため、連続するLEDベアチップ4(発光体)の間にこれらの電源ラインが見えるということがない。そのため、フレキシブルLEDモジュール1の意匠性を向上させることができる。
【0049】
また、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間には、透明な絶縁層7が配設されているため、LEDベアチップ4の光を妨げることなく、第1導電膜31と第2導電膜32との短絡、第1電源ライン51と第2導電膜32との短絡、或いは第1導電膜31と第2電源ライン52との短絡を効果的に防止することができる。
【0050】
また、第1樹脂テープ21、第2樹脂テープ22、第1導電膜31、第2導電膜32のすべてが透明であるため、フレキシブルLEDモジュール1において、LEDベアチップ4と第1電源ライン51及び第2電源ライン52を除く部分をすべて透明にすることができる。そのため、非点灯時において、フレキシブルLEDモジュール1を極めて目立ちにくくすることができる。特に、第1電源ライン51及び第2電源ライン52は、上記のごとく、隣り合うLEDベアチップ4の間には形成されていないため、フレキシブルLEDモジュール1を、被装飾体に配置する際に、第1電源ライン51及び第2電源ライン52をうまく隠したり背景と同化させたりすることによって、あたかも何もないところから突然、複数の高輝度の光が現れるといった効果を得ることもできる。
たとえば、本例のフレキシブルLEDモジュール1をパチンコ等の遊技機において用いた場合、上記のような効果は、遊技者に大きく新鮮な驚きを与えることができる。
【0051】
また、図5に示すごとく、導電性接着材41を含めたLEDベアチップ4の高さHよりも、絶縁層7の厚みTが小さいため、第2導電膜32を、LEDベアチップ4の端面(電極面)43に、確実に電気的に接続することができる。そのため、フレキシブルLEDモジュール1を多少湾曲させたりしても、複数のLEDベアチップ4を確実に点灯させることができる。
【0052】
また、図5に示すごとく、絶縁層7の内周角部72と、LEDベアチップ4の外周角部42とを結ぶ直線Lが、端面43に対して1.3°以上傾斜しているため、第2導電膜32とを、LEDベアチップ4の端面43に、より確実に電気的に接続することができる。そのため、フレキシブルLEDモジュール1を種々の態様で湾曲させたりしても、複数のLEDベアチップ4を、より確実に点灯させることができる。この点については、後述する実験例を参照されたい。
【0053】
また、LEDベアチップ4は、第1導電膜31に対して導電性接着材41によって接合されている。そのため、LEDベアチップ4を、第1導電膜31に電気的に確実に接続すると共に、フレキシブルLEDモジュール1における所定の位置に確実に固定することができる。
【0054】
以上のごとく、本例によれば、優れた柔軟性を有すると共に非点灯時には目立ちにくく、かつ、複数のLEDベアチップを確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュールを提供することができる。
【0055】
(実験例)
本例は、図5に示す、絶縁層7の内周角部72とLEDベアチップ4の外周角部42とを結ぶ直線LのLEDベアチップ4の端面43に対する傾斜角θと、フレキシブルLEDモジュール1の機能的信頼性との関係を調べた例である。
まず、実施例1に示した製造方法にて、フレキシブルLEDモジュール1を作製した。
ここで、表1に示すごとく、フレキシブルLEDモジュール1の幅方向の一対の絶縁層7の間隔を、2mm、3mm、4mmと変更し、絶縁層の厚みを0.15mm、0.10mm、0.05mmと変更しながら、それぞれの組み合わせのサンプルを各50個作製した。
【0056】
これらのサンプルについて、捻じれ試験を行った。すなわち、30cmの長さのサンプルの両端を、長手方向を軸に30°捻った状態で、各サンプル(フレキシブルLEDモジュール)に搭載した8個すべてのLEDベアチップ4が正常に点灯したものが、50本のサンプルのうち何本あったかを確認した。その結果を、表1に示す。表1において、「n/50」(nは自然数)との表示のnは、各水準における良品サンプルの数を表す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1から分かるように、絶縁層の厚みが0.15mmと厚い場合に、LEDベアチップ4が点灯しないサンプルが現れた。そして、一対の絶縁層7の間隔が広いほど、不良率が高い(良品率が低い)ことも分かる。
これは、上記傾斜角θが小さすぎると、LEDベアチップ4の端面(電極面)と第1導電膜31との接触が悪くなることを裏付けるものであると考えられる。
【0059】
そして、絶縁層7の厚みTと一対の絶縁層7の間隔S(図3)とに基づいて、傾斜角θが求まるため、その関係をグラフにプロットしたのが図12である。図12において、プロット◇、◆は、間隔Sが2mmのもの、プロット☆、★は間隔Sが3mmのもの、プロット○、●は、間隔Sが4mmのものを表す。そして、白抜き(◇、☆、○)が、上記試験においてすべて良品と判定された水準、黒塗り(◆、★、●)が、上記試験において不良品と判定されたサンプルがあった水準を示す。
【0060】
図12から分かるように、傾斜角θが1.3°以上であれば、不良の発生が全くない。
それゆえ、傾斜角θを1.3°以上とすることによって、多少のねじれが生じても、複数のLEDベアチップ4を確実に点灯させることができるフレキシブルLEDモジュール1を得ることができることが分かる。
【0061】
(実施例2)
本例は、図13、図14に示すごとく、絶縁層7を、隣り合うLEDベアチップ4の間にも配設した例である。
すなわち、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間において、LEDベアチップ4の配設位置及びその周囲のみを残して、絶縁層7を配設してある。
その他は、実施例1と同様である。
【0062】
本例の場合には、第1導電膜31と第2導電膜32との間の絶縁をより確実に行うことができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0063】
(実施例3)
本例は、図15に示すごとく、第1電極端子61及び第2電極端子62を、それぞれ複数個形成した例である。
第1電極端子61及び第2電極端子62は、フレキシブルLEDモジュール1に搭載したLEDベアチップ4と同数配設してある。また、第1電極端子61及び第2電極端子62とLEDベアチップ4とは、フレキシブルLEDモジュール1の幅方向の一直線上に並ぶように形成されている。
その他は、実施例2と同様である。
【0064】
本例の場合には、一本のフレキシブルLEDモジュール1を複数に切断して利用することもできる。これにより、例えば、長尺のフレキシブルLEDモジュール1を製造しておき、必要な長さに切断して利用することができる。そのため、生産効率を向上させることができると共に、利用もしやすくなる。
【0065】
また、本例の場合には、図16に示すごとく、LEDベアチップ4、一つ分に切り出すことにより、発光体が一つのフィルム状の単体LEDモジュール10として利用することもできる。
その他、実施例2と同様の作用効果を有する。
【0066】
(実施例4)
本例は、図17、図18に示すごとく、LEDベアチップ4の配設位置に対応する第2樹脂テープ22の外側面に、レンズ12を取り付けた例である。
すなわち、実施例1において説明したフレキシブルLEDモジュール1の製造方法における図11に示した状態(アルミテープ510、520が長手方向の全体にわたって第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間からはみ出た状態)において、透明樹脂を各LEDベアチップ4の配設位置における第2樹脂テープ22の外側面に略半球状にモールドして、レンズ12とする。
【0067】
その後、図18に示すごとく、LEDベアチップ4、一つ分に切り出すことにより、発光体が一つのレンズ付きの単体LEDモジュール10として利用することもできる。
その他は、実施例1と同様である。
【0068】
本例の場合には、LEDベアチップ4の発光をより目立たせることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0069】
(実施例5)
本例は、図19〜図25に示すごとく、第1導電膜31と第1電源ライン51と第1電極端子61とを、アルミ箔111によって形成したフレキシブルLEDモジュール1の例である。
すなわち、本例においては、図21に示すように、あらかじめPETフィルム112とアルミ箔111とが熱融着された複合シート11を用いる。この複合シート11におけるPETフィルム112部分が第1樹脂テープ21となり、アルミ箔111の部分が第1導電膜31と第1電源ライン51と第1電極端子61とになる。
【0070】
本例のフレキシブルLEDモジュール1を製造するに当たっては、図22に示すごとく、複合シート11におけるアルミ箔111側の面に、絶縁層7となる2枚の粘着シートのうちの一方を、幅方向の一端に沿って貼り付けると共に、他方の粘着シート(絶縁層7)を、複合シート11に幅方向の他端を所定幅あけるようにして貼り付ける。このとき、一対の粘着シート(絶縁層7)の間には、実施例1と同様に一定の間隔(溝部)を設ける。
【0071】
次いで、一対の絶縁層7(粘着シート)の間の溝部における第1導電膜31の表面に、8個のLEDベアチップ4を等間隔に並べると共に、これらを銀ペーストからなる導電性接着剤41を用いて接合する。これにより、図23に示すような第1の中間品101を得る。
【0072】
一方、図24に示すごとく、第2導電膜32を設けた第2樹脂テープ22には、その第2導電膜32側の面における幅方向の一端に、導電ノリを片面に塗工したアルミテープ520を、第2樹脂テープ22から幅方向にはみ出るように貼着する。このアルミテープ520が第2電源ライン52及び第2電極端子62となる。
そして、これにより、図24に示すような第2の中間品102を得る。
【0073】
次いで、図25に示すごとく、上記第1の中間品101(図23)と上記第2の中間品102(図24)とを、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22とが外側を向くように貼り合わせる。
次いで、第1樹脂テープ21と第2樹脂テープ22との間からはみ出たアルミテープ510、520の一部を裁断除去することにより、図19に示すような、本例のフレキシブルLEDモジュール1を得る。
その他は、実施例1と同様である。
【0074】
本例の場合には、第1導電膜31をアルミ箔111によって構成することができるため、高い導電性を確保することができる。また、第1導電膜31を反射板として利用することができるため、フレキシブルLEDモジュール1の光度を向上させることができる。
さらには、第1導電膜31において熱伝導性が向上するため、放熱性を高めることができる。
【0075】
また、あらかじめPETフィルム112とアルミ箔111とが熱融着された複合シート11によって、第1導電膜31と第1電源ライン51と第1電極端子61とを形成することができるため、製造工数を大幅に低減することができ、生産性に優れたフレキシブルLEDモジュール1を得ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0076】
(実施例6)
本例は、図26に示すごとく、アルミ箔111を第1樹脂テープ21の外側面に配設したフレキシブルLEDモジュール1の例である。
本例のフレキシブルLEDモジュール1を製造するに当たっては、上記実施例5において用いた複合シート11を用いることができる。そして、複合シート11におけるPETフィルム112側の面に、スパッタリングによってITOからなる第1導電膜31を形成する。
その他は、実施例1と同様である。
【0077】
本例の場合には、アルミ箔111を反射板として利用することができるため、フレキシブルLEDモジュール1の光度を向上させることができる。
さらには、アルミ箔111において熱伝導性が向上するため、フレキシブルLEDモジュール1の放熱性を高めることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0078】
なお、本例のフレキシブルLEDモジュール1において、上記アルミ箔111の外側面に更にPET等の樹脂層を設けることもできる(図示略)。この場合、例えば、該樹脂層と上記アルミ箔111と上記第1樹脂テープ21とを、予めアルミ箔の両面に一対のPETフィルムを設けてなる複合シートを利用して形成することもできる。
【0079】
(実施例7)
本例は、図27〜図29に示すごとく、隣り合うLEDベアチップ4を、互いに異なる色の素子とすると共に、互いの極性が正負逆向きとなるように配置した例である。
たとえば、赤色のLEDベアチップ4rの正極を第1導電膜31に接続し、黄色のLEDベアチップ4yの正極を第2導電膜32に接続すると共に、これらを交互に配置する。
【0080】
本例のフレキシブルLEDモジュール1を製造するに当たっては、実施例1に示した第1の中間品101(図9参照)において、図28に示すごとく、赤色のLEDベアチップ4rを、実施例1の場合の約2倍の配設間隔にて、第1導電膜31上に配置する。また、実施例1に示した第2の中間品102(図10参照)において、図29に示すごとく、黄色のLEDベアチップ4yを、実施例1の場合の約2倍の配設間隔にて、第2導電膜32上に配置する。
そして、第1の中間品101と第2の中間品102とを重ね合わせることにより、図27に示すごとく、赤色のLEDベアチップ4rと黄色のLEDベアチップ4yとが、長手方向に交互に並んだフレキシブルLEDモジュール1を得ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0081】
本例の場合には、第1電極端子61と第2電極端子62とに、正負逆向きの電圧を交互に印加することによって、赤色と黄色とを交互に点灯させることができる。
なお、LEDベアチップ4の色やその組み合わせ、配列を適宜変更することによって、種々の発光パターンを容易に実現することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0082】
(実施例8)
本例は、図30に示すごとく、LEDベアチップ4の電極44に半球状の突起部441を金ボールによって設けた例である。
該突起部441は、例えば直径が60μm程度である。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合には、第2導電膜32とLEDベアチップ4との電気的接触状態をより安定させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0083】
1 フレキシブルLEDモジュール
21 第1樹脂テープ
22 第2樹脂テープ
31 第1導電膜
32 第2導電膜
4 LEDベアチップ
51 第1電極ライン
52 第2導電ライン
61 第1電極端子
62 第2電極端子
7 絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側面に第1導電膜を形成した柔軟性を有する第1樹脂テープと、
該第1樹脂テープに対向配置され、内側面に透明な第2導電膜を形成した柔軟性を有する透明な第2樹脂テープと、
上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に挟持されると共に一対の電極をそれぞれ上記第1導電膜及び上記第2導電膜に電気的に接続してなる複数のLEDベアチップと、
上記第1樹脂テープにおける上記複数のLEDベアチップの配設領域に沿って、その脇における上記第1導電膜上に連続的に形成された第1電源ラインと、
上記第2樹脂テープにおける上記複数のLEDベアチップの配設領域に沿って、上記第1電源ラインの反対側の脇における上記第2導電膜上に連続的に形成された第2電源ラインと、
上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインとそれぞれ連続すると共に、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間から露出した第1電極端子及び第2電極端子と、
上記複数のLEDベアチップの配設位置を少なくとも除いて、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に配設された透明な絶縁層とを有し、
上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、隣り合う上記LEDベアチップの間には形成されていないことを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記第1樹脂テープ及び上記第1導電膜も透明であることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記第1導電膜及び上記第2導電膜が上記LEDベアチップと電気的に接続される一対の接続面の間の高さよりも、上記絶縁層の厚みが小さいことを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記絶縁層の上記LEDベアチップに最も近い位置における上記第2導電膜側の内周角部と、上記LEDベアチップの上記第2導電膜側の端面の外周角部とを結ぶ直線が、上記端面に対して1.3°以上傾斜していることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記LEDベアチップは、上記第1導電膜に対して導電性接着材によって接合されていることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、それぞれ複数個形成されていることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項7】
請求項1〜5に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、それぞれ上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインの長手方向の全体にわたって連続的に形成されていることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のフレキシブルLEDモジュールを隣り合う上記LEDベアチップの間において裁断することによって得られ、1個の上記LEDベアチップを備えてなることを特徴とする単体LEDモジュール。
【請求項1】
内側面に第1導電膜を形成した柔軟性を有する第1樹脂テープと、
該第1樹脂テープに対向配置され、内側面に透明な第2導電膜を形成した柔軟性を有する透明な第2樹脂テープと、
上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に挟持されると共に一対の電極をそれぞれ上記第1導電膜及び上記第2導電膜に電気的に接続してなる複数のLEDベアチップと、
上記第1樹脂テープにおける上記複数のLEDベアチップの配設領域に沿って、その脇における上記第1導電膜上に連続的に形成された第1電源ラインと、
上記第2樹脂テープにおける上記複数のLEDベアチップの配設領域に沿って、上記第1電源ラインの反対側の脇における上記第2導電膜上に連続的に形成された第2電源ラインと、
上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインとそれぞれ連続すると共に、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間から露出した第1電極端子及び第2電極端子と、
上記複数のLEDベアチップの配設位置を少なくとも除いて、上記第1樹脂テープと上記第2樹脂テープとの間に配設された透明な絶縁層とを有し、
上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインは、隣り合う上記LEDベアチップの間には形成されていないことを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記第1樹脂テープ及び上記第1導電膜も透明であることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記第1導電膜及び上記第2導電膜が上記LEDベアチップと電気的に接続される一対の接続面の間の高さよりも、上記絶縁層の厚みが小さいことを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記絶縁層の上記LEDベアチップに最も近い位置における上記第2導電膜側の内周角部と、上記LEDベアチップの上記第2導電膜側の端面の外周角部とを結ぶ直線が、上記端面に対して1.3°以上傾斜していることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記LEDベアチップは、上記第1導電膜に対して導電性接着材によって接合されていることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、それぞれ複数個形成されていることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項7】
請求項1〜5に記載のフレキシブルLEDモジュールにおいて、上記第1電極端子及び上記第2電極端子は、それぞれ上記第1電源ライン及び上記第2電源ラインの長手方向の全体にわたって連続的に形成されていることを特徴とするフレキシブルLEDモジュール。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のフレキシブルLEDモジュールを隣り合う上記LEDベアチップの間において裁断することによって得られ、1個の上記LEDベアチップを備えてなることを特徴とする単体LEDモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図23】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2011−96901(P2011−96901A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250532(P2009−250532)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】
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