フロントフォークアッセンブリ組立方法
【課題】構成部品同士の回転方向の位相を確実に調整できるアッセンブリの組立て方法を提供すること。
【解決手段】フロントフォークアッセンブリ組立方法では、右フォーク11Aおよびホイール13が把持装置に対して従回動可能となるように、ホイール13を把持する工程と、ブレーキパネル14に対するホイール13の回転方向の位相を調整する工程と、ホイール13をブレーキパネル14の上方に仮置きし、その後、ホイール13の把持装置に対する従回動を解除する工程と、右フォーク11Aのブレーキパネル14に対する回転方向の位相を調整する工程と、把持装置を下降させて、把持部でブレーキパネル14を把持し、その後、ブレーキパネル14を上昇させて、再び、ホイール13が把持装置に対して従回動可能となるようにする工程と、右フォーク11Aの左フォーク11Bに対する回転方向の位相を調整する工程と、を備える。
【解決手段】フロントフォークアッセンブリ組立方法では、右フォーク11Aおよびホイール13が把持装置に対して従回動可能となるように、ホイール13を把持する工程と、ブレーキパネル14に対するホイール13の回転方向の位相を調整する工程と、ホイール13をブレーキパネル14の上方に仮置きし、その後、ホイール13の把持装置に対する従回動を解除する工程と、右フォーク11Aのブレーキパネル14に対する回転方向の位相を調整する工程と、把持装置を下降させて、把持部でブレーキパネル14を把持し、その後、ブレーキパネル14を上昇させて、再び、ホイール13が把持装置に対して従回動可能となるようにする工程と、右フォーク11Aの左フォーク11Bに対する回転方向の位相を調整する工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントフォークアッセンブリ組立方法に関する。詳しくは、第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、第2フォークを含むフロントフォークアッセンブリを組み立てるフロントフォークアッセンブリ組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動二輪車の前輪部分のアッセンブリは、右フォークおよび左フォークからなる一対のフロントフォーク、ステム、ホイール、ブレーキパネル、アクスルなどの部品で構成される。これらの部品のうち、フロントフォーク、ホイール、およびブレーキパネルには、貫通孔が形成されている。
【0003】
これらフロントフォーク、ホイール、およびブレーキパネルは、例えば、把持装置を用いて、以下の手順で組み立てられる(特許文献1参照)。
すなわち、把持装置は、棒状であり、先端側に設けられたコレットを拡張あるいは収縮可能となっている。
まず、右フォークの供給位置に把持装置を移動し、右フォークの挿通孔にコレットを挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置で右フォークを把持する。
【0004】
次に、カラーの供給位置に把持装置を移動し、カラーの上に右フォークを積層する。そして、把持装置を下降させて、コレットをカラーに挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置でカラーを把持する。これにより、把持装置で、右フォークおよびカラーを支持した状態となる。
【0005】
次に、ホイールの供給位置に把持装置を移動し、ホイールの上に右フォークおよびカラーを積層する。そして、把持装置を下降させて、コレットをホイールに挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置でホイールを把持する。これにより、把持装置で、右フォーク、カラー、およびホイールを支持した状態となる。
【0006】
次に、ブレーキパネルの供給位置に把持装置を移動し、ブレーキパネルの上に右フォーク、カラー、およびホイールを積層する。そして、把持装置を下降させて、コレットをブレーキパネルに挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置でブレーキパネルを把持する。これにより、把持装置で、右フォーク、カラー、ホイール、およびブレーキパネルを支持した状態となる。
【0007】
次に、左フォークの供給位置に把持装置を移動し、左フォークの上に右フォーク、カラー、ホイール、およびブレーキパネルを積層する。そして、把持装置を下降させて、コレットを左フォークに挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置で左フォークを把持する。これにより、把持装置で、右フォーク、カラー、ホイール、ブレーキパネル、および左フォークを支持した状態となる。
【0008】
その後、アクスル昇降機構により、これらの部品の挿通孔にアクスルを挿通して、締め付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−000769号公報(特願2007−162882号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述のアッセンブリでは、実際には、部品同士の位相を調整する必要がある。
具体的には、右フォークと左フォークとを、略平行、つまり、回転方向に同位相とする必要がある。
また、左フォークがブレーキパネルの下面に嵌合する構造であるため、ブレーキパネルを左フォークに対して回転方向に所定の位相とする必要がある。
さらに、ブレーキパネルは所定の位置でホイールに嵌合する構造であるため、ホイールをブレーキパネルに対して回転方向に所定の位相とする必要がある。
【0011】
しかしながら、特許文献1に示された方法では、部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を調整する手法は示されていない。
【0012】
また、上述のようにホイールの下面にブレーキパネルが嵌合するため、ホイールの下面の位相を検出する必要があるが、ホイールが供給エリアに配置された状態では、このホイールの位相を検出できない。
【0013】
本発明は、フロントフォークアッセンブリの構成部品について、構成部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を確実に調整できるアッセンブリの組立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のフロントフォークアッセンブリの組み立て方法は、それぞれ基準孔(例えば、後述の挿通孔111、131、141)を有する第1フォーク(例えば、後述の右フォーク11A)、ホイール(例えば、後述のホイール13)、ブレーキパネル(例えば、後述のブレーキパネル14)、第2フォーク(例えば、後述の左フォーク11B)について、上から第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、第2フォークの順に積層し、ワーク把持装置(例えば、後述の把持装置30)の把持手段(例えば、後述の把持部40)を前記基準孔のそれぞれに挿通して、フロントフォークアッセンブリ(例えば、後述のフロントフォークアッセンブリ10)を組み立てるフロントフォークアッセンブリ組立方法であって、前記第1フォーク、前記ブレーキパネル、および前記第2フォークについての供給位置および前記基準孔を中心とした回転方向の位相を検出するとともに、前記ホイールの供給位置を検出する工程と、前記ワーク把持装置を移動して、上から前記第1フォーク、前記ホイールの順に積層し、前記第1フォークの基準孔および前記ホイールの基準孔に前記ワーク把持装置の把持手段を上から挿通して、前記第1フォークおよび前記ホイールが前記基準孔を中心として前記ワーク把持装置に対して従回動可能となるように、前記ホイールを把持する工程と、前記ワーク把持装置の把持手段で把持したホイールについて、前記基準孔を中心とした回転方向の位相を検出する工程と、前記ワーク把持装置の把持手段を回動して、前記供給位置に配置されたブレーキパネルに対する前記ホイールの回転方向の位相を調整する工程と、前記ワーク把持装置を移動して、前記ホイールを前記ブレーキパネルの上方に仮置きし、その後、前記ホイールの前記ワーク把持装置に対する従回動を解除する工程と、前記ワーク把持装置を回動して、前記第1フォークの前記ブレーキパネルに対する回転方向の位相を調整する工程と、前記ワーク把持装置を下降させて、前記把持手段を前記ブレーキパネルの基準孔に挿通して把持し、その後、前記ブレーキパネルを上昇させて、上から前記第1フォーク、前記ホイール、および前記ブレーキパネルの順に積層するとともに、再び、前記ホイールが前記基準孔を中心として前記ワーク把持装置に対して従回動可能となるようにする工程と、前記ワーク把持装置を回動して、前記第1フォークの前記第2フォークに対する回転方向の位相を調整するとともに、前記ワーク把持装置を移動して、前記把持した第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルを、前記供給位置に配置された第2フォークに積層する工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、上から第1フォーク、ホイールの順に積層した状態で、ホイールを把持する。この状態では、第1フォークの回転方向の位相のみが検出されている。
次に、ホイールの回転方向の位相を検出する。
次に、ワーク把持装置の把持手段を回動して、ホイールのブレーキパネルに対する回転方向の位相を調整する。これにより、ホイールのブレーキパネルに対する回転方向の位相が決定される。
【0016】
次に、ワーク把持装置を移動して、ホイールを供給位置に配置されたブレーキパネルの上方に仮置きし、その後、ホイールのワーク把持装置に対する従回動を解除する。
次に、ワーク把持装置を回動して、第1フォークのブレーキパネルに対する回転方向の位相を調整する。これにより、第1フォークのブレーキパネルに対する回転方向の位相が決定される。
【0017】
次に、ワーク把持装置を下降させて、把持手段をブレーキパネルの基準孔に挿通して把持し、その後、ブレーキパネルを上昇させて、上から第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルの順に積層するとともに、再び、第1フォークおよびホイールが基準孔を中心としてワーク把持装置に対して従回動可能となるようにする。これまでの動作により、第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネル同士の回転方向の位相が固定される。
【0018】
次に、ワーク把持装置の把持手段を回動して、第1フォークの第2フォークに対する回転方向の位相を調整する。これにより、第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルについて、第2フォークに対する回転方向の位相が決定される。
そして、ワーク把持装置を移動して、把持した第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルを、供給位置に配置された第2フォークに積層する。これまでの動作により、第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、および第2フォーク同士の相対的な位相が固定される。
【0019】
以上より、フロントフォークアッセンブリの構成部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を確実に調整できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フロントフォークアッセンブリの構成部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を確実に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明一実施形態に係るフロントフォークアッセンブリ組立方法により組み立てられるフロントフォークアッセンブリの分解斜視図である。
【図2】前記実施形態に係る把持装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る把持装置の把持部の断面図である。
【図4】前記実施形態に係る把持部のコレット近傍の分解斜視図である。
【図5】前記実施形態に係るコレットに加圧した状態を示す断面図である。
【図6】前記実施形態に係るコレットが拡張した状態を示す断面図である。
【図7】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する右フォークを把持する手順を説明するための側面図である。
【図8】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する右フォークを把持した状態を示す斜視図である。
【図9】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するカラーを把持する手順を説明するための側面図である。
【図10】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するホイールを把持する手順を説明するための側面図である。
【図11】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するホイールを把持した状態を示す斜視図である。
【図12】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その1)である。
【図13】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その2)である。
【図14】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その3)である。
【図15】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その4)である。
【図16】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その5)である。
【図17】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する左フォークを把持する手順を説明するための側面図である。
【図18】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する左フォークを把持した状態を示す側面図である。
【図19】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するアッセンブリにアクスルを挿通した状態を示す側面図である。
【図20】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するアッセンブリにステムを取り付けた状態を示す側面図である。
【図21】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを完成させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明一実施形態に係るフロントフォークアッセンブリ組立方法により組み立てられるフロントフォークアッセンブリ10の分解斜視図である。
【0023】
フロントフォークアッセンブリ10は、自動二輪車の前輪部分であり、一対のフォーク11A、11B、ステム12、ホイール13、ブレーキパネル14、アクスル15を含んで構成される。
【0024】
一対のフォーク11A、11Bは、右側に配置される第1フォークとしての右フォーク11Aと、左側に配置される第2フォークとしての左フォーク11Bとで構成され、それぞれ、長尺状の部材であり、先端側には、基準孔としての挿通孔111が形成されている。
ステム12は、フォーク11A、11Bが挿通される一対の挿通孔121が形成されており、これら挿通孔121のそれぞれにフォーク11A、11Bを挿通してボルト122で締め付けることにより、一対のフォーク11A、11Bを略平行に保持する。
【0025】
ホイール13は、略円盤状であり、ホイール13の中心には基準孔としての挿通孔131が形成されている。
ブレーキパネル14は、略円盤状であり、ホイール13に取り付けられる。このブレーキパネル14の中心には、基準孔としての挿通孔141が形成されている。
ホイール13は、ブレーキパネル14が取り付けられた状態で、一対のフォーク11A、11Bの間に配置される。
【0026】
アクスル15は、一対のフォーク11A、11B、ホイール13、およびブレーキパネル14のそれぞれの挿通孔111、131、141と、円筒状のカラー151とに挿通され、ナット152で締め付けられることにより、ホイール13をフォーク11A、11Bに回転自在に保持する。つまり、アクスル15を挿通することにより、一対のフォーク11A、11B、ホイール13、およびブレーキパネル14のそれぞれの挿通孔111、131、141と、円筒状のカラー151とは、同軸上に位置することになる。
【0027】
ところで、以上のフロントフォークアッセンブリ10では、右フォーク11Aおよび左フォーク11Bにステム12を取り付けるため、右フォーク11Aと左フォーク11Bとを略平行にする、つまり、挿通孔111を回転中心とする回転方向に同位相とする必要がある。
また、左フォーク11Bがブレーキパネル14の下面に嵌合する構造であるため、ブレーキパネル14の左フォーク11Bに対する挿通孔111、141を回転中心とする回転方向の位相を、所定の位相とする必要がある。
さらに、ブレーキパネル14は所定の位置でホイール13に嵌合する構造であるため、ホイール13のブレーキパネル14に対する挿通孔131、141を回転中心とする回転方向の位相を、所定の位相とする必要がある。
以上より、フロントフォークアッセンブリ10を組み立てるためには、右フォーク11A、ホイール13、ブレーキパネル14、および左フォーク11B同士の回転方向の位相を調整する必要があることが判る。
【0028】
図2は、ワーク把持装置としての把持装置30の概略構成を示す斜視図であり、図3は、把持装置30の把持部40の断面図である。
把持装置30は、ロボットのハンドであり、この把持装置30の姿勢および3次元空間上の位置を変化させるロボットアーム32の先端に設けられている。
把持装置30は、ロボットアーム32に支持される平板状の基部31と、この基部31から略垂直に延びる棒状の把持手段としての把持部40と、基部31から略垂直に延びる進退可能な係止部50と、を備える。この把持部40の中心軸とロボットアーム32のフランジ面の中心軸とは、同軸となっている。
【0029】
係止部50は、基部31に略垂直に設けられた係止部本体51と、この係止部本体51にスライド自在に設けられたスライド部52と、を備える。
係止部本体51には、延出方向に沿って延びるスライドレール511が設けられている。また、スライドレール511の下端には、突起部512が設けられている。
【0030】
スライド部52は、スライド部本体521と、このスライド部本体521に設けられてスライドレール511に沿って移動可能なスライドガイド527と、このスライドガイド527の下端に設けられたストッパ522と、スライド部本体521の下端から略水平方向に延びる当接部523と、スライド部本体521に対して上下に移動可能に設けられた複数の棒状の係止部材524と、を備える。
【0031】
ストッパ522は、係止部本体51の突起部512に係止することにより、スライド部52の下方への移動を規制する。
当接部523の先端は、略水平面となっており、把持部40の近傍まで延びている。
スライド部本体521には、上下に延びる複数の貫通孔525が並んで形成されており、複数の係止部材524は、それぞれ、貫通孔525に挿通されている。これにより、複数の係止部材524は、把持部40から所定間隔離れて略平行に整列して設けられ、かつ、上下方向に移動可能となっている。
また、各係止部材524の上端側には、鍔部526が形成されており、係止部材524の下方への移動を規制する。
【0032】
以上のスライド部52は、外力が加えられていない状態では、自重により下方に移動して、ストッパ522が突起部512に係止した状態となっている。
また、各係止部材524も、自重により下方に移動して、鍔部526が貫通孔525の上端に係止した状態となっている。
【0033】
把持部40は、基部31に設けられたアクチュエータ41と、このアクチュエータ41に固定された円筒状のガイド部42と、このガイド部42の同軸上に設けられた円筒状のコレット43と、ガイド部42およびコレット43に挿通される棒状のシャフト部44と、を備える。
【0034】
アクチュエータ41は、シャフト部44をガイド部42内で進退させることで、ガイド部42とシャフト部44とを相対移動させる。
【0035】
ガイド部42の先端には、第1の駒421が形成されている。
シャフト部44の先端には、第2の駒441が形成されている。
コレット43は、ガイド部42の第1の駒421とシャフト部44の第2の駒441と間に配置されている。
【0036】
図4は、把持装置30のコレット43近傍の分解斜視図である。
コレット43には、一端縁付近から他端縁に至るスリット431と、他端縁付近から一端縁に至るスリット432と、が交互に形成されている。
【0037】
第1の駒421の外径は、コレット43側つまり先端側では、コレット43の内径よりも小さく、コレット43の反対側つまり基端側では、コレット43の内径よりも大きくなっている。
第2の駒441の外径は、コレット43側つまり基端側では、コレット43の内径よりも小さく、コレット43の反対側つまり先端側では、コレット43の内径よりも大きくなっている。
よって、第1の駒421の先端側および第2の駒441の基端側は、コレット43の内径よりも小さいので、コレット43内部に入り込んだ状態となっている。
【0038】
次に、把持装置30の動作について説明する。
まず、アクチュエータ41を動作させない場合、第1の駒421の先端側および第2の駒441の基端側がコレット43の内部に入り込んでいるが、コレット43は、拡張していない状態である。
【0039】
次に、アクチュエータ41により、シャフト部44をガイド部42に対して矢印A方向に後退させて、第2の駒441が第1の駒421に接近させる。すると、図5に示すように、これらの駒421、441の外周面により、コレット43の内壁面が矢印B方向に押圧される。その結果、コレット43が弾性変形し、図6に示すように、コレット43の外径は矢印C方向に拡張される。
【0040】
その後、アクチュエータ41により、シャフト部44をガイド部42に対して前進させて、第2の駒441を第1の駒421から離間させる。すると、コレット43の弾性変形の復元力により、コレット43の外径は、収縮して原形に復帰する。
【0041】
次に、上述のフロントフォークアッセンブリ10の組立手順を、図7〜図17を参照しながら説明する。
把持装置30は、右フォーク11Aが供給される図示しない右フォーク供給エリア、カラー151が供給される図示しないカラー供給エリア、ホイール13が供給される図示しないホイール供給エリア、ブレーキパネル14が供給される図示しないブレーキパネル供給エリア、および左フォーク11Bが供給される図示しない左フォーク供給エリアを順次移動しながら、フロントフォークアッセンブリ10を組み立てる。
【0042】
まず、図示しないカメラにより、右フォーク供給エリア、カラー供給エリア、ホイール供給エリア、ブレーキパネル供給エリア、および左フォーク供給エリアを上方から撮影し、今回の組み立て対象となる右フォーク11Aの供給位置および回転方向の位相、カラー151の供給位置、ホイール13の供給位置、ブレーキパネル14の供給位置および回転方向の位相、左フォーク11Bの供給位置および回転方向の位相を検出しておく。
【0043】
次に、把持装置30により右フォーク11Aを把持する。以下、この具体的な手順を、図7、図8を参照しながら説明する。
まず、上述のように、右フォーク11Aの挿通孔111を回転中心とする回転方向の位相は、既に検出されている。そこで、図7に示すように、右フォーク供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の把持部40を、右フォーク11Aの上方に位置させる。
【0044】
次に、把持装置30を回動させて、把持部40に対する右フォーク11Aの回転方向の位相を決定する。これにより、右フォーク11Aの基端側は、把持部40の係止部材524の下方に位置する。
【0045】
続いて、把持装置30を下方に移動し、把持装置30の当接部523を右フォーク11Aに当接させながら、右フォーク11Aの挿通孔111に把持装置30を挿通する。
すると、図8に示すように、把持装置30の当接部523に設けられた複数の係止部材524のうちの一部が右フォーク11Aの上面に当接して上昇し、複数の係止部材524の先端部分に段差が生じて、この段差が右フォーク11Aに係止する。これにより、把持部40に対する右フォーク11Aの回転方向の位相が固定されて、右フォーク11Aは把持装置30に対して従回動可能となる。
そして、コレット43を拡張させて右フォーク11Aを把持する。
【0046】
次に、把持装置30により、右フォーク11Aに加えて、カラー151を把持する。具体的には、図9に示すように、カラー供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の把持部40を、カラー151の上方に位置させる。
次に、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11Aをカラー151に積層し、右フォーク11Aの下面をカラー151の上面に当接させる。次に、コレット43を原形に復帰させて右フォーク11Aの把持を解除する。続いて、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11Aに加えてカラー151にも把持装置30の把持部40を挿通する。これにより、右フォーク11Aが把持装置30の把持部40に対して上方に相対移動するので、係止部50のスライド部52も係止部本体51に対して上方に相対移動する。
【0047】
その後、コレット43を拡張させて、カラー151を把持する。この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111およびカラー151は、同軸上に位置している。
【0048】
次に、把持装置30により、右フォーク11Aおよびカラー151に加えて、ホイール13を把持する。具体的には、図10に示すように、ホイール供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の把持部40を、ホイール13の上方に位置させる。
次に、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11Aおよびカラー151をホイール13に積層し、カラー151の下面をホイール13の上面に当接させる。次に、コレット43を原形に復帰させてカラー151の把持を解除する。
【0049】
続いて、図11に示すように、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11Aおよびカラー151に加えて、ホイール13にも把持装置30の把持部40を挿通する。これにより、右フォーク11Aおよびカラー151が把持装置30の把持部40に対してさらに上方に相対移動するので、係止部50のスライド部52も係止部本体51に対してさらに上方に相対移動する。
【0050】
ここで、複数の係止部材524のうち右フォーク11Aにより上昇していないものを係止部材524Aとすると、これら係止部材524Aのうちの一部はホイール13の上面に当接して上昇する。このとき、ホイール13の端部側の高さは中央側の高さよりも低いため、複数の係止部材524Aの先端部分に段差が生じて、この段差がホイール13に係止する。これにより、把持部40に対するホイール13の回転方向の位相が固定されて、ホイール13は把持装置30に対して従回動可能となる。
【0051】
その後、コレット43を拡張させて、ホイール13を把持する。この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、およびホイール13の挿通孔131は、同軸上に位置している。
【0052】
次に、把持装置30により、右フォーク11A、カラー151、およびホイール13に加えて、ブレーキパネル14を把持する。
以下、このブレーキパネル14を把持する具体的な手順を、図12〜図16を参照しながら説明する。
【0053】
まず、ブレーキパネル供給エリアにおいて、ブレーキパネル14は、トレイ142に収納されている(図12参照)。
トレイ142には凹部が形成されており、この凹部は、全体が上方に露出した状態でブレーキパネル14が収納されるブレーキパネル収納部143となっている。また、ブレーキパネル収納部143の周囲には、ブレーキパネル収納部143よりも高い位置に、ホイール13が載置されるホイール載置面144が形成されている。
また、トレイ142の側方には、カメラ145が設けられている。
【0054】
この状態で、まず、把持装置30をカメラ145の上方に位置させ、このとき、カメラ145によりホイール13を下方から撮影し、撮影したホイール13の嵌合部の形状に基づいて、ホイール13の回転方向の位相を検出する。
次に、図12に示すように、把持装置30をトレイ142に接近させる。ここで、この把持装置30は、上から右フォーク11A、カラー151、およびホイール13の順に積層した状態で、ホイール13を把持している。
【0055】
次に、把持装置30を回動させて、挿通孔131を中心としてホイール13を回動させて、トレイ142に収納されたブレーキパネル14の嵌合部の形状に合致するようにホイール13の位相を調整する。
次に、図13に示すように、さらに把持装置30を移動して、最下段のホイール13をトレイ142のホイール載置面144に着座させる。
【0056】
次に、把持装置30のコレット43を原形に復帰させてホイール13の把持を解除する。
次に、把持装置30を上昇させて、把持装置30のコレット43をカラー151の内部に位置させて、コレット43を拡張し、カラー151を把持する。
次に、図14に示すように、把持装置30をさらに上昇させて、把持装置30の係止部材524のホイール13に対する係止を解除し、これにより、ホイール13の把持装置30に対する従回動が解除される。
【0057】
次に、把持装置30を回動させることにより、挿通孔111を中心として右フォーク11Aを回動させて、ブレーキパネル14に対する右フォーク11Aの位相を調整する。このとき、把持装置30による右フォーク11Aの把持を解除しているが、把持装置30の係止部材524は右フォーク11Aに係止しているため、把持装置30を回動すると、右フォーク11Aも回動することになる。
【0058】
続いて、図15に示すように、把持装置30を下降させて、右フォーク11A、カラー151、およびホイール13に加えて、ブレーキパネル14にも把持装置30の把持部40を挿通する。これにより、複数の係止部材524が再びホイール13に係止し、ホイール13は、再び、把持装置30に対して従回動可能となる。
【0059】
その後、コレット43を拡張させてブレーキパネル14を把持する。
次に、図16に示すように、把持装置30を上昇させて、ブレーキパネル14をホイール13に下方から嵌合させる。
この状態では、上から右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14の順に積層されており、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、ホイール13の挿通孔131、およびブレーキパネル14の挿通孔141は、同軸上に位置している。
【0060】
次に、把持装置30により、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14に加えて、左フォーク11Bを把持し、アッセンブリ16とする。
具体的には、図17に示すように、左フォーク供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の把持部40を、左フォーク11Bの上方に位置させる。
次に、把持装置30を回動して、右フォーク11Aの左フォーク11Bに対する回転方向の位相を調整するとともに、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14を左フォーク11Bに積層して、ブレーキパネル14の下面を左フォーク11Bの上面に当接させる。
【0061】
次に、コレット43を原形に復帰させてブレーキパネル14の把持を解除する。続いて、把持装置30を下降させ、図18に示すように、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14に加えて、左フォーク11Bにも把持装置30の把持部40を挿通する。これにより、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14が把持装置30の把持部40に対してさらに上方に相対移動するので、係止部50のスライド部52も係止部本体51に対してさらに上方に相対移動する。
【0062】
その後、コレット43を拡張させて左フォーク11Bを把持する。
この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、ホイール13の挿通孔131、ブレーキパネル14の挿通孔141、および左フォーク11Bの挿通孔111は、同軸上に位置している。
【0063】
次に、把持装置30を移動して、このアッセンブリ16を図示しない反転テーブル上に載置して、把持装置30をアッセンブリ16から離間させつつ、図19に示すように、アクスル15をこのアッセンブリ16に挿通する。
【0064】
次に、反転テーブルを反転させて、アクスル15が挿通されたアッセンブリ16を取り出す。その後、このアッセンブリ16を図示しない反転テーブル上に搬送して、図20に示すように、アクスル15の先端にナット152を締め付け、さらにステム12を取り付ける。
【0065】
次に、図21に示すように、図示しないボルト締付装置により、ステム12にボルト122を締め付けて、フロントフォークアッセンブリ10を完成させる。
【0066】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、上から右フォーク11A、ホイール13の順に積層した状態で、ホイール13を把持する。この状態では、右フォーク11Aの回転方向の位相のみが検出されている。
次に、ホイール13の回転方向の位相を検出する。
次に、把持装置30の把持部40を回動して、ホイール13のブレーキパネル14に対する回転方向の位相を調整する。これにより、13ホイールのブレーキパネル14に対する回転方向の位相が決定される。
【0067】
次に、把持装置30を移動して、ホイール13を供給位置に配置されたブレーキパネル14の上方に仮置きし、その後、ホイール13の把持装置30に対する従回動を解除する。
次に、把持装置30を回動して、右フォーク11Aのブレーキパネル14に対する回転方向の位相を調整する。これにより、右フォーク11Aのブレーキパネル14に対する回転方向の位相が決定される。
【0068】
次に、把持装置30を下降させて、把持部40をブレーキパネル14の挿通孔141に挿通して把持し、その後、ブレーキパネル14を上昇させて、上から右フォーク11A、ホイール13、およびブレーキパネル14の順に積層するとともに、再び、右フォーク11Aおよびホイール13が挿通孔111、131を中心として把持装置30に対して従回動可能となるようにする。この動作により、右フォーク11A、ホイール13、およびブレーキパネル14同士の回転方向の位相が固定される。
【0069】
次に、把持装置30の把持部40を回動して、右フォーク11Aの左フォーク11Bに対する回転方向の位相を調整する。これにより、右フォーク11A、ホイール13、およびブレーキパネル14について、左フォーク11Bに対する回転方向の位相が決定される。
そして、把持装置30を移動して、把持した右フォーク11A、ホイール13、およびブレーキパネル14を、供給位置に配置された左フォーク11Bに積層する。この動作により、右フォーク11A、ホイール13、ブレーキパネル14、および左フォーク11B同士の相対的な位相が固定される。
【0070】
以上より、フロントフォークアッセンブリ10の構成部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を確実に調整できる。
【0071】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
10 フロントフォークアッセンブリ
11A 右フォーク(第1フォーク)
11B 左フォーク(第2フォーク)
13 ホイール
14 ブレーキパネル
30 把持装置(ワーク把持装置)
40 把持部(把持手段)
111、131、141 挿通孔(基準孔)
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントフォークアッセンブリ組立方法に関する。詳しくは、第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、第2フォークを含むフロントフォークアッセンブリを組み立てるフロントフォークアッセンブリ組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動二輪車の前輪部分のアッセンブリは、右フォークおよび左フォークからなる一対のフロントフォーク、ステム、ホイール、ブレーキパネル、アクスルなどの部品で構成される。これらの部品のうち、フロントフォーク、ホイール、およびブレーキパネルには、貫通孔が形成されている。
【0003】
これらフロントフォーク、ホイール、およびブレーキパネルは、例えば、把持装置を用いて、以下の手順で組み立てられる(特許文献1参照)。
すなわち、把持装置は、棒状であり、先端側に設けられたコレットを拡張あるいは収縮可能となっている。
まず、右フォークの供給位置に把持装置を移動し、右フォークの挿通孔にコレットを挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置で右フォークを把持する。
【0004】
次に、カラーの供給位置に把持装置を移動し、カラーの上に右フォークを積層する。そして、把持装置を下降させて、コレットをカラーに挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置でカラーを把持する。これにより、把持装置で、右フォークおよびカラーを支持した状態となる。
【0005】
次に、ホイールの供給位置に把持装置を移動し、ホイールの上に右フォークおよびカラーを積層する。そして、把持装置を下降させて、コレットをホイールに挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置でホイールを把持する。これにより、把持装置で、右フォーク、カラー、およびホイールを支持した状態となる。
【0006】
次に、ブレーキパネルの供給位置に把持装置を移動し、ブレーキパネルの上に右フォーク、カラー、およびホイールを積層する。そして、把持装置を下降させて、コレットをブレーキパネルに挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置でブレーキパネルを把持する。これにより、把持装置で、右フォーク、カラー、ホイール、およびブレーキパネルを支持した状態となる。
【0007】
次に、左フォークの供給位置に把持装置を移動し、左フォークの上に右フォーク、カラー、ホイール、およびブレーキパネルを積層する。そして、把持装置を下降させて、コレットを左フォークに挿入する。そして、コレットを拡張させて、把持装置で左フォークを把持する。これにより、把持装置で、右フォーク、カラー、ホイール、ブレーキパネル、および左フォークを支持した状態となる。
【0008】
その後、アクスル昇降機構により、これらの部品の挿通孔にアクスルを挿通して、締め付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−000769号公報(特願2007−162882号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述のアッセンブリでは、実際には、部品同士の位相を調整する必要がある。
具体的には、右フォークと左フォークとを、略平行、つまり、回転方向に同位相とする必要がある。
また、左フォークがブレーキパネルの下面に嵌合する構造であるため、ブレーキパネルを左フォークに対して回転方向に所定の位相とする必要がある。
さらに、ブレーキパネルは所定の位置でホイールに嵌合する構造であるため、ホイールをブレーキパネルに対して回転方向に所定の位相とする必要がある。
【0011】
しかしながら、特許文献1に示された方法では、部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を調整する手法は示されていない。
【0012】
また、上述のようにホイールの下面にブレーキパネルが嵌合するため、ホイールの下面の位相を検出する必要があるが、ホイールが供給エリアに配置された状態では、このホイールの位相を検出できない。
【0013】
本発明は、フロントフォークアッセンブリの構成部品について、構成部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を確実に調整できるアッセンブリの組立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のフロントフォークアッセンブリの組み立て方法は、それぞれ基準孔(例えば、後述の挿通孔111、131、141)を有する第1フォーク(例えば、後述の右フォーク11A)、ホイール(例えば、後述のホイール13)、ブレーキパネル(例えば、後述のブレーキパネル14)、第2フォーク(例えば、後述の左フォーク11B)について、上から第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、第2フォークの順に積層し、ワーク把持装置(例えば、後述の把持装置30)の把持手段(例えば、後述の把持部40)を前記基準孔のそれぞれに挿通して、フロントフォークアッセンブリ(例えば、後述のフロントフォークアッセンブリ10)を組み立てるフロントフォークアッセンブリ組立方法であって、前記第1フォーク、前記ブレーキパネル、および前記第2フォークについての供給位置および前記基準孔を中心とした回転方向の位相を検出するとともに、前記ホイールの供給位置を検出する工程と、前記ワーク把持装置を移動して、上から前記第1フォーク、前記ホイールの順に積層し、前記第1フォークの基準孔および前記ホイールの基準孔に前記ワーク把持装置の把持手段を上から挿通して、前記第1フォークおよび前記ホイールが前記基準孔を中心として前記ワーク把持装置に対して従回動可能となるように、前記ホイールを把持する工程と、前記ワーク把持装置の把持手段で把持したホイールについて、前記基準孔を中心とした回転方向の位相を検出する工程と、前記ワーク把持装置の把持手段を回動して、前記供給位置に配置されたブレーキパネルに対する前記ホイールの回転方向の位相を調整する工程と、前記ワーク把持装置を移動して、前記ホイールを前記ブレーキパネルの上方に仮置きし、その後、前記ホイールの前記ワーク把持装置に対する従回動を解除する工程と、前記ワーク把持装置を回動して、前記第1フォークの前記ブレーキパネルに対する回転方向の位相を調整する工程と、前記ワーク把持装置を下降させて、前記把持手段を前記ブレーキパネルの基準孔に挿通して把持し、その後、前記ブレーキパネルを上昇させて、上から前記第1フォーク、前記ホイール、および前記ブレーキパネルの順に積層するとともに、再び、前記ホイールが前記基準孔を中心として前記ワーク把持装置に対して従回動可能となるようにする工程と、前記ワーク把持装置を回動して、前記第1フォークの前記第2フォークに対する回転方向の位相を調整するとともに、前記ワーク把持装置を移動して、前記把持した第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルを、前記供給位置に配置された第2フォークに積層する工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、上から第1フォーク、ホイールの順に積層した状態で、ホイールを把持する。この状態では、第1フォークの回転方向の位相のみが検出されている。
次に、ホイールの回転方向の位相を検出する。
次に、ワーク把持装置の把持手段を回動して、ホイールのブレーキパネルに対する回転方向の位相を調整する。これにより、ホイールのブレーキパネルに対する回転方向の位相が決定される。
【0016】
次に、ワーク把持装置を移動して、ホイールを供給位置に配置されたブレーキパネルの上方に仮置きし、その後、ホイールのワーク把持装置に対する従回動を解除する。
次に、ワーク把持装置を回動して、第1フォークのブレーキパネルに対する回転方向の位相を調整する。これにより、第1フォークのブレーキパネルに対する回転方向の位相が決定される。
【0017】
次に、ワーク把持装置を下降させて、把持手段をブレーキパネルの基準孔に挿通して把持し、その後、ブレーキパネルを上昇させて、上から第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルの順に積層するとともに、再び、第1フォークおよびホイールが基準孔を中心としてワーク把持装置に対して従回動可能となるようにする。これまでの動作により、第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネル同士の回転方向の位相が固定される。
【0018】
次に、ワーク把持装置の把持手段を回動して、第1フォークの第2フォークに対する回転方向の位相を調整する。これにより、第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルについて、第2フォークに対する回転方向の位相が決定される。
そして、ワーク把持装置を移動して、把持した第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルを、供給位置に配置された第2フォークに積層する。これまでの動作により、第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、および第2フォーク同士の相対的な位相が固定される。
【0019】
以上より、フロントフォークアッセンブリの構成部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を確実に調整できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フロントフォークアッセンブリの構成部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を確実に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明一実施形態に係るフロントフォークアッセンブリ組立方法により組み立てられるフロントフォークアッセンブリの分解斜視図である。
【図2】前記実施形態に係る把持装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る把持装置の把持部の断面図である。
【図4】前記実施形態に係る把持部のコレット近傍の分解斜視図である。
【図5】前記実施形態に係るコレットに加圧した状態を示す断面図である。
【図6】前記実施形態に係るコレットが拡張した状態を示す断面図である。
【図7】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する右フォークを把持する手順を説明するための側面図である。
【図8】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する右フォークを把持した状態を示す斜視図である。
【図9】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するカラーを把持する手順を説明するための側面図である。
【図10】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するホイールを把持する手順を説明するための側面図である。
【図11】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するホイールを把持した状態を示す斜視図である。
【図12】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その1)である。
【図13】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その2)である。
【図14】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その3)である。
【図15】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その4)である。
【図16】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するブレーキパネルを把持する手順を説明するための側面図(その5)である。
【図17】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する左フォークを把持する手順を説明するための側面図である。
【図18】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成する左フォークを把持した状態を示す側面図である。
【図19】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するアッセンブリにアクスルを挿通した状態を示す側面図である。
【図20】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを構成するアッセンブリにステムを取り付けた状態を示す側面図である。
【図21】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリを完成させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明一実施形態に係るフロントフォークアッセンブリ組立方法により組み立てられるフロントフォークアッセンブリ10の分解斜視図である。
【0023】
フロントフォークアッセンブリ10は、自動二輪車の前輪部分であり、一対のフォーク11A、11B、ステム12、ホイール13、ブレーキパネル14、アクスル15を含んで構成される。
【0024】
一対のフォーク11A、11Bは、右側に配置される第1フォークとしての右フォーク11Aと、左側に配置される第2フォークとしての左フォーク11Bとで構成され、それぞれ、長尺状の部材であり、先端側には、基準孔としての挿通孔111が形成されている。
ステム12は、フォーク11A、11Bが挿通される一対の挿通孔121が形成されており、これら挿通孔121のそれぞれにフォーク11A、11Bを挿通してボルト122で締め付けることにより、一対のフォーク11A、11Bを略平行に保持する。
【0025】
ホイール13は、略円盤状であり、ホイール13の中心には基準孔としての挿通孔131が形成されている。
ブレーキパネル14は、略円盤状であり、ホイール13に取り付けられる。このブレーキパネル14の中心には、基準孔としての挿通孔141が形成されている。
ホイール13は、ブレーキパネル14が取り付けられた状態で、一対のフォーク11A、11Bの間に配置される。
【0026】
アクスル15は、一対のフォーク11A、11B、ホイール13、およびブレーキパネル14のそれぞれの挿通孔111、131、141と、円筒状のカラー151とに挿通され、ナット152で締め付けられることにより、ホイール13をフォーク11A、11Bに回転自在に保持する。つまり、アクスル15を挿通することにより、一対のフォーク11A、11B、ホイール13、およびブレーキパネル14のそれぞれの挿通孔111、131、141と、円筒状のカラー151とは、同軸上に位置することになる。
【0027】
ところで、以上のフロントフォークアッセンブリ10では、右フォーク11Aおよび左フォーク11Bにステム12を取り付けるため、右フォーク11Aと左フォーク11Bとを略平行にする、つまり、挿通孔111を回転中心とする回転方向に同位相とする必要がある。
また、左フォーク11Bがブレーキパネル14の下面に嵌合する構造であるため、ブレーキパネル14の左フォーク11Bに対する挿通孔111、141を回転中心とする回転方向の位相を、所定の位相とする必要がある。
さらに、ブレーキパネル14は所定の位置でホイール13に嵌合する構造であるため、ホイール13のブレーキパネル14に対する挿通孔131、141を回転中心とする回転方向の位相を、所定の位相とする必要がある。
以上より、フロントフォークアッセンブリ10を組み立てるためには、右フォーク11A、ホイール13、ブレーキパネル14、および左フォーク11B同士の回転方向の位相を調整する必要があることが判る。
【0028】
図2は、ワーク把持装置としての把持装置30の概略構成を示す斜視図であり、図3は、把持装置30の把持部40の断面図である。
把持装置30は、ロボットのハンドであり、この把持装置30の姿勢および3次元空間上の位置を変化させるロボットアーム32の先端に設けられている。
把持装置30は、ロボットアーム32に支持される平板状の基部31と、この基部31から略垂直に延びる棒状の把持手段としての把持部40と、基部31から略垂直に延びる進退可能な係止部50と、を備える。この把持部40の中心軸とロボットアーム32のフランジ面の中心軸とは、同軸となっている。
【0029】
係止部50は、基部31に略垂直に設けられた係止部本体51と、この係止部本体51にスライド自在に設けられたスライド部52と、を備える。
係止部本体51には、延出方向に沿って延びるスライドレール511が設けられている。また、スライドレール511の下端には、突起部512が設けられている。
【0030】
スライド部52は、スライド部本体521と、このスライド部本体521に設けられてスライドレール511に沿って移動可能なスライドガイド527と、このスライドガイド527の下端に設けられたストッパ522と、スライド部本体521の下端から略水平方向に延びる当接部523と、スライド部本体521に対して上下に移動可能に設けられた複数の棒状の係止部材524と、を備える。
【0031】
ストッパ522は、係止部本体51の突起部512に係止することにより、スライド部52の下方への移動を規制する。
当接部523の先端は、略水平面となっており、把持部40の近傍まで延びている。
スライド部本体521には、上下に延びる複数の貫通孔525が並んで形成されており、複数の係止部材524は、それぞれ、貫通孔525に挿通されている。これにより、複数の係止部材524は、把持部40から所定間隔離れて略平行に整列して設けられ、かつ、上下方向に移動可能となっている。
また、各係止部材524の上端側には、鍔部526が形成されており、係止部材524の下方への移動を規制する。
【0032】
以上のスライド部52は、外力が加えられていない状態では、自重により下方に移動して、ストッパ522が突起部512に係止した状態となっている。
また、各係止部材524も、自重により下方に移動して、鍔部526が貫通孔525の上端に係止した状態となっている。
【0033】
把持部40は、基部31に設けられたアクチュエータ41と、このアクチュエータ41に固定された円筒状のガイド部42と、このガイド部42の同軸上に設けられた円筒状のコレット43と、ガイド部42およびコレット43に挿通される棒状のシャフト部44と、を備える。
【0034】
アクチュエータ41は、シャフト部44をガイド部42内で進退させることで、ガイド部42とシャフト部44とを相対移動させる。
【0035】
ガイド部42の先端には、第1の駒421が形成されている。
シャフト部44の先端には、第2の駒441が形成されている。
コレット43は、ガイド部42の第1の駒421とシャフト部44の第2の駒441と間に配置されている。
【0036】
図4は、把持装置30のコレット43近傍の分解斜視図である。
コレット43には、一端縁付近から他端縁に至るスリット431と、他端縁付近から一端縁に至るスリット432と、が交互に形成されている。
【0037】
第1の駒421の外径は、コレット43側つまり先端側では、コレット43の内径よりも小さく、コレット43の反対側つまり基端側では、コレット43の内径よりも大きくなっている。
第2の駒441の外径は、コレット43側つまり基端側では、コレット43の内径よりも小さく、コレット43の反対側つまり先端側では、コレット43の内径よりも大きくなっている。
よって、第1の駒421の先端側および第2の駒441の基端側は、コレット43の内径よりも小さいので、コレット43内部に入り込んだ状態となっている。
【0038】
次に、把持装置30の動作について説明する。
まず、アクチュエータ41を動作させない場合、第1の駒421の先端側および第2の駒441の基端側がコレット43の内部に入り込んでいるが、コレット43は、拡張していない状態である。
【0039】
次に、アクチュエータ41により、シャフト部44をガイド部42に対して矢印A方向に後退させて、第2の駒441が第1の駒421に接近させる。すると、図5に示すように、これらの駒421、441の外周面により、コレット43の内壁面が矢印B方向に押圧される。その結果、コレット43が弾性変形し、図6に示すように、コレット43の外径は矢印C方向に拡張される。
【0040】
その後、アクチュエータ41により、シャフト部44をガイド部42に対して前進させて、第2の駒441を第1の駒421から離間させる。すると、コレット43の弾性変形の復元力により、コレット43の外径は、収縮して原形に復帰する。
【0041】
次に、上述のフロントフォークアッセンブリ10の組立手順を、図7〜図17を参照しながら説明する。
把持装置30は、右フォーク11Aが供給される図示しない右フォーク供給エリア、カラー151が供給される図示しないカラー供給エリア、ホイール13が供給される図示しないホイール供給エリア、ブレーキパネル14が供給される図示しないブレーキパネル供給エリア、および左フォーク11Bが供給される図示しない左フォーク供給エリアを順次移動しながら、フロントフォークアッセンブリ10を組み立てる。
【0042】
まず、図示しないカメラにより、右フォーク供給エリア、カラー供給エリア、ホイール供給エリア、ブレーキパネル供給エリア、および左フォーク供給エリアを上方から撮影し、今回の組み立て対象となる右フォーク11Aの供給位置および回転方向の位相、カラー151の供給位置、ホイール13の供給位置、ブレーキパネル14の供給位置および回転方向の位相、左フォーク11Bの供給位置および回転方向の位相を検出しておく。
【0043】
次に、把持装置30により右フォーク11Aを把持する。以下、この具体的な手順を、図7、図8を参照しながら説明する。
まず、上述のように、右フォーク11Aの挿通孔111を回転中心とする回転方向の位相は、既に検出されている。そこで、図7に示すように、右フォーク供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の把持部40を、右フォーク11Aの上方に位置させる。
【0044】
次に、把持装置30を回動させて、把持部40に対する右フォーク11Aの回転方向の位相を決定する。これにより、右フォーク11Aの基端側は、把持部40の係止部材524の下方に位置する。
【0045】
続いて、把持装置30を下方に移動し、把持装置30の当接部523を右フォーク11Aに当接させながら、右フォーク11Aの挿通孔111に把持装置30を挿通する。
すると、図8に示すように、把持装置30の当接部523に設けられた複数の係止部材524のうちの一部が右フォーク11Aの上面に当接して上昇し、複数の係止部材524の先端部分に段差が生じて、この段差が右フォーク11Aに係止する。これにより、把持部40に対する右フォーク11Aの回転方向の位相が固定されて、右フォーク11Aは把持装置30に対して従回動可能となる。
そして、コレット43を拡張させて右フォーク11Aを把持する。
【0046】
次に、把持装置30により、右フォーク11Aに加えて、カラー151を把持する。具体的には、図9に示すように、カラー供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の把持部40を、カラー151の上方に位置させる。
次に、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11Aをカラー151に積層し、右フォーク11Aの下面をカラー151の上面に当接させる。次に、コレット43を原形に復帰させて右フォーク11Aの把持を解除する。続いて、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11Aに加えてカラー151にも把持装置30の把持部40を挿通する。これにより、右フォーク11Aが把持装置30の把持部40に対して上方に相対移動するので、係止部50のスライド部52も係止部本体51に対して上方に相対移動する。
【0047】
その後、コレット43を拡張させて、カラー151を把持する。この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111およびカラー151は、同軸上に位置している。
【0048】
次に、把持装置30により、右フォーク11Aおよびカラー151に加えて、ホイール13を把持する。具体的には、図10に示すように、ホイール供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の把持部40を、ホイール13の上方に位置させる。
次に、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11Aおよびカラー151をホイール13に積層し、カラー151の下面をホイール13の上面に当接させる。次に、コレット43を原形に復帰させてカラー151の把持を解除する。
【0049】
続いて、図11に示すように、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11Aおよびカラー151に加えて、ホイール13にも把持装置30の把持部40を挿通する。これにより、右フォーク11Aおよびカラー151が把持装置30の把持部40に対してさらに上方に相対移動するので、係止部50のスライド部52も係止部本体51に対してさらに上方に相対移動する。
【0050】
ここで、複数の係止部材524のうち右フォーク11Aにより上昇していないものを係止部材524Aとすると、これら係止部材524Aのうちの一部はホイール13の上面に当接して上昇する。このとき、ホイール13の端部側の高さは中央側の高さよりも低いため、複数の係止部材524Aの先端部分に段差が生じて、この段差がホイール13に係止する。これにより、把持部40に対するホイール13の回転方向の位相が固定されて、ホイール13は把持装置30に対して従回動可能となる。
【0051】
その後、コレット43を拡張させて、ホイール13を把持する。この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、およびホイール13の挿通孔131は、同軸上に位置している。
【0052】
次に、把持装置30により、右フォーク11A、カラー151、およびホイール13に加えて、ブレーキパネル14を把持する。
以下、このブレーキパネル14を把持する具体的な手順を、図12〜図16を参照しながら説明する。
【0053】
まず、ブレーキパネル供給エリアにおいて、ブレーキパネル14は、トレイ142に収納されている(図12参照)。
トレイ142には凹部が形成されており、この凹部は、全体が上方に露出した状態でブレーキパネル14が収納されるブレーキパネル収納部143となっている。また、ブレーキパネル収納部143の周囲には、ブレーキパネル収納部143よりも高い位置に、ホイール13が載置されるホイール載置面144が形成されている。
また、トレイ142の側方には、カメラ145が設けられている。
【0054】
この状態で、まず、把持装置30をカメラ145の上方に位置させ、このとき、カメラ145によりホイール13を下方から撮影し、撮影したホイール13の嵌合部の形状に基づいて、ホイール13の回転方向の位相を検出する。
次に、図12に示すように、把持装置30をトレイ142に接近させる。ここで、この把持装置30は、上から右フォーク11A、カラー151、およびホイール13の順に積層した状態で、ホイール13を把持している。
【0055】
次に、把持装置30を回動させて、挿通孔131を中心としてホイール13を回動させて、トレイ142に収納されたブレーキパネル14の嵌合部の形状に合致するようにホイール13の位相を調整する。
次に、図13に示すように、さらに把持装置30を移動して、最下段のホイール13をトレイ142のホイール載置面144に着座させる。
【0056】
次に、把持装置30のコレット43を原形に復帰させてホイール13の把持を解除する。
次に、把持装置30を上昇させて、把持装置30のコレット43をカラー151の内部に位置させて、コレット43を拡張し、カラー151を把持する。
次に、図14に示すように、把持装置30をさらに上昇させて、把持装置30の係止部材524のホイール13に対する係止を解除し、これにより、ホイール13の把持装置30に対する従回動が解除される。
【0057】
次に、把持装置30を回動させることにより、挿通孔111を中心として右フォーク11Aを回動させて、ブレーキパネル14に対する右フォーク11Aの位相を調整する。このとき、把持装置30による右フォーク11Aの把持を解除しているが、把持装置30の係止部材524は右フォーク11Aに係止しているため、把持装置30を回動すると、右フォーク11Aも回動することになる。
【0058】
続いて、図15に示すように、把持装置30を下降させて、右フォーク11A、カラー151、およびホイール13に加えて、ブレーキパネル14にも把持装置30の把持部40を挿通する。これにより、複数の係止部材524が再びホイール13に係止し、ホイール13は、再び、把持装置30に対して従回動可能となる。
【0059】
その後、コレット43を拡張させてブレーキパネル14を把持する。
次に、図16に示すように、把持装置30を上昇させて、ブレーキパネル14をホイール13に下方から嵌合させる。
この状態では、上から右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14の順に積層されており、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、ホイール13の挿通孔131、およびブレーキパネル14の挿通孔141は、同軸上に位置している。
【0060】
次に、把持装置30により、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14に加えて、左フォーク11Bを把持し、アッセンブリ16とする。
具体的には、図17に示すように、左フォーク供給エリアに把持装置30を移動し、把持装置30の把持部40を、左フォーク11Bの上方に位置させる。
次に、把持装置30を回動して、右フォーク11Aの左フォーク11Bに対する回転方向の位相を調整するとともに、把持装置30を下方に移動し、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14を左フォーク11Bに積層して、ブレーキパネル14の下面を左フォーク11Bの上面に当接させる。
【0061】
次に、コレット43を原形に復帰させてブレーキパネル14の把持を解除する。続いて、把持装置30を下降させ、図18に示すように、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14に加えて、左フォーク11Bにも把持装置30の把持部40を挿通する。これにより、右フォーク11A、カラー151、ホイール13、およびブレーキパネル14が把持装置30の把持部40に対してさらに上方に相対移動するので、係止部50のスライド部52も係止部本体51に対してさらに上方に相対移動する。
【0062】
その後、コレット43を拡張させて左フォーク11Bを把持する。
この状態では、右フォーク11Aの挿通孔111、カラー151、ホイール13の挿通孔131、ブレーキパネル14の挿通孔141、および左フォーク11Bの挿通孔111は、同軸上に位置している。
【0063】
次に、把持装置30を移動して、このアッセンブリ16を図示しない反転テーブル上に載置して、把持装置30をアッセンブリ16から離間させつつ、図19に示すように、アクスル15をこのアッセンブリ16に挿通する。
【0064】
次に、反転テーブルを反転させて、アクスル15が挿通されたアッセンブリ16を取り出す。その後、このアッセンブリ16を図示しない反転テーブル上に搬送して、図20に示すように、アクスル15の先端にナット152を締め付け、さらにステム12を取り付ける。
【0065】
次に、図21に示すように、図示しないボルト締付装置により、ステム12にボルト122を締め付けて、フロントフォークアッセンブリ10を完成させる。
【0066】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、上から右フォーク11A、ホイール13の順に積層した状態で、ホイール13を把持する。この状態では、右フォーク11Aの回転方向の位相のみが検出されている。
次に、ホイール13の回転方向の位相を検出する。
次に、把持装置30の把持部40を回動して、ホイール13のブレーキパネル14に対する回転方向の位相を調整する。これにより、13ホイールのブレーキパネル14に対する回転方向の位相が決定される。
【0067】
次に、把持装置30を移動して、ホイール13を供給位置に配置されたブレーキパネル14の上方に仮置きし、その後、ホイール13の把持装置30に対する従回動を解除する。
次に、把持装置30を回動して、右フォーク11Aのブレーキパネル14に対する回転方向の位相を調整する。これにより、右フォーク11Aのブレーキパネル14に対する回転方向の位相が決定される。
【0068】
次に、把持装置30を下降させて、把持部40をブレーキパネル14の挿通孔141に挿通して把持し、その後、ブレーキパネル14を上昇させて、上から右フォーク11A、ホイール13、およびブレーキパネル14の順に積層するとともに、再び、右フォーク11Aおよびホイール13が挿通孔111、131を中心として把持装置30に対して従回動可能となるようにする。この動作により、右フォーク11A、ホイール13、およびブレーキパネル14同士の回転方向の位相が固定される。
【0069】
次に、把持装置30の把持部40を回動して、右フォーク11Aの左フォーク11Bに対する回転方向の位相を調整する。これにより、右フォーク11A、ホイール13、およびブレーキパネル14について、左フォーク11Bに対する回転方向の位相が決定される。
そして、把持装置30を移動して、把持した右フォーク11A、ホイール13、およびブレーキパネル14を、供給位置に配置された左フォーク11Bに積層する。この動作により、右フォーク11A、ホイール13、ブレーキパネル14、および左フォーク11B同士の相対的な位相が固定される。
【0070】
以上より、フロントフォークアッセンブリ10の構成部品同士の基準孔を中心とした回転方向の位相を確実に調整できる。
【0071】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
10 フロントフォークアッセンブリ
11A 右フォーク(第1フォーク)
11B 左フォーク(第2フォーク)
13 ホイール
14 ブレーキパネル
30 把持装置(ワーク把持装置)
40 把持部(把持手段)
111、131、141 挿通孔(基準孔)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ基準孔を有する第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、第2フォークについて、
上から第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、第2フォークの順に積層し、ワーク把持装置の把持手段を前記基準孔のそれぞれに挿通して、フロントフォークアッセンブリを組み立てるフロントフォークアッセンブリ組立方法であって、
前記第1フォーク、前記ブレーキパネル、および前記第2フォークについての供給位置および前記基準孔を中心とした回転方向の位相を検出するとともに、前記ホイールの供給位置を検出する工程と、
前記ワーク把持装置を移動して、上から前記第1フォーク、前記ホイールの順に積層し、前記第1フォークの基準孔および前記ホイールの基準孔に前記ワーク把持装置の把持手段を上から挿通して、前記第1フォークおよび前記ホイールが前記基準孔を中心として前記ワーク把持装置に対して従回動可能となるように、前記ホイールを把持する工程と、
前記ワーク把持装置の把持手段で把持したホイールについて、前記基準孔を中心とした回転方向の位相を検出する工程と、
前記ワーク把持装置の把持手段を回動して、前記供給位置に配置されたブレーキパネルに対する前記ホイールの回転方向の位相を調整する工程と、
前記ワーク把持装置を移動して、前記ホイールを前記ブレーキパネルの上方に仮置きし、前記ホイールの前記ワーク把持装置に対する従回動を解除する工程と、
前記ワーク把持装置を回動して、前記第1フォークの前記ブレーキパネルに対する回転方向の位相を調整する工程と、
前記ワーク把持装置を下降させて、前記把持手段を前記ブレーキパネルの基準孔に挿通して把持し、その後、前記ブレーキパネルを上昇させて、上から前記第1フォーク、前記ホイール、および前記ブレーキパネルの順に積層するとともに、再び、前記ホイールが前記基準孔を中心として前記ワーク把持装置に対して従回動可能となるようにする工程と、
前記ワーク把持装置を回動して、前記第1フォークの前記第2フォークに対する回転方向の位相を調整するとともに、前記ワーク把持装置を移動して、前記把持した第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルを、前記供給位置に配置された第2フォークに積層する工程と、を備えることを特徴とするフロントフォークアッセンブリ組立方法。
【請求項1】
それぞれ基準孔を有する第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、第2フォークについて、
上から第1フォーク、ホイール、ブレーキパネル、第2フォークの順に積層し、ワーク把持装置の把持手段を前記基準孔のそれぞれに挿通して、フロントフォークアッセンブリを組み立てるフロントフォークアッセンブリ組立方法であって、
前記第1フォーク、前記ブレーキパネル、および前記第2フォークについての供給位置および前記基準孔を中心とした回転方向の位相を検出するとともに、前記ホイールの供給位置を検出する工程と、
前記ワーク把持装置を移動して、上から前記第1フォーク、前記ホイールの順に積層し、前記第1フォークの基準孔および前記ホイールの基準孔に前記ワーク把持装置の把持手段を上から挿通して、前記第1フォークおよび前記ホイールが前記基準孔を中心として前記ワーク把持装置に対して従回動可能となるように、前記ホイールを把持する工程と、
前記ワーク把持装置の把持手段で把持したホイールについて、前記基準孔を中心とした回転方向の位相を検出する工程と、
前記ワーク把持装置の把持手段を回動して、前記供給位置に配置されたブレーキパネルに対する前記ホイールの回転方向の位相を調整する工程と、
前記ワーク把持装置を移動して、前記ホイールを前記ブレーキパネルの上方に仮置きし、前記ホイールの前記ワーク把持装置に対する従回動を解除する工程と、
前記ワーク把持装置を回動して、前記第1フォークの前記ブレーキパネルに対する回転方向の位相を調整する工程と、
前記ワーク把持装置を下降させて、前記把持手段を前記ブレーキパネルの基準孔に挿通して把持し、その後、前記ブレーキパネルを上昇させて、上から前記第1フォーク、前記ホイール、および前記ブレーキパネルの順に積層するとともに、再び、前記ホイールが前記基準孔を中心として前記ワーク把持装置に対して従回動可能となるようにする工程と、
前記ワーク把持装置を回動して、前記第1フォークの前記第2フォークに対する回転方向の位相を調整するとともに、前記ワーク把持装置を移動して、前記把持した第1フォーク、ホイール、およびブレーキパネルを、前記供給位置に配置された第2フォークに積層する工程と、を備えることを特徴とするフロントフォークアッセンブリ組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−188450(P2010−188450A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33255(P2009−33255)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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