説明

ブドウ抽出物、そのダイエタリーサプリメント、およびその方法

本発明は、新規のブドウ抽出物、とりわけ、高血圧前症およびメタボリック症候群および/またはメタボリック症候群を含む症状を治療するのに有用であるブドウ抽出物、および、そのようなブドウ抽出物の製造方法に関する。本発明の方法は、モノマーおよびオリゴマープロシアニジンの抽出を最大化し、ポリマー性プロシアニジンの抽出を最小化することによって、高度に濃縮されたポリフェノール生成物を産生する。本発明のブドウ抽出物は、約5-15重量%のモノマー、約5-20重量%のダイマー、約3-10重量%のトリマー、約2-10重量%のテトラマー、および約2-10重量%のペンタマーを含む。本発明のブドウ抽出物は、カプセル、タブレット、粉末、溶液、ゲル、懸濁物、クリーム、ゲル等を含むダイエタリーサプリメントへと調合することができる。例えば、粉末または溶液の形態のこれらのダイエタリーサプリメントは、栄養補給食品、食品および/または飲料へと加え、機能的な栄養補給食品、食品および/または飲料製品を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、全内容が参照によって組み込まれている2005年9月28日に出願された米国仮特許出願第60/721,721の利益を主張する。
【0002】
本発明は、新規のブドウ抽出物、および、そのようなブドウ抽出物の製造方法に関する。この新規のブドウ抽出物は、とりわけ、例えば高血圧前症またはメタボリック症候群の個人において、血圧を減少させるのに有用である。この発明は、また、本発明のブドウ抽出物を含むダイエタリーサプリメントにも関する。
【背景技術】
【0003】
ブドウ抽出物は、約5-8重量%のフラボノイドを含む。フラボノイドは、植物中に広く分布する食用のポリフェノール化合物の重要なグループを占める。4000より多くの化学的に特徴的なフラボノイドが、果物、野菜、マメ科植物、ナッツ、種、ハーブ、スパイス、花などの植物源だけでなく、茶、ココア、ビール、ワインおよびグレープジュースなどの飲料において同定されている。
【0004】
ブドウ種子に関するフラボノイドの用語としては、フラバン-3-オール、具体的には(+)-カテキン、(-)-エピカテキン、および(-)-エピカテキン3-ガレートが挙げられる。化学的に連結した2個以上のフラバン-3-オールモノマーは、プロアントシアニジンまたはオリゴマープロアントシアニジン(「OPC」)と称し、プロシアニジンおよびプロデルフィニジンを含む。2個のモノマーを含むOPCはダイマーと称し、3個のモノマーを含むOPCはトリマーと称し、4個のモノマーを含むOPCはテトラマーと称し、5個のモノマーを含むOPCはペンタマーと称する。操作上、このオリゴマーは、2から7の鎖長を有する(ダイマーからヘプタマー);一方、ポリマーは、7より大きな鎖長を有するコンポーネントを指す。多くの議論の後で、ポリマーまたは縮合タンニンを含むOPCを、2個以上のモノマーを含む全てのプロアントシアニジンとして定義することを、(National Nutritional Foods Associationを介した)Grape Seed Method Evaluation Committeeの総意とした。それ故、ブドウ抽出物中のオリゴマーは、例えば、ダイマーおよびトリマーを含み、そして、ポリマーが16ものユニットを有しうるという証拠も存在している。
【0005】
以下は、プロアントシアニジンの典型的な構造であり、エピカテキン-ガレート伸長ユニットおよび末端ユニットを示す。伸長ユニットは、例えば、エピカテキン(2)およびエピガロカテキン(3)連結グループによって表わされる。一方、末端ユニットは、エピカテキンガレート(4)グループによって表わされる。
【0006】
【化1】

【0007】
ポリフェノール化合物がブドウ抽出物として商用的に使用されるためには、これらの化合物を、より濃縮した形態でブドウから分離しなければならない。ポリフェノール化合物を、ブドウ全体、ブドウの搾りかすおよびブドウの種子から、抽出、精製および濃縮する一般的な方法は、参照によって本願明細書に組み込まれている米国特許第6,544,581号に開示されている。
【0008】
抗酸化活性に加えて、フラボノイドは、動物実験において、新たな血管の増殖を減少させることによる抗ガン効果を示し、そして、抗炎症、抗微生物、および抗アレルギー活性を有することが報告されている。また、本発明のブドウ抽出物は、高血圧前症の個人およびメタボリック症候群の個人において、血圧を低下させるのに使用することができることが見出された。また、本発明のブドウ抽出は、血圧を低下することに加えて、メタボリック症候群の個人において、酸化型LDLコレステロールを低下することも示唆された。増加したLDLコレステロールは、アテローム性動脈硬化の広く認められている危険因子である。酸化的に修飾されたLDLが、この病的過程の進展を開始する有力な証拠が存在する。それ故、酸化型LDLの濃度を減少することは、メタボリック症候群の個人において、アテローム性動脈硬化を緩和および/または予防することができる。
【0009】
高血圧前症の個人は、120から139mmHgの収縮期血圧を有し、81から89mmHgの拡張期血圧を有する個人として分類される。この分類は、Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evalution, and Treatment of High Blood Pressure (JNC 7), page 87, NIH Publication No. 04-5230に基づくものである。高血圧前症の個人は、あまり薬物療法で治療されず、むしろ、健康的な生活様式の忠告が与えられる。これらの忠告には、健康的な体重を維持すること;身体的に活動的であること;果物、野菜および低脂肪乳製品に重点を置いた健康的な食生活計画に従うこと;減塩の食物を選択し準備すること;そして、仮に飲むとしても適度にアルコール飲料を飲むことを含む。健康的な生活様式な習慣を身につけることは、通常、異常な血圧を予防し、制御する際の有効な第一の段階である。
【0010】
「メタボリック症候群」(「Syndrome X」、「インスリン抵抗性症候群」または「死の四重奏」とも称される)は、循環器疾患、脳梗塞および/またはII型糖尿病についての危険因子の蓄積によって特徴づけられる。メタボリック症候群は、コルチゾール、ストレス性ホルモンの過剰産生によって引き起こされる可能性があり、腹腔内部の脂肪の蓄積およびインスリン抵抗性をもたらす。薬物療法は、現在のところ、メタボリック症候群の個人については推奨されていない。メタボリック症候群を特徴づける危険因子には、腹腔内の増加した量の脂肪組織(腹部肥満)、糖尿病に進展する危険を増すインスリン抵抗性、高インスリン血、高いレベルの血中脂肪、高血圧および増加した血清脂質が含まれる。National Cholesterol Education Adult Treatment Panel (ATP III)は、メタボリック症候群を、以下の危険因子の少なくとも3つを有する個人として定義した:
【0011】
【表1】

【0012】
メタボリック症候群に関連した疾患には、II型糖尿病、異常βリポタンパク質血症、心筋梗塞、脳梗塞および他の循環器疾患だけでなく、一般的なインスリン抵抗性、腹腔内脂肪の蓄積によって誘導される腹腔肥満、上昇した血液血清脂質およびグルコース、上昇した拡張期および/または収縮期血圧、ならびに高血圧を含むこれらの疾患の危険因子を含む。
【特許文献1】米国特許第6,544,581号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
高血圧前症の個人またはメタボリック症候群の個人において、血圧を低下する等の健康的な利益を提供するのに有効なブドウ抽出物、および補助的な治療として使用することができるこのようなブドウ抽出物を含むダイエタリーサプリメントについての要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、高血圧前症およびメタボリック症候群、ならびに/またはメタボリック症候群を含む疾患を治療するのに有効であるブドウ抽出物を提供する。一般的に、本発明のブドウ抽出物は、約5-15重量%のモノマー、約5-20重量%のダイマー、約3-10重量%のトリマー、約2-10重量%のテトラマー、および約2-10重量%のペンタマーを含む。モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、およびペンタマーを含む低分子量フェノール化合物の総量は、約25-50重量%、好ましくは約25-40重量%、より好ましくは約30-40重量%、更により好ましくは約25-35重量%である。フェノール化合物の総量は、約80重量%以上、好ましくは約90重量%以上である。
【0015】
1つの実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約6-15%のモノマー、約7-15%のモノマー、約8-15%のモノマー、約9-15%のモノマー、約10-15%のモノマー、約11-15%のモノマー、約12-15%のモノマー、約13-15%のモノマー、そして約14-15%のモノマーを含む。他の実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約5-14%のモノマー、約5-13%のモノマー、約5-12%のモノマー、約5-11%のモノマー、約5-10%のモノマー、約5-9%のモノマー、約5-8%のモノマー、約5-7%のモノマー、そして約5-6%のモノマーを含む。更に他の実施態様においては、本発明中のモノマーの量は、約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%および15%からなる群から選択される。
【0016】
1つの実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約6-20%のダイマー、約7-20%のダイマー、約8-20%のダイマー、約9-20%%のダイマー、約10-20%のダイマー、約11-20%のダイマー、約12-20%のダイマー、約13-20%のダイマー、約14-20%のダイマー、約15-20%のダイマー、約16-20%のダイマー、約17-20%のダイマー、約18-20%のダイマー、そして約19-20%のダイマーを含む。他の実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約5-19%のダイマー、約5-18%のダイマー、約5-17%のダイマー、約5-16%のダイマー、約5-15%のダイマー、約5-14%のダイマー、約5-13%のダイマー、約5-12%のダイマー、約5-11%のダイマー、約5-10%のダイマー、約5-9%のダイマー、約5-8%のダイマー、約5-7%のダイマー、そして約5-6%のダイマーを含む。更に他の実施態様においては、本発明中のダイマーの量は、約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%および20%からなる群から選択される。
【0017】
1つの実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約4-10%のトリマー、約5-10%のトリマー、約6-10%のトリマー、約7-10%のトリマー、約8-10%のトリマー、そして約9-10%のトリマーを含む。他の実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約3-9%のトリマー、約3-8%のトリマー、約3-7%のトリマー、約3-6%のトリマー、約3-5%のトリマー、そして約3-4%のトリマーを含む。更に他の実施態様においては、本発明のトリマーの量は、約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%および10%からなる群から選択される。
【0018】
1つの実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約3-10%のテトラマー、約4-10%のテトラマー、約5-10%のテトラマー、約6-10%のテトラマー、約7-10%のテトラマー、約8-10%のテトラマー、そして約9-10%のテトラマーを含む。他の実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約2-9%のテトラマー、約2-8%のテトラマー、約2-7%のテトラマー、約2-6%のテトラマー、約2-5%のテトラマー、約2-4%のテトラマー、そして約2-3%のテトラマーを含む。更に他の実施態様においては、本発明のテトラマーの量は、約2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%および10%からなる群から選択される。
【0019】
1つの実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約3-10%のペンタマー、約4-10のペンタマー、約5-10%のペンタマー、約6-10%のペンタマー、約7-10%のペンタマー、約8-10%のペンタマー、そして約9-10%のペンタマーを含む。他の実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、約2-9%のペンタマー、約2-8%のペンタマー、約2-7%のペンタマー、約2-6%のペンタマー、約2-5%のペンタマー、約2-4%のペンタマー、そして約2-3%のペンタマーを含む。更に他の実施態様においては、本発明のペンタマーの量は、約2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%および10%からなる群から選択される。
【0020】
1つの実施態様においては、低分子量のフェノール化合物、すなわちモノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、およびペンタマーの総量は、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上、約40重量%以上、約45重量%以上で約50重量%までである。他の実施態様においては、低分子量フェノール化合物の総量は、約25重量%以上、26重量%以上、27重量%以上、28重量%以上、29重量%以上、30重量%以上、31重量%以上、32重量%以上、33重量%以上、34重量%以上、35重量%以上、36重量%以上、37重量%以上、38重量%以上、39重量%以上、40重量%以上、41重量%以上、42重量%以上、43重量%以上、44重量%以上、45重量%以上、46重量%以上、47重量%以上、48重量%以上、49重量%以上で約50重量%までである。
【0021】
本発明のブドウ抽出物は、順相高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)によって測定した場合に、約5-15重量%のモノマー、約5-20重量%のダイマー、約4-10重量%のトリマー、約2-10重量%のテトラマー、および約2-10重量%のペンタマーのフェノールのプロファイルを有する。本発明のブドウ抽出物は、また、Folin Ciocalteu方法で測定した場合に、約80重量%以上の、好ましくは約90重量%以上の総フェノール化合物を含む。本発明のブドウ抽出物は、また、チオ開裂後に逆相HPLCで測定した場合に、約2重量%以下の、より好ましくは約1重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニットを含む。本発明のブドウ抽出物は、また、チオ開裂後に逆相HPLCで測定した場合に、約12重量%以下、好ましくは約8重量%以下、より好ましくは約5重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを含む。
【0022】
本発明のブドウ抽出物は、以下に記載するように、米国特許第6,544,581号に開示されている熱水抽出方法を改変することによって産生する。一般的に、‘581号特許に開示されているように、熱水抽出方法は、以下の工程を含む。工程(1)においては、乾燥または新鮮なブドウの種子を、熱水を用いて、大部分のポリフェノールを抽出するのに十分な時間加熱する。140-212F、好ましくは160-212F、より好ましくは180-212F、更により好ましくは190-212Fの温度を、約1-6時間使用することができる。加熱の時間は、使用した温度に関連して変更することができる。一般的に、より温度が引きほど、より長い抽出時間が必要である。工程(2)においては、ブドウ種子-水粗抽出物を、金網の上で水を切ることによって、種子のかすから分離することができる。その後、抽出物を冷却し、任意の適した市販のペクチン分解酵素、例えば、Novo Nordiskによって製造されたPectinex(登録商標)Ultra SP-L、を用いて、約50-200ppmの濃度で処理し、細胞壁成分を破壊する。好ましくは、種子水抽出物は、80-120Fで、2時間酵素処理することができる。代替的には、種子-水抽出物は、約40-50Fで、7-14日間以上酵素処理することができる。工程(3)においては、得られた混濁した種子抽出物を、酸で、好ましくは無機酸で、より好ましくは硫酸で、約1.5-2.5のpHまで酸性化し、約1時間から約2日間反応させる。酸性化した抽出物を、数週間を上限に冷却し、タンパク質および他のポリサッカリドを含む巨大分子を沈殿させる。その後、冷却した酸性化抽出物を、珪藻土を用いてろ過し、澄んだ種子抽出物を得る。パーライトなどの他のろ過助剤も使用することができる。
【0023】
‘581号特許の工程(2)は、本発明のブドウ抽出を産生するために、4から5日間、約80-120Fの温度で、種子-水抽出物を酵素処理することによって改変することができる。如何なる理論にも拘束されることを意図するわけではないが、この工程を、‘581号特許において使用されているよりも長い期間、特定の温度範囲で実施することによって、新規のブドウ抽出物が得られることが説明されると考えられる。酵素処理の時間は、利用した温度に関連して変更することができる。一般的に、より低い温度には、より長い処理時間が必要である。それ故、種子-水抽出物は、約60-80Fの温度では、2週間以上までの間、酵素処理を行うことができる。
【0024】
1つの実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、以下の工程によって産生することができる。‘581号特許の工程(1)の抽出後、または、工程(2)におけるペクチナーゼ処理後に、抽出物を、細菌学的寒天プレート上に塗布することができる。インキュベーションにより、酵母、細菌、および/または真菌類の複数の種が、開始物質に依存して存在しうる。生きた培養菌を、混合物として単離しうる。いったん単離すると、混合物を、その後の抽出および/またはペクチナーゼ酵素処理工程において使用することができる。例えば、種子-水抽出物は、任意の適した市販のペクチン分解酵素で処理し、単離した酵母、細菌および/または真菌類の混合物と組み合わせることができる。組み合わせた混合物を、約1日から10日間、好ましくは約2日間から5日間、約70-100Fで静置させることができる。酵素処理の時間は、利用した温度および植菌数に関連して変更することができる。得られた混濁した種子抽出物を、前記の適した酸でpH1.5-2.5に酸性化させ、約1時間から約2日間反応させることができる。酸性化した抽出物を数日間冷却して保存し、タンパク質およびポリサッカリドを凝集させることができる。その後、冷却した酸性化抽出物を、珪藻土を用いてろ過して、澄んだ種子抽出物を得ることができ、この抽出物を、‘581号特許に従って更に処理して、血圧低下および酸化型LDLの低下に適した精製ブドウ抽出物を産生することができる。
【0025】
酵母、細菌および/または真菌類の混合物を含む本発明の方法によって産生したブドウ抽出物と比較した、‘581号特許の方法によって産生したブドウ抽出中の没食子酸の量を、HPLCによって分析した。この分析により、‘581号特許の方法のブドウ抽出物における約50-150ppmという没食子酸の値から、混合物を用いた本発明のブドウ抽出物における約400-1500ppmという没食子酸の値へと増加することが示された。没食子酸の増加は、エピカテキン-ガレート末端および伸長ユニットが、プロシアニジンから脱エステル化されたことを表している。如何なる理論にも拘束されることを意図するわけではないが、酵母、細菌および/または真菌類の混合物は、増殖のための物質としてブドウ抽出物を利用し、タンナーゼ酵素活性を産生し、この酵素活性により、プロシアニジンの脱エステル化がもたらされ、没食子酸が遊離すると考えられる。このように、生きた酵母、細菌および/または真菌類の使用により、約2重量%以下、好ましくは約1重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニット、および、約12重量%以下、好ましくは約8重量%以下、より好ましくは約5重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを有する本発明のブドウ抽出物が産生される。
【0026】
1つの実施態様においては、本発明のブドウ抽出物は、以下の工程によって産生することができる。‘581号特許の工程(1)の後、または、工程(2)におけるペクチナーゼ処理後に、任意の適した市販のタンナーゼ酵素、例えば、タンニンアシルヒドロラーゼE.C3.1.1.20などの真菌類タンナーゼ酵素を、約5-1000ppmの濃度で加えることができる。用いたタンナーゼ酵素に依存して、混合物を、約1時間から約2日間、好ましくは1日から2日間、または末端ユニットが約2%以下、好ましくは1%以下に減少するまで、そして、伸長ユニットが約8%以下、好ましくは約5%以下に減少するまで、反応させることができる。十分な反応時間の後で、抽出物は、1.5から2.5のpHへと酸性化することができ、40-60Fの冷却保存で、タンパク質およびポリサッカリドを凝集させることができる。抽出物を清澄化するためにろ過して、‘581号特許に従って更に処理して、血圧低下についての特徴を有するブドウ抽出物を産生することができる。
【0027】
本発明のブドウ抽出物は、カプセル、タブレット、粉末、溶液、ゲル、懸濁物、クリーム、ペースト、ゲル、座薬、経皮パッチ等を含むダイエタリーサプリメントへと調合することができる。例えば、粉末または溶液の形態のこれらのダイエタリーサプリメントは、栄養補給食品、食品および/または飲料に加え、機能的な栄養補給食品、食品および/または飲料製品を形成することができる。ダイエタリーサプリメントは、例えば、牛乳、ジュース、水などの消耗品としての液体、または他の食用液体もしくは食品へと混合するための消耗品としてのゲルもしくはシロップと混合するための粉末として調合することができる。本発明のダイエタリーサプリメントは、他の食品または液体と調合し、1食用のバーなどの予め測定した補助食品を提供することができる。本発明のブドウ抽出物を導入することができる典型的な食品は、ヨーグルトなどの乳製品、シリアル、パン、スナック食品、フルーツジュースおよび他のソフトドリンクを含む。香味料、バインダー、タンパク質、複合糖質、ビタミン、ミネラル等は、必要に応じて加えることができる。好ましくは、ブドウ抽出物は、経口投与用に調合される。
【0028】
本発明は、また、本発明のブドウ抽出物を含むダイエタリーサプリメントを提供する。ヒトを含む哺乳類に投与した場合、ダイエタリーサプリメントは、例えば、高血圧前症およびメタボリック症候群の個人において、血圧を低下させる。例えば、高血圧前症もしくはメタボリック症候群の個人を治療すること、またはこれらの疾患の状態を予防することの成功した経過は、とりわけ、収縮期血圧および/または拡張期血圧のいずれか、または両方を、少なくとも約2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも約8%まで低下させて、そして、有るか無しかのインスリン抵抗性の増大を誘導することによって特徴づけられる。
【0029】
本発明のダイエタリーサプリメントは、必要に応じて、毎日の投与を意図する。高血圧前症の個人またはメタボリック症候群の個人におけるダイエタリーサプリメントの予防または治療用投与量は、治療される症状の重篤度および投与の経路で変化する。投与、恐らくは投与頻度は、また、個人の年齢、体重および応答性によって変更する。一般的に、本明細書で開示する症状については、毎日の総投与範囲は、一回投与または分割投与で、経口的、局所的または経皮的に(好ましくは経口的に)投与する約50mgから約1000mgのブドウ抽出物である。好ましい経口での毎日の投与範囲は、約50mgから約500mgのブドウ抽出物(すなわち、賦形剤および担体を除く)、より好ましくは約150mgから約300mgである。例えば、カプセルまたはタブレットは、150mgまたは300mgのいずれかの投与量で調合することができるのに対して、飲料は、50mgの本発明のブドウ抽出物で調合することができる。このような投薬計画または投与は、好ましくは、少なくとも一か月、より好ましくは六か月以上維持する。
【0030】
本発明のダイエタリーサプリメントは、一般的な方法で(すなわち、乾式混合法、乾式または湿式造粒法、直接圧縮法によって)、医薬的に許容可能な担体、賦形剤、ビタミン、ミネラルおよび/または他の栄養素と混合して、調合することができる。代表的な担体および賦形剤には、制限するわけではないが、経口用の固体調製物の場合においては(粉体、カプセルおよびタブレット等)、デンプン、糖、微結晶性セルロール、希釈剤、造粒化剤、湿潤剤、バインダー、崩壊剤等が含まれる。
【0031】
任意の適した投与経路を、本発明のダイエタリーサプリメントを個人に投与するのに使用することができる。適した経路には、例えば、経口、直腸、非経口、静脈内、局所的、経皮的、皮下、および筋肉内が含まれる。任意の適した投与経路を、患者に有効量の本発明の方法によるブドウ抽出物を提供するために使用することができるが、タブレット、カプセル、または粉体等の固体投与形態を含む、経口投与が好ましい。また、ブドウ抽出物は、機能的栄養補給食品、食品または飲料製品における使用のために調合することが好ましい。
【0032】
本発明のブドウ抽出物は、また、制限するわけではないが、利尿薬、ベータ-ブロッカー、ACE阻害剤、アンジオテンシンアンタゴニスト、カルシウムチャンネルブロッカー、アルファ-ブロッカー、アルファ-ベータ-ブロッカー、神経系阻害剤、血管拡張剤、抗酸化剤を含む他の活性剤と組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
[1.ブドウ抽出物の特徴]
最近、ブドウ種子のポリフェノールの使用により、収縮期血圧が低下することはなく、実際は、高血圧の個人において、ビタミンCの使用と組み合わせた場合に収縮期血圧を増加させることが報告された。Ward et al.“The combination of vitamin C and grape-seed polyphenols increases blood pressure: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial,” Journal of Hypertension 2005; 23: 427-434を参照せよ。如何なる理論にも拘束されることを意図するわけではないが、ブドウ抽出物のフェノールプロファイルは、血圧の低下の有効性に重要であると考えられている。Wardの研究で評価されたブドウ抽出物は、Vinlife(登録商標)であり、このブドウは、Folin Ciocalteu方法によって測定した50.6%の総フェノール化合物、チオ開裂後に逆相HPLCによって測定した11.2%のエピカテキン-ガレート末端ユニットおよび11.8%のエピカテキン-ガレート伸長ユニット、ならびに、順相HPLCによって測定した7.3%のモノマー、4.4%のダイマー、2.0%のトリマー、1.9%のテトラマーおよび1.1%のペンタマー(総量16.7%のモノマー、ダイマー、トリマーおよびペンタマー)のフェノールプロファイルを有する。
【0034】
市販のブドウ種子抽出物は、様々なモノマーおよびプロアントシアニジンを含む。逆相HPLCで測定した、幾つかの市販の抽出物のフェノールプロファイルを、表1に示し、順相HPLCで測定したプロファイルを、表2に示す。これらの分析から、本発明のブドウ抽出物(現在は、Polyphenolics, Inc.によって、MegaNatural(登録商標)-BPとして製造されている)は、他のブドウ抽出物から区別される3つの識別因子を有する:
1.Folin Ciocalteu方法で測定した場合に、約80重量%、より好ましくは約90重量%より多い総フェノール化合物量を有することによって求まる高い純度;
2.高含量(例えば約25-50重量%)の低分子量フェノール化合物(低分子量フェノール化合物は、モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、およびペンタマーである);ならびに
3.末端ユニットにおける、少量から存在しない(例えば約2%未満、好ましくは約1%未満)量のエピカテキン-ガレート、および、伸長ユニットにおける、少量(例えば約12%未満、好ましくは約5%未満)のエピカテキン-ガレート。
【0035】
如何なる理論にも拘束されることを意図するわけではないが、ブドウ抽出物のフェノールプロファイルは、高血圧前症およびメタボリック症候群の治療または予防における有効性に重要であると考えられる。特に、本発明のブドウ抽出物における、末端ユニットはエピカテキン-ガレートが存在しないこと、および、伸長ユニットはエピカテキン-ガレートが少量であることが、より多い量の低分子量化合物の存在とともに、血管拡張の増加の原因となっていると考えられ、このことが、以下に示すメタボリック症候群および高血圧前症の個人の臨床試験における、血圧の低下の原因になっていると考えられる。
【0036】
(モノマー、オリゴマーおよびポリマーの割合を決定するための逆相HPLC方法)
ブドウ抽出物の逆相HPLC分析を用いて、280nmでのピークエリアに基づいて、モノマー、オリゴマーおよびポリマーの割合を求めることができる。
【0037】
【表2】

【0038】
サンプル調製:正確に0.1gのブドウ抽出物を、100mLのフラスコに入れる。サンプルを少量のメタノール(≦5mL)に溶かし、必要であれば、ソニケーションする。18Megaohmの水で容量を満たす。インジェクトの前に、サンプルを遠心分離に供するか(14,000rpm、10分)、または、0.45μMガラスろ過器でろ過する。モノマー、オリゴマーおよびポリマーの重量%の測定は、ピークエリアおよび標準の濃度に基づく。
【0039】
(チオ開裂反応後のHPLC分析に基づくプロアントシアニジンの末端および伸長ユニットを測定する方法)
チオ開裂は、ブドウ抽出物中のプロアントシアニジンの平均分子量(重合度)および基本構造を測定するための方法である。提供される情報は、身体への栄養吸収に関する、ブドウ抽出物の生物学的特性を示すことができる。
【0040】
チオ開裂化剤:0.2NのHClを含むメタノール中の5%のフェニルメタンチオール(ベンジルメルカプタン)
【0041】
条件:0.1%のブドウ抽出物-メタノール溶液を、等量のチオ開裂化剤と混合し、攪拌し、そして、2分間90℃で加熱する。水を、反応を停止するために加えた。その後、反応物を、2分間14000rpmで遠心した。上清をHPLCによって直接分析した。
【0042】
【表3】

【0043】
分析すべきブドウ抽出物を、メタノールに溶かし、等量のチオ開裂化剤と混合し、そして、2分間90℃で加熱した。遊離したユニットを、質量分析によって同定し、前記の条件下でHPLCによって定量測定した。平均の重合度を、フラバン-3-オールのユニット(チオエーテル付加物に加えて末端ユニット)の、末端ユニットに対応するカテキン、エピカテキンおよびエピカテキン-ガレートに対するモル比を計算することによって測定した。カテキン、エピカテキンおよびエピカテキンガレートを含む末端ユニットの総モルの合計中のエピカテキンガレートのモル比に基づいて、エピカテキンガレート末端ユニットの割合を求めた。カテキン、エピカテキンおよびエピカテキンガレートチオエーテル付加物を含む伸長ユニットのチオエーテル付加物の総モルの合計中のエピカテキンガレートチオエーテル付加物のモル比に基づいて、エピカテキンガレート伸長ユニットの割合を求めた。フェノール化合物の総量は、Folin Ciocalteu方法によって、グラム没食子酸等量で定量した。Folin Ciocalteu分析方法に関してより詳細には、Waterhouse, A.L., Determination of Total Phenolics, in Current Protocols in Food Analytical Chemistry, |1.1.1-|1.1.8, Wrolstad, R.E., Wiley, 2001またはSingleton, V.L.; Orthofer, R.; Lamuela-Raventos, R.M. “Analysis of total phenols and other oxidation substrates and antioxidants by means of Foli-Ciocalteu Reagent”, Methods in Enzymology 1999, 299, 152-178を参照せよ。これらは両方とも参照によって本願明細書に組み込まれている。
【0044】
【表4】

【0045】
(プロアントシアニジンについての順相HPLC分析)
プロアントシアニジンのHPLC分析:クロマトグラフィー分析を、オートサンプル/インジェクター、バイナリーポンプ、カラムヒーター、ダイオードアレイディテクター、蛍光ディテクター、およびデータ収集および操作のためのHP ChemStationを備えたHP 1100シリーズHPLCを用いて実施した。プロアントシアニジンオリゴマーの順相分離を、Phenomenex Luna Silica(2)カラムを用いて実施した。
【0046】
【表5】

【0047】
全ての場合において、カラムを、各インジェクションを行う間に、5mlの最初の移動相相当物で、再平衡化した。カテキンスタンダードを準備し、その曲線からサンプル中のプロアントシアニジンの濃度を測定する応答キャリブレーション曲線を作成するために分析した。蛍光検出を用いた、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマーのモノマーに対する相対感度係数は、R.L. Prior and L. Gu, “Occurrence and biological significance of proanthocyanidins in American diet”, Phytochemistry 2005, 66(18), 2264-2280によって、カカオ豆から単離して精製したスタンダードを使用して、報告されていた。これらの応答係数を、モノマーに対するダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマーを計算するために使用した。
【0048】
【表6】

【0049】
表1および2の結果は、異なる方法を用いて得られたものである。この異なる方法が、異なる範囲、例えばモノマーの割合の異なる範囲の主な原因である。例えば、逆相HPLCを使用して、モノマー、オリゴマーおよびポリマーの割合を、これら3つの化合物群のピークエリアに基づいて測定した。没食子酸は、モノマーとして含まれる。順相HPLCにおいては、カテキンおよびエピカテキンをスタンダードとして使用して、ブドウ抽出物中のモノマー、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマーの量を測定した。R.L. Prior and L. Guによって報告された、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマーの、モノマーに対する相対感度係数を使用して、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマーを測定した。
【0050】
[メタボリック症候群の個人の血圧に対するブドウ抽出物の効果]
本発明において使用したブドウ抽出物の血圧に対する効果を、メタボリック症候群と診断された24人の個人で試験した。試験には、20から50歳の同数の男性および女性が含まれていた。メタボリック症候群を、National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel IIIによって定義された基準に基づいて診断した。各被験者は、以下の特徴の少なくとも3つを有していた:1)空腹時の血中糖分>110mg/dL、2)HDL(男性で<40mg/dL、および、女性で<45mg/dL)、3)血圧>130/85、ならびに4)腹部肥満(男性については>102cm、および、女性については>88cm)。現在喫煙者であるか、もしくは、元喫煙者(<3年)であった;抗-炎症もしくは高血圧薬剤を摂取した;または、市販の抗-酸化化合物を摂取した個人は、除外した。
【0051】
乱塊法を使用して、個人を、8人の3つのグループに分け、グループの割り当てに依存して、以下のカプセルの1つを与えた。
グループ1には、プラセボカプセルを与えた、
グループ2には、150mgのブドウ抽出物を含むカプセルを与えた、
グループ3には、300mgのブドウ抽出物を含むカプセルを与えた。
【0052】
個人は、次の28日間で一日に一回の同量の投与量を摂取するのに十分なカプセルを与えられた。この期間の最後に、血圧測定を行った。外来血圧を、研究の開始と4週間後に、12時間にわたって記録した。方法は非観血式であり、上腕部血圧計カフを装着することを含んでいた。カフを、ベルトに巻かれた、FDAが認可した自動化空気送付装置に接続した。
【0053】
表3は、メタボリック症候群の個人の3つのグループについての血圧データを示す。毎日300mgおよび150mgの本発明で使用したブドウ抽出物を摂取したグループにおいては、収縮期および拡張期血圧の両方において、顕著な減少がもたらされた。プラセボを摂取したグループでは、如何なる顕著な差異ももたらされなかった。
【0054】
【表7】

【0055】
ベースラインの血圧と、収縮期および拡張期血圧の両方の低下との間の関係を、図1および2に示す。血圧は、mmHgとして提示した。メタボリック症候群の診断は、リストした危険因子が3つ(そのうちの1つが血圧)存在することに基づくので、試験は、血圧について個人をランダム化するのを妨げなかった。したがって、3つのグループ内の平均血圧は、類似していなかった(狭い範囲内で異なっていた)。
【0056】
この試験は、毎日の投与量が150mgおよび300mgの本発明のブドウ抽出物が、メタボリック症候群の個人において、収縮期および拡張期血圧の両方が低下したことを実証している。血圧の低下は、使用した抽出物の投与量の両方について統計的に有意である。実際、ブドウ抽出物を使用して観察された血圧の変化は、医薬品を使用した主な臨床試験において観察された血圧の変化に比較するものであった。
【0057】
[3.メタボリック症候群の個人の酸化型LDLに対するブドウ抽出物の効果]
酸化型LDLに対する本発明において使用したブドウ抽出物の効果を、前記したメタボリック症候群と診断された同じ24人の個人において、試験した。酸化型LDLの濃度を、試験の開始と4週間後に、測定した。酸化型LDLを測定するために、血液サンプルを、各個人から採取し、分析した。
【0058】
3つのグループについての酸化型LDLの濃度の変化を、図3に要約する。図3は、プラセボについては酸化型LDLがわずかに低下したことを、150mgの本発明で使用したブドウ抽出物については酸化型LDLが低下傾向を示したことを、そして、300mgの本発明で使用したブドウ抽出物を摂取した個人については酸化型LDLが統計的に有意に低下(p<0.05)したことを示している。図4は、試験において用いた300mgのブドウ抽出を与えた個人における、酸化型LDLの変化と酸化型LDLのベースライン濃度との間の関係を示す。回帰係数(R2)は0.52であった。図4は、最初からより高いレベルの酸化型LDLを用いて開始した個人において、酸化型LDL濃度がより著しく低下したことを示している。
【0059】
この試験は、毎日の投与量が150mgおよび300mgである本発明のブドウ抽出物が、メタボリック症候群の個人の血漿における酸化型LDLの濃度を低下させることを実証している。更に、300mgの本発明で使用したブドウ抽出物を投与した個人の酸化型LDL濃度は、統計的に有意に減少していた。
【0060】
[4.高血圧前症の個人に対するブドウ抽出物の効果]
本発明で使用したブドウ抽出物の効果を、高血圧前症と診断された24人の個人について試験した。試験には、30から60歳の同数の男性および女性が含まれていた。高血圧前症は、Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressureによって定義された基準に基づいて、診断された。各被験者は、120から139mmHgの収縮期血圧および/または81から89mmHgの拡張期血圧を有していた。現在喫煙者であるか、もしくは、元喫煙者(<3年)であった;抗-炎症もしくは高血圧薬剤を摂取した;または、市販の抗-酸化化合物を摂取した個人は、除外した。
【0061】
性別に関して乱塊法を使用して、個人を、12人の2つのグループに分け、グループの割り当てに依存して、以下のカプセルの1つを与えた。
グループ1には、プラセボカプセルを与えた、
グループ2には、300mgのMegaNatural(登録商標)-BPを含むカプセルを与えた。
【0062】
個人は、次の8週間で一日に一回の同量の投与量を摂取するのに十分なカプセルを与えられた。この期間の最後に、血圧測定を行った。外来血圧を、研究の開始と8週間後に、12時間にわたって記録した。方法は非観血式であり、上腕部血圧計カフを装着することを含んでいた。カフを、ベルトに巻かれた、FDAが認可した自動化空気送付装置に接続した。
【0063】
表4は、高血圧前症の個人の2つのグループについての血圧データを示す。2つグループの間のベースライン血圧は、有意には異ならなかった。毎日300mgの本発明で使用したブドウ抽出物を摂取したグループにおいては、収縮期および拡張期血圧の両方において、顕著な減少がもたらされた;しかしながら、プラセボを摂取したグループでは、如何なる顕著な差異ももたらされなかった。例えば、MegaNatural(登録商標)-BPで処理したグループにおける収縮期血圧の平均的な低下は、7.2±2.5mmHgであったのに対して、プラセボグループにおける収縮期血圧は、0.03±1.5mmHg増加した。データを以下に要約する。値は、mmHg(平均値±SEM)で示す。
【0064】
【表8】

【0065】
この試験は、毎日の投与量が300mgの本発明のブドウ抽出物は、高血圧前症の個人において、収縮期および拡張期血圧の両方が低下したことを実証している。血圧の低下は、統計的に有意である。実際、ブドウ抽出物を使用して観察された血圧の変化は、医薬品を使用した主な臨床試験において観察された血圧の変化に比較するものであった。
【実施例】
【0066】
本発明を、ブドウ抽出物の製造方法およびダイエタリーサプリメントの製造方法を開示する以下の実施例を参照に、更に定義する。実施例は、代表的なものであり、本発明の範囲を制限すると解釈すべきではない。
【0067】
[実施例1:ブドウ抽出物の製造方法]
乾燥したブドウ種子を、水を用いて200Fで2時間抽出し、抽出物を、金網上で種子から分離した。抽出物を90-100Fに冷却し、ペクチナーゼを、200ppmの濃度で加えた。抽出物を、2つに分けた。そのうちの1つに、市販の真菌類のタンナーゼ酵素(タンニンアシルヒドロラーゼ、E.C3.1.1.20)を、1000ppmの濃度で加えた。もう1つに、タンナーゼを、50ppmの濃度で加えた。元の抽出物中の没食子酸の残渣濃度は、117ppmであり、18.9%の末端ユニットおよび11.1%の伸長ユニットを有していた。1000ppmのタンナーゼ酵素を用いた約2時間の処理中に、没食子酸濃度は、904ppmに増加し、0%の末端ユニットおよび約5.5%の伸長ユニットを有していた。没食子酸が810ppmに達して、1%未満の末端ユニットおよび6%未満の伸長ユニットを有するのに、50ppmのタンナーゼ酵素を用いた処理が約24時間かかった。約2日後、両方の抽出物を、pH1.5から2.5に酸性化し、これにより、40-60Fの冷蔵保存で、タンパク質およびポリサッカリドの凝集が可能となった。この抽出物をろ過し、‘581号特許に従って更に処理し、血圧低下および酸化型LDLの低下についての特徴を有するブドウ抽出物を産生した。
【0068】
[実施例2:カプセル]
MegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物(150mgまたは300mg)を、ステアリン酸マグネシウム(それぞれ、3mgまたは6mg)と乾式混合し、ハードシェルゼラチンカプセル(ゼラチンおよび水からできている)に詰めた。150mgの調合物においては、ブドウ抽出物は、150mgのブドウ抽出物当り、最低限90%のフェノール類すなわち135mgのフェノール類を有する。300mgの調合物においては、ブドウ抽出物は、300mgのブドウ抽出物当り、最低限90%のフェノール類すなわち270mgのフェノール類を有する。毎日の投与は、一日当たり一つのカプセルである。
【0069】
[実施例3:粉末]
MegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物を、飲料において使用する表4において示すように、賦形剤と乾燥混合物へと調合した。この調合中、成分を乾式でブレンドした。最終的な飲料を製造するために、9.47gの乾燥混合物を、500mlの冷水と混合し、攪拌した。500mL用は、16カロリー含む。最終的な飲料には、1L用当り、100mgのMegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物および120mgのビタミンCを含み、2200TEのORAC値を有する。
【0070】
グラム当たりのmmoleトロックス(非市販の、トコフェロールの水溶性誘導体)当量(TE)で測定した「ORAC」は、「活性酸素消去能」を意味する。「ORAC」は、科学者が食物およびサプリメント中の抗酸化活性を測定するスタンダードである。新鮮なまたは新たに調理した果物および野菜の一食分は、600から800のORAC単位を平均で提供する。一日当たり2000から5000のORAC単位を提供する食品または補助食品の摂取を増やすことは、健康的な利点を有するであろうことが示唆される。
【0071】
【表9】

【0072】
[実施例4:飲料]
MegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物を、表5において示すように、賦形剤と飲料へと調合した。以下の飲料は、8オンス用当たり50mgのMegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物および60mgのビタミンC(100% RDI)を含む。8オンス用においては、飲料は、0カロリーで0.15gの総炭化水素を含む。16オンス用は、2200TEのORAC値を有する。
【0073】
【表10】

【0074】
[実施例5:飲料]
MegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物を、表6において示すように、賦形剤と飲料へと調合した。以下の飲料は、8オンス用当たり50mgのMegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物および60mgのビタミンC(100% RDI)を含む。8オンス用においては、飲料は、15カロリーで4gの総炭化水素を含む。16オンス用は、2200TEのORAC値を有する。
【0075】
【表11】

【0076】
[実施例6:ビタミン/ミネラルサプリメント]
MegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物(150mg)を、表7にリストした以下の賦形剤と乾式混合し、タブレットへと圧縮してマルチ-ビタミン/ミネラルサプリメントを形成した。毎日の投与は、一日当たり一つのタブレットであり、好ましくは食事とともに摂取する。
【0077】
【表12】

【0078】
[実施例7:ビタミン/ミネラルサプリメント]
MegaNatural(登録商標)-BPブドウ抽出物(150mg)を、表8にリストした以下の成分および賦形剤と、Vブレンダー内で均一になるまでブレンドした。ブレンドを、775mg±2%の特定の重量に達するタブレットへと圧縮して、マルチ-ビタミン/ミネラルサプリメントを形成した。タブレットを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ガムの透明なコーティングで、スプレーコーティングして、乾燥させた。毎日の投与は、一日当たり一つのタブレットである。表8の調合物のためのバッチサイズは、500,000タブレットである。
【0079】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明のブドウ抽出物で処理されたメタボリック症候群の個人についてのベースライン血圧と収縮期血圧の低下との関係を示す。
【図2】図2は、本発明のブドウ抽出物で処理されたメタボリック症候群の個人についてのベースライン血圧と拡張期血圧の低下との関係を示す。
【図3】図3は、本発明で使用したブドウ抽出で処理されたメタボリック症候群の個人における酸化型LDL濃度の変化を示す。
【図4】図4は、本発明で使用した300mgのブドウ抽出物を与えた個人における酸化型LDLの濃度の変化と酸化型LDLのベースライン濃度との関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ブドウ全体、ブドウの種子、ブドウの搾りかす、およびこれらの混合物からなる群から選択される一員を、水と、約140-212Fの温度で接触させて、ブドウ-水粗抽出物を得る工程;ならびに
(2)ブドウ-水粗抽出物を、ペクチン分解酵素を用いて、約4から5日の期間の間、約80-120Fの温度で処理して、ポリフェノールブドウ抽出物を得る工程
を含む、ブドウからポリフェノール抽出物を製造する方法。
【請求項2】
前記接触工程が、(1a)ブドウ-水粗抽出物を、不溶性のブドウ固体から分離する工程および(1b)分離したブドウ-水粗抽出物を冷却する工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
(3)ポリフェノールブドウ抽出物を、約1.5から2.5のpHへと酸性化して、酸性化ポリフェノール抽出物を得る工程;(4)酸性化ポリフェノール抽出物を冷却する工程;および(5)冷却した酸性化ポリフェノール抽出物をろ過して、ろ過ポリフェノール抽出物を得る工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ろ過工程が、冷却した酸性化ポリフェノール抽出物を、吸着樹脂を用いて処理して、精製したポリフェノール抽出物を得る工程を更に含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
約2重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニットおよび約12重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法によって産生される精製ポリフェノール抽出物。
【請求項6】
(1)ブドウ全体、ブドウの種子、ブドウの搾りかす、およびこれらの混合物からなる群から選択される一員を、水と、高温で接触させて、ブドウ-水粗抽出物を得る工程;ならびに
(2)ブドウ-水粗抽出物を、酵母、細菌、真菌類およびこれらの混合物からなる群から選択される生きた培養菌を用いて、高温で処理して、ポリフェノールブドウ抽出物を得る工程
を含む、ブドウからポリフェノール抽出物を製造する方法。
【請求項7】
前記接触工程が、(1a)ブドウ-水粗抽出物を、不溶性のブドウ固体から分離する工程および(1b)分離したブドウ-水粗抽出物を冷却する工程を更に含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記処理工程を、約1から10日間、約70-100Fの温度で実施する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記処理工程が、ペクチン分解酵素を加える工程を更に含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
(3)ポリフェノールブドウ抽出物を、約1.5から2.5のpHへと酸性化して、酸性化ポリフェノール抽出物を得る工程;(4)酸性化ポリフェノール抽出物を冷却する工程;および(5)冷却した酸性化ポリフェノール抽出物をろ過して、ろ過ポリフェノール抽出物を得る工程を更に含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ろ過工程が、冷却した酸性化ポリフェノール抽出物を、吸着樹脂を用いて処理して、精製したポリフェノール抽出物を得る工程を更に含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
約2重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニットおよび約12重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の製造方法によって産生される精製ポリフェノール抽出物。
【請求項13】
(1)ブドウ全体、ブドウの種子、ブドウの搾りかす、およびこれらの混合物からなる群から選択される一員を、水と、高温で接触させて、ブドウ-水粗抽出物を得る工程;ならびに
(2)ブドウ-水粗抽出物を、タンナーゼ酵素を用いて、高温で処理して、ポリフェノールブドウ抽出物を得る工程
を含む、ブドウからポリフェノール抽出物を製造する方法。
【請求項14】
前記接触工程が、(1a)ブドウ-水粗抽出物を、不溶性のブドウ固体から分離する工程および(1b)分離したブドウ-水粗抽出物を冷却する工程を更に含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記タンナーゼ酵素が、酵母、真菌類、細菌およびこれらの混合物からなる群から選択される一員に由来する、請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記処理工程が、ペクチン分解酵素を加える工程を更に含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
(3)ポリフェノールブドウ抽出物を、約1.5から2.5のpHへと酸性化して、酸性化ポリフェノール抽出物を得る工程;(4)酸性化ポリフェノール抽出物を冷却する工程;および(5)冷却した酸性化ポリフェノール抽出物をろ過して、ろ過ポリフェノール抽出物を得る工程を更に含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項18】
前記ろ過工程が、冷却した酸性化ポリフェノール抽出物を、吸着樹脂を用いて処理して、精製したポリフェノール抽出物を得る工程を更に含む、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
約2重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニットおよび約12重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを含む、請求項13から18のいずれか一項に記載の製造方法によって産生される精製ポリフェノール抽出物。
【請求項20】
約5-15重量%のモノマー、約5-20重量%のダイマー、約3-10重量%のトリマー、約2-10重量%のテトラマー、および約2-10重量%のペンタマーを含む、ブドウに由来するポリフェノール抽出物。
【請求項21】
モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマーの総量が、約25-50重量%である、請求項20に記載の抽出物。
【請求項22】
約80重量%以上の総フェノール化合物を含む、請求項20に記載の抽出物。
【請求項23】
約2重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニットを含む、請求項22に記載の抽出物。
【請求項24】
約12重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを含む、請求項23に記載の抽出物。
【請求項25】
約90重量%以上の総フェノール化合物を含む、請求項22に記載の抽出物。
【請求項26】
約1重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニットを含む、請求項25に記載の抽出物。
【請求項27】
約5重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを含む、請求項26に記載の抽出物。
【請求項28】
モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマーおよびペンタマーの総量が、約25-50重量%であり;フェノール化合物の総量が約80重量%以上であり;エピカテキン-ガレート末端ユニットの総量が約2重量%以下であり;エピカテキン-ガレート伸長ユニットの総量が約12重量%以下である、請求項20に記載の抽出物。
【請求項29】
請求項20に記載のポリフェノール抽出物を含む、経口投与用調合物。
【請求項30】
請求項20に記載のポリフェノール抽出物を含む食品製品。
【請求項31】
請求項20に記載のポリフェノール抽出物を含む飲料。
【請求項32】
請求項20に記載のポリフェノール抽出物を含むダイエタリーサプリメント。
【請求項33】
請求項20に記載のポリフェノール抽出物を含む栄養補給食品。
【請求項34】
約5-15重量%のモノマー、約5-20重量%のダイマー、約3-10重量%のトリマー、約2-10重量%のテトラマー、および約2-10重量%のペンタマーを有するブドウ由来のポリフェノール抽出物、ならびに、少なくとも1つの医薬的に許容可能な賦形剤を含むダイエタリーサプリメント。
【請求項35】
前記ポリフェノール抽出物が、約80重量%以上の総フェノール化合物を含む、請求項34に記載のダイエタリーサプリメント。
【請求項36】
前記ポリフェノール抽出物が、約2重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニットを含む、請求項35に記載のダイエタリーサプリメント。
【請求項37】
前記ポリフェノール抽出物が、約12重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを含む、請求項36に記載のダイエタリーサプリメント。
【請求項38】
前記ポリフェノール抽出物が、約90重量%以上の総フェノール化合物を含む、請求項35に記載のダイエタリーサプリメント。
【請求項39】
前記ポリフェノール抽出物が、約1重量%以下のエピカテキン-ガレート末端ユニットを含む、請求項38に記載のダイエタリーサプリメント。
【請求項40】
前記ポリフェノール抽出物が、約5重量%以下のエピカテキン-ガレート伸長ユニットを含む、請求項39に記載のダイエタリーサプリメント。
【請求項41】
ダイエタリーサプリメント中のポリフェノール抽出物の量が、約50-1000mgである、請求項34に記載のダイエタリーサプリメント。
【請求項42】
請求項34に記載のダイエタリーサプリメントを含む経口投与用調合物。
【請求項43】
請求項34に記載のダイエタリーサプリメントを含む食品製品。
【請求項44】
請求項34に記載のダイエタリーサプリメントを含む飲料。
【請求項45】
請求項34に記載のダイエタリーサプリメントを含む栄養補給食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−512638(P2009−512638A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533608(P2008−533608)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/037904
【国際公開番号】WO2007/038685
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(503006660)コンステレーション・ブランズ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】