説明

ブラシレスモータ

【課題】コイルへの電流供給により発生した熱が、レゾルバに伝達されることを抑制することのできるブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ステータ11に電力を供給して発生する回転磁界により回転するロータ12と、ステータ11を取り付けた金属製のモータケース13と、モータケース13とギヤボックス15との間に介在されたブラケット16と、ブラケット16により保持されたレゾルバ21のステータ21aとを有するブラシレスモータであって、ブラケット16が樹脂材料により構成されており、モータケース13およびブラケット16をギヤボックス15に固定するねじ部材28と、ブラケット16に設けられ、かつ、ねじ部材28が挿入される金属製のカラー26とを有し、モータケース13およびブラケット16をギヤボックス15に固定すると、カラー26がモータケース13およびギヤボックス15に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコアとステータコア内で回転するロータを備えるブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通電用のブラシを持たない制御性能に優れたブラシレスモータが知られており、そのブラシレスモータの一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された回転電機(ブラシレスモータ)は、有底円筒状のフレームと、フレームの開口部を覆って固定されたハウジングとを有している。フレームは鉄板を絞り加工して形成され、ハウジングはアルミニウムにより構成されている。ハウジングの中央部に形成された窓部には、フロントベアリングが取り付けられている。また、フレームの底部にはリアベアリングが圧入されている。フロントベアリングおよびリアベアリングは、鉄製のシャフトをそれぞれ回転自在に支持している。そのシャフト上に固定された回転子コアにはマグネットが取り付けられて回転子が構成されている。
【0003】
一方、フレームの内周面には、回転子の外周を囲って固定子が取り付けられている。固定子は、固定子鉄心とモータコイルとを有している。さらに、シャフトにはレゾルバロータが取り付けられており、レゾルバロータに対向してレゾルバステータが設けられている。このレゾルバステータはハウジングに固定されている。上記レゾルバロータとレゾルバステータとにより、回転子の回転角度に応じて出力信号を出力するレゾルバ検出部が構成されている。
【0004】
そして、特許文献1に記載された回転電機においては、検出用電源からレゾルバステータに励磁電圧が印加される。レゾルバステータに電圧が印加されることにより、レゾルバロータとレゾルバステータとの空隙部分に磁束が発生する。また、モータコイルに電流が供給されて、モータコイルに3相交流電圧が印加される。モータコイルに3相交流電圧が印加されると回転磁界が発生して回転子が回転する。このように回転子が回転することにより、シャフトを介して互いに接続されたレゾルバロータが回転し、レゾルバロータとレゾルバステータとの間の磁束抵抗(ギャップパーミアンス)が変化する。そして、レゾルバ検出部は、磁束抵抗の変化により回転子の回転角度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−89285号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モータコイルに電流が供給されると固定子鉄心が発熱する。ここで、特許文献1に記載された回転電機においては、フレームが鉄板により構成され、ハウジングが熱伝達率の良いアルミニウムにより構成されているため、固定子の熱がフレームに伝達されると、その熱がハウジングを経由してレゾルバステータにまで至ることがあり、この熱によるレゾルバの温度上昇によってレゾルバロータとレゾルバステータとの間の磁束抵抗が変わり、回転子の回転角度の検出にバラツキが生じやすくなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、コイルへの電流供給により発生した熱が、レゾルバに伝達されることを抑制することのできるブラシレスモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブラシレスモータは、電力が供給されるコイルを有するステータと、このステータの内側に配置され、かつ、前記コイルに電力が供給された際に発生する回転磁界により回転するロータと、少なくとも一端が開口し、内部に前記ステータが固定された金属製のモータケースと、このモータケースの開口を覆うブラケットと、前記ロータの回転角度を検出し、かつ、前記ブラケットに保持されたレゾルバとを有するブラシレスモータであって、前記ブラケットが樹脂材料により構成されており、前記モータケースを前記ブラケットを介して躯体に固定するための締結部材と、前記ブラケットに設けられ、かつ、前記締結部材が挿入される金属製の筒部材とが設けられており、前記モータケースが前記ブラケットを介して前記躯体に固定された状態で、前記筒部材が前記モータケースおよび前記躯体に接触していることを特徴とする。
【0009】
本発明のブラシレスモータは、前記ブラケットに金属製の保持部材が固定されており、前記レゾルバは、前記保持部材に取り付けられた固定側部材と、前記ロータに取り付けられ、かつ、前記固定側部材との間に磁束が形成される回転側部材とを有していることを特徴とする。
【0010】
本発明のブラシレスモータは、前記ブラケットおよび前記保持部材が、金型のキャビティ内に金属製の保持部材をインサートし、かつ、前記キャビティ内に樹脂材料を注入して固化させてブラケットを成形することにより一体化されたものであることを特徴とする。
【0011】
本発明のブラシレスモータは、前記ロータを回転自在に軸支すべく前記モータケースに設けられた第1の軸受と、前記保持部材に保持された第2の軸受とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のブラシレスモータは、前記第1の軸受および前記第2の軸受が、前記ロータの回転中心となる軸線に沿った方向で異なる位置に配置されており、前記軸線に沿った方向で、前記躯体に対する前記ブラケットの取り付け位置よりも前記躯体の内部側に、前記第2の軸受が配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のブラシレスモータは、車両用制動装置の駆動源であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明(請求項1)によれば、ステータに電力が供給されてステータが発熱すると、ステータの熱が、モータケースおよび金属製の筒部材を経由して躯体に伝達される。また、ブラケットは樹脂材料により構成されているため、金属製の筒部材に比べて熱伝導性が低く、ステータの熱がブラケットを経由してレゾルバに伝達されることを抑制できる。
【0015】
本発明(請求項2)によれば、ブラケットに対して保持部材を介してレゾルバの固定側部材が取り付けられているため、樹脂製のブラケットであってもレゾルバの固定側部材を確りと保持可能とでき、レゾルバによる回転子の角度検出を精度良く行なうことができる。
【0016】
本発明(請求項3)によれば、ブラケットおよび保持部材がインサート成形により一体化されているため、保持部材の固定が強固なものとなって、さらにレゾルバによる回転子の角度検出を精度良く行なうことができる。
【0017】
本発明(請求項4)によれば、ブラケットに固定された保持部材が、レゾルバの固定側部材を保持する機能と、第2の軸受を保持する機能とを兼備している。したがって、レゾルバの付近において回転子を軸支することになって、よりレゾルバによる回転子の角度検出を精度良く行なうことができる上、部品点数の増加も抑制できる。
【0018】
本発明(請求項5)によれば、ロータの回転中心となる軸線に沿った方向で、躯体におけブラケットの取り付け位置よりも躯体の内部側に、第2の軸受が配置されている。このため、ブラシレスモータが軸線を中心とする半径方向に振動したとき、対象物におけるロータの支持位置からロータの自由端までの見かけ上のモーメントの腕の長さが相対的に短くなる。したがって、ロータの振動を低減することができ、よりレゾルバによる回転子の角度検出を精度良く行なうことができる。
【0019】
本発明(請求項6)によれば、本発明のブラシレスモータを車両用制動装置の駆動源として用いるので、回転子の高い回転角度検出精度の要求される車両用制動装置にも対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のブラシレスモータを示す断面図である。
【図2】本発明のブラシレスモータを構成する部品の分解斜視図である。
【図3】本発明のブラシレスモータにおいて、ブラケットにキャップを取り付ける前の状態を示す図である。
【図4】本発明のブラシレスモータを構成する部品の分解斜視図である。
【図5】本発明のブラシレスモータを用いた制動装置の模式図である。
【図6】本発明のブラシレスモータを構成する部品同士を溶接する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明におけるブラシレスモータの実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態におけるブラシレスモータ10は、同一の軸線A上に配置されたステータ(固定子)11およびロータ(回転子)12を有している。本実施形態のブラシレスモータ10は、ステータ11の内側空間にロータ12が配置されたインナロータ型のモータである。ステータ11は、磁性材料である鋼板(図示せず)を積層して形成されたステータコア(固定子鉄心)11aと、ステータコア11aに取り付けた絶縁性のインシュレータ11bと、インシュレータ11bに巻き付けられたコイル11cとを有している。本実施形態においては、コイル11cは3相、具体的には、U相、V相、W相に対応して巻き付けられているものとして説明する。また、軸線Aに沿った方向において、ステータコア11aの両端側に、インシュレータ11bの一部およびコイル11cの一部が配置されている。
【0022】
さらに、ブラシレスモータ10は、ステータ11およびロータ12、さらにその他の部品を収容するモータケース13を有している。モータケース13は、金属材料、例えば、鉄、アルミニウム等をプレス加工して成形したものである。また、モータケース13の外表面には黒色塗装を施すことにより、その熱放射率の向上が図られている。図1および図2に示すように、モータケース13は、第1円筒部13aおよび第2円筒部13bおよび底部13cおよびテーパ部13dおよびフランジ13eを有する一端側が開口する有底筒状となっている。
【0023】
第1円筒部13aは軸線Aを中心として配置されており、第1円筒部13aにおいて軸線Aに沿った方向の一端に底部13cが連続して形成されている。第1円筒部13aにおける底部13cとは反対側の端部にテーパ部13dが形成されており、そのテーパ部13dにおける第1円筒部13aとは反対側の端部に第2円筒部13bが形成されている。第1円筒部13aの内径は第2円筒部13bの内径よりも小さく設定されている。また、軸線Aを含む平面内において、テーパ部13dは第1円筒部13aから第2円筒部13bに近づくことに伴い内径が大きくなる向きの傾斜を有している。
【0024】
前記底部13cには、モータケース13の内部側に向けてU字形状もしくはV字形状に屈曲された折り返し部13fが形成されている。この折り返し部13fは、軸線Aを中心として全周に亘り形成されている。また、軸線Aを中心とする半径方向において、インシュレータ11bおよびコイル11cの内側に折り返し部13fが配置されている。さらに、軸線Aに沿った方向において、インシュレータ11bの一部およびコイル11cの一部の配置領域と、折り返し部13fの配置領域とが部分的に重なっている。
【0025】
一方、ロータ12は、軸線Aを中心として回転可能な回転軸12aを有している。そして、軸線Aに沿った方向において、回転軸12aの半分程度がモータケース13の内部に位置しており、残りの半分程度がモータケース13の外部に位置している。回転軸12aのうち、モータケース13の内部に位置している部分、より具体的には、ステータコア11aの内部に位置している部分の外周にロータコア12bが取り付けられている。このロータコア12bの外周部分には、磁界を発生させる永久磁石12cが磁石ホルダや磁石カバー等の固定手段により固定されている。また、回転軸12aにおける底部13c側の端部は折り返し部13fの内側に配置されている。そして、折り返し部13fの内側に第1の軸受としての軸受14が設けられており、軸受14により回転軸12aの一端が回転自在に軸支されている。この軸受14は、軸線Aを中心とする半径方向の荷重を受けるラジアル軸受である。さらに、軸線Aに沿った方向において、インシュレータ11bおよびコイル11cの一部の配置領域と、軸受14の配置領域とが、部分的に重なっている。なお、回転軸12aにおいてモータケース13の外部に位置している部分には、ギヤ12dが固定されている。
【0026】
次に、図1および図2を参照して、ブラシレスモータ10を躯体としてのギヤボックス15に固定するための構造を説明する。ギヤボックス15は金属材料、たとえば、アルミニウムなどにより構成されている。そして、ブラシレスモータ10は、モータケース13の開口を覆うよう取り付けられるブラケット16を備えている。このブラケット16はモータケース13とギヤボックス15との間に介在している。このブラケット16は、モータケース13を構成する金属材料よりも熱伝導率が低い材料、例えば樹脂材料により一体成形されている。ブラケット16は、環状に構成された本体部16aと、本体部16aから半径方向で内側に向けて突出したフランジ16bとを有する。フランジ16bは、図3のように円周方向に沿って円弧形状に設けられている。また、ブラケット16は、本体部16aから軸線Aに沿った方向でステータ11側に向けて延ばされた第1インロー部16cと、本体部16aから軸線Aに沿った方向でモータケース13と相反する方向である第1インロー部16cとは逆向きに延ばされた嵌め込み部としての第2インロー部16dとを有する。
【0027】
第1インロー部16cは軸線Aを中心とする円筒形状を有しており、その第1インロー部16cは、モータケース13の第2円筒部13b内に嵌合されている。つまり、ブラケット16はモータケース13の開口部に取り付けられている。また、モータケース13のフランジ13eは本体部16aの端面16fに接触しており、フランジ13eを厚さ方向に貫通する孔13g,13hが設けられている。そして、孔13hにねじ部材17が挿入されている。また、本体部16aには複数の雌ねじ16eが形成されており、ねじ部材17が雌ねじ16eにねじ込まれてモータケース13がブラケット16に締め付け固定されている。
【0028】
本体部16aの端面16fと第1インロー部16cとの境界部分には取付溝16gが形成されている。この取付溝16gは軸線Aを中心として環状に構成されている。取付溝16gは軸線Aに沿った方向の深さを有しており、取付溝16gには密封装置として環状のOリング18が取り付けられている。Oリング18はゴム状弾性体により構成された公知のものである。このOリング18は、ブラシレスモータ10の外部に存在する異物、例えば、オイル、ダストなどが、モータケース13とブラケット16との接触部分を経由して、ブラシレスモータ10内に侵入することを防止するための要素である。そして、Oリング18は、取付溝16gの底面、第1インロー部16cの外周面、フランジ13eの端面の3箇所に接触してシール面を形成している。
【0029】
一方、フランジ16bの内周には円筒部材19が固定されている。この円筒部材19は金属材料をプレス加工したものである。円筒部材19の外縁部19cは、樹脂成形時にインサート成形によってブラケット16のフランジ16bの部分に埋設されてブラケット16と一体化されている。なお、インサート成形については後述する。円筒部材19は、大径部19aと、大径部19aよりも内径が小さい小径部19bとを有し、大径部19aと小径部19bとが軸線Aに沿った方向に並べて配置されている。
【0030】
具体的には、軸線Aに沿った方向において、大径部19aは小径部19bよりもステータ11に近い位置に設けられており、大径部19aにおけるステータ11側の開口端部が外側に屈曲されて、フランジ16bの内周に固定されている。また、軸線Aに沿った方向において、小径部19bは大径部19aとギヤ12dとの間に配置されており、小径部19bにより第2の軸受としての軸受20の外輪が保持され、軸受20の内輪が回転軸12aに嵌合固定されている。軸受20は、軸線Aを中心とする半径方向の荷重を受けるラジアル軸受であり、この軸受20によって回転軸12aの他端側が回転自在に軸支されている。上記した2個の軸受14,20により、ロータ12は軸線Aを中心として回転自在に軸支されている。
【0031】
また、軸線Aに沿った方向において、ギヤボックス15に対するブラケット16の取り付け位置よりもギヤボックス15の内部側に軸受20が配置されている。ここで、ギヤボックス15に対するブラケット16の取り付け位置とは、ギヤボックス15とブラケット16との接触部分を意味している。本実施形態においては、ギヤボックス15の端面15aとブラケット16の端面16hとの接触部分を「取り付け位置」として把握する。図においては、その取り付け位置を軸線Aに向けて直角な方向に延長したとき、その延長線上に軸受20の一部が配置された例が示されている。
【0032】
また、ブラシレスモータ10は、ロータ12の回転角度を検出するレゾルバ21を有している。このレゾルバ21は、大径部19aの内周に取り付けられたステータ21aと、回転軸12aの外周に固定されたロータ21bとを有する。ロータ21bとステータ21aとの間には半径方向の隙間が形成されている。ステータ21aには、図3のように6個のステータターミナル21cが接続されており、各ステータターミナル21cにはそれぞれセンサーターミナル21dが溶接固定されている。各センサーターミナル21dは、インサート成形によりブラケット16の本体部16aに一体化されている。
【0033】
一方、ブラケット16のフランジ16bの円周方向の両端部と、円筒部材19の外縁部19cとの間に第1開口部16iが設けられている。第1開口部16iにより、軸線Aに沿った方向でフランジ16bの両側に位置する空間同士が連通されている。そして、ステータターミナル21cとセンサーターミナル21dとの溶接部分は、第1開口部16i付近に配置されている。また、ブラケット16の本体部16aから半径方向で外側に向けて張り出したセンサーコネクタ22が設けられている。センサーコネクタ22には、図示しない外部電源に接続された電源コードのコネクタが着脱されるように構成されている。そして、各センサーターミナル21dの端部はセンサーコネクタ22に取り付けられている。
【0034】
さらに、外部電源から、センサーターミナル21dおよびステータターミナル21cを介して、レゾルバ21のステータ21aに励磁電圧が印加されると、ステータ21aとロータ21bとの隙間に磁束が発生する。このレゾルバ21は電子制御装置(図示せず)に接続されており、レゾルバ21の検出信号が電子制御装置により処理される。そして、ロータ21bとステータ21aとの間における磁束抵抗(ギャップパーミアンス)の変化に基づいて、電子制御装置がロータ12の回転角度を求めるように構成されている。
【0035】
図1に示すように、モータケース13の内部、具体的には、軸線Aに沿った方向でインシュレータ11bとフランジ16bとの間にバスバーユニット23が設けられている。このバスバーユニット23は、回転軸12aの外周側を囲むように環状に配置されており、インシュレータ11bに取り付けられている。バスバーユニット23は、樹脂モールド体23aにバスバーが埋め込まれて構成されている。バスバーは、ステータ11のコイル11cの相数に対応する数が設けられている。本実施形態においては、U相、V相、W相に対応して3個のバスバーが設けられている。また、1つのバスバー毎にバスバーターミナル23bが接続されており、各バスバーターミナル23bは軸線に沿った方向に延ばされている。バスバーターミナル23bの端部は、大径部19aの外側まで到達している。
【0036】
さらに、図1および図2に示すように、ブラケット16のフランジ16bには、軸線Aに沿った方向に貫通する第2開口部16jが設けられている。各バスバーターミナル23bの端部は第2開口部16jに挿入されており、各バスバーターミナル23bにパワーターミナル24がそれぞれ溶接固定されている。一方、ブラケット16の本体部16aにはパワーターミナル24の中間部位がインサート成形されており、本体部16aの径方向外側にはパワーコネクタ25が本体部16aと一体的に設けられている。パワーコネクタ25に、3個のパワーターミナル24の端部が取り付けられている。パワーコネクタ25には、外部電源に接続された電源コードのコネクタが着脱されるように構成されている。そして、図示しないコントローラの制御信号に基づいて、外部電源からブラシレスモータ10に供給される電力が制御されて、ブラシレスモータ10の停止、回転、回転速度、回転方向等が制御されるように構成されている。
【0037】
一方、樹脂モールド体23aの一部を、軸線Aに沿った方向でステータ21aに向けて延ばした抜け止め23cが設けられている。この抜け止め23cは、レゾルバ21のステータ21aが大径部19aから抜け出す向きで移動することを防止するためのストッパとして機能するものである。抜け止め23cはステータ21aと同じ円周上に、かつ、軸線Aを中心として全周に亘って設けられている。また、モータケース13とブラケッと16とが固定され、かつ、ステータ11がモータケース13に固定され、かつ、レゾルバ21のステータ21aが大径部19aに固定された状態において、抜け止め23cとステータ21aとの間には、軸線Aに沿った方向で所定の隙間が形成されている。つまり、抜け止め23cとステータ21aとは接触していない。
【0038】
さらに、本体部16aにおいて、モータケース13の第2円筒部13bよりも半径方向で外側には取付孔16mが設けられている。取付孔16mは、本体部16aを軸線Aに沿った方向に貫通している。取付孔16mは、軸線Aを中心とする円周方向で異なる位置に複数個設けられており、複数の取付孔16mには円筒形状のカラー26がそれぞれインサート成形や圧入等により固定されている。各カラー26は、ブラケット16を構成する樹脂材料よりも熱伝導率が高い金属材料、例えば、アルミニウム、鉄等により構成されている。一方、ギヤボックス15には雌ねじ27が形成されている。そして、モータケース13のフランジ13eの孔13gに締結部材としてのねじ部材28が挿入されており、そのねじ部材28がカラー26を通して雌ねじ27にねじ込まれて締め付けられることにより、ブラケット16がギヤボックス15に固定され、これにより、ブラシレスモータ10がギヤボックス15に固定されている。ブラケット16がギヤボックス15に固定された状態において、軸線Aに沿った方向におけるカラー26の一端がギヤボックス15に接触し、軸線Aに沿った方向におけるカラー26の他端がモータケース13に接触している。
【0039】
一方、ギヤボックス15には軸線Aを中心とする取付孔15bが設けられている。前記第2インロー部16dは軸線Aを中心とする円筒形状を有しており、第2インロー部16dがギヤボックス15の取付孔15bに挿入された状態で、ブラケット16がギヤボックス15に固定されている。図1および図4のように、第2インロー部16dの先端側には、段差部16nを介して第2インロー部16dより小径とされた先端部16qが形成されている。段差部16nは軸線Aを中心として環状に形成されている。また、第2インロー部16dの開口端には、樹脂材料により一体成形されたキャップ29が取り付けられている。キャップ29は、オイル、ダストなどの異物がブラシレスモータ10の内部に侵入することを防止する機能を有している。
【0040】
キャップ29は、第2インロー部16dの内周に嵌合された円筒部29aと、円筒部29aから半径方向で内側に向けて張り出された環状のフランジ29bとを有している。円筒部29aには円周方向に沿って所定間隔おきに複数の係止爪29dが設けられている。(本実施形態においては、係止爪29dは3箇所設けられている。)各係止爪29dは軸線Aに沿った方向に延ばされており、軸線Aに沿った方向で係止爪29dのフランジ29b側の端部を固定端として、キャップ29の半径方向に各係止爪29dが弾性変形できるように構成されている。
【0041】
一方、図3のように、ブラケット16のフランジ16bには円周方向に沿って所定間隔おきに複数の係止孔16pが係止爪29dに対応して設けられている。そして、係止爪29dが係止孔16pに係合することにより、キャップ29がブラケット16に固定されている。軸線Aに沿った方向において、フランジ29bは小径部19bの外側を取り囲むように配置されている。フランジ29bの内径は大径部19aの外径よりも小さく、かつ、小径部19bの外径よりも大きく設定されている。
【0042】
つまり、フランジ29bの内周端と、円筒部材19の小径部19bとが微小隙間を介して接近した状態にあり、キャップ29をブラケット16に固定すると、第1開口部16iおよび第2開口部16jの両方と、ブラシレスモータ10の外部とをキャップ29により遮断されている。
【0043】
さらに、円筒部29aにおいて第2インロー部16dの先端部16qの外に位置する端部には、径方向外側に向けて、先端部16qの外径よりも大径で、第2インロー部16dの外径と同じくなるよう張り出されたフランジ29cが設けられ、その外縁部には、軸線Aに沿った方向に折返すよう形成された折返し片29eが設けられている。この折返し片29eと第2インロー部16dの段差部16nと先端部16qとで環状の取付溝30が形成されている。取付溝30にはOリング31が取り付けられており、Oリング31がギヤボックス15に接触してシール面を形成している。Oリング31は、ギヤボックス15の外部に存在するダストなどの異物が、ギヤボックス15とブラケット16との隙間を経由して、ギヤボックス15の内部に侵入することを防止するための密封装置である。
【0044】
図5のように、ギヤボックス15の内部には減速機構15cが設けられている。減速機構15cは、相互に噛み合わされたアイドラギヤ15dおよび出力ギヤ15eを有している。アイドラギヤ15dはギヤ12dに噛み合わされている。出力ギヤ15eは出力軸15fと一体回転するように構成されている。出力軸15fにはピニオンギヤ(図示せず)が設けられている。このように構成された減速機構15cにおいて、ギヤ12dのトルクがアイドラギヤ15dを経由して出力ギヤ15eに伝達されたときに、ギヤ12dの回転速度よりも出力ギヤ15eの回転速度の方が低くなるように、変速比が決定されている。上記キャップ29は、異物がブラシレスモータ10の内部に侵入することを防止する機能と、Oリング31を取り付ける取付溝30を形成する機能とを兼備している。
【0045】
ブラシレスモータ10がギヤボックス15に固定された状態において、外部電源の電力が、パワーターミナル24、バスバーターミナル23bを経由してコイル11cに供給されると、ステータコア11aにより回転磁界が形成されてロータ12が回転する。ロータ12のトルクはギヤ12dを経由して減速機構15cに伝達される。また、ロータ12が回転すると、レゾルバ21のステータ21aとロータ21bとの隙間における磁束抵抗が変化し、ロータ12の回転角度が検出される。
【0046】
本実施形態のブラシレスモータ10は、ブラケット16にカラー26が取り付けられており、そのカラー26に挿入したねじ部材28により、ブラシレスモータ10がギヤボックス15に固定されている。また、ブラケット16を構成する樹脂材料よりも、カラー26を構成する金属材料の方が熱伝導率が高い。このため、コイル11cへの通電によりステータ11が発熱すると、その熱はモータケース13およびカラー26を経由してギヤボックス15に伝達される。このように、金属製のカラー26は、モータケース13からギヤボックス15に熱を伝達するための熱伝達経路としての役割をもつ。つまり、ステータ11の熱がブラケット16を経由してレゾルバ21に伝達されることを防止できる。したがって、レゾルバ21の温度上昇が抑制されて、レゾルバ21によるロータ12の角度検出精度のバラツキが相対的に小さくなる。
【0047】
また、軸線Aに沿った方向において、ギヤボックス15とブラケット16との接触面よりもギヤボックス15の内部寄りの位置に、軸受20の一部が配置されている。このため、ロータ12が回転して、ロータ12が半径方向に振動する場合、または、ギヤボックス15側からブラシレスモータ10に振動が伝達されてロータ12が半径方向に振動する場合に、支点となる位置からロータ12の自由端までの長さ、即ちモーメントの腕の長さを、見かけ上で短縮することができる。したがって、ロータ12の振動により生じるモーメントを減らすことができる。その結果、ブラケット16とギヤボックス15との固定部分の強度が低下することを抑制できる。
【0048】
また、図1に示す軸線Aに沿った方向において、ステータ21aの側方に抜け止め23cが位置している。このため、ステータ21aが円筒部材19から抜け出す向きの力が作用しても、ステータ21aが抜け止め23cに接触することで、ステータ21aが円筒部材19から脱落することを防止できる。
【0049】
さらに、本実施形態のブラシレスモータ10は、モータケース13の外側に黒色塗装が施されているため、ステータ11の熱がモータケース13に伝達されたときに、モータケース13の表面から熱を空気中に放熱する放熱性が向上する。
【0050】
さらに、本実施形態のブラシレスモータ10は、軸線Aに沿った方向で、インシュレータ11bおよびコイル11cの端部の配置領域と、軸受14の配置領域とが部分的に重なっている。したがって、軸線Aに沿った方向におけるブラシレスモータ10の全長を相対的に短くすることができ、ブラシレスモータ10のコンパクト化を図ることができる。
【0051】
さらに、本実施形態においては円筒部材19が、レゾルバ21のステータ21aを保持する機能と、軸受20を保持する機能とを兼備している。このため、ブラシレスモータ10の部品点数が増加することを抑制できる。
【0052】
次に、ブラシレスモータ10の部品を製造する工程の一部を説明する。モータケース13は金属材料をプレス加工して成形したものでる。このため、モータケース13の加工工程において、第2円筒部13bとフランジ13eとを連続する屈曲部分に、金属材料の流動によるダレが発生する可能性がある。一方、ブラケット16および円筒部材19およびセンサーターミナル21dおよびパワーターミナル24は、いわゆるインサート成形により一体化されたものである。具体的には、金属材料を加工して円筒部材およびセンサーターミナル21dおよびパワーターミナル24を別個に製造し、金型のキャビティに円筒部材19およびセンサーターミナル21dおよびパワーターミナル24を配置して金型を閉じた後、キャビティ内に樹脂材料を注入して固化させ、ブラケット16に円筒部材19およびセンサーターミナル21dおよびパワーターミナル24を一体化したものである。これにより、円筒部材19の外縁部19cがブラケット16のフランジ16b内に、センサーターミナル21dおよびパワーターミナル24のそれぞれ中間部位がブラケット16の本体部16a内にインサート成形される。また、インサート成形時にブラケット16の第2インロー部16dの外周に段差部16nが形成される。
【0053】
さらに、インサート成形をおこなうため、成形しようとするブラケット16の半径方向及び軸線A方向に分割される金型を用いることができる。本実施形態のブラシレスモータ10においては、Oリング31を取り付ける取付溝30が、フランジ29cの折返し片29dと第2インロー部16dの段差部16nと先端部16qとにより形成されている。つまり、第2インロー部16d側には取付溝を構成する壁の一部しか設けられておらず、軸線Aを含む平面内における第2インロー部16dの外側形状が簡略化されている。このため、上下型のみの金型でもブラケット16を成形することが可能となり、従来のように、ブラケットのインロー部外周を環状に切削加工して取付溝を形成する必要がなく、ブラケット16の加工が容易となる。
【0054】
次に、ブラシレスモータ10の組み立て工程について説明する。まず、図1に示すステータユニット32とモータサブアッセンブリ33とが別個に組み立てられる。ステータユニット32は、モータケース13の内部に、ステータコア11aとインシュレータ11bとコイル11cとバスバーユニット23とを取り付けた中間組立体である。モータサブアッセンブリ33は、一体化されたブラケット16および円筒部材19と、ロータ12とレゾルバ21と軸受20と、Oリング18とを、相互に組み付けた中間組立体である。
【0055】
一方、モータサブアッセンブリ33の組立工程において、円筒部材19の内部にレゾルバ21のステータ21aを取り付けると、図3のように、ブラケット16の第1開口部16i付近において、センサーターミナル21dの端部とステータターミナル21cの端部とが接近した状態となる。そこで、モータサブアッセンブリ33とステータユニット32とを結合する前に、センサーターミナル21dの端部とステータターミナル21cの端部とを溶接して固定する。
【0056】
そして、ステータユニット32とモータサブアッセンブリ33とを相互に組み付ける工程では、ブラケット16の取付溝16gにOリング18を装着し、次いで、第1インロー部16cを第2円筒部13b内に挿入して、ねじ部材17を締め付けて固定する。すると、Oリング18がブラケット16およびモータケース13のフランジ13eにより圧縮されて、Oリング18がブラケット16に2箇所で接触し、モータケース13には1箇所で接触する。つまり、Oリング18は合計3箇所にシール面を形成するため、モータケース13にダレによる形状のバラツキがあっても、組み立て完了後のブラシレスモータ10において、モータケース13とブラケット16との間におけるシール性を確保することができる。
【0057】
次に、ステータユニット32とモータサブアッセンブリ33とを相互に組み付けた後に、パワーターミナル24とバスバーターミナル23bとを溶接する作業を説明する。この時点では、図3のようにブラケット16にキャップ29は取り付けられていない。上記ステータユニット32とモータサブアッセンブリ33とを組み付けると、バスバーターミナル23bが第2開口部16jに挿入された状態となる。その後、第3開口部16kからパワーターミナル24をブラケット16内に挿入する。すると、パワーターミナル24とバスバーターミナル23bとが隣り合った状態となる。
【0058】
そして、図6に示すように、パワーターミナル24の端部とバスバーターミナル23bの端部とを接触させて、固定部品34により把持する(挟む)。固定部品34は純銅により構成されており、2個の把持部34aを有する。2個の把持部34a同士の隙間量は、パワーターミナル24およびバスバーターミナル23bを重ねた厚さ以下に設定されている。このため、2個の把持部34aによりパワーターミナル24およびバスバーターミナル23bを挟むと、2個の把持部34aが広げられる向きに弾性変形し、弾性復元力で両者を強く挟み付けるため、パワーターミナル24とバスバーターミナル23bとが隙間なく密着する。その後、パワーターミナル24およびバスバーターミナル23bを、固定部品34と共に溶接、例えば、ティグ溶接して接合する。このように、パワーターミナル24とバスバーターミナル23bとを固定部品34により確実に接触させた状態で溶接するため、溶接品質が向上する。
【0059】
上記のようにして、パワーターミナル24の端部とバスバーターミナル23bの端部とを溶接固定する工程が終わった後、第2インロー部16dの外周にOリング31を取り付ける。次いで、ブラケット16にキャップ29を近づけて、係止爪29dを係止孔16pに係合させると、キャップ29がブラケット16に固定されて、ブラシレスモータ10の組み立てが完了する。このように、係止爪29dと係止孔16pとによりスナップフィット機構が構成されており、キャップ29をブラケット16に向けて押し付けるという一動作により、キャップ29をブラケット16に固定することができる。
【0060】
また、キャップ29をブラケット16に固定すると、フランジ29bの内周端と、円筒部材19の小径部19bとが微小隙間を介して接近した状態となる。つまり、キャップ29をブラケット16に固定すると、第1開口部16iおよび第2開口部16jの両方と、ブラシレスモータ10の外部とをキャップ29により遮断することができる。したがって、第1開口部16iおよび第2開口部16jを別々に遮断する場合に比べブラシレスモータ10の組み立て工数を低減できる。
【0061】
さらに、組み立てられたブラシレスモータ10とギヤボックス15とを近づけ、第2インロー部16dを取付孔15bに挿入して、ブラケット16の端面16hとギヤボックス15の端面15aとを接触させる。次いで、ねじ部材28をカラー26内に挿入して締め付けると、図1に示すようにブラシレスモータ10がギヤボックス15に固定される。ブラシレスモータ10をギヤボックス15に固定すると、ギヤボックス15の内部と、ブラシレスモータ10の内部とが、キャップ29により遮断された状態となる。したがって、ブラシレスモータ10の内部に雨水や塵埃等の異物が侵入することを防止できる。
【0062】
本実施形態におけるブラシレスモータ10は、図5に示すような車両の制動装置40に用いられている。この制動装置40においては、ブレーキペダル40aに加えられた踏力がマスターシリンダ40bに伝達されるように構成されている。また、マスターシリンダ40bの油圧室40cの油圧を、車輪41のホイールシリンダ41aに伝達する油路42が設けられている。その油路42には、開閉弁43およびモータ式油圧制御装置44が設けられている。開閉弁43は周知のソレノイドバルブなどにより構成されており、通電・非通電を切り替えることにより、油路42に接続されたポートが開閉される。この開閉弁43のポートの開閉を制御する電子制御装置(図示せず)が設けられている。モータ式油圧制御装置44は、金属材料により構成されたシリンダ本体44aと、シリンダ本体44aに形成された油圧室44bと、シリンダ本体44aに移動可能に設けられたピストン44cとを有する。
【0063】
また、モータ式油圧制御装置44は、ピストン44cを所定方向に押圧するバネ44dと、ピストン44cをバネ44dとは逆向きに押圧するプランジャ44eとを有している。さらに、モータ式油圧制御装置44は、出力軸15fの回転運動をプランジャ44eの直線運動に変換するために、周知のボールねじ機構を備えた動力伝達機構44fを有している。
【0064】
上記のように構成された制動装置40において、開閉弁43のポートが開かれると、マスターシリンダ40bの油圧室40c油圧がホイールシリンダ41aに伝達され、マスターシリンダ40bの油圧室40cの油圧に応じた制動力が発生する。一方、開閉弁43のポートが閉じられると、マスターシリンダ40bの油圧室40cの油圧はホイールシリンダ41aに伝達されず、油圧室44bの油圧がホイールシリンダ41aに伝達される。この油圧室44bの油圧は、ブラシレスモータ10のコイル11cへの電力供給を制御することによって調整される。
【0065】
このように、本実施形態のブラシレスモータ10は、車輪41に与える制動力を制御する車両用制動装置のようなアクチュエータとして、高い制御性、つまり、ロータの高い回転角度検出精度の要求される装置に用いることができる。
【0066】
ここで、本実施形態において説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、ステータ11が、本発明のステータに相当し、ロータ12が、本発明のロータに相当し、ギヤボックス15が、本発明の躯体に相当し、ねじ部材28が、本発明の締結部材に相当し、カラー26が、本発明の筒部材に相当する。また、円筒部材19が、本発明の保持部材に相当し、ステータ21aが、本発明の固定側部材に相当し、ロータ21bが、本発明の回転側部材に相当する。また、軸受14が、本発明の第1の軸受に相当し、軸受20が、本発明の第2の軸受に相当する。さらに、バスバーユニット23が、本発明の電力供給部材に相当し、抜け止め23cが、本発明の脱落防止部材に相当し、第2インロー部16dが、本発明の嵌め込み部に相当し、取付孔15bが、本発明の取付孔に相当し、取付溝30が、本発明の取付溝に相当し、Oリング31が、本発明のシール部材に相当する。
【0067】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。本発明のブラシレスモータは、車両のパワーステアリング装置のアクチュエータとして用いることもできる。また、軸線に沿った方向における軸受の配置位置について、取り付け位置を軸線に向けて直角な方向に延長したとき、その延長線上よりも躯体の内部側に軸受の全部を配置することもできる。また、ねじ部材が挿入される筒部材は、断面形状が円形の円筒部材に限らず、断面形状が四角形の角筒部材であってもよい。
【0068】
さらに、本発明の締結部材として前記ねじ部材28に代えて、対象物にスタットボルトを設けることもできる。このスタットボルトを筒部材内に挿入し、そのスタットボルトの雄ねじ部にナットを取り付けて締め付けることにより、ブラケットを躯体に固定できる。
また、ギヤボックス15を設けずに、減速機構15cをシリンダ本体44a内に設け、ブラケット16をシリンダ本体44aの外壁に固定してもよい。このように構成すると、シリンダ本体44aが、本発明の躯体に相当する。さらに、抜け止め23cは、軸線Aを中心とする円周方向で所定間隔おきに設けることもできる。また、ねじ部材28の本数、ねじ部材17は複数であればよく、その本数は任意に決定すればよい。さらに、本発明の操作部材には、足で操作するブレーキペダルの他、手で操作するレバー、ノブ等が含まれる。さらに、本発明の躯体は、組み立てが完了したブラシレスモータが固定されるものであり、本発明の躯体には、前述したギヤボックスの他、機器のハウジング、構造体のフレーム等が含まれる。さらに、本発明の回転部材は、ブラシレスモータのトルクを動力伝達機構に伝達する要素であり、本発明の回転部材には、前述した回転軸の他、各種のギヤ、プーリ、スプロケット、遊星歯車機構のキャリヤ等が含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10 ブラシレスモータ
11,21a ステータ
11a ステータコア
11b インシュレータ
11c コイル
12,21b ロータ
12a 回転軸
12b ロータコア
12c 永久磁石
12d ギヤ
13 モータケース
13a 第1円筒部
13b 第2円筒部
13c 底部
13d テーパ部
13e,16b,29b,29c フランジ
13f 折り返し部
13g,13h 孔
14,20 軸受
15 ギヤボックス
15a,16f,16h 端面
15b,16m 取付孔
15c 減速機構
15d アイドラギヤ
15e 出力ギヤ
15f 出力軸
16 ブラケット
16a 本体部
16c 第1インロー部
16d 第2インロー部
16e,27 雌ねじ
16g,30 取付溝
16i 第1開口部
16j 第2開口部
16k 第3開口部
16n 段差部
16p 係止孔
16q 先端部
17,28 ねじ部材
18,31 Oリング
19 円筒部材
19a 大径部
19b 小径部
19c 外縁部
21 レゾルバ
21c ステータターミナル
21d センサーターミナル
22 センサーコネクタ
23 バスバーユニット
23a 樹脂モールド体
23b バスバーターミナル
24 パワーターミナル
25 パワーコネクタ
26 カラー
29 キャップ
29a 円筒部
29d 係止爪
29e 折返し片
32 ステータユニット
33 モータサブアッセンブリ
34 固定部品
34a 把持部
40 制動装置
40a ブレーキペダル
40b マスターシリンダ
40c 油圧室
41 車輪
41a ホイールシリンダ
42 油路
43 開閉弁
44 モータ式油圧制御装置
44a シリンダ本体
44b 油圧室
44c ピストン
44d バネ
44e プランジャ
44f 動力伝達機構
A 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が供給されるコイルを有するステータと、このステータの内側に配置され、かつ、前記コイルに電力が供給された際に発生する回転磁界により回転するロータと、少なくとも一端が開口し、内部に前記ステータが固定された金属製のモータケースと、このモータケースの開口を覆うブラケットと、前記ロータの回転角度を検出し、かつ、前記ブラケットに保持されたレゾルバとを有するブラシレスモータであって、
前記ブラケットが樹脂材料により構成されており、前記モータケースを前記ブラケットを介して躯体に固定するための締結部材と、前記ブラケットに設けられ、かつ、前記締結部材が挿入される金属製の筒部材とが設けられており、前記モータケースが前記ブラケットを介して前記躯体に固定された状態で、前記筒部材が前記モータケースおよび前記躯体に接触していることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
前記ブラケットには金属製の保持部材が固定されており、前記レゾルバは、前記保持部材に取り付けられた固定側部材と、前記ロータに取り付けられ、かつ、前記固定側部材との間に磁束が形成される回転側部材とを有していることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項3】
請求項2に記載のブラシレスモータにおいて、
前記ブラケットおよび前記保持部材は、金型のキャビティ内に金属製の保持部材をインサートし、かつ、前記キャビティ内に樹脂材料を注入して固化させてブラケットを成形することにより一体化されたものであることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項4】
請求項2に記載のブラシレスモータにおいて、
前記ロータを回転自在に軸支すべく、前記モータケースに設けられた第1の軸受と、前記保持部材に保持された第2の軸受とを有することを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のブラシレスモータにおいて、
前記第1の軸受および前記第2の軸受は、前記ロータの回転中心となる軸線に沿った方向で異なる位置に配置されており、前記軸線に沿った方向で、前記躯体に対する前記ブラケットの取り付け位置よりも前記躯体の内部側に、前記第2の軸受が配置されていることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記ブラシレスモータは、車両用制動装置の駆動源であることを特徴とするブラシレスモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106409(P2013−106409A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247751(P2011−247751)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】