説明

ブロックコポリマー又は櫛型コポリマーで天然の又は合成の粘土をインターカレーションする方法

本発明は、制御された遊離のラジカル重合(CFRP)によって調製される、1種のカチオン性ブロック及び少なくとも1種の非極性ブロックを有するブロックコポリマー又は櫛型コポリマーを用いた、天然の又は合成の粘土をインターカレーションさせる及び/又は剥離させることによりナノ粒子を製造する方法に関する。本発明はまた、本方法により製造されるナノ粒子を含有する改善されたナノコンポジット組成物、並びにこれらナノコンポジット組成物の、たとえば、被覆剤、密閉剤、水漏れ防止剤、添加剤として、及びプラスチック添加剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された遊離ラジカル重合(CFRP)により調製される、カチオン性ブロックを1つ及び非極性ブロックを少なくとも1つ有するブロックコポリマー又は櫛型コポリマーを用いて天然の又は合成の粘土をインターカレーションさせる及び/又は剥離させることによってナノ粒子を製造する方法に関する。本発明はまた、本方法により製造されるナノ粒子を含有する改善されたナノコンポジット組成物、並びにこれらナノコンポジット組成物の、たとえば、被覆剤、密閉剤、水漏れ防止剤、接着剤における及びプラスチック添加剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーの特性を改善する方法の1つは、天然の又は合成の粘土材をポリマーに添加して複合材を形成することによる。しかしながら、ポリマーへの粘土の組み入れは、物性に望ましい改善を提供しない場合があり、特にポリマーの機械的特性及び光学特性に有害な影響を与える可能性がある。
【0003】
従って、少なくとも部分的にインターカレーションされた及び/又は剥離させた層を持つ微細に分散された天然の又は合成の粘土及びそこからのエチレン性不飽和のモノマー及び/又はポリマーの混合物を含有するナノコンポジット組成物が、近年、多くの関心を集めてきた。これらの物質は、たとえば、機械的特性又は光学特性への負の影響を回避することによって分散粘土の所望の効果を合わせ持つ。
【0004】
そのような組成物、それらの製造方法並びにポリマー及び被覆剤におけるそれらの使用は、たとえば、WO02/24759に記載されている。モンモリロナイト粘土、アクリレートモノマー及びたとえば、過硫酸アンモニウムをラジカル開始剤として用いた重合方法が記載されている。この従来の重合方法は、幅広い分子量分布及び高い多分散度指数(PD)を持つポリマーに通じる。
【0005】
もう1つのアプローチは、たとえば、Yang et alのMat. Res. Soc. Symp. Proc. Vol. 703:547-552, 2002, 547〜552頁に記載されている。一方のブロックのモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレートを含有し、たとえば、他方のブロックのモノマーとしてメタクリル酸を含有するジブロック又はトリブロックのコポリマーを調製する。コポリマーのアミノブロックをプロトン化することによって、これらのコポリマーからカチオン性ブロックを得る。次いで、モンモリロナイトをインターカレーションさせるためにプロトン化されたブロックコポリマーを用いる。層間のD間隔は代表的には、1.5〜2nmの間である。ブロックコポリマーの調製がどのように行われるかについて開示されたものはなく、特に、個々のブロック及びブロックコポリマー全体の多分散度指数Mw/Mnは知られていない。
【0006】
本発明は、一般にさらに高いD−間隔を有する、天然の及び合成の粘土の改善されたナノ粒子を提供する。カチオン性ブロック1つ及び少なくとも1つの非極性ブロックを有するブロックコポリマー又は櫛型コポリマーを用い、天然の又は合成の粘土をインターカレーションさせる及び/又は剥離させることによって、ナノ粒子が調製され、その際、コポリマーは、制御された遊離ラジカル重合(CFRP)によって調製される。
【0007】
制御された遊離ラジカル重合自体は既知であり、たとえば、WO96/30421に記載されたような原子移動ラジカル重合(ATRP)を用いて行うことができる。WO96/30421は、ATRP法を用いることによってスチレン又は(メタ)アクリレートのようなエチレン性不飽和モノマーの制御された重合方法又は「リビング」重合方法を開示している。この方法によれば、「リビング」ラジカル重合又は制御されたラジカル重合の場合、たとえば、Cu(I)及びCu(II)のような異なった酸化状態の遷移金属のレドックス系の存在下で・Clのようなラジカル原子を発生する開始剤が採用される。
【0008】
もう1つのさらに好適な重合方法は、米国特許第4,581,429号に開示されている。米国特許第4,581,429号は、定義されたオリゴマー性のホモポリマー並びにブロックコポリマー及びグラフトコポリマーを含むコポリマーを生じるポリマー鎖の制御された又は「リビング」成長による遊離ラジカル重合方法を開示している。部分式R’R”N−O−Xの開始剤の使用が開示されている。重合方法では、遊離のラジカル種、R’R”N−O・及び・Xが生成される。・Xは、たとえば、tert−ブチル又はシアノイソプロピルラジカルのようなエチレン基を含有するモノマー単位を重合可能な遊離のラジカル基である。
【0009】
上記方法の変形は、米国特許第5,322,912号に開示されており、ホモポリマー及びブロックコポリマーの合成のための遊離のラジカル開始剤及び基本構造R’R”N−O・の安定な遊離のラジカル剤を組み合わせた使用が記載されている。
【0010】
3つの方法はすべて、ブロックコポリマーが狭い分子量分布を有するので低い多分散度指数を有するブロックコポリマー又は櫛型コポリマーの調製に有用である。
【0011】
驚くべきことに、CFRPにより得られたブロックコポリマー又は櫛型コポリマーから調製された粘土のナノ粒子は、インターカレーションされるだけでなく、剥離される場合も多く、従って、これらのナノ粒子を含有する分散物は、保存安定性がはるかに良好であることが見い出された。ほとんどの場合、長い保存期間の後でさえ、凝塊や凝集はない。本発明のナノコンポジット組成物が光学的にほとんど透明であるということは、ナノメータ尺度での粘土の微細な分布を示している。
【0012】
本発明の態様の1つは、ブロックポリマー又は櫛型ポリマー、粘土のナノコンポジット分散物を調製する方法であり、該方法は、
交換可能なカチオンを有する天然の又は合成の粘土の水性分散物と、
カチオンが、少なくとも1個の窒素原子をベースとするカチオン性ブロックA及び非イオン性ブロックBを有し、双方のブロックが、1〜3の間の多分散度を有するブロックコポリマー又は、
カチオンが、1個の窒素原子をベースとするカチオン性の主鎖A、それに結合する非イオン性のオリゴマー/ポリマーの鎖Bを有し、カチオン性の主鎖Aが1〜3の間の多分散度を有し、且つ非イオン性の側鎖が1.0〜1.8の多分散度を有する櫛型コポリマーとを混合し、
その際、ブロックコポリマーが、
(a1)第1又は第2の工程における少なくとも1種のモノマーが窒素原子を中心とするカチオン又はカチオンを形成することができる窒素原子を含有するという条件で、
第1の工程において、構造要素:
【化12】


(式中、Xは少なくとも1個の炭素原子を有する基を表し、Xに由来する遊離のラジカルX・が重合を開始できるようにする)を有する少なくとも1種のニトロキシルエーテルの存在下、エチレン性不飽和モノマーを重合させ、
第2の工程において、不安定な結合基:
【化13】


を結合させた得られたマクロマーに、第1の工程とは異なるさらなるエチレン性不飽和のモノマーを加えることによって得られるか;又は
(a2)第1又は第2の工程における少なくとも1種のモノマーが窒素原子を中心とするカチオン又はカチオンを形成することができる窒素原子を含有するという条件で、第1の工程において少なくとも1種の安定な遊離のニトロキシルラジカル:
【化14】


及び遊離のラジカル開始剤の存在下にてエチレン性不飽和のモノマーを重合させ、第2の工程において、不安定な基:
【化15】


を結合した、得られたマクロマーに第1の工程とは異なるさらなるエチレン性不飽和モノマーを加えることによって得られるか;又は
(a3)第1又は第2の工程における少なくとも1種のモノマーが窒素原子を中心とするカチオン又はカチオンを形成することができる窒素原子を含有するという条件で、第1の工程において、式(III):
【化16】


の化合物(式中、pは、ゼロより大きな数を表し、開始剤の部分の数を規定し、qはゼロより大きい数を表し、[In]は、重合を開始することが可能なラジカル転移可能な原子又は基を表し、[Hal]は脱離基を表す)及び触媒有効量の酸化可能な遷移金属錯体触媒の存在下にてエチレン性不飽和モノマーを重合させ、第2の工程において、得られたマクロマーに第1の工程とは異なるさらなるエチレン性不飽和モノマーを加えることによって得られ;
その際、櫛型コポリマーが、
第1の工程において、式(III):
【化17】


の化合物(式中、符号は上記と同義である)及び触媒有効量の酸化可能な遷移金属錯体触媒の存在下にてエチレン性不飽和モノマーを重合させ、ポリマーに結合する基[HAL]をエチレン性不飽和の結合を有する基と交換し、得られたマクロマーに、窒素をベースとするカチオン又はカチオンを形成することができる窒素原子を含有する第2のモノマーとともにラジカル重合を施すことによって得られ;
場合により、窒素をベースとするカチオンを形成し、天然の又は合成の粘土中のカチオンを窒素をベースとするカチオン性ブロックコポリマー又は櫛型コポリマーで交換し、少なくとも部分的に粘土をインターカレーションさせる及び/又は剥離させることを含む。
【0013】
粘土材が合成物であれば、気相法又はゾル−ゲル法、たとえば、Sued ChemieのOptigel(登録商標)によって製造してもよい。
【0014】
天然の粘土鉱物は、代表的には、細かく砕かれた及び板状の性質を有する水和ケイ酸アルミニウムで構成される。代表的な粘土鉱物の結晶構造は、AlO(OH)2八面体の層に接合するSiO4四面体の層の組み合わせで構成される多層構造である。層になった粘土鉱物の画定された層間空間を記載する、いわゆる「ギャラリー(層間)」が形成される。粘土鉱物によって、層間は、水及び/又はたとえば、カリウム、ナトリウム又はカルシウムのカチオンのようなそのほかの構成物を含有してもよい。粘土鉱物は、それらの構成層及びカチオンの組み合わせに基づいて変わる。粘土鉱物のカチオンの同型的置換、たとえば、四面体ネットワークにおけるSi4+イオンの代わりにAl3+又はFe3+の使用、或いは、八面体ネットワークにおけるそのほかのカチオンの代わりにAl3+、Mg2+又はFe2+の使用が行われるのが代表的であり、粘土構造の正味の負の電荷を付与し得る。水分子又はナトリウムカチオン又はカリウムカチオンのような、粘土の層間内での天然の元素は、この正味電荷のために粘土層の表面に引きつけられる。
【0015】
ナノコンポジットは、その構成物の少なくとも1つが、1以上の、たとえば、ナノメータのサイズ範囲での長さ、幅又は厚さのような寸法を有する組成物である。本明細書で用いる通りの、用語、ナノコンポジットは、インターカレーションされた及び少なくとも部分的に剥離させた粘土層がポリマーマトリクスに取り囲まれた物質の状態を示す。
【0016】
本明細書で用いる通りの、用語「インターカレーションされたナノコンポジット」は、粘土層間での規則的なインターカレーションを含有するナノコンポジットについて記載する。
【0017】
本明細書で用いる通りの、用語、「剥離させたナノコンポジット」は、ナノ/ミクロの尺度でコンポジット構造を形成するマトリクス(オリゴマー/ポリマー)において、粘土に結合したポリマー分子を有する、数nmの厚さの粘土層が分散されるナノコンポジットについて記載する。
【0018】
粘土鉱物は、商業的物品であり、たとえば、ドイツのSued-Chemie社又は米国のNanocoreによって供給される。
【0019】
天然の又は合成の粘土は、たとえば、フィロシリケートである。
【0020】
特に、天然の粘土は、スメクタイト、モンモリロナイト、サポナイト、バイデル石、雲母、ソーコナイト、レディカイト、モントロナイト、ヘクトライト、ステベン石、蛭石、カオリナイト、ハロサイト、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される
【0021】
特に好ましいのは、モンモリロナイトである。
【0022】
すでに述べたように、制御された遊離ラジカル重合(CFRP)によってブロックコポリマーが調製されることが不可欠である。本質的に3つの好適な経路がある:
(a1)アルコキシアミン開始剤/調整剤化合物の存在下における重合;
(a2)安定なニトロキシル遊離ラジカル及びラジカル開始剤(遊離ラジカルの供給源)の存在下における重合;及び
(a3)原子移動ラジカル重合(ATRP)の条件下における重合。3つの経路はすべて既知であり、広く記載されている。
【0023】
たとえば、構造要素、
【化18】


は、環状環系の一部であってもよいし、置換されて非環式の構造を形成してもよい。
【0024】
好適なニトロキシルエーテル類及びニトロキシルラジカル類は主として米国特許第4,581,429号又はEP−A−621,878号から知られる。特に有用なのは、WO98/13392、WO99/03894及びWO00/07981に記載された鎖状化合物、WO99/67298及びGB2335190に記載されたピペリジン誘導体、又は、GB2342649及びWO96/24620に記載された複素環式化合物である。さらに好適なニトロキシルエーテル類及びニトロキシルラジカル類はWO02/4805及びWO02/100831に記載されている。
【0025】
構造要素:
【化19】


を有する安定な遊離のラジカルは、たとえば、EP−A−621878に記載されている。
【0026】
【化20】


のような例は、たとえば、WO96/24620に挙げられている。
【0027】
好ましくは、構造要素:
【化21】


は、式(I):
【化22】


の構造要素である(式中、G1、G2、G3、及びG4は独立して、C1〜C6のアルキルであり、或いは、G1とG2、又はG3とG4、又はG1とG2とG3とG4が一緒になってC5〜C12のシクロアルキル基を形成し、G5及びG6は、独立してH、C1〜C18のアルキル、フェニル、ナフチル又は基COOC1〜C18のアルキルである)。
【0028】
特に、式(I)の構造要素が式A、B、又はOのものである
【化23】


(式中、mは1であり;
Rは、水素、1以上の酸素原子が介在しない又は介在するC1〜C18アルキル、シアノエチル、ベンゾイル、グリシジル、2〜18の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸又は7〜15の炭素原子を有する脂環式カルボン酸又は3〜5のの炭素原子を有するα、β−不飽和カルボン酸又は7〜15の炭素原子を有する芳香族カルボン酸の一価のラジカルであり;
pは1であり;
101は、C1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C8アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルであり;
102は、シアノ基、カルボニル基又はカルバミド基による非置換又は置換のC1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C2〜C8アルケニルであり、又はグリシジル、Zが水素、メチル又はフェニルである式−CH2CH(OH)−Z又は式−CO−Z又は−CONH−Zの基であり;
6は水素であり、G5は水素又はC1〜C4アルキルであり;
1とG3がメチルであり、且つG2とG4がエチル若しくはプロピルであり、又はG1とG2がメチルであり、且つG3とG4がエチル若しくはプロピルであり;
Xは、−CH2−フェニル、CH3CH−フェニル、(CH32C−フェニル、(C5〜C6シクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、
【化24】


−CH2CH=CH2、R20が水素又は(C1〜C4)アルキルであるCH3CH−CH=CH2(C1〜C4アルキル)CR20−C(O)−フェニル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C1〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−N−ジ(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH2から成る群から選択される)。
【0029】
上記化合物及びそれらの調製は、GB2335190及びGB2361235に記載されている。
【0030】
工程(a1)のニトロキシルエーテル類の別の好ましい基は、式(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)又は(Ih)のものである:
【化25】


(式中、R201、R202、R203及びR204はそれぞれ独立して、C1〜C18のアルキル、C3〜C18のアルケニル、C3〜C18のアルキニル、OH、ハロゲン又は基−O−C(O)−R205により置換されるC1〜C18のアルキル、C3〜C18のアルケニル、C3〜C18のアルキニル、少なくとも1つのO原子及び/又はNR205基が介在するC2〜C18のアルキル、C3〜C12のシクロアルキル又はC6〜C10のアリールであり、或いは、R201とR202及び/又はR203とR204が結合用炭素原子と一緒になってC3〜C12のシクロアルキルラジカルを形成し;
205、R206及びR207は独立して水素、C1〜C18のアルキル、C6〜C10のアリールであり;
208は、水素、OH、C1〜C18のアルキル、C3〜C18のアルケニル、C3〜C18のアルキニル、1以上のOH、ハロゲン又は基−O−C(O)−R205により置換されるC1〜C18のアルキル、C3〜C18のアルケニル、C3〜C18のアルキニル、少なくとも1つのO原子及び/又はNR205基が介在するC2〜C18のアルキル、C3〜C12のシクロアルキル又はC6〜C10のアリール、C7〜C9のフェニルアルキル、C5〜C10のヘテロアリール、−C(O)−C1〜C18アルキル、−O−C1〜C18アルキル又は−COOC1〜C18アルキルであり;
209、R210、R211及びR212は独立して、水素、フェニル又はC1〜C18アルキルであり;
Xは、−CH2−フェニル、CH3CH−フェニル、(CH32C−フェニル、(C5〜C6シクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、基:
【化26】


−CH2CH=CH2、R20が水素又は(C1〜C4)アルキルであるCH3CH−CH=CH2(C1〜C4アルキル)CR20−C(O)−フェニル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−N−ジ(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH2から成る群から選択される)。
【0031】
さらに好ましくは式(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)及び(Ih)において、R201、R202、R203及びR204の少なくとも2つがエチル、プロピル又はブチルであり、残りがメチルであり;或いは、R201とR202又はR203及とR204が結合用炭素原子と一緒になってC5〜C6のシクロアルキルラジカルを形成し、且つ、残りの置換基の1つがエチル、プロピル又はブチルである。
【0032】
最も好ましくは、XはCH3CH−フェニルである。
【0033】
上記化合物及びそれらの調製は、GB2342649に記載されている。
【0034】
さらに好適な化合物は、式(II)の4−イミノ化合物である:
【化27】


(式中、G11、G12、G13及びG14は独立してC1〜C4のアルキルであり、或いはG11とG12が一緒になって且つG13とG14が一緒になって、又はG11とG12が一緒になって、若しくはG13とG14が一緒になってペンタメチレンになり;
15及びG16はそれぞれ独立してほかの水素又はC1〜C4のアルキルであり;
Xは、上記と同義であり;
kは、1、2、3又は4であり;
Yは、O、NR302であり、又はnが1であり、R301がアルキル又はアリールを表す場合、Yはさらに直接の結合であり;
302は、H、C1〜C18のアルキル、又はフェニルである)。
【0035】
kが1であれば、
301は、H、1以上のOH、C1〜C8のアルコキシ、カルボキシ又はC1〜C8のアルコキシカルボニルで置換されなくても、置換されてもよい、直鎖又は分枝鎖のC1〜C18のアルキル、C3〜C18のアルケニル、又はC3〜C18のアルキニル;
5〜C12のシクロアルキル又はC5〜C12のシクロアルケニル;
1以上のC1〜C8のアルキル、ハロゲン、OH、C1〜C8のアルコキシ、カルボキシ、C1〜C8のアルコキシカルボニルで置換されなくても、置換されてもよいフェニル、C7〜C9のフェニルアルキル又はナフチル;
−C(O)C1〜C36のアルキル又は3〜5の炭素原子を有するα、β−不飽和カルボン酸又は7〜15の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル部分;
+がH+、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンである、−SO3-+、−PO(O-+2、−P(O)(OR22、−SO2−R2、−CO−NH−R2、CONH2、COOR2又はSi(Me)3である。
【0036】
kが2であれば、
301は、1以上のOH、C1〜C8のアルコキシ、カルボキシ若しくはC1〜C8のアルコキシカルボニルで置換されなくても、置換されてもよいC1〜C18のアルキレン、C3〜C18のアルケニレン、若しくはC3〜C18のアルキニレン;
又はキシレンであり;或いは、
301は、2〜36の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸又は8〜14の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸若しくは芳香族ジカルボン酸のビスアシルラジカルである。
【0037】
kが3であれば、
301は、脂肪族、脂環式又は芳香族のトリカルボン酸の三価のラジカルであり;
及び
kが4であれば、
301は、脂肪族、脂環式又は芳香族のテトラカルボン酸の四価のラジカルである。
【0038】
好ましくは、G16は、水素であり、G15は水素又はC1〜C4のアルキル、特にメチルであり、G11とG13がメチルであり、且つG12とG14がエチル又はプロピルであり、或いは、G11とG12がメチルであり、且つ、G13とG14がエチル又はプロピルである。
【0039】
式Vの4−イミノ化合物は、たとえば、ヒドロキシアミンとの縮合反応における相当する4−オキソニトロキシドから開始し、それに続くOH基の反応によって、E.G. Rozantsev, A.V. Chudinov, V.D. Sholle.: Izv Akad. Nauk. SSSR, Ser. Khim. (9), 2114 (1980)に従って調製することができる。該化合物はWO02/100831に記載されている。
【0040】
重合方法が経路(a2)に従って実施される場合、構造要素:
【化28】


は、たとえば、式(I’)の構造要素である:
【化29】


(式中、G1、G2、G3,及びG4は独立して、C1〜C6のアルキルであり、或いは、G1とG2、又はG3とG4、又はG1とG2とG3とG4が一緒になってC5〜C12のシクロアルキル基を形成し、G5及びG6は独立してH、C1〜C18のアルキル、フェニル、ナフチル又は基COOC1〜C18のアルキルである)。
【0041】
好ましいのは、式(I’)の構造要素が式(A’)、(B’)又は(O’)のものである化合物である:
【化30】


(式中、mは1であり;
Rは、水素、1以上の酸素原子が介在しない又は介在するC1〜C18アルキル、シアノエチル、ベンゾイル、グリシジル、2〜18の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸又は7〜15の炭素原子を有する脂環式カルボン酸又は3〜5のの炭素原子を有するα、β−不飽和カルボン酸又は7〜15の炭素原子を有する芳香族カルボン酸の一価のラジカルであり;
pは1であり;
101は、C1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C8アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルであり;
102は、シアノ基、カルボニル基又はカルバミド基による非置換又は置換のC1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C2〜C8アルケニルであり、又はグリシジル、Zが水素、メチル又はフェニルである式−CH2CH(OH)−Z又は−CO−Z又は−CONH−Zの基であり;
6は水素であり、G5は水素又はC1〜C4アルキルであり;
1とG3がメチルであり、且つG2とG4がエチル若しくはプロピルであり、又はG1とG2がメチルであり、且つG3とG4がエチル若しくはプロピルである)。
【0042】
また、好適なのは、構造要素:
【化31】


が、式(II’)のものである化合物である。
【化32】


(式中、G11、G12、G13及びG14は独立してC1〜C4のアルキルであり、或いはG11とG12が一緒になって且つG13とG14が一緒になって、又はG11とG12が一緒になって、若しくはG13とG14が一緒になってペンタメチレンになり;
15及びG16はそれぞれ他と独立して、水素又はC1〜C4のアルキルであり;
kは、1、2、3又は4であり;
Yは、O、NR302であり、或いはnが1であり、R301がアルキル又はアリールを表す場合、Yはさらに直接の結合であり;
302は、H、C1〜C18のアルキル、又はフェニルである)。
【0043】
kが1であれば、
301は、H、1以上のOH、C1〜C8のアルコキシ、カルボキシ又はC1〜C8のアルコキシカルボニルで置換されなくても、置換されてもよい、直鎖又は分枝鎖のC1〜C18のアルキル、C3〜C18のアルケニル、又はC3〜C18のアルキニル;
5〜C12のシクロアルキル又はC5〜C12のシクロアルケニル;
1以上のC1〜C8のアルキル、ハロゲン、OH、C1〜C8のアルコキシ、カルボキシ、C1〜C8のアルコキシカルボニルで置換されなくても、置換されてもよいフェニル、C7〜C9のフェニルアルキル又はナフチル;
−C(O)C1〜C36のアルキル、或いは3〜5の炭素原子を有するα、β−不飽和カルボン酸又は7〜15の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル部分;
+がH+、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンである、−SO3-+、−PO(O-+2、−P(O)(OR22、−SO2−R2、−CO−NH−R2、CONH2、COOR2又はSi(Me)3である。
【0044】
kが2であれば、
301は、1以上のOH、C1〜C8のアルコキシ、カルボキシ若しくはC1〜C8のアルコキシカルボニルで置換されなくても、置換されてもよいC1〜C18のアルキレン、C3〜C18のアルケニレン、若しくはC3〜C18のアルキニレン;
又はキシレンであり;或いは、
301は、2〜36の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸又は8〜14の炭素原子を有する脂環式カルボン酸若しくは芳香族ジカルボン酸のビスアシルラジカルである。
【0045】
kが3であれば、
301は、脂肪族、脂環式又は芳香族のトリカルボン酸の三価のラジカルであり;
及び
kが4であれば、
301は、脂肪族、脂環式又は芳香族のテトラカルボン酸の四価のラジカルである。
【0046】
種々の置換基におけるアルキルラジカルは直鎖でも分枝鎖でもよい。1〜18の炭素原子を含有するアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルである。
【0047】
3〜18の炭素原子を持つアルケニルは、たとえば、プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−2,4−ペンタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソドデセニル、オレイル、n−2−オクタデセニル又はn−4−オクタデセニルのような、直鎖でも分枝鎖のラジカルである。好ましいのは、3〜12、特に好ましいのは3〜6の炭素原子を有するアルケニルである。
【0048】
3〜18を持つアルキニルは、たとえば、プロピニル、基:
【化33】


2−ブチニル、3−ブチニル、n−2−オクチニル、又はn−2−オクタデシニルのような、直鎖又は分枝鎖のラジカルである。好ましいのは3〜12、特に3〜6の炭素原子を持つアルキニルである。
【0049】
ヒドロキシ置換されたアルキルの例は、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル又はヒドロキシヘキシルである。
【0050】
ハロゲン置換されたアルキルの例は、ジクロロプロピル、モノブロモブチル又はトリクロロヘキシルである。
【0051】
少なくとも1つのO原子が介在するC2〜C18のアルキルは、たとえば、−CH2−CH2−O−CH2−CH、−CH−CH2−O−CH3−又は−CH2−CH2−O−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3−である。好ましくは、ポリエチレングリコールに由来する。一般的な記載は、aが1〜6の数であり、bが2〜10の数である、−((CH2a−O)b−H/CH3である。
【0052】
少なくとも1つのNR5基が介在するC2〜C18のアルキルは、一般にa、b及びR5が上記と同義である−((CH2a−NR5b−H/CH3として記載されてもよい。
【0053】
3〜C12のシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル又はトリメチルシクロヘキシルであるのが代表的である。
【0054】
6〜C10のアリールは、たとえば、フェニル又はナフチルであるが、C1〜C4アルキル置換されたフェニル、C1〜C4アルコキシ置換されたフェニル、ヒドロキシ、ハロゲン又はニトロで置換されたフェニルも含まれる。アルキル置換されたフェニルの例は、エチルベンゼン、トルエン、キシレン及びその異性体、メシチレン又はイソプロピルベンゼンである。ハロゲン置換されたフェニルは、たとえば、ジクロロベンゼン又はブロモトルエンである。
【0055】
アルコキシ置換基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシ及びそれらの相当する異性体であるのが代表的である。
【0056】
7〜C9のフェニルアルキルは、ベンジル、フェニルエチル、又はフェニルプロピルである。
【0057】
5〜C10のヘテロアリールは、たとえば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、2,4−ジメチルピロール、1−メチルピロール、チオフェン、フラン、フルフラール、インドール、クマロン、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリジン、α−ピコリン、ピリダジン、ピラジン又はピリミジンである。
【0058】
Rがカルボン酸の一価のラジカルであれば、それは、たとえば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、カプロイル、ステアロイル、ラウロイル、アクリロイル、メタクリロイル、ベンゾイル、シナモイル又はβ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルのラジカルである。
【0059】
1〜C18のアルカノイルは、たとえば、ホルミル、プロピオニル、ブチリル、オクタノイル、ドデカノイルであるが、好ましくはアセチルであり、C3〜C5のアルケノイルは特に、アクリロイルである。
【0060】
一般に、ニトロキシルエーテル(a1)を用いる、又は遊離のラジカル開始剤と共にニトロキシルラジカル(a2)を用いる重合方法が好ましい。特に重合方法(a1)が極めて好適である。
【0061】
特に好適なニトロキシルエーテル類及びニトロキシルラジカル類は下記式のものである。
【化34】

【0062】
成分(a2)の遊離のラジカル開始剤は、好ましくはビスアゾ化合物、過酸化物、過エステル又はヒドロペルオキシドである。
【0063】
具体的な好ましいラジカル供給源は、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、遊離の塩基又はヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、遊離の塩基又はヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}又は2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド;アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルネオデカノエート、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルペルピバレート、t−アミルペルピバレート、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(2−メチルベンゾイル)ペルオキシド、二コハク酸ペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペル2−エチルヘキサノエート、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシド、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルマレイネート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルイソノナオエート、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジベンゾエート、t−ブチルペルアセテート、t−アミルペルベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)プロパン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3−t−ブチルペルオキシ−3−フェニルフタリド、ジ−t−アミルペルオキシド、α、α’−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5−ジメチル−1,2−ジオキソラン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンモノ−α−ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、又はt−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0064】
好適な成分(a3)は、WO96/30421及びWO98/01480に記載されるように、ラジカルに転移可能な原子又は基・Halを有する式(III):
【化35】


の化合物を含有する。好ましいラジカルに転移可能な原子又は基・Halは、開始剤分子からラジカルとして切断される・Cl又は・Brである。
【0065】
好ましくは、[In]は、モノマー又はオリゴマーの重合を開始させることが可能である式(III):
【化36】


の重合開始剤の重合開始剤断片を表し、重合開始剤は、C1〜C8のアルキルハライド、C6〜C15のアラルキルハライド、C2〜C8のα−ハロアルキルエステル、アレーン塩化スルホニル、ハロアルカンニトリル、α−ハロアクリレート及びハロラクトンから成る群から選択され、p及びqは1を表す。
【0066】
式(III)の化合物の存在下での重合方法は、ATRP(原子移動ラジカル重合)として既知であり、WO96/30421は、ATRP法を用いたスチレン又は(メタ)アクリレートのようなエチレン性不飽和モノマーの制御された重合方法又は「リビング」重合方法を開示している。この方法によれば、「リビング」ラジカル重合又は制御されたラジカル重合の場合、たとえば、Cu(I)及びCu(II)のような異なった酸化状態の遷移金属のレドックス系の存在下で・Clのようなラジカル原子を発生する開始剤を採用する。
【0067】
具体的な開始剤は、α,α’−ジクロロ−又はα,α’−ジブロモキシレン、p−トルエンスルホニルクロリド(PTS)、ヘキサキス−(α−クロロ−又はα−ブロモメチル)−ベンゼン、2−クロロ−又は2−ブロモプロピオン酸、2−クロロ−又は2−ブロモイソ酪酸、1−フェネチルクロリド又はブロミド、メチル又はエチル2−クロロ−又は2−ブロモプロピオネート、エチル−2−ブロモ又はエチル−2−クロロイソブチレート、クロロ−又はブロモアセトニトリル、2−クロロ−又は2−ブロモプロピオニトリル、α−ブロモ−ベンズアセトニトリル及びα−ブロモ−γ−ブチロラクトン(=2−ブロモ−ジヒドロ−2(3H)−フラノン)から成る群から選択する。
【0068】
本発明の方法で使用する酸化可能な遷移金属錯体触媒塩における遷移金属は、レドックス系の低酸化状態で酸化可能な錯体イオンとして存在する。そのようなレドックス系の好ましい例は、たとえば、Cu+/Cu2+、Cu0/Cu+、Fe0/Fe2+、Fe2+/Fe3+、Ru2+/Ru3+、Ru3+/Ru4+、Os2+/Os3+、Vnn+/V(n+1)+、Cr2+/Cr3+、Co+/Co2+、Co2+/Co3+、Ni0/Ni+、Ni+/Ni2+、Ni2+/Ni3+、Mn0/Mn2+、Mn2+/Mn3+、Mn3+/Mn4+又はZn+/Zn2+のようなV(B)、VI(B)、VII(B)、VIII、IB及びIIBの族の元素から成る群から選択される。
【0069】
イオン性の電荷は、遷移金属の錯体化学で一般に知られるアニオン配位子、たとえば、水素化物イオン(H-)又は無機酸若しくは有機酸に由来するアニオンにより釣り合いが取られ、その例は、ハロゲン化物、たとえば、F-、Cl-、Br-又はI-、BF4-、PF6-、SbF6-又はAsF6-のフルオロ錯体、酸素酸、アルコレート又はアセチリドのアニオン、或いはシクロペンタジエンのアニオンである。
【0070】
酸素酸のアニオンは、たとえば、スルフェート、ホスフェート、パークロレート、パーブロメート、パーヨーデート、アンチモネート、アルセネート、ニトレート、カーボネートであり、C1〜C8のカルボン酸のアニオン、たとえば、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ベンゾエート、フェニルアセテート、モノ−、ジ−、又はトリクロロ−又はフルオロアセテート、スルホネート、たとえば、メチルスルホネート、エチルスルホネート、プロピルスルホネート、ブチルスルホネート、トリフルオロメチルスルホネート(トリフラート)、非置換の、或いはC1〜C4のアルキル−、C1〜C4のアルコキシ−又はハロ−、特に、フルオロ−、クロロ−若しくはブロモ−置換されたフェニルスルホネート又はベンジルスルホネート、たとえば、トシレート、メシレート、ブロシレート、p−メトキシ又はp−エトキシフェニルスルホネート、ペンタフルオロフェニルスルホネート、又は2,4,6−トリイソプロピルスルホネート、ホスホネート、たとえば、メチルホスホネート、エチルホスホネート、プロピルホスホネート、ブチルホスホネート、フェニルホスホネート、p−メチルフェニルホスホネート、又はベンジルホスホネート、C1〜C8のカルボン酸に由来するカルボキシレート、たとえば、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ベンゾエート、フェニルアセテート、モノ−、ジ−又はトリクロロ−又は−フルオロアセテート、及びまたC1〜C12−アルコラート、たとえば、C1〜C12の直鎖又は分枝鎖のアルコラート、たとえば、メタノラート又はエタノラートである。
アニオンの配位子及び中性の配位子も、錯体カチオンの好ましい配位数まで、特に、4、5又は6までで存在してもよい。追加的な負の電荷は、たとえば、特にNa+、K+、NH4+又は(C1〜C4アルキル)4+のような一価のカチオンによって釣り合いが取られる。
【0071】
好適な中性の配位子は、遷移金属の錯体化学で一般に知られる無機又は有機の中性配位子である。それらは、錯体カチオンの好ましい配位数まで、σ−、π−、μ−、η−型の結合又はそれらの任意の組み合わせを介して金属イオンに配位する。好適な無機配位子は、水(H2O)、アミノ、窒素、一酸化炭素及びニトロシルから成る群から選択される。好適な有機配位子は、ホスフィン、たとえば、(C653P、(i−C373P、(C593P又は(C6113P、ジ−、トリ−、テトラ−及びヒドロキシアミン、たとえば、エチレンジアミン、エチレンジアミノテトラアセテート(EDTA)、N,N−ジメチル−N’,N’−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−エチレンジアミン(MeTREN)、カテコール、N,N’−ジメチル−1,2−ベンゼンジアミン、2−(メチルアミノ)フェノール、3−(メチルアミノ)−2−ブタノール、又はN,N’−ビス(1,1−ジメチルエチル)−1,2−エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチルトリアミン(PMDETA)、C1〜C8のグリコール又はグリセリド、たとえば、エチレン又はプロピレングリコール又はそれらの誘導体、たとえば、ジ−、トリ−又はテトラグリム、及び一座又は二座の複素環e-供与体配位子から成る群から選択される。
【0072】
複素環e-供与体配位子は、たとえば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ビス−ピリジン、ピコリリミン、g−ピラン、g−チオピラン、フェナントロリン、ピリミジン、ビス−ピリミジン、ピラジン、インドール、クマロン、チオナフテン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ビス−チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、キノリン、ビス−キノリン、イソキノリン、ビス−イソキノリン、アクリジン、クロメン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、トリアジン、チアントレン、プリン、ビス−イミダゾール及びビス−オキサゾールから成る群からの非置換又は置換のヘテロアレン類に由来する。
【0073】
酸化可能な遷移金属の錯体触媒は、配位子とは別個の予備反応工程で形成することができ、又は、好ましくは、その遷移金属塩、たとえば、Cu(I)Clからin situで形成され、次いで、錯体触媒に存在する配位子に相当する化合物を添加することにより、たとえば、エチレンジアミン、EDTA、Me6TREN又はPMDETAを加えることによって錯体化合物に変換する。
【0074】
好ましいのは、工程(a3)において、遷移金属の錯体塩における酸化可能な遷移金属が、レドックス系の一層低い酸化状態で遷移金属イオンとして存在する組成物である。
【0075】
さらに好ましいのは、遷移金属錯体イオンが、Cu(I)Cu(II)系におけるCu(I)錯体イオンである組成物である。
【0076】
櫛型コポリマーを調製する場合、工程a3)を実施する。ATRP法による櫛型コポリマーの調製は、たとえば、WO01/51534に記載されている。
【0077】
転移基−Y、たとえば、ハロゲンの重合性連鎖停止基−Xによる除去は、重合物を溶媒に溶解し、たとえば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)又は類似の塩基のような非求核塩基の存在下で、高温にて−Xに相当するモノマー化合物を加えるような方法で実施するのが有利である。従来のエステル化反応である反応は、たとえば、室温〜100℃の温度範囲内で通常のエステル化反応の条件下で行う。
【0078】
好ましくは、工程(a1)のニトロキシルエーテル又は工程(a2)のニトロキシルラジカルは、モノマー又はモノマー混合物を基準にして、0.001〜20モル%、さらに好ましくは0.002〜10モル%、最も好ましくは0.005〜5モル%の量で存在する。
【0079】
好ましくは、遊離のラジカル開始剤が、モノマー又はモノマー混合物を基準にして、0.001〜20モル%の量で存在する。
【0080】
遊離のラジカル開始剤対安定な遊離のニトロキシルラジカルのモル比は、好ましくは20:1〜1:2、さらに好ましくは10:1〜1:2である。
【0081】
ニトロキシルエーテルのO−X結合の切断は、超音波処理、化学作用を持つ光の照射又は加熱によって達成してもよい。
【0082】
O−X結合の切断は、好ましくは加熱によって達成され、50〜180℃の間、さらに好ましくは90〜150℃の間の温度で行う。
【0083】
式(III):
【化37】


の開始剤及び酸化可能な遷移金属は、たとえば、モノマーに対して、1:10〜1:100の量で存在する。酸化可能な遷移金属の総量対式(III)の開始剤は、たとえば、0.05:1〜2:1、特に0.2:1〜0.5:1である。
【0084】
重合反応は、好ましくは大気圧下で実施する。
【0085】
ブロックコポリマー又は櫛型コポリマーでは、非イオン性ポリマーブロックBは、制御された重合又はリビング重合の方法に好適なエチレン性不飽和モノマーの非イオン性の反復単位で構成される。これらモノマーは、少なくとも1つの基>C=C<の存在を特徴とする。代表的なモノマーは、スチレン類、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C1〜C24アルキルエステル類、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリール−C1〜C4アルキルエステル類、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリールオキシ−C1〜C4アルキルエステル類、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ヒドロキシ−C2〜C6アルキルエステル類、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ポリヒドロキシC3〜C6アルキルエステル類、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)シリルオキシC2〜C4アルキルエステル類、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)3シリル−C1〜C4アルキルエステル類;アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ヘテロサイクリル−C2〜C4アルキルエステル類;ポリC2〜C4アルキレン−グリコールエステル基を有し、該エステル基がC1〜C24のアルコキシ基で置換されてもよいアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸エステル類、アクリル酸及びメタクリル酸アミド類、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)1〜2アミド、アクリロニトリル、マレイン酸又はフマル酸のエステル類、マレインイミド及びN置換のマレインイミドから成る群から選択する。
【0086】
本発明の好ましい実施形態では、非イオン性のポリマーブロックBは、スチレン類、アクリル酸及びメタクリル酸−C1〜C24アルキルエステル類、アクリル酸及びメタクリル酸−ヒドロキシ−C2〜C6アルキルエステル類、アクリル酸及びメタクリル酸−ジヒドロキシ−C3〜C4アルキルエステル類、及びポリC2〜C4アルキレン−グリコールエステル基を有し、該エステル基がC1〜C24のアルコキシ基で置換されてもよいアクリル酸及びメタクリル酸エステル類から成る群から選択するエチレン性不飽和モノマーの反復単位から本質的に構成される。
【0087】
好適なスチレン類は、ヒドロキシ、C1〜C4のアルコキシ、たとえば、メトキシ又はエトキシ、ハロゲン、たとえばクロロ、及びC1〜C4のアルキル、たとえばメチル又はメチルから成る群から選択する1〜3の追加の置換基によってフェニル基にて置換されてもよい。
好適なアクリル酸又はメタクリル酸−C1〜C24アルキルエステル類は、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシル、イソボルニル、イソデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル又はn−オクタデシルによりエステル化されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルである。
代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリール−C1〜C4アルキルエステル類は、ベンジル、2−フェニルエチル、1−若しくは2−ナフチルメチル又は2−(1−若しくは2−ナフチル)−エチルによりエステル化されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルである。フェニル基又はナフチル基は、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、たとえば、メトキシ又はエトキシ、ハロゲン、たとえばクロロ、及びC1〜C4のアルキル、たとえばメチル又はメチルから成る群から選択する1〜3の追加の置換基によってさらに置換されてもよい。
【0088】
代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリールオキシ−C1〜C4アルキルエステルは、フェノキシエチル又はベンジルオキシエチルによりエステル化されたアクリル酸又はメタクリル酸エステルである。
代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ヒドロキシ−C2〜C4アルキルエステルは、アクリル酸−又はメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル(HEA、HEMA)又はアクリル酸又はメタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルエステル(HPA、HPMA)である。
代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ポリヒドロキシ−C〜Cアルキルエステルは、エチレングリコール又はグリセロールによりエステル化されたアクリル酸又はメタクリル酸である。
代表的なアクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−シリルオキシ−C2〜C4アルキルエステルは、アクリル酸−又はメタクリル酸−2−トリメチルシリルオキシエチルエステル(TMS−HEA、TMS−HEMA)である。
代表的なアクリル酸−又はC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)3シリル−C2〜C4アルキルエステルは、アクリル酸−又はメタクリル酸−2−トリメチルシリルエチルエステル或いはアクリル酸−又はメタクリル酸−3−トリメチルシリル−n−プロピルエステルである。
ポリC2〜C4アルキレングリコールエステル基を有し、該エステル基がC1〜C24アルコキシ基で置換されてもよい代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸エステルは、以下の式で示す:
【化38】


(式中、nは1〜100の数を表し、
1及びR2は、互いに独立して水素又はメチルを表し、
3は、C1〜C24アルキル、たとえば、メチル、エチル、n−又はイソプロピル、n−、イソ−又はtert−ブチル、n−又はネオペンチル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシルを表し、或いは、アリールC1〜C24アルキル、たとえば、ベンジル又はフェニル−n−ノニル、並びにC1〜C24アルキルアリール又はC1〜C24アルキルアリールC1〜C24アルキルを表す)。
代表的なアクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ヘテロサイクリル−C2〜C4アルキルエステルは、アクリル酸−又はメタクリル酸−2−(N−モルフォリニル、2−ピリジル、1−イミダゾリル、2−オキソ−1−ピロリジニル、4−メチルピペリジン−1−イル又は2−オキソイミダゾリジン−1−イル)−エチルエステルである。
ポリC2〜C4アルキレングリコールエステル基を有し、該エステル基がC1〜C24アルコキシ基で置換されてもよい代表的なC1〜C4アルキルアクリル酸エステルは、エトキシ化度が上記式の指数で表して、代表的に、5〜30の範囲であるエトキシル化デカノール、エトキシル化ラウリルアルコール又はエトキシル化ステアリルアルコールのアクリル酸−又はメタクリル酸エステルである。
代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)1〜2アミドは、アクリル酸−又はメタクリル酸N−メチル、N,N−ジメチル、N−エチル又はN,N−ジエチルアミドである。
【0089】
マレイン酸又はフマル酸の代表的なエステルは、C1〜C24アルキルエステル、たとえば、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシル、イソボルニル、イソデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル又はn−オクタデシルエステル、C6〜C11アリール、たとえば、フェニル又はナフチルエステル、或いはC6〜C11アリールC1〜C4アルキルエステル、たとえば、ベンジル又は2−フェネチルエステルである。フェニル基又はナフチル基は、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、たとえば、メトキシ又はエトキシ、ハロゲン、たとえばクロロ、及びC1〜C4のアルキル、たとえばメチル又はメチルから成る群から選択する1〜3の追加の置換基によってさらに置換されてもよい。
代表的なN−置換されたマレインイミドは、N−C1〜C4アルキル、たとえば、N−メチル、N−エチル又はN−アリール、たとえば、N−フェニルで置換されたマレインイミドである。
【0090】
櫛型コポリマー又はブロックコポリマーでは、ポリマーブロックAは、カチオン基で置換されたエチレン性不飽和モノマーの反復単位をさらに含有する。好適なカチオン性ポリマーブロックAは、アミノ置換されたスチレン、(C1〜C4アルキル)1〜2アミノ置換されたスチレン、N−モノ(C1〜C4アルキル)1〜2アミノC2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−(C1〜C4アルキル)1〜2アミノC2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、又はC1〜C4アルキル置換されたビニルピリジン、ビニルイミダゾール及びC1〜C4アルキル置換されたビニルイミダゾール及び式CH2=C(−R1)−C(=O)−R2 (V)
(式中、R1は、水素又はC1〜C4アルキルを表し;
2は、アミノ−C2〜C18アルコキシ、C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルコキシ、ジ−C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルコキシ、及びC1〜C4アルキル(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アミノ−C2〜C18アルコキシから成る群から選択するアミノ置換されたC2〜C18アルコキシを表す)から成る群から選択するアミノモノマーの四級化によって形成される塩のカチオン部分により表されるエチレン性不飽和モノマーの反復単位によって本質的に構成される。
【0091】
本発明の特に好ましい実施形態では、カチオン基で置換されたエチレン性不飽和モノマーの反復単位は、式(V)(式中、R1は、水素又はメチルを表し、
2は、アミノ−C2〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C4アルコキシ、ジ−C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルコキシ、及びC1〜C4アルキル(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アミノ−C2〜C4アルコキシから成る群から選択するアミノ置換されたC2〜C18アルコキシを表す)の化合物から形成される塩のカチオン部分によって表される。
【0092】
代わりの実施形態では、エチレン性不飽和モノマーの反復単位は、アミノ置換されたスチレン、(C1〜C4アルキル)1〜2アミノ置換されたスチレン、N−モノ(C1〜C4アルキル)1〜2アミノC2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−(C1〜C4アルキル)1〜2アミノ−C2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、又はC1〜C4アルキル置換されたビニルピリジン、ビニルイミダゾール及びC1〜C4アルキル置換されたビニルイミダゾールから成る群から選択するアミノモノマーの四級化によって形成される酸付加塩又は塩である。
【0093】
代表的なスチレンは、フェニル基にて1又は2のアミノ基或いは1又は2の(C1〜C4アルキル)1〜2アミノ基で置換され、特に4位にて1つのアミノ基で置換される。追加の置換基は、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、たとえば、メトキシ又はエトキシ、ハロゲン、たとえば、クロロ、或いはC1〜C4アルキル、たとえば、メチル又はエチルから成る群から選択する。
代表的なN−モノ(C1〜C4アルキル)1〜2アミノC2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−(C1〜C4アルキル)1〜2アミノC2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミドは、2−N−tert−ブチルアミノ−又は2−N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、或いは2−N−tert−ブチルアミノ−又は2−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドである。本発明の別の好ましい実施形態では、ポリマーブロックA及びBの1つに存在するイオン性の基で置換されたエチレン性不飽和モノマーの反復単位は、アミノ置換されたスチレン、(C1〜C4アルキル)1〜2アミノ置換されたスチレン、及びN,N−ジ−(C1〜C4アルキル)2アミノ−C2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミドから成る群から選択するアミノモノマーの四級化によって形成される酸付加塩又は塩である。
【0094】
たとえば、式(V)による塩のカチオン部分は、式(C)のエステル基によって表される:
【化39】


(式中、R、R及びRの1つは、2−ヒドロキシエチルを表し、そのほかは水素、メチル又はエチルを表す;或いはR、R及びRは、互いに独立して水素、又はC1〜C4アルキル、アリールC1〜C4アルキル及び(C1〜C4アルキル)1〜3アリールから成る群から選択する置換基を表す)。
【0095】
本発明の特に好ましい実施形態では、イオン性の基で置換されたエチレン性不飽和モノマーの反復単位は、4−アミノスチレン、4−ジメチルアミノスチレン、及び2−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、2−ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)、2−t−ブチルアミノエチルアクリレート(t−BAEA)、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート(t−BAEMA)及び3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドから成る群から選択するアミノアルキル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン又は1−ビニルイミダゾールの四級化によって形成される酸付加塩又は塩のカチオン部分により表される。
【0096】
たとえば、非イオン性のブロックBの反復単位の数は4〜1000である。
【0097】
たとえば、カチオン性ブロックAの反復単位の数は1〜100である。
【0098】
本発明の特定の実施形態では、非イオン性のブロックBは、ブチルアクリレート(BA)で構成され、イオン性のブロックAは、2−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)又は2−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)で構成される。最大限の剥離を得るために、ブロック全体の長さは、たとえば、30単位を超える。しかしながら、さらに短い長さが十分な挿入及び剥離を提供し得る場合もいくつかある。
【0099】
代表的なブロックポリマーは、たとえば、ポリ(BA)16−ブロック(DMAEA)4,5又はポリ(BA)68−ブロック−(DMAEA)19である。
【0100】
塩形成成分、遊離のアミノ基、又は1級、2級若しくは3級のアミノ基に存在する対イオンは、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、鉱物酸又は錯体酸のアニオンであってもよい。鉱物酸のアニオンの例は、F-、Cl-、Br-又はI-である。錯体酸のアニオンの例は、ClO4-、SbF6-又はPtF6-である。
【0101】
本発明の特定の実施形態では、塩形成成分の対イオンは、モノ−、ビ−又はトリ環状の基で置換されたモノ−、ビ−又はトリ環状の基のアルキルハライドで置換されたモノ−、ビ−又はトリ環状のスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸及び脂肪族のスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、及びモノ−、ビ−又はトリ環状のスルホン酸のC1〜C4アルキルエステルから成る群から選択する。
【0102】
スルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸に存在するモノ−、ビ−又はトリ環状の基又は脂肪族スルホン酸、カルボン酸若しくはホスホン酸及びアルキルハライドのモノ−、ビ−又はトリ環状の置換基は、飽和又は不飽和のモノ−、ビ−又はトリ脂環式、ヘテロモノ脂環式、又はヘテロビ脂環式、カルボモノ環状又はカルボビ環状芳香族、部分飽和のカルボビ環状芳香族、ヘテロモノ環状又はヘテロビ環状芳香族及び部分飽和のヘテロビ環状芳香族の基から成る群から選択する。
【0103】
モノ−、ビ−又はトリ環状のスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸から成る群から選択する代表的な塩形成成分、或いはモノ環状基、ビ環状基又はトリ環状基で置換される脂肪族のスルホン酸、カルボン酸、又はホスホン酸から成る群から選択する代表的な塩形成成分は、以下に挙げるリストによって例示する。
【0104】
置換されたモノ−、ビ−又はトリ環状のスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸の好ましい基は、一般式で表される:
【化40】


(式中、Xは、カルボキシ、スルホ又はP(=O)(OH)を表し、
1、R2又はR3は互いに独立して、水素、又は、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、オキソ、チオ、−NO、カルボキシ、カルバモイル、スルホ、スルファモイル、アンモニオ、アミジノ、シアノ、ホルミルアミノ、ホルムアミド、及びハロゲンから成る群から選択する官能基又は誘導体化された官能基から成る群から選択する置換基を表し;或いは、
1、R2又はR3は互いに独立して、飽和又は不飽和の脂肪族、脂環式又はヘテロ脂環式の基、カルボ環状又はヘテロ環状アリール基、縮合カルボ環状、ヘテロ環状又はカルボ環状−ヘテロ環状の基を表し、これらは更にこれらの基の1つと組み合わせてもよく、又は上述の官能基又は誘導体化された官能基の1つでさらに置換されてもよい。
置換基には、−O−、−S−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−N(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4アルキル)−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、−S(=O)2−O−、−O−S(=O)−、−O−S(=O)−、−S(=O)−N(C1〜C4アルキル)−、−S(=O)2−N(C1〜C4アルキル)−、−(C1〜C4アルキル)N−S(=O)−、−(C1〜C4アルキル)N−S(=O)−、−P(=O)−、−P(=O)−O−、−O−P(=O)−及び−O−P(=O)−O−から成る群から選択する1以上の二価の基がさらに介在してもよい。
【0105】
1及びR2の基からの2つの置換基は、また、二価の架橋型C2〜C6アルキレン−、C4〜C8アルキルジリデン−又はC4〜C8アルケニルジリデンの基を表してもよく、これらの基に上述の環状基又はビ環状基の内の1つと接続する。
【0106】
以下に挙げる構造式により、モノ−又はビ−環状スルホン酸から成る群から選択する、特定の塩形成性成分を例示する。
【表1】

【0107】
さらに、以下に挙げる構造式により、モノ−又はビ−環状スルホン酸から成る群から選択する、特定の塩形成性成分を例示する。
【表2】

【0108】
以下に挙げる構造式により、モノ−又はビ−環状カルボン酸から成る群から選択する特定の塩形成性成分を例示する。
【表3】





【0109】
さらに、以下に挙げる構造式により、モノ−又はビ−環状カルボン酸及びホスホン酸から成る群から選択する、特定の塩形成性成分を例示する。
【表4】

【0110】
粘土の重量を基にして、1〜1000重量%、好ましくは20〜400重量%、さらに好ましくは50〜400重量%の量でブロックコポリマー又は櫛型コポリマーを、天然の又は合成の粘土に加えるのが代表的である。
【0111】
好ましくは、ブロックA及びBの多分散度は1〜2の間である。
【0112】
特に、ブロックコポリマーA−Bの多分散度は1〜2の間である。
【0113】
本発明のさらなる態様は、上記した通りの方法により入手可能なブロックコポリマー又は櫛型コポリマー、粘土ナノコンポジット分散物である。
【0114】
インターカレーションされた粘土は、たとえば、粉末として単離することができる。たとえば、相当する水性分散物を遠心分離することにより、単離方法を実施してもよい。別の可能性は、水及び溶媒を完全に蒸発させ、固形残留物を好適な有機溶媒によるソックスレー抽出にかけて、過剰のポリマーを除くことである。好適な有機溶媒は、たとえば、エステル類、エーテル類又は芳香族溶媒である。精製した固形物を容易に水に再分散させて、粘土ナノコンポジット分散物を生じることができる。
【0115】
ナノコンポジット分散物はたとえば、被覆剤、密閉剤、水漏れ防止剤、接着剤において有用であり、かつ、最終製品の物性を改質するプラスチック添加剤として有用である。
【0116】
本ナノコンポジット分散物の添加によって、被覆剤又はポリマー薄膜の引っかき抵抗性又は水蒸気透過性が有利な影響を受けるのが代表的である。
【0117】
同一の、又はさらに良好な効果を達成するのに従来の添加剤に比べて、たとえば、被覆剤にかなり少ない量を添加しなければならないのはナノコンポジット分散物では代表的である。被覆剤の透明性でさえ保持される場合が多い。
【0118】
上記した通りの制御された遊離のラジカル重合によって、ブロックコポリマー及び櫛型コポリマーが得られる、1つのアンモニウムカチオン性ブロックA及び少なくとも1つの中性ブロックBを有するブロックコポリマー、又はアンモニウムイオンを含有するカチオン性主鎖A及びそれに結合する中性のオリゴマー/ポリマー鎖Bを有する櫛型コポリマーの、天然の又は合成の粘土のナノコンポジット分散物を調製するための使用。
【0119】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【実施例】
【0120】
実施例1
ATRPにより、n−ブチルアクリレートとジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)のブロックコポリマーを合成した。
【化41】


n=7.7、m=2.0;GPC:Mn=1710、Mw=2050、PDI=1.20;N含量1.62重量%(元素分析)
【0121】
(A)末端Br基を有する第1のブロック、ポリ−n−ブチルアクリレートの調製
機械式攪拌機を備えた4500mLの丸底フラスコに、n−ブチルアクリレート(BASF、技術等級)1282g(10.0モル)、アセトン(Fluka purum)1282g、CuBr28.45g(0.2モル)及びCuBr22.23g(0.01モル)を加える。攪拌し、空気を抜き、窒素で3回すすぐことによってフラスコから空気を除く。PMDETA(N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチルトリアミン:Fluka purum)34.7g(0.2モル)を注射器によりゴム密封材を通して加え、攪拌することにより混合物をホモジネートする。注射器によりメチル−2−ブロモ−プロピオネート(MBP=開始剤)167g(1モル)を加えた後、油浴中で60℃まで加熱し、発熱性重合反応を開始させ、T=60〜65℃に氷で冷却して制御した。混合物を7.5時間重合させる。CDCl3中の1H−NMR分析により転化率(77%)を求める(75分後、98%)。室温に冷却した後、中性の酸化アンモニウム(クロマトグラフィ用ALOX、メルク)300gを加える。混合物を1時間攪拌し、ろ過し、80℃にて回転エバポレータで乾燥し、さらに真空ポンプで乾燥した後、ポリマー(やや黄色、透明な液体)が得られる。
収量:1192g(98%)、元素分析
【表5】

【0122】
(B)n−ブチルアセテートと2−ジメチルアミノエチルアクリレートのブロックコポリマーの調製
機械式攪拌機を備えた750mLの丸底フラスコに、ポリ−n−ブチルアセテート(Br0.18モル、実施例1A)200g及びCuBr(Fluka purum)5.16g(0.036モル)を加える。攪拌し、空気を抜き、窒素で3回すすぐことによってフラスコから空気を除く。混合物を攪拌し、2−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA、BASF、技術等級)を注射器によりゴム密封材を通して加える。空気を抜き、窒素で3回すすぐことによってフラスコから再び空気を除く。PMDETA(Fluka purum)6.24g(0.036モル)を注射器で加え、攪拌することにより混合物を均質にさせる。油浴中で90℃まで加熱した後、やや発熱性の重合反応を開始させ、混合物を30分間重合させる。CDCl3中の1H−NMR分析により求める通りに、DMAEAの転化率は定量的である。室温に冷却した後、酢酸エチル250mL及び中性の酸化アルミニウム(クロマトグラフィ用ALOX)110gを加え、混合物を1.5時間攪拌する。ろ過し、真空ポンプにより80℃にて回転エバポレータで乾燥した後、ポリマーが得られる。収量:155.5g(62%)
元素分析
【表6】

【0123】
(C)p−トルエンスルホン酸によるブロックコポリマーのプロトン化
機械的に攪拌しながら、500mLの丸底フラスコで、コポリマー145gを1−メトキシ−2−プロパノール(Dowanol PM)60.8gに溶解し、熱いDowanol PM200gに溶解したp−トルエンスルホン酸一水和物(Fluka purum)31.9gの溶液を室温にて1時間の間よく攪拌しながら、ゆっくり加える。カチオン性ブロックコポリマーの40%の固形分を持つ透明なやや黄色の溶液が得られる。
【0124】
(D)(C)で記載したカチオン性ブロックコポリマー、ポリ(BA−b−DMAEA)によるシリケートシート(ドイツ、Sued Chemie製Nanofil EXM 588、モンモリロナイト型のシリケートシート)のインターカレーション
機械的に攪拌しながら、100mLの丸底フラスコに、カチオン性ブロックコポリマー(A)9.15gを含有する上記溶液22.9gを入れ、Dowanol PM30g及び水5gを加える。この混合物にNanofil EXM 588(ドイツ、Sued Chemie製)3.49gを分散させ、60℃にて24時間ホモジネートさせ、攪拌する。次いで、それを2000rpm(約850gに相当する)で1時間遠心し(IEC Centra GP8遠心機)、上澄みを捨て、底の固形残留物をEtOHで洗浄し、再び2000rpmで1時間遠心する。再び上澄みを捨て、水/EtOH1/1(容積)混合物によって手順をもう一度繰り返す。50℃にて真空中(0.1ミリバール)で24時間、固形物を乾燥させる。収量:4.0g。
【0125】
分析
TGA:熱量重量分析(TGA)により吸収された有機材(カチオン性ブロックコポリマー)の量を求める:加熱速度:室温から600℃に10℃/分。観測された減量30%は、70重量%の固形分に相当する。
【0126】
GPC:ポリマー鎖がシリケートシートに堅く結合し、GPCカラムを通過しないので、試料の直接測定は不可能である。従って、この固形の試料を0.2MのLiBrのTHF溶液15mL中で65℃にて17時間還流させ、ポリマーをシリケートシートから劈開する。ろ過した後、THF中でのGPCによりモル質量(Mn)及びPDIを求める。(PS標準に対して):Mn=1450、Mw=2050及びPDI=1.42は、インターカレーションに使用したブロックコポリマーのデータによく対応する。
【0127】
粉末X線:生成物を粉末X線(λ=1.54オングストローム)にもかけ、1.96nmの層間距離を得る。天然のシリケートシート(d=1.24nm)に比べて0.72nmの層間距離の増加が観測され、インターカレーションされたカチオン性ブロックコポリマーのサイズにほぼ相当する。元のシート距離での反射は完全に消滅した。
【0128】
(E)(A)及び(B)で記載した通りに合成し、(C)で記載した通りにプロトン化した68BAと19DMAEMAの単位によるカチオン性ブロックコポリマー、ポリ(BA68−b−DMAEMA19)による人工のシリケートシート、Optigel SH(ドイツ、Sued Chemie製)のインターカレーション
機械的に攪拌しながら、2.5Lの丸底フラスコに、Dowanol PM(Fluka puriss p.a.)中のカチオン性ブロックコポリマー、ポリ(BA68−b−DMAERMA19)の30重量%溶液770.3g、(C)で記載した通りのp−トルエンスルホン酸で中和した50%のDMAEMA単位を入れる。Dowanol PM、1.4と水140mLを加える。この混合物にOptigel SH(ドイツ、Sued Chemie製)120gを分散させ、60℃にて24時間ホモジネートさせ、攪拌する。回転エバポレーターで溶媒を蒸発させ、固形残留物を1Lのソックスレー抽出器にて、最初の12時間は2Lの酢酸エチルで、次いで4時間2Lのエタノールで、最後に14時間2Lのエタノール/水1:1混合物で抽出する。灰色の固形物をEtOHに分散させ、ろ過し、55℃にて真空中(0.1ミリバール)で24時間乾燥させる。収量:白色の粉末255.5gが得られた。
【0129】
分析
TGA:前のように、吸着された有機材(カチオン性ブロックコポリマー)の量を測定し、54重量%(=46重量%固形分)を得る。
GPC:(前のように試料を調製して)Mn=10000、Mw=14300、PDI=1.43
粉末X線:層間距離d>3nmの完全な剥離。
【0130】
実施例2
(A)実施例1と同様に、n−ブチルアクリレートとジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)のさらに長いブロックコポリマーを合成する。
【化42】


分析:n=27.6;m=8.7;Mn=6270;Mw=7710;PDI=1.23
【0131】
p−トルエンスルホン酸一水和物、Dowanol PMで100%のアミノ基を中和して、カチオン性ブロックコポリマーの30.5重量%の固形分を持つ透明のやや黄色の溶液になる。
【0132】
(B)(A)で記載したように調製したさらに長いカチオン性ブロックコポリマー、ポリ(BA−b−DMAEA)によるシリケートシートのインターカレーション
機械的に攪拌しながら、1000mLの丸底フラスコに、カチオン性ブロックコポリマーA)91.5gを含有する上記溶液を300g入れ、Dowanol PMを250g及び水を50g加える。この混合物にNanofil EXM 588(ドイツ、Sued Chemie製)34.9gを高速Ultraturaxミキサーにより分散させ、60℃にて24時間ホモジネートさせ、攪拌する。次いで、それを1時間遠心し(2000rpm)、上澄みを捨て、底の固形残留物を酢酸エチル300mLに分散させ、再び2000rpmにて1時間遠心する。再び上澄みを捨てた後、Ultraturaxにより固形物を300mLのEtOHに再び分散させ、1時間遠心する。灰色の固形物を水/EtOH4/1(容積)混合物に再分散させ、ろ過する。固形物を40℃で真空(0.1ミリバール)中で24時間乾燥させる。収量:26.3g
【0133】
分析
TGA:観測された減損46%は、54重量%の固形分に相当する。
GPC:THF中LiBrとの65℃での還流後(シリケートシートからポリマーを劈開列する)Mn=3700;Mw=7240;PDI=1.82。
粉末X線:2Θ=3°より上での反射なし、層間距離>3nmに相当する:完全な剥離。
【0134】
実施例3
(A)既知の手順に従って、先ず、ポリ(n−ブチルアクリレート)マクロモノマー(ATRPにより合成)とジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)の櫛型コポリマーを合成する。
【化43】

【0135】
(メタクリレート官能基を有する)ポリ(n−ブチルアクリレート)マクロモノマーの合成
Cu(I)Br7.46g(0.052モル)を2.5Lの反応容器(空気を抜き、N2で5回すすぐ)に加え、続いてn−ブチルアクリレート1000g(7.80モル)及びアセトン350mLを加える。機械的に攪拌することにより反応混合物をホモジネートさせる。注射器によりPMDETA9.0g(0.052モル)を加え、緑色の溶液を得る。開始剤としてのメチル−2−ブロモプロピオネート43.43g(0.26モル)を加えた後、混合物を60℃に加熱する。高度に発熱する反応は、約60℃に温度を維持するのに氷で冷却することを必要とする:転化率:74%(1H−NMR分析)。反応混合物を室温まで冷却し、回転エバポレータで溶媒を蒸発させる。酢酸エチル300mLで残留物を希釈した後、2x150gのSiO2を加える。混合物をろ過し、以下のようにマクロモノマーに直接転化させる:
メタクリル酸26.86g(0.31モル、1.2当量)及びDBU47.51g(0.31モル、1.2当量)を反応混合物に加え、次いで室温にて15時間攪拌する。ろ過した後、200gのSiO2を加える。反応混合物を30分間攪拌し、再びろ過する。回転エバポレータで溶媒を蒸発させ、高度な真空(p<0.1ミリバール)中で100℃にてマクロモノマーを乾燥させる。収量:やや黄色の透明な粘性のある液体803.3g(97.5%)。分析データ:
【表7】

【0136】
このマクロモノマーとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEA)とのラジカル共重合
上記マクロモノマー300g(0.081モル、78重量%)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)84.6g(0.54モル、22重量%)、1−メトキシ−2−プロパノール640mL及びAIBN(モノマーに対して2重量%)7.7gを1.5Lの反応器(空気を抜き、N2で3回すすぐ)に導入する。均質な混合物を60℃(発熱反応)にて24時間重合させる。櫛型コポリマーを含有する混合物を直接顔料分散剤としての試験に使用する。乾燥試料の分析データ:
【表8】

【0137】
実施例1及び2に記載したように(100%のアミノ基を四級化する)p−トルエンスルホン酸一水和物によりDowanol PM中で62重量%のn−BAと38重量%のDMAEMA単位(1H−NMRによる)を含有するこの櫛型コポリマーを中和する。カチオン性櫛型コポリマーの29.8重量%の固形分を持つ、透明なやや黄色の溶液が得られる。
【0138】
(B)(A)で記載したカチオン性櫛型コポリマーによるシリケートシートのインターカレーション
機械的に攪拌しながら、2Lの丸底フラスコに、カチオン性櫛型コポリマーA)150gを含有する上記溶液を513.7g入れ、Dowanol PMを500g及び水を100g加える。この混合物にNanofil EXM 588(ドイツ、Sued Chemie製)60.3gを高速Ultraturaxミキサーにより分散させ、60℃にて24時間ホモジネートさせ、攪拌する。次いで、それを1時間遠心し(2000rpm)、上澄みを捨て、底の固形残留物を酢酸エチル600mLに分散させ、再び2000rpmにて1時間遠心する。再び上澄みを捨てた後、Ultraturaxにより固形物を600mLのEtOHに再び分散させ、1時間遠心する。灰色の固形物を水600mLに再分散させ、ろ過し、EtOHで洗浄し、再びろ過する。固形物を50℃で真空(0.1ミリバール)中で24時間乾燥させる。収量:50.5g
【0139】
分析
TGA:観測された減損:54%は、46重量%の固形分に相当する。
GPC:THF/水中LiBrとの65℃で17時間還流した後;Mn=32800;Mw=61600;PDI=1.87。
粉末X線:2Θ=3°より上での反射なし、層間距離>3nmに相当する:完全な剥離
【0140】
実施例4
(A)実施例3(A)で記載したのと同じポリ(n−ブチルアクリレート)マクロモノマー(ATRPにより合成)とジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)との櫛型コポリマーを用いるが、p−トルエンスルホン酸一水和物によりDowanol PM中で50%のアミノ基を中和する。カチオン性櫛型コポリマーの30.0重量%の固形分を持つ、透明なやや黄色の溶液が得られる。
【0141】
(B)カチオン性櫛型コポリマーによるシリケートシートのインターカレーション
機械的に攪拌しながら、1Lの丸底フラスコに、カチオン性櫛型コポリマー64.05gを含有する上記溶液を213.5g入れ、Dowanol PMを175g及び水を35g加える。この混合物にNanofil EXM 588(ドイツ、Sued Chemie製)24.4gを高速Ultraturaxミキサーにより分散させ、60℃にて24時間ホモジネートさせ、攪拌する。次いで、それを1時間遠心し(2000rpm)、上澄みを捨て、底の固形残留物を酢酸エチルに分散させ、再び2000rpmにて1時間遠心する。再び上澄みを捨てた後、Ultraturaxにより固形物をEtOHに再分散させ、再び1時間遠心する。灰色の固形物を水に再分散させ、ろ過し、EtOHで洗浄し、再びろ過する。固形物を50℃で真空(0.1ミリバール)中24時間乾燥させる。収量:27.5g。
【0142】
分析
TGA:観測された減損:49%は、51重量%の固形分に相当する。
GPC:実施例3と同様に、Mn=27100;Mw=45000;PDI=1.67。
粉末X線:2Θ=3°より上での反射なし、層間距離>3nmに相当する:完全な剥離
【0143】
(C)カチオン性櫛型コポリマーによる別のシリケートシート(Harshaw Filtrol Grade 13)のインターカレーション
機械的に攪拌しながら、2.5Lの丸底フラスコに、カチオン性櫛型コポリマー137.3gを含有するA)に従う溶液492gを入れ、Dowanol PMを1.44L及び水を144mL加える。この混合物にHarshaw Filtrol Grade 13(ドイツ、ニーンブルグ、Engelhard Process Chemical社製)120gを高速Ultraturaxミキサーにより分散させ、60℃にて24時間ホモジネートさせ、攪拌する。回転エバポレーターで溶媒を蒸発させ、固形残留物を1Lのソックスレー抽出器にて、最初の12時間は2Lの酢酸エチルで、次いで12時間2Lのエタノールで、最後に12時間2Lのエタノール/水1:1混合物で抽出する。灰色の固形物をEtOHに再分散させ、ろ過し、55℃で真空(0.1ミリバール)中で24時間乾燥させる。収量:148.5g。
【0144】
分析
TGA:観測された減損:39重量%は、61重量%の固形分に相当する。
粉末X線:2Θ=3°より上での反射なし、層間距離>3nmに相当する:完全な剥離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックポリマー又は櫛型ポリマー、粘土のナノコンポジット分散物を調製する方法であって、
交換可能なカチオンを有する天然の又は合成の粘土の水性分散物と、
カチオンが、少なくとも1個の窒素原子をベースとするカチオン性ブロックA及び非イオン性ブロックBを有し、双方のブロックが、1〜3の間の多分散度を有するブロックコポリマー又は、
カチオンが、1個の窒素原子をベースとするカチオン性の主鎖A、それに結合する非イオン性のオリゴマー/ポリマー鎖Bを有し、カチオン性の主鎖Aが1〜3の間の多分散度を有し、且つ非イオン性の側鎖が1.0〜1.8の多分散度を有する櫛型コポリマーとを混合し、
その際、ブロックコポリマーが、
(a1)第1又は第2の工程における少なくとも1種のモノマーが窒素原子を中心とするカチオン又はカチオンを形成することができる窒素原子を含有するという条件で、
第1の工程において、構造要素:
【化1】


(式中、Xは少なくとも1個の炭素原子を有する基を表し、Xに由来する遊離のラジカルX・が重合を開始できるようにする)を有する少なくとも1種のニトロキシルエーテルの存在下、エチレン性不飽和モノマーを重合させ、
第2の工程において、不安定な結合基:
【化2】


を結合させ得られたマクロマーに、第1の工程とは異なるさらなるエチレン性不飽和モノマーを加えることによって得られるか;又は
(a2)第1又は第2の工程における少なくとも1種のモノマーが窒素原子を中心とするカチオン又はカチオンを形成することができる窒素原子を含有するという条件で、第1の工程において少なくとも1種の安定な遊離のニトロキシルラジカル:
【化3】


及び遊離のラジカル開始剤の存在下にてエチレン性不飽和モノマーを重合させ、第2の工程において、不安定な結合基:
【化4】


を結合した、得られたマクロマーに第1の工程とは異なるさらなるエチレン性不飽和モノマーを加えることによって得られるか;又は
(a3)第1又は第2の工程における少なくとも1種のモノマーが窒素原子を中心とするカチオン又はカチオンを形成することができる窒素原子を含有するという条件で、第1の工程において、式(III):
【化5】


の化合物(式中、pは、ゼロより大きな数を表し、開始剤の部分の数を規定し、qはゼロより大きい数を表し、[In]は、重合を開始することが可能なラジカル転移可能な原子又は基を表し、[Hal]は脱離基を表す)及び触媒有効量の酸化可能な遷移金属錯体触媒の存在下にてエチレン性不飽和モノマーを重合させ;第2の工程において、得られたマクロマーに第1の工程とは異なるさらなるエチレン性不飽和モノマーを加えることによって得られ;
その際、櫛型コポリマーが、
第1の工程において、式(III):
【化6】


の化合物(式中、符号は上記と同義である)及び触媒有効量の酸化可能な遷移金属錯体触媒の存在下にてエチレン性不飽和モノマーを重合させ、ポリマーに結合する基[HAL]をエチレン性不飽和の結合を有する基と交換し、得られたマクロマーに、窒素をベースとするカチオン又はカチオンを形成することができる窒素原子を含有する第2のモノマーとともにラジカル重合を施すことによって得られ;
場合により、窒素をベースとするカチオンを形成し、天然の又は合成の粘土中のカチオンを窒素をベースとするカチオン性ブロックコポリマー又は櫛型コポリマーで交換し、少なくとも部分的に粘土をインターカレーションさせる及び/又は剥離させることを含む方法。
【請求項2】
天然の又は合成の粘土がフィロシリケートである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
天然の又は合成の粘土が、スメクタイト、モンモリロナイト、サポナイト、バイデル石、雲母、ソーコナイト、レディカイト、モントロナイト、ヘクトライト、ステベン石、蛭石、カオリナイト、ハロサイト、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
構造要素:
【化7】


が、式(I)の構造要素:
【化8】


(式中、G1、G2、G3,及びG4は独立して、C1〜C6のアルキルであり、或いは、G1とG2、又はG3とG4、又はG1とG2とG3とG4が一緒になってC5〜C12のシクロアルキル基を形成し、G5及びG6は独立してH、C1〜C18のアルキル、フェニル、ナフチル又は基COOC1〜C18のアルキルである)である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
構造要素:
【化9】


が、式(I)の構造要素:
【化10】


(式中、G1、G2、G3,及びG4は独立して、C1〜C6のアルキルであり、或いは、G1とG2、又はG3とG4、又はG1とG2とG3とG4が一緒になってC5〜C12のシクロアルキル基を形成し、G5及びG6は独立してH、C1〜C18のアルキル、フェニル、ナフチル又は基COOC1〜C18のアルキルである)である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(a3)において、[In]が、モノマー又はオリゴマーの重合を開始することが可能である式(III)の重合開始剤の重合開始剤断片を表し、重合開始剤が、C1〜C8のアルキルハライド、C6〜C15のアラルキルハライド、C2〜C8のハロアルキルエステル類、アレーン塩化スルホニル、ハロアルカンニトリル類、α−ハロアクリレート類及びハロアクトン類から成る群から選択され、p及びqが1を表す請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(a3)において、遷移金属錯体塩における酸化可能な遷移金属が、レドックス系の低酸化状態での遷移金属錯体イオンとして存在する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
非イオン性ポリマーブロックBが、スチレン類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C1〜C24アルキルエステル類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリールC1〜C4アルキルエステル類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリールオキシC1〜C4アルキルエステル類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ヒドロキシ−C2〜C6アルキルエステル類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ポリヒドロキシC3〜C6アルキルエステル類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)3シリルオキシ−C2〜C4アルキルエステル類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)3シリル−C1〜C4アルキルエステル類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−ヘテロシクリル−C2〜C4アルキルエステル類;ポリC2〜C4アルキレン−グリコールエステル基を有し、該エステル基がC1〜C24のアルコキシ基で置換されてもよいアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸エステル類、アクリル酸−及びメタクリル酸アミド類、アクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)1〜2アミド、アクリロニトリル、マレイン酸又はフマル酸のエステル類、マレインイミド及びN置換のマレインイミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和モノマーの反復単位から本質的に構成される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
非イオン性ポリマーブロックBが、スチレン類、アクリル酸−及びメタクリル酸−C1〜C24アルキルエステル類、アクリル酸−及びメタクリル酸−ヒドロキシ−C2〜C6アルキルエステル類、アクリル酸−及びメタクリル酸−ジヒドロキシ−C〜Cアルキルエステル類、及びポリC2〜C4アルキレン−グリコールエステル基を有し、該エステル基がC1〜C24のアルコキシ基で置換されてもよいアクリル酸及びメタクリル酸エステル類から成る群から選択されるエチレン性不飽和モノマーの反復単位から本質的に構成される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
カチオン性ポリマーブロックAが、アミノ置換されたスチレン、(C1〜C4アルキル)1〜2アミノ置換されたスチレン、N−モノ−(C1〜C4アルキル)1〜2アミノ−C2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−(C1〜C4アルキル)1〜2アミノ−C2〜C4アルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン又はC1〜C4アルキル置換されたビニルピリジン、ビニルイミダゾール及びC1〜C4アルキル置換されたビニルイミダゾール、及び式CH2=C(−R1)−C(=O)−R2 (V)
(式中、R1は、水素又はC1〜C4アルキルを表し;R2は、アミノ−C2〜C18アルコキシ、C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルコキシ、ジ−C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルコキシ及びC1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アミノ−C2〜C18アルコキシから成る群から選択されるアミノ置換されたC2〜C18アルコキシを表す)の化合物から成る群から選択されるアミノモノマーの四級化によって形成される塩のカチオン性部分によって表されるエチレン性不飽和モノマーの反復単位によって本質的に構成される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
1が水素又はメチルを表し、R2が、アミノ−C2〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C4アルコキシ、ジ−C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルコキシ及びC1〜C4アルキル(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アミノ−C2〜C4アルコキシから成る群から選択されるアミノ置換されたC2〜C18アルコキシを表す請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(V)の化合物から形成される塩のカチオン性部分が、式C:
【化11】


(式中、R、R及びRの1つが2−ヒドロキシエチルを表し、その他のものが水素、メチル又はエチルを表し、或いはR、R及びRは互いに独立して、水素又はC1〜C4アルキル、アリール−C1〜C4アルキル及び(C1〜C4アルキル)1〜3アリールから成る群から選択される置換基を表す)のエステル基によって表される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
カチオン性ポリマーブロックAが、4−アミノスチレン;4−ジメチルアミノスチレン;2−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、2−ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)、2−t−ブチルアミノエチルアクリレート(t−BAEA)、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート(t−BAEMA)及び3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドから成る群から選択されるアミノアルキル(メタ)アクリレート;4−ビニルピリジン;2−ビニルピリジン又は1−ビニルイミダゾールの四級化により形成される酸付加塩又は塩のカチオン性部分により表されるエチレン性不飽和モノマーの反復単位によって本質的に構成される請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ブロックコポリマー又は櫛型コポリマーを粘土の重量を基にして1〜1000重量%の量で天然の又は合成の粘土に加える請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ブロックA及びBの多分散度が1〜2の間である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ブロックコポリマーA−Bの多分散度が1〜2の間である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
非イオン性ブロックBの反復単位の数が4〜1000である請求項1に記載の方法。
【請求項18】
カチオン性ブロックAの反復単位の数が1〜100である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法により入手可能であるブロックコポリマー又は櫛型コポリマー、粘土のナノコンポジット分散物。
【請求項20】
1つのアンモニウムカチオン性ブロックA及び少なくとも1つの中性ブロックBを有するブロックコポリマー、又はアンモニウムイオン含有カチオン性主鎖A及び中性のオリゴマー/ポリマー鎖Bを結合させた櫛型ポリマーであって、ブロックコポリマー及び櫛型コポリマーが請求項1に記載の制御された遊離ラジカル重合によって得られるものの、天然の又は合成の粘土のナノコンポジット分散物を調製するための使用。

【公表番号】特表2006−521439(P2006−521439A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505427(P2006−505427)
【出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050184
【国際公開番号】WO2004/078839
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】