説明

ブロワーパイプ

【課題】動力送風機の使用状態に応じて、横長扁平形状の吹出口を常に作業面に平行となるように、接続角度を調整可能なブロワーパイプを提供することを課題とする。
【解決手段】作業環境に応じて、縦持ちの状態及び横に倒した横持ちの状態での使用を可能とした動力送風機Aに用いられるブロワーパイプ41であって、上流側端部に結合手段としての嵌合部42を備えると共に、下流側端部に横長扁平形状の扁平面52を有する吹出口51を備え、嵌合部42は、長手方向に形成された第1溝と、第1溝から周方向へ連続して形成された第2溝とが形成された係止溝43からなり、送風機本体10または中間パイプ31に形成された係止突起33が係止溝43に嵌合することで接続固定されるように構成されており、第2溝には、係止突起33が係止される固定部が複数形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴出される高速の空気流を利用して、落ち葉や塵埃の清掃作業等を行うブロワー等の動力送風機に取り付けられ、動力送風機から噴出される高速の空気流を所望の位置へ吐出するためのブロワーパイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動力送風機から噴出される高速の空気流を所望の位置へ吐出するためのブロワーパイプとしては、特許文献1に示されたブロワーパイプがある。このブロワーパイプは、中空状に形成され、その上流側端部は動力送風機や動力送風機に取り付けられた中空パイプに接続固定するための嵌合部を備え、下流側端部は作業面に平行な横長の扁平形状に形成された吹出口を備えている。嵌合部は、上流側端部に形成された略L字型形状の溝が外方に突出して形成され、この溝に動力送風機または中空パイプに形成された係止突起を嵌合させることで、ブロワーパイプが容易に接続される。しかもブロワーパイプは、下流側端部の吹出口が横長扁平形状であることから、落ち葉や塵埃等の対象物に対して高速の空気流を的確に吐出させることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−163765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年では、特許文献1に記載されているように、上部に主取手を、下部に補助取手をそれぞれ設けることで、通常の縦持ちの状態での使用だけでなく、作業環境に応じて横に倒した横持ちの状態での使用が可能とした動力送風機が登場している。そして、従来のブロワーパイプでは、使用状態に応じてブロワーパイプの接続角度を変更することができないため、この種の動力送風機に用いようとすると、横長扁平形状の吹出口が常に作業面に平行とならず、高速の空気流を誤った範囲に吐出したり、一部の対象物にしか吐出できず、動力送風機の持ち方や作業者自身の体勢を変えなければならないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記した従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、動力送風機の使用状態に応じて、横長扁平形状の吹出口を常に作業面に平行となるように、接続角度を調整可能なブロワーパイプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、作業環境に応じて、縦持ちの状態及び横に倒した横持ちの状態での使用を可能とした動力送風機に用いられるブロワーパイプであって、上流側端部に入口側の結合手段としての嵌合部を備えると共に、下流側端部に横長扁平形状の扁平面を有する吹出口を備え、嵌合部は、上流側端部から長手方向に形成された第1溝と、第1溝から周方向へ連続して形成された第2溝とが形成された係止溝からなり、送風機本体または送風機本体に取り付けられる中間パイプに形成された係止突起が、係止溝に嵌合することで接続固定されるように構成されており、第2溝には、係止突起が係止される固定部が複数形成されていることを特徴としている。
【0007】
この発明によれば、送風機本体または中間パイプに形成された係止突起が嵌合する係止溝には、周方向に形成された第2溝が形成されており、この第2溝には、係止突起が係止される固定部が複数形成されている。すなわち、動力送風機または中間パイプに対するブロワーパイプの接続角度を決定する固定部が、周方向に複数形成されているため、動力送風機または中間パイプに対して、ブロワーパイプの接続角度を容易に変更することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、作業環境に応じて、縦持ちの状態及び横に倒した横持ちの状態での使用が可能とした動力送風機に用いられるブロワーパイプであって、上流側端部に入口側の結合手段としての嵌合部を備えると共に、下流側端部に横長扁平形状の扁平面を有する吹出口を備え、嵌合部は、上流側端部から長手方向に形成された第3溝と、第3溝から周方向へ連続して形成された第4溝とが形成された係止溝からなり、送風機本体または送風機本体に取り付けられる中間パイプに形成された係止突起が、係止溝に嵌合することで接続固定されるように構成されており、係止溝は、周方向に所定間隔をおいて複数配置され、各係止溝の第4溝には、係止突起が係止される固定部がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、送風機本体または中間パイプに形成された係止突起が嵌合する係止溝が、周方向に所定間隔をおいて複数配置されており、各係止溝には、係止突起が係止される固定部が複数形成されている。すなわち、動力送風機または中間パイプに対するブロワーパイプの接続角度を決定する固定部が、周方向に複数形成されているため、動力送風機または中間パイプに対して、ブロワーパイプの接続角度を容易に変更することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、固定部には、係止溝の幅よりも狭い幅となるように窪んだ凹部が形成されていることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、係止溝の幅よりも狭い幅となるように窪んだ凹部によって、動力送風機または中間パイプに形成された係止突起を、固定部に確実に保持することができ、ブロワーパイプを安定した接続状態に保つことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、固定部には、係止突起の係止状態を確認するための確認孔が設けられていることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、固定部には、係止突起の係止状態を確認するための確認孔が設けられているため、ブロワーパイプが確実に接続されているかを容易に確認することができ、接続不良を防止して、ブロワーパイプの脱落や、動力送風機の使用時におけるブロワーパイプの不用意な回転を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のブロワーパイプによれば、送風機本体または中間パイプに対するブロワーパイプの接続角度を決定する固定部が、周方向に複数形成されており、動力送風機または中間パイプに対して、ブロワーパイプの接続角度を容易に変更することができるため、動力送風機の使用状態に応じてブロワーパイプの接続角度を変更することができる。これにより、横長扁平形状の扁平面を有する吹出口を、常に作業面に対して平行にすることができるため、作業者は体勢を変えることなく、高速の空気流を所望する範囲へ確実に吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0016】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の動力送風機を示した図で、縦持ちの状態の側面図である。図2は、第1実施形態の送風機本体を示した斜視図である。図3は、第1実施形態の排出パイプ部を示した分解斜視図である。図4は、第1実施形態のブロワーパイプを示した斜視図である。図5は、第1実施形態の動力送風機を示した図で、横持ちの状態の側面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のブロワーパイプ41が取り付けられる動力送風機Aは、高速の空気流を生起する送風機本体10と、この送風機本体10で生起された空気流を外部へ吐出するための排出パイプ部30とから構成されている。
【0018】
送風機本体10は、カバー11と、カバー11の内部に収納された送風ファン18と、送風ファン18を駆動回転させるための原動機19とを備えている。
【0019】
カバー11は、縦方向に二分割された第1カバー体12、第2カバー体13(図2参照)から構成され、各カバー体12,13の間に送風ファン18が収容されると共に、第1カバー体12には原動機19が取り付けられている。
送風ファン18は、カバー11に収容されると共に、その軸心が原動機19によって駆動回転されるように連動連結されている。
原動機19は、原動機19を始動するためのノブ20と、原動機19に供給する燃料を貯留するタンク21と、タンク21の給油口22に設けられた蓋体23とを備えた汎用のエンジンである。
なお、各カバー体12,13の上部には第1把持部16が設けられ、第1カバー体12の側面には、第2把持部17が第1把持部16と90度の角度をなすように設けられており、使用者の作業環境や作業姿勢に応じて、第1把持部16を片手で保持して動力送風機Aを縦持ちの状態(図1の状態)、または、第1把持部16及び第2把持部17を両手で保持して動力送風機Aを横持ちの状態(図5の状態)で使用可能となっている。
【0020】
また、図2に示すように、各カバー体12,13は、互いに接合することで送風ファン18により生起された空気流を噴出するための噴出口14が形成されている。
この噴出口14の近傍には、円柱状の係止突起15が外方に突出して形成されており、この係止突起15を介して噴出口14に後述する排出パイプ部30(図1参照)が取り付けられている。
【0021】
排出パイプ部30は、図1に示すように、送風機本体10で生起された高速の空気流を外部へ吐出するものであり、送風機本体10の噴出口14に取り付けられた中間パイプ31と、この中間パイプ31に対して接続角度を変更可能なブロワーパイプ41とからなり、中間パイプ31とブロワーパイプ41は、互いに組付け・分離可能に構成されている。
【0022】
中間パイプ31は、図3に示すように、筒状の中空形状で、上流側端部に送風機本体10(図1参照)と接続固定するための結合手段として従来公知の接続部32を備え、下流側端部の近傍には送風機本体10の噴出口14の近傍に形成された係止突起15と同様な形状の係止突起33が外方に突出して形成されている。
接続部32は、外方へ突出するように形成された溝部であり、上流側端部から長手方向に形成され、その下流側で周方向へ連続して形成されることにより略L字型となっている。この接続部32に送風機本体10の噴出口14の近傍に形成された係止突起15(図2参照)を嵌合させることにより、送風機本体10の噴出口14に中間パイプ31が接続されている。
【0023】
ブロワーパイプ41は、図4に示すように、上流側端部に中間パイプ31と接続固定するための結合手段としての嵌合部42を備え、下流側端部に吹出口51を備えている。
吹出口51は、横長扁平形状の扁平面52を備え、ブロワーパイプ41の長手方向の中間付近から下流側先端にかけて順次扁平となるように形成されており、このような横長扁平形状の吹出口51を、地上面等の作業面に対して平行にした状態で、吹出口51から空気流を吐出させることにより、作業者は落ち葉や塵埃等の対象物に対して高速の空気流を的確に吐出することができる。
【0024】
上流側端部に形成された嵌合部42は、その周面の対向する位置に設けられた2つの係止溝43,43から構成されている。
係止溝43は、外方へ突出するように形成された略L字型形状の溝部であり、上流側端部から長手方向に形成された第1溝44と、この第1溝44から周方向に連続して形成された第2溝45とが形成され、中間パイプ31の係止突起33(図2参照)がスライド自在に嵌合されるように構成されている。
【0025】
第2溝45の周方向の中間部には、その幅が狭くなるように両側が窪んだ3つの凹部46a,46b,46cが形成され、この凹部46a,46b,46cによって2つの小空間47a,47bが形成されている。
小空間47a,47bは、中間パイプ31の係止突起33(図2参照)が確実に係止固定される第1固定部48及び第2固定部49であり、第1固定部48と第2固定部49とは、周方向に90度の位置関係となるように形成され、何れかの固定部48,49に係止突起33が係止されることにより、ブロワーパイプ41の接続角度、すなわち、吹出口51の向きが決定される。
【0026】
また、各固定部48,49には、係止突起33の係止状態を確認可能な確認孔50a,50bが貫通して形成されている。
【0027】
次に、第1実施形態における送風機本体10と排出パイプ部30の取付手順について説明する。
まず、図1に示すように、作業者が第1把持部16を片手で保持して、動力送風機Aを通常時の縦持ちの状態で使用する場合における送風機本体10と排出パイプ部30の取付手順について説明する。
【0028】
予め、図2に示す送風機本体10の係止突起15と、図3に示す中間パイプ31の接続部32とを嵌合させることにより、送風機本体10の噴出口14に中間パイプ31を接続する。
【0029】
そして、図3に示す中間パイプ31の係止突起33と、ブロワーパイプ41の略L字型の係止溝43とをスライド嵌合させることにより、ブロワーパイプ41を中間パイプ31に接続する。
【0030】
具体的には、図3に示す中間パイプ31の係止突起33を、図4に示すブロワーパイプ41の係止溝43における第1溝44から挿入して長手方向に押し込むことにより、第2溝45までスライドさせる。この状態で、ブロワーパイプ41に対して外力を加えて周方向に回転させると、係止突起33は第2溝45を周方向にスライドする。このとき、係止突起33は、第2溝45に形成された凹部46aに当接するが、ブロワーパイプ41に対して強い外力を加えて回転させると、係止突起33は凹部46aを乗り越えて第1固定部48内に到達し、この第1固定部48の両側に形成された凹部46a,46bによって係止固定される。これにより、ブロワーパイプ41は中間パイプ31に対して安定した状態で保持されるが、その吹出口51はその扁平面52が作業面に対して垂直方向を向いた状態となっている。
【0031】
さらに、ブロワーパイプ41に対して強い外力を加えて回転させると、係止突起33は凹部46bを乗り越えて第2溝45をスライドした後、凹部46cを乗り越えて第2固定部49内に到達し、第2固定部49の一方に形成された凹部46cによって係止固定される。これにより、図1に示すように、ブロワーパイプ41は中間パイプ31に対して安定した状態で保持され、その吹出口51はその扁平面52が作業面に対して平行方向を向いた状態となる。
【0032】
なお、作業者は、第2固定部49(図4参照)に形成された確認孔50bを目視することにより、係止突起33と第2固定部49の係止状態、すなわち、ブロワーパイプ41が中間パイプ31に対して確実に係止固定されていることを確認することができる。
【0033】
続いて、図5に示すように、作業環境に応じて、作業者が第1把持部16及び第2把持部17を両手で保持して、動力送風機Aを横持ちの状態で使用する場合における送風機本体10と排出パイプ部30の取付手順について説明する。
【0034】
前記した縦持ち状態の場合と同様に、図3に示す中間パイプ31の係止突起33と、ブロワーパイプ41の略L字型の係止溝43とをスライド嵌合させることにより、ブロワーパイプ41を中間パイプ31に接続する。
【0035】
具体的には、図3に示す中間パイプ31の係止突起33を、図4に示す係止溝43における第1溝44から挿入して長手方向に押し込むことにより、第2溝45までスライドさせる。この状態で、ブロワーパイプ41に対して外力を加えて周方向に回転させると、係止突起33は第2溝45を周方向にスライドする。このとき、係止突起33は、第2溝45に形成された凹部46aに当接するが、ブロワーパイプ41に対して強い外力を加えて回転させると、係止突起33は凹部46aを乗り越え第1固定部48内に到達し、この第1固定部48の両側に形成された凹部46a,46bによって係止固定される。これにより、図5に示すように、ブロワーパイプ41は中間パイプ31に対して安定した状態で保持され、その吹出口51は扁平面52が作業面に対して平行方向を向いた状態となる。
【0036】
なお、作業者は、第1固定部48(図4参照)に形成された確認孔50aを目視することにより、係止突起33と第1固定部48との係止状態、すなわち、ブロワーパイプ41が中間パイプ31に対して確実に係止固定されていることを確認することができる。
【0037】
そして、縦持ち状態または横持ち状態において、送風機本体10に排出パイプ部30を接続した後に、原動機19(図1参照)を始動させ、送風ファン18を駆動回転させると、第2カバー体13に形成された空気導入口(図示省略)から取り入れられた空気は、送風ファン18によって加圧されて空気流として噴出口14(図2参照)へ導かれ、排出パイプ部30を介して外部へ吐出される。
このように、中間パイプ31の係止突起33を、ブロワーパイプ41の固定部48,49の何れかに係止させることにより、縦持ち状態または横持ち状態の何れの使用状態においても、ブロワーパイプ41の吹出口51の扁平面52が作業面に対して平行方向を向いた状態にすることができ、作業者は体勢を変えることなく、高速の空気流を所望する範囲へ確実に吐出させることができる。
【0038】
以上のように、第1実施形態のブロワーパイプ41では、図4に示すように、係止溝43の第2溝45には、中間パイプ31(図3参照)に対するブロワーパイプ41の接続角度を決定する2つの固定部48,49が周方向に形成されているため、係止突起33を何れかの固定部48,49に係止させることにより、動力送風機Aの使用状態に応じてブロワーパイプ41の接続角度を変更することができる。これにより、横長扁平形状の吹出口51を常に作業面に対して平行方向を向いた状態とすることができるため、作業者は体勢を変えることなく、高速の空気流を所望する範囲へ確実に吐出させることができる。
【0039】
また、中間パイプ31の係止突起33が係止される固定部48,49には、係止溝43の幅よりも狭い幅となるように窪んだ凹部46a,46b,46cが形成されているため、凹部46a,46b,46cによって係止突起33を固定部48,49に確実に保持することができ、ブロワーパイプ41を安定した接続状態に保つことができる。
【0040】
さらに、固定部48,49に形成された確認孔50a,50bを目視することにより、ブロワーパイプ41が確実に接続されているかを容易に確認することができ、接続不良を防止して、ブロワーパイプ41の脱落や動力送風機Aの使用時における不用意な回転を防止することができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態のブロワーパイプを示した斜視図である。
この第2実施形態は、前記した第1実施形態と略同様の構成であり、ブロワーパイプに形成された嵌合部の構成が異なるものであり、第1実施形態と同一構造のものには同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0042】
第2実施形態のブロワーパイプ41´では、図6に示すように、中間パイプ31(図3参照)に接続するための嵌合部62は、その周面に90度間隔の位置に設けられ、外方へ突出するように形成された4つの係止溝63・・・から構成されている。
係止溝63は、上流端部から長手方向に形成された第3溝64と、この第3溝64から周方向に形成された第4溝65とから構成された略L字型の溝部であり、何れかの対向する一対の係止溝63,63に、中間パイプ31の係止突起33がスライド自在に嵌合されるように構成されている。
【0043】
また、第4溝65の周方向の中間部には、その幅よりも狭くなるように両側が窪んだ凹部66aが形成されており、この凹部66aによって小空間67が形成されている。
小空間67は、中間パイプ31(図3参照)の係止突起33が確実に係止固定される第3固定部68であり、各係止溝63・・・の第3固定部68は、互いに90度の位置関係となるように形成されている。そして、何れかの対向する一対の係止溝63,63の第3固定部68に、中間パイプ31の係止突起33が係止されることにより、ブロワーパイプ41´の接続角度、すなわち、吹出口51の向きが決定されるように構成されている。
【0044】
また、各第3固定部68には、係止突起33の係止状態を確認可能な確認孔70aがそれぞれ貫通して形成されている。
【0045】
次に、第2実施形態における送風機本体10と排出パイプ部30の取付手順について説明する。
まず、作業者が第1把持部16(図2参照)を片手で保持して、動力送風機Aを縦持ちの状態で使用する場合における送風機本体10と排出パイプ部30の取付手順について説明する。
【0046】
予め、送風機本体10(図2参照)の噴出口14に接続された中間パイプ31(図3参照)の係止突起33と、図6に示すブロワーパイプ41´の略L字型の係止溝63とをスライド嵌合させることにより、ブロワーパイプ41´を中間パイプ31に接続する。
【0047】
具体的には、中間パイプ31(図3参照)の係止突起33を、対向する一対の係止溝63,63における第3溝64から挿入して長手方向に押し込むことにより、第4溝65までスライドさせる。この状態で、ブロワーパイプ41´に対して外力を加えて周方向に回転させると、係止突起33は第4溝65を周方向にスライドする。このとき、係止突起33は、第4溝65に形成された凹部66aに当接するが、ブロワーパイプ41´に対して強い外力を加えて回転させると、係止突起33は凹部66aを乗り越えて第3固定部68に到達し、第3固定部68に形成された凹部66aによって係止固定される。これにより、ブロワーパイプ41´は中間パイプ31に対して安定した状態で保持され、その吹出口51はその扁平面52が作業面に対して平行方向を向いた状態となる。
【0048】
また、作業環境に応じて、作業者が第1把持部16及び第2把持部17を両手で保持して横持ちの状態で使用する場合には、中間パイプ31(図3参照)の係止突起33を、前記縦持ち状態の場合にスライド嵌合させた係止溝63,63とは異なる一対の係止溝63,63にスライド嵌合させ、前記した縦持ち状態と同様に、係止突起33を第3固定部68に形成された凹部66aによって係止固定させることにより、ブロワーパイプ41´は中間パイプ31に対して安定した状態で保持され、その吹出口51はその扁平面52が作業面に対し平行方向を向いた状態となる。
【0049】
なお、作業者は、第3固定部68に形成された確認孔70aを目視することにより、係止突起33と第3固定部68との係止状態、すなわち、ブロワーパイプ41´が中間パイプ31に対して確実に接続されていることを確認することができる。
【0050】
このようにして、縦持ち状態または横持ち状態において、送風機本体10に排出パイプ部30を接続した後に、原動機19(図1参照)を始動させ、送風ファン18を駆動回転させると、第2カバー体13に形成された空気導入口(図示省略)から取り入れられた空気は、送風ファン18によって加圧されて空気流として噴出口14(図2参照)へ導かれ、排出パイプ部30を介して外部へ吐出される。
このとき、中間パイプ31の係止突起33を、ブロワーパイプ41´に2組形成された一対の第3固定部68,68のうち、一方の各第3固定部68,68に係止させることにより、縦持ち状態または横持ち状態の何れの使用状態においても、ブロワーパイプ41´の吹出口51の扁平面52が作業面に対して平行方向を向いた状態にすることができ、作業者は高速の空気流を所望する範囲へ確実に吐出させることができる。
【0051】
以上のように、第2実施形態のブロワーパイプ41´では、中間パイプ31(図3参照)に対するブロワーパイプ41´の接続角度を決定する第3固定部68が周方向に90度間隔で形成されているため、係止突起33を何れかの対向する一対の第3固定部68,68に係止させることにより、動力送風機Aの使用状態に応じてブロワーパイプ41´の接続角度を変更することができる。これにより、横長扁平形状の吹出口51を常に作業面に対して平行にすることができるため、作業者は体勢を変えることなく、高速の空気流を所望する範囲へ確実に吐出させることができる。
【0052】
また、中間パイプ31の係止突起33が係止される第3固定部68には、係止溝63の幅よりも狭い幅となるように窪んだ凹部66aが形成されているため、凹部66aによって係止突起33を第3固定部68に確実に保持することができ、ブロワーパイプ41´を安定した接続状態に保つことができる。
【0053】
さらに、第3固定部68に形成された確認孔70aを目視することにより、ブロワーパイプ41´が確実に接続されているかを容易に確認することができ、接続不良を防止して、ブロワーパイプ41´の脱落や動力送風機Aの使用時における不用意な回転を防止することができる。
【0054】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、設計において種々の変更ができるものである。例えば、第1実施形態及び第2実施形態において、ブロワーパイプ41(41´)は中間パイプ31ではなく、送風機本体10に直接取り付けてもよい。
【0055】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、隣り合う係止溝43,43(63,63)の第2溝45(第4溝65)が周方向に連通するように形成されていてもよい。この構成では、中間パイプ31の係止突起33を挿入するための挿入溝となる第1溝44(第3溝64)が、周方向に形成された第2溝45(第4溝65)に対して、複数形成されていることになる。
【0056】
さらには、ブロワーパイプ41(41´)の嵌合部42(62)に、中間パイプ31の係止突起33と同様の係止突起を形成し、中間パイプ31の下流側端部に、ブロワーパイプ41(41´)の係止溝43(63)と同様の溝部を形成した場合であっても、動力送風機の使用状態に応じてブロワーパイプ41(41´)の接続角度を変更することができ、横長扁平形状の扁平面52を有する吹出口51を、常に作業面に対して平行にすることができるため、作業者は体勢を変えることなく、高速の空気流を所望する範囲へ確実に吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1実施形態の動力送風機を示した図で、縦持ちの状態の側面図である。
【図2】第1実施形態の送風機本体を示した斜視図である。
【図3】第1実施形態の排出パイプ部を示した分解斜視図である。
【図4】第1実施形態のブロワーパイプを示した斜視図である。
【図5】第1実施形態の動力送風機を示した図で、横持ちの状態の側面図である。
【図6】第2実施形態のブロワーパイプを示した斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
10 送風機本体
31 中間パイプ
32 接続部
33 係止突起
41 ブロワーパイプ(第1実施形態)
42 嵌合部
43 係止溝
44 第1溝
45 第2溝
46a 凹部
46b 凹部
46c 凹部
48 第1固定部
49 第2固定部
50a 確認孔
50b 確認孔
51 吹出口
52 扁平面
41´ ブロワーパイプ(第2実施形態)
62 嵌合部
63 係止溝
64 第3溝
65 第4溝
66a 凹部
68 第3固定部
70a 確認孔
A 動力送風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業環境に応じて、縦持ちの状態及び横に倒した横持ちの状態での使用を可能とした動力送風機に用いられるブロワーパイプであって、
上流側端部に入口側の結合手段としての嵌合部を備えると共に、下流側端部に横長扁平形状の扁平面を有する吹出口を備え、
前記嵌合部は、上流側端部から長手方向に形成された第1溝と、前記第1溝から周方向へ連続して形成された第2溝とが形成された係止溝からなり、
送風機本体または送風機本体に取り付けられる中間パイプに形成された係止突起が、前記係止溝に嵌合することで接続固定されるように構成されており、
前記第2溝には、前記係止突起が係止される固定部が複数形成されていることを特徴とするブロワーパイプ。
【請求項2】
作業環境に応じて、縦持ちの状態及び横に倒した横持ちの状態での使用を可能とした動力送風機に用いられるブロワーパイプであって、
上流側端部に入口側の結合手段としての嵌合部を備えると共に、下流側端部に横長扁平形状の扁平面を有する吹出口を備え、
前記嵌合部は、上流側端部から長手方向に形成された第3溝と、前記第3溝から周方向へ連続して形成された第4溝とが形成された係止溝からなり、
送風機本体または送風機本体に取り付けられる中間パイプに形成された係止突起が、前記係止溝に嵌合することで接続固定されるように構成されており、
前記係止溝は、周方向に所定間隔をおいて複数配置され、前記各係止溝の第4溝には、前記係止突起が係止される固定部がそれぞれ形成されていることを特徴とするブロワーパイプ。
【請求項3】
前記固定部には、前記係止溝の幅よりも狭い幅となるように窪んだ凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブロワーパイプ。
【請求項4】
前記固定部には、前記係止突起の係止状態を確認するための確認孔が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブロワーパイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−38686(P2008−38686A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211864(P2006−211864)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000190312)新ダイワ工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】