説明

ブロー成形体及びブロー成形体の製造方法

【課題】水蒸気バリア性が高く、透明性に優れ、ポリエチレン樹脂を使用したブロー成形体を高い生産性で得るための技術を提供する。
【解決手段】直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、上記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点よりも低いガラス転移点を持つ環状オレフィン系樹脂とを主成分として含む樹脂組成物を用いて、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)以上直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)未満の状態で、プリフォームをブロー成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形体及びブロー成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン樹脂は安価で機械強度に優れているので各種容器素材として用いられている。しかしながら、射出延伸ブロー成形体の原料としてポリエチレン樹脂を使用した場合、射出延伸ブロー成形工程で成形される有底プリフォームの高温離形が困難であるという問題が存在した。
【0003】
上記問題を解決する射出延伸ブロー成形用の高密度ポリエチレン樹脂が、特許文献1、2に開示されている。特許文献1、2に記載の高密度ポリエチレン樹脂を使用すれば、ポリエチレン樹脂を用いた射出延伸ブロー成形体を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−194534号公報
【特許文献2】特開2000−86722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
射出延伸ブロー成形体は、先ず、プリフォームを成形し、次いでこのプリフォームをブロー成形することで作製する。プリフォームに含まれるポリエチレン樹脂が結晶化するとブロー成形をすることが困難になる。このため、ブロー成形は、プリフォームの温度をポリエチレン樹脂の融点以上に調整した状態で行う必要がある。その結果、ポリエチレン樹脂を原料に用いた場合、射出延伸ブロー成形体の生産性が低いという問題がある。
【0006】
上記生産性の問題を解決するために、結晶化し難く融点の低い低密度ポリエチレンを使用すると、射出延伸ブロー成形体の成形性が悪く新たな問題を生じる。このため、ポリエチレン樹脂を使用した射出延伸ブロー成形体を高い生産性で得ることはできない。
【0007】
ところで、射出延伸ブロー成形体は、容器等である場合が多く、水蒸気バリア性、透明性等も求められる場合が多い。したがって、耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等のポリエチレン樹脂の特性を活かしつつ、水蒸気バリア性が高く、透明性に優れるブロー成形体を高い生産性で得る技術が求められている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、水蒸気バリア性が高く、透明性に優れ、ポリエチレン樹脂を使用したブロー成形体を高い生産性で得るための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、上記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点よりも低いガラス転移点を持つ環状オレフィン系樹脂とを主成分として含む樹脂組成物を用いてブロー成形体を製造することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
(1) 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状オレフィン系樹脂とを主成分として含み、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)は、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移点より高いブロー成形体。
【0011】
(2) 前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量と、前記環状オレフィン系樹脂の含有量との質量比(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂/環状オレフィン系樹脂)が、4/6以上8/2以下である(1)に記載のブロー成形体。
【0012】
(3) 前記環状オレフィン系樹脂及び前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が、それぞれメタロセン系触媒により重合された(1)又は(2)に記載のブロー成形体。
【0013】
(4) 環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とを主成分とするプリフォームを成形するプリフォーム成形工程と、前記プリフォームの温度が、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)以上前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)未満の状態で、前記プリフォームをブロー成形するブロー成形工程と、を有する射出延伸ブロー成形体の製造方法。
【0014】
(5) 前記ブロー成形工程は、前記プリフォームの温度が、前記Tg以上前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度(Tc)以下の状態でブロー成形する工程である(4)に記載の射出延伸ブロー成形体の製造方法。
【0015】
(6) 前記ガラス転移点が、Tm−60℃以上100℃以下であり、前記ブロー成形工程は、前記プリフォームの温度がTg以上Tm−20℃以下の状態でブロー成形する工程である(4)又は(5)に記載の射出延伸ブロー成形体の製造方法。
【0016】
(7) 射出延伸ブローしてなり、分子配向計で360℃方向の配向度を測定した場合のMD方向の配向度、TD方向の配向度がともに1.2以上である(1)から(3)のいずれかに記載のブロー成形体。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点よりも低いガラス転移点を持つ環状オレフィン系樹脂とを含む樹脂組成物を用いて射出延伸ブロー成形体を作製するため、耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等のポリエチレン樹脂の特性を活かしつつ、水蒸気バリア性が高く、透明性に優れるブロー成形体を高い生産性で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0019】
<ブロー成形体>
本発明のブロー成形体は、環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とを主成分として含む。先ず、主成分の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂について説明する。
【0020】
[直鎖状低密度ポリエチレン樹脂]
本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、融点(Tm)が後述する環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)より高いものであれば特に限定されない。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用した場合、低密度ポリエチレンを使用した場合のよりもブロー成形体の成形性に優れ、高密度ポリエチレン樹脂を使用した場合のように結晶化しやすい問題がほとんど生じない。後述する通り、高密度ポリエチレン樹脂を使用した場合よりも強度が低下し、成形性が悪化する問題は、後述する環状オレフィン系樹脂の使用により改善できる。
【0021】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とは、炭素数が3以上のα−オレフィンとエチレンとの共重合体であり、密度が0.890〜0.945g/cm程度のものを指す。共重合成分のα−オレフィンの炭素数は、一般的に3〜20程度である。具体的には、プロピレン、ブテン−1、メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を挙げることができる。上記の通り、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、密度が低いためブロー成形体の透明性をほとんど悪化させない。
【0022】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、およそ上記の範囲内であるが、本発明においては、密度が0.910g/cm以上0.938g/cm以下程度の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度が0.910g/cm以上であれば、密度の低下による耐熱性、水蒸気バリア性、強度(剛性)の低下の影響が小さい傾向にあるため好ましく、密度が0.938g/cm以下であれば耐熱性、水蒸気バリア性、強度(剛性)等の物性とブロー成形性との両立を図りやすいため好ましい。
【0023】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、従来公知の一般的な触媒を用いて、従来公知の一般的な製造方法で製造したものを使用することができる。従来公知の触媒としては、チーグラ系触媒、メタロセン系触媒、バナジウム系触媒等を挙げることができる。従来公知の製造方法としては、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法等の製造方法を挙げることができる。本発明においては、後述する通り、環状オレフィン系樹脂の製造に使用する触媒と同じ種類の触媒を使用することが好ましい。
【0024】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)は、後述する環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)より高ければよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)とは、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K7121に規定する方法に従って昇温速度10℃/分で測定したときの融解ピーク温度を意味する。上記の方法で測定した場合、一般的な直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点は90〜130℃程度である。
【0025】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度(Tc)は、特に限定されないが、好ましい結晶化温度の範囲は、後述する通り、使用する環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)との関係で決まる。なお、結晶化温度(Tc)は、以下の方法で求めた値を採用する。示差熱走査型熱量計(DSC)を用い、JIS K7121に規定する方法に従って、測定対象となる樹脂をDSC測定用アルミパンに約10mgを精秤し、室温から10℃/minの加熱速度にて200℃まで昇温し、2分間等温にて保持した後、10℃/minの冷却速度にて0℃まで冷却した。この冷却過程におけるサーモグラムから結晶化ピーク温度(Tc)を求める。
【0026】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、好ましいメルトフローレート(MFR)の範囲は、後述する通り、使用する環状オレフィン系樹脂のMFRとの関係で決まる。なお、MFRは、JIS K7210に規定する方法に従って、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した値を採用する。
【0027】
ブロー成形体中の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量は、特に限定されないが、40質量%以上80質量%以下であることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が40質量%以上であれば、耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等の物性をブロー成形体に付与することができる。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が80質量%以下であれば、後述する環状オレフィン系樹脂等を含有させ、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用することによる問題点を抑えることができる。例えば、後述する環状オレフィン系樹脂を用いることで、後述する通り、ブロー成形体の生産性が改善し、水蒸気バリア性も改善することができる。
【0028】
また、本発明の場合、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、環状オレフィン系樹脂よりも耐熱性の高いものが使用されるため、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量を多くすることでブロー成形体に耐熱性を付与することができる。使用する樹脂にもよるが、ブロー成形体中の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が50質量%以上であれば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の耐熱性がブロー成形体に表れやすい。
【0029】
[環状オレフィン系樹脂]
環状オレフィン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化を阻害するため、環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とを併用してブロー成形体を作成すると、プリフォームの温度をより抑えた条件でブロー成形することができる。その結果、ブロー成形体の冷却時間等の短縮ができ、ブロー成形体の生産性が高まる。
【0030】
環状オレフィン系樹脂は、ブロー成形体に堅さを付与する。このため、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂をブロー成形体の原料に用いても、環状オレフィン系樹脂を併せて用いることで、ブロー成形体の成形性悪化を抑えることができる。
【0031】
また、環状オレフィン系樹脂は高い透明性、高い水蒸気バリア性を有するため、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を併用してブロー成形体を作製すると透明性が高く、水蒸気バリア性に優れるブロー成形体が得られる。
【0032】
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含み、上述の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点より低いガラス転移点を持つポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。
【0033】
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、上記重合体に、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの、を含む。
【0034】
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
【0035】
本発明においては、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物を好ましく用いることができる。
【0036】
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(Topas Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
【0037】
本発明の組成物に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体としては、特に限定されるものではない。特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分と、を含む共重合体を挙げることができる。
【化1】


(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0038】
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体の共重合成分となる炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
【0039】
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体において、共重合成分となる一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
【0040】
一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
【0041】
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
【0042】
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、通りル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アン通りル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
【0043】
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
【0044】
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
【0045】
一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
【0046】
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
【0047】
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよいが、ランダム共重合であることが好ましい。
【0048】
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により環状オレフィン系樹脂を得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒を用いて製造されることが好ましい。
【0049】
特に環状オレフィン系樹脂の製造にメタロセン系触媒を使用し、上述の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の製造にもメタロセン系触媒を使用することが好ましい。両樹脂ともにメタロセン系触媒を使用して製造することで、これらの樹脂の相溶性がさらに高まり、上記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化を抑える効果がさらに高まると推測される。
【0050】
メタセシス触媒としては、シクロオレフィンの開環重合用触媒として公知のモリブデン又はタングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−127728号公報、同58−129013号公報等に記載)が挙げられる。また、メタセシス触媒で得られる重合体は無機担体担持遷移金属触媒等を用い、主鎖の二重結合を90%以上、側鎖の芳香環中の炭素−炭素二重結合の98%以上を水素添加することが好ましい。
【0051】
〔その他共重合成分〕
環状オレフィン系樹脂(A)は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
【0052】
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
【0053】
環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)よりも低い。ブロー成形時のプリフォームの温度はTgより高い必要があるため、TgがTmよりも高い場合には、ブロー成形時のプリフォームの温度を直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点以上に設定しなければならず、ブロー成形時のプロフォームの温度を下げることによるブロー成形体の生産性向上の効果が得られないからである。なお、TgがTmよりも高い場合であっても、ブロー成形体に水蒸気バリア性を付与できる点、透明性を付与できる点、成形性を向上させられる点については、本発明と同様である。
【0054】
環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)が通常90〜130℃程度のため、通常130℃未満に設定される。なお、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)は、DSC法(JIS K7121記載の方法)によって昇温速度10℃/分の条件で測定した値を採用する。
【0055】
本発明の効果の一つであるブロー成形体の生産性の向上は、環状オレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化する温度を下げ、ブロー成形時のプリフォームの温度を直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点以下に下げることで実現される。したがって、ブロー成形体の生産性向上のためには、ブロー成形時のプリフォームの温度をTg以上Tm未満に設定する必要がある。したがって、TgとTmとの差が少なければ、プリフォームの温度をTmに近い値に調整しなければならず、生産性向上の効果は小さくなる。このため、TgとTmとの差は、ある程度必要である。TgとTmとの差は、例えば以下のような直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度(Tc)、環状オレフィン系樹脂中の環状オレフィン成分の含有量を考慮して決めることができる。
【0056】
上記の通り、ブロー成形体の生産性の向上は、環状オレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化する温度を下げることにより得られる。したがって、ブロー成形時のプリフォームの温度を、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度(Tc)よりも低い条件に設定しても、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が結晶化しないため、ブロー成形することができる。したがって、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度(Tc)未満であることが好ましい。
【0057】
環状オレフィン系樹脂中の環状オレフィン成分が少なくなると、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点も低くなる傾向がある。ところで、本発明の生産性向上の効果は、環状オレフィン樹脂中の環状オレフィン成分が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化を阻害するために得られると推測される。したがって、環状オレフィン樹脂中の環状オレフィン成分の含有量が少ないと、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化する温度を下げる効果が小さくなると考えられる。また、環状オレフィン系樹脂中の環状オレフィン成分が少なくなると、水蒸気バリア性向上等の環状オレフィン系樹脂を含有させることにより得られる効果が小さくなる。この点からも、環状オレフィン系樹脂中の環状オレフィン成分は一定の水準以上必要である。
【0058】
上記の点を考慮すると、通常の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(融点90〜130℃程度)を使用する場合には、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)が、Tm−60℃以上100℃以下であることが好ましい。
【0059】
環状オレフィン系樹脂のメルトフローレートは、特に限定されないが、環状オレフィン系樹脂の流動性と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の流動性とを合わせることで、環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とが混ざりやすくなる。その結果、環状オレフィン系樹脂の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化する温度を下げる効果が大きくなると推測される。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のMFR、環状オレフィン系樹脂のMFRともに1.5g/10分以上3.0g/10分以下程度であれば、これらの成分が混ざりやすく好ましい。
【0060】
環状オレフィン系樹脂を使用することで得られる上記効果(生産性向上、水蒸気バリア性向上、高い透明性等)と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用することで得られる上記効果(耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等)とを共に得るためには、ブロー成形体中の環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との質量比(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂/環状オレフィン系樹脂)を4/6以上8/2以下にすることが好ましい。
【0061】
ブロー成形体中の環状オレフィン系樹脂の含有量は特に限定されないが、20質量%以上であることが好ましい。環状オレフィン系樹脂の含有量が20質量%以上であれば、水蒸気バリア性、透明性等の環状オレフィン系樹脂の有する物性をブロー成形体に充分に付与することができる。
【0062】
[その他の成分]
本発明のブロー成形体には、上記の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の熱可塑性樹脂を含むものであってもよい。
【0063】
本発明のブロー成形体には、本発明の効果を害さない範囲で、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、着色剤等の種々の添加剤を含むものであってもよい。
【0064】
<ブロー成形体の製造方法>
本発明のブロー成形品の製造方法は、プリフォーム成形工程と、ブロー成形工程とを備える。以下、各工程について説明する。本発明のブロー成形品の製造方法においては、プリフォーム成形工程とブロー成形工程とを分けて行うコールドパリソン方式でも、プリフォーム成形工程とブロー成形工程とを一連の工程で行うホットパリソン方式のいずれであってもよい。特にコールドパリソン方式であれば、本発明はブロー成形工程をプリフォームの温度が低い状態で行えるため、ブロー成形時にプリフォームを加熱する時間を短縮できる。また、本発明は低い温度のプリフォームをブロー成形するため、成形直後のブロー成形体を冷却する時間も短縮できる。以下、コールドパリソン方式を例に本発明のブロー成形体の製造方法について説明する。
【0065】
[プリフォーム成形工程]
プリフォーム成形工程は、環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とを主成分とするプリフォームを成形する工程である。プリフォームは従来公知の成形方法を用いて製造することができる。従来公知の成形方法の中でも射出成形が好ましい。射出成形でプリフォームを製造する場合、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂ペレット、環状オレフィン系樹脂ペレット、必要であれば、その他の樹脂の樹脂ペレット及びその他の成分を、射出成形機に投入して、プリフォームを得ることができる。プリフォームを製造する際の射出成形条件は、使用する樹脂の種類、各成分の配合比等から適宜好ましい条件を設定することができる。なお、原料として上記のような各成分のペレットを用いてもよいし、予めコンパウンドしたものを用いてもよい。
【0066】
[ブロー成形工程]
ブロー成形工程は、プリフォームの温度が環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)以上直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)未満の状態で、プリフォームをブロー成形する工程である。
【0067】
上述の通り、本発明では環状オレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化する温度を下げることができるため、プリフォームの温度を直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点未満の温度に調整した状態でもブロー成形することができる。プリフォームの温度を従来よりも低く調整してブロー成形するため、プリフォームをブロー成形するために加熱する加熱時間の短縮ができ、得られたブロー成形体の冷却時間も短縮できる。
【0068】
特に、環状オレフィン系樹脂を使用することで、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度(Tc)以下であっても、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化を抑えることができる。このため、本発明のブロー成形体の製造方法であれば、プリフォームの温度をTc以下の状態に調整してもブロー成形体を得ることができる。TcはTmよりも20℃程度低い温度であり、ガラス転移点がTm−60℃以上100℃以下の環状オレフィン系樹脂を用い、プリフォームの温度をTg以上Tm−20℃以下に調整して、ブロー成形を行うことが好ましい。
【0069】
なお、プリフォームを加熱する際の加熱方法は特に限定されず、従来公知の方法でプリフォームを加熱することができる。また、上記プリフォームの温度は、赤外線温度計によって測定した値を採用する。
【0070】
ブロー成形の条件等は特に限定されず、従来から行われているプリフォームから容器等の製造と同様の方法で行うことができる。
【0071】
<ブロー成形体>
本発明のブロー成形体は、耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等のポリエチレン樹脂の特性を有しつつ、水蒸気バリア性も高く、透明性にも優れる。本発明のブロー成形体は、製造の際に、プリフォームの温度を従来よりも低い温度に設定してブロー成形する。このため、従来のブロー成形体と比較して、本発明の製法で得られた射出延伸ブロー成形体は、TD方向の配向度、MD方向の配向度が大きくなる。具体的には、分子配向計で360℃方向の配向度を測定した場合のMD方向の配向度、TD方向の配向度がともに1.2以上になる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0073】
<材料>
LLDPE1:チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造された密度が0.926g/cm、MFRが2.1g/10分(温度190℃、荷重2.16kg)の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、融点124℃、結晶化温度108.5℃(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックLL」)
LLDPE2:メタロセン触媒を用いて製造された密度が0.918g/cm、MFRが2.0g/10分(温度190℃、荷重2.16kg)の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、融点121℃、結晶化温度99.6℃(日本ポリエチレン社製、商品名「ハーモレックス」)
HDPE:密度が0.953g/cm、MFRが5.0g/10分(温度190℃、荷重2.16kg)の高密度ポリエチレン樹脂、融点132℃、結晶化温度118℃(日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテックHD」)
COC1:メタロセン触媒を用いて製造され、ガラス転移点が78℃、MFRが2.0g/10分(温度190℃、荷重2.16kg)の環状オレフィン系樹脂(TOPAS Advanced Polymers社製、商品名「TOPAS8007」)
COC2:メタロセン触媒を用いて製造され、ガラス転移点が128℃、MFRが2.0g/10分の環状オレフィン系樹脂(TOPAS Advanced Polymers社製、商品名「TOPAS7012」)
COC3:メタロセン触媒を用いて製造され、ガラス転移点が68℃、MFRが2.0g/10分の環状オレフィン系樹脂(TOPAS Advanced Polymers社製、商品名「TOPAS9506」)
【0074】
<実施例及び比較例>
表1に示す材料を、二軸押出機(日本製綱所製、商品面「TEX30」)により溶融混合して原料ペレットを得た。この原料ペレットをインジェクションストレッチブロー成形機(青木固研究所製、商品名「型式SG3−100LL−20S」)を用いて、表2に示す条件でブロー成形を行い、容器を作製した(縦延伸1.4倍、円周方向延伸1.5倍)。容器の形状は、直胴部の高さ68mm、直胴部の外径40mm、口部外径25mm、全高さ90mmであり、容器の平均肉厚は1.0mm、容器の容量は75cc、容器の表面積は100cmであった。なお、プリフォーム表面温度は、ブロー成形直前のプリフォーム直胴部の表面温度を放射式の非接触温度計を用いて測定した。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
<評価>
実施例、比較例の容器について、外観評価、落下衝撃試験、水分透過性、耐熱性、分子配向度の評価を行った。評価方法は下記の通りである。また、評価結果は表3にまとめた。
【0078】
[外観評価]
容器の外表面についてその表面状態を観察した。表面状態を以下の三段階で評価した。なお、外観評価が×の容器は、延伸の際に容器の底部が破れたものや、容器の胴部形状が不均一であるもの又は、ブローアップができず所定形状が得られなかったもの等であり、他の評価は行わなかった。
○:鮫肌や細かな凹凸が無く、表面が平滑なもの。
△:わずかに鮫肌や細かな凹凸が見られるもの。
×:鮫肌や凹凸が見られ、表面が平滑ではないもの。
【0079】
[落下衝撃試験]
容器に水を70cc入れ、キャップをしたものを容器底部が下になるように高さ1.5mからコンクリート床に落下させた。これを10回繰り返し、容器の破壊、変形状態を調べた。評価は以下の三段階で行った。
○:10回の落下試験後、容器が破壊・変形しなかったもの。
△:容器が破壊しないが、変形したもの。
×:10回を持たず、破壊したもの。
【0080】
[水分透過性]
容器に水を60cc充填し、アルミ製キャップにて密封した。この容器を40℃のオーブンにて6週間保存した。保存前後の容器の重量を測定し、1週間(7日)あたりの水の減少量を算出した。
【0081】
[耐熱性]
空容器を90℃のオーブンにて3時間保存した後、保存前後の容器直胴部3箇所の外径ならびに胴部4箇所の高さを測定し、変形状態を調べた。評価は以下の二段階で行った。
○:直胴部3箇所の外径寸法変化ならびに胴部4箇所の高さ寸法変化の全てが3%未満のもの。
×:直胴部3箇所の外径寸法変化ならびに胴部4箇所の高さ寸法変化のいずれかが3%以上のもの。
【0082】
[分子配向度]
容器の直胴部から試験片(20mm×20mm×20mm)を切り出し、高精度型分子配向計(王子計測機器製、型式:MOA−3012)を用いて、360℃方向の配向度を測定し、MDならびにTDの配向度を求めた。
【表3】

【0083】
実施例2と比較例2の結果から明らかなように、本発明のブロー成形体は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点未満の温度にプリフォームの温度を調整して、ブロー成形しても、耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等のポリエチレン樹脂の特性を活かしつつ、水蒸気バリア性が高く、透明性に優れるブロー成形体を得ることができる。比較例2で耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等のポリエチレン樹脂の特性を活かしたブロー成形体を得るためには、プリフォームの温度をさらに高い温度に調整してブロー成形を行う必要があるため、生産性が低くなる。
【0084】
実施例1、3〜7の結果から明らかなように、プリフォームの温度を直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度以下に設定してブロー成形しても、耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等のポリエチレン樹脂の特性を活かしつつ、水蒸気バリア性が高く、透明性に優れるブロー成形体を得ることができる。
【0085】
実施例8の結果から明らかなように、プリフォームの温度を直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度を大きく下回る温度に設定してブロー成形しても、耐薬品性、柔軟性、衝撃強度等のポリエチレン樹脂の特性を活かしつつ、水蒸気バリア性が高く、透明性に優れるブロー成形体を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と環状オレフィン系樹脂とを主成分として含み、
前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)は、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移点より高いブロー成形体。
【請求項2】
前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量と、前記環状オレフィン系樹脂の含有量との質量比(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂/環状オレフィン系樹脂)が、4/6以上8/2以下である請求項1に記載のブロー成形体。
【請求項3】
前記環状オレフィン系樹脂及び前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が、それぞれメタロセン系触媒により重合された請求項1又は2に記載のブロー成形体。
【請求項4】
環状オレフィン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とを主成分とするプリフォームを成形するプリフォーム成形工程と、
前記プリフォームの温度が、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移点(Tg)以上前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点(Tm)未満の状態で、前記プリフォームをブロー成形するブロー成形工程と、を有する射出延伸ブロー成形体の製造方法。
【請求項5】
前記ブロー成形工程は、前記プリフォームの温度が、前記Tg以上前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の結晶化温度(Tc)以下の状態でブロー成形する工程である請求項4に記載の射出延伸ブロー成形体の製造方法。
【請求項6】
前記ガラス転移点が、Tm−60℃以上100℃以下であり、
前記ブロー成形工程は、前記プリフォームの温度がTg以上Tm−20℃以下の状態でブロー成形する工程である請求項4又は5に記載の射出延伸ブロー成形体の製造方法。
【請求項7】
射出延伸ブローしてなり、分子配向計で360℃方向の配向度を測定した場合のMD方向の配向度、TD方向の配向度がともに1.2以上である請求項1から3までのいずれか一項に記載のブロー成形体。


【公開番号】特開2011−184636(P2011−184636A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53545(P2010−53545)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(390006323)ポリプラスチックス株式会社 (302)
【Fターム(参考)】