説明

プラスチックパイプ熱融着機

【課題】 プラスチックパイプの1本のヘッダー主管に対し、多数本の分岐パイプを、直交形態で並行密集接続するための熱融着機を提供する。

【解決手段】 長手方向の両端には、作業域SWを規定する幅を備えたポスト1Aを立設し、ポスト1Aの後側BAに連設した固定テーブル1T上には、上面に縦管クランプ装置4を載置した前後移動テーブル2を配置し、ポスト1A前側FAの、縦管クランプ装置4と対向する位置には、ヘッダー受5を、作業域SWに突出形態で配置し、上下一対の、先端には継手用枝管8B群の周面と整合する嵌合溝6G群を備えた加熱装置6を、対向進退するように、ポスト1A間に差渡し状に配置し、縦管クランプ装置4とヘッダー受5とに差渡し状に保持したプラスチックパイプ加工対象物に対して、上下から加熱装置の嵌合溝6Gで挟着加熱溶融する熱融着機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水器、給湯器、熱交換器、暖房器などの配管材として使用する熱可塑性プラスチックパイプのヘッダー管と分岐管群とを加熱融着接合する熱融着機に関するものであり、より詳しくは、大口径の1本の主管から中口径で短寸の継手用枝管群を直交並列突出したヘッダーに対し、分岐管として、小口径で長寸の縦管群を、継手用枝管群を介して、連通形態に、1度の加熱溶融作用によって直交接続するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性プラスチックパイプ相互の連通接続手段としては、熱融着接合が慣用されており、被覆ソケットを採用する典型例としては、図13に示す従来例1があり、接合パイプ相互を直接接続する典型例としては、図14に示す従来例2がある。
従来例1(図13)は、特許文献1として挙げたものであって、図13(A)に示す如く、金属被覆ソケットの両側から接合対象の挿入管相互を挿入し、クランプでソケットと挿入管との挿入状態を保持して、接合部を外部から加熱し、図13(B)に示す如く、ソケットを介して両側挿入管を連通接続するものである。
【0003】
また、従来例2(図14)は、特許文献2として挙げた接合管相互の直接熱融着手段であって、図14の、(A)は主管への取付孔の穿孔説明図、(B)は主管加熱説明図、(C)は分岐管加熱説明図、(D)は融着作業説明図、(E)は融着接合製品の説明図である。
即ち、従来例2(図14)は、主管の側面に対して、図14(A)に示す如く、治具を用いて、分岐管の外径に相応する外側の大径の第1の孔と、分岐管の内径に相応する内側の小径の第2の孔とを同心、穿孔する。
【0004】
次いで、主管に対しては、図14(B)に示す如く、表層部をテフロン(登録商標名)被覆して表層部から加熱用凸部を突設した主管用加熱工具を用いて、主管の取付孔を加熱用凸部で加熱溶融する。
また、分岐管に対しても、図14(C)に示す如く、表層部をテフロン(商標名)被覆し、且つ分岐管挿入孔を配置した分岐管用加熱工具を用いて、分岐管の接合用端部の外周を加熱溶融する。
【0005】
そして、図14(D)に示す如く、主管の加熱溶融した取付孔へ、分岐管の加熱溶融した端部を嵌入押圧し、分岐管の先端外周面を、主管取付孔の第1の孔の内周面に、分岐管の先端面を、主管取付孔の第1の孔の先端段部に融着接合し、図14(E)に示す如く、主管に対して分岐管を直交接合し、分岐管の先端が主管の第1孔と第2孔との段差部に当接することにより、分岐管先端の主管内部への突出を抑制し、分岐管の内部流路を主管第2の孔と連通して、分岐管と主管とを流路連通するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−171007号公報
【特許文献2】特開2007−247869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例1(図13)の、ソケットを被覆して接続する手法で、主管に枝管(分岐管)群を直交接合する場合は、T字形態のソケットを採用し、T字ソケット群を主管に直列状態で挿通配置し、各T字ソケットの枝管用突出部に枝管先端を挿入して、T字ソケットを加熱することとなるが、各枝管の主管への接合位置毎でのT字ソケットの配置は、T字ソケット相互の干渉の問題が生じて、主管への枝管群の密集並列接合は事実上不可能である。
【0008】
また、例え、枝管の所望間隔接合を可能とするT字ソケットを採用しても、各T字ソケットの主管への配置、各枝管のT字ソケットへの挿入、各T字ソケット位置での加熱、等の作業は煩雑である。
従って、従来例1の接合用ソケットを採用する手段では、図12に示す如き、1本のヘッダー主管に多数本の分岐管(縦管)群を、直交状態に、且つ小間隔で接合する製品の製造への適用は、事実上不可能である。
【0009】
また、従来例2(図14)の手法は、主管取付孔群に、直接分岐管(枝管)群を嵌入熱融着するため、1本の主管に対する直交分岐管の配置間隔は自在であって、1本の主管への、多数本の分岐管群の直交密集配置は可能であるが、枝管(接合管)先端は、分岐管用加熱工具の凹部での熱溶融によって外周面を溶融し、主管取付孔も、主管用加熱工具の凸部によって、第1の孔の内周面及び段部を溶融しての、枝管群の主管取付孔への挿入押圧融着となるため、先端部外周の溶融した枝管群の、取付孔内周面の溶融した主管への、手作業による挿入、押圧作業は、熟練を要する、煩雑、且つ困難な作業であり、多数本の枝管の1本の主管への均斉な熱融着は困難である。
【0010】
また、主管用加熱工具と枝管(分岐管)用加熱工具とは、別体であって、主管取付孔の加熱溶融作業と、枝管先端の加熱溶融作業が別作業であるため、主管側と枝管側の溶融状態管理も、熟練を要する作業である。
本発明は、従来例1(図13)の接合用ソケットを用いる手段では製作不可能な、図12に示す如き、1本の主管に多数本の分岐管を直交密集接合した、熱可塑性プラスチックパイプ接合製品を、従来例2(図14)の製作手法よりも、均質性に優れた製品が得られ、且つ従来例2の手法よりも、遥かに高い生産性で実施出来る熱融着機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の熱融着機は、図1、図2に示す如く、長手方向の両側には作業域SWを規定する幅W2を備えたポスト1Aを立設配置し、ポスト1A間の作業域SWで、1本のヘッダー主管8Aから継手用枝管8B群を直交形態で平行突出したヘッダー8に、長尺の縦管8C群を直交溶着するプラスチックパイプ熱融着機であって、ポスト1Aの後側BAに連設した固定テーブル1T上には、上面前部に縦管クランプ装置4を載置した前後移動テーブル2を配置し、ポスト1A前側FAの、縦管クランプ装置4と対向する位置には、ヘッダー受5を、作業域SWに突出形態で、ポスト1A間に差渡し配置し、作業域SWを対向上下動する上下一対の、先端には継手用枝管8B群の周面と整合する嵌合溝6G群を備えた加熱装置6を、ポスト1Aを介して配置したものである。
【0012】
この場合、プラスチックパイプとしてのヘッダー8及び縦管8Cは、熱可塑性プラスチック製であれば良く、典型的には、ポリプロピレン、ランダム、コポリマー樹脂(PP−R樹脂)製であって、図12に示す如く、ヘッダー8は、外径dAが27mm、肉厚taが5mmの長尺物(標準:350mm)のヘッダー主管8Aの側面から、外径dBが17mm、肉厚tbが3.6mm、長さLBが30mmの継手用枝管8Bを、中心間寸法PAが20mmで突出し、枝管8Bの先端beより取付孔Hbを、内径dC(13mm)で深さ(長さ)10mm配置して奥端に段部bfを形成した射出成形品であり、縦管8Cは、外径dCが13mm、肉厚tcが1.6mmの押出成形パイプの長尺(標準:1900mm)裁断片である。
【0013】
また、ポスト1Aは、熱融着機の左右長さ方向の両端に剛構造で、両側ポスト1A間に、作業域SWとなる前後方向の空間幅が形成出来れば良く、典型的には、図4(A)に示す如く、作業域SWを規定する幅W2が150mm、肉厚9mmのウエブ1A´の両側に、厚さ12.5mm、幅L2(図2参照)が75mmのフランジ1A”を備えた、慣用の溝形鋼(JISG3192)の長さ(高さ)が1375mm物であり、下端には12mm厚鋼板の、ねじ孔を備えた取付プレート1Sを溶接固着し、取付プレート1Sに対して、アンカープレート1Vを備えた高さ調整ボルト1Kを貫通締着し、両側ポスト1Aの上端間には溝形鋼のポスト連結材1Bを差渡したものである。
【0014】
また、固定テーブル1Tは、上面に移動テーブルが支持出来れば良く、典型的には、前側のポスト1Aと後側の縦桟1Eに対して、上桟1Cと下桟1Dで剛構造架台を構築し、上桟1C上とポスト高さ中間に亘り、9mm厚の鋼板を剛構造張設したものである。
移動テーブル2は、縦管クランプ装置4を上面前部に固定し、加工対象物、即ちヘッダー8に縦管8C群を嵌入した物、の縦管8C群を上面で支承し、加工物の加工作業時に、縦管クランプ装置4を作業域SW内に進出させて加工物の加工部位の近傍での確保を可能とすれば良く、典型的には、図5(A)に示す如く、固定テーブル1Tと移動テーブル板2Aとの隙間g1に配置した、伸縮シリンダーJ3の制御駆動と、スライドユニット3とで、固定テーブル1T上を前後移動させるものである。
【0015】
また、ヘッダー受5は、ヘッダー8に縦管8C群を嵌入した加工対象物を、熱融着機に加工状態に配置する際に、ヘッダー8の全長の当接支承が出来れば良く、典型的には、図6(D)に示す如く、前端を、ヘッダー主管8Aの外周面前半を受容する当接曲面5Rとした断面アングル形態の長尺鋼材を、縦管クランプ装置4の水平対向位置で、両側ポスト1A間に差渡して、両端をポスト1Aの前に着脱自在に固定したものである。
【0016】
また、上下の加熱装置6は、加工作業位置にセットした加工対象物の継手用枝管8B群に、上下から進出して、先端の嵌合溝6G群で枝管8B群の外周全面を挟着被覆して枝管8Bと縦管8Cとを融着出来れば良く、典型的には、図3(A)に示す如く、両側のポストウエブ1A´に固定した取付アングル6Kに固定した伸縮シリンダーJ1の先端に取付けた、差渡し形態の融着バー6Cの先端に融着ヒーター6B及び加熱駒6Aを配置した、上下同一構造で対向するものである。
【0017】
従って、本発明の熱融着機にあっては、ヘッダー8の継手用枝管8B群に、縦管8C群の先端を嵌入したプラスチックパイプ加工対象物を、手作業の容易な場所で移動テーブル2上に載置して、縦管クランプ装置4に後方から挿通して、先端のヘッダー主管8Aをヘッダー受5に当接形態とした後、移動テーブル2と共に、縦管8C群に対してスリップ許容形態の縦管クランプ装置4を前端が作業域SW内に至るまで前進させた段階で、縦管クランプ装置4の駆動によって、縦管8C群の継手用枝管8Bの近接位置を把持して姿勢確保するため、ヘッダー8に縦管8C群を嵌入接続した加工対象物の作業域SW内での加工姿勢保持が、移動テーブル2による縦間クランプ装置4の押出しで簡便に実施出来る。
そして、加熱装置6を上下対向に配置して作業域SW内での上下運動で融着作用を奏するため、機械が省スペース化出来、上下の加熱装置6の一度の挟着加熱融着によって、水平配置の加工対象物の全枝管8B群が、均斉に全縦管8C群と融着出来る。
【0018】
更に、各縦管8C群は、縦管クランプ装置4による枝管8Bの近接位置での確保の下での加熱融着作用を受けるため、縦管8C群は、個々の可撓性による、垂れ変位や、枝管8Bに対する嵌入弛みが抑制出来て、枝管8B群に対する均斉姿勢の下での融着となり、全縦管8Cの全枝管8Bに対する均斉融着接続が達成出来る。
しかも、加工対象物の配置及び位置決め作業が、移動テーブル2上での延展形態の作業となるため、作業性が良く、一対の加熱装置6が狭い作業域SW内での上下動駆動であるため、省スペース化の下に、安全性の担保された熱融着機となった。
【0019】
また、本発明の熱融着機にあっては、図1に示す如く、ヘッダー受5の上方には、上側加熱装置6の上下運動に干渉しない形態で、散水用冷却パイプ7Aを配置し、ヘッダー受5の下方には、ポスト1Aの前側FAから作業域SW内に出没するドレンパン7Bを配置するのが好ましい。
この場合、冷却パイプ7Aは加工対象物の継手用枝管8B群の左右全幅に亘って冷水を散水出来れば良く、典型的には、図8に示す如く、下半面をシャワー孔Hsとした冷却パイプ7Aを、ヘッダー受5の上部で、ヘッダー受5にヘッダー8を当接した状態では、継手用枝管8B上に、左右方向全幅に亘って散水出来る関係位置に配置し、図3(A)に示す如く、電磁弁7iを介して給水管7aと連通したものである。
【0020】
また、ドレンパン7Bは、冷却パイプ7Aからの、継手用枝管8B群に付与した散水を、収集排水出来れば良く、典型的には、図8に示す如く、底板7Tを排水用蛇腹パイプ7Dと接続し、前面には取手7Eを備え、ポスト1Aを介して配置したレール7Rと戸車7P手段により作業域SW内への出没可能なものである。
従って、上下一対の加熱装置6が、継手用枝管8B群を加熱融着し、上下に退去後、図11に示す如く、ドレンパン7Bを作業域SW内に進出して移動テーブル板2Aの前端に当接し、冷却パイプ7Aから継手用枝管8B群に、霜状に冷却水7wを放水するため、融着加工対象物の冷却は、自然冷却(常温で10分間)より遥かに短縮(自然冷却30秒+散水冷却60秒)出来、加工対象物は、加工姿勢保持の状態での急速冷却によって、融着部の冷却歪の発生が抑制出来る。
【0021】
また、本発明の熱融着機にあっては、ヘッダー受5は、図6(D)に示す如く、継手用枝管8B群を作業域SW内に水平突出した形態で、ヘッダー主管8Aの前半外周を受容するための、下側突起5T´が枝管8B側に突出し、上側突起5Tが枝管8B側から後退した断面半円形の、ヘッダー主管8Aの外周面と整合する当接曲面5Rを備えた主管受5Aを、両側ポスト1A間に、着脱自在に差渡し固定するのが好ましい。
【0022】
従って、継手用枝管8B群に縦管8C群を嵌入接合した融着用の加工対象物を、縦管8C群を前方へ押圧して先端のヘッダー主管8Aを主管受5Aに当接すれば、加工対象物は加工作業位置を占め、加工対象物の熱融着機への配置、位置決め作業が容易となる。
そして、主管受5Aの断面半円形の当接曲面5Rは、下側突起5T´が突出して上側突起5Tが入り込んでいるため、縦管8C群側からの作業域SW内への押出しによるヘッダー主管8Aの主管受5Aへの嵌合も、当初の、ヘッダー主管8Aの下側突起5T´上への載置形態からの当接嵌合となり、目視を必要としない、単なる押出し、押圧だけで適正嵌合となり、作業性が向上する。
また、加工対象物のヘッダー8の寸法変更に対しても、主管受5Aの着脱取換えによって簡便に対応出来る。
【0023】
また、本発明の熱融着機にあっては、縦管クランプ装置4は、図6に示す如く、上面に縦管8C用嵌合溝4G群を備えたパイプホルダー4Aを、移動テーブル板2Aの前端に着脱自在に固定し、押圧板4Bが、伸縮シリンダーJ4の上下動作用によって、縦管8C群に対して、押圧確保位置、上下隙間確保位置及び開放位置の制御運動を行うのが好ましい。
この場合、押圧板4Bの「上下隙間確保位置」とは、縦管8C群とパイプホルダー4Aとの相対摺動を許容する程度の押圧板4Bの降下位置であって、押圧板4B下面と縦管8C群上面との隙間は標準3mmである。
【0024】
従って、伸縮シリンダーJ4の制御の下に、押圧板4Bの、開放位置は、縦管8C群の先端にヘッダー8を嵌合接続した加工対象物の、大径のヘッダー主管8Aは、縦管クランプ装置4内の通過が可能となって、融着作業前の加工対象物の熱融着機への配置、及び融着作業後の加工対象物の後方への抜脱取出しが可能であり、押圧板4Bの上下隙間確保位置は、加工対象物のヘッダー主管8Aがヘッダー受5に当接支承された状態での、移動テーブル板2A及び縦管クランプ装置4の、一体的な、縦管8C群に対するスリップを伴なった前進運動が、各縦間8C群相互の変位乱れの抑制の下に可能であり、押圧板4Bの押圧確保位置は、縦管8Cの姿勢確保が可能となる。
【0025】
そのため、予め人手で、ヘッダー枝管8B群に縦管8C群を嵌入接続した加工対象物を、移動テーブル2の後方から移動テーブル板2A上の縦管クランプ装置4を貫通してヘッダー受5に押圧し、次いで、縦管クランプ装置4を縦管8C群に対してスリップ前進させて継手用枝管8Bの近接位置を縦管クランプ装置4で把持し、次いで融着作用を付与することにより、加工対象物は、縦管8C群の、融着作用部位の近傍でのクランプ下での作用となって、各縦管8Cは、継手用枝管8Bに対する適正姿勢の下での融着接続作用を受け、全縦管8Cの均質な融着接続が達成出来る。
【0026】
また、本発明の熱融着機にあっては、移動テーブル2は、図5に示す如く、固定テーブル1Tと上方の移動テーブル板2Aとの隙間g1で、固定テーブル1T上に固定した伸縮シリンダーJ3とスライドユニット3によって、移動テーブル先端t2が、ポスト1Aの後側BAと、加熱装置6上下動と干渉しない作業域SW内中間位置SP間を前後動し、縦管クランプ装置4の押圧板4Bは、伸縮シリンダーJ4の制御運動によって、移動テーブル板2Aの先端t2が、ポスト1Aの後側BA位置で、開放位置及び隙間確保位置を占め、作業域SW内の中間位置SPで押圧確保位置を占めるのが好ましい。
【0027】
この場合、典型的には、上下加熱装置6は、作業域SWの幅(標準:150mm)中心線上に配置し、移動テーブル板2Aを前後動させる伸縮シリンダーJ3は、ストローク長60mmと設定し、移動テーブル板先端t2の作業域SW内への突出寸法は60mmであり、作業域内中間位置SPは、ポスト1A後側BAから60mm前方位置とし、移動テーブル板2Aの先端t2は、加熱装置6の上下動に干渉しない。
また、縦管クランプ装置4も、典型的には、図6(A)に示す如く、パイプホルダー4A及び押圧板4Bの先端t4を、移動テーブル板2Aの先端t2より15mm後退位置とし、加熱装置6の上下動に干渉しない。
【0028】
従って、加工対象物、即ちヘッダー枝管8B群に縦管8C群を嵌入して、ヘッダー8に縦管8C群を接続した未加工物、の熱融着機への仕掛けは、移動テーブル板2Aの後退位置での縦管クランプ装置4の押圧板4Bが上昇開放位置を占めた状態で、加工対象物の縦管8C群をパイプホルダー4A上に配置した形態で、縦管8C群を前方にスライドさせて、先端のヘッダー主管8Aを主管受5Aに当接押圧し、次いで、加工対象物の縦管8C群に対して縦管クランプ装置4をスリップ前進させながら移動テーブル板2AをSP位置まで前進させた状態で、押圧板4Bを押圧確保位置とすることにより、縦管8C群は作業域SW内の加熱装置6の融着作業部位、即ち継手用枝管8B群、に近接した部位で確保出来、加工対象物の縦管8C群は、枝管8B群に対する変位、嵌入弛みを生ずることなく、設計どおりに、均斉に溶接接着が可能となる。
【0029】
また、本発明の熱融着機にあっては、上下の加熱装置6は、図7に示す如く、同一構造物であって、ポスト1Aに固定した伸縮シリンダーJ1の伸縮ロッドJrの先端に、融着バー6C、融着ヒーター6B、加熱駒6Aを連設し、加熱駒6Aの先端に、継手用枝管8B群の外周面に対応する半円当接面の嵌合溝6G群を配置するのが好ましい。
【0030】
尚、加熱駒6Aの先端の嵌合溝6G群は、上下の加熱装置6で加工対象物、即ち継手用枝管8B群、を上下から挟着した際に、半円当接面の上下一対で枝管8B外周を均斉に被覆挟着するものである。
この場合、融着バー6Cは、加工対象物の全幅をカバーする左右幅が長寸(標準:810mm)の融着ヒーター6B及び加熱駒6Aへの、伸縮シリンダーJ1からの制御上下動を担保するものであって、剛性バーであり、典型的には、幅Wcが25mm、高さhcが30mm、長さLcが810mmの断面矩形鋼棒であり、両端を、左右ポスト1Aに固定した伸縮シリンダーJ1の伸縮ロッドJrと固定したものである。
【0031】
従って、上下の加熱装置6を同一構造としたため、機枠ポスト1Aに対する取付けも、上下方向逆で取付ければ良く、熱融着機の装備品としての準備面、メンテナンス面、作動制御面から有利であり、且つ作用面でも、加工対象物、即ち継手用枝管8B、の外周面への均等作用が得られる。
そして、加熱装置6の高温発熱体である融着ヒーター6Bを、融着バー6Cを介在して伸縮シリンダーJ1に連結したため、制御駆動体としての伸縮シリンダーJ1の融着ヒーター6Bからの熱伝達による熱歪が抑制出来、加熱装置6は、正確、且つ安定した設計どおりの運動及び作用を発揮する。
【0032】
また、本発明の加熱装置6にあっては、融着バー6Cと融着ヒーター6Bとは、図6(A),(B)に示す如く、セラミックカラー6Dを介してボルト6Pで締着し、加熱駒6Aは、図6(C)に示す如く、複数分割形態で融着ヒーター6B下面に直列嵌合すると共に、加熱駒6Aの半円当接曲面R6を含む表面全域に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(商標名:テフロン)の焼付塗膜6eを付与するのが好ましい。
この場合、セラミックカラー6Dは、連結ボルト6Pを挿入するスリーブ6fとつば6rとを備えた物であり、典型的には、つば6rは厚さ5mm、スリーブ6fは厚さ2mmである。
また、加熱駒6Aの複数分割化は、融着バー6Cの熱伸長による影響を抑えるためであり、典型的には、加熱駒6Aは、179mm長として、相互に1mm間隔保って直列配置する。
【0033】
従って、高温の融着ヒーター6Bから融着バー6Cへの、当接界面を介した熱伝達も、連結ボルト6Pを介した熱伝達も、熱不良導体のセラミックカラー6Dによって抑制出来、融着バー6Cの熱変位が抑制出来て伸縮シリンダーJ1の設計値どおりの制御作動が保証出来る。
そして、加熱駒6Aは間隔(標準:1mm)を保って配置したため、典型例の、720mm長のアルミ合金製融着ヒーター6Bの熱伸長6mmに対して、1mm間隔を保って4本直列で、対応配置した加熱駒6Aは、融着バー6Cの熱伸長に追従することなく、各加熱駒6A内での熱伸長に止まり、加工対象物、即ち継手用枝管8B群、に対しての挟着加熱作用に支障は生じない。
しかも、加熱駒6Aが、表面にテフロン(商標名)塗膜を備えているため、加工対象物の押圧融着表面がきれいに仕上がる。
【0034】
また、本発明の熱融着機にあっては、図1に示す如く、固定テーブル1Tの後側に、補助テーブル9を前後位置調整可能に連設配置し、補助テーブル9の前部には縦管8C群用受プレート11Bを配置し、受プレート11Bの後方には、前面にヘッダー主管8A嵌合用の受台10Vを備えた定規板10Aを、補助テーブル9上で前後位置調整自在に配置するのが好ましい。
【0035】
従って、熱融着機の後部に補助テーブル9を配置したため、予め人手で、縦管8C群の両端にヘッダー8を嵌着した形態での加工対象物の準備スペースが得られ、加工対象物の熱融着機への仕掛けも、前方のヘッダー8はポスト1Aに固定したヘッダー受5に当接支承して、後方のヘッダー8は補助テーブル9上の受台10Vに当接支承し、定規板10Aの前後調整によって、前端のヘッダー受5に適正保持したヘッダー8に対する各縦管8Cの嵌合弛みが抑制出来る。
【0036】
そして、前端のヘッダー8と縦管8C群との融着接合終了後は、補助テーブル9上の定規板10Aを後退させて、加工対象物を取出した後、再度、加工対象物を前後反転して、未加工のヘッダー8をヘッダー受5に当接して継手用枝管8B部を加熱融着すれば、縦管8C群の両端にヘッダー8の融着接合した製品、即ち1枚の放熱パネルが得られる。
【0037】
従って、補助テーブル9の採用は、縦管8Cが、長寸で、熱癒着機の後方へ長寸延出して垂れ下がる場合に特に有効であり、縦管クランプ装置4が、移動テーブル板2Aによる前進位置(SP位置)での、縦管8Cの押圧確保前に、加工対象物を後側から前側へ定規板10Aで押圧することにより、縦管8C群の継手用枝管8B群への弛みの無い嵌入状態と出来るため、縦管8C群のヘッダー枝管8Bへの、均等な嵌合状態保持の下での、均質な熱融着が作業性良く実施出来る。
【0038】
また、本発明の熱融着機にあっては、加熱装置6の融着ヒーター6Bを温度管理し、ヘッダー枝管8B及び縦管8Cの溶解融着時間と共に、各伸縮シリンダーJ1,J3,J4を、タイマーを介在して制御作動するのが好ましい。
この場合、融着ヒーター6Bの温度及び溶解時間は、対象プラスチックパイプの材質、太さに対応して最適条件を決定すれば良く、PP−R樹脂製の、肉厚tbが3.6mmで、取付孔Hb部の肉厚thが2mmの枝管8Bと、肉厚tcが1.6mmの縦管8Cとを採用する場合は、融着ヒーター6Bの表面温度が210〜220℃で、加熱時間は80秒で実施すれば良い。
【0039】
従って、本発明の熱融着機は、人手による、ヘッダー枝管8Bへの各縦管8Cの嵌入接続による加工対象物の準備作業、及び加工対象物の縦管クランプ装置4の貫通によるヘッダー受5への当接作業以外の、製品の良否を決定する。
加熱、融着等の重要作業は、シーケンス自動制御で機械的に遂行出来るため、ヘッダー8への縦管8C群の直交連通接続が、均質性の担保の下に、高い生産性で実施出来る。
尚、水冷手段も、ドレンパン7Bの出没は人手操作であるが、散水開始、散水終了は機械的に制御実施出来、水冷手段の併用により、加工対象物の冷却時間が短縮出来、生産性が向上する。
【発明の効果】
【0040】
本発明の熱融着機にあっては、加熱装置6を、両側ポスト1A内のポスト幅W2の作業域SWに上下対向配置し、加工対象物、即ちヘッダー8に縦管8C群を嵌入した長尺物を水平配置して加熱融着作業を実施するため、熱融着機上での、加工対象物の、準備作業及び仕掛け作業が、目視の下に簡単な作業で実施出来、高熱で駆動する加熱装置6は、狭い作業域SW内での上下運動であるため、省スペースの下での安全性の高い機械となる。
【0041】
そして、加工対象物の加熱融着作業にあっても、加工対象物は、縦管クランプ装置4が移動テーブル2によって作業域SW内に前進した状態で縦管8C群を確保するため、継手用枝管8B群に嵌入した縦管8C群は、枝管8Bの近傍位置で把持されて、各縦管8Cは、個々の可撓性による垂れ変位や、枝管8Bへの嵌入差異が抑制出来、各枝管8Bに対して適性姿勢の下で加熱融着作用を受け、全縦管8Cの全枝管8Bに対する均斉な融着接続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明熱融着機の縦断側面図である。
【図2】本発明熱融着機の上面図である。
【図3】(A)は図1の矢印A視図であり、(B)は図1の矢印B視図である。
【図4】機枠架台の説明図であって、(A)は熱融着機架台の斜視図、(B)は補助テーブル架台の斜視図、(C)は(A)のC部説明図、(D)は(A)のD部説明図である。
【図5】移動テーブルの説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)はスライドユニットの縦断正面図、(C)はスライドユニットの斜視図である。
【図6】加工対象物の把持手段説明図であって、(A)は縦管クランプ装置及びヘッダー受の関係構造縦断側面図、(B)は縦管クランプ装置4の斜視図、(C)はパイプホルダーの部分縦断正面図、(D)はヘッダー受5の縦断側面図である。
【図7】加熱装置6の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は正面図、(C)は加熱駒斜視図である。
【図8】冷却装置の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は一部切欠正面図である。
【図9】熱融着機の、加工対象物をセットした状態の、縦断側面図である。
【図10】熱融着機の、加熱融着状態の、縦断側面図である。
【図11】熱融着機の、冷却作用状態の、縦断側面図である。
【図12】加工対象物の説明図であって、(A)はヘッダーの一部横断平面図、(B)はヘッダー8に縦管8Cを融着した半製品8Kの部分縦断側面図、(C)は半製品8Kの部分平面図、(D)は、加工対象物で得られた放熱パネルの斜視図である。
【図13】従来例1の説明図であって、(A)は融着作業状態の断面図、(B)は融着製品の断面図である。
【図14】従来例2の説明図であって、(A)は主管の孔開け状態説明断面図、(B)は主管用加熱工具と主管との斜視図、(C)は分岐管加熱工具と分岐管との斜視図、(D)は主管と分岐管の接合作業斜視図、(E)は融着接合状態斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を、図12に示す加工対象物の過熱溶融接続処理への適用に就いて、実施例で詳述する。
図12(A)は加工対象物のヘッダー8の一部横断平面図であり、図12(B)は融着加工済の、半製品8Kのヘッダー8に縦管8Cが融着接続された構造の縦断側面図であり、図12(C)は、半製品8Kの部分説明図であり、図12(D)は縦管8C群の両端にヘッダー8を融着固定した完成品としての放熱パネルを、更に2枚重層連通して形成したプラスチック放熱器の斜視図である。
【0044】
本発明の熱融着機による加熱処理は、図12(A)に示す、継手用枝管8B群を側面から並列直交突出したヘッダー8に対し、縦管8C群をヘッダー枝管8B群内に嵌入して、継手用ヘッダー枝管8B群の外周から加熱溶融作用を加えて、ヘッダー8の継手用枝管8Bと縦管8Cとを融着接合する処理であり、縦管8C群の一端(先端)側にヘッダー8を融着処理した後、同一処理によって、縦管8C群の他端(後端)側にもヘッダー8を融着処理することにより、縦管8C群の両端にヘッダー8の一体化連通した完成品としての放熱パネルが得られる。
【0045】
ヘッダー8と縦管8Cとは、同一材料のポリプロピレン、ランダム、コポリマー樹脂(PP−R樹脂)製であって、ヘッダー8は、図12(A)に示す如く、主管8Aが、外径(dA)27mm、肉厚(ta)5mm、長さL8が350mmの長尺物で、一側面からは、外径(dB)17mm、肉厚(tb)3.6mm、長さ(LB)30mmの継手用枝管8B群を、中心間寸法PAが20mmで平行密集突設し、枝管8Bの先端beからは、内径dcが13mmの、縦管8Cの先端部を嵌合するための、取付孔Hbを深さ10mmで備え、取付孔Hbの内端に段部bfを形成し、枝管8Bは取付孔Hb部では肉厚thを2mmとした射出成形品である。
また、縦管8Cは、図12(B)に示す如く、外径dCが13mm、肉厚が1.6mmで、内径crが、枝管内径brと同一の、9.8mmの押出成形品を適寸に裁断した長尺物(標準:1900mm)である。
【0046】
〔熱融着機の概要(図1、図2、図3)〕
図1は、後方に補助テーブルを接続した熱融着機の縦断側面図であり、図2は補助テーブル接続熱融着機の上面図であり、図3(A)は図1の矢印A−A線視図であり、図3(B)は図1の矢印B−B線視図である。
熱融着機の後部の補助テーブル9は、加工対象物の縦管8C群が長尺である場合に採用して有利なものであって、採用が必須ではない。
【0047】
本発明の熱融着機Mは、図1、図2に示す如く、前側両端には作業域SWを規定するポスト1Aを立設し、両側のポスト1Aの後側BAに、下桟1D、縦桟1E、上桟1Cを剛構造一体化し、上桟1C上に固定テーブル1Tを固着した架台に対し、固定テーブル1Tの上面には前後動する移動テーブル2を配置し、移動テーブル2の上面前端には縦管クランプ装置4を固定し、両側のポスト1Aの前側からは、作業域SW内に突出形態でヘッダー受5を、縦管クランプ装置4と対向配置し、両側のポスト1Aを介して、作業域SWの前後中間位置に上下加熱装置6を対向進退運動するように配置し、ヘッダー受5の下面で、機械前側FAからは出没するドレンパン7Bを、ヘッダー受5の上方には冷却パイプ7Aを配置したものである。
【0048】
そして、熱融着機Mの稼動は、人手でヘッダー継手用枝管8B群の取付孔Hbに縦管8C群一端部を嵌入した、縦管8C群とヘッダー8との接続物、即ち加工対象物を、移動テーブル上に、ヘッダー8を前側にして載置し、開放状態の縦管クランプ装置4内を、人手で後側から挿入貫通して、ヘッダー8を、作業域SW内に前方から突出したヘッダー受5に当接押圧した状態の下で、移動テーブル2を縦管クランプ装置4と共に前進させて、縦管クランプ装置4が加工対象物の枝管8Bに近接した位置で、縦管8Cをクランプする。
【0049】
次いで、上下の加熱装置6を対向進出させて、加熱装置の対向先端の加熱駒6Aで継手用枝管8Bの外周を加熱溶融し、次いで、加熱装置6を上下に退去後、ドレンパン7Bを作業域SW内に進出させ、上方の冷却パイプ7Aから冷却水を散水して加工対象物の加熱融着部を冷却し、次いで縦管クランプ装置4を開放、後退させ、加工処理済の加工対象物を縦管クランプ装置4から後方へ抜去する。
そして、抜去した加工対象物は、再度、縦管8C群の他端部に、ヘッダー8を、継手用枝管8B群を介して接続し、同一の加熱融着工程を付与すれば、縦管8C群の両端にヘッダー8の溶着連通したプラスチックパイプ放熱パネルが得られる。
【0050】
この場合、図1に示す如く、補助テーブル9を併用すれば、長尺の縦管8C群であっても垂れ下がりが無く、且つ、補助テーブル9上の加工対象物の後端を前方へ押圧することにより、加工処理を受ける前端のヘッダー8の、ヘッダー受5への適切な当接押圧が出来るため、縦管クランプ装置4の、作業域SW内位置での縦管8C群のクランプ作用は、縦管8C先端の継手用枝管8B内への弛みの無い状態でのクランプが保証出来る。
【0051】
〔架台1(図4)〕
架台1は、熱融着機の各種機構部を配置するための支承枠体であって、図4(A)は架台1の全体斜視図、(C)は(A)のC部説明図、(D)は(A)のD部説明図である。
即ち、架台1は、図4(A)に示す如く、両側の溝形鋼のポスト1Aの後側に、上桟1C、下桟1D及び縦桟1Eから成る台枠を構築し、架台四隅、即ち両側ポスト1A及び縦桟1Eの下端、には、高さ調整ボルト1Kで高さ調整可能とし、上桟1C上には、9mm厚の鉄板を固着一体化して固定テーブル1Tとし、両ポスト1Aの上端を溝形鋼のポスト連結材1Bで一体化し、全体形状は、長さL1が980mm、幅W1が850mm、ポスト1Aの高さh1が1450mm、固定テーブル1Tの高さh2が700mmである。
【0052】
ポスト1Aは、慣用の溝形鋼(JISG3192)で、ウエブ1A´は厚さ9mm、幅W2が150mmで、フランジ1A”は厚さ12.5mm、幅L2が75mmで、長さ(高さ)が1375mmであり、下端にはボルト挿入用孔を備えた12mm厚の鋼板のアンカープレート1Vを溶接固定し、アンカープレート1Vを介して高さ調整ボルト1Kを配置しており、ポスト1Aの後側のフランジ1A”の、下端には下桟1Dを取付プレート1Sを介して、中間部には上桟1Cを取付プレート1Sを介してボルト締着する。
そして、台枠は、4.5mm厚で、一辺が75mmの慣用の角形鋼管(JISG3466)の上桟1C、下桟1D、縦桟1Eの溶接構造物であり、ポスト1Aの下端同様、後方の下桟両端でも、高さ調整ボルト1Kを配置し、左右の上桟1Cの外面には、図4(A)に示す如く、取付ボルト1Nを後側の補助テーブル9の接続用に突設したものである。
【0053】
〔補助テーブル9(図1、図4(B))〕
補助テーブル9は、加工対象物の縦管8C群の、特に、長尺物の場合に、図1に示す如く、熱融着機Mの後方に接続して有効なものであって、図4(B)は補助テーブル架台1´の斜視図である。
即ち、補助テーブル架台1´は、図4(B)に示す如く、上桟9C、下桟9D、縦桟9Eで台枠を構築し、下桟9Dの四隅下面には高さ調整ボルト9Kを配置し、左右長手方向L9の下桟9D下面には、架台移動用の車輪9Rを配置し、台枠上には固定テーブル9Tを取付け、前後方向両上桟9Cの外面には取付ボルト9Pを間隔配置したもので、架台1´の全体形状は、左右長さL9が、熱融着機と同寸の980mm、前後幅W9が500mmで、固定テーブル9Tの高さh9が725mmである。
【0054】
この場合、台枠は、3.2mm厚で一辺が75mmの、慣用の角形鋼管(JISG3466)の上桟9C、下桟9D、縦桟9Eで溶接構築したもので、車輪9Rは、慣用の、ストッパーを備えて360°回転機能を備えたものである。
そして、図1、図2に示す如く、固定テーブル9Tの前端縁9fには、加工対象物の縦管8C群を嵌合支承する受プレート11Bを、上桟1Cの前面を介して立設して、縦管8C群の後半部の垂れ下がり防止手段としている。
【0055】
そして、固定テーブル9Tの後端縁9eの中央には、ねじボルト支持台10Cを立設固定し、ねじボルト支持台10Cには、後端に取手10Eを備えたハンドル10Rから前方に延出した調整用のねじボルト10Kを螺合貫通し、ねじボルト10Kの前端には、支持パイプ10Bを介して、左右長さL12が820mmの、加工対象物の縦管8C群全幅をカバーする定規板10Aを配置して、ハンドル10Rの回転によってねじボルト10Kが前後動し、ねじボルト10Kの前後動で定規板10Aが固定テーブル9T上を前後摺動可能とし、定規板10Aの前面には、加工対象物の後端に位置するヘッダー8の後端を受け止めるための、断面C字形で前面を受容面とした受台10Vを固定したものである。
【0056】
〔移動テーブル2(図5)〕
移動テーブル2は、縦管クランプ装置4を前端に載置固定して、加工対象物への加熱融着作用時に前進して、縦管クランプ装置4による縦管8C群の加熱融着作用近接部位でのクランプを保証するものであり、図5(A)は移動テーブル2の縦断側面図、図5(B)はスライドユニット3の断面図、図5(C)はスライドユニット3の斜視図である。
即ち、移動テーブル2は、図5(A)に示す如く、固定テーブル1T上に伸縮シリンダーJ3を横設固定して、伸縮ロッドJrの先端にブラケット3Eを固定し、ブラケット3Eを上側の移動テーブル板2Aと固定し、移動テーブル板2Aの前後動を下面に配置したスライドユニット3を介して行うものである。
【0057】
スライドユニット3自体は、図5(C)に示す如く、上端に断面円形レール3Bを備えた長尺の支持体3Cと、レール3Bに嵌合するための嵌合溝3Gを下面に備え、上面にねじ孔N3を備えたスライドブロック3Aとから構成したものである。
そして、移動テーブル板2Aは、厚さ9mm、前後幅W4が625mm、左右長さL3が830mmであって、図5(B)に示す如く、固定テーブル1T上に、前後幅方向にスライドユニット3を配置し、支持体3CをねじN4で固定テーブル1T上に固定し、スライドブロック3A上に移動テーブル板2AをねじN5で固定し、移動テーブル板2Aを固定テーブル1Tに対して、前後幅方向に摺動可能としたものである。
【0058】
そして、図5(A)に示す如く、固定テーブル1Tと移動テーブル板2Aとの隙間g1の固定テーブル1T上に、ストローク長60mmの伸縮シリンダーJ3を、伸縮ロッドJrが前方水平伸縮する形態に固定し、伸縮ロッドJrの先端には、移動テーブル板2Aの下面にねじN7で、移動テーブル板アンカープレート先端t2と面一に固定したブラケット3Eに取付けた固定ボルト3Pを、ナット3Mで連結し、ブラケット3Eの前面には磁石Mgを、ドレンパン7B当接用に、移動テーブル板先端t2と面一に配置したものであり、移動テーブル板2Aは、先端t2が固定テーブル1T先端と面一の状態(図5(A))から、固定テーブル1Tに対して60mm突出可能としたものである。
【0059】
〔縦管クランプ装置4(図1、図6)〕
縦管クランプ装置4は、加工対象物の、加熱装置6での加熱溶着時に、縦管8C群を姿勢確保するものであって、図6(A)は、縦管クランプ装置が縦管8C群を姿勢確保した状態の要部縦断側面図、図6(B)は縦管クランプ装置4の一部切欠斜視図、図6(C)はパイプホルダー4Aの取付構造を示す拡大断面図である。
即ち、縦管クランプ装置4は、外径13mm、肉厚1.6mmの縦管8C群を所定間隔PA(標準:20mm)で確保するものであって、図6(A),(B)に示す如く、パイプホルダー4Aに対して、ストローク長30mmの伸縮シリンダーJ4で上下動する押圧板4Bとから成り、パイプホルダー4Aは、対象縦管8Cの径、配置間隔に応じて準備する。
【0060】
パイプホルダー4Aは、左右長さ750mm、前後幅200mm、厚さ15mmのアルミ金属板で、上面には中心間寸法PAが20mmで、直径13mmの半円形の嵌合溝4Gを備え、図2、図6(B)に示す如く、両側を、移動テーブル板2A上に、着脱自在に固定したクランプサイド4Dと固定し、下面を、図6(C)の如く、ねじN4で移動テーブル板2A上に、且つ、パイプホルダー4Aの先端taが移動テーブル板2Aの先端t2より寸法d4(標準:15mm)後退位置関係で、着脱自在に固定している。
【0061】
また、クランプサイド4Dは、上部中央に欠込み4Kを備え、両側のクランプサイド4Dの欠込み4Kには、差渡し状に、両側板及び底板を備えた長さ800mmのC形鋼(溝形鋼)のシリンダー受4Cを嵌入して、ボルト4P(図2参照)で固定し、シリンダー受4C内に固定したストローク長30mmの伸縮シリンダーJ4の伸縮ロッドJrをシリンダー受4Cから下方突出し、伸縮ロッドJrの先端に、幅200mm、長さ750mm、厚さ10mmのアルミ平板の押圧板4Bを固定したものである。
【0062】
〔ヘッダー受5(図2、図6(D))〕
ヘッダー受5は、ヘッダー8に縦管8C群を嵌合した状態の加工対象物を熱融着機に仕掛ける際の、加工対象物の先端のヘッダー8を支承するホルダーであって、図6(D)は、ヘッダー受5が加工対象物のヘッダー8を当接支持した状態の縦断側面図である。
ヘッダー受5は、図2に示す如く、両側のポスト1Aのウエブ1A´前端間に差渡し固定配置したものであって、一般厚3mm、長さ(L3)780mmのアルミ合金製アングル材であって、底板5Dと垂直板5Fとを備え、垂直板5Fは、外面には、ヘッダー主管8Aの外周面と整合する当接曲面5Rの、下側曲面突起5T´上側曲面突起5Tを備えた主管受5Aである。
【0063】
そして、下側曲面突起5T´と上側去臆面突起5Tでヘッダー主管8Aの外周の1/2を受容するもので、主管受5Aは、ヘッダー主管8Aの当接時の支承を確実とするため、上下当接曲面突起の先端間を結ぶZ―Z線は中心垂直線Y−Yに対して15°傾斜形態で、下側曲面突起5T´を上側曲面突起5Tより突出させたものである。
また、ヘッダー受5のポスト1Aへの取付けは、両端の取付板5Bをポスト1Aのウエブ1A´に溶接固定したボルト5Pを取付板5Bに貫通してナット5Mで締着する。
【0064】
〔加熱装置6(図3、図7)〕
加熱装置6は、図3(A)から明らかな如く、両側のポスト1Aの、ウエブ1A´面上方及び下方に定着した取付アングル6Kを介して固着した伸縮シリンダーJ1を介して、上下同一構造の加熱装置6を対向配置したもので、伸縮シリンダーJ1の伸縮ロッドJr先端には融着バー6Cを固定し、融着バー6Cから融着ヒーター6B先端に、縦管8C群用の嵌合溝6Gを有する加熱駒6Aを連設し、加熱融着作用時には、上下加熱駒6Aが縦管8C群を挟着被覆するものである。
【0065】
融着バー6Cは、図1、図3(A)及び図7(A)に示す如く、幅Wcが25mm、高さhcが30mm、長さLCが810mmの断面矩形鋼棒であり、長さ方向中心位置から左右対称に、孔径12mmのボルト挿入用孔H6の4本を、直径7mm連結ボルト6P挿通用に貫通し、両端上面に、伸縮シリンダーJ1の伸縮ロッドJr先端に固定した取付金具6TをねじNで螺着する。
【0066】
また、融着ヒーター6Bは、図7(C)に示す如く、幅Wbが15mm、高さhbが50mm、長さL6が380mmの断面矩形アルミ鋳造品(ACアルミ合金鋳造品)で、上面6Uからは、融着バー6Cと連結するための孔径7mmで深さ15mmのねじ孔H6´を備え、内部に鋳造一体化したストレートヒーター6Eの端部を、電源端子取付片6E´として、両端の欠込み6Mから突出し、前面中央からは、融着ヒーター6Bへの表面温度計測用の計測コード6S(図3(A)参照)を突出し、計測コード6Sを配電盤内の表示盤に接続するものである。
【0067】
そして、融着ヒーター6Bの下面には、図7(C)に示す如く、加熱駒6Aの上部を摺動嵌合するための嵌合溝Gaが、全長に亘って貫通している。
また、加熱駒6Aは、図7(C)に示す如く、慣用のアルミ(AL−Mg―Si系6151)製の、幅Waが6mm、長さLaが179mm、高さhaが14mmの断面矩形材で、基端には、融着ヒーター6Bの下面の嵌合溝Gaと整合する突辺を備え、先端には、加工対象物、即ち継手用枝管8B群、の外周面と整合する半円形の当接曲面R6から成る嵌合溝6G群を形成し、嵌合溝6G群を含む表面にテフロン(商標名)被覆加工したものである。
【0068】
従って、加熱装置6は、両側のポスト1Aに固定した両側の伸縮シリンダーJ1の伸縮ロッドJr先端の取付金具6Tに、1本の融着バー6cを差渡し形態で固着し、融着バー6Cの径12mmのボルト挿入用孔H6の、上面及び下面に、図7(A)に示す如く、厚さ5mmのつば6rと、内径8mmで厚さ2mmのスリーブ6fから成る耐熱性セラミックカラー6Dを嵌合配置して、2本の融着ヒーター6Bを直列形態で、径7mmのボルト6Pで締着し、2本直列の融着ヒーター6Bの下面には、加熱駒6Aの4本を、加熱駒6A間の間隔d6(標準:1mm)を保った直列形態で嵌合配置する。
【0069】
そのため、上下対向加熱装置6の加熱融着作用時には、加熱による融着バー6Cの伸長は、上下の加熱駒6A相互間隔d6(標準:1mm)で吸収して、継手用枝管8B群を、上下から全周挟着の形態で加熱融着出来ると共に、融着ヒーター6Bの高温熱(標準:220℃)の融着バー6Cへの熱伝達は、当接界面からの熱伝達は、セラミックカラー6Dのつば6rの存在で抑制出来、連結ボルト6Pからの熱伝達は、セラミックカラー6Dのつば6r及びスリーブ6fで抑制出来て、融着バー6Cは融着ヒーター6Bによる熱変位を受けないため、伸縮シリンダーJ1が設計どおりの制御駆動を達成する加熱装置となる。
【0070】
〔冷却装置7(図1、図8)〕
冷却装置7は、加工対象物の継手用枝管8Bを内部の縦管8Cと溶融接着後に、上下の加熱装置6を共に退去させた段階で、ドレンパン7Bを作業域SW内に進出させ、給水管7a上部のバルブ7vを開放して、ポスト1A間に差渡した冷却パイプ7Aから、シャワー孔Hsを介して、継手用枝管8Bに冷却水7wを散水するものであり、図8(A)は冷却装置の要部縦断側面図、図8(B)は一部切欠正面図である。
即ち、冷却装置7は、図3(A)に示す如く、冷却パイプ7A、給水管7a及びバルブ7vから成る散水設備と、図8に示す如く、蛇腹パイプ7Dを備えて前後動可能なドレンパン7Bの排水設備とで構成するものである。
【0071】
散水設備の冷却パイプ7Aは、外径27mm、肉厚5mmのプラスチック樹脂パイプであって、一側面をカットして断面C字状とし、カット開放面を、径1mmのシャワー孔Hs群を穿孔した散水板Paで閉止したものであって、図3(A)に示す如く、一端は閉止してポストウエブ1A´に貫通支承し、他端は反対側のポストウエブ1A´を貫通して床面FLから立設した給水管7aと接続したもので、給水管7a上部には、蛇腹パイプ7Dを介在して架台の上下調整に対応可能とし、給水管7aの経路内には、メンテナンス用のバルブ7v及び電気制御で開閉する電磁弁mvを配置している。
従って、散水設備は、電磁弁mvを制御開放すると、冷却パイプ7Aから冷却水7wが散水出来る。
【0072】
また、排水設備のドレンパン7Bは、図8(B)に示す如く、前面に取手7Eを備え、下面中央に排水用の蛇腹パイプ7Dを接続した、長さが850mm、高さ68mm、厚さ3mmの面板7Fと、面板7Fの下端から連なる長さ790mm、奥行きが130mmで1mm厚の底板7Tと、底板7Tの後端縁から高さ50mmで起立する背板7Kと、底板7Tの両側端縁から起立する側板7Sとを備えた鋼板製受皿であって、面板7Fの両側背面には、作業域SW内への進出時に、ポスト1A当接緩衝材としてのゴム片7gを張着し、背板7Kには、移動テーブル板先端t2と面一のブラケット3Eの磁石Mgと整合する位置に、磁石Mgを配置し、背板7K上端には、全長に亘って、背板7Kを挟着する形態でゴム片7gを配置し、ドレンパン7Bの進出時に、移動テーブル板2A先端t2との衝突を緩衝すると共に、ドレンパン7Bと移動テーブル板先端t2との磁石密着によって、散水冷却水7wの作業域SW内への落下を阻止出来るものである。
【0073】
また、図8(A),(B)に示す如く、両側板7Sの外面には、奥行き(前後長)全長に亘って、突起7Mを備えた補強板7S´を付設し、突起7Mの後端(奥端)には、外径25mmのプラスチック製戸車7Pを配置し、ポスト1Aのウエブ1A´面には、幅W2の全幅に亘って、1.2mm厚、高さ30mm、フランジ面幅が10mmの断面C字状のレール7Rを固定しておき、レール7Rの前端下面にも、突起7Mに配置した戸車7Pと、同質同材料の戸車7Pを配置する。
【0074】
この場合、突起7Mに配置した戸車7Pはレール7Rの下側フランジ上を前後動し、レール7Rに配置した戸車は補強板7S´の突起7Mの下面を支承して自転するため、ドレンパン7Bは、取手7Eでの前後操作により、容易に作業域SW内への出没が可能となり、図8(A)に示す如く、レール7Rの、上側フランジ下面及び下側フランジ上面にゴム片のストッパー7eを接着することにより、ドレンパン7Bの後端の突起7Mに配置した戸車7Pがストッパー7eで停止するため、ドレンパン7Bのレール7Rからの抜脱が防げる。
【0075】
〔熱融着機の稼動(図9、図10、図11)〕
図1は、熱融着機の、稼動前の縦断面図であり、図9は、熱融着機に加工対象物を仕掛けた状態の縦断側面図であり、図10は、熱融着機の加工対象物に加熱融着作用中の縦断側面図であり、図11は、加熱融着機の、加熱対象物を冷却中の縦断側面図である。
【0076】
(a).稼動準備(図1、図12)
熱融着機Mの、左右上桟1Cの取付ボルト1Nと、補助テーブル9の左右上桟9Cの取付ボルト9Pとを介して、連結アングル9Aで、熱融着機Mと補助テーブル9とを前後間隔調整の下に一体化連結する(図1の状態)。
また、加工対象物として、縦管8C群の両端に、ヘッダー8を人手で嵌着接合して用意する。
この場合、縦管8Cの外径dc(標準:13mm)が枝管取付孔Hbの内径13mmと同寸であり、且つ取付孔Hbの深さが10mmであるため、ヘッダー8と縦管8C群との接続状態は維持出来る。
【0077】
〔図1の状態から図9の状態まで〕
(b).縦管8C群の両端にヘッダー8を嵌合接続した加工物を、図1の点線図示の如く、開放状態の縦管クランプ装置4内を貫通して、前端(一端)のヘッダー8をヘッダー受5に嵌合載置し、後端(他端)のヘッダー8を補助テーブル9の定規板10A前面の受台10Vに嵌合して、ハンドル10Rの操作で、加工対象物の前端がヘッダー受5に押圧当接した状態に保持する(図1)。
尚、加工対象物の縦管クランプ装置4への貫通時には、図1の押圧板4Bの最上昇開放状態でヘッダー8を通過させて、各縦管8Cをパイプホルダー4Aの嵌合溝4Gに嵌めた状態で、押圧板4Bを、上下隙間確保位置、即ち縦管8C上面と押圧板4B下面との隙間が2〜3mmの位置として、定規板10Aの前進押圧によって、縦管8C群の上下変動乱れを抑制して、前端のヘッダー8をヘッダー受5に押圧嵌合する。
【0078】
(c).次いで、熱融着機Mの固定テーブル1T上の、ストローク長60mmの伸縮シリンダーJ3の作用によって、移動テーブル板2Aを作業域SW内へ60mm突出させて、移動テーブル板2Aの先端t2をSP位置とし、ドレンパン7Bも手動で引出し、縦管クランプ装置4の押圧板4Bを押圧確保位置に下降して、加工対象物を融着作業状態に確保する(図9)。
この場合、ドレンパン7Bはストッパー7eで停止し、ドレンパン背板7Kと移動テーブル板2Aの先端t2との間隔が加熱装置6の作業空間を提供する。
尚、ドレンパン7Bの引出し位置での保持は、必要に応じて、ポスト1A前面と面板7F間に慣用の、ラッチ手段等のストッパー手段を配置しても良い。
また、この状態(図9)にあっては、補助テーブル9上の定規板10Aによる後端のヘッダー8への押圧は、解除しておけば良い。
【0079】
〔図9の状態から図10の状態まで〕
(d).次いで、融着ヒーター6Bの表面温度が220℃となっている上下の加熱装置6を、上下の伸縮シリンダーJ1の同期伸長作用によって、作業域SW内に対向進出させ、加工対象物の継手用枝管8B群に対して、上下の加熱駒6Aを当接し、各枝管8Bの取付孔Hb部の全外周を、上下の加熱駒6Aの嵌合溝6Gで挟着被覆した形態で加熱溶融し、継手用枝管8Bと内部の縦管8Cを融着接合する。
この場合、PP−R樹脂パイプの枝管8Bの取付孔Hb部の肉厚が2mm、取付孔Hb内に密着嵌入した縦管8Cの肉厚が1.6mmであるため、上下加熱駒6Aの加熱溶融時間は、80±10秒とする。
【0080】
〔図10の状態から図11の状態まで〕
(e).加熱装置6による挟着加熱融着時間(標準:80秒)経過と共に、上下の加熱装置を、上下伸縮シリンダーJ1の同期作用で、作業位置から上方と下方とに退去させると共に、ドレンパン7Bを取手7Eを介して押出し前進させて、ドレンパン7Bの背板7Kの磁石Mgと移動テーブル先端t2下部のブラケット3E前面の磁石Mgとを当接した形態、即ちドレンパン7Bの後端縁と移動テーブル板2A先端t2縁とが当接した状態とし、加熱装置6の退去後の60秒間の自然冷却後、冷却パイプ7Aから冷却水7wを、継手用枝管8B群に、60秒間散水付与及び排水した後、散水設備を停止する。
【0081】
〔図11の状態から図1の状態まで〕
(f).加工対象物が冷却出来た段階で、縦管クランプ装置4を、伸縮シリンダーJ4の作動制御によって開放位置とし、補助テーブル9上では、定規板10Aを後退させて、ヘッダー受台10Vから後端ヘッダー8を開放し、縦管8C群の前端に前側ヘッダーの融着一体化した加工対象物(半製品8K)を、縦管クランプ装置4から抜き出して、後方に引出す。
次いで、移動テーブル2も、伸縮シリンダーJ3による制御作動で、後方に退去させる(図1)。
【0082】
〔放熱器の製作(図12)〕
そして、補助テーブル9上の定規板10Aを後方に退去させ、取出した半製品8Kとなった加工対象物を、前後反転して、未加工の後端部を前側として、図1の点線の如く、未加工のヘッダー8を、縦管クランプ装置4を貫通してヘッダー受5に当接し、補助テーブル9上では、既加工部のヘッダー8を受台10Vに嵌合して、定規板10Aの前進によって未加工部の前端ヘッダーをヘッダー受5の主管受5Aで密接保持し、前述同様、ヘッダー枝管8Bに対する加熱融着→冷却工程を付与することにより、加工対象物は、両端のヘッダーが縦管8C群に融着接合した、完成品としてのプラスチック製放熱パネルが得られる。
【0083】
そして、同一構造で得られる2枚のプラスチック放熱パネルを、図12(D)に示す如く、一方の放熱パネル81の上側ヘッダー右端には冷温水供給口8Sを、他方の放熱パネル82の上側ヘッダー右端には冷温水排出口8Rを突設し、2枚の放熱パネル81,82の、対向ヘッダー主管8A端部を、連通パイプ8E及びスペーサーパイプ8Dで一体化して、冷温水供給口8Sから冷温水排出口8Rへの循環流を可能とすれば、プラスチック放熱パネルの、2連層型、即ち2枚重ね型のプラスチックパイプ放熱器となる。
【0084】
本発明の実施例で得られたプラスチック放熱パネルにあっては、ヘッダー8と縦管8C群との融着部は、図12(B),(C)に示す如く、細幅(標準:6mm)の加熱駒6Aがテフロン(商標名)被覆されていて、溶融樹脂との離型性が良いため、挟着溶融作用を受けた8T部の両側には、全周に亘って小寸(標準:0.5mm)の融着突部8Mのみが残存する、均質融着を示す機能美を備えたものとなり、従来手法(図14)での融着製品と明確に判別出来る、外観からだけでも、均斉、確実融着を表出した製品となる。
しかも、融着加工自体も、製品の品質を決定する、加熱温度、溶融時間、押圧融着時間と共に、各作動伸縮シリンダー群、冷却水供給電源弁等もタイマーを介して制御作動するため、従来(図14)の製作手法よりも、遥かに高品質の溶着連通製品が、均質性の担保の下に、高い生産性で製作出来る。
【符号の説明】
【0085】
1,1´ 架台(機枠架台)
1A ポスト
1A´ ポストウエブ(ウエブ)
1A” ポストフランジ(フランジ)
1B ポスト連結材
1C,9C 上桟
1D,9D 下桟
1E,9E 縦桟
1K,9K 高さ調整ボルト
1M,3M,5M ナット
1N,9P 取付ボルト
1P,6P ボルト
1S 取付プレート
1T,9T 固定テーブル
1V アンカープレート
2 移動テーブル
2A 移動テーブル板
3 スライドユニット
3A スライドブロック
3B,7R レール
3C 支持体
3E ブラケット
3G,4G,6G,Ga 嵌合溝
3P,4P,5P 固定ボルト
4 縦管クランプ装置(クランプ装置)
4A パイプホルダー
4B 押圧板
4C シリンダー受
4D クランプサイド
4K,6M 欠込み
5 ヘッダー受
5A 主管受
5B 取付板
5D 底板
5F 垂直板
5R,R6 当接曲面
5T,5T´突起
6 加熱装置
6A 加熱駒
6B 融着ヒーター
6C 融着バー
6D セラミックカラー
6E ストレートヒーター
6E´ 電源端子取付片
6e 焼付塗膜
6f スリーブ
6K 取付アングル
6r つば
6S 計測コード
6T 取付金具
7 冷却装置
7A 冷却パイプ
7a 給水管
7B ドレンパン
7D 蛇腹パイプ
7E,10E 取手
7e ストッパー
7F 面板
7g ゴム片
7i,mv 電磁弁
7K 背板
7M 突起
7P 戸車
7S 側板
7S´ 補強板
7T 底板
7v バルブ
7w 冷却水
8 ヘッダー
8A ヘッダー主管(主管)
8B 継手用枝管(枝管)
8C 縦管
8D スペーサーパイプ
8E 連通パイプ
8K 半製品
8M 融着突部
8R 冷温水排出口(排出口)
8S 冷温水供給口(供給口)
9 補助テーブル
9A 連結アングル
9R 車輪
10A 定規板
10B 支持パイプ
10C 支持台
10K ねじボルト
10R ハンドル
10V 受台
11B 受プレート
81,82 放熱パネル
be 枝管先端
bf 段部
cf 縦管先端
FL 床面
Hb 取付孔
Hs シャワー孔
J1,J3,J4 伸縮シリンダー
Jr シリンダーロッド
M 熱融着機
Mg 磁石
PA 中心間寸法
Pa 散水板
SW 作業域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両側には作業域(SW)を規定する幅を備えたポスト(1A)を立設配置し、ポスト(1A)間の作業域(SW)で、1本のヘッダー主管(8A)から継手用枝管(8B)群を直交形態で平行突出したヘッダー(8)に、長尺の縦管(8C)群を直交溶着するプラスチックパイプ熱融着機であって、ポスト(1A)の後側(BA)に連設した固定テーブル(1T)上には、上面前部に縦管クランプ装置(4)を載置した前後移動テーブル(2)を配置し、ポスト(1A)前側(FA)の、縦管クランプ装置(4)と対向する位置には、ヘッダー受(5)を、作業域(SW)に突出形態で、ポスト(1A)間に差渡し配置し、作業域(SW)内を対向上下動する上下一対の、先端には継手用枝管(8B)群の周面と整合する嵌合溝(6G)群を備えた加熱装置(6)を、ポスト(1A)を介して配置した、プラスチックパイプ熱融着機。
【請求項2】
ヘッダー受(5)の上方には、上側加熱装置(6)の上下運動に干渉しない形態で、散水用冷却パイプ(7A)を配置し、ヘッダー受(5)の下方には、ポスト(1A)前側(FA)から作業域(SW)内に出没するドレンパン(7B)を配置した、請求項1に記載の熱融着機。
【請求項3】
ヘッダー受(5)は、継手用枝管(8B)群を作業域(SW)内に水平突出した形態で、ヘッダー主管(8A)の前半外周を受容するための、下側突起(5T´)が枝管(8B)側に突出し、上側突起(5T)が枝管(8B)側から後退した断面半円形の、ヘッダー主管(8A)の外周面と整合する当接曲面(5R)を備えた主管受(5A)を、両側ポスト(1A)間に、着脱自在に差渡し固定した、請求項1に記載の熱融着機。
【請求項4】
縦管クランプ装置(4)は、上面に縦管(8C)用嵌合溝(4G)群を備えたパイプホルダー(4A)を、移動テーブル板(2A)の前端に着脱自在に固定し、押圧板(4B)が、伸縮シリンダー(J4)の上下動作用によって、縦管(8C)群に対して、押圧確保位置、上下隙間確保位置及び開放位置の制御運動を行う、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱融着機。
【請求項5】
移動テーブル(2)は、固定テーブル(1T)と上方の移動テーブル板(2A)との隙間(g1)で、固定テーブル(1T)上に固定した伸縮シリンダー(J3)とスライドユニット(3)によって、移動テーブル前端(t2)が、ポスト(1A)の後側(BA)と、加熱装置(6)上下動と干渉しない作業域(SW)内中間位置(SP)間を前後動し、縦管クランプ装置(4)の押圧板(4B)は、伸縮シリンダー(J4)の制御運動によって、移動テーブル板(2A)の前端(t2)が、ポスト(1A)の後側(BA)位置で、開放位置及び隙間確保位置を占め、作業域(SW)内の中間位置(SP)で押圧確保位置を占める、請求項4に記載の熱融着機。
【請求項6】
上下の加熱装置(6)は、同一構造物であって、ポスト(1A)に固定した伸縮シリンダー(J1)の伸縮ロッド(Jr)の先端に、融着バー(6C)、融着ヒーター(6B)、加熱駒(6A)を連設し、加熱駒(6A)の先端に、継手用枝管(8B)群の外周面に対応する半円当接面の嵌合溝(6G)群を配置した、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱融着機。
【請求項7】
融着バー(6C)と融着ヒーター(6B)とは、セラミックカラー(6D)を介してボルト(6P)で締着し、加熱駒(6A)は複数分割形態で融着ヒーター(6B)下面に直列嵌合すると共に、加熱駒(6A)の半円当接曲面(R6)を含む表面全域に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(商標名:テフロン)の焼付塗膜(6e)を付与した、請求項6に記載の熱融着機。
【請求項8】
固定テーブル(1T)の後側に、補助テーブル(9)を前後位置調整可能に連設配置し、補助テーブル(9)の前部には縦管(8C)群用受プレート(11B)を配置し、受プレート(11B)の後方には、前面にヘッダー主管(8A)嵌合用の受台(10V)を備えた定規板(10A)を、補助テーブル(9)上で前後位置調整自在に配置した、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱融着機。
【請求項9】
加熱装置(6)の融着ヒーター(6B)を温度管理し、ヘッダー枝管(8B)及び縦管(8C)の溶解融着時間と共に、各伸縮シリンダー(J1,J3,J4)を、タイマーを介在して制御作動する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の熱融着機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−25008(P2012−25008A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164847(P2010−164847)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(510113368)株式会社 テスク資材販売 (11)
【Fターム(参考)】