プラスチック半加工品用マイクロ波加熱装置およびマイクロ波によるプラスチック半加工品を加熱する方法
本発明は、熱可塑性材料から成る予備成形物(1)を加熱する方法および装置に関し、該予備成形物は、その加熱に続いて変形作用を受ける。予備成形物は、少なくとも加熱時間の一部の間、共振器(11)のマイクロ波に露出される。本発明の好ましい進展によれば、予備成形物の加熱は、共振器内で行われる。共振器は、電磁放射がその中に導かれ、その後、放射が連続反射によって所定の期間保持される構成要素である。共振器には、適切な電界強度分布を有する適切なマイクロ波場を発生させることが求められる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文部に記載の方法、および請求項8の前文部に記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック中空体の製造においては、しばしば、最初に予備成形物を加熱して、その後に成形する方法が用いられる。本手法の特定の適用分野は、例えば、食品容器、特にプラスチックボトルであり、これらは予備成形物から製造される。この目的のために、予備成形物は、加熱された後に、最終的な成形を受けて容器が形成される。加熱作用は、通常、赤外線放射または近赤外線放射を使用して行なわれる。赤外線を伴うこれらの加熱装置の不利な点は、加熱作用の効率が約20%と非常に低いことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、省エネルギの態様でプラスチック予備成形物を加熱することができる、方法、装置、および機構を創出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
方法に関する目的は請求項1の特徴部によって達成され、装置に関する目的は請求項29の特徴部によって達成され、機構に関する目的部は請求項59の特徴によって達成される。
【0005】
本方法は、予備成形物を加熱する役割を果たすが、予備成形物は、主にプラスチックから構成され、加熱後に、再成形、特にブロー成形または延伸ブロー成形される本体であると理解されたい。この場合、予備成形物は、食品産業用の容器類、特に飲料産業用のボトル類が製造される、プラスチック予備成形物であることが好ましい。プラスチックは、通常、熱可塑性プラスチック、好ましくはPETである。しかし、例えば、PET誘導体/共ポリエステル類、他のポリエステル類、ポリアミド類、ポリアクリル類、ポリカーボネート類、ポリビニル類(例、PVC、EVOH、PVA)、またはポリオレフィンのような他の材料を使用することも可能である。この場合のプラスチックの選択においては、良好な励起能力を主な目標としなければならない。このような良好な励起能力の基準は、高い誘電損率である。これは、プラスチックでも加熱することが可能であることを意味し、プラスチックは、それ自体は高い誘電損率を有するものでなくとも、プラスチックになされる添加剤の添加、または意図的な改質を介して高い誘電損率を獲得することが可能である。
【0006】
これらのプラスチック予備成形物は、開口領域、本体部分、および基部領域から成り、開口領域は、ねじ山または複数のビードを有することが好ましく、少なくとも1つのビードが、サポートリングとして実現されることが好ましい。ほとんどの場合、予備成形物の上部すなわち開口領域は、最終的に再成形されることはないので、この領域が再度加熱されることは好ましくない。したがって、成形すべき予備成形物は、しばしば異なる領域に分割され、それらは、全く加熱されない領域か、またはわずかに加熱される領域である。あるいは、わずかに加熱される領域、または加熱されない領域は、非常に薄く、したがって、大きな成形を必要としない領域でもあり得る。
【0007】
予備成形物の加熱される領域は、これまでと同様に、新しい加熱方法によって1つのステップで完全に加熱できるが、しかし、予備成形物の加熱される領域の全体が同時に加熱されることが好ましいことは自明である。本発明の好ましい進展は、予備成形物の加熱される領域が、段階的な態様で、または部分的に(連続して)加熱されるように構成される。この場合、段階的とは、予備成形物の加熱される領域が、時間的に連続して段階的に加熱されることを意味する。この場合、予備成形物は、連続的に加熱される複数のサブ領域(好ましくは3つ〜9つ)に分割される。
【0008】
部分的な加熱は、加熱される領域は同時に加熱されるが、それでも、高さまたは厚さのプロファイルに関して区別して加熱されるものと理解されたい。加えて、部分的な加熱は、予備成形物の外周に関する選択的加熱であると理解することもできる。円周方向の選択的加熱により、例えば楕円形の容器または他の外形の容器のような、異なる形状をより容易に形成することが可能となる。
【0009】
本発明の好ましい進展によれば、予備成形物の加熱は、共振器内で行われる。共振器は、電磁放射がその中に導かれ、その後、放射が連続反射によって所定の期間保持される構成要素であると理解されたい。共振器には、適切な電界強度分布を有する適切なマイクロ波場を発生させることが求められる。この場合、電界強度分布は、共振器の幾何学的構成および他の構成要素(例えば、マイクロ波コンパクトヘッド)に依存する。適切とは、等方性の加熱に対してはできる限り均一であり、一方で、非等方性の加熱に対しては不均一な電界強度分布が求められることを意味する。最適な電界強度分布を達成するために、複数のマイクロ波をオーバーレイすることも可能であり、該マイクロ波は、同じ周波数および異なる周波数の両方を有することができる。
【0010】
共振器は、共振器の高さ、したがって、マイクロ波場の範囲が、好ましくは、予備成形物の加熱される高さの一部にのみ対応するように設計される。高さは、0.01cm〜20cmが好ましく、0.5cm〜1cmが特に好ましい。さらに、共振器は、解放型、環状、または円板状のシステムであり、そこに予備成形物を挿入することができる。この目的のためには、共振器は円形の開口部を有することが好ましく、その直径は、予備成形物の直径の約1.1〜2倍に相当し、したがって、少なくとも部分的にその高さに対して、予備成形物の全周を包含する。このように、予備成形物は、共振器に出入りすることができる。共振器の幅は、1cm〜15cmであり、約4cmが好ましい。
【0011】
この場合、共振器の開口部は、共振器からの放射を防止するために、その直径が、予備成形物を加熱する放射の波長よりも小さくなるように選択される。このような共振器の幾何学的構成により、遮蔽に関して厳しい要件を満たす必要がなく、予備成形物のためのマイクロ波ベースの加熱装置を構成することが可能となる。共振器の幾何学的構成に応じて、漏れ放射の漏出を防止する保護装置を、共振器の上および/または下に載置することができる。好適な保護装置は、中空円筒であり、その幾何学的構成は、共振器の幾何学的構成、波長等に適合する。
【0012】
共振器の開口部は、予備成形物が、その長手方向軸の方向に、共振器の中に、またはそれを通って移動させられるように載置されることが好ましい。しかし、共振器が、予備成形物の長手方向軸に対して横方向に、予備成形物を共振器内へ移動できるようにする開口部を有することも可能である。
【0013】
本発明の好ましい進展によれば、共振器は、加熱機器内の予備成形物のそれぞれに割り当てられる。本発明の一実施形態は、予備成形物が、従来技術に現在しばしば見られるような経路に沿って、すなわち、領域を入れ替えることによって、それらの端部においてそれぞれが互いに接続された2つの直線に沿って移送されることで構成される。
【0014】
しかし、本発明の特に好ましい進展は、共振器内で、固定された機械軸の周囲を円運動で回転するように構成される。したがって、予備成形物は、機械軸に垂直な平面に関して円軌道を描く。この改良には、非常に高い機械速度を実現できるという利点がある。この加熱機器は、10〜80の共振器を有することが好ましく、20〜40の共振器を有することが特に好ましい。
【0015】
加熱される領域の加熱は、予備成形物が、その長手方向軸の一方向に移動させられ、その後に、その反対方向に共振器を通って移動させられるように行われることが好ましい。しかし、予備成形物が、1、2回だけではなく数回、共振器を通過させられることも考えられる。この場合、例えば2回、4回、または6回のような、共振器を通る直線移動が特に適切である。
【0016】
しかし、予備成形物を加熱するために、予備成形物の加熱される領域がその中に完全に挿入される共振器キャビティを使用することも可能であり、すなわち、好ましくは、各予備成形物が、その加熱される領域を完全に包含するキャビティ内で加熱されることが可能である。
【0017】
したがって、加熱工程は、予備成形物をそれらの長手方向軸に関して移動させずに、すなわち、予備成形物を、例えば放射状にキャビティ内に挿入して加熱を行うことができる。しかし、予備成形物を、キャビティ内へ移動させる、および/またはこれから取り出されることも考えられる。キャビティは、実質的に円形の経路上を移動することが好ましい。
【0018】
キャビティを使用する代わりに、共振器スタックを使用することも可能であり、該スタックでは、異なる数の共振器を互いにスタックして、それによって、長さに関して予備成形物の全体をまたはほぼ全体を挿入できる「キャビティ」を形成する。
【0019】
本方法の特に好ましい進展は、予備成形物の温度を、加熱前、および/または加熱中、および/または加熱後に少なくとも1回測定するように構成される。それによって、温度を内側および/または外側から測定することが可能になるので、本方法は、予備成形物の特に正確な温度調節または温度プロファイリングが可能になるという利点が得る。測定は、例えばポリマーまたはガラス繊維光ファイバセンサのような、適切なセンサによって達成されるが、後者のセンサは、マイクロ波の影響を受けない、およびマイクロ波がセンサの影響を受けない、といった利点がある。しかし、高温計には、非常に迅速に、かつ非接触の態様で作動するという利点がある。
【0020】
測定温度値は、予備成形物の温度管理が、できる限り正確に達成されるように、開ループおよび閉ループ制御デバイスに転送されることが好ましく、本発明の特に好ましい進展は、共振器を通る予備成形物の複数の通過がある場合に、予備成形物の第2の通過移動の段階であっても、加熱作用の適合を行うことができるように、第1の通過後に温度を測定するように構成される。このように、一方では、非常に正確な温度プロファイルを形成することが可能であり、他方では、例えば予備成形物の湿気のような、外側環境を特に満足のいく様態で考慮することが可能である。
【0021】
測定温度値を用いて、その後の加熱工程を調整することが好ましい。予備成形物の少なくとも1つの測定温度値を用いて、同じ加熱作用を調整することが好ましい。
【0022】
全ての作用に対する制御変数として、予備成形物の温度だけでなく、マイクロ波の反射電力も使用することが可能である。
【0023】
加熱作用の特定の進展は、温度測定を含み、予備成形物が、共振器を通ってその長手方向軸の方向に移動する第1のステップと、予備成形物が、まだマイクロ波場の影響を受けるゾーン内にある間に、特に共振器を最初に通過した後に、および/またはこの加熱段階中に、予備成形物の温度を測定する第2のステップと、予備成形物の実際の温度プロファイルを、特定の温度プロファイルと比較する第3のステップと、マイクロ波場の影響を受けるゾーンの中をさらに移動する間に、適合させた放射電力が予備成形物に印加されるように、マイクロ波の電力/共振器内の電界強度分布が、直ちに適合される第4のステップとで構成される。予備成形物が再び共振器を出る前に、さらに適合を行うこともできる。
【0024】
本方法の改良の利点は、例えば予備成形物の湿気のような外側環境に対する非常に迅速な反応が可能になるように構成されることである。したがって、加熱作用にかかる時間をより短くすることができ、共振器を通って通路を出入りするサイクルをより少なくすることも可能である。
【0025】
加熱のための方法のさらなる改良は、予備成形物を、(マイクロ波が印加される)共振器を通ってその長手方向軸の方向に移動させる第1のステップと、予備成形物の、その長手方向軸の方向への移動を停止する第2のステップと、予備成形物の温度プロファイルの測定が、垂直に移動可能な温度センサによって達成されるか、または移動可能な温度センサによって内側および/または外側から達成される第3のステップと、予備成形物の実際の温度プロファイルが、規定の温度プロファイルと比較される第4のステップと、共振器が、その放射電力/電界強度分布に関して適合される最後から2番目のステップと、予備成形物が、適合された共振器を通って反対方向に移動させられる最後のステップとで構成される。本方法の改良には、とりわけ、温度測定の前に、印加された熱がより適切に分布できる均一化期間を予備成形物が保持するという利点がある。その結果、予備成形物の所要の温度プロファイルに関して、より正確な値が得られる。
【0026】
共振器を通るその長手方向軸の方向に予備成形物を移動させることと、マイクロ波を共振器に適用することと、マイクロ波が印加される共振器を通って予備成形物を移動させることも可能である。
【0027】
明らかに、予備成形物を加熱して、加熱作用終了時の到達温度プロファイルを測定すること、および該プロファイルから、予備成形物の次の加熱作用の設定を決定することも可能である。この改良には、いかなる強力な、または非常に高速なフィードバック制御アルゴリズム、またはフィードバック制御機構も必要としないという利点がある。
【0028】
さらなる可能な加熱作用は、予備成形物を、マイクロ波がオフになったときに共振器の中に入れ、マイクロ波がオンになったときに共振器から取り出すことで構成される。これによって、省エネルギの態様で、単純な(強力にプロファイルされない)加熱作用を迅速に実現できる。
【0029】
本発明の特に好ましい進展によれば、予備成形物は、加熱作用中に、それら自体の長手方向軸の周りを(少なくとも部分的に)回転する。一方で、回転は、一律に生じさせることができ、これは、均一な電界強度分布によって、外周に関して均一の温度プロファイルをもたらすが、該回転は、不均一な態様で生じさせることもでき、これは、予備成形物の外周に関して温度プロファイリングをもたらす。第2の方法改良は、例えば、楕円形の容器等のような、成形容器の製造に用いることができる。成形容器の製造は、非等方性の電界強度分布が、共振器内またはキャビティ内で生成され、それによって、予備成形物が回転または移動させられなくても、差別的な加熱を達成することによって補助することができる。予備成形物内に異なる温度領域を形成するためのさらなる可能性は、マイクロ波場内での異なる保持時間を形成することである。
【0030】
本発明によれば、マイクロ波加熱ユニットは、少なくとも1つのマイクロ波発生器と、マイクロ波導体と、共振器とを備えている。マイクロ波発生器は、例えば、マグネトロン、クライストロン、またはジャイロトロンとすることができ、波は、いかなる態様でも発生させることができる。マイクロ波導体は、中空導体であることが好ましく、円形または矩形の断面が特に好ましい。同軸導体の使用は、排除されない。
【0031】
本発明の好ましい進展によれば、マイクロ波発生器は、マイクロ波コンパクトヘッドの中に配置され、後者は、少なくとも水積載(water load)、循環器、マイクロ波導体、および加熱器の変圧器、ならびにマイクロ波発生器および加熱器の変圧器用の端子リードとをさらに備えている。マイクロ波コンパクトヘッド内の水積載は、過剰なマイクロ波エネルギを吸収して、該ヘッドを損傷させないために必要である。この水積載は、水を満たしたシリコンまたはプラスチック管であることが好ましく、水は、十分な量の残留エネルギを連続的に吸収できるようにするために、回路内を循環する。
【0032】
循環器がさらに提供されるが、これは、3つの交差した同軸導体で構成されることが好ましく、その機能は、それぞれの場合の適切な方向において、マイクロ波をコンパクトヘッド内に経路設定することである。循環器が必要な理由は、とりわけ、マグネトロンが破壊される危険性があるので、発生場所から共振器まで経路設定されて再び戻るマイクロ波を、マグネトロン内に戻してはならないからである。従って、この場合には水積載への転送を行わなければならない。このために、循環器は集積フェライトを有し、マイクロ波をそれぞれ適切な出力口に転送する。
【0033】
マイクロ波同調器がさらに提供されることが好ましく、これによって、パワーを共振器内に定着させることができる。また、この場合、自動同調器ではなく手動同調器を使用することも可能である。少なくとも1つの温度センサが提供されることが好ましい。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、予備成形物のための加熱オーブンは、中央マイクロ波発生器を備え、発生したマイクロ波をそれぞれの発生器に転送する。この解決策には、例えばマイクロ波発生器を一度だけしか必要としないような技術を利用できる利点がある。
【0035】
本発明の別の進展は、複数のマイクロ波発生器を備え、それぞれがマイクロ波をいくつかの共振器に供給する。したがって、例えば4つのマイクロ波発生器を共振器に利用できるようにすることが可能である。この解決策には、1つのマイクロ波発生器に不具合が生じた場合に、加熱コースの少なくとも4分の3において、引き続き作動を継続させることができるという利点がある。本発明の特に好ましい進展によれば、各共振器は、マイクロ波発生器を備えたそれら自体のマイクロ波コンパクトヘッドを有する。この特徴によって、各予備成形物は、可能な限りほとんど個別的な処理を受けることができる。
【0036】
本発明のさらに有利な進展は、共振器が、それらに割り当てられたマイクロ波発生器を備え、中心軸の周りを回転する円形コンベア上に位置するように構成される。この円形コンベア機構には、非常に高い機械能力、およびそれによる予備成形物のスループットを実現できるという利点がある。
【0037】
しかし、共振器が、円軌道ではなく、例えば直線状のオーブンのような少なくとも部分的に直線的な軌道を描く搬送装置に固定されることも考えられる。これに対しては、共振器は搬送装置に固定され、搬送装置はチェーンによってラインに沿って移動させられることが考えられる。
【0038】
少なくとも1つのマイクロ波発生器の出力は、1kW〜10kWの範囲であることが好ましく、2kW〜3kWの発生器の出力によって特に良好な結果が達成される。
【0039】
加熱に使用されるマイクロ波の周波数範囲は、300MHz〜300GHzであり、特に好適な周波数範囲は、915MHz、2.45GHz、および5.8GHzである。
【0040】
本発明の有利な進展によれば、各共振器は、予備成形物のための受け取りユニットを有する。この受け取りユニットは、それ自体の軸の周りを予備成形物が移動するように、回転できることが好ましい。しかし、予備成形物を共振器に出し入れするために、予備成形物の長手方向軸に沿った移動も必要である。移動ユニットは、揚昇/下降/回転駆動を組み合わせた装置を備えることが好ましい。共振器への、および共振器の中での予備成形物の移動は、予備成形物の長手方向軸の方向に、またはその周りで達成されることが好ましいが、それでも、他の軸についての移動も可能である。したがって、例えば、予備成形物が、その長手方向軸の周りを回転せず、共振器を通る軸の周りを揺動運動することが考えられる。本進展には、マイクロ波が、予備成形物において、よりランダムな熱分布を達成するという利点がある。
【0041】
しかし、あるいは、予備成形物に対して共振器を移動させることもできる。
【0042】
特に好ましい進展は、マイクロ波加熱ユニットが、各予備成形物に割り当てられるように構成される。また、デバイス内に収容することができる予備成形物よりも少ない加熱ユニットが存在する、別の構成も考えられる。
【0043】
このような加熱装置の能力を増加させるために、複数の加熱レベルが互いの上に配置されることも考えられる。これらの加熱レベルは、互いに独立に負荷されるか、または予備成形物があるレベルでデバイスの中に取り込まれ、一方で、他のレベルでデバイスから取り出される工程であるとも考えることができる。
【0044】
加熱を改良したさらなる利点は、予備成形物が、それらの長手方向軸に関していかなる移動も受けないが、共振器が予備成形物に沿って移動することで構成される。
【0045】
加熱は、個々のまたは種々の群の予備成形物に対して、完全に独立した態様で設定することができる。互いに独立に設定することができるパラメータは、例えば、揚昇、揚昇速度、回転速度、マイクロ波電力、マイクロ波同調設定、共振器内の電界強度分布、または測定誘電率に基づくインピーダンス整合である。個々の設定は、例えば予備成形物の湿気が異なるといった、種々の理由から必要になり得る。
【0046】
装置は、ペットボトルが製造される、予備成形物用の加熱装置であることが好ましい。したがって、このような加熱装置が、例えば、延伸ブロー成形機、充填機、閉塞機、ラベル貼り機等を備えた機械機構内に配置されることが適切である。
【0047】
さらに有利な実施形態は、エネルギを固定部分から移動部分の中に送ることができるように、加熱装置が、高電圧用のスリップリングジョイントを有することで構成される。
【0048】
本発明の好適な開発形態によれば、マイクロ波だけでなく、赤外線放射も予備成形物に印加される場合に有利である。したがって、例えば、基本的な熱プロファイルが、赤外線放射によって予備成形物に与えられ、次いで正確な温度プロファイルが、マイクロ波のみによって行われることも考えられる。しかし、この工程の逆も考えられ、すなわち、基本的な温度プロファイルがマイクロ波のみによって与えられ、その後、赤外線放射によって、より正確な温度プロファイリングを予備成形物内に形成することができる。しかし、この場合、2つの加熱方法を、あらゆる順序で、あらゆるゾーン内に、およびあらゆる強度で互いに組み合わせることができるように、赤外線放射器をマイクロ波オーブン内にさらに載置することも考えられる。
【0049】
本発明の実際の実施形態は、以下の図面を参照してより十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、加熱装置の等角図である。
【図2】図2は、図1に記載の加熱装置の一部を示す図である。
【図3】図3は、加熱装置の詳細図である。
【図4】図4は、マイクロ波コンパクトヘッドを示す図である。
【図5】図5a〜5eは、予備成形物を加熱する作用順序の概略図である。
【図6】図6は、容器を製造するための組み込みを示す平面図である。
【図7】図7は、共振器の側面図である。
【図8】図8は、共振器から共振器への移送状況を示す側面図である。
【図9】図9は、加熱装置を具現化した等角図である。
【図10】図10は、図9に記載の代表例の一部を示す図である。
【図11】図11は、共振器を備えたマイクロ波導体のさらなる一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、予備成形物1の円形の加熱装置を示す図であり、予備成形物は、加熱作用の作用において、加熱装置の外周に従って円軌道上を移動する。この場合、加熱装置は搬送装置4を有し、同時に矩形の中空導体を構成する。この搬送装置4には、例えば、8個のマイクロ波コンパクトヘッド20および40個のマイクロ波加熱ユニット3というような、種々の構造ユニットが固定される。搬送装置4に固定されたこれらのユニットは、機械軸5の周りを共に回転する。上流側のユニットからオーブン40への移送は、例えば鋸歯スター(sawtooth star)、またはクリップスター(clip star)のような、スターによって達成される。
【0052】
図2は、図1によるオーブン40の一部を示す図であり、ここでは、マイクロ波加熱ユニット3が、より適切に説明される。同様に、図にはマイクロ波コンパクトヘッド20が示され、これらは、マイクロ波を発生し、この場合、中空導体22を構成する搬送装置4に直接接続される。注入要素8は、搬送装置4からマイクロ波加熱ユニット3に向かう方向に載置され、マイクロ波コンパクトヘッド20によって発生されたマイクロ波を、搬送装置4からマイクロ波加熱ユニット3に注入する。
【0053】
マイクロ波加熱ユニット3は、矩形のマイクロ波中空導体で構成されており、このマイクロ波中空導体は、S字形に湾曲し、その第1の端部は搬送装置4に、かつその第2の端部には共振器11が固定されている。共振器11は、円板状/平板状の、内部が中空の要素であり、その中央には円形の孔がある。この孔の寸法は、共振器11が予備成形物の高さの一部分にのみ相当する高さであるので、加熱されるそれぞれの予備成形物1を容易に案内することができるように選択される。中空共振器11は、マイクロ波加熱ユニット3の拡張部を構成し、中空導体と同様に、マイクロ波がそれを通って流れる。温度センサ24は、共振器11の領域内でマイクロ波加熱ユニット3に固定され、共振器11内へ下降するか、これから上昇するか、あるいは後方から案内される予備成形物1の温度を測定する。
【0054】
加えて、マイクロ波同調器23は、マイクロ波加熱ユニット3に固定され、この同調器は、マイクロ波加熱ユニットの導体空間を変化させることによって、マイクロ波に影響を与えること、すなわち、挿入された予備成形物の電界強度分布を最適化して、予備成形物1によって反射されたり、吸収されないエネルギの量を最小限に抑えることができ、それによって、予備成形物1の加熱作用の開ループまたは閉ループ制御も達成することができる。
【0055】
マイクロ波加熱ユニット3の前には、受け取りユニット25が半径方向外向きに位置し、その基本的な機能は、予備成形物1を受け取り、可能な限り有効な加熱を提供する移動を与えることである。受け取りユニット25は、予備成形物保持ユニット26と、(予備成形物のための)移動ユニット27とで構成される。ここでは、予備成形物保持ユニット26はロッドであり、予備成形物1の開口部に入り、それによって予備成形物を保持する。そうでないとキャビティから漏れ放射が発生する可能性があるので、予備成形物保持ユニットの少なくとも一部は、好適な非金属材料で作製されることが好ましい。好適な材料は、例えばテフロン(登録商標)のような低い誘電損率のプラスチックである。
【0056】
しかし、ここでは、内部グリッパだけではなく、外部グリッパによっても保持が達成されることが考えられる。
【0057】
移動ユニット27は、多機能駆動装置であり、異なる駆動装置を組み合わせて移動ユニット27を構成するか、または移動ユニット27が、全ての移動要件を満たす駆動装置によって構成されることが好ましい。一方で、下降移動が必要であり、これは、予備成形物1を、予備成形物の長手方向軸Aに沿って上から共振器11に挿入する。一方では、揚昇移動も必要であり、これは、予備成形物1を、予備成形物の長手方向軸に沿って共振器11から取り出す。加熱プロセスを極めてフレキシブルにするさらなる移動は、回転移動であり、これによって、予備成形物1は、その長手方向軸Aの周りを回転することができる。
【0058】
図3は、予備成形物1の加熱ユニットの別の実施形態の図である。基本的な違いは、各マイクロ波加熱ユニット3が、それ自体の割り当てられたマイクロ波コンパクトヘッド20を有して構成されることである。このために、マイクロ波加熱ユニット3は、同様に、矩形のマイクロ波中空導体として実現され、C字形で半径方向外向きに湾曲する。この場合、一端はマイクロ波コンパクトヘッド20内に開口し、一方で、さらに共振器11が他端に固定される。さらに、マイクロ波加熱ユニット3は、図2に記載されたように、同じくマイクロ波同調器23を備え、同じ機能を行う。ここでは、同様に予備成形物1は、受け取りユニット25によって保持され、この受け取りユニットは、予備成形物保持ユニット26と、移動ユニット27とを備える。
【0059】
図4は、マイクロ波コンパクトヘッド20の断面図である。内部には、例えばマグネトロンまたはクライストロンのような、マイクロ波発生器21が配置され、それによって、マイクロ波が発生され、マイクロ波導体22によって、循環器29へ、および後者のアプリケータ出力口30へ経路設定される。マイクロ波コンパクトヘッド20は、2つの終端32を有し、1つの終端は、加熱電圧のためのプラグイン終端であり、もう1つの終端は、マイクロ波発生器21に対する高電圧のための終端である。
【0060】
アプリケータ出力口30から図4には示されないマイクロ波加熱ユニット3に経路設定されたマイクロ波は、連続的に反射され、したがって、マイクロ波コンパクトヘッド20の循環器29にも戻る。マイクロ波が、マイクロ波発生器21に侵入しないようにするために、循環器29は、反射された放射を水積載28の方向へ選択的に転送することができる。ここでは、水積載28は、冷却水がそれを通って流れるU字形のシリコン管によって構成される。このマイクロ波コンパクトヘッド20によって、予備成形物1を加熱するためのマイクロ波の発生を、非常にコンパクトな制限された空間内で達成することができる。
【0061】
図5は、5つのステップにおいて、加熱ユニット内の加熱作用における予備成形物1の種々の位置を示す図である。予備成形物1は、この場合、加熱される領域2と、加熱されない領域10と、領域10内に位置するサポートリング9とを有する。予備成形物1は、予備成形物保持ユニット26上に同心円状に配置される。図2および3に記載された移動ユニット27によって、予備成形物1を、共振器11を通って矢印17および18の方向へ移動させることが可能となる。この場合、黒色のバー33は、図示されない共振器11のマイクロ波の影響ゾーン23を表す。図5aによる第1のステップにおいて、予備成形物1は、その長手方向軸Aに沿って矢印17の方向へ、マイクロ波の影響ゾーン23内へ移動させられ始める。
【0062】
図5bは、予備成形物1が、マイクロ波の影響ゾーン33を通って既にある程度移動された位置を示す図である。
【0063】
温度センサ24は、共振器の面TEの下に少し離して載置され、この場合、マイクロ波によって既に変化した、予備成形物1の温度を外側から記録している。
【0064】
また、基本的に、温度測定は、予備成形物1の中から行われることも考えられる。
【0065】
図5cは、予備成形物1の加熱される領域全体が、マイクロ波の影響ゾーン33に既に入ってしまったか、または入るところを示す図である。これは、その逆の点、すなわち予備成形物1が、マイクロ波の影響ゾーン33から長手方向軸Aに沿って矢印18の方向へ案内された次の到達点でもある。
【0066】
図5dは、図5bに相当する位置を示す図であるが、ここでは、予備成形物1は、その長手方向軸Aに沿って矢印18の方向へ移動させられる。マイクロ波の影響ゾーン33からの予備成形物1の除去が始まると、予備成形物1の特定の温度を正確に達成できるように、マイクロ波による加熱の適合も行われる。この温度センサ24とマイクロ波の適合との組み合わせを通じて、可能な限り正確な温度プロファイルが予備成形物1に与えられる。予備成形物保持ユニット26には、図示されない孔を提供することができ、この孔を通って、例えば、温度センサを加熱される予備成形物1の内部に延ばすか、または、例えば、温度を均一にするための冷却媒体のような特定の媒体を入れることができる。
【0067】
図5eは、図5aに対応する位置を示す図であるが、ここでは、加熱作用はすでに完了している。
【0068】
これで、マイクロ波の影響ゾーン33を通る経路によって、第2または第3の加熱作用を実行することもできるが、例えば休止段階を実行することができる。
【0069】
図6は、容器を製造するための装置を示す図である。この装置は、予備成形物1が分類されずにその中に配置される、予備成形物格納手段34を有する。
【0070】
ローラ分類機35は、予備成形物1の分離および分類を行い、その後、それらをオーブン40に供給する供給シュート36へ案内する。
【0071】
オーブン40において、予備成形物1は、上述のように加熱される。加熱後、予備成形物は、延伸ブロー成形機14に移送され、完成容器が形成される。容器の製造後、それらは充填機15に移送され、さらに密閉および/または図示されないラベル貼り機に移送される。このように、完全に充填および密閉した、例えば、飲料用瓶のような容器が製造される。オーブン40と延伸ブロー成形機14との間には、少なくとも2つの移送スターが載置されることが好ましく、これらは、加熱された予備成形物1の能動的および/または受動的な冷却を達成する。製造工程中のこの時点において、与えられたエネルギが一様に分布するように、加熱された予備成形物に、均一化期間を提供することが必要になる場合がある。この均一化期間は、例えば、統合型移送スターを介して提供することができる。均一化または冷却の期間は、延伸ブロー成形作用の後にも必要になる場合がある。ここでは、再び、容器の能動的および/または受動的冷却を提供することが可能である。能動的冷却は、内側または外側から、例えば、水、空気、窒素、または他の媒体によって達成することができる。受動的冷却は、延伸ブロー成形機14と下流側の機械との間に移送作用を提供することによって達成することができる。
【0072】
図7は、中空円筒11aをその上側および下側にそれぞれ有する、共振器11を示す図である。この中空円筒は、主にマイクロ波から保護する役割を果たす。ここでは、この保護装置は、円筒形であるが、当業者の措置の範囲内で、該保護装置を、例えば角度のある断面を有するような、異なる設計のものとすることもできる。共振器11内には、マイクロ波の作用ゾーンの範囲内に反射要素19がある。この反射要素19の機能は、予備成形物1の先端部をさらに加熱することである。反射要素19は、マイクロ波放射が予備成形物1の先端部の方向に集中するように実現される。
【0073】
好都合なことに、反射要素19は、共振器11を通る予備成形物1の移動中に、少なくともマイクロ波の作用ゾーン内では、予備成形物1の先端部から常に同じ距離にあるように実現される。これは、例えば、反射要素19を、共振器11を通って予備成形物1の長手方向軸Aの方向へ、同時に移動させることで実現することができる。また、反射要素を、予備成形物1の長手方向軸Aに垂直な方向に移動できることも考えられる。しかし、複数の反射要素19をマイクロ波の作用ゾーンの範囲内に載置した場合、これらの反射要素もまた種々の高さにあることも考えられる。そのときには、反射要素19を、それぞれ予備成形物1の移動経路の中へ旋回させることが可能である。反射要素19は、容易に交換できるように実現される。これには、いずれの場合においても、種々の予備成形物の幾何学的構成を、共振器11内で最適に処理することができるという利点がある。
【0074】
図8は、予備成形物1のデバイスへの好適な移送状況を示し、同時に、予備成形物1がさらに次の機械に移送される前に、それらを共振器11から引き継ぐ状況を示す図である。予備成形物1の、共振器11への移送および共振器11からの離脱は、ここでは、グリッパ50a、50bによって行われる。グリッパは、移送および引渡スターの一部であることが好ましく、これらは、ここでは、グリッパ50aと50b、および中央カラム37によって概略的にのみ示される。この場合、グリッパ50aは、例えば予備成形物分離装置のような、上流側の機械から予備成形物1を引き渡し、次いで、この予備成形物を予備成形物保持要素26に移送し、その後、上述の処理プロセスを行い、予備成形物1は、共振器11を通って、予備成形物の長手方向軸Aに沿って少なくとも1回案内される。予備成形物が、その処理後に共振器11の下側に現れると、グリッパ50aのように、同じ中央カラム37に作用可能に接続されたグリッパ50bによって握持されて、例えばラベル貼り機または充填機のような、下流側に位置する機械に移送することができる。回転機械の場合、この機構には、処理時に非常に大きな回転角を利用できる利点がある。このような機構によって、300°〜355°の処理角度を達成することができる。加えて、従来の解決策では2つのスターが統合されているのに対して、取込および排出スターとして必要な移送スターが1つだけであるので、これは、非常に省スペースな解決策である。
【0075】
図9は、回転設計で実現された、マイクロ波加熱装置の別の実施形態の等角図である。装置は、複数の受け取りユニット25を有し、複数(少なくとも2つ)の受け取りユニット25が、いずれの場合においても、受け取り搬送装置38上に載置される。各受け取り搬送装置は、移動ユニット27を有し、該ユニットは、予備成形物1の共振器11の方向への揚昇移動を行う。加えて、予備成形物保持要素26は、予備成形物1の回転移動を誘導するための駆動装置を有する。マイクロ波加熱装置は、マイクロ波同調器23、水積載28、およびマイクロ波発生器21からそれぞれ構成された、複数のマイクロ波コンパクトヘッド20を備える。スペースの理由から、いずれの場合においても、受け取りユニット25の1つのマイクロ波コンパクトヘッド20は、円板状のマイクロ波導体22の上側に配置され、1つのマイクロ波コンパクトヘッド20は、下側に配置される。マイクロ波導体22は、搬送装置4として実現され、平らな円板状であり、内側は中空であり、それによって、マイクロ波をマイクロ波発生器21から共振器11の方向に経路設定することができる。マイクロ波導体22は、この場合、2つの円板が互いの上に載置され、該円板が内部キャビティを形成し、それによって中空導体となるようにして実現することができる。但し、導体は、いかなる連続した円板状の中空導体も形成されないが、各共振器11が、区切られた中空導体22を形成するように、いずれの場合においても、セグメントだけが互いの上に載置されるように構成することもできる。
【0076】
図10は、図9に記載のマイクロ波導体22の断面図である。2つの中空導体セグメント39が、共振器面TE内で互いの上に載置され、それによってマイクロ波導体22を形成していることが分かる。2つの中空導体セグメント39は、それぞれ環状構造を有する。中空導体セグメント39の円周方向のさらに外側には共振器11があり、その上下に中空円筒11aを有する。個々の構成要素は、マイクロ波中空導体22を通る断面内に明確に確認することができる。マイクロ波発生器21、循環器29、および水積載28は、中空導体セグメント39の下側に位置する。循環器によって、マイクロ波は、発生器21からマイクロ波導体22の中へ経路設定され、共振器11の方向に同調器23を通過する。同調器は、3つの同調ピン23a、23b、および23cが、マイクロ波導体22内に延在し、それによって伝導断面に影響を及ぼすようにして実現される。このように、共振器1における予備成形物1の加熱を適合させることができる。この図示は、予備成形物1が現在共振器11内にある状態を示している。
【0077】
図11は、マイクロ波導体22のさらなる実施形態を示す図である。図10に記載の実施形態とは異なり、ここでは、マイクロ波導体22は、2つの環状または円板状の中空導体セグメント39から構成されておらず、複数の長手方向の部品が互いに接合されて、中空導体全体を形成する中空導体異形材として構成される。ここでは、同様に、マイクロ波同調器23が、3つのピン23a、23b、および23cを有することが分かる。加えて、ここでは不可視のマイクロ波発生器21から共振器11への方向には、共振器11内の最適なマイクロ波分布を設定するためにオリフィス板41が提供され、これによって、マイクロ波導体22の不連続な直径がもたらされる。載置のために、オリフィス板41が固定される固定要素42が提供される。この場合、固定要素42は、オリフィス板41に類似した通路寸法を有する。
【0078】
予備成形物は、実質的に円板状または平板状の共振器11の中へ、またはこれを通って、それらの長手方向軸Aの方向へ移動させられ、予備成形物1の外周全体を包含することが好ましい。また、予備成形物1は、共振器11の中へ、またはこれを通って、長手方向軸Aに対して垂直な方向へも移動させられることが好ましい。
【0079】
加熱作用中に、共振器面TE内に突出させられる予備成形物1の移動経路は、実質的に円軌道であることが好ましい。有利なことに、加熱される予備成形物1の各部分7は、共振器11を通って数回、ただし少なくとも2回、移動させられる。
【0080】
上述のように、プラスチック、特にPETの予備成形物(1)は、ブロー成形作用、特に延伸ブロー成形作用によって再成形される。
【0081】
赤外線およびマイクロ波放射の両方を予備成形物に印加することも可能である。
【0082】
予備成形物1のための移動ユニット27は、少なくとも1つの揚昇/下降駆動装置、および少なくとも1つの回転駆動装置であることが好ましい。また、予備成形物保持ユニット26は、予備成形物1のための外部および/または内部グリッパを備えることが好ましい。マイクロ波コンパクトヘッド20と同様に、マイクロ波加熱ユニット3は、予備成形物1のそれぞれに割り当てられることが好ましい。
【0083】
マイクロ波導体22を介して、少なくとも1つのマイクロ波加熱ユニット3に接続される中央マイクロ波発生器21が存在すると有利である。
【0084】
好適な一実施形態では、装置は、n個のマイクロ波発生器21と、m個のマイクロ波加熱ユニット3とを有し、ここではm>nである。装置は、回転設計の機械として実現されることが好ましく、また、予備成形物1を加熱することができる、少なくとも2つの平行なレベルを有することが好ましい。上述の搬送装置4は、好ましくはマイクロ波導体22を備える。
【0085】
装置は、プラスチック製の予備成形物1、特にPET製の予備成形物1を加熱するように構成されることが好ましい。
【0086】
また、装置は、1つの機械機構に統合され、そして、少なくとも1つの延伸ブロー成形機14を含むことが好ましく、延伸ブロー成形機14は、回転式延伸ブロー成形機であることが好ましい。
【0087】
また、赤外線加熱装置は、オーブン40の前および/または後にあることが好ましい。赤外線加熱装置は、オーブン40の外周にあることが好ましい。
【0088】
本発明は、上述の様に、少なくとも予備成形物1を加熱する装置と、延伸ブロー成形機14とで構成された、容器を製造する機構をも目的とする。
【0089】
能動的および/または受動的冷却用の装置は、予備成形物1を加熱するための装置と、延伸ブロー成形機14との間に載置されることが好ましい。また、受動的冷却のために、少なくとも2つの移送スターが存在する。さらに、少なくとも1つの充填機15および密閉機16が提供される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文部に記載の方法、および請求項8の前文部に記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック中空体の製造においては、しばしば、最初に予備成形物を加熱して、その後に成形する方法が用いられる。本手法の特定の適用分野は、例えば、食品容器、特にプラスチックボトルであり、これらは予備成形物から製造される。この目的のために、予備成形物は、加熱された後に、最終的な成形を受けて容器が形成される。加熱作用は、通常、赤外線放射または近赤外線放射を使用して行なわれる。赤外線を伴うこれらの加熱装置の不利な点は、加熱作用の効率が約20%と非常に低いことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、省エネルギの態様でプラスチック予備成形物を加熱することができる、方法、装置、および機構を創出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
方法に関する目的は請求項1の特徴部によって達成され、装置に関する目的は請求項29の特徴部によって達成され、機構に関する目的部は請求項59の特徴によって達成される。
【0005】
本方法は、予備成形物を加熱する役割を果たすが、予備成形物は、主にプラスチックから構成され、加熱後に、再成形、特にブロー成形または延伸ブロー成形される本体であると理解されたい。この場合、予備成形物は、食品産業用の容器類、特に飲料産業用のボトル類が製造される、プラスチック予備成形物であることが好ましい。プラスチックは、通常、熱可塑性プラスチック、好ましくはPETである。しかし、例えば、PET誘導体/共ポリエステル類、他のポリエステル類、ポリアミド類、ポリアクリル類、ポリカーボネート類、ポリビニル類(例、PVC、EVOH、PVA)、またはポリオレフィンのような他の材料を使用することも可能である。この場合のプラスチックの選択においては、良好な励起能力を主な目標としなければならない。このような良好な励起能力の基準は、高い誘電損率である。これは、プラスチックでも加熱することが可能であることを意味し、プラスチックは、それ自体は高い誘電損率を有するものでなくとも、プラスチックになされる添加剤の添加、または意図的な改質を介して高い誘電損率を獲得することが可能である。
【0006】
これらのプラスチック予備成形物は、開口領域、本体部分、および基部領域から成り、開口領域は、ねじ山または複数のビードを有することが好ましく、少なくとも1つのビードが、サポートリングとして実現されることが好ましい。ほとんどの場合、予備成形物の上部すなわち開口領域は、最終的に再成形されることはないので、この領域が再度加熱されることは好ましくない。したがって、成形すべき予備成形物は、しばしば異なる領域に分割され、それらは、全く加熱されない領域か、またはわずかに加熱される領域である。あるいは、わずかに加熱される領域、または加熱されない領域は、非常に薄く、したがって、大きな成形を必要としない領域でもあり得る。
【0007】
予備成形物の加熱される領域は、これまでと同様に、新しい加熱方法によって1つのステップで完全に加熱できるが、しかし、予備成形物の加熱される領域の全体が同時に加熱されることが好ましいことは自明である。本発明の好ましい進展は、予備成形物の加熱される領域が、段階的な態様で、または部分的に(連続して)加熱されるように構成される。この場合、段階的とは、予備成形物の加熱される領域が、時間的に連続して段階的に加熱されることを意味する。この場合、予備成形物は、連続的に加熱される複数のサブ領域(好ましくは3つ〜9つ)に分割される。
【0008】
部分的な加熱は、加熱される領域は同時に加熱されるが、それでも、高さまたは厚さのプロファイルに関して区別して加熱されるものと理解されたい。加えて、部分的な加熱は、予備成形物の外周に関する選択的加熱であると理解することもできる。円周方向の選択的加熱により、例えば楕円形の容器または他の外形の容器のような、異なる形状をより容易に形成することが可能となる。
【0009】
本発明の好ましい進展によれば、予備成形物の加熱は、共振器内で行われる。共振器は、電磁放射がその中に導かれ、その後、放射が連続反射によって所定の期間保持される構成要素であると理解されたい。共振器には、適切な電界強度分布を有する適切なマイクロ波場を発生させることが求められる。この場合、電界強度分布は、共振器の幾何学的構成および他の構成要素(例えば、マイクロ波コンパクトヘッド)に依存する。適切とは、等方性の加熱に対してはできる限り均一であり、一方で、非等方性の加熱に対しては不均一な電界強度分布が求められることを意味する。最適な電界強度分布を達成するために、複数のマイクロ波をオーバーレイすることも可能であり、該マイクロ波は、同じ周波数および異なる周波数の両方を有することができる。
【0010】
共振器は、共振器の高さ、したがって、マイクロ波場の範囲が、好ましくは、予備成形物の加熱される高さの一部にのみ対応するように設計される。高さは、0.01cm〜20cmが好ましく、0.5cm〜1cmが特に好ましい。さらに、共振器は、解放型、環状、または円板状のシステムであり、そこに予備成形物を挿入することができる。この目的のためには、共振器は円形の開口部を有することが好ましく、その直径は、予備成形物の直径の約1.1〜2倍に相当し、したがって、少なくとも部分的にその高さに対して、予備成形物の全周を包含する。このように、予備成形物は、共振器に出入りすることができる。共振器の幅は、1cm〜15cmであり、約4cmが好ましい。
【0011】
この場合、共振器の開口部は、共振器からの放射を防止するために、その直径が、予備成形物を加熱する放射の波長よりも小さくなるように選択される。このような共振器の幾何学的構成により、遮蔽に関して厳しい要件を満たす必要がなく、予備成形物のためのマイクロ波ベースの加熱装置を構成することが可能となる。共振器の幾何学的構成に応じて、漏れ放射の漏出を防止する保護装置を、共振器の上および/または下に載置することができる。好適な保護装置は、中空円筒であり、その幾何学的構成は、共振器の幾何学的構成、波長等に適合する。
【0012】
共振器の開口部は、予備成形物が、その長手方向軸の方向に、共振器の中に、またはそれを通って移動させられるように載置されることが好ましい。しかし、共振器が、予備成形物の長手方向軸に対して横方向に、予備成形物を共振器内へ移動できるようにする開口部を有することも可能である。
【0013】
本発明の好ましい進展によれば、共振器は、加熱機器内の予備成形物のそれぞれに割り当てられる。本発明の一実施形態は、予備成形物が、従来技術に現在しばしば見られるような経路に沿って、すなわち、領域を入れ替えることによって、それらの端部においてそれぞれが互いに接続された2つの直線に沿って移送されることで構成される。
【0014】
しかし、本発明の特に好ましい進展は、共振器内で、固定された機械軸の周囲を円運動で回転するように構成される。したがって、予備成形物は、機械軸に垂直な平面に関して円軌道を描く。この改良には、非常に高い機械速度を実現できるという利点がある。この加熱機器は、10〜80の共振器を有することが好ましく、20〜40の共振器を有することが特に好ましい。
【0015】
加熱される領域の加熱は、予備成形物が、その長手方向軸の一方向に移動させられ、その後に、その反対方向に共振器を通って移動させられるように行われることが好ましい。しかし、予備成形物が、1、2回だけではなく数回、共振器を通過させられることも考えられる。この場合、例えば2回、4回、または6回のような、共振器を通る直線移動が特に適切である。
【0016】
しかし、予備成形物を加熱するために、予備成形物の加熱される領域がその中に完全に挿入される共振器キャビティを使用することも可能であり、すなわち、好ましくは、各予備成形物が、その加熱される領域を完全に包含するキャビティ内で加熱されることが可能である。
【0017】
したがって、加熱工程は、予備成形物をそれらの長手方向軸に関して移動させずに、すなわち、予備成形物を、例えば放射状にキャビティ内に挿入して加熱を行うことができる。しかし、予備成形物を、キャビティ内へ移動させる、および/またはこれから取り出されることも考えられる。キャビティは、実質的に円形の経路上を移動することが好ましい。
【0018】
キャビティを使用する代わりに、共振器スタックを使用することも可能であり、該スタックでは、異なる数の共振器を互いにスタックして、それによって、長さに関して予備成形物の全体をまたはほぼ全体を挿入できる「キャビティ」を形成する。
【0019】
本方法の特に好ましい進展は、予備成形物の温度を、加熱前、および/または加熱中、および/または加熱後に少なくとも1回測定するように構成される。それによって、温度を内側および/または外側から測定することが可能になるので、本方法は、予備成形物の特に正確な温度調節または温度プロファイリングが可能になるという利点が得る。測定は、例えばポリマーまたはガラス繊維光ファイバセンサのような、適切なセンサによって達成されるが、後者のセンサは、マイクロ波の影響を受けない、およびマイクロ波がセンサの影響を受けない、といった利点がある。しかし、高温計には、非常に迅速に、かつ非接触の態様で作動するという利点がある。
【0020】
測定温度値は、予備成形物の温度管理が、できる限り正確に達成されるように、開ループおよび閉ループ制御デバイスに転送されることが好ましく、本発明の特に好ましい進展は、共振器を通る予備成形物の複数の通過がある場合に、予備成形物の第2の通過移動の段階であっても、加熱作用の適合を行うことができるように、第1の通過後に温度を測定するように構成される。このように、一方では、非常に正確な温度プロファイルを形成することが可能であり、他方では、例えば予備成形物の湿気のような、外側環境を特に満足のいく様態で考慮することが可能である。
【0021】
測定温度値を用いて、その後の加熱工程を調整することが好ましい。予備成形物の少なくとも1つの測定温度値を用いて、同じ加熱作用を調整することが好ましい。
【0022】
全ての作用に対する制御変数として、予備成形物の温度だけでなく、マイクロ波の反射電力も使用することが可能である。
【0023】
加熱作用の特定の進展は、温度測定を含み、予備成形物が、共振器を通ってその長手方向軸の方向に移動する第1のステップと、予備成形物が、まだマイクロ波場の影響を受けるゾーン内にある間に、特に共振器を最初に通過した後に、および/またはこの加熱段階中に、予備成形物の温度を測定する第2のステップと、予備成形物の実際の温度プロファイルを、特定の温度プロファイルと比較する第3のステップと、マイクロ波場の影響を受けるゾーンの中をさらに移動する間に、適合させた放射電力が予備成形物に印加されるように、マイクロ波の電力/共振器内の電界強度分布が、直ちに適合される第4のステップとで構成される。予備成形物が再び共振器を出る前に、さらに適合を行うこともできる。
【0024】
本方法の改良の利点は、例えば予備成形物の湿気のような外側環境に対する非常に迅速な反応が可能になるように構成されることである。したがって、加熱作用にかかる時間をより短くすることができ、共振器を通って通路を出入りするサイクルをより少なくすることも可能である。
【0025】
加熱のための方法のさらなる改良は、予備成形物を、(マイクロ波が印加される)共振器を通ってその長手方向軸の方向に移動させる第1のステップと、予備成形物の、その長手方向軸の方向への移動を停止する第2のステップと、予備成形物の温度プロファイルの測定が、垂直に移動可能な温度センサによって達成されるか、または移動可能な温度センサによって内側および/または外側から達成される第3のステップと、予備成形物の実際の温度プロファイルが、規定の温度プロファイルと比較される第4のステップと、共振器が、その放射電力/電界強度分布に関して適合される最後から2番目のステップと、予備成形物が、適合された共振器を通って反対方向に移動させられる最後のステップとで構成される。本方法の改良には、とりわけ、温度測定の前に、印加された熱がより適切に分布できる均一化期間を予備成形物が保持するという利点がある。その結果、予備成形物の所要の温度プロファイルに関して、より正確な値が得られる。
【0026】
共振器を通るその長手方向軸の方向に予備成形物を移動させることと、マイクロ波を共振器に適用することと、マイクロ波が印加される共振器を通って予備成形物を移動させることも可能である。
【0027】
明らかに、予備成形物を加熱して、加熱作用終了時の到達温度プロファイルを測定すること、および該プロファイルから、予備成形物の次の加熱作用の設定を決定することも可能である。この改良には、いかなる強力な、または非常に高速なフィードバック制御アルゴリズム、またはフィードバック制御機構も必要としないという利点がある。
【0028】
さらなる可能な加熱作用は、予備成形物を、マイクロ波がオフになったときに共振器の中に入れ、マイクロ波がオンになったときに共振器から取り出すことで構成される。これによって、省エネルギの態様で、単純な(強力にプロファイルされない)加熱作用を迅速に実現できる。
【0029】
本発明の特に好ましい進展によれば、予備成形物は、加熱作用中に、それら自体の長手方向軸の周りを(少なくとも部分的に)回転する。一方で、回転は、一律に生じさせることができ、これは、均一な電界強度分布によって、外周に関して均一の温度プロファイルをもたらすが、該回転は、不均一な態様で生じさせることもでき、これは、予備成形物の外周に関して温度プロファイリングをもたらす。第2の方法改良は、例えば、楕円形の容器等のような、成形容器の製造に用いることができる。成形容器の製造は、非等方性の電界強度分布が、共振器内またはキャビティ内で生成され、それによって、予備成形物が回転または移動させられなくても、差別的な加熱を達成することによって補助することができる。予備成形物内に異なる温度領域を形成するためのさらなる可能性は、マイクロ波場内での異なる保持時間を形成することである。
【0030】
本発明によれば、マイクロ波加熱ユニットは、少なくとも1つのマイクロ波発生器と、マイクロ波導体と、共振器とを備えている。マイクロ波発生器は、例えば、マグネトロン、クライストロン、またはジャイロトロンとすることができ、波は、いかなる態様でも発生させることができる。マイクロ波導体は、中空導体であることが好ましく、円形または矩形の断面が特に好ましい。同軸導体の使用は、排除されない。
【0031】
本発明の好ましい進展によれば、マイクロ波発生器は、マイクロ波コンパクトヘッドの中に配置され、後者は、少なくとも水積載(water load)、循環器、マイクロ波導体、および加熱器の変圧器、ならびにマイクロ波発生器および加熱器の変圧器用の端子リードとをさらに備えている。マイクロ波コンパクトヘッド内の水積載は、過剰なマイクロ波エネルギを吸収して、該ヘッドを損傷させないために必要である。この水積載は、水を満たしたシリコンまたはプラスチック管であることが好ましく、水は、十分な量の残留エネルギを連続的に吸収できるようにするために、回路内を循環する。
【0032】
循環器がさらに提供されるが、これは、3つの交差した同軸導体で構成されることが好ましく、その機能は、それぞれの場合の適切な方向において、マイクロ波をコンパクトヘッド内に経路設定することである。循環器が必要な理由は、とりわけ、マグネトロンが破壊される危険性があるので、発生場所から共振器まで経路設定されて再び戻るマイクロ波を、マグネトロン内に戻してはならないからである。従って、この場合には水積載への転送を行わなければならない。このために、循環器は集積フェライトを有し、マイクロ波をそれぞれ適切な出力口に転送する。
【0033】
マイクロ波同調器がさらに提供されることが好ましく、これによって、パワーを共振器内に定着させることができる。また、この場合、自動同調器ではなく手動同調器を使用することも可能である。少なくとも1つの温度センサが提供されることが好ましい。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、予備成形物のための加熱オーブンは、中央マイクロ波発生器を備え、発生したマイクロ波をそれぞれの発生器に転送する。この解決策には、例えばマイクロ波発生器を一度だけしか必要としないような技術を利用できる利点がある。
【0035】
本発明の別の進展は、複数のマイクロ波発生器を備え、それぞれがマイクロ波をいくつかの共振器に供給する。したがって、例えば4つのマイクロ波発生器を共振器に利用できるようにすることが可能である。この解決策には、1つのマイクロ波発生器に不具合が生じた場合に、加熱コースの少なくとも4分の3において、引き続き作動を継続させることができるという利点がある。本発明の特に好ましい進展によれば、各共振器は、マイクロ波発生器を備えたそれら自体のマイクロ波コンパクトヘッドを有する。この特徴によって、各予備成形物は、可能な限りほとんど個別的な処理を受けることができる。
【0036】
本発明のさらに有利な進展は、共振器が、それらに割り当てられたマイクロ波発生器を備え、中心軸の周りを回転する円形コンベア上に位置するように構成される。この円形コンベア機構には、非常に高い機械能力、およびそれによる予備成形物のスループットを実現できるという利点がある。
【0037】
しかし、共振器が、円軌道ではなく、例えば直線状のオーブンのような少なくとも部分的に直線的な軌道を描く搬送装置に固定されることも考えられる。これに対しては、共振器は搬送装置に固定され、搬送装置はチェーンによってラインに沿って移動させられることが考えられる。
【0038】
少なくとも1つのマイクロ波発生器の出力は、1kW〜10kWの範囲であることが好ましく、2kW〜3kWの発生器の出力によって特に良好な結果が達成される。
【0039】
加熱に使用されるマイクロ波の周波数範囲は、300MHz〜300GHzであり、特に好適な周波数範囲は、915MHz、2.45GHz、および5.8GHzである。
【0040】
本発明の有利な進展によれば、各共振器は、予備成形物のための受け取りユニットを有する。この受け取りユニットは、それ自体の軸の周りを予備成形物が移動するように、回転できることが好ましい。しかし、予備成形物を共振器に出し入れするために、予備成形物の長手方向軸に沿った移動も必要である。移動ユニットは、揚昇/下降/回転駆動を組み合わせた装置を備えることが好ましい。共振器への、および共振器の中での予備成形物の移動は、予備成形物の長手方向軸の方向に、またはその周りで達成されることが好ましいが、それでも、他の軸についての移動も可能である。したがって、例えば、予備成形物が、その長手方向軸の周りを回転せず、共振器を通る軸の周りを揺動運動することが考えられる。本進展には、マイクロ波が、予備成形物において、よりランダムな熱分布を達成するという利点がある。
【0041】
しかし、あるいは、予備成形物に対して共振器を移動させることもできる。
【0042】
特に好ましい進展は、マイクロ波加熱ユニットが、各予備成形物に割り当てられるように構成される。また、デバイス内に収容することができる予備成形物よりも少ない加熱ユニットが存在する、別の構成も考えられる。
【0043】
このような加熱装置の能力を増加させるために、複数の加熱レベルが互いの上に配置されることも考えられる。これらの加熱レベルは、互いに独立に負荷されるか、または予備成形物があるレベルでデバイスの中に取り込まれ、一方で、他のレベルでデバイスから取り出される工程であるとも考えることができる。
【0044】
加熱を改良したさらなる利点は、予備成形物が、それらの長手方向軸に関していかなる移動も受けないが、共振器が予備成形物に沿って移動することで構成される。
【0045】
加熱は、個々のまたは種々の群の予備成形物に対して、完全に独立した態様で設定することができる。互いに独立に設定することができるパラメータは、例えば、揚昇、揚昇速度、回転速度、マイクロ波電力、マイクロ波同調設定、共振器内の電界強度分布、または測定誘電率に基づくインピーダンス整合である。個々の設定は、例えば予備成形物の湿気が異なるといった、種々の理由から必要になり得る。
【0046】
装置は、ペットボトルが製造される、予備成形物用の加熱装置であることが好ましい。したがって、このような加熱装置が、例えば、延伸ブロー成形機、充填機、閉塞機、ラベル貼り機等を備えた機械機構内に配置されることが適切である。
【0047】
さらに有利な実施形態は、エネルギを固定部分から移動部分の中に送ることができるように、加熱装置が、高電圧用のスリップリングジョイントを有することで構成される。
【0048】
本発明の好適な開発形態によれば、マイクロ波だけでなく、赤外線放射も予備成形物に印加される場合に有利である。したがって、例えば、基本的な熱プロファイルが、赤外線放射によって予備成形物に与えられ、次いで正確な温度プロファイルが、マイクロ波のみによって行われることも考えられる。しかし、この工程の逆も考えられ、すなわち、基本的な温度プロファイルがマイクロ波のみによって与えられ、その後、赤外線放射によって、より正確な温度プロファイリングを予備成形物内に形成することができる。しかし、この場合、2つの加熱方法を、あらゆる順序で、あらゆるゾーン内に、およびあらゆる強度で互いに組み合わせることができるように、赤外線放射器をマイクロ波オーブン内にさらに載置することも考えられる。
【0049】
本発明の実際の実施形態は、以下の図面を参照してより十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、加熱装置の等角図である。
【図2】図2は、図1に記載の加熱装置の一部を示す図である。
【図3】図3は、加熱装置の詳細図である。
【図4】図4は、マイクロ波コンパクトヘッドを示す図である。
【図5】図5a〜5eは、予備成形物を加熱する作用順序の概略図である。
【図6】図6は、容器を製造するための組み込みを示す平面図である。
【図7】図7は、共振器の側面図である。
【図8】図8は、共振器から共振器への移送状況を示す側面図である。
【図9】図9は、加熱装置を具現化した等角図である。
【図10】図10は、図9に記載の代表例の一部を示す図である。
【図11】図11は、共振器を備えたマイクロ波導体のさらなる一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、予備成形物1の円形の加熱装置を示す図であり、予備成形物は、加熱作用の作用において、加熱装置の外周に従って円軌道上を移動する。この場合、加熱装置は搬送装置4を有し、同時に矩形の中空導体を構成する。この搬送装置4には、例えば、8個のマイクロ波コンパクトヘッド20および40個のマイクロ波加熱ユニット3というような、種々の構造ユニットが固定される。搬送装置4に固定されたこれらのユニットは、機械軸5の周りを共に回転する。上流側のユニットからオーブン40への移送は、例えば鋸歯スター(sawtooth star)、またはクリップスター(clip star)のような、スターによって達成される。
【0052】
図2は、図1によるオーブン40の一部を示す図であり、ここでは、マイクロ波加熱ユニット3が、より適切に説明される。同様に、図にはマイクロ波コンパクトヘッド20が示され、これらは、マイクロ波を発生し、この場合、中空導体22を構成する搬送装置4に直接接続される。注入要素8は、搬送装置4からマイクロ波加熱ユニット3に向かう方向に載置され、マイクロ波コンパクトヘッド20によって発生されたマイクロ波を、搬送装置4からマイクロ波加熱ユニット3に注入する。
【0053】
マイクロ波加熱ユニット3は、矩形のマイクロ波中空導体で構成されており、このマイクロ波中空導体は、S字形に湾曲し、その第1の端部は搬送装置4に、かつその第2の端部には共振器11が固定されている。共振器11は、円板状/平板状の、内部が中空の要素であり、その中央には円形の孔がある。この孔の寸法は、共振器11が予備成形物の高さの一部分にのみ相当する高さであるので、加熱されるそれぞれの予備成形物1を容易に案内することができるように選択される。中空共振器11は、マイクロ波加熱ユニット3の拡張部を構成し、中空導体と同様に、マイクロ波がそれを通って流れる。温度センサ24は、共振器11の領域内でマイクロ波加熱ユニット3に固定され、共振器11内へ下降するか、これから上昇するか、あるいは後方から案内される予備成形物1の温度を測定する。
【0054】
加えて、マイクロ波同調器23は、マイクロ波加熱ユニット3に固定され、この同調器は、マイクロ波加熱ユニットの導体空間を変化させることによって、マイクロ波に影響を与えること、すなわち、挿入された予備成形物の電界強度分布を最適化して、予備成形物1によって反射されたり、吸収されないエネルギの量を最小限に抑えることができ、それによって、予備成形物1の加熱作用の開ループまたは閉ループ制御も達成することができる。
【0055】
マイクロ波加熱ユニット3の前には、受け取りユニット25が半径方向外向きに位置し、その基本的な機能は、予備成形物1を受け取り、可能な限り有効な加熱を提供する移動を与えることである。受け取りユニット25は、予備成形物保持ユニット26と、(予備成形物のための)移動ユニット27とで構成される。ここでは、予備成形物保持ユニット26はロッドであり、予備成形物1の開口部に入り、それによって予備成形物を保持する。そうでないとキャビティから漏れ放射が発生する可能性があるので、予備成形物保持ユニットの少なくとも一部は、好適な非金属材料で作製されることが好ましい。好適な材料は、例えばテフロン(登録商標)のような低い誘電損率のプラスチックである。
【0056】
しかし、ここでは、内部グリッパだけではなく、外部グリッパによっても保持が達成されることが考えられる。
【0057】
移動ユニット27は、多機能駆動装置であり、異なる駆動装置を組み合わせて移動ユニット27を構成するか、または移動ユニット27が、全ての移動要件を満たす駆動装置によって構成されることが好ましい。一方で、下降移動が必要であり、これは、予備成形物1を、予備成形物の長手方向軸Aに沿って上から共振器11に挿入する。一方では、揚昇移動も必要であり、これは、予備成形物1を、予備成形物の長手方向軸に沿って共振器11から取り出す。加熱プロセスを極めてフレキシブルにするさらなる移動は、回転移動であり、これによって、予備成形物1は、その長手方向軸Aの周りを回転することができる。
【0058】
図3は、予備成形物1の加熱ユニットの別の実施形態の図である。基本的な違いは、各マイクロ波加熱ユニット3が、それ自体の割り当てられたマイクロ波コンパクトヘッド20を有して構成されることである。このために、マイクロ波加熱ユニット3は、同様に、矩形のマイクロ波中空導体として実現され、C字形で半径方向外向きに湾曲する。この場合、一端はマイクロ波コンパクトヘッド20内に開口し、一方で、さらに共振器11が他端に固定される。さらに、マイクロ波加熱ユニット3は、図2に記載されたように、同じくマイクロ波同調器23を備え、同じ機能を行う。ここでは、同様に予備成形物1は、受け取りユニット25によって保持され、この受け取りユニットは、予備成形物保持ユニット26と、移動ユニット27とを備える。
【0059】
図4は、マイクロ波コンパクトヘッド20の断面図である。内部には、例えばマグネトロンまたはクライストロンのような、マイクロ波発生器21が配置され、それによって、マイクロ波が発生され、マイクロ波導体22によって、循環器29へ、および後者のアプリケータ出力口30へ経路設定される。マイクロ波コンパクトヘッド20は、2つの終端32を有し、1つの終端は、加熱電圧のためのプラグイン終端であり、もう1つの終端は、マイクロ波発生器21に対する高電圧のための終端である。
【0060】
アプリケータ出力口30から図4には示されないマイクロ波加熱ユニット3に経路設定されたマイクロ波は、連続的に反射され、したがって、マイクロ波コンパクトヘッド20の循環器29にも戻る。マイクロ波が、マイクロ波発生器21に侵入しないようにするために、循環器29は、反射された放射を水積載28の方向へ選択的に転送することができる。ここでは、水積載28は、冷却水がそれを通って流れるU字形のシリコン管によって構成される。このマイクロ波コンパクトヘッド20によって、予備成形物1を加熱するためのマイクロ波の発生を、非常にコンパクトな制限された空間内で達成することができる。
【0061】
図5は、5つのステップにおいて、加熱ユニット内の加熱作用における予備成形物1の種々の位置を示す図である。予備成形物1は、この場合、加熱される領域2と、加熱されない領域10と、領域10内に位置するサポートリング9とを有する。予備成形物1は、予備成形物保持ユニット26上に同心円状に配置される。図2および3に記載された移動ユニット27によって、予備成形物1を、共振器11を通って矢印17および18の方向へ移動させることが可能となる。この場合、黒色のバー33は、図示されない共振器11のマイクロ波の影響ゾーン23を表す。図5aによる第1のステップにおいて、予備成形物1は、その長手方向軸Aに沿って矢印17の方向へ、マイクロ波の影響ゾーン23内へ移動させられ始める。
【0062】
図5bは、予備成形物1が、マイクロ波の影響ゾーン33を通って既にある程度移動された位置を示す図である。
【0063】
温度センサ24は、共振器の面TEの下に少し離して載置され、この場合、マイクロ波によって既に変化した、予備成形物1の温度を外側から記録している。
【0064】
また、基本的に、温度測定は、予備成形物1の中から行われることも考えられる。
【0065】
図5cは、予備成形物1の加熱される領域全体が、マイクロ波の影響ゾーン33に既に入ってしまったか、または入るところを示す図である。これは、その逆の点、すなわち予備成形物1が、マイクロ波の影響ゾーン33から長手方向軸Aに沿って矢印18の方向へ案内された次の到達点でもある。
【0066】
図5dは、図5bに相当する位置を示す図であるが、ここでは、予備成形物1は、その長手方向軸Aに沿って矢印18の方向へ移動させられる。マイクロ波の影響ゾーン33からの予備成形物1の除去が始まると、予備成形物1の特定の温度を正確に達成できるように、マイクロ波による加熱の適合も行われる。この温度センサ24とマイクロ波の適合との組み合わせを通じて、可能な限り正確な温度プロファイルが予備成形物1に与えられる。予備成形物保持ユニット26には、図示されない孔を提供することができ、この孔を通って、例えば、温度センサを加熱される予備成形物1の内部に延ばすか、または、例えば、温度を均一にするための冷却媒体のような特定の媒体を入れることができる。
【0067】
図5eは、図5aに対応する位置を示す図であるが、ここでは、加熱作用はすでに完了している。
【0068】
これで、マイクロ波の影響ゾーン33を通る経路によって、第2または第3の加熱作用を実行することもできるが、例えば休止段階を実行することができる。
【0069】
図6は、容器を製造するための装置を示す図である。この装置は、予備成形物1が分類されずにその中に配置される、予備成形物格納手段34を有する。
【0070】
ローラ分類機35は、予備成形物1の分離および分類を行い、その後、それらをオーブン40に供給する供給シュート36へ案内する。
【0071】
オーブン40において、予備成形物1は、上述のように加熱される。加熱後、予備成形物は、延伸ブロー成形機14に移送され、完成容器が形成される。容器の製造後、それらは充填機15に移送され、さらに密閉および/または図示されないラベル貼り機に移送される。このように、完全に充填および密閉した、例えば、飲料用瓶のような容器が製造される。オーブン40と延伸ブロー成形機14との間には、少なくとも2つの移送スターが載置されることが好ましく、これらは、加熱された予備成形物1の能動的および/または受動的な冷却を達成する。製造工程中のこの時点において、与えられたエネルギが一様に分布するように、加熱された予備成形物に、均一化期間を提供することが必要になる場合がある。この均一化期間は、例えば、統合型移送スターを介して提供することができる。均一化または冷却の期間は、延伸ブロー成形作用の後にも必要になる場合がある。ここでは、再び、容器の能動的および/または受動的冷却を提供することが可能である。能動的冷却は、内側または外側から、例えば、水、空気、窒素、または他の媒体によって達成することができる。受動的冷却は、延伸ブロー成形機14と下流側の機械との間に移送作用を提供することによって達成することができる。
【0072】
図7は、中空円筒11aをその上側および下側にそれぞれ有する、共振器11を示す図である。この中空円筒は、主にマイクロ波から保護する役割を果たす。ここでは、この保護装置は、円筒形であるが、当業者の措置の範囲内で、該保護装置を、例えば角度のある断面を有するような、異なる設計のものとすることもできる。共振器11内には、マイクロ波の作用ゾーンの範囲内に反射要素19がある。この反射要素19の機能は、予備成形物1の先端部をさらに加熱することである。反射要素19は、マイクロ波放射が予備成形物1の先端部の方向に集中するように実現される。
【0073】
好都合なことに、反射要素19は、共振器11を通る予備成形物1の移動中に、少なくともマイクロ波の作用ゾーン内では、予備成形物1の先端部から常に同じ距離にあるように実現される。これは、例えば、反射要素19を、共振器11を通って予備成形物1の長手方向軸Aの方向へ、同時に移動させることで実現することができる。また、反射要素を、予備成形物1の長手方向軸Aに垂直な方向に移動できることも考えられる。しかし、複数の反射要素19をマイクロ波の作用ゾーンの範囲内に載置した場合、これらの反射要素もまた種々の高さにあることも考えられる。そのときには、反射要素19を、それぞれ予備成形物1の移動経路の中へ旋回させることが可能である。反射要素19は、容易に交換できるように実現される。これには、いずれの場合においても、種々の予備成形物の幾何学的構成を、共振器11内で最適に処理することができるという利点がある。
【0074】
図8は、予備成形物1のデバイスへの好適な移送状況を示し、同時に、予備成形物1がさらに次の機械に移送される前に、それらを共振器11から引き継ぐ状況を示す図である。予備成形物1の、共振器11への移送および共振器11からの離脱は、ここでは、グリッパ50a、50bによって行われる。グリッパは、移送および引渡スターの一部であることが好ましく、これらは、ここでは、グリッパ50aと50b、および中央カラム37によって概略的にのみ示される。この場合、グリッパ50aは、例えば予備成形物分離装置のような、上流側の機械から予備成形物1を引き渡し、次いで、この予備成形物を予備成形物保持要素26に移送し、その後、上述の処理プロセスを行い、予備成形物1は、共振器11を通って、予備成形物の長手方向軸Aに沿って少なくとも1回案内される。予備成形物が、その処理後に共振器11の下側に現れると、グリッパ50aのように、同じ中央カラム37に作用可能に接続されたグリッパ50bによって握持されて、例えばラベル貼り機または充填機のような、下流側に位置する機械に移送することができる。回転機械の場合、この機構には、処理時に非常に大きな回転角を利用できる利点がある。このような機構によって、300°〜355°の処理角度を達成することができる。加えて、従来の解決策では2つのスターが統合されているのに対して、取込および排出スターとして必要な移送スターが1つだけであるので、これは、非常に省スペースな解決策である。
【0075】
図9は、回転設計で実現された、マイクロ波加熱装置の別の実施形態の等角図である。装置は、複数の受け取りユニット25を有し、複数(少なくとも2つ)の受け取りユニット25が、いずれの場合においても、受け取り搬送装置38上に載置される。各受け取り搬送装置は、移動ユニット27を有し、該ユニットは、予備成形物1の共振器11の方向への揚昇移動を行う。加えて、予備成形物保持要素26は、予備成形物1の回転移動を誘導するための駆動装置を有する。マイクロ波加熱装置は、マイクロ波同調器23、水積載28、およびマイクロ波発生器21からそれぞれ構成された、複数のマイクロ波コンパクトヘッド20を備える。スペースの理由から、いずれの場合においても、受け取りユニット25の1つのマイクロ波コンパクトヘッド20は、円板状のマイクロ波導体22の上側に配置され、1つのマイクロ波コンパクトヘッド20は、下側に配置される。マイクロ波導体22は、搬送装置4として実現され、平らな円板状であり、内側は中空であり、それによって、マイクロ波をマイクロ波発生器21から共振器11の方向に経路設定することができる。マイクロ波導体22は、この場合、2つの円板が互いの上に載置され、該円板が内部キャビティを形成し、それによって中空導体となるようにして実現することができる。但し、導体は、いかなる連続した円板状の中空導体も形成されないが、各共振器11が、区切られた中空導体22を形成するように、いずれの場合においても、セグメントだけが互いの上に載置されるように構成することもできる。
【0076】
図10は、図9に記載のマイクロ波導体22の断面図である。2つの中空導体セグメント39が、共振器面TE内で互いの上に載置され、それによってマイクロ波導体22を形成していることが分かる。2つの中空導体セグメント39は、それぞれ環状構造を有する。中空導体セグメント39の円周方向のさらに外側には共振器11があり、その上下に中空円筒11aを有する。個々の構成要素は、マイクロ波中空導体22を通る断面内に明確に確認することができる。マイクロ波発生器21、循環器29、および水積載28は、中空導体セグメント39の下側に位置する。循環器によって、マイクロ波は、発生器21からマイクロ波導体22の中へ経路設定され、共振器11の方向に同調器23を通過する。同調器は、3つの同調ピン23a、23b、および23cが、マイクロ波導体22内に延在し、それによって伝導断面に影響を及ぼすようにして実現される。このように、共振器1における予備成形物1の加熱を適合させることができる。この図示は、予備成形物1が現在共振器11内にある状態を示している。
【0077】
図11は、マイクロ波導体22のさらなる実施形態を示す図である。図10に記載の実施形態とは異なり、ここでは、マイクロ波導体22は、2つの環状または円板状の中空導体セグメント39から構成されておらず、複数の長手方向の部品が互いに接合されて、中空導体全体を形成する中空導体異形材として構成される。ここでは、同様に、マイクロ波同調器23が、3つのピン23a、23b、および23cを有することが分かる。加えて、ここでは不可視のマイクロ波発生器21から共振器11への方向には、共振器11内の最適なマイクロ波分布を設定するためにオリフィス板41が提供され、これによって、マイクロ波導体22の不連続な直径がもたらされる。載置のために、オリフィス板41が固定される固定要素42が提供される。この場合、固定要素42は、オリフィス板41に類似した通路寸法を有する。
【0078】
予備成形物は、実質的に円板状または平板状の共振器11の中へ、またはこれを通って、それらの長手方向軸Aの方向へ移動させられ、予備成形物1の外周全体を包含することが好ましい。また、予備成形物1は、共振器11の中へ、またはこれを通って、長手方向軸Aに対して垂直な方向へも移動させられることが好ましい。
【0079】
加熱作用中に、共振器面TE内に突出させられる予備成形物1の移動経路は、実質的に円軌道であることが好ましい。有利なことに、加熱される予備成形物1の各部分7は、共振器11を通って数回、ただし少なくとも2回、移動させられる。
【0080】
上述のように、プラスチック、特にPETの予備成形物(1)は、ブロー成形作用、特に延伸ブロー成形作用によって再成形される。
【0081】
赤外線およびマイクロ波放射の両方を予備成形物に印加することも可能である。
【0082】
予備成形物1のための移動ユニット27は、少なくとも1つの揚昇/下降駆動装置、および少なくとも1つの回転駆動装置であることが好ましい。また、予備成形物保持ユニット26は、予備成形物1のための外部および/または内部グリッパを備えることが好ましい。マイクロ波コンパクトヘッド20と同様に、マイクロ波加熱ユニット3は、予備成形物1のそれぞれに割り当てられることが好ましい。
【0083】
マイクロ波導体22を介して、少なくとも1つのマイクロ波加熱ユニット3に接続される中央マイクロ波発生器21が存在すると有利である。
【0084】
好適な一実施形態では、装置は、n個のマイクロ波発生器21と、m個のマイクロ波加熱ユニット3とを有し、ここではm>nである。装置は、回転設計の機械として実現されることが好ましく、また、予備成形物1を加熱することができる、少なくとも2つの平行なレベルを有することが好ましい。上述の搬送装置4は、好ましくはマイクロ波導体22を備える。
【0085】
装置は、プラスチック製の予備成形物1、特にPET製の予備成形物1を加熱するように構成されることが好ましい。
【0086】
また、装置は、1つの機械機構に統合され、そして、少なくとも1つの延伸ブロー成形機14を含むことが好ましく、延伸ブロー成形機14は、回転式延伸ブロー成形機であることが好ましい。
【0087】
また、赤外線加熱装置は、オーブン40の前および/または後にあることが好ましい。赤外線加熱装置は、オーブン40の外周にあることが好ましい。
【0088】
本発明は、上述の様に、少なくとも予備成形物1を加熱する装置と、延伸ブロー成形機14とで構成された、容器を製造する機構をも目的とする。
【0089】
能動的および/または受動的冷却用の装置は、予備成形物1を加熱するための装置と、延伸ブロー成形機14との間に載置されることが好ましい。また、受動的冷却のために、少なくとも2つの移送スターが存在する。さらに、少なくとも1つの充填機15および密閉機16が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱される領域(2)と加熱されない領域(6)とを含む熱可塑性材料の予備成形物(1)を加熱し、該予備成形物(1)は加熱された後に成形作用を受ける方法であって、共振器(11)の中において、少なくとも加熱時間の一部の間、加熱される該予備成形物(1)の該領域(2)にマイクロ波が印加されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
加熱される前記予備成形物(1)の前記領域(2)は、連続的に移動および/または加熱されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予備成形物は、それらの長手方向軸(A)の方向に、該予備成形物(1)の全周を包含する実質的に円盤状または平板状の共振器(11)の中へ、またはこれを通って移動させられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予備成形物(1)は、実質的に円形の経路に沿って移動する間、それらの長手方向軸(A)の方向に前記共振器内(11)の中へ案内され、その後、その反対方向に該共振器(11)から外へ案内されることを特徴とする、請求項1〜3のうちの少なくとも1つに記載の方法。
【請求項5】
前記共振器(11)の中に反射要素(19)があり、該反射要素(19)は、前記予備成形物(1)の閉口側を追加的に加熱するように放射を偏向させることを特徴とする、請求項1〜4のうちの少なくとも1つに記載の方法。
【請求項6】
前記反射要素(19)と前記予備成形物(1)との間の距離は、少なくとも前記マイクロ波の有効活性ゾーンの中で均一であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記予備成形物(1)は、それらの長さ、および/またはそれらの厚さ、および/またはそれらの外周に関して、不均一な態様で加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのマイクロ波発生器(21)と、マイクロ波導体(22)と、共振器(11)とを有する、マイクロ波によって予備成形物(1)を加熱する装置。
【請求項9】
前記共振器(11)は、実質的に環状であり、かつ開口部を備え、該開口部を通って予備成形物(1)を案内できることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記共振器(11)の前記開口部は、中空円筒によって囲まれることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記共振器(11)の中には反射要素(19)があることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記反射要素(19)は、移動できるように設計されることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも共振器(11)、マイクロ波導体(22)、同調器(23)、および受け取りユニット(25)で構成された、少なくとも1つのマイクロ波加熱ユニット(3)を有することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記マイクロ波加熱ユニット(3)は、その一端において前記マイクロ波コンパクトヘッド(20)に作用可能に接続され、その他端において前記共振器(11)に作用可能に接続されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記マイクロ波加熱ユニット(3)は、搬送装置(4)に固定され、該搬送装置(4)は、機械軸(5)に作用可能に接続される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
m個のマイクロ波加熱ユニット(3)と、o個の受け取りユニット(25)とを備え、o≧mであり、好ましくはo=2×mであることを特徴とする、少なくとも1つの請求項8に記載の装置。
【請求項1】
加熱される領域(2)と加熱されない領域(6)とを含む熱可塑性材料の予備成形物(1)を加熱し、該予備成形物(1)は加熱された後に成形作用を受ける方法であって、共振器(11)の中において、少なくとも加熱時間の一部の間、加熱される該予備成形物(1)の該領域(2)にマイクロ波が印加されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
加熱される前記予備成形物(1)の前記領域(2)は、連続的に移動および/または加熱されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予備成形物は、それらの長手方向軸(A)の方向に、該予備成形物(1)の全周を包含する実質的に円盤状または平板状の共振器(11)の中へ、またはこれを通って移動させられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予備成形物(1)は、実質的に円形の経路に沿って移動する間、それらの長手方向軸(A)の方向に前記共振器内(11)の中へ案内され、その後、その反対方向に該共振器(11)から外へ案内されることを特徴とする、請求項1〜3のうちの少なくとも1つに記載の方法。
【請求項5】
前記共振器(11)の中に反射要素(19)があり、該反射要素(19)は、前記予備成形物(1)の閉口側を追加的に加熱するように放射を偏向させることを特徴とする、請求項1〜4のうちの少なくとも1つに記載の方法。
【請求項6】
前記反射要素(19)と前記予備成形物(1)との間の距離は、少なくとも前記マイクロ波の有効活性ゾーンの中で均一であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記予備成形物(1)は、それらの長さ、および/またはそれらの厚さ、および/またはそれらの外周に関して、不均一な態様で加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのマイクロ波発生器(21)と、マイクロ波導体(22)と、共振器(11)とを有する、マイクロ波によって予備成形物(1)を加熱する装置。
【請求項9】
前記共振器(11)は、実質的に環状であり、かつ開口部を備え、該開口部を通って予備成形物(1)を案内できることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記共振器(11)の前記開口部は、中空円筒によって囲まれることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記共振器(11)の中には反射要素(19)があることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記反射要素(19)は、移動できるように設計されることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも共振器(11)、マイクロ波導体(22)、同調器(23)、および受け取りユニット(25)で構成された、少なくとも1つのマイクロ波加熱ユニット(3)を有することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記マイクロ波加熱ユニット(3)は、その一端において前記マイクロ波コンパクトヘッド(20)に作用可能に接続され、その他端において前記共振器(11)に作用可能に接続されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記マイクロ波加熱ユニット(3)は、搬送装置(4)に固定され、該搬送装置(4)は、機械軸(5)に作用可能に接続される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
m個のマイクロ波加熱ユニット(3)と、o個の受け取りユニット(25)とを備え、o≧mであり、好ましくはo=2×mであることを特徴とする、少なくとも1つの請求項8に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−536589(P2009−536589A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508252(P2009−508252)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004154
【国際公開番号】WO2007/131701
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004154
【国際公開番号】WO2007/131701
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】
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