説明

プラスチック系廃棄物の処理設備

【課題】プラスチック系廃棄物を破砕、搬送する処理ラインで発火が発生した際に、確実に鎮火させることができるプラスチック系廃棄物の処理設備を提供すること。
【解決手段】プラスチック系廃棄物を破砕し、所定箇所まで搬送するプラスチック系廃棄物の処理設備において、プラスチック系廃棄物を破砕、搬送する処理ラインに発火検知器7a〜7eを設けると共に、発火検知器7a〜7eによって発火が検知されたときに処理ラインに散水する散水装置8a〜8eを設け、さらに、発火検知器7a〜7eによって発火が検知されたときに処理ライン内にあるプラスチック系廃棄物を処理ライン外に排出する排出機構を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック系廃棄物を破砕し、所定箇所まで搬送するプラスチック系廃棄物の処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック系廃棄物は焼却処理されるのが一般的であったが、近年、プラスチック系廃棄物を燃料あるいは資源として有効利用する試みがなされており、例えば、特許文献1には、プラスチック系廃棄物を破砕、選別、成形してコークス炉原料を製造する方法が提案されている。
【0003】
ところが、とくに一般家庭から排出されるプラスチック系廃棄物には、電池やライター等の異物が入っている場合があり、電池やライター等の破砕により発生する火種が可燃物であるプラスチックの中に入り、処理ライン内でプラスチックが発火し、延焼するおそれがあった。
【0004】
このような発火・延焼を防止する方法としては、特許文献2に開示されているように、処理ラインを外部空気から遮断された密閉型とし、外部から酸素が流入しないようにすることが考えられるが、この方法では、処理ラインを密閉型にするのに多大な費用が必要であり、現実的ではない。
【0005】
また、処理ラインに発火が発生した際には散水が行われるが、単に上部から散水を行っても、水がプラスチックの上を滑るため鎮火させるのが困難なことがある。
【特許文献1】特開2001−187406号公報
【特許文献2】特開2000−327829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、プラスチック系廃棄物を破砕、搬送する処理ラインで発火が発生した際に、確実に鎮火させることができるプラスチック系廃棄物の処理設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プラスチック系廃棄物を破砕し、所定箇所まで搬送するプラスチック系廃棄物の処理設備において、プラスチック系廃棄物を破砕、搬送する処理ラインに発火検知器を設けると共に、発火検知器によって発火が検知されたときに処理ラインに散水する散水装置を設け、さらに、発火検知器によって発火が検知されたときに処理ライン内にあるプラスチック系廃棄物を処理ライン外に排出する排出機構を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
このように、本発明では、発火検知器によって発火が検知されたときに処理ライン内にあるプラスチック系廃棄物を処理ライン外に排出する排出機構を設けたことで、発火したプラスチックを処理ライン外に排出したのちに集中的に消火することができるので確実に鎮火させることができる。また、発火したプラスチック系廃棄物を処理ライン外に排出した後は、その処理ラインはすぐに通常の操業に復帰させることができるので、ラインの稼働率低下を最小限にとどめることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、本発明によれば、処理ライン内のプラスチック系廃棄物が発火したとしても迅速かつ確実に鎮火させることができ、延焼の被害を最小限にとどめることができる。また、処理ラインの稼働率低下も最小限にとどめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用したプラスチック系廃棄物の処理設備の全体構成を示す。
【0012】
同図において、プラスチック系廃棄物は投入装置1から供給コンベア2に供給され、さらに、供給コンベア2から破砕機3に投入されて破砕される。破砕されたプラスチック系廃棄物は搬送コンベア4及び磁選機コンベア5によって磁力選別機6まで搬送され、磁力選別機6で金属異物が取り除かれた後に次工程に投入される。
【0013】
本発明のプラスチック系廃棄物の処理設備においては、プラスチック系廃棄物を破砕、搬送する処理ラインの要所に発火検知器を設けると共に、発火検知器によって発火が検知されたときに散水する散水装置を設けている。
【0014】
図1の実施例では、供給コンベア2の後端すなわち破砕機3の直上、搬送コンベア4の前側、中途及び後端、並びに磁選機コンベア5の前端に、それぞれ発火検知器7a〜7eが設けられ、その近傍に散水装置8a〜8eが設けられている。そして、各発火検知器7a〜7eによって発火が検知されると、対応する散水装置8a〜8eに水を供給する給水ラインの電磁弁9a〜9eが開放されて散水される。発火検知器としては、その使用環境に応じて、煙センサ、COセンサ、温度センサ、炎センサを単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0015】
また、本発明のプラスチック系廃棄物の処理設備においては、プラスチック系廃棄物を破砕、搬送する処理ラインの要所に、発火検知器によって発火が検知されたときに処理ライン内にあるプラスチック系廃棄物を処理ライン外に排出する排出機構を設けている。
【0016】
この排出機構として図1の実施例では、まず、破砕機3のホッパー3a内にガイド板3b,3cが設けられている。ガイド板3b,3cは通常は図1に示す位置にあり、破砕機3のホッパー3a内に投入されたプラスチック系廃棄物は破砕機本体3dによって破砕され、搬送コンベア4上に落下する。一方、発火検知器7aによって発火が検知されると、ガイド板3bが破砕機本体3dの上方を覆う位置まで移動すると共に、ガイド板3cが図1において右側に移動する。これによって、発火が検知されたプラスチック系廃棄物は、排出シュート3eから処理ライン外に排出される。排出シュート3eから排出されたプラスチック系廃棄物は排出物ホッパー10aに入れられ、図示しない散水装置によって集中的に消火される。
【0017】
また、搬送コンベア4には、排出機構としてコンベアの逆転機構が設けられている。すなわち、発火検知器7b〜7dによって発火が検知されると搬送コンベア4が逆転し、搬送コンベア4上のプラスチック系廃棄物(破砕物)は途中の排出シュート4aあるいは前端から処理ライン外に排出される。排出シュート4aから排出されたプラスチック系廃棄物は排出物ホッパー10bに入れられ、搬送コンベア4の前端から排出されたプラスチック系廃棄物は排出物ホッパー10cに入れられ、それぞれ図示しない散水装置によって集中的に消火される。
【0018】
なお、図1の実施例では、搬送コンベア4を逆転することによりプラスチック系廃棄物を処理ライン外に排出するようにしたが、搬送コンベア4に分岐機構を設け、発火検知器によって発火が検知された場合、搬送コンベア4は正転状態のままで分岐機構によりプラスチック系廃棄物を処理ライン外に排出するようにしてもよい。また、供給コンベア2及び磁選機コンベア5にも搬送コンベア4と同様に、逆転機構あるいは分岐機構による排出機構を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用したプラスチック系廃棄物の処理設備の全体構成を示す。
【符号の説明】
【0020】
1 投入装置
2 供給コンベア
3 破砕機
3a ホッパー
3b、3c ガイド板
3d 破砕機本体
3e 排出シュート
4 搬送コンベア
4a 排出シュート
5 磁選機コンベア
6 磁力選別機
7a〜7e 発火検知器
8a〜8e 散水装置
9a〜9e 電磁弁
10a〜10c 排出物ホッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック系廃棄物を破砕し、所定箇所まで搬送するプラスチック系廃棄物の処理設備において、プラスチック系廃棄物を破砕、搬送する処理ラインに発火検知器を設けると共に、発火検知器によって発火が検知されたときに処理ラインに散水する散水装置を設け、さらに、発火検知器によって発火が検知されたときに処理ライン内にあるプラスチック系廃棄物を処理ライン外に排出する排出機構を設けたことを特徴とするプラスチック系廃棄物の処理設備。

【図1】
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【公開番号】特開2007−191272(P2007−191272A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10867(P2006−10867)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】