説明

プラズマ化学気相堆積のための方法および装置

【課題】本発明は、プラズマ化学気相堆積時の基板の加熱を低減する目的に基づいている。
【解決手段】そのために、プラズマ気相堆積を用いて基板をコーティングするための方法および装置が提供されるが、その方法および装置では、コーティングしようとする基板の基板表面の周囲の少なくとも一部が排気され、コーティングのための開始物質をもつプロセス・ガスが入れられ、コーティングが、プロセス・ガスで満たされた基板表面の周囲で電磁エネルギーを放射することによって点火されるプラズマにより堆積される。電磁エネルギーは、好ましくはマイクロ波または無線周波のパルスの、多数のパルス・シーケンスの形態で放射され、そのパルス・シーケンスは第1の間隔で時間的に間隔をあけられた多数のパルスをもち、放射された電磁エネルギーはその間隔で停止され、パルス・シーケンス間の間隔は、パルス・シーケンス内のパルス間の第1の間隔より少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にプラズマ化学気相堆積(plasma enhanced chemical vapor deposition)に関し、具体的にはパルス状のプラズマを用いたプラズマ化学気相堆積法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第EP 0 522 281 A1号が、パルス状のプラズマを生成するためにパルス状のマイクロ波が使用されている方法および装置を開示している。この事例では、パルス開始点でのプラズマの点火は、高電圧パルスまたはマイクロ波パルスをブーストすることによって支えられている。
【0003】
しかし、点火されたプラズマは、マイクロ波発生器の対応する出力の下でパルスが継続する期間維持されるが、コーティングしようとする基板を、とりわけその表面を加熱する結果となり、温度感性の基板の製品特性に不利に影響する可能性がある。したがって熱可塑性のプラスチックの基板の場合、例えば、表面の軟化が発生する可能性がある。さらに、正確な層の厚さが重要である場合には、パルスの間に堆積される材料の量は、パルスの長さによるだけではなくその電力によっても決められるのでマイクロ波の電力の調整が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第EP 0 522 281 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明は、上記の問題を解決する目的に基づいている。前記目的は、独立請求項の主題により驚くほど簡単な方式で既に達成されている。本発明の有利な構成および発展形態は、独立請求項に明確に述べられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
それに応じて、本発明は、プラズマ気相堆積を用いて基板をコーティングするための方法を提供するが、コーティングしようとする基板の基板表面の周囲の少なくとも一部が排気され、コーティングのための開始物質をもつプロセス・ガスが入れられ、コーティングは、プロセス・ガスで満たされた基板表面の周囲で電磁エネルギーを放射することによって点火されるプラズマにより堆積される。この場合、電磁エネルギーは多数のパルス・シーケンスの形態で放射され、そのパルス・シーケンスは第1の間隔(intermission)で時間的に間隔をあけられた多数のパルスをもち、放射された電磁エネルギーはその間隔で停止され、パルス・シーケンス間の間隔は、パルス・シーケンス内のパルス間の第1の間隔より少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍長い。
【0007】
プラズマ気相堆積を用いて基板をコーティングするための、上述の方法を実行するのに使用することができる対応する装置は、コーティングしようとする基板の基板表面の周囲の少なくとも一部を排気し、かつコーティングのための開始物質をもつプロセス・ガスを入れるための装置を伴う少なくとも1つのリアクタを備えている。装置は、さらに、プロセス・ガスで満たされている基板表面の周囲で電磁エネルギーを放射することによってプラズマを点火し、コーティングを堆積するためにリアクタに結合されている、パルス状の電磁エネルギーのための供給源を有する。供給源を次のように制御するための制御装置が設けられている:電磁エネルギーは、多数のパルス・シーケンスの形態で放射され、そのパルス・シーケンスは時間的に第1の間隔で間隔をあけられた多数のパルスをもち、供給源はその第1の間隔で不動作にされ、パルス・シーケンス間の間隔は、パルス・シーケンス内のパルス間の間隔より少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍長くなるように制御する。
【0008】
したがって本発明は、欧州特許出願公開第EP 0 522 281 A1号から知られるように点火パルスによってマイクロ波のパルスを周期的にブーストする代わりに、ここでは点火パルス自体をプラズマ発生のために利用するという事実に基づいている。同様に欧州特許出願公開第EP 0 522 281 A1号におけるのと同じようにパルス状マイクロ波は、パルス方式で動作する対応する供給源を用いて使用されるのが好ましい。パルス方式で動作する無線周波供給源が同様に適切である。
【0009】
マイクロ波という用語は、本発明の認識では、具体的に、文字通りのマイクロ波、つまりマイクロメートルの範囲の波長を有する電磁波だけでなく1GHz以上の周波数を有する電磁波を意味する。したがってマイクロ波という用語は家庭用マイクロ波器具に使用されている周波数をも含んでいる。したがって適切なマイクロ波の周波数は、家庭用マイクロ波器具で広範囲に使用されているような2.45GHzの周波数でもある。マグネトロンをもつ供給源は、とりわけマイクロ波の生成または無線周波の放射のために適切である。
【0010】
本発明を使用しない場合はプラズマ誘起化学気相堆積(PICVD)のために使用されるような電磁パルスは、本発明により短い点火パルスのシーケンスに分割されるので基板の加熱は最小に低減される。パルス・シーケンスの個々のパルスは、特にそのパルス高に関しては欧州特許出願公開第EP 0 522 281 A1号から知られている点火パルスのように生成されるので、いずれにせよプラズマの点火はその上さらに信頼できるものになる。個々のパルス・シーケンス間のパルスの間隔が長いほど、プロセス・ガスをできるだけ完全に交換するのに役立つ。これが同時にプラズマ内で発生する好ましくない反応生成物の富化を防止している。この点に関して、ある数量の電磁波電力が未だにパルス・シーケンス内の点火パルスの間に結合されている状況は排除されていないが、供給源は、このような電力がプラズマを維持するための閾値以下にあるように動作させられている。これは、具体的にはパルス・シーケンス内のパルス間にプラズマを維持することによって基板がより広範囲に加熱される状態を避けようとするものである。
【0011】
本発明のさらなる利点は、パルスの発生が、いずれにしても一般的には制御性の貧弱な点火パルスを用いることによってのみ実行されるので、電力の複雑な制御を用いずに済ますことができることである。したがって本発明の一展開は、結合しようとするパルス電力を無調整方式でもたらす。それにともなって無調整出力電力を有する供給源をしたがって使用することができる。これが、例えばマグネトロンで電圧または電流を調整することによって電力出力を予め決められた値に調整する知られているプラズマ・コーティング施設に比較してこのタイプの装置を大幅に簡素化している。
【0012】
電力調整が行われるか否かに拘らず、堆積された材料の量についての精密な管理はいずれにしろ行うことができる。したがって、このためにパルス電力またはパルス電力に依存する少なくとも1つの変数を測定して個々のパルスにわたる時間に関して積分することができ、その積分されたパルス電力が所定の閾値を超える場合には制御装置を用いてパルス・シーケンスを終了させる。前記指定したような所定長さの間隔の後に次のパルス・シーケンスを次いでスタートすることができる。このために装置は、パルス電力またはパルス電力に依存する少なくとも1つの変数を対応して測定する測定装置を備え、制御装置は、測定値を個々のパルスにわたる時間に関して積分し、その積分されたパルス電力が所定の閾値を超える場合にはパルス・シーケンスを終了させ、所定長の間隔の後に次のパルス・シーケンスを開始するように設計されている。パルスにわたって積分された測定変数は、したがってプラズマに注入された全エネルギーに対する値を与える。この点での1つの可能性は、電磁エネルギーを結合させるための導波管において結合出力される(coupled out)磁界の強さを測定し、前記磁界の強さを個々のパルスにわたる時間に関して積分することである。結合出力された磁界強度を測定するために、測定装置は、電磁エネルギーを結合させるための導波管において結合出力される磁界の強さまたは電力を測定するためのセンサを備えることができる。
【0013】
プラズマの光の放出の強さを測定し、それを時間に関して積分することの中に代替としてまたそれに加えてのさらなる可能性がある。時間に関して積分された光の放出が所定の閾値を超える場合、パルス・シーケンスは終了させることができる。このためにプラズマの光の強さを測定するための装置が対応して設けられ、制御装置は、時間に関して積分された光の放出の強さが予め決められた閾値を超える場合パルス・シーケンスを終了させるように設定される。この場合光の強さを測定するための装置は、全放射の強さを検出する必要はない。むしろ前記装置は、放射スペクトルの特定構成要素の強さをスペクトル的に選択測定するように設計することもできる。したがって例えば酸化ケイ素の層を堆積するとき、ケイ素の特徴であるプラズマのスペクトル線の光の強さを測定することが可能である。いわばその他のPICVD工程と同様でもある本発明は、特に酸化被膜の堆積に適しているので、酸素の特性線の強さも選択的に検出することができる。
【0014】
パルス電力またはパルス電力に依存する少なくとも1つの変数を測定し、それを個々のパルスにわたる時間に関して積分することの中に、堆積工程を調整するため代替としてまたそれに加えてのさらなる可能性がある。パルス・シーケンス間の間隔の長さは、このように測定された変数を基準にして次いで制御装置を用いて構成することができる。このようにしても、複数のパルス・シーケンスにわたって平均化された単位時間当たりの平均電力を設定することができる。
【0015】
パルスより短い間隔で分離されている短いパルスのパルス・シーケンス(そのパルス・シーケンスは長い間隔で分離されている)を用いる本発明による動作は、基板の加熱を最小化するために特に適切であるので、逆の面から言えば、基板の温度自体も堆積工程のための制御パラメータとして使用することができる。このために、対応して設定された制御装置を用いて基板温度を検出することができ、その検出された温度の値を基準にして、パルス・シーケンスの長さまたはパルス・シーケンス間の間隔の長さとパルス・シーケンスの長さとの比を構成することができる。具体的には、この場合、基板の温度が予め決められた値より高い場合、パルス・シーケンスの長さを短くする、またはパルス・シーケンスの長さのパルス・シーケンス間のパルスの間隔の長さに対する比を低減する、ならびに/あるいは基板の温度が予め決められた値の下にある場合にはパルス・シーケンスの長さを長くする、またはパルス・シーケンスの長さのパルス・シーケンス間のパルスの間隔の長さに対する比を大きくすればそれは適切である。
【0016】
基板の加熱を低減するために個々の点火パルスは、パルス・シーケンスの長さより著しく短く保つことが特に好ましい。具体的には、この点においてパルス・シーケンス内のパルスがパルス・シーケンスの継続期間の1/10より短い継続期間を有すれば有利である。PICVDコーティング法で慣例的に使用されているパルスは、なおその上にミリ秒の範囲のパルス長さを有している。本発明によれば、そのようなパルスは、ここで、点火パルスとして形成される多数の著しく短いパルスに分割される。したがって継続期間が最大で5ミリ秒、または最大でただの2ミリ秒にしかならないパルス・シーケンス内でパルスが使用されるのが好ましい。
本発明は、例示的実施形態に基づいてかつ添付図面を参照にして下記でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術から知られるような周期的なパルス・ブーストをもつパルス波形を示す図である。
【図2】本発明による、一連のパルスをもつパルス・シーケンスのダイアグラムを示す図である。
【図3】図2に図示されているようなパルス・シーケンスを使用するプラズマ・パルス誘起化学気相堆積を用いて基板をコーティングするための装置の略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、欧州特許出願公開第EP 0 522 281 A1号による従来技術から知られるようなパルスのマイクロ波パルス・ダイアグラムを図示している。高さUおよび短い継続期間tを有する周期的なパルス・ブースティングが高さUおよび継続期間Tを有するマイクロ波パルスに重ね合わされている。周期的なパルス・ブースティングを用いてプラズマは点火され、ブースティング間のパルスの強さによって維持される。
【0019】
図2は、本発明によって使用されるようなマイクロ波パルスのダイアグラムを示している。この場合、パルスの電力Lが時間tの関数としてプロットされている。
【0020】
パルスは継続期間tを有するパルス・シーケンスの形態でリアクタ内に放射される。継続時間tを有する各パルス・シーケンス1は、継続時間tを有する個々の点火パルス3に細分され、マイクロ波電力は、点火パルス3の間でその都度継続期間tの間中断または停止される。個々のパルス・シーケンス1は、継続期間tを有する間隔で中断される。この場合パルス・シーケンス1の間の間隔の継続期間tは、パルス・シーケンス1内の連続するパルス3の間の間隔の継続時間tより少なくとも3倍、好ましくは5倍長い。パルス・シーケンス1内の個々パルス3の間のマイクロ波電力は消滅するのが好ましい。しかし、ある値のマイクロ波電力が継続時間tを有するパルスの間隔に例えば供給源としてのマグネトロンのターン・オフ特性に起因して未だに存在する限りにおいては、前記電力は、パルス・シーケンスの間でプラズマを維持するために要する閾値電力より低い。
【0021】
具体的には、特にパルス3もパルス・シーケンスの継続期間より著しく短い。最大でも5マイクロ秒、または最大でも2マイクロ秒でさえもあるパルスの継続時間をもつ継続期間t3はこの場合継続時間t1の少なくとも1/10より短いことが好ましい。
【0022】
図2では、個々のパルス3のパルス電力は、全てのパルスに対して同一の大きさを有するとして図示されている。しかし実際は、特にパルス3を発生させるためにその都度オンおよびオフされるだけの無調整マイクロ波供給源が使用される場合にはパルス電力は変化する可能性がある。
【0023】
図3は、図2に図示されているようなパルス・シーケンスを使用するプラズマ・パルス誘起化学気相堆積を用いて基板をコーティングするための装置10の略図を示している。装置10は、一例としてヘッドライトの球状キャップの形態の基板12の内面14をコーティングするために設計されている。このために球状キャップ12は、内面14が周囲に対して密封されるように密封面16の上に配置される。このようにして創出された、内面14を取り囲む領域13は、ポンプを使用して放出ライン18を経由して排気される。堆積しようとする層の開始物質をもつプロセス・ガスが供給ライン20を経由して閉鎖された領域13に導入される。マイクロ波供給源22を用いて、マイクロ波が導波管24を経由して球状キャップ12に導かれる。導波管を経由して体積13内に結合されたマイクロ波は、領域13内でプラズマを点火させる。結果としてプラズマ内に反応生成物が生成され、球状キャップ13の内側14上にコーティングとして堆積する。酸化チタン/酸化ケイ素の互層を生成するために、ガス状の開始物質として例えば酸素と混合されたケイ素前駆体およびチタン前駆体を交互に入れることができる。これら互層は、次いで球形キャップ12の光学的性質に影響を及ぼすための干渉層システムとして働くことができる。
【0024】
一般的に、例えばHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)がケイ素前駆体として適切である。特に塩化チタン(TiCl)は酸化チタン層を堆積するために適している。堆積された互層システムは、例えば冷光反射層とすることができる。
【0025】
マイクロ波供給源22は、パルス方式で作動するが、その供給源22は、一例として概略的に図2に図示されているようなパルス・シーケンス波形が生成されるようにスイッチされる。この場合、マイクロ波供給源のスイッチングは制御装置32を用いて実行され、その制御装置は対応して供給源22を下記のように制御する:第1の間隔で時間的に分離された多数のパルスが放射され、放射された電磁エネルギーがその間隔で停止され、かつパルス・シーケンスの間の間隔が、パルス・シーケンス内のパルス間の第1の間隔より少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍長くなるように制御する。
【0026】
プラズマの光の放出の強さを窓28を通して測定する測定装置30を追加して設けることができる。測定した値は、次いで制御装置により時間に関して積分することができる。積分された強さに対して予め決められた閾値が超えられた場合、パルス・シーケンスは終了させることができる。これが予め決められた層の厚さを得ることを確実にしている。代替としてまたそれに加えてパルス・シーケンスの間の間隔の長さも構成することができる。
【0027】
測定装置は、代替としてまたはそれに加えて例えば高温測定(pyrometric measurement)を用いて基板表面の温度を測定するように設計することができる。次いで基板の温度に応じて、間隔の長さまたはパルス・シーケンスの間の間隔とパルス・シーケンスの継続期間との比を構成することができる。この場合、制御装置32を用いて、基板の温度が予め決められた値より高い場合、パルス・シーケンスの長さを短くする、またはパルス・シーケンスの長さのパルス・シーケンス間のパルスの間隔の長さに対する比を低減する、ならびに/あるいは基板の温度が予め決められた値の下にある場合にはパルス・シーケンスの長さを長くする、またはパルス・シーケンスの長さのパルス・シーケンス間のパルスの間隔の長さに対する比を大きくすればそれは適切である。
【0028】
代替としてまたそれに加えてマイクロ波供給源22から結合出力される電力をセンサ測定するセンサ26をさらに導波管24に配置することができる。前記センサ26は、制御装置32を用いてパルス・シーケンスの長さを制御するために、センサ26の測定値を測定装置30に対してアナログ方式で使用することができるよう制御装置32にも接続されている。
【0029】
当業者には、本発明が上述の例示的な実施形態に制約されるものではなく、むしろ様々な方途で変化することができることは明白である。具体的には、本発明の本質から逸脱することなく、個々の例示的実施形態の特徴は、相互に組み合わせることもでき、または個々の特定の特徴は、除外することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ気相堆積を用いて基板をコーティングするための方法であって、コーティングしようとする基板の基板表面の周囲の少なくとも一部が排気され、前記コーティングのための開始物質をもつプロセス・ガスが入れられ、前記コーティングが、前記プロセス・ガスで満たされた前記基板表面の前記周囲において電磁エネルギーを放射することによって点火されるプラズマにより堆積され、
前記電磁エネルギーが、マイクロ波または無線周波パルスの、多数のパルス・シーケンスの形態で放射され、前記パルス・シーケンスが第1の間隔で時間的に間隔をあけられた多数のパルスをもち、放射された前記電磁エネルギーが前記第1の間隔で停止され、これにより単一のパルスは点火パルスであり、前記パルス・シーケンス間の前記間隔が、パルス・シーケンス内の前記パルス間の前記第1の間隔より少なくとも3倍長く、前記パルス電力が無調整方式で結合される方法。
【請求項2】
パルス電力または前記パルス電力に依存する少なくとも1つの変数が測定され、前記個々のパルスにわたる時間に関して積分され、前記積分したパルス電力が所定の閾値を超える場合、前記パルス・シーケンスが制御装置を用いて終了され、間隔の後に次のパルス・シーケンスが開始される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電磁エネルギーを結合させるための導波管において結合出力される磁界の強さが測定され、前記個々のパルスにわたり積分される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマの光の放出の強さが測定され、時間に関して積分され、時間に関して積分された前記光の放出が予め決められた閾値を超える場合には前記パルス・シーケンスが終了される請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記パルス電力または前記パルス電力に依存する少なくとも1つの変数が測定され、前記個々のパルスにわたる時間に関して積分され、前記パルス・シーケンスの間の前記間隔の長さが、前記測定された変数を基準にして制御装置を用いて構成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板の温度が検出され、前記パルス・シーケンスの長さ、または前記パルス・シーケンスの間の間隔の長さと前記パルス・シーケンスの長さの比が前記測定された温度を基準にして構成される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基板の温度が予め決められた値より高い場合、前記パルス・シーケンスの前記長さを短くする、または前記パルス・シーケンスの長さの前記パルス・シーケンス間の前記パルスの間隔の長さに対する比を低減する、および/または前記基板の前記温度が予め決められた値の下にある場合には前記パルス・シーケンスの前記長さを長くする、または前記パルス・シーケンスの長さの前記パルス・シーケンス間の前記パルスの間隔の長さに対する前記比を大きくする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記パルス・シーケンス内の前記パルスが、パルス・シーケンスの継続期間の1/10より短い継続期間を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記パルス・シーケンス内の前記パルスが、最大でも5マイクロ秒の継続期間を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
プラズマ気相堆積を用いて、具体的には請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法を用いて基板をコーティングするための装置であって、
コーティングしようとする基板の基板表面の周囲の少なくとも一部を排気し、前記コーティングのための開始物質をもつプロセス・ガスを入れるための装置を伴う少なくとも1つのリアクタを備え、
前記装置が、パルス状電磁エネルギーのための供給源を有し、前記パルス状電磁エネルギーのための供給源はパルス化方式で動作するマイクロ波または無線周波の供給源を有し、前記供給源が、前記プロセス・ガスで満たされている前記基板表面の前記周囲で電磁エネルギーを放射することによってプラズマを点火し、かつコーティングを堆積するために前記リアクタに結合されており、
前記装置が、前記電磁エネルギーが多数のパルス・シーケンスの形態で放射され、前記パルス・シーケンスが第1の間隔で時間的に間隔をあけられた多数のパルスをもち、前記供給源が前記第1の間隔で不動作にされ、これにより単一のパルスは点火パルスであり、前記パルス・シーケンス間の前記間隔が、パルス・シーケンス内の前記パルス間の前記第1の間隔より少なくとも3倍長くなるように前記供給源を制御する制御装置を有し、パルス状電磁エネルギーのための供給源が無調整電力出力を有する装置。
【請求項11】
パルス電力または前記パルス電力に依存する少なくとも1つの変数を測定する測定装置を特徴として備え、前記制御装置が、前記測定された値を前記個々のパルスにわたる時間に関して積分し、前記積分されたパルス電力が所定の閾値を超える場合には前記パルス・シーケンスを終了させ、予め決められた長さの間隔の後に次のパルス・シーケンスを開始させるように設計されている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記測定装置が、前記電磁エネルギーを結合させるための導波管において結合出力される磁界の強さを測定するセンサを備える請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プラズマの光の強さを測定するための装置を特徴として備え、前記制御装置が、時間に関して積分された前記光の放出の強さが予め決められた値を超える場合パルス・シーケンスを終了させるように設定されている請求項11または12記載の装置。
【請求項14】
前記パルス電力または前記パルス電力に依存する少なくとも1つの変数を測定することができる測定装置が設けられ、前記制御装置が、前記測定された値を前記個々のパルスにわたる時間に関して積分し、前記パルス・シーケンスの間の前記間隔の前記長さを前記積分された測定値を基準にして構成するように設定されている請求項10乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記基板の温度を検出するための測定装置を特徴として備え、前記制御装置が、前記検出された温度の値を基準にして前記パルス・シーケンスの前記長さを構成するようになされている請求項10乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記制御装置が、前記基板の温度が予め決められた値より高い場合、前記パルス・シーケンスの前記長さを短くする、または前記パルス・シーケンスの長さの前記パルス・シーケンス間の前記パルスの間隔の長さに対する比を低減する、および/または前記基板の温度が予め決められた値の下にある場合には前記パルス・シーケンスの前記長さを長くする、または前記パルス・シーケンスの長さの前記パルス・シーケンス間の前記パルスの間隔の長さに対する比を大きくするように設定されている請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−62579(P2012−62579A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−402(P2012−402)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2007−291900(P2007−291900)の分割
【原出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】