説明

プラズマ発生体、プラズマ発生体の製造方法、および反応装置

【課題】中央部の放電空間における温度上昇を抑制することができるプラズマ発生体を提供する。
【解決手段】一方向に配列された複数の誘電体3と、該各誘電体3の内部に配設された導電体5とを有し、導電体5間に電圧を印加することにより誘電体3間の放電空間にプラズマを発生可能なプラズマ発生体であって、誘電体3が4つ以上であり、誘電体3の配列方向における中央部の放電空間を挟んで対向する導電体5間の対向面積は、誘電体3の配列方向における端部の放電空間を挟んで対向する導電体5間の対向面積よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生させたプラズマによって流体の浄化等を行なうプラズマ発生体およびその製造方法、並びにそのプラズマ発生体を用いた反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気ガス等の有害物質を含む流体を浄化する方法として、プラズマを利用するものが知られている。このようなプラズマは、導電体間に電圧を印加することにより発生し、その導電体間を通過する流体の有害物質と反応し、流体を浄化させることができる。
【0003】
このような導電体を誘電体の内部に配設すると、導電体を直接プラズマに晒すことなく、無声放電によってプラズマを発生させることが可能になる。このようなプラズマ発生体では、誘電体によって囲まれた放電空間が所定の方向に配列され、その放電空間を挟むように導電体が配置されている。
【特許文献1】特開2004−92589号公報(段落0030、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、放電空間にプラズマを発生させると、そのプラズマにより放電空間の内部および近傍の温度が上昇する。しかし、放電空間が一定の方向に配列されたプラズマ発生体では、中央部の放電空間は端部の放電空間よりも熱が逃げにくいため、温度が上昇しやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、中央部の放電空間における温度上昇を抑制することができるプラズマ発生体およびその製造方法、並びにプラズマ発生体を用いた反応装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプラズマ発生体は、一方向に配列された複数の誘電体と、該各誘電体の内部に配設された導電体とを有し、前記の導電体間に電圧を印加することにより前記の誘電体間の放電空間にプラズマを発生可能なプラズマ発生体であって、前記の誘電体が4つ以上であり、前記の誘電体の配列方向における中央部の前記の放電空間を挟んで対向する前記の導電体間の対向面積は、前記の配列方向における端部の前記の放電空間を挟んで対向する前記の導電体間の対向面積よりも小さい。以下、このプラズマ発生体を「第1プラズマ発生体」という。
【0007】
好ましくは、前記の第1プラズマ発生体において、前記の誘電体が偶数個存在する場合、前記の誘電体の配列方向における中央の前記の放電空間を挟んで対向する前記の導電体間の対向面積は、前記の配列方向における端部の前記の放電空間を挟んで対向する前記の導電体間の対向面積よりも小さい。以下、このプラズマ発生体を「第2プラズマ発生体」という。
【0008】
好ましくは、前記の第1プラズマ発生体において、前記の誘電体が奇数個存在する場合、前記の誘電体の配列方向の中央部において隣接する2つの前記の放電空間のうち一方を挟んで対向する1組の前記の導電体間の対向面積、又は前記の2つの各放電空間を挟んで対向する2組の前記の導電体間の対向面積は、前記の配列方向における端部の前記の放電空間を挟んで対向する前記の導電体間の対向面積よりも小さい。以下、このプラズマ発生体を「第3プラズマ発生体」という。
【0009】
好ましくは、前記の第3プラズマ発生体において、前記の誘電体の配列方向における中央の前記の誘電体の内部に配設された第1導電体と、該第1導電体と隣接する第2導電体との間の対向面積は、前記の第1導電体を挟んで対向する前記の第2導電体間の対向面積よりも小さい。以下、このプラズマ発生体を「第4プラズマ発生体」という。
【0010】
好ましくは、前記の第2プラズマ発生体において、前記の誘電体の配列方向における中央の前記の放電空間を挟んで対向する2つの前記の導電体のうち少なくとも一方は、平面視したときに、前記の2つの導電体のうち他方の前記の導電体の外縁の内側において貫通孔を有する。以下、このプラズマ発生体を「第5プラズマ発生体」という。
【0011】
好ましくは、前記の第3プラズマ発生体において、前記の誘電体の配列方向の中央部において隣接する2つの前記の放電空間をそれぞれ挟んで対向する3つの前記の導電体のうち少なくとも1つの導電体は、前記の3つの導電体のうち該少なくとも1つの導電体に隣接する前記の導電体の外縁の内側において貫通孔を有する。以下、このプラズマ発生体を「第6プラズマ発生体」という。
【0012】
好ましくは、前記の第2プラズマ発生体において、前記の中央の放電空間を挟んで対向する2つの前記の導電体のうち少なくとも一方は、前記の中央の放電空間の中央部に対応する位置に貫通孔を有する。以下、このプラズマ発生体を「第7プラズマ発生体」という。
【0013】
好ましくは、前記の第3プラズマ発生体において、前記の隣接する2つの放電空間をそれぞれ挟んで対向する3つの前記の導電体のうち少なくとも1つは、前記の2つの放電空間のうち隣接する少なくとも一方の放電空間の中央部に対応する位置に貫通孔を有する。以下、このプラズマ発生体を「第8プラズマ発生体」という。
【0014】
好ましくは、前記の第1乃至第8プラズマ発生体のいずれかにおいて、前記の導電体間の対向面積は、前記の誘電体の配列方向における端部から中央部に向かうにつれて漸次小さくなる。以下、このプラズマ発生体を「第9プラズマ発生体」という。
【0015】
本発明のプラズマ発生体の製造方法は、前記の第1乃至第9プラズマ発生体のいずれかにおいて、前記の誘電体および該誘電体の内部に配設された前記の導電体を、複数のセラミックグリーンシートと該セラミックグリーンシートの間に配置された導電ペーストを同時に焼成することにより形成する。
【0016】
本発明の反応装置は、前記の第1乃至第9プラズマ発生体のいずれかの前記の導電体間に交流電圧、若しくはパルス電圧を印加するための電源と、前記の誘電体間に流体を供給可能な供給部とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明のプラズマ発生体は、一方向に配列された複数の誘電体と、該各誘電体の内部に配設された導電体とを有し、導電体間に電圧を印加することにより誘電体間の放電空間にプラズマを発生可能なプラズマ発生体であって、誘電体が4つ以上であり、誘電体の配列方向における中央部の放電空間を挟んで対向する導電体間の対向面積は、配列方向における端部の放電空間を挟んで対向する導電体間の対向面積よりも小さいことから、誘電体の配列方向における中央部の放電空間における温度上昇を抑制することができる。
【0018】
本発明のプラズマ発生体の製造方法は、誘電体および該誘電体の内部に配設された導電体を、複数のセラミックグリーンシートと該セラミックグリーンシートの間に配置された導電ペーストを同時に焼成することにより形成することから、中央部の放電空間における温度上昇を抑制することができるプラズマ発生体を容易に製造することができる。
【0019】
本発明の反応装置は、プラズマ発生体の導電体間に交流電圧、矩形波電圧、方形波電圧、若しくはパルス電圧を印加するための電源と、誘電体間に流体を供給可能な供給部とを備えることから、中央部の放電空間における温度上昇を抑制することができるプラズマ発生体を用いて、安定して動作する反応装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明のプラズマ発生体の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態によるプラズマ発生体の構成例を示す斜視図であり、図2(a)は、図1のプラズマ発生体の平面図、図2(b)は、図1のプラズマ発生体の側面図である。また、図3(a)は、図2(a)のA−A’線における断面図、図3(b)は、図2(b)のB−B’線における断面図、図3(c)は、図2(b)のC−C‘線における断面図である。図1乃至図3に示されるように、本実施の形態によるプラズマ発生体1は、基体2を備える。この基体2は、一方向に配列された複数の平板状の誘電体3と、複数の誘電体3を所定の間隔をあけて支持する支持部4とを備える。誘電体3と支持部4は、放電空間となる空洞6を構成する。さらに、誘電体3の内部には、空洞6にプラズマを発生可能な導電体5が配設される。導電体5は、空洞6を挟んで互いに対向するように配置され、誘電体3の配列方向における中央の空洞6を挟んで対向する第1導電体5aと、上記配列方向における端部の誘電体3の内部に配設された第2導電体5bとからなる。さらに、基体2の一方の端面には、外部端子7aが設けられ、外部端子7aが設けられた端面に対向する他方の端面には外部端子7bがそれぞれ設けられる。図3に示されるように、複数の導電体5は、外部端子7aおよび外部端子7bに交互に接続される。なお、本明細書で基体2とは、内部に形成された導電体5等の他の部品を除いた部分をいい、後述するようにプラズマ発生体2が複数のセラミックグリーンシートの積層体とその各セラミックグリーンシートの表面に形成された導電体ペーストとを同時焼成して得られる場合には、その積層体のみをいう。
【0022】
本実施の形態によるプラズマ発生体1では、隣接する導電体5間に高電圧を印加して空洞6内にプラズマを発生させ、この空洞6内に例えば排気ガス等の流体を通過させることにより、流体中の化学物質を反応および分解させる。
【0023】
基体2は、電気絶縁材料から成り、例えば、セラミックスから成る。具体的に、基体2を製造する場合には、セラミックグリーンシートを準備し、次に準備したセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに必要に応じて複数枚積層し、高温(約1300〜1800℃)で焼成することによって製作される。電気絶縁材料としては、例えば、酸化アルミニウム焼結体(アルミナセラミックス)がある。例えば酸化アルミニウム質焼結体から成るグリーンシートは、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、カルシア(CaO)、およびマグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤および溶媒を添加混合して泥漿状となすとともにこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用し、シート状に成形することによって得られる。
【0024】
セラミックグリーンシートの積層体を作製する場合には、セラミックグリーンシートを積層した後圧着を行なう。圧着は3.0〜8.0MPa程度の圧力を加えて行ない、必要に応じて35〜80℃で加熱を行なう。このとき、空洞6を形成するために、すくなくとも1つのグリーンシートに貫通孔を形成する。また、セラミックグリーンシート同士の十分な接着性を得るために、溶剤と樹脂バインダーを混合するなどして作製した接着剤を用いてもよい。なお、誘電体材料としては、酸化アルミニウム質焼結体以外にも、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、コーディライト質焼結体、または炭化珪素質焼結体等が挙げられる。
【0025】
第1導電体5aおよび第2導電体5bは、基体2内に保持されており、空洞6内にプラズマを発生させるための導電体として機能する。すなわち、第1導電体5aおよび第2導電体5bは、基体2の表面または内部に、空洞6を挟んで互いに対向するようにそれぞれ被着形成されている。なお、第1導電体5aおよび第2導電体5bは、その端部が基体2の外表面近傍まで導出されており、外部端子7a,7bに直接に、または補助導体を介して電気的に接続される。第1導電体5aおよび第2導電体5bは、タングステン、モリブデン、銅、または銀等の金属粉末導電体からなり、スクリーン印刷法等の印刷手段を用いて、基体2用のセラミックグリーンシートの所定の位置に第1導電体5aおよび第2導電体5b用の導電体ペーストを印刷塗布し、基体2用のセラミックグリーンシートと同時焼成することによって基体2の内部に所定のパターンに形成することができる。導電体ペーストは、主成分の金属粉末に有機バインダーおよび有機溶剤、並びに必要に応じて分散剤等を加えて、ボールミル、三本ロールミル、またはプラネタリーミキサー等の混練手段により混合および混練することで製作される。導電体ペーストには、セラミックグリーンシートの焼結挙動に合わせたり、焼結後の絶縁基板との接合強度を高めたりするためにガラスやセラミックスの粉末を添加しても良い。
【0026】
なお、図3に示すように、第1導電体5aおよび第2導電体5bは、基体2の内部に空洞6に露出することなく配設することが好ましい。これは、第1導電体5aおよび第2導電体5bが空洞6内を通過する流体に直接接触しにくくなるので、流体により第1導電体5aおよび第2導電体5bが腐食し、プラズマの強度が低下することを抑制することができるからである。なお、基体2の表面に形成する場合には、第1導電体5aおよび第2導電体5bの露出する表面には、ニッケルおよび金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。また、プラズマ発生体1を高温下の環境にて使用する場合は、熱により金属同士の拡散が行われやすくなるので、ニッケルまたは金等の耐蝕性に優れる金属を単層で被着しておいても構わない。例えば、ニッケルめっき層と金めっき層とを順次被着している場合、高温下の熱によりニッケルと金とが容易に拡散し、第1導電体5aおよび第2導電体5bが劣化してプラズマの強度が低下する可能性やプラズマの強度がばらつく可能性がある。このため、プラズマ発生体1を高温下の環境にて使用する場合は、第1導電体5aおよび第2導電体5bの露出する表面に金めっき層のみを0.1〜10μm程度被着させておいても構わない。
【0027】
また、第1導電体5aおよび第2導電体5bの面積は、必要とするプラズマの強度や導電体5間に印加する電圧等によって適宜決定される。例えば、ディーゼルエンジンの排気ガス中のPMや酸化成分等の流体を浄化するプラズマ発生体1における第1導電体5aと第2導電体5bとの面積は、100mm〜90000mm程度が好ましい。
【0028】
なお、本実施の形態によるプラズマ発生体1では、誘電体3の配列方向における中央の空洞6を挟んで対向する第1導電体5aの間の対向面積は、誘電体3の配列方向における端部の空洞6を挟んで対向する第1導電体5aと第2導電体5bとの間の対向面積よりも小さい。これにより、第1導電体5a間に発生するプラズマ量は、第1導電体5aと第2導電体5bとの間に発生するプラズマ量よりも少なくなることから、第1導電体5a間のプラズマ強度は、第1導電体5aおよび第2導電体5bの間のプラズマ強度よりも小さくなる。
【0029】
基体2の外表面には、外部端子7a,7bが被着形成されている。外部端子7a,7bは、外部電源から導電体5に電圧を印加するための導電路として機能し、基体2の外表面に導出された導電体5のそれぞれに電気的に接続されている。外部端子7a,7bは、タングステン、モリブデン、銅、または銀等の金属粉末導電体からなり、スクリーン印刷法等の印刷手段を用いて、基体2用のセラミックグリーンシートの所定の位置に外部端子7a,7b用の導電体ペーストを印刷塗布し、基体2用のセラミックグリーンシートと同時焼成することによってプラズマ発生体1の所定の位置に形成することができる。外部端子7a,7b用の導電体ペーストは、第1導電体5aおよび第2導電体5b用の導電体ペーストと同様にして作製されるが、有機バインダーおよび有機溶剤の量により印刷に適した粘度に調製される。
【0030】
なお、外部端子7a,7bの露出する表面には、ニッケルまたは金等の耐蝕性に優れる金属を被着しておくことが好ましい。なお、外部端子7a,7bが酸化腐食するのを防止するとともに、外部端子7a,7bと外部電源の電源端子との接合を強固なものとするために、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層と厚みが0.1〜3μm程度の金めっき層とが順次被着されていることが好ましい。なお、外部端子7a,7bにおいても、上述と同様に、高温下にて使用する場合には、ニッケルまたは金等の耐蝕性に優れる金属を単層で被着しておいても構わない。
【0031】
あるいは、外部端子7a,7bは、基体2用のセラミックグリーンシートの焼成後に、所定の位置に貼り付けられた金属板でもよい。
【0032】
そして、外部電源の電源端子を圧接または接合等の手段により外部端子7a,7bに電気的に接続し、外部端子7a,7bを通して第1導電体5aおよび第2導電体5bに電圧を印加すると、第1導電体5aと第2導電体5bおよび第1導電体5aと第1導電体5aとの対向面(平面視して、第1導電体5aと第2導電体5bとが重畳する領域および第1導電体5aと第1導電体5aとが重畳する領域)の間にプラズマを発生させることができる。これにより、空洞6内を通過する流体は、第1導電体5aと第2導電体5bおよび第1導電体5aと第1導電体5aとの間のプラズマを通過することとなるので、反応および分解されて、浄化される。例えば、NO(窒素酸化物)は、下記の式(1)および(2)に示された反応より分解して、NおよびOが生成されて浄化される。
【0033】
2NO → 2NO+O・・・・・・・・・・(1)
2NO+O → N+2O・・・・・・・・・・(2)
なお、第1導電体5aと第2導電体5bとの間および第1導電体5aと第1導電体5aとの間にプラズマを発生させるために、周波数の高い交流電圧が印加される。印加される交流電圧は、必要とされるプラズマの強度等によって適宜選択される。例えば、ディーゼルエンジンの排気ガス中のPMや酸化成分等の流体を浄化するプラズマ発生体において印加される交流電圧の周波数は、例えば、10kHz〜100MHzである。
【0034】
また、導電体5間に印加する電圧は、交流電圧以外に、パルス電圧であってもよい。なお、交流電圧は、正弦波電圧に限らず、矩形波電圧若しくは方形波電圧等であってよい。
【0035】
本実施の形態によるプラズマ発生体1は、内部に放電空間となる空洞6を備えた基体2を有するプラズマ発生体であって、プラズマの強度は第1導電体5aおよび第2導電体5bの各面積によって適宜選択される。ここでは、誘電体3の配列方向における中央の空洞6を挟んで対向する第1導電体5a間の対向面積が、上記配列方向における端部の空洞6を挟んで対向する第1導電体5aと第2導電体5bとの間の対向面積よりも小さい。よって、第1導電体5aにより挟まれた空洞6のプラズマの強度が、第1導電体5aと第2導電体5bとによって挟まれた空洞6のプラズマ強度よりも小さくなる。これにより、プラズマ発生体1に電圧を印加してプラズマを発生した際に、プラズマ発生体1の中央部における放電空間の温度上昇を低減することができる。
【0036】
また、本実施の形態によるプラズマ発生体1において、空洞6は、一方向に延在した形状であるが、これに限らず、任意の形状であってよい。
【0037】
また、本実施の形態によるプラズマ発生体1において、基体2は、複数のセラミック層からなり、そのセラミック層に貫通孔を設けて空洞6としたが、空洞6は、貫通孔から構成されなくともよく、セラミック層の表面に1つの開口を有する穴部により構成されてもよい。
【0038】
また、図4に示すように、プラズマ発生体は、複数の空洞6A〜6Dが厚み方向に形成されたものであっても良い。図4のプラズマ発生体11では、各空洞6B,6Cを挟むように配置された誘電体3の内部に第1導電体5aが配設され、その他の誘電体3の内部に第2導電体5bが配設されている。ここで、第1導電体5a間の対向面積は、第1導電体5aと第2導電体5bとの間の対向面積よりも小さい。
【0039】
このような構成において、隣接する導電体5間に電圧を印加して各空洞6A〜6Dにそれぞれプラズマを発生させ、それぞれの空洞6A〜6D内を通過する流体を反応および分解させることにより、その流体を浄化することができる。
【0040】
上述の構成によれば、プラズマ発生体11に電圧を印加してプラズマを発生した際に、プラズマ発生体11の中央部における放電空間のプラズマの強度が小さくなるため、プラズマ発生体11の中央部における放電空間の温度上昇を低減することができる。
【0041】
また、上述のように、プラズマ発生体11に複数の空洞6A〜6Dを設けることにより、複数の空洞6A〜6Dで流体を反応および分解させることができるので、流体を効率よく浄化することができる。
【0042】
なお、図4のプラズマ発生体11では、各空洞6B,6Cを挟む誘電体3の内部に第1導電体5aを配設したが、空洞6Bと空洞6Cとの間の誘電体3の内部に第1導電体5aを配設し、その他の誘電体3の内部に第2導電体5bを配設してもよい。そのような場合であっても、各空洞6B,6Cを挟む導電体5間の対向面積が小さくなるため、該空洞6B,6C内に発生するプラズマの強度は小さくなる。
【0043】
ここで、本明細書でいうプラズマ発生体の中央部の放電空間とは、誘電体の配列方向における中央部の放電空間をいい、プラズマ発生体が奇数個の放電空間を有する場合には、誘電体の配列方向における中央の放電空間であり、プラズマ発生体が偶数個の放電空間を有する場合には、誘電体の配列方向の中央において隣接する2つの放電空間のうち少なくとも一方である。
【0044】
そして、本実施の形態によるプラズマ発生体では、このようなプラズマ発生体の中央部の放電空間のプラズマの強度を小さくするために、その中央部の放電空間を挟んで対向する導電体5間の対向面積を、端部の放電空間を挟んで対向する導電体5間の対向面積よりも小さくしている。
【0045】
すなわち、誘電体が偶数個存在する場合には、誘電体の配列方向における中央の放電空間を挟んで対向する導電体間の対向面積を、配列方向における端部の放電空間を挟んで対向する導電体間の対向面積よりも小さくし、誘電体が奇数個存在する場合には、誘電体の配列方向の中央部において隣接する2つの放電空間のうち一方を挟んで対向する1組の導電体間の対向面積、又は2つの各放電空間を挟んで対向する2組の導電体間の対向面積を、配列方向における端部の放電空間を挟んで対向する導電体間の対向面積よりも小さくする。
【0046】
なお、誘電体の配列方向における端部の放電空間とは、誘電体の配列方向において両端の放電空間である。
【0047】
また、誘電体の配列方向における中央部の放電空間および端部の放電空間以外の放電空間を挟んで対向する導電体間の対向面積は、上記中央部の放電空間を挟んで対向する導電体間(以下、「中央部の導電体間」という。)の対向面積と等しくても、中央部の導電体間の対向面積より大きくてもよく、さらには、電体の配列方向の端部から中央部に向けて漸次対向面積が小さくなってもよい。このように、導電体間の対向面積が、誘電体の配列方向の端部から中央部に向けて漸次小さくなる場合には、プラズマ発生体の端部から中央部に向けてプラズマの強度が徐々に弱くなるため、隣接する放電空間の間でプラズマの強度が急激に変化することがなく、またこれにより隣接する放電空間の間で温度が急激に変化することがないことから、誘電体に発生する応力が小さくなり、より都合がよい。
【0048】
また、本実施の形態によるプラズマ発生体では、全ての導電体を矩形状としたが、中央部の導電体間の対向面積を端部の導電体間の対向面積よりも小さくできれば、各導電体の形状、および各導電体の誘電体内部における配置は任意である。
【0049】
例えば、誘電体が偶数個存在する場合に、誘電体の配列方向における中央の放電空間を挟んで対向する2つの導電体のうち少なくとも一方が、平面視したときに、それらの2つの導電体のうち他方の導電体の外縁の内側において貫通孔を有してもよい。この場合、図3でいうと、2つの第1導電体5aのうち一方が、他方の第1導電体5aの外縁の内側において貫通孔を有している、若しくは2つの各第1導電体5aが、ともに他方の第1導電体5aの外縁の内側において貫通孔を有する。
【0050】
また、誘電体が奇数個存在する場合に、誘電体の配列方向の中央部において隣接する2つの放電空間をそれぞれ挟んで対向する3つの導電体のうち少なくとも1つは、それらの3つの誘電体のうち隣接する少なくとも1つの導電体の外縁の内側領域において貫通孔を有してもよい。この場合、図4でいうと、3つの第1導電体5aのうち中央の第1導電体5aが、隣接する2つの第1導電体5aのうち少なくとも1つの外縁の内側領域において貫通孔を有する、若しくは、3つの第1導電体5aのうち端部の第1導電体5aが、中央の第1導電体5aの外縁の内側領域において貫通孔を有する。
【0051】
また、上述のように導電体に貫通孔を設ける場合には、その導電体に隣接する1つの放電空間の中央部に対応する位置に貫通孔を設けることが好ましい。このように、放電空間の中央部の対応する位置に、貫通孔を設ける構成にすれば、放電空間の端部と異なり熱の逃げ場がなく、特に温度上昇が大きい放電空間の中央部分にプラズマが発生しないことになるため、プラズマ発生体の中央部における放電空間の温度上昇をより低減することができる。
【0052】
また、導電体に複数の貫通孔を設けることにより、その導電体を例えば格子形状等の形状にすると、導電体と基体との熱膨張係数の差によって発生する応力を低減することができる。
【0053】
なお、プラズマ発生体1,11は、基体2が、セラミックグリーンシートを同時焼成することにより形成され、第1導電体5a、第2導電体5b、および外部端子7a,7bが、導電体ペーストをセラミックグリーンシートと同時に焼成することにより形成されることが好ましい。このことにより、プラズマ発生体はセラミックスと導電体ペーストを同時焼成することにより一体化されているので、高温、高振動等の環境下で長期間使用される場合にも、プラズマ発生体の変形を小さなものとし、空洞6の形状を安定したものとすることができる。従って、空洞6内を通過するPMや酸化性成分等の流体を長期間にわたって安定して反応させ、分解させて良好に浄化することができる。
【0054】
なお、プラズマ発生体単独ではなく、他の排気ガスの浄化機構をともに用いてもよい。例えば、プラズマ発生体の前後にフィルターや触媒を付着しておいても良く、これにより排気ガス中のPMや酸化成分等の排出をさらに低減させることができる。このようなフィルターとして、セラミック製のDPF(Diesel Particulate Filter)等があり、触媒として白金等を用いることができる。
【0055】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る反応装置100の構造的な構成を示す概念図である。なお、第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
反応装置100は、第1の実施形態のプラズマ発生体1を備え、プラズマ発生体1により被処理流体を処理して排出する装置として構成されている。被処理流体は、例えば、自動車の内燃機関の排気ガスであり、空洞6(以下、「放電空間」ともいう。)における化学変化によりNOxが分解される。また、例えば、被処理流体は、冷蔵庫やエアコンに冷却媒体として使用されたフロンであり、放電空間6における化学変化によりフロンが分解される。なお、以下では、反応装置100のうち、プラズマ発生体1以外の部分を、反応装置本体部101ということがある。
【0057】
反応装置本体部101は、被処理流体を供給する流体源103と、流体源103からプラズマ発生体1に被処理流体を導く供給管105(供給部の一例)と、プラズマ発生体1により処理された被処理流体を排出する排出管107と、被処理流体の流動を制御するための被処理流体用ポンプ109と、冷却媒体を供給する冷媒源111と、冷媒源111からプラズマ発生体1に冷却媒体を導く供給用流動管50A(冷却部の一例)と、プラズマ発生体1から冷媒源111に冷却媒体を導く排出用流動管50Bと、冷却媒体の流動を制御するための冷却媒体用ポンプ113(冷却部の一例)とを備えている。
【0058】
流体源103は、被処理流体としての排気ガスを排出する自動車の内燃機関等、被処理流体を生成するものである。あるいは、流体源103は、使用済みの冷蔵庫やエアコンの冷却媒体を保持したタンク等、被処理流体を保持するものである。
【0059】
供給管105は、一端側が、流体源103の被処理流体を生成又は保持する空間に連通し、他端側が、プラズマ発生体1の放電空間6に連通している。供給管105のプラズマ発生体1側は、放電空間6の数に対応して第1分岐部105aA、第2分岐部105aB、第3分岐部105aC(以下、単に「分岐部105a」といい、これらを区別しないことがある。)に分岐し、第1分岐部105aA〜第3分岐部105aCは、それぞれ第1放電空間6A〜第3放電空間6Cに連通している。
【0060】
排出管107は、一端側が、プラズマ発生体1の放電空間6に、供給管105とは反対側から連通し、他端側が、大気に開放され、又は、処理後の被処理流体を保持若しくは処理後の被処理流体に別の処理を施す不図示の空間に連通している。排出管107のプラズマ発生体1側は、放電空間3の数に対応して第1分岐部107aA、第2分岐部107aB、第3分岐部107aC(以下、単に「分岐部107a」といい、これらを区別しないことがある。)に分岐し、第1分岐部107aA〜第3分岐部107aCは、それぞれ第1放電空間6A〜第3放電空間6Cに連通している。なお、排出管107は、省略されてもよい。例えば、処理後の被処理流体が放電空間6から大気へ直接的に排出されてもよい。
【0061】
供給管105及び排出管107は、金属や樹脂などの適宜な材料により形成されている。供給管105及び排出管107は、可撓性を有していてもよいし、有していなくてもよい。分岐部105a及び分岐部107aと、放電空間6との接続は、例えば、分岐部105aや分岐部107aの端部を、基体2における放電空間6の開口を有していない側面に当接させて、接着剤や螺合部材などの適宜な固定部材により分岐部105aや分岐部107aと基体2とを固定することにより行われる。なお、分岐部105aや分岐部107aを放電空間6に嵌合挿入したり、流出用接続管等の突出した環状部分を放電空間6の端部に基体2と一体的に形成し、その突出部分を分岐部105aや分岐部107aに嵌合挿入することにより行われてもよい。
【0062】
被処理流体用ポンプ109は、供給管105及び排出管107の少なくともいずれかに設けられている。図5では、供給管105に設けられた場合を例示している。なお、流体源103が内燃機関である場合など、流体源103の動力により被処理流体が流動される場合には、被処理流体用ポンプ109は省略されてもよい。また、被処理流体用ポンプ109は、プラズマ発生体1に設けることも可能である。被処理流体用ポンプ109は、ロータリーポンプや往復ポンプ等の適宜なポンプにより構成されてよい。
【0063】
冷媒源111は、例えば、熱交換器を含んで構成され、排出用流動管50Bからの冷却媒体の温度を熱交換器により降下させて供給用流動管50Aに供給する。なお、冷媒源111は、冷却媒体を供給することができればよく、排出用流動管50Bからの冷却媒体を受け入れて冷却媒体を循環させるものでなくてもよい。すなわち、排出用流動管50Bからの冷却媒体は、冷媒源111とは異なる場所へ排出されてよい。例えば、冷却媒体として水道水が利用されるような場合に、排出用流動管50Bからの水は、冷媒源111としての水源とは異なる場所へ排出されてよい。逆に、冷却媒体が循環される構成である場合には、冷媒源111は省略されてもよい。
【0064】
供給用流動管50Aは、一端が冷媒源111に連通するとともに、他端が、上述のように、流入用接続管等を介してプラズマ発生体1の空洞6(流路)に連通している。排出用流動管50Bは、一端が、基体2に一体的に設けられた流出用接続管等を介してプラズマ発生体1の空洞6に連通するとともに、他端が冷媒源111に連通している。流動管50は、金属や樹脂などの適宜な材料により形成されている。流動管50は、可撓性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0065】
冷却媒体用ポンプ113は、供給用流動管50A及び排出用流動管50Bの少なくともいずれかに設けられている。図5では、供給用流動管50Aに設けられた場合を例示している。なお、冷媒源111が高位置にあるタンクであり、重力により冷却媒体を流動させることができるなど、適宜に冷却媒体を流動させる動力が得られる場合には、冷却媒体用ポンプ113は省略されてもよい。また、冷却媒体用ポンプ113は、プラズマ発生体1に設けることも可能である。冷却媒体用ポンプ113は、ロータリーポンプや往復ポンプ等の適宜なポンプにより構成されてよい。
【0066】
図6は、反応装置100の電気系の構成を示すブロック図である。ここでは、例として、基体2の内部に基体2の温度を検出するための温度検出素子115と、基体2を加熱するためのヒータ116とが設けられているものする。また、基体2の表面に導電体5に電圧を印加するための導電体用端子117、温度検出素子115からの電気信号を出力ためのセンサ用端子118、ヒータ116に電力を供給するためのヒータ用端子119がそれぞれ露出しているものとする。
【0067】
反応装置本体部101は、導電体用端子117、センサ用端子118、ヒータ用端子119に接続される装置側導電体用端子141、装置側センサ用端子143、装置側ヒータ用端子145を備えている。プラズマ発生体1は、これら端子を介して反応装置本体部101から電力が供給されて駆動制御される。具体的には、以下のとおりである。
【0068】
電源部121は、例えば、バッテリを含んで構成され、バッテリからの直流電力を適宜な電圧の交流電力又は直流電力に変換して供給する。あるいは、商用周波数の交流電力を適宜な電圧の交流電力又は直流電力に変換して供給する。電源部121の電力は、制御部123、放電制御部125、温度検出部127、ヒータ駆動部129、被処理流体用ポンプ109、冷却媒体用ポンプ113に供給される。
【0069】
放電制御部125は、電源部121から供給される電力を、制御部123からの制御信号に応じた電圧の交流電力に変換し、その変換後の電力を装置側導電体用端子141及び導電体用端子117を介して導電体5に供給する。放電制御部125は、例えば、インバータや変圧器等の電源回路を含んで構成されている。導電体5では、放電制御部125により印加された電圧に応じた量の放電が行われる。
【0070】
温度検出部127は、例えば、温度検出素子115が温度変化により抵抗値が変化する抵抗体により構成されている場合、電源部121から供給される電力を適宜な電圧の直流電力又は交流電力に変換し、その変換した電力を装置側センサ用端子143及びセンサ用端子118を介して温度検出素子115に供給する。そして、温度検出素子115は、温度検出素子115の抵抗値を検出し、その検出した抵抗値に応じた信号を制御部123に出力する。温度検出素子115は、検出した抵抗値に基づいて温度検出素子115の温度を算出し、その算出値に応じた信号を制御部123に出力してもよい。
【0071】
ヒータ駆動部129は、電源部121から供給される電力を、制御部123からの制御信号に応じた電圧の直流電力又は交流電力に変換し、その変換した電力を装置側ヒータ用導電体145及びヒータ用導電体119を介してヒータ116に供給する。ヒータ駆動部129は、例えば、整流回路や変圧器等の電源回路を含んで構成されている。ヒータ116では、ヒータ駆動部129により印加された電圧に応じた量の発熱が行われる。
【0072】
被処理流体用ポンプ109及び冷却媒体用ポンプ113はそれぞれ、例えば、特に図示しないが、ポンプの駆動源としてのモータと、当該モータを駆動するモータドライバとを含んで構成されており、モータドライバは、電源部121から供給される電力を、制御部123からの制御信号に応じた電圧の交流電力又は直流電力に変換してモータに印加する。モータは、印加された電圧に応じた回転数で回転し、ひいては、印加された電圧に応じた力が被処理流体や冷却媒体に加えられる。
【0073】
入力部131は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの操作に応じた信号を制御部123に出力する。例えば、入力部131は、反応装置100の駆動開始操作、駆動停止操作、温度設定や流量制御に係る各種のパラメータの設定操作を受け付け、操作に応じた信号を出力する。入力部131は、例えば、各種スイッチを含んだ制御パネルやキーボードにより構成されている。
【0074】
制御部123は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を備えたコンピュータにより構成されている。制御部123は、温度検出部127や入力部131からの信号に基づいて、放電制御部125、ヒータ駆動部129、被処理流体用ポンプ109及び冷却媒体用ポンプ113に制御信号を出力する。
【0075】
例えば、制御部123は、入力部131から反応装置100の駆動開始操作に応じた信号が入力された場合には、導電体5への電力の供給を開始するように放電制御部125に制御信号を出力し、入力部131から反応装置100の駆動停止操作に応じた信号が入力された場合には、導電体5への電力の供給を停止するように放電制御部125に制御信号を出力する。
【0076】
また、例えば、制御部123は、温度検出部127により検出される温度が、プラズマ発生体1が効率的にプラズマを発生させることができる温度として設定された所定の目標温度に達していないと判定した場合は、導電体5へ供給する電力を、通常運転時に供給する電力よりも増加させるように、放電制御部125に制御信号を出力し、プラズマ発生体1が目標温度に到達した場合には、導電体5へ供給する電力を通常運転時に供給する電力に維持するように、放電制御部125に制御信号を出力する。
【0077】
また、例えば、制御部123は、温度検出部127により検出される温度が、プラズマ発生体1が効率的にプラズマを発生させることができる温度として設定された所定の目標温度に達していないと判定した場合は、ヒータ116へ電力を供給し、又は、ヒータ116へ供給する電力を増加させるように、ヒータ駆動部129に制御信号を出力する。そして、プラズマ発生体1が目標温度に到達した場合には、ヒータ116へ供給する電力を減少させ、又は、ヒータ116への電力の供給を停止するように、ヒータ駆動部129に制御信号を出力する。
【0078】
また、例えば、制御部123は、温度検出部127により検出される温度と、プラズマ発生体1が効率的にプラズマを発生させることができる温度、あるいは、プラズマ発生体1や反応装置本体部101が安全に運転される温度として設定された所定の目標温度とを比較し、検出された温度が目標温度よりも高い場合には冷却媒体の流速を高く、低い場合には冷却媒体の流速を低くするように、冷却媒体用ポンプ113へ制御信号を出力する。
【0079】
また、例えば、制御部123は、温度検出部127により検出される温度が、プラズマ発生体1が効率的にプラズマを発生させることができる温度として設定された所定の目標温度に達していないと判定した場合は、被処理流体の流速を低く、達したと判定した場合は、被処理流体の流速を高くするように、被処理流体用ポンプ109へ制御信号を出力する。
【0080】
また、例えば、制御部123は、温度検出部127により検出される温度と、プラズマ発生体1や反応装置本体部101が安全に運転される温度として設定された所定の温度範囲とを比較し、検出された温度が設定された温度範囲を超えた場合には、不図示の表示装置やスピーカ等の報知部に、異常の発生を報知するように制御信号を出力する。
【0081】
以上の第2の実施形態によれば、反応装置100は、第1の実施形態のプラズマ発生体1と、放電空間3に被処理流体を供給する供給管105と、放電空間3でプラズマ発生を行なって被処理流体を化学変化させた反応流体を排出するための排出管107とを備えているから、第1の実施形態と同様に、プラズマ発生体1の耐久性の向上やプラズマ発生体1の小型化の効果が得られ、ひいては、反応装置100の耐久性の向上や小型化の効果が得られる。
【0082】
なお、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上述においては、自動車、船舶、発電機等に使用されるディーゼルエンジン等の排気ガスの浄化について説明を行っているが、その他の用途に使用されるプラズマ発生体およびその反応装置に適用しても良い。例えば、消臭、ダイオキシン分解、花粉分解等に使用される空気洗浄機器やプラズマエッチング、薄膜装置等に搭載されるプラズマ発生体および反応装置等に適用することができる。また、プラズマ反応により空洞内を通過する流体を反応または分解させるためのプラズマ発生体およびその反応装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるプラズマ発生体の構成例を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1のプラズマ発生体の平面図であり、(b)は、(a)の図1のプラズマ発生体の側面図である。
【図3】(a)は、図2(a)のプラズマ発生体のA−A’線における断面図、(b)は、図2(b)のB−B’線における断面図、(c)は、図2(b)のC−C‘線における断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるプラズマ発生体の他の構成例を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る反応装置の構造的な構成を示す概念図である。
【図6】図5の反応装置の電気系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
1,11・・・プラズマ発生体
2・・・・・・基体
3・・・・・・誘電体
4・・・・・・支持部
6・・・・・・空洞
5a,5b・・・導電体
7a,7b・・・外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列された複数の誘電体と、該各誘電体の内部に配設された導電体とを有し、前記導電体間に電圧を印加することにより前記誘電体の間の放電空間にプラズマを発生可能なプラズマ発生体であって、
前記誘電体が4つ以上であり、
前記誘電体の配列方向における中央部の前記放電空間を挟んで対向する前記導電体間の対向面積は、前記配列方向における端部の前記放電空間を挟んで対向する前記導電体間の対向面積よりも小さいプラズマ発生体。
【請求項2】
前記誘電体が偶数個存在する場合、前記誘電体の配列方向における中央の前記放電空間を挟んで対向する前記導電体間の対向面積は、前記端部の前記放電空間を挟んで対向する前記導電体間の対向面積よりも小さい請求項1に記載のプラズマ発生体。
【請求項3】
前記誘電体が奇数個存在する場合、前記誘電体の配列方向の中央において隣接する2つの前記放電空間のうち一方を挟んで対向する1組の前記導電体間の対向面積、又は前記2つの各放電空間を挟んで対向する2組の前記導電体間の対向面積は、前記端部の前記放電空間を挟んで対向する前記導電体間の対向面積よりも小さい請求項1に記載のプラズマ発生体。
【請求項4】
前記中央において隣接する2つの前記放電空間の間の誘電体の内部に配設された第1導電体と、該第1導電体と隣接する第2導電体との間の対向面積は、前記第1導電体を挟んで対向する前記第2導電体間の対向面積よりも小さい請求項3に記載のプラズマ発生体。
【請求項5】
前記中央の前記放電空間を挟んで対向する2つの前記導電体のうち少なくとも一方は、平面視したときに、前記2つの導電体のうち他方の前記導電体の外縁の内側において貫通孔を有する請求項2に記載のプラズマ発生体。
【請求項6】
前記誘電体の配列方向の中央部において隣接する2つの前記放電空間をそれぞれ挟んで対向する3つの前記導電体のうち少なくとも1つの前記導電体は、前記3つの導電体のうち該少なくとも1つの導電体に隣接する前記導電体の外縁の内側において貫通孔を有する請求項3に記載のプラズマ発生体。
【請求項7】
前記中央の放電空間を挟んで対向する2つの前記導電体のうち少なくとも一方は、前記中央の放電空間の中央部に対応する位置に貫通孔を有する請求項2に記載のプラズマ発生体。
【請求項8】
前記隣接する2つの放電空間をそれぞれ挟んで対向する3つの前記導電体のうち少なくとも1つは、前記2つの放電空間のうち隣接する少なくとも一方の放電空間の中央部に対応する位置に貫通孔を有する請求項3に記載のプラズマ発生体。
【請求項9】
前記導電体間の対向面積は、前記誘電体の配列方向における端部から中央部に向かうにつれて漸次小さくなる請求項1から請求項8のいずれかに記載のプラズマ発生体。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のプラズマ発生体を製造するための製造方法であって、
前記誘電体および該誘電体の内部に配設された前記導電体を、複数のセラミックグリーンシートと該セラミックグリーンシートの間に配置された導電ペーストを同時に焼成することにより形成するプラズマ発生体の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のプラズマ発生体と、
前記プラズマ発生体の前記導電体間に交流電圧、若しくはパルス電圧を印加するための電源と、
前記誘電体間に流体を供給可能な供給部と
を備えた反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−87700(P2009−87700A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255340(P2007−255340)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】