説明

プラテンローラ保持構造および記録装置

【課題】 小型かつ簡単な構成で容易にプラテンローラの着脱が可能であり、プラテンローラ保持の信頼性が高いプラテンローラ保持構造を提供する。
【解決手段】 プラテンローラ2の軸部2aが規制部材3の連結部3aに嵌め込まれ、軸部2aが固定フレーム4の第1の凹部5内に、規制部材3の係合部3bが第2の凹部6内にそれぞれ挿入されて、プラテンローラ2の外周部2bがサーマルヘッド1に当接した記録可能状態にある。軸部2aの、第1の凹部5からA方向への脱出は内周縁5aによって阻止される。軸部2aの、内周縁5aに妨げられずに開口部分5bへ向かうB方向への脱出は、係合部3bが内周縁6aに当接してB方向に移動できないことにより阻止される。軸部2aを第1の凹部5内に保持したまま係合部3bを第2の凹部6からC方向に脱出させた後に初めてプラテンローラ2の取り外しが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドに接する位置で用いられるプラテンローラの保持構造と、それを有する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内部に記録ヘッドとそれに接するプラテンローラとを有し、プラテンローラによって搬送される記録媒体に対して記録ヘッドが記録を行う記録装置がある。このような記録装置において、記録媒体のセットおよびジャム処理や、記録ヘッドおよびプラテンローラのメンテナンスや交換を行う場合に、筐体内部で記録ヘッドとプラテンローラが当接したままの状態では操作が非常に困難である。従って、プラテンローラと記録ヘッドを引き離すとともに、筐体外部に露出させることが望ましい。記録ヘッドは複数の記録素子(例えば発熱素子)を有しており、各記録素子を選択的に駆動するための記録信号が入力される電気接続の信頼性を損なわないように筐体内に固定されているのが好ましい。従って、記録ヘッドを筐体内に固定したままで、プラテンローラを記録ヘッドから引き離して外部に引き出す構成が一般に採用されている。
【0003】
プラテンローラは、記録動作時には記録ヘッドに対して所定の圧力でしっかりと接触しなければならない。従って、筐体に溝状の凹部を設け、その凹部内にプラテンローラを保持することによって位置決めを行っている構成がある。
【0004】
さらに、そのプラテンローラを着脱可能にするために、例えば、凹部の開口部分、すなわちプラテンローラの出入口となる部分にばね部材を設けた構成がある。その構成によると、ばね部材を弾性変形させてプラテンローラを凹部内の所定の位置まで押し込むことが可能であるが、一旦所定の位置に押し込まれたプラテンローラは、ばね部材が再び弾性変形して開口部分が開放されない限り、凹部外へ取り出せない。使用者がばね部材に力を加えて弾性変形させると、プラテンローラが簡単に取り外せる。
【0005】
また、プラテンローラの軸部を、周囲から取り囲む部材によって凹部内に保持する構成、すなわち、凹部の開口部分(プラテンローラの出入口部分)の少なくとも一部を塞いで、プラテンローラが凹部内から脱出するのを妨げる構成もある。凹部の開口部分を塞ぐ部材が記録ヘッド自体である場合や、プラテンローラの軸部を保持するための専用のロックアームである場合がある(特許文献1)。このような構成では、プラテンローラの軸部を取り囲む部材(記録ヘッドまたはロックアーム)を移動させることによって、凹部の開口部分が開放されて、プラテンローラの着脱が可能になる。
【0006】
特許文献2には、本体フレーム(筐体のベース部材)に対して開閉可能なカバープレート(蓋部材)にプラテンローラの軸部が挿入される第1のスリットが設けられ、本体フレームに、カバープレートが閉じられたときに第1のスリットと組み合わされてプラテンローラの軸部を保持する第2のスリットが設けられた構成が開示されている。さらにこの構成では、カバープレートに回転可能に設けられたロックレバーが、本体フレームに設けられたピンに係合することによって、プラテンローラが第1のスリットと第2のスリットの交わる位置に保持された状態で、カバーフレームを本体フレームに固定することができる。
【0007】
特許文献3には、プラテンローラが回転可能に取り付けられたブッシュレバー部材を有し、このブッシュレバー部材に略長方形状の軸部が形成され、筐体に設けられた凹部の開口部分が、略長方形状の軸部の短辺は通過させるが長辺は通過させない幅を有している構成が開示されている。この構成によると、略長方形状の軸部の短辺を凹部の開口部分に対向させた状態で、ブッシュレバー部材の軸部を凹部内に挿入した後に、ブッシュレバー部材を90度回転させて、略長方形状の軸部の長辺を凹部の開口部分に対向させることによって、軸部およびプラテンローラの凹部内からの脱出を防ぐことができる。
【特許文献1】特開2000−318260号公報(図3)
【特許文献2】特開2000−118060号公報(図1)
【特許文献3】特開平6−71954号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した従来例のうち、プラテンローラが挿入される凹部の開口部分にばね部材が設けられている構成では、ばね部材の位置や形状に応じた適切なばね力が必要である。仮に、ばね部材が弾性変形しにくい場合には、凹部の開口部分を開放させることが困難で、プラテンローラの着脱操作が容易でなくなる。一方、ばね部材が弾性変形し易い場合には、使用者が外力を加えていないときに何らかの衝撃や振動等によって、簡単にばね部材が弾性変形してしまい、意図しないときにプラテンローラが凹部外に脱出してしまうことがある。通常の記録時にはプラテンローラが凹部内から脱出せず、しかも使用者が着脱操作を行う際には容易にばね部材を弾性変形させられるように、適切なばね力を正確に実現するのは容易ではない。また、長期の使用によってばね力に変動が生じて、プラテンローラの着脱に関して不都合が生じるようになる可能性がある。
【0009】
また、記録ヘッド自体が凹部の開口部分を塞ぐ位置に配置され、プラテンローラの凹部からの脱出を妨げる構成では、良好な記録を実現するために記録ヘッドを所定の圧力でプラテンローラに押し付けるためのばね部材が設けられている。このばね部材が、前記した構成と同様に、プラテンローラの着脱を規制している。従って、記録ヘッドに取り付けられたばね部材が堅い場合には、凹部の開口部分を開放させることが困難で、プラテンローラの着脱操作が容易でなくなる。一方、ばね部材が軟らかい場合には、使用者が外力を加えていないときに何らかの衝撃や振動等によって意図しないときに記録ヘッドが後退してプラテンローラが凹部外に脱出してしまうことが考えられる。通常の記録時にはプラテンローラが凹部内から脱出せず、かつ記録ヘッドを適切な圧力でプラテンローラに当接でき、しかも、使用者が着脱操作を行う際には容易にばね部材を弾性変形させてプラテンローラを凹部内に挿入できるように、全ての条件を満たした適切なばね力を正確に実現するのは容易ではない。また、長期の使用によってばね力に変動が生じて不都合が生じるようになる可能性がある。
【0010】
特許文献1のように、凹部の開口部分をロックアームによって塞ぐ構成では、通常、ロックアームは筐体のベース部材側に設けられており、操作レバー等によって移動可能になっている。すなわち、ロックアームの動作の支点は、記録ヘッドの近傍または記録ヘッドの後方に位置しているのが一般的である。また、ロックアームを凹部の開口部分を塞ぐ位置に保持するために、ロックアームを付勢するばね部材が設けられている場合が多い。操作レバーを設けることによって、前記した各構成のようにばね部材のばね力のみによって着脱の操作性が左右されることはなくなる。しかし、この構成では、通常、筐体のベース部材、特に記録ヘッドの近傍または後方に、ロックアームの動作の支点や操作レバーやばね部材が配置される。その結果、筐体の中央部のスペースがこれらの部材によって占められるため、記録装置の様々な機能に関連する他の部材を配置するスペースが別途必要になったり、これらの部材のために記録媒体の搬送経路が規制されたりするなど、設計の自由度を損なうとともに、装置全体の小型化の妨げとなる。
【0011】
特許文献2に記載の構成では、本体フレームではなくカバーフレームに操作レバーが設けられているため、本体フレーム(筐体のベース部材)側のスペースが有効に使えるという点では、特許文献1の構成よりも有利である。しかし、この構成では、カバーフレーム全体の移動によってプラテンを記録ヘッドから引き離すため、動作のストロークが大きく、そのために操作レバーも大型である。このことは、この装置の設置スペースの自由度を損なう。また、この構成では、第1のスリット内にプラテンローラを保持するために、第1のスリットの開口部分(出入口部分)が狭められている。
【0012】
特許文献3の構成では、ブッシュレバー部材が比較的大型であり、それを90度回転させるためストロークが大きく、ブッシュレバー部材の移動スペースを空けておかなければならない。さらに、プラテンローラが凹部内に挿入された状態でブッシュレバー部材を固定するため、ブッシュレバー部材の係止部と筐体の開口部を係止する構成が必要である。また、略長方形状の軸部の長辺の長さ>凹部の開口部分の幅>軸部の短辺の長さという関係が厳密に守られなければならず、またそれらの長さの差がごく僅かであるとロックの信頼性に乏しくなるので、極端な小型化は不可能である。
【0013】
そこで本発明の目的は、前記した各従来例の種々の問題を解消し、小型かつ簡単な構成で、容易にプラテンローラの着脱が可能であるとともに、プラテンローラの保持に関して高い信頼性を確保することができる、プラテンローラ保持構造と、それを有する記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のプラテンローラ保持構造は、
回転可能なプラテンローラと、
プラテンローラに取り付けられている連結部と、連結部との間が所定の間隔に保たれる係合部とを備え、プラテンローラと同軸に、かつプラテンローラに対して相対的に回転可能な規制部材と、
プラテンローラを、記録媒体に対して記録を行う記録ヘッドに対向する所定の位置に保持するための第1の凹部と、規制部材の前記係合部を所定の位置に保持するための第2の凹部が設けられている固定フレームとを有し、
第1の凹部の内周縁の一部が、プラテンローラが第1の凹部内に保持されかつ規制部材の係合部が第2の凹部内に保持されている状態で、プラテンローラの特定方向への移動を規制する位置に設けられており、
第2の凹部の内周縁がプラテンローラを中心とする円弧をなし、その一部が、プラテンローラが第1の凹部内に保持されかつ規制部材の係合部が第2の凹部内に保持されている状態で、係合部の特定方向への移動を規制する位置に設けられており、
プラテンローラが第1の凹部内に保持されかつ規制部材の係合部が第2の凹部内に保持されている状態で、プラテンローラが第1の凹部内に保持されたまま移動することなく規制部材がプラテンローラと同軸に、かつプラテンローラに対して相対的に回転して、係合部が第2の凹部の内周縁に沿って移動して第2の凹部から脱出することによって、プラテンローラの第1の凹部内から脱出する方向への移動が可能になることを特徴とする。
【0015】
第1の凹部の内周縁の一部は、プラテンローラが第1の凹部内に保持されかつ規制部材の係合部が第2の凹部内に保持されている状態で、係合部が第2の凹部内に保持されたまま移動することなくプラテンローラが第1の凹部から脱出するのを妨げ、第2の凹部の内周縁の一部は、プラテンローラが第1の凹部内に保持されかつ規制部材の係合部が第2の凹部内に保持されている状態で、プラテンローラの第1の凹部からの脱出と係合部の第2の凹部からの脱出が同時に行われるのを妨げる。
【0016】
この構成によると、プラテンローラが第1の凹部内に保持されかつ規制部材の係合部が第2の凹部内に保持されている状態では、第1および第2の凹部の各内周縁によって、プラテンローラのみが移動して第1の凹部から脱出することと、プラテンローラと係合部が同時に第1および第2の凹部から脱出することが妨げられている。従って、プラテンローラに対して、例えば記録ヘッドや記録媒体等から外力が加わっても、第1の凹部から脱出してしまうことはない。
【0017】
一方、初めに係合部を第2の凹部から脱出させると、その後にプラテンローラを第1の凹部から脱出させることができるため、使用者が意図的にプラテンローラを取り外すことは可能である。係合部は比較的自由な位置および形状に設けることができ、記録ヘッドや記録媒体等から圧力を受ける可能性は低いので、意図しないときに第2の凹部から脱出してしまう可能性は低い。
【0018】
プラテンローラが第1の凹部から内周縁に妨げられずに脱出可能な方向と、係合部が第2の凹部の内周縁に当接する方向とが一致していると、プラテンローラと係合部が同時に第1および第2の凹部から脱出することを防ぐ信頼性が高い。なお、係合部の大きさや内周縁との接触面積にもよるが、前記した両方向が必ずしも一致していなくても、おおよそ同じ方向を向いているだけでも有効である。
【0019】
プラテンローラは、軸部が第1の凹部内に保持されるとともに、軸部に規制部材の連結部が回転可能かつ離脱不能に取り付けられていてもよい。また、プラテンローラは、軸部が軸受部に支持された状態で、軸受部と一体的に第1の凹部内に保持されてもよい。
【0020】
本発明の記録装置は、前記したいずれかの構成のプラテンローラ保持構造と、記録ヘッドとを有し、記録ヘッドは固定フレームに取り付けられており、プラテンローラおよび規制部材は、固定フレームに対して移動可能なプラテンフレームに取り付けられている。
【0021】
規制部材をプラテンローラと同軸に回転させるための操作レバーをさらに有し、それが固定フレームおよびプラテンフレームに対して移動可能に取り付けられていることが好ましい。この操作レバーは、規制部材をプラテンローラと同軸に回転させることによって係合部を第2の凹部から脱出させ、プラテンローラを第1の凹部から、内周縁に妨げられない方向に脱出可能にする。
【0022】
ベース部材とベース部材に対して開閉可能な蓋部材とからなる筐体をさらに有し、固定フレームはベース部材に固定されており、プラテンフレームは蓋部材に固定されていてもよい。さらに、蓋部材とベース部材とによって、記録ヘッドとプラテンローラの間に供給される記録媒体が巻かれたロール体を収容可能な収容スペースが構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、通常は、プラテンローラが第1の凹部内に保持されかつ規制部材の係合部が第2の凹部内に保持されている状態に保たれ、このプラテンローラに、例えば記録ヘッドや記録媒体などから、何らかの外力が加わっても、プラテンローラのみが移動して第1の凹部から脱出したり、プラテンローラと係合部が同時に第1および第2の凹部から脱出したりすることが抑えられている。従って、意図しないときにプラテンローラが、記録ヘッドと接触する所定の位置から外れてしまうことがない。一方、初めに係合部を第2の凹部から脱出させると、その後にプラテンローラを第1の凹部から脱出させることができるため、使用者が意図的にプラテンローラを取り外すことは容易に可能である。係合部は、意図しない外力を受けにくいように、比較的自由な位置および形状に設けることができる。
【0024】
本発明では、ばね部材やロックアーム等の他部材によってプラテンローラを取り囲んで保持する構成ではないため、長期の使用によっても信頼性が低下するおそれが小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜6に本発明の一実施形態の要部が示されている。
【0026】
図1,2に示すように、記録媒体(図示せず)に対して記録を行う記録ヘッドの一例であるサーマルヘッド1と、記録媒体を搬送するプラテンローラ2が、互いに接するように配置されている。図示しないが、サーマルヘッド1には、多数の発熱素子と、各発熱素子を選択的に駆動するために駆動信号を伝達する電気接続機構と、プラテンローラ2に対して圧接するためのばね部材や押圧部材が設けられている。プラテンローラ2は、軸部2aと弾性体からなる外周部2bを有している。このサーマルヘッド1およびプラテンローラ2が記録部を構成している。
【0027】
図1,3に示す規制部材3の連結部3aにプラテンローラ2の軸部2aが嵌め込まれることによって、規制部材3が、プラテンローラ2と同軸に、かつプラテンローラ2に対して相対的に回転可能に取り付けられている。図1,5,6に示すように、プラテンローラ2と規制部材3が組み立てられた状態では、規制部材3はプラテンローラ2から離脱不能である。従って、規制部材3とプラテンローラ2は、相対的に回転可能であるが、それ以外の動作に関しては一体的に移動する。規制部材3には突起状の係合部3bが設けられている。規制部材3は比較的高い剛性を有しており変形しにくく、連結部3aの中心(この連結部3aが取り付けられるプラテンローラ2の中心)から、係合部3bの外縁までの距離Lは常に一定である。
【0028】
図1,4に示す固定フレーム4は、記録装置の筐体10のベース部材9(図7,11参照)に移動不能に固定されている。この固定フレーム4には、溝状の第1の凹部5と、溝状の第2の凹部6が設けられている。第1の凹部5は、プラテンローラ2を、サーマルヘッド1に当接して記録媒体の良好な搬送および記録が可能な所定位置に安定して保持するためのものである。第2の凹部6は、プラテンローラ2と規制部材3が前記したように一体化した状態でプラテンローラ2が第1の凹部5内の所定位置に保持されたときに、規制部材3の係合部3bを所定位置に安定して保持するためのものである。第2の凹部6の内周縁6aの一部は、第1の凹部5の中心(この第1の凹部5内に保持されるプラテンローラ2の中心)を中心とする円弧を形成しており、第1の凹部5の中心から内周縁6aまでの距離Lは、規制部材3の連結部3aの中心から係合部3bの外縁までの距離Lと一致している。
【0029】
図2に示すプラテンローラ2の軸部2aが図3に示す規制部材3の連結部3aに嵌め込まれて一体化され、このプラテンローラ2の軸部2aが、図4に示す固定フレーム4の第1の凹部5内に挿入され、かつ規制部材3の係合部3bが固定フレーム4の第2の凹部6内に挿入されて、図1に示すような本実施形態のプラテンローラ保持構造が構成されている。なお、サーマルヘッド1はヘッド支持体13(図7〜11参照)に貼り付けられ、このヘッド支持体13は固定フレーム4に取り付けられている。サーマルヘッド1はプラテンローラ2および規制部材3に対しては固定されていない。
【0030】
図1に示す状態では、サーマルヘッド1が、図示しないばね部材および押圧部材によって所定の圧力でプラテンローラ2の外周部2bに当接し、図示しない記録媒体の良好な搬送と記録が可能である。ところが、サーマルヘッド1とプラテンローラ2との間に記録媒体を挿入してセットする作業や、サーマルヘッド1とプラテンローラ2の間で記録媒体のジャム(いわゆる紙詰まり)が生じた際に、それを解消するための作業や、サーマルヘッド1および/またはプラテンローラ2の交換やメンテナンスの作業を行う場合には、プラテンローラ2をサーマルヘッド1から引き離して外部に露出させることが望ましい。そこで本実施形態では、一体化されたプラテンローラ2および規制部材3を、固定フレーム4から取り外せる構成になっている。その点について以下に詳細に説明する。
【0031】
図1に示す状態で、プラテンローラ2をサーマルヘッド1から引き離して、プラテンローラ2および規制部材3を固定フレーム4から取り外す方法としては、以下の3つの方法が考えられる。
【0032】
第1の方法としては、規制部材3の係合部3bを第2の凹部6内に位置させたままで移動させることなく、プラテンローラ1の軸部2aを第1の凹部5から脱出させることが考えられる。この場合、規制部材3の係合部3bを中心として、規制部材3およびプラテンローラ2を一体的に矢印A方向に回転させることになるが、第1の凹部5の内周縁5aがプラテンローラ2の軸部2aに当接して回転を妨げる。従って、規制部材3の係合部3bを第2の凹部6内に位置させたまま、プラテンローラ1の軸部2aを第1の凹部5から脱出させることは不可能である。
【0033】
そこで、第2の方法として、プラテンローラ1の軸部2aを第1の凹部5から脱出させるのとほぼ同時に、規制部材3の係合部3bを第2の凹部6から脱出させることが考えられる。この場合、前記したようにプラテンローラ2の軸部2aは、第1の凹部5の内周縁5aに当接して矢印A方向への移動が妨げられているため、第1の凹部5から脱出するためには、第1の凹部5の開口部分5bに向けて、すなわち概ね矢印B方向に移動させなければならない。しかし、プラテンローラ2の軸部2aを矢印B方向に移動させようとすると、このプラテンローラ2と一体化されている規制部材3の係合部3bが第2の凹部6の内周縁6aに当接して移動できない。従って、規制部材3の係合部3bの移動が妨げられることによって、規制部材3と一体化されているプラテンローラ2の軸部2aの矢印B方向への移動も阻止される。すなわち、一体化されているプラテンローラ2の軸部2aと規制部材3の係合部3aの間の間隔が一定に保たれ、これらをつなぐ部分がいわゆる突っかい棒として作用して、プラテンローラ1の軸部2aの第1の凹部5からの脱出と、規制部材3の係合部3bの第2の凹部6からの脱出を同時に行うことはできない。これは、軸部2aが第1の凹部5から内周縁5aに規制されずに脱出可能な方向Bと、係合部3bが第2の凹部6の内周縁6aに当接する方向とが一致している、またはおおよそ同じ方向になっているからである。
【0034】
第3の方法としては、まず、プラテンローラ1の軸部2aを第1の凹部5内に位置させたままで移動させることなく、規制部材3の係合部3bを第2の凹部6から脱出させ、その後に、プラテンローラ1の軸部2aを第1の凹部5から脱出させることが考えられる。この場合、プラテンローラ2の軸部2aを中心として、規制部材3を矢印C方向に回転させることになる。この際、係合部3bは全く妨げられずに第2の凹部6の開口部分6bに向かって矢印C方向に自由に移動でき、図5に示すように第2の凹部6から容易に脱出できる。なお、第2の凹部6の内周縁6aは、第1の凹部5内に保持されているプラテンローラ2の軸部2aを中心とする円弧を形成しており、さらに、プラテンローラ2の軸部2aから第2の凹部の内周縁6aまでの距離Lと、軸部2aから係合部3bの外縁までの距離Lとが一致しているため、規制部材3の回転運動による係合部3bの第2の凹部6からの脱出が円滑かつ容易に行える。図5に示すように、規制部材3の係合部3bが第2の凹部6から脱出した後には、プラテンローラ2の軸部2aが矢印B方向に自由に移動できるる。従って、図6に示すように軸部2aを第1の凹部5の開口部分5bから外部に脱出させ、プラテンローラ2および規制部材3を固定フレーム4から取り外して、プラテンローラ2をサーマルヘッド1から引き離して外部に露出させることができる。
【0035】
このように、本実施形態の構成によると、考えられる3つの方法のうちの第3の方法、すなわち、初めに係合部3bを第2の凹部6から脱出させた後に、プラテンローラ2の軸部2aを第1の凹部5から脱出させるという方法によってのみ、プラテンローラ2および規制部材3を固定フレーム4から取り外すことができる。このことは、プラテンローラ2に何らかの外力や振動や衝撃が加わっても、プラテンローラ2が第1の凹部5から脱出してサーマルヘッド1から離れることがないことを意味している。すなわち、規制部材3をプラテンローラ2の軸部2aを中心として回転させない限り、プラテンローラ2は第1の凹部5内に安定して保持されたままである。規制部材3の係合部3bは、任意の位置および大きさに形成することができるため、できるだけ外力を受けないように配置することができ、また、プラテンローラ2とは異なりサーマルヘッド1や記録媒体等によって力が加えられることもないので、使用者が意図的に規制部材3に力を加えない限り、第2の凹部6から脱出することはないと考えられる。なお、このことをより確実にするために、本実施形態では、プラテンローラ2がサーマルヘッド1や記録媒体から力を加えられる方向(矢印Bとほぼ同じ方向になっている)と、係合部3が第2の凹部6の内周縁6aと当接して移動が阻止される方向とを概ね一致させた構成になっている。
【0036】
このように、本実施形態では、係合部3bが第2の保持部6内に保持されたままでプラテンローラ2の軸部2aが脱出しようとする方向Aには、第1の凹部5の内周縁5aが位置してその方向への移動を阻止する。また、プラテンローラ2の軸部2aの、第1の凹部5の内周縁5aに妨げられずに開口部分5bへ向かう方向Bへの移動は、第2の凹部6の内周縁6aが係合部3bに当接して係合部3bの方向Bへの移動が阻止されることによって妨げられる。さらに、プラテンローラ2に矢印C方向の力が加わったとしても、第1の凹部5の内周縁5aによって軸部2aの移動が阻止されるため、矢印C方向に向かって軸部2aの第1の凹部5からの脱出と係合部3bの第2の凹部6からの脱出が同時に行われることはあり得ない。その結果、プラテンローラ2の軸部2aを第1の凹部5内に保持したまま係合部3bを移動させて第2の凹部6から脱出させることによって、初めてプラテンローラ2の取り外しが可能になる、非常に簡単な構成で容易に操作でき、信頼性の高いロック機構が構成される。
【0037】
特許文献1〜3等の従来の構成は、プラテンローラの軸部を凹部内に挿入した後に、ロックアーム等の部材によって、凹部の開口部分を完全に塞ぐ、または開口部分の隙間をプラテンローラの軸部よりも狭くして軸部の通過を阻止する構成であった。これらの構成では、ロックアーム等の部材が軸部を抱え込んでいる形態であるため、ロックアーム等の部材が不安定であると、プラテンローラの位置精度も悪くなり、記録媒体の搬送および記録の精度を低下させる原因となる。しかも、ロックアームは繰り返し移動させられる部材であるため、長期の使用によりがたついたり動作精度が悪くなって、プラテンローラの保持の信頼性を低下させる可能性がある。
【0038】
これに対して本実施形態の構成では、第1の凹部5の開口部分5bを塞ぐわけではなく軸部2aが通過可能な隙間を空けた状態のままでも、軸部2aを所定の位置に安定して保持できる。同様に、第2の凹部6の開口部分6bは塞がれず係合部3bが通過可能な隙間を空けた状態のままであるが、係合部3bは安定して保持される。ロックアーム等の部材によって抱え込まなくても軸部2aを安定して保持できるため、ロックアーム等の他の部材の精度低下の影響を受けることはない。固定フレーム4はロックアームのような移動部材ではなく長期の使用で精度が低下するような部材ではなく、また、突っかい棒のように作用する規制部材3の、連結部3aの中心(この連結部3aが取り付けられるプラテンローラ2の中心)から係合部3bの外縁までの距離Lが一定に保たれるので、本実施形態によるプラテンローラ2の保持の信頼性は高く保たれる。
【0039】
図7〜11には、以上説明したプラテンローラ保持構造を採用した記録装置が示されている。この記録装置は、ベース部材(固定部)9と、このベース部材9に回転支点8を中心として回転可能(開閉可能)に接続されている蓋部材(筺体回転部)7とからなる筐体10を有している。そして、この筐体10の下部に、記録媒体が巻かれたロール体11(図11参照)を収容する収容スペース12が設けられている。筐体10の上部には、収容スペース12内のロール体11から引き出された記録媒体を搬送する搬送機構であるプラテンローラ2を含む、前記した本発明のプラテンローラ保持構造と、サーマルヘッド1と、詳述しないが、この記録装置の様々な機能を実現するための機械部品や電気部品等が設けられている。
【0040】
図8に拡大して示すように、本実施形態の固定フレーム4には、サーマルヘッド1が貼り付けられているヘッド支持体13が取り付けられており、この固定フレーム4はベース部材9に固定されている。なお、ヘッド支持体13は、サーマルヘッド1を支持しつつ、図示しない押圧部材によってサーマルヘッド1をプラテンローラ2に圧接させ得るように移動可能である。ただし、ヘッド支持体13の円筒部分13aが固定フレームの溝部4a内に位置していることによって、サーマルヘッド1およびヘッド支持体13の回転運動が規制され、それらが周りすぎないように構成されている。
【0041】
蓋部材7にはプラテンフレーム16が取り付けられており、このプラテンフレーム16には軸受部材14が円筒部15bを中心として回転可能に取り付けられている。プラテンローラ2の軸部2aの端部が、この軸受部材14の軸受部15aに支持されている。従って、プラテンローラ2と、それに取り付けられている規制部材3が、軸受部材14を介してプラテンフレーム16に組み込まれている。ただし、プラテンローラ2および規制部材3が組み込まれた軸受部材14の回転可能な範囲は、回転規制部16aによって規制されており、規制部材3の回転可能な範囲は、係合部3bが挿入されている案内溝14aによって規制されている。このようにして、プラテンローラ2、規制部材3、軸受部材14は、プラテンフレーム16を介して蓋部材7に取り付けられている。なお、便宜上、蓋部材7に取り付けられているプラテンフレーム16と、それに取り付けられている各部材(プラテンローラ2、規制部材3、軸受部材14、後述する操作レバー17等)を総称して、プラテンユニットという。一方、ベース部材9に取り付けられている固定フレーム4(プリンタメインフレームとも言う)と、それに取り付けられている各部材(サーマルヘッド1およびヘッド支持体13、図示しない押圧部材、プリンタ駆動用輪列(図示せず)を保護するギアカバー18(図9,10参照)等)を総称して、プリンタメインユニットという。本実施形態では、プリンタメインユニットとプラテンユニットとが、前記したプラテンローラ保持構造によって合体させられている。
【0042】
図7〜11に記載されている構成では、固定フレーム4の第1の凹部5に軸受部15aが挿入されているが、プラテンローラ2の軸部2aは軸受部15aに嵌合されて実質的に一体化しているため、図1に示すように軸部2aが第1の凹部5に直接挿入されている構成と全く同じ形態であると考えられる。
【0043】
また、プラテンフレーム16には、規制部材3に連結され一部が蓋部材7の外表面に露出している、規制部材3を回転させるための操作レバー17(図9,10参照)と、操作レバー17を付勢する図示しないばね部材などが付加されている。
【0044】
以上説明したように、各構成部材のうち、プリンタメインユニット(固定フレーム4、サーマルヘッド1、ヘッド支持体13、様々な機械部品や電気部品等)がベース部材9に固定されている。一方、プラテンユニット(プラテンローラ2、規制部材3、軸受部材14、プラテンフレーム16、操作レバー17等)が蓋部材7に固定されている。
【0045】
この記録装置によると、図7〜9に示すように蓋部材7が閉じられた状態で、図1と同様に、プラテンローラ2の軸部2aが固定フレーム4の第1の凹部5内に保持され、規制部材3の係合部3bが第2の凹部6内に保持されている。そして、サーマルヘッド1がプラテンローラ2の外周部2bに圧接し、ロール体11から引き出された記録媒体がサーマルヘッド1とプラテンローラ2の外周部2bの間に挿入され、良好な搬送および記録が行われる。操作レバー17がばね部材に付勢されることによって、係合部3bが第2の凹部6の奥に押し込まれている。
【0046】
そこで、使用者が蓋部材7を開く際には、まず、図10に示すように操作レバー17をばね部材の付勢力に抗して変位させて規制部材3を回転させ、図5と同様に係合部3bを第2の凹部6内から脱出させる。次いで、図11に示すように蓋部材7を回転支点8を中心として回転させてベース部材9に対して開きながら、プラテンローラ2の軸部2aを第1の凹部5内から脱出させる。この状態で、ロール体11の補充または交換や、記録媒体のセットや、紙詰まりの解消や、サーマルヘッド1および/またはプラテンローラ2の交換やメンテナンス等が容易に行える。固定フレーム4から離脱した状態のプラテンユニットは、蓋部材7に支持されている。この構成によると、筐体10の上部のベース部材9側には、プラテンローラ2の着脱に関わる部材、例えば、操作レバー17や、その操作レバー17を付勢するばね部材等が配置されておらず、これらの部材は蓋部材7側に配置されている。従って、ベース部材9側には、プラテンローラ2の着脱以外の様々な機能に関する部品を自由に配置することができ、スペース効率が良好になる。また、操作レバー17のストロークはベース部材9側にはみ出さない程度の小ささであるため、この操作レバー17の移動経路を空けておくために大きなスペースを用意する必要はない。
【0047】
蓋部材7を、図11に示す開いた状態から図7〜9に示す閉じた状態に戻す際には、プラテンローラ2の軸部2aを第1の凹部5内に挿入した後に、規制部材3の係合部3bを第2の凹部6内に挿入させる。プラテンローラ2および規制部材3は、軸受部材14の円筒部15bを中心としてプラテンフレーム16に対して回転可能であり、規制部材3は連結部3aおよびプラテンローラ2を中心として回転可能であるため、軸部2aおよび係合部3bの位置をずらしながら、すなわち、軸受部15aがプラテンフレーム16および固定フレーム4に対して上下動しながら、軸受部15aおよびプラテンローラ2の軸部2aが第1の凹部5内へ、係合部3が第2の凹部6内へそれぞれ挿入される。軸受部材14は、プラテンローラ2の軸受としてプラテンローラ2の中心を第1の凹部5に対して位置合わせする役割を担うとともに、プラテンローラ2の中心をプラテンフレーム16に対して上下動させるためのリンク機構として機能する。このような構成であるため、蓋部材7およびプラテンフレーム16が回転支点8を中心とする回転運動を行うだけで、軸受部15aおよびプラテンローラ2の軸部2aと係合部3の、第1および第2の凹部5,6内への挿入が可能である。
【0048】
なお、操作レバー17を付勢するばね部材など、係合部3bを第2の凹部6内へ押し込むための付勢部材があると、プラテンローラ2の保持の信頼性(ロックの信頼性)が高くなるが、必要に応じて係合部3bを第2の凹部6内へ押し込むことができさえすれば、付勢部材が存在しなくても構わない。
【0049】
以上、プリンタメインユニットとプラテンユニットが筐体10内に収容された記録装置について説明したが、図9,10に示すように筐体10に収容されていない状態でも、記録媒体の搬送および記録が可能な記録装置として機能し得る。従って、本発明の記録装置は、前記した筐体10に収容されない状態で、または他の何らかの容器等に収容された状態で使用することも可能である。また、固定フレーム4を筐体10のベース部材9と一体化させたり、プリンタフレーム16を筐体10の蓋部材7と一体化させた構成にすることもできる。
【0050】
操作レバー17は、前記したように一部(操作部)が筐体10外部に露出可能な構成であってもよいが、筐体10に取り付けられた他部材に連結され、その部材によって移動させられるものであってもよい。また、操作レバー17は、規制部材3に直接連結されていても、他部材を介して間接的に連結されていてもよい。いずれの場合にも、操作レバー17は、使用者による筐体10の外部からの操作によって規制部材3を回転させるための機構を構成している。また、操作レバー17を、蓋部材7側ではなくベース部材9側に取り付けることも可能である。ただしその場合、蓋部材7が閉じた状態で操作レバー17と規制部材3を連結させ、蓋部材7が開いた状態でそれらの連結を解除する機構を付加することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のプラテンローラ保持構造を示す正面図である。
【図2】図1に示すプラテンローラ保持構造のプラテンローラとサーマルヘッドを示す正面図である。
【図3】図1に示すプラテンローラ保持構造の規制部材を示す正面図である。
【図4】図1に示すプラテンローラ保持構造の固定フレームを示す正面図である。
【図5】図1に示すプラテンローラ保持構造のプラテンローラ着脱工程の第1段階を示す正面図である。
【図6】図1に示すプラテンローラ保持構造のプラテンローラ着脱工程の第2段階を示す正面図である。
【図7】図1に示すプラテンローラ保持構造を備えた記録装置の正面図である。
【図8】図7に示す記録装置の要部拡大図である。
【図9】図7に示す記録装置の要部を示す、筐体を省略した状態の斜視図である。
【図10】図7に示す記録装置の蓋部材を開くための動作を説明する、筐体を省略した状態の斜視図である。
【図11】図7に示す記録装置の蓋部材を開いた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 サーマルヘッド(記録ヘッド)
2 プラテンローラ
2a 軸部
2b 外周部
3 規制部材
3a 連結部
3b 係合部
4 固定フレーム
5 第1の凹部
5a 内周縁
5b 開口部分
6 第2の凹部
6a 内周縁
6b 開口部分
7 蓋部材(筐体回転部)
8 回転支点
9 ベース部材
10 筐体
11 ロール体
12 収容スペース
13 ヘッド支持体
13a 円筒部分
14 軸受部材
14a 案内溝
15a 軸受部
15b 円筒部
16 プラテンフレーム
16a 回転規制部
17 操作レバー
18 ギアカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なプラテンローラと、
前記プラテンローラに取り付けられている連結部と、該連結部との間が所定の間隔に保たれる係合部とを備え、前記プラテンローラと同軸に、かつ該プラテンローラに対して相対的に回転可能な規制部材と、
前記プラテンローラを、記録媒体に対して記録を行う記録ヘッドに対向する所定の位置に保持するための第1の凹部と、前記規制部材の前記係合部を所定の位置に保持するための第2の凹部が設けられている固定フレームとを有し、
前記第1の凹部の内周縁の一部が、前記プラテンローラが前記第1の凹部内に保持されかつ前記規制部材の前記係合部が前記第2の凹部内に保持されている状態で、前記プラテンローラの特定方向への移動を規制する位置に設けられており、
前記第2の凹部の内周縁が前記プラテンローラを中心とする円弧をなし、その一部が、前記プラテンローラが前記第1の凹部内に保持されかつ前記規制部材の前記係合部が前記第2の凹部内に保持されている状態で、前記係合部の特定方向への移動を規制する位置に設けられており、
前記プラテンローラが前記第1の凹部内に保持されかつ前記規制部材の前記係合部が前記第2の凹部内に保持されている状態で、前記プラテンローラが前記第1の凹部内に保持されたまま移動することなく前記規制部材が前記プラテンローラと同軸に、かつ該プラテンローラに対して相対的に回転して、前記係合部が前記第2の凹部の前記内周縁に沿って移動して該第2の凹部から脱出することによって、前記プラテンローラの前記第1の凹部内から脱出する方向への移動が可能になる、プラテンローラ保持構造。
【請求項2】
前記第1の凹部の前記内周縁の一部は、前記プラテンローラが前記第1の凹部内に保持されかつ前記規制部材の前記係合部が前記第2の凹部内に保持されている状態で、前記係合部が前記第2の凹部内に保持されたまま移動することなく前記プラテンローラが前記第1の凹部から脱出するのを妨げ、
前記第2の凹部の前記内周縁の一部は、前記プラテンローラが前記第1の凹部内に保持されかつ前記規制部材の前記係合部が前記第2の凹部内に保持されている状態で、前記プラテンローラの前記第1の凹部からの脱出と前記係合部の前記第2の凹部からの脱出が同時に行われるのを妨げる、請求項1に記載のプラテンローラ保持構造。
【請求項3】
前記プラテンローラが前記第1の凹部から前記内周縁に規制されずに脱出可能な方向と、前記係合部が前記第2の凹部の前記内周縁に当接する方向とが一致している、請求項1または2に記載のプラテンローラ保持構造。
【請求項4】
前記プラテンローラは、軸部が前記第1の凹部内に保持されるとともに、該軸部に前記規制部材の前記連結部が回転可能かつ離脱不能に取り付けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラテンローラ保持構造。
【請求項5】
前記プラテンローラは、前記軸部が軸受部に支持された状態で、該軸受部と一体的に前記第1の凹部内に保持される、請求項4に記載のプラテンローラ保持構造。
【請求項6】
前記規制部材を前記プラテンローラと同軸に回転させるための操作レバーをさらに有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラテンローラ保持構造。
【請求項7】
前記操作レバーは、前記規制部材を前記プラテンローラと同軸に回転させることによって前記係合部を前記第2の凹部から脱出させ、前記プラテンローラを前記第1の凹部から、前記内周縁に規制されない方向に脱出可能にする、請求項6に記載のプラテンローラ保持構造。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラテンローラ保持構造と、前記記録ヘッドとを有し、
前記記録ヘッドは前記固定フレームに取り付けられており、前記プラテンローラおよび前記規制部材は、前記固定フレームに対して移動可能なプラテンフレームに取り付けられている、記録装置。
【請求項9】
前記規制部材を前記プラテンローラと同軸に回転させるための操作レバーが、前記固定フレームおよび前記プラテンフレームに対して移動可能に取り付けられている、請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記操作レバーは、前記規制部材を前記プラテンローラと同軸に回転させることによって前記係合部を前記第2の凹部から脱出させた後に、前記プラテンローラを前記第1の凹部から、前記内周縁に規制されない方向に脱出可能にする、請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
ベース部材と該ベース部材に対して開閉可能な蓋部材とからなる筐体をさらに有し、
前記固定フレームは前記ベース部材に固定されており、前記プラテンフレームは前記蓋部材に固定されている、請求項8〜10のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記蓋部材と前記ベース部材とによって、前記記録ヘッドと前記プラテンローラの間に供給される記録媒体が巻かれたロール体を収容可能な収容スペースが構成されている、請求項11に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−256139(P2006−256139A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77620(P2005−77620)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】