説明

プランジャポンプ

【課題】プランジャポンプの振動を効果的に抑制する。
【解決手段】プランジャポンプ1は、カム軸12の回転運動をピストン34の往復運動に変換することによって、加圧室64に導入された作動液を加圧する。このプランジャポンプ1においては、カム部18と各ピストン34との間に介装されるベアリング26としてリニアベアリングが用いられる。すなわち、ベアリング26のスラスト方向に、転動体としての球状のボール28が複数配列されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプランジャポンプに関し、特にピストンを往復運動させることにより流体を加圧するプランジャポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ブレーキシステムの液圧回路には、一般に、リザーバタンクから作動液を汲み上げて昇圧するプランジャポンプ、昇圧された作動液を蓄積するアキュムレータ等を含む液圧源が設けられている。プランジャポンプは、内蔵するピストンが偏心カムによって往復運動させられることにより流体を加圧して昇圧させる(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
このようなプランジャポンプは、作動液が導入される加圧室を有するシリンダ、ポンプモータに接続されて回転駆動されるカム軸、カム軸の偏心部に設けられたベアリング、シリンダ内に往復動作可能に配置されるとともに、その一端がベアリングの外周面に係合するピストン等を備える。ポンプモータが駆動されると、ベアリングの偏心回転運動がピストンの往復運動に変換される。これにより、加圧室に導入された作動液が加圧される。
【特許文献1】特開2005−337252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなプランジャポンプには、一般にベアリングとしてニードルベアリング(ラジアルころ軸受け)が用いられている。ニードルベアリングは、転動体として長尺状のニードル(ころ)を用いるため、支持対象である回転体との接触面積を大きくとることができる。このため、同径のボールベアリングに比べて大きな負荷を設定できる。また、このように比較的大きな負荷に耐え得るため、ニードルの外径を小さく抑えることもでき、ベアリング全体としてコンパクトに構成できるという利点がある。
【0005】
しかしながら、このようなニードルベアリングを用いたプランジャポンプにおいては、従来より振動の発生およびそれに伴う異音の発生の問題が指摘されていた。発明者は、その振動現象の原因の一つに、ニードルが正規の自転軸に対して傾くいわゆるスキューの問題があると考えた。すなわち、スキューによりニードルの自転軸がベアリングの軸線に対して傾くと、ニードルが斜めに移動してベアリングに軸線方向のスラスト荷重を発生させ、これが軸線方向の振動の原因となり得る。そこで、そのスキューの発生を防止することがプランジャポンプの振動低減につながるとの考えに想到した。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、プランジャポンプの振動を効果的に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のプランジャポンプは、内部に作動液の通路が設けられたハウジングと、ハウジングに回転可能に保持されるとともに、その軸線に対して偏心したカム部が設けられたカム軸と、カム部に外挿されたベアリングと、カム部による偏心重量を打ち消すようにカム軸に配設されたバランサとを含む偏心カムと、ハウジングに設けられ、内部に加圧室が形成されたシリンダと、先端部がベアリングの外輪の外周面にほぼ直角に係合した状態でシリンダに往復運動可能に挿通されるとともに、その後端部が加圧室に対向するピストンと、を備え、カム軸の回転運動をピストンの往復運動に変換することによって、加圧室に導入された作動液を加圧するプランジャポンプであって、ベアリングとして、そのスラスト方向に複数の球状転動体を配列して構成されたリニアベアリングが用いられている。
【0008】
この態様では、偏心したカム部の回転運動がピストンの往復運動に変換され、シリンダ内の作動液が加圧される。その際、カム部とピストンとが直接接触して摩耗等が生じることのないよう、カム部にベアリングが外挿されている。ベアリングの内輪は、カム部の外周部に別体で固定されていてもよい。あるいは、カム部そのものを内輪として機能させてもよい。
【0009】
この態様によれば、ベアリングの転動体が球状転動体からなるため、ニードルの場合のようなスキューが発生しない。このため、転動体の挙動そのものがベアリングのスラスト荷重を発生させるのを防止でき、プランジャポンプの振動を抑制できる。一方、ベアリングのスラスト方向に球状転動体が複数配列されているため、回転支持部の接触面積を大きくとることができる。このため、ニードルベアリングの場合と同様に比較的大きな負荷に耐えることができ、ベアリング全体をコンパクトに構成することもできる。
【0010】
ところで、このようにベアリングの転動体として球状転動体を用いると、スラスト方向に摩擦力が作用しないため、仮にベアリングにスラスト方向の外力が加わると、外輪はその方向に変位し易くなる。たとえば、外輪の外周面に対するピストンの当接方向の角度が直角から微妙に傾いているような場合、外輪はそのピストンに押されてスラスト方向に移動し易くなる。
【0011】
そこで、バランサをカム部に隣接させて配設し、ベアリングの外輪の軸線方向の動きを規制するようにしてもよい。さらに、ベアリングの外輪とバランサの少なくとも一方の摺動面に、両者の摺動抵抗を低減するための表面処理を施してもよい。ここでいう「表面処理」としては、たとえば後述する実施の形態に記載のフッ素樹脂焼付け処理、研磨処理等の表面処理を採用できるが、摺動抵抗低減用のその他の表面処理を採用してもよい。
【0012】
この態様によると、バランサは、カム部の偏心重量を打ち消すだけでなく、ベアリングの外輪に当接してその軸線方向の動きを規制する規制部材としても機能する。さらに、その外輪およびバランサの摺動部に摺動抵抗低減用の表面処理が施されているため、両者が当接状態にあってもその接触打音等を抑制できる。
【0013】
また、バランサのベアリングとの摺動面に耐摩耗処理が施されていてもよい。ここでいう「表面処理」としては、たとえば後述する実施の形態に記載のタフトライド(登録商標)処理に代表されるような窒化処理や、DLC(Diamond Like Carbon)等の被膜処理等が挙げられるが、その他の耐摩耗処理を採用してもよい。
【0014】
この態様によれば、ベアリングの外輪とバランサとの摺動によるバランサの摩耗を防止することができる。その結果、摩耗による接触打音の発生を防止できるとともに、プランジャポンプの寿命を長く保持できる。
【0015】
さらに、バランサは、樹脂製の本体に偏心重量を調整するための金属部材をモールドするとともに、その樹脂材の部分がベアリングとの摺動部となるように構成されてもよい。
【0016】
この態様によれば、バランサの本体を樹脂にて構成したため、ベアリングの外輪との間に凝着摩耗が発生するのを防止できる。また、樹脂と金属との比重差を利用すればバランサそのものの重量の偏りを大きくできるため、偏心重量の調整機能を向上させることができる。それにより、バランサの小型化、ひいてはプランジャポンプの小型化を図ることができる。
【0017】
さらに、バランサが金属材料からなり、バランサとベアリングとの間に樹脂部材が介装されていてもよい。たとえば、後述する実施の形態にも記載のように、樹脂製のリング状の部材等を介装させてもよい。
【0018】
このような構成によっても、ベアリングの外輪とバランサとの間に凝着摩耗が発生するのを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プランジャポンプの振動を効果的に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては説明の便宜上、図示の状態を基準に各部の位置関係を上下と表現することがある。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプランジャポンプの全体構成図である。
プランジャポンプ1は、車両用ブレーキシステムの液圧回路に設けられ、リザーバタンクから作動液を汲み上げて昇圧し、蓄圧用のアキュムレータへ導出するものである。プランジャポンプ1は、図示しないポンプモータによって駆動される。
【0022】
プランジャポンプ1は、内部に作動液の通路が形成されたハウジング2と、ハウジング2内に配設されて作動液を加圧する第1ポンプ3,第2ポンプ4と、ハウジング2内に回転可能に保持されて両ポンプを作動させる偏心カム5とを備えている。
【0023】
ハウジング2には、ポンプモータ側に開口する横穴から形成されたカム収容部7と、そのカム収容部7の上下に連通する一対のポンプ収容部8が形成されている。カム収容部7には、図示しないポンプモータに連結された偏心カム5が回転可能に収容されている。一方、上下のポンプ収容部8には、それぞれ第1ポンプ3、第2ポンプ4が収容されている。本実施の形態において、第1ポンプ3および第2ポンプ4は同じ構成を有し、偏心カム5を上下から挟むように設けられている。
【0024】
偏心カム5は、段付円柱状のカム軸12を有し、その一端側が連結部材9を介してポンプモータの出力軸に連結されている。カム軸12は、カム収容部7の奥側と開口部側にそれぞれ配設されたボールベアリング14,16によって回転可能に支持されている。カム軸12の軸線方向中央部にはその回転軸から偏心したカム部18が設けられている。また、カム軸12のポンプモータ側の端部には、リング状のシール部材20が配設されている。さらに、カム部18を軸線方向の両側から挟むように金属製のバランサ22,24が配設されている。このバランサ22,24は、それぞれカム軸12に固定されており、カム部18による重心の偏りを調整してカム軸12の回転による振動を抑制する。バランサ22は、カム部18とボールベアリング14の内輪とによって挟持され、バランサ24は、カム部18とボールベアリング16の内輪とによって挟持されている。バランサ22、カム部18およびバランサ24は、ボールベアリング14および16のカム収容部7への組み付けの際に両者に挟持されることにより、その軸線方向の動きが規制されている。
【0025】
カム部18にはベアリング26が外嵌されている。ベアリング26は、その回動軸に平行なスラスト方向に複数の球状転動体を配列して構成されたリニアベアリングからなる。すなわち、ベアリング26は、カム部18の外周を転動する球状転動体としての複数のボール28と、これらのボール28にその外側で当接しつつ回転するアウターレース30(外輪)とを含む。ベアリング26は、インナーレース(内輪)を有しておらず、カム部18の外周部分がインナーレースとして機能する。アウターレース30のスラスト方向の両端には保持器31が設けられ、ボール28のスラスト方向への移動を規制している。
【0026】
第1ポンプ3は、有底円筒状のシリンダ32と、シリンダ32に往復運動可能に内挿された円柱状のピストン34と、シリンダ32のピストン34と反対側に設けられた有底円筒状の圧力室形成部材36とを含む。
【0027】
ピストン34の先端部は、ベアリング26のアウターレース30の外周面に当接しており、ピストン34の後端部とシリンダ32の底部との間には、ピストン34をベアリング26側に付勢するスプリング38が設けられている。ピストン34には、その先端近傍の側部から後端へ向けて貫通する連通路40が設けられている。ピストン34の後端には、連通路40の開口端縁によって弁座44が形成され、この弁座44に着脱可能なボール状の弁体46が配設されている。弁体46はカップ状の支持部材48によって支持され、その支持部材48とシリンダ32の底部との間にスプリング50が介装されている。弁体46は、このスプリング50によって支持部材48を介して閉弁方向に付勢されているが、前後差圧が所定値よりも大きくなると、弁座44から離間して開弁する。
【0028】
また、シリンダ32には、その底部を貫通する連通路42が設けられている。シリンダ32の後端には、連通路42の開口端縁によって弁座52が形成され、この弁座52に着脱可能なボール状の弁体54が配設されている。シリンダ32の後端部には、筒状のばね受け部材56が嵌着されており、そのばね受け部材56と弁体54との間には、弁体54を閉弁方向に付勢するスプリング58が介装されている。ばね受け部材56は、圧力室形成部材36とシリンダ32とにより囲まれた吐出室66に配置されており、その側部には内外を連通させる連通孔が形成されている。
【0029】
シリンダ32とピストン34とに囲まれた空間は、図示しないリザーバタンクからの低圧の作動液が導入される加圧室64となっている。すなわち、第1ポンプ3と偏心カム5とにより囲まれた空間にリザーバタンクからの作動液が導入されると、その作動液はさらに連通路40を通って加圧室64に導入される。ピストン34が往復運動させられると、その加圧室64内の作動液が加圧されつつ、連通路42を通ってシリンダ32の後方の吐出室66に導出され、さらに図示しないアキュムレータへ向けて吐出される。
【0030】
なお、第2ポンプ4の構成については第1ポンプ3の構成と同様であるため、ここでは同様の構成部分について同一の符号を付し、その説明を省略する。第1ポンプ3と第2ポンプ4は、偏心カム5に対して互いに反対側に配置されており、加圧および吐出動作が交互に行われる。このため、プランジャポンプ1に導入された作動液が効率よく昇圧されて吐出されることになる。
【0031】
以上に説明したように、本実施の形態のプランジャポンプ1においては、カム部18と各ピストンとの間に介装されるベアリング26としてリニアベアリングが用いられる。すなわち、ベアリング26の転動体が球状のボール28からなるため、転動体がニードルの場合のようなスキューは発生しない。このため、転動体そのものの挙動がベアリング26にスラスト荷重を発生させることもなく、プランジャポンプ1の振動を抑制できる。また、ベアリング26のスラスト方向にボール28が複数配列されているため、接触面積を大きく確保でき、ニードルベアリングの場合と同様に比較的大きな負荷に耐え得る。
【0032】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るプランジャポンプは、ベアリングに摺動抵抗を低減するための表面処理が施されている点を除けば第1の実施の形態と同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については必要に応じて同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。
【0033】
図2は、第2の実施の形態にかかるプランジャポンプの主要部の構成を表す拡大断面図である。
プランジャポンプ201においては、第1の実施の形態と同様に、ベアリング226としてリニアベアリングが用いられている。そしてさらに、ベアリング226を構成するアウターレース230のバランサ22,24との摺動面251に、摺動抵抗を低減する表面処理としてフッ素樹脂焼付け処理(図中黒色部参照)が施されている。これにより、ベアリング226と各バランサとの接触打音が抑制される。
【0034】
なお、変形例においては、バランサ側に同様の処理を施してもよい。図3は、第2の実施の形態の変形例にかかるプランジャポンプの主要部の構成を表す拡大断面図である。
図示のように、バランサ222および224におけるアウターレース30との摺動面252にフッ素樹脂焼付け処理を施すようにしてもよい。あるいは、両者のそれぞれにフッ素樹脂焼付け処理を施すようにしてもよい。また、摺動抵抗を低減できる処理であれば、フッ素樹脂焼付け処理以外の表面処理でもよい。十分な摺動抵抗の低減効果が得られる場合には、研磨処理のみを施すようにしてもよい。あるいは、研磨処理後にさらなる摺動抵抗低減用の表面処理を行うようにしてもよい。
【0035】
また、各バランサのベアリング26との摺動面に耐摩耗処理が施されていてもよい。この耐摩耗処理としては、たとえばタフトライド処理やDLC被膜処理を採用することができる。これにより、各バランサの摩耗による接触打音の発生を防止できるとともに、プランジャポンプの寿命を長く保持できる。
【0036】
なお、上述した表面処理や耐摩耗処理は、摺動面全体に施してもよいし、その一部に施すようにしてもよい。
【0037】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るプランジャポンプは、バランサの構造が異なる点を除けば第1の実施の形態と同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については必要に応じて同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。
【0038】
図4は、第3の実施の形態にかかるプランジャポンプの主要部の構成を表す拡大断面図である。
プランジャポンプ301においては、第1の実施の形態と同様に、ベアリング26としてリニアベアリングが用いられている。そしてさらに、ベアリング26を軸線方向両側から挟むように配置された樹脂製のバランサ322、324を備える。
【0039】
すなわち、バランサ322および324は、樹脂材の射出成形により形成されており、その射出成形の際に比重を大きくすべき箇所に金属部材351をモールドして構成されている。金属部材351は、樹脂製の本体に埋設されてもよいし、摺動部以外の部分に露出していてもよい。ベアリング26とは樹脂材の部分が当接することになる。
【0040】
このように、各バランサの本体を樹脂にて構成したため、ベアリング26のアウターレース30との間に凝着摩耗が発生するのを防止できる。また、樹脂と金属との比重差を利用することでバランサそのものの重量の偏りを大きくすることができるため、バランサの小型化を図ることができる。
【0041】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るプランジャポンプは、ベアリングとバランサとの間に樹脂製の別部材を配置した点を除けば第1の実施の形態と同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については必要に応じて同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。
【0042】
図5は、第4の実施の形態にかかるプランジャポンプの主要部の構成を表す拡大断面図である。
プランジャポンプ401においては、第1の実施の形態と同様に、ベアリング26としてリニアベアリングが用いられている。そしてさらに、バランサ22、24とベアリング26との間に樹脂リング451を介装させている。このような構成により、ベアリング26のアウターレース30と各バランサとの間に凝着摩耗が発生するのが防止される。
【0043】
本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【0044】
たとえば、各実施の形態では、カム部18そのものをベアリング26の内輪として機能させた構成を示したが、ベアリング26の内輪を別途設け、カム部18の外周面に外嵌させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプランジャポンプの全体構成図である。
【図2】第2の実施の形態にかかるプランジャポンプの主要部の構成を表す拡大断面図である。
【図3】第2の実施の形態の変形例にかかるプランジャポンプの主要部の構成を表す拡大断面図である。
【図4】第3の実施の形態にかかるプランジャポンプの主要部の構成を表す拡大断面図である。
【図5】第4の実施の形態にかかるプランジャポンプの主要部の構成を表す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 プランジャポンプ、 2 ハウジング、 3 第1ポンプ、 4 第2ポンプ、 5 偏心カム、 12 カム軸、 18 カム部、 22 バランサ、 24 バランサ、 26 ベアリング、 28 ボール、 30 アウターレース、 32 シリンダ、 34 ピストン、 36 圧力室形成部材、 40 連通路、 42 連通路、 44 弁座、 46 弁体、 52 弁座、 54 弁体、 64 加圧室、 66 吐出室、 201 プランジャポンプ、 222 バランサ、 226 ベアリング、 230 アウターレース、 251 摺動面、 252 摺動面、 301 プランジャポンプ、 322 バランサ、 351 金属部材、 401 プランジャポンプ、 451 樹脂リング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に作動液の通路が設けられたハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に保持されるとともに、その軸線に対して偏心したカム部が設けられたカム軸と、前記カム部に外挿されたベアリングと、前記カム部による偏心重量を打ち消すように前記カム軸に配設されたバランサとを含む偏心カムと、
前記ハウジングに設けられ、内部に加圧室が形成されたシリンダと、
先端部が前記ベアリングの外輪の外周面にほぼ直角に係合した状態で前記シリンダに往復運動可能に挿通されるとともに、その後端部が前記加圧室に対向するピストンと、
を備え、前記カム軸の回転運動を前記ピストンの往復運動に変換することによって、前記加圧室に導入された作動液を加圧するプランジャポンプであって、
前記ベアリングとして、そのスラスト方向に複数の球状転動体を配列して構成されたリニアベアリングが用いられたことを特徴とするプランジャポンプ。
【請求項2】
前記バランサが、前記カム部に隣接して前記ベアリングの外輪の軸線方向の動きを規制するように配設され、
前記ベアリングの外輪と前記バランサの少なくとも一方の摺動面に、両者の摺動抵抗を低減するための表面処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載のプランジャポンプ。
【請求項3】
前記バランサの前記ベアリングとの摺動面に耐摩耗処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプランジャポンプ。
【請求項4】
前記バランサは、樹脂製の本体に前記偏心重量を調整するための金属部材をモールドするとともに、その樹脂材の部分が前記ベアリングとの摺動部となるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のプランジャポンプ。
【請求項5】
前記バランサが金属材料からなり、
前記バランサと前記ベアリングとの間に、樹脂部材が介装されたことを特徴とする請求項1に記載のプランジャポンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−208750(P2008−208750A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44740(P2007−44740)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】