説明

プリフォームの製造方法

【課題】比較的大型あるいは肉厚のFRPの成形前駆体としての強化繊維基材のプリフォームを効率よく賦形でき、一連の工程を自動化可能なプリフォームの製造方法の提供。
【解決手段】少なくとも(1)接着材料を表面に付与した、予め所定形状に裁断したシート状強化繊維基材を準備する工程、(2)強化繊維基材を成形型へ搬送する工程、(3)強化繊維基材を成形型の下型上に配置する工程、(4)下型上の強化繊維基材を分割上型でプレスすることにより所定形状に賦形する工程、(5)強化繊維基材の積層体を加熱することにより接着材料を軟化または溶融させて強化繊維基材同士を接着する工程、(6)接着材料を冷却により固化させて強化繊維基材同士を一体化して積層体の賦形形状を目標とする所定形状に固定する工程、(7)賦形された積層体を脱型する工程を有するプリフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とくにRTM(Resin Transfer Molding)成形方法に用いて好適な、複数枚の強化繊維基材を積層して作製するプリフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産性に優れた繊維強化プラスチック(FRP)の成形方法として、ドライの強化繊維基材を成形型内に配置し、マトリックス樹脂を型内に注入し強化繊維基材内に含浸させ、樹脂を硬化させる、いわゆるRTM成形方法が知られている。そして、比較的大型の成形品や肉厚の成形品を製造する場合には、効率のよい成形方法として、先に強化繊維基材(例えば、複数枚の強化繊維基材)を所定形状に賦形して、FRPの成形前駆体である強化繊維基材のプリフォームを作製し、そのプリフォームを成形型内に配置して、マトリックス樹脂を型内に注入し、基材に含浸した樹脂を硬化させる成形方法が採用されることが多い。
【0003】
このような一連の工程を有するFRPの成形において、さらに生産性を向上するためには、とくに所定形状の強化繊維基材プリフォームを効率よく作製することが有効であり、大量生産に対しては、プリフォーム完成までの一連の工程のオートメーション化まで見据えたプリフォームの製造方法が望まれる。
【0004】
しかし、例えば予め裁断された複数枚のシート状強化繊維基材を使って、搬送、積層、所定形状に対応した賦形などのプリフォームを製造するまでの一連の工程を、オートメーション化することまで見据えたプリフォームの製造方法は開示されていない。
【0005】
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3では複雑形状の賦形方法や装置が開示されているが、一連のプロセス全体の効率化まで考慮したものでなく、搬送、配置、位置決め等を考慮すると、生産性向上のためのプリフォームの賦形方法には改良の余地が残されている。また、一連の工程を開示しているものとして特許文献4が知られているが、この方法においては、使用材料がバインダーと短繊維の強化繊維であって、短繊維の強化繊維をスプレーで型に吹き付けてプリフォームを製造する方法であるので、本発明で対象としている比較的大型のシート状強化繊維基材の積層体からなるプリフォームの製造には、適用が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−123404号公報
【特許文献2】特開2006−188791号公報
【特許文献3】特開2009−119701号公報
【特許文献4】特開平10−193388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、上記のような従来技術の現状に鑑み、比較的大型あるいは肉厚のFRPの成形前駆体としての強化繊維基材のプリフォームを効率よく賦形でき、所定形状のプリフォームの作製完了までの一連の工程のオートメーション化までを見据えた、生産性に優れたプリフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るプリフォームの製造方法は、少なくとも以下の工程を有することを特徴とする方法からなる。
(1)加熱または加熱および加圧により接着機能を発現可能な接着材料を表面に付与した、予め所定形状に裁断したシート状強化繊維基材を準備する工程
(2)前記準備された強化繊維基材を成形型へ搬送する工程
(3)搬送されてきた強化繊維基材を成形型の下型上の所定位置に配置する工程
(4)下型上に配置された強化繊維基材を順次にまたは所定枚数積層された形態にて分割形態の上型でプレスすることにより所定形状に賦形する工程
(5)所定形状に賦形されつつある、または所定形状に賦形された強化繊維基材の積層体を加熱することにより前記接着材料を軟化または溶融させ、軟化または溶融された接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士を接着する工程
(6)前記接着材料を冷却により固化させ、固化された接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士を一体化して積層体の賦形形状を目標とする所定形状に固定する工程
(7)所定形状に賦形された積層体を脱型する工程。
【0009】
本発明では、先ず、加熱または加熱および加圧により接着機能を発現可能な接着材料を表面に付与したシート状強化繊維基材を使用し、このシート状強化繊維基材を予め所定形状に裁断してストッカー等に準備する。このような接着機能を発現可能な接着材料は、例えば熱可塑性樹脂からなり、強化繊維基材の表面に粒子状や繊維状の形態で付与されるもので、FRP成形の際のマトリックス樹脂とは異なるものであり、例えば熱可塑性樹脂からなり、主として加熱され溶融または軟化されることにより強化繊維基材同士を層間で接着する機能を発現する。上記準備された強化繊維基材は成形型へと搬送されるが、搬送にロボット等を用いれば、少なくともこの搬送工程の自動化が容易になる。搬送されてきた強化繊維基材は、成形型の下型上の所定位置に配置され、次の賦形工程に供される。賦形については、下型上に配置された強化繊維基材を順次に賦形することも可能であり、所定枚数積層された形態で賦形することも可能である。生産効率上は、賦形が可能な積層枚数毎に賦形することが好ましい。賦形には、面積の広い大型の積層基材の賦形や、複雑な形状への賦形まで考慮し、分割形態の上型を使用する。ただし、この分割形態の上型は、後述の如く、各分割型を同時にプレス作動させてもよく、所定の順序にしたがって順次プレス作動させてもよい。この分割上型で下型上に配置されている強化繊維基材をプレスすることで、該強化繊維基材が所定形状に賦形される。次に、所定形状に賦形されつつある(例えば、上述の如く、積層枚数毎に賦形されつつある、あるいは、順次のプレス作動により順次に賦形されつつある)、または上記上型のプレス作動により既に所定形状に賦形された強化繊維基材の積層体が加熱され、接着材料が軟化または溶融される。接着材料は軟化または溶融により隣接強化繊維基材同士を層間において接着する機能を発現できるから、この機能が発現された接着材料により積層体中の強化繊維基材同士が接着される。この時、加熱に加え上型による加圧も加えられることにより、接着機能が強化され得る。次に、上記接着に使用された接着材料が冷却により固化され(積層枚数毎に加熱による接着が行われる場合には、後述の如く、その都度冷却し、この加熱と冷却を必要回数繰り返すこともできる)、固化された接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士が一体化されて積層体の賦形形状が目標とする所定形状(つまり、プリフォームとしての最終形状)に固定される。所定形状に賦形された積層体は、賦形型から脱型され、一連のプリフォーム製造工程が実質的に終了する。このように、接着機能を発現可能な接着材料が付与されて強化繊維基材を用いることにより、積層枚数が極めて多くなる場合(例えば、相当肉厚の成形品用のプリフォームとする場合)にも、ある積層枚数毎の賦形や接着、固化等により容易に対応することが可能になり、また、分割形態の上型を採用することにより、大型で広い面積の成形品用のプリフォームを賦形する場合にあっても、分割上型を所定の順序でプレス作動させること等により、賦形の容易化をはかることができるとともに、賦形中にしわやよじれ等の不具合を発生させることなく、後のFRP成形にとって極めて高品質の優れたプリフォームを製造することが可能となる。そして、上述の一連の工程を円滑に実施可能となり、後述の実施の形態に例示するように、基材の準備からプリフォームの脱型までの一連の工程の自動化まで図れるようになる。
【0010】
このような本発明に係るプリフォームの製造方法においては、上記工程(1)において、強化繊維基材を種類ごとに、例えば、予め所定形状に裁断したシート状強化繊維基材ごとに、ストッカー上に積み重ねておくことができる。このようにすれば、次の搬送工程にて、ストッカー上に積み重ねられている強化繊維基材を、ロボットハンド等を用いて容易に取り出すことが可能となる。
【0011】
搬送工程(2)においては、強化繊維基材を一枚づつ成形型へ搬送することもできるし、強化繊維基材を複数枚重ねた形態のものを成形型へ搬送する搬送することもできる。後者の場合には、一枚づつの搬送と複数枚毎の搬送とを組み合わせて実施可能である。また、複数枚重ねた形態のものを搬送する場合には、上記準備工程(1)と上述の搬送工程(2)の間に、強化繊維基材を複数枚重ねるための予備積層工程を設けることも可能である。この予備積層工程においては、重ねられた強化繊維基材同士を部分的に固着するようにしておけば、重ねられたままの複数枚の強化繊維基材の搬送が容易になる。この部分的な固着は、成形型へ搬送する際に所定の積層形態が崩れないだけの固着力があればよく、前述の基材表面に付与されている接着材料を利用することも可能であり、より簡単な別の仮止め手段を採用することも可能である。
【0012】
また、搬送工程(2)におけるより具体的な搬送方法には、各種の方法をさいようできる。例えば、強化繊維基材を上下から機械的にクランプして搬送することもできるし、強化繊維基材を静電吸着またはエアー吸引による吸着等の手法により保持して搬送することもできる。後者の手法の場合、保持手段と保持される強化繊維基材との間にエアーが侵入してしまうと、保持形態が崩れるおそれがあるので、例えば、可撓性シート状物(例えば、樹脂フィルムなど)を介して静電吸着またはエアー吸引による吸着を行うようにすればよい。
【0013】
また、上記配置工程(3)においては、搬送されてきた強化繊維基材を成形型の下型上に配置するに際し、保持手段を用いて強化繊維基材を下型に対して一枚づつまたは所定枚数積層された形態にて所定の位置に保持させるようにすることができる。この場合、上記保持手段が、下型の少なくとも中央部上面に形成された平面部を有する形態の手段に構成しておくと、その下型中央部の平面部にて搬送されてきた強化繊維基材を下方からバランスよく支持することが可能になり、それによって簡易的に強化繊維基材を保持することが可能になる。また、上記保持手段として、下型から上方に向けて延びる(例えば、上方に向けて延びるように作動可能な)ピンまたは針を有する手段に構成すれば、ピンまたは針によって下型上に搬送されてきた強化繊維基材を保持することが可能になり(例えば、ピンまたは針によって強化繊維基材を突き刺すことによって保持する、あるいは、強化繊維基材のカットパターンの縁部に合わせて上方に向けて延びるピンまたは針を位置させることによって保持する)、より確実に所定の位置に保持させることが可能になる。
【0014】
また、上記配置工程(3)においては、搬送されてきた強化繊維基材を成形型の下型上の所定位置に順次配置するに際し、必要に応じて、強化繊維基材以外の部材も配置することができる。例えば、取り付け金具やインサート部品、メッシュ(樹脂拡散媒体)、マット(不織布)、ニット、コア材などの樹脂流動性を高める機能を有する材料、成形品の断面係数を高めるために板厚を稼ぐ材料、或いは、中空部を形成するための機能を有する材料等を賦形するプリフォームに組み込んでおき、FRP成形の際それらの部材も一体成形することが求められる場合には、この段階で組み込んでおくことが可能である。
【0015】
また、上記配置工程(3)または上記賦形工程(4)においては、成形型の下型上に所定数枚の強化繊維基材の積層体を形成するに際し、該積層体中の少なくともいずれか一枚の強化繊維基材として、切り込み線が付与された強化繊維基材を用いることができる。この切り込み線は、その強化繊維基材を横断または縦断するように付与されたものであってもよく、強化繊維基材に対し部分的に延びるように形成されたものであってもよい。また、一枚の強化繊維基材に対し、形態の異なる、あるいは実質的に同じ形態の切り込み線が複数付与されていてもよい。さらに、強化繊維基材を厚み方向に全長にわたって貫通する切り込み線であってもよく、ミシン目のように点線状にかつ部分的に貫通する切り込み線であってもよく、さらには、厚み方向に貫通せずに途中まで刻設された切り込み線であってもよい。このような切り込み線は、とくに強化繊維基材が局部的に屈曲するような賦形形状が要求される場合において、その要求形状に沿わせて賦形することが難しいような場合に、切り込み線を入れておくことで容易に基材が所望の屈曲形態をとることができるようになる。
【0016】
上記のような切り込み線が付与された強化繊維基材を複数枚用いることも可能である。賦形の容易さを考慮し、積層された強化繊維基材の積層体の適切な部位に切り込み線が位置されるように設定すればよい。ただし、積層された複数枚の強化繊維基材の切り込み線の位置が重なってしまうと、重なった複数の切り込み線によって強化繊維が実質的に存在しない内部空間が形成されてしまうおそれがあり、そのような内部空間はFRP成形の際に樹脂リッチ部を形成して成形されたFRPの物性に悪影響を及ぼすおそれが生じる。したがって、極力、複数枚の強化繊維基材の切り込み線の位置が重ならないように設定することが好ましい。例えば、切り込み線が付与された強化繊維基材が隣接する場合、切り込み線同士が直接重ならないようにすることも好ましい。ここで、切り込み線同士が直接重なる、すなわち同じ位置にあるとは、後述の図21に示すように、切り込み線同士がなす角度が15度以下であり、かつ、一方の切り込み線の端部から他方の切り込み線までの最短距離が強化繊維基材の厚みの50倍以下であることをいう。最短距離を測定するにあたっては、切り込み線同士の厚み方向の距離は考慮せず、一方の切り込み線を他方の切り込み線へ投影した同一平面上における最短距離を指す。また、基材の厚みは、JIS R7602(1995)で規定された方法を用いる。また、例えば、多数枚の強化繊維基材を積層する場合には、切り込み線が付与された強化繊維基材の間に、後述の図22に示すように、切り込み線のない強化繊維基材を2枚以上、さらに好ましくは4枚以上介在させることが望ましい。さらに、後述の図23に示すように、切り込み線が付与された強化繊維基材を積層させる場合には、同じ位置に切り込み線が付与された強化繊維基材の間に、切り込み線が同じ位置にならないように、異なる位置に切り込み線が付与された強化繊維基材を2枚以上、さらに好ましくは4枚以上介在させることが好ましい。
【0017】
また、上記賦形工程(4)においては、分割上型を同時に作動させ下型上に配置された強化繊維基材を一括してプレスするようにすることもできるし、分割上型を順次に作動させ下型上に配置された強化繊維基材の各部位を順次プレスするようにすることもできる。前者の手法は、プレスする強化繊維基材の面積が比較的小さい場合に有効であり、プレスによる賦形時間の短縮を図ることができる。後者の手法は、プレスする強化繊維基材の面積が比較的大きい場合やプレスする強化繊維基材の積層枚数が多い場合に有効であり、順次にプレスすることにより、しわやよじれ等を発生させることなく円滑なプレス賦形が可能となる。
【0018】
順次プレスの場合に、より円滑なプレス賦形を達成するためには、例えば、下型上に配置された強化繊維基材の中央部から周辺部に向けて順次プレスするようにすることが好ましい。このようにすれば、たとえしわやよじれ等の発生のおそれがある部位があったとしても、それらが順次基材の周辺部に向けて逃がされるので、そのような望ましくない状態の発生がより確実に防止されることとなる。ただし、周縁部とは製品外の部分を指すことがあり、例えばドーナツ状の製品の場合は中央の輪の部分が本発明でいう周辺に該当することもある。また、強化繊維基材の各部位を順次プレスするに際し、プレスごとのプレスに用いる分割上型のプレス面積を所定の面積に制御するようにすることも可能である。例えば、上型が多数の分割型からなる場合、順次プレスされる強化繊維基材に対し、賦形すべき形状の変化が緩やかで不具合の発生のおそれが非常に小さい部位に対しては、部分的に、複数の分割上型を同時に作動させてその部位のプレス面積を大きくとることにより、その部位の賦形における生産性を高める(賦形時間を短縮する)ことができる。逆に、賦形すべき形状が急変し不具合の発生のおそれが大きい部位に対しては、同時に作動させる分割上型の数を減らすか各分割上型を順次作動させ、プレスごとのプレスに用いる分割上型のプレス面積を小さく制御して、形状が急変する部位や複雑な形状部位の賦形に対処できるようにすることができる。
【0019】
また、上記賦形工程(4)においては、下型、上型を備えた成形型を一組設け、該一つの成形型内で所定の最終枚数の強化繊維基材からなる積層体を賦形するようにすることもできるし、下型、上型を備えた成形型を複数組設け、下型上に配置される強化繊維基材を各成形型に対して順次移送し、最終の成形型内で所定の最終枚数の強化繊維基材からなる積層体を賦形するようにすることもできる。前記順次移送手段に下型表面と略同形状のトレイを用いて、前記トレイ上に配置した強化繊維基材の積層体を成形型内で賦形し、各成形型に対して、前記積層体が載置されたトレイを順次移送してもよい。一つの成形型内で積層体の賦形を完了させる場合には、より短時間で賦形を完了させることができ、複数組の成形型に対して順次移送して賦形する場合には、より厚い積層体を賦形やより複雑な形状への賦形が可能となる。また、複数組の成形型に対して順次移送して賦形する場合には、一つの成形型内で賦形された積層体のみを次の成形型に移送し、該次の成形型内でさらに強化繊維基材を積層して賦形する形態を採用できる。つまり、各々の成形型内での賦形動作を専用の動作とすることができ、それによって賦形品質の向上を図ることができる。また、一つの成形型内で賦形された積層体のみを下型とともに次の成形型に移送するようにすることもできる。下型とともに順次移送することで、すでに賦形されている部位の賦形形状を安定して維持することが可能になる。
【0020】
また、上記接着工程(5)においては、接着のための加熱に関して、上記賦形工程(4)における上型の型締めを行った後、型締め状態の保持段階で成形型内の積層体を加熱するようにすることもできるし(つまり、昇温されていない状態で型締めし、型締めが完了してから昇温して積層体を加熱する方法)、上記賦形工程(4)における上型の型締めとともに積層体を加熱を開始し、型締め状態の保持段階で成形型内の積層体の加熱を続行するようにすることもできる(つまり、型締めと同時に昇温して、あるいはすでに昇温されているまたは昇温途中の状態で型締めして積層体を加熱し、型締め完了後にも加熱を続行する方法)。前者の方法では、型締め動作と加熱動作が時間的に分離されているので、型締めによる賦形形状が適切に維持されたまま接着動作を行うことが可能になり、後者の方法では、型締め動作と加熱動作が時間的に重複されることになるので、両動作完了までの時間の短縮が可能になる。
【0021】
また、上記接着工程(5)においては、一組の下型、上型を備えた成形型にて、所定枚数の強化繊維基材が積層された積層体を加熱し、加熱後にこの積層体上にさらに強化繊維基材を積層してその積層体を加熱し、これら加熱動作を必要回数繰り返すようにすることもできる。あるいは、下型、上型を備えた成形型を複数組設け、一組の成形型内で所定枚数の強化繊維基材が積層された積層体を加熱した後、該積層体を次の成形型内に移送し前記積層体上にさらに強化繊維基材を積層してその積層体を加熱するようにすることもできる。このような加熱動作を複数段階で行うことは、とくに、最終の積層体の強化繊維基材の積層枚数、厚みが大きい場合には有効である。また、このように加熱動作を複数段階で行う場合、必要に応じて、上記積層体の加熱と上記さらに強化繊維基材を積層した積層体の加熱との間に、別の部材を介在させることも可能である。このようにすれば、介在された別の部材を、以降の工程において、プリフォーム中に組み込まれ一体化された部材として扱うことが可能になり、一連の工程全体の簡素化、時間短縮を図ることができる。
【0022】
さらに、上記接着工程(5)においては、加熱動作に関して、現在成形型内にある賦形された積層体の全体を同時に加熱するようにすることもできるし、前述の如く順次プレスされた積層体部位を順次加熱するようにすることもできる。同時加熱の方が時間が短く効率は良いが、積層体の賦形形状が、全体を同時に加熱すると歪みや変形を発生するおそれのある特異な形状の場合には、そのような不具合の発生を回避するために、各部位ごとを順次加熱し、加熱により発生した歪みや変形を、まだ加熱、接着されていない、より自由度の高い部位側へと逃がすようにすることができる。
【0023】
また、上記所定形状への固定工程(6)においては、接着材料の冷却、固化を、上型の型開け後に行うこともできるし、上型の型締め状態で行うこともできる。前者の方法では、自然冷却等も利用可能であり、また、型開けした上型に対しては敢えて冷却する必要がないから、強制冷却の際の消費エネルギーを削減できる。また、後者の方法では、加熱後の型締め状態での冷却であるため、基本的には強制冷却を行うことになるが、型締め状態が維持されているため、冷却に伴い変形等を生じさせる内力が発生するばあいにあっても、変形等を型自身で抑えることが可能になる。強制冷却には、例えば、いずれかの型内に冷媒(例えば、冷却水)を流通させたり、冷却風の吹きつけや流通による強制空冷を行う手法等を採用できる。
【0024】
また、本発明に係るプリフォームの製造方法においては、少なくとも上記工程(4)〜(6)を繰り返すことにより、上記接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士を一体化して積層体の賦形形状を最終的に目標とする所定形状に固定するようにすることができる。すなわち、例えば最終的な形状が大型や厚いプリフォームについては、少しずつ段階を追って部分的に形成し、最終的に目標とする最終プリフォーム形状を完成させる手法である。この場合、繰り返し行われる少なくとも上記工程(4)〜(6)における条件を、積層される強化繊維基材に応じてあるいは積層される強化繊維基材群に応じて適宜変更することも可能である。
【0025】
また、本発明に係るプリフォームの製造方法においては、複数種の強化繊維基材または強化繊維基材群を積層することができる。ここで「複数種の」とは、形状の異なるものはもちろんのこと、強化繊維の種類や配向、密度の異なるもの、複数種の強化繊維の組み合わせ構成の異なるもの、基材厚みの異なるもの等を含む概念である。
【0026】
また、本発明に係るプリフォームの製造方法においては、上記工程(7)で脱型された積層体の周囲の不要部をトリミングすることもできる。このようなトリミングを行うことで、作製されるプリフォームの形状出しをより正確に行うことができ、例えば、次の生産工程で、作製された複数のプリフォームを所定形態に組み立てる際などに、各パーツとしての各プリフォームの位置を正確に精度良く決めることができるようになる。また、完成されたプリフォームを使用してFRPをRTM成形する場合に、その成形型に対する片当たり等の不具合の発生の回避も可能となる。したがって、FRPに成形後の成形品の精度、品質の向上に寄与できる。
【0027】
上記のような不要部のトリミングは、上記工程(7)で脱型された積層体に対してのみならず、例えば、上記工程(3)〜(6)のいずれかの工程中に行うことも可能であり、これらの工程において、積層体や強化繊維基材の周囲の不要部をトリミングすることができる。不要部がトリミングされていることにより、より精度の高い賦形が可能となる。不要部とは製品外の部分を指すため、例えばドーナツ状の製品の場合は中央の輪の部分が本発明でいう周辺に該当することもある。
【発明の効果】
【0028】
このように本発明に係るプリフォームの製造方法によれば、基材準備からプリフォームの脱型までの一連のプリフォーム作製工程を次々と円滑に効率よく実行することができ、一連の工程の自動化まで可能となり、大量生産にも対応可能となる。また、大型あるいは肉厚のプリフォームや、全体として比較的複雑な形状を有するプリフォームの作製に最適な一連の工程を提供できるので、大型や肉厚のFRP成形品、加えて比較的複雑な形状を有するFRP成形品の生産性向上に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施態様に係るプリフォームの製造方法の各工程の全体を概略把握するために示した概略構成図である。
【図2】本発明に係る方法に用いる強化繊維基材の一例を示す部分斜視図である。
【図3】本発明に係る方法における搬送工程の一例を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る方法における配置工程の一例を示す概略構成図である。
【図5】本発明に係る方法における賦形工程の一例を示す概略構成図である。
【図6】本発明に係る方法における接着工程の一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明に係る方法における固定工程の一例を示す概略構成図である。
【図8】本発明に係る方法における脱型工程の一例を示す概略構成図である。
【図9】本発明に係る方法に用いる強化繊維基材の各種形態例を示す部分概略構成図である。
【図10】本発明に係る方法における搬送工程の別の例を示す概略構成図である。
【図11】本発明に係る方法における搬送工程のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図12】本発明に係る方法における予備積層工程を含む搬送工程の例を示す概略構成図である。
【図13】本発明に係る方法における搬送工程での基材保持手法の一例を示す概略構成図である。
【図14】本発明に係る方法における搬送工程での基材保持手法の別の例を示す概略構成図である。
【図15】本発明に係る方法における搬送工程での基材保持手法のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図16】本発明に係る方法における搬送工程での基材保持手法のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図17】本発明に係る方法における配置工程の別の例を示す概略構成図である。
【図18】本発明に係る方法における配置工程のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図19】本発明に係る方法における配置工程のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図20】本発明に係る方法における配置工程で強化繊維基材以外の部品を配置する場合の一例を示す概略構成図である。
【図21】本発明に係る方法において強化繊維基材に切り込み線が付与されている場合の一例を示す概略構成図である。
【図22】本発明に係る方法において強化繊維基材に切り込み線が付与されている場合の別の例を示す概略構成図である。
【図23】本発明に係る方法において強化繊維基材に切り込み線が付与されている場合のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図24】本発明に係る方法において強化繊維基材に切り込み線が付与されている場合のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図25】本発明に係る方法における賦形工程の別の例を示す概略構成図である。
【図26】本発明に係る方法における賦形工程のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図27】本発明に係る方法における賦形工程のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図28】本発明に係る方法における接着工程の別の例を示す概略構成図である。
【図29】本発明に係る方法における接着工程のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図30】本発明に係る方法における賦形工程のさらに別の例を示す概略構成図である。
【図31】本発明に係る方法における接着工程から冷却による固定工程までの一例を示す概略構成図である。
【図32】本発明に係る方法におけるトリミングの手法の一例を示す概略斜視図である。
【図33】本発明に係る方法におけるトリミングの手法の別の例を示す概略斜視図である。
【図34】本発明に係る方法におけるトリミングの手法のさらに別の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係るプリフォームの製造方法は、前述したように、少なくとも以下の工程を有している。
(1)加熱または加熱および加圧により接着機能を発現可能な接着材料を表面に付与した、予め所定形状に裁断したシート状強化繊維基材を準備する工程(以下、準備工程(1)と言うこともある。)
(2)上記準備された強化繊維基材を成形型(本発明では、プリフォームの賦形型を成形型と呼ぶこととする。)へ搬送する工程(以下、搬送工程(2)と言うこともある。)
(3)搬送されてきた強化繊維基材を成形型の下型上の所定位置に配置する工程(以下、配置工程(3)と言うこともある。)
(4)下型上に配置された強化繊維基材を順次にまたは所定枚数積層された形態にて分割形態の上型でプレスすることにより所定形状に賦形する工程(以下、賦形工程(4)と言うこともある。)
(5)所定形状に賦形されつつある、または所定形状に賦形された強化繊維基材の積層体を加熱することにより上記接着材料を軟化または溶融させ、軟化または溶融された接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士を接着する工程(以下、接着工程(5)と言うこともある。)
(6)上記接着材料を冷却により固化させ、固化された接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士を一体化して積層体の賦形形状を目標とする所定形状に固定する工程(以下、形状固定工程(6)と言うこともある。)
(7)所定形状に賦形された積層体を脱型する工程(以下、脱型工程(7)と言うこともある。)。
【0031】
図1は、上記のような各工程を含む、本発明の一実施態様に係るプリフォームの製造方法の全体を概略把握するために示した概略構成図である。図1において、1は、予め所定形状に裁断したシート状強化繊維基材を示しており、図1に示す例においては、各形状の強化繊維基材1ごとに、ストッカー2上に積み重ねられて準備されている(準備工程(1))。この強化繊維基材1の表面には、例えば図2に示すように、加熱または加熱および加圧により接着機能を発現可能な接着材料3が付与されている。この接着材料3の付与形態は、とくに限定されず、種々の形態を採り得るが、これについては後述する。なお、図2に示す強化繊維基材1としては、一方向に引き揃えられた強化繊維束4をそれと交差する方向に延びる補助糸5を用いて保持した形態のものを例示したが、シート状強化繊維基材1自体の構成は何ら制限されない。さらに、強化繊維基材1を構成する強化繊維についても、何ら限定されず、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維など、代表的な強化繊維は全て含まれ、これらを組み合わせたハイブリッド構成のものも含まれる。
【0032】
準備工程(1)で上記のように準備された強化繊維基材1は、図3に示すように、例えばロボットハンド6等の搬送手段を用いて成形型7(プリフォームの賦形型)へ搬送される(搬送工程(2))。図1に示した例では、成形型7内へ搬送する前に、強化繊維基材1を予め所定の中間形態に積層する予備積層工程を経る搬送経路8も図示してあるが、これについては後述する。また、ロボットハンド6による強化繊維基材1の保持手法については、各種方法を採り得るが、これについても後述する。
【0033】
搬送工程(2)により搬送されてきた強化繊維基材1は、図4に示すように、下型9、上型10から構成される成形型7の下型9上の所定位置に配置される(配置工程(3))。下型9は固定型に構成され、上型10はプレス作動可能な可動型に構成されている。また、上型10は分割された各型からなり、各上型が独立してプレス作動可能となっている。
【0034】
配置工程(3)で下型9上に配置された強化繊維基材1は、順次にまたは所定枚数(最終積層枚数とは限らない。)積層された形態にて、つまり積層体11の形態にて、図5に示すように、分割形態の上型10でプレスすることにより所定形状に賦形される(賦形工程(4))。図5に示した例では、分割上型10a、10b、10cのうち、最初に中央部に位置する分割上型10aが作動され、積層体11の中央部がプレスされて賦形され(図5(A))、次にその両側に位置する分割上型10bが作動され、積層体11の中央部の両側部分がプレスされて賦形され(図5(B))、続いて、その両側に位置する分割上型10cが作動され、積層体11の両端部部分がプレスされて賦形される(図5(C))。このように、分割形態の上型10で順次所定形状に賦形していくことにより、大型で面積の広い積層体11であっても、しわやよじれ等を発生させることなく、全体として円滑な所定形状への賦形が可能になる。
【0035】
次に、図6に示すように、接着工程(5)において、上記の如く所定形状に賦形されつつある、または所定形状に賦形された強化繊維基材1の積層体11が所定温度に加熱される。この加熱は、下型9や上型10の昇温によって行ってもよく、図示例の如く、成形型7内をある範囲にわたって昇温するようにしてもよい(図6の12は加熱域を示している)。この加熱により、強化繊維基材1の表面に付与されていた接着材料3が軟化または溶融され、軟化または溶融された接着材料3が接着機能を発現して、該接着材料3を介して積層体11中の隣接強化繊維基材1同士が接着される。図示例では、図5(C)に示した型締めが終了した後に、図6に示すように型締め状態を維持したまま加熱が開始されるようになっているが、後述の如く、分割上型による型締め動作のある段階から加熱を開始し、型締め動作を進めるとともに積層体11を保持したまま加熱を続行するようにしてもよい。
【0036】
上記加熱による接着工程(5)が完了すると、次に、図7に示すように、形状固定工程(6)において、上記の如く軟化または溶融されていた接着材料3が冷却により固化され、固化された接着材料3を介して積層体11中の強化繊維基材1同士が一体化されて積層体11の賦形形状が目標とする所定形状に固定される。この冷却は、上型10を開いて積層体11を自然放冷させることも可能であるが、例えば下型9や上型10の冷媒等による強制冷却や、成形型7内の上記加熱域12を冷却風や循環冷媒等により強制冷却することが、賦形サイクル短縮の面からより好ましい。図7に示す例では、上型10を開いた状態で冷却を行うようにしているが、上型10を閉じたままにし、賦形形状を維持したままで冷却することも可能である。
【0037】
次に、図8に示すように、脱型工程(7)において、所定形状に賦形された積層体11が成形型7から脱型される。この脱型時には、例えば図示の如く、下型9を貫通して延びる上下動可能な複数のピン13を設けておき、該ピンを上方に向けて作動させることで賦形された積層体11を持ち上げ、下型9から完全に離型させた状態にて、ロボットハンド14等によって成形型7から脱型するようにすれば、積層体11を賦形形態を維持したまま容易に取り出すことが可能である。ロボットハンド14による積層体11の保持は、積層体11の賦形形状を極力崩さないようにするため、例えば、真空吸引源15からの吸引力を複数の吸引要素16に伝達し、複数の吸引要素16によって積層体11を広い範囲にわたって吸着保持するようにすればよい。
【0038】
このようにして、準備工程(1)から脱型工程(7)までの一連の工程が円滑に順次進行され、自動化まで可能な一連の工程として提供される。次に、個々の工程について、より詳細に説明するとともに、採用し得る種々の形態例について説明する。
【0039】
まず、準備工程(1)で準備される強化繊維基材の形態についてであるが、接着材料付与の形態としては、図9(A)、(B)、(C)に示すように種々の形態を採り得る。接着材料としては、加熱により軟化または溶融して接着機能を発現できるものであればよく、例えば熱可塑性樹脂から構成することができる。図9(A)に示す形態は、図2に示した形態と同様のものであり、強化繊維束22、23の平織物からなる強化繊維基材21の表面に、粒子状に接着材料24が適当に散在するように付与されている。図示は省略するが、粒子状ではなく、繊維状に、例えば短繊維状に散在させるか網目状に形成して、接着材料を付与することも可能である。また、図9(B)に示す形態では、強化繊維束26、27の平織物からなる強化繊維基材25の少なくともいずれか一方の強化繊維束26、27(図示例では両強化繊維束26、27)に沿わせて、接着材料からなる細い糸条28が強化繊維束とともに織り込まれており、この接着材料からなる糸条28が接着機能を発現できるようになっている。さらに、図9(C)に示す形態では、図9(B)に示す形態に比べ、接着力を強化するために、さらに比較的太い接着材料からなる糸条29が適当な間隔をもって少なくともいずれか一方の強化繊維束に沿わせて配置されている。また、強化繊維基材自体の形態については、一枚のシート状の強化繊維基材の形態はもちろんのこと、例えば図9(D)に示すように、複数の基材31a〜31h等の積層構成の強化繊維基材31とすることもできる。図示例では、複数の基材31a〜31hがステッチ針32を用いてステッチ糸33でステッチされることにより一体化されたシート状の強化繊維基材31とされる。
【0040】
また、搬送工程(2)においては、例えば図10に示すように、各ストッカー2a〜2e上に種類や形状の異なる強化繊維基材1a〜1c、さらには、他の組み付け部材41、42を、例えば積み重ねて準備しておき、これらをロボットハンド6で順次成形型7へと搬送するようにしてもよい。また、サイズの異なる強化繊維基材や、形状の異なる他の組み付け部材41、42には、搬送用に別のロボットハンドを用いるようにしてもよい。さらに、搬送に際しては、例えば図11に示すように、複数枚の強化繊維基材1を重ねた形態で成形型7へと搬送するようにしてもよい。
【0041】
また、搬送工程(2)には、その搬送経路中に、例えば図12に示すように予備積層工程を含めることができる。図12に示す例では、予備積層すべき強化繊維基材群51(強化繊維基材以外の他の部材を含めてもよい)を、吸着保持のための可撓性シート状物52を介してロボットハンド6で保持して搬送するようにしている。またこの予備積層に際し、例えば予備積層台53上で、位置規制板54等を用いて予備積層すべき強化繊維基材群51の積層形態を所定の形態に整えることができ、その場合、重ねられた強化繊維基材同士を、適当な接着材料55により部分的に固着させておくこともできる。
【0042】
また、搬送工程(2)において強化繊維基材を搬送手段(例えば、ロボットハンド)により保持する手法は、とくに限定されず、例えば図13〜図16に示すような手法を採用できる。図13に示す手法においては、強化繊維基材1を、上下の腕61、62を有するクランプ手段63で上下から保持するようにしたものである。図14に示す手法においては、枠状部材64を用い、その各部からクランプ具65で、強化繊維基材1を張設に近い状態にて保持できるようにしたものである。図15に示す手法においては、強化繊維基材1を静電吸着またはエアー吸引による吸着により保持するようにしたものであり、その際に吸着口と強化繊維基材1の間にエアーが吸入される状態になってしまうと、吸着保持が難しくなるので、それを回避するために、可撓性シート状物66(例えば、プラスチックフィルム)を介して吸着させるようにしたものである。図16に示す手法においては、図12に示したような予備積層された強化繊維基材群51を、吸着保持のための可撓性シート状物52を介して吸着、保持させるようにしたものである。吸着、保持、脱着の制御は例えば真空吸引源67のオン、オフによって制御でき、かつ、予備積層された強化繊維基材群51の大きさや重量に応じて、真空吸引源67による作動力の調整により、吸着、保持力を制御できるようになっている。
【0043】
また、配置工程(3)においては、搬送工程(2)により搬送されてきた強化繊維基材1を、一枚づつまたは所定枚数積層された形態にて、成形型7の下型9上に配置するに際しては、保持手段を用いて強化繊維基材1を下型9に対して所定の位置に保持させることができる。前述の如く、この保持手段を、下型9の少なくとも中央部上面に平面部を形成する手段に構成しておくと、その下型中央部の平面部にて搬送されてきた強化繊維基材1を下方からバランスよく支持することできる。このような下型9の平面部は、下型9の上面自体によっても形成できるし、例えば図17に示すように、下型9の側方から袖部材71を進退させ、進出させた袖部材71を用いて比較的面積の広い平面部を形成するようにすることもできる。また、図18に示すように、主として脱型時に用いる、下型9を貫通して上下動可能な複数のピン13を、強化繊維基材1への対応位置に応じて上方に向けて作動させ、それらピン13の先端高さを揃えることにより、疑似平面部を形成することも可能である。ただし、これらのピン13は、次のプレスによる賦形工程(4)までには引っ込める(下降させる)必要がある。さらに、図19に示すように、上記のようなピン13の一部、あるいはピン13とは別の上方に向けて延びる針(図示略)によって、強化繊維基材1の位置を固定した状態で強化繊維基材1を保持させるようにすることも可能である。この場合、突き出したピン13または針を強化繊維基材1に突き刺したり、強化繊維基材1のカットパターンを利用してその縁部に突き出したピン13または針を沿わせたり、カット部位に嵌め込んだりするようにすればよい。このような手法を用いることにより、強化繊維基材1を、より確実に所定の位置に保持させることが可能になる。
【0044】
また、上記配置工程(3)においては、例えば図20に示すように、搬送されてきた強化繊維基材1を成形型7の下型9上の所定位置に順次配置するに際しては、必要に応じて、強化繊維基材1以外の部材72、例えば取り付け金具やインサート部品、メッシュ(樹脂拡散媒体)、マット(不織布)、ニット、コア材などの樹脂流動性を高める機能を有する材料、成形品の断面係数を高めるために板厚を稼ぐ材料、或いは、中空部を形成するための機能を有する材料なども配置することができる。
【0045】
また、上記配置工程(3)または賦形工程(4)においては、強化繊維基材1の積層体を形成するに際し、該積層体中の少なくともいずれか一枚の強化繊維基材として、基材全長または全幅にわたって、あるいは部分的に延びる切り込み線が付与された強化繊維基材を用いることができる。このような切り込み線を入れておくことで、その部位の賦形を容易化可能となる。ただし、切り込み線が付与された強化繊維基材を複数枚用いる場合、前述したように、切り込み線の位置が重なってしまうと、重なった切り込み線によって強化繊維が実質的に存在しない内部空間が形成されてしまうおそれがあり、そのような内部空間はFRP成形の際に樹脂リッチ部を形成して成形されたFRPの物性に悪影響を及ぼすおそれが生じる。したがって、極力、複数枚の強化繊維基材の切り込み線の位置が重ならないように設定することが好ましく、例えば、切り込み線が付与された強化繊維基材が隣接する場合、切り込み線同士が直接重ならないようにすることも好ましい。ここで、切り込み線同士が直接重なる、すなわち同じ位置にあるとは、図21に示すように、切り込み線同士81a、81bがなす角度が15度以下であり、かつ、一方の切り込み線の端部から他方の切り込み線までの最短距離が強化繊維基材81aまたは81bの厚みの50倍以下であることをいう。最短距離を測定するにあたっては、切り込み線同士81a、81bの厚み方向の距離は考慮せず、一方の切り込み線を他方の切り込み線へ投影した同一平面上における最短距離hを指す。また、基材の厚みは、JIS R7602(1995)で規定された方法を用いる。また、例えば、多数枚の強化繊維基材を積層する場合には、図22に示すように、切り込み線83a、83bが付与された強化繊維基材84a、84bの間に、切り込み線のない強化繊維基材85を2枚以上、さらに好ましくは4枚以上介在させることが望ましい。また、図23に示すように、切り込み線86が付与された強化繊維基材87を積層させる場合には、同じ位置に切り込み線86が付与された強化繊維基材87の間に、切り込み線86が同じ位置にならないように、異なる位置に切り込み線86が付与された強化繊維基87材を2枚以上、さらに好ましくは4枚以上介在させることが望ましい。さらに、図24に示すように、強化繊維基材88を多数枚積層する場合、隣接する基材、隣接はしないが近傍に位置する基材を含めて、各切り込み線89の位置が、とくに積層体の厚み方向において互いに異なっていることが好ましい。
【0046】
また、賦形工程(4)においては、前述の図5に示したように、分割上型を順次に作動させ下型上に配置された強化繊維基材の各部位を順次プレスするようにすることもできるし、例えば図25に示すように、下型9上に配置された強化繊維基材1の積層体11(図25(A))の全体に対し、分割上型10を同時に作動させて一括してプレスするようにすることもできる(図25(B))。また、分割上型10により、図5に示したように順次にプレスしていく場合には、例えば図26に示すように、プレスごとのプレスに用いる分割上型91(分割上型91a、91b、91c、91d)のプレス面積を所定の面積に制御するようにすることも可能である。例えば図26に示すように、下型9上にインサート部品等も含めて所定の形態に積層、配置された積層体11(図26(A))に対し、先ず、袖部材71による平面化を解く前に中央部の平面部を中央部に位置していた分割上型91aでプレスする(図26(B))。このとき、一部の袖部材71による平面化を解いてもよい。次に、図26(C)に示すように、袖部材71による平面化を解き、例えば、ピースの多い図の左側に対しては、分割上型91bで小面積ずつプレス賦形し、ピースの少ない図の右側に対しては、分割上型91b、91cで左側よりは広い面積にわたってプレス賦形する。このように、賦形の行い難さ、行い易さに応じて、1回のプレス動作のプレス面積を望ましい面積に制御することにより、より円滑な賦形、より精度の高い賦形が可能となる。
【0047】
また、賦形工程(4)においては、図25に示したように、下型9、上型10を備えた成形型7を一組設け、該一つの成形型7内で所定の最終枚数の強化繊維基材からなる積層体11を賦形するようにすることもできる。また、下型、上型を備えた成形型を複数組設け、下型上に配置される強化繊維基材を各成形型に対して順次移送し、最終の成形型内で所定の最終枚数の強化繊維基材からなる積層体を賦形するようにすることもできる。このように複数組の成形型を設ける場合には、例えば図27(A)に示すように、最初の成形型7aで強化繊維基材1の積層体を賦形し、賦形された積層体を順次成形型7b、7c、7d、7eと移送していくとともに、必要に応じて順次、強化繊維基材101a、101b、101c、101dを追加積層して賦形していくことができる。あるいは、図27(B)に示すように、成形型7aから成形型7b、7c、7d、7eへ順次移送するとき、各成形型で賦形された積層体を下型9とともに順次次の成形型に移送するようにすることもできる。
【0048】
また、接着工程(5)においては、接着のための加熱について、図6に示したように、上記賦形工程(4)において上型10の型締めを行った後、型締め状態の保持段階で成形型内の積層体11を加熱するようにすることもできるし、例えば図28(A)、(B)、(C)に示すように、賦形工程(4)における分割上型10の型締めとともに積層体を加熱を開始し、各分割上型10による型締めを進めるとともに各型締め、保持段階で成形型内の積層体11の加熱を続行するようにすることもできる。このとき、図28(A)、(B)、(C)に示すように、加熱域12a、12b、12cを順次広げていくこともできるし、各加熱域12a、12b、12cを同じ条件に保つこともできる。さらに、例えば図29(A)、(B)に示すように、同じ一組の下型9、分割上型10を備えた成形型7にて、所定枚数の強化繊維基材1が積層された積層体を加熱し、加熱後にこの積層体上にさらに追加の強化繊維基材102を積層してその積層体を加熱し、これら加熱動作を必要回数繰り返すこともできる。最初の強化繊維基材1の積層体の分割上型10によるプレス条件、その積層体に対する加熱条件と、次の強化繊維基材102積層後の積層体に対する分割上型10によるプレス条件、その積層体に対する加熱条件とを、適宜変更することもできる。さらに、例えば図30に示すように、各下型9a、9b、9c、各上型10a、10b、10cを備えた成形型7a、7b、7cを複数組設け、各成形型7a、7b、7cで、最終的に作製すべきプリフォーム103に対し各部位(各パーツ)を構成する各部分104a、104b、104cを別個に賦形し、賦形された各部分104a、104b、104cを成形型7dに移送して成形型7d内にて組み合わせ、この成形型7dで最終的な形態のプリフォーム103を賦形、作製するようにすることもできる。このようにすれば、各成形型7a、7b、7c、7dで、それぞれ最適な条件に設定することが可能になる。さらにまた、このようなプリフォーム103を賦形、作製プロセスに、個々のパーツの賦形について前述の図27に示したような手法を組み合わせることも可能である。さらに、接着工程(5)における加熱動作に関しては、前述したように、現在成形型内にある賦形された積層体の全体を同時に加熱するようにすることもできるし、順次プレスされた積層体部位を順次加熱するようにすることもできる。
【0049】
また、図31に、加熱による接着工程(5)から冷却による所定形状への固定工程(6)までの一連の工程(A)、(B)、(C)、(D)を示すが、加熱による賦形、接着工程(A)、(B)に対し、冷却工程に関しては、分割上型10の全部を閉じたままで賦形された積層体を保持したままの工程(C)で積層体11を冷却開始してもよいし、分割上型10の一部を開き残りを閉じたままで賦形された積層体を保持したままの工程(D)で積層体11を冷却開始してもよいし、さらには、工程(D)の後の分割上型10の全部を開いた状態で冷却開始してもよい。
【0050】
また、前述したように、少なくとも賦形工程(4)から、冷却による所定形状への固定工程(6)までを適宜繰り返すことにより、接着材料3を介して積層体11中の強化繊維基材1同士を一体化し、段階を追って部分的にプリフォームの形成を進めていき、最終的に目標とする所定のプリフォームの形状に固定するようにすることができる。
【0051】
このような一連の工程を経て所定形状へ賦形、固定されたプリフォームは、前述の図8に示したように、脱型工程(7)で成形型7から脱型される。脱型工程(7)で脱型された積層体(プリフォーム)の周囲の不要部をトリミングしておくことが、RTM成形等の際に高精度で所望の成形を行う観点から、好ましい。ただし、周囲の不要部のトリミングは、前述したように工程(7)で脱型された積層体(プリフォーム)に対してのみならず、例えば、上記工程(3)〜(6)のいずれかの工程中に行うことも可能である。
【0052】
このような不要部のトリミングは、どのような手法で行ってもよいが、生産性を低下させない手法(例えば、一連の工程の自動化を図る上で効率を阻害しない手法)や、賦形されたプリフォームの所定の形状を損なわない手法であることが好ましい。賦形されたプリフォームについてのトリミングの好ましい手法について、図32〜図34に例示するが、これら手法に限定されるものではない。
【0053】
図32に示す手法においては、脱型工程(7)で脱型されたプリフォーム111がトリミング台112上に保持され、ロボットハンド113を用いてその先端部に装着された丸刃114で機械的にプリフォーム111周囲の不要部がトリミングされる。図33に示す手法においては、図32における丸刃114の代わりに、ロボットハンド113の先端部にレーザー照射手段115が取り付けられ、そこから照射される高精度で任意の軌跡に制御可能なレーザー116によってプリフォーム111周囲の不要部がトリミングされる。さらに、図34に示す手法においては、プリフォーム121(または、プリフォーム製造工程におけるいずれかの工程の基材や積層体であってもよい。)が所定形状の下型122、上型123で挟持、固定され、上型123を閉じる際に、プリフォーム121の周辺部(トリミングされるべき不要部124)がパッド125で押さえられ、この状態で、上下駆動可能な駆動手段126の下面側に刃先を下方に向けて取り付けられた、例えばトムソン刃と呼ばれるカッター127が作動され、その刃先が、下型122に形成された溝128内に至るまで下降されることにより、不要部124がプリフォーム121側から切断されてトリミングされ、所望形状のプリフォーム121が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るプリフォームの製造方法は、RTM(Resin Transfer Molding)成形方法の前段階に用いて好適な方法であり、とくに比較的大型、肉厚の成形品、さらには複雑な形状部を有する成形品に対して好適である。
【符号の説明】
【0055】
1 強化繊維基材
1a〜1c 強化繊維基材
2 ストッカー
2a〜2e ストッカー
3 接着材料
4 強化繊維束
5 補助糸
6 ロボットハンド
7、7a、7b、7c、7d、7e 成形型
8 予備積層工程を経る搬送経路
9、9a、9b、9c 下型
10、10a、10b、10c 上型
10a、10b、10c 分割上型
11 積層体
12 加熱域
13 ピン
14 ロボットハンド
15 吸引源
16 吸引要素
21、25 強化繊維基材
22、23、26、27 強化繊維束
24 接着材料
28、29 接着材料からなる糸条
31 強化繊維基材
31a〜31h 基材
32 ステッチ針
33 ステッチ糸
41,42 他の組み付け部材
51 予備積層すべき強化繊維基材群
52,66 可撓性シート状物
53 予備積層台
54 位置規制板
55 接着材料
61,62 腕
63 クランプ手段
64 枠状部材
65 クランプ具
67 真空吸引源
71 袖部材
72 強化繊維基材以外の部材
81a、81b、83a、83b、86、89 切り込み線
82a、82b、84a、84b、85、87、88 強化繊維基材
91、91a、91b、91c、91d 分割上型
101a、101b、101c、101d 強化繊維基材
102 追加の強化繊維基材
103 プリフォーム
104a、104b、104c プリフォーム各部分
111 脱型されたプリフォーム
112 トリミング台
113 ロボットハンド
114 丸刃
115 レーザー照射手段
116 レーザー
121 プリフォーム
122 下型
123 上型
124 不要部
125 パッド
126 駆動手段
127 カッター
128 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の工程を有することを特徴とするプリフォームの製造方法。
(1)加熱または加熱および加圧により接着機能を発現可能な接着材料を表面に付与した、予め所定形状に裁断したシート状強化繊維基材を準備する工程
(2)前記準備された強化繊維基材を成形型へ搬送する工程
(3)搬送されてきた強化繊維基材を成形型の下型上の所定位置に配置する工程
(4)下型上に配置された強化繊維基材を順次にまたは所定枚数積層された形態にて分割形態の上型でプレスすることにより所定形状に賦形する工程
(5)所定形状に賦形されつつある、または所定形状に賦形された強化繊維基材の積層体を加熱することにより前記接着材料を軟化または溶融させ、軟化または溶融された接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士を接着する工程
(6)前記接着材料を冷却により固化させ、固化された接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士を一体化して積層体の賦形形状を目標とする所定形状に固定する工程
(7)所定形状に賦形された積層体を脱型する工程。
【請求項2】
前記接着材料は、前記強化繊維基材の表面に、粒子状または繊維状の形態で付与されている、請求項1に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項3】
前記工程(1)において、前記強化繊維基材を強化繊維基材の種類ごとにストッカー上に積み重ねておく、請求項1または2に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項4】
前記工程(2)において、強化繊維基材を一枚づつ成形型へ搬送する、請求項1〜3のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項5】
前記工程(2)において、強化繊維基材を複数枚重ねた形態のものも成形型へ搬送する、請求項1〜3のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項6】
前記工程(1)と工程(2)の間に、強化繊維基材を複数枚重ねる予備積層工程を有する、請求項5に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項7】
前記予備積層工程において、重ねられた強化繊維基材同士を部分的に固着する、請求項6に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項8】
前記工程(2)において、強化繊維基材を上下からクランプして搬送する、請求項1〜7のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項9】
前記工程(2)において、強化繊維基材を静電吸着またはエアー吸引による吸着により保持する、請求項1〜8のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項10】
可撓性シート状物を介して静電吸着またはエアー吸引による吸着を行う、請求項9に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項11】
前記工程(3)において、搬送されてきた強化繊維基材を成形型の下型上に配置するに際し、保持手段を用いて強化繊維基材を下型に対して一枚づつまたは所定枚数積層された形態にて所定の位置に保持させる、請求項1〜10のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項12】
前記保持手段が、下型の少なくとも中央部上面に形成された平面部を有する、請求項11に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項13】
前記保持手段が、下型から上方に向けて延びるピンを有する、請求項11に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項14】
前記工程(3)において、搬送されてきた強化繊維基材を成形型の下型上の所定位置に順次配置するに際し、強化繊維基材以外の部材も配置する、請求項1〜13のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項15】
前記工程(3)または前記工程(4)において、成形型の下型上に所定数枚の強化繊維基材の積層体を形成するに際し、該積層体中の少なくともいずれか一枚の強化繊維基材として、切り込み線が付与された強化繊維基材を用いる、請求項1〜14のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項16】
切り込み線が付与された強化繊維基材を複数枚用いる、請求項15に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項17】
切り込み線が付与された強化繊維基材が隣接する場合、切り込み線同士の位置または角度の少なくとも一つを互いにずらす、請求項16に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項18】
切り込み線が付与された強化繊維基材の間に切り込み線のない強化繊維基材を介在させる、請求項16に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項19】
前記工程(4)において、分割上型を同時に作動させ下型上に配置された強化繊維基材を一括してプレスする、請求項1〜18のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項20】
前記工程(4)において、分割上型を順次に作動させ下型上に配置された強化繊維基材の各部位を順次プレスする、請求項1〜18のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項21】
下型上に配置された強化繊維基材の中央部から周辺部に向けて順次プレスする、請求項21に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項22】
強化繊維基材の各部位を順次プレスするに際し、プレスごとのプレスに用いる分割上型のプレス面積を所定の面積に制御する、請求項20または21に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項23】
前記工程(4)において、下型、上型を備えた成形型を一組設け、該一つの成形型内で所定の最終枚数の強化繊維基材からなる積層体を賦形する、請求項1〜22のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項24】
前記工程(4)において、下型、上型を備えた成形型を複数組設け、下型上に配置される強化繊維基材を各成形型に対して順次移送し、最終の成形型内で所定の最終枚数の強化繊維基材からなる積層体を賦形する、請求項1〜22のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項25】
一つの成形型内で賦形された積層体のみを次の成形型に移送し、該次の成形型内でさらに強化繊維基材を積層して賦形する、請求項24に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項26】
一つの成形型内で賦形された積層体のみを下型とともに次の成形型に移送する、請求項24または25に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項27】
前記工程(5)において、前記工程(4)における上型の型締めを行った後、型締め状態の保持段階で成形型内の積層体を加熱する、請求項1〜26のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項28】
前記工程(5)において、前記工程(4)における上型の型締めとともに積層体を加熱を開始し、型締め状態の保持段階で成形型内の積層体の加熱を続行する、請求項1〜26のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項29】
前記工程(5)において、一組の下型、上型を備えた成形型にて、所定枚数の強化繊維基材が積層された積層体を加熱し、加熱後に前記積層体上にさらに強化繊維基材を積層してその積層体を加熱することを繰り返す、請求項1〜28のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項30】
前記工程(5)において、下型、上型を備えた成形型を複数組設け、一組の成形型内で所定枚数の強化繊維基材が積層された積層体を加熱した後、該積層体を次の成形型内に移送し前記積層体上にさらに強化繊維基材を積層してその積層体を加熱する、請求項1〜28のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項31】
前記積層体の加熱と前記さらに強化繊維基材を積層した積層体の加熱との間に、別の部材を介在させる、請求項29または30に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項32】
前記工程(5)において、現在成形型内にある賦形された積層体の全体を同時に加熱する、請求項1〜31のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項33】
前記工程(5)において、前記順次プレスされた部位を順次加熱する、請求項20〜31のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項34】
前記工程(6)において、前記接着材料の冷却、固化を、前記上型の型開け後に行う、請求項1〜33のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項35】
前記工程(6)において、前記接着材料の冷却、固化を、前記上型の型締め状態で行う、請求項1〜33のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項36】
少なくとも前記工程(4)〜(6)を繰り返し、前記接着材料を介して積層体中の強化繊維基材同士を一体化して積層体の賦形形状を最終的に目標とする所定形状に固定する、請求項1〜35のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項37】
繰り返し行われる少なくとも前記工程(4)〜(6)における条件を、積層される強化繊維基材に応じてあるいは積層される強化繊維基材群に応じて変更する、請求項36に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項38】
複数種の強化繊維基材または強化繊維基材群を積層する、請求項1〜37のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項39】
前記工程(7)で脱型された積層体の周囲の不要部をトリミングする、請求項1〜38のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
【請求項40】
前記工程(3)〜(6)のいずれかの工程中に積層体の周囲の不要部をトリミングする、請求項1〜39のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−168009(P2011−168009A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35971(P2010−35971)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】