説明

プリフォームを後冷却する装置および方法

本発明は、多重の射出成形型から取り出された形状不安定のプリフォーム(10)のサイジングおよび後処理を行う装置ならびに方法に関しており、水冷式の冷却スリーブ(21)に組み込まれた、プリフォーム(10)の開いた端部側の外側のための空冷が提案される。特に特別な種類のプリフォームでは、冷却スリーブ(21)にプレフォーム内で支持されていない領域は、開いた成形型(8,9)からの取出もしくは冷却スリーブへの引渡開始から、外側で、冷却空気または冷凍された空気を用いた冷却によって前凝固される。新たな構成手段によって、特に冷却スリーブ(32)内でのサイジングまたは後冷却の領域での処理による負荷下の寸法精度および圧力箇所形成に関しても、最高品質が保証される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームのための後冷却装置であって、未だ形状不安定のプリフォームが、取出グリッパによって、射出成形機の成形型から取り出され、水冷式の取出もしくは冷却スリーブにおいて少なくとも部分的に後冷却可能であるものに関する。
【0002】
さらに本発明は、ねじ山部分と吹込部分とネックリングとを備えたプリフォームを後冷却する方法であって、プリフォームを、未だ高温で形状不安定状態で、水冷式の冷却スリーブにおいて少なくとも部分的に後冷却するものに関する。
【0003】
背景技術
実際に、プリフォームを製造するために、3つの後冷却作業が実施される。
−第1のプロセスでは、未だ高温のプリフォームは、直に後冷却器の冷却スリーブに引き渡される。この場合後冷却器は、射出成形サイクルのプリフォームの数に対して幾倍かの冷却位置を有している。
−第2のプロセスでは、プリフォームは、簡単な取出ロボットによって、冷却作用なしに、開いた型から取り出され、後冷却器に引き渡され、後冷却される。
−出願人の第3のプロセスでは、ロボットの機能は、水冷式の取出スリーブを有する取出グリッパならびに後冷却器に引き渡すための追加的な搬送グリッパに分けられる。
【0004】
最近の展開によれば、射出成形機−サイクルタイムは、さらに短縮され、プリフォームは、軟質の形状不安定状態で型から取り出される。これによって従来あまり認識されなかった問題がみられるようになる。物理的にみると、冷却は、プリフォームの壁部の内側で不均等に経過する。
−プリフォームが開いた型半部から取り出されると、直ちにプリフォーム内、特にプリフォーム壁部の温度差によって、プリフォームに熱応力もしくは収縮応力が生じ、これによって形状が変化する。
−機械による作用およびロボットとしてのグリッパによる操作によって、形状が損なわれる恐れがある。
−後冷却器におけるプリフォームの水平姿勢でも同じことが起こる。
【0005】
したがって後冷却範囲内の作用は、極めて繊細な作業となる。射出成形機を用いて射出成形品を製造する際に、総サイクルタイムに関して冷却時間は決定的な要因となる。第1の主冷却は、依然として射出成形型内で行われる。両射出成形型半部は、射出成形プロセス中、集中的に水冷されるので、たとえば280度の射出成形品の温度は、少なくとも縁層で約70度の範囲に低下させることができる。外層では、極めて迅速に約80度のいわゆるガラス化温度を下回る。射出成形品を取り出すまでの実際の射出成形過程は、最近では、ほぼ半分となった。このことはプリフォームに関して最適な品質で得られる。プリフォームは、型半部において強く凝固する必要があり、プリフォームは、損傷することなく取出補助手段によって保持され、取出装置に引き渡される。取出装置は、射出成形品−外寸に適合する形状を有している。射出成形型半部における集中的な水冷によって、物理的に限定して、プリフォーム壁部のコア領域まで遅れた温度低下が生じる。これの意味することによれば、前述の約70度の温度は、横断面全体にわたって一様に得られない。その結果として、型を通る集中的な水冷が中断されると、直ちに、材料横断面でみて、内側から外側へ迅速な戻し加熱が生じる。射出成形型の外側におけるプリフォームの後冷却は、2つの理由から極めて重要である。形状変化だけでなく表面損傷、たとえば圧力箇所などは、後冷却中に回避する必要がある。さらに比較的高い温度範囲における冷却が過度にゆっくり行われて、戻し加熱によって局所的に不都合な結晶化が生じることは、回避する必要がある。その目的は、完成したプリフォームの材料における均一な非結晶質状態である。完成したプリフォームの残留温度は、低く所望され、それも包装せずに入れた多量の射出成形品を含有する大きな包装において、接触箇所で押付および付着による損傷が生じないように低く所望される。完成した射出成形品は、僅かな戻し加熱のあとでも40度の表面温度を超えてはならない。射出成形型から高温で形状不安定のプリフォームを取り出したあとの後冷却は、寸法精度に関して極めて重要である。
【0006】
国際公開第2004/041510号パンフレットにおいて、出願人は、集中冷却ステーションならびに後冷却ステーションを提案しており、集中冷却ステーションでは、プリフォームに挿入可能な、内側冷却用の冷却ピンを提案している。冷却スリーブの内側形状は、射出成形型の対応する内側形状に調和され、それもプリフォームが射出成形型から取り出したあとでできるだけ遊びなく壁に完全に当接するまで冷却スリーブに挿入されるように調和される。プリフォームが、後冷却の第1段階で、横向き位置を占めると、プリフォームは、下向きに適当な冷却スリーブ部分に載置する傾向にある。下位の領域で集中的に冷却コンタクトすることによって、プリフォームは、下側で比較的強く冷却され、これによってプリフォームに負荷が生じ、プリフォームは楕円になり易くなる。後冷却の第1段階において短縮された冷却で、射出成形型内で個々のプリフォームが僅かに変形すると、適当な形状変化は、既に凝固されたプリフォームでは、もはや修正不能である。吸着および吹込空気の所望の制御によって、国際公開第2004/041510号パンフレットの有利な構成に基づいて、プリフォームの内側に、成形圧が形成され、未だ凝固していないプリフォームは、冷却スリーブの内壁面全体に完全に当接される。冷却スリーブの内壁面にプリフォームが密に当接したあとで、面接触は、数秒にわたって維持され、個々のプリフォームに関するサイジング効果が形成される。サイジング効果は、プリフォームを製造する際に、以前の従来技術では得られなかったような、高い製品基準および品質基準を形成する。プリフォームは、このようにして、射出成形型から取り出した直後に、再び正確な形状にもたらされる。場合によっては生じる寸法変化は、射出成形型から冷却スリーブへの問題となる第1の処理のあとで、再び補償される。プリフォームのサイジングが行われ、プリフォームは、依然として高温で、型から取り出され、依然として比較的短い射出成形サイクルタイムが達成される。
【0007】
国際公開第2004/041510号パンフレットには、成形圧を形成するための2つの構成が提案されている。第1の構成では、冷却ピンもしくは吹込ノズルにシールリングが配置されており、シールリングは、プリフォーム内室の円錐形の移行部に当接される。第2の構成では、吹込ノズルは、リング状のシールを備えており、シールは、プリフォームの表面縁部の端面側に当接するために特定されている。ここでは成形圧がプリフォーム全体に作用する。両構成の欠点によれば、実際に、たとえば100〜200のキャビティを有する多重の射出成形では、全ての吹込ノズルのガイドもしくは運動に関する極めて高い精度を前提とする必要がある。
【0008】
欧州特許公開第900135号明細書には、前述の第2の構成と同等のコンセプトが提案されている。開口縁部のシールは、ある程度の圧力とねじ山部分の十分な形状安定性とを前提としている。ねじ山部分の形状変化を回避するために、プリフォームは、比較的高い形状安定性まで射出成形型内で維持する必要がある。しかしながらこのことは射出成形サイクルタイムの短縮に対抗する。
【0009】
大規模な試験から判ったが、開いた型半部から取出ロボットが離間した直後の、未だ高温の形状不安定のプリフォームのサイジングは、極めて有利である。しかしながらその成果は、あらゆる種類のプリフォームで生じるわけではない。明らかとなったが、支持されないねじ山部分を有するプリフォームでは、冷却スリーブに関して、成形精度の問題は解決されなかった。発明者によって判ったが、機械サイクル時間が短くなるほど、後冷却の領域で処理のために完全に開いた端部側も特に危険にさらされる。このことは、とりわけねじ山部分が冷却スリーブから突出して、冷却スリーブを介してもはや冷却されないからである。このことはプリフォームがサイジングされるか否かには無関係である。
【0010】
したがって本発明の課題は、後冷却装置およびプリフォームを後冷却する方法を改良して、後冷却の領域で、特に処理に関しても、少なくとも慣用のプリフォームにおいて、最高品質のパラメータを確保して、できるだけ短いサイクルタイムでプリフォームの最高形状精度を許容するものを提供することである。
【0011】
発明の開示
本発明による後冷却装置によれば、プリフォームの外側の開いた端部側の領域で、冷却スリーブに、吹込装置が組み込まれており、吹込装置を介して、プリフォームの、少なくとも支持されていない領域の外側表面が、冷却空気で凝固されるようになっている。
【0012】
本発明による後冷却する方法によれば、プリフォームの外側で開いた支持されない端部側の少なくとも一部の外側表面を、冷却スリーブに組み込まれた空気吹込装置を介して冷却空気で冷却して、凝固する。
【0013】
発明者によって明らかとなったが、概ね円筒形もしくは僅かに円錐形の吹込部分を備えた冷却スリーブに高温のプリフォームを挿入したあとのサイジングは、古典的なプリフォームの製造に関して多大な進歩をもたらす。サイジングのために、必然的にプリフォームの、少なくとも吹込部分の内室は、機械的にシールする必要がある。プリフォーム壁区分の開いた端部の領域が冷却スリーブ内壁によって支持されない場合に、既にサイジングのための圧縮空気の力は、少なくとも機械式のシール力と同様に、新たな問題を解消する。同様に重要な点によれば、プリフォームの開いた端部の外側は、冷却空気が冷却スリーブに収容されると、直ちに既に開いた型半部から冷却スリーブに引き渡した直後に凝固することができる。これの意味するところによれば、冷却空気による追加的な外側冷却によって所望のねじ山領域を形状安定状態にもたらすために、たとえば1〜2秒の時間が節約される。吹込部分では、適切で直ちに行われる外側冷却によって、サイジングが比較的大きな空気圧を必要とするという欠点が生じ得る。吹込領域の円筒形の領域では、直ちに直接的な壁コンタクトによって冷却スリーブの水冷がもたらされる。このことは当初から多大な成果をもたらす。ネックリングの全体領域は、機械的な力がシール力に基づいて形状損傷を及ぼさないように、外側から空冷もしくは凝固される。特に有利には、サイジングの場合に、外側の空冷箇所が、たとえば内側からのプレスもしくはシールリングのシール力に抗して選択される。
【0014】
新たな後冷却構成は、サイジングおよび/または処理のために、有利には魔法瓶のコンセプトから出発する。両方の適用例は、扱いにくい壁材量で同じである。一方では、ガラスであり、他方では、依然として僅かに変形可能なプラスチックである。シール箇所は、本発明の構成によれば、極めて高い精度に設計する必要はない。本発明の大きな利点によれば、あらゆる品質問題を完全に達成しつつ、サイクルタイム全体の大幅な削減と、これに応じて15%〜20%の射出成形機の出力上昇とが達成される。プリフォームの離型は、比較的早期に、プリフォームの、依然として強く形状不安定な状態で行うことができる。
【0015】
実際に、特有の処理を必要とする多種多様なプリフォームが存在する。
−円筒形の吹込部分とネックリングとの間に円錐形に先細に延びるネック付加部を備えたプリフォームが特に扱いにくい。
−別の扱いにくいプリフォームは、対応するネック部分に、拡張部を有している。
【0016】
本発明によって、乾燥運転時間を大幅に短縮しつつ、形状精度を完全に得ることができる。これの意味することによれば、外側の開いた端部側の特別な空冷によって、さらに短い機械サイクルタイムのために依然として余裕が存在する。実地試験の示すところによれば、透明のプリフォームでは、機械サイクルタイムは約15%低減することができ、着色されたプリフォームでは、約20%低減することができる。
【0017】
本発明は、特に有利な多くの形態を許容する。これに関して、請求項2〜17ならびに19〜29を参照されたい。
【0018】
有利には、サイジングの場合に、圧縮空気は、サイジングの開始時点から無段階式に膨張することができる。これによって収縮補償は、プリフォームの凝固が進行しても持続的に達成することができる。有利には、圧縮空気供給は、プログラミングされた制御弁の制御電圧の増加と、対応するサイジング圧の上昇とによって再現可能に確保される。
【0019】
特に有利には、特に0度以下に冷却された空気を形成するために、後冷却装置に対応して冷却器が配置されている。この場合後冷却装置に対応して、冷却空気のための圧力発生器が配置されており、圧力発生器によって、冷却空気のために、2barを下回る、有利には1.2barを下回る空圧が形成可能である。有利には、使用過程が制御され、この場合後冷却装置は、制御装置を備えており、制御装置によって、空気吹込装置は、取出もしくは冷却スリーブにプリフォームが引き渡される瞬間から、直ちに作動可能である。冷凍された空気の使用は、2つの多大な利点をもたらす。一方では、依然として高温の、射出成形型から取り出されたプリフォームを引き渡したあとで、直ちに外側表面の、集中的で迅速な凝固が、開口領域で得られる。これの意味するところによれば、処理またはサイジングによる何らかの機械作用のまえに、特にリスクのある部分は強く凝固され、楕円化または局所的な膨張はもはや生じない。冷凍された空気は、冷却空気量を低減するという追加的な利点を許容する。空気圧は、たとえば4barに代わって1barに低減することができる。極めて僅かな空気量で、周辺空気と同じ効果が得られる。特に冷凍された空気は、量および温度に関して所望に制御することができる。
【0020】
本発明の特に有利な形態では、空気吹込装置が、プリフォームの外側の開いた端部側に向けられた空気ガイドとして形成されている。有利には、後冷却装置は、接続および遮断制御装置を備えており、接続および遮断装置によって、空気吹込装置は、取出もしくは冷却スリーブにプリフォームを引き渡した時点から、サイジング段階中に作動可能である。本発明による形態は、後冷却の領域の、処理による破損リスクが存在するあらゆる箇所に用いることができる。
【0021】
特に有利な形態では、グリッパは、プリフォームへの挿入部分を有する多数のニップルと、プリフォームに挿入可能なニップルの挿入部分を半径方向に膨らますプレスもしくはシールリングとを備えている。プレスリングは、有利には半径方向に膨らみ可能なシールリングとして形成されており、シールリングを介して、ニップルに成形圧を形成するために、孔を介してプリフォームの吹込部分の内室において、ニップルに、プリフォームの内壁に向かうシール力が形成可能である。特に有利には、成形圧が制御され、それも最低圧で始まり、最適な圧力まで増加するように制御される。
【0022】
別の重要な思想によれば、ニップルは、ねじ山部分と吹込部分との間の領域における選択可能な最適なシール箇所に位置決め制御して、プリフォームに挿入することができる。これによってねじ山部分と吹込部分との間の移行部の様々な形状が考慮される。その都度の生産開始時に最適なシール箇所が求められる。ニップルを挿入したあとで、プリフォーム吹込部分の外壁は、取出スリーブの対応する内壁と接触する。したがって有利には、プリフォームは、既に引渡に際して、閉じた底部の封入部と吹込部分全体とが完全かつ十分に内側で壁接触するまで、取出スリーブに挿入される。プリフォームは、複数の射出成形サイクルの継続時間中、後冷却器の水冷式の冷却スリーブ内で後冷却され、サイジングは、1射出成形サイクルの継続時間内で行われるか、もしくは1射出成形サイクルの継続時間によって制限される。冷却スリーブからのプリフォームの取出は、問題なく行うことができる。
【0023】
本発明による装置では、各ニップルが、相対運動可能な2つの管部材を備えており、管部材の端部に、保持肩部が固定に取り付けられている。前述の両形態では、各ニップルが、空気通路を備えており、空気通路を介して、制御された圧縮空気がプリフォームの吹込部分の内室に供給可能である。制御された調節手段によって、作動板は、プレスもしくはシールリングを同時に作動させるために、プラットフォームに関して運動する。調節手段は、サイジングの間、純粋な支持機能を有する。プレスもしくはシールリングは、押し付けられた状態でプリフォーム内面に保持される。良好なシール封止のために、既に作動板の調節手段の僅かな力で十分である。有利には、ニップルは、共通の作動板を介してプラットフォームに配置されており、プラットフォームを介して、プリフォームへのニップルの挿入運動およびプリフォームからのニップルの離間運動ならびに取出スリーブ内でのニップルの位置決めが行われる。このためにプラットフォームに対応して、最適な進入深さもしくは最適な箇所にプレスもしくはシールリングを位置決めするために、被制御式の駆動手段が配置されている。
【0024】
有利な第1形態によれば、取出スリーブからのプリフォームの取出および後冷却器の冷却スリーブへの引渡は、十分な形状安定性を達成しつつ、しかも1射出成形サイクルの時間内に行われる。サイジングのあとで、プレスもしくはシールリングは弛緩され、吹込部分の内室における圧力は解放される。空気通路を介して、ニップルを介して負圧が形成され、プリフォームは、ニップルによって後冷却器に引き渡される。このためにニップルは冷却機能を有していない。有利には、短いサイジング時間の間に、プリフォームと周辺空気との間の換気は行われない。ニップルに空気通路が備え付けられており、空気通路を介して、プリフォームに、プリフォームを取り出するための負圧が形成可能である。ニップルの内側において、圧縮空気のための空気通路と吸着空気のための空気通路は同じである。有利には、管部材は互いに入り込むように配置され、この場合内側の管部材が少なくとも1つの空気通路を備えている。第1形態の構成に関して、本発明による装置は、制御可能な取出グリッパを備えており、射出成形型の射出成形位置の数に少なくとも相当する数の取出スリーブが設けられている。本発明による装置は、プリフォームのサイジングのためのプリフォームの内側における成形圧を形成するために、制御可能な圧縮空気接続部と、吸着空気のための制御可能な接続部とを備えており、成形圧の代わりに負圧に切り換えたあとで、プリフォームは、ニップルによって、取出スリーブから取出可能である。このような構成では、本発明による装置は、取出グリッパの他に、後冷却器、ならびに射出成形サイクルとは無関係にプリフォームを完全に冷却するために、取出グリッから後冷却器にプリフォームを引き渡すか、もしくは差し替えるための搬送グリッパを有している。
【0025】
有利な第2形態によれば、本発明による装置は、射出成形型の射出位置に関して幾倍かの冷却位置を有する、取出ロボットとして形成された冷却器を備えている。この場合高温で引き渡そうとするプリフォームは、自由な冷却位置に挿入され、サイジングされ、集中冷却され、完全冷却後に放出される。ここではニップルの、取出スリーブから冷却の完了したプリフォームの放出ならびに搬送ベルトへの引渡は、制御される吸着および圧縮空気で補助される。第2の形態によれば、サイジングのあとで、プレスもしくはシールリングは弛緩され、吹込部分の内室における圧力が解放され、ニップルは離間し、待機位置に保持され、それも後続の射出成形サイクルのプリフォームの新たな充填に関して後冷却器を新たに位置決めするまで保持される。
【0026】
両形態に関して、圧縮空気によるプリフォームのサイジングが行われ、射出サイクルによる継続時間は制限されている。未だ軟質のプリフォームの押圧およびサイジングは、大きな利点を有している。
−第1に、内側の水冷式の取出スリーブにプリフォームの外側表面を堅固に押圧することによって、最大熱伝達および最大冷却作用が保証される。
−第2に、プリフォームの外寸は、サイジングで正確に形成され、後続の凝固の間維持される。
−第3に、いわゆるガラス化温度の迅速な通過で、物理的な品質パラメータが確保される。
−第4に、強く冷却されて凝固された外側材料層の形成によって、取出スリーブから後冷却器の冷却スリーブへの後続の処理ならびに搬送ベルトへの後続の放出に関して、プリフォームの十分な形状安定性が得られる。
【0027】
本発明による装置に関して、特に有利な別の形態によれば、水冷式の取出スリーブは、ねじ山部分と吹込部分との間に、対応するプリフォーム領域の適切な外側冷却のための通気路を備えていて、さらに通気路のための空気接続部を備えている。プリフォームの幾何学形状に応じて、通気路は、ねじ山部分とネックリングとの間の移行領域に、かつ/またはネックリングと吹込部分との間の移行領域に配置されている。有利には、水冷式の取出スリーブは、規格化された部分から形成され、場合によっては通気路のためのガイドリングが、ねじ山部分とネックリングとの間の移行領域、および/またはネックリングと吹込部分との間の移行領域を冷却するために使用されるようになっている。
【0028】
本発明による方法に関して、取出グリッパの冷却スリーブにプリフォームを引き渡した直後に、サイジングの終了まで、ねじ山部分と吹込部分との間の領域に、空気によるプリフォームの外側冷却が行われる。有利には、サイジングのために、ニップルに取り付けられたプレスもしくはシールリングが、ねじ山部分とネックリングとの間の移行領域まで、かつ/またはネックリングと吹込部分との間の移行領域まで位置決め制御され、プリフォームに挿入される。プリフォームは、既に冷却スリーブに挿入したあとで、サイジングする間に、ねじ山部分とネックリングとの間の移行領域において、かつ/またはネックリングと吹込部分との間の移行領域まで外側から冷却されて、凝固される。格別な利点によれば、サイジングまえに、プリフォームの問題となる支持されない部分において、開いた型半部から冷却スリーブに引き渡したあとで、プリフォームの外側表面は、直ちに強く凝固されるので、機械的な保持力が、対応する領域に不都合な影響を及ぼすことはない。拡張するネックを備えたプリフォームでは、ねじ山部分とネックリングとの間の移行領域は、外側から空冷される。ここではプリフォームは、ネックリングのストッパを除いて冷却スリーブの端面側に挿入され、この場合冷却スリーブは、プリフォームの底部と冷却スリーブの対応する底部との間に最小ギャップが残るように形成されており、最小ギャップは、有利には百分の1ミリメートル範囲で残り、これはサイジングで解消される。
【0029】
本発明を、実施例に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】プリフォームをサイジングするまえの準備位置で本発明を概略的に示す図である。
【図2a】プリフォームの開いた端部側の領域で最適にプリフォームに挿入されたニップルを示す図である。
【図2b】揺動配置されたプレスもしくはシールリングを備えたニップルを拡大して示す図である。
【図3a】プリフォームのねじ山部分と吹込部分との間の移行領域の外側冷却を示す図である。
【図3b】図3aの一部を拡大して示す図である。
【図4a】空気−外側冷却の一部を拡大して示す図である。
【図4b】拡張するネック部分を備えたプリフォームにおける空気−外側冷却を示す図である。
【図5a】プレスもしくはシールリングの最適な進入箇所ならびに外側冷却を概略的に示す図である。
【図5b】プレスもしくはシールリングの最適な進入箇所ならびに外側冷却を概略的に示す図であり、追加的に、扱いにくい、支持されない領域の空気外側冷却が行われる。
【図5c】プレスもしくはシールリングの最適な進入箇所ならびに外側冷却を概略的に示す図であり、追加的に、扱いにくい、支持されない領域の空気外側冷却が行われる。
【図6a】ニップルもしくはシールリングが適切に位置決めされた、別の構成を有する肉厚のプリフォームを示す図である。
【図6b】図6aに示した形態を、成形圧が抜き取られてシールリングが弛緩された状態で示す図である。
【図6c】保持ニップルとしてのニップルによるプリフォームの取出を示す図である。
【図7】追加的な後冷却器を備えた第1形態の一例を示す図である。
【図8】後冷却器として取出ロボットが形成された、第2形態の一例を示す図である。
【図9】サイジングなしに製造されたプリフォームにおいて記録された熱プロフィールを示す図である。
【図10a】プリフォーム−サイジングを有する実験例を示す図である。
【図10b】本発明による凝固を行わない、冷却スリーブ内で支持されない移行領域を有するエラーを含んだプリフォームを示す図である。
【0031】
本発明を実施するための形態
図1には、開いた型半部8,9から取出装置11が離間運動したあとの状態と、サイジングならびに集中冷却の開始とを示した。ここではプラットフォーム17は、ニップル30と共に、既に矢印31に沿ったプリフォーム10への進入運動のための準備位置に位置する。プラットフォーム17は、アーム14を介して、支持コンソール36上に設けられた摺動装置32およびリニアガイドレール33に支持されていて、リニア駆動装置34を介して機械軸線37に対して平行に運動させられる。リニア駆動装置34は、背面側で支持板4の付加部に固定されている。リニア駆動装置34の作動によって、ニップル30は、取出装置11に対して接近運動および離間運動させられる(矢印31に沿って)。作動板16に調節手段18が配設されており、調節手段18は、唯一の機能として、プレスもしくはシールリング56の圧縮および解放を有している。
【0032】
図1および図7には、主要要素(機械ベッド1)を備えた、プリフォームのための射出成形機を概略的に示しており、機械ベッド1上に、支持板4、不動の型締め板2および射出ユニット3が支承されている。可動の型締め板5は、軸方向摺動可能に機械ベッド1上に支持されている。両板2,4は、バー6によって相互結合されており、バー6は、可動の型締め板5を通ってガイドされている。支持板4と可動の型締め板5との間に、閉鎖圧を形成するための駆動ユニット7が設けられている。不動の型締め板2および可動の型締め板5は、それぞれ型半部8,9を支持しており、型半部8,9の間に、適数のスリーブ状の射出成形品を製造するための多数のキャビティが形成されている。射出成形品10は、マンドレル26とキャビティ27との間のキャビティにおいて製造される。型半部8,9を開いたあとで、スリーブ状の射出成形品10は、マンドレル26に保持される。冷却の完了した状態で同一の射出成形品10は、図7において、左上に示しており、そこでは、射出成形品10は、ちょうど後冷却装置19から放出された状態である。上位のバー6は、詳細を良好に示すために、開いた型半部の間で中断して示した。図1および図7に示した形態において、第1態様に基づく、射出成形プロセスを終了したあとの射出成形品10のための4つの方法ステップは以下の通りである。
「A」は、両型半部からの射出成形品またはプリフォーム10の取出である。未だ可塑性の部品は、開いた型半部の間の空間において降下した取出装置11によって収容され(図1)、取出装置11によって位置「B」に持ち上げられる。
「B」は、サイジングおよび集中冷却の段階である。
「B」/「C」は、第1態様に基づく、取出装置11から搬送グリッパ12へのプリフォーム10の引渡ならびに搬送グリッパ12から後冷却装置19へのプリフォーム10の引渡である。
「D」は、冷却されて形状安定状態にもたらされたプリフォーム10の、後冷却装置19からの取出である。
【0033】
図1および図7には、第1の態様に基づく処理に関する主要ステップのいわゆる瞬間撮影(速写)を示した。位置「B」では、垂直に上下に配置された射出成形品10は、搬送グリッパ12もしくは12’によって受け取られて、矢印Pの方向の搬送装置の旋回によって段階「C」に示した立設位置にもたらされる。搬送グリッパ12は、軸線13を中心に旋回可能なプラットフォーム17から成っており、プラットフォーム17は、作動板16を支持しており、プラットフォーム17と作動板16とは、相互に平行間隔を有して配置されている。作動板16は、プラットフォーム17に対して平行に、駆動装置もしくは調節手段18を介して押出可能であるので、位置「B」において、スリーブ状の射出成形品10は、取出装置11から取り出され、位置「C」に旋回された位置で、上方に位置する後冷却装置19に摺動可能である。その都度の引渡は、作動板16とプラットフォーム17との間の間隔「S」を変化させることによって行われる。未だ高温の射出成形品10は、後冷却装置19内で完全に冷却され、後冷却装置19が位置「D」に移動したあとで押し出され、搬送ベルト20に放出される。符号23は、適切な流入管路もしくは流出管路による水冷部を示しており、流入管路もしくは流出管路は、図示を簡素化するために矢印で示唆しており、公知のものとみなす。符号24/25は、空気側を示しており、24は、吹込部あるいは圧縮空気供給部であり、25は、真空部あるいは吸気部である(図6aおよび図6c)。
【0034】
図2aから、サイジングニップルとしてのニップル30の機能とプリフォーム10の円錐形の区分47との間の直接的な関係が判る。プリフォーム10の適切な円錐形の外側部分は、開いた型半部8,9から取り出した直後に先ず特別に冷却され、支持されない外側の壁層は、冷却スリーブ21の内側で凝固される(図3b)。これにより先細の移行部47において全てのプリフォームに十分な形状安定性が所与される。外側では空気ガイドリング114は、冷却スリーブ21のヘッド部分143の内側で保持されている。組付に際して、空気ガイドリング114は、冷却スリーブ21の内側のスリーブ144と共に、右から左へ押し込まれる。冷却空気は、矢印145,145’で示した。図2aもしくは図3bに示したように、プレスもしくはシールリング56がプリフォームと接触するまえに、冷却空気が作用する。
【0035】
図2bには、図6aに示したニップル30の導入部分を拡大して示した。プレスもしくはシールリング56の浮動状態の支承が、特に有利な構成である。プレスリング56は、両端部側でルーズな支持リング100によって保持されている。ルーズな両支持リング100は、内径Dを有しており、内径Dは、支持管52の外径dよりも僅かな隙間だけ大きくなっている。長手方向で、支持リング100と結合部材80との間の遊びSpが形成されている。これによってプレスもしくはシールリング56に、非作動状態で、僅かな揺動または浮動である運動自由度が所与される。自動的にプレスもしくはシールリング56に、最適なリング状のシール箇所、たとえば57,57’,57’’が生じる。
【0036】
図3aおよび図3bには、ねじ山部分44と吹込部分43との間の不都合でない移行部47におけるプリフォーム10xxの外側冷却を示した。多数のプリフォーム10xxは、この区分で、外側円錐形の先細部110を有している。円錐形の先細部110は、先細の領域47が冷却スリーブ21に対して支持されてない点で不都合である。冷却スリーブの内壁111との接触が存在しない。空気接続部112を介して、冷却空気が吹き込まれ、冷却通路113を介して再び外気へ排出される。この追加的な冷却は有利であり、冷却は、冷却スリーブ21にプリフォーム10が引き渡される瞬間から、追加的にサイジング時間全体にわたって効果的に行うことができる。該当するプリフォーム外面の追加的な凝固は、プレスもしくはシールリング56の押圧力によって生じ得る変形に対抗する。「通常」の冷却スリーブとの構造上の明確な差異によれば、開いた開口領域に空気ガイドリング114が配置されている。空気ガイドリング114の内側において、空気接続部112の側から排出箇所113’まで、該当するプリフォームの周囲に、リング状の冷却通路が配置されている。これによって冷却空気は、所望に、ネックリング137の端面までプリフォームの対応する円錐形の外面全体に沿って作用する。
【0037】
図4aおよび図4bには、円錐形に拡張されたネック部分136を有するプリフォーム10xを示した。この種のプリフォームでは、拡張されたネック部分は、吹込部分に含まれ、サイジングの間、冷却スリーブ130の内壁に当接する。冷却スリーブ内壁は、プリフォーム10xに、最終的な外形を付与する。プリフォーム10xの全体の吹込部分は、ネックリング137まで延びている。プレスもしくはシールリング56の最適なシール箇所は、ネックリング137の領域における円筒区分の領域に位置する(図5b)。しかしながらこの部分は、プレスもしくはシールリング56を膨張させる際に、変形する恐れがある。なぜならばこの部分は。外側から部分的にしか支持されていないからである。ここでは追加的な外気冷却(KL)が作用する。ねじ山部分44ならびにネックリング137の空冷によって、ねじ山44の外側表面は、比較的高い安定性を得る。このことはプリフォームがサイジングされるか否かとは無関係である。
【0038】
図4bには、関係する別の形態を示した。冷却スリーブは、規格化された構成部材から組み合わされていて、内側の冷却スリーブ130、外側の冷却スリーブ131、外套スリーブ132ならびにヘッドリング133から成っており、ヘッドリング133によって、空気通路(ギャッSp)が形成される。プリフォーム10,10x,10xxの形状に応じて、内側の冷却スリーブ130は構成され、適切なヘッドリング133もしくは114が被せ嵌められる。符号138で最下位のねじ条、符号134で作動板の基部、符号135でシールリングを示した。図4aおよび図4bに示したように、冷却スリーブ10xは、冷却スリーブにプリフォームを挿入したあとで、底部に、十分の数ミリメートルの最小ギャップ139が残存するよう構成されている。これに対してネックリング137は、望ましくは既に挿入時に完全に冷却スリーブの端面に当接する。
【0039】
図5aに示したように、多くの場合真円筒形の吹込部分では、外側冷却を省略することができる。機械サイクルタイムをさらに短縮しようとする場合、円筒形の吹込部分を有するプリフォームでも、ねじ山部分を早期に凝固するのが有利であり、これによって後冷却の範囲内の処理においてねじ山に破損が生じない。
【0040】
図5bには、開いた端部の領域で拡張された直径を有するプリフォームを示した。プリフォームは、ネックリング137ならびにねじ山の領域でもはや冷却スリーブに支持されていない。したがってここでは、記載の領域の外側表面が射出成形型から取出グリッパに引き渡されると直ちに冷却空気で凝固されると極めて有利である。
【0041】
図5cには、適当な吹込部分を先細化する際に、変形、特に該当する部分の凹みを防止できる態様を示した(図10b)。このことは、とりわけ10秒を下回る極めて短いサイクルタイムで、比較的厚いプリフォーム壁厚で得られる。容量1〜2リットルのペットボトルのための慣用のプリフォームでは、冷却空気で処理される区分は、通常3cm〜5cmであり、この場合ねじ山自体は約2cmである。
【0042】
前述の説明から判るように、プリフォーム10,10x,10xxに関して、開いた型半部から取り出した瞬間から、
−常に最適な冷却特性が形成され、
−プリフォームは、短い中断を除いて、開いた型半部から冷却スリーブへ移動した直後に、サイジング段階の間、ニップルの進入まで、取出スリーブ40の内側の冷却表面に押し付けられ、
−プリフォーム10の100%の当接のための短い中断は、比較的長く続くサイジングによって再び補償され、
−サイジングのあとで、プリフォーム10,10x,10xxは、全面的に、既に形状安定状態である。したがってプリフォーム10,10x,10xxは、サイジングのあとで冷却の完了した状態まで、外側の幾何学形状で寸法維持される。
【0043】
水冷回路の最大設計では、
−射出成形型、
−射出成形キャビティの領域および射出成形マンドレル、
−取出スリーブ、
において、最大集中作用が形成される。ここでの目的は、射出成形サイクル内でプリフォーム10,10x,10xxを完全に冷却することでない。しかしながらプリフォーム10,10x,10xxを、2〜3倍長く続く後冷却の終了までに、積み込み、貯蔵、搬送可能な状態にもたらすよう意図されている。
【0044】
その結果大きな利点:
−サイクルタイムの大幅な短縮のための条件、
−ひいては射出成形機の生産性の大幅な向上、
−プリフォームの最高寸法精度、
−ならびにたとえば結晶化、寸法精度およびダメージフリーに関するプリフォームの最高品質特性、
が得られる。
【0045】
図6a、図6bおよび図6cには、サイジングと、保持ニップルとしての機能を有するニップル30を用いた取出スリーブ40からのプリフォーム10の取出とを示した。ニップル30を介して、吹込部分の内室は、負圧にさらされるか(図6a)、もしくはプリフォーム10は、ニップル30に吸着される(−符号)(図6b)。支持管52の後方端部に、位置決め(センタリング)リング58が取り付けられており、位置決めリング58は、ニップル30にプリフォーム10を確実に保持するために、正確にプリフォーム10の開放端部に適合している。プリフォーム10の反対側では、圧縮空気が、閉じたプリフォーム端部に所与される(+符号)(図6c)。プリフォーム10は、作動板16に向かってストッパ50に延びていて、取出スリーブ40から完全に取り出され、たとえば後冷却に引き渡されるか、または第2の態様では、圧縮空気に切り換えることによって放出される。
【0046】
図6aには、圧縮空気供給の調整を概略的に示した。電圧調整式の制御弁35,38を介して、電圧(ボルト)に関して、制御装置39によって、サイジングのための圧縮空気供給が調節され、この場合有利には、サイジングの開始から、成形(膨張)圧力の持続的な上昇が所望される。これによって冷却スリーブ21の冷却作用によって生じる、プリフォーム10の収縮に対抗することができ、外側表面の迅速な凝固が得られる。プリフォーム10は、最適に、サイジングの継続時間中、冷却スリーブの内壁に押し付けられ、支持されない領域における変形(膨張)またはプリフォームの操作による破損が生じることはない。
【0047】
図7には、型半部8,9の開いた射出成形過程の終了状態を示した。プリフォーム10の温度は、最大冷却作用を有する型内で低下させられる。したがってプリフォーム10は、型開放後の迅速な放出時に極めて小さな外側の力作用で変形し得る程度に、未だ形状不安定であってよい。射出成形過程の終了時に、取出装置は、既に開始位置(図1)に位置し、時間のずれなく型開放後に開いた型半部の間に降下することができる。図7に示した態様では、独立した後冷却装置19が使用され、後冷却装置19内で、未だ高温のプリフォーム10が、3〜4射出成形サイクルの間に完全に冷却される。搬送グリッパ12は、図7における段階「B」/「C」で、プリフォーム10を後冷却装置19に引き渡す。プリフォームの後冷却は、水冷式のスリーブ内で行われる。
【0048】
図7には、水平面はEHで、鉛直面はEVで示した。水平面EHは両座標X,Yによって、垂直面は座標YZによって定義される。Z座標は、鉛直であり、X座標は、Z座標に対して直角に向けられている。搬送グリッパ12は、旋回運動ならびにX座標上で直線運動を行う。搬送グリッパ12は、追加的に、制御されたY座標上の運動を有して形成することができる。搬送グリッパ12は既に制御されたX座標上の運動を有しているので、搬送グリッパ12のニップル30上に位置する、プリフォーム10の、X方向での正確な位置決めは、適切に制御/調整された運動によって行うことができる。ここでは後冷却装置19へのプリフォーム10の引渡のために、後冷却装置19は、X方向に規定位置に移動し、搬送グリッパ12は、Y方向で制御/調整されて、所望の位置にもたらされる。有利な態様では、後冷却装置19のための運動手段は、プリフォーム10の引渡に関する正確な位置決めのために、2つの座標XYに関して制御/調整可能である。この場合搬送グリッパ12は、規定の引渡位置にもたらされる。
【0049】
この形態に関して、国際公開第号2004/041510パンフレット、さらにPCT2007/000319号明細書のあらゆる内容が適用される。
【0050】
図7および図8に示した位置では、両型半部8,9が開いた状態を占めているので、後冷却装置60は、型半部の間の自由中間スペース62に移動することができる。後冷却装置60は、合計で3本の運動軸、Y座標上の水平運動軸、Z座標上の鉛直運動軸ならびに回転軸63(回転軸63は機械制御装置90によって調整される)を有している。回転軸63は、専ら搬送ベルト20への完全に冷却されたプリフォーム10の放出に用いられる。回転軸63は、基板に対して支承されている。鉛直運動のための運動手段は、鉛直駆動装置65である。鉛直駆動装置65は、水平駆動装置67の基板66に沿ってスライド可能に配置されている。水平駆動装置67は、鉛直軸を有するACサーボモータを備えている。基板66は、4つのスライドボディを介して、平行の2つのスライドレールに沿って往復運動可能に支承されている。基板66は、図面右側で、垂直方向上向きの基板部分を備えており、基板部分に、鉛直駆動装置65が固定されている。鉛直駆動装置65は、同様に水平軸を有するACサーボモータを備えている。
【0051】
図8に示した後冷却装置は、平行に配置された複数の列を有している。図示の態様では、垂直列にそれぞれ12の冷却スリーブ21を示した。冷却スリーブ21は、射出成形品における状態に関して極めて狭く配置することができる。したがって複数の平行列だけでなく、追加的に列のずれも提案される。つまり第1の射出成形サイクルに関して、冷却管に番号1を付し、第2の射出成形サイクルに関して、冷却管に番号2を付し、これが続く。たとえば4つの平行列で全列に番号3が付されている場合、番号1を有する列は、記載したように、搬送ベルト20へ排出するために準備される。残りは生産時間全体にわたって規則通りに進行する。図示の態様では、総後冷却時間は、射出成形時間の3〜4倍である。後冷却装置19における空気圧力もしくは負圧状態は、列毎に制御可能であり、これによって特定の時点で、全ての列1もしくは列2等を同時に作動させることができる。後冷却装置19ならびにプラットフォーム17の距離調整精度の他に、加速および減速機能を最適に制御することが重要である。可視化は、機械制御装置あるいは機械計算機90の命令機器において行われる。運動経過は、あらゆる観点から最適化される。このことはたとえばスタートアンドストップに適用され、とりわけ速度および距離に関する加速および減速にも適用される。
【0052】
図9には、サイジングなしに生じる熱プロフィール(プリフォーム10xxにおいて記録した)を示した。注目すべき点は、62.8度〜45.7度の大きな温度差である。プリフォームのシャフトの端部における17.1度の半径方向の温度差が生じる。これによって第1の冷却プロセスにおいて、外側形状の楕円化が生じる。所望されない楕円化は、型工具における比較的長い冷却時間によってしか、抑制または回避することができない。図示の実施例では、13.5秒のサイクルタイムで、図示の熱プロフィールが測定された。品質は約0.2mmであり、これは未だトレランス範囲内である。
【0053】
図10aには、冷却空気によるプリフォーム10xxのサイジングを有するテスト実施例を示した。温度分布は、3.9度の極めて小さな範囲にある。ここではサイクルタイムは13.5秒から11.5秒に短縮された。楕円化は、0.2mmではなく0.05mmでしかない。したがって本発明によれば、比較的短いサイクルタイムでより精確なプリフォームを製造することができる。
【0054】
図10bには、プリフォーム10xxを示しており、ここでは本発明による外側冷却が用いられなかった。サイジング圧は、過度に高かったので、プリフォームは、支持されない円錐領域で膨張した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォーム(10)のための後冷却装置であって、
未だ形状不安定のプリフォーム(10)が、取出グリッパ(11)によって、射出成形機の開いた型半部(8,9)から取り出され、水冷式の取出もしくは冷却スリーブ(21)において少なくとも部分的に後冷却されるようになっている、後冷却装置において、
プリフォーム(10)の外側の開いた端部側の領域で、冷却スリーブ(21)に、吹込装置が組み込まれており、該吹込装置を介して、プリフォーム(10)の、少なくとも支持されていない領域の外側表面が、冷却空気で凝固されるようになっていることを特徴とする、プリフォーム(10)のための後冷却装置。
【請求項2】
冷凍された冷却空気を形成するために、当該後冷却装置に対応して冷却器が配置されている、請求項1記載の後冷却装置。
【請求項3】
当該後冷却装置に、冷却空気のための圧力発生器が配設されており、該圧力発生器によって、4barを下回る圧縮空気が形成されるようになっている、請求項2記載の後冷却装置。
【請求項4】
当該後冷却装置は、制御装置を備えており、該制御装置によって、吹込装置は、取出もしくは冷却スリーブ(21)にプリフォームを引き渡した時点から作動させられるようになっている、請求項1から3までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項5】
冷却空気量および/または冷却空気温度が制御可能になっており、最大値が、プリフォームを引き渡した直後に調節可能になっている、請求項4記載の後冷却装置。
【請求項6】
吹込装置は、プリフォームの外側の開いた端部側に向けられた空気ガイドもしくは冷却通路(113)として形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項7】
水冷式の取出スリーブは、ねじ山部分(44)と吹込部分(43)もしくは円筒形のシャフトとの間の領域に、プリフォーム(10)の適切な外側冷却のための冷却通路(113)と、該冷却通路(113)のための空気接続部(112)とを備えている、請求項1から6までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項8】
プリフォーム(10)の幾何学形状に応じて、通気路は、ねじ山部分(44)とネックリング(137)との間の領域に、かつ/またはネックリング(137)と円筒形の吹込部分(43)との間の移行領域に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項9】
ねじ山部分(44)およびネックリング(137)を除いたプリフォーム吹込部分全体が完全に取出スリーブに挿入されるように、水冷式の取出スリーブが形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項10】
水冷式の取出スリーブは、規格化された部分から形成されており、場合によってはガイドリング(114)が、ねじ山部分(44)とネックリング(137)との間の移行領域および/またはネックリング(137)と吹込部分(43)との間の移行領域の冷却のための通気路のために使用されるようになっている、請求項1から9までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項11】
当該後冷却装置は、プリフォーム(10)への挿入部分をそれぞれ備えた複数のニップル(30)を有する装置と、プリフォーム(10)に挿入可能なニップル(30)の挿入部分を半径方向に膨らませるプレスもしくはシールリング(56)とを備えている、請求項1から10までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項12】
プレスリングは、半径方向に膨らみ可能な、特に浮動状態に支承されたシールリング(56)として形成されており、該シールリング(56)を介して、プリフォーム(10)の吹込部分(43)の内室に成形圧力を形成するために、機械式に形成可能で調節可能なシール力が、プリフォーム(10)の内壁に向かって形成されるようになっている、請求項11記載の後冷却装置。
【請求項13】
特に浮動状態に支承されたプレスもしくはシールリング(56)を備えたニップル(30)は、ねじ山部分(44)と吹込部分(43)との間の領域における選択可能で最適なシール箇所に位置決め制御して、プリフォーム(10)に挿入されるようになっている、請求項11または12記載の後冷却装置。
【請求項14】
プリフォーム(10)は、未だ高温の形状不安定状態で、射出成形型から、後冷却のために水冷式の取出スリーブに引き渡されるようになっていて、プリフォーム(10)に挿入可能なニップル(30)によって、圧縮空気で、正確な外寸にサイジングされるようになっている、請求項11から13までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項15】
ニップル(30)は、共通の作動板(16)に配置されており、最適な進入深さに、またはプリフォーム(10)もしくは取出冷却スリーブ内でのシールリング(56)のための最適な箇所にプレスもしくはシールリング(56)を挿入して位置決めするために、作動板(16)に対応して被制御式の駆動手段が配置されている、請求項11から14までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項16】
当該後冷却装置は、制御可能な取出グリッパ(11)を備えており、射出成形型の射出成形位置の数、有利には射出成形型内の射出成形位置の3〜4倍の数に少なくとも相当する数の水冷式の取出スリーブが設けられている、請求項1から15までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項17】
当該後冷却装置は、水冷式の取出スリーブを備えた取出グリッパ(11)と、ニップル(30)を備えた搬送グリッパ(12,12’)と、射出成形位置の3〜4倍の数に相応する数の冷却位置を有する後冷却器(19)とを備えており、プリフォーム(10)の吹込部分(43)は、取出スリーブ内でサイジングされるようになっており、プリフォーム(10)は、所定の正確な形状で、各射出成形サイクル内で、搬送グリッパ(12,12’)によって、後冷却器(19)に、かつ完全冷却後に搬出装置(20)に引き渡されるようになっている、請求項1から16までのいずれか1項記載の後冷却装置。
【請求項18】
ねじ山部分(44)と吹込部分(43)とネックリング(37)とを備えたプリフォーム(10)を後冷却する方法であって、
プリフォーム(10)を、未だ高温の形状不安定状態で、水冷式の冷却スリーブ(21)内で少なくとも部分的に後冷却する、プリフォームを後冷却する方法において、
プリフォーム(10)の外側で開いた支持されない端部側の少なくとも一部の外側表面を、冷却スリーブ(21)に組み込まれた空気吹込装置を介して冷却空気で冷却して、凝固することを特徴とする、プリフォームを後冷却する方法。
【請求項19】
サイジングのための圧縮空気を、サイジング開始から無段階に膨張させ、プリフォーム(10)の外側表面を、収縮を補償するための最大成形圧が得られるまで引き続き冷却し、空気圧の上昇を、有利には圧縮空気供給部における制御弁の制御電圧の増加によって達成する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
冷却空気として、有利には0度を下回る範囲の温度を有する冷却された空気を用いる、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
4barを下回る冷却空気を用いる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
冷却空気使用量を、最大冷却作用がプリフォーム引渡直後に及ぼされるように制御する、請求項18から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
冷却スリーブ(21)にプリフォーム(10)を引き渡した直後に、ねじ山部分(44)と円筒形の吹込部分(43)との間の領域において、空気を用いたプリフォーム(10)の外側冷却を行う、請求項18から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
拡張するネックを備えたプリフォーム(10)の場合に、ねじ山部分(44)とネックリング(137)との間の移行領域を外側から空冷する、請求項18から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
外側で先細に延びるネック部分を備えたプリフォーム(10)の場合に、プリフォーム(10)の前記領域を、外側から空冷する、請求項18から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
a)ニップル(30)に取り付けられたプレスもしくはシールリング(56)を、位置制御して、ねじ山部分(44)と吹込部分(43)との間の領域で各プリフォーム(10)に挿入し、
b)プレスもしくはシールリング(56)を、プリフォーム(10)の内壁に接触させ、
c)半径方向で内壁に向けられた力を形成することによって、吹込部分(43)の内室を、外向きにシールする、請求項18から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
プリフォーム(10)の吹込部分(43)を、冷却スリーブ(21)にプリフォーム(10)を挿入して、射出成形サイクルの継続時間中に開いた型半部(8,9)から離間させたあとで、プリフォーム(10)を、無段階に膨張する圧縮空気によって、冷却スリーブ(12)の内壁に沿って正確な外寸にサイジングする、請求項18から26までのいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
プレスもしくはシールリング(56)を備えたニップル(30)を、ねじ山部分(44)と吹込部分(43)との間の領域において選択的な最適なシール箇所に位置制御して、プリフォーム(10)に挿入する、請求項18から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
プリフォーム(10)を、外側から、ねじ山部分(44)とネックリング(137)との間の移行領域において冷却スリーブ(21)に挿入した直後に、かつ/またはネックリング(137)と吹込部分(43)との間の移行領域まで挿入した直後に、外側から空冷し、開いた型半部(8,9)から冷却スリーブ(21)を離間したあとで、ニップル(30)に取り付けられたプレスもしくはシールリング(56)によって位置決め制御し、ねじ山部分(44)とネックリング(137)との間の移行領域まで、またはネックリング(137)と吹込部分(137)との間の移行領域までプリフォーム(10)に導入し、射出成形サイクル内でサイジングする、請求項18から28までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【公表番号】特表2010−516507(P2010−516507A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546759(P2009−546759)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050840
【国際公開番号】WO2008/090207
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(501162432)ネッツタール マシーネン アクチエンゲゼルシャフト (5)
【氏名又は名称原語表記】Netstal−Maschinen AG
【住所又は居所原語表記】Naefels, Switzerland
【Fターム(参考)】