説明

プリンタ装置、および誤印字防止制御方法

【課題】プリンタ装置内の文字データROM(CG−ROM)へ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生した場合に、誤った文字が印字されることを機械的に防止することができる、プリンタ装置を提供する。
【解決手段】印書データを印書データ保持部16に保持し、この印書データをデータバス101によりCG−ROM110に伝送し、CG−ROM110により文字パターンを生成する領収書発行機1において、データバス101により送られた印書データを、別に設けたラッチ部18に取り込む。そして、データ保持部16に保持された印書データと、ラッチ部18に取り込まれた印書データが一致するかどうかを比較(照合)し、一致する場合、すなわちデータバス101において“文字化け”が発生していないと判定した場合に、CG−ROM110から出力される文字パターンを基に印字を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、領収書等を発行するプリンタ装置に関し、特に、高速道路の料金所出口ブースで使用される領収書発行機等の印字データの正確性が要求される、プリンタ装置、および該プリンタ装置における誤印字防止制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置の中には印字するデータの正確性が強く要求されることがある。例えば、高速道路の料金徴収業務などにおいて使用され、領収書、または利用証明書を発行する領収書発行機がこれに相当する。高速道路の料金所出口ブースでは、この領収書発行機を使用して道路利用者から受領した道路通行料金の領収書、または利用証明書を発行する。この領収書、または利用証明書は、道路利用者による自社の精算業務等に使用されるものであり、公的性格を有する。このため、領収書発行機には正確な印書機能が要求される。
【0003】
しかしながら、万一、プリンタ装置の制御回路を構成するIC部品等の故障等により、誤った文字が印書され、誤った金額が印字された領収書が道路利用者へ渡ると、領収書の信頼性を損なうこととなる。
【0004】
図3は、従来の高速道路の料金所出口ブースに設置される領収書発行機の動作の流れの例を説明する図である。
【0005】
料金の徴収業務を行なう収受員2は、道路利用者から料金を徴収した場合に、領収書発行機1Aの操作パネル上に設けられた領収書発行釦(図示せず)を押下する(ステップS201)。領収書発行機1Aでは領収書発行釦が押下されたことを検知し、領収書発行処理を開始する(ステップS202)。
【0006】
領収書発行処理が開始されると、領収書発行機1Aは領収書の発行に必要なデータを車線制御装置(TC:Terminal Controller)3から取得するために、印書データのデータ発行要求を生成し(ステップS203)、このデータ発行要求を車線制御装置3に送信する(ステップS204)。
【0007】
車線制御装置3はデータ発行要求に応答し、領収書発行機1Aに対して印書データ(シフトJIS形式のコードデータ)を送信する(ステップS205)。なお、車線制御装置3は、有料道路の車線に設置され、通行料金の収受業務を支援するための装置である。
【0008】
領収書発行機1Aは、車線制御装置3から印書データを受信し(ステップS206)、この印書データをソウトウェア処理により、シフトJISコードの印書データからJISコードの印書データに変換する(ステップS207)。
【0009】
そして、JISコードに変換された印書データは、データバス101を通してCG−ROM(Character Generator-ROM)110に送信される(ステップS208)。ここで、IC部品等の故障等により、データバス101のデータ線に伝送されるビットデータ線に誤信号(ビット化け)が生じる可能性がある(ステップS209)。
【0010】
CG−ROM110では、データバス101を通して伝送されたJISコード形式の文字コードを受信し、この文字コードに対応するドットマトリクスの文字パターンを読み出し、この文字パターンを一時メモリとなるS−RAM(Static Random Access Memory)111内にドットイメージとして展開する(ステップS210)。
【0011】
このS−RAM111に展開されたドットイメージは、1ラインデータごとに印字制御回路120に送信される(ステップS211)。印字制御回路120は印字ヘッド121を制御し、1ラインごとにドットイメージをプリント用紙上に印字し、領収書を発行する(ステップS212)。発行された領収書は収受員2から道路利用者(お客様)4に渡される(ステップS213)。
【0012】
ところで、前述したようにデータバス101によりJISコードの印書データをCG−ROM110に伝送する際に、IC部品等の故障等によりデータバス101の信号線上で誤信号が伝達されることもあり得る。いわゆる“ビット化け”である。
【0013】
このビット化けが生じると、CG−ROM110に入力されるJISコードの印書データが誤データとなる。このため、CG−ROM110から誤ったドットイメージのデータが出力される。例えば、数字の‘0’が‘1’などとなり、誤った金額等が印字された領収書が発行されることになる。いわゆる“文字化け”である。また、この“文字化け”は、CG−ROM110の不具合により発生することもあり得る。
【0014】
なお、本明細書では、印字すべき本来の文字が、異なる文字として誤って印字されることを“文字化け”と呼ぶ他、データバス101における“ビット化け”や、CG−ROM110において、入力された文字コードに対して誤った文字パターンが出力されること含めて“文字化け”と呼ぶことがある。
【0015】
このような“文字化け”が発生した場合、誤った金額などが印字された領収書が道路利用者へ渡ることになる。このため、収受員が領収書の発行の度に目視により印字内容の確認を行なうことが必要となり、この確認が非常に煩わしい作業となっていた。そこで、収受員の目視による確認にたよることなく、異常発生時に誤った領収書が道路利用者へ渡ることを機械的防止することが要求されていた。
【0016】
なお、従来技術の出力イメージ事前検証システムがある(特許文献1を参照)。この従来技術の出力イメージ事前検証システムは、プリント依頼者に負担をかけず、最終出力者が最終出力のプリントイメージの検証をプリント出力前に効率的かつ確実に行うことを目的としている。しかしながら、この特許文献1の出力イメージ事前検証システムは、前述した領収書発行機内における印書データの“文字化け”の問題に対処し得るものではなかった。
【特許文献1】特許第3610703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述の如く、領収書発行機等のプリンタ装置には正確な印書機能が要求される。しかし、例えば制御回路を構成するIC部品等の故障等により、印書データをCG−ROM110に伝送するデータ伝送路や、CG−ROM(文字データROM)などにおいて“文字化け”が発生し、誤った文字が印字される可能性がある。この場合、誤った領収書が利用者へ渡ることとなる。
【0018】
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、プリンタ装置内の文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生した場合や、文字データROMから出力される文字パターンに“文字化け”が発生する場合に、誤った文字が印字されることを機械的に防止して、領収書の信頼性を担保することができる、プリンタ装置、および誤印字防止制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のプリンタ装置は、印書データの文字コードを基に文字パターンを生成する文字データROMを備えるプリンタ装置であって、前記印書データを文字コードにより保持する印書データ保持部と、前記印書データ保持部に保持された印書データを前記文字データROMに伝送するためのデータ伝送路と、前記データ伝送路に接続されると共に、該データ伝送路を通して伝送された前記印書データを取り込むラッチ部と、前記印書データ保持部に保持された印書データと、前記ラッチ部に取り込まれた印書データとを比較し、印書データの文字コードが一致するかどうかを判定する読み返し比較部と、を備え、前記読み返し比較部において文字コードが一致すると判定された場合に、前記文字データROMにより生成される文字パターンを基に印字を実行すること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明のプリンタ装置では、印書データをデータ保持部に保持し、この印書データをデータ伝送路により文字データROMに伝送し、文字データROMにより印字する文字パターンを生成する。この場合に、データ伝送路により送られた印書データを、別に設けたラッチ部に取り込む。そして、データ保持部に保持された印書データと、ラッチ部に取り込まれた印書データが一致するかどうかを比較(照合)し、一致する場合、すなわちデータ伝送路において“文字化け”が発生していないと判定した場合に印字を行う。
これにより、プリンタ装置内の文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生したことを検知できる。このため、誤った印書データが印字されることを機械的に防止することができる。
【0020】
本発明のプリンタ装置は、前記文字データROMをチェックするために用いる少なくとも1つの文字の文字コードと、該文字コードに対応する文字パターンとをチェックパターンとして保持するチェックパターン保持部と、前記チェックパターンの文字コードを基に前記文字データROMにより生成された文字パターンと、前記チェックパターン保持部に保持された文字パターンとを比較し、一致するかどうかを判定するパターン比較部と、を備え、前記パターン比較部において文字パターンが一致すると判定され、かつ前記読み返し比較部において文字コードが一致すると判定された場合に、前記文字データROMにより生成される文字パターンを基に印字を実行すること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明のプリンタ装置では、文字データROMをチェックするためのチェックパターン(文字コードと該文字コードに対応する文字パターンとの組み合わせ)をチェックパターン保持部に予め保持しておく。そして、チェックパターンの文字コードと同じ文字について文字データROMから文字パターンを出力させる。そして、文字データROMから出力される文字パターンと、チェックパターン保持部に保持された文字パターンとを比較し、一致するかどうかを判定する。そして、このパターン比較により文字パターンが一致すると判定され、かつデータ伝送路において“文字化け”が発生していないと判定された場合に、印書データの印字を行う。
これにより、プリンタ装置内の文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生したことを検知し、また、文字データROMから出力される文字パターンに“文字化け”が発生することを検知し、誤った印書データが印字されることを機械的に防止することができる。
【0021】
また、本発明のプリンタ装置は、前記印書データの文字コードがシフトJISコードであり、前記文字データROMに入力される文字コードがJISコードである場合に、前記シフトJISコードの印書データをJISコードの印書データに変換するコード変換部を備え、前記コード変換部により変換されたJISコードの印書データを前記データ保持部に保持させると共に、該JISコードの印書データを前記データ伝送路を通して前記文字データROMに伝送するように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明のプリンタ装置では、印書データがシフトJISコードの印書データである場合は、シフトJISコードの印書データをJISコードに変換して文字データROMに入力する。
これにより、JISコード入力の文字データROMを使用したプリンタ装置において、シフトJISコードの印書データを印字させることができると共に、文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生したことを検知し、また文字データROMから出力される文字パターンに“文字化け”が発生することを検知し、誤った印書データが印字されることを機械的に防止することができる。
【0022】
また、本発明のプリンタ装置は、前記読み返し比較部において文字コードが一致しないと判定されるか、または前記パターン比較部において文字パターンが一致しないと判定された場合に、所定の表示ランプ、または所定の照光式押し釦スイッチのランプ部を点滅させること、を特徴とする。
上記構成からなる本発明のプリンタ装置では、文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生した場合や、文字データROMにおいて“文字化け”が発生する場合に、この不具合をランプの点滅により表示する。
これにより、“文字化け”による誤った印書データが印字されることを機械的に防止できると共に、この不具合が生じていることを、ランプの点滅により係員に通知することができる。
【0023】
また、本発明のプリンタ装置は、前記プリンタ装置が領収書発行機であり、前記読み返し比較部において文字コードが一致しないと判定されるか、または前記パターン比較部において文字パターンが一致しないと判定された場合に、所定の長さの白紙の領収書の発券を行なうこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明のプリンタ装置では、プリンタ装置が領収書発行機であり、文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生した場合や、文字データROMにおいて“文字化け”が発生する場合に、この不具合を長手(例えば、400mm)の白紙の領収書の発券を行なうことで係員に通知する。
これにより、領収書発行機において、“文字化け”による誤った印書データが印字されることを機械的に防止できると共に、この不具合が生じていることを、発行する領収書の態様により係員に通知することができる。
【0024】
また、本発明のプリンタ装置は、前記プリンタ装置が、高速道路の料金所出口ブースに設備される領収書発行機であって、前記領収書発行機は、車線制御装置から利用料金を含む所定のシフトJISコードの印書データを受信する印書データ受信部と、前記車線制御装置から受信した印書データをJISコードの印書データに変換するコード変換部と、を備え、前記コード変換部によりJISコードに変換された印書データを前記印書データ保持部に保持させると共に、該JISコードの印書データを前記データ伝送路を通して前記文字データROMに伝送するように構成されたこと、を特徴とする。
上記構成からなる本発明のプリンタ装置では、車線制御装置からシフトJISコードの印書データを受信し、車線制御装置から受信した印書データをJISコードの印書データに変換して保持する。そして、このJISコードの印書データをデータ伝送路を通して文字データROMに伝送する。
これにより、本発明のプリンタ装置を高速道路の料金所出口ブースの領収書発行機として使用する場合に、領収書発行機内の文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生したことを検知し、また文字データROMにおいて“文字化け”が発生することを検知し、誤った印書データが印字されることを機械的に防止することができる。
【0025】
また、本発明の誤印字防止制御方法は、印書データの文字コードを基に文字パターンを生成する文字データROMを備えるプリンタ装置における誤印字防止制御方法であって、前記印書データを文字コードにより保持する印書データ保持手順と、前記印書データ保持手順により保持された印書データをデータ伝送路を通して前記文字データROMに伝送するためのデータ伝送手順と、前記データ伝送路に接続されると共に、該データ伝送路を通して伝送された前記印書データを取り込むラッチ手順と、前記印書データ保持手順により保持された印書データと、前記ラッチ手順により取り込まれた印書データとを比較し、印書データの文字コードが一致するかどうかを判定する読み返し比較手順と、前記読み返し比較手順により文字コードが一致すると判定された場合に、前記文字データROMにより生成される文字パターンを基に印字を実行する手順と、を含むことを特徴とする。
これにより、プリンタ装置内の文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生したことを検知できる。このため、誤った印書データが印字されることを機械的に防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、プリンタ装置において、プリンタ装置内の文字データROMへ印書データを伝送するデータ伝送路において“文字化け”が発生した場合や、文字データROMから出力される文字パターンに“文字化け”が発生する場合に、誤った文字が印字されることを機械的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係わるプリンタ装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すプリンタ装置は、高速道路の料金所出口ブースで使用される領収書発行機の例を示しており、本発明に直接関係する部分のみを示したものである。
【0028】
図1に示す領収書発行機1において、主制御部11は、CPU等を含み、領収書発行機1内の各処理部を統括して領収書発行の処理動作を実行するための制御部である。
【0029】
領収書発行受付部12は、収受員2が領収書発行を要求する押し釦スイッチ(図示せず)を押下したことを検知し、領収書発行処理を開始するための処理部である。
【0030】
データ発行要求部13は、領収書発行受付部12から領収書発行処理の開始を知らせる信号を受信すると、領収書の発行に必要な印書データを車線制御装置(TC)3から取得するために、印書データのデータ発行要求を生成する。そして、このデータ発行要求を車線制御装置3に対して送信する処理を行なう。
【0031】
印書データ受信部14は、車線制御装置3から送信される印書データを受信するための処理部である。
【0032】
ここで、車線制御装置3から印書データ受信部14に送信される印書データは、図4に示す領収書印字例中の可変データAである。この可変データは、例えば、車種(普通車、大型車等)、日付、取扱い番号、利用料金などの情報である。また、車線制御装置3から印書データ受信部14に送信される印書データは、シフトJIS形式のコードデータである。
【0033】
コード変換部15は、印書データ受信部14により受信したシフトJISコード形式の印書データをJISコード形式の印書データに変換する処理を行なう。
【0034】
印書データ保持部16は、コード変換部15により変換されたJISコードの印書データを保持すると共に、このJISコードの印書データをデータバス101を通してCG−ROM(Character Generator-ROM)101に送信する処理を行なう。
【0035】
CG−ROM101は、データバス101を通して受信した印書データの文字コード(JISコード)に対応するドットマトリクスの文字パターンを出力する。
【0036】
ラッチ部18は、データバス101を通してCG−ROM110に伝送されるJISコードの印書データを取り込み保持する。このラッチ部18は、CG−ROM110の入力ポートに近い位置に配置されることが好ましい。
【0037】
読み返し比較部19は、ラッチ部18に保持されたJISコードの印書データと、印書データ保持部16に保持されたJISコードの印書データとを比較し、文字コードが一致するかどうかを判定(照合)する処理行なう。そして、一致する場合は許可信号Aをイメージ展開処理部22に送信する処理を行なう。
【0038】
チェックパターン保持部20は、CG−ROM17のチェック用に用いる文字の「文字コード(JISコード)」と「文字コードに対応する文字パターン」との組み合わせをチェックパターンとして保持する。なお、CG−ROM17のチェック用に用いる文字は、通常は1文字であるが、複数の文字であってもよい。
【0039】
パターン比較部21は、チェックパターン保持部20から出力される文字コードに対応してCG−ROM17により生成された文字パターンと、チェックパターン保持部20に保持された文字パターンとを比較し一致するかどうかを判定する、文字パターン比較機能を備える処理部である。また、このパターン比較部21は、文字パターンが一致すると判定した場合に、許可信号Bをイメージ展開処理部22に送信する処理を行なう。
【0040】
イメージ展開処理部22は、読み返し比較部19からの許可信号A、およびパターン比較部21からの許可信号Bを受信した場合に、CG−ROM101から出力された文字パターンをドットイメージのデータとしてS−RAM111に展開する。
【0041】
S−RAM111は、イメージ展開処理部22から出力されるイメージデータを保持する一時メモリである。このS−RAM111に展開されたイメージデータは、1ラインデータごとに印字制御回路120に送信される。印字制御回路120は、印字ヘッド121を制御して、1ラインごとにドットイメージをプリント用紙上に印字し、領収書を発行する。
【0042】
エラー通知部23は、読み返し比較部19において不一致と判定された場合や、パターン比較部21において不一致と判定された場合、すなわち“文字化け”が発生した場合に、領収書発行機1の操作パネル上に配置されたエラー表示ランプ24を点滅させる。または、いずれかの照光式の押し釦スイッチ(図示せず)のランプ部を点滅させて、収受員2に通知する。なお、エラー通知部23により、印字制御回路120を制御して、長手(例えば、400mm)の白紙発券を行なうようにしてもよい。さらに、領収書発行機1内を初期化(回路のリセット)することにより復旧可能な場合には、リセット釦(図示せず)を押下し初期化して運転を継続する構成としてもよい。
【0043】
記憶部31には、図4に示す領収書の発行に必要なデータや、領収書発行機における処理を実行する際に必要となる各種のデータが記憶されている。この領収書の発行に必要なデータとして、固定データと可変データとがある。
【0044】
固定データとしては、図4の領収書の印字例に示すように、事業者名(例えば、○○高速道路、△△料金所)等のデータがある。また、可変データとしては、図4において、破線で囲んだ可変データAで示す、車種(例えば、普通、大型等)、日付、取扱い番号、利用料金(現金、クレジット)のデータがあり、これらの可変データAは車線制御装置3から領収書発行機1に送信される。
【0045】
上述したように本発明のプリンタ装置(領収書発行機1)においては、読み返し比較部19における印書データの比較機能(ベリファイ機能)と、パターン比較部21における文字パターンの比較機能を備えている。これにより、データバス101において“文字化け”が発生した場合や、また、CG−ROM110において “文字化け”が発生する場合に、これを検知し、これを収受員2に通知するとともに、誤った領収書が発行されることを回避できる。
【0046】
なお、前述の文字データROMは、CG−ROM110が相当し、前述のデータ伝送路はデータバス101が相当する。
【0047】
また、図2は、図1に示す領収書発行機1の動作の流れを説明するための図である。
以下、図2を参照して、その処理の流れについて説明する。
【0048】
料金の徴収業務を行なう収受員2は、道路利用者から料金を徴収した場合に、領収書発行機1の領収書発行釦を押下する(ステップS101)。領収書発行機1の領収書発行受付部12では領収書発行釦が押下されたことを検知し(ステップS102)、領収書発行処理を開始することデータ発行要求部13に通知する(ステップS103)。データ発行要求部13はデータ発行要求を生成し(ステップS104)、車線制御装置(TC)3に送信する(ステップS105)。
【0049】
車線制御装置3はデータ発行要求に応答し、領収書発行機1の印書データ受信部14に対して印書データ(シフトJIS形式のコードデータ)を送信する(ステップS106)。
【0050】
領収書発行機1の印書データ受信部14は、車線制御装置3から印書データを受信し(ステップS107)、コード変換部15のソウトウェア処理により、シフトJISコードの印書データをJISコードの印書データに変換する(ステップS108)。また、このJISコードの印書データを印書データ保持部16に保持する(ステップS109)。
【0051】
そして、印書データ保持部16に保持されたJISコードの印書データをデータバス101を通してCG−ROM(文字データROM)110に送信する(ステップS110)。ここで、IC部品等の故障やノイズ等により、データバス101のデータ線で伝送されるビットデータに誤信号(ビット化け)が生じることがあり得る(ステップS111)。
【0052】
また、データバス101を通して伝送されるJISコードの印書データは、ラッチ部18により取り込まれ保持される(ステップS112)。
【0053】
続いて、ステップS112においてラッチ部18に保持されたJISコードの印書データと、ステップS109において印書データ保持部16に保持されたJISコードの印書データとの判定処理1(ベリファイ機能)が実行される。すなわち、データバス101でCG−ROM110に伝送された印書データと、データバス101で伝送される前の印書データとの照合(ベリファイ)が行なわれる(ステップS113)。
【0054】
このステップS113の判定処理1(ベリファイ機能)においては、ラッチ部18に保持されたJISコードの印書データと、印書データ保持部16に保持されたJISコードの印書データとが一致するかどうかを判定するJISコード読み返し比較が行なわれる(ステップS113A)。
【0055】
このJISコード読み返し比較により不一致と判定された場合は(ステップS113A:不一致)、データバス101におけるデータ伝送時に“文字化け”が発生したものとして、文字化け発生時の処理動作を行なう(ステップS120)。この文字化け発生時の処理動作としては、例えば、領収書発行機1の操作パネル上に配置されたいずれかの表示ランプを点滅させるか、または、いずれかの照光式の押し釦スイッチのランプ部を点滅させて、収受員2に通知する。また、長手(例えば、400mm)の白紙発券を行なうようにしてもよい。さらに、領収書発行機1内を初期化(回路のリセット)することにより、復旧可能な場合には、リセット釦を押して初期化して運転を継続するようにしてもよい。なお、“文字化け”が発生し領収書の発行を中止した場合は、領収書は収受員2が発行する手書きの領収書となる。
【0056】
一方、ステップS113Aの読み返し比較により一致と判定された場合は(ステップS113A:一致)、CG−ROM110から出力される文字パターンをドットイメージとしてS−RAM111へ展開することを許可する許可信号Aが生成される。
【0057】
また、CG−ROM110により生成される文字パターンをチェックするための判定処理2(パターン比較)が行なわれる(ステップS114)。なお、この判定処理2(パターン比較)は、前述の判定処理1(ベリファイ機能)の前に行なうようにしてもよい。
【0058】
このステップS114における判定処理2(パターン比較)では、チェックパターン保持部20の文字パターンとCG−ROM110からチェック用の文字の文字パターンを比較文字として出力させる(ステップS114B)。そして、CG−ROM110から出力させたチェック用の文字パターンと、チェックパターン保持部20に保持された文字パターンとが一致するかどうかをパターン比較する(ステップS114C)。
【0059】
この文字パターン比較により不一致と判定された場合は(ステップS114C:不一致)、CG−ROM110における文字パターンの生成に不具合が生じ “文字化け”が発生するとして、文字化け発生時の処理動作を行なう(ステップS121)。
【0060】
このステップS121における文字化け発生時の処理動作は、ステップS120における文字化け発生時の処理動作と同様な方法で行なう。例えば、領収書発行機1の操作パネル上に配置されたいずれかの表示ランプを点滅させるか、または、いずれかの照光式の押し釦スイッチのランプ部を点滅させて、収受員2に通知する。また、長手(例えば、400mm)の白紙発券を行なうようにしてもよい。さらに、領収書発行機1内を初期化(回路のリセット)することにより、復旧可能な場合には、リセット釦を押下して初期化して運転を継続するようにしてもよい。
【0061】
一方、ステップS114Cのパターン比較により一致と判定された場合は(ステップS114C:一致)、ドットイメージのS−RAM111への展開を許可する許可信号Bが生成される。
【0062】
前述のステップS113における判定処理1(ベリファイ機能)、およびステップS114における判定処理2(パターン比較部)において、それぞれの許可信号A、Bが生成された場合は、CG−ROM110から出力される文字パターンをS−RAM111にドットイメージとして展開する(ステップS115)。
【0063】
このS−RAM111に展開されたドットイメージは、1ラインデータごとに印字制御回路120に送信される(ステップS116)。印字制御回路120は印字ヘッド121を制御し、1ランデータごとのドットイメージをプリント用紙上に印字し、領収書を発行する(ステップS117)。発行された領収書は収受員2から道路利用者(お客様)4に渡される(ステップS118)。
【0064】
以上説明したように、本発明のプリンタ装置(領収書発行機)においては、データバス101や、CG−ROM110等において“文字化け”が発生した場合に、これを収受員2に通知するとともに、誤った領収書が発行されることを回避できる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のプリンタ装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態に係わるプリンタ装置(領収書発行機)の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す領収書発行機の動作の流れを説明するための図である。
【図3】従来技術の領収書発行機の動作の流れを説明するための図である。
【図4】領収書の印字例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1A・・・領収書発行機、2・・・収受員、3・・・車線制御装置、11・・・主制御部、12・・・領収書発行受付部、13・・・データ発行要求部、14・・・印書データ受信部、15・・・コード変換部、16・・・印書データ保持部、18・・・ラッチ部、19・・・読み返し比較部、20・・・チェックパターン保持部、21・・・パターン比較部、22・・・イメージ展開処理部、23・・・エラー通知部、24・・・エラー表示ランプ、31・・・記憶部、101・・・データバス、110・・・CG−ROM、111・・・S−RAM、120・・・印字制御回路、121・・・印字ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印書データの文字コードを基に文字パターンを生成する文字データROMを備えるプリンタ装置であって、
前記印書データを文字コードにより保持する印書データ保持部と、
前記印書データ保持部に保持された印書データを前記文字データROMに伝送するためのデータ伝送路と、
前記データ伝送路に接続されると共に、該データ伝送路を通して伝送された前記印書データを取り込むラッチ部と、
前記印書データ保持部に保持された印書データと、前記ラッチ部に取り込まれた印書データとを比較し、印書データの文字コードが一致するかどうかを判定する読み返し比較部と、
を備え、
前記読み返し比較部において文字コードが一致すると判定された場合に、前記文字データROMにより生成される文字パターンを基に印字を実行すること、
を特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
前記文字データROMをチェックするために用いる少なくとも1つの文字の文字コードと、該文字コードに対応する文字パターンとをチェックパターンとして保持するチェックパターン保持部と、
前記チェックパターンの文字コードを基に前記文字データROMにより生成された文字パターンと、前記チェックパターン保持部に保持された文字パターンとを比較し、一致するかどうかを判定するパターン比較部と、
を備え、
前記パターン比較部において文字パターンが一致すると判定され、かつ前記読み返し比較部において文字コードが一致すると判定された場合に、前記文字データROMにより生成される文字パターンを基に印字を実行すること、
を特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記印書データの文字コードがシフトJISコードであり、前記文字データROMに入力される文字コードがJISコードである場合に、前記シフトJISコードの印書データをJISコードの印書データに変換するコード変換部を備え、
前記コード変換部により変換されたJISコードの印書データを前記データ保持部に保持させると共に、該JISコードの印書データを前記データ伝送路を通して前記文字データROMに伝送するように構成されたこと、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリンタ装置。
【請求項4】
前記読み返し比較部において文字コードが一致しないと判定されるか、または前記パターン比較部において文字パターンが一致しないと判定された場合に、
所定の表示ランプ、または所定の照光式押し釦スイッチのランプ部を点滅させること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のプリンタ装置。
【請求項5】
前記プリンタ装置が領収書発行機であり、
前記読み返し比較部において文字コードが一致しないと判定されるか、または前記パターン比較部において文字パターンが一致しないと判定された場合に、
所定の長さの白紙の領収書の発券を行なうこと、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のプリンタ装置。
【請求項6】
前記プリンタ装置が、高速道路の料金所出口ブースに設備される領収書発行機であって、
前記領収書発行機は、
車線制御装置から利用料金を含む所定のシフトJISコードの印書データを受信する印書データ受信部と、
前記車線制御装置から受信した印書データをJISコードの印書データに変換するコード変換部と、
を備え、
前記コード変換部によりJISコードに変換された印書データを前記印書データ保持部に保持させると共に、該JISコードの印書データを前記データ伝送路を通して前記文字データROMに伝送するように構成されたこと、
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のプリンタ装置。
【請求項7】
印書データの文字コードを基に文字パターンを生成する文字データROMを備えるプリンタ装置における誤印字防止制御方法であって、
前記印書データを文字コードにより保持する印書データ保持手順と、
前記印書データ保持手順により保持された印書データをデータ伝送路を通して前記文字データROMに伝送するためのデータ伝送手順と、
前記データ伝送路に接続されると共に、該データ伝送路を通して伝送された前記印書データを取り込むラッチ手順と、
前記印書データ保持手順により保持された印書データと、前記ラッチ手順により取り込まれた印書データとを比較し、印書データの文字コードが一致するかどうかを判定する読み返し比較手順と、
前記読み返し比較手順により文字コードが一致すると判定された場合に、前記文字データROMにより生成される文字パターンを基に印字を実行する手順と、
を含むことを特徴とする誤印字防止制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−208233(P2009−208233A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50596(P2008−50596)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】