説明

プリンタ

【課題】 写真プリントシステム等に用いられるプリンタにおいて、プリンタ本体外部へ排出されるプリント用紙Pの長さが複数種であっても、簡単な構成で、それら排出されるプリント用紙Pを傷付けることなく受け止めることができるようにするとともに、プリンタ本体が大型化するのを防止する。
【解決手段】 排出口19から排出されるプリント用紙Pの長さが所定値以下であるときには、該プリント用紙Pを排紙トレイ18で受け止め、プリント用紙Pの長さが所定値よりも長いときには、排紙トレイ18に対し収容ユニット85を取り付け、排出口19から排出されたプリント用紙Pを収容ユニット85の収容部86にロール状に巻回して収容するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の長さのプリントされたプリント用紙を排出口から外部へ排出するように構成されたプリンタ本体と、該プリンタ本体に接続され、上記排出口からプリンタ本体外部へ排出されたプリント用紙を受け止める排紙トレイとを備えたプリンタに関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、写真プリントシステム等に用いられるプリンタにおいては、プリンタ本体にロール状に巻かれた長尺状のプリント用紙をセットするセット部が設けられており、このセット部にセットされたプリント用紙がプリント部へ供給されて、該プリント部において、上記セット部より供給されたプリント用紙に対しインクジェットヘッド等によりプリントが行われ、このプリントされたプリント用紙が、予め決められた長さに切断されるとともに、プリント部から排出口へ搬送されて該排出口からプリンタ本体外部へ排出される。この排出口から排出されたプリント用紙は、プリンタ本体に取り付けられた排紙トレイによって受け止められる。
【0003】
上記写真プリントシステム等においては、プリンタ本体外部へ排出されるプリント用紙の長さは複数種あり、その長さが所定値以下であるときには、当該プリント用紙を上記排紙トレイで受け止めることが可能であるが、所定値よりも長い(例えば1m程度の長さ)長尺プリント用紙は、排紙トレイの長さに限界があるため、排紙トレイで受け止めることが困難であり、このため、プリント用紙が落下してプリント面に傷が付く等という問題がある。
【0004】
一方、従来より、例えば特許文献1に示されているように、装置本体から排紙部を突出させて設け、この排紙部の原稿ストッカ部内に、大サイズ原稿を巻き取る円筒状の収納アタッチメントを抜き差し可能に設けるようにすることが知られている。
【0005】
また、例えば特許文献2に示されているように、記録紙排出部に紙巻き装置を配置し、長い記録紙を巻紙として形成し、ラベル等を用いて封止して排出するようにすることが知られている。
【特許文献1】特開2002−80161号公報
【特許文献2】特開平6−80298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように排紙トレイで受け止めることが困難である所定値よりも長いプリント用紙の場合には、上記特許文献1及び2の如くプリント用紙を巻回するようにすれば、プリント面に傷が付く等という問題を解消できると考えられる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のものでは、小サイズ原稿には対応しておらず、仮に小サイズ原稿も原稿ストッカ部内に収納させるようにすると、小サイズ原稿は収納アタッチメントに巻き付かないので、小サイズ原稿の取り出しが不便になるとともに、排紙部が装置本体から突出したままであるため、装置全体が大きくなり、特に写真プリントシステムにおいては、長尺プリント用紙にプリントすることがそれ程多くはないので、突出したままの排紙部が邪魔になる場合が多くなる。
【0008】
一方、特許文献2のものでは、複数種のプリント用紙長さに対応することができるとともに、排紙部が大きく突出することもないので、排紙部が邪魔になるようなことはない。しかし、装置内に紙巻き装置を配置して、長尺プリント用紙のみを紙巻き装置により巻紙として形成するようにすると、構成が複雑になるとともに、装置全体が大型化する可能性がある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、写真プリントシステム等に用いられるプリンタにおいて、プリンタ本体外部へ排出されるプリント用紙の長さが複数種であっても、簡単な構成で、それら排出されるプリント用紙を傷付けることなく受け止めることができるようにするとともに、プリンタ本体が大型化するのを防止しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、プリンタ本体又は排紙トレイに対し、排出口から排出されるプリント用紙の長さが所定値よりも長いときに該プリント用紙をロール状に巻回して収容する収容部を有する収容ユニットを着脱可能に構成した。
【0011】
具体的には、請求項1の発明では、複数種の長さのプリントされたプリント用紙を排出口から外部へ排出するように構成されたプリンタ本体と、該プリンタ本体に取り付けられ、上記排出口からプリンタ本体外部へ排出されたプリント用紙を受け止める排紙トレイとを備えたプリンタを対象とする。
【0012】
そして、上記排紙トレイは、上記プリンタ本体の排出口から排出されるプリント用紙の長さが所定値以下であるときに該プリント用紙を受け止めるためのものであり、上記プリンタ本体又は排紙トレイに対し、上記排出口から排出されるプリント用紙の長さが上記所定値よりも長いときに該プリント用紙をロール状に巻回して収容する収容部を有する収容ユニットを着脱することが可能に構成されているものとする。
【0013】
上記の構成により、排出口から排出されるプリント用紙の長さが所定値以下であるときには、収容ユニットを外しておいて、そのプリント用紙を排紙トレイで受け止める一方、上記プリント用紙の長さが上記所定値よりも長いときには、収容ユニットを取り付けて、該収容ユニットの収容部でロール状に巻回して受け止めることができる。このように収容ユニットの着脱により、複数種のプリント用紙長さに容易に対応することができるとともに、プリント用紙の長さが所定値以下であるときには、収容ユニットを外しておくことで、収容ユニットが邪魔になるようなことがなく、しかも、プリンタ本体内に紙巻き装置等といった複雑な機構を配設しなくて済み、プリンタ本体を小型化することができる。
【0014】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、排紙トレイは、プリンタ本体に対し着脱可能に取り付けられており、収容ユニットは、上記プリンタ本体に対し、上記排紙トレイと交換して取り付けることが可能に構成されているものとする。
【0015】
このことにより、収容ユニットにおけるプリンタ本体への取付部を、排紙トレイにおけるプリンタ本体への取付部と同じ構成にすることができ、部品点数を削減することができる。また、収容ユニットの取付時には排紙トレイが存在しないので、収容ユニットの設計自由度が向上する。
【0016】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、収容ユニットは、排紙トレイに対し着脱することが可能に構成されていて、該排紙トレイに取り付けられたときにプリンタ本体の排出口に接続される接続部と、該接続部と収容部との間に設けられた中間部と、該中間部に設けられ、上記排出口から排出されたプリント用紙を上記収容部へ搬送する搬送手段とを有しているものとする。
【0017】
このようにすることで、収容ユニットの取付時には排紙トレイを外す手間がいらず、収容ユニットを外した後には排紙トレイを取り付ける手間も不要となり、収容ユニットを着脱するだけの作業で済む。また、収容ユニットの中間部を排紙トレイのプリント用紙受け面に沿ってスライドさせることで、該中間部を排紙トレイに対し着脱するようにすることができ、収容ユニットの排紙トレイに対する着脱が容易になる。
【0018】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、収容ユニットの搬送手段は、排出口から排出されたプリント用紙を排紙トレイのプリント用紙受け面との間に挟持して上記収容部へ搬送する搬送ローラで構成されているものとする。
【0019】
このことで、排紙トレイのプリント用紙受け面を利用してプリント用紙を収容部へ搬送することができ、搬送手段の構成が簡単になる。
【0020】
請求項5の発明では、請求項3又は4の発明において、収容ユニットの搬送手段は、プリンタ本体に設けられかつプリント用紙を排出口から排出させる排出手段から駆動力が供給されることで、プリント用紙を収容部へ搬送するように構成されているものとする。
【0021】
こうすることで、収容ユニットの取付時に搬送手段と排出手段とがギヤ等を介して連結されるように構成しておけば、排出手段から搬送手段に駆動力が供給されるので、搬送手段の駆動源が不要となり、収容ユニットを小型化することができる。
【0022】
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1つの発明において、収容ユニットの収容部は、周囲全体が覆われた空間部からなり、上記収容ユニットは、該収容ユニットの収容部に巻回されて収容されたプリント用紙を、該収容部から取り出すための開閉蓋を有しているものとする。
【0023】
このことにより、収容部へのゴミ等の侵入によりプリント用紙に傷が付くのを防止しつつ、収容部に収容されたプリント用紙を該収容部から容易に取り出すことができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明のプリンタによると、プリンタ本体又は排紙トレイに対し、排出口から排出されるプリント用紙の長さが所定値よりも長いときに該プリント用紙をロール状に巻回して収容する収容部を有する収容ユニットを着脱可能に構成したことにより、プリンタ本体外部へ排出されるプリント用紙がどのような長さを有するものであっても、収容ユニットの着脱という簡単な構成で、それらプリント用紙を傷付けることなく受け止めることができるとともに、プリンタ本体が大型化するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット式のプリンタ100を示す。
【0027】
このプリンタ100は、写真プリントシステムに用いられるものであって、画像データの取得及びオーダ情報の取得を行い必要な補正処理等を行う受付ブロックAと、この受付ブロックAから通信ケーブル1を介して伝送される画像データをオーダ情報に基づきプリント用紙P(図2等参照)に対してプリントを行って、複数種の長さのプリントされたプリント用紙Pを排出口19から外部へ排出するように構成されたプリンタ本体としてのプリントブロックBとを備えている。
【0028】
[受付ブロック]
受付ブロックAは、ワゴン型のフレーム5の上部に設けられた受付装置6と、表示画面がタッチパネル7によって構成されている液晶型のディスプレイ8と、フレーム5の上下方向の中間位置に設けられたフラットベッドスキャナFSとを備えている。受付装置6の前面部には、フラッシュメモリから成る記録媒体Msに保存された画像データを読み出すための半導体ドライブ9と、CD−RやDVD等のディスク型の記録媒体Mdに保存された画像データを読み出すためのディスクドライブ10とが配設されている。
【0029】
フラットベッドスキャナFSは、透明ガラス製のスキャニングデーブル13とこのスキャニングテーブル13の下側に配置されたスキャニングヘッド14とを有する本体部11と、この本体部11に開閉自在に取り付けられたプラテンカバー12とを備えている。スキャニングヘッド14は主走査方向に配設された複数の光電変換素子(例えば、CCD等)と光源とを備えていて、主走査方向と直交する副走査方向に移動することによりスキャニングテーブル13に載せられたスキャニング対象物の画像をR(赤)・G(緑)・B(青)の三原色に色分解した画像データとして取り込むように構成されている。
【0030】
[プリントブロック]
図2は、プリントブロックBの外観を示す。図3は、その用紙搬送系を示す。図4は、プリントユニットU2を示す。
【0031】
<外観構成>
プリントブロックBは、図2に示すように、筐体15と、この筐体15の下部に配置された2つのマガジンセット部Ba,Baと、筐体15の上部に配置され且つプリント用紙Pに対して画像データの記録を行うプリント部Bbと、筐体15の側部に配置されたインク貯留部Bcとを備えている。筐体15の上部中央部であってプリント用紙PをプリントブロックBの外部へ排出するための排出口19近傍には、該排出口19からプリントブロックBの外部へ排出されたプリント用紙Pを受け止める排紙トレイ18が取り付けられている。すなわち、後述の如くプリント用紙Pを1列で搬送しかつプリントした場合に、そのプリントされたプリント用紙Pがプリント面を上側にして排出口19から排出されるようになっており、この排出口19から排出されるプリント用紙Pの長さが所定値(排紙トレイ18で受け止めることが可能な値)以下であるときに該プリント用紙Pを排紙トレイ18によって受け止める。また、排紙トレイ18の下側には、横送りベルト16が設けられており、後述の如くプリント用紙Pを2列で搬送しかつプリントした場合に、そのプリントされたプリント用紙Pが不図示の経路切換機構によって、上記排出口19とは別の排出口からプリント面を上側にして上記横送りベルト16上に排出され、この横送りベルト16によって、側方の仕分け部17に送り出されるようになっている。この横送りベルト16上に排出されるプリント用紙Pの幅は、上記排出口19から排出されるプリント用紙Pよりも小さい。
【0032】
上記排紙トレイ18は、上面がプリント用紙受け面となるベース部18aと、このベース部18aにおける用紙幅方向(用紙搬送方向と垂直な方向)両端部からそれぞれ上方に延びる2つの側面部18b,18bとを有している。
【0033】
マガジンセット部Baは、前壁体15Aのスライド移動に伴いスライド移動するドロワー20を備えていて、このドロワー20にマガジン21によって収容保持されたロール状のプリント用紙Pをセットするように構成されている。このプリント用紙Pは、プリント面が外側となるように巻かれている。尚、図2においては、上側のマガジンセット部Baには、小さい幅のプリント用紙Pが2つ並列にセットされ、下側のマガジンセット部Baには、大きい幅のプリント用紙Pが1つだけセットされている(上側のマガジンセット部Baに大きい幅のプリント用紙Pを、下側のマガジンセット部Baに小さい幅のプリント用紙Pをそれぞれセットするようにしてもよい)。
【0034】
プリント部Bbは、壁体15B内に設けられ且つプリント用紙Pに対してインクを吐出して画像を形成するプリントヘッドHを備えている。
【0035】
インク貯留部Bcは、壁体15C内に挿抜可能に収容され且つ色相が互いに異なる7つのインクカートリッジ23,…を備えている。これらのインクカートリッジ23,…は、挿抜することにより新しいインクカートリッジ23に交換することができる。これらのインクカートリッジ23,…には夫々、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、レッド(R)、バイオレット(V)及び透明(CL)のインクが封入されている。なお、壁体15Cは、鉛直方向に延びる軸心周りに揺動開閉自在に構成されている。
【0036】
<用紙搬送系>
図3に示すように、上記プリントブロックBには、上記マガジンセット部Baからプリント用紙Pを引き出して所定の搬送経路に沿って搬送する用紙搬送機構が設けられている。この用紙搬送機構は、上記搬送経路を構成すべく、マガジンセット部Baから順に、供給ユニットU1、プリントユニットU2、ループ形成ユニットU3、カッターユニットU4、反転ユニットU5及び排出ユニットU6を備えている。そして、プリント用紙Pに対して画像のプリントを行う際に、2つのマガジンセット部Ba,Baのうちいずれか一方にセットされたプリント用紙Pを供給ユニットU1によってプリント部Bbに供給し、それから、その供給されたプリント用紙PをプリントユニットU2によって搬送しつつプリントヘッドHを走査させることによって画像データに基づいて画像のプリントを行い、その後、画像がプリントされたプリント用紙Pをループ形成ユニットU3からカッターユニットU4に送って予め決められた長さに切断した後、反転ユニットU5及び排出ユニットU6によって横送りベルト16又は排紙トレイ18に対して送り出す。
【0037】
具体的に説明すると、供給ユニットU1は、マガジン21に収容されたプリント用紙Pに回転力を付与する支持ローラ25と、プリント用紙Pをマガジン21からプリントユニットU2に搬送するための圧着型の供給ローラ26と、その供給ローラ26によって搬送されるプリント用紙Pを案内するガイド部材(図示せず)とを備えている。支持ローラ25と供給ローラ26とは供給搬送用の電動モータによって駆動される。
【0038】
上記マガジン21には、具体的な図示は省略するが、該マガジン21により保持されたプリント用紙Pの種類を識別するための識別コード部が設けられ、各マガジンセット部Baには、該識別コード部を介してプリント用紙Pの種類を検出する種類検出センサ22(図6参照)が設けられている。本実施形態では、プリント用紙Pの種類として幅寸法及び面質(光沢、マット等)を識別するための識別コード部が設けられており、種類検出センサ22は、プリント用紙Pの種類として幅寸法及び面質を識別コード部を介して検出するように構成されている。
【0039】
上記識別コード部は、例えば、複数の長孔と、各長孔の一方側又は他方側部分をスライド自在に覆うことが可能なスライド部材とで構成され、プリント用紙Pの種類に応じて全長孔のスライド部材の位置(一方側又は他方側)が予めそれぞれ設定されている。一方、上記種類検出センサ22は、例えば長孔毎に設けられた透過型の光センサで構成されて、全長孔のスライド部材の位置をそれぞれ検出することによって、プリント用紙Pの種類を検出するようになっている。尚、識別コード部の形態や種類検出センサ22の構成はどのようなものであってもよい。
【0040】
プリントユニットU2は、図3及び図4に示すように、プリントヘッドHを主走査方向X(用紙搬送方向(副走査方向Y)に垂直な方向)に案内するガイドレール28と、プーリ29に巻かれかつプリントヘッドHをガイドレール28に沿って往復移動させるための駆動ベルト30と、プリント用紙PをプリントヘッドHがプリントを行うことが可能な位置に吸着保持する用紙保持部Dと、この用紙保持部Dの用紙搬送方向上流側及び下流側のそれぞれに主走査方向Xに並設配置された圧着型の一対のプリント搬送ローラ31,31とを備えている。用紙保持部Dは、厚み方向に複数の孔が形成され、また、主走査方向Xについて対称に形成されたプリント台32と、筐体33内に設けられ且つプリント用紙Pに対してプリント台32の孔を介して負圧を与えるためのファン34とを備えている。プリントユニットU2(プリント部Bb)では、図5に示すように、プリント用紙Pに対して画像のプリントを行う際には、プリント用紙Pにおける互いに間隔dだけ開いている領域G,…に画像のプリントを行うと共に、この間隔dの領域に切断マークmを形成する。
【0041】
上記プリント台32上のプリント用紙Pは、上記用紙搬送機構(プリントユニットU2)により一定の単位搬送量で間欠的に(ステップ状に)搬送され、この間欠搬送時におけるプリント用紙Pの各停止時に、プリントヘッドHが主走査方向Xに一走査(一往動作又は一復動作)されて、この走査時に、主走査方向Xの各位置で、プリントヘッドHからインクが吐出される。つまり、プリントヘッドHの一走査後に、プリント用紙Pが単位搬送量だけ搬送され、その後、再びプリントヘッドHが一走査され、この動作が繰り返し行われて、所望の画像がプリントされることになる。
【0042】
ループ形成ユニットU3は、用紙搬送方向下流側のプリント搬送ローラ31の下流側に配置されたガイド板36と、このガイド板36によって案内されたプリント用紙Pを搬送するための圧着型の中間ローラ37とを備えている。ガイド板36は、ほぼ水平方向に延びる水平姿勢(図3の二点鎖線)と鉛直方向に延びる開放姿勢(図3の実線)とに切換自在に構成されている。そして、ループ形成ユニットU3では、プリント用紙Pをプリントする際には、プリント用紙Pの先端部を水平姿勢のガイド板36を介して中間ローラ37に受け渡した後、中間ローラ37によるプリント用紙Pの搬送を停止し、それから、ガイド板36を水平姿勢から開放姿勢に切り換え、プリント用紙Pを垂れ下がった状態にしてループを形成する。
【0043】
カッターユニットU4は、固定刃39と、可動刃40と、反射型のセンサを有するカット位置センサ41と、プリント用紙Pを送り出すための圧着型の送り出しローラ42とを備えている。そして、カッターユニットU4では、カット位置センサ41により上記切断マークmを検出して該検出結果に基づき切断を行う。縁なしプリントの場合には、図5に示すように、カット位置センサ41の検出結果に基づき切断マークmを基準にして間隔dよりも僅かに広い間隔の領域を取り除くことにより、画像の周囲に余白を残さないように切断動作を行う。このようにカッターユニットU4では、プリント用紙Pが予め決められた長さ(画像がプリントされる領域Gの長さによって決まる)に切断される。
【0044】
反転ユニットU5は、プリント用紙Pを搬送する駆動ローラ43と、この駆動ローラ43と共にプリント用紙Pを挟持する従動ローラ44と、これら駆動ローラ43及び従動ローラ44からなる作動ローラ対45の向きを変更する切換機構(図示せず)と、プリント用紙Pのプリント面側に設けられた回転自在のガイドローラ46とを備えている。上記切換機構は、駆動ローラ43の回転軸回りに回動可能に設けられた不図示の支持フレームを有し、上記従動ローラ44及びガイドローラ46は、この支持フレームに支持されており、該支持フレームの回動に伴って従動ローラ44及びガイドローラ46が図3に破線で示す位置に移動し、これにより作動ローラ対45の向きが変更されることになる。そして、反転ユニットU5では、カッターユニットU4によって先端側から送り込まれたプリント用紙Pを、その後端部が作動ローラ対45の位置まで来るように作動ローラ対45によって搬送した後、切換機構によって作動ローラ対45の向きを変更し、それから駆動ローラ43を逆向きに回転させることによりプリント用紙Pをその後端部から排出ユニットU6に送り出す。
【0045】
排出ユニットU6は、プリント用紙Pを搬送するための複数の圧着型排出ローラ59,…と、これら搬出ローラ59,…によって搬送されたプリント用紙Pを横送りベルト16及び排紙トレイ18のうちいずれか一方に送り出すための経路切換機構(図示せず)とを備えている。この排出ユニットU6は、プリント用紙Pを排出口19から排出させる排出手段を構成する。
【0046】
[制御系]
図6は、制御系の構成を示す。
【0047】
このプリンタ100の制御系では、受付ブロックAの受付装置6は、マイクロプロセッサ60(以下、CPUという)と、このCPU60との間でデータバスを介して情報を送受信するタッチパネル7、ディスプレイ8、半導体ドライブ9、ディスクドライブ10、半導体メモリRAM/ROM、ハードディスクHD及び通信インタフェース61と、CPU60の処理を実現するためのソフトウェアからなるオペレーションシステム62、画像処理システム63及びプリンタドライバ64とを備えている。また、受付装置6は、フラットベッドスキャナFSとの間で情報を送受信する入出力系を構成し、また、通信インタフェース61を介してプリントブロックBとの間で情報を送受信する信号系をも構成している。
【0048】
また、プリントブロックBは、マイクロプロセッサ65(以下、CPUという)と、このCPU65とデータバスを介して接続された搬送制御部66、ヘッド制御部67、半導体メモリRAM/ROM、種類検出センサ22、カット位置センサ41及び通信インタフェース68と、CPU65の処理を実現するためのソフトウェアからなるプリント制御手段69とを備えている。
【0049】
搬送制御部66は、用紙搬送機構の各ユニットU1,U2,U3,U4,U5,U6夫々の動作制御を行う。ヘッド制御部67は、プリントヘッドHの動作制御を行う。プリント制御手段69は、受付ブロックAから送られる画像データに基づきプリント用紙Pに対して画像データのプリントを実現する制御を行う。
【0050】
また、搬送制御部66は、図2の上側のマガジンセット部Baから小さい幅のプリント用紙Pを引き出して搬送する場合には、当該マガジンセット部Baの種類検出センサ22の検出結果に応じて、用紙搬送機構のガイド部材等を2列で搬送可能な状態に設定する。一方、下側のマガジンセット部Baから大きい幅のプリント用紙Pを引き出して搬送する場合には、当該マガジンセット部Baの種類検出センサ22の検出結果に応じて、用紙搬送機構のガイド部材等を1列で搬送可能な状態に設定する。これにより、上側のマガジンセット部Baからは2つのプリント用紙Pが同時に引き出されて2列で搬送され、プリントユニットU2において、プリントヘッドHにより2つのプリント用紙Pに同時にプリントが行われる。一方、下側のマガジンセット部Baからは1つのプリント用紙Pが引き出されて1列で搬送され、プリントユニットU2において、プリントヘッドHによりそのプリント用紙Pにプリントが行われる。
【0051】
さらに、搬送制御部66は、種類検出センサ22によりプリント用紙Pの面質も検出されるので、その面質に対応して用紙送り量(単位搬送量)を最適な量に調整するようにしている。これは、面質によって用紙搬送機構におけるローラ等との摩擦係数やプリント用紙Pの厚みが異なるからである。
【0052】
[収容ユニットの構成]
本実施形態では、図7及び図8に示すように、上記排紙トレイ18に対し、上記排出口19から排出されるプリント用紙Pの長さが上記所定値よりも長いときに該プリント用紙Pをロール状に巻回して収容する収容部86を有する収容ユニット85を着脱することが可能に構成されている。この収容ユニット85は、排紙トレイ18に取り付けられたときに排出口19に接続される接続部87と、該接続部87と収容部86との間に設けられた中間部88と、該中間部88に設けられ、上記排出口19から排出されたプリント用紙Pを上記収容部86へ搬送する搬送手段としての複数(ここでは、4つ)の搬送ローラ89,…とを有している。尚、収容部86は、巻かれたプリント用紙Pのプリント面が外側になるように、中間部88よりも下側に位置している。
【0053】
上記中間部88は、排紙トレイ18の2つの側面部18b,18b間に、ベース部18aの上面であるプリント用紙受け面に沿ってスライド挿入可能になっており、この中間部88が両側面部間18b,18bに挿入されることにより、収容ユニット85が排紙トレイ18に取り付けられる。この収容ユニット85の取付状態において、上記搬送ローラ89は、最も収容部86側に位置するものを除いて、プリント用紙受け面に接していて、上記排出口19から排出されるプリント用紙Pをプリント用紙受け面との間に挟持して収容部86へ搬送するようになっている。最も収容部86側に位置する搬送ローラ89は、収容ユニット85の取付状態において上記排紙トレイ18のベース部18の先端部に突き合わされかつ上面がプリント用紙受け面と同一面となるガイド部材95に接していて、プリント用紙Pを該ガイド部材95の上面との間に挟持して収容部86へ搬送するようになっている。
【0054】
上記各搬送ローラ89の回転軸の一端部には、プーリ90がそれぞれ配設されており、これらプーリ90,…間にベルト91が掛け渡されている。そして、接続部87に最も近い搬送ローラ89の回転軸には、入力ギヤ92が設けられており、収容ユニット85の取付状態において、この入力ギヤ92が、排出ユニットU6における排出口19に最も近い排出ローラ59を回転駆動するための駆動ギヤ(図示せず)と噛み合うようになっている。このことで、各搬送ローラ89は、排出手段(排出ユニットU6)から駆動力が供給されることで、プリント用紙Pを収容部86へ搬送することになる。
【0055】
上記収容部86は、用紙幅方向に延びかつ周囲全体が覆われた空間部からなっている。すなわち、収容部86は、両端部が閉塞された断面略D字状をなす筒状のケース99内に構成されている。このケース99は、収容部86と中間部88との連結部分から該中間部88の上部及び両側部を覆うように接続部87まで延びており、このケース99における中間部88の両側部を覆う部分に、上記各搬送ローラ89の回転軸が回転可能に軸支されている。
【0056】
上記収容部86内には、該収容部86の断面略中心部に位置する円筒部材94が配設されている。そして、上記ガイド部材95は、収容部86の上側を覆うように突出していて、ケース99における収容部86の下部及び側部の内壁面と共に、上記各搬送ローラ89により搬送されてきたプリント用紙Pを、上記円筒部材94に巻かれるようにガイドする役目を果たす。尚、円筒部材94は必ずしも必要なものではなく、これがなくても、プリント用紙Pは上記ガイド部材95及び上記内壁面によってガイドされて収容部86内においてロール状に巻回される。
【0057】
上記ケース99における収容部86の長手方向一端側を覆う部分には、開閉蓋96が配設されており、この開閉蓋96を開けることで、収容部86に巻回されて収容されたプリント用紙Pを、該収容部86から該プリント用紙Pの巻回中心線が延びる方向(収容部86の長手方向)に引き出して取り出すことが可能になる。
【0058】
上記排出口19から排出されるプリント用紙Pの長さが所定値以下であるときには、上記収容ユニット85を排紙トレイ18から取り外しておく。これにより、排出口19から排出されたプリント用紙Pは、排紙トレイ18で受け止められる。
【0059】
一方、排出口19から排出されるプリント用紙Pの長さが所定値よりも長いときには、上記収容ユニット85を排紙トレイ18に取り付けておく。これにより、排出口19から排出されたプリント用紙Pが、各搬送ローラ89によって、排紙トレイ18のプリント用紙受け面に沿って収容部86へと搬送され、収容部86において円筒部材94にロール状に巻かれる。このとき、プリント用紙Pは、プリント面が外側になるように巻かれる。そして、開閉蓋96を開けて、上記ロール状のプリント用紙Pを取り出す。このとき、巻かれたプリント用紙Pのプリント面が外側になっているので、どのような画像をプリントしたものであるかが容易に分かる。
【0060】
したがって、上記実施形態では、排紙トレイ18に対し、排出口19から排出されるプリント用紙Pの長さが所定値よりも長いときに該プリント用紙Pをロール状に巻回して収容する収容部86を有する収容ユニット85を着脱することが可能に構成されているので、排出口19から排出されるプリント用紙Pの長さが複数種であっても、簡単な構成で、それら排出されるプリント用紙Pを傷付けることなく受け止めることができる。また、写真プリントシステムに用いられる本プリンタ100では、排出口19から排出されるプリント用紙Pの長さが所定値以下である場合が多くなるが、このときには、収容ユニット85を外しておくことができるので、収容ユニット85が邪魔になるようなことがなく、しかも、プリントブロックB内に紙巻き装置等といった複雑な機構を配設しなくて済み、プリントブロックBが大型化するのを防止することができる。
【0061】
尚、上記実施形態では、収容ユニット85を排紙トレイ18に対し着脱可能としたが、プリンタ本体であるプリントブロックBに対して着脱可能としてもよい。この場合、例えば排出口19(排出口19の近傍であってもよい)に対し排紙トレイ18を着脱可能に取り付けておき、収容ユニット85を、その排出口19に対し、上記排紙トレイ18と交換して取り付けるようにすればよい。こうすれば、収容ユニット85の取付時には排紙トレイ18が存在しないので、収容ユニット85の中間部88をなくすか或いはかなり短くすることができ、搬送ローラ89の数を減らすことができる。また、収容ユニット85におけるプリントブロックB(排出口19等)への取付部を、排紙トレイ18におけるプリントブロックBへの取付部と同じ構成にすることができ、部品点数を削減することができる。また、排紙トレイ18をプリントブロックBに取り付けたまま、プリントブロックBにおける排紙トレイ18の取付部とは別の部分に対し収容ユニット85を着脱可能としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、収容ユニット85の収容部86において巻かれたプリント用紙Pのプリント面が外側になるようにしたが、プリント面が内側になるようにしてもよい。この場合、収容部86を中間部88よりも上側に位置させればよい。こうすれば、排紙トレイ18があっても、収容ユニット85の中間部86をなくすか或いはかなり短くすることができる。
【0063】
さらに、上記実施形態では、収容ユニット85の搬送ローラ89が、プリンタ本体であるプリントブロックBから駆動力を供給されるようにしたが、専用の駆動源を収容ユニット85に配設するようにしてもよい。この場合、電源はプリントブロックBから供給するようにすることが好ましい。
【0064】
さらにまた、上記実施形態では、写真プリントシステムに用いられるインクジェット式プリンタに本発明を適用したが、排紙トレイで受け止めることが可能な長さのプリント用紙と、不可能な長さのプリント用紙とをプリンタ本体の排出口から排出するプリンタであれば、どのようなプリンタにも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、複数種の長さのプリントされたプリント用紙を排出口から外部へ排出するように構成されたプリンタ本体と、該プリンタ本体に接続され、上記排出口からプリンタ本体外部へ排出されたプリント用紙を受け止める排紙トレイとを備えたプリンタに有用であり、特に写真プリントシステムに用いられるプリンタに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの全体構成を示す斜視図である。
【図2】プリントブロックを示す斜視図である。
【図3】プリントブロックにおけるプリント用紙の搬送経路を示す概略模式図である。
【図4】プリントヘッドの駆動機構及びプリントユニットを示す斜視図である。
【図5】プリント用紙にプリントされる画像と切断マークとを示す図である。
【図6】制御系の構成を示す図である。
【図7】収容ユニットを示す平面図である。
【図8】収容ユニットを排紙トレイに取り付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
B プリントブロック(プリンタ本体)
P プリント用紙
U6 排出ユニット(排出手段)
18 排紙トレイ
19 排出口
85 収容ユニット
86 収容部
87 接続部
88 中間部
89 搬送ローラ(搬送手段)
96 開閉蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の長さのプリントされたプリント用紙を排出口から外部へ排出するように構成されたプリンタ本体と、該プリンタ本体に取り付けられ、上記排出口からプリンタ本体外部へ排出されたプリント用紙を受け止める排紙トレイとを備えたプリンタであって、
上記排紙トレイは、上記プリンタ本体の排出口から排出されるプリント用紙の長さが所定値以下であるときに該プリント用紙を受け止めるためのものであり、
上記プリンタ本体又は排紙トレイに対し、上記排出口から排出されるプリント用紙の長さが上記所定値よりも長いときに該プリント用紙をロール状に巻回して収容する収容部を有する収容ユニットを着脱することが可能に構成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1記載のプリンタにおいて、
排紙トレイは、プリンタ本体に対し着脱可能に取り付けられており、
収容ユニットは、上記プリンタ本体に対し、上記排紙トレイと交換して取り付けることが可能に構成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1記載のプリンタにおいて、
収容ユニットは、排紙トレイに対し着脱することが可能に構成されていて、該排紙トレイに取り付けられたときにプリンタ本体の排出口に接続される接続部と、該接続部と収容部との間に設けられた中間部と、該中間部に設けられ、上記排出口から排出されたプリント用紙を上記収容部へ搬送する搬送手段とを有していることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3記載のプリンタにおいて、
収容ユニットの搬送手段は、排出口から排出されたプリント用紙を排紙トレイのプリント用紙受け面との間に挟持して上記収容部へ搬送する搬送ローラで構成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項3又は4記載のプリンタにおいて、
収容ユニットの搬送手段は、プリンタ本体に設けられかつプリント用紙を排出口から排出させる排出手段から駆動力が供給されることで、プリント用紙を収容部へ搬送するように構成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のプリンタにおいて、
収容ユニットの収容部は、周囲全体が覆われた空間部からなり、
上記収容ユニットは、該収容ユニットの収容部に巻回されて収容されたプリント用紙を、該収容部から取り出すための開閉蓋を有していることを特徴とするプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−44862(P2006−44862A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227101(P2004−227101)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】