説明

プリンタ

【課題】、特殊な構造を持つ複雑な構成の機構を必要とせず、印刷用紙とは別の用紙を追加することなく、各々のジョブ毎の区切りを、ユーザが容易に判別し得るようにする。
【解決手段】印刷用紙27の搬送方向先端部が到達し(S62)、時間Tが経過し(S63)、時間Sが経過したと判断すると(S65)、可動スタンパ43を、搬送されてきた印刷用紙27の上面から離間させ、スタンピングを停止させる(S66)。繰り返し回数Rの値から“1”をデクリメントする(S67)。印刷用紙27の搬送方向後端部が可動スタンパ43の配置位置に到達したと判断すると(S68)、Rの値が“0”でないと判断すると(S69)、S61で示した処理動作に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のジョブに係わる印刷ジョブデータが印刷される多数の印刷シートを、各々のジョブ別に区分けすることが可能なプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタにおいて、原稿データ等を印刷した用紙を、例えばユーザ別や、ファイル別(ファイル単位)や、ユーザが指定した印刷部数別などの所謂ジョブ別に、ユーザが識別可能な態様で分類(仕分け)して排紙する構成を備えたものが知られている。例えば、下記の特許文献1に開示されたプリンタでは、各々のジョブの識別を容易に行えるようにするため、通信相手のファクシミリから送信されるデータにおける最終頁に登載されたデータを受信したときに、該データの付加情報を上端に登載した文書データを新たに作成する。そして、該文書データを、上記データにおける最終頁のデータにすると共に、排紙トレイを排紙方向と直交する方向に位置をずらした状態に設定することで、上記付加情報を記録した最終頁のデータが印刷された排出紙を、その前に排出された、上記データの全部が印刷された複数枚の用紙に対し、位置をずらして排紙する。
【0003】
【特許文献1】特開平10―28198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したように、印刷された用紙をプリンタ本体から、例えばユーザ別や、文書データ(ファイル)別や、指定された印刷部数別に排紙位置をずらして排紙するには、プリンタ本体等(の適宜な箇所)に、シフタのような機構を配置すると共に、該シフタの駆動機構や、該駆動機構を制御する制御部等をプリンタ本体に備える必要がある。また、上記シフタ等の機構に替えて、例えば複数の排紙トレイを装備し、複数の排紙トレイを使用して、印刷された後の用紙に対し、上述した分類処理(仕分け処理)を行う構成のプリンタも開発されている。
【0005】
上記シフタや、複数のトレイ等の機構を備えるプリンタにおいては、排紙経路の切替えや、排紙トレイの移動などの、プリンタ本体において印刷された後の用紙を処理するための機構として、例えば1つのデータ(ジョブ)が登載されている複数の頁における先頭頁の前に、バナーシートを追加する機構がある。また、複数のデータ(ジョブ)を、各々のデータ(ジョブ)別に用紙の方向を変えて印刷するための機構や、1つのデータ(ジョブ)が印刷された複数の頁における最終頁と、別の1つのデータ(ジョブ)が印刷された複数の頁における先頭頁との間に、これらの用紙とはサイズが異なる用紙を挟むための機構等もある。
【0006】
しかし、上述した機構は、何れも特殊な構造を持つ等、構成が複雑であり、従って部品点数も多くならざるを得ず、また、メンテナンスにも手間が掛かるという問題がある。更に、印刷用紙とはサイズが異なる用紙を挟むための機構を採用した場合には、印刷用紙以外に無駄な用紙を必要とするので、経済的でないという問題もある。
【0007】
従って本発明の目的は、プリンタにおいて、特殊な構造を持つ複雑な構成の機構を必要とせず、また、印刷用紙とは別の用紙を追加することなしに、各々のジョブ毎の区切りを、ユーザが容易に判別し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従うプリンタは、外部から供給される複数の印刷ジョブデータを、個々のジョブ別に区分けする印刷ジョブデータ区分け手段と、上記印刷ジョブデータ区分け手段によって個々のジョブ別に区分けされた各々のジョブに係わる印刷ジョブデータが印刷される複数の印刷シートの各々に、ジョブ識別マークを付着させるジョブ識別マーク付着手段と、を備え、上記ジョブ識別マーク付着手段による、上記各印刷シート上の上記ジョブ識別マークを付着させる領域が、上記各々のジョブ別に異なる領域になるよう、且つ、上記夫々の領域において、上記ジョブ識別マークが上記各印刷シートの辺縁部に亘って所望の色で付着されるように設定される。
【0009】
本発明に係る好適な実施形態では、上記ジョブ識別マーク付着手段が、プリンタに印刷シートを供給する印刷シート供給機構の供給口近傍に配置されたスタンパ機構である。
【0010】
上記とは別の実施形態では、上記スタンパ機構が、上記印刷シート供給機構に取付けられた、印刷シートをプリンタ方向へとガイドする、印刷シートの搬送方向と略直交する方向に往復動自在な可動ガイド部材に取付けられている。
【0011】
また、上記とは別の実施形態では、上記スタンパ機構による上記ジョブ識別マークのスタンピング動作のタイミングが、可変調整されるようになっている。
【0012】
また、上記とは別の実施形態では、上記1枚の印刷シートへの上記ジョブ識別マークの付着が、上記印刷シート上の複数箇所に亘って行われる。
【0013】
更に、上記とは別の実施形態では、上記ジョブ識別マークが、プリンタとの間でデータ通信を行う1又は複数のホスト装置において各々のジョブ別に生成される印刷ジョブデータ中に、印刷シートに印刷された場合に各々のジョブ別にその印刷シート上の異なる位置に付着するように設定された状態で含まれており、上記ジョブ識別マーク付着手段が、プリンタの印刷機構である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プリンタにおいて、特殊な構造を持つ複雑な構成の機構を必要とせず、また、印刷用紙とは別の用紙を追加することなしに、各々のジョブ毎の区切りを、ユーザが容易に判別し得るようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンタを備えるプリンタシステムの全体構成を示すブロック図である。
【0017】
上記プリンタシステムでは、図1に示すように、プリンタ本体1に備えられる印刷エンジン3が、スタンパ機構駆動部5を有する。スタンパ機構駆動部5は、プリンタ本体1に備えられるコントロール部7の制御下で、スタンパ機構(ここでは、図示を省略)を駆動して、プリンタ本体1に装着されている給紙トレイ9からプリンタ本体1に供給される印刷用紙の所定領域に、所定のマーク(後に詳述する所謂ジョブ見出し)をスタンピングする。コントロール部7は、スタンパ機構駆動部5を通じて上記スタンパ機構を制御下に置くスタンパ制御部11と、印刷エンジン3を制御下に置く印刷制御部13と、を含む。コントロール部7は、所定の信号伝送線路15を通じてホスト装置17に接続されている。印刷制御部13は、ホスト装置17に内蔵されるプリンタドライバ19から信号伝送線路15を通じて送信される印刷ジョブデータを受信し、該印刷ジョブデータに基づき、印刷エンジン3を制御する。スタンパ制御部11は、(信号伝送線路15を通じて受信したプリンタドライバ19からの)上記印刷ジョブデータに含まれているスタンパ機構オン/オフ指令信号に基づき、スタンパ機構駆動部5を通じてスタンパ機構を制御する。上記スタンパ機構指令信号が、「オン」であれば、スタンパ機構により印刷用紙に所定のマークがスタンピングされるが、上記スタンパ機構指令信号が「オフ」である場合には、上記スタンピングは行われない。
【0018】
図2は、図1に記載の給紙トレイ9、及びプリンタ本体1における上記給紙トレイ9が装着されている部位の平面図である。
【0019】
図2では、細長い矩形状を呈する固定サイドガイド21が、給紙トレイ9の上面下方寄りの領域において、右側の縁辺に沿って固定的に配置される。また、固定サイドガイド21と対向関係にあり、固定サイドガイド21と略同一の細長い矩形状を呈する可動サイドガイド23が、給紙トレイ9の上面下方寄りの領域において、中央部よりやや左側の部位に、固定サイドガイド21と略平行な間隔を保った状態で配置される。可動サイドガイド23は、固定サイドガイド21に接近する方向、及び固定サイドガイド21から離間する方向、即ち、太線の双方向矢印25で示す方向に、給紙トレイ9の上面を摺動自在に移動可能な状態で給紙トレイ9に取付けられる。
【0020】
固定サイドガイド21と、可動サイドガイド23とは、給紙トレイ9の上面に載置される印刷用紙27の右端に固定サイドガイド21が、また、該印刷用紙27の左端に可動サイドガイド23が、夫々当接することにより、両者協働して該印刷用紙27を、太線矢印方向(即ち、図2の下方向)29へガイドする。
【0021】
給紙トレイ9の上面の、印刷用紙27の載置領域の上端には、可動バックガイド31が配置されている。可動バックガイド31も、固定サイドガイド21や、可動サイドガイド23と略同一の細長い矩形状を呈するが、固定サイドガイド21や、可動サイドガイド23よりもやや小さめに設定されており、固定サイドガイド21、及び可動サイドガイド23と略直交する方向に延在する。
【0022】
可動バックガイド31は、図2の上下方向、即ち、太線の双方向矢印33で示す方向に、給紙トレイ9の上面を摺動自在に移動可能な状態で給紙トレイ9に取付けられる。可動バックガイド31は、給紙トレイ9の上面に載置される印刷用紙27の上端に当接した状態で、図2の下方に摺動することにより印刷用紙27の載置位置を、その搬送方向へずらし、図2の上方に摺動することにより印刷用紙27の載置位置を、その搬送方向とは逆方向へずらすようになっている。
【0023】
給紙トレイ9の上面の、印刷用紙27の載置領域の下端寄りの部位には、給紙ローラ35が配置されている。給紙ローラ35は、回転駆動することにより、印刷用紙27を固定サイドガイド21と可動サイドガイド23とによってガイドされた状態で、太線矢印方向29へ搬送する。
【0024】
分離ローラ37は、回転駆動することで、一度に複数枚の印刷用紙27が給紙トレイ9から搬送されてきた場合に、そのうちの1枚だけをプリンタ本体1側に通過させ、残りの印刷用紙27については、該分離ローラ37において滞留させるように構成されている。
【0025】
プリンタ本体1における給紙トレイ9の排紙口と機構的に接続する部位には、給紙ローラ35、及び分離ローラ37を介して給紙トレイ9から排紙される印刷用紙27を受けて、プリンタ本体1内の印刷機構へと搬送するための用紙搬送ローラ39が配置されている。用紙搬送ローラ39の長さは、少なくとも印刷用紙27の図2における幅方向の長さよりも長いものが採用される。
【0026】
給紙トレイ9の排紙口の近傍部位には、固定スタンパ41と、可動スタンパ43とが配置されている。固定スタンパ41は、給紙トレイ9の排紙口近傍における、固定サイドガイド21側に、固定された状態で取付けられており、スタンプローラ41aを有する。スタンプローラ41aは、コントロール部7(図1で示した)の制御下で、給紙トレイ9から排紙される印刷用紙27の図2で示す右端の部位に、所定のマーク(ジョブ見出し)をスタンピングする。可動スタンパ43は、給紙トレイ9の排紙口近傍における、可動サイドガイド23側に、固定スタンパ41と対向した状態で配置されている。可動スタンパ43も、スタンプローラ43aを有しており、ジョイントアーム45を介して可動サイドガイド23に取付固定されている。即ち、可動スタンパ43は、可動サイドガイド23の上述した幅方向の移動に伴って、幅方向に移動する。スタンプローラ43aも、コントロール部7(図1で示した)の制御下で、給紙トレイ9から排紙される印刷用紙27の図2で示す左端の部位に、所定のマーク(ジョブ見出し)をスタンピングする。
【0027】
図3は、図2の矢印A方向から見た給紙トレイ9の断面構造、及びプリンタ本体1における給紙トレイ9の装着口近傍の断面構造を模式的に示す図である。なお、図3において、図2で示した物と同一物には、同一符号を付す。
【0028】
給紙トレイ9は、図3に示すように、印刷用紙27が載置される押上板45と、押上板45の下面に取付けられた、押上板47を上方に付勢する押上ばね49と、を有する。押上ばね49は、可動サイドガイド23の配置位置よりも、印刷用紙27の搬送方向下流側に設けられる。押上ばね49の略直上部に、給紙ローラ35が配置される。
【0029】
給紙ローラ35は、図示のように、断面が略蒲鉾形状を呈しており、反時計方向に回転して外周部の平坦面が印刷用紙27の真上に位置した状態で、押上ばね49の付勢力により、押上板47に載置されている印刷用紙27に圧接する。そして、連続的な回転動作により、円弧状を呈する外周部が印刷用紙27に圧接することで、印刷用紙27を、1枚ずつプリンタ本体1に向けて移動させる。
【0030】
分離ローラ37は、互いの外周面が、印刷用紙1枚分の厚みに相当する間隙を隔てて対向している1対のローラ、即ち、上側分離ローラ37aと、下側分離ローラ37bとから構成される。上側分離ローラ37aと下側分離ローラ37bとは、各々が、図示のように反時計方向に回転することにより、両者が協働して、給紙ローラ35により搬送される印刷用紙27を、上記対向間隙を介して1枚ずつ受け入れ、プリンタ本体1側に送り込むようになっている。
【0031】
既述のように、可動スタンパ43は、ジョイントアーム45を介して可動サイドガイド23に取付固定されている。可動スタンパ43は、スタンプローラ43aと、シートローラ43bと、を備える。シートローラ43bは、その外周部が、分離ローラ37を介して搬送されてくる1枚の印刷用紙27の下面側に接触し得る位置に取付固定されている。シートローラ43bは、図示のように、時計方向に回転することで、搬送されてきた1枚の印刷用紙27の下面に接触して、該印刷用紙27を、プリンタ本体1内へと送り込む。
【0032】
スタンプローラ43aは、分離ローラ37を介して搬送されてくる1枚の印刷用紙27の上方に、太線の双方向矢印51で示すように、上下方向に移動自在な状態で配置されている。スタンプローラ43aは、コントロール部7からスタンパ機構オン指令信号が出力されることによって下動して、分離ローラ37を介して所定のタイミングで搬送されてくる1枚の印刷用紙27の所定領域に、所定のマーク(ジョブ見出し)を所定のタイミングでスタンピングする。そして、コントロール部7からスタンパ機構オフ指令信号が出力されることによって、スタンプローラ43aは、該スタンピングを停止して、元の位置にまで上動する。
【0033】
なお、固定スタンパ41も、可動スタンパ43と略同様な構成を有するが、図3では図示を省略し、従ってそれらの説明も省略する。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態に係るプリンタシステムにおいて、ユーザがジョブ見出しの設定を行うに際し、ホスト装置17の表示部(図示しない)に表示される画面の一例を示す説明図である。
【0035】
上記設定画面は、図4に示すように、ジョブ見出し設定の自動/手動選択ボタン53、ジョブ見出しを付ける、を選択するボタン55、ジョブ見出しを付けない、を選択ずるボタン57、見出し位置選択用の複数のボタン59、印刷完了の通知、を選択するボタン61、及び印刷完了を通知しない、を選択するボタン63を備える。上記設定画面には、上記以外に、ジョブ見出しの色を、ユーザが所望する色に設定するためのボタンも備えられている。
【0036】
ホスト装置17の表示部において、例えば、ユーザがボタン53を押し、複数個のボタン59の何れかを押すと、プリンタドライバ19、及びプリンタ1を介して印刷用紙27上の、ユーザが所望した位置に、ユーザが所望した色のジョブ見出しがスタンピングされる。
【0037】
図5は、図4に記載の設定画面において、ユーザが印刷完了の通知、を選択するボタン61を押したことにより、印刷完了時にホスト装置17の表示部に表示される印刷完了通知画面の一例を示す説明図である。
【0038】
上述したプリンタシステムにおいて、印刷が完了すると、ホスト装置17の表示部に表示される画面が、図4に記載の画面から、図5に記載の画面に自動的に切替る。ユーザは、ホスト装置17の表示部に表示される図5に記載の画面を参照することにより、実際に複数のジョブに係わる多数の印刷用紙(27)の中から、各々のジョブ毎に印刷用紙(27)の区分けを行うのに先立ち、複数のジョブに係わる多数の印刷用紙(27)の中から、どのジョブ見出しが付いた印刷用紙(27)が、どのジョブに係わる印刷用紙(27)なのかを識別することが可能になる。
【0039】
図6は、本発明の一実施形態において、ユーザがジョブ見出しの自動設定の選択ボタン53を操作したときの、スタンパ(41、43)による印刷用紙27へのスタンピング動作、及びそれに関連する処理動作を示すフローチャートである。図6で示す処理動作は、上記プリンタシステムにおいて採用されるプリンタが、所謂縁無し印刷を行うのが困難な構成のプリンタ、例えばレーザビーム式のプリンタである場合のものである。なお、以下の説明では、スタンパとして、可動スタンパ43を例にとる。
【0040】
図6において、まず、空白時間、即ち、印刷用紙27の搬送方向先端部が給紙トレイ9から上述した配置位置に配置されている可動スタンパ43の先端部に到達するまでの時間Tと、可動スタンパ43が駆動して、実際に所定のマーク(ジョブ見出し)を印刷用紙27の所定領域にスタンピングするのに要する時間Sと、同一のマーク(ジョブ見出し)を、同一の領域にスタンピングする印刷用紙27の枚数、即ち、スタンピングの繰り返し回数Rと、が設定される。上述したスタンピング時間Sや、スタンピングの繰り返し回数R
等については、同一のプリンタにおいて実行される各々のジョブ単位や、印刷部数単位や、同一のプリンタを使用する各々のユーザ別に変更することが可能である。なお、上述した時間T、及びSと、繰り返し回数Rの値とは、例えばコントロール部7に内蔵されるカウンタ(図示しない)到にセットされるものとする。なお、印刷用紙27に対するジョブ見出しのスタンピングの位置は、上記スタンピング開始のタイミングを可変調整することにより、自在に変更が可能である(ステップS61)。
【0041】
次に、印刷用紙27の搬送方向先端部が、上述した配置位置に配置されている可動スタンパ43の先端部に達したかどうかをチェックする。このチェックは、例えば、可動スタンパ43の配置位置の近傍に光学センサを設置して、該光学センサからの検出信号に基づき、コントロール部7が行うことも可能であるし、また、給紙トレイ9から搬送される印刷用紙27の先端部が、該印刷用紙27の搬送が開始された時点から可動スタンパ43の先端部に到達するまでの時間をカウントすることによっても行うことも可能である(ステップS62)。該チェックの結果、印刷用紙27の搬送方向先端部が到達したと判断すると(ステップS62でYES)、コントロール部7は、次のステップS63で示す処理動作に移行する。
【0042】
そして、上記時間Tが経過したかどうかチェックする(ステップS63)。該チェックの結果、経過したと判断すると(ステップS63でYES)、コントロール部7は、スタンパ機構駆動部5を制御して、可動スタンパ43を、搬送されてきた印刷用紙27の上面へと接近させ、可動スタンパ43による、搬送されてきた印刷用紙27へのスタンピングを開始する(ステップS64)。このスタンピングを開始した時点から上記時間Sが経過したかどうかをチェックし(ステップS65)、該チェックの結果、経過したと判断すると(ステップS65でYES)、コントロール部7は、スタンパ機構駆動部5を制御して、可動スタンパ43を、搬送されてきた印刷用紙27の上面から離間させることにより、上記スタンピングを停止させる(ステップS66)。そして、ステップS61において設定された当該ジョブに係わる上記繰り返し回数Rの値から“1”をデクリメントする(ステップS67)。
【0043】
次に、コントロール部7は、上記(スタンピングされた)印刷用紙27の搬送方向後端部が可動スタンパ43の配置位置に到達したかどうかをチェックする(ステップS68)。該チェックの結果、到達したと判断すると(ステップS68でYES)、コントロール部7は、上記繰り返し回数Rの値が“0”になったかどうかをチェックする(ステップS69)。該チェックの結果、“0”でないと判断すると(ステップS69でNO)、ステップS61で示した処理動作に復帰する。
【0044】
上記繰り返し回数の値Rをチェックした結果“0”であると判断した場合には(ステップS69でYES)、当該ジョブにおける印刷動作が完了したのであるから、コントロール部7は、一連の処理動作を終了させる。また、ステップS62において印刷用紙27の搬送方向先端部が到達していないと判断した場合(ステップS62でNO)、ステップS63において上記時間Tが経過していないと判断した場合(ステップS63でNO)、ステップS65において上記時間Sが経過していないと判断した場合(ステップS65でNO)、及びステップS68において該印刷用紙27の搬送方向後端部が到達していないと判断した場合(ステップS68でNO)には、夫々のステップで示した処理動作から、次のステップで示す処理動作には移行しない。
【0045】
図7は、本発明の一実施形態に係るプリンタシステムにおいて、印刷用紙27に印刷される印刷ジョブデータとジョブ見出しとの合成画像を生成し得る、所謂縁無し印刷を行うことが可能な構成のプリンタ(例えば、インクジェット式のプリンタ)を採用した場合のプリンタドライバ19側での処理動作を示すフローチャートである。上記プリンタシステムでは、ジョブ見出しが、印刷ジョブデータに含まれたものとして生成され、印刷用紙27に印刷されるために、既述のような固定スタンパ41や、可動スタンパ43を必要としない。
【0046】
図7において、まず、ユーザがホスト装置17の表示部中に表示される上記選択ボタン(付ける)55を操作したかどうかをチェックし(ステップS71)、該チェックの結果、上記選択ボタン55が操作されたことを検知すると、プリンタドライバ19は、上記ジョブ見出しを付けるものと判断する(ステップS71でYES)。そして、ユーザから(ホスト装置17の操作部(図示しない)を介して入力される)ジョブ見出しの位置指定の指令に基づき、印刷用紙27上の該ジョブ見出しを付ける位置を決定する(ステップS72)。次に、プリンタドライバ19は、ユーザによる該ジョブ見出しを付ける位置の設定が終了したか、それとも更なる追加での設定があるかどうかをチェックする。該ジョブ見出しは、原則として、1枚の印刷用紙27上の複数の箇所に付けることが許されているので、該チェックが行われることになる(ステップS73)。
【0047】
該チェックの結果、上記ジョブ見出しの設定が終了したと判断すると(ステップS73で終了)、プリンタドライバ19は、ステップS72で決定した該ジョブ見出しの位置(設定)を、ホスト装置17に内蔵される記憶部(図示しない)に記憶する(ステップS74)。そして、印刷ジョブデータの生成を行う。ここで、ジョブ見出しのパターン(印刷ジョブデータとの間の相対的な位置関係を示す)が設定された場合には、プリンタドライバ19は、該設定されたジョブ見出しパターンの設定値を、上記生成された印刷ジョブデータに組み込む処理を実行する(ステップS75)。
【0048】
次に、プリンタドライバ19は、ステップS75において生成した印刷ジョブデータを、信号伝送線路15を通じてプリンタ1側に送信する(ステップS76)。そして、ユーザがホスト装置17の操作部(図示しない)を通じて印刷実行の指令を入力することで、プリンタ1において上記印刷ジョブデータの印刷用紙27への印刷処理が施される(ステップS77)。次に、プリンタドライバ19は、(印刷完了の通知を行う旨のボタン61が操作されたかどうかを見ることで)ユーザにより印刷完了の通知が設定されているかどうかをチェックする(ステップS78)。該チェックの結果、印刷完了の通知が設定されていると判断すると(ステップS78でYES)、プリンタドライバ19は、ホスト装置17の表示部(図示しない)に、“印刷完了の通知を受信”と表示し(ステップS79)、一連の処理動作を終了する。
【0049】
ステップS71において、ユーザがジョブ見出しを自動で設定するボタン53を操作したことを検知すると(ステップS71で自動)、ユーザから(ホスト装置17の操作部(図示しない)を介して入力される)位置指定の指令に基づき、印刷用紙27上の該ジョブ見出しを付ける位置を決定する(ステップS80)。次に、ステップS80で決定したジョブ見出しの位置が、予め記憶されている(以前に設定された)ジョブ見出しの位置と同一かどうかをチェックする(ステップS81)。該チェックの結果、同一であると判断した場合には、ステップS80で、上記予め記憶されているジョブ見出しと異なる位置にジョブ見出しの位置が決定されるまで、プリンタドライバ19は、ステップS80、及びステップS81で示した処理動作を繰り返す(ステップS81でYES)。そして、ステップS80で、上記予め記憶されているジョブ見出しと異なる位置に、ジョブ見出しの位置が決定されたと判断すると(ステップS81でNO)、ステップS74で示した処理動作に移行する。
【0050】
なお、ステップS71において、ユーザがホスト装置17の表示部中に表示される上記選択ボタン(付けない)57を操作したことを検知した場合には(ステップS71でNO)、直ちに、ステップS76で示した処理動作に移行する。また、ステップS73でのチェックの結果、上記ジョブ見出しの設定の追加があると判断した場合には(ステップS73で追加あり)、ステップS73で終了と判断するまで、ステップS72、及びステップS73で示した処理動作を繰り返す。更に、ステップS78で、印刷完了の通知が設定されていないと判断すると(ステップS78でNO)、プリンタドライバ19は、一連の処理動作を終了する。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態、及びその変形例を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態や変形例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタを備えるプリンタシステムの全体構成を示すブロック図。
【図2】図1に記載した給紙トレイ、及びプリンタ本体における上記給紙トレイが装着されている部位の平面図。
【図3】図2の矢印A方向から見た給紙トレイの断面構造、及びプリンタ本体における給紙トレイの装着口近傍の断面構造を模式的に示す図。
【図4】本発明の一実施形態に係るプリンタシステムにおいて、ユーザがジョブ見出しの設定を行うに際し、ホスト装置の表示部に表示される画面の一例を示す説明図。
【図5】図4に記載した設定画面において、ユーザが印刷完了の通知、を選択するボタンを押したことにより、印刷完了時にホスト装置の表示部に表示される印刷完了通知画面の一例を示す説明図。
【図6】本発明の一実施形態において、ユーザがジョブ見出しの自動設定の選択ボタンを操作したときの、スタンパによる印刷用紙へのスタンピング動作、及びそれに関連する処理動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の一実施形態に係るプリンタシステムにおいて、印刷用紙に印刷される印刷ジョブデータとジョブ見出しとの合成画像を生成し得る、所謂縁無し印刷を行うことが可能な構成のプリンタを採用した場合のプリンタドライバ側での処理動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
1 プリンタ本体
3 印刷エンジン
5 スタンパ機構駆動部
7 コントロール部
9 給紙トレイ
11 スタンパ制御部
13 印刷制御部
15 信号伝送線路
17 ホスト装置
19 プリンタドライバ
21 固定サイドガイド
23 可動サイドガイド
25 太線の双方向矢印
27 印刷用紙
29 太線矢印
31 可動バックガイド
33 太線の双方向矢印
35 給紙ローラ
37 分離ローラ
39 用紙搬送ローラ
41 固定スタンパ
43 可動スタンパ
45 ジョイントアーム
47 押上板
49 押上ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される複数の印刷ジョブデータを、個々のジョブ別に区分けする印刷ジョブデータ区分け手段と、
前記印刷ジョブデータ区分け手段によって個々のジョブ別に区分けされた各々のジョブに係わる印刷ジョブデータが印刷される複数の印刷シートの各々に、ジョブ識別マークを付着させるジョブ識別マーク付着手段と、
を備え、
前記ジョブ識別マーク付着手段による、前記各印刷シート上の前記ジョブ識別マークを付着させる領域が、前記各々のジョブ別に異なる領域になるよう、且つ、前記夫々の領域において、前記ジョブ識別マークが前記各印刷シートの辺縁部に亘って所望の色で付着されるように設定されるプリンタ。
【請求項2】
請求項1記載のプリンタにおいて、
前記ジョブ識別マーク付着手段が、プリンタに印刷シートを供給する印刷シート供給機構の供給口近傍に配置されたスタンパ機構であるプリンタ。
【請求項3】
請求項2記載のプリンタにおいて、
前記スタンパ機構が、前記印刷シート供給機構に取付けられた、印刷シートをプリンタ方向へとガイドする、印刷シートの搬送方向と略直交する方向に往復動自在な可動ガイド部材に取付けられているプリンタ。
【請求項4】
請求項3記載のプリンタにおいて、
前記スタンパ機構による前記ジョブ識別マークのスタンピング動作のタイミングが、可変調整されるようになっているプリンタ。
【請求項5】
請求項1記載のプリンタにおいて、
前記1枚の印刷シートへの前記ジョブ識別マークの付着が、前記印刷シート上の複数箇所に亘って行われるプリンタ。
【請求項6】
請求項1記載のプリンタにおいて、
前記ジョブ識別マークが、プリンタとの間でデータ通信を行う1又は複数のホスト装置において各々のジョブ別に生成される印刷ジョブデータ中に、印刷シートに印刷された場合に各々のジョブ別に該印刷シート上の異なる位置に付着するように設定された状態で含まれており、
前記ジョブ識別マーク付着手段が、プリンタの印刷機構であるプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−229940(P2008−229940A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70096(P2007−70096)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】