説明

プリンタ

【課題】レンチキュラシートの傾き補正を容易に行う。
【解決手段】レンチキュラシート3の先端を、クランパ25の左受けピン58に当接させてからさらに搬送を行うと、レンチキュラシート3は、反時計方向に傾いて左受けピン58及び右受けピン59に当接した後、クランパ25によりクランプされる。クランプ後にレンチキュラシート3を副走査方向に搬送すると、レンズセンサ41〜43から出力される検出信号に基づいて、調整用アジマス角が算出される。傾き補正制御部99は、調整用アジマス角に基づいて、左駆動軸71aと右駆動軸74aとの連結を解除させた状態でモータ71,74を正回転するとともに、左モータ71を右モータ74よりも高速で回転する。この回転により、クランパ25は時計方向に回転する。傾き補正制御部99は、調整用アジマス角がゼロになるまでクランパ25を時計方向に回転させた後、モータ71,74の回転を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラシートに画像を記録するプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
かまぼこ形状(半円柱形状)のレンチキュラレンズが一定ピッチで複数配列されたレンチキュラシートを用いて、立体画像を観察できるようにした技術が知られている。立体画像を観察するには、レンチキュラシートの背面側に、例えば左右の2視点から撮影した視差のある2種類の画像をそれぞれ線状(ストライプ状)に分割した線状画像をレンチキュラレンズごとに配置する。これにより、左眼と右眼とが各レンチキュラレンズを介して、視差のある線状画像をそれぞれ観察することで、立体画像を観察することができる。また、3視点以上のN視点からN個の画像を撮影して線状に分割して、N視点分の線状画像をレンチキュラレンズごとに配置することによって、より良好な立体感がある立体画像を観察できるようにした技術も知られている。
【0003】
レンチキュラシートの背面側に線状画像を配置する手法としては、予め全ての線状画像を配列して記録したプリント(ハードコピー)をレンチキュラシートの背面に貼り付けるものもあるが、プリンタによってレンチキュラシートの背面に直接に記録する手法も知られている。プリンタでは、レンチキュラシートを副走査方向に搬送しながら、レンチキュラシートの背面に、主走査方向に平行な線状画像を複数記録する。レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に対して傾いていると、記録品質が低下するため、レンチキュラレンズの傾きを防止する様々な工夫がなされている。
【0004】
特許文献1の画像記録装置では、レンチキュラシートに向かって光を照射する発光部と、この発光部からの光を受光する受光部とを設け、レンチキュラシートを主走査方向に移動したときの受光部での受光量の変化と、シート移動量とに基づいて、主走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の傾き角度を検出している。この検出した傾き角度に基づいて、回転機構によりレンチキュラシートを回転して、レンチキュラレンズの長手方向と主走査方向とを平行にする傾き補正を行うことで、レンチキュラレンズの傾きに起因する記録品質の低下を防止している。また、レンチキュラシートを回転機構により一定角度以上回転させた後、傾き角度を検出することにより、正確に傾き角度を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3352879号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の画像記録装置では、傾き角度を検出することはできるが、傾き方向を検出することが困難であるため、傾き方向とは逆向きにレンチキュラシートを回転した場合には、再度傾き補正処理を行う必要があり、処理時間が長くなる。レンチキュラシートを回転機構により一定角度以上回転させた場合でも、正確に傾き角度を検出することはできるが、傾き方向を検出することが困難である。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためのものであり、レンチキュラシートの傾き補正を容易に行うことができるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のプリンタは、複数のレンチキュラレンズが一定ピッチで配列されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパと、前記クランパを副走査方向に移動させて前記レンチキュラシートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記レンチキュラシートの背面に、前記副走査方向に直交する主走査方向に平行な線状画像を複数記録することにより、視差のある少なくとも2種類の画像を記録する記録手段と、前記クランパにより前記レンチキュラシートを挟持する前に、前記レンチキュラレンズの長手方向を前記主走査方向に対して一定の方向の第1方向に傾けるシート傾き手段と、前記レンチキュラシートが前記クランパにより挟持されたときに、前記レンチキュラレンズの長手方向と前記主走査方向との傾き角度を検出する傾き角検出手段と、前記傾き角検出手段の検出結果に基づいて、前記レンチキュラレンズの長手方向が前記主走査方向にほぼ平行になるように、前記クランパを前記第1方向とは逆向きの第2方向に回転させて傾きを補正する傾き補正手段と、を備えたことを特徴とする。なお、前記シート傾き手段は、前記レンチキュラシートの搬送面上で前記レンチキュラレンズの長手方向を傾ける。
【0009】
また、前記搬送手段は、前記クランパの主走査方向の一端が取り付けられる第1ベルトと、前記第1ベルトを回転する第1モータとを有する第1ベルトコンベアと、前記クランパの主走査方向の他端が取り付けられる第2ベルトと、前記第2ベルトを回転する第2モータとを有する第2ベルトコンベアと、を備え、前記傾き補正手段は、前記傾き角検出手段の検出結果に基づいて、前記第1モータと前記第2モータとの少なくとも1つの駆動を制御して、前記クランパを前記第2方向に回転させることが好ましい。
【0010】
さらに、前記第1モータと前記第2モータとを連結する連結状態と連結しない非連結状態とに切り換えるクラッチ機構を備え、前記クラッチ機構は、前記傾き補正手段により前記クランパを前記第2方向に回転させるときには非連結状態にすることが好ましい。
【0011】
また、前記レンチキュラシートを前記クランパまで搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラにより搬送される前記レンチキュラシートの両側方に設けられ、前記レンチキュラシートの斜行を規制する2個の斜行規制板と、を備えることが好ましい。
【0012】
さらに、前記2個の斜行規制板の少なくとも1つを前記主走査方向にスライドするスライド機構を備え、前記スライド機構は、前記クランパによる挟持前に、前記少なくとも1つの斜行規制板を前記主走査方向にスライドして、前記レンチキュラシートの前記主走査方向の位置決めを行うことが好ましい。
【0013】
また、前記シート傾き手段は、前記副走査方向において異なる位置で前記レンチキュラシートの先端を受けるように前記クランパに設けられた2個の受け部から構成されることが好ましい。なお、前記2個の受け部としては、前記副走査方向において同じ位置に設けられたサイズの異なる受けピン、前記副走査方向において異なる位置に設けられた同じサイズの受けピンが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レンチキュラレンズの長手方向を主走査方向に対して一定の方向の第1方向に傾けた状態で、クランパによりレンチキュラシートを挟持した後、レンチキュラレンズの傾きを補正するから、レンチキュラレンズの傾き方向を算出する必要がない。これにより、クランパを第1方向とは逆向きの第2方向に回転させるだけで、傾き補正を行うことができるから、傾き補正時の処理時間が短縮される。
【0015】
クランプを副走査方向に移動する第1,第2モータ及び第1,第2ベルトを用いて、クランパを第2方向に回転させるから、簡単な構成で容易にクランパの移動及び回転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を実施したプリンタの概略を示す説明図である。
【図2】レンチキュラシートを示す斜視図である。
【図3】レンチキュラシートとレンズセンサとを示す平面図である。
【図4】(A)はアジマス角検出部の側面図であり、(B)は各レンズセンサから出力される検出信号の説明図であり、(C)は検出信号の二値化信号の説明図である。
【図5】クランプユニットを示す分解斜視図である。
【図6】レンチキュラシートとクランプユニットとを示す斜視図である。
【図7】レンチキュラシートとクランプユニットとを示す側面図である。
【図8】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】レンチキュラシートがクランプ位置にあるときのクランプユニットを示す平面図である。
【図10】レンチキュラシートが反時計方向に傾いた状態のクランプユニットを示す平面図である。
【図11】レンチキュラシートを主走査方向に位置決めした状態のクランプユニットを示す平面図である。
【図12】レンチキュラシートが反時計方向に傾いた状態のクランプユニットを示す平面図である。
【図13】レンチキュラシートをクランプした状態のクランプユニットを示す平面図である。
【図14】レンチキュラシートをクランプしたクランパを時計方向に回転させた状態のクランプユニットを示す平面図である。
【図15】左右規制板によりレンチキュラシートを傾ける実施形態のクランプユニットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、プリンタ2は、立体画像を観察するための視差画像を昇華方式でレンチキュラシート3の背面に記録する。このプリンタ2は、2視点の視差画像を6視点の視差画像に変換して、その6視点の視差画像をレンチキュラシート3に記録する。
【0018】
図2に示すように、レンチキュラシート3は、周知のように表面側に多数の半円柱状のレンチキュラレンズ(以下、単にレンズという)4が配列され、背面が平面になっている。レンチキュラシート3の背面は、レンズ4ごとに画像領域5が仮想的に区画され、1個のレンズ4に対して1個の画像領域5が対応する。各画像領域5は、立体画像を表示するための視点数に対応してレンズ4の配列方向に6個の第1〜第6微小領域5a〜5fに区画され、視差画像を線状に分割した線状画像をそれぞれに記録する。各微小領域5a〜5fは、6視点の視差画像にそれぞれ1対1に対応しており、例えば第1微小領域5aには第1視点の視差画像が対応し、この第1視点の視差画像から生成される線状画像が記録される。
【0019】
図1に戻って、プリンタ2には、搬送口11からプリンタ2内部に送り込まれたレンチキュラシート3が搬送される搬送路12が設けられている。搬送路12内では、レンチキュラシート3は、レンズ4を下側にし、かつレンズ4の配列方向に沿って搬送される。レンチキュラシート3の搬送路12への給送は、レンチキュラシート3を積層したカセットから給送機構によって自動で行うようにしてもよく、手動でレンチキュラシート3を搬送口11に差し込むようにしてもよい。なお、図1ではレンズ4の大きさを実際よりも誇張して描いている。
【0020】
搬送口11のシート搬送方向下流側(以下、単に下流側という)には、搬送路12に沿ってシート搬送方向上流側(以下、単に上流側という)から順に、給送ローラ対15と、サーマルヘッド16及びプラテンローラ17と、アジマス角検出部18と、クランプユニット19とが設けられている。
【0021】
給送ローラ対15は、モータ21によって回転されるキャプスタンローラ15aと、このキャプスタンローラ15aに圧接してレンチキュラシート3を挟み込むピンチローラ15bとからなり、レンチキュラシート3をクランプユニット19に向けて搬送する。ピンチローラ15bは、キャプスタンローラ15aとの間にレンチキュラシート3をニップしたニップ位置と、レンチキュラシート3から離れたニップ解除位置との間で移動する。
【0022】
クランプユニット19は、クランパ25と、クランパ開閉機構26と、クランパ駆動機構27とで構成される。クランパ25は、レンチキュラシート3の先端を解除可能にクランプする。クランパ開閉機構26は、クランパ25を、レンチキュラシート3をクランプする閉じ状態と、このクランプを解除した開き状態とに切り換える。
【0023】
クランパ駆動機構27は、クランパ25を搬送路12に沿って水平に往復動させる。これにより、クランパ25にクランプされたレンチキュラシート3は、主走査方向と直交する副走査方向に往復動される。クランパ25は、給送ローラ対15により給送されるレンチキュラシート3の先端のクランプ及びクランプ解除を行うクランプ位置と、このクランプ位置よりも下流側の終端位置との間で移動する。
【0024】
プラテンローラ17の上流側近傍の搬送路12には、上流側に向かって斜め下方に伸びた戻し搬送路12aが設けられている。戻し搬送路12aには、クランプユニット19により上流側へ搬送されるレンチキュラシート3が案内される。この戻し搬送路12aの先端部には、記録済みのレンチキュラシート3を排出するための排紙口(図示せず)が設けられている。
【0025】
サーマルヘッド16とプラテンローラ17は、記録用フィルムの搬送経路を挟み込むように配置されている。サーマルヘッド16の下部には、主走査方向に多数の発熱素子を2列でライン状に配列した発熱素子アレイ16aが形成されている。発熱素子アレイ16aを2列設けることで、主走査方向に伸びる2ラインを同時に記録することができる。また、レンチキュラシート3を2ライン分ずつ送られる毎に、ライン画像を2ラインずつ順次印画することで、副走査方向にライン画像を並べて記録することができる。
【0026】
各発熱素子アレイ16aの主走査方向長さは、レンチキュラシート3に画像を記録すべき記録エリアの幅(主走査方向の長さ)よりも少し長くしてある。また、2列の発熱素子アレイ16aの1回の発熱で、上述の1つの微小領域にライン画像を記録する。
【0027】
また、サーマルヘッド16は、プラテンローラ17上のレンチキュラシート3の背面に記録用フィルムを重ねた状態で、この背面に記録用フィルムを圧接させる圧接位置と、この圧接位置から上方に退避した退避位置との間で移動する。
【0028】
記録用フィルムとしては、受像層フィルム31、インクフィルム32、バック層フィルム33がある。各フィルム31〜33は、サーマルヘッド16の側方に配置されたフィルム交換機構35に取り付けられている。フィルム交換機構35は、略円板形状を有しており、その外周部に各フィルム31〜33を巻き付けた一対のスプールがそれぞれ取り付けられている。フィルム交換機構35は、サーマルヘッド16が退避位置にあるときに回転し、各フィルム31〜33のいずれかをサーマルヘッド16の直下に移動させる。
【0029】
記録用フィルムは、いずれもサーマルヘッド16の発熱素子アレイ16aの主走査方向の長さとほぼ同じにしてあり、また複数枚のレンチキュラシート3に対して記録ができるように長尺のものがスプールに巻き付けてある。記録用フィルムは、レンチキュラシート3の搬送に同期して、一方のスプールから他方のスプールに送られて巻き取られる。
【0030】
受像層フィルム31は、レンチキュラシート3の背面に、インクフィルム32からのカラーインクを付着させる受像層を形成するためのものである。この受像層フィルム31は、レンチキュラシート3の背面に重ね合わされた状態で、サーマルヘッド16により加熱されたときに、透明な受像層をレンチキュラシート3の背面に転写して形成する。
【0031】
インクフィルム32は、周知の昇華型のインクフィルムであり、その長手方向にイエローインク領域、マゼンタインク領域、シアンインク領域が順番に多数設けられている。インクフィルム32は、レンチキュラシート3に形成された受像層に重ね合わされた状態で、サーマルヘッド16により加熱されたときに、イエロー、マゼンタ、シアンのインクを昇華させて受像層に付着させる。インクの付着量は、サーマルヘッド16の発熱量に応じて増減する。
【0032】
バック層フィルム33は、レンチキュラシート3に記録された画像に重ね合わされた状態で、サーマルヘッド16により加熱されたときに、白色のバック層をレンチキュラシート3の背面に転写して形成する。
【0033】
ヘッド駆動部37は、サーマルヘッド16を駆動する。ヘッド駆動部37は、受像層、バック層を形成するときには、それらを転写するために必要な発熱量を各発熱素子が同時に発生するようにサーマルヘッド16を駆動する。また、ヘッド駆動部37は、インクフィルム32を用いて画像を記録する際には、6視点の視差画像データに基づいてサーマルヘッド16を駆動して、3色を面順次で記録させる。
【0034】
アジマス角検出部18は、クランプユニット19により搬送されるレンチキュラシート3上のレンズ4のレンズアジマス角θ(以下、単にアジマス角θという)を光学的に検出する。アジマス角θは、レンズ4の長手方向と、主走査方向とがなす傾き角の大きさである(図13参照)。
【0035】
図3に示すように、アジマス角検出部18は、主走査方向に一列に並べて設けられた第1〜第3レンズセンサ41〜43からなる。第1レンズセンサ41は、レンチキュラシート3の一方(右方)の側端部に対向する位置に設けられている。第3レンズセンサ43は、レンチキュラシート3の他方(左方)の側端部に対向する位置に設けられている。第2レンズセンサ42は、第1レンズセンサ41と第3レンズセンサ43との中央よりも第1レンズセンサ41側に設けられている。従って、第1レンズセンサ41と第2レンズセンサ42との間の距離S1よりも、第2レンズセンサ42と第3レンズセンサ43との間の距離S2の方が広い。
【0036】
図4(A)に示すように、各レンズセンサ41〜43は、レンチキュラシート3の下方に配置された発光ダイオード(以下、LEDという)45と、このLED45の上方に配置されたフォトセンサ46とで構成される。LED45は、レンチキュラシート3に向けて検出光を照射する。フォトセンサ46は、レンチキュラシート3を透過した検査光を受光し、この検出光の強さに応じた検出信号を出力する。
【0037】
また、LED45とレンチキュラシート3との間には、LED45から照射される検出光の範囲を制限するスリット48aを有するスリット板48が設けられている。
【0038】
図4(B)に示すように、各レンズセンサ41〜43とレンズ4との位置関係に応じて、フォトセンサ46で受光される検出光の大きさが変わり、それに応じて検出信号も変化する。検出信号は、例えば各レンズセンサ41〜43が各レンズ4間の境界4aに対面ししてからレンズ4の頂点4bに対面するまでの間で漸増する。そして、検出信号は、各レンズセンサ41〜43が頂点4bに対面している時にピークとなり、その後に漸減して、各レンズセンサ41〜43が境界4aに対面した時に再び漸増に転じるように変化する。
【0039】
図4(C)に示すように、各レンズセンサ41〜43それぞれから出力される検出信号は、所定の検出しきい値で二値化した二値化信号に変換される。各レンズセンサ41〜43毎の二値化信号に基づいて、各レンズセンサ41〜43におけるレンズ4の通過が検知される。
【0040】
図5〜図7に示すように、クランパ25は、固定板51と、可動板52と、バネ53とを備える。固定板51は、主走査方向の長さがレンチキュラシート3の幅の2倍程度となる平板であり、搬送面と平行に配されている。固定板51の左端部には、クランパ25を取り付けるボルト54を挿通するための左挿通孔51aが形成されている。同様に、固定板51の右端部には、ボルト55を挿通するための右挿通孔51bが形成されている。各ボルト54,55は、頭部54a,55aと、軸部54b,55bと、ネジ切りされたネジ部54c,55cとからなる。各挿通孔51a,51bには、軸部54b,55bが挿入される。
【0041】
固定板51は、クランパ25を副走査方向にガイドするための左ガイドピン56及び右ガイドピン57が取り付けられている。各ガイドピン56,57は、可動板52よりも外側に取り付けられ、固定板51の下面から突出する。また、固定板51は、レンチキュラシート3の先端を受ける左受けピン58及び右受けピン59が取り付けられている。各受けピン58,59は、副走査方向において同位置に取り付けられ、固定板51の下面から突出する。右受けピン59は、左受けピン58よりも細径で形成されている。なお、各ピン56〜59を、固定板51に一体に形成してもよい。
【0042】
可動板52は、固定板51との間でレンチキュラシート3を挟持する挟持部52aと、バネ53を受ける受け部52bとからなり、主走査方向の長さがレンチキュラシート3よりも長くて固定板51よりも短く、断面「へ」字状に形成されている。この可動板52は、軸61を介して固定板51の下面に回動自在に取り付けられている。挟持部52aは、左受けピン58が挿通される左挿通孔52cと、右受けピン59が挿通される右挿通孔52dとが形成されている。
【0043】
可動板52は、挟持部52aと固定板51との間でレンチキュラシート3を挟持する挟持位置(図7(B)参照)と、挟持を解除する挟持解除位置(図7(A)参照)との間で回動する。受け部52bの上面にはバネ53の一端が固定され、バネ53の他端は固定板51の下面に固定されている。このバネ53により、可動板52は挟持位置に向けて付勢されている。バネ53は、5個設けられている。固定板51の下面、及び挟持部52aの上面には、レンチキュラシート3を滑ることなくクランプするための滑り止め部材(図示せず)が設けられている。
【0044】
クランパ開閉機構26は、可動板52を回動させるカム軸63と、カム軸63を回転させるクランプ解除モータ64と、バネ53とから構成されている。カム軸63は、クランプ位置にあるクランパ25の近傍に配されている。カム軸63は、5個のカム63aが設けられ、これらのカム63aは、クランパ25がクランプ位置にあるときに受け部52bの下面に接する。カム軸63は、クランプ解除モータ64により、カム63aで受け部52bをバネ53の付勢に抗して押し上げて可動板52を挟持解除位置に回動する位置(図7(A)参照)と、受け部52bの押し上げを解除してバネ53の付勢によって可動板52を挟持位置に回動する位置(図7(B)参照)との間で回動する。
【0045】
クランパ駆動機構27は、クランパ25を副走査方向に移動させる左ベルトコンベア66及び右ベルトコンベア67を備える。左ベルトコンベア66は、左モータ71と、左プーリ72と、左モータ71と左プーリ72との間に巻き掛けられる左ベルト73とを備える。同様に、右ベルトコンベア67は、右モータ74と、右プーリ75と、右ベルト76とを備える。各プーリ72,75は、回転可能に設けられた回転軸72a,75aに取り付けられている。
【0046】
左ベルト73は、ボルト54が挿通される挿通孔73aが形成され、右ベルト76は、ボルト55が挿通される横方向に延びる長孔状の挿通孔76aが形成されている。各挿通孔73a,76aには、ボルト54,55の軸部54b,55bが挿入され、ネジ部54c,55cは、各ベルト73,76の下面から僅かに突出する。これにより、ネジ部54c,55cにナット77を固定すると、クランパ25は、回転自在に各ベルト73,76に取り付けられる。
【0047】
左モータ71は、左駆動軸71aと、この左駆動軸71aに固定され、左ベルト73が掛けられるようにプーリ状に形成された本体部71bとからなる。左駆動軸71aは、モータプレート78(図9参照)に回転自在に取り付けられ、左駆動軸71a及び本体部71bは一緒に回転する。同様に、右モータ74は、右駆動軸74aと、本体部74bとからなり、右駆動軸74aは、モータプレート79(図9参照)に回転自在に取り付けられている。各モータプレート78,79には、各モータ71,74を駆動する駆動回路及びコイルが設けられたモータ制御基板や、各駆動軸71a,74aを回転自在に支持する軸受け(図示せず)が取り付けられている。なお、図5及び図6では、各モータプレート78,79の図示を省略している。
【0048】
左駆動軸71aと右駆動軸74aとは、クラッチ機構80により、連結する状態と連結を解除する状態とに切り換えられる。
【0049】
クランパ駆動機構27は、クランパ25を副走査方向にガイドする左ガイドレール81及び右ガイドレール82を備える。各ガイドレール81,82は、クランパ25の各ガイドピン56,57が挿入される長孔状の左ガイド孔81a及び右ガイド孔82aが形成されている。各ガイド孔81a,82aは、各ガイドピン56,57よりも太径で形成されている。
【0050】
左ガイドレール81及び右ガイドレール82の内側には、レンチキュラシート3の斜行を規制する左斜行規制板85及び右斜行規制板86が配されている。左斜行規制板85は、下面のほぼ中央にプラテンローラ17が挿入される切欠き85aが形成され、上面の先端部にクランパ25の固定板51の下方に入り込むための凹部85bが形成されている。同様に、右斜行規制板86は、切欠き86aと凹部86bとが形成されている。
【0051】
右斜行規制板86は、主走査方向にスライド可能に設けられ、スライド機構88により、左斜行規制板85との距離がレンチキュラシート3よりも広い基準位置(図6及び図9参照)と、レンチキュラシート3を左斜行規制板85に押し当てて位置決めする押し当て位置(図11参照)との間でスライドする。右斜行規制板86は、通常時は基準位置にある。なお、左斜行規制板85をスライド可能に設けてもよく、さらには、左斜行規制板85及び右斜行規制板86の両方をスライド可能に設けてもよい。
【0052】
図8に示すように、CPU90は、プリンタ2の各部を統括的に制御する。CPU90には、上述のクランパ開閉機構26、クランパ駆動機構27、ヘッド駆動部37、及び第1〜第3レンズセンサ41〜43の他に、メモリ91、ローラ移動機構92、ヘッド移動機構93、先端検出センサ94などが接続されている。なお、各モータ21,64,71,72は、図示しないモータドライバを介してCPU90に接続されている。
【0053】
メモリ91には、プリンタ2を制御するための各種のプログラムやデータが格納されている。CPU90は、これらのプログラムやデータをメモリ91から読み出して、これを逐次処理することによってプリンタ2の制御を行う。また、メモリ91のRAM領域は、CPU90が処理を実行するためのワークメモリや、各種データの一時保管先として機能する。
【0054】
ローラ移動機構92は、CPU90からの制御信号に応じて、ピンチローラ15bをニップ位置またはニップ解除位置に移動させる。ヘッド移動機構93は、CPU90からの制御信号に応じて、サーマルヘッド16を圧接位置または退避位置に移動させる。
【0055】
先端検出センサ94は、クランプ位置の上流側近傍に設けられている(図6参照)。この先端検出センサ94は、各レンズセンサ41〜43と同様の光学センサであり、レンチキュラシート3の先端の通過を検出したときに、その旨を示す検出信号をCPU90へ出力する。
【0056】
CPU90は、メモリ91から読み出したプログラムを逐次実行することで、データ変換部95、ヘッド駆動制御部96、クランパ駆動制御部97、アジマス角演算部98、傾き補正制御部99などとして機能する。
【0057】
データ変換部95は、メモリ91に格納された2視点の視差画像データを読み出し、この視差画像を画像処理して6視点の画像データに変換する。ヘッド駆動制御部96は、ヘッド駆動部37によるサーマルヘッド16の駆動を制御する。
【0058】
クランパ駆動制御部97は、クランパ開閉機構26によるクランパ25の閉じ状態/開き状態の切り換えを制御する。また、クランパ駆動制御部97は、クランパ駆動機構27によるクランパ25の副走査方向への移動やクランパ25の回転を制御する。
【0059】
傾き補正制御部99は、アジマス角演算部98の演算結果に基づき、レンズ4の長手方向が主走査方向に平行になるように、クランパ駆動制御部97にクランパ25の回転を実行させる傾き補正制御を行う。傾き補正制御部99は、レンズ4の傾き補正制御を、粗調整制御と微調整制御との2段階に分けて実行させる。
【0060】
粗調整制御は、第1及び第2レンズセンサ41,42からの二値化信号と、距離S1(図3参照)とに基づいて、アジマス角演算部98によりアジマス角(以下、粗調整用アジマス角という)を求め、この粗調整用アジマス角に基づきレンズ4の傾きを補正する。微調整制御は、第1及び第3レンズセンサ42,43からの二値化信号と、両レンズセンサ41,43の距離S3(図3参照)とに基づいて、アジマス角演算部98によりアジマス角(以下、微調整用アジマス角という)を求め、この微調整用アジマス角に基づきレンズ4の傾きを補正する。
【0061】
CPU90は、上述の各部として機能する他、例えば、第1〜第3レンズセンサ41〜43から出力される検出信号を二値化信号に変換する変換機能、レンチキュラシート3と、クランパ25及び発熱素子アレイ16aとの位置関係を検出する検出機能などを有している。
【0062】
レンチキュラシート3とクランパ25との位置関係は、先端検出センサ94から検出信号が入力されてからのレンチキュラシート3の搬送量に基づいて求められる。また、レンチキュラシート3と発熱素子アレイ16aとの位置関係は、二値化信号の立ち上がりタイミングからのレンチキュラシート3の搬送量、既知の二値化信号の立ち上り時のレンズセンサとレンズ4との副走査方向の位置関係、既知のアジマス角検出部18と発熱素子アレイ16aの距離、二値化信号のピッチなどに基づいて求められる。
【0063】
次に、上記構成のプリンタ2の作用について、図9〜図14を用いて説明を行う。最初に、プリンタ2の図示しない入力I/Fに、記録すべき画像の2視点の視差画像データが入力される。この入力された2視点の視差画像データは、メモリ91に一時的に格納される。CPU90のデータ変換部95は、メモリ91から2視点の視差画像データを読み出し、この視差画像データを6視点の視差画像データに変換してメモリ91に再度格納する。
【0064】
記録開始操作が行われると、CPU90は、サーマルヘッド16が退避位置にあることを確認する。また、CPU90のクランパ駆動制御部97は、図示しないクランパ25の回転位置検出センサ(例えば、ロータリエンコーダ等)の検出結果などに基づき、クランパ駆動機構27を制御(左モータ71及び右モータ74の回転を制御)して、クランパ25が主走査方向とほぼ平行になるように調整する。次いで、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74を回転して、クランパ25をクランプ位置に移動させる。クランパ25の移動後、クランパ駆動制御部97は、クランパ開閉機構26を制御して、クランパ25を開き状態に切り換える。
【0065】
クランパ25が開き状態に切り換えられた後、1枚のレンチキュラシート3が搬送口11より搬送路12内に給送される。この給送が図示しない給送検知センサにより検知されると、CPU90は、モータ21を回転させる。これにより、レンチキュラシート3が給送ローラ対15により挟持されると、この給送ローラ対15によって、レンチキュラシート3が搬送路12の下流側に向けて搬送される。レンチキュラシート3は、左斜行規制板85及び右斜行規制板86により、斜行が規制された状態で、退避位置のサーマルヘッド16とプラテンローラ17との間を通り、さらにアジマス角検出部18を通過して、その先端がクランパ25の近傍に達して先端検出センサ94により検出される。
【0066】
レンチキュラシート3の先端が先端検出センサ94で検出されると、CPU90は、さらに給送ローラ対15によって一定の長さだけ搬送を行い、図9に示すように、レンチキュラシート3の先端を左受けピン58に当接させる。CPU90は、この状態からさらに所定時間(例えば、3秒)給送ローラ対15による搬送を行う。この搬送により、図10に示すように、レンチキュラシート3は、左受けピン58に当接した部分を中心に反時計方向に回転して傾き、先端が右受けピン59に当接する。3秒経過すると、CPU90は、モータ21の回転を停止して搬送を停止する。なお、図9(A)では、レンチキュラシート3、プラテンローラ17、クランパ25、カム63a以外の部材の図示を省略している。また、図10では、レンチキュラシート3の傾きを実際よりも誇張して描いている。
【0067】
図11に示すように、CPU90は、レンチキュラシート3の搬送停止後、スライド機構88により右斜行規制板86を基準位置から押し当て位置まで左方にスライドさせ、レンチキュラシート3を左斜行規制板85に押し当てて主走査方向の位置決めを行った後、右斜行規制板86を基準位置に戻す。
【0068】
レンチキュラシート3を左斜行規制板85に押し当てて主走査方向の位置決めを行うと、レンチキュラシート3の傾きも補正されるため、CPU90は、再度モータ21を所定時間(例えば、3秒)回転させて、給送ローラ対15による搬送を行う。この搬送により、図12に示すように、レンチキュラシート3は、反時計方向に回転して傾き、先端が右受けピン59に当接する。3秒経過すると、モータ21の回転が停止され、搬送が停止される。なお、図12では、レンチキュラシート3の傾きを実際よりも誇張して描いている。
【0069】
図13に示すように、レンチキュラシート3の搬送停止後、クランパ駆動制御部97は、クランプ解除モータ64を回転し、カム軸63を回動することにより、カム63aによる受け部52bの押し上げを解除する。これにより、バネ53の付勢によって可動板52は挟持位置に回動されて、レンチキュラシート3の先端がクランパ25によりクランプされる。このクランプ後、CPU90は、ローラ移動機構92を制御して、給送ローラ対15によるレンチキュラシート3のニップを解除する。
【0070】
次いで、クランパ駆動制御部97は、クラッチ機構80により左駆動軸71aと右駆動軸74aとの連結を解除した状態で、左モータ71及び右モータ74を同速度で正回転してクランパ25を下流側に向けて移動する。これにより、レンチキュラシート3の副走査方向への搬送が開始される。レンチキュラシート3の副走査方向への搬送が開始されると、第1〜第3レンズセンサ41〜43から出力される検出信号の二値化信号に基づき、レンズ4の傾き補正制御が開始される。アジマス角演算部98は、第1,第2レンズセンサ41,42からの二値化信号に基づき、粗調整用アジマス角を算出して傾き補正制御部99に入力する。
【0071】
傾き補正制御部99は、粗調整用アジマス角が入力されると、クランパ駆動制御部97を制御して、左モータ71及び右モータ74を正回転させるとともに、左モータ71を右モータ74よりも高速で正回転させる(各モータ71,74での位相差を発生させる)。
【0072】
各モータ71,74を正回転させるとともに、左モータ71を右モータ74よりも高速で正回転させると、図14に示すように、クランパ25は下流側(図14における上方)に移動し、クランパ25によりクランプされたレンチキュラシート3も下流側に搬送され、さらに、クランパ25は左端部が右端部よりも先に下流側に移動する。この移動により、クランパ25及びレンチキュラシート3は、時計方向に回転する。傾き補正制御部99は、粗調整用アジマス角がゼロになるまでクランパ25を時計方向に回転させた後、各モータ71,74の回転を停止する。これにより、主走査方向に対するレンズ4の長手方向の傾きが粗調整される。
【0073】
クランパ25は、左ベルト73に取り付けられたボルト54を中心に回転する。クランパ25に設けられた各ピン56,57は、これら各ピン56,57が挿入される各孔81a,82aよりも細径であるため、クランパ25の回転が可能となる。また、ボルト55の軸部55bが挿入される挿通孔76aは、長孔状に形成されているため、クランパ25が回転したときには、軸部55bは挿通孔76a内を横方向(左方)に移動する。これにより、クランパ25が回転しても、右ベルト76がヨレることがない。なお、図14では、クランパ25の傾きを実際よりも誇張して描いている。
【0074】
粗調整が完了した後、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74を同速度で正回転して、クランパ25を副走査方向の下流側に向けて搬送する。なお、この際に、レンチキュラシート3の後端がアジマス角検出部18を通過してしまう場合には、各モータ71,74を逆回転して、一旦、クランパ25を上流側に向けて搬送させた後、再び下流側に向けて搬送させる。
【0075】
次いで、アジマス角演算部98が、第1,第3レンズセンサ41,43からの二値化信号に基づき、微調整用アジマス角を算出して傾き補正制御部99に入力する。
【0076】
傾き補正制御部99は、粗調整と同様に、微調整用アジマス角がゼロになるまでクランパ25を時計方向に回転させた後、各モータ71,74の回転を停止する。これにより、主走査方向に対するレンズ4の長手方向の傾きが微調整される。レンチキュラシート3は、一定の方向(反時計方向)に傾いているから、傾き方向を算出する必要がない。これにより、クランパ25を一定の方向(時計方向)に回転させるだけで、傾き補正を行うことができるため、傾き補正時の処理時間が短縮される。
【0077】
上述の微調整が完了した後、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74を同速度で正回転して、クランパ25を副走査方向の下流側(上流側でも可)に向けて搬送する。傾き補正制御部99は、第1〜第3レンズセンサ41〜43からの二値化信号を比較して、各々の立ち上がりのズレ量が所定量以下であれば、傾き補正を完了する。また、ズレ量が所定量を上回る場合には、上述の粗調整と微調整を再び実行させる。
【0078】
傾き補正の完了後、クランパ駆動制御部97は、左モータ71及び右モータ74を同速度で逆回転して、レンチキュラシート3を上流側に向かって搬送させる。
【0079】
なお、傾き補正の完了後にレンチキュラシート3を搬送するとき、レンチキュラシート3の後端を、一旦、アジマス角検出部18の下流側まで搬送した後、レンチキュラシート3を上流側に向かって搬送してもよい。これにより、各レンズセンサ41〜43での二値化信号の立ち上がりタイミングからのレンチキュラシート3の搬送量、既知の二値化信号の立ち上り時のレンズセンサとレンズ4との副走査方向の位置関係、既知のアジマス角検出部18と発熱素子アレイ16aの距離、二値化信号のピッチなどに基づいて、CPU90により、レンチキュラシート3と発熱素子アレイ16aとの位置関係が検出される。
【0080】
また、傾き補正が完了している場合、各レンズセンサ41〜43からの二値化信号の1ピッチは、レンズ4の1レンズピッチと等しくなる。これにより、レンズピッチが求められる。
【0081】
レンチキュラシート3の記録エリアの先端がサーマルヘッド16の位置を通過したときに、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74の回転を停止して、レンチキュラシート3の搬送を停止させる。
【0082】
次いで、CPU90は、フィルム交換機構35を作動させて受像層フィルム31のサーマルヘッド16の直下にセットさせた後、ヘッド移動機構93を制御してサーマルヘッド16を圧接位置に移動させる。これにより、受像層フィルム31を挟んでレンチキュラシート3の背面にサーマルヘッド16が圧接した状態になる。
【0083】
サーマルヘッド16の圧接後、クランパ駆動制御部97は、左モータ71及び右モータ74を同速度で正回転してクランパ25を下流側に向けて移動する。これにより、レンチキュラシート3の副走査方向への搬送が開始され、これにあわせて受像層フィルム31が送られる。
【0084】
ヘッド駆動制御部96は、ヘッド駆動部37を制御して、サーマルヘッド16の発熱素子アレイ16aを発熱させることにより、受像層フィルム31を加熱させる。これにより、透明な受像層がレンチキュラシート3の背面に転写されて形成される。同様の制御を、記録エリアの全範囲に受像層が形成されるまで行う。
【0085】
受像層の形成が完了すると、CPU90は、ヘッド移動機構93を制御して、サーマルヘッド16を退避位置に移動させる。サーマルヘッド16の移動後、クランパ駆動制御部97は、左モータ71及び右モータ74を逆回転して、レンチキュラシート3を上流側に向かって搬送させる。
【0086】
レンチキュラシート3の記録エリアの先端がサーマルヘッド16の位置を通過したときに、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74の回転を停止して、レンチキュラシート3の搬送を停止させる。次いで、CPU90は、フィルム交換機構35を作動させてインクフィルム32をサーマルヘッド16の直下にセットさせた後、ヘッド移動機構93を制御してサーマルヘッド16を圧接位置に移動させる。このときは、インクフィルム32のイエローインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ね合わされる。
【0087】
サーマルヘッド16の圧接後、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74を正回転してレンチキュラシート3を下流側に向けて搬送させる。このときも、CPU90は、レンチキュラシート3と発熱素子アレイ16aとの位置関係の監視を継続して行う。そして、第1微小領域5a内に発熱素子アレイ16aが位置したときに、ヘッド駆動制御部96は、メモリ91から記録すべき2ライン分のイエロー画像を読み出してヘッド駆動部37へ送るとともに、このヘッド駆動部37にイエロー画像の記録を指示する。
【0088】
ヘッド駆動制御部96からの画像記録指示を受けて、ヘッド駆動部37は、2ライン分のイエロー画像データに基づき、サーマルヘッド16を駆動して2列の発熱素子アレイ16aを発熱させることにより、インクフィルム32を加熱させる。これにより、インクフィルム32から昇華したイエローインクが第1微小領域5aの受像層に付着する。その結果、2ライン分のイエローの線状画像が第1微小領域5aに記録される。
【0089】
第1微小領域5aへの画像記録後、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74を正回転して、レンチキュラシート3を、先に求めたレンズピッチの1/6に相当する搬送長だけ下流側に搬送させる。この搬送後に、ヘッド駆動制御部96は、メモリ91から次の2ライン分のイエロー画像データを読み出してヘッド駆動部37へ送るとともに、このヘッド駆動部37にイエロー画像の記録を指示する。ヘッド駆動部37は、次の2ライン分のイエロー画像データに基づき2列の発熱素子アレイ16aを発熱させて、第2微小領域5bに2ライン分のイエローの線状画像を記録する。
【0090】
以下、同様にして、レンズピッチの1/6に相当する搬送長だけレンチキュラシート3を搬送するごとに、2ライン分のイエロー画像データに基づき、2本の発熱素子アレイ16aを逐次発熱して、各微小領域5c〜5fにイエローの線状画像を順次に記録していく。
【0091】
イエロー画像の最終の線状画像が記録されると、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74の回転を停止して、クランパ25によるレンチキュラシート3の搬送を停止させる。次いで、CPU90は、ヘッド移動機構93を制御して、サーマルヘッド16を退避位置に移動させる。この後に、クランパ駆動制御部97は、各モータ71,74を逆回転して、レンチキュラシート3を上流側に向けて搬送させ、さらに、記録エリアの先端がサーマルヘッド16の位置を通過したときに、各モータ71,74の回転を停止して搬送を停止させる。
【0092】
次いで、CPU90は、フィルム交換機構35を作動させてインクフィルム32を送り、そのマゼンタインク領域をサーマルヘッド16の直下にセットさせる。そして、CPU90は、ヘッド移動機構93を制御してサーマルヘッド16を圧接位置に移動させる。以下、イエロー画像記録時と同様に、レンチキュラシート3を下流側へ搬送しつつ、この搬送中にマゼンタ画像データに基づきサーマルヘッド16を駆動して、レンチキュラシート3の各微小領域5a〜5fにマゼンタの線状画像を順次に記録する。
【0093】
マゼンタ画像の記録完了後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3を一旦上流側に向けて搬送してから、再び下流側に向けて搬送する。また、インクフィルム32を送ってシアンインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド16を圧接位置に移動させる。そして、レンチキュラシート3を下流側に向けて搬送しつつ、この搬送中にシアン画像データに基づいてサーマルヘッド16を駆動して、シアンの線状画像を順次に記録する。
【0094】
マゼンタ画像、シアン画像の記録においても、イエロー画像の記録時と同様に記録開始タイミングが制御され、またレンズピッチの1/6に相当する搬送長だけレンチキュラシート3を搬送するごとに、線状画像が記録される。
【0095】
3色の画像が記録エリアに記録された後、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3が一旦上流側に向けて搬送されてから、再び下流側に向けて搬送される。また、フィルム交換機構35によりバック層フィルム33が使用位置に移動されてから、サーマルヘッド16が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3が下流側に向けて搬送されているときに、サーマルヘッド16が駆動して、3色の画像を記録した記録エリアにバック層が形成される。
【0096】
バック層の形成後、CPU90は、ヘッド移動機構93を制御して、サーマルヘッド16を退避位置に移動させる。次いで、クランパ駆動制御部97は、クランパ駆動機構27を制御してクランパ25をクランプ位置まで移動させ、レンチキュラシート3を戻し搬送路12a内に送り込む。この移動後、クランパ駆動制御部97は、クランパ開閉機構26を制御してクランパ25を開き状態に切り換える。これにより、レンチキュラシート3の先端のクランプが解除されて、レンチキュラシート3が排出口から排出される。他のレンチキュラシート3のプリントを行う場合には、上述の処理が繰り返し実行される。
【0097】
また、プリンタ2には、シート詰まりを検知するセンサ(図示せず)が設けられ、このセンサによるシート詰まり検知に応じて、クランパ駆動制御部97は、クラッチ機構80により左駆動軸71aと右駆動軸74aとを連結させた状態で、左モータ71及び右モータ74のいずれか一方を逆回転する。この場合、各モータ71,74は、同期した状態で回転されるから、詰まりが発生したレンチキュラシート3も、確実に上流側に搬送される。そして、レンチキュラシート3を戻し搬送路12a内に送り込んだ後、クランパ25によるクランプを解除して排出口に排出することで、シート詰まりが解消される。
【0098】
なお、上記実施形態では、左右モータを正回転するとともに、左モータを右モータよりも高速で正回転することにより、レンチキュラシートを副走査方向に搬送しながらクランパを時計方向に回転しているが、左モータのみを正回転することにより、レンチキュラシートの副走査方向への搬送を行わずにクランパを時計方向に回転してもよい。また、左右モータを逆回転するとともに、右モータを左モータよりも高速で逆回転する、または、右モータのみを逆回転することによりクランパを時計方向に回転してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、レンチキュラシートを反時計方向に傾けた状態でクランプし、クランパを時計方向に回転することによりレンチキュラシートの傾きを補正しているが、レンチキュラシートを時計方向に傾けた状態でクランプし、クランパを反時計方向に回転することによりレンチキュラシートの傾きを補正してもよい。この場合、右モータを左モータよりも高速で正回転することにより、クランパを反時計方向に回転する。
【0100】
さらに、上記実施形態では、クランパを主走査方向に平行にした状態でレンチキュラシートをクランプし、傾き補正によりクランパを傾けているが、クランパを主走査方向に対して傾けた状態でレンチキュラシートをクランプし、傾き補正によりクランパが主走査方向に平行になるようにしてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、クランパに設けた左受けピン及び右受けピンにより、レンチキュラシートを反時計方向に傾けているが、図15に示すように、左斜行規制板及び右斜行規制板の代わりに、反時計方向に傾いた左規制板101及び右規制板102を設け、これら各規制板101,102により、レンチキュラシート3を反時計方向に傾けてもよい。この場合、左規制板101を回転可能に設け、レンチキュラシート3を時計方向に回転させて傾き補正を行うときには、左規制板101も一緒に時計方向に回転させる。また、クランパ25には左受けピン及び右受けピンを設けない。
【0102】
さらに、上記実施形態では、レンチキュラシートを搬送するときには、左モータ及び右モータを連結しない状態で回転しているが、左右モータを連結した状態で回転してレンチキュラシートを搬送してもよい。この場合、左右モータは、同期した状態で回転されるから、左右モータの回転速度ズレによるレンチキュラシートの傾きが防止される。
【0103】
また、上記実施形態では、クランパに設けられたバネ、カム軸、クランプ解除モータによって、クランパの開閉機構を構成しているが、クランパ及びその開閉機構の構成は上記のものに限られない。例えば、クランパがクランプ位置まで移動したときに、可動板に固定部材を当接してバネの付勢に抗して押し上げて挟持解除位置とし、クランプ位置から僅かに下流側に僅かに移動したときに固定部材との当接か解除されて挟持位置となるようにして開閉動作を行わせたり、モータ等で開閉動作させるようにしてもよい。
【0104】
さらに、上記実施形態では、モータ及びベルトによりクランパを副走査方向に移動させているが、これに限定されることなく、搬送用モータにより回転するリードスクリューと、このリードスクリューに螺合するネジ孔が形成され、搬送用モータの回転により副走査方向に移動するベース板とを設け、このベース板にクランパを取り付けるようにしてもよい。この場合、クランパを回転自在にベース板に取り付け、回転用モータによりクランパを回転させることにより、レンチキュラシートを回転させる。
【0105】
また、本発明は、インクジェットプリンタやレーザープリンタ等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
2 プリンタ
3 レンチキュラシート
4 レンチキュラレンズ
15 給送ローラ対
16 サーマルヘッド
18 アジマス角検出部
19 クランプユニット
25 クランパ
26 クランパ開閉機構
27 クランパ駆動機構
41〜43 第1〜第3レンズセンサ
58 左受けピン
59 右受けピン
66 左ベルトコンベア
67 右ベルトコンベア
71 左モータ
73 左ベルト
74 右モータ
76 右ベルト
80 クラッチ機構
85 左斜行規制板
86 右斜行規制板
99 傾き補正制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンチキュラレンズが一定ピッチで配列されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパと、
前記クランパを副走査方向に移動させて前記レンチキュラシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記レンチキュラシートの背面に、前記副走査方向に直交する主走査方向に平行な線状画像を複数記録することにより、視差のある少なくとも2種類の画像を記録する記録手段と、
前記クランパにより前記レンチキュラシートを挟持する前に、前記レンチキュラレンズの長手方向を前記主走査方向に対して一定の方向の第1方向に傾けるシート傾き手段と、
前記レンチキュラシートが前記クランパにより挟持されたときに、前記レンチキュラレンズの長手方向と前記主走査方向との傾き角度を検出する傾き角検出手段と、
前記傾き角検出手段の検出結果に基づいて、前記レンチキュラレンズの長手方向が前記主走査方向にほぼ平行になるように、前記クランパを前記第1方向とは逆向きの第2方向に回転させて傾きを補正する傾き補正手段と、
を備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記搬送手段は、
前記クランパの主走査方向の一端が取り付けられる第1ベルトと、前記第1ベルトを回転する第1モータとを有する第1ベルトコンベアと、
前記クランパの主走査方向の他端が取り付けられる第2ベルトと、前記第2ベルトを回転する第2モータとを有する第2ベルトコンベアと、
を備え、
前記傾き補正手段は、前記傾き角検出手段の検出結果に基づいて、前記第1モータと前記第2モータとの少なくとも1つの駆動を制御して、前記クランパを前記第2方向に回転させることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1モータと前記第2モータとを連結する連結状態と連結しない非連結状態とに切り換えるクラッチ機構を備え、
前記クラッチ機構は、前記傾き補正手段により前記クランパを前記第2方向に回転させるときには非連結状態にすることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記レンチキュラシートを前記クランパまで搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラにより搬送される前記レンチキュラシートの両側方に設けられ、前記レンチキュラシートの斜行を規制する2個の斜行規制板と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載のプリンタ。
【請求項5】
前記2個の斜行規制板の少なくとも1つを前記主走査方向にスライドするスライド機構を備え、
前記スライド機構は、前記クランパによる挟持前に、前記少なくとも1つの斜行規制板を前記主走査方向にスライドして、前記レンチキュラシートの前記主走査方向の位置決めを行うことを特徴とする請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
前記シート傾き手段は、前記副走査方向において異なる位置で前記レンチキュラシートの先端を受けるように前記クランパに設けられた2個の受け部から構成されることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−153018(P2011−153018A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17105(P2010−17105)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】