プリント基板およびその製造方法
【課題】絶縁層との密着面積を広くすることにより、回路パターンの剥離問題を解決し、アンダーカットによる回路パターンの損傷発生を最小化するうえ、微細な回路パターンを実現することができるプリント基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のプリント基板は、トレンチ110が陰刻状に形成された絶縁層100と、一端部はトレンチ110に埋め込まれ、他端部は絶縁層100から突出するようにトレンチ110に形成された回路パターン150とを含んでなる。
【解決手段】本発明のプリント基板は、トレンチ110が陰刻状に形成された絶縁層100と、一端部はトレンチ110に埋め込まれ、他端部は絶縁層100から突出するようにトレンチ110に形成された回路パターン150とを含んでなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、デジタルカメラなどのモバイル電子機器が発達するにつれて、より小型化、薄型化および多機能化した電子機器に関する研究開発が行われている。このような趨勢は、電子機器を構成する半導体パッケージの小型化要求につながり、根本的には、半導体パッケージを構成する基板の高密度化に関する開発問題に帰結する。高密度もしくは高集積基板の実現は、主に回路幅の微細化または回路間間隔の微細化によって成し遂げられる。最近、基板の微細回路パターン形成方法として、SAP(Semi−Additive Process)工法が知られている。
【0003】
従来のSAP工法は、次の工程で行われる。
【0004】
まず、絶縁層の表面に回路パターンを形成するために、無電解メッキまたはスパッタリングなどの方法を適用してシード層を形成する。
【0005】
次いで、前記シード層にレジストフィルムを塗布し、レジストフィルムをパターニングしてメッキレジストパターンを形成する。レジストフィルムにパターンを転写する工程は、アートワークフィルムを用いて紫外線を選択的に照射し、露光によってレジストフィルムの未硬化部分を現像液で除去する工程で行われる。
【0006】
その後、シード層を引き込み線として、電解メッキ工程を行い、レジストフィルムの除去された部分に回路パターンを形成した後、レジストフィルムを剥離させる。
【0007】
その次、回路パターンが形成されていない部分のシード層をエッチングによって除去する。
【0008】
ところが、前述したようなSAP工法によって形成された回路パターンは、次の問題点がある。
【0009】
まず、回路パターンと絶縁層との接着力が問題となる。基本的に、金属性の回路パターンと絶縁性の絶縁層とは、互いに構成材質が異なるため、両者の密着性には限界がある。特に、回路パターンは、絶縁層の平坦な表面との接触によって密着性を保つが、微細回路パターンを形成する場合には、回路パターンと絶縁層との接触面積が非常に小さいため、結果として、回路パターンが絶縁層の表面から容易に剥離するという問題が発生する。
【0010】
また、電解メッキを介して回路パターンを形成した後、回路パターン同士の間に露出されたシード層をエッチングによって除去する過程において、回路パターンにアンダーカット(under cut)不良が発生する。このようなアンダーカット不良は、回路パターンと絶縁層との接触面積を減少させることにより、絶縁層からの微細回路パターンの剥離をさらに容易にする。
【0011】
また、微細回路パターンの解像力が問題となる。通常、回路パターンは、メッキレジストのオープン領域にメッキされて形成されるが、回路パターンが過剰メッキされることを防止するためには、メッキレジストパターンの厚さを回路パターンの厚さより厚くすることが不可避である。これに対し、高解像度の回路パターンを実現するためには、メッキレジストパターンを出来る限り薄く形成しなければならない。その結果、両者択一の矛盾が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、絶縁層との密着面積を広くすることにより、回路パターンの剥離問題を解決し、アンダーカットによる回路パターンの損傷発生を最小化するうえ、微細な回路パターンを実現することができるプリント基板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、トレンチが陰刻状に形成された絶縁層と、一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層から突出するように前記トレンチに形成された回路パターンとを含んでなることを特徴とするプリント基板を提供する。
【0014】
また、前記絶縁層と前記回路パターンとの間にシード層をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
また、前記トレンチは、内壁がテーパー状をすることを特徴とする。
【0016】
また、前記トレンチは、連続的に設けられた四角形の溝部を少なくとも2つ含んで構成されることを特徴とする。
【0017】
また、前記トレンチは、連続的に設けられた逆三角形の溝部を少なくとも2つ含んで構成されることを特徴とする。
【0018】
また、前記トレンチは、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた四角形の第2溝部から構成されることを特徴とする。
【0019】
また、前記トレンチは、前記第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた逆三角形の第2溝部から構成されることを特徴とする。
【0020】
一方、本発明の他の観点によれば、(A)絶縁層にトレンチを陰刻状に形成する段階と、(B)前記絶縁層にレジストフィルムを塗布し、前記トレンチに対応する開口部が設けられるように前記レジストフィルムをパターニングしてメッキレジストパターンを形成する段階と、(C)前記絶縁層にメッキを施すことにより、一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層の表面から突出するように回路パターンを形成する段階と、(D)前記メッキレジストパターンを除去する段階とを含んでなることを特徴とするプリント基板の製造方法を提供する。
【0021】
また、前記(A)段階と前記(B)段階との間に、前記絶縁層にシード層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
また、前記(D)段階の後、(E)前記回路パターンから露出された前記シード層を除去する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
また、前記(A)段階は、内壁がテーパー状をするように絶縁層にトレンチを形成する段階を含むことを特徴とする。
【0024】
また、前記(A)段階は、少なくとも2つの連続的に設けられた四角形の溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする。
【0025】
また、前記(A)段階は、少なくとも2つの連続的に設けられた逆三角形の溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする。
【0026】
また、前記(A)段階は、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた四角形の第2溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする。
【0027】
また、前記(A)段階は、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた逆三角形の第2溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るプリント基板およびその製造方法によれば、回路パターンの一部が絶縁層に埋め込まれているので、アンダーカットによる回路パターンの剥離問題を解消し、結果として製品の収率を向上させることができる。
【0029】
また、本発明に拠れば、絶縁層と回路パターンとの密着力を向上させることにより、微細な回路パターンをより安定的に形成することができる。
【0030】
更に、メッキレジストを薄く形成しても回路パターンを形成することが可能であるから、高解像度の回路パターンを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(1)である。
【図1B】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(2)である。
【図1C】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(3)である。
【図1D】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(4)である。
【図1E】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(5)である。
【図1F】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(6)である。
【図2A】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−1)である。
【図2B】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−2)である。
【図2C】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−3)である。
【図2D】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−4)である。
【図2E】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−5)である。
【図2F】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−6)である。
【図3】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(2)である。
【図4】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(3)である。
【図5】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(4)である。
【図6】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(5)である。
【図7】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(6)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の目的、特定の利点および新規の特徴は、添付図面に連関する以下の詳細な説明と好適な実施例からさらに明白になるであろう。本発明において、各図面の構成要素に参照番号を付するにおいて、同一の構成要素については、他の図面上に表示されても、出来る限り同一の番号を付することに留意すべきであろう。なお、本発明を説明するにおいて、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を無駄に乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0034】
(プリント基板)
図1A〜図1Fは、本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図である。
【0035】
図1Aに示すように、本実施例に係るプリント基板は、トレンチ110が陰刻状に形成された絶縁層100と、一端部はトレンチ110に埋め込まれ、他端部は絶縁層100から突出するように形成された回路パターン150とを含んでなる。ここで、絶縁層100と回路パターン150との間には、シード層120をさらに含むことができる。
【0036】
前記絶縁層100は、プリント基板に一般に用いられる絶縁素材で形成することができ、例えばプリプレグ(PPG、prepreg)などの複合高分子樹脂を使用することができる。この他にも、FR−4、BTなどのエポキシ系樹脂またはABF(Ajinomoto Build−up Film)などを含むことができ、構成材質は、特にこれに限定されるのではない。絶縁層100の表面にトレンチ110が加工される。この際、一つの絶縁層100を単独で用いてその一面または両面にトレンチ110を加工することが可能であるうえ、回路層が形成されたベース基板上に絶縁層100を積層して多層構造を実現することも可能である。
【0037】
前記トレンチ110は、絶縁層100の表面に所定の深さの陰刻状に形成される。ここで、トレンチ110は、回路パターン150が埋め込まれる部分であって、回路パターン150の一端部のパターンと同一のパターンを持つように形成されなければならない。よって、図1A〜図1Fにおいて、各トレンチ110間の間隔は、たとえ同一に見えても、本発明の範囲がそれに限定されることを意味するのではなく、各トレンチ110間の間隔は、形成しようとする回路パターン150の形状によって不規則的でありうる。
【0038】
本発明において、トレンチ110を加工して回路パターン150の一端部をトレンチ110に埋め込むことは、基本的に、回路パターン150と絶縁層100との接触面積を広くすることにより、両者間の密着性を向上させるためである。このような前記トレンチ110の構造は、様々な変形が可能であり、本発明では、トレンチ110構造の様々な変形例を、図2B〜図2Fに示した。本発明の詳細な説明では、溝部112、113、114、115、116が少なくとも2つ設けられて1単位のトレンチ110が構成されることを明確に表現するために、溝部112、113、114、115、116と、トレンチ110の用語を区分して使用した。
【0039】
まず、図2Bは、内壁がテーパー状をするトレンチ110の構造を示す。通常、レーザーを用いてトレンチ110を形成する場合、図2Bに示すような形状のトレンチ110構造が形成される。
【0040】
また、図2Cおよび図2Dは、連続的に設けられた四角形の溝部112(図2C)または逆三角形の溝部113(図2D)を少なくとも2つ含んでなるトレンチ110の構造を示す。図1Aまたは図1Bと比較するとき、トレンチの表面積がさらに広くなったことが分かる。
【0041】
また、図2Eまたは図2Fは、第1溝部116と第1溝部116の底面に少なくとも2つの連続的に設けられた四角形の第2溝部114(図2E)または逆三角形の第2溝部115(図2F)から構成されるトレンチ110の構造を示す。すなわち、2段の溝部から構成されたトレンチ110構造であって、第1溝部116は、回路パターン150(図1Eおよび図1F参照)に対応するように、所定の幅および深さに加工され、第1溝部116の底面には、第1溝部より小さい2つ以上の第2溝部114、115がさらに設けられている。
【0042】
一方、本発明のトレンチ110は、回路パターン150の一端部が埋め込まれる領域である。本発明において、トレンチ110を加工して回路パターン150を一部埋め込むことは、回路パターン150と絶縁層100とが接触する面積を広くし、シード層120をエッチングして除去する過程で発生するアンダーカット不良に対する回路パターン150の損傷程度を減らすためである。すなわち、本発明の一部埋め込まれる回路構造は、回路パターン150が絶縁層100に全部埋め込まれる従来の構造とは異なり、よって、トレンチ110を薄く加工しても本発明の目的達成には十分である。トレンチ110を薄く加工する場合、加工費用が減少し、これにより製品の生産性が増加する効果をもたらすことができる。特に、回路パターン150が絶縁層100に全部埋め込まれる既存の構造において、トレンチ110は、回路を埋め込むために、一定の深さ以上に加工されることが要求される。ところが、レーザーを用いて絶縁層100にトレンチ110を加工する場合、絶縁層100の壁面には、角度が形成され、深さが深くなるほどトレンチ110の幅が小さくなるV形状になるので、加工可能なトレンチ110の深さには限界が生ずる。一方、深さの確保が不可避な場合には、トレンチ110の幅が広くなるしかないため、微細回路の実現が不可能になる。よって、本発明のトレンチ110は、絶縁層100から浅く形成されることにより、微細回路を形成することができるという効果をもたらすことができる。
【0043】
前記回路パターン150は、一端部がトレンチ110に埋め込まれ、他端部が絶縁層100から突出するように絶縁層100上に形成される。回路パターン150の構成材質に制限がないが、回路パターンは、一般に用いられる銅で形成されることが好ましい。
【0044】
前記シード層120は、無電解メッキまたはスパッタリング工程を用いて絶縁層100に形成された薄い金属膜であって、絶縁層100に回路パターン150をメッキ工程で形成するとき、引き込み線の役割を行う。シード層120の形成に使用される金属としては、例えば、ニッケルまたはニッケル系合金、具体的にはニッケル−銅合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−銅−クロム合金などが使用できる。
【0045】
一方、図1B〜図1Eは、本発明の好適な実施例に係る回路構造の様々な実施例を示す。それぞれの回路構造において、絶縁層100から突出した回路パターン150の他端部の形状は、同一であるが、トレンチ110に埋め込まれた回路パターン150の一端部の形状は、トレンチ110の形状によって異なる。また、トレンチ110の形状は、前述した説明と同様なので、反復説明は省略する。
【0046】
(プリント基板の製造方法)
図2A〜図2Fおよび図3〜図7は、本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0047】
以下、これらの図を参照して、本発明に係るプリント基板の製造方法について説明する。
【0048】
まず、図2A〜図2Fに示すように、絶縁層100を準備し、前記絶縁層100にトレンチ110を陰刻状に加工する。トレンチ110を加工する方法としては、レーザーを用いる方法や、インプリント(imprint)による方法がある。図2A〜図2Fに示したトレンチ110の構造は、本発明の様々な実施例を示し、トレンチ110構造の詳細な説明は、前述した説明と同様なので、ここでは説明を省略する。但し、図2Eおよび図2Fでは、第1溝部116および第2溝部114、115から構成されており、レーザーまたはインプリントによって、第1溝部116および第2溝部114、115を順次加工することにより形成される。トレンチ110は、回路パターン150が埋め込まれる部分であって、回路パターン150の一端部のパターンと同一のパターンを持つように形成されなければならず、各トレンチ110間の間隔は、回路パターン150の形状に応じて様々に実現される。
【0049】
次に、図3に示すように、トレンチ110の形成された絶縁層100にシード層120を形成する。この際、シード層120は、電解メッキ工程で回路パターン150を形成するために、一定の厚さ(例えば、1μm)以上を持つように形成することが好ましい。
【0050】
シード層120の形成方法としては、無電解メッキ方式またはスパッタリング方式を用いることができる。無電解メッキ方式は、脱脂工程、ソフトエッチング過程、予備触媒処理過程、触媒処理過程、活性化過程、無電解メッキ過程および酸化防止処理過程で行われる方式である。一方、スパッタリング方式は、プラズマなどによって発生する気体のイオン粒子を、銅ターゲットに衝突させることにより、絶縁層100およびトレンチ110に無電解メッキ層を形成する方式である。
【0051】
次に、図4に示すように、前記シード層120にレジストフィルムを塗布し、トレンチ110に対応するように、レジストフィルムに開口部を加工してメッキレジストパターン130を形成する。具体的に説明すると、シード層120上に、レジストフィルムを塗布し、マスクでブロッキングした状態で紫外線を照射する。マスク上には、形成しようとする回路パターン150に対応する位置にパターンが形成されている。その後、レジストフィルムを現像液に作用させると、紫外線の照射により硬化した部分は、そのまま残るが、硬化していない部分は、現像液によって除去されることにより、メッキレジストパターン130が形成される。
【0052】
通常、絶縁層100の表面に回路パターン150を形成するために、絶縁層100にメッキレジストパターン130を積層し、メッキレジストパターン130から露出された領域に回路パターン150を形成する。この際、メッキレジストパターン130の厚さは、回路パターン150の厚さより厚くなければならない。なぜなら、メッキレジストパターン130の厚さが薄い場合、過剰メッキによってメッキレジストパターン130を越えて回路パターン150間の短絡が発生する可能性があるためである。ところが、メッキレジストパターン130を所定の高さ以上に確保すると、高解像度の回路パターン150を実現することができない。これに対し、本発明の回路パターン150は、一端部および他端部に区分することができ、回路パターン150の厚さは、一端部の厚さと他端部の厚さとの和で定義される。ところが、回路パターン150の一端部は、トレンチ110に埋め込まれているので、他端部が絶縁層100から多少少なく突出しても、回路パターン150全体の厚さは確保されるであろう。よって、本発明は、回路パターン150を形成する過程で使用されるメッキレジストフィルムの厚さを薄くすることが可能であるから、高解像度の回路パターン150を実現することができるという利点がある。
【0053】
次に、図5に示すように、前記絶縁層100のトレンチ上に回路パターン150を形成する。この際、回路パターン150は、前記シード層120を引き込み線として、電解メッキ工程で形成する。電解メッキ層は、物理的特性に優れるうえ、厚いメッキ層を形成することが容易であるという利点がある。この際、回路パターン150の一端部は、トレンチ110に埋め込まれ、回路パターン150の他端部は、絶縁層100の表面から突出するようにする。
【0054】
次いで、図6に示すように、前記メッキレジストパターン130を剥離させて除去する。
【0055】
その後、図7に示すように、メッキレジストパターン130が除去されることにより回路パターン150から露出されたシード層120を除去する。シード層120の除去の際に、エッチング液を噴霧するフラッシュエッチング(Flash etching)工程を行うことができる。
【0056】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これらの実施例は、本発明を具体的に説明するためのものに過ぎない。本発明に係るプリント基板およびその製造方法は、これらの実施例に限定されず、本発明の技術的思想内において、当該分野における通常の知識を有する者によって多様な変形及び改良が可能なのは明白であろう。本発明の単純な変形ないし変更は、いずれも本発明の範疇内に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、特許請求の範囲によって明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、回路パターンの剥離問題を解決し、アンダーカットによる回路パターンの損傷発生を最小化するうえ、微細な回路パターンを実現することができるプリント基板およびその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
100 絶縁層
110 トレンチ
112、113 溝部
114、115 第2溝部(溝部)
116 第1溝部(溝部)
120 シード層
130 メッキレジストパターン
150 回路パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、デジタルカメラなどのモバイル電子機器が発達するにつれて、より小型化、薄型化および多機能化した電子機器に関する研究開発が行われている。このような趨勢は、電子機器を構成する半導体パッケージの小型化要求につながり、根本的には、半導体パッケージを構成する基板の高密度化に関する開発問題に帰結する。高密度もしくは高集積基板の実現は、主に回路幅の微細化または回路間間隔の微細化によって成し遂げられる。最近、基板の微細回路パターン形成方法として、SAP(Semi−Additive Process)工法が知られている。
【0003】
従来のSAP工法は、次の工程で行われる。
【0004】
まず、絶縁層の表面に回路パターンを形成するために、無電解メッキまたはスパッタリングなどの方法を適用してシード層を形成する。
【0005】
次いで、前記シード層にレジストフィルムを塗布し、レジストフィルムをパターニングしてメッキレジストパターンを形成する。レジストフィルムにパターンを転写する工程は、アートワークフィルムを用いて紫外線を選択的に照射し、露光によってレジストフィルムの未硬化部分を現像液で除去する工程で行われる。
【0006】
その後、シード層を引き込み線として、電解メッキ工程を行い、レジストフィルムの除去された部分に回路パターンを形成した後、レジストフィルムを剥離させる。
【0007】
その次、回路パターンが形成されていない部分のシード層をエッチングによって除去する。
【0008】
ところが、前述したようなSAP工法によって形成された回路パターンは、次の問題点がある。
【0009】
まず、回路パターンと絶縁層との接着力が問題となる。基本的に、金属性の回路パターンと絶縁性の絶縁層とは、互いに構成材質が異なるため、両者の密着性には限界がある。特に、回路パターンは、絶縁層の平坦な表面との接触によって密着性を保つが、微細回路パターンを形成する場合には、回路パターンと絶縁層との接触面積が非常に小さいため、結果として、回路パターンが絶縁層の表面から容易に剥離するという問題が発生する。
【0010】
また、電解メッキを介して回路パターンを形成した後、回路パターン同士の間に露出されたシード層をエッチングによって除去する過程において、回路パターンにアンダーカット(under cut)不良が発生する。このようなアンダーカット不良は、回路パターンと絶縁層との接触面積を減少させることにより、絶縁層からの微細回路パターンの剥離をさらに容易にする。
【0011】
また、微細回路パターンの解像力が問題となる。通常、回路パターンは、メッキレジストのオープン領域にメッキされて形成されるが、回路パターンが過剰メッキされることを防止するためには、メッキレジストパターンの厚さを回路パターンの厚さより厚くすることが不可避である。これに対し、高解像度の回路パターンを実現するためには、メッキレジストパターンを出来る限り薄く形成しなければならない。その結果、両者択一の矛盾が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、絶縁層との密着面積を広くすることにより、回路パターンの剥離問題を解決し、アンダーカットによる回路パターンの損傷発生を最小化するうえ、微細な回路パターンを実現することができるプリント基板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、トレンチが陰刻状に形成された絶縁層と、一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層から突出するように前記トレンチに形成された回路パターンとを含んでなることを特徴とするプリント基板を提供する。
【0014】
また、前記絶縁層と前記回路パターンとの間にシード層をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
また、前記トレンチは、内壁がテーパー状をすることを特徴とする。
【0016】
また、前記トレンチは、連続的に設けられた四角形の溝部を少なくとも2つ含んで構成されることを特徴とする。
【0017】
また、前記トレンチは、連続的に設けられた逆三角形の溝部を少なくとも2つ含んで構成されることを特徴とする。
【0018】
また、前記トレンチは、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた四角形の第2溝部から構成されることを特徴とする。
【0019】
また、前記トレンチは、前記第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた逆三角形の第2溝部から構成されることを特徴とする。
【0020】
一方、本発明の他の観点によれば、(A)絶縁層にトレンチを陰刻状に形成する段階と、(B)前記絶縁層にレジストフィルムを塗布し、前記トレンチに対応する開口部が設けられるように前記レジストフィルムをパターニングしてメッキレジストパターンを形成する段階と、(C)前記絶縁層にメッキを施すことにより、一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層の表面から突出するように回路パターンを形成する段階と、(D)前記メッキレジストパターンを除去する段階とを含んでなることを特徴とするプリント基板の製造方法を提供する。
【0021】
また、前記(A)段階と前記(B)段階との間に、前記絶縁層にシード層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
また、前記(D)段階の後、(E)前記回路パターンから露出された前記シード層を除去する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
また、前記(A)段階は、内壁がテーパー状をするように絶縁層にトレンチを形成する段階を含むことを特徴とする。
【0024】
また、前記(A)段階は、少なくとも2つの連続的に設けられた四角形の溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする。
【0025】
また、前記(A)段階は、少なくとも2つの連続的に設けられた逆三角形の溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする。
【0026】
また、前記(A)段階は、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた四角形の第2溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする。
【0027】
また、前記(A)段階は、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた逆三角形の第2溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るプリント基板およびその製造方法によれば、回路パターンの一部が絶縁層に埋め込まれているので、アンダーカットによる回路パターンの剥離問題を解消し、結果として製品の収率を向上させることができる。
【0029】
また、本発明に拠れば、絶縁層と回路パターンとの密着力を向上させることにより、微細な回路パターンをより安定的に形成することができる。
【0030】
更に、メッキレジストを薄く形成しても回路パターンを形成することが可能であるから、高解像度の回路パターンを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(1)である。
【図1B】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(2)である。
【図1C】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(3)である。
【図1D】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(4)である。
【図1E】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(5)である。
【図1F】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図(6)である。
【図2A】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−1)である。
【図2B】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−2)である。
【図2C】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−3)である。
【図2D】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−4)である。
【図2E】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−5)である。
【図2F】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(1−6)である。
【図3】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(2)である。
【図4】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(3)である。
【図5】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(4)である。
【図6】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(5)である。
【図7】本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図(6)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の目的、特定の利点および新規の特徴は、添付図面に連関する以下の詳細な説明と好適な実施例からさらに明白になるであろう。本発明において、各図面の構成要素に参照番号を付するにおいて、同一の構成要素については、他の図面上に表示されても、出来る限り同一の番号を付することに留意すべきであろう。なお、本発明を説明するにおいて、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を無駄に乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0034】
(プリント基板)
図1A〜図1Fは、本発明の好適な実施例に係るプリント基板の断面図である。
【0035】
図1Aに示すように、本実施例に係るプリント基板は、トレンチ110が陰刻状に形成された絶縁層100と、一端部はトレンチ110に埋め込まれ、他端部は絶縁層100から突出するように形成された回路パターン150とを含んでなる。ここで、絶縁層100と回路パターン150との間には、シード層120をさらに含むことができる。
【0036】
前記絶縁層100は、プリント基板に一般に用いられる絶縁素材で形成することができ、例えばプリプレグ(PPG、prepreg)などの複合高分子樹脂を使用することができる。この他にも、FR−4、BTなどのエポキシ系樹脂またはABF(Ajinomoto Build−up Film)などを含むことができ、構成材質は、特にこれに限定されるのではない。絶縁層100の表面にトレンチ110が加工される。この際、一つの絶縁層100を単独で用いてその一面または両面にトレンチ110を加工することが可能であるうえ、回路層が形成されたベース基板上に絶縁層100を積層して多層構造を実現することも可能である。
【0037】
前記トレンチ110は、絶縁層100の表面に所定の深さの陰刻状に形成される。ここで、トレンチ110は、回路パターン150が埋め込まれる部分であって、回路パターン150の一端部のパターンと同一のパターンを持つように形成されなければならない。よって、図1A〜図1Fにおいて、各トレンチ110間の間隔は、たとえ同一に見えても、本発明の範囲がそれに限定されることを意味するのではなく、各トレンチ110間の間隔は、形成しようとする回路パターン150の形状によって不規則的でありうる。
【0038】
本発明において、トレンチ110を加工して回路パターン150の一端部をトレンチ110に埋め込むことは、基本的に、回路パターン150と絶縁層100との接触面積を広くすることにより、両者間の密着性を向上させるためである。このような前記トレンチ110の構造は、様々な変形が可能であり、本発明では、トレンチ110構造の様々な変形例を、図2B〜図2Fに示した。本発明の詳細な説明では、溝部112、113、114、115、116が少なくとも2つ設けられて1単位のトレンチ110が構成されることを明確に表現するために、溝部112、113、114、115、116と、トレンチ110の用語を区分して使用した。
【0039】
まず、図2Bは、内壁がテーパー状をするトレンチ110の構造を示す。通常、レーザーを用いてトレンチ110を形成する場合、図2Bに示すような形状のトレンチ110構造が形成される。
【0040】
また、図2Cおよび図2Dは、連続的に設けられた四角形の溝部112(図2C)または逆三角形の溝部113(図2D)を少なくとも2つ含んでなるトレンチ110の構造を示す。図1Aまたは図1Bと比較するとき、トレンチの表面積がさらに広くなったことが分かる。
【0041】
また、図2Eまたは図2Fは、第1溝部116と第1溝部116の底面に少なくとも2つの連続的に設けられた四角形の第2溝部114(図2E)または逆三角形の第2溝部115(図2F)から構成されるトレンチ110の構造を示す。すなわち、2段の溝部から構成されたトレンチ110構造であって、第1溝部116は、回路パターン150(図1Eおよび図1F参照)に対応するように、所定の幅および深さに加工され、第1溝部116の底面には、第1溝部より小さい2つ以上の第2溝部114、115がさらに設けられている。
【0042】
一方、本発明のトレンチ110は、回路パターン150の一端部が埋め込まれる領域である。本発明において、トレンチ110を加工して回路パターン150を一部埋め込むことは、回路パターン150と絶縁層100とが接触する面積を広くし、シード層120をエッチングして除去する過程で発生するアンダーカット不良に対する回路パターン150の損傷程度を減らすためである。すなわち、本発明の一部埋め込まれる回路構造は、回路パターン150が絶縁層100に全部埋め込まれる従来の構造とは異なり、よって、トレンチ110を薄く加工しても本発明の目的達成には十分である。トレンチ110を薄く加工する場合、加工費用が減少し、これにより製品の生産性が増加する効果をもたらすことができる。特に、回路パターン150が絶縁層100に全部埋め込まれる既存の構造において、トレンチ110は、回路を埋め込むために、一定の深さ以上に加工されることが要求される。ところが、レーザーを用いて絶縁層100にトレンチ110を加工する場合、絶縁層100の壁面には、角度が形成され、深さが深くなるほどトレンチ110の幅が小さくなるV形状になるので、加工可能なトレンチ110の深さには限界が生ずる。一方、深さの確保が不可避な場合には、トレンチ110の幅が広くなるしかないため、微細回路の実現が不可能になる。よって、本発明のトレンチ110は、絶縁層100から浅く形成されることにより、微細回路を形成することができるという効果をもたらすことができる。
【0043】
前記回路パターン150は、一端部がトレンチ110に埋め込まれ、他端部が絶縁層100から突出するように絶縁層100上に形成される。回路パターン150の構成材質に制限がないが、回路パターンは、一般に用いられる銅で形成されることが好ましい。
【0044】
前記シード層120は、無電解メッキまたはスパッタリング工程を用いて絶縁層100に形成された薄い金属膜であって、絶縁層100に回路パターン150をメッキ工程で形成するとき、引き込み線の役割を行う。シード層120の形成に使用される金属としては、例えば、ニッケルまたはニッケル系合金、具体的にはニッケル−銅合金、ニッケル−クロム合金、ニッケル−銅−クロム合金などが使用できる。
【0045】
一方、図1B〜図1Eは、本発明の好適な実施例に係る回路構造の様々な実施例を示す。それぞれの回路構造において、絶縁層100から突出した回路パターン150の他端部の形状は、同一であるが、トレンチ110に埋め込まれた回路パターン150の一端部の形状は、トレンチ110の形状によって異なる。また、トレンチ110の形状は、前述した説明と同様なので、反復説明は省略する。
【0046】
(プリント基板の製造方法)
図2A〜図2Fおよび図3〜図7は、本発明の好適な実施例に係るプリント基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0047】
以下、これらの図を参照して、本発明に係るプリント基板の製造方法について説明する。
【0048】
まず、図2A〜図2Fに示すように、絶縁層100を準備し、前記絶縁層100にトレンチ110を陰刻状に加工する。トレンチ110を加工する方法としては、レーザーを用いる方法や、インプリント(imprint)による方法がある。図2A〜図2Fに示したトレンチ110の構造は、本発明の様々な実施例を示し、トレンチ110構造の詳細な説明は、前述した説明と同様なので、ここでは説明を省略する。但し、図2Eおよび図2Fでは、第1溝部116および第2溝部114、115から構成されており、レーザーまたはインプリントによって、第1溝部116および第2溝部114、115を順次加工することにより形成される。トレンチ110は、回路パターン150が埋め込まれる部分であって、回路パターン150の一端部のパターンと同一のパターンを持つように形成されなければならず、各トレンチ110間の間隔は、回路パターン150の形状に応じて様々に実現される。
【0049】
次に、図3に示すように、トレンチ110の形成された絶縁層100にシード層120を形成する。この際、シード層120は、電解メッキ工程で回路パターン150を形成するために、一定の厚さ(例えば、1μm)以上を持つように形成することが好ましい。
【0050】
シード層120の形成方法としては、無電解メッキ方式またはスパッタリング方式を用いることができる。無電解メッキ方式は、脱脂工程、ソフトエッチング過程、予備触媒処理過程、触媒処理過程、活性化過程、無電解メッキ過程および酸化防止処理過程で行われる方式である。一方、スパッタリング方式は、プラズマなどによって発生する気体のイオン粒子を、銅ターゲットに衝突させることにより、絶縁層100およびトレンチ110に無電解メッキ層を形成する方式である。
【0051】
次に、図4に示すように、前記シード層120にレジストフィルムを塗布し、トレンチ110に対応するように、レジストフィルムに開口部を加工してメッキレジストパターン130を形成する。具体的に説明すると、シード層120上に、レジストフィルムを塗布し、マスクでブロッキングした状態で紫外線を照射する。マスク上には、形成しようとする回路パターン150に対応する位置にパターンが形成されている。その後、レジストフィルムを現像液に作用させると、紫外線の照射により硬化した部分は、そのまま残るが、硬化していない部分は、現像液によって除去されることにより、メッキレジストパターン130が形成される。
【0052】
通常、絶縁層100の表面に回路パターン150を形成するために、絶縁層100にメッキレジストパターン130を積層し、メッキレジストパターン130から露出された領域に回路パターン150を形成する。この際、メッキレジストパターン130の厚さは、回路パターン150の厚さより厚くなければならない。なぜなら、メッキレジストパターン130の厚さが薄い場合、過剰メッキによってメッキレジストパターン130を越えて回路パターン150間の短絡が発生する可能性があるためである。ところが、メッキレジストパターン130を所定の高さ以上に確保すると、高解像度の回路パターン150を実現することができない。これに対し、本発明の回路パターン150は、一端部および他端部に区分することができ、回路パターン150の厚さは、一端部の厚さと他端部の厚さとの和で定義される。ところが、回路パターン150の一端部は、トレンチ110に埋め込まれているので、他端部が絶縁層100から多少少なく突出しても、回路パターン150全体の厚さは確保されるであろう。よって、本発明は、回路パターン150を形成する過程で使用されるメッキレジストフィルムの厚さを薄くすることが可能であるから、高解像度の回路パターン150を実現することができるという利点がある。
【0053】
次に、図5に示すように、前記絶縁層100のトレンチ上に回路パターン150を形成する。この際、回路パターン150は、前記シード層120を引き込み線として、電解メッキ工程で形成する。電解メッキ層は、物理的特性に優れるうえ、厚いメッキ層を形成することが容易であるという利点がある。この際、回路パターン150の一端部は、トレンチ110に埋め込まれ、回路パターン150の他端部は、絶縁層100の表面から突出するようにする。
【0054】
次いで、図6に示すように、前記メッキレジストパターン130を剥離させて除去する。
【0055】
その後、図7に示すように、メッキレジストパターン130が除去されることにより回路パターン150から露出されたシード層120を除去する。シード層120の除去の際に、エッチング液を噴霧するフラッシュエッチング(Flash etching)工程を行うことができる。
【0056】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これらの実施例は、本発明を具体的に説明するためのものに過ぎない。本発明に係るプリント基板およびその製造方法は、これらの実施例に限定されず、本発明の技術的思想内において、当該分野における通常の知識を有する者によって多様な変形及び改良が可能なのは明白であろう。本発明の単純な変形ないし変更は、いずれも本発明の範疇内に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、特許請求の範囲によって明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、回路パターンの剥離問題を解決し、アンダーカットによる回路パターンの損傷発生を最小化するうえ、微細な回路パターンを実現することができるプリント基板およびその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
100 絶縁層
110 トレンチ
112、113 溝部
114、115 第2溝部(溝部)
116 第1溝部(溝部)
120 シード層
130 メッキレジストパターン
150 回路パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンチが陰刻状に形成された絶縁層と、
一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層から突出するように前記トレンチに形成された回路パターンとを含んでなることを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記絶縁層と前記回路パターンとの間にシード層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記トレンチは、内壁がテーパー状をすることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項4】
前記トレンチは、連続的に設けられた四角形の溝部を少なくとも2つ含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項5】
前記トレンチは、連続的に設けられた逆三角形の溝部を少なくとも2つ含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項6】
前記トレンチは、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた四角形の第2溝部から構成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項7】
前記トレンチは、前記第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた逆三角形の第2溝部から構成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項8】
(A)絶縁層にトレンチを陰刻状に形成する段階と、
(B)前記絶縁層にレジストフィルムを塗布し、前記トレンチに対応する開口部が設けられるように前記レジストフィルムをパターニングしてメッキレジストパターンを形成する段階と、
(C)前記絶縁層にメッキを施すことにより、一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層の表面から突出するように回路パターンを形成する段階と、
(D)前記メッキレジストパターンを除去する段階とを含んでなることを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項9】
前記(A)段階と前記(B)段階との間に、
前記絶縁層にシード層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項10】
前記(D)段階の後、
(E)前記回路パターンから露出された前記シード層を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項11】
前記(A)段階は、内壁がテーパー状をするように絶縁層にトレンチを形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項12】
前記(A)段階は、少なくとも2つの連続的に設けられた四角形の溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項13】
前記(A)段階は、少なくとも2つの連続的に設けられた逆三角形の溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項14】
前記(A)段階は、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた四角形の第2溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項15】
前記(A)段階は、
第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた逆三角形の第2溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項1】
トレンチが陰刻状に形成された絶縁層と、
一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層から突出するように前記トレンチに形成された回路パターンとを含んでなることを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記絶縁層と前記回路パターンとの間にシード層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記トレンチは、内壁がテーパー状をすることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項4】
前記トレンチは、連続的に設けられた四角形の溝部を少なくとも2つ含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項5】
前記トレンチは、連続的に設けられた逆三角形の溝部を少なくとも2つ含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項6】
前記トレンチは、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた四角形の第2溝部から構成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項7】
前記トレンチは、前記第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた逆三角形の第2溝部から構成されることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項8】
(A)絶縁層にトレンチを陰刻状に形成する段階と、
(B)前記絶縁層にレジストフィルムを塗布し、前記トレンチに対応する開口部が設けられるように前記レジストフィルムをパターニングしてメッキレジストパターンを形成する段階と、
(C)前記絶縁層にメッキを施すことにより、一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層の表面から突出するように回路パターンを形成する段階と、
(D)前記メッキレジストパターンを除去する段階とを含んでなることを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項9】
前記(A)段階と前記(B)段階との間に、
前記絶縁層にシード層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項10】
前記(D)段階の後、
(E)前記回路パターンから露出された前記シード層を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項11】
前記(A)段階は、内壁がテーパー状をするように絶縁層にトレンチを形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項12】
前記(A)段階は、少なくとも2つの連続的に設けられた四角形の溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項13】
前記(A)段階は、少なくとも2つの連続的に設けられた逆三角形の溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項14】
前記(A)段階は、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた四角形の第2溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項15】
前記(A)段階は、
第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた逆三角形の第2溝部から構成されたトレンチを絶縁層に形成する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント基板の製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−124452(P2012−124452A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88104(P2011−88104)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
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