プリント基板の支持方法及び装置
【課題】薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を破損や作業不良を生じさせることなく確実に支持できるとともに、専用かつ多数のパレットや専用の機械を用意することなくコストを安くプリント基板の生産を行うことができる方法及び装置を提供する。
【解決手段】バックアップ部材の上表面に設けられ、プリント基板を粘着する粘着部材と、バックアップ部材を前記昇降手段で上昇させることにより、バックアップ部材に前記プリント基板を粘着して前記装着作業位置で保持させる位置決め手段と、バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし手段と、を備えている。
【解決手段】バックアップ部材の上表面に設けられ、プリント基板を粘着する粘着部材と、バックアップ部材を前記昇降手段で上昇させることにより、バックアップ部材に前記プリント基板を粘着して前記装着作業位置で保持させる位置決め手段と、バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし手段と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板を印刷又は実装する等において、プリント基板を支持する方法及びその方法を使用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に半田印刷する作業や電子部品を装着する等の所定の作業を行う場合には、機械的にプリント基板を挟持したり吸引したりすることで、プリント基板の支持をおこなっている。しかし、近年の電子部品を使用する製品の小型・軽量化に伴い、電子部品を実装するプリント基板も板厚が薄く、小型のものが多く使用される。そのため、従来の機械的クランプでは薄い基板が割れたり、また吸引では、基板に設けられたスルーホールによって、強固に支持できなかったり、バキュームリークによってにじみ等の印刷不良を発生させたりという不具合が生じてきた。そのため、特許文献1に示すような、技術が提案されている。これは、粘着又は密着部材を施したパレットにプリント基板を保持し、プリント基板をパレットに保持した状態で搬送して実装等おこなうというものである。
【特許文献1】特開2002−232197号公報(第4頁、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の技術では、半田印刷や実装の前にパレットにプリント基板を貼り付けると、製造されるプリント基板の数に相当する枚数のパレットを必要とする。また、パレットへのプリント基板の貼り付け・引き剥がしのための人員工数や専用機械を必要とした。
【0004】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を破損や作業不良を生じさせることなく確実に支持できるとともに、専用かつ多数のパレットや専用の機械を必要とすることなくコストを安くプリント基板の生産を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、プリント基板上に所定の作業を行うために、作業位置でプリント基板を裏から支持するバックアップ部材と、該バックアップ部材を昇降させる昇降手段と、プリント基板の両端部を支持して搬送する一対の支持搬送手段と、を備えたプリント基板の支持装置において、前記バックアップ部材の上表面に設けられ、前記プリント基板を粘着する粘着部材と、該バックアップ部材を前記昇降手段で上昇させることにより、該バックアップ部材に前記プリント基板を粘着して前記作業位置で保持させる位置決め手段と、該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし手段と、を備えていることである。
【0006】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記剥がし手段は、該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより、プリント基板の両端を前記一対の支持搬送手段により支持させ、さらに該バックアップ部材を下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がすことである。
【0007】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、プレート部材であることである。
【0008】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、複数のピン部材であることである。
【0009】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、バックアップ部材本体と、該バックアップ部材本体の上部に配設され、その上表面に前記粘着部材による粘着層が設けられた可動部材と、を有し、該バックアップ部材本体と該可動部材との間には、プリント基板の搬送方向に平行な回動軸を有するヒンジ機構であって、該バックアップ部材本体及び該可動部材の中央より一端部側にずらして設けられ、該可動部材の他端部がバックアップ部材本体の他端部から上方へ離間するように可動するヒンジ機構を備えていることである。
【0010】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記剥がし手段は、剥がれ状態に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御する速度制御手段を備えていることである。
【0011】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、前記速度制御手段は、剥がされるプリント基板が下方へ撓むたわみ量を検知する距離センサを有し、該距離センサの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することである。
【0012】
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、前記速度制御手段は、前記プリント基板の前記支持搬送手段への加圧によって生ずる該支持搬送手段のひずみを検知する荷重センサを有し、該荷重センサの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することである。
【0013】
請求項9に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、前記昇降手段は、前記バックアップ部材をモータの駆動により下降させるものであり、前記制御手段は、前記モータのトルクを検知するトルクセンサを有し、該トルクの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することである。
【0014】
請求項10に係る発明の構成上の特徴は、プリント基板上に所定の作業を行うために、作業位置でプリント基板を裏から支持するバックアップ部材と、該バックアップ部材を昇降させる昇降手段と、プリント基板の両端部を支持して搬送する一対の支持搬送手段と、を備えたプリント基板支持装置において、前記バックアップ部材の上表面に粘着層を設け、該バックアップ部材を前記昇降手段により上昇させることにより、該バックアップ部材に前記プリント基板を粘着させて保持する保持工程と、該バックアップ部材に粘着保持されたプリント基板に所定の作業を行う所定作業工程と、該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし工程と、を備えていることである。
【0015】
請求項11に係る発明の構成上の特徴は、請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより、前記所定作業後のプリント基板の両端を前記支持搬送手段により支持させ、さらに該バックアップ部材を下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす工程であることである。
【0016】
請求項12に係る発明の構成上の特徴は、請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材の下降速度が、剥がしが開始される初期には遅く、剥がしが進行する中期には速く、すべて剥がされる後期には遅くなるように制御されていることである。
【0017】
請求項13に係る発明の構成上の特徴は、請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材の下降速度が、剥がし開始から剥がし完了まで遅く、剥がし完了後に速くなるように制御されていることである。
【0018】
請求項14に係る発明の構成上の特徴は、請求項10乃至13のいずれか1項において、前記バックアップ部材に、その上表面に開口する複数の連通孔を設け、
【0019】
前記剥がし工程で、該連通孔に正圧エアを吹き込むことである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によると、作業位置で半田印刷や電子部品を装着する等の所定の作業を行う際に、プリント基板をバックアップ部材に粘着部材により支持するので、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を破損したり、作業不良を生じさせたりすること無く、強固に支持することができる。
【0021】
請求項2に係る発明によると、プリント基板の両端を一対の支持搬送手段に支持した状態で、昇降手段でバックアップ部材を下降させることにより、プリント基板をバックアップ部材から剥がすので、剥がすための専用の機械を使用することなく剥がすことができる。このように、ほとんど既存の設備を使用することで薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を確実に取り扱うことができ、新たに高価な設備投資をすることなく安いコストで実施可能なプリント基板の支持装置を提供することができる。
【0022】
請求項3に係る発明によると、簡単な形状のプレート部材の上表面に粘着部材を設けるだけで、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を確実に支持できるので、安いコストで実施することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によると、先端上表面に粘着材が設けられた複数のピン部材により、ピン部材の配置変更が容易にできるので、プリント基板の支持が必要な位置を選んで保持することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によると、バックアップ部材の下降に伴い、一端部側にずらして設けられたヒンジ機構により他端部側が開いて、可動部材は一端部側が下方に他端部側が上方になって傾斜するので、バックアップ部材からプリント基板が、下降が先行する一端部側の粘着面の端部よりスムーズに剥がれることができる。
【0025】
請求項6に係る発明によると、剥がれ状態に応じてバックアップ部材の下降速度を制御するので、最適な下降速度で剥がすことができる。
【0026】
請求項7に係る発明によると、プリント基板のたわみ量を検出しながら下降速度を制御するので、たわみ量から求められる最適な下降速度で剥がすことができる。
【0027】
請求項8に係る発明によると、支持搬送手段のひずみを検出しながら下降速度を制御するので、ひずみ量から求められる最適な下降速度で剥がすことができる。また、検出されるひずみによりバックアップ部材からプリント基板が完全に剥がれる時点を検出できるので、この検出結果に基づいて下降速度の制御を行うことができる。
【0028】
請求項9に係る発明によると、モータのトルクを検出しながら下降速度を制御するので、トルクから求められる最適な下降速度で剥がすことができる。また、検出されるトルクによりバックアップ部材からプリント基板が完全に剥がれる時点を検出できるので、この検出結果に基づいて下降速度の制御を行うことができる。
【0029】
請求項10に係る発明によると、プリント基板に半田印刷や電子部品を装着する等の所定の作業を行う際に、上表面に粘着層を備えたバックアップ部材により支持するので、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を破損したり、作業不良を生じさせたりすること無く、強固に支持することができる。
【0030】
請求項11に係る発明によると、プリント基板の両端を一対の支持搬送手段に支持した状態で、昇降手段でバックアップ部材を下降させることにより、プリント基板をバックアップ部材から剥がすので、剥がすための専用の機械を使用することなく剥がすことができる。このように、ほとんど既存の設備を使用することができるので、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板の支持を、新たに高価な設備投資をすることなく安いコストで実施することができる。
【0031】
請求項12に係る発明によると、剥がし工程は、バックアップ部材の下降速度が、剥がしが開始される初期には遅いので、開始時にプリント基板と支持搬送手段との間で生じる衝撃を緩和し、プリント基板の破損や跳ね返りを防止することができる。また、同下降速度が、剥がしが進行する中期には速いので、作業時間を短縮させることができる。また、同下降速度が、すべて剥がされる後期に遅いので、剥がれた瞬間に生じるプリント基板の跳ね返り挙動を緩和させ、プリント基板の脱落を防止することができる。
【0032】
請求項13に係る発明によると、前記剥がし工程において、バックアップ部材の下降速度が、剥がし開始から剥がし完了まで遅いので、プリント基板を破損したり、跳ね返ったりすること無く確実に剥がすことができる。同下降速度は、剥がし完了後には速いので、作業時間の短縮を図ることができる。
【0033】
請求項14に係る発明によると、剥がし工程において、バックアップ部材の上表面に開口する連通孔からプリント基板の接着面に向かってエアが噴出されるので、プリント基板を容易に剥がすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明に係るプリント基板の支持方法を、半田印刷機に具体化した第1の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。プリント基板に行われる所定の作業として半田印刷を行うものである。図1は半田印刷機の概要を示す概念図であり、図2はバックアップ部材の部分断面図である。
【0035】
この半田印刷機2は、基板搬送装置4と、バックアップ装置6と、クランプ装置8と、スクリーン支持装置10と、図略のスキージ装置とを備えている。
【0036】
基板搬送装置4は、図1に示すように、プリント基板12を搬送方向(X方向)に搬送するもので、支持搬送手段としての一対の無端のコンベヤベルト14を有している。各コンベヤベルト14は、図略の複数のプーリによってガイドされるとともに、後述する昇降台の近くには一対のベルトガイド部材16が設けられ、これらのベルトガイド部材16によってもガイドされている。これらのベルトガイド部材16にはコンベヤベルト14に加わるひずみを検知する荷重センサ18が設けられている。これらの荷重センサ18により検出されるひずみ量の情報が後述する速度制御装置に送られるようになっている。また、これらのコンベヤベルト14は、それぞれ図略のベルト駆動装置によって周回させられることによりプリント基板12を半田印刷面に平行である水平方向に搬送する。
【0037】
これらのコンベヤベルト14の間にはバックアップ装置6が設けられている。このバックアップ装置6は、バックアップ部材20と昇降手段22とから構成される。バックアップ部材20は、図2に示すように、プレート状の金属板より形成され、その上表面には粘着部材24が設けられて粘着層が形成されている。この粘着部材24は、例えばシリコン材が両面に塗布されたシートであり、該シートをバックアップ部材20の上面に貼着させることによりバックアップ部材20と一体になるように形成される。なお、この粘着部材24について、シリコン材に含まれるシロキサンにより腐食のおそれがあるプリント基板12については、例えばNBR(ノルマル・ブタジエン・ラバー)を使用することができる。
【0038】
また、バックアップ部材20は昇降手段22の昇降台26に固定され、昇降台26はボールねじ28を介してモータ装置30によって昇降可能に構成されている。このモータ装置30は、例えばサーボモータであり、このサーボモータに設けられたロータリエンコーダ装置35により回転位置が検出され、検出された回転位置のデータが制御装置31に送られる。この制御装置31は、昇降台26(バックアップ部材20)の上下位置を定めるとともに上昇時にプリント基板12をバックアップ部材20に粘着させて保持させる位置決め手段を構成する。また、このモータ装置30には、モータのトルクを検出するトルクセンサ32が設けられている。このトルクセンサ32で検出されるトルク値が、速度制御装置33に送られる。このトルク値の情報又は前述の荷重センサ18から送られるひずみ量の情報に基づいてモータ装置30による回転速度が制御されて、昇降台26及びバックアップ部材20の下降速度が制御される。この下降速度を制御する速度制御装置33によって、剥がし手段が構成されている。ボールねじ28の両側には昇降ガイド34が設けられ、昇降台26の昇降がガイドされる。なお、前記バックアップ部材20、昇降手段22、コンベヤベルト14及び速度制御装置33によりプリント基板の支持装置を構成する。
【0039】
昇降台26の両側にはクランプ装置8が設けられ、クランプ装置8は一対のクランプ部材を備えている。クランプ部材のうち一方は固定されて固定クランプ部材36aとされ、他方は可動クランプ部材36bとしてX方向に直角なY方向に移動可能になっている。可動クランプ部材36bにはボールねじ38及びダンパー40が設けられ、可動クランプ部材36bを固定クランプ部材36aに対して接近離間させることにより、プリント基板12を挟持するクランプ位置とプリント基板12を開放するアンクランプ位置との間を移動するように構成されている。
【0040】
前記昇降台26の上方であって、クランプ装置8にクランプされるプリント基板12の上方には、昇降可能なスクリーン支持装置10が設けられ、スクリーン支持装置10にはスクリーンマスク42が張架されている。スクリーンマスク42の半田印刷箇所に対応する部分にはパターン孔が貫設されている。そして、スクリーン支持装置10の上方には図略のスキージ装置が水平方向往復自在に配設されている。プリント基板12がスクリーンマスク42の下面に当接した状態で、図略の半田供給装置より物体としてのペースト状のクリーム半田をスクリーンマスク42上に供給し、スキージ装置をスクリーンマスク42上で摺動させることにより、スクリーンマスク42に設けられたパターン孔を介してプリント基板12に該クリーム半田が印刷されるようになっている。
【0041】
以上のように構成された半田印刷機2の作動について図に基づいて以下に説明する。
【0042】
まず、プリント基板12の搬入前には、図1に示すように、バックアップ部材20及び昇降台2は下降されて下方の退避位置に位置決めされている。そして、プリント基板12はコンベヤベルト14により搬送されて印刷作業の行われる作業位置(装着作業位置)の下方にある停止位置に停止される。
【0043】
次に、モータ装置30の駆動によりボールねじ28を回転させ、昇降台26及びバックアップ部材20を上昇させる。そして、プリント基板12がコンベヤベルト14に支持されている位置において、バックアップ部材20がプリント基板12の裏面に当接する。その際に、粘着部材24によりバックアップ部材20の上表面にプリント基板12の裏面が粘着され、プリント基板12はバックアップ部材20に支持される。そして、バックアップ部材20を更に上昇させ、プリント基板12を半田印刷がおこなわれる作業位置まで上昇させて停止させる。この際に、例えば、プリント基板12の基準マークを読み取る撮像装置等にプリント基板12を上方から押圧する押え装置等を設けておき、このような押え装置で、プリント基板12をバックアップ部材20に押圧させることにより、プリント基板12をバックアップ部材20にしっかりと粘着させるようにしてもよい。
【0044】
次に、可動クランプ部材36bのボールねじ38を図略のモータ装置により回転させ、可動クランプ部材36bを固定クランプ部材36aに接近させ、図3に示すように、プリント基板12の両端面を側方からクランプする。
【0045】
なお、この可動クランプ部材36bによるプリント基板12のクランプ工程は、本実施形態において必須の工程ではなく、プリント基板12が粘着部材24によりバックアップ部材20に充分に粘着支持される場合には、該クランプ工程を省略することができる。
【0046】
次に、スクリーン支持装置10を下降させ、スクリーン支持装置10に張架されたスクリーンマスク42をプリント基板12の表面に接着させる。そして、図略の半田供給装置よりクリーム半田をスクリーンマスク42上に供給し、供給されたクリーム半田を、図略のスキージ装置を摺動させることによりスクリーンマスク42の表面に塗布する。この塗布されたクリーム半田はスクリーンマスク42に形成されたパターン孔を介してプリント基板12の表面に印刷される。
【0047】
次に、スクリーン支持装置10を上昇させ、可動クランプ部材36bを固定クランプ部材36aより離間させてプリント基板12をアンクランプさせる。そして、モータ装置30によりボールねじ28を逆転させて昇降台26を下降させることによりバックアップ部材20を下降させる。プリント基板12はバックアップ部材20に粘着された状態で一緒に下降する。そして、図4に示すように、プリント基板12の両端部がコンベヤベルト14に接触する位置まで下降させ、バックアップ部材20からプリント基板12を剥がす剥がし工程が次に開始される。
【0048】
剥がし工程において、荷重センサ18によるコンベヤベルト14にかかるひずみ量は、図7に示すように、プリント基板12の両端部がコンベヤベルト14に当接した当初は急速に増加し、図5に示すように、プリント基板12の剥がれが進行するにしたがって、バックアップ部材20がプリント基板12を下方へ引っ張る力が減少するため、ひずみ量は小さくなる。そして、図6に示すように、プリント基板12がバックアップ部材20から完全に剥がれるとひずみ量は0に近づく。このような、ひずみ量の変化に応じて、例えば図10に示すような、下降速度の制御がなされる。
【0049】
まず、荷重センサ18のひずみ量の値より、プリント基板12の両端部がコンベヤベルト14に当接する初期Aと判断される場合には、バックアップ部材20の下降が遅くなるように速度制御して、開始時にプリント基板12とコンベヤベルト14との間で生じる衝撃を緩和し、プリント基板12の破損や跳ね返りを防止する。また、プリント基板12の剥がしが進行する中期Bには同下降速度を速く制御させて、作業時間を短縮させることができる。また、すべてプリント基板12がバックアップ部材20から剥がされる後期Cには、同下降速度を遅く制御させることにより、剥がれた瞬間に生じるプリント基板12の跳ね返り挙動やそれに伴うプリント基板12の脱落を防止する。これらの速度制御に使用される下降速度は、プリント基板12の弾性や粘着部材の粘着性等によって変化するので、例えば実験等により最適な速度を予め求めることができる。
【0050】
なお、剥がし工程におけるバックアップ部材20の下降速度について、剥がし開始から剥がし完了まで遅く、剥がし完了後に速くなるように制御してもよい。このようにバックアップ部材20の下降速度が、剥がし開始から剥がし完了まで遅いので、プリント基板12を破損したり、跳ね返ったりすること無く確実に剥がすことができる。同下降速度は、剥がし完了後には速いので、作業時間の短縮を図ることができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、バックアップ部材20がプリント基板12を下方へ引っ張る力を荷重センサ18で捉えて速度制御するものとしたが、モータ装置30に取り付けられたトルクセンサ32によりバックアップ部材20がプリント基板12を下方へ引っ張る力を捉えて、前記下降速度を制御してもよい。
【0052】
次に、本発明に係るプリント基板の支持方法を印刷機に具体化した第2の実施形態を以下に説明する。本実施形態では、図8に示すように、クランプされたプリント基板12の上方には、距離センサ44が設けられている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0053】
上記のように構成された半田印刷機によると、前記距離センサ44によりプリント基板12の中央の変移量よりたわみ量を検知する。たわみ量は、例えば図9に示すように変化し、剥がし工程が開始される前の0点より徐々に下方へ大きく撓んでいき、全てが剥がれる直前において上方への戻りを生じ、tx点において完全に剥がれた状態になる。このようなたわみ量の挙動を記憶させておき、実際に検知されたたわみ量の値を速度制御装置33に送って、モータ装置30によりバックアップ部材20の下降速度を制御する。ここで、距離センサとして、例えばドップラー型、反射型の距離センサが使用できる。
【0054】
次に、本発明に係るプリント基板の支持方法を印刷機に具体化した第3の実施形態を以下に説明する。本実施形態においては、図11に示すように、バックアップ部材50及び粘着部材52には上表面に開口する複数の連通孔54が設けられ、これらの連通孔54は図略のエアポンプに連結されている。正圧エアがプリント基板12の裏面に対して噴出するようになっている。その他の構成は第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0055】
本実施形態の半田印刷機によると、剥がし工程において、バックアップ部材50の上表面に開口する連通孔54からプリント基板12の接着面に向かってエアが噴出されるので、プリント基板12を容易に剥がすことができる。
【0056】
次に、本発明に係るプリント基板の支持方法を印刷機に具体化した第4の実施形態を以下に説明する。本実施形態では、図12に示すように、バックアップ部材60はバックアップ部材本体62とバックアップ部材本体62の上部に配設された可動部材64とから構成されている。バックアップ部材本体62と可動部材64との間には、ヒンジ機構66が配設されている。このヒンジ機構66は搬送方向(X方向)と平行な回動軸68を備え、バックアップ部材本体62及び可動部材64の一端部側(図12において右側)に設けられている。バックアップ部材本体62及び可動部材64の他端部側(図12において左側)には、スペーサ部材70がバックアップ部材本体62の上面に固定されて配設されている。このスペーサ部材70によりヒンジ機構66の厚みによる可動部材64表面の傾きを水平に補正している。そして、可動部材64の上表面には粘着部材24が設けられて粘着層が形成されている。その他の構成は第1の実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0057】
本実施形態の半田印刷機によると、剥がし工程において、バックアップ部材60の下降に伴い、一端部側にずらして設けられたヒンジ機構66により他端部側が開いて、可動部材64は一端部側が下方に他端部側が上方になって傾斜するので、バックアップ部材60からプリント基板12が、下降が先行する一端部側の粘着面の端部よりスムーズに剥がれることができる。
【0058】
なお、上記実施形態においては、バックアップ部材を例えばプレート状の金属等としたが、これらに限定されず、例えば複数のピン部材よりなるものでもよい。この場合、バックアップ部材が先端上表面に粘着部材が設けられた複数のピン部材であることにより、バックアップ位置の変更が容易にできるので、プリント基板の保持が必要な位置を選んでピン部材を配置して保持することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、所定の作業としての半田印刷を行う印刷機に具体化されるものとしたが、これに限定されず、電子部品をプリント基板に実装する実装機に具体化することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、剥がし工程において、バックアップ部材の下降速度を制御するため、荷重センサ、トルクセンサ、距離センサを使用したが、これに限定されず、例えば各プリント基板の材質、形状等よりプリント基板の剥がし工程におけるたわみ挙動の特性モデルをプログラムしておくことにより、荷重センサ、トルクセンサ、距離センサを使用することなく、該特性モデルに基づいて下降速度を制御してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、スクリーンマスク支持装置を上下動させて、半田印刷を行う構成としたが、これに限定されず、例えばスクリーンマスク支持装置の位置までプリント基板を支持するテーブルを上昇させて半田印刷し、その後、該テーブルを下降させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を半田印刷機に具体化した第1の実施形態の概要を示す概念図。
【図2】同バックアップ部材の部分断面図。
【図3】バックアップ部材からプリント基板を剥がす剥がし工程を示す図。
【図4】バックアップ部材からプリント基板を剥がす剥がし工程を示す図。
【図5】バックアップ部材からプリント基板を剥がす剥がし工程を示す図。
【図6】バックアップ部材からプリント基板を剥がす剥がし工程を示す図。
【図7】荷重センサによる時系列のひずみ特性を示す図。
【図8】第2の実施形態の概要を示す概念図。
【図9】距離センサによる時系列の撓み量の特性を示す図。
【図10】バックアップ部材を下降させる際の速度制御モデルを示す図。
【図11】第3の実施形態におけるバックアップ部材を示す図。
【図12】第4の実施形態におけるバックアップ部材を示す図。
【図13】同作動状態を示す図。
【図14】同作動状態を示す図。
【図15】同作動状態を示す図。
【符号の説明】
【0063】
2…半田印刷機、12…プリント基板、14…プリント基板の支持装置・支持搬送手段(コンベヤベルト)、18…荷重センサ、20…プリント基板の支持装置(バックアップ部材)、22…プリント基板の支持装置(昇降手段)、24…粘着部材(粘着層)、30…モータ装置、31…位置決め手段(制御装置)、32…トルクセンサ、33…プリント基板の支持装置・剥がし手段(速度制御装置)、44…距離センサ、50…バックアップ部材、52…粘着部材(粘着層)、54…連通孔、60…バックアップ部材、62…バックアップ部材本体、64…可動部材、68…回動軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板を印刷又は実装する等において、プリント基板を支持する方法及びその方法を使用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に半田印刷する作業や電子部品を装着する等の所定の作業を行う場合には、機械的にプリント基板を挟持したり吸引したりすることで、プリント基板の支持をおこなっている。しかし、近年の電子部品を使用する製品の小型・軽量化に伴い、電子部品を実装するプリント基板も板厚が薄く、小型のものが多く使用される。そのため、従来の機械的クランプでは薄い基板が割れたり、また吸引では、基板に設けられたスルーホールによって、強固に支持できなかったり、バキュームリークによってにじみ等の印刷不良を発生させたりという不具合が生じてきた。そのため、特許文献1に示すような、技術が提案されている。これは、粘着又は密着部材を施したパレットにプリント基板を保持し、プリント基板をパレットに保持した状態で搬送して実装等おこなうというものである。
【特許文献1】特開2002−232197号公報(第4頁、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の技術では、半田印刷や実装の前にパレットにプリント基板を貼り付けると、製造されるプリント基板の数に相当する枚数のパレットを必要とする。また、パレットへのプリント基板の貼り付け・引き剥がしのための人員工数や専用機械を必要とした。
【0004】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を破損や作業不良を生じさせることなく確実に支持できるとともに、専用かつ多数のパレットや専用の機械を必要とすることなくコストを安くプリント基板の生産を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、プリント基板上に所定の作業を行うために、作業位置でプリント基板を裏から支持するバックアップ部材と、該バックアップ部材を昇降させる昇降手段と、プリント基板の両端部を支持して搬送する一対の支持搬送手段と、を備えたプリント基板の支持装置において、前記バックアップ部材の上表面に設けられ、前記プリント基板を粘着する粘着部材と、該バックアップ部材を前記昇降手段で上昇させることにより、該バックアップ部材に前記プリント基板を粘着して前記作業位置で保持させる位置決め手段と、該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし手段と、を備えていることである。
【0006】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記剥がし手段は、該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより、プリント基板の両端を前記一対の支持搬送手段により支持させ、さらに該バックアップ部材を下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がすことである。
【0007】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、プレート部材であることである。
【0008】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、複数のピン部材であることである。
【0009】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、バックアップ部材本体と、該バックアップ部材本体の上部に配設され、その上表面に前記粘着部材による粘着層が設けられた可動部材と、を有し、該バックアップ部材本体と該可動部材との間には、プリント基板の搬送方向に平行な回動軸を有するヒンジ機構であって、該バックアップ部材本体及び該可動部材の中央より一端部側にずらして設けられ、該可動部材の他端部がバックアップ部材本体の他端部から上方へ離間するように可動するヒンジ機構を備えていることである。
【0010】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記剥がし手段は、剥がれ状態に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御する速度制御手段を備えていることである。
【0011】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、前記速度制御手段は、剥がされるプリント基板が下方へ撓むたわみ量を検知する距離センサを有し、該距離センサの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することである。
【0012】
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、前記速度制御手段は、前記プリント基板の前記支持搬送手段への加圧によって生ずる該支持搬送手段のひずみを検知する荷重センサを有し、該荷重センサの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することである。
【0013】
請求項9に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、前記昇降手段は、前記バックアップ部材をモータの駆動により下降させるものであり、前記制御手段は、前記モータのトルクを検知するトルクセンサを有し、該トルクの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することである。
【0014】
請求項10に係る発明の構成上の特徴は、プリント基板上に所定の作業を行うために、作業位置でプリント基板を裏から支持するバックアップ部材と、該バックアップ部材を昇降させる昇降手段と、プリント基板の両端部を支持して搬送する一対の支持搬送手段と、を備えたプリント基板支持装置において、前記バックアップ部材の上表面に粘着層を設け、該バックアップ部材を前記昇降手段により上昇させることにより、該バックアップ部材に前記プリント基板を粘着させて保持する保持工程と、該バックアップ部材に粘着保持されたプリント基板に所定の作業を行う所定作業工程と、該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし工程と、を備えていることである。
【0015】
請求項11に係る発明の構成上の特徴は、請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより、前記所定作業後のプリント基板の両端を前記支持搬送手段により支持させ、さらに該バックアップ部材を下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす工程であることである。
【0016】
請求項12に係る発明の構成上の特徴は、請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材の下降速度が、剥がしが開始される初期には遅く、剥がしが進行する中期には速く、すべて剥がされる後期には遅くなるように制御されていることである。
【0017】
請求項13に係る発明の構成上の特徴は、請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材の下降速度が、剥がし開始から剥がし完了まで遅く、剥がし完了後に速くなるように制御されていることである。
【0018】
請求項14に係る発明の構成上の特徴は、請求項10乃至13のいずれか1項において、前記バックアップ部材に、その上表面に開口する複数の連通孔を設け、
【0019】
前記剥がし工程で、該連通孔に正圧エアを吹き込むことである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によると、作業位置で半田印刷や電子部品を装着する等の所定の作業を行う際に、プリント基板をバックアップ部材に粘着部材により支持するので、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を破損したり、作業不良を生じさせたりすること無く、強固に支持することができる。
【0021】
請求項2に係る発明によると、プリント基板の両端を一対の支持搬送手段に支持した状態で、昇降手段でバックアップ部材を下降させることにより、プリント基板をバックアップ部材から剥がすので、剥がすための専用の機械を使用することなく剥がすことができる。このように、ほとんど既存の設備を使用することで薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を確実に取り扱うことができ、新たに高価な設備投資をすることなく安いコストで実施可能なプリント基板の支持装置を提供することができる。
【0022】
請求項3に係る発明によると、簡単な形状のプレート部材の上表面に粘着部材を設けるだけで、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を確実に支持できるので、安いコストで実施することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によると、先端上表面に粘着材が設けられた複数のピン部材により、ピン部材の配置変更が容易にできるので、プリント基板の支持が必要な位置を選んで保持することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によると、バックアップ部材の下降に伴い、一端部側にずらして設けられたヒンジ機構により他端部側が開いて、可動部材は一端部側が下方に他端部側が上方になって傾斜するので、バックアップ部材からプリント基板が、下降が先行する一端部側の粘着面の端部よりスムーズに剥がれることができる。
【0025】
請求項6に係る発明によると、剥がれ状態に応じてバックアップ部材の下降速度を制御するので、最適な下降速度で剥がすことができる。
【0026】
請求項7に係る発明によると、プリント基板のたわみ量を検出しながら下降速度を制御するので、たわみ量から求められる最適な下降速度で剥がすことができる。
【0027】
請求項8に係る発明によると、支持搬送手段のひずみを検出しながら下降速度を制御するので、ひずみ量から求められる最適な下降速度で剥がすことができる。また、検出されるひずみによりバックアップ部材からプリント基板が完全に剥がれる時点を検出できるので、この検出結果に基づいて下降速度の制御を行うことができる。
【0028】
請求項9に係る発明によると、モータのトルクを検出しながら下降速度を制御するので、トルクから求められる最適な下降速度で剥がすことができる。また、検出されるトルクによりバックアップ部材からプリント基板が完全に剥がれる時点を検出できるので、この検出結果に基づいて下降速度の制御を行うことができる。
【0029】
請求項10に係る発明によると、プリント基板に半田印刷や電子部品を装着する等の所定の作業を行う際に、上表面に粘着層を備えたバックアップ部材により支持するので、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板を破損したり、作業不良を生じさせたりすること無く、強固に支持することができる。
【0030】
請求項11に係る発明によると、プリント基板の両端を一対の支持搬送手段に支持した状態で、昇降手段でバックアップ部材を下降させることにより、プリント基板をバックアップ部材から剥がすので、剥がすための専用の機械を使用することなく剥がすことができる。このように、ほとんど既存の設備を使用することができるので、薄いプリント基板や割れやすいプリント基板の支持を、新たに高価な設備投資をすることなく安いコストで実施することができる。
【0031】
請求項12に係る発明によると、剥がし工程は、バックアップ部材の下降速度が、剥がしが開始される初期には遅いので、開始時にプリント基板と支持搬送手段との間で生じる衝撃を緩和し、プリント基板の破損や跳ね返りを防止することができる。また、同下降速度が、剥がしが進行する中期には速いので、作業時間を短縮させることができる。また、同下降速度が、すべて剥がされる後期に遅いので、剥がれた瞬間に生じるプリント基板の跳ね返り挙動を緩和させ、プリント基板の脱落を防止することができる。
【0032】
請求項13に係る発明によると、前記剥がし工程において、バックアップ部材の下降速度が、剥がし開始から剥がし完了まで遅いので、プリント基板を破損したり、跳ね返ったりすること無く確実に剥がすことができる。同下降速度は、剥がし完了後には速いので、作業時間の短縮を図ることができる。
【0033】
請求項14に係る発明によると、剥がし工程において、バックアップ部材の上表面に開口する連通孔からプリント基板の接着面に向かってエアが噴出されるので、プリント基板を容易に剥がすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明に係るプリント基板の支持方法を、半田印刷機に具体化した第1の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。プリント基板に行われる所定の作業として半田印刷を行うものである。図1は半田印刷機の概要を示す概念図であり、図2はバックアップ部材の部分断面図である。
【0035】
この半田印刷機2は、基板搬送装置4と、バックアップ装置6と、クランプ装置8と、スクリーン支持装置10と、図略のスキージ装置とを備えている。
【0036】
基板搬送装置4は、図1に示すように、プリント基板12を搬送方向(X方向)に搬送するもので、支持搬送手段としての一対の無端のコンベヤベルト14を有している。各コンベヤベルト14は、図略の複数のプーリによってガイドされるとともに、後述する昇降台の近くには一対のベルトガイド部材16が設けられ、これらのベルトガイド部材16によってもガイドされている。これらのベルトガイド部材16にはコンベヤベルト14に加わるひずみを検知する荷重センサ18が設けられている。これらの荷重センサ18により検出されるひずみ量の情報が後述する速度制御装置に送られるようになっている。また、これらのコンベヤベルト14は、それぞれ図略のベルト駆動装置によって周回させられることによりプリント基板12を半田印刷面に平行である水平方向に搬送する。
【0037】
これらのコンベヤベルト14の間にはバックアップ装置6が設けられている。このバックアップ装置6は、バックアップ部材20と昇降手段22とから構成される。バックアップ部材20は、図2に示すように、プレート状の金属板より形成され、その上表面には粘着部材24が設けられて粘着層が形成されている。この粘着部材24は、例えばシリコン材が両面に塗布されたシートであり、該シートをバックアップ部材20の上面に貼着させることによりバックアップ部材20と一体になるように形成される。なお、この粘着部材24について、シリコン材に含まれるシロキサンにより腐食のおそれがあるプリント基板12については、例えばNBR(ノルマル・ブタジエン・ラバー)を使用することができる。
【0038】
また、バックアップ部材20は昇降手段22の昇降台26に固定され、昇降台26はボールねじ28を介してモータ装置30によって昇降可能に構成されている。このモータ装置30は、例えばサーボモータであり、このサーボモータに設けられたロータリエンコーダ装置35により回転位置が検出され、検出された回転位置のデータが制御装置31に送られる。この制御装置31は、昇降台26(バックアップ部材20)の上下位置を定めるとともに上昇時にプリント基板12をバックアップ部材20に粘着させて保持させる位置決め手段を構成する。また、このモータ装置30には、モータのトルクを検出するトルクセンサ32が設けられている。このトルクセンサ32で検出されるトルク値が、速度制御装置33に送られる。このトルク値の情報又は前述の荷重センサ18から送られるひずみ量の情報に基づいてモータ装置30による回転速度が制御されて、昇降台26及びバックアップ部材20の下降速度が制御される。この下降速度を制御する速度制御装置33によって、剥がし手段が構成されている。ボールねじ28の両側には昇降ガイド34が設けられ、昇降台26の昇降がガイドされる。なお、前記バックアップ部材20、昇降手段22、コンベヤベルト14及び速度制御装置33によりプリント基板の支持装置を構成する。
【0039】
昇降台26の両側にはクランプ装置8が設けられ、クランプ装置8は一対のクランプ部材を備えている。クランプ部材のうち一方は固定されて固定クランプ部材36aとされ、他方は可動クランプ部材36bとしてX方向に直角なY方向に移動可能になっている。可動クランプ部材36bにはボールねじ38及びダンパー40が設けられ、可動クランプ部材36bを固定クランプ部材36aに対して接近離間させることにより、プリント基板12を挟持するクランプ位置とプリント基板12を開放するアンクランプ位置との間を移動するように構成されている。
【0040】
前記昇降台26の上方であって、クランプ装置8にクランプされるプリント基板12の上方には、昇降可能なスクリーン支持装置10が設けられ、スクリーン支持装置10にはスクリーンマスク42が張架されている。スクリーンマスク42の半田印刷箇所に対応する部分にはパターン孔が貫設されている。そして、スクリーン支持装置10の上方には図略のスキージ装置が水平方向往復自在に配設されている。プリント基板12がスクリーンマスク42の下面に当接した状態で、図略の半田供給装置より物体としてのペースト状のクリーム半田をスクリーンマスク42上に供給し、スキージ装置をスクリーンマスク42上で摺動させることにより、スクリーンマスク42に設けられたパターン孔を介してプリント基板12に該クリーム半田が印刷されるようになっている。
【0041】
以上のように構成された半田印刷機2の作動について図に基づいて以下に説明する。
【0042】
まず、プリント基板12の搬入前には、図1に示すように、バックアップ部材20及び昇降台2は下降されて下方の退避位置に位置決めされている。そして、プリント基板12はコンベヤベルト14により搬送されて印刷作業の行われる作業位置(装着作業位置)の下方にある停止位置に停止される。
【0043】
次に、モータ装置30の駆動によりボールねじ28を回転させ、昇降台26及びバックアップ部材20を上昇させる。そして、プリント基板12がコンベヤベルト14に支持されている位置において、バックアップ部材20がプリント基板12の裏面に当接する。その際に、粘着部材24によりバックアップ部材20の上表面にプリント基板12の裏面が粘着され、プリント基板12はバックアップ部材20に支持される。そして、バックアップ部材20を更に上昇させ、プリント基板12を半田印刷がおこなわれる作業位置まで上昇させて停止させる。この際に、例えば、プリント基板12の基準マークを読み取る撮像装置等にプリント基板12を上方から押圧する押え装置等を設けておき、このような押え装置で、プリント基板12をバックアップ部材20に押圧させることにより、プリント基板12をバックアップ部材20にしっかりと粘着させるようにしてもよい。
【0044】
次に、可動クランプ部材36bのボールねじ38を図略のモータ装置により回転させ、可動クランプ部材36bを固定クランプ部材36aに接近させ、図3に示すように、プリント基板12の両端面を側方からクランプする。
【0045】
なお、この可動クランプ部材36bによるプリント基板12のクランプ工程は、本実施形態において必須の工程ではなく、プリント基板12が粘着部材24によりバックアップ部材20に充分に粘着支持される場合には、該クランプ工程を省略することができる。
【0046】
次に、スクリーン支持装置10を下降させ、スクリーン支持装置10に張架されたスクリーンマスク42をプリント基板12の表面に接着させる。そして、図略の半田供給装置よりクリーム半田をスクリーンマスク42上に供給し、供給されたクリーム半田を、図略のスキージ装置を摺動させることによりスクリーンマスク42の表面に塗布する。この塗布されたクリーム半田はスクリーンマスク42に形成されたパターン孔を介してプリント基板12の表面に印刷される。
【0047】
次に、スクリーン支持装置10を上昇させ、可動クランプ部材36bを固定クランプ部材36aより離間させてプリント基板12をアンクランプさせる。そして、モータ装置30によりボールねじ28を逆転させて昇降台26を下降させることによりバックアップ部材20を下降させる。プリント基板12はバックアップ部材20に粘着された状態で一緒に下降する。そして、図4に示すように、プリント基板12の両端部がコンベヤベルト14に接触する位置まで下降させ、バックアップ部材20からプリント基板12を剥がす剥がし工程が次に開始される。
【0048】
剥がし工程において、荷重センサ18によるコンベヤベルト14にかかるひずみ量は、図7に示すように、プリント基板12の両端部がコンベヤベルト14に当接した当初は急速に増加し、図5に示すように、プリント基板12の剥がれが進行するにしたがって、バックアップ部材20がプリント基板12を下方へ引っ張る力が減少するため、ひずみ量は小さくなる。そして、図6に示すように、プリント基板12がバックアップ部材20から完全に剥がれるとひずみ量は0に近づく。このような、ひずみ量の変化に応じて、例えば図10に示すような、下降速度の制御がなされる。
【0049】
まず、荷重センサ18のひずみ量の値より、プリント基板12の両端部がコンベヤベルト14に当接する初期Aと判断される場合には、バックアップ部材20の下降が遅くなるように速度制御して、開始時にプリント基板12とコンベヤベルト14との間で生じる衝撃を緩和し、プリント基板12の破損や跳ね返りを防止する。また、プリント基板12の剥がしが進行する中期Bには同下降速度を速く制御させて、作業時間を短縮させることができる。また、すべてプリント基板12がバックアップ部材20から剥がされる後期Cには、同下降速度を遅く制御させることにより、剥がれた瞬間に生じるプリント基板12の跳ね返り挙動やそれに伴うプリント基板12の脱落を防止する。これらの速度制御に使用される下降速度は、プリント基板12の弾性や粘着部材の粘着性等によって変化するので、例えば実験等により最適な速度を予め求めることができる。
【0050】
なお、剥がし工程におけるバックアップ部材20の下降速度について、剥がし開始から剥がし完了まで遅く、剥がし完了後に速くなるように制御してもよい。このようにバックアップ部材20の下降速度が、剥がし開始から剥がし完了まで遅いので、プリント基板12を破損したり、跳ね返ったりすること無く確実に剥がすことができる。同下降速度は、剥がし完了後には速いので、作業時間の短縮を図ることができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、バックアップ部材20がプリント基板12を下方へ引っ張る力を荷重センサ18で捉えて速度制御するものとしたが、モータ装置30に取り付けられたトルクセンサ32によりバックアップ部材20がプリント基板12を下方へ引っ張る力を捉えて、前記下降速度を制御してもよい。
【0052】
次に、本発明に係るプリント基板の支持方法を印刷機に具体化した第2の実施形態を以下に説明する。本実施形態では、図8に示すように、クランプされたプリント基板12の上方には、距離センサ44が設けられている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0053】
上記のように構成された半田印刷機によると、前記距離センサ44によりプリント基板12の中央の変移量よりたわみ量を検知する。たわみ量は、例えば図9に示すように変化し、剥がし工程が開始される前の0点より徐々に下方へ大きく撓んでいき、全てが剥がれる直前において上方への戻りを生じ、tx点において完全に剥がれた状態になる。このようなたわみ量の挙動を記憶させておき、実際に検知されたたわみ量の値を速度制御装置33に送って、モータ装置30によりバックアップ部材20の下降速度を制御する。ここで、距離センサとして、例えばドップラー型、反射型の距離センサが使用できる。
【0054】
次に、本発明に係るプリント基板の支持方法を印刷機に具体化した第3の実施形態を以下に説明する。本実施形態においては、図11に示すように、バックアップ部材50及び粘着部材52には上表面に開口する複数の連通孔54が設けられ、これらの連通孔54は図略のエアポンプに連結されている。正圧エアがプリント基板12の裏面に対して噴出するようになっている。その他の構成は第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0055】
本実施形態の半田印刷機によると、剥がし工程において、バックアップ部材50の上表面に開口する連通孔54からプリント基板12の接着面に向かってエアが噴出されるので、プリント基板12を容易に剥がすことができる。
【0056】
次に、本発明に係るプリント基板の支持方法を印刷機に具体化した第4の実施形態を以下に説明する。本実施形態では、図12に示すように、バックアップ部材60はバックアップ部材本体62とバックアップ部材本体62の上部に配設された可動部材64とから構成されている。バックアップ部材本体62と可動部材64との間には、ヒンジ機構66が配設されている。このヒンジ機構66は搬送方向(X方向)と平行な回動軸68を備え、バックアップ部材本体62及び可動部材64の一端部側(図12において右側)に設けられている。バックアップ部材本体62及び可動部材64の他端部側(図12において左側)には、スペーサ部材70がバックアップ部材本体62の上面に固定されて配設されている。このスペーサ部材70によりヒンジ機構66の厚みによる可動部材64表面の傾きを水平に補正している。そして、可動部材64の上表面には粘着部材24が設けられて粘着層が形成されている。その他の構成は第1の実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0057】
本実施形態の半田印刷機によると、剥がし工程において、バックアップ部材60の下降に伴い、一端部側にずらして設けられたヒンジ機構66により他端部側が開いて、可動部材64は一端部側が下方に他端部側が上方になって傾斜するので、バックアップ部材60からプリント基板12が、下降が先行する一端部側の粘着面の端部よりスムーズに剥がれることができる。
【0058】
なお、上記実施形態においては、バックアップ部材を例えばプレート状の金属等としたが、これらに限定されず、例えば複数のピン部材よりなるものでもよい。この場合、バックアップ部材が先端上表面に粘着部材が設けられた複数のピン部材であることにより、バックアップ位置の変更が容易にできるので、プリント基板の保持が必要な位置を選んでピン部材を配置して保持することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、所定の作業としての半田印刷を行う印刷機に具体化されるものとしたが、これに限定されず、電子部品をプリント基板に実装する実装機に具体化することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、剥がし工程において、バックアップ部材の下降速度を制御するため、荷重センサ、トルクセンサ、距離センサを使用したが、これに限定されず、例えば各プリント基板の材質、形状等よりプリント基板の剥がし工程におけるたわみ挙動の特性モデルをプログラムしておくことにより、荷重センサ、トルクセンサ、距離センサを使用することなく、該特性モデルに基づいて下降速度を制御してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、スクリーンマスク支持装置を上下動させて、半田印刷を行う構成としたが、これに限定されず、例えばスクリーンマスク支持装置の位置までプリント基板を支持するテーブルを上昇させて半田印刷し、その後、該テーブルを下降させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を半田印刷機に具体化した第1の実施形態の概要を示す概念図。
【図2】同バックアップ部材の部分断面図。
【図3】バックアップ部材からプリント基板を剥がす剥がし工程を示す図。
【図4】バックアップ部材からプリント基板を剥がす剥がし工程を示す図。
【図5】バックアップ部材からプリント基板を剥がす剥がし工程を示す図。
【図6】バックアップ部材からプリント基板を剥がす剥がし工程を示す図。
【図7】荷重センサによる時系列のひずみ特性を示す図。
【図8】第2の実施形態の概要を示す概念図。
【図9】距離センサによる時系列の撓み量の特性を示す図。
【図10】バックアップ部材を下降させる際の速度制御モデルを示す図。
【図11】第3の実施形態におけるバックアップ部材を示す図。
【図12】第4の実施形態におけるバックアップ部材を示す図。
【図13】同作動状態を示す図。
【図14】同作動状態を示す図。
【図15】同作動状態を示す図。
【符号の説明】
【0063】
2…半田印刷機、12…プリント基板、14…プリント基板の支持装置・支持搬送手段(コンベヤベルト)、18…荷重センサ、20…プリント基板の支持装置(バックアップ部材)、22…プリント基板の支持装置(昇降手段)、24…粘着部材(粘着層)、30…モータ装置、31…位置決め手段(制御装置)、32…トルクセンサ、33…プリント基板の支持装置・剥がし手段(速度制御装置)、44…距離センサ、50…バックアップ部材、52…粘着部材(粘着層)、54…連通孔、60…バックアップ部材、62…バックアップ部材本体、64…可動部材、68…回動軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板上に所定の作業を行うために、作業位置でプリント基板を裏から支持するバックアップ部材と、該バックアップ部材を昇降させる昇降手段と、プリント基板の両端部を支持して搬送する一対の支持搬送手段と、を備えたプリント基板の支持装置において、
前記バックアップ部材の上表面に設けられ、前記プリント基板を粘着する粘着部材と、
該バックアップ部材を前記昇降手段で上昇させることにより、該バックアップ部材に前記プリント基板を粘着して前記作業位置で保持させる位置決め手段と、
該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし手段と、
を備えていることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項2】
請求項1において、前記剥がし手段は、該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより、プリント基板の両端を前記一対の支持搬送手段により支持させ、さらに該バックアップ部材を下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がすことを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、プレート部材であることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、複数のピン部材であることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、バックアップ部材本体と、
該バックアップ部材本体の上部に配設され、その上表面に前記粘着部材による粘着層が設けられた可動部材と、を有し、
該バックアップ部材本体と該可動部材との間には、プリント基板の搬送方向に平行な回動軸を有するヒンジ機構であって、該バックアップ部材本体及び該可動部材の中央より一端部側にずらして設けられ、該可動部材の他端部がバックアップ部材本体の他端部から上方へ離間するように可動するヒンジ機構を備えていることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、前記剥がし手段は、剥がれ状態に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御する速度制御手段を備えていることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項7】
請求項6において、前記速度制御手段は、剥がされるプリント基板が下方へ撓むたわみ量を検知する距離センサを有し、該距離センサの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項8】
請求項6において、前記速度制御手段は、前記プリント基板の前記支持搬送手段への加圧によって生ずる該支持搬送手段のひずみを検知する荷重センサを有し、該荷重センサの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項9】
請求項6において、前記昇降手段は、前記バックアップ部材をモータの駆動により下降させるものであり、
前記制御手段は、前記モータのトルクを検知するトルクセンサを有し、該トルクの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項10】
プリント基板上に所定の作業を行うために、作業位置でプリント基板を裏から支持するバックアップ部材と、該バックアップ部材を昇降させる昇降手段と、プリント基板の両端部を支持して搬送する一対の支持搬送手段と、を備えたプリント基板の支持装置において、
前記バックアップ部材の上表面に粘着層を設け、
該バックアップ部材を前記昇降手段により上昇させることにより、該バックアップ部材に前記プリント基板を粘着させて保持する保持工程と、
該バックアップ部材に粘着保持されたプリント基板に所定の作業を行う所定作業工程と、
該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし工程と、
を備えていることを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項11】
請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより、前記所定作業工程後のプリント基板の両端を前記支持搬送手段により支持させ、さらに該バックアップ部材を下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす工程であることを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項12】
請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材の下降速度が、剥がしが開始される初期には遅く、剥がしが進行する中期には速く、すべて剥がされる後期には遅くなるように制御されていることを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項13】
請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材の下降速度が、剥がし開始から剥がし完了まで遅く、剥がし完了後に速くなるように制御されていることを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項において、前記バックアップ部材に、その上表面に開口する複数の連通孔を設け、
前記剥がし工程で、該連通孔に正圧エアを吹き込むことを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項1】
プリント基板上に所定の作業を行うために、作業位置でプリント基板を裏から支持するバックアップ部材と、該バックアップ部材を昇降させる昇降手段と、プリント基板の両端部を支持して搬送する一対の支持搬送手段と、を備えたプリント基板の支持装置において、
前記バックアップ部材の上表面に設けられ、前記プリント基板を粘着する粘着部材と、
該バックアップ部材を前記昇降手段で上昇させることにより、該バックアップ部材に前記プリント基板を粘着して前記作業位置で保持させる位置決め手段と、
該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし手段と、
を備えていることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項2】
請求項1において、前記剥がし手段は、該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより、プリント基板の両端を前記一対の支持搬送手段により支持させ、さらに該バックアップ部材を下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がすことを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、プレート部材であることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、複数のピン部材であることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、前記バックアップ部材は、バックアップ部材本体と、
該バックアップ部材本体の上部に配設され、その上表面に前記粘着部材による粘着層が設けられた可動部材と、を有し、
該バックアップ部材本体と該可動部材との間には、プリント基板の搬送方向に平行な回動軸を有するヒンジ機構であって、該バックアップ部材本体及び該可動部材の中央より一端部側にずらして設けられ、該可動部材の他端部がバックアップ部材本体の他端部から上方へ離間するように可動するヒンジ機構を備えていることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、前記剥がし手段は、剥がれ状態に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御する速度制御手段を備えていることを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項7】
請求項6において、前記速度制御手段は、剥がされるプリント基板が下方へ撓むたわみ量を検知する距離センサを有し、該距離センサの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項8】
請求項6において、前記速度制御手段は、前記プリント基板の前記支持搬送手段への加圧によって生ずる該支持搬送手段のひずみを検知する荷重センサを有し、該荷重センサの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項9】
請求項6において、前記昇降手段は、前記バックアップ部材をモータの駆動により下降させるものであり、
前記制御手段は、前記モータのトルクを検知するトルクセンサを有し、該トルクの検出する値に応じて前記バックアップ部材の下降速度を制御することを特徴とするプリント基板の支持装置。
【請求項10】
プリント基板上に所定の作業を行うために、作業位置でプリント基板を裏から支持するバックアップ部材と、該バックアップ部材を昇降させる昇降手段と、プリント基板の両端部を支持して搬送する一対の支持搬送手段と、を備えたプリント基板の支持装置において、
前記バックアップ部材の上表面に粘着層を設け、
該バックアップ部材を前記昇降手段により上昇させることにより、該バックアップ部材に前記プリント基板を粘着させて保持する保持工程と、
該バックアップ部材に粘着保持されたプリント基板に所定の作業を行う所定作業工程と、
該バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす剥がし工程と、
を備えていることを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項11】
請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材を前記昇降手段で下降させることにより、前記所定作業工程後のプリント基板の両端を前記支持搬送手段により支持させ、さらに該バックアップ部材を下降させることにより該バックアップ部材から該プリント基板を剥がす工程であることを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項12】
請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材の下降速度が、剥がしが開始される初期には遅く、剥がしが進行する中期には速く、すべて剥がされる後期には遅くなるように制御されていることを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項13】
請求項10において、前記剥がし工程は、前記バックアップ部材の下降速度が、剥がし開始から剥がし完了まで遅く、剥がし完了後に速くなるように制御されていることを特徴とするプリント基板の支持方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項において、前記バックアップ部材に、その上表面に開口する複数の連通孔を設け、
前記剥がし工程で、該連通孔に正圧エアを吹き込むことを特徴とするプリント基板の支持方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−91593(P2008−91593A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270260(P2006−270260)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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