プリント配線回路基板及び電子機器
【課題】プリント配線回路基板及び電子機器において、専用のアンテナを設けることなく、小型化を達成できるとともに放射板(電極)の利得を良好なものとすること。
【解決手段】送受信信号を処理するRFIDシステム用の無線ICチップ5が搭載されたプリント配線回路基板20。無線ICチップ5以外の電子部品のグランドとして用いられるグランド電極21と、一方端22a及び他方端22bを有し、グランド電極21の一部分に電気的に導通状態で結合した、又は、グランド電極21に電磁界結合したループ状電極22とを備えている。無線ICチップ5は第1の入出力端子及び第2の入出力端子を有し、該第1の入出力端子及び第2の入出力端子はループ状電極22の一方端22a及び他方端22bにそれぞれ接続されている。
【解決手段】送受信信号を処理するRFIDシステム用の無線ICチップ5が搭載されたプリント配線回路基板20。無線ICチップ5以外の電子部品のグランドとして用いられるグランド電極21と、一方端22a及び他方端22bを有し、グランド電極21の一部分に電気的に導通状態で結合した、又は、グランド電極21に電磁界結合したループ状電極22とを備えている。無線ICチップ5は第1の入出力端子及び第2の入出力端子を有し、該第1の入出力端子及び第2の入出力端子はループ状電極22の一方端22a及び他方端22bにそれぞれ接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線回路基板、特に、RFID(Radio Frequency Identification)システムに用いられる無線ICチップを有するプリント配線回路基板及び該回路基板を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品の管理システムとして、誘導電磁界を発生するリーダライタと物品や容器などに付された所定の情報を記憶したICチップ(ICタグ、無線ICチップとも称する)とを非接触方式で通信し、情報を伝達するRFIDシステムが開発されている。
【0003】
特許文献1には、ICチップとプリント配線回路基板内に形成されたアンテナとを備えたRFIDタグが記載されている。このRFIDタグでは、プリント配線回路基板内のアンテナと該基板の主面上に実装したICチップとを電気的に導通状態で接続している。そして、アンテナをプリント配線回路基板内に配置することにより、RFIDタグを小型化している。
【0004】
しかしながら、このRFIDタグでは、専用のアンテナを設けているため、アンテナ作製工程が必要でコストが上昇し、かつ、設置スペースも必要で大型化する。また、ICチップを変更するとアンテナ形状なども変更する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平11−515094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、専用のアンテナを設けることなく、小型化を達成できるとともにアンテナとして機能する放射板(電極)の利得が良好なプリント配線回路基板及び該回路基板を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の第1形態であるプリント配線回路基板は、
送受信信号を処理するRFIDシステム用の無線ICチップが搭載されたプリント配線回路基板であって、
前記無線ICチップ以外の電子部品のグランドとして用いられるグランド電極と、
一方端及び他方端を有し、前記グランド電極の一部分に電気的に導通状態で結合した、又は、前記グランド電極に電磁界結合したループ状電極と、
を備え、
前記無線ICチップは第1の入出力端子及び第2の入出力端子を有し、該第1の入出力端子及び第2の入出力端子は前記ループ状電極の一方端及び他方端にそれぞれ接続されていること、
を特徴とする。
【0008】
本発明の第2形態である電子機器は、前記プリント配線回路基板を備えていることを特徴とする。
【0009】
前記プリント配線回路基板においては、無線ICチップとグランド電極とがループ状電極を介して結合され、該グランド電極が無線ICチップの放射板(アンテナ)として機能する。即ち、グランド電極で受信された信号によってループ状電極を介して無線ICチップが動作され、該無線ICチップからの応答信号がループ状電極を介してグランド電極から外部に放射される。従って、必ずしも専用のアンテナを作製する必要がなく、それを設置するスペースも必要としない。また、ループ状電極にて無線ICチップとグランド電極とのインピーダンスを整合させることができ、必ずしも別途整合部を設ける必要がなく、無線ICチップとグランド電極との信号伝達効率が向上する。
【0010】
ところで、放射板(アンテナ)はその形状で決まる共振経路に起因する共振周波数を持ち、この共振周波数は放射板(電極)の両端部を共振端とする特定の値となる。この共振周波数がRFIDシステムの使用周波数近辺にあるとき利得が高く、無線ICデバイスとしての特性が良好となる。基本波の共振時における電力(電位×電流)分布において電力が大きくなる領域は、共振経路の一端から他端にわたる約1/4から約3/4の領域であり、この領域にループ状電極を配置することにより給電効率が高く、利得が良好となる。
【0011】
また、アンテナとして機能するグランド電極にスリット及び/又は切欠きを形成することにより、共振経路が規定されるとともにグランド電極の共振周波数が調整される。グランド電極をアンテナとして利用すると、該グランド電極のサイズは概ね回路基板のサイズによって決められる。この場合、グランド電極の共振周波数がRFIDシステムでの使用周波数とずれてしまい、アンテナとしての利得が低下するおそれがある。アンテナとして機能させるグランド電極にスリット及び/又は切欠きを形成することによって共振モードを任意に設定することができ、グランド電極がRFIDシステムの使用周波数に近付いた好ましい共振周波数に調整され、利得が向上する。
【0012】
また、無線ICチップとループ状電極との間に給電回路基板が介在されていてもよい。この給電回路基板はインダクタンス素子を有する共振回路及び/又は整合回路を含むもので、共振回路及び/又は整合回路によって使用周波数が実質的に設定され、RFIDシステムの使用周波数に応じて無線ICチップを変更した場合、共振回路及び/又は整合回路の設計を変更するだけでよく、放射板(電極)の形状やサイズ、配置、あるいは、ループ状電極とグランド電極又は給電回路基板との結合状態まで変更する必要はない。また、共振回路及び/又は整合回路は無線ICチップとグランド電極とのインピーダンス整合機能をも備えることができ、無線ICチップとグランド電極との信号伝達効率を向上させることができる。
【0013】
なお、無線ICチップは、本プリント配線回路基板が取り付けられる物品に関する各種情報がメモリされている以外に、情報が書き換え可能であってもよく、RFIDシステム以外の情報処理機能を有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既設のグランド電極をアンテナとして利用することができ、必ずしも別部品としてアンテナを配置する必要がなくなり、プリント配線回路基板を搭載した機器を小型化することができ、利得が良好でもある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】無線ICデバイスの第1の基本形態を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図2】無線ICチップを示す斜視図である。
【図3】無線ICデバイスの第2の基本形態を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図4】無線ICデバイスの第3の基本形態を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図5】無線ICデバイスの第4の基本形態を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図6】共振回路の第1例を内蔵した給電回路基板を示す分解斜視図である。
【図7】共振回路の第2例を設けた給電回路基板を示す平面図である。
【図8】無線ICデバイスの第1実施例を示す平面図である。
【図9】第1実施例の要部を示す拡大平面図である。
【図10】基本波の共振時における電圧と電流の分布を示すグラフである。
【図11】基本波の共振時における電力の変化を示すグラフである。
【図12】無線ICデバイスの第2実施例を示す平面図である。
【図13】無線ICデバイスの第3実施例を示す平面図である。
【図14】無線ICデバイスの第4実施例を示す平面図である。
【図15】無線ICデバイスの第5実施例を示す平面図である。
【図16】無線ICデバイスの第6実施例を示す平面図である。
【図17】無線ICデバイスの第7実施例を示す平面図である。
【図18】無線ICデバイスの第8実施例を示す平面図である。
【図19】3倍波の共振時における電圧と電流の分布を示すグラフである。
【図20】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図21】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図22】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図23】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図24】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図25】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図26】本発明に係る電子機器の一実施例である携帯電話を示す斜視図である。
【図27】前記携帯電話に内蔵されているプリント配線回路基板を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るプリント配線回路基板及び電子機器の実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部品、部分は同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1の基本形態、図1及び図2参照)
図1に無線ICデバイスの第1の基本形態を示す。この第1の基本形態は、プリント配線回路基板20上にループ状電極22をグランド電極21とは別体に設け、該ループ状電極22に所定周波数の送受信信号を処理する無線ICチップ5を結合させたものである。グランド電極21及びループ状電極22は、それぞれ回路基板20の主面上に導体ペーストの塗布や、回路基板20上に設けた金属箔をエッチングすることなどで設けられている。
【0018】
無線ICチップ5は、クロック回路、ロジック回路、メモリ回路などを含み、必要な情報がメモリされており、図2に示すように、裏面に入出力端子電極6,6及び実装用端子電極7,7が設けられている。入出力端子電極6,6がループ状電極22の両端に設けた接続用電極22a,22bに金属バンプ8にて電気的に接続されている。また、回路基板20上には一対の接続用電極22c,22dが設けられ、無線ICチップ5の端子電極7,7がこの接続用電極22c,22dに金属バンプ8を介して電気的に接続されている。
【0019】
ループ状電極22はグランド電極21のエッジ部21aに対して平行に近接して設けられ、この両者は電界により結合している。即ち、ループ状電極22をグランド電極21のエッジ部21aに近接させることで、ループ状電極22から直交方向にループ状の磁界H(図1(A)の点線参照)が発生し、その磁界Hがグランド電極21に対して直交方向に交わることによってグランド電極21のエッジ部21aにループ状の電界E(図1(A)の一点鎖線参照)が励振される。このループ状電界Eによりさらにループ状磁界Hが誘起されることにより、ループ状電界Eとループ状磁界Hとがグランド電極21の全面に広がっていき、高周波信号を空中に放射する。このようにグランド電極21とループ状電極22とを近接して、かつ、絶縁状態で配置することによって、両者を確実に電磁界結合させることができ、放射特性が向上する。
【0020】
以上のごとくループ状電極22がグランド電極21と電磁界により結合することにより、リーダライタから放射されてグランド電極21で受信された高周波信号がループ状電極22を介して無線ICチップ5に供給され、無線ICチップ5が動作する。一方、無線ICチップ5からの応答信号がループ状電極22を介してグランド電極21に伝達され、グランド電極21からリーダライタに放射される。
【0021】
グランド電極21は本無線ICデバイスが収容される電子機器のプリント配線回路基板20に既設のものを利用してもよい。あるいは、電子機器に搭載されている他の電子部品のグランド電極として使用されるものであってもよい。従って、この無線ICデバイスにおいては、専用のアンテナを作製する必要がなく、それを設置するスペースも必要としない。しかも、グランド電極21は大きなサイズで形成されているため、放射利得が向上する。
【0022】
また、ループ状電極22は、その長さ、電極幅及びグランド電極21との間隔などを調整することで、無線ICチップ5とグランド電極21とのインピーダンスの整合をとることができる。さらに、回路基板20は複数の誘電体層又は磁性体層を積層してなる多層基板であってもよい。このような多層基板であれば、ループ状電極22やグランド電極21を多層の回路基板20の複数の層に配置し、周知のビアホール導体を用いて電気的に導通状態を形成してもよい。また、ループ状電極22やグランド電極21を回路基板20の裏面に形成し、回路基板20の表面に搭載した無線ICチップ5とループ状電極22とをビアホール導体で結合させてもよい。
【0023】
(第2の基本形態、図3参照)
図3に無線ICデバイスの第2の基本形態を示す。この第2の基本形態は、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21の一側辺に開口部21bを形成することにより該開口部21bの周囲にループ状電極31を設けたもので、接続用電極31a,31bが無線ICチップ5の入出力端子電極6,6(図2参照)と金属バンプ8を介して電気的に接続されている。また、回路基板20の表面に形成した接続用電極31c,31dが無線ICチップ5の実装用端子電極7,7と金属バンプ8を介して電気的に接続されている。
【0024】
第2の基本形態において、ループ状電極31はグランド電極21と電気的に導通状態で結合し、このループ状電極31が介在することで無線ICチップ5とグランド電極21とが結合する。第2の基本形態の動作は前記第1の基本形態と同様であり、その作用効果も第1の基本形態で説明したとおりである。
【0025】
なお、ループ状電極31は以下に詳述するように種々の形状を採用することができる。また、グランド電極21やループ状電極31を回路基板20の内部や裏面に形成してもよいことは勿論である。
【0026】
(第3の基本形態、図4参照)
図4に無線ICデバイスの第3の基本形態を示す。この第3の基本形態は、無線ICチップ5を給電回路基板10に搭載して電磁結合モジュール1を構成し、該電磁結合モジュール1をプリント配線回路基板20に設けたループ状電極35に電気的に接続したものである。ループ状電極35は、前記第1の基本形態で示したループ状電極22(図1参照)と同様に、回路基板20の表面に設けたグランド電極21に近接して配置され、グランド電極21と磁界により結合している。
【0027】
無線ICチップ5は、図2に示した入出力端子電極6,6が給電回路基板10の表面に設けた電極12a,12b(図6及び図7参照)に金属バンプ8を介して電気的に接続され、実装用端子電極7,7が電極12c,12dに金属バンプ8を介して電気的に接続されている。さらに、給電回路基板10の表面と無線ICチップ5の裏面との間には両者の接合強度を向上させる効果も有する保護膜9が設けられている。
【0028】
給電回路基板10は、インダクタンス素子を有する共振回路(図4では省略)を内蔵したもので、裏面には外部電極19a,19b(図6及び図7参照)が設けられ、表面には接続用電極12a〜12d(図6及び図7参照)が形成されている。外部電極19a,19bは基板10に内蔵された共振回路と電磁界結合し、ループ状電極35の接続用電極35a,35bとは図示しない導電性接着剤を介して電気的に導通状態で接続されている。なお、この電気的な接続には半田などを用いてもよく、また、難燃性の導電性接着剤を使用しても構わない。
【0029】
さらに、外部電極19a,19bと接続用電極35a,35bとは絶縁性の接着剤で接続しても構わない。また、絶縁性接着剤も難燃性のものを用いてもよい。難燃性の接着剤を使用することにより、電子機器の故障などによりプリント配線回路基板20が燃えたとしても、無線ICチップ5や電磁結合モジュール1が消失することはない。また、電子機器が炎上した場合でもプリント配線回路基板20上に電磁結合モジュール1が接着された状態で残すことができる。プリント配線回路基板20及びその上の電極は、炎上時の熱により変形等するが、電磁結合モジュール1内の共振回路で信号の周波数を決定しているため、回路基板やその上の電極が変形したとしても無線ICデバイスとしての機能を失うことはなく、炎上した後でもその電子機器を認識することができる。
【0030】
即ち、給電回路基板10には所定の共振周波数を有する共振回路が内蔵されており、無線ICチップ5から発信された所定の周波数を有する送信信号を外部電極19a,19b及びループ状電極35を介してグランド電極21に伝達し、かつ、グランド電極21で受けた信号から所定の周波数を有する受信信号を選択し、無線ICチップ5に供給する。それゆえ、この無線ICデバイスは、グランド電極21で受信された信号によって無線ICチップ5が動作され、該無線ICチップ5からの応答信号がグランド電極21から外部に放射される。
【0031】
前記電磁結合モジュール1にあっては、給電回路基板10の裏面に設けた外部電極19a,19bが、基板10に内蔵された共振回路と電磁界結合するとともに、アンテナとして機能するグランド電極21と電界結合しているループ状電極35と電気的に導通している。電磁結合モジュール1としては比較的サイズの大きいアンテナ素子を別部品として搭載する必要はなく、小型に構成できる。しかも、給電回路基板10も小型化されているので、無線ICチップ5はこのような小型の給電回路基板10に搭載すればよく、従来から広く使用されているIC実装機などを用いることができ、実装コストが低減する。また、使用周波数帯を変更するに際しては、共振回路の設計を変更するだけでよい。
【0032】
なお、給電回路基板10内に形成される素子としては、インダクタンス素子のみでもよい。インダクタンス素子は無線ICチップ5と放射板(グランド電極21)とのインピーダンス整合機能を有している。
【0033】
(第4の基本形態、図5参照)
図5に無線ICデバイスの第4の基本形態を示す。この第4の基本形態は、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21の一側辺に開口部21bを形成することにより該開口部21bの周囲にループ状電極36を設け、かつ、無線ICチップ5を給電回路基板10に搭載した電磁結合モジュール1をループ状電極36に電気的に接続したものである。ループ状電極36は、接続用電極36a,36bが給電回路基板10の裏面に設けた外部電極19a,19bと図示しない導電性接着剤を介して電気的に導通状態で接続されている。なお、第4の基本形態における給電回路基板10の構成、作用は前記第3の基本形態と同様であり、ループ状電極36の作用は前記第2の基本形態で示したループ状電極31と同様である。
【0034】
(共振回路の第1例、図6参照)
給電回路基板10に内蔵された共振回路の第1例を図6に示す。この給電回路基板10は、誘電体からなるセラミックシート11A〜11Hを積層、圧着、焼成したもので、シート11Aには接続用電極12a,12bと電極12c,12dとビアホール導体13a,13bが形成され、シート11Bにはキャパシタ電極18aと導体パターン15a,15bとビアホール導体13c〜13eが形成され、シート11Cにはキャパシタ電極18bとビアホール導体13d〜13fが形成されている。さらに、シート11Dには導体パターン16a,16bとビアホール導体13e,13f,14a,14b,14dが形成され、シート11Eには導体パターン16a,16bとビアホール導体13e,13f,14a,14c,14eが形成され、シート11Fにはキャパシタ電極17と導体パターン16a,16bとビアホール導体13e,13f,14f,14gが形成され、シート11Gには導体パターン16a,16bとビアホール導体13e,13f,14f,14gが形成され、シート11Hには導体パターン16a,16bとビアホール導体13fが形成されている。
【0035】
以上のシート11A〜11Hを積層することにより、ビアホール導体14c,14d,14gで螺旋状に接続された導体パターン16aにてインダクタンス素子L1が構成され、ビアホール導体14b,14e,14fで螺旋状に接続された導体パターン16bにてインダクタンス素子L2が構成され、キャパシタ電極18a,18bにてキャパシタンス素子C1が構成され、キャパシタ電極18b,17にてキャパシタンス素子C2が構成される。
【0036】
インダクタンス素子L1の一端はビアホール導体13d、導体パターン15a、ビアホール導体13cを介してキャパシタ電極18bに接続され、インダクタンス素子L2の一端はビアホール導体14aを介してキャパシタ電極17に接続される。また、インダクタンス素子L1,L2の他端は、シート11H上で一つにまとめられ、ビアホール導体13e、導体パターン15b、ビアホール導体13aを介して接続用電極12aに接続されている。さらに、キャパシタ電極18aはビアホール導体13bを介して接続用電極12bに電気的に接続されている。
【0037】
そして、接続用電極12a,12bが金属バンプ8を介して無線ICチップ5の端子電極6,6と電気的に接続される。電極12c,12dは無線ICチップ5の端子電極7,7に接続される。
【0038】
また、給電回路基板10の裏面には外部電極19a,19bが導体ペーストの塗布などで設けられ、外部電極19aはインダクタンス素子L(L1,L2)と磁界により結合し、外部電極19bはビアホール導体13fを介してキャパシタ電極18bに電気的に接続される。外部電極19a,19bはループ状電極35又は36の接続用電極35a,35b又は36a,36bに電気的に接続されることは前述のとおりである。
【0039】
なお、この共振回路において、インダクタンス素子L1,L2は2本の導体パターン16a,16bを並列に配置した構造としている。2本の導体パターン16a,16bはそれぞれ線路長が異なっており、異なる共振周波数とすることができ、無線ICデバイスを広帯域化できる。
【0040】
なお、各セラミックシート11A〜11Hは磁性体のセラミック材料からなるシートであってもよく、給電回路基板10は従来から用いられているシート積層法、厚膜印刷法などの多層基板の製作工程により容易に得ることができる。
【0041】
また、前記シート11A〜11Hを、例えば、ポリイミドや液晶ポリマなどの誘電体からなるフレキシブルなシートとして形成し、該シート上に厚膜形成法などで電極や導体を形成し、それらのシートを積層して熱圧着などで積層体とし、インダクタンス素子L1,L2やキャパシタンス素子C1,C2を内蔵させてもよい。
【0042】
前記給電回路基板10において、インダクタンス素子L1,L2とキャパシタンス素子C1,C2とは平面透視で異なる位置に設けられ、インダクタンス素子L1,L2により外部電極19aと磁界的に結合し、外部電極19bはキャパシタンス素子C1を構成する一方の電極となっている。
【0043】
従って、給電回路基板10上に前記無線ICチップ5を搭載した電磁結合モジュール1は、図示しないリーダライタから放射される高周波信号(例えば、UHF周波数帯)をグランド電極21で受信し、ループ状電極35又は36を介して外部電極19a,19bと磁界結合及び電界結合している共振回路を共振させ、所定の周波数帯の受信信号のみを無線ICチップ5に供給する。一方、この受信信号から所定のエネルギーを取り出し、このエネルギーを駆動源として無線ICチップ5にメモリされている情報を、共振回路にて所定の周波数に整合させた後、外部電極19a,19b及びループ状電極35又は36を介してグランド電極21に伝え、該グランド電極21からリーダライタに送信、転送する。
【0044】
給電回路基板10においては、インダクタンス素子L1,L2とキャパシタンス素子C1,C2で構成された共振回路にて共振周波数特性が決定される。グランド電極21から放射される信号の共振周波数は、共振回路の自己共振周波数によって実質的に決まる。
【0045】
ところで、共振回路は無線ICチップ5のインピーダンスとグランド電極21のインピーダンスを整合させるためのマッチング回路を兼ねている。給電回路基板10は、インダクタンス素子やキャパシタンス素子で構成された共振回路とは別に設けられたマッチング回路を備えていてもよい(この意味で、共振回路を整合回路とも称する)。共振回路にマッチング回路の機能をも付加しようとすると、共振回路の設計が複雑になる傾向がある。共振回路とは別にマッチング回路を設ければ、共振回路、マッチング回路をそれぞれ独立して設計できる。なお、前記ループ状電極35,36はインピーダンス整合機能や共振回路としての機能を備えていてもよい。その場合、ループ状電極の形状や放射板となるグランド電極のサイズなども考慮して給電回路基板10内の共振回路(整合回路)の設計を行うことにより、放射特性を向上させることができる。
【0046】
(共振回路の第2例、図7参照)
給電回路基板70に設けた共振回路の第2例を、図7に示す。この給電回路基板70は、フレキシブルなPETフィルムなどからなり、基板70上に、インダクタ素子Lを構成する螺旋形状の導体パターン72と、キャパシタンス素子Cを構成するキャパシタ電極73とを形成したものである。導体パターン72及びキャパシタ電極73から引き出された電極12a,12bは無線ICチップ5の端子電極6,6と電気的に接続される。また、基板70上に形成された電極12c,12dは無線ICチップ5の端子電極7,7に電気的に接続される。
【0047】
給電回路基板70ではインダクタンス素子Lとキャパシタンス素子Cとで共振回路を構成し、それぞれに対向する前記電極35a,35b又は前記電極36a,36bとの間で磁界結合及び電界結合し、所定周波数の高周波信号を送受信する点は前記第1例と同様である。特に、第2例では給電回路基板70がフレキシブルなフィルムから構成されているため、電磁結合モジュール1が低背化される。また、インダクタンス素子Lに関しては、導体パターン72の線幅や線間隔を変更することでインダクタンス値を変更し、共振周波数を微調整することができる。
【0048】
なお、本第2例においても、インダクタンス素子Lは2本の導体パターン72を螺旋形状に配置し、螺旋中心部において2本の導体パターン72を接続している。これらの2本の導体パターン72はそれぞれ異なるインダクタンス値L1,L2を有しており、それぞれの共振周波数を異なる値に設定することができ、前記第1例と同様に無線ICデバイスの使用周波数帯を広帯域化することができる。
【0049】
(電磁結合モジュールの他の例)
電磁結合モジュールとしては、給電回路基板上に無線ICチップを搭載したもの以外に、無線ICの機能を給電回路基板に含めて無線ICと給電回路とを一つの基板に形成してもよい。これにより、無線ICデバイスを小型化、低背化することができる。
【0050】
(第1実施例、図8〜図11参照)
以下に第1実施例〜第8実施例を説明する。これらの実施例は、前記第2及び第4の基本形態(図3及び図5参照)で説明したように、グランド電極に形成した開口部によってループ状電極を形成したものである。
【0051】
第1実施例である無線ICデバイスは、図8及び図9に示すように、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21の一側辺に開口部21bを形成することにより該開口部21bの周囲にループ状電極31を設けたもので、接続用電極31a,31bが無線ICチップ5又は電磁結合モジュール1と結合されている。
【0052】
アンテナとして機能するグランド電極21は両端部21cが共振端となる共振モードで共振する。共振経路は電極21の形状で決まり、共振経路の長さに起因する特定の共振周波数となる。この共振周波数がRFIDシステムの使用周波数近辺にあるとき利得が高く、無線ICデバイスとしての特性が良好となる。
【0053】
基本波の共振時における電圧と電流の分布は図10に示す特性を有し、電力(電位×電流)分布は図11に示す特性を有する。図10及び図11において、横軸は図8に示すように共振経路の一端位置Aから中央位置Bを経て他端位置Cまでの長さを示している。共振経路において電力が大きくなる領域は、共振経路の一端位置Aから他端位置Cにわたる約1/4から約3/4の領域Xであり、電力が最大になるのは中央位置Bである。
【0054】
詳しくは、図11に示すように、電力は中央位置Bを1とすると、共振経路(横軸方向に)の1/4及び3/4の位置で0.5であり、1/8及び7/8の位置で0.15であり、0及び1の位置で0になる。このため、給電効率を考慮すると、電力が0.5以上で動作させるためには、給電点となるループ状電極31の配置点を共振経路の一端から他端にわたる約1/4から約3/4の領域Xに配置することが望ましい。
【0055】
従って、給電点(ループ状電極31の配置点)をこの領域Xに配置することにより、給電効率が良好になり、アンテナとして好ましい利得を得ることができる。本第1実施例では、給電点を電力の最も大きい中央位置Bに配置している。
【0056】
ところで、図1を参照して説明すると、ループ状電極22はグランド電極21をアンテナとして機能させるために用いており、ループ状電極22もインピーダンス変換の機能を有している。具体的には、ループ状電極22はその接続用電極22a,22bの間でループ形状に起因するインピーダンスを有している。そして、電極22a,22bと結合される無線ICチップ5又は給電回路基板10から送信される信号に相当する電流はループ形状に沿って流れる。
【0057】
接続用電極22a,22bにおけるインピーダンス(Z)は実数部(R)と虚数部(X)の和で表され、ループ状電極22の形状が小さくなると電流経路長も短くなるため、ループ状電極22で発生する抵抗(R)も小さくなる。電流経路長が短くなると、その電流により発生するインダクタンス(L)によるインピーダンス(X=ωL)も小さくなる。携帯電話などの機器の小型化などでループ状電極22の配置スペースが小さくなった場合、ループ状電極22のインピーダンスが小さくなりすぎてしまい、無線ICチップや給電(共振/整合)回路とのインピーダンスの差が大きくなり、無線ICチップ5や給電回路から放射板へ十分な電力の伝達ができなくなるという問題が発生する。
【0058】
この問題を解決するためには、ループ状電極22のインピーダンス(Z)を大きくする必要があり、実数部(R)又は虚数部(X)を大きくする必要がある。本第1実施例ではこのような問題をも解決するようにした。即ち、ループ状電極31の内側に環状の整合電極32を配置した。この整合電極32によってループ状電極31の電流経路が長くなり、抵抗(R)が大きくなるとともに実数部(R)が大きくなり、結果的にインピーダンス(Z)を大きくすることができる。なお、図9に示す整合電極32の形状は、一例であり、開口部21bの形状や大きさなどに合わせてミアンダ状などに変更しても構わない。
【0059】
(第2実施例、図12参照)
第2実施例である無線ICデバイスは、図12に示すように、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21に切欠き27を形成することで略L字形状としたものである。共振経路は切欠き27によって規定され、給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。
【0060】
本第2実施例において、グランド電極21に設けた切欠き27は、グランド電極21の共振周波数を調整する機能を有している。切欠き27や以下に説明するスリット23a,23b,23cが形成されていない場合、グランド電極21は両端部21cが共振端となる共振モードで共振する(図8参照)。グランド電極21のサイズは概ね回路基板20のサイズによって予め決められているため、両端部21cを共振端とする共振モードでの共振周波数がRFIDシステムでの使用周波数と合致しない場合があり、この場合利得が低下してしまう。切欠き27やスリット23a,23b,23cを形成することにより、共振モードが図12に示すように長くなり、共振周波数が低くなるように調整され、RFIDシステムの使用周波数に近付けることができる。これにて、利得が向上する。
【0061】
なお、グランド電極21に切欠きやスリットを形成することで、共振モードを短くすることも可能であり、この場合には共振周波数が高く調整されることになる。また、回路基板20自体がグランド電極21に沿ったL字形状であってもよい。
【0062】
(第3実施例、図13参照)
第3実施例である無線ICデバイスは、図13に示すように、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21にスリット23aを形成したものである。共振経路はスリット23aによって規定され、給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。また、スリット23aは、前記切欠き27と同様に、グランド電極21の共振周波数を調整する機能を有している。
【0063】
なお、スリット23aや前記切欠き27の形状によっては、複数の共振モード(共振周波数)を得ることもできる。グランド電極21が複数の共振周波数を持つと使用周波数帯域が広くなる。
【0064】
(第4実施例、図14参照)
第4実施例である無線ICデバイスは、図14に示すように、スリット23cに回路配線26を配置したプリント配線回路基板20において、グランド電極21にループ状電極31を配置した部分と回路配線26を配置した部分とを仕切るようにスリット23bを形成したものである。共振経路はスリット23bによって規定され、給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。また、スリット23bはグランド電極の共振周波数を調整する機能を有している。回路配線26の全てがグランド電極21に囲まれているため、これらの回路部分の電気的安定性が向上する。
【0065】
(第5実施例、図15参照)
第5実施例である無線ICデバイスは、図15に示すように、スリット23cに回路配線26を配置したプリント配線回路基板20において、給電点(ループ状電極31の配置点)を最も利得が高くなる中央位置Bに配置したものである。
【0066】
本第5実施例では、回路配線26を配置したスリット23cが、共振経路を規定し、かつ、共振周波数を調整する機能を果たしている。小型のグランド電極21であっても低い共振周波数に調整することができ、共振周波数を調整するための専用のスリットや切欠きを形成する必要がない。
【0067】
(第6実施例、図16参照)
本第6実施例である無線ICデバイスは、図16に示すように、前記第5実施例と基本的には同様の構成からなり、共振経路をより長く形成したものである。給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。
【0068】
(第7実施例、図17参照)
第7実施例である無線ICデバイスは、図17に示すように、プリント配線回路基板20を多層基板とし、その表面に設けたグランド電極21の端部と内部層に形成した電極24とをビアホール導体25にて電気的に接続したものである。給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。
【0069】
本第7実施例においても良好な利得を得ることができ、さらに、回路基板20の複数の層を利用して共振モードを設定するため、共振周波数の調整自由度が高くなり、複雑な共振モードを設計することが可能である。
【0070】
(第8実施例、図18参照)
第8実施例である無線ICデバイスは、図18に示すように、プリント配線回路基板20に実装された金属部材とグランド電極21とを導通状態としたものである。詳しくは、回路基板20に搭載したパワーアンプなどの電子部品の金属ケース28とグランド電極21の他端とが電気的に接続されている。また、グランド電極21の一端には、共振経路を長くするためにスリット23aが形成されている。給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。
【0071】
本第8実施例では、電極21の一端位置Aと金属ケース28の端部(他端位置C)とを共振端とする共振モードが形成される。なお、グランド電極21の一端は、前記第7実施例に示したように、他の層に形成した電極24と電気的に接続されていてもよい。
【0072】
(他の共振モード、図19参照)
グランド電極21が図19に示すように3倍波の共振モードでは、給電効率を考慮すると、ループ状電極31を共振経路の一端位置Aから他端位置Cにわたる約1/12から約3/12、約5/12から約7/12及び約9/12から約11/12のいずれかの領域に配置することが望ましい。
【0073】
(ループ状電極の各種形状、図20〜図25参照)
ループ状電極は図9に示した形状以外の種々の形状とすることができる。そのような形状を以下に説明する。勿論、ここに示す以外の形状であってもよい。
【0074】
図20に示すループ状電極31は、比較的短い整合電極32を形成したものである。図21及び図22に示すループ状電極31は、整合電極32を比較的長く形成したもので、前記第1実施例で説明したように、インピーダンス(Z)を大きくすることができる。
【0075】
図23に示すループ状電極31は、開口部21bを比較的大きくしたものである。
【0076】
図24に示すループ状電極31はその内側にミアンダ状の整合電極32を配置したものであり、インピーダンス(Z)を大きくすることができる。
【0077】
図25に示すループ状電極33は、周囲をグランド電極21に囲まれた開口部21eに形成され、ミアンダ状の整合電極34を有し、整合電極34の端部である接続用電極34a,34bに無線ICチップ5又は電磁結合モジュール1が結合される。このループ状電極33は、第1の基本形態(図1参照)で示したループ状電極22と同様に、グランド電極21と電界により結合する。
【0078】
(電子機器、図26及び図27参照)
次に、本発明に係る電子機器の一実施例として携帯電話を説明する。図26に示す携帯電話80は、複数の周波数に対応しており、地上波デジタル信号、GPS信号、WiFi信号、CDMAやGSM(登録商標)などの通信用信号が入力される。
【0079】
筐体81内には、図27に示すように、プリント配線回路基板20が設置されている。このプリント配線回路基板20には、無線通信用回路90と電磁結合モジュール1とが配置されている。無線通信用回路90は、IC91と回路基板20に内蔵されたバラン92とBPF93とコンデンサ94とで構成されている。無線ICチップ5を搭載した給電回路基板10は、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21と結合しているループ状電極上に搭載され、無線ICデバイスを構成している。
【0080】
(他の実施例)
なお、本発明に係るプリント配線回路基板及び電子機器は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0081】
例えば、共振回路は様々な構成のものを採用できる。前記実施例に示した外部電極や給電回路基板の材料はあくまで例示であり、必要な特性を有する材料であれば、任意のものを使用することができる。
【0082】
無線ICチップを給電回路基板に実装するのに、金属バンプ以外の処理を用いてもよい。また、無線ICチップの電極と給電回路基板の接続用電極との間に誘電体を配置して該両電極を容量結合しても構わない。さらに、無線ICチップとループ状電極と、あるいは、給電回路基板とループ状電極とを容量結合しても構わない。また、無線ICチップを樹脂などで保護しても構わない。これにより無線ICチップの耐環境性を向上させることができる。さらに、その樹脂として難燃性の樹脂を使用しても構わない。難燃性の樹脂を使用することにより無線ICデバイスを搭載したプリント配線回路基板及び電子機器が炎上した後でも無線ICデバイスとして機能させることができる。
【0083】
また、無線ICデバイスが実装される機器は、携帯電話などの無線通信機器に限らず、グランド電極などを有する回路基板を備えた種々の機器(例えば、テレビや冷蔵庫などの家電製品)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明は、プリント配線回路基板及び電子機器に有用であり、特に、専用のアンテナを設けることなく、小型化を達成できるとともにアンテナとして機能する放射板(電極)の利得が良好である点で優れている。
【符号の説明】
【0085】
1…電磁結合モジュール
5…無線ICチップ
10…給電回路基板
20…プリント配線回路基板
21…グランド電極
21b,21e…開口部
22,31,33,35,36…ループ状電極
23a,23b,23c…スリット
24…電極
27…切欠き
28…金属ケース
32,34…整合電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線回路基板、特に、RFID(Radio Frequency Identification)システムに用いられる無線ICチップを有するプリント配線回路基板及び該回路基板を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品の管理システムとして、誘導電磁界を発生するリーダライタと物品や容器などに付された所定の情報を記憶したICチップ(ICタグ、無線ICチップとも称する)とを非接触方式で通信し、情報を伝達するRFIDシステムが開発されている。
【0003】
特許文献1には、ICチップとプリント配線回路基板内に形成されたアンテナとを備えたRFIDタグが記載されている。このRFIDタグでは、プリント配線回路基板内のアンテナと該基板の主面上に実装したICチップとを電気的に導通状態で接続している。そして、アンテナをプリント配線回路基板内に配置することにより、RFIDタグを小型化している。
【0004】
しかしながら、このRFIDタグでは、専用のアンテナを設けているため、アンテナ作製工程が必要でコストが上昇し、かつ、設置スペースも必要で大型化する。また、ICチップを変更するとアンテナ形状なども変更する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平11−515094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、専用のアンテナを設けることなく、小型化を達成できるとともにアンテナとして機能する放射板(電極)の利得が良好なプリント配線回路基板及び該回路基板を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の第1形態であるプリント配線回路基板は、
送受信信号を処理するRFIDシステム用の無線ICチップが搭載されたプリント配線回路基板であって、
前記無線ICチップ以外の電子部品のグランドとして用いられるグランド電極と、
一方端及び他方端を有し、前記グランド電極の一部分に電気的に導通状態で結合した、又は、前記グランド電極に電磁界結合したループ状電極と、
を備え、
前記無線ICチップは第1の入出力端子及び第2の入出力端子を有し、該第1の入出力端子及び第2の入出力端子は前記ループ状電極の一方端及び他方端にそれぞれ接続されていること、
を特徴とする。
【0008】
本発明の第2形態である電子機器は、前記プリント配線回路基板を備えていることを特徴とする。
【0009】
前記プリント配線回路基板においては、無線ICチップとグランド電極とがループ状電極を介して結合され、該グランド電極が無線ICチップの放射板(アンテナ)として機能する。即ち、グランド電極で受信された信号によってループ状電極を介して無線ICチップが動作され、該無線ICチップからの応答信号がループ状電極を介してグランド電極から外部に放射される。従って、必ずしも専用のアンテナを作製する必要がなく、それを設置するスペースも必要としない。また、ループ状電極にて無線ICチップとグランド電極とのインピーダンスを整合させることができ、必ずしも別途整合部を設ける必要がなく、無線ICチップとグランド電極との信号伝達効率が向上する。
【0010】
ところで、放射板(アンテナ)はその形状で決まる共振経路に起因する共振周波数を持ち、この共振周波数は放射板(電極)の両端部を共振端とする特定の値となる。この共振周波数がRFIDシステムの使用周波数近辺にあるとき利得が高く、無線ICデバイスとしての特性が良好となる。基本波の共振時における電力(電位×電流)分布において電力が大きくなる領域は、共振経路の一端から他端にわたる約1/4から約3/4の領域であり、この領域にループ状電極を配置することにより給電効率が高く、利得が良好となる。
【0011】
また、アンテナとして機能するグランド電極にスリット及び/又は切欠きを形成することにより、共振経路が規定されるとともにグランド電極の共振周波数が調整される。グランド電極をアンテナとして利用すると、該グランド電極のサイズは概ね回路基板のサイズによって決められる。この場合、グランド電極の共振周波数がRFIDシステムでの使用周波数とずれてしまい、アンテナとしての利得が低下するおそれがある。アンテナとして機能させるグランド電極にスリット及び/又は切欠きを形成することによって共振モードを任意に設定することができ、グランド電極がRFIDシステムの使用周波数に近付いた好ましい共振周波数に調整され、利得が向上する。
【0012】
また、無線ICチップとループ状電極との間に給電回路基板が介在されていてもよい。この給電回路基板はインダクタンス素子を有する共振回路及び/又は整合回路を含むもので、共振回路及び/又は整合回路によって使用周波数が実質的に設定され、RFIDシステムの使用周波数に応じて無線ICチップを変更した場合、共振回路及び/又は整合回路の設計を変更するだけでよく、放射板(電極)の形状やサイズ、配置、あるいは、ループ状電極とグランド電極又は給電回路基板との結合状態まで変更する必要はない。また、共振回路及び/又は整合回路は無線ICチップとグランド電極とのインピーダンス整合機能をも備えることができ、無線ICチップとグランド電極との信号伝達効率を向上させることができる。
【0013】
なお、無線ICチップは、本プリント配線回路基板が取り付けられる物品に関する各種情報がメモリされている以外に、情報が書き換え可能であってもよく、RFIDシステム以外の情報処理機能を有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既設のグランド電極をアンテナとして利用することができ、必ずしも別部品としてアンテナを配置する必要がなくなり、プリント配線回路基板を搭載した機器を小型化することができ、利得が良好でもある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】無線ICデバイスの第1の基本形態を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図2】無線ICチップを示す斜視図である。
【図3】無線ICデバイスの第2の基本形態を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図4】無線ICデバイスの第3の基本形態を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図5】無線ICデバイスの第4の基本形態を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図6】共振回路の第1例を内蔵した給電回路基板を示す分解斜視図である。
【図7】共振回路の第2例を設けた給電回路基板を示す平面図である。
【図8】無線ICデバイスの第1実施例を示す平面図である。
【図9】第1実施例の要部を示す拡大平面図である。
【図10】基本波の共振時における電圧と電流の分布を示すグラフである。
【図11】基本波の共振時における電力の変化を示すグラフである。
【図12】無線ICデバイスの第2実施例を示す平面図である。
【図13】無線ICデバイスの第3実施例を示す平面図である。
【図14】無線ICデバイスの第4実施例を示す平面図である。
【図15】無線ICデバイスの第5実施例を示す平面図である。
【図16】無線ICデバイスの第6実施例を示す平面図である。
【図17】無線ICデバイスの第7実施例を示す平面図である。
【図18】無線ICデバイスの第8実施例を示す平面図である。
【図19】3倍波の共振時における電圧と電流の分布を示すグラフである。
【図20】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図21】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図22】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図23】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図24】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図25】ループ状電極の他の例を示す平面図である。
【図26】本発明に係る電子機器の一実施例である携帯電話を示す斜視図である。
【図27】前記携帯電話に内蔵されているプリント配線回路基板を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るプリント配線回路基板及び電子機器の実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部品、部分は同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1の基本形態、図1及び図2参照)
図1に無線ICデバイスの第1の基本形態を示す。この第1の基本形態は、プリント配線回路基板20上にループ状電極22をグランド電極21とは別体に設け、該ループ状電極22に所定周波数の送受信信号を処理する無線ICチップ5を結合させたものである。グランド電極21及びループ状電極22は、それぞれ回路基板20の主面上に導体ペーストの塗布や、回路基板20上に設けた金属箔をエッチングすることなどで設けられている。
【0018】
無線ICチップ5は、クロック回路、ロジック回路、メモリ回路などを含み、必要な情報がメモリされており、図2に示すように、裏面に入出力端子電極6,6及び実装用端子電極7,7が設けられている。入出力端子電極6,6がループ状電極22の両端に設けた接続用電極22a,22bに金属バンプ8にて電気的に接続されている。また、回路基板20上には一対の接続用電極22c,22dが設けられ、無線ICチップ5の端子電極7,7がこの接続用電極22c,22dに金属バンプ8を介して電気的に接続されている。
【0019】
ループ状電極22はグランド電極21のエッジ部21aに対して平行に近接して設けられ、この両者は電界により結合している。即ち、ループ状電極22をグランド電極21のエッジ部21aに近接させることで、ループ状電極22から直交方向にループ状の磁界H(図1(A)の点線参照)が発生し、その磁界Hがグランド電極21に対して直交方向に交わることによってグランド電極21のエッジ部21aにループ状の電界E(図1(A)の一点鎖線参照)が励振される。このループ状電界Eによりさらにループ状磁界Hが誘起されることにより、ループ状電界Eとループ状磁界Hとがグランド電極21の全面に広がっていき、高周波信号を空中に放射する。このようにグランド電極21とループ状電極22とを近接して、かつ、絶縁状態で配置することによって、両者を確実に電磁界結合させることができ、放射特性が向上する。
【0020】
以上のごとくループ状電極22がグランド電極21と電磁界により結合することにより、リーダライタから放射されてグランド電極21で受信された高周波信号がループ状電極22を介して無線ICチップ5に供給され、無線ICチップ5が動作する。一方、無線ICチップ5からの応答信号がループ状電極22を介してグランド電極21に伝達され、グランド電極21からリーダライタに放射される。
【0021】
グランド電極21は本無線ICデバイスが収容される電子機器のプリント配線回路基板20に既設のものを利用してもよい。あるいは、電子機器に搭載されている他の電子部品のグランド電極として使用されるものであってもよい。従って、この無線ICデバイスにおいては、専用のアンテナを作製する必要がなく、それを設置するスペースも必要としない。しかも、グランド電極21は大きなサイズで形成されているため、放射利得が向上する。
【0022】
また、ループ状電極22は、その長さ、電極幅及びグランド電極21との間隔などを調整することで、無線ICチップ5とグランド電極21とのインピーダンスの整合をとることができる。さらに、回路基板20は複数の誘電体層又は磁性体層を積層してなる多層基板であってもよい。このような多層基板であれば、ループ状電極22やグランド電極21を多層の回路基板20の複数の層に配置し、周知のビアホール導体を用いて電気的に導通状態を形成してもよい。また、ループ状電極22やグランド電極21を回路基板20の裏面に形成し、回路基板20の表面に搭載した無線ICチップ5とループ状電極22とをビアホール導体で結合させてもよい。
【0023】
(第2の基本形態、図3参照)
図3に無線ICデバイスの第2の基本形態を示す。この第2の基本形態は、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21の一側辺に開口部21bを形成することにより該開口部21bの周囲にループ状電極31を設けたもので、接続用電極31a,31bが無線ICチップ5の入出力端子電極6,6(図2参照)と金属バンプ8を介して電気的に接続されている。また、回路基板20の表面に形成した接続用電極31c,31dが無線ICチップ5の実装用端子電極7,7と金属バンプ8を介して電気的に接続されている。
【0024】
第2の基本形態において、ループ状電極31はグランド電極21と電気的に導通状態で結合し、このループ状電極31が介在することで無線ICチップ5とグランド電極21とが結合する。第2の基本形態の動作は前記第1の基本形態と同様であり、その作用効果も第1の基本形態で説明したとおりである。
【0025】
なお、ループ状電極31は以下に詳述するように種々の形状を採用することができる。また、グランド電極21やループ状電極31を回路基板20の内部や裏面に形成してもよいことは勿論である。
【0026】
(第3の基本形態、図4参照)
図4に無線ICデバイスの第3の基本形態を示す。この第3の基本形態は、無線ICチップ5を給電回路基板10に搭載して電磁結合モジュール1を構成し、該電磁結合モジュール1をプリント配線回路基板20に設けたループ状電極35に電気的に接続したものである。ループ状電極35は、前記第1の基本形態で示したループ状電極22(図1参照)と同様に、回路基板20の表面に設けたグランド電極21に近接して配置され、グランド電極21と磁界により結合している。
【0027】
無線ICチップ5は、図2に示した入出力端子電極6,6が給電回路基板10の表面に設けた電極12a,12b(図6及び図7参照)に金属バンプ8を介して電気的に接続され、実装用端子電極7,7が電極12c,12dに金属バンプ8を介して電気的に接続されている。さらに、給電回路基板10の表面と無線ICチップ5の裏面との間には両者の接合強度を向上させる効果も有する保護膜9が設けられている。
【0028】
給電回路基板10は、インダクタンス素子を有する共振回路(図4では省略)を内蔵したもので、裏面には外部電極19a,19b(図6及び図7参照)が設けられ、表面には接続用電極12a〜12d(図6及び図7参照)が形成されている。外部電極19a,19bは基板10に内蔵された共振回路と電磁界結合し、ループ状電極35の接続用電極35a,35bとは図示しない導電性接着剤を介して電気的に導通状態で接続されている。なお、この電気的な接続には半田などを用いてもよく、また、難燃性の導電性接着剤を使用しても構わない。
【0029】
さらに、外部電極19a,19bと接続用電極35a,35bとは絶縁性の接着剤で接続しても構わない。また、絶縁性接着剤も難燃性のものを用いてもよい。難燃性の接着剤を使用することにより、電子機器の故障などによりプリント配線回路基板20が燃えたとしても、無線ICチップ5や電磁結合モジュール1が消失することはない。また、電子機器が炎上した場合でもプリント配線回路基板20上に電磁結合モジュール1が接着された状態で残すことができる。プリント配線回路基板20及びその上の電極は、炎上時の熱により変形等するが、電磁結合モジュール1内の共振回路で信号の周波数を決定しているため、回路基板やその上の電極が変形したとしても無線ICデバイスとしての機能を失うことはなく、炎上した後でもその電子機器を認識することができる。
【0030】
即ち、給電回路基板10には所定の共振周波数を有する共振回路が内蔵されており、無線ICチップ5から発信された所定の周波数を有する送信信号を外部電極19a,19b及びループ状電極35を介してグランド電極21に伝達し、かつ、グランド電極21で受けた信号から所定の周波数を有する受信信号を選択し、無線ICチップ5に供給する。それゆえ、この無線ICデバイスは、グランド電極21で受信された信号によって無線ICチップ5が動作され、該無線ICチップ5からの応答信号がグランド電極21から外部に放射される。
【0031】
前記電磁結合モジュール1にあっては、給電回路基板10の裏面に設けた外部電極19a,19bが、基板10に内蔵された共振回路と電磁界結合するとともに、アンテナとして機能するグランド電極21と電界結合しているループ状電極35と電気的に導通している。電磁結合モジュール1としては比較的サイズの大きいアンテナ素子を別部品として搭載する必要はなく、小型に構成できる。しかも、給電回路基板10も小型化されているので、無線ICチップ5はこのような小型の給電回路基板10に搭載すればよく、従来から広く使用されているIC実装機などを用いることができ、実装コストが低減する。また、使用周波数帯を変更するに際しては、共振回路の設計を変更するだけでよい。
【0032】
なお、給電回路基板10内に形成される素子としては、インダクタンス素子のみでもよい。インダクタンス素子は無線ICチップ5と放射板(グランド電極21)とのインピーダンス整合機能を有している。
【0033】
(第4の基本形態、図5参照)
図5に無線ICデバイスの第4の基本形態を示す。この第4の基本形態は、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21の一側辺に開口部21bを形成することにより該開口部21bの周囲にループ状電極36を設け、かつ、無線ICチップ5を給電回路基板10に搭載した電磁結合モジュール1をループ状電極36に電気的に接続したものである。ループ状電極36は、接続用電極36a,36bが給電回路基板10の裏面に設けた外部電極19a,19bと図示しない導電性接着剤を介して電気的に導通状態で接続されている。なお、第4の基本形態における給電回路基板10の構成、作用は前記第3の基本形態と同様であり、ループ状電極36の作用は前記第2の基本形態で示したループ状電極31と同様である。
【0034】
(共振回路の第1例、図6参照)
給電回路基板10に内蔵された共振回路の第1例を図6に示す。この給電回路基板10は、誘電体からなるセラミックシート11A〜11Hを積層、圧着、焼成したもので、シート11Aには接続用電極12a,12bと電極12c,12dとビアホール導体13a,13bが形成され、シート11Bにはキャパシタ電極18aと導体パターン15a,15bとビアホール導体13c〜13eが形成され、シート11Cにはキャパシタ電極18bとビアホール導体13d〜13fが形成されている。さらに、シート11Dには導体パターン16a,16bとビアホール導体13e,13f,14a,14b,14dが形成され、シート11Eには導体パターン16a,16bとビアホール導体13e,13f,14a,14c,14eが形成され、シート11Fにはキャパシタ電極17と導体パターン16a,16bとビアホール導体13e,13f,14f,14gが形成され、シート11Gには導体パターン16a,16bとビアホール導体13e,13f,14f,14gが形成され、シート11Hには導体パターン16a,16bとビアホール導体13fが形成されている。
【0035】
以上のシート11A〜11Hを積層することにより、ビアホール導体14c,14d,14gで螺旋状に接続された導体パターン16aにてインダクタンス素子L1が構成され、ビアホール導体14b,14e,14fで螺旋状に接続された導体パターン16bにてインダクタンス素子L2が構成され、キャパシタ電極18a,18bにてキャパシタンス素子C1が構成され、キャパシタ電極18b,17にてキャパシタンス素子C2が構成される。
【0036】
インダクタンス素子L1の一端はビアホール導体13d、導体パターン15a、ビアホール導体13cを介してキャパシタ電極18bに接続され、インダクタンス素子L2の一端はビアホール導体14aを介してキャパシタ電極17に接続される。また、インダクタンス素子L1,L2の他端は、シート11H上で一つにまとめられ、ビアホール導体13e、導体パターン15b、ビアホール導体13aを介して接続用電極12aに接続されている。さらに、キャパシタ電極18aはビアホール導体13bを介して接続用電極12bに電気的に接続されている。
【0037】
そして、接続用電極12a,12bが金属バンプ8を介して無線ICチップ5の端子電極6,6と電気的に接続される。電極12c,12dは無線ICチップ5の端子電極7,7に接続される。
【0038】
また、給電回路基板10の裏面には外部電極19a,19bが導体ペーストの塗布などで設けられ、外部電極19aはインダクタンス素子L(L1,L2)と磁界により結合し、外部電極19bはビアホール導体13fを介してキャパシタ電極18bに電気的に接続される。外部電極19a,19bはループ状電極35又は36の接続用電極35a,35b又は36a,36bに電気的に接続されることは前述のとおりである。
【0039】
なお、この共振回路において、インダクタンス素子L1,L2は2本の導体パターン16a,16bを並列に配置した構造としている。2本の導体パターン16a,16bはそれぞれ線路長が異なっており、異なる共振周波数とすることができ、無線ICデバイスを広帯域化できる。
【0040】
なお、各セラミックシート11A〜11Hは磁性体のセラミック材料からなるシートであってもよく、給電回路基板10は従来から用いられているシート積層法、厚膜印刷法などの多層基板の製作工程により容易に得ることができる。
【0041】
また、前記シート11A〜11Hを、例えば、ポリイミドや液晶ポリマなどの誘電体からなるフレキシブルなシートとして形成し、該シート上に厚膜形成法などで電極や導体を形成し、それらのシートを積層して熱圧着などで積層体とし、インダクタンス素子L1,L2やキャパシタンス素子C1,C2を内蔵させてもよい。
【0042】
前記給電回路基板10において、インダクタンス素子L1,L2とキャパシタンス素子C1,C2とは平面透視で異なる位置に設けられ、インダクタンス素子L1,L2により外部電極19aと磁界的に結合し、外部電極19bはキャパシタンス素子C1を構成する一方の電極となっている。
【0043】
従って、給電回路基板10上に前記無線ICチップ5を搭載した電磁結合モジュール1は、図示しないリーダライタから放射される高周波信号(例えば、UHF周波数帯)をグランド電極21で受信し、ループ状電極35又は36を介して外部電極19a,19bと磁界結合及び電界結合している共振回路を共振させ、所定の周波数帯の受信信号のみを無線ICチップ5に供給する。一方、この受信信号から所定のエネルギーを取り出し、このエネルギーを駆動源として無線ICチップ5にメモリされている情報を、共振回路にて所定の周波数に整合させた後、外部電極19a,19b及びループ状電極35又は36を介してグランド電極21に伝え、該グランド電極21からリーダライタに送信、転送する。
【0044】
給電回路基板10においては、インダクタンス素子L1,L2とキャパシタンス素子C1,C2で構成された共振回路にて共振周波数特性が決定される。グランド電極21から放射される信号の共振周波数は、共振回路の自己共振周波数によって実質的に決まる。
【0045】
ところで、共振回路は無線ICチップ5のインピーダンスとグランド電極21のインピーダンスを整合させるためのマッチング回路を兼ねている。給電回路基板10は、インダクタンス素子やキャパシタンス素子で構成された共振回路とは別に設けられたマッチング回路を備えていてもよい(この意味で、共振回路を整合回路とも称する)。共振回路にマッチング回路の機能をも付加しようとすると、共振回路の設計が複雑になる傾向がある。共振回路とは別にマッチング回路を設ければ、共振回路、マッチング回路をそれぞれ独立して設計できる。なお、前記ループ状電極35,36はインピーダンス整合機能や共振回路としての機能を備えていてもよい。その場合、ループ状電極の形状や放射板となるグランド電極のサイズなども考慮して給電回路基板10内の共振回路(整合回路)の設計を行うことにより、放射特性を向上させることができる。
【0046】
(共振回路の第2例、図7参照)
給電回路基板70に設けた共振回路の第2例を、図7に示す。この給電回路基板70は、フレキシブルなPETフィルムなどからなり、基板70上に、インダクタ素子Lを構成する螺旋形状の導体パターン72と、キャパシタンス素子Cを構成するキャパシタ電極73とを形成したものである。導体パターン72及びキャパシタ電極73から引き出された電極12a,12bは無線ICチップ5の端子電極6,6と電気的に接続される。また、基板70上に形成された電極12c,12dは無線ICチップ5の端子電極7,7に電気的に接続される。
【0047】
給電回路基板70ではインダクタンス素子Lとキャパシタンス素子Cとで共振回路を構成し、それぞれに対向する前記電極35a,35b又は前記電極36a,36bとの間で磁界結合及び電界結合し、所定周波数の高周波信号を送受信する点は前記第1例と同様である。特に、第2例では給電回路基板70がフレキシブルなフィルムから構成されているため、電磁結合モジュール1が低背化される。また、インダクタンス素子Lに関しては、導体パターン72の線幅や線間隔を変更することでインダクタンス値を変更し、共振周波数を微調整することができる。
【0048】
なお、本第2例においても、インダクタンス素子Lは2本の導体パターン72を螺旋形状に配置し、螺旋中心部において2本の導体パターン72を接続している。これらの2本の導体パターン72はそれぞれ異なるインダクタンス値L1,L2を有しており、それぞれの共振周波数を異なる値に設定することができ、前記第1例と同様に無線ICデバイスの使用周波数帯を広帯域化することができる。
【0049】
(電磁結合モジュールの他の例)
電磁結合モジュールとしては、給電回路基板上に無線ICチップを搭載したもの以外に、無線ICの機能を給電回路基板に含めて無線ICと給電回路とを一つの基板に形成してもよい。これにより、無線ICデバイスを小型化、低背化することができる。
【0050】
(第1実施例、図8〜図11参照)
以下に第1実施例〜第8実施例を説明する。これらの実施例は、前記第2及び第4の基本形態(図3及び図5参照)で説明したように、グランド電極に形成した開口部によってループ状電極を形成したものである。
【0051】
第1実施例である無線ICデバイスは、図8及び図9に示すように、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21の一側辺に開口部21bを形成することにより該開口部21bの周囲にループ状電極31を設けたもので、接続用電極31a,31bが無線ICチップ5又は電磁結合モジュール1と結合されている。
【0052】
アンテナとして機能するグランド電極21は両端部21cが共振端となる共振モードで共振する。共振経路は電極21の形状で決まり、共振経路の長さに起因する特定の共振周波数となる。この共振周波数がRFIDシステムの使用周波数近辺にあるとき利得が高く、無線ICデバイスとしての特性が良好となる。
【0053】
基本波の共振時における電圧と電流の分布は図10に示す特性を有し、電力(電位×電流)分布は図11に示す特性を有する。図10及び図11において、横軸は図8に示すように共振経路の一端位置Aから中央位置Bを経て他端位置Cまでの長さを示している。共振経路において電力が大きくなる領域は、共振経路の一端位置Aから他端位置Cにわたる約1/4から約3/4の領域Xであり、電力が最大になるのは中央位置Bである。
【0054】
詳しくは、図11に示すように、電力は中央位置Bを1とすると、共振経路(横軸方向に)の1/4及び3/4の位置で0.5であり、1/8及び7/8の位置で0.15であり、0及び1の位置で0になる。このため、給電効率を考慮すると、電力が0.5以上で動作させるためには、給電点となるループ状電極31の配置点を共振経路の一端から他端にわたる約1/4から約3/4の領域Xに配置することが望ましい。
【0055】
従って、給電点(ループ状電極31の配置点)をこの領域Xに配置することにより、給電効率が良好になり、アンテナとして好ましい利得を得ることができる。本第1実施例では、給電点を電力の最も大きい中央位置Bに配置している。
【0056】
ところで、図1を参照して説明すると、ループ状電極22はグランド電極21をアンテナとして機能させるために用いており、ループ状電極22もインピーダンス変換の機能を有している。具体的には、ループ状電極22はその接続用電極22a,22bの間でループ形状に起因するインピーダンスを有している。そして、電極22a,22bと結合される無線ICチップ5又は給電回路基板10から送信される信号に相当する電流はループ形状に沿って流れる。
【0057】
接続用電極22a,22bにおけるインピーダンス(Z)は実数部(R)と虚数部(X)の和で表され、ループ状電極22の形状が小さくなると電流経路長も短くなるため、ループ状電極22で発生する抵抗(R)も小さくなる。電流経路長が短くなると、その電流により発生するインダクタンス(L)によるインピーダンス(X=ωL)も小さくなる。携帯電話などの機器の小型化などでループ状電極22の配置スペースが小さくなった場合、ループ状電極22のインピーダンスが小さくなりすぎてしまい、無線ICチップや給電(共振/整合)回路とのインピーダンスの差が大きくなり、無線ICチップ5や給電回路から放射板へ十分な電力の伝達ができなくなるという問題が発生する。
【0058】
この問題を解決するためには、ループ状電極22のインピーダンス(Z)を大きくする必要があり、実数部(R)又は虚数部(X)を大きくする必要がある。本第1実施例ではこのような問題をも解決するようにした。即ち、ループ状電極31の内側に環状の整合電極32を配置した。この整合電極32によってループ状電極31の電流経路が長くなり、抵抗(R)が大きくなるとともに実数部(R)が大きくなり、結果的にインピーダンス(Z)を大きくすることができる。なお、図9に示す整合電極32の形状は、一例であり、開口部21bの形状や大きさなどに合わせてミアンダ状などに変更しても構わない。
【0059】
(第2実施例、図12参照)
第2実施例である無線ICデバイスは、図12に示すように、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21に切欠き27を形成することで略L字形状としたものである。共振経路は切欠き27によって規定され、給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。
【0060】
本第2実施例において、グランド電極21に設けた切欠き27は、グランド電極21の共振周波数を調整する機能を有している。切欠き27や以下に説明するスリット23a,23b,23cが形成されていない場合、グランド電極21は両端部21cが共振端となる共振モードで共振する(図8参照)。グランド電極21のサイズは概ね回路基板20のサイズによって予め決められているため、両端部21cを共振端とする共振モードでの共振周波数がRFIDシステムでの使用周波数と合致しない場合があり、この場合利得が低下してしまう。切欠き27やスリット23a,23b,23cを形成することにより、共振モードが図12に示すように長くなり、共振周波数が低くなるように調整され、RFIDシステムの使用周波数に近付けることができる。これにて、利得が向上する。
【0061】
なお、グランド電極21に切欠きやスリットを形成することで、共振モードを短くすることも可能であり、この場合には共振周波数が高く調整されることになる。また、回路基板20自体がグランド電極21に沿ったL字形状であってもよい。
【0062】
(第3実施例、図13参照)
第3実施例である無線ICデバイスは、図13に示すように、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21にスリット23aを形成したものである。共振経路はスリット23aによって規定され、給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。また、スリット23aは、前記切欠き27と同様に、グランド電極21の共振周波数を調整する機能を有している。
【0063】
なお、スリット23aや前記切欠き27の形状によっては、複数の共振モード(共振周波数)を得ることもできる。グランド電極21が複数の共振周波数を持つと使用周波数帯域が広くなる。
【0064】
(第4実施例、図14参照)
第4実施例である無線ICデバイスは、図14に示すように、スリット23cに回路配線26を配置したプリント配線回路基板20において、グランド電極21にループ状電極31を配置した部分と回路配線26を配置した部分とを仕切るようにスリット23bを形成したものである。共振経路はスリット23bによって規定され、給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。また、スリット23bはグランド電極の共振周波数を調整する機能を有している。回路配線26の全てがグランド電極21に囲まれているため、これらの回路部分の電気的安定性が向上する。
【0065】
(第5実施例、図15参照)
第5実施例である無線ICデバイスは、図15に示すように、スリット23cに回路配線26を配置したプリント配線回路基板20において、給電点(ループ状電極31の配置点)を最も利得が高くなる中央位置Bに配置したものである。
【0066】
本第5実施例では、回路配線26を配置したスリット23cが、共振経路を規定し、かつ、共振周波数を調整する機能を果たしている。小型のグランド電極21であっても低い共振周波数に調整することができ、共振周波数を調整するための専用のスリットや切欠きを形成する必要がない。
【0067】
(第6実施例、図16参照)
本第6実施例である無線ICデバイスは、図16に示すように、前記第5実施例と基本的には同様の構成からなり、共振経路をより長く形成したものである。給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。
【0068】
(第7実施例、図17参照)
第7実施例である無線ICデバイスは、図17に示すように、プリント配線回路基板20を多層基板とし、その表面に設けたグランド電極21の端部と内部層に形成した電極24とをビアホール導体25にて電気的に接続したものである。給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。
【0069】
本第7実施例においても良好な利得を得ることができ、さらに、回路基板20の複数の層を利用して共振モードを設定するため、共振周波数の調整自由度が高くなり、複雑な共振モードを設計することが可能である。
【0070】
(第8実施例、図18参照)
第8実施例である無線ICデバイスは、図18に示すように、プリント配線回路基板20に実装された金属部材とグランド電極21とを導通状態としたものである。詳しくは、回路基板20に搭載したパワーアンプなどの電子部品の金属ケース28とグランド電極21の他端とが電気的に接続されている。また、グランド電極21の一端には、共振経路を長くするためにスリット23aが形成されている。給電点(ループ状電極31の配置点)は利得が高くなる一端位置Aから他端位置Cにわたる1/4から3/4の領域に配置されている。
【0071】
本第8実施例では、電極21の一端位置Aと金属ケース28の端部(他端位置C)とを共振端とする共振モードが形成される。なお、グランド電極21の一端は、前記第7実施例に示したように、他の層に形成した電極24と電気的に接続されていてもよい。
【0072】
(他の共振モード、図19参照)
グランド電極21が図19に示すように3倍波の共振モードでは、給電効率を考慮すると、ループ状電極31を共振経路の一端位置Aから他端位置Cにわたる約1/12から約3/12、約5/12から約7/12及び約9/12から約11/12のいずれかの領域に配置することが望ましい。
【0073】
(ループ状電極の各種形状、図20〜図25参照)
ループ状電極は図9に示した形状以外の種々の形状とすることができる。そのような形状を以下に説明する。勿論、ここに示す以外の形状であってもよい。
【0074】
図20に示すループ状電極31は、比較的短い整合電極32を形成したものである。図21及び図22に示すループ状電極31は、整合電極32を比較的長く形成したもので、前記第1実施例で説明したように、インピーダンス(Z)を大きくすることができる。
【0075】
図23に示すループ状電極31は、開口部21bを比較的大きくしたものである。
【0076】
図24に示すループ状電極31はその内側にミアンダ状の整合電極32を配置したものであり、インピーダンス(Z)を大きくすることができる。
【0077】
図25に示すループ状電極33は、周囲をグランド電極21に囲まれた開口部21eに形成され、ミアンダ状の整合電極34を有し、整合電極34の端部である接続用電極34a,34bに無線ICチップ5又は電磁結合モジュール1が結合される。このループ状電極33は、第1の基本形態(図1参照)で示したループ状電極22と同様に、グランド電極21と電界により結合する。
【0078】
(電子機器、図26及び図27参照)
次に、本発明に係る電子機器の一実施例として携帯電話を説明する。図26に示す携帯電話80は、複数の周波数に対応しており、地上波デジタル信号、GPS信号、WiFi信号、CDMAやGSM(登録商標)などの通信用信号が入力される。
【0079】
筐体81内には、図27に示すように、プリント配線回路基板20が設置されている。このプリント配線回路基板20には、無線通信用回路90と電磁結合モジュール1とが配置されている。無線通信用回路90は、IC91と回路基板20に内蔵されたバラン92とBPF93とコンデンサ94とで構成されている。無線ICチップ5を搭載した給電回路基板10は、プリント配線回路基板20上に設けたグランド電極21と結合しているループ状電極上に搭載され、無線ICデバイスを構成している。
【0080】
(他の実施例)
なお、本発明に係るプリント配線回路基板及び電子機器は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0081】
例えば、共振回路は様々な構成のものを採用できる。前記実施例に示した外部電極や給電回路基板の材料はあくまで例示であり、必要な特性を有する材料であれば、任意のものを使用することができる。
【0082】
無線ICチップを給電回路基板に実装するのに、金属バンプ以外の処理を用いてもよい。また、無線ICチップの電極と給電回路基板の接続用電極との間に誘電体を配置して該両電極を容量結合しても構わない。さらに、無線ICチップとループ状電極と、あるいは、給電回路基板とループ状電極とを容量結合しても構わない。また、無線ICチップを樹脂などで保護しても構わない。これにより無線ICチップの耐環境性を向上させることができる。さらに、その樹脂として難燃性の樹脂を使用しても構わない。難燃性の樹脂を使用することにより無線ICデバイスを搭載したプリント配線回路基板及び電子機器が炎上した後でも無線ICデバイスとして機能させることができる。
【0083】
また、無線ICデバイスが実装される機器は、携帯電話などの無線通信機器に限らず、グランド電極などを有する回路基板を備えた種々の機器(例えば、テレビや冷蔵庫などの家電製品)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明は、プリント配線回路基板及び電子機器に有用であり、特に、専用のアンテナを設けることなく、小型化を達成できるとともにアンテナとして機能する放射板(電極)の利得が良好である点で優れている。
【符号の説明】
【0085】
1…電磁結合モジュール
5…無線ICチップ
10…給電回路基板
20…プリント配線回路基板
21…グランド電極
21b,21e…開口部
22,31,33,35,36…ループ状電極
23a,23b,23c…スリット
24…電極
27…切欠き
28…金属ケース
32,34…整合電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信信号を処理するRFIDシステム用の無線ICチップが搭載されたプリント配線回路基板であって、
前記無線ICチップ以外の電子部品のグランドとして用いられるグランド電極と、
一方端及び他方端を有し、前記グランド電極の一部分に電気的に導通状態で結合した、又は、前記グランド電極に電磁界結合したループ状電極と、
を備え、
前記無線ICチップは第1の入出力端子及び第2の入出力端子を有し、該第1の入出力端子及び第2の入出力端子は前記ループ状電極の一方端及び他方端にそれぞれ接続されていること、
を特徴とするプリント配線回路基板。
【請求項2】
前記ループ状電極がインピーダンス整合機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線回路基板。
【請求項3】
前記ループ状電極は前記グランド電極に形成された開口部の周囲に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリント配線回路基板。
【請求項4】
前記ループ状電極の内側に整合電極を有することを特徴とする請求項3に記載のプリント配線回路基板。
【請求項5】
前記グランド電極にその共振経路を規定するためのスリット及び/又は切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプリント配線回路基板。
【請求項6】
前記スリット及び/又は切欠きによって前記グランド電極の共振周波数が調整されることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線回路基板。
【請求項7】
複数の誘電体層又は磁性体層を積層してなる多層基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のプリント配線回路基板。
【請求項8】
前記グランド電極は前記多層基板の複数の層に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のプリント配線回路基板。
【請求項9】
前記スリット及び/又は切欠きに回路配線が配置されていることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれかに記載のプリント配線回路基板。
【請求項10】
プリント配線回路基板に実装された金属部材が前記グランド電極と導通状態にあることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のプリント配線回路基板。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のプリント配線回路基板を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
送受信信号を処理するRFIDシステム用の無線ICチップが搭載されたプリント配線回路基板を備えた電子機器であって、
前記プリント配線回路基板は、
前記無線ICチップ以外の電子部品のグランドとして用いられるグランド電極と、
一方端及び他方端を有し、前記グランド電極の一部分に電気的に導通状態で結合した、又は、前記グランド電極に電磁界結合したループ状電極と、
を備え、
前記無線ICチップは第1の入出力端子及び第2の入出力端子を有し、該第1の入出力端子及び第2の入出力端子は前記ループ状電極の一方端及び他方端にそれぞれ接続されていること、
を特徴とする電子機器。
【請求項1】
送受信信号を処理するRFIDシステム用の無線ICチップが搭載されたプリント配線回路基板であって、
前記無線ICチップ以外の電子部品のグランドとして用いられるグランド電極と、
一方端及び他方端を有し、前記グランド電極の一部分に電気的に導通状態で結合した、又は、前記グランド電極に電磁界結合したループ状電極と、
を備え、
前記無線ICチップは第1の入出力端子及び第2の入出力端子を有し、該第1の入出力端子及び第2の入出力端子は前記ループ状電極の一方端及び他方端にそれぞれ接続されていること、
を特徴とするプリント配線回路基板。
【請求項2】
前記ループ状電極がインピーダンス整合機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線回路基板。
【請求項3】
前記ループ状電極は前記グランド電極に形成された開口部の周囲に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリント配線回路基板。
【請求項4】
前記ループ状電極の内側に整合電極を有することを特徴とする請求項3に記載のプリント配線回路基板。
【請求項5】
前記グランド電極にその共振経路を規定するためのスリット及び/又は切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプリント配線回路基板。
【請求項6】
前記スリット及び/又は切欠きによって前記グランド電極の共振周波数が調整されることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線回路基板。
【請求項7】
複数の誘電体層又は磁性体層を積層してなる多層基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のプリント配線回路基板。
【請求項8】
前記グランド電極は前記多層基板の複数の層に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のプリント配線回路基板。
【請求項9】
前記スリット及び/又は切欠きに回路配線が配置されていることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれかに記載のプリント配線回路基板。
【請求項10】
プリント配線回路基板に実装された金属部材が前記グランド電極と導通状態にあることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のプリント配線回路基板。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のプリント配線回路基板を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
送受信信号を処理するRFIDシステム用の無線ICチップが搭載されたプリント配線回路基板を備えた電子機器であって、
前記プリント配線回路基板は、
前記無線ICチップ以外の電子部品のグランドとして用いられるグランド電極と、
一方端及び他方端を有し、前記グランド電極の一部分に電気的に導通状態で結合した、又は、前記グランド電極に電磁界結合したループ状電極と、
を備え、
前記無線ICチップは第1の入出力端子及び第2の入出力端子を有し、該第1の入出力端子及び第2の入出力端子は前記ループ状電極の一方端及び他方端にそれぞれ接続されていること、
を特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−213212(P2012−213212A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138914(P2012−138914)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2008−104960(P2008−104960)の分割
【原出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名: E2パブリッシング株式会社 刊行物名、巻数、号数: EETIMES Japan、33巻、3月号 発行年月日: 平成20年3月14日
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2008−104960(P2008−104960)の分割
【原出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名: E2パブリッシング株式会社 刊行物名、巻数、号数: EETIMES Japan、33巻、3月号 発行年月日: 平成20年3月14日
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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