説明

プリント配線板とその製造方法

【課題】安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後に保護層の穴埋め工程が不要な、抵抗体を備えたプリント配線板とその製造方法の提供。
【解決手段】配線パターン間に保護層で覆われた抵抗体を備えているプリント配線板の製造方法であって、少なくとも絶縁基材上に順次積層された抵抗層と金属層に対して回路形成を行い、所望の配線パターンを形成する工程と、当該配線パターン上にエッチングレジストパターンを形成する工程と、エッチングにより当該エッチングレジストパターンから露出した配線パターンの一部を除去することによって、配線パターン間に抵抗体を形成する工程と、当該エッチングレジストパターンを残した状態で、当該エッチングにより露出した抵抗体の表面に、当該抵抗体を保護し、かつレーザトリミング用のレーザを透過する保護層を形成する工程と、を有するプリント配線板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板とその製造方法に係り、特に配線パターン間に保護層で覆われた抵抗体を備えているプリント配線板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の機器の小型・高性能化に伴って、搭載されるプリント配線板においても更なる小型・高密度配線化が要求されており、従来プリント配線板の外層に実装していたチップ部品に加えて、パターン形成等の手法により内層に部品を形成する形態も採用されつつある。
【0003】
このようなプリント配線板の製造方法としては、図4〜図5に示したような製造方法が既に知られている。
【0004】
この従来の製造を説明すれば以下のとおりである。
すなわち、まず、図4(a)に示したように、絶縁基材1の表面にニッケル−リンめっきからなる抵抗層2を形成し、次いで、当該抵抗層2の表面に銅めっき等の金属層3を形成する。
【0005】
次に、図4(b)に示したように、前記金属層3上に第一エッチングレジストパターン4を形成し、次いで、エッチング処理により当該第一エッチングレジストパターン4から露出している金属層3を除去する(図4(c)参照)。
【0006】
次に、図4(d)に示したように、前記第一エッチングレジストパターン4を剥離し、次いで、前記金属層3をエッチングレジストとしてエッチング処理を行い、露出している抵抗層2を除去する(図5(e)参照)。
【0007】
次に、図5(f)に示したように、配線パターン上に第二エッチングレジストパターン5を形成し、次いで、エッチング処理により露出している配線パターンの一部を除去した後(図5(g)参照)、当該第二エッチングレジストパターン5を剥離することによって、特定の配線パターン間に抵抗体が形成されたプリント配線板Pa4を得る(図5(h)参照)。
【0008】
しかし、上記従来の製造方法では、以下に示すような不具合があった。
【0009】
すなわち、金属薄膜は、温度特性が良いため高精度の抵抗用途として優れてはいるものの、1μm以下の非常に薄い膜で形成されているため、搬送や取り扱いによって傷が発生したり、水分や酸化により抵抗値が変化し、所定の精度に入らなくなるといった問題点があった。
【0010】
そこで、特定の配線パターン間に抵抗体が形成されたプリント配線板Pa4に対して、図6(a)に示したように、当該抵抗体が覆われるように保護層9を設けるような製造方法も既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
しかし、上記の製造方法でも、以下に示すような不具合があった。
【0012】
一般に、この様な受動部品を内蔵したプリント配線板は、軽量化や高密度化の要求等で有機材料での内蔵化が求められてきた。
【0013】
また、抵抗体は、レーザの熱で生じる熱歪によってマイクロクラックが発生しやすく、更に、このマイクロクラックが経時的に進行して抵抗値が経時変化(ドリフト)しやすい。
【0014】
従って、抵抗体の信頼性を高めるためには、マイクロクラックの発生及び進行を抑え、抵抗値の経時変化をできるだけ小さくしなくてはならない。
【0015】
そこで、トリミング前に、抵抗体を覆うようにオーバーコート等の保護層9を形成する必要がある。
【0016】
しかしながら、有機材料で構成してレーザトリミングする場合、絶縁基材1と保護層9のエネルギー吸収率がほぼ同等であるため、絶縁基材1を壊さずに保護層9と抵抗層2を除去するのは困難である。
【0017】
その結果、前記の製造方法で得られたプリント配線板Pa5の抵抗体にレーザトリミングを実施すると、保護層9も同時に破壊されることとなり、図6(b)に示されるように、保護層9にレーザによる加工穴9aが発生するため、図6(c)に示されるように、新たに絶縁樹脂10を用いて発生した加工穴9aを埋める工程が必要であった。
【特許文献1】特開2001−291603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記不具合を解消すべくなされたもので、その課題とするところは、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後に保護層加工穴の穴埋め工程が不要な、抵抗体を備えたプリント配線板とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決すべく請求項1に係る本発明は、配線パターン間に保護層で覆われた抵抗体を備えているプリント配線板であって、前記保護層がレーザトリミング用のレーザを透過性を有することを特徴としている。
【0020】
このように、保護層がレーザ透過性を有するため、表面を当該保護層で覆われた抵抗体のレーザトリミングに際し、例えば透過し易い特定波長のレーザを用いることにより、抵抗体のみを除去し得るので、従来のような、レーザトリミング後における保護層加工穴の穴埋め工程が不要となり、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の製造工程を簡略化することができる。
【0021】
また、請求項2に係る本発明は、前記プリント配線板において、前記保護層が、紫外線透過性の絶縁樹脂からなる保護層であることを特徴とする。
【0022】
これにより、従来のプリント配線板の製造工程を用いて、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の製造工程を簡略化することができる。
【0023】
また、請求項3に係る本発明は、前記プリント配線板において、前記レーザの波長が、300nm〜700nmの範囲にあることを特徴とする。
【0024】
これにより、前記絶縁基材が有機基材であっても、レーザが保護層に吸収されることなく、また、レーザが抵抗層下の絶縁基材を破壊することなく、レーザによって前記抵抗体のみをトリミングをすることができる。
【0025】
また、請求項4に係る本発明は、前記プリント配線板において、前記保護層の前記波長範囲における紫外線透過率が、30%以上であることを特徴とする。
【0026】
これにより、前記絶縁基材が有機基材であっても、基材自体に品質上問題があるような大きなダメージを受けることなく、レーザによって前記抵抗体のみをトリミングをすることができる。
【0027】
また、請求項5に係る本発明は、前記プリント配線板において、前記プリント配線板の絶縁基材が、有機材料を含んでいることを特徴とする。
【0028】
これにより、従来のプリント配線板の製造工程を用いて、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の製造工程を簡略化することができる。
【0029】
また、請求項6に係る本発明は、前記プリント配線板において、前記抵抗体が、金属薄膜からなることを特徴とする。
【0030】
これにより、金属の体積抵抗値と金属薄膜の厚さが一定であり、厚膜ペースト抵抗等他の抵抗体と比較して一般的に抵抗値が安定しているため、少ないトリミング量で所望の抵抗値が得られ、抵抗層と保護層の間にトリミングにより発生する可能性がある微小片やガスを最小限に抑えることができ、トリミング後の抵抗値の安定性が確保できると共に、保護層表面の膨れや陥没等の変形を低減できる。
【0031】
また、請求項7に係る本発明は、前記プリント配線板において、前記抵抗体が、プリント配線板内部に内蔵されていることを特徴とする。
【0032】
これにより、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の製造工程を簡略化した前記抵抗体を、部品内蔵プリント配線板の一部として利用することが可能となり、本願発明の利用範囲が飛躍的に向上する。
【0033】
また、請求項8に係る本発明は、配線パターン間に保護層で覆われた抵抗体を備えているプリント配線板の製造方法であって、少なくとも絶縁基材上に順次積層された抵抗層と金属層に対して回路形成を行い、所望の配線パターンを形成する工程と、当該配線パターン上にエッチングレジストパターンを形成する工程と、エッチングにより当該エッチングレジストパターンから露出した配線パターンの一部を除去することによって、配線パターン間に抵抗体を形成する工程と、当該エッチングレジストパターンを残した状態で、当該エッチングにより露出した抵抗体の表面に、当該抵抗体を保護し、かつレーザトリミング用のレーザを透過する保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0034】
このように、前記保護層の上からレーザによって前記抵抗体のみをトリミングし得る構成としたため、抵抗値を不必要に変化させるエッチング液等から当該抵抗体を保護した状態でトリミングを行うことができ、安定した抵抗値を確保することができる。
【0035】
また、請求項9に係る本発明は、前記プリント配線板の製造方法において、前記保護層を形成する工程後、当該保護層の上からレーザによって当該抵抗体のみをトリミングする工程を更に有することを特徴とする。
【0036】
これにより、抵抗体のみがレーザでトリミングされているため、従来のような、レーザトリミング後における保護層加工穴の穴埋めをすることなく、抵抗体が形成されたプリント配線板を得ることができる。
【0037】
また、請求項10に係る本発明は、前記プリント配線板の製造方法において、前記保護層が、紫外線透過性の絶縁樹脂からなる保護層であることを特徴とする。
【0038】
これにより、従来のプリント配線板の製造工程を用いて、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の製造工程を簡略化した抵抗体が形成されたプリント配線板が得られる。
【0039】
また、請求項11に係る本発明は、前記プリント配線板の製造方法において、前記レーザの波長が、300nm〜700nmの範囲にあることを特徴とする。
【0040】
これにより、前記絶縁基材が有機基材であっても、レーザが保護層に吸収されることなく、また、レーザが抵抗層下の絶縁基材を破壊することなく、レーザによって前記抵抗体のみをトリミングをすることができる。
【0041】
また、請求項12に係る本発明は、前記プリント配線板の製造方法において、前記保護層の紫外線透過率が、30%以上であることを特徴とする。
【0042】
これにより、前記絶縁基材が有機基材であっても、当該基材自体に品質上問題があるような大きなダメージを受けることない波長のレーザによって前記抵抗体のみをトリミングをすることができる。
【0043】
また、請求項13に係る本発明は、前記プリント配線板の製造方法において、前記絶縁基材が、有機材料を含んでいることを特徴とする。
【0044】
これにより、従来のプリント配線板の製造工程を用いて、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の製造工程を簡略化した抵抗体が形成されたプリント配線板が得られる。
【0045】
また、請求項14に係る本発明は、前記プリント配線板の製造方法において、前記抵抗体が、金属薄膜からなることを特徴とする。
【0046】
これにより、金属の体積抵抗値と金属薄膜の厚さが一定であり、厚膜ペースト抵抗等他の抵抗体と比較して一般的に抵抗値が安定しているため、少ないトリミング量で所望の抵抗値が得られ、抵抗層と保護層の間にトリミングにより発生する可能性がある微小片やガスを最小限に抑えることができ、トリミング後の抵抗値の安定性が確保できると共に、保護層表面の膨れや陥没等の変形を低減できる。
【0047】
また、請求項15に係る本発明は、前記プリント配線板の製造方法において、前記抵抗体が、プリント配線板内部に内蔵されていることを特徴とする。
【0048】
これにより、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の製造工程を簡略化した前記抵抗体を部品内蔵プリント配線板の一部として利用することが可能となり、本願発明の利用範囲が飛躍的に向上する。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後に保護層加工穴の穴埋め工程が不要な、抵抗体を備えたプリント配線板とその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明の実施の形態を、図面と共に説明する。
【0051】
図2(n)は、本発明に係る抵抗体内蔵プリント配線板Pa1の概略断面図を示しており、当該プリント配線板Pa1は、配線パターン3a間に抵抗体2aを備えていると共に、当該抵抗体2aが、レーザトリミング用のレーザ透過性を有する保護層6で覆われた構造となっている。
斯かる本発明プリント配線板Pa1は、次のようにして製造される。
【0052】
まず、図1(a)に示すように、抵抗層2が既に形成された抵抗層付き金属層3を絶縁基材1に積層する(図1(b)参照)。ここで、抵抗層2としては、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−クロム、ニッケル−珪素−クロム、ニッケル−リン−タングステン等が挙げられ、また、金属層3としては、一般的には銅等が好ましいものとして挙げられる。抵抗層2は、電気めっき、無電解めっき、スパタリング、CVD等で形成し、厚みは1μm以下が好ましい。
【0053】
次に、サブトラクティブ法で抵抗膜と電極を形成し、特定の配線パターン3a間に抵抗体2aが形成された構造体を得る(図1(c)〜図2(m)参照)。
尚、ここでは抵抗層付銅箔を用いたサブトラクティブ法による実施の形態を説明しているが、無電解めっき法等を用いたアディテブ法による実施でも構わない。
【0054】
次いで、表面に保護層6を形成し、配線パターン3a間に、レーザトリミング用のレーザ透過性を有する保護層6で覆われた抵抗体2aを備えているプリント配線板Pa1を得る(図2(n)参照)。
保護層6は、インク状の保護層を、印刷法、スプレー法、スピンコート法、ディツプコート法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法等で塗布するか、あらかじめフィルム状にした保護層をラミネートして形成することが好ましい。また、保護層6は、レーザトリミングするレーザを30%以上透過することが好ましい。尚、透過率が30%未満の場合、保護層にエネルギーが吸収されてしまい、保護層が加工され、保護層下の抵抗層まで加工に必要なエネルギーが届かず、トリミングできないこともある。
【0055】
而して、当該プリント配線板Pa1の抵抗体を保護層6の上からレーザを用いてトリミングすることにより、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の保護層加工穴の穴埋め工程が不要な、抵抗体が形成されたプリント配線板Pa2を得ることができる(図2(q)参照)。このとき加工に用いるレーザの波長は300nm〜700nmが好ましい。例えば、Nd:YAG(ネオジウム・イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザの第二高調波である波長532nmが好適に使用される。尚、波長が300nm未満の場合、例えば、Nd:YAGレーザの第四高調波である波長266nmを使用した場合、保護層にエネルギーが吸収され同時に加工されてしまう。また、波長が700nmを超える場合、例えば、Nd:YAGレーザの基本波である波長1064nmを使用した場合、保護層と同時に抵抗層下の絶縁基材を破壊し、基板の品質を著しく劣化させることもある。
【0056】
本発明において最も注目すべき点は、特定波長のレーザを透過する保護層によって抵抗体を覆った点にある。これにより、保護層の上から保護層を破壊せずに抵抗体のトリミングが可能となり、安定した抵抗値を確保しつつ、レーザトリミング後の製造工程を簡略化できる。
【実施例】
【0057】
以下本発明のプリント配線板の製造方法について実施例を挙げ、図1〜図3と共に更に説明する。
【0058】
実施例1
この実施例においては、絶縁材料1としては、日立化成工業株式会社製GEA−679F(厚み100μm)を用いた。また、抵抗層2及び金属層3としては、オメガプライ製50Ω抵抗層付き18μm銅箔を用いた。また、第一エッチングレジストパターン4としては、日立化成工業株式会社製RY3215を用いた。また、第二エッチングレジストパターン5としては、日立化成工業株式会社製RY3237を用いた。
【0059】
まず、図1(a)に示したように、抵抗層2が既に形成された抵抗層付き金属層3と絶縁基材1を、図1(b)に示したように、高温真空積層プレス装置を用いて積層した。積層条件は、185℃ピークの積層温度プロファイルで、積層圧力を2.5MPa、真空条件を20torrとした。
【0060】
次に、回路形成フィルムラミネート前処理として、前記抵抗層付き金属層3の表面をソフトエッチング処理により粗化した。ソフトエッチング処理用薬液としては、三菱ガス化学株式会社製NPE−300を用いた。
【0061】
その後、図1(c)に示したように、オートカットラミネータを用いて、回路形成用フィルム4を前記抵抗層付き金属層3の表面にラミネートした。ラミネート温度は110℃設定、ラミネート速度は100cm/minとした。
【0062】
次に、所定のパターンで回路形成フィルムを硬化できるようにネガ型のパターンフィルムを用いて、露光量65mJ/cm2の露光を行った。露光機の光源には、超高圧水銀灯を用いた。
【0063】
露光後、1%炭酸ナトリウムで現像した。液温は30℃、現像時間は30secとした。現像後、図1(d)の状態となった。
【0064】
次に、アルカリエッチング液により金属層3のエッチングを行った。エッチング液は、メルテックス製エープロセス、液温45℃、エッチング時間70secとした。エッチング後、図1(e)の状態となった。
【0065】
その後、硫酸銅溶液に浸漬し、抵抗層のエッチングを行った。液温は80℃、エッチング時間は7minとした。エッチング後、図1(f)の状態となった。
【0066】
次に、3%水酸化ナトリウムで回路形成用フィルムを剥離した。液温は50℃とした。剥離後、図1(g)の状態となった。
【0067】
次に、回路形成フィルムラミネート前処理として、前記抵抗層付き金属層3の表面をソフトエッチング処理により粗化した。ソフトエッチング処理用薬液としては、三菱ガス化学株式会社製NPE−300を用いた。
【0068】
その後、図2(h)に示したように、回路形成用フィルム5を前記抵抗層付き金属層3の表面にラミネートした。ラミネータとしてオートカットラミネータを用い、ラミネート条件は、ラミネート温度110℃設定、ラミネート速度100cm/minとした。
【0069】
次に、所定のパターンで抵抗を形成できるようにポジ型のパターンフィルムを用いて、平行光で露光量100mJ/cm2の露光を行った。露光機の光源には、超高圧水銀灯を用いた。
【0070】
露光後、1%炭酸ナトリウムで現像した。液温は30℃、現像時間は90secとした。現像後、図2(k)の状態となった。
【0071】
次に、アルカリエッチング液により前記抵抗層付き金属層3のエッチングを行った。エッチング液としては、メルテックス製エープロセス、液温45℃、エッチング時間60secとした。エッチング後、図2(m)の状態となった。
【0072】
次に、3%水酸化ナトリウムで回路形成用フィルム5を剥離した。液温は50℃とした。
【0073】
その後、アクリレート樹脂30〜40%、エポキシ樹脂10〜20%、顔料30〜40%から構成されたフィルムを、バュームアプリケータを用い、真空で85℃/40sec、続いて85℃/90sec/2MPaでラミネートし、保護層6とした(図2(n)参照)。
【0074】
露出した抵抗部分を覆うように所定のパターンで保護層が形成できるようにネガ型のパターンフィルムを用いて、散乱光で露光量630mJ/cm2の露光を行った。露光機の光源には、メタルハライドランプを用いた。
【0075】
露光後、1%炭酸ナトリウムで現像した。液温は30℃、現像時間は180secとした。
【0076】
現像後、温度150℃、時間60secでポストキュアを行った。
【0077】
その結果、図2(n)に示したように、配線パターン間に、レーザトリミング用のレーザ透過性を有する保護層で覆われた抵抗体を備えているプリント配線板Pa1が得られた。
【0078】
続いて、前記プリント配線板Pa1の抵抗体を、前記保護層6の上からレーザを用いてトリミングした。トリミングには、LD励起YAGレーザの第2高調波である波長532nmのビームを使用したガルバノスキャナ走査方法のレーザトリムマシンを用いた。
【0079】
その結果、図2(q)に示したように、プリント配線板Pa1の抵抗体のみがレーザトリミングされたプリント配線板Pa2が得られた。
【0080】
尚、本実施例では、片面に抵抗を形成したが、両面でも同じ製造条件で製造可能である。
【0081】
また、図3に示したように、前記プリント配線板Pa2に絶縁基材7と金属層8を積層し、通常のプリント配線板の製造工程を追加することにより、多層化することも可能である(図3(c)参照)。
【0082】
また、本発明は、上記実施例により何ら制限されるものではなく、例えば前記プリント配線板Pa1〜Pa3の上下それぞれに絶縁層、金属層を形成し、回路形成、層間接続ビアホール及び層間接続スルーホール形成する等、通常のプリント配線板の製造工程を追加することにより、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明のプリント配線板の製造方法を示す概略断面工程説明図。
【図2】図1に引き続く概略断面工程説明図。
【図3】図2に引き続く概略断面工程説明図。
【図4】従来のプリント配線板の製造方法を示す概略断面工程説明図。
【図5】図4に引き続く概略断面工程説明図。
【図6】他の従来のプリント配線板の製造方法を示す概略断面工程説明図。
【符号の説明】
【0084】
1,7:絶縁基材
2:抵抗層
2a:抵抗体
3,8:金属層
3a:配線パターン
4:第一エッチングレジストパターン
5:第二エッチングレジストパターン
6,9:保護層
9a:レーザによる加工穴
10:絶縁樹脂
Pa1〜6:プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターン間に保護層で覆われた抵抗体を備えているプリント配線板であって、当該保護層がレーザトリミング用のレーザ透過性を有することを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記保護層が、紫外線透過性の絶縁樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記レーザの波長が、300nm〜700nmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記保護層の前記波長範囲における紫外線透過率が、30%以上であることを特徴とする請求項3に記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記プリント配線板の絶縁基材が、有機材料を含んでいることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記抵抗体が、金属薄膜からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記抵抗体が、プリント配線板に内蔵されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のプリント配線板。
【請求項8】
配線パターン間に保護層で覆われた抵抗体を備えているプリント配線板の製造方法であって、少なくとも絶縁基材上に順次積層された抵抗層と金属層に対して回路形成を行い、所望の配線パターンを形成する工程と、当該配線パターン上にエッチングレジストパターンを形成する工程と、エッチングにより当該エッチングレジストパターンから露出した配線パターンの一部を除去することによって、配線パターン間に抵抗体を形成する工程と、当該エッチングレジストパターンを残した状態で、当該エッチングにより露出した抵抗体の表面に、当該抵抗体を保護し、かつレーザトリミング用のレーザを透過する保護層を形成する工程と、を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
前記保護層を形成する工程後、当該保護層の上から保護層が透過する波長のレーザによって当該抵抗体のみをトリミングする工程を更に有することを特徴とする請求項8に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記保護層が、紫外線透過性の絶縁樹脂で構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
前記レーザの波長が、300nm〜700nmの範囲にあることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
前記保護層の前記波長範囲における紫外線透過率が、30%以上であることを特徴とする請求項11に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項13】
前記絶縁基材が、有機材料を含んでいることを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項14】
前記抵抗体が、金属薄膜からなることを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項15】
前記抵抗体が、プリント配線板に内蔵されていることを特徴とする請求項8〜14の何れか1項に記載のプリント配線板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−242795(P2007−242795A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61255(P2006−61255)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000228833)日本シイエムケイ株式会社 (169)
【Fターム(参考)】