説明

プリント配線板の検査装置

【課題】インク印刷と銀光沢を有する金属領域を光学的に区別することができるプリント配線板の検査装置を提供する。
【解決手段】基板本体の表面に、金属領域とシルク領域を有するプリント配線板100を検査する検査装置1であって、前記プリント配線板100の表面を撮像可能に配置されたカラーカメラ5と、プリント配線板表面に着色光を射出しプリント配線板の表面での着色光Lcの正反射光がカラーカメラ5に対して入射するような位置に配置される着色光源4と、プリント配線板100表面に白色光Lwを照射し、カラーカメラ5と拡散反射光学系を構成するように配置されている白色光源6とを備える。着色光源4によって着色された部分を金属領域と認識して、プリント配線板100の検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板本体の表面にインク印刷がされたシルク領域と銀光沢を有する金属領域を有するプリント配線板の表面を撮影することによって、配線パターンの欠陥を検査するための検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板本体の表面に金属のパターンを施し、当該パターン上に実装される部品などの説明に関してインクを用いて印刷されたプリント配線板が広く用いられている。当該プリント配線板の製造においては、配線パターンなどに欠陥が存在しないかの検査が行われる。この欠陥検査の方法の一つとして、例えば特許文献1に開示されているように、プリント配線板を光学的に検査する方法が提案されている。
【0003】
この方法は、プリント配線基板をカメラを用いて撮像し、得られた画像から信号線や電源線あるいはパッド部などの領域を分割し、各領域の欠陥検査を行う方法である。
【0004】
そして、この方法では、プリント配線板設けられている各領域、すなわち、配線パターン領域、レジスト領域、パッド領域およびシルク領域の各パターン領域の分割について、構成材料の違いから異なる色を有していることに着目して、色成分ごとにパターン領域を分割する方法を採用する。
【特許文献1】特開平11−304720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記基板には、たとえば、配線プリントの表面に銀メッキを施したメッキ領域や半田レベラーなどの、銀光沢を有する金属領域が設けられている。シルクプリントは、通常、白色インクを用いて印刷されているため、このシルク領域と銀光沢を有する金属領域とは、どちらも画像では白色に撮像される。したがって、上記カメラを用いて基板を撮像する上記特許文献1に開示されている検査方法においては、銀光沢を有する金属領域、例えばはんだレベラーとシルク領域両者を区別して検査することは不可能であった。
【0006】
このため、プリント配線板の銀光沢を有する金属領域の検査は、最終工程のメッキを行う前に検査するか、製造された基板ではなく設計データを基準として領域の分割を行い検査する方法が行われていた。前者の方法では、最終製品であるプリント配線板自体を検査することはできず、また、後者の方法では設計図と実際に製造されたものとの製造誤差を考慮することなく検査を行うこととなるため、検査の精度を高くすることは困難であった。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、インク印刷と銀光沢を有する金属領域を光学的に区別することができるプリント配線板の検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のプリント配線板の検査装置を提供する。
【0009】
本発明の第1態様によれば、基板本体の表面に、銀光沢を有する金属領域とインク印刷がなされたシルク領域を有するプリント配線板を検査する検査装置であって、
前記プリント配線板の表面を撮像可能に配置されたカラーカメラと、
前記プリント配線板表面に着色光を射出し、前記プリント配線板の表面での前記着色光の正反射光が前記カラーカメラに対して入射するような位置に配置されている着色光源と、
前記プリント配線板表面に白色光を照射し、前記カラーカメラと拡散反射光学系を構成するように配置されている白色光源と、
前記カラーカメラで撮像されたプリント配線板の画像データを受信するとともに、当該画像データのうち着色光源によって着色光の色に着色された部分を、前記金属領域と認識して、前記プリント配線板の検査を行う認識検査部とを有することを特徴とするプリント配線板の検査装置を提供する。
【0010】
本発明の第2態様によれば、前記カラーカメラはリニアセンサであり、
前記着色光源は前記リニアセンサの画素配列に平行になるように配置された線光源で構成されており、
さらに、前記プリント配線板を前記着色光源とリニアセンサに対して前記リニアセンサの画素配列方向に直交する方向に移動させる駆動部を備えることを特徴とする、第1態様のプリント配線板の検査装置を提供する。
【0011】
本発明の第3態様によれば、前記着色光源から射出される着色光は、前記白色光源から射出される白色光よりも照度が低く構成されていることを特徴とする、第1又は第2態様のプリント配線板の検査装置を提供する。
【0012】
本発明の第4態様によれば、前記着色光は赤色光であることを特徴とする、第1から第3態様のいずれかのプリント配線板の検査装置を提供する。
【0013】
本発明の第5態様によれば、前記着色光源の入射角度は、前記白色光源の入射角度より小さく構成されていることを特徴とする、第1から第4態様のいずれかのプリント配線板の検査装置を提供する。
【0014】
本発明の第6態様によれば、プリント配線板の表面を撮像可能に配置されたカラーカメラと、前記プリント配線板表面に着色光を射出し前記プリント配線板の表面での前記着色光の正反射光が前記カラーカメラに対して入射するような位置に配置されている着色光源と、前記プリント配線板表面に白色光を照射し、前記カラーカメラと拡散反射光学系を構成するように配置されている白色光源とを有する検査装置を用い、銀光沢を有する金属領域と、シルク領域と、前記金属領域及びシルク領域と視覚的に判別可能な判別可能領域を有するプリント配線板を検査する検査方法であって、
前記白色光源のみを点灯して前記プリント配線板を撮像した第1画像を撮像し、
前記白色光源及び着色光源を点灯して前記プリント配線板を撮像した第2画像を撮像し、
前記第1画像において表示されている各画素の色情報に基づいて前記金属領域及びシルク領域と、判別可能領域間での領域分割の判別を行い、
前記第2画像において表示されている各画素の色情報に基づいて前記金属領域、シルク領域間での領域分割の判別を行うことを特徴とする、プリント配線板の検査方法を提供する。
【0015】
本発明の第7態様によれば、前記第1画像を撮像する工程と第2画像を撮像する工程とで、前記白色光源から照射される白色光の明度を変更することを特徴とする、第6態様のプリント配線板の検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、着色光源とカラーカメラは正反射光学系を構成するとともに、白色光源とカラーカメラは反射拡散光学系を構成する。したがって、表面が拡散面であるシルク領域と表面が反射面である金属領域の表面において、着色光の反射拡散特性が異なる。すなわち、金属領域では着色光源の反射成分が強くなり白色光よりも支配的となる。よって、カラーカメラは、被写体そのものの色ではなく、正反射光である光源そのものの色が強くなる結果、着色光の色に着色されたように金属領域を撮像する。一方、シルク領域では、着色光源の反射成分は拡散成分に比べてさほど強くなくなるため、白色光源からの白色光が支配的となるため、カラーカメラはシルク領域をシルク領域そのものの色(例えば、白色)に撮像する。したがって、画像上において、シルク領域と金属領域との区別を画素の色に基づいて行うことができ、両者の領域分割を行うことができる。
【0017】
また、カラーカメラ及び着色光源を線状に構成することにより、着色光源からの着色光の正反射成分のみをカラーカメラに入射させやすくなり、より高精度の正反射光学系を構成することができる。
【0018】
また、着色光を白色光よりも照度が低くすることにより、白色光による拡散光の影響が強くなるため、シルク領域における撮像において着色光の影響を少なくし、より色の違いを鮮明にすることができる。
【0019】
着色光源の入射角度を白色光源の入射角度より小さくすることにより、白色光源からの白色光の反射成分がカラーカメラに入射する割合を小さくすることができ、また、白色光によりプリント配線板の広い領域を照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の検査装置について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態にかかるプリント配線板の検査装置の外観の概略構成を示す斜視図である。図2Aは図1のプリント配線板の検査装置の光学系に着目した場合の概略構成を示す模式図である。図1のプリント配線板検査装置1は、検査対象となるプリント配線板100を載置する載置ステージ2と、当該載置ステージを移動可能に支持する基台3と、プリント配線板100に着色光を照射する光源である着色光源4と、着色光源4から照射されプリント配線板100の表面で反射した正反射光を受光するカラーカメラ5と、プリント配線板表面に白色光を照射し、カラーカメラ5と拡散反射光学系を構成するように配置されている白色光源6と、カラーカメラ5で撮像された画像データを用いてプリント配線板の各領域の認識及び検査を実行する認識検査部7と、を備えている。
【0022】
装置の説明の前に、検査対象となるプリント配線板100の構成について説明する。プリント配線板100の表面には、配線パターン領域、レジスト領域、パッド領域、シルク領域、基板の表面に銀メッキを施したメッキ領域や半田レベラーなどの銀光沢を有する金属領域などの各領域が形成されている。なお、金属領域は、銀光沢を有する鏡面で構成されている。また、シルク領域は、プリント配線板に実装されるチップの説明などが印刷により設けられており、通常白色のインクが用いられる。当該シルク領域は、印刷インクで構成されているため表面は拡散面である。
【0023】
これらの各領域は構成材料の違いから目視的には異なる色を有している。ただし、銀光沢を有する鏡面で構成されていると白色インクで印刷されたシルク領域は、目視的には異なるが、拡散光で撮像されると、画像上ではともに白色に撮像され、区別がつきにくいという性質を有する。
【0024】
載置ステージ2は、プリント配線板100を載置すると共に、基台3に対して矢印71に示すように一方向に往復運動可能に構成されている。載置ステージの移動方向は、後述するカラーカメラ5の画素配列方向に直交する方向である。
【0025】
着色光源4は、着色光を発光する発光ダイオードで構成される線光源である。本実施形態では、赤色(波長630nm)の光を発光するが、着色光の波長は特に限定されるものではない。また、必ずしも単色光でなくてもよく、ある程度の波長の幅を有する着色光であってもよい。また、着色光源が発光する着色光は、例えば、RGBの3種のダイオードを備え、これらを適宜組み合わせて発光することにより、任意の色の光を発光させるように構成されていてもよい。
【0026】
着色光源4は、着色光の照射方向がプリント配線板100の法線方向に対して0度から20度程度となる角度Aを持つように配置することが好ましい。20度を超えると、後述する拡散照明の影響を受けやすく、プリント配線板100の検査精度が低下する。本実施形態では、着色光源4は、プリント配線板100の法線方向に対して、略7度の角度を持つように着色光Lcを照射する。なお、後述するようにカラーカメラ5と着色光源は、正反射光学系を構成するため、カメラと着色光源とが正反射をなす位置関係にあり、カラーカメラ5の角度によって向きが決定するように構成される。
【0027】
着色光源4の幅寸法は、プリント配線板100の幅寸法よりも大きく構成されていることが好ましいが、着色光Lcがプリント配線板100の幅寸法に到達する位置50でプリント配線板100の幅寸法よりも大きくなるように構成されていればよい。
【0028】
カラーカメラ5は、リニアセンサで構成されており、着色光源と略平行かつ、載置ステージ2の移動方向71と直交するように配置される。また、カラーカメラ5と着色光源4とは、プリント配線板100の表面で正反射された着色光が直接カラーカメラ5に入射するような正反射光学系を構成する。なお、カラーカメラ5及び着色光源4がともに線状に構成されていることにより、着色光Lcの正反射成分のみをカラーカメラ5に入射させやすくなり、より高精度の正反射光学系を構成することができる。
【0029】
すなわち、着色光源4から照射された着色光Lcは、プリント配線板100の表面に到達して反射及び拡散する。カラーカメラ5は、到達した着色光Lcの正反射成分のみを受光する。
【0030】
図2Bは、本実施形態にかかるプリント配線板の検査装置の正反射光学系の変形例を示す模式図である。この変形例では、ハーフミラーを備えたプリズム8が構成されており、着色光源4は、プリント配線板100の表面に対して平行に着色光を発光する。プリズム8に到達した着色光は、ハーフミラーによってプリント配線板100に直交する向きに折り曲げられ、プリント配線板100に到達する。プリント配線板100の表面で正反射した着色光は、プリズム8を透過し、プリント配線板100の表面に対して直交するように配置されカラーカメラ5に到達する。
【0031】
図2Bに示した構成の正反射光学系は、ハーフミラーにより着色光が減光されるためカラーカメラ5で得られる画像が暗くなるが、カラーカメラ5がプリント配線板100に直交する方向設けられているため、より高精度にプリント配線板の画像を撮像することができる。
【0032】
白色光源6は、白色光Lwを発光する拡散光源であり、2箇所に設けられている。白色光源6は、プリント配線板100の表面を広域にわたって照射するために設けられているものであり、プリント配線板100の表面で反射した白色光の正反射光が直接カラーカメラ5に到達しないように配置されている。すなわち、白色光源6は、カラーカメラ5との関係で拡散反射光学系を構成する。
白色光源6は、白色光Lwの照射方向がプリント配線板100の法線方向に対して30度から60度程度となる角度Bを持つように配置することが好ましい。本実施形態では、角度Bは、45度となるように構成されている。また、プリント配線板100の表面を広域にわたって照射するために、着色光源4の入射角度よりも大きな角度を有することが好ましい。
【0033】
また、着色光源4及び白色光源6は、着色光Lcは、白色光Lwよりも微弱な明るさとなるように構成されている。着色光Lcの明度を大きくすると、後述するシルク領域での着色光Lcの正反射成分の絶対量が多くなり、シルク領域の画像が着色光Lcの影響を受けやすくなる結果、領域認識の精度に影響を及ぼす。なお、着色光Lcと白色光Lwの光量の比は、検査対象の特性に応じて適宜調整することができる。
【0034】
次に本実施形態にかかるプリント配線板の検査装置1の動作について説明する。上記のように、各パターン領域が形成されているプリント配線板100において、各パターン領域は構成材料の違いから目視的には異なる色を有している。ただし、銀光沢を有する鏡面で構成されていると白色インクで印刷されたシルク領域は、目視的には異なるが、白色拡散光で撮像された画像では、ともに白色に撮像され、画像上の区別がつきにくい。本実施形態にかかるプリント配線板の検査装置1は、正反射光を見ると光源そのものの色が強く見えやすくなるという特性を用いて、着色反射光を用いて両者の識別を行うこととしたものである。
【0035】
図3Aは、シルク領域に着色光が入射した場合の光の反射及び拡散の状態を示す模式図である。シルク領域は、表面が拡散面であるため、入射した着色光は、種々の方向に拡散し、その結果、正反射成分の割合が少なくなる。また、着色光Lcは白色光Lwよりも明度が低く、カラーカメラ5との関係で拡散反射光学系を構成する白色光源6の白色光Lwがシルク領域の表面に照射されているため、カラーカメラ5に入射する光は、白色光源6の白色光Lwが支配的となる。したがって、シルク部分はカラーカメラ5で撮像された画像中では、白色に撮像される。
【0036】
これに対して、金属領域では、着色光の正反射成分が支配的となる。図3Bは、金属領域に着色光が入射した場合の光の反射及び拡散の状態を示す模式図である。金属領域は鏡面で構成されているため、着色光Lcの正反射成分の割合が大きくなる。金属領域にも白色光Lwが照射されているが、着色光Lcの正反射成分の割合が大きいため、着色光Lcの正反射光を受光するカラーカメラ5で撮像した場合、着色光Lcの正反射成分が支配的となり、当該着色光Lcの色が強く見えやすくなる。すなわち、金属領域は着色光Lcの色に着色された状態で撮像される。
【0037】
以上のように、半田レベラーや銀メッキ部分など銀光沢を有する金属領域とシルク領域との画像上の色の差が大きくとれ、認識検査部7による領域分割の処理が容易に可能となる。
【0038】
カラーカメラ5で撮像された画像データを用いてプリント配線板の各領域の認識及び検査を実行する認識検査部7では、上記のように、着色光Lcの色に着色されて撮像される金属領域と、白色に撮像されるシルク領域との画素の色情報に基づいて両者を分割して認識すると共に、当該得られた画像を用いてプリント配線板100の欠陥検査を行う。
【0039】
次に、本実施形態にかかるプリント配線板の検査装置を用いて、プリント配線板の欠陥検査を行う処理手順について説明する。図4は、本実施形態にかかるプリント配線板の検査装置を用いて、プリント配線板の欠陥検査を行う処理手順を示すフローチャートである。なお、これらの動作は、図示しない制御部により動作制御される。
【0040】
まず、制御部により検査装置の白色光源6を点灯させるとともに、着色光源4を消灯する(#10)。この状態では、載置ステージ2上に載置された検査対象となるプリント配線板100には、白色光源6の拡散光が照射され、カラーカメラ5には白色光Lwがプリント配線板100の表面で拡散した拡散光のみが入射する。
【0041】
次いで、制御部は、載置ステージ2を初期位置へ移動させた後(#11)、カラーカメラ5の撮像を開始する(#12)と共に、載置ステージ2を正方向へ移動させる(#13)。上記のようにカラーカメラ5は載置ステージ2の移動方向に対して直交する方向に設けられているため、載置ステージ2の移動に伴い、カラーカメラの撮像位置が変化し、プリント配線板100の表面画像が得られる。
【0042】
載置ステージ2を終端位置まで移動(#14)させると、プリント配線板100の表面を撮像した画像(以下、第1画像という。)の撮像が終了するため、当該第1画像を認識検査部7に保存する(#15)。
【0043】
次に、制御部は着色光源4を点灯させる(#16)。すなわち、着色光源4及び白色光源6ともに点灯した状態となる。この状態では、着色光Lcの正反射成分及び白色光Lwの拡散成分がともにカラーカメラ5に入射する。なお、白色光Lwの光量を調整するようにしてもよい。
【0044】
この状態で、載置ステージ2が逆方向に移動する(#17)と、カラーカメラ5によりプリント配線板100の表面画像が得られる。このときに得られる画像(以下第2画像という。)は、上記説明のとおり、金属領域とシルク領域において着色が異なった画像となる。
【0045】
載置ステージ2が初期位置まで移動(#18)すると、プリント配線板100の表面を撮像した第2画像の撮像が終了するため、制御部は第2画像を認識検査部7に保存する(#19)。
【0046】
次いで、認識検査部7は、第1画像及び第2画像を用いて、プリント配線板100の各領域を分割する(#20)。上記のように、プリント配線板100の各領域は、材質の違いに伴って、第1画像を用いて各領域の分割をすることができる。ただし、シルク領域と金属領域は第1画像では分割できないため、第2画像を用いて分割する。各領域への分割が終了し、検査に必要な基準情報の登録が完了する。これらの基準情報を用いて認識検査部7は、各領域の欠陥検査を実行する(#21)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態にかかるプリント配線板の検査装置によれば、拡散光学系を有するカメラでは判別しにくい金属領域とシルク領域とを容易に判別することができ、両者の領域分割をすることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態にかかるプリント配線板の検査装置の外観の概略構成を示す斜視図である。
【図2A】図1のプリント配線板の検査装置の光学系に着目した場合の概略構成を示す模式図である。
【図2B】本実施形態にかかるプリント配線板の検査装置の正反射光学系の変形例を示す模式図である。
【図3A】シルク領域に着色光が入射した場合の光の反射及び拡散の状態を示す模式図である。
【図3B】金属領域に着色光が入射した場合の光の反射及び拡散の状態を示す模式図である。
【図4】本実施形態にかかるプリント配線板の検査装311置を用いて、プリント配線板の欠陥検査を行う処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 プリント配線板の検査装置
2 載置ステージ
3 基台
4 着色光源
5 カラーカメラ
6 白色光源
7 認識検査部
8 プリズム
Lc 着色光
Lw 白色光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体の表面に、銀光沢を有する金属領域とインク印刷がなされたシルク領域を有するプリント配線板を検査する検査装置であって、
前記プリント配線板の表面を撮像可能に配置されたカラーカメラと、
前記プリント配線板表面に着色光を射出し、前記プリント配線板の表面での前記着色光の正反射光が前記カラーカメラに対して入射するような位置に配置されている着色光源と、
前記プリント配線板表面に白色光を照射し、前記カラーカメラと拡散反射光学系を構成するように配置されている白色光源と、
前記カラーカメラで撮像されたプリント配線板の画像データを受信するとともに、当該画像データのうち着色光源によって着色光の色に着色された部分を、前記金属領域と認識して、前記プリント配線板の検査を行う認識検査部とを有することを特徴とするプリント配線板の検査装置。
【請求項2】
前記カラーカメラはリニアセンサであり、
前記着色光源は前記リニアセンサの画素配列に平行になるように配置された線光源で構成されており、
さらに、前記プリント配線板を前記着色光源とリニアセンサに対して前記リニアセンサの画素配列方向に直交する方向に移動させる駆動部を備えることを特徴とする、請求項1に記載のプリント配線板の検査装置。
【請求項3】
前記着色光源から射出される着色光は、前記白色光源から射出される白色光よりも照度が低く構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプリント配線板の検査装置。
【請求項4】
前記着色光は赤色光であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載のプリント配線板の検査装置。
【請求項5】
前記着色光源の入射角度は、前記白色光源の入射角度より小さく構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載のプリント配線板の検査装置。
【請求項6】
プリント配線板の表面を撮像可能に配置されたカラーカメラと、前記プリント配線板表面に着色光を射出し前記プリント配線板の表面での前記着色光の正反射光が前記カラーカメラに対して入射するような位置に配置されている着色光源と、前記プリント配線板表面に白色光を照射し、前記カラーカメラと拡散反射光学系を構成するように配置されている白色光源とを有する検査装置を用い、銀光沢を有する金属領域と、シルク領域と、前記金属領域及びシルク領域と視覚的に判別可能な判別可能領域を有するプリント配線板を検査する検査方法であって、
前記白色光源のみを点灯して前記プリント配線板を撮像した第1画像を撮像し、
前記白色光源及び着色光源を点灯して前記プリント配線板を撮像した第2画像を撮像し、
前記第1画像において表示されている各画素の色情報に基づいて前記金属領域及びシルク領域と、判別可能領域間での領域分割の判別を行い、
前記第2画像において表示されている各画素の色情報に基づいて前記金属領域、シルク領域間での領域分割の判別を行うことを特徴とする、プリント配線板の検査方法。
【請求項7】
前記第1画像を撮像する工程と第2画像を撮像する工程とで、前記白色光源から照射される白色光の明度を変更することを特徴とする、請求項6に記載のプリント配線板の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−216059(P2008−216059A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54254(P2007−54254)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】